説明

光拡散フィルム及びその製造方法

【課題】本発明は、透過型スクリーンもしくは液晶ディスプレイのバックライト、照明パネル、タッチパネル等に用いられる光拡散フィルムにおいて、より光学的等方性に優れ、平面性が高く、表面が平滑で、カールも少なく、面品質の良好な、又、生産性の高い光拡散フィルムを提供とすることを目的としている。
【解決手段】少なくとも2種以上のドープを使用し、該ドープを支持体上に同時又は逐次流延した後、剥離後乾燥させて、ヘイズ30%以上の光拡散フィルムを作製する光拡散フィルムの製造方法において、光拡散フィルムがセルロースエステルを含有し、かつ、用いられるドープが、フィルムの表層を形成する1種以上のドープと内部領域を形成するための少なくとも1種以上のドープとからなり、内部領域を形成するための少なくとも1つのドープに微粒子が含有されていることを特徴とする光拡散フィルムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイのバックライト、照明パネル等に用いられる光拡散フィルムあるいは透過型プロジェクションテレビ等に使用される透過型スクリーンに用いられる光拡散板もしくは光拡散機能を有する偏光板用保護フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビ、携帯端末、パソコンあるいはワープロのディスプレイ等のような液晶を使用する液晶表示装置では、その表示画像を見やすくするために、液晶表示パネルの後方に照明パネルを配置し、この照明パネルからの光を液晶表示パネルの後方から前方に透光させて表示を行っている。
【0003】
ここで使用されるバックライトは、液晶表示画面全体に均一に照射させることが求められている。最近、小型化や薄型化が望まれているノートブック型パソコン等の薄型の液晶表示装置には、液晶表示画面に対して側面より光を入射させるサイドライト型の面光源装置が好ましく用いられている。このサイドライト型面光源装置には、一般に、光を均一に伝播・拡散させることのできる導光板を使用して液晶表示画面全体を均一に照射する導光板方式が採用されている。この導光板方式では、導光板と、この導光板両側の光が入射する端面に配設された光源と、上記導光板の裏面側に配設された反射板と、上記導光板の表面である光出射面から出る光を散乱・拡散させ、照射面の輝度を均一にする光拡散フィルムを有している。
【0004】
このような照明パネルに適用される光拡散フィルムには乳白色の樹脂フィルムが用いられている。これは、導光板から出る光を散乱光とし、光源からの光を均一化するとともに、光を広げることで表示装置の視野角の向上に寄与している。
【0005】
又、透過型プロジェクションテレビ等に使用される透過型スクリーンでは光拡散フィルム又は光拡散板が、スクリーンの何れかの部材に使用されている。そのような用途に用いられる光拡散板としては、特開平11−271510号に記載されているものが提案されている。
【0006】
しかしながら、光拡散フィルムもしくは光拡散板としてはより光学的等方性に優れ、平面性が高く、表面が平滑で、カールも少なく、面品質の良好なものが求められていた。さらに生産性の高い光拡散フィルムもしくは光拡散板の製造方法も求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、透過型スクリーンもしくは液晶ディスプレイのバックライト、照明パネル、タッチパネル等に用いられる光拡散フィルムもしくは光拡散板(以降光拡散フィルムの記述は光拡散板も含むものとする)において、より光学的等方性に優れ、平面性が高く、表面が平滑で、カールも少なく、面品質の良好な光拡散フィルムを提供とすることを目的としている。又、生産性の高い光拡散フィルムの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は下記の手段によって解決される。
【0009】
(1)少なくとも2種以上のドープを使用し、該ドープを支持体上に同時又は逐次流延した後、剥離後乾燥させて、ヘイズ30%以上の光拡散フィルムを作製する光拡散フィルムの製造方法において、光拡散フィルムがセルロースエステルを含有し、かつ、用いられるドープが、フィルムの表層を形成する1種以上のドープと内部領域を形成するための少なくとも1種以上のドープとからなり、内部領域を形成するための少なくとも1つのドープに微粒子が含有されていることを特徴とする光拡散フィルムの製造方法。
【0010】
(2)紫外線吸収剤が含まれることを特徴とする前記(1)に記載の光拡散フィルムの製造方法。
【0011】
(3)微粒子を含有するドープ中の微粒子の添加量が固形分あたり1質量%以上であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の光拡散フィルムの製造方法。
【0012】
(4)表層を形成するためのドープに含まれる微粒子の濃度が固形分あたり0〜0.5質量%であり、これら2種のドープに挟まれたフィルムの内部領域を形成する少なくとも1つのドープの微粒子の濃度が固形分あたり1質量%以上であることを特徴とする前記(1)に記載の光拡散フィルムの製造方法。
【0013】
(5)微粒子を含む熱可塑性樹脂の成形物を一方向の延伸倍率が1.0〜2.0倍でもう1方向の延伸倍率が2.3〜7.0倍に二軸延伸製膜することにより、ヘイズ30%以上の光拡散フィルムを作製することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の光拡散フィルムの製造方法。
【0014】
(6)前記(5)に記載の光拡散フィルムの製造方法により製造された微粒子を含有するヘイズ30%以上の光拡散フィルムにおいて、可塑剤が含まれていることを特徴とする光拡散フィルム。
【0015】
(7)凝固点が25℃以下の可塑剤が含有されていることを特徴とする前記(6)に記載の光拡散フィルム。
【0016】
尚、以下1〜13は参考とされる手段である。
【0017】
1.微粒子を含有するドープを支持体上に流延し、剥離後乾燥させて、ヘイズ30%以上のフィルムを作製することを特徴とする光拡散フィルムの製造方法。
【0018】
2.少なくとも2種以上のドープを使用し、該ドープを支持体上に同時又は逐次流延した後、剥離後乾燥させて、ヘイズ30%以上のフィルムを作製する光拡散フィルムの製造方法において、流延する支持体側(B面側)に用いられるドープと空気側(A面側)に用いられるドープの少なくとも一方に微粒子を添加することを特徴とする光拡散フィルムの製造方法。
【0019】
3.少なくとも2種以上のドープを使用し、該ドープを支持体上に同時又は逐次流延した後、剥離後乾燥させて、ヘイズ30%以上の光拡散フィルムを作製する光拡散フィルムの製造方法において、用いられるドープが、フィルムの表層を形成する1種以上のドープと内部領域を形成するための少なくとも1種以上のドープとからなり、内部領域を形成するための少なくとも1つのドープに微粒子が含有されていることを特徴とする光拡散フィルムの製造方法。
【0020】
4.微粒子を含有するドープ中の微粒子の添加量が固形分あたり1質量%以上であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の光拡散フィルムの製造方法。
【0021】
5.表層を形成するためのドープに含まれる微粒子の濃度が固形分あたり0〜0.5質量%であり、これら2種のドープに挟まれたフィルムの内部領域を形成する少なくとも1つのドープの微粒子の濃度が固形分あたり1質量%以上であることを特徴とする前記3記載の光拡散フィルムの製造方法。
【0022】
6.微粒子を含む樹脂フィルムを延伸して、ヘイズ30%以上の光拡散フィルムを作製することを特徴とする光拡散フィルムの製造方法。
【0023】
7.微粒子を含む熱可塑性樹脂の成形物を一方向の延伸倍率が1.0〜2.0倍でもう1方向の延伸倍率が2.3〜7.0倍に二軸延伸製膜することにより、ヘイズ30%以上の光拡散フィルムを作製することを特徴とする光拡散フィルムの製造方法。
【0024】
8.延伸工程を有することを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の光拡散フィルムの製造方法。
【0025】
9.前記1〜8に記載の方法により製造されたことを特徴とする光拡散フィルム。
【0026】
10.微粒子を含有するヘイズ30%以上の光拡散フィルムにおいて、可塑剤が含まれていることを特徴とする光拡散フィルム。
【0027】
11.凝固点が25℃以下の可塑剤が含有されていることを特徴とする前記9又は10に記載の光拡散フィルム。
【0028】
12.紫外線吸収剤が含まれることを特徴とする前記9〜11のいずれか1項に記載の光拡散フィルム。
【0029】
13.光拡散フィルムがセルロースエステルを含有することを特徴とする前記9〜12のいずれか1項に記載の光拡散フィルム。
【発明の効果】
【0030】
より光学的等方性に優れ、平面性が高く、表面が平滑で、カールも少なく、面品質の良好な、生産性の高い光拡散フィルムとその製造方法が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のセルロースエステル積層フィルムの製造装置の一例を示す工程図である。
【図2】本発明の製造方法で用いられるスリットダイの断面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0033】
