説明

光拡散シート及び光源ユニット

【課題】ワイドアングル特性を有する光源を使用した場合においても、正面輝度むら及び斜め輝度むらを軽減させることができる光拡散シート及び光源ユニットを提供すること。
【解決手段】本発明の光拡散シート1は、シート状の基材11からなり、基材11の少なくとも一方の面上に基材11の光透過性を制御する光透過性制御部位12を有する光拡散シート1であって、所定の方向におけるシート面内の相対位置を横軸にとり、シート面内の相対位置での非透過成分率を縦軸にとった非透過成分率分布図において、非透過成分率のピーク値を示すピーク点と非透過成分率のボトム値を示すボトム点とがそれぞれ複数有り、隣り合うピーク点における非透過成分率とボトム点における非透過成分率との算術平均値が、隣り合うピーク点とボトム点との間に分布する全点における非透過成分率の算術平均値より小さいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置等の背面照明(back lighting)に用いられる光拡散シート及び光源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶表示装置は、携帯電話、PDA端末、デジタルカメラ、テレビ、パーソナルコンピュータ用ディスプレイ、ノートパソコンなどの幅広い分野で利用されている。液晶表示装置においては、例えば、液晶表示パネルの背後にバックライトユニットのような光源ユニットを配置し、この光源ユニットからの光を液晶表示パネルに供給することにより、画像を表示する。このような液晶表示装置に用いられる光源ユニットは、その表示画像を見やすくするために、液晶表示パネルに均一な光を供給するだけでなく、できるだけ多くの光を供給することが要求される。つまり、光源ユニットは、光拡散性に優れると共に高い輝度が得られるという光学特性が要求される。
【0003】
従来の光源ユニットは、例えば、液晶表示パネルに入射する光の分布をパネル全体にわたって均一にするために、導光板又は拡散板に凹凸形状を付与する方法が用いられていた。導光板又は拡散板に凹凸形状を付与する方法としては、金型を用いて樹脂を射出成形する方法や、ダイヤモンド刃によって凹凸構造をロールに加工し、それを用いて押出成形する方法がある。
【0004】
ここで、上述したような機械的な凹凸形成方法は多くの時間が掛かり、作製費用が高くなるという問題があった。また、上述したような凹凸形成方法では、数十μm程度の凹凸構造が限界であることや、凹凸形状の均一性を高めることが容易ではないという問題があった。これに対して、レーザービームのスペックルによって感光性媒体に凹凸形状を記録してパターン転写用の金型を製造し、この金型を用いて、直下型の大型液晶表示装置用の導光板表面に凹凸を形成したホログラム導光板や(特許文献1 図41参照)、表面に基材よりTgの高い硬質層を積層し、基材層を加熱収縮して凹凸を形成し、さらにパターン印刷層を備えた光拡散シートが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−23422号公報
【特許文献2】特開2010−128447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年は、液晶表示装置の薄型化が進み、光源と、該光源からの光を拡散させるための光学シート(上述のホログラム導光板、光拡散シート等)との間の距離が短くなっている。また、コスト低減及び消費電力低減のため、光源ユニットの光源数を削減する方法も用いられている。ここで、従来の光源と比較し、光源のピッチ(p)と光源−光学シート間距離(h)との比(p/h)が大きくなるほど、つまり、hが小さくなるほど(図23(a)のh’参照)、及び/又は、pが大きくなる(図23(b)のp’参照)ほど、バックライトユニットの輝度むらが顕著になる。
【0007】
ここで輝度むらとは、画面内において光源照度の強弱分布に由来する明暗が見えてしまう現象を指し、画面を正面から見たときの「正面輝度むら」と斜めから見たときの「斜め輝度むら」にわけることができる。正面輝度むら及び斜め輝度むらが発生すると、液晶表示装置としては好ましくない。上述の特許文献1に開示されているホログラム導光板では、十分に正面輝度むら及び斜め輝度むらを軽減させることができず、液晶表示装置の薄型化や、光源数の削減に対応できない。また、上述の特許文献2に開示されている光拡散シートでは、表面に基材よりTgの高い硬質層を積層し、基材層を加熱収縮して形成した凹凸層の設計自由度が低く、異なる設計の液晶表示装置に対して十分に正面輝度むら及び斜め輝度むらを低減させることができない。
【0008】
さらに近年では、LED上又はLEDの周囲に樹脂製のレンズを付与し、出光パターンを意図的に変化させた広角LEDが開発されている。レンズのない従来型LED(以下「Lambertian−LED」ともいう。)及び広角LEDの外観を図24((a)はLambertian−LED、(b)〜(d)は広角LED)に、出光パターンを図25((a)はLambertian−LED、(b)〜(d)は広角LED)に示す。
【0009】
図25(a)〜(d)より分かるように、Lambertian−LEDはLED直上における光の強度が高く、角度が大きくなるにつれてなだらかに強度が低下していく(図25(a)参照)。一方、広角LEDはレンズによってLED直上における光の強度が相対的に低くなっている(図25(b)〜(d)参照)。この出光パターンの差異により、バックライトユニット中において広角LEDのほうがLambertian−LEDよりも薄型化に有利である(図26参照)。しかしながら、広角LEDはレンズの設計によって様々な出光パターンを示すものがあり、その輝度むらを減少させるための光学シートに必要な設計指針は提案されていない。
【0010】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、ワイドアングル特性を有する光源を使用した場合においても、正面輝度むら及び斜め輝度むらを軽減させることができる光拡散シート及び光源ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の光拡散シートは、シート状の基材からなり、前記基材の少なくとも一方の面上に前記基材の光透過性を制御する部位を有する光拡散シートであって、所定の方向における前記面内の相対位置を横軸にとり、前記面内の相対位置での非透過成分率を縦軸にとった非透過成分率分布図において、前記非透過成分率のピーク値を示すピーク点と前記非透過成分率のボトム値を示すボトム点とがそれぞれ複数有り、隣り合う前記ピーク点における非透過成分率と前記ボトム点における非透過成分率との算術平均値が、前記隣り合う前記ピーク点と前記ボトム点との間に分布する全点における非透過成分率の算術平均値より小さいことを特徴とする。
【0012】
本発明の光拡散シートにおいては、前記非透過成分率分布図において、前記非透過成分率のピーク点と前記非透過成分率のボトム点とを交互に周期的に有し、1つの周期内において、非透過成分率の極大値を示す極大点が、少なくとも2点存在することが好ましい。
【0013】
本発明の光拡散シートにおいては、前記非透過成分率分布図において、前記非透過成分率のピーク点と前記非透過成分率のボトム点とを交互に周期的に有し、1つの周期内において、非透過成分率の停留値を示す停留点が、少なくとも2点存在することが好ましい。
【0014】
本発明の光拡散シートは、シート状の基材及び凹凸パターンが設けられた層からなり、前記基材の少なくとも一方の面上に前記基材の光透過性を制御する部位を有する光拡散シートであって、所定の方向における前記面内の相対位置を横軸にとり、前記面内の相対位置での非透過成分率を縦軸にとった非透過成分率分布図において、前記非透過成分率のピーク値を示すピーク点と前記非透過成分率のボトム値を示すボトム点とがそれぞれ複数有り、隣り合う前記ピーク点における非透過成分率と前記ボトム点における非透過成分率との算術平均値が、前記隣り合う前記ピーク点と前記ボトム点との間に分布する全点における非透過成分率の算術平均値より小さいことを特徴とする。
【0015】
本発明の光拡散シートにおいては、前記非透過成分率分布図において、前記非透過成分率のピーク点と前記非透過成分率のボトム点とを交互に周期的に有し、1つの周期内において、非透過成分率の極大値を示す極大点が、少なくとも2点存在することが好ましい。
【0016】
本発明の光拡散シートにおいては、前記非透過成分率分布図において、前記非透過成分率のピーク点と前記非透過成分率のボトム点とを交互に周期的に有し、1つの周期内において、非透過成分率の停留値を示す停留点が、少なくとも2点存在することが好ましい。
【0017】
本発明の光拡散シートにおいては、前記基材の光透過性を制御する部位は、光反射性インクで形成された不連続パターンよりなることが好ましい。
【0018】
本発明の光拡散シートは、シート状の基材と、前記基材の少なくとも一方の面上に凹凸パターンが設けられた層とを有する光拡散シートであって、所定の方向における前記面内の相対位置を横軸にとり、前記面内の相対位置での拡散角度を縦軸にとった拡散角度分布図において、前記拡散角度のピーク値を示すピーク点と前記拡散角度のボトム値を示すボトム点とがそれぞれ複数有り、隣り合う前記ピーク点における拡散角度と前記ボトム点における拡散角度との算術平均値が、前記隣り合う前記ピーク点と前記ボトム点との間に分布する全点における拡散角度の算術平均値より小さいことを特徴とする。
【0019】
本発明の光拡散シートにおいては、前記拡散角度分布図において、前記拡散角度のピーク点と前記拡散角度のボトム点とを交互に周期的に有し、1つの周期内において、拡散角度の極大値を示す極大点が、少なくとも2点存在することが好ましい。
【0020】
本発明の光拡散シートにおいては、前記拡散角度分布図において、前記拡散角度のピーク点と前記拡散角度のボトム点とを交互に周期的に有し、1つの周期内において、拡散角度の停留値を示す停留点が、少なくとも2点存在することが好ましい。
【0021】
本発明の光拡散シートにおいては、前記拡散角度は、前記凹凸パターンにより生じることが好ましい。
【0022】
本発明の光拡散シートにおいては、前記凹凸パターンが、干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成された不規則な凹凸パターンであることが好ましい。
【0023】
本発明の光源ユニットは、2つ以上の光源と、前記光源の上方に配設される上記光拡散シートと、を備えることを特徴とする。
【0024】
本発明の光源ユニットにおいては、前記光源は点状光源であることが好ましい。
【0025】
本発明の光源ユニットにおいては、前記光拡散シートの非透過成分率分布の周期と、前記光拡散シートの入光面における照度分布の周期とが略等しいことが好ましい。
【0026】
本発明の光源ユニットにおいては、前記光拡散シートの拡散角度分布の周期と、前記光拡散シートの入光面における照度分布の周期とが略等しいことが好ましい。
【0027】
本発明の光源ユニットにおいては、前記光拡散シートと前記光源との間に配置され、内部に拡散剤を含有する拡散板と、前記光源の下方に配置される反射シートと、を備えることが好ましい。
【0028】
本発明の光源ユニットにおいては、前記光拡散シートの上方に配置されるレンズシートを備えることが好ましい。
【0029】
本発明の光源ユニットにおいては、前記光拡散シートの上方に配置されるプリズムシートを備えることが好ましい。
【0030】
本発明の光源ユニットにおいては、前記光拡散シート上方に配置される反射型偏光シートを備えることが好ましい。
【0031】
