光拡散シート及びその製造方法
【課題】光源ユニットに配設したときに、光源の形状が現れず、しかも高い輝度を示す光拡散シート及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】光拡散シート1は、表層領域11,13と、表層領域11,13の間の中層領域12とを有する。表層領域11,13は、第1樹脂で構成された海相111と、第2樹脂で構成された島相112とを含み、中層領域12は、第1樹脂で構成された海相113と、第2樹脂で構成された島相114とを含む。表層領域11,13の断面において島相112の配向方向と、この配向方向に直交する方向(厚さ方向及び幅方向)との間の長さの比は6〜30であり、中層領域12の断面における島相のアスペクト比は0.7〜3.3である。
【解決手段】光拡散シート1は、表層領域11,13と、表層領域11,13の間の中層領域12とを有する。表層領域11,13は、第1樹脂で構成された海相111と、第2樹脂で構成された島相112とを含み、中層領域12は、第1樹脂で構成された海相113と、第2樹脂で構成された島相114とを含む。表層領域11,13の断面において島相112の配向方向と、この配向方向に直交する方向(厚さ方向及び幅方向)との間の長さの比は6〜30であり、中層領域12の断面における島相のアスペクト比は0.7〜3.3である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光拡散シート及びその製造方法に関し、特に、液晶表示装置のバックライトなどの光源ユニットに用いられる光拡散シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透過型又は半透過型の液晶表示装置においては、液晶パネルを照光する光源ユニットとしてバックライトが配設されている。このバックライトは、冷陰極管などの線状光源から出射された光を導光板や光拡散シートを介して液晶パネルに入射させるように構成されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−39503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、バックライトに従来の光拡散シートを用いた場合、液晶パネルの輝度を上げると光源である冷陰極管のランプイメージが出てしまい表示品位が悪くなる。一方、ランプイメージが出ないようにすると、十分な輝度が得られずに表示画面が暗くなるという問題がある。
【0004】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、光源ユニットに配設したときに、光源の形状(ランプイメージ)が現れず、しかも高い輝度を示す光拡散シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光拡散シートは、第1樹脂で構成された海相と、前記第1樹脂と非相溶性の第2樹脂で構成された島相とを含み、表層領域及び中層領域を有する光拡散シートであって、前記表層領域において前記島相が特定方向に配向しており、断面において前記島相の配向方向と前記配向方向に直交する方向との間のアスペクト比が6〜30であり、前記中層領域が実質的に配向しておらず、断面における島相のアスペクト比が0.7〜3.3であることを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、表層領域において前記島相が特定方向に配向しており、断面において前記島相の配向方向と前記配向方向に直交する方向との間のアスペクト比が6〜30であり、前記中層領域が実質的に配向しておらず、断面における島相のアスペクト比が0.7〜3.3であるので、光源ユニットに配設したときに、光源の形状(ランプイメージ)が現れず、しかも高い輝度を示すことができる。
【0007】
本発明の光拡散シートにおいては、前記第1樹脂と第2樹脂との間の含有重量比が30/70〜70/30であることが好ましい。
【0008】
本発明の光拡散シートにおいては、前記光拡散シートの厚さにおける前記中層領域の厚さの割合が、20%〜80%であることが好ましい。
【0009】
本発明の光拡散シートにおいては、ヘーズ値が90以上であることが好ましい。
【0010】
本発明の光拡散シートにおいては、全光線透過率が80%以下であることが好ましい。
【0011】
本発明の光拡散シートにおいては、全透過光線のうち前記光拡散シートを直進して透過する成分が5%以下であることが好ましい。
【0012】
本発明の光拡散シートにおいては、厚さが0.05mm〜0.5mmであることが好ましい。
【0013】
本発明の光拡散シートにおいては、前記第1樹脂がポリオレフィン系樹脂であり、前記第2樹脂がポリカーボネート樹脂であることが好ましい。この場合において、前記ポリオレフィン樹脂がポリプロピレン樹脂であることが好ましい。
【0014】
本発明の液晶表示装置は、一対のガラス基板で液晶層を挟持してなる液晶パネルと、請求項1から請求項10のいずれかに記載の光拡散シートを有し、光源からの光を前記光拡散シートを透過して前記液晶パネルに入射させる光源ユニットと、を具備することを特徴とする。
【0015】
本発明の光拡散シートの製造方法は、第1樹脂及び前記第1樹脂と非相溶性の第2樹脂で構成されたシート本体を成形する工程と、前記シート本体に対して2軸延伸処理を施して、前記第1樹脂と前記第2樹脂との間で界面剥離させて、前記第1樹脂と前記第2樹脂との間に気孔を発生させる工程と、2軸延伸後のシート本体に対して、前記第1樹脂の融点以上前記第2樹脂の融点よりも低い温度で熱処理を施して、前記気孔を前記第1樹脂で埋める工程と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の光拡散シートは、第1樹脂で構成された海相と、前記第1樹脂と非相溶性の第2樹脂で構成された島相とを含み、表層領域及び中層領域を有する光拡散シートであって、前記表層領域において前記島相が特定方向に配向しており、断面において前記島相の配向方向と前記配向方向に直交する方向との間のアスペクト比が6〜30であり、前記中層領域が実質的に配向しておらず、断面における島相のアスペクト比が0.7〜3.3であるので、光源ユニットに配設したときに、光源の形状が現れず、しかも高い輝度を示すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る光拡散シートを示す図である。また、図2は、図1に示す光拡散シートをA方向から見た図である。
【0018】
図1に示す光拡散シート1は、表層領域11,13と、表層領域11,13の間の中層領域12とを有する。図2に示すように、表層領域11,13は、第1樹脂で構成された海相111と、第2樹脂で構成された島相112とを含み、中層領域12は、第1樹脂で構成された海相113と、第2樹脂で構成された島相114とを含む。また、表層領域11,13と中層領域12とには、気孔115が僅かな割合で存在するか全く存在しない。
【0019】
光拡散シート1の厚さは、光線透過率、工程での巻き取りの容易さ、シート自体の強度などを考慮すると、0.05mm〜0.5mmであることが好ましい。また、光拡散シート1の厚さにおける中層領域12の厚さの割合は、光拡散特性、得られる輝度などを考慮すると、20%〜80%であることが好ましい。
【0020】
なお、図1及び図2においては、表層領域11,13と中層領域12との間を明確に区画しているが、表層領域11,13と中層領域12との間には界面は存在しておらず、表層領域11,13と中層領域12との間には、表層領域11,13を構成する組織と、中層領域12を構成する組織とが混在する領域が存在する。
【0021】
表層領域11,13における島相112は特定の方向に配向している。この特定の方向とは、後述する延伸処理の縦延伸方向である。したがって、表層領域11,13における島相112は、その長手方向が縦延伸方向に沿うように延在している。また、表層領域11,13の断面において島相112の配向方向と、この配向方向に直交する方向(厚さ方向)との間の長さの比(アスペクト比)は6〜30である。なお、本明細書において、島相112が特定の方向に配向しているとは、すべての島相112が特定の方向に配向している場合を含むことはもちろん、一部の島相112が特定の方向以外の方向に沿って配向している場合も含むものとする。