液晶ディスプレイのバックライト、照明パネル等に用いられる光拡散フィルムあるいは透過型プロジェクションテレビ等に使用される透過型クリーンに用いられる光拡散板あるいは偏光板用保護フィルムの一部には光拡散機能を有する光拡散フィルム(以降、光拡散板も含むものとする)が用いられており、特開平11−6905号、特開平11−64611号、特開平10−142406号、特開平9−159837号、特開平7−13002号、特開平11−271510号等様々な光拡散フィルムが提案されている。しかしながらこれらの光拡散フィルムは構造が複雑で良好な光学特性や面品質を有する光拡散フィルムを得ることが困難であった。そこで、この問題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、微粒子を含有する樹脂フィルムを延伸することによって、カールが少なく、面品質が良好で、光学特性に優れた光拡散フィルムを得ることができた。多量の微粒子を添加すると面品質が悪化し、接着性が損なわれる等の問題もあった。しかしながら、溶液流延法を用いた場合、流延の際に支持体側となる面の面品質を特に良好とすることができ、接着性の低下も認められなかった。更にフィルムの膜厚方向のリターデーションも低く光学的にも均一な光拡散フィルムを得ることができた。
【0034】
更に、2種以上のドープを使用する場合、支持体上にドープを流延する際のA面側(空気側)及び/又はB面側(支持体側)の表層部分に添加する微粒子を少なくし、光拡散性をフィルム内部にもたせるようにすることによって、さらに良好な面品質を有する均一な光拡散フィルムを得ることができ、さらに目的に応じて光拡散性層と透明樹脂層の両者を有する光拡散フィルムを生産性よく優れた品質で得ることができた。又、表層側の微粒子添加量を減らすことによって、面品質を良好にできたただけでなく、表面からの微粒子の脱落による工程汚染も防止することができ、より高い生産性を確保することができたのである。
【0035】
又、光拡散性を与えるために微粒子を多量に添加するとフィルムが脆くなるという問題があったが、可塑剤を添加することによってこの問題を改善することができた。好ましくは可塑剤量は固形分あたり1〜20質量%であり、凝固点25℃以下の可塑剤が含まれていることがより好ましい。更に、微粒子を含有する部分に紫外線吸収剤を添加することによって、同じ添加量でより高い紫外線吸収能が得られることが確認された。これは微粒子を含有する部分で紫外線を含む光が拡散、乱反射するため、直線的に通過するよりもフィルム内のより長い距離を通過することになり見かけ上の紫外線吸収能が増加するものと考えられる。紫外線吸収剤は微粒子が存在する層の樹脂バインダーに含まれていても、添加する微粒子自身に紫外線吸収能があってもよいが、両者に紫外線吸収能があることがより好ましい。添加する微粒子と樹脂バインダーとの屈折率差は0.02以上であることが、少ない粒子の添加量で光拡散性が大きくできるため好ましい。
【0036】
本発明において、表層とは、フィルム表面から中心方向に深さ10μmまでの領域をさし、フィルムの内部(もしくは内部領域)とは前記表層を除く領域をさす。
【0037】
本発明の光拡散フィルムに用いられる樹脂は特に限定はされないが、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィルム、セルローストリアセテート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体からなるフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムあるいはポリアリレート系フィルム等を挙げることができるが、本発明には、流延法により製膜ができるセルローストリアセテートフィルム(TACフィルム)、セルロースアセテートプロピオネートフィルム等のセルロースエステルフィルム、ポリカーボネート(以下PCと略すことがある)フィルムが透明性、機械的性質、光学的異方性がない点など好ましく、特にTACフィルム及びPCフィルムが、それらの中でも、製膜が容易で加工性に優れているため好ましく用いられる。
【0038】
本発明に係るセルロースエステルフィルムとしては、セルロースエステルが低級脂肪酸エステルであることが好ましい。セルロースエステルの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等がセルロースの低級脂肪酸エステルの好ましい例として挙げられる。
【0039】
また、上記以外にも、特開平10−45804号、同08−231761号、米国特許第2,319,052号等に記載のセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることが出来る。
【0040】
上記記載の中で、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルはセルローストリアセテートである。
【0041】
更に、ベース強度の観点から、特に重合度250〜400、結合酢酸量が54〜62.5%が好ましく用いられ、更に好ましいのは、結合酢酸量が58〜62.5%のセルローストリアセテートである。
【0042】
本発明に係るセルローストリアセテートは、綿花リンターから合成されたセルローストリアセテートと木材パルプから合成されたセルローストリアセテートのどちらかを単独あるいは混合して用いることができる。ベルトやドラムからの剥離性がもし問題になれば、ベルトやドラムからの剥離性が良い綿花リンターから合成されたセルローストリアセテートを多く使用すれば生産性が高く好ましい。
【0043】
木材パルプから合成されたセルローストリアセテートを混合し用いた場合、綿花リンターから合成されたセルローストリアセテートの比率が40質量%以上で、剥離性の効果が顕著になるため好ましく、60質量%以上がさらに好ましく、単独で使用することが最も好ましい。
【0044】
樹脂の性質によって、溶液流延法によって製膜する方法とエクストルーダ等による溶融押出し成型にて溶融状態で樹脂を押し出し製膜する方法が可能であるが、光学異方性が少ないフィルムを得るためや、高い膜厚精度、面品質を得るには溶液流延法によって製膜することがより好ましい。
【0045】
本発明の光拡散フィルムは30μm〜3mm程度の膜厚のものが用途に応じて好ましく用いられる。用途により求められるヘイズ値は異なるが、本発明によればヘイズ値30%以上の光拡散フィルムが容易に作製可能であり、好ましくは50%更に70%以上の光拡散フィルムも作製することができる。
【0046】
本発明の光拡散フィルムに用いられる微粒子は、下記の無機物および/または有機物が単独であるいは適宜組み合わされて用いられる。
【0047】
例えば、無機粒子としては二酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム等を挙げることができ、また有機粒子としては、アクリル樹脂、有機シリコーン樹脂、ポリスチレン、尿素樹脂、ホルムアルデヒド縮合物、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂、アクリルスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、シリコン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、メラミン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、あるいはポリ弗化エチレン系樹脂等からなるものが用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0048】
本発明に係る二酸化珪素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。
【0049】
本発明に係る酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名で市販されているものが使用できる。
【0050】
有機化合物としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。
【0051】
上記記載のシリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。
【0052】
本発明の光拡散フィルムを構成するこれらの微粒子と微粒子を分散させる樹脂との屈折率差は、0.02以上が好ましい。屈折率差が0.02未満では、光拡散効果が小さいため、微粒子添加量を増やすことになり、機械的強度が低下することがある。
【0053】
これらの粒子粉末の体積平均粒径としては、0.01〜50μmが用いられる。好ましくは0.1〜30μmの微粒子が用いられ、特に好ましくは1〜20μmの微粒子が用いられる。又、異なる平均粒径を有する微粒子を同時に添加することが光拡散性を高めるために好ましく用いられる。添加の割合は、求められる光拡散性によるが、固形分あたり1〜30質量%となるように添加されていることが望ましい。更に好ましくは5〜15質量%が好適である。添加量が多くなるとフィルムの機械的性質が低下し、添加量が少ないと十分な光拡散性を得ることが難しい。
【0054】
本発明に係る微粒子の分散液を調製する方法としては、例えば以下に示すような3種類が挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。
【0055】
(調製方法A)
溶剤と微粒子を撹拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。微粒子分散液をドープ液に加えて撹拌する。
【0056】
(調製方法B)
溶剤と微粒子を撹拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。別に溶剤に少量の樹脂を加え、撹拌溶解する。これに前記微粒子分散液を加えて撹拌する。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
【0057】
(調製方法C)
溶剤に少量の樹脂を加え、撹拌溶解する。これに微粒子を加えて分散機で分散を行う。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