本発明の液晶表示装置は、液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルに光を供給する上記光源ユニットと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、ワイドアングル特性を有する光源を使用した場合においても、正面輝度むら及び斜め輝度むらを軽減させることができる光拡散シート及び光源ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】(a)〜(c)は、本発明の第1の実施の形態に係る光拡散シートの構成例を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る光拡散シートの光源直上領域と光源間領域を示す平面模式図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る光拡散シートにおける非透過成分率分布図において、ピーク点、ボトム点、停留点、算術平均などの概念図である。
【図4】(a)〜(i)は、本発明の第1の実施の形態に係る光拡散シートの非透過成分率のシート面内の相対位置に対する分布を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る光拡散シートの高非透過成分率領域及び低非透過成分率領域の説明図である。
【図6】(a)、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る光拡散シートにおけるドット密度の一例を示す図である。
【図7】(a)〜(d)は、本発明の第2の実施の形態に係る光拡散シートの構成例を示す模式図である。
【図8】(a)、(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る光拡散シートにおける拡散角度の定義を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る光拡散シートにおける拡散角度分布図において、ピーク点、ボトム点、停留点、算術平均などの概念図である。
【図10】(a)〜(i)は、本発明の第3の実施の形態に係る光拡散シートの拡散角度のシート面内の相対位置に対する分布を示す図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る光拡散シートの高拡散角度領域と低拡散角度領域の説明図である。
【図12】(a)〜(c)は、本発明の第3の実施の形態に係る光拡散シートにおける構成例を示す図である。
【図13】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る光源ユニットの構成を示す図である。
【図14】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る光源ユニットの模式的な斜視図である。
【図15】(a)は、本発明の実施の形態に係る光源ユニットにおける光源位置及び非透過成分率の分布周期を示す図であり、(b)は、本発明の実施の形態に係る光源ユニットにおける光源位置及び拡散角度の分布周期を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る光源ユニットのLED光源の配置パターンを示す図である。
【図17】本発明の実施の形態に係る光拡散シートの非透過成分率又は拡散角度の分布パターンを示す図である。
【図18】(a)〜(c)は、本発明の実施例における光拡散シートの非透過成分率及び拡散角度と光源距離との関係を示す図である。
【図19】(a)〜(f)は、本発明の実施の形態に係る光源ユニットの他の構成例を示す図である。
【図20】本発明の実施例及び比較例に用いたLED光源の配置パターンを示す図である。
【図21】(a)〜(c)は、本発明の実施例及び比較例における光拡散シートの構成を示す図である。
【図22】本発明の比較例における光拡散シートの非透過成分率と光源距離の関係を示す図である。
【図23】(a)、(b)は、光源ユニットの配置を示す断面模式図である。
【図24】(a)〜(d)は、光源ユニットにおけるLED光源の外観を示す写真である。
【図25】(a)〜(d)は、光源ユニットにおけるLED光源の出光パターンを示す図である。
【図26】(a)、(b)は、光源ユニットの配置を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る光拡散シートは、シート状の基材からなり、基材の少なくとも一方の面上に基材の光透過性を制御する部位を有する光拡散シートである。本実施の形態に係る光拡散シートは、所定の方向における基材面内の相対位置を横軸にとり、基材面内の相対位置での非透過成分率を縦軸にとった非透過成分率分布図において、非透過成分率のピーク値を示すピーク点と非透過成分率のボトム値を示すボトム点とがそれぞれ複数有り、隣り合うピーク点における非透過成分率とボトム点における非透過成分率との算術平均値が、隣り合うピーク点とボトム点との間に分布する全点における非透過成分率の算術平均値より小さいものである。本実施の形態に係る光拡散シートを光源の上方に配設する場合、光拡散シートの非透過成分率の周期と、光源直上領域及び光源間領域からなる投影領域周期とを略一致させることが好ましい。これにより、正面輝度むら及び斜め輝度むらを低減することができる。
【0036】
本発明において、「非透過成分率」とは、シート面内に光源からの光が入射したとき、シートから透過する成分以外の成分(例えば、反射成分、吸収成分、散乱成分)の総和を表し、次のように定義する。まず、下記関係式(1)により、波長550nmにおける入射光強度と透過光強度との比の百分率を求め、透過成分率を算出後、下記関係式(2)により非透過成分率を算出する。
透過成分率(%)=(550nmにおける透過光強度)/(550nmにおける入射光強度)×100…式(1)
非透過成分率(%)=100−透過成分率…式(2)
【0037】
本発明に係る光拡散シートにおける非透過成分率は、例えば、紫外可視分光光度計(島津製作所社製、MPC−2200)を用いて、光源側に光拡散シートの基材面が向くようにセットし、透過波長550nmにおける入射光強度及び透過光強度を検出し、上記関係式(1)及び上記関係式(2)によって算出することにより求めることができる。
【0038】
次に、図1(a)〜図1(c)を参照して本実施の形態に係る光拡散シートの構成例について説明する。図1(a)〜図1(c)は、本実施の形態に係る光拡散シートの構成例を示す模式図である。
【0039】
図1(a)〜図1(c)に示すように、本実施の形態に係る光拡散シート1は、基材11と、この基材11の少なくとも一方の面上に設けられ、基材11の光透過性を制御する部位12(以下、「光透過性制御部位」という)とを有する。光透過性制御部位12は、基材11の一方の面上に設けてもよく(図1(a)参照)、基材11の他方の面上に設けてもよく(図1(b)参照)、基材11の両方の面上に複数設けてもよい(図1(c)参照)。光透過性制御部位12の密度が相対的に高い領域は、非透過成分率が高くなる高非透過成分率領域A1となり、光透過性制御部位12の密度が相対的に低い領域は、低非透過成分率が低くなる低非透過成分率領域A2となる。本実施の形態に係る光拡散シート1においては、光源の投影領域に応じて光透過性制御部位12を設け、この光透過性制御部位12によって光拡散シート1のシート面内の所望の領域の非透過成分率を制御することにより、透過光が適度に拡散されて光拡散シート1を用いた光源ユニットの正面輝度むら及び斜め輝度むらを軽減させることができる。
【0040】
次に、図2を参照して本実施の形態に係る光拡散シートにおける光源の投影領域(以下、「光源直上領域」とする)及び光源間の投影領域(以下、「光源間領域」とする)について説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る光拡散シートの光源直上領域と光源間領域を模式的に示した平面図である。なお、図2においては、光源としてのLED14上に光拡散シート1を配置した例を示している。
【0041】
図2に示すように、点状光源としてのLED14を用いた場合、LED14の外周縁近傍の平面視円形形状の領域が光源直上領域A3となり、この光源直上領域A3の外側の領域が光源間領域A4となる。なお、図2では、光拡散シート1面内全体の領域を光源直上領域A3と、光源間領域A4との2つに分割している例を示しているが、光源直上領域A3、光源間領域A4以外の領域を設けるように分割してもよい。また、光源間領域A4は、光源直上領域A3に隣接していなくてもよい。
【0042】
図3は、本実施の形態に係る光拡散シートにおける非透過成分率の分布を示す図(以下「非透過成分率分布図」という)である。図3に示す非透過成分率分布図においては、シート面内の所定の方向におけるシート面内の相対位置を横軸にとり、シート面内の相対位置での非透過成分率を縦軸にとっている。
【0043】
本実施の形態に係る光拡散シートにおいては、非透過成分率のピーク点と非透過成分率のボトム点とを複数有する。ピーク値とは、非透過成分率分布図の1周期の中における非透過成分率の最大値をいう。また、シート面内において、非透過成分率がピーク値を示す位置がピーク点となる。ボトム値とは、非透過成分率分布図の1周期の中における非透過成分率の最小値をいう。また、シート面内において、非透過成分率がボトム値を示す位置がボトム点となる。
【0044】
本実施の形態に係る光拡散シートにおいては、このような非透過成分率分布図において、隣り合うピーク点における非透過成分率とボトム点における非透過成分率との算術平均値が、隣り合うピーク点とボトム点との間に分布する全点における非透過成分率の算術平均値より小さい。ここで述べる「全点」とは、測定点の全てを意味するものである。
【0045】
隣り合うピーク点とボトム点との間に分布する全点における非透過成分率とは、図3に示す破線区間D1の部分に存在する非透過成分率をいうものとする。すなわち、ピーク点又はボトム点が複数存在する場合、隣り合うボトム点に対応する位置とピーク点に対応する位置との間の区間内に存在する非透過成分率をいうものとする。
【0046】
また、隣り合うピーク点における非透過成分率とボトム点における非透過成分率との算術平均値が、隣り合うピーク点とボトム点との間に分布する全点における非透過成分率の算術平均値より小さい状態とは、例えば、ピーク点とボトム点とを結ぶ仮想線L0よりも非透過成分率分布曲線が上にある領域における該非透過成分率分布曲線と仮想線L0との間の領域(図3ではT1及びT2の和)が、非透過成分率分布曲線が下にある領域における該非透過成分率分布曲線と仮想線L0との間の領域(図3ではT3)よりも大きい状態である。
【0047】
光拡散シート上を光源直上領域から光源間領域へ推移する場合、光源直上領域から光源間領域に向かうにつれてその相対位置に対する入光角度は直線的に大きくなっていく。光源の出光パターンや光源の配置によっては、隣又はその隣の光源からの光が入ってくるため、光源直上領域及び光源間領域の光が大きくなっていく。これを考慮すると、光源直上領域から光源間領域へ推移するにつれて透過すべき光の量は直線的ではなく、それ以上に大きくなるカーブを描く。つまり、隣り合うピーク点における非透過成分率とボトム点における非透過成分率との算術平均値が、隣り合うピーク点とボトム点との間に分布する全点における非透過成分率の算術平均値より小さい光拡散シートであれば、透過すべき光に合わせて輝度ムラを低減することが可能となる。
【0048】