【0022】
中層領域12には、表層領域11,13と異なり、特定の方向に実質的に配向していない島相114が存在する。また、中層領域12の断面における島相114の配向方向と、この配向方向に直交する方向(厚さ方向)との間の長さの比(アスペクト比)は0.7〜3.3である。ここで、中層領域12における島相114は、大部分が特定方向に配向していなければ良く、表層領域11,13の島相112が一部に含まれていても良い。また、表層領域11,13、中層領域12における気孔115は、後述する延伸処理において形成され、その後の熱処理により海相111,113で埋められるが、海相111,113により完全に埋めることができずに残存することがある。このような場合であっても、光拡散特性を発揮できる程度であれば表層領域11,13,中層領域12に気孔115が残存していても良い。
【0023】
第1樹脂と第2樹脂とは、実質的に非相溶性である組み合わせを選択する。このように実質的に非相溶性である樹脂の組み合わせにすることにより、海相111及び島相112の組織を構成することができる。また、海相111を構成する第1樹脂の融点は、島相112を構成する第2樹脂の融点よりも低くなるように設定する。ここで言う融点とは、樹脂が結晶性の場合は、結晶融点あるいは、溶融加工最低温度であり、樹脂が非晶性の場合は、ガラス転移点あるいは、溶融加工最低温度を示すものとする。
【0024】
第1樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。この中でポリプロピレン樹脂であることが好ましい。ここで、ポリプロピレン樹脂とは、プロピレンの単独重合体やプロピレンと共重合が可能なエチレンなどのモノマーとの共重合体などをいう。また、第2樹脂としては、ポリカーボネート樹脂であることが好ましい。ここで、ポリカーボネート樹脂とは、芳香族ポリカーボネート、直鎖状ポリカーボネート、分岐鎖状ポリカーボネートから単独で、又は組み合わせてなるものをいう。第1樹脂と第2樹脂との間の含有重量比は、海島構造の取りやすさなどを考慮して、30/70〜70/30であることが好ましい。
【0025】
本発明に係る光拡散シートは、光線透過率などを考慮すると、ヘーズ値が90以上であることが好ましい。また、本発明に係る光拡散シートは、全光線透過率が80%以下であることが好ましい。さらに、本発明に係る光拡散シートは、全透過光線のうち前記光拡散シートを直進して透過する成分が5%以下であることが好ましい。これらの特性により、この光拡散シートを光源ユニットに用い、その光源ユニットで表示パネルを照光する場合に、表示パネルの輝度を高め同時に拡散性をバランスよく得ることができる。
【0026】
次に、上記構成を有する光拡散シートの製造方法について説明する。
本発明に係る光拡散シートの製造方法においては、第1樹脂及び前記第1樹脂と非相溶性の第2樹脂で構成されたシート本体を成形する工程と、前記シート本体に対して2軸延伸処理を施して、前記第1樹脂と前記第2樹脂との間で界面剥離させて、前記第1樹脂と前記第2樹脂との間に気孔を発生させる工程と、2軸延伸後のシート本体に対して、前記第1樹脂の融点以上前記第2樹脂の融点よりも低い温度で熱処理を施して、前記気孔を前記第1樹脂で埋める工程と、を具備する。
【0027】
本発明に係る光拡散シートの製造は、例えば図3に示す製造装置により行われる。この製造装置は、反射シート製造ラインXと、拡散シート製造ラインYとから構成されている。反射シート製造ラインXは、樹脂を混合して押し出す押出機31と、押出機31の後段に配設され、押出機31で混合された材料をシート本体に成形する成膜機32と、成膜機32の後段に配設され、シート本体に縦延伸処理を施す縦延伸機33と、縦延伸機33の後段に配設され、縦延伸処理されたシート本体に横延伸処理を施す横延伸機34と、横延伸機34の後段に配設され、2軸延伸処理が施されたシート本体を巻き取る巻取機35とから主に構成されている。また、拡散シート製造ラインYは、2軸延伸処理後のシート本体に対して、シート本体が面方向の寸法変化がないように固定した状態で熱処理を施す熱処理装置36と、熱処理装置36の後段に配設され、熱処理後のシート本体を巻き取る巻取機37とから主に構成されている。
【0028】
押出機31においては、それぞれ乾燥した第1樹脂及び第2樹脂を溶融混合し、得られた混合材料を押し出して成膜機32側に送出する。押出機31では、シリンダーとスクリューとの間の隙間やスクリュー同士の隙間などを樹脂が通過するときに、スクリューの回転によるせん断力によって、通常の数mm程度の大きさのペレットから数μm程度の大きさの分散相にまで細かく分割される。このとき、押出機のスクリューの形状、シリンダー温度、スクリューの回転数などを適切に設定することにより、樹脂が分割される大きさの平均値や分布を調整することができる。
【0029】
押出機31においては、例えば、溶融混合された原料樹脂を先端に取り付けられたダイからシート状に押し出す。このときの樹脂の粘度、配合比、混練状態、ダイ壁から樹脂の受ける剪断応力、剪断速度の程度により表層部と中層部に異なるモルフォロジーが形成されるものと推定される。
【0030】
成膜機32は冷却ローラで構成されており、押出機31のダイから押し出された樹脂を冷却ローラで冷却固化させてシート本体に成形する。成形されたシート本体は、縦延伸機33に送られ、縦方向に延伸処理が施される。縦延伸機33においては、加熱ロールの周速を変えることにより、ロールとシート間の摩擦により縦方向の延伸を実現する。具体的には、シート本体を予熱した後にそのシート本体に延伸処理を施す。縦延伸処理されたシート本体は、連続して横延伸機34に送られ、横方向(縦方向に対して略直交する方向)に延伸処理が施される。横延伸機34においては、シート本体を予熱した後にそのシート本体に延伸処理を施す。このようにして、シート本体に2軸延伸処理を施すことにより、モルフォロジーの異なる表層領域及び中間層領域からなり、且つ界面剥離による気孔を有するシートを形成することができる。
【0031】
図3に示す工程においては、シート本体に縦方向の延伸処理を施した後に横方向の延伸処理を施す場合について説明しているが、本発明はこれに限定されず、シート本体に横方向の延伸処理を施した後に縦方向の延伸処理を施す方法、縦方向の延伸処理と横方向の延伸処理とを同時に行う方法、前記2軸延伸処理の後に縦方向及び/又は横方向の延伸処理を再度行う方法などを採用することができる。なお、2軸延伸処理の延伸倍率は縦方向(MD)、横方向(TD)各々1.5倍以上であって、かつ面積延伸倍率が3倍以上50倍以下である。好ましくはMD、TD各々2倍以上で、面積倍率が4倍以上30倍以下である。また、延伸処理においては、界面剥離による気孔を生成させるために、できるだけ低温で延伸を行う方が好ましい。
【0032】
2軸延伸処理後のシート本体は、その延伸方法にもよるが、延伸後に延伸温度近傍で熱収縮させると縦方向及び横方向のいずれかあるいは縦方向と横方向の両方向に大きく熱収縮する。このため、本発明においては、150℃/30分での熱収縮率が縦方向及び横方向のいずれの方向で15%以下であることが好ましい。この熱収縮率は好ましくは12%以下であり、特に好ましくは10%以下である。このため、2軸延伸処理後のシート本体に緩和熱処理を施すことが好ましい。この緩和熱処理においては、シート本体の熱収縮を抑えるために、例えば、シート本体の端部を拘束しながら熱処理を施す。
【0033】
なお、図3に示す装置においては、押出機31、成膜機32、縦延伸機33、横延伸機34及び巻取機35までシート本体をローラにより搬送して巻取り、熱処理装置36及び巻取機37までシート本体をローラにより搬送して巻取る構成としているが、本発明においては、すべての工程にわたってシート本体を連続してローラで搬送するように構成しても良く、各工程毎にシート本体を巻き取ってから次工程に送るように構成しても良い。
【0034】
ここで、上述したように、シート本体は熱収縮する性質を持つので、第1樹脂を溶融させる熱処理はシート本体の端部を拘束しながら無延伸で行う。したがって、この熱処理においては、シート本体の端部が拘束されており、面方向の寸法が維持されるので、熱収縮により厚さが薄くなる。また、熱処理は、延伸処理装置を用いて無延伸状態で行っても良い。
【0035】