【0058】
調製方法Aは微粒子の分散性に優れ、調製方法Cは微粒子が再凝集しにくい点に優れている。調製方法Bは微粒子の分散性と、微粒子が再凝集しにくい等、両方に優れているため好ましい調製方法である。
【0059】
(分散方法)
微粒子を溶剤などと混合して分散するときの微粒子の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%がさらに好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。
【0060】
使用される溶剤は、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、或いは酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アルコール類が用いられ、特に低級アルコール類が好ましく、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。
【0061】
分散機は通常の分散機が使用できる。分散機は大きく分けてメディア分散機とメディアレス分散機に分けられる。
【0062】
メディア分散機としてはボールミル、サンドミル、ダイノミルなどがあげられる。
【0063】
メディアレス分散機としては超音波型、遠心型、高圧型などがある。高圧分散装置は、微粒子と溶媒を混合した組成物を、細管中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態など特殊な条件を作りだす装置である。高圧分散装置で処理する場合、例えば、管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が10MPa以上であることが好ましい。更に好ましくは20MPa以上である。またその際、最高到達速度が100m/秒以上に達するもの、伝熱速度が418kJ/時間以上に達するものが好ましい。
【0064】
上記のような高圧分散装置にはMicrofluidics Corporation社製超高圧ホモジナイザ(商品名マイクロフルイダイザ)あるいはナノマイザ社製ナノマイザがあり、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えばイズミフードマシナリ製ホモジナイザ、三和機械(株)社製UHN−01等が挙げられる。
【0065】
光拡散性を持たせるための微粒子を含むドープを支持体上に流延して製膜すると、特に支持体に接していた側の表面は非常に平滑な面を有するフィルムとなり、表面粗さRaが0.2μm以下の光拡散性フィルムを容易に得ることが出来る。これにより、支持体に接していた側を平滑性が求められる側として利用することができる。
【0066】
本発明において、表層とは、フィルム表面から中心方向に深さ10μmまでの領域をさし、フィルムの内部(もしくは内部領域)とは前記表層を除く領域をさす。
【0067】
少なくとも2種以上のドープを使用し、該ドープを支持体上に同時又は逐次流延した後、剥離後乾燥させて、ヘイズ30%以上のフィルムを作製するには、流延する支持体側(B面側)に用いられるドープと空気側(A面側)に用いられるドープの少なくとも一方に光拡散性を付与するための微粒子を添加すればよいが、好ましくは、流延する支持体側(B面側)に用いられるドープに微粒子を多く添加し、空気側(A面側)に用いられるドープの微粒子の添加量を少なくすることによって、支持体側(B面側)のみでなく、空気側の表面(A面側)も平滑な面を有するフィルムとすることができ好ましい。
【0068】
また、更に好ましくは少なくとも2種以上のドープを使用し、該ドープを支持体上に同時又は逐次流延した後、剥離後乾燥させて光拡散フィルムを作製する際に、用いられるドープが、流延する支持体側(B面側)に用いられるドープと空気側(A面側)に用いられるドープとこれら2種のドープに挟まれて主にフィルムの内部領域を形成する1種以上のドープからなり、内部領域を形成するために用いられる少なくとも1つのドープ中に光拡散性を持たせるための微粒子が含有されるようにする。この場合、内部領域を形成するために用いられる少なくとも1つのドープに光拡散性を付与するための微粒子が含まれており、かつ両方の表面に微粒子が含有されていない、平滑な面を有する光拡散フィルムが得られる。
【0069】
本発明のセルロースエステル積層フィルムの膜厚について説明する。
【0070】
光拡散フィルムの全体の膜厚が一定の場合、セルロースエステル積層フィルムの表面の層の膜厚が薄い程、ヘイズが高く、且つ、機械強度に優れ、膜厚が厚い程、アルカリ処理時の紫外線吸収剤の溶出を抑えることができ、生産性に優れる。これらを両立する表面の層の膜厚は好ましくは5〜20μm、更に好ましくは7〜15μmであり、最も好ましいのは10μmである。
【0071】
セルロースエステルフィルム全体の膜厚が薄すぎると、偏光板の保護フィルムとしての強度が不足し、偏光板の寸法安定性や湿熱での保存安定性が悪化する。或いは充分な光拡散効果が得にくくなる。また、膜厚が厚いと偏光板が厚くなり、液晶ディスプレイの薄膜化が困難になる。これらを両立するセルロースエステル積層フィルムの膜厚は30〜1000μmで、好ましくは40〜500μm、更に好ましくは50〜300μmである。
【0072】
偏光板は、一般的な方法で作製することができる。例えば、セルロースエステルからなる本発明の光拡散フィルムの場合、アルカリ処理し、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の両面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリケン化処理とは、このときの水系接着剤の濡れを良くし、接着性を向上させるために、セルロースエステルフィルムを高温の強アルカリ液中に浸ける処理のことをいう。
【0073】
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。これらは、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸した後染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。該偏光膜を本発明の光拡散フィルムと別の偏光板用保護フィルムである透明なプラスチックフィルムでサンドイッチし張り合わすことにより偏光板を形成する。
【0074】
本発明のセルロースエステル積層フィルムの製造方法を図1及び図2で示される工程図を参照しながら、説明する。
【0075】
図1は、本発明のセルロースエステル積層フィルムの製造装置の一例を示す工程図であり、図2は、図1のスリットダイ6の断面図を示す。
【0076】
セルロースエステルドープ液を調液するドープ液タンク1には、ドープ液1aが投入されており、微粒子添加液タンク2には、微粒子添加液2aが投入されている。
【0077】
ドープ液1aは送液ポンプ4b、4cにより、インラインミキサー5a、5bまで送られ、微粒子添加液2aはポンプ4aによってインラインミキサー5aまで送られる。インラインミキサー5aでドープ液1aと微粒子添加液2aは充分混合され、スリットダイ6のスリット12に送られる。
【0078】
同様に、インラインミキサー5bで、ドープ液1aと紫外線吸収剤添加液3aは充分混合され、スリットダイ6のスリット13に送られる。
【0079】
スリットダイ6により、真ん中の層は、ドープ液1aと微粒子添加液2aの混合液で構成され、上下表面の層は、ドープ液1aと紫外線吸収剤添加液3aの混合液の状態で流延口11から共流延され、ドラム7より連続的に移動する流延ベルト8上に流延される。流延された3層からなるセルロースエステルドープ層は、乾燥後、セルロースエステル積層フィルム10として、ローラ9により流延ベルトから、剥離される。
【0080】
本発明の製造方法に係る共流延の方法について説明する。
【0081】
共流延とは、異なったダイを通じて2層または3層以上の構成にする逐次多層流延方法、2つまたは3つ以上のスリットを有するダイ内で合流させ2層または3層以上の構成にする同時多層流延方法、逐次多層流延と同時多層流延を組み合わせた多層流延方法のいずれであっても良い。
【0082】
本発明において、樹脂が溶解しているドープ液とは、セルロースエステル等の樹脂が溶剤(溶媒)に溶解している状態であり、前記ドープ液には、可塑剤等の添加剤を加えることが望ましく、勿論、必要によりこの他の添加剤を加えることも出来る。ドープ液中の樹脂の濃度としては、10〜30質量%が好ましく、更に好ましくは、18〜20質量%である。
【0083】
本発明で用いられる溶剤は、単独でも併用でもよいが、良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが、生産効率の点で好ましく、更に好ましくは、良溶剤と貧溶剤の混合比率は良溶剤が70〜95質量%であり、貧溶剤が30〜5質量%である。
【0084】
本発明に用いられる良溶剤、貧溶剤とは、使用する樹脂を単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。そのため、樹脂の結合カルボン酸量によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いるときには、セルロースエステルの場合の結合酢酸量55%では良溶剤になり、結合酢酸量60%では貧溶剤となってしまう。
【0085】
本発明に用いられる良溶剤としては、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類が挙げられる。
【0086】
また、本発明に用いられる貧溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン等が好ましく用いられる。
【0087】
