説明

光断層映像法による画像化

【解決手段】 対象物のデジタル画像は、隠され、遮られ、又は視認できない対象物の部分の表示を含んでいる。画像は、歯群の多次元の視覚的表示である。歯群とその表面、輪郭及び形状の特性が判定及び/又は分析される。光は、歯群に向けて送られ、そこから反射される。反射光は基準光と組み合わせられ、歯肉下組織のような隠された領域を含む歯群の特性が判定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年5月5日出願の米国仮出願第60/468,759号「歯科用画像化装置及びシステム」に関する優先権を、米国特許法119条に基づいて請求し、該出願の開示は引用することによりここに組み込まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
本発明は、有形の対象物の画像化に関し、具体的には、有形の対象物の多次元画像化に関する。
【0003】
画像化技術の中には、対象物を画像化するのに三角測量技法を使用するものもある。画像化技術は、歯科では口腔内及び口腔外の両方の用途に用いることができる。三角測量は、歯のモデルを画像化するのに信頼性があり効果的であるが、或る環境条件では、半透明の歯群からの反射が、対象物の認識を弱める場合もある。
【0004】
口腔内画像化システムは、オペレーターの動きの影響も受け易い。運動は、対象物の正確な描写を補足するシステムの能力に影響を与える。更に、口腔内画像化システムは、歯肉線より上の歯群を捕捉する能力を限定されることがある。口腔内画像化システムは、隣接又は近接する歯群の近傍にある、又は歯肉及び/又は歯石によって隠されている歯群の部分のような、内部の、下にある、又は遮られている構造体の画像を捕捉することはできない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
光断層映像法(OCT)による画像化の或る実施形態は、有形対象物の視覚的画像をデジタル化し、又は捕捉することができる。この実施形態は、有形対象物又はその一部を、隠され、及び/又は遮られている対象物の領域を含めて、デジタル化することができる。
【0006】
OCT画像化の実施形態は、対象物の1次元、2次元、3次元又は他の多次元の画像又は視覚的表示を生成することができる。画像は、隠されている対象物の多次元の表面、構造、輪郭、及びその他の形状寸法、距離、及び/又は色を大まかに示すことができる。対象物は、口腔内の歯群と、口腔外の歯科用模型を含んでもよい。
【0007】
OCT画像化の実施形態は、広帯域の光源、基準アーム、プロジェクター、カプラ、センサー及びプロセッサーを含んでもよい。広帯域の光源は、対象物に向かって投射される構光を生成することができる。構造光は基準アームに送ることができ、基準アームは、構造光を使って基準ビームを生成する。対象物から反射した光と基準ビームは、カプラで組み合わせられ、重畳干渉縞を作ることができる。センサーは、干渉縞を感知し、重畳干渉縞を表す信号を生成する。入力信号を使って、プロセッサーは、対象物の特徴を表すデータセットを生成することができる。データセットは、対象物の多次元画像を生成するのに用いることができ、画像の強調とデータ圧縮を含んでいる。データセットは、対象物のモデルを形成するのに用いることができる。プロセッサーは、更に、時間領域分析、フーリエ領域分析(スペクトル領域分析としても知られている)、又は時間領域とフーリエ領域分析の組み合わせに基づいてデータセットを分析、操作、記憶し、又は更に処理することができる。
【0008】
本発明のこの他のシステム、方法、特徴及び利点は、以下の図面と詳細な説明を調査することにより、当業者には明らかであり、又は明らかになるであろう。そのような追加的システム、方法、特徴及び利点は、この説明の中に含まれ、本発明の範囲内にあり、請求項によって保護されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、添付図面と以下の説明を参照すれば良く理解することができる。図中の構成要素は、必ずしも縮尺が合ってはおらず、替わりに、本発明の原理を説明することに重点を置いている。更に、図面では、同様な参照番号は、各図面を通して同一の部分を示している。