熱処理の温度や時間などの条件は、第1樹脂の融点以上で第2樹脂の融点よりも低い温度という制限の下に、第1樹脂や第2樹脂の種類に応じて適宜設定することができる。例えば、第1樹脂がポリプロピレン樹脂であり、第2樹脂がポリカーボネート樹脂である場合には、熱処理は約160℃〜200℃、10分間〜30分間で行うことが好ましい。
【0036】
このような光拡散シートは、第1樹脂で構成された海相と、第1樹脂と非相溶性の第2樹脂で構成された島相とを含み、表層領域及び中層領域を有しており、表層領域において島相が特定方向に配向しており、中層領域の島相は特定方向に配向していない。このような構成においては、中層領域おける島相は特定方向に配向しておらず球状であるので、その形状からレンズ効果を中心に発揮し、主に集光、すなわち輝度向上に寄与していると考えられる。一方、表層領域における島相は特定方向に配向しており棒状であるので、その形状から、光源からの光を拡散させてランプイメージを除去していると考えられる。この光拡散シートは、輝度向上及びランプイメージの除去、すなわち集光性及び拡散性の二律背反の事象をバランスよく実現したものであるので、結果として、輝度を落とすことなく、光源のランプイメージを現すことなく、光源からの光を拡散することができる。
【0037】
上記構成を有する光拡散シートは、液晶表示装置の光源ユニットに配設される。図4は、本発明の実施の形態に係る光拡散シートを用いた液晶表示装置を示す図である。図4に示す液晶表示装置は、液晶パネル21と、この液晶パネル21に光を入射する光源ユニット22とから主に構成されている。液晶パネル21は、一対のガラス基板211,212と、このガラス基板211,212で挟持された液晶層213とから構成されている。また、光源ユニット22は、冷陰極管などの光源221と、光源221と液晶パネル21との間に配設された本発明に係る光拡散シート222とから構成されている。このような液晶表示装置においては、光源221からの光を光拡散シート222を透過して液晶パネル21に入射させるようになっている。
【0038】
この液晶表示装置は、本発明に係る光拡散シートを用いているので、十分な輝度を有する状態で、光源のランプイメージを現すことなく画面表示を行うことができる。なお、液晶パネル21において、通常使用されている偏光板保護フィルム、位相差フィルム、拡散板、配向膜、透明電極、カラーフィルタなどの各種光学素子については説明を省略する。
【0039】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
(実施例1)
メルトフローレート1.4のポリプロピレン樹脂(ノバテック、日本ポリプロ社製)55重量部と、メルトフローレート5.3のポリカーボネート樹脂(ユーピロン、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)45重量部とを、時間あたり8kgの速度で押出機にフィードして溶融混合し、100rpmで同方向に回転する2軸押出機に投入し、巻き取り速度0.2m/分、ダイ温度230℃で原反シートを巻き取った。この原反シートは厚さ1.5mmであった。
【0040】
次いで、得られた原反シートを、160℃に加熱したロール間隙に通してシート本体とし、押出方向に3倍に延伸させるようにロールの周速を調整してこのシート本体に対して縦方向延伸を施した。次いで、155℃に加熱されたチャック式テンターを用いて、押出方向と直角方向(横方向)に4倍に延伸されるようにチャック幅を調整してこのシート本体に対して横方向延伸を施した。これにより、シート本体に対して2軸延伸処理が施された。
【0041】
次いで、2軸延伸処理されたシート本体に対して、180℃に加熱されたチャック式テンターを用いて、入口と出口のチャック幅を同一にして、延伸されない状態かつ面内収縮のない状態で、20分間の熱処理を施して光拡散シート(実施例1)を得た。この光拡散シートを走査型電子顕微鏡(S−4700、日立製作所社製)で調べたところ、表層領域及び中層領域を含む3層構造を有していた。その顕微鏡写真をそれぞれ図5(表層領域)及び図6(中層領域)に示す。図5から分かるように、島相が特定方向に配向している。
【0042】
表層領域における島相の縦延伸方向の短径方向及び長径方向の粒子径分布を調べた。その結果をそれぞれ図7及び図8に示す。図7及び図8に示す粒子径分布から、島相の配向方向と配向方向に直交する方向との間のアスペクト比を求めると約5〜10であった。また、中層領域における縦延伸方向の粒子径分布を調べた。その結果を図9に示す。図9の一方(左)の棒グラフは、縦延伸方向の粒子径分布を見たもので、もう一方の棒グラフは、厚み方向の粒子径分布を示す。図9に示す粒子径分布から、島相の縦横の粒子径分布はほぼ一致しており、アスペクト比がほぼ1の球状分布であることが解った。
【0043】
また、この光拡散シートについて、D65光源を用いた日本電色工業製ヘーズメーターNDH2000によりヘーズ値を測定したところ、99.02であった。また、この光拡散シートについて、正面輝度測定とランプイメージの評価を行った。正面輝度及びランプイメージは、シャープ株式会社製液晶テレビLC26BD1のバックライトに光拡散シートを配設し、コニカミノルタ製二次元色彩輝度計CA−2000を用いて測定することにより評価した。その結果を図14に示す。さらに、この光拡散シートについて、日本電色工業製ヘーズメーターNDH2000により全光線透過率を測定したところ、69.31%であった。上述した製造条件及び評価結果を下記表1に示す。
【0044】
(比較例1)
メルトフローレート10.5のポリプロピレン樹脂(ノバテック、日本ポリプロ社製)を用いること以外は実施例1と同様にして原反シートを作製した。この原反シートを200℃に加熱した熱板の間に挟み、ゲージ圧80kg/cm2で加熱プレスして比較例1の光拡散シートを作製した。この光拡散シートを走査型電子顕微鏡で調べたところ、図10(表層領域)及び図11(中層領域)に示すように、全体にわたって粒状にポリカーボネートが分布した組織を有しており、表層領域では6〜30のアスペクト比を満たしていなかった。また3層構造を有していなかった。
【0045】
また、この光拡散シートについて、実施例1と同様にしてヘーズ値を測定したところ、98.57であった。また、この光拡散シートについて、正面輝度測定とランプイメージの評価を実施例1と同様にして行った。その結果を図14に併記する。また、この光拡散シートについて全光線透過率を測定したところ、80.16%であった。上述した製造条件及び評価結果を下記表1に併記する。
【0046】
(比較例2)
ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂を50重量部ずつの同量とし、時間あたりのフィード量を5kgにしたこと以外は実施例1と同様にして原反シートを作製した。この原反シートを200℃に加熱した熱板の間に挟み、ゲージ圧80kg/cm2で加熱プレスして比較例1の光拡散シートを作製した。この光拡散シートを走査型電子顕微鏡で調べたところ、図12(表層領域)及び図13(中層領域)に示すように、全体にわたって棒状にポリカーボネートが分布した組織を有しており、3層構造を有していなかった。
【0047】
また、この光拡散シートについて、実施例1と同様にしてヘーズ値を測定したところ、99.07であった。また、この光拡散シートについて、正面輝度測定とランプイメージの評価を実施例1と同様にして行った。その結果を図14に併記する。また、この光拡散シートについて全光線透過率を測定したところ、63.86%であった。上述した製造条件及び評価結果を下記表1に併記する。
【0048】
図14には、参考のために、光源(CCFL)のみの正面輝度及びランプイメージを併記した。図14から分かるように、実施例1の光拡散シートを用いた液晶テレビは、位置により輝度が急激に高くなる部分がなく、ランプイメージがない状態であり、また、全面にわたって約5500Cd/m2以上の輝度を示した。これは、光拡散シートが、特定の方向に配向した島相を持つ表層領域と、特定の方向に配向していない島相を持つ中層領域とを備えているので、輝度向上能とランプイメージが現れない程度の光拡散能とを発揮したものであると思われる。
【0049】