上記記載のドープ液を調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができるが、好ましい方法としては、セルロースエステルを貧溶剤と混合し、湿潤あるいは膨潤させ、さらに良溶剤と混合する方法が好ましく用いられる。このとき加圧下で、溶剤の常温での沸点以上でかつ溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱し、攪拌しながら溶解する方法が、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため、より好ましい。
【0088】
加圧は窒素ガスなどの不活性気体を圧入する方法や、加熱による溶剤の蒸気圧の上昇によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えば、ジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
【0089】
溶剤を添加しての加熱温度は、使用溶剤の沸点以上で、かつ該溶剤が沸騰しない範囲の温度が好ましく例えば60℃以上、70〜110℃の範囲に設定するのが好適である。又、圧力は設定温度で、溶剤が沸騰しないように調整される。
【0090】
溶解後は冷却しながら容器から取り出すか、または容器からポンプ等で抜き出して熱交換器などで冷却し、これを製膜に供する。このときの冷却温度は常温まで冷却してもよいが、沸点より5〜10℃低い温度まで冷却し、その温度のままキャスティングを行うほうが、ドープ粘度を低減できるためより好ましい。
【0091】
例えば、前述の様に、本発明に係る2層以上のセルロースエステル積層フィルムの製造においては、セルロースエステルを溶剤に溶解させたドープ液と微粒子と少量のセルロースエステルが溶解している溶液とをインラインミキサーで混合、分散して作製したドープ液とセルロースエステルが溶解しているドープ液(必要に応じて、別途、インラインで添加された紫外線吸収剤等が添加される)とを複数のスリットを有するダイスリットを用いて、微粒子を含有しているドープ液が直接、流延ベルト上に流延されるようにして、共流延(キャスト工程)し、次いで、加熱して溶剤の一部を除去(流延ベルト上の乾燥工程)した後、流延ベルトから剥離し、剥離したフィルムを乾燥(フィルム乾燥工程)することにより、本発明の光拡散フィルムが得られる。
【0092】
キャスト工程における支持体はベルト状もしくはドラム状のステンレスを鏡面仕上げした支持体が好ましく用いられる。キャスト工程の支持体の温度は一般的な温度範囲0℃〜溶剤の沸点未満の温度で、流延することができるが、0〜30℃の支持体上に流延するほうが、ドープをゲル化させ剥離限界時間をあげられるため好ましく、5〜15℃の支持体上に流延することがさらに好ましい。剥離限界時間とは透明で平面性の良好なフィルムを連続的に得られる流延速度の限界において、流延されたドープが支持体上にある時間をいう。剥離限界時間は短い方が生産性に優れていて好ましい。
【0093】
流延(キャスト)される側の支持体の表面温度は、10〜55℃、溶液の温度は、25〜60℃、更に溶液の温度を支持体の温度より0℃以上高くするのが好ましく、5℃以上に設定するのが更に好ましい。溶液温度、支持体温度は、高いほど溶媒の乾燥速度が速くできるので好ましいが、あまり高すぎると発泡したり、平面性が劣化する場合がある。
【0094】
支持体の温度の更に好ましい範囲は、20〜40℃、溶液温度の更に好ましい範囲は、35〜45℃である。
【0095】
また、剥離する際の支持体温度を10〜40℃、更に好ましくは、15〜30℃にすることでフィルムと支持体との密着力を低減できるので、好ましい。
【0096】
製造時のセルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、支持体から剥離する際の残留溶媒量は、10〜80%が好ましく、更に好ましくは、20〜40%または60〜80%であり、特に好ましくは、20〜30%である。
【0097】
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
【0098】
残留溶媒量=(加熱処理前質量−加熱処理後の質量)/(加熱処理後質量)×100%
尚、残留溶媒量を測定する最の、加熱処理とは、フィルムを115℃で1時間、加熱処理を行うことを表す。
【0099】
支持体とフィルムを剥離する際の剥離張力は、通常200〜250N(Newton)/mで剥離が行われるが、セルロースエステルの単位質量あたりの紫外線吸収剤の含有量が多く、且つ、従来よりも薄膜化されている本発明のセルロースエステルフィルムは、剥離の際にシワが入りやすいため、剥離できる最低張力〜170N/mで剥離することが好ましく、更に好ましくは、最低張力〜140N/mで剥離することである。
【0100】
また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、支持体より剥離したフィルムを更に乾燥し、残留溶媒量を3質量%以下にすることが好ましい、更に好ましくは、0.5質量%以下である。
【0101】
フィルム乾燥工程では一般にロール懸垂方式か、ピンテンター方式でフィルムを搬送しながら乾燥する方式が採られる。液晶表示部材用としては、ピンテンター方式で幅を保持しながら乾燥させることが、寸法安定性を向上させるために好ましい。特に支持体より剥離した直後の残留溶剤量の多いところで幅保持を行うことが、寸法安定性向上効果をより発揮するため特に好ましい。フィルムを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行う。簡便さの点で熱風で行うのが好ましい。乾燥温度は40〜150℃の範囲で3〜5段階の温度に分けて、段々高くしていくことが好ましく、80〜140℃の範囲で行うことが寸法安定性を良くするためさらに好ましい。
【0102】
流延する支持体側(B面側)に用いられるドープ又は空気側(A面側)に用いられるドープにも少量の微粒子を添加することができ、フィルム表面のすべり性を高める効果も期待される。すべり性は動摩擦係数によって表現されるが、動摩擦係数としてはフィルム表面と裏面間の動摩擦係数で、JIS−K−7125(1987)に準じて測定した場合に、2以下であることが好ましく1.5以下であることがさらに好ましく、1.0以下であることがさらに好ましく、0.5以下であることがさらに好ましい。マット剤添加量を増やすことによって動摩擦係数は低くすることができる。これらの粒子の添加によってすべり性を高めてブロッキングを防止するには、体積平均粒径としては、0.01μm〜0.5μmの粒子を0.005〜5質量%用いることが好ましい。
【0103】
例えば空気側(A面側)等では、面品質を維持するためには表面の微粒子添加量は少ないことが好ましく、さらに接着性を維持するためにも表面の微粒子添加量は少ないことが望ましい。本発明によれば表面粗さRaが0.2μm以下の光拡散フィルムを容易に作製することができる。
【0104】
本発明の光拡散フィルムの製造では流延後剥離した後にテンター等の手段によって横方向に延伸されることが好ましく、これにより高い平面性を維持させることが好ましい。これによって、長期に渡って反りが発生しない光拡散フィルムを得ることができる。テンターは残留溶媒量が10〜40質量%の範囲でかけることが望ましい。更に好ましくは15〜35質量%である。残留溶媒量は前述した式により溶媒を含むフィルムを115℃で1時間処理した際の前後の質量変化と加熱処理後のフィルムの質量から求められる。
【0105】
又、本発明の方法で製造された光拡散フィルムは光学的等方性にも優れ、膜厚方向のリターデーション(Rt)値で100nm以下の光拡散フィルムが得られ、50nm以下の光拡散フィルムも得ることができ、更に、0〜30nmの光拡散フィルムも得ることができる点で優れている。更に、本発明の方法は均一なリターデーションが得られる点でも優れている。
【0106】
リターデーション(Rt)値は、以下の式で表される。
【0107】
Rt=((Nx+Ny)/2−Nz)×d
式中、Nxはフィルムの製膜方向に平行な方向におけるフィルムの屈折率、Nyは製膜方向に垂直な方向におけるフィルムの屈折率、Nzは厚み方向におけるフィルムの屈折率、dはフィルムの厚み(nm)を各々表す。
【0108】
例えば、リターデーションの測定は自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、アルカリ鹸化処理前の試料を23℃、55%RHの環境下で590nmの波長において、3次元屈折率測定を行い、Nx,Ny,Nzを測定し、これによりRt値を算出することができる。
【0109】
微粒子を含有する部分には可塑剤を添加することが好ましく、微粒子を含有することによって脆くなってしまうフィルムに柔軟性を与えることができ、密着性も向上する。
【0110】
可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが好ましく用いられる。リン酸エステルとしては、トリフェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)、ビフェニル−ジフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的なものである。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)、エチルフタリルエチルグリコレート等が用いられる。クエン酸エステルとしては、クエン酸アセチルトリエチル(OACTE)およびクエン酸アセチルトリブチル(OACTB)が用いられる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DEHP)が好ましく用いられるがこれらに限定されるものではない。
【0111】