本実施の形態に係る光拡散シートにおいては、シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の非透過成分率が、シート面内の所定の方向に沿って非透過成分率のピーク点とボトム点とを交互に周期的に有するものであることが好ましい。「周期的に」変化するとは、繰り返されたパターン同士を比較して、同じ繰り返しに相当するピーク値及びピーク値を与える周期の開始点からの変位、並びに、ボトム値及びボトム値を与える周期の開始点からの変位が、それぞれ、全繰り返しパターンの平均値の±15%以内(好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内)の範囲内にあれば、周期的に変化しているものとする。上記の周期性を示す方向は、シート面内に少なくとも一つあれば良く、シート面について非透過成分率の分布を作成することにより特定することができる。本発明においては、繰り返された複数のピーク値の非透過成分率は、測定された全てのピーク値の非透過成分率の差が3%以内となることが好ましく、2%以内がより好ましく、1%以内であることが最も好ましい。ボトム値についても同様である。
【0049】
また、本実施の形態に係る光拡散シートにおいては、図3に示すように、非透過成分率分布曲線が、非透過成分率分布の1周期内において、ピーク点とボトム点との間に停留点を有するように変化してもよい(図3においては、1周期内にピーク点が1つ、ボトム点が1つ、停留点が2つの例を示している。図3にはボトム点が2個示されているが、1周期ではボトム点は1つと数える)。停留点とは、非透過成分率分布曲線の傾きが零になる点であって、後述する非透過成分率が極大値となる極大点及び極小値となる極小点でもない位置をいう。
【0050】
さらに、本実施の形態に係る光拡散シートにおいては、非透過成分率の変化は、隣り合うピーク点における非透過成分率とボトム点における非透過成分率との算術平均値が、隣り合うピーク点とボトム点との間に分布する全点における非透過成分率の算術平均値より小さければ、厳密に直線状、曲線状、階段状でなくてもよく、非透過成分率の測定バラツキ等により、直線状、曲線状、階段状から若干はずれた形状や、直線と曲線の混合形状であってもよい。
【0051】
次に、図4(a)〜図4(i)を参照して、非透過成分率分布曲線の変化について詳細に説明する。図4(a)〜図4(i)に、非透過成分率が直線状、曲線状、直線と曲線の混合形状に変化している光拡散シートの非透過成分率のシート面内の相対位置に対する分布の例を示す。図4(a)〜図4(i)に示すように、本実施の形態に係る光拡散シートにおいては、1周期内において、非透過成分率分布曲線が、複数の極大点及び複数の極小点を含むものであってもよい。ここで、「極大点」とは、1周期内のピーク点とボトム点との間において、非透過成分率分布曲線の傾きが正から負へ変化する位置であり、「極小値」とは、非透過成分率分布曲線の傾きが負から正へ変化する点である。1周期内に存在する極大値の中の最大値となるものが上述した「ピーク値」であり、極小値の最小値が上述した「ボトム値」となる。また、極大値及び極小値は、1周期内に同じ大きさの極大値及び極小値を複数有していてもよく、例えば、同一強度のピーク値を複数有していてもよい。
【0052】
図4(a)〜図4(c)には、非透過成分率分布の一周期内に1つのピーク点Pと1つのボトム点Bとを有する例を示している。また、図4(d)に示す例においては、非透過成分率の一周期内に1つのピーク点P、2つのボトム点B及び1つの極大点P1を有する例を示している。図4(e)に示す例においては、非透過成分率の一周期内に1つのピーク点P、1つのボトム点B及び2つの停留点Sを有する例を示している。さらに、図4(f)、(g)に示す例においては、非透過成分率の一周期内に1つのピーク点P、1つのボトム点B、2つの極大点P1及び2つの極小点P2を有する例を示している。また、図4(h)に示す例においては、非透過成分率の一周期内に2つのピーク点P、1つのボトム点B、1つの極大点P1、2つの極小点P2を有する例を示している。さらに、図4(i)に示す例においては、非透過成分率の一周期内に1つのボトム点B、2つのピーク点P、及び1つの極小値P2を有する例を示している。
【0053】
シート面内の各領域における非透過成分率の分布としては、高非透過成分率領域が光源直上となるように配置してもよく、低非透過成分率領域が光源直上となるように配置してもよい。また、光拡散シートは、高非透過成分率領域と低非透過成分領域との間の非透過成分率がなめらかに変化することが好ましい。また、光拡散シートは、非透過成分率のボトム値を有し、ボトム値を含む低非透過成分率領域における非透過成分率分布が、ボトム値を極小値とする下に凸の曲線状であるものが輝度むら低減の観点から好ましい(図4(c)、(e)、(g)〜(i)参照)。
【0054】
ここで、高非透過成分率領域とは、ピーク値の最大値とボトム値の最小値の算術平均値より大きい非透過成分率領域とし、低非透過成分率領域とは、ピーク値の最大値とボトム値の最小値の算術平均値より小さい非透過成分率領域とする。本発明において、ピーク値とボトム値との算術平均値は、上記定義に基づく非透過成分率の分布を用いて算出するものとする。なお、一周期の中で、ピーク値を示すピーク点、ボトム値を示すボトム点は1つとは限らず、同一の値が複数存在していてもよい(図4(h)、(i)参照)。
【0055】
図4(e)〜(i)に示す非透過成分率分布においては、1つの周期Cの中に非透過成分率が極大値を示す極大点又は停留値を示す停留点がピーク点を含んで2個又は3個存在しているが、このようなパターンは光源が広角LEDである場合、特に効果的である。LEDの出光パターンに由来する照度分布に合わせてこれらを選択する事が可能であり、例えば図25(b)で示す出光パターンを有する広角LEDに対しては図4(f)に示すパターン、図25(c)で示す出光パターンを有する広角LEDに対しては図4(g)、(h)に示すパターン、図25(d)で示す出光パターンを有する広角LEDに対しては図4(i)に示すパターンの分布が正面輝度むら及び斜め輝度むら抑制という観点から特に効果的である。
【0056】
光源としてLambertian−LEDを用いた光源ユニットにおいては非透過成分率分布曲線の極大点が1周期あたり1個である光拡散シートが好ましいことが多いが、広角LEDを用いた光源ユニットにおいては非透過成分率分布曲線の極大点又は停留点が1周期あたり2個又は3個存在する光拡散シートが好ましいことが多く、また1周期中において左右対称であることが好ましい。
【0057】
次に、図5を参照して本実施の形態に係る光拡散シートにおける高非透過成分率領域及び低非透過成分率領域の配置例について説明する。図5は、本実施の形態に係る光拡散シートの高非透過成分率領域及び低非透過成分率領域の説明図である。図5においては、光拡散シート1面内において、円形形状の高非透過成分率領域A1が格子状に所定の周期Cで設けられ、高非透過成分率領域A1の間に低非透過率成分率領域A2が存在する。光拡散シート1面内の非透過成分率は、各高非透過成分率領域A1の中心点P1近傍でピーク値となり、各低非透過成分率領域A2内でボトム値となる。すなわち、図5に示す光拡散シートにおいては、高非透過成分率領域A1と低非透過成分率領域A2とが、光拡散シート1面内のx軸方向及びy軸方向において周期的に存在する。図5に示す例においても光拡散シート1のx軸方向又はy軸方向の断面においては図4の如くに非透過成分率が推移している。このようなパターンは点光源に対して用いることが好適であるが、線光源に対して用いてもよい。
【0058】
光拡散シート1の基材11としては、樹脂、ガラス等の材料からなる光透過性の基材であればよく、特に基材単体での非透過成分率が25%以下のものが好ましく用いられる。基材11の厚さは特に限定されないが、通常、50μm〜500μmの範囲内である。樹脂材料からなる基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のオリゴマー及び/又はアクリレート系のモノマー等からなる電離放射線硬化性樹脂を紫外線又は電子線等の電磁放射線で硬化させた樹脂、等で構成された透明性基材を好ましく挙げることができる。また、ガラスからなる基材としては、ソーダ硝子、硼珪酸硝子等が用いられる。
【0059】
光拡散シート1の光透過性制御部位12は、例えば、光反射性材料をその基材11の透過性を制御する部位の全面又は部分的に塗布することで構成することができる。そのような光反射性材料としては、例えば塗料や金属ペーストなどの光反射性インク、シリコンビーズ、アクリルビーズなどの光拡散剤、蛍光増白剤などの光吸収剤、表面凹凸形状、有機/無機フィラーなどがあげられ、光透過性制御部位12における光反射性材料の占める面積や厚み、密度などによって、透過率、反射率をコントロールすることができる。これらの中でも、透過率と反射率を容易にコントロールでき、大面積化が可能であるという観点から光反射性インクが好ましく、中でも反射率が高く吸収率が少ないという観点から白色インクが最も好ましい。また、塗布方法としては、白色インク硬化物のパターンを自由に形成できるため、印刷法が好ましい。
【0060】
ここで、白色インク硬化物とは、白色インク組成物を印刷硬化させたものを意味し、白色インク組成物には、溶剤、白色顔料、分散剤、及び対象物表面への固着剤としての樹脂が基本成分として含まれる。白色インク組成物における白色顔料としては、具体的には、酸化チタン(TiO、チタンホワイト)、炭酸カルシウム、タルク、クレー、ケイ酸アルミニウム、塩基性炭酸鉛(2PbCOPb(OH)、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、ジンクホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO、チタンストロンチウムホワイト)、硫酸バリウムなどが単独又は混合系で使用できる。特に、酸化チタンは、他の無機白色顔料と比べると比重が小さいため分散安定性があり、屈折率が大きく光学散乱性に優れ、化学的、物理的にも安定である。このため、顔料としての隠蔽力や光学散乱性が大きいので、本発明に使用される無機白色顔料としては酸化チタンを主成分として用いるのが好ましい。拡散光の色目を調整する目的で、上記白色顔料を混合することも可能である。白色顔料の混合率は、白色インク組成物全体の30質量%〜60質量%とするのが好ましい。酸化チタン以外の白色顔料は、必要により分散補助等の目的で顔料全体の3割程度までの量で使用するのが一般的である。
【0061】
白色インク組成物における樹脂としては、例えば、ケトン樹脂、スルホアミド樹脂、マレイン酸樹脂、エステルガム、キシレン樹脂、アルキド樹脂、ロジン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、セルロース樹脂、ビニル樹脂、フェノール樹脂、エステル樹脂などが使用できるが、中でもアクリル系樹脂が好適に使用できる。
【0062】
白色インク組成物における有機溶剤は、樹脂の溶解、粘度の調整などを目的として使用するものでありトルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどのシクロパラフィン系溶剤などが単独又は混合物の形で使用できる。有機溶剤の使用量は、白色インク組成物全体の30質量%〜60質量%程度である。
【0063】
また、白色インク組成物中に光学効果をもつ光学剤を含有してもよい。光学剤は光線を拡散させる性質を有する粒子であり、無機フィラーと有機フィラーに大別される。無機フィラーとしては、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化バリウム、マグネシウムシリケート、又はこれらの混合物を用いることができる。有機フィラーとしては、アクリル、アクリロニトリル、無黄変ウレタン、スチレンなどを用いることができる。印刷インクによる膨潤性の低さからは無機フィラーが好ましく、有機フィラーの中ではウレタン系フィラーが好ましい。
【0064】
光学剤の配合量は、白色インク組成物中の樹脂100質量部に対して10質量部以上80質量部以下が好ましく、20質量部以上60質量部以下が特に好ましい。これは、光学剤の配合量が10質量部以上であると、輝度均一効果が十分に発現され、逆に、光学剤の配合量が80質量部以下であると、光調整パターンを形成する樹脂組成物の塗工が容易となる。