一方、比較例1の光拡散シートを用いた液晶テレビは、位置により輝度が急激に高くなる部分はないが、全面にわたって約5500Cd/m2以下の輝度であった。これは、光拡散シートが、特定の方向に配向していない島相を持つ領域のみで構成されているので、輝度向上能が発揮されていないからであると思われる。また、比較例2の光拡散シートを用いた液晶テレビは、輝度は比較的高いが、位置により輝度が急激に高くなる位置がある。この位置は光源の配置位置に対応しているので、ランプイメージが現れていると考えることができる。これは、光拡散シートが、特定の方向に配向した島相を持つ領域のみで構成されているので、ランプイメージが現れない程度の光拡散能が発揮されていないからであると思われる。
【0050】
(実施例2)
熱処理温度を185℃にすること以外は実施例1と同様にして光拡散シート(実施例2)を作製した。この光拡散シートを走査型電子顕微鏡で調べたところ、表層領域及び中層領域を含む3層構造を有していた。また、この光拡散シートについて、実施例1と同様にしてヘーズ値を測定したところ、99.02であった。また、この光拡散シートについて、正面輝度測定とランプイメージの評価を行ったところ、実施例1とほぼ同様の結果が得られた。また、この光拡散シートについて全光線透過率を測定したところ、74.46%であった。上述した製造条件及び評価結果を下記表1に併記する。
【0051】
(実施例3)
熱処理温度を190℃にすること以外は実施例1と同様にして光拡散シート(実施例3)を作製した。この光拡散シートを走査型電子顕微鏡で調べたところ、表層領域及び中層領域を含む3層構造を有していた。また、この光拡散シートについて、実施例1と同様にしてヘーズ値を測定したところ、98.99であった。また、この光拡散シートについて、正面輝度測定とランプイメージの評価を行ったところ、実施例1とほぼ同様の結果が得られた。また、この光拡散シートについて全光線透過率を測定したところ、74.39%であった。上述した製造条件及び評価結果を下記表1に併記する。
【0052】
(実施例4)
横方向の延伸倍率を3倍にすること以外は実施例3と同様にして光拡散シート(実施例4)を作製した。この光拡散シートを走査型電子顕微鏡で調べたところ、表層領域及び中層領域を含む3層構造を有していた。また、この光拡散シートについて、実施例1と同様にしてヘーズ値を測定したところ、99.07であった。また、この光拡散シートについて、正面輝度測定とランプイメージの評価を行ったところ、実施例1とほぼ同様の結果が得られた。また、この光拡散シートについて全光線透過率を測定したところ、67.44%であった。上述した製造条件及び評価結果を下記表1に併記する。
【0053】
このように、本発明の光拡散シートによれば、光源ユニットに配設したときに、光源の形状が現れず、しかも高い輝度を示すことができる。また、本発明の製造方法によれば、シート状態で一連の工程を経ることができるので連続生産性に優れる。また、シート状態での取り扱いができるので、打ち抜きや裁断のような後工程が容易であり、ロール出荷が可能であり、ハンドリングも容易となる。
【0054】
【表1】
【0055】
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態における寸法、材質などは例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。上記実施の形態においては、液晶テレビの光源ユニットに適用した場合について説明しているが、本発明は液晶テレビ以外のデバイスの光源ユニットに用いる場合などにも同様に適用することができる。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、液晶表示装置のような表示装置の光源ユニットに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態に係る光拡散シートを示す図である。
【図2】図1に示す光拡散シートをA方向から見た図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る光拡散シートの製造方法に用いる製造装置を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る光拡散シートを用いた液晶表示装置を示す図である。
【図5】実施例1の光拡散シートの表層領域の縦延伸方向の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】実施例1の光拡散シートの中層領域の縦延伸方向の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】実施例1の表層領域の縦延伸方向の粒子径分布(短径方向)を示す図である。
【図8】実施例1の表層領域の縦延伸方向の粒子径分布(長径方向)を示す図である。
【図9】実施例1の中層領域の縦延伸方向の粒子径分布を示す図である。
【図10】比較例1の光拡散シートの表層領域の縦延伸方向の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図11】比較例1の光拡散シートの中層領域の縦延伸方向の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図12】比較例2の光拡散シートの表層領域の縦延伸方向の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図13】比較例2の光拡散シートの中層領域の縦延伸方向の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図14】光拡散シートを配設した際の液晶表示装置の正面輝度とランプイメージを示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1,222 光拡散シート
11,13 表層領域
12 中層領域
21 液晶パネル
22 光源ユニット
111,113 海相
112,114 島相
115 気孔
211,212 ガラス基板
213 液晶層
221 光源
【技術分野】
【0001】
本発明は光拡散シート及びその製造方法に関し、特に、液晶表示装置のバックライトなどの光源ユニットに用いられる光拡散シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透過型又は半透過型の液晶表示装置においては、液晶パネルを照光する光源ユニットとしてバックライトが配設されている。このバックライトは、冷陰極管などの線状光源から出射された光を導光板や光拡散シートを介して液晶パネルに入射させるように構成されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−39503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、バックライトに従来の光拡散シートを用いた場合、液晶パネルの輝度を上げると光源である冷陰極管のランプイメージが出てしまい表示品位が悪くなる。一方、ランプイメージが出ないようにすると、十分な輝度が得られずに表示画面が暗くなるという問題がある。
【0004】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、光源ユニットに配設したときに、光源の形状(ランプイメージ)が現れず、しかも高い輝度を示す光拡散シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光拡散シートは、第1樹脂で構成された海相と、前記第1樹脂と非相溶性の第2樹脂で構成された島相とを含み、表層領域及び中層領域を有する光拡散シートであって、前記表層領域において前記島相が特定方向に配向しており、断面において前記島相の配向方向と前記配向方向に直交する方向との間のアスペクト比が6〜30であり、前記中層領域が実質的に配向しておらず、断面における島相のアスペクト比が0.7〜3.3であることを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、表層領域において前記島相が特定方向に配向しており、断面において前記島相の配向方向と前記配向方向に直交する方向との間のアスペクト比が6〜30であり、前記中層領域が実質的に配向しておらず、断面における島相のアスペクト比が0.7〜3.3であるので、光源ユニットに配設したときに、光源の形状(ランプイメージ)が現れず、しかも高い輝度を示すことができる。
【0007】