可塑剤の添加量はフィルム中に好ましくは1〜20質量%で添加され、好ましくは2〜15質量%で添加することが望ましい。
【0112】
更に、特に凝固点が25℃以下の可塑剤がフィルムに柔軟性を与え、樹脂と微粒子との密着性を維持するために好ましく用いられる。
【0113】
また、本発明の光拡散フィルムに、紫外線吸収剤を含有させることによって、高い紫外線吸収能を有する光拡散フィルムを得ることが出来る。これは透明な樹脂フィルムを直線的に通過するよりも光拡散層で散乱、拡散してより長い距離を通過することになることによるものと考えられ、同等の紫外線吸収能ならば紫外線吸収剤の添加量を少なくすることもできる。より好ましくは添加する微粒子にも紫外線吸収性を持たせることが望ましい。
【0114】
本発明に有用な紫外線吸収剤としては、サリチル酸誘導体(UV−1)、ベンゾフェノン誘導体(UV−2)、ベンゾトリアゾール誘導体(UV−3)、アクリロニトリル誘導体(UV−4)、安息香酸誘導体(UV−5)又は有機金属錯塩(UV−6)等があり、それぞれ(UV−1)としては、サリチル酸フェニル、4−t−ブチルフェニルサリチル酸等を、(UV−2)としては、2−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等を、(UV−3)としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−5′−ジ−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等を、(UV−4)としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、メチル−α−シアノ−β−(p−メトキシフェニル)アクリレート等を、(UV−5)としては、レゾルシノール−モノベンゾエート、2′,4′−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等を、(UV−6)としては、ニッケルビス−オクチルフェニルサルファミド、エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸のニッケル塩等を挙げることができる。
【0115】
本発明で好ましく用いられる上記記載の紫外線吸収剤は、透明性が高く、偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。本発明に用いられる紫外線吸収剤添加液の添加方法としては、下記に記載の方法が挙げられる。
【0116】
(添加方法A)
紫外線吸収剤添加液の調製方法としては、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランなどの有機溶剤に紫外線吸収剤を溶解してから直接ドープ組成中に添加する。
【0117】
(添加方法B)
紫外線吸収剤添加液の調製方法としては、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランなどの有機溶剤に紫外線吸収剤と少量のセルロースエステルを溶解してからインラインミキサーでドープに添加する。
【0118】
添加方法Bの方が、紫外線吸収剤の添加量を容易に調整できるため、生産性に優れていて好ましい。
【0119】
紫外線吸収剤の使用量は化合物の種類、使用条件などにより一様ではないが、通常は光拡散フィルム1m当り、0.1g〜2.0gが好ましく、0.3g〜1.5gがさらに好ましく、0.5g〜1.0gが特に好ましい。
【0120】
本発明の別の実施態様では溶融押出し成型によって製膜する方法も提供する。すなわち、ポリエステル等の熱可塑性樹脂を溶融押し出し成型して光拡散フィルムを作製する際に、光拡散性を付与するための微粒子を含む樹脂を延伸して光拡散フィルムを作製することによって、均一で平面性の良好な光拡散フィルムを得ることができたのである。以下に具体的に説明する。
【0121】
本発明の光拡散フィルムには、ポリエステルも好ましく用いられる。ポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。
【0122】
主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2−6ナフタレンジカルボン酸、2−7ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオール等を挙げることができる。
【0123】
これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性等の点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸及び/又は2−6ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコール及び/又はジエチレングリコールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン2−6ナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2−6ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、及びこれらのポリエステルの二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。ポリエステルに対してエチレンテレフタレートユニット(成分)又はエチレン2−6ナフタレンユニット(成分)が70質量%以上含有されていると、樹脂自身の透明性、機械的強度、寸法安定性などに高度に優れたフィルムが得られる。
【0124】
本発明の光拡散フィルムに用いられるポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、更に他の共重合成分が共重合されていても良いし、他のポリエステルが混合されていても良い。これらの例としては、先に挙げたジカルボン酸成分やジオール成分、またはそれらから成るポリエステルを挙げることができる。
【0125】
本発明の光拡散フィルムに用いられるポリエステルフィルムを構成するポリエステルには、スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体、ポリオキシアルキレン基を有するジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体、ポリオキシアルキレン基を有するジオールなどを共重合しても良い。ポリエステルの重合反応性やフィルムの透明性の点で、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、4−ナトリウムスルホフタル酸、4−ナトリウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸及びこれらのナトリウムを他の金属(例えばカリウム、リチウムなど)やアンモニウム塩、ホスホニウム塩などで置換した化合物又はそのエステル形成性誘導体、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体及びこれらの両端のヒドロキシ基を酸化するなどしてカルボキシル基とした化合物などが好ましい。また、フィルムの耐熱性を向上する目的では、ビスフェノール系化合物、ナフタレン環又はシクロヘキサン環を有する化合物を共重合することができる。
【0126】
また、本発明の光拡散フィルムに用いられるポリエステルには、光拡散性を付与するため前出の微粒子を添加することができる。特に溶融状態で製膜する場合、水分を嫌うため、添加する微粒子は充分に乾燥されたものを添加・混練することが望ましい。
【0127】
本発明の光拡散フィルムに用いられるポリエステルには、酸化防止剤が含有されていても良い。特にポリエステルが、ポリオキシアルキレン基を有する化合物を含む場合に、本発明の目的の効果が顕著となる。含有させる酸化防止剤はその種類につき特に限定はなく、各種の酸化防止剤を使用することができるが、例えばヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物などの酸化防止剤を挙げることができる。中でも透明性の点でヒンダードフェノール系化合物の酸化防止剤が好ましい。
【0128】
酸化防止剤の含有量は、通常、ポリエステルに対して0.01〜2質量%、好ましくは0.1〜0.5質量%である。
【0129】
本発明のポリエステルフィルムには、必要に応じて易滑性を付与することもできる。易滑性付与手段としては、特に限定はないが、ポリエステルに不活性無機粒子を添加する外部粒子添加方法、ポリエステルの合成時に添加する触媒を析出させる内部粒子析出方法、あるいは界面活性剤などをフィルム表面に塗布する方法などが一般的である。
【0130】
本発明のポリエステルフィルムの原料のポリエステルの合成方法は、特に限定があるわけではなく、従来公知のポリエステルの製造方法に従って製造できる。例えば、ジカルボン酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させる直接エステル化法、初めにジカルボン酸成分としてジアルキルエステルを用いて、これとジオール成分とでエステル交換反応させ、これを減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去することにより重合させるエステル交換法を用いることができる。この際、必要に応じてエステル交換触媒あるいは重合反応触媒を用い、あるいは耐熱安定剤を添加するができる。また、合成時の各過程で着色防止剤、酸化防止剤、結晶核剤、滑り剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、粘度調節剤、消泡剤、透明化剤、帯電防止剤、pH調整剤、染料、顔料などを添加させても良い。