【0010】
【図1】光断層影像法(「OCT」)画像化の実施形態を示している。
【図2】図1のOCT画像化の実施形態のプロジェクターを示している。
【図3】時間領域OCT画像化の実施形態を示している。
【図4】フーリエ領域OCT画像化の実施形態を示している。
【図5】図1のOCT画像化の実施形態の光の投射を示している。
【図6】図1のOCT画像化の実施形態の光の投射を示している。
【図7】標本をデジタル化するOCTの実施形態を示している。
【図8】マージンを検出するためのOCTの実施形態を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
光断層影像法(「OCT」)の実施形態は、対象物の画像を捕捉することができる。画像は、見えない、隠されている、遮られている、又は何らかの理由で視線では見ることができない対象物の部分を含んでいてもよい。対象物は、口腔内組織であるか、或いは、例えば、1本の歯、複数の歯、1以上の調製品、1以上の義歯、又は歯列弓のような1以上の歯科アイテムであってもよい。
【0012】
OCT画像化の実施形態は、歯の内部の欠損と空隙を識別し、歯群の内部の腐敗を検出し、歯肉下の歯石の存在及び/又は程度を検出する。OCT画像化の実施形態によって捕捉された画像は、割れのような歯の損傷の存在と程度を検証し、根管治療法を含む歯科処置の準備を支援する。隠されている領域の画像は、隠されている領域を見るか又は検査するために組織を除去する必要のある侵襲性の処置を減らすか、又は無くすることができる。
【0013】
図1は、代表的なOCT画像化システム100を示している。OCT画像化システム100は、光源102、光学カプラ又はビームスプリッター104、基準アーム106、プロジェクター108及びセンサー110を含んでいる。更に、OCT画像システム100は、プロセッサー(図1に図示せず)に連結されている。
【0014】
光源102は、多重周波数の入射電磁放射線を、干渉性の可視又は不可視光のビームに変換することができる。光源102は、LED、又はレーザーダイオードなどの半導体励起レーザー源のような広帯域装置である。光は、成分波長、即ち1以上の周波数の干渉性の光を含んでいる。光の成分波長は、約600から約1700nmの範囲にある。1つの実施形態では、成分波長は、約600から約900nmの範囲にある。代わりの実施形態では、波長は、約1100から約1700nmの範囲にある。別の実施形態では、波長は赤外線の範囲内にある。更に別の実施形態では、波長は、可視光線の範囲内にある。
【0015】
光は、様々な光学装置を通過し、又はそれに案内されることができる。光学装置は、光のビームを走査し、集束し、偏光し、拡張し、分割し、及び/又は方向決めすることができる。光学構成要素は、構造光のパターンを生成することができる。或る実施形態では、光学装置は、構造化されたパターンに沿って移動又は走査される集束ビーム又は点光を生成することができる。光学装置には、ミラー、レンズ、リレー、ガイド、スプリッター、格子、スキャナー、偏光器など、及びそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0016】
光学カプラ(ビームスプリッター)104は、光学機器によって光源102に連結されることができる。光学カプラ104は、光ケーブル、光学ガイドワイヤー、光学リレー、自由空間光学部品及び他の光透過技術、或いは、それらの組み合わせを通して光源102に光学的に連結されてもよい。光学カプラ104は、光源102と一体になっていてもよい。
【0017】
光学カプラ104は構造化された光を複数の経路に分離、分割又は分配することができる。或る実施形態では、光学カプラ104は、構造光を、第1光路120と第2光路122を含む2つ又はそれ以上の経路に分配する。第1光路120と第2光路122は、構造光を目的の場所へ導く様々な光伝送機器又は装置を含んでもよい。1つの実施形態では、第1光路120と第2光路122は、光学信号を送る特殊な型式のガラス及びプラスチックのような透明な材料のストランドであってもよい。これには、光ファイバー、光ファイバーケーブルの束、光学ガイドワイヤー、光学リレー、自由空間光学部品、又はそれらの組み合わせが含まれてもよい。第1光路120は、光を基準アーム106に案内する。第2光路122は、光をプロジェクター108に案内する。