本発明の光拡散シートにおいては、前記第1樹脂と第2樹脂との間の含有重量比が30/70〜70/30であることが好ましい。
【0008】
本発明の光拡散シートにおいては、前記光拡散シートの厚さにおける前記中層領域の厚さの割合が、20%〜80%であることが好ましい。
【0009】
本発明の光拡散シートにおいては、ヘーズ値が90以上であることが好ましい。
【0010】
本発明の光拡散シートにおいては、全光線透過率が80%以下であることが好ましい。
【0011】
本発明の光拡散シートにおいては、全透過光線のうち前記光拡散シートを直進して透過する成分が5%以下であることが好ましい。
【0012】
本発明の光拡散シートにおいては、厚さが0.05mm〜0.5mmであることが好ましい。
【0013】
本発明の光拡散シートにおいては、前記第1樹脂がポリオレフィン系樹脂であり、前記第2樹脂がポリカーボネート樹脂であることが好ましい。この場合において、前記ポリオレフィン樹脂がポリプロピレン樹脂であることが好ましい。
【0014】
本発明の液晶表示装置は、一対のガラス基板で液晶層を挟持してなる液晶パネルと、請求項1から請求項10のいずれかに記載の光拡散シートを有し、光源からの光を前記光拡散シートを透過して前記液晶パネルに入射させる光源ユニットと、を具備することを特徴とする。
【0015】
本発明の光拡散シートの製造方法は、第1樹脂及び前記第1樹脂と非相溶性の第2樹脂で構成されたシート本体を成形する工程と、前記シート本体に対して2軸延伸処理を施して、前記第1樹脂と前記第2樹脂との間で界面剥離させて、前記第1樹脂と前記第2樹脂との間に気孔を発生させる工程と、2軸延伸後のシート本体に対して、前記第1樹脂の融点以上前記第2樹脂の融点よりも低い温度で熱処理を施して、前記気孔を前記第1樹脂で埋める工程と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の光拡散シートは、第1樹脂で構成された海相と、前記第1樹脂と非相溶性の第2樹脂で構成された島相とを含み、表層領域及び中層領域を有する光拡散シートであって、前記表層領域において前記島相が特定方向に配向しており、断面において前記島相の配向方向と前記配向方向に直交する方向との間のアスペクト比が6〜30であり、前記中層領域が実質的に配向しておらず、断面における島相のアスペクト比が0.7〜3.3であるので、光源ユニットに配設したときに、光源の形状が現れず、しかも高い輝度を示すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る光拡散シートを示す図である。また、図2は、図1に示す光拡散シートをA方向から見た図である。
【0018】
図1に示す光拡散シート1は、表層領域11,13と、表層領域11,13の間の中層領域12とを有する。図2に示すように、表層領域11,13は、第1樹脂で構成された海相111と、第2樹脂で構成された島相112とを含み、中層領域12は、第1樹脂で構成された海相113と、第2樹脂で構成された島相114とを含む。また、表層領域11,13と中層領域12とには、気孔115が僅かな割合で存在するか全く存在しない。
【0019】
光拡散シート1の厚さは、光線透過率、工程での巻き取りの容易さ、シート自体の強度などを考慮すると、0.05mm〜0.5mmであることが好ましい。また、光拡散シート1の厚さにおける中層領域12の厚さの割合は、光拡散特性、得られる輝度などを考慮すると、20%〜80%であることが好ましい。
【0020】
なお、図1及び図2においては、表層領域11,13と中層領域12との間を明確に区画しているが、表層領域11,13と中層領域12との間には界面は存在しておらず、表層領域11,13と中層領域12との間には、表層領域11,13を構成する組織と、中層領域12を構成する組織とが混在する領域が存在する。
【0021】
表層領域11,13における島相112は特定の方向に配向している。この特定の方向とは、後述する延伸処理の縦延伸方向である。したがって、表層領域11,13における島相112は、その長手方向が縦延伸方向に沿うように延在している。また、表層領域11,13の断面において島相112の配向方向と、この配向方向に直交する方向(厚さ方向)との間の長さの比(アスペクト比)は6〜30である。なお、本明細書において、島相112が特定の方向に配向しているとは、すべての島相112が特定の方向に配向している場合を含むことはもちろん、一部の島相112が特定の方向以外の方向に沿って配向している場合も含むものとする。
【0022】
中層領域12には、表層領域11,13と異なり、特定の方向に実質的に配向していない島相114が存在する。また、中層領域12の断面における島相114の配向方向と、この配向方向に直交する方向(厚さ方向)との間の長さの比(アスペクト比)は0.7〜3.3である。ここで、中層領域12における島相114は、大部分が特定方向に配向していなければ良く、表層領域11,13の島相112が一部に含まれていても良い。また、表層領域11,13、中層領域12における気孔115は、後述する延伸処理において形成され、その後の熱処理により海相111,113で埋められるが、海相111,113により完全に埋めることができずに残存することがある。このような場合であっても、光拡散特性を発揮できる程度であれば表層領域11,13,中層領域12に気孔115が残存していても良い。
【0023】
第1樹脂と第2樹脂とは、実質的に非相溶性である組み合わせを選択する。このように実質的に非相溶性である樹脂の組み合わせにすることにより、海相111及び島相112の組織を構成することができる。また、海相111を構成する第1樹脂の融点は、島相112を構成する第2樹脂の融点よりも低くなるように設定する。ここで言う融点とは、樹脂が結晶性の場合は、結晶融点あるいは、溶融加工最低温度であり、樹脂が非晶性の場合は、ガラス転移点あるいは、溶融加工最低温度を示すものとする。
【0024】
第1樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。この中でポリプロピレン樹脂であることが好ましい。ここで、ポリプロピレン樹脂とは、プロピレンの単独重合体やプロピレンと共重合が可能なエチレンなどのモノマーとの共重合体などをいう。また、第2樹脂としては、ポリカーボネート樹脂であることが好ましい。ここで、ポリカーボネート樹脂とは、芳香族ポリカーボネート、直鎖状ポリカーボネート、分岐鎖状ポリカーボネートから単独で、又は組み合わせてなるものをいう。第1樹脂と第2樹脂との間の含有重量比は、海島構造の取りやすさなどを考慮して、30/70〜70/30であることが好ましい。
【0025】
本発明に係る光拡散シートは、光線透過率などを考慮すると、ヘーズ値が90以上であることが好ましい。また、本発明に係る光拡散シートは、全光線透過率が80%以下であることが好ましい。さらに、本発明に係る光拡散シートは、全透過光線のうち前記光拡散シートを直進して透過する成分が5%以下であることが好ましい。これらの特性により、この光拡散シートを光源ユニットに用い、その光源ユニットで表示パネルを照光する場合に、表示パネルの輝度を高め同時に拡散性をバランスよく得ることができる。
【0026】
次に、上記構成を有する光拡散シートの製造方法について説明する。
本発明に係る光拡散シートの製造方法においては、第1樹脂及び前記第1樹脂と非相溶性の第2樹脂で構成されたシート本体を成形する工程と、前記シート本体に対して2軸延伸処理を施して、前記第1樹脂と前記第2樹脂との間で界面剥離させて、前記第1樹脂と前記第2樹脂との間に気孔を発生させる工程と、2軸延伸後のシート本体に対して、前記第1樹脂の融点以上前記第2樹脂の融点よりも低い温度で熱処理を施して、前記気孔を前記第1樹脂で埋める工程と、を具備する。
【0027】
本発明に係る光拡散シートの製造は、例えば図3に示す製造装置により行われる。この製造装置は、反射シート製造ラインXと、拡散シート製造ラインYとから構成されている。反射シート製造ラインXは、樹脂を混合して押し出す押出機31と、押出機31の後段に配設され、押出機31で混合された材料をシート本体に成形する成膜機32と、成膜機32の後段に配設され、シート本体に縦延伸処理を施す縦延伸機33と、縦延伸機33の後段に配設され、縦延伸処理されたシート本体に横延伸処理を施す横延伸機34と、横延伸機34の後段に配設され、2軸延伸処理が施されたシート本体を巻き取る巻取機35とから主に構成されている。また、拡散シート製造ラインYは、2軸延伸処理後のシート本体に対して、シート本体が面方向の寸法変化がないように固定した状態で熱処理を施す熱処理装置36と、熱処理装置36の後段に配設され、熱処理後のシート本体を巻き取る巻取機37とから主に構成されている。