【0131】
(本発明におけるガラス転移温度Tg、結晶化温度Tc及び融点Tmの定義)
フィルムあるいはペレット10mgを、毎分300mlの窒素気流中、300℃で溶融し、直ちに液体窒素中で急冷する。この急冷サンプルを示差走査型熱量計(理学電器社製、DSC8230型)にセットし、毎分100mlの窒素気流中、毎分10℃の昇温速度で昇温し、Tg、Tc及びTmを検出する。Tgはベースラインが偏奇し始める温度と、新たにベースラインに戻る温度との平均値、Tcはその発熱ピークのピーク温度、Tmはその吸熱ピークのピーク温度とした。なお、測定開始温度は、測定されるTgより50℃以上低い温度とする。
【0132】
次に、本発明のポリエステルを用いた本発明の光拡散フィルムの製造方法について説明する。
【0133】
本発明においてポリエステルフィルムは、一方向の延伸倍率が1.0〜2.0倍、それと直交する方向の延伸倍率が2.3〜7.0倍に二軸延伸製膜されたポリエステルフィルムであることが好ましく、より好ましくは、縦方向の延伸倍率が1.0〜2.0倍、横方向の延伸倍率が2.3〜7.0倍に二軸延伸製膜されたポリエステルフィルムであり、さらに好ましくは、縦方向の延伸倍率が1.1〜1.8倍、横方向の延伸倍率が3.0〜6.0倍に二軸延伸製膜されたポリエステルフィルムである。
【0134】
上記ポリエステルフィルムを得るには、従来公知の方法で行うことができ特に限定されないが、以下のような方法で行うことができる。縦方向とは、フィルムの製膜方向(長手方向)を、横方向とはフィルムの製膜方向と直角方向のことをいう。
【0135】
まず、原料のポリエステルをペレット状に成型し、熱風乾燥又は真空乾燥した後、光拡散性を付与するための微粒子を添加、混合して分散させ、溶融押出し、Tダイよりシート状に押出して、静電印加法などにより冷却ドラムに密着させ、冷却固化させ、未延伸シートを得る。この時、微粒子を含む樹脂が微粒子を含まない樹脂でサンドイッチされるように共押し出しすることもできる。
【0136】
次いで、得られた未延伸シートを複数のロール群及び/又は赤外線ヒーターなどの加熱装置を介してポリエステルのガラス転移温度(Tg)からTg+100℃の範囲内に加熱し、一段又は多段縦延伸する方法である。本発明において、縦方向の延伸倍率は1.0〜2.0倍の範囲であることが好ましく、より好ましくは、1.1〜1.8倍の範囲である。
【0137】
次に、上記の様にして得られた縦方向に延伸されたポリエステルフィルムを、Tg〜Tm−20℃の温度範囲内で、横延伸し次いで熱固定する。本発明において、横方向の延伸倍率は、2.3〜7.0倍の範囲であることが好ましく、より好ましくは3.0〜6.0倍の範囲、更に好ましくは4.0〜6.0倍の範囲である。
【0138】
横延伸する場合、2つ以上に分割された延伸領域で温度差を1〜50℃の範囲で順次昇温しながら横延伸すると巾方向の物性の分布が低減でき好ましい。更に横延伸後、フィルムを、その最終横延伸温度以下でTg−40℃以上の範囲に0.01〜5分間保持する巾方向の物性の分布が更に低減でき好ましい。
【0139】
熱固定は、その最終横延伸温度より高温で、Tm−150℃〜Tm−25℃の温度範囲内で通常0.5〜300秒間熱固定する。熱固定温度はより好ましくはTm−140℃〜Tm−60℃の温度範囲で、更に好ましくは、Tm−130℃〜Tm−70℃の温度範囲で熱固定することである。この際、2つ以上に分割された領域で温度差を1〜100℃の範囲で順次昇温しながら熱固定することがより好ましい。
【0140】
熱固定されたフィルムは通常Tg以下まで冷却され、フィルム両端のクリップ把持部分をカットし巻き取られる。この際、最終熱固定温度以下、Tg以上の温度範囲内で、横方向及び/又は縦方向に0.1〜10%弛緩処理することが好ましい。また、冷却は、最終熱固定温度からTgまでを、毎秒100℃以下の冷却速度で徐冷することが好ましい。冷却、弛緩処理する手段は特に限定はなく、従来公知の手段で行えるが、特に複数の温度領域で順次冷却しながら、これらの処理を行うことが、フィルムの寸法安定性向上の点で好ましい。なお、冷却速度は、最終熱固定温度をTl、フィルムが最終熱固定温度からTgに達するまでの時間をtとしたとき、(Tl−Tg)/tで求めた値である。
【0141】
これら熱固定条件、冷却、弛緩処理条件のより最適な条件は、フィルムを構成するポリエステルにより異なるので、得られた二軸延伸フィルムの物性を測定し、好ましい特性を有するように適宜調整することにより決定すれば良い。
【0142】
また、上記フィルム製造に際し、延伸の前及び/又は後で帯電防止層、易滑性層、接着層、バリアー層などの機能性層を塗設しても良い。この際、コロナ放電処理、プラズマ処理、薬液処理などの各種表面処理を必要に応じて施すことができる。カットされたフィルム両端のクリップ把持部分は、粉砕処理された後、あるいは必要に応じて造粒処理や解重合・再重合などの処理を行った後、同じ品種のフィルム用原料として又は異なる品種のフィルム用原料として再利用しても良い。
【0143】
本発明の一方向のみに延伸製膜されたポリエステルフィルムとは、上記二軸延伸製膜において、どちらか一方向のみを行うことで得られる。延伸する方向は、縦方向、横方向いずれでも良いが、より好ましくは、横方向のみに延伸製膜する方法である。この場合、延伸倍率は2.3〜7.0倍の範囲であることが好ましく、より好ましくは3.0〜6.0倍の範囲、更に好ましくは4.0〜6.0倍の範囲である。上記のようにして製膜されたポリエステルフィルムの面方向においての屈折率は、横方向の屈折率(nTD)と縦方向の屈折率(nMD)との差nTD−nMDが0.03以上であることが好ましく、より好ましくは0.04以上、更に好ましくは0.05以上である。
【0144】
本発明において、上記のように製膜されたポリエステルフィルムの80℃30分処理での熱収縮率が縦・横方向ともに5%以下であることが好ましい。より好ましくは、熱収縮率が縦・横方向ともに2%以下、更に好ましくは、1%以下である。
【0145】
本発明で用いるポリエステルフィルムのTgは、50℃以上が好ましく、更に60℃以上が好ましい。Tgは示差走査熱量計で測定するところのベースラインが偏奇し始める温度と、新たにベースラインに戻る温度との平均値として求められる。
【0146】
本発明において、光拡散フィルムの表面が導電性を有することが好ましく、表面比抵抗(23℃、25%RH)が1×1012Ω/□以下であることが好ましい。より好ましくは、1×1011Ω/□以下、更に好ましくは、1×1010Ω/□以下である。
【0147】
本発明において導電性を付与するには特に限定されないが、吸湿性物質又は導電性物質を含有させることによって形成することができる。これら導電性を付与させる物質としては、例えば、界面活性剤、導電性ポリマー、無機金属酸化物を挙げることができる。
【0148】
用いることができる界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、両性及びノニオン性のいずれでも良い。アニオン性界面活性剤としては、例えばアルキルカルボン酸塩、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキル硫酸エステル類、アルキルリン酸エステル類、N−アシル−N−アルキルタウリン類、スルホコハク酸エステル類、スルホアルキルポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル類などのような、カルボキシ基、スルホ基、ホスホ基、硫酸エステル基、燐酸エステル基等の酸性基を含むものが好ましい。
【0149】
カチオン性界面活性剤としては、例えばアルキルアミン塩類、脂肪族あるいは芳香族第4級アンモニウム塩類、ピリジニウム、イミダゾリウムなどの複素環第4アンモニウム塩類、及び脂肪族又は複素環を含むホスホニウム又はスルホニウム塩類等が好ましい。
【0150】
両性界面活性剤としては、例えばアミノ酸類、アミノアルキルスルホン酸類、アミノアルキル硫酸又は燐酸エステル類、アルキルベタイン類、アミンオキシド類等が好ましい。
【0151】
ノニオン性界面活性剤としては、例えばサポニン(ステロイド系)、アルキレンオキサイド誘導体(例えばポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール縮合物、ポリエチレングリコールアルキルエーテル類又はポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリエチレングリコールエステル類、ポリエチレングリコールソルビタンエステル類、ポリアルキレングルコールアルキルアミン又はアミド類、シリコーンのポリエチレンオキサイド付加物類)、グリシドール誘導体(例えばアルケニルコハク酸ポリセリド、アルキルフェノールポリグリセリド)、多価アルコール脂肪酸エステル類等のアルキルエステル類等が好ましい。
【0152】
導電性ポリマーは、特に限定されず、アニオン性、カチオン性、両性及びノニオン性のいずれでも良いが、その中でも好ましいのは、アニオン性、カチオン性である。より好ましいのは、アニオン性では、スルホン酸系、カルボン酸系、カチオン性では、3級アミン系、4級アンモニウム系のポリマー又はラテックスである。
【0153】
これらの導電性ポリマーは、例えば特公昭52−25251号、特開昭51−29923号、特公昭60−48024号記載のアニオン性ポリマー又はラテックス、特公昭57−18176号、同57−56059号、同58−56856号、米国特許第4,118,231号などに記載のカチオン性ポリマー又はラテックスを挙げることができる。
【0154】
本発明の光拡散フィルムは耐擦傷性を向上させるために必要に応じて表面にクリアハードコート層を塗設することもできる。このため活性線硬化樹脂(例えば紫外線硬化樹脂)あるいは熱硬化樹脂を含む塗布組成物を塗設することができるが、塗布する下面の表面粗さが粗いと、クリアハードコートの表面が増幅されて粗くなることがある。しかしながら、本発明の光拡散フィルムは平面性に優れ、表面粗さも小さいため、クリアハードコート層を設ける場合においても、その表面において良好な平面性を得ることができるのである。