【0065】
基材11の透過性制御部位12に印刷法で光反射性の材料を塗布する場合、パターン印刷部の形状については特に制限されない。例えば、円形状、三角形状、四角形状、楕円形状などのドットや、帯状などが挙げられる。パターン形成においては、汎用的であることから、円形状のドットが好ましい。この形状が円形状のドットである場合、その直径は5μm〜300μmであることが好ましい。
【0066】
また、印刷方法については、従来公知の印刷方法であればよく、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、並びに熱転写リボンを用いた熱溶融印刷、及び熱昇華印刷などのいずれの印刷方法でもよい。中でもオフセット印刷は網点の鮮明な印刷が可能で、さらに版が直接シートに触れず胴の磨耗が少ないため、大量印刷に適しているため、生産効率の面ではよい。
【0067】
また、印刷インクは、印刷に使用可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、蒸発乾燥型インク、酸化重合型インク、加熱硬化型インク、2液反応型インク、紫外線硬化型インク、熱溶融型インク、熱昇華型インク等が挙げられる。中でも、フィルム印刷に適する紫外線硬化型インクが好ましい。なお、光学効果向上のためには、印刷インクは白色あるいは、灰色が好ましい。また、透明インク中に、無機フィラーや有機フィラーを添加して拡散効果を向上することもできる。
【0068】
非透過成分率の分布は、光反射性インク硬化物で形成されたドットからなるパターンにおける、ドット密度とドット濃度の分布により生じさせることができる。
【0069】
光反射性インク硬化物のドット密度とは、下記関係式(3)に示すように光反射性インク硬化物と基材とが接触している部分を基材平面に対して法線方向から観察した際の面積(以下「インク面積」という。)を、観察した単位面積で除した値の百分率を指す。インク面積は、例えば、キーエンス社製超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK−9500)や光学顕微鏡で測定することができる。ドット密度が大きくなると、その部位の反射率は増加し、透過率は減少する。
ドット密度(%)=(インク面積)/(観察した単位面積)×100…式(3)
【0070】
光反射性インク硬化物のドット濃度とは、任意の面上におけるインク濃度(インク硬化物における光反射成分の割合)と厚みによって支配される。この場合、インク組成物中における光反射成分の濃度が予め分かっているので、インクの種類を変更する毎にその濃度を把握することができる。ドットの厚みは、例えば、超深度カラー3D形状測定顕微鏡(キーエンス社製、VK−9500)で測定することができる。ここでドット厚みとは、例えばインクが水含有性インクや溶剤含有性インクの場合、水や溶剤などの溶媒成分が揮発した後のドット厚みを表す。ドット濃度が大きくなると、その部位の反射率は増加し、透過率は減少する。
【0071】
非透過成分率の分布は、光反射性インク硬化物のドット濃度、すなわち「ドット厚み」と「インク濃度」を一定にし、ドット密度を変化させて形成することが、光透過率の分布を制御しやすいという観点で好ましい。図6は、本実施の形態に係る光拡散シートにおけるドット密度の一例を示す図である。光拡散シート1のドット密度を変化させるにあたっては、ドット間のピッチPを一定にして、ドット密度の低下と共に、各光反射性インク硬化物15のドット面積を小さくしてもよい(図6(a)参照)。また、各光反射性インク硬化物15のドット面積を一定にして、ドット密度の低下と共に、各光反射性インク硬化物15のピッチPを大きくしてもよい(図6(b)参照)。
【0072】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係る光拡散シートについて説明する。
本発明の第2の実施の形態に係る光拡散シートは、シート状の基材と凹凸パターンが設けられた層からなり、基材の少なくとも一方の面上に基材の光透過性を制御する部位を有する光拡散シートである。本実施の形態に係る光拡散シートは、方向におけるシート面内の相対位置を横軸にとり、シート面内の相対位置での非透過成分率を縦軸にとった非透過成分率分布図において、非透過成分率のピーク値を示すピーク点と非透過成分率のボトム値を示すボトム点とがそれぞれ複数有り、隣り合うピーク点における非透過成分率とボトム点における非透過成分率との算術平均値が、隣り合うピーク点とボトム点との間に分布する全点における非透過成分率の算術平均値より小さいものである。この光拡散シートを光源の上方に配設する場合、光拡散シートの非透過成分率の周期と、光源直上領域及び光源間領域からなる投影領域周期とを略一致させることが好ましい。これにより、正面輝度むら及び斜め輝度むらを低減することができる。
【0073】
凹凸パターンとは、例えば、表面に多数の突起部が設けられた構造である。突起部の形状は、略円錐状、略球状、略楕円体状、略レンチキュラーレンズ状、略放物面状のいずれでもよく、各突起部は、規則的に配列していても、不規則に配列していてもよい。また、突起部間は連続的な曲面でつながっていてもよい。また、不規則な凹凸が連続的な曲面でつながっている擬似ランダム構造も、好ましく用いることができる。この擬似ランダム構造としては、非平面スペックルによって特徴付けられた微細な3次元構造であることが好ましい。
【0074】
非平面スペックルによって特徴付けられた3次元構造は、機械加工では困難であった10μm以下の微細な凹凸構造の形成に適している。特に、非平面スペックルを用いて凹凸を形成する方法は、光拡散シート上の領域に応じて、拡散角度(非透過成分率)を変えるような場合に適した製法である。この非平面スペックルによる凹凸構造の製造方法については、後述の第3の実施の形態において詳しく説明する。
【0075】
また、マイクロレンズのような等方的な形状や、レンチキュラーレンズのような異方的な形状も容易に形成することができる。この凹凸構造は、モアレ抑制などの観点から、高さ及びピッチが不規則であることが好ましい。
【0076】
このような凹凸形状を有する層が光拡散シート内に存在すると、光拡散シートに入射してきた光を拡散することが可能となる。本実施の形態に係る光拡散シートは、シート面内に上記のような光を拡散する光学的機能を示す部分を有するが、光学的機能を有する必要のない部分、例えばシート周辺部など、光拡散性を要求されない部分においては、光拡散シート表面が平滑になっている部分が存在していても良い。
【0077】
次に、図7(a)〜(d)を参照して本発明の第2の実施の形態に係る光拡散シートの構成例について説明する。図7(a)〜(d)は、本発明の第2の実施の形態に係る光拡散シートにおける構成例を示す模式図である。
【0078】
図7(a)〜図7(d)に示すように、本実施の形態に係る光拡散シート2は、基材21と、基材21の少なくとも一方の面上に設けられ、凹凸パターンが設けられた凹凸パターン層22と、基材21の少なくとも一方の面上に設けられ、基材21の光透過性を制御する光透過性制御部位23とを備える。図7(a)、(b)に示す例は、基材21の一方の面上に光透過性制御部位23を設けた例である。光透過性制御部位23は、基材21と凹凸パターン層22との間に設けてもよく(図7(a)参照)、基材21の他方の面上に設けてもよい(図7(b)参照)。図7(c)、(d)に示す例は、基材21の両方の面上に光透過性制御部位23を設けた例を示している。この場合においては、光透過性制御部位23は、基材21と基材21の一方の面側の凹凸パターン層22との間に設けてもよく(図7(c)参照)、基材21と基材21の両方の面側の凹凸パターン層22との間に設けてもよい(図7(d)参照)。
【0079】
図7(a)〜(d)に示した光拡散シート2は、例えば、以下のようにして製造される。図7(a)に示す光拡散シート2は、基材21上に光反射性インクを印刷して基材21の一方の主面上に光透過性制御部位23を設け、その上に凹凸パターン層22を設けることにより製造される。また、図7(b)に示す光拡散シート2は、基材21の一方の主面上に凹凸パターン層22を設け、基材21の他方の主面上に光反射性インクを印刷して光透過性制御部位23を設けることにより製造される。図7(c)に示す光拡散シート2は、基材21上の両面にそれぞれ光反射性インクを印刷して光透過性制御部位23を設け、基材21の一方の主面上の光透過性制御部位23の一方の表面上に凹凸パターン層22を設けることにより、製造することができる。また、図7(d)に示す光拡散シート2は、基材21上の両主面にそれぞれ光反射性インクを印刷して光透過性制御部位23を設け、基材21の両主面上の光透過性制御部位23のそれぞれの表面上に凹凸パターン層22を設けることにより、製造することができる。これらの中でも、図7(a)、(b)で示したような構成のものが、輝度の低下を最小限に抑えつつ輝度むらを低減できるという観点から好ましい。なお、本実施の形態に係る光拡散シートにおいては、凹凸パターン層22と光透過性制御部位23とを組み合わせることにより、任意に高非透過成分率領域A1と低非透過成分率領域A2とを設けることができる。
【0080】
図7(a)のような光拡散シート2の構成の場合、凹凸構造(凹凸パターン層22)がある面と反対側の面は、平滑面、凹凸面、マット面などであってもよい。輝度向上、及び輝度ムラ軽減の観点から、凹凸構造がある面と反対側の面は、平滑面となっていることが好ましい。なお、一般に光拡散シートを積層する場合等に、傷つき防止のため、平滑性を失わない範囲で、凹凸構造がある面と反対側の面に極微量のビーズやワックスを塗布する場合がある。このような場合も平滑面に含まれるものとする。
【0081】
第2の実施形態の光拡散シートにおける非透過成分率分布、基材、及び光透過性制御部位については、第1の実施形態の光拡散シートと同じであるので、説明を省略する。
【0082】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態に係る光拡散シートについて説明する。
本実施の形態に係る光拡散シートは、シート状の基材と、基材の少なくとも一方の面上に凹凸パターンが設けられた層を有する光拡散シートである。本実施の形態に係る光拡散シートは、所定の方向におけるシート面内の相対位置を横軸にとり、シート面内の相対位置での拡散角度を縦軸にとった拡散角度分布図において、拡散角度のピーク値を示すピーク点と拡散角度のボトム値を示すボトム点とがそれぞれ複数有り、隣り合うピーク点における拡散角度とボトム点における拡散角度との算術平均値が、隣り合うピーク点とボトム点との間に分布する全点における拡散角度の算術平均値より小さいものである。この光拡散シートを光源の上方に配設する場合、光拡散シートの拡散角度の周期と、光源直上領域及び光源間領域からなる投影領域周期とを略一致させることが好ましい。これにより、正面輝度むら及び斜め輝度むらを低減することができる。
【0083】
本発明において、「拡散角度」とは、透過光強度がピーク強度の半分に減衰する角(半値角)の2倍の角度(FWHM:Full Width Half Maximum)をいう(図8(a)参照)。この拡散角度は、例えば、Photon社製のGoniometric Radiometers Real−Time Far−Field Angular Profiles Model LD8900(以下LD8900)で、光拡散シートの凹凸面の法線方向から、凹凸面側より入射した光に対する透過光強度の角度分布を測定することによって求めることができる。ここで、光拡散シートの法線方向とは、図8(b)に示す方向を指す。
【0084】
また、本実施の形態に係る光拡散シートとしては、測定方向によらず、ほぼ同じ拡散角度が得られる等方性シートと、測定方向によって、拡散角度が異なる異方性シートの両方を用いることができる。異方性シートとは、例えば、直交する2つの方向で拡散角度を測定した場合に、拡散角度が異なるようなシートである。