【0028】
押出機31においては、それぞれ乾燥した第1樹脂及び第2樹脂を溶融混合し、得られた混合材料を押し出して成膜機32側に送出する。押出機31では、シリンダーとスクリューとの間の隙間やスクリュー同士の隙間などを樹脂が通過するときに、スクリューの回転によるせん断力によって、通常の数mm程度の大きさのペレットから数μm程度の大きさの分散相にまで細かく分割される。このとき、押出機のスクリューの形状、シリンダー温度、スクリューの回転数などを適切に設定することにより、樹脂が分割される大きさの平均値や分布を調整することができる。
【0029】
押出機31においては、例えば、溶融混合された原料樹脂を先端に取り付けられたダイからシート状に押し出す。このときの樹脂の粘度、配合比、混練状態、ダイ壁から樹脂の受ける剪断応力、剪断速度の程度により表層部と中層部に異なるモルフォロジーが形成されるものと推定される。
【0030】
成膜機32は冷却ローラで構成されており、押出機31のダイから押し出された樹脂を冷却ローラで冷却固化させてシート本体に成形する。成形されたシート本体は、縦延伸機33に送られ、縦方向に延伸処理が施される。縦延伸機33においては、加熱ロールの周速を変えることにより、ロールとシート間の摩擦により縦方向の延伸を実現する。具体的には、シート本体を予熱した後にそのシート本体に延伸処理を施す。縦延伸処理されたシート本体は、連続して横延伸機34に送られ、横方向(縦方向に対して略直交する方向)に延伸処理が施される。横延伸機34においては、シート本体を予熱した後にそのシート本体に延伸処理を施す。このようにして、シート本体に2軸延伸処理を施すことにより、モルフォロジーの異なる表層領域及び中間層領域からなり、且つ界面剥離による気孔を有するシートを形成することができる。
【0031】
図3に示す工程においては、シート本体に縦方向の延伸処理を施した後に横方向の延伸処理を施す場合について説明しているが、本発明はこれに限定されず、シート本体に横方向の延伸処理を施した後に縦方向の延伸処理を施す方法、縦方向の延伸処理と横方向の延伸処理とを同時に行う方法、前記2軸延伸処理の後に縦方向及び/又は横方向の延伸処理を再度行う方法などを採用することができる。なお、2軸延伸処理の延伸倍率は縦方向(MD)、横方向(TD)各々1.5倍以上であって、かつ面積延伸倍率が3倍以上50倍以下である。好ましくはMD、TD各々2倍以上で、面積倍率が4倍以上30倍以下である。また、延伸処理においては、界面剥離による気孔を生成させるために、できるだけ低温で延伸を行う方が好ましい。
【0032】
2軸延伸処理後のシート本体は、その延伸方法にもよるが、延伸後に延伸温度近傍で熱収縮させると縦方向及び横方向のいずれかあるいは縦方向と横方向の両方向に大きく熱収縮する。このため、本発明においては、150℃/30分での熱収縮率が縦方向及び横方向のいずれの方向で15%以下であることが好ましい。この熱収縮率は好ましくは12%以下であり、特に好ましくは10%以下である。このため、2軸延伸処理後のシート本体に緩和熱処理を施すことが好ましい。この緩和熱処理においては、シート本体の熱収縮を抑えるために、例えば、シート本体の端部を拘束しながら熱処理を施す。
【0033】
なお、図3に示す装置においては、押出機31、成膜機32、縦延伸機33、横延伸機34及び巻取機35までシート本体をローラにより搬送して巻取り、熱処理装置36及び巻取機37までシート本体をローラにより搬送して巻取る構成としているが、本発明においては、すべての工程にわたってシート本体を連続してローラで搬送するように構成しても良く、各工程毎にシート本体を巻き取ってから次工程に送るように構成しても良い。
【0034】
ここで、上述したように、シート本体は熱収縮する性質を持つので、第1樹脂を溶融させる熱処理はシート本体の端部を拘束しながら無延伸で行う。したがって、この熱処理においては、シート本体の端部が拘束されており、面方向の寸法が維持されるので、熱収縮により厚さが薄くなる。また、熱処理は、延伸処理装置を用いて無延伸状態で行っても良い。
【0035】
熱処理の温度や時間などの条件は、第1樹脂の融点以上で第2樹脂の融点よりも低い温度という制限の下に、第1樹脂や第2樹脂の種類に応じて適宜設定することができる。例えば、第1樹脂がポリプロピレン樹脂であり、第2樹脂がポリカーボネート樹脂である場合には、熱処理は約160℃〜200℃、10分間〜30分間で行うことが好ましい。
【0036】
このような光拡散シートは、第1樹脂で構成された海相と、第1樹脂と非相溶性の第2樹脂で構成された島相とを含み、表層領域及び中層領域を有しており、表層領域において島相が特定方向に配向しており、中層領域の島相は特定方向に配向していない。このような構成においては、中層領域おける島相は特定方向に配向しておらず球状であるので、その形状からレンズ効果を中心に発揮し、主に集光、すなわち輝度向上に寄与していると考えられる。一方、表層領域における島相は特定方向に配向しており棒状であるので、その形状から、光源からの光を拡散させてランプイメージを除去していると考えられる。この光拡散シートは、輝度向上及びランプイメージの除去、すなわち集光性及び拡散性の二律背反の事象をバランスよく実現したものであるので、結果として、輝度を落とすことなく、光源のランプイメージを現すことなく、光源からの光を拡散することができる。
【0037】
上記構成を有する光拡散シートは、液晶表示装置の光源ユニットに配設される。図4は、本発明の実施の形態に係る光拡散シートを用いた液晶表示装置を示す図である。図4に示す液晶表示装置は、液晶パネル21と、この液晶パネル21に光を入射する光源ユニット22とから主に構成されている。液晶パネル21は、一対のガラス基板211,212と、このガラス基板211,212で挟持された液晶層213とから構成されている。また、光源ユニット22は、冷陰極管などの光源221と、光源221と液晶パネル21との間に配設された本発明に係る光拡散シート222とから構成されている。このような液晶表示装置においては、光源221からの光を光拡散シート222を透過して液晶パネル21に入射させるようになっている。
【0038】
この液晶表示装置は、本発明に係る光拡散シートを用いているので、十分な輝度を有する状態で、光源のランプイメージを現すことなく画面表示を行うことができる。なお、液晶パネル21において、通常使用されている偏光板保護フィルム、位相差フィルム、拡散板、配向膜、透明電極、カラーフィルタなどの各種光学素子については説明を省略する。
【0039】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
(実施例1)
メルトフローレート1.4のポリプロピレン樹脂(ノバテック、日本ポリプロ社製)55重量部と、メルトフローレート5.3のポリカーボネート樹脂(ユーピロン、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)45重量部とを、時間あたり8kgの速度で押出機にフィードして溶融混合し、100rpmで同方向に回転する2軸押出機に投入し、巻き取り速度0.2m/分、ダイ温度230℃で原反シートを巻き取った。この原反シートは厚さ1.5mmであった。
【0040】
次いで、得られた原反シートを、160℃に加熱したロール間隙に通してシート本体とし、押出方向に3倍に延伸させるようにロールの周速を調整してこのシート本体に対して縦方向延伸を施した。次いで、155℃に加熱されたチャック式テンターを用いて、押出方向と直角方向(横方向)に4倍に延伸されるようにチャック幅を調整してこのシート本体に対して横方向延伸を施した。これにより、シート本体に対して2軸延伸処理が施された。
【0041】
次いで、2軸延伸処理されたシート本体に対して、180℃に加熱されたチャック式テンターを用いて、入口と出口のチャック幅を同一にして、延伸されない状態かつ面内収縮のない状態で、20分間の熱処理を施して光拡散シート(実施例1)を得た。この光拡散シートを走査型電子顕微鏡(S−4700、日立製作所社製)で調べたところ、表層領域及び中層領域を含む3層構造を有していた。その顕微鏡写真をそれぞれ図5(表層領域)及び図6(中層領域)に示す。図5から分かるように、島相が特定方向に配向している。