【0155】
さらに、本発明の光拡散フィルムには必要に応じて、表層もしくは内部に帯電防止剤を添加することもできる。又、塗布によって帯電防止層、反射防止層、易接着層を塗設することができる。
【0156】
本発明の光拡散フィルムは表面を改質するため、コロナ放電処理、プラズマ放電処理を施すことも可能であり、これによって接着層等の濡れ性を改善したり、接着性をより高めることもできる。
【0157】
本発明の光拡散フィルムは透過型スクリーン部材のレンチキュラーシートに接着剤を介して貼合し利用することができ、良好な光拡散性はもとより、平面性に優れるため特に良好な接着性を持たせることができる。
【0158】
本発明の光拡散フィルムは、偏光板保護フィルムの一部として用いることもできる。偏光板は、一般的な方法で作製することができる。例えば、セルロースエステルからなる本発明の光拡散フィルムの場合、アルカリ処理し、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の両面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリケン化処理とは、このときの水系接着剤の濡れを良くし、接着性を向上させるために、セルロースエステルフィルムを高温の強アルカリ液中に浸ける処理のことをいう。
【0159】
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、前述のように、ポリビニルアルコール系偏光フィルムがよく知られており、該偏光膜を本発明の光拡散フィルムと別の偏光板用保護フィルムである透明なプラスチックフィルムでサンドイッチし張り合わされて偏光板が形成される。
【0160】
又、本発明の光拡散フィルムは透過型の液晶表示装置や広告板等のバックライトとして使われるサイドライト方式の面光源装置に使われている導光板に接着されて使用することもできる。又、サイドライト方式だけでなく直下型の面光源装置にも利用することが出来、更に液晶表示装置以外にも各種の機器の光拡散フィルムとして使用することができる。
【実施例】
【0161】
以下、実施例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0162】
実施例1
表1に示した成分を含む微粒子が分散された各々のドープを以下のように作製した。
【0163】
まず、微粒子はエタノール10kgに添加して分散した。残りのエタノールとこれ以外の組成物を密閉容器に投入し、加圧下で80℃に保温し撹拌しながら完全に溶解した後、濾過した。更にここに微粒子が分散されたエタノール液を添加して十分に混合した後、再度濾過を行った。
【0164】
【表1】

【0165】
上記で用いた化合物を以下に記す。
【0166】
CAP:
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度1.9、プロピオニル置換度0.8、数平均分子量100,000)
TAC:
セルローストリアセテート(平均酢化度 61%)
PC :
ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量4万、ビスフェノールA型)
UV吸収剤A1:
チヌビン326(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)0.3kg
チヌビン109(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)0.4kg
チヌビン117(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)0.4kg
UV吸収剤A2:
チヌビン326(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)0.1kg
チヌビン109(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)0.2kg
チヌビン117(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)0.2kg
UV吸収剤A3:
チヌビン326(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)0.3kg
チヌビン109(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)0.5kg
チヌビン117(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)0.5kg
可塑剤B:
トリフェニルフォスフェート 11kg
可塑剤C:
トリフェニルフォスフェート 8kg
エチルフタリルエチルグリコレート 3kg
微粒子D:
ポリスチレン微粒子(平均粒径10μm) 15kg
微粒子E:
アエロジルR972V(日本アエロジル(株)製) 0.1kg
微粒子F:
アエロジルR972V(日本アエロジル(株)製) 10kg
微粒子G:
ポリスチレン微粒子(平均粒径2μm) 5kg
ポリスチレン微粒子(平均粒径10μm) 5kg
次に、これをそれぞれ冷却して33℃に保ち、ステンレスバンド上に均一に流延し、33℃で5分間乾燥した。ステンレスバンド上から剥離後、テンターを残留溶媒量が10〜30質量%で延伸倍率が1.01〜1.05倍となるように行った。
【0167】
更に多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、表2の光拡散フィルム1〜5を得た(光拡散フィルム1のみテンターを行わなかった)。
【0168】
同様に、ベルト流延装置を用い、表1に記載のドープ2及びドープ3を用いて2つのスリットを有するダイ内で合流させ2層構成にする同時多層流延方法で共流延液を温度33℃、1500mm幅でステンレス製の流延ベルト上にベルト側から第1層(ドープ2)、第2層(ドープ3)の順で、乾燥膜厚でドープ2が300μmとなりドープ3が100μmとなるように、ステンレスバンド上に均一に流延し、33℃で5分間乾燥した。ステンレスバンド上から剥離後、残留溶媒量が30質量%〜10質量%で延伸倍率が1.01〜1.05倍となるようにテンターを行った。更に多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、表2の光拡散フィルム6を得た。
【0169】
同様に、ベルト流延装置を用い、表1に記載のドープ2をドープ3でサンドイッチするように3つのスリットを有するダイ内で合流させ3層構成にする同時多層流延方法で共流延液を温度33℃、1500mm幅でステンレス製の流延ベルト上にベルト側から第1層(ドープ3)、第2層(ドープ2)、第3層(ドープ3)の順で、乾燥膜厚でドープ2が180μmとなりドープ3が10μmとなるように、ステンレスバンド上に均一に流延し、33℃で5分間乾燥した。ステンレスバンド上から剥離後、残留溶媒量が30質量%〜10質量%で延伸倍率が1.01〜1.05倍となるようにテンターを行った。
【0170】
更に多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、表2の光拡散フィルム7を得た。
【0171】
比較例1
表1に示した成分を含むドープ7を前述と同様の方法で調製した。すなわち、微粒子はエタノール10kgに添加して分散した。これ以外の組成物を密閉容器に投入し、加圧下で80℃に保温し撹拌しながら完全に溶解した後、濾過した。
【0172】
更にここに微粒子が分散されたエタノール液を添加して十分に混合した後、再度濾過を行った。冷却して33℃に保ち、ステンレスバンド上に均一に流延し、33℃で5分間乾燥した。ステンレスバンド上から剥離後、更に多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、乾燥膜厚80μmのフィルムを得た。このフィルムの流延の際にステンレスバンド側(B面側)だった面に下記の組成物をリバースロールコートにより塗設して乾燥膜厚で10μmの光拡散層を設け、比較の光拡散フィルム1とした。
【0173】
(塗布組成物)
ジアセチルセルロース 1.0kg
ポリスチレン粒子(平均粒径10μm) 0.3kg
酢酸エチル 50kg
アセトン 32kg
イソプロピルアルコール 4kg
上記で得られた本発明の試料1〜7、比較の試料1について、下記の方法に従って評価を行った。
【0174】
(a)カール値の測定
フィルム試料を23℃55%RH環境下で48時間放置後、該フィルムを長手方向(製膜方向)2mm、幅手方向50mmに切断する。さらに、そのフィルム小片を23±2℃、55%RH環境下で24時間調湿し、曲率スケールを用いて、該フィルムと合致するカーブを有する円周に相当する曲率半径を確認し、その曲率半径(1/m)を該フィルムのカール値とした。
【0175】
(b)ロール汚れ
10000mの光拡散フィルムを作製した後、ステンレスバンド支持体から剥離したフィルムが接する一本目のロールの汚れ具合を目視で観察し、以下のランクに分けて評価した。
【0176】
◎…ロールが汚れているのが全くわからない
○…ロールのごく一部がかすかに汚れている
△…ロールが全面的にかすかに汚れている
×…ロールが全面的に汚れている
(c)中心線表面粗さ(Ra)
光干渉式表面粗さ測定器(WYKO社製 RST Plus)を用いて、各試料のA面及びB面について0.2mm×0.3mmの面積について各Raを測定した。
【0177】
◎:Ra 0.05μm未満
○:Ra 0.05〜0.2μm未満
△:Ra 0.2μm以上
(d)紫外線透過率