【0085】
図9は、本実施の形態に係る光拡散シートにおける拡散角度の分布を示す図(以下「拡散角度分布図」という)である。図9に示す拡散角度分布図においては、シート面内の所定の方向におけるシート面内の相対位置を横軸にとり、シート面内の相対位置での拡散角度を縦軸にとっている。
【0086】
本実施の形態に係る光拡散シートにおいては、拡散角度のピーク点と拡散角度のボトム点とが複数有する。ピーク値とは、拡散角度の分布の1周期の中で最も高い拡散角度の最大値をいう。また、シート面内において、拡散角度がピーク値を示す位置がピーク点となる。ボトム値とは、拡散角度の分布の1周期の中で最も低い拡散角度の最小値をいう。また、シート面内において、拡散角度がボトム値を示す位置がボトム点となる。
【0087】
本実施の形態に係る光拡散シートでは、このような拡散角度分布図において、隣り合うピーク点とボトム点における拡散角度の算術平均値が、隣り合うピーク点とボトム点との間に分布する全点における拡散角度の算術平均値より小さい。ここで述べる「全点」とは、測定点の全てを意味するものである。
【0088】
また、隣り合うピーク点とボトム点との間に分布する全点における拡散角度とは、図9に示す破線区間D2の部分に存在する拡散角度をいうものとする。すなわち、ピーク点又はボトム点が複数存在する場合、隣り合うボトム値に対応する位置とピーク値に対応する位置との間の区間内に存在する拡散角度をいうものとする。
【0089】
また、隣り合うピーク点における拡散角度とボトム点における拡散角度との算術平均値が、隣り合うピーク点とボトム点との間に分布する全点における拡散角度の算術平均値より小さい状態とは、例えば、ピーク点とボトム点とを結ぶ仮想線L0よりも拡散角度分布曲線が上にある領域における該拡散角度分布曲線と仮想線L0との間の領域(図9ではT1及びT2の和)が、拡散角度分布曲線が下にある領域における該拡散角度分布曲線と仮想線L0との間の領域(図9ではT3)よりも大きい状態である。
【0090】
光拡散シート上を光源直上領域から光源間領域へ推移する場合、光源直上領域から光源間領域に向けてその位置に対する入光角度は直線的に大きくなっていく。光源の出光パターンや光源の配置によっては、隣又はその隣の光源からの光が入ってくるため、光源直上領域と光源間領域の光が大きくなっていく。これを考慮すると、光源直上領域から光源間領域へ推移するにつれて拡散すべき光の量は直線的ではなく、それ以上に大きくなるカーブを描く。つまり、隣り合うピーク点とボトム点における拡散角度の算術平均値が、隣り合うピーク点とボトム点との間に分布する全点における拡散角度の算術平均値より小さい光拡散シートであれば、拡散すべき光に合わせて輝度ムラを低減することが可能となる。
【0091】
本実施の形態に係る光拡散シートにおいては、シート面に垂直に光線を入射した場合の出射光の拡散角度がシート面内の所定の方向に沿って、拡散角度のピーク点とボトム点とを交互に周期的に有するものであることが好ましい。また、「周期的に」変化するとは、繰り返されたパターン同士を比較して、同じ繰り返しに相当するピーク値及びピーク値を与える周期の開始点からの変位、並びに、ボトム値及びボトム値を与える周期の開始点からの変位が、それぞれ、全繰り返しパターンの平均値の±15%以内(好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内)の範囲内にあれば、周期的に変化しているものとする。上記の周期性を示す方向は、シート面内に少なくとも一つあれば良く、シート面について拡散角度の分布を作成することにより特定することができる。本発明においては、繰り返された複数のピーク値の拡散角度は、測定された全てのピーク値の拡散角度の差が5°以内となることが好ましく、3°以内がより好ましく、2°以内であることが最も好ましい。ボトム値についても同様である。
【0092】
また、本実施の形態に係る光拡散シートにおいては、図9に示すように、拡散角度分布曲線が、拡散角度分布の1周期内において、ピーク点とボトム点との間に停留点を有するように変化してもよい(図9においては、1周期内にピーク点が1つ、ボトム点が1つ、停留点が2つの例を示している。図9にはボトム点が2つ示されているが、1周期ではボトム点は1つと数える)。停留点とは、拡散角度分布曲線の傾きが零になる点であって、後述する拡散角度が極大値となる極大点及び極小値となる極小点でもない位置をいう。
【0093】
さらに、本実施の形態に係る光拡散シートにおいては、拡散角度の変化は、隣り合うピーク点における拡散角度とボトム点における拡散角度との算術平均値が、隣り合うピーク点とボトム点との間に分布する全点の拡散角度の算術平均値より小さければ厳密に直線状、曲線状、階段状でなくてもよく、拡散角度の測定バラツキ等により、直線状、曲線状、階段状から若干はずれた形状や、直線と曲線の混合形状であってもよい。
【0094】
次に、図10(a)〜図10(i)を参照して、拡散角度分布曲線の変化について詳細に説明する。図10(a)〜図10(i)に、拡散角度が直線状、曲線状、直線と曲線の混合形状に変化している光拡散シートの拡散角度のシート面内の相対位置に対する分布の例を示す。図10(a)〜図10(i)に示すように、本実施の形態に係る光拡散シートにおいては、1周期内において、拡散角度の曲線が、複数の極大点及び複数の極小点を含むものであってもよい。ここで、「極大点」とは、1周期内のピーク点とボトム点との間において、拡散角度分布曲線の傾きが正から負へ変化する位置であり、「極小値」とは、拡散角度分布曲線の傾きが負から正へ変化する点である。1周期内に存在する極大値の中の最大値となるものが上述した「ピーク値」であり、極小値の最小値が上述した「ボトム値」となる。また、極大値及び極小値は、1周期内に同じ大きさの極大値及び極小値を複数有していてもよく、例えば、同一強度のピーク値を複数有していてもよい。
【0095】
図10(a)〜図10(c)には、拡散角度分布の一周期内に1つのピーク点Pと1つのボトム点Bとを有する例を示している。また、図10(d)に示す例においては、拡散角度の一周期内に1つのピーク点P、2つのボトム点B及び1つの極大点P1を有する例を示している。図10(e)に示す例においては、拡散角度の一周期内に1つのピーク点P、1つのボトム点B及び2つの停留点Sを有する例を示している。さらに、図10(f)、(g)に示す例においては、拡散角度の一周期内に1つのピーク点P、1つのボトム点B、2つの極大点P1及び2つの極小点P2を有する例を示している。また、図10(h)に示す例においては、拡散角度の一周期内に2つのピーク点P、1つのボトム点B、1つの極大点P1、2つの極小点P2を有する例を示している。さらに、図10(i)に示す例においては、拡散角度の一周期内に1つのボトム点B、2つのピーク点P、及び1つの極小値P2を有する例を示している。
【0096】
シート面内の各領域における拡散角度分布は、相対的に拡散角度が高い領域(以下、高拡散角度領域という)を光源直上に配置してもよく、相対的に拡散角度が低い領域(以下、低拡散角度領域という)を光源直上に配置してもよい。また、光拡散シートは、高拡散角度領域と低拡散角度領域との間の拡散角度はなめらかに変化することが好ましい。また、光拡散シートは、拡散角度のボトム値があり、ボトム値を含む低拡散角度領域における拡散角度分布が、ボトム値を極小値とする下に凸の曲線状であるものが輝度むら低減の観点から好ましい(図10(c)、(e)、(g)〜(i)参照)。
【0097】
ここで、高拡散角度領域とは、ピーク値の最大値とボトム値の最小値との算術平均値より大きい拡散角度領域とし、低拡散角度領域とは、ピーク値の最大値とボトム値の最小値との算術平均値より小さい拡散角度領域とする。本発明において、ピーク値とボトム値との算術平均値は、上記定義に基づく拡散角度の分布を用いて算出するものとする。なお、一周期の中で、ピーク値、ボトム値は1つとは限らず、同一の値が複数存在していてもよい(図10(h)、(i)参照)。
【0098】
図10(e)〜(i)に示す拡散角度分布においては、1つの周期Cの中に拡散角度が極大値を示す極大点又は停留値を示す停留点がピーク点を含んで2個又は3個存在しているが、このようなパターンは光源が広角LEDである場合、特に効果的である。LEDの出光パターンに由来する照度分布に合わせてこれらを選択する事が可能であり、例えば図25(b)で示す出光パターンを有する広角LEDに対しては図10(f)、図25(c)で示す出光パターンを有する広角LEDに対しては図10(g)、(h)、図25(d)で示す出光パターンを有する広角LEDに対しては図10(i)の分布が正面輝度むら及び斜め輝度むら抑制という観点から特に効果的である。
【0099】
次に、図11を参照して本実施の形態に係る光拡散シートの高拡散角度領域と低拡散角度領域との配置例について説明する。図11は、本実施の形態に係る光拡散シート3の高拡散角度領域A5及び低拡散角度領域A6の説明図である。図11は、高拡散角度領域A5と低拡散角度領域A6とが、光拡散シート3面内のx軸方向及びy軸方向において周期的に存在する例を示す図である。図11に示す例においては、光拡散シート3面内において、円形形状の高拡散角度領域A5が格子状に存在し、各高拡散角度領域A5の間に低拡散角度領域A6が存在する。光拡散シート3面内の拡散角度は、各高拡散角度領域A5の中心点P2の近傍でピーク値となり、低拡散角度領域A6内でボトム値となる。図11に示す例においても光拡散シート3のx軸方向又はy軸方向の断面においては図10の如くに拡散角度が推移している。このようなパターンは点光源に対して用いることが好適であるが、線光源に対して用いてもよい。
【0100】
この凹凸構造を表面に有し、光拡散シート上の領域に応じて拡散角度が変化するような拡散シートは、具体的には次のようにして製造することができる。まず、予め干渉露光により、レーザー光をレンズやマスクを介して感光性材料やフォトレジストに照射し、拡散角度が位置によって変化するようにスペックルパターンを形成させたサブマスタ型を作製する。レーザー照射システムを構成する部材間の距離やサイズを変えスペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、拡散角度の範囲を制御し、異なる拡散角度をもつ凹凸構造を記録することができる。
【0101】
一般に、拡散角度の範囲は、スペックルの平均サイズ及び形状に依存する。スペックルが小さければ角度範囲が広い。また、凹凸構造の単位構造は等方性のものに限らず、異方性のものを形成することもでき、両者の複合された凹凸構造とすることもできる。スペックルが横方向の長円形であれば、角度分布の形は縦方向の長円形となる。このように拡散角度が位置によって変化するようなサブマスタ型を作製する。このサブマスタ型に電鋳などにより金属を被着してこの金属にスペックルパターンを転写してマスタ型を作製する。光硬化性樹脂層に、上記マスタ型を用いて紫外線による賦形を行って光硬化性樹脂層の光取り出し面にスペックルパターンを転写する。拡散角度を位置によって変えたこの光拡散シートの詳細な製造方法については、特表2003−525472号公報(国際公開第01/065469号)に開示されている。具体的には、光源と、光源から投射された光の光路に設けられたサイズ及び形状可変の開口を備えたマスクと、光源から投射された光により生ずる拡散パターンを記録するためのプレートと、マスクとプレートの間に配置された光を拡散させる拡散板と、光の一部をブロックするために拡散板とプレートの間に設けられたブロッカーとを用い、マスクの開口とブロッカーのサイズ及び形状、拡散板の拡散度合い及び各構成部材間の距離を変化させて作る。
【0102】
本実施の形態に係る光拡散シートは、例えば、以下の工程によって製造される。