【0042】
表層領域における島相の縦延伸方向の短径方向及び長径方向の粒子径分布を調べた。その結果をそれぞれ図7及び図8に示す。図7及び図8に示す粒子径分布から、島相の配向方向と配向方向に直交する方向との間のアスペクト比を求めると約5〜10であった。また、中層領域における縦延伸方向の粒子径分布を調べた。その結果を図9に示す。図9の一方(左)の棒グラフは、縦延伸方向の粒子径分布を見たもので、もう一方の棒グラフは、厚み方向の粒子径分布を示す。図9に示す粒子径分布から、島相の縦横の粒子径分布はほぼ一致しており、アスペクト比がほぼ1の球状分布であることが解った。
【0043】
また、この光拡散シートについて、D65光源を用いた日本電色工業製ヘーズメーターNDH2000によりヘーズ値を測定したところ、99.02であった。また、この光拡散シートについて、正面輝度測定とランプイメージの評価を行った。正面輝度及びランプイメージは、シャープ株式会社製液晶テレビLC26BD1のバックライトに光拡散シートを配設し、コニカミノルタ製二次元色彩輝度計CA−2000を用いて測定することにより評価した。その結果を図14に示す。さらに、この光拡散シートについて、日本電色工業製ヘーズメーターNDH2000により全光線透過率を測定したところ、69.31%であった。上述した製造条件及び評価結果を下記表1に示す。
【0044】
(比較例1)
メルトフローレート10.5のポリプロピレン樹脂(ノバテック、日本ポリプロ社製)を用いること以外は実施例1と同様にして原反シートを作製した。この原反シートを200℃に加熱した熱板の間に挟み、ゲージ圧80kg/cm2で加熱プレスして比較例1の光拡散シートを作製した。この光拡散シートを走査型電子顕微鏡で調べたところ、図10(表層領域)及び図11(中層領域)に示すように、全体にわたって粒状にポリカーボネートが分布した組織を有しており、表層領域では6〜30のアスペクト比を満たしていなかった。また3層構造を有していなかった。
【0045】
また、この光拡散シートについて、実施例1と同様にしてヘーズ値を測定したところ、98.57であった。また、この光拡散シートについて、正面輝度測定とランプイメージの評価を実施例1と同様にして行った。その結果を図14に併記する。また、この光拡散シートについて全光線透過率を測定したところ、80.16%であった。上述した製造条件及び評価結果を下記表1に併記する。
【0046】
(比較例2)
ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂を50重量部ずつの同量とし、時間あたりのフィード量を5kgにしたこと以外は実施例1と同様にして原反シートを作製した。この原反シートを200℃に加熱した熱板の間に挟み、ゲージ圧80kg/cm2で加熱プレスして比較例1の光拡散シートを作製した。この光拡散シートを走査型電子顕微鏡で調べたところ、図12(表層領域)及び図13(中層領域)に示すように、全体にわたって棒状にポリカーボネートが分布した組織を有しており、3層構造を有していなかった。
【0047】
また、この光拡散シートについて、実施例1と同様にしてヘーズ値を測定したところ、99.07であった。また、この光拡散シートについて、正面輝度測定とランプイメージの評価を実施例1と同様にして行った。その結果を図14に併記する。また、この光拡散シートについて全光線透過率を測定したところ、63.86%であった。上述した製造条件及び評価結果を下記表1に併記する。
【0048】
図14には、参考のために、光源(CCFL)のみの正面輝度及びランプイメージを併記した。図14から分かるように、実施例1の光拡散シートを用いた液晶テレビは、位置により輝度が急激に高くなる部分がなく、ランプイメージがない状態であり、また、全面にわたって約5500Cd/m2以上の輝度を示した。これは、光拡散シートが、特定の方向に配向した島相を持つ表層領域と、特定の方向に配向していない島相を持つ中層領域とを備えているので、輝度向上能とランプイメージが現れない程度の光拡散能とを発揮したものであると思われる。
【0049】
一方、比較例1の光拡散シートを用いた液晶テレビは、位置により輝度が急激に高くなる部分はないが、全面にわたって約5500Cd/m2以下の輝度であった。これは、光拡散シートが、特定の方向に配向していない島相を持つ領域のみで構成されているので、輝度向上能が発揮されていないからであると思われる。また、比較例2の光拡散シートを用いた液晶テレビは、輝度は比較的高いが、位置により輝度が急激に高くなる位置がある。この位置は光源の配置位置に対応しているので、ランプイメージが現れていると考えることができる。これは、光拡散シートが、特定の方向に配向した島相を持つ領域のみで構成されているので、ランプイメージが現れない程度の光拡散能が発揮されていないからであると思われる。
【0050】
(実施例2)
熱処理温度を185℃にすること以外は実施例1と同様にして光拡散シート(実施例2)を作製した。この光拡散シートを走査型電子顕微鏡で調べたところ、表層領域及び中層領域を含む3層構造を有していた。また、この光拡散シートについて、実施例1と同様にしてヘーズ値を測定したところ、99.02であった。また、この光拡散シートについて、正面輝度測定とランプイメージの評価を行ったところ、実施例1とほぼ同様の結果が得られた。また、この光拡散シートについて全光線透過率を測定したところ、74.46%であった。上述した製造条件及び評価結果を下記表1に併記する。
【0051】
(実施例3)
熱処理温度を190℃にすること以外は実施例1と同様にして光拡散シート(実施例3)を作製した。この光拡散シートを走査型電子顕微鏡で調べたところ、表層領域及び中層領域を含む3層構造を有していた。また、この光拡散シートについて、実施例1と同様にしてヘーズ値を測定したところ、98.99であった。また、この光拡散シートについて、正面輝度測定とランプイメージの評価を行ったところ、実施例1とほぼ同様の結果が得られた。また、この光拡散シートについて全光線透過率を測定したところ、74.39%であった。上述した製造条件及び評価結果を下記表1に併記する。
【0052】
(実施例4)
横方向の延伸倍率を3倍にすること以外は実施例3と同様にして光拡散シート(実施例4)を作製した。この光拡散シートを走査型電子顕微鏡で調べたところ、表層領域及び中層領域を含む3層構造を有していた。また、この光拡散シートについて、実施例1と同様にしてヘーズ値を測定したところ、99.07であった。また、この光拡散シートについて、正面輝度測定とランプイメージの評価を行ったところ、実施例1とほぼ同様の結果が得られた。また、この光拡散シートについて全光線透過率を測定したところ、67.44%であった。上述した製造条件及び評価結果を下記表1に併記する。
【0053】
このように、本発明の光拡散シートによれば、光源ユニットに配設したときに、光源の形状が現れず、しかも高い輝度を示すことができる。また、本発明の製造方法によれば、シート状態で一連の工程を経ることができるので連続生産性に優れる。また、シート状態での取り扱いができるので、打ち抜きや裁断のような後工程が容易であり、ロール出荷が可能であり、ハンドリングも容易となる。
【0054】
【表1】
【0055】
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態における寸法、材質などは例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。上記実施の形態においては、液晶テレビの光源ユニットに適用した場合について説明しているが、本発明は液晶テレビ以外のデバイスの光源ユニットに用いる場合などにも同様に適用することができる。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、液晶表示装置のような表示装置の光源ユニットに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態に係る光拡散シートを示す図である。