【0018】
基準アーム106は、第1光路122を通過した光を受け取り、その光を、カプラ104に向けて反射することができる。基準アーム106が反射した光は、第1光路120を通ってカプラ104に戻ってもよい。基準アーム106は、コリメーター又は集束光学部品とミラーに光学的に連結されている光ファイバーを有する光路を含んでもよい。光路は光をミラーへ送り、ミラーは、その光を光路に沿って反射することができる。
【0019】
光路を通る反射光は、光源102からの構造光の成分要素の大部分を含むことができる。光は、基準アーム106又はカプラ104によって実質的に影響を受けないか、又は変えられてもよい。光の各成分要素の移動距離のベースラインの長さは測定することができる。ベースラインの長さは、反射光の移動距離の測定値の基準となる。ベースライン測定値は、対象物112から反射された光が移動する距離のような、光源102から生じた別の光が空気以外の媒体を通過して移動する距離と比較することができる。比較には、基準アーム106から戻された光のベースライン測定値を、対象物112から反射された別の光と重ね合わせることを含んでいてもよい。反射光が移動する距離は、重畳干渉パターンに基づいて判定することができる。例えば、基準アーム106を通って移動する光と、カプラ104に戻される光の間の既知の距離は、カプラに戻されて反射光と組み合わせられる他の光が移動する距離と等しいとしてもよい。変動値を検出して、対象物112の表面特性を判定することができる。
【0020】
プロジェクター108は、第2光路122を経由してカプラに連結されてもよい。プロジェクター108は、携帯式及び/又は手持ち式であってもよい。プロジェクターは、口腔内へと操作又は挿入することができる。プロジェクター108は、構造光124を対象物112に向けて集束させ、或いは方向決めすることができる。プロジェクター108は、光124のビームを対象物112に向けて、変動するか又は構造化されたパターンで投射することができる。光124は、対象物112の全部に、又は一部分に収束することができる。光124は、光が対象物112を照射するのを妨げる構造体上に集束されてもよい。例えば、対象物112が歯であれば、光124は、光のパターンが歯に投影されるようになっていてもよい。光124は、更に、歯の歯肉下部分の周囲又は付近の歯肉組織に向けられてもよい。パターンは、歯、歯肉組織、或いは、口腔のあらゆる部分又は組み合わせに投影されてもよい。光124のビームは、構造化されたパターンが歯群から反射するように歯群に向けて送ることができる。
【0021】
プロジェクター108は、更に、対象物112から反射した光を検出することができる。反射光は、カプラ104への帰路に沿って送られてもよい。帰路は、第1光路122と実質的に平行であってもよい。帰路は、第1光路122と同じで、方向が逆であってもよい。
【0022】
反射光は、カプラの表面に当たることができる。カプラ104は、反射光を、基準アーム106から戻される光と組み合わせることができる。組み合わせられた光が互いに干渉する場合は、干渉によって光の重畳干渉パターンを生成することができる。光の重畳パターンは、対象物112の表面特性を示す形状、分布及び組成を検出することができる。表面特性は、外側表面と内側表面の両方を含んでもよい。表面特性は、更に、隠され、遮られ、又は通常の視野から隠れている表面の特性を含んでもよい。
【0023】
表面特性は、対象物112の表面からの光の一部分の反射を通して色、陰影、強度及び距離の差を検出することによって識別することができる。1つの実施形態では、基準アーム106からの反射光と対象物112からの反射光は、光源102から生じていることができる。基準アーム106からの反射光の成分要素は、光源光の各要素と実質的に同じであってもよい。光が基準アーム106内で移動する距離は、既知、即ち事前に定められており、画像をレンダするのに用いられるベースラインを提供することができる。ベースラインは、光源光の成分要素と、光源光が移動する距離を含むことができる。