1.マスクの開口形状を縦長にすることで、プレート上に記録される凸部の底面の形状を横長の楕円にし、縦長の楕円拡散能を示す(直交する2方向の拡散角度が異なる)領域を形成する。
2.マスクの開口形状を正方形にすることで、プレート上に記録される凸部の底面の形状を等方にし、等方拡散能を示す(全方向で拡散角度が同一となる)領域を形成する。
上記1及び2のパターンを組み合わせて、周期的パターンを形成すれば、本実施の形態に係る光拡散シート、すなわち面内で拡散角度が周期的に変化する光拡散シートが製造できる。
【0103】
表面構造の凹凸高さは、例えば走査型電子顕微鏡で観察した光拡散シート断面形状のピッチやアスペクト比、表面粗さ等から判断できる。また、レーザー共焦点顕微鏡による光拡散シート表面の観察像からも、ピッチ、アスペクト比や、表面粗さ等を読み取ることができる。例えば、ピッチが短いほど、或いはアスペクト比が大きいほど、或いは表面粗さが大きいものほど凹凸高さが高いと見なすことができる。
【0104】
次に、本実施の形態に係る光拡散シートの構成例について説明する。図12(a)〜(c)は、本発明の第3の実施の形態に係る光拡散シートにおける構成例を示す模式図である。
【0105】
図12(a)〜図12(c)に示すように、本実施の形態に係る光拡散シート3は、基材31と、基材31の少なくとも一方の面上に設けられ、光透過性を制御する凹凸パターンが設けられた凹凸パターン層32と、を備える。本実施の形態に係る光拡散シート3においては、基材31の一方の主面のみに光透過性を制御する凹凸パターン層32を設けてもよく(図12(a)参照)、基材31の両方の主面に光透過性を制御する凹凸パターン層32を設けてもよい(図12(b)、(c)参照)。
【0106】
図12(b)の光拡散シート3は、基材31の一方の主面に光透過性を制御する凹凸パターン層32を設け、基材31のもう一方の主面に、基材31の両主面における高拡散角度領域A5同士が重なるように凹凸パターン層32を設けている。この場合、正面輝度むら及び斜め輝度むら低減性能に優れる。図12(c)の光拡散シート3は、基材31の一方の主面に光透過性を制御する凹凸パターン層32を設け、基材31のもう一方の主面に、基材31の両主面における高拡散角度領域A5と低拡散角度領域A6とが重なるように凹凸パターン層32を設けている。この場合、輝度の低下を抑えながら正面輝度むら及び斜め輝度むらを抑制することができる。
【0107】
図12(a)に示す一方の主面のみに光透過性を制御する凹凸パターン層32を設ける構成は、輝度を低下させることなく正面輝度むら及び斜め輝度むらを低減するという観点から好ましい。図12(b)、(c)に示す基材31の両方の主面に光透過性を制御する凹凸パターン層32を設ける構成は、正面輝度むら及び斜め輝度むら低減能力に非常に優れるので、バックライトをより薄型化できるという観点から好ましい。
【0108】
図12(a)に示す構成の場合、基材31の凹凸パターン層32が設けられた主面及び反対側の主面は、平滑面、凹凸面、マット面などであってもよい。輝度向上、及び輝度ムラ軽減の観点から、凹凸構造がある主面及び反対側の主面は、平滑面となっていることが好ましい。なお、一般に光拡散シートを積層する場合等に、傷つき防止のため、平滑性を失わない範囲で、凹凸構造がある面と反対側の面に極微量のビーズやワックスを塗布する場合がある。このような場合も平滑面に含まれるものとする。
【0109】
第3の実施形態の光拡散シートにおける基材については、第1の実施形態の光拡散シートと同じであるので、説明を省略する。
【0110】
(光源ユニット)
次に、本発明に係る光源ユニットの一例について説明する。本実施の形態に係る光源ユニットは、基本的には、複数(少なくとも2つ)の光源と、光源の上方に配設された光拡散シートと、を具備する。光源の下方には、光源からの光を反射させるための反射シートが使用されることが好ましい。図13に本実施の形態で示す光源ユニットの概略構成を示す。図13(a)、(b)は、点光源としてLED(発光ダイオード)を用いた光源ユニットの一例を示す図である。
【0111】
図13(a)に示すように、点光源を用いた光源ユニットは、平行に配列された複数のLED51と、LED51の下方に配置され、LED51からの光を反射する反射シート52と、LED51の上方に配置された光拡散シート53とを具備する。また、LED51と光拡散シート53との間に拡散板(光学シート)54を設けた構成とすることができる(図13(b)参照)。
【0112】
なお、本実施の形態に係る光源ユニットにおいては、図13に示すようなLED(発光ダイオード)55、レーザーなどの点光源であって、ワイドアングル特性を有する光源を使用する。ここで「ワイドアングル特性を有する」とは、横軸に出光角度、縦軸に出光強度をとった出光パターン曲線において、0°以外のピーク値を示す出光角が存在することをいう。
【0113】
光源のピーク値となる出光強度を示す出光角は、30°〜120°が好ましく、35°〜90°がより好ましく、40°〜80°が最も好ましい。また、光源のピーク値となる出光強度を100%としたときの出光角が0°の出光強度の相対値は3%〜95%が好ましく、5%〜60%がより好ましく、10%〜50%が最も好ましい。なお、ワイドアングル特性を有する光源であれば、線光源に対しても本発明の拡散シートを適用できることは、本実施の形態における点光源の場合と同様である。
【0114】
反射シート52は、光を反射させることのできるものであれば、様々なものを用いることができる。例えば、ポリエステル、ポリカーボネートなどの樹脂を発泡させて内部に微細な空気の粒を入れシート状としたもの、2成分以上の樹脂を混合してシート状としたもの、屈折率の異なる樹脂層を積層したシート、などを用いることができる。また、反射シート52は、表面に凹凸形状が形成されていてもよい。これらには、必要に応じて、表面に無機微粒子などを添加したものを用いることができる。
【0115】
拡散板54は、光を拡散させることのできるものであれば、様々なものを用いることができる。例えばポリスチレン、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー等に、光を拡散させる効果がある有機ポリマーや無機微粒子を添加したものを用いることができる。これらの拡散板は、光を拡散させ、下部光源の光を均一化させる効果がある。また、拡散板54は、表面に凹凸形状が形成されていても良い。これらには、必要に応じて、有機ポリマーや無機微粒子を添加したものを用いることができる。また、2成分以上の樹脂を混合し、延伸してシート状とした拡散板も用いることができる。
【0116】
本実施の形態で示す光源ユニットにおいては、光拡散シートの非透過成分率分布の周期と、光拡散シートの入光面における照度分布の周期とを等しくすることが好ましい。光拡散シートの入光面における照度分布は、例えばELDIM社製のEZCONTRASTXL88などによって測定できる。具体的には、光拡散シートが設けられる光源ユニットにおいて、光拡散シートを除き、光拡散シートの入光面が位置する箇所に装置の焦点を定めて全方位輝度分布を測定し、その結果から積算光束量(Integrated Intensity)を得る、ということを面内測定対象範囲において繰り返すことで測定する。
【0117】
本実施の形態で示す光源ユニットは、光拡散シートの拡散角度分布の周期と、光拡散シートの入光面における照度分布の周期とを等しくすることが好ましい。光拡散シートの入光面における照度分布は、上述の通りである。
【0118】
次に、図14(a)、(b)、図15(a)、(b)、図16、及び図17を参照して、本実施の形態に係る光源ユニットにおける非透過成分率及び拡散角度の分布について説明する。図14(a)、(b)は、本実施の形態に係る光源ユニットの模式的な斜視図である。図15(a)は、図14(a)、(b)に示す光源ユニットにおける光源位置及び非透過成分率の分布周期を示す図であり、図15(b)は、図14(a)、(b)に示す光源ユニットにおける光源位置及び拡散角度の分布周期を示す図である。図16は、図14(a)、(b)に示すLED51の配置例を示す平面図であり、図17は、図14(a)、(b)に示す光拡散シート53を示す平面図である。
【0119】
図14(a)、(b)に示す光源ユニットにおいては、LED51は、例えば図16に示すような光源間隔でX軸方向及びY軸方向に沿って格子状に配列されている。光拡散シート53は、XY平面内に配置されており、光拡散シート53と直交するZ軸方向が出光方向となる。なお、図14(b)は、図14(a)の構成において、LED51と拡散シート53との間に拡散板54を追加した構成となっている。
【0120】
光拡散シート53は、非透過成分率及び拡散角度がシート面内のX軸方向及びY軸方向に沿って周期的に分布している(図15(a)、(b)参照)。また、光拡散シート53は、非透過成分率及び拡散角度が周期的に分布する方向と、LED51が配列される方向とが一致するように配置される。図17に示す例では、光拡散シート53面内での非透過成分率及び拡散角度が高い領域が格子状に配列されている。光拡散シート53面内での非透過成分率及び拡散角度は、各領域内の中心点P3近傍でピーク値となり、各領域外の点P4近傍でボトム値となる(図17参照)。
【0121】
図14(a)、(b)において、光拡散シート53の入光面における照度分布の周期C(周期Cについては図17参照)は隣接するLED51同士の間隔と等しいため、光拡散シート53面内の非透過成分率及び拡散角度の分布周期を、LED51の光源間隔と略等しくすることが好ましい。光拡散シート53の入光面の照度分布において、光源直上領域の照度が高い場合、輝度むら解消の観点から、光拡散シートの高非透過成分率領域及び高拡散角度領域をLED51の光源間隔と略等しく配置することが好ましい。図18(a)〜(c)には、光拡散シート53の入光面における照度分布に対応するように設計した、非透過成分率分布及び拡散角度の例が示されている。
【0122】
また、LED51の投影領域(光源直上領域)からLED51の間の投影領域(光源間領域)における非透過成分率の差、拡散角度の差、凹凸高さの差及び位置による拡散角度・凹凸高さの変わり方は、輝度を均一化するために適宜調整することができる。
【0123】
以下に、本実施の形態で示す光源ユニットの具体的な構成例について説明する。例えば、光源ユニットの構成として、図19(a)〜(f)に示す構成を用いることができる。ここでは点光源であるLEDについて例示してあるが、例えば冷陰極管などの線光源であっても構わない。
【0124】
図19(a)に示す例では、図13(b)に示す構成において、LED51の直上に配置される拡散板54及び光拡散シート53の上方に、微細な凹凸構造が表面に形成された表面賦形型拡散シート55(以下、単に「表面賦形型拡散シート」という)を2枚配置し、さらに反射型偏光シート57を配置している。
【0125】
図19(b)に示す例では、図13(b)に示す構成において、LED51直上に配置される拡散板54及び光拡散シート53の上方に、表面賦形型拡散シート55と、反射型偏光シート57をこの順で配置している。
【0126】
図19(c)に示す例では、図13(b)に示す構成において、LED51直上に配置される拡散板54及び光拡散シート53の上方に、アレイ状のプリズム配列構造を有する光学シート(以下、単に「プリズムシート」という。)56と、反射型偏光シート57を配置している。
【0127】
図19(d)に示す例では、図13(b)に示す構成において、LED51直上に配置される拡散板54と光拡散シート53との間に、表面賦形型拡散シート55を配置し、光拡散シート53の上方に表面賦形型拡散シート55を配置している。
【0128】
図19(e)に示す例では、図13(b)に示す構成において、LED51直上に配置される拡散板54及び光拡散シート53の上方に、プリズムシート56、プリズムシート56、反射型偏光シート57をこの順に配置している。