【図2】図1に示す光拡散シートをA方向から見た図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る光拡散シートの製造方法に用いる製造装置を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る光拡散シートを用いた液晶表示装置を示す図である。
【図5】実施例1の光拡散シートの表層領域の縦延伸方向の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】実施例1の光拡散シートの中層領域の縦延伸方向の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】実施例1の表層領域の縦延伸方向の粒子径分布(短径方向)を示す図である。
【図8】実施例1の表層領域の縦延伸方向の粒子径分布(長径方向)を示す図である。
【図9】実施例1の中層領域の縦延伸方向の粒子径分布を示す図である。
【図10】比較例1の光拡散シートの表層領域の縦延伸方向の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図11】比較例1の光拡散シートの中層領域の縦延伸方向の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図12】比較例2の光拡散シートの表層領域の縦延伸方向の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図13】比較例2の光拡散シートの中層領域の縦延伸方向の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図14】光拡散シートを配設した際の液晶表示装置の正面輝度とランプイメージを示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1,222 光拡散シート
11,13 表層領域
12 中層領域
21 液晶パネル
22 光源ユニット
111,113 海相
112,114 島相
115 気孔
211,212 ガラス基板
213 液晶層
221 光源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1樹脂で構成された海相と、前記第1樹脂と非相溶性の第2樹脂で構成された島相とを含み、表層領域及び中層領域を有する光拡散シートであって、前記表層領域において前記島相が特定方向に配向しており、断面において前記島相の配向方向と前記配向方向に直交する方向との間のアスペクト比が6〜30であり、前記中層領域が実質的に配向しておらず、断面における島相のアスペクト比が0.7〜3.3であることを特徴とする光拡散シート。
【請求項2】
前記第1樹脂と第2樹脂との間の含有重量比が30/70〜70/30であることを特徴とする請求項1記載の光拡散シート。
【請求項3】
前記光拡散シートの厚さにおける前記中層領域の厚さの割合が、20%〜80%であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の光拡散シート。
【請求項4】
ヘーズ値が90以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の光拡散シート。
【請求項5】
全光線透過率が80%以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の光拡散シート。
【請求項6】
全透過光線のうち前記光拡散シートを直進して透過する成分が5%以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光拡散シート。
【請求項7】
厚さが0.05mm〜0.5mmであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の光拡散シート。
【請求項8】
前記第1樹脂がポリオレフィン系樹脂であり、前記第2樹脂がポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の光拡散シート。
【請求項9】
前記ポリオレフィン樹脂がポリプロピレン樹脂であることを特徴とする請求項8記載の光拡散シート。
【請求項10】
一対のガラス基板で液晶層を挟持してなる液晶パネルと、請求項1から請求項9のいずれかに記載の光拡散シートを有し、光源からの光を前記光拡散シートを透過して前記液晶パネルに入射させる光源ユニットと、を具備することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項11】
第1樹脂及び前記第1樹脂と非相溶性の第2樹脂で構成されたシート本体を成形する工程と、前記シート本体に対して2軸延伸処理を施して、前記第1樹脂と前記第2樹脂との間で界面剥離させて、前記第1樹脂と前記第2樹脂との間に気孔を発生させる工程と、2軸延伸後のシート本体に対して、前記第1樹脂の融点以上前記第2樹脂の融点よりも低い温度で熱処理を施して、前記気孔を前記第1樹脂で埋める工程と、を具備することを特徴とする光拡散シートの製造方法。
【請求項1】
第1樹脂で構成された海相と、前記第1樹脂と非相溶性の第2樹脂で構成された島相とを含み、表層領域及び中層領域を有する光拡散シートであって、前記表層領域において前記島相が特定方向に配向しており、断面において前記島相の配向方向と前記配向方向に直交する方向との間のアスペクト比が6〜30であり、前記中層領域が実質的に配向しておらず、断面における島相のアスペクト比が0.7〜3.3であることを特徴とする光拡散シート。
【請求項2】
前記第1樹脂と第2樹脂との間の含有重量比が30/70〜70/30であることを特徴とする請求項1記載の光拡散シート。
【請求項3】
前記光拡散シートの厚さにおける前記中層領域の厚さの割合が、20%〜80%であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の光拡散シート。
【請求項4】
ヘーズ値が90以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の光拡散シート。
【請求項5】
全光線透過率が80%以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の光拡散シート。
【請求項6】
全透過光線のうち前記光拡散シートを直進して透過する成分が5%以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光拡散シート。
【請求項7】
厚さが0.05mm〜0.5mmであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の光拡散シート。
【請求項8】
前記第1樹脂がポリオレフィン系樹脂であり、前記第2樹脂がポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の光拡散シート。
【請求項9】
前記ポリオレフィン樹脂がポリプロピレン樹脂であることを特徴とする請求項8記載の光拡散シート。
【請求項10】
一対のガラス基板で液晶層を挟持してなる液晶パネルと、請求項1から請求項9のいずれかに記載の光拡散シートを有し、光源からの光を前記光拡散シートを透過して前記液晶パネルに入射させる光源ユニットと、を具備することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項11】
第1樹脂及び前記第1樹脂と非相溶性の第2樹脂で構成されたシート本体を成形する工程と、前記シート本体に対して2軸延伸処理を施して、前記第1樹脂と前記第2樹脂との間で界面剥離させて、前記第1樹脂と前記第2樹脂との間に気孔を発生させる工程と、2軸延伸後のシート本体に対して、前記第1樹脂の融点以上前記第2樹脂の融点よりも低い温度で熱処理を施して、前記気孔を前記第1樹脂で埋める工程と、を具備することを特徴とする光拡散シートの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−241743(P2008−241743A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−77700(P2007−77700)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】
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