【0024】
反射光は、対象物112の外側表面から反射されるかもしれない。光は、又、対象物112の表面を貫通し、対象物112の内部面から反射されるかもしれない。例えば、光の一部分は、対象物112の外側表面から反射され、光の一部分は、対象物112内の材料の間の界面から反射され、又は遮蔽されている面から反射されるかもしれない。光源光の成分要素は、何らかの成分物質を含んでいる対象物の特性と、対象物112の構成物質の間の界面とに基づいて反射され、又は吸収される。対象物112からの反射光は、元々の光源光の成分部分を含んでいるかもしれないし、元々の光源に光と実質的に異なってもいるかもしれない。更に、対象物から反射された光は、対象物内の異なる距離から反射されていいてもより。例えば、対象物からの反射の成分一式には、空気/歯肉界面で発生する成分要素を含んでもよく、別の成分一式は、歯肉/エナメル界面によって作られてもよい。
【0025】
対象物112の様々な部分からの光の反射は、カプラ104で、ベースライン光と組み合わせられ、又は重ね合わされることができる。ベースライン光を、対象物112又はその様々な面からの反射光と組合せ又は重ね合わせることによって、干渉を検出することができる。干渉特性によって、ベースラインと、対象物112からの反射光の比較を行うことができる。基準アーム106によって光が移動する距離が分かれば、各面からの反射が移動する距離を求めることができる。
【0026】
ベースライン測定値は、光源光102の成分要素の分布を含んでいるので、対象物112の上及びその内部の各面の界面の種類は、各界面で吸収又は反射される光源光の成分要素に基づいて判定することができる。異なる構成物質の間の各界面が、光源光の成分要素を吸収、反射又は透過させる程度は、物質の特性と、光と物質の相互作用とによって変わりうる。対象物へ入射する光ビームの各位置に対して、データセットを求めることができる。データセットは、対象物112を視覚的に表示するよう作ることができる。
【0027】
光の重畳干渉パターンは、光学カプラ104によってセンサー110へ送ることができる。センサー110は、光の重畳干渉パターンを捕捉し、或る実施形態ではそれをデジタル化して、光の重畳干渉パターンの形状、分布、色、陰影及び/又は組成、又はそれらの組み合わせを示す信号を生成することができる。
【0028】
センサー110からの信号は、プロセッサー又はコントローラーによって処理することができる。プロセッサーは、対象物112及び/又はその表面の、形状、高さ、幅、輪郭及び外部配置、体積などの様な、様々な特性を表すデータセットを生成することができる。プロセッサーは、フーリエ領域データ処理のような時間領域又は周波数領域分析を使用してもよい。プロセッサーは、更に、捕捉された画像の質を、ソフトウェアを介して自動的に、又はユーザープログラムによって手動で改良する、画像強調アプリケーション含んでいてもよい。
【0029】
図2は、代表的なプロジェクター108を示している。第1光路122は、光を光源102からプロジェクター108へ案内する。プロジェクター108は、光のビーム115をスキャナー134へ送る集束又は平行光学要素132を含んでもよい。
【0030】
スキャナー134は、1つ以上の反射面136を含んでいてもよい。反射面は、光のビーム115を複数の軸に沿って走査することができる。スキャナー420は、1軸、2軸、3軸又はその他の多軸のスキャナーであってもよい。スキャナー420の1つの例が、2004年3月19日出願の、共有の米国特許出願第 号「歯科用途用のレーザーデジタイザーシステム」に記載されており、代理人整理番号は12075/37である。上記共有米国特許出願の開示は、引用することによりここに組み込まれているものとする。方向決めされた光のビーム138はスキャナー134を出て第1プリズム119に入射し、そこで光138の方向又は経路が曲げられ、又は変えることができる。第1プリズムは、光のビームをリレー140へ送ることができる。リレー140は、ロッド又はGRIN(屈折率勾配)レンズであってもよい。ビームは、対物集束要素142で集束され、第2プリズム144によって対象物112に向けて偏向することができる。光は、対象物112に入射する。光は、対象物112を横断する経路に沿って投射される。