【0129】
図19(f)に示す例では、図13(b)に示す構成において、LED51直上に配置される拡散板54及び光拡散シート53の上方に、表面賦形型拡散シート55、プリズムシート56、反射型偏光シート57をこの順に配置している。
【0130】
ここで、表面賦形型拡散シート55としては、アクリル系樹脂の球状ビーズがポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、或いはポリカーボネート等のシート上に塗布されたシートを用いることができる。また、表面賦形型拡散シート55としては、紫外線硬化樹脂による微細な凹凸構造がポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、或いはポリカーボネート等のシート上に転写されたシートを用いることができる。このような表面賦形型拡散シート55は、光を拡散させ均一化させる効果とともに、拡散板54で拡散された光を集光する機能を有する。これらの表面賦形型拡散シート55と、光拡散シート53とを組み合わせて使用することにより、輝度むらを軽減し、光源ユニットの薄型化や光源数の削減を実現することができる。
【0131】
プリズムシート56としては、表面に、断面形状が略三角形状、略台形状、略楕円状であるプリズム条列がアレイ状に配列しているような光学シートを用いることができる。断面形状の頂点を丸めた形状としたものも、耐擦傷性向上などの観点から、好ましく用いることができる。これらのプリズムシート56としては、紫外線硬化樹脂によるプリズム条列がポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、或いはポリカーボネート等の基材シート上に転写された形態として用いることができる。このようなプリズムシート56は再帰反射性を示すため、入射光を正面へ集光する機能を有する。このプリズムシートと、第1〜第3の実施の形態に係る光拡散シートとを組み合わせて使用することにより、輝度むらを軽減し、光源ユニットの薄型化や光源数の削減を実現することができる。図19(e)に示すように、プリズムシートを2枚用いる場合には、そのプリズム条列を相対的に直交させるように用いるのが、輝度をより向上させるという観点から望ましい。
【0132】
反射型偏光シート57としては、自然光又は偏光から偏光を分離する機能を有するシートを用いることができる。直線偏光を分離するシートとしては、例えば、軸方向で直交する直線偏光の一方を透過し、他方を反射するフィルム等が挙げられる。反射型偏光シートとしては、具体的には、複屈折位相差の大きい樹脂(ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等)と、複屈折位相差の小さい樹脂(シクロオレフィンポリマー等)とを交互に多層積層し一軸延伸して得られるシートや、複屈折性のポリエステル樹脂を数百層積層した構造からなるシート(DBEF、3M社製)等を用いることができる。
【実施例】
【0133】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0134】
以下の実施例及び比較例においては、光拡散シートのX軸方向及び/又はY軸方向に対して、1mm間隔の各位置での透過率を直接測定することが困難であるため、各位置における白色インク硬化物による印刷パターンと同一の印刷パターンを1cm四方の面積に印刷した各サンプルを作製してMPC−2200で測定した値から求めた非透過成分率によって、非透過成分率分布図を作成した。拡散角度については、微細な凹凸構造を有する面から入光させ、LD8900で測定した角度を示している。例えば、5°は、どの方向のFWHMも、5°であることを表す。拡散角度分布については、光拡散シートのX軸方向及び/又はY軸方向に対して、1mm間隔でFWHMを測定し、拡散角度分布図を作成した。
【0135】
光学シートとして記載がないものについて、すなわち、反射シート、拡散板、表面賦形型拡散シート、及び反射型偏光シートについては、それぞれ、ポリエステル樹脂からなる白色反射シート(以下、「RS」と略記)、ポリスチレンからなり、厚さ1.5mm、拡散剤濃度13000ppmの拡散板(以下、「DP」と略記)、厚さ250μmのPET基材上に半球レンズがUV硬化性樹脂によって賦形された表面賦形型拡散シート(以下、「MLF」と略記)、及び反射型偏光シート(以下、「DBEF」と略記。3M社製)を用いた。
【0136】
光源ユニットの光源として、以下3種類のLEDを用いた。
LED(B):5.3×5.3mm角、高さ1.5mmの広角LED(SAMSUNG社製液晶テレビUN46B8500に搭載のLED)
LED(C):9.3×9.6mm角、高さ3.6mmの広角LED(オスラム社製Golden Dragon LW W5KM、製品名)
LED(D):19.2×19.2mm角、高さ6.3mmの広角LED(シャープ社製液晶テレビLED−Aquos LC40LX1に搭載のLED)
【0137】
LED(B)、(C)、(D)の出光パターンを、それぞれ図25(b)、(c)、(d)に示した。この出光パターンはコニカミノルタ製の分光放射輝度計CS−2000によって測定した。このLED(B)、LED(C)、及びLED(D)を図20に示すように並べて配置し、光源ユニットを作製した。輝度及び輝度むらは、コニカミノルタ社製の2次元色彩輝度計(CA2000)を使用し、光源ユニットから70cm離して設置し、光源ユニットの中心部120mm×120mmの範囲で測定した平均輝度値を輝度とした。
【0138】
輝度むらは、X軸方向及びY軸方向の2方向について算出した値の平均値とした。まず、x軸方向(120mm)の平均輝度値を求め、Y軸方向について、各々の点の輝度値を各々の点から±15.2mm分の輝度平均値で割り返した値の標準偏差として輝度むらを求めた。同様に、Y軸方向(120mm)の平均輝度値を求め、X軸方向について、各々の点の輝度値を各々の点から±20.8mm分の輝度平均値で割り返した値の標準偏差として輝度むらを求めた。最後に、X軸方向の標準偏差とY軸方向の標準偏差を平均した値(以下、S.D.で表わす。)を、光源ユニットの輝度むらとした。なお、LED光源は点光源であるので、最小面積の四角形を構成する4つのLEDの対角線が交わる点を結んだ直線上において、非透過成分率又は拡散角度の分布を設定した。正面輝度むらは、画面に対して法線方向からの輝度むらを測定した。斜め輝度むらは画面に対して45度方向から見た輝度むらを測定した。
【0139】
ここで、正面輝度むら及び斜め輝度むらの判定基準を下記のように、2段階(○、×)に分類した。
○:S.D.≦0.005
×:0.005<S.D.
【0140】
(実施例1)
図19(b)に示すように、光源上方にDP、実施例1の光拡散シート、MLF、DBEFと、をこの順で配置し、実施例1の光源ユニットを構成した。光源としてはLED(B)を用いた。
【0141】
実施例1の光拡散シートは、図21(a)に示すように、厚さ250μmのポリエチレンテレフタラートフィルム(コスモシャインA4300、東洋紡社製、以下「PET基材100」という。)の一方の面上に光反射性インクとして白色インク101をドット印刷した構成を有する。ここで白色ドット印刷は熱転写式印刷装置と白色インクリボン(アルプス電気社製MD−5500、MDC−SCWH)を用いた。
【0142】
実施例1の光拡散シートは、光源の投影領域(光源直上領域)が高非透過成分率領域A1となり、光源と光源との間の中間点の投影領域(光源間領域)が低非透過成分率領域A2となるように白色インク101をドット印刷した。実施例1の光拡散シートは、高非透過成分率領域A1(光源直上領域)の非透過成分率が62%であり、低非透過成分率領域A2(光源間領域)の非透過成分率が1%であった。また、実施例1の光拡散シートは、非透過成分率が図18(a)に示すように変化していた。実施例1の拡散シートは、PET基材100面が出光面となるようにして用いた。
【0143】
この時、高非透過成分領域A1における白色インク101のドット間のピッチは283μmであった。また、白色インク101の1つのドットは直径266μm、面積55543μmの円状であり、単位面積あたりのドット密度は69%であった。単位面積は283μm×283μm=80089μmであった。低非透過成分領域A2における白色インク101のドット間のピッチは283μmであった。また、白色インク101の1つのドットは直径12μm、面積113μmの円状であり、単位面積あたりのドット密度は0.14%であった。単位面積は283μm×283μm=80089μmであった。
【0144】
ここで、RSとDPの入光面との距離hを9.5mmとした。実施例1の光源ユニットにおける正面輝度むら及び斜め輝度むらを上記の演算により算出した。その結果を下記表1に示す。また、実施例1の光拡散シートについて、隣り合うピーク点とボトム点における非透過成分率の算術平均値(R−Av1)と、ピーク点とボトム点の間に分布する全測定点の非透過成分率の算術平均値(R−Av2)を下記表1に併記した。
【0145】
(実施例2)
図19(b)に示すように、光源上方にDP、実施例2の光拡散シート、MLF、DBEFと、をこの順で配置し、実施例2の光源ユニットを構成した。光源としてはLED(C)を用いた。
【0146】
実施例2の光拡散シートは、図21(b)に示すように、厚さ250μmのポリエチレンテレフタラートフィルム(コスモシャインA4300、東洋紡社製、以下「PET基材100」という。)の一方の面上に光反射性インクとして白色インク101を印刷し、PET基材100の白色インク101を印刷した面と反対側の面に不規則な凹凸パターン形状を設けた凹凸パターン層102を有する構成である。ここで白色ドット印刷は熱転写式印刷装置と白色インクリボン(アルプス電気社製:MD−5500、MDC−SCWH)を用いた。
【0147】
実施例2の光拡散シートは、光源の投影領域(光源直上領域)が高非透過成分率領域A1となり、光源と光源との間の中間点の投影領域(光源間領域)が低非透過成分率領域A2となるように白色インク101をドット印刷した。実施例2の光拡散シートは、高非透過成分率領域A1(光源直上領域)の非透過成分率が70%であり、低非透過成分率領域A2(光源間領域)の非透過成分率が2%であった。また、実施例2の光拡散シートは、非透過成分率が図18(b)に示すように変化していた。
【0148】
この時、高非透過成分率領域A1における白色ドット間のピッチは283μm、1つのドットは直径266μm、面積55543μmの円状で、単位面積あたりのドット密度は69%であった。単位面積は283μm×283μm=80089μmであった。低非透過成分率領域A2における白色ドット間のピッチは283μm、1つのドットは直径145μm、面積16505μmの円状で、単位面積あたりのドット密度は21%であった。単位面積は283μm×283μm=80089μmであった。
【0149】
また、実施例2の光拡散シートは、シート面内の全ての点において拡散角度が90°であった。実施例2の光拡散シートは、不規則な凹凸パターン形状を設けた層が出光面となるように用いた。
【0150】
ここで、RSとDPの入光面との距離hを9.5mmとした。実施例2の光源ユニットにおける正面輝度むら及び斜め輝度むらを上記の方法で算出した。その結果を下記表1に併記する。また、実施例2の光拡散シートについて、隣り合うピーク点とボトム点における非透過成分率の算術平均値(R−Av1)と、ピーク点とボトム点の間に分布する全測定点の非透過成分率の算術平均値(R−Av2)を下記表1に併記した。
【0151】
(実施例3)
図19(b)に示すように、光源上方にDP、実施例3の光拡散シート、MLF、DBEFと、をこの順で配置し、実施例3の光源ユニットを構成した。光源としてはLED(D)を用いた。
【0152】