Spectrophotometer U−3200(日立製作所製)でフィルムの分光吸収スペクトルを測定し、380nmにおける透過率を求めた。
【0178】
◎:透過率 6%未満
○:透過率 6%以上10%未満
△:透過率 10%以上
(e)ヘイズ(濁度)の測定
フィルム試料1枚で、ASTM−D1003−52に従って測定した。
【0179】
得られた結果を表2に示す。
【0180】
(f)密着性(碁盤目付着性試験)
JIS D0202の4.15に記載の碁盤目付着性試験に準じて、接着性の評価を実施した。すなわち、JIS K5400の6.15による方法で試験面に1mm幅で碁盤目100個(10×10)を作り、碁盤目の上にJIS Z 1522に記載のセロハン粘着テープ(幅18mm)を完全に付着させ、直ちにテープの一端を試験面に直角に保ち、瞬間的に引き離し、完全に剥がれないで残った碁盤目の数を調べた。
【0181】
A:全く剥離されなかった
B:剥離された面積割合が10%未満であった
C:剥離された面積割合が10〜30%未満であった
D:剥離された面積割合が30%以上であった
【0182】
【表2】

【0183】
参考例2
ポリエチレンテレフタレートを用いた光拡散フィルム8を以下のように作製した。
【0184】
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール65質量部、ジエチレングリコール2質量部にエステル交換触媒として酢酸マグネシウム水和物0.05質量部を添加し、常法に従ってエステル交換反応を行った。得られた生成物に、三酸化アンチモン0.05質量部、リン酸トリメチルエステル0.03質量部を添加した。次いで、徐々に昇温、減圧にし、280℃、0.5mmHgで重合を行い、固有粘度0.70、融点(Tm)261℃、ガラス転移温度(Tg)76℃のポリエチレンテレフタレートを得た。
【0185】
さらに、このポリエチレンテレフタレートを150℃で8時間真空乾燥した後、微粒子として、東芝シリコーン(株)製トスパール3120(平均粒径12μm)及びトスパール120(平均粒径2μm)を各々5質量%となるように添加し、充分に混練し、押出機を用いて285℃で溶融押出し、30℃の冷却ドラム上に静電印加しながら密着させ、冷却固化させ未延伸シートを得た。この未延伸シートをロール式縦延伸機を用いて、85℃で縦方向に1.2倍延伸した。表裏面の温度差は5℃以内であった。
【0186】
得られた一軸延伸フィルムをテンター式横延伸機を用いて、95℃で横方向に2.5倍延伸した。次いで、70℃で2秒間熱処理し、更に熱固定ゾーン180℃で25秒間熱固定した。次いで、150℃で横(幅手)方向に弛緩処理し巻き取り、横方向の長さ1500mm、厚さ500μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)の光拡散フィルム8を作製した。
【0187】
比較例2
微粒子を添加しない以外は実施例2に記載されているのと同様の方法で作製したPETフィルムに下記の塗布組成物を乾燥膜厚で16μmとなるように塗設して比較の光拡散フィルム2を得た。
【0188】
(塗布組成物)
ポリエステル樹脂(東洋紡績社製のバイロン200) 10kg
ポリスチレン粒子(平均粒径10μm) 4kg
トルエン 11kg
メチルエチルケトン 3kg
前述のカール測定、及び表面粗さ測定、碁盤目付着性試験(密着性)、ヘイズの測定を実施した。その結果を表3に示す。
【0189】
【表3】

【0190】
実施例3
本発明の光拡散フィルムを用いて偏光板を作製し、偏光板としての評価を以下のように行った。
【0191】
偏光板用保護フィルムの1枚を本発明の光拡散フィルム7あるいは比較の光拡散フィルム1とし、もう一方のフィルムとして厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(コニカタック KC8UVSF)を用いて偏光板を作製した。
【0192】
偏光膜は厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムをヨウ素1kg、ヨウ化カリウム2kg、ホウ酸4kgを含む水溶液100kgに浸漬し50℃で4倍に延伸し作製した。
【0193】
下記1.〜5.の工程で、偏光膜と本発明の光拡散フィルム7あるいは比較の光拡散フィルム1および厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(コニカタック KC8UVSF)とをはり合わせて偏光板を作製した。
【0194】
〈偏光板の作製方法〉
1.長手方向30cm、巾手方向18cmに切り取った光拡散フィルム7(あるいは比較の光拡散フィルム1)の試料を2mol/lの水酸化ナトリウム溶液に60℃で2分間浸漬し、さらに水洗、乾燥させた。また、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(コニカタック KC8UVSF)についても同様の操作でアルカリ処理を行った。
【0195】
2.保護フィルム試料と同サイズの上記偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒間浸漬させた。
【0196】
3.上記2.の偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く取り除き、上記1.の光拡散フィルム試料(あるいは比較の光拡散フィルム1)のb面上にのせて、さらに上記1.で用意した厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム試料のやはりb面と接着剤とが接する様に積層し配置した。
【0197】
4.ハンドローラで上記3.で積層された偏光膜と光拡散フィルム、トリアセチルセルロースフィルムとの積層物の端部から過剰の接着剤及び気泡を取り除きはり合わせる。ハンドローラの圧力は約0.2〜0.3MPa、ローラスピードは約2m/minとした。
【0198】
5.80℃の乾燥器中に4.で得た試料を2分間放置した。
【0199】
このようにして作製した本発明光拡散フィルム7を用いた偏光板及び比較の光拡散フィルム1を用いた偏光板について、カッターにより断裁したところ、比較の光拡散フィルムを用いた偏光板では端部で光拡散層の膜剥がれが生じたが、本発明の光拡散フィルムを用いた偏光板では端部の剥がれは認められなかった。
【0200】
また、この偏光板は、液晶ディスプレイの液晶部とバックライトとの間に配置された偏光板として、光拡散フィルムが貼合されている側がバックライト側となるように配置することによって、優れた表示性を示すことが出来た。
【符号の説明】
【0201】
1 ドープ液タンク
1a ドープ液
2 微粒子添加液タンク
2a 微粒子添加液
3 タンク
3a 紫外線吸収剤添加液
4a ポンプ
4b ポンプ
4c ポンプ
4d ポンプ
5a インラインミキサー
5b インラインミキサー
6 スリットダイ
7 ドラム
8 流延ベルト
9 ローラ
10 セルロースエステル積層フィルム
11 流延口
12 スリット
13 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種以上のドープを使用し、該ドープを支持体上に同時又は逐次流延した後、剥離後乾燥させて、ヘイズ30%以上の光拡散フィルムを作製する光拡散フィルムの製造方法において、
光拡散フィルムがセルロースエステルを含有し、かつ、用いられるドープが、フィルムの表層を形成する1種以上のドープと内部領域を形成するための少なくとも1種以上のドープとからなり、内部領域を形成するための少なくとも1つのドープに微粒子が含有されていることを特徴とする光拡散フィルムの製造方法。
【請求項2】
紫外線吸収剤が含まれることを特徴とする請求項1に記載の光拡散フィルムの製造方法。
【請求項3】
微粒子を含有するドープ中の微粒子の添加量が固形分あたり1質量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の光拡散フィルムの製造方法。
【請求項4】
表層を形成するためのドープに含まれる微粒子の濃度が固形分あたり0〜0.5質量%であり、これら2種のドープに挟まれたフィルムの内部領域を形成する少なくとも1つのドープの微粒子の濃度が固形分あたり1質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の光拡散フィルムの製造方法。
【請求項5】
微粒子を含む熱可塑性樹脂の成形物を一方向の延伸倍率が1.0〜2.0倍でもう1方向の延伸倍率が2.3〜7.0倍に二軸延伸製膜することにより、ヘイズ30%以上の光拡散フィルムを作製することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光拡散フィルムの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の光拡散フィルムの製造方法により製造された微粒子を含有するヘイズ30%以上の光拡散フィルムにおいて、可塑剤が含まれていることを特徴とする光拡散フィルム。
【請求項7】
凝固点が25℃以下の可塑剤が含有されていることを特徴とする請求項6に記載の光拡散フィルム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−37272(P2011−37272A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199670(P2010−199670)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【分割の表示】特願平11−361050の分割
【原出願日】平成11年12月20日(1999.12.20)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】