実施例3の光拡散シートは、図21(c)に示すように、厚さ250μmのポリエチレンテレフタラートフィルム(コスモシャインA4300、東洋紡社製、以下「PET基材100」という。)の一方の面上に不規則な凹凸パターン形状を設けた凹凸パターン層102を有する構成である。
【0153】
実施例3の光拡散シートは、光源の投影領域(光源直上領域)が高拡散角度領域A5となり、光源と光源の中間点の投影領域(光源間領域)が低拡散角度領域A6となるように凹凸パターン層102を設けた。実施例3の光拡散シートは、高拡散角度領域A5(光源直上領域)の拡散角度が71°であり、低拡散角度領域A6(光源間領域)の拡散角度が3°であった。また、実施例3の光拡散シートは、拡散角度が図18(c)に示すように変化していた。実施例3の光拡散シートは、不規則な凹凸パターン形状を設けた層が出光面となるように用いた。
【0154】
ここで、RSとDPの入光面との距離hを9.5mmとした。実施例3の光源ユニットにおける正面輝度むら及び斜め輝度むらを上記の方法で算出した。その結果を下記表1に示す。また、実施例3の光拡散シートについて、隣り合うピーク点とボトム点における拡散角度の算術平均値(D−Av1)と、ピーク点とボトム点の間に分布する全測定点の拡散角度の算術平均値(D−Av2)を下記表1に併記した。
【0155】
(比較例1)
図19(b)に示すように、光源上方にDP、比較例1の光拡散シート、MLF、DBEFと、をこの順で配置し、比較例1の光源ユニットを構成した。光源としてはLED(B)を用いた。
【0156】
比較例1の光拡散シートは、図21(a)に示すように、厚さ250μmのポリエチレンテレフタラートフィルム(コスモシャインA4300、東洋紡社製、以下「PET基材100」という。)の一方の面上に光反射性インクとして白色インク101を印刷した構成である。ここで白色ドット印刷は熱転写式印刷装置と白色インクリボン(アルプス電気社製MD−5500、MDC−SCWH)を用いた。
【0157】
比較例1の光拡散シートは、光源の投影領域(光源直上領域)が高非透過成分率領域A1となり、光源と光源との間の中間点の投影領域(光源間領域)が低非透過成分率領域A2となるように白色インク101をドット印刷した。比較例1の拡散シートは、高非透過成分率領域A1(光源直上領域)の非透過成分率が54%であり、低非透過成分率領域A2(光源間領域)の非透過成分率が1%であった。比較例1の光拡散シートは、非透過成分率が図22に示すように変化していた。比較例1の拡散シートは、PET基材100面が出光面となるように配置した。この時、高非透過成分率領域A1における白色インク102のドット間のピッチは283μmであった。白色インク102の1つのドットは直径254μm、面積50645μmの円状であり、単位面積あたりのドット密度は63%であった。単位面積は283μm×283μm=80089μmであった。低非透過成分率領域A2における白色インク102のドット間のピッチは283μmであった。白色インク102の1つのドットは直径12μm、面積113μmの円状であり、単位面積あたりのドット密度は0.14%であった。単位面積は283μm×283μm=80089μmであった。
【0158】
ここで、RSとDPの入光面との距離hを9.5mmとした。比較例1の光源ユニットにおける正面輝度むら及び斜め輝度むらを上記の方法で算出した。その結果を下記表1に示す。また、比較例1の光拡散シートについて、隣り合うピーク点とボトム点における非透過成分率の算術平均値(R−Av1)と、ピーク点とボトム点の間に分布する全測定点の非透過成分率の算術平均値(R−Av2)を下記表1に併記した。
【0159】
【表1】

【0160】
表1より、実施例1〜実施例2の光拡散シートは、R−Av1がR−Av2よりも小さいので、正面輝度むら及び斜め輝度むら低減能力が良好であり、光源ユニットの光源数の削減、又は光源と光学シート間の距離を短くできることが分かる。また、実施例3の光拡散シートは、D−Av1がD−Av2よりも小さいので、正面輝度むら及び斜め輝度むら低減能力が良好であり、光源ユニットの光源数の削減、又は光源と光学シート間の距離を短くできることが分かる。
【0161】
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態における部材の材質、配置、形状などは例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。また、上記実施例で示した構成を適宜組み合わせて光源ユニットを構成することができる。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明は、液晶表示装置のような表示デバイスの光拡散シート、及び光源ユニットに有効である。
【符号の説明】
【0163】
1、2、3 光拡散シート
11、21、31、112 基材
12、23 光透過性制御部位
14、51 LED
15 光反射性インク硬化物
22、32 凹凸パターン層
52 反射シート
53 光拡散シート
54 拡散板
55 表面賦形型拡散シート
56 プリズムシート
57 反射型偏光シート
100 PET基材
101 白色インク
102 凹凸パターン層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の基材からなり、前記基材の少なくとも一方の面上に前記基材の光透過性を制御する部位を有する光拡散シートであって、所定の方向における前記面内の相対位置を横軸にとり、前記面内の相対位置での非透過成分率を縦軸にとった非透過成分率分布図において、前記非透過成分率のピーク値を示すピーク点と前記非透過成分率のボトム値を示すボトム点とがそれぞれ複数有り、隣り合う前記ピーク点における非透過成分率と前記ボトム点における非透過成分率との算術平均値が、前記隣り合う前記ピーク点と前記ボトム点との間に分布する全点における非透過成分率の算術平均値より小さいことを特徴とする光拡散シート。
【請求項2】
前記非透過成分率分布図において、前記非透過成分率のピーク点と前記非透過成分率のボトム点とを交互に周期的に有し、1つの周期内において、非透過成分率の極大値を示す極大点が、少なくとも2点存在することを特徴とする請求項1記載の光拡散シート。
【請求項3】
前記非透過成分率分布図において、前記非透過成分率のピーク点と前記非透過成分率のボトム点とを交互に周期的に有し、1つの周期内において、非透過成分率の停留値を示す停留点が、少なくとも2点存在することを特徴とする請求項1に記載の光拡散シート。
【請求項4】
シート状の基材及び凹凸パターンが設けられた層からなり、前記基材の少なくとも一方の面上に前記基材の光透過性を制御する部位を有する光拡散シートであって、所定の方向における前記面内の相対位置を横軸にとり、前記面内の相対位置での非透過成分率を縦軸にとった非透過成分率分布図において、前記非透過成分率のピーク値を示すピーク点と前記非透過成分率のボトム値を示すボトム点とがそれぞれ複数有り、隣り合う前記ピーク点における非透過成分率と前記ボトム点における非透過成分率との算術平均値が、前記隣り合う前記ピーク点と前記ボトム点との間に分布する全点における非透過成分率の算術平均値より小さいことを特徴とする光拡散シート。
【請求項5】
前記非透過成分率分布図において、前記非透過成分率のピーク点と前記非透過成分率のボトム点とを交互に周期的に有し、1つの周期内において、非透過成分率の極大値を示す極大点が、少なくとも2点存在することを特徴とする請求項4記載の光拡散シート。
【請求項6】
前記非透過成分率分布図において、前記非透過成分率のピーク点と前記非透過成分率のボトム点とを交互に周期的に有し、1つの周期内において、非透過成分率の停留値を示す停留点が、少なくとも2点存在することを特徴とする請求項4に記載の光拡散シート。
【請求項7】
前記基材の光透過性を制御する部位は、光反射性インクで形成された不連続パターンよりなることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の光拡散シート。
【請求項8】
シート状の基材と、前記基材の少なくとも一方の面上に凹凸パターンが設けられた層とを有する光拡散シートであって、所定の方向における前記面内の相対位置を横軸にとり、前記面内の相対位置での拡散角度を縦軸にとった拡散角度分布図において、前記拡散角度のピーク値を示すピーク点と前記拡散角度のボトム値を示すボトム点とがそれぞれ複数有り、隣り合う前記ピーク点における拡散角度と前記ボトム点における拡散角度との算術平均値が、前記隣り合う前記ピーク点と前記ボトム点との間に分布する全点における拡散角度の算術平均値より小さいことを特徴とする光拡散シート。
【請求項9】
前記拡散角度分布図において、前記拡散角度のピーク点と前記拡散角度のボトム点とを交互に周期的に有し、1つの周期内において、拡散角度の極大値を示す極大点が、少なくとも2点存在することを特徴とする請求項8記載の光拡散シート。
【請求項10】
前記拡散角度分布図において、前記拡散角度のピーク点と前記拡散角度のボトム点とを交互に周期的に有し、1つの周期内において、拡散角度の停留値を示す停留点が、少なくとも2点存在することを特徴とする請求項8に記載の光拡散シート。
【請求項11】
前記拡散角度は、前記凹凸パターンにより生じることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載の光拡散シート。
【請求項12】
前記凹凸パターンが、干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成された不規則な凹凸パターンであることを特徴とする請求項3から請求項11のいずれかに記載の光拡散シート。
【請求項13】
2つ以上の光源と、前記光源の上方に配設される請求項1から請求項12のいずれかに記載の光拡散シートと、を備えることを特徴とする光源ユニット。
【請求項14】
前記光源は点状光源であることを特徴とする請求項13に記載の光源ユニット。
【請求項15】
前記光拡散シートの非透過成分率分布の周期と、前記光拡散シートの入光面における照度分布の周期とが略等しいことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の光源ユニット。
【請求項16】
前記光拡散シートの拡散角度分布の周期と、前記光拡散シートの入光面における照度分布の周期とが略等しいことを特徴とする請求項13から請求項15のいずれかに記載の光源ユニット。
【請求項17】
前記光拡散シートと前記光源との間に配置され、内部に拡散剤を含有する拡散板と、前記光源の下方に配置される反射シートと、を備えることを特徴とする請求項13から請求項16のいずれかに記載の光源ユニット。
【請求項18】
前記光拡散シートの上方に配置されるレンズシートを備えることを特徴とする請求項13から請求項17のいずれかに記載の光源ユニット。
【請求項19】
前記光拡散シートの上方に配置されるプリズムシートを備えることを特徴とする請求項13から請求項18のいずれかに記載の光源ユニット。
【請求項20】
前記光拡散シート上方に配置される反射型偏光シートを備えることを特徴とする請求項13から請求項19のいずれかに記載の光源ユニット。
【請求項21】
液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルに光を供給する請求項13から請求項20のいずれかに記載の光源ユニットと、を備えることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2012−58479(P2012−58479A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201354(P2010−201354)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】