【0031】
光は、離散時間型で対象物112上にドットを投射してもよい。ドットは、1、2、3又はその他の多次元パターンで、対象物112を横断して走査されてもよい。入射光は、隠され、遮られ、又は見えない対象物の表面に投射されてもよい。光は、対象物112の内部面から反射されることもある。入射光の一部分は、反射してプロジェクター108に向かって戻され、光源光と平行な光路に沿って案内することができる。入射光の一部分は、入射光と同じ光路に沿って反対方向に案内されてもよい。
【0032】
図3は、代表的な時間領域OCT画像化システム300を示している。時間領域OCT画像化システム300は、光源302、カプラ304、プロジェクター308、時間領域基準アーム306、及びセンサー310を含んでいてもよい。光源302、カプラ304及びプロジェクター308は、それぞれ、先に述べた光源102、カプラ104及びプロジェクター108と同様であってもよい。
【0033】
時間領域基準アーム306は、光がカプラ104から進み、カプラ104へ戻る時間依存性光路長310を生成することができる。時間依存性光路長310は、第1光路220に沿ってカプラ304へ戻される反射光を生成する。時間依存性の時間領域基準アーム306は、光源102から送られる光に対して時間遅延を有する時間依存遅延基準信号を提供することができる。時間依存遅延は、時間領域基準アーム306への、そして帰路に沿う飛行時間に基づくことができる。例えば、時間依存遅延は、光がカプラ304から基準ミラーへ移動し、基準ミラーから反射してカプラ304に戻る時間に基づいていてもよい。時間遅延信号は、光源302から送られる光と実質的に同様の特性を有するが時間的に遅延している基準信号として用いることができる。時間依存性光路長の例は、光を同じ光ケーブルに沿って反射して戻す可動ミラー上に光を結像するようになっているコリメーター又は集束光学部品に接続されている一本の光ケーブルである。
【0034】
カプラ304は、時間変動パターンを、対象物112からの反射光と組み合わせることができる。対象物112から反射した光と組み合わせると、組み合わせられたパターンは、時間遅延基準信号の重畳を示す干渉パターンとなる。時間依存性光路長310からの時間変動反射光を、対象物112からの反射光と組み合わせることによって、カプラは、対象物112の表面及び内部構造体から反射された光の深さ、色又は陰影を表す干渉パターンを作ることができる。対象物112の表面特性は、形状、色、陰影、振幅、位置、輪郭、及び干渉パターンによって検出される他の属性における差に基づいて推定することができる。同様に、対象物112の体積は、干渉パターン内の形状、振幅、位置、及び他の特徴によって検出することができる。反射光の深さに基づいて、対象物の高さを判定することができる。
【0035】
光を、光学又は電気信号に変換することによって検出又は測定するセンサー310は、カプラ304からの組み合わせられた干渉パターンを感知することができる。センサー310は、時間依存光路からの反射光と対象物112からの反射光を組み合わせて生成された干渉の振幅(又は強さ)を表すアナログ又はデジタル信号を生成することができる。センサー310は、電荷結合デバイス(CCD)のアレイのような光検出器を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、センサーが、更に、帯域通過フィルター、包絡線検波器、及び、対象物112から反射した光が移動した距離を表す離散信号を生成するアナログ・ツー・デジタル変換器を含んでいてもよい。
【0036】
プロセッサー314は、センサー310から受信した信号に基づいて、対象物112の様々な表面、外郭、配置、形状及び/又は寸法を表すデータセットを生成することができる。データセットは、対象物112の可視表示又は画像を表示又は印刷するのに用いられる。例えば、画像は、色及び陰影を用いて画像に写実的な外観を付与する形状モデリングを使って、ビデオモニター又は他のディスプレイに表示される。同様に、画像は、画像をユーザーの前に保持しているヘッドマウントディスプレイに送られる。ヘッドマウントディスプレイの一例が、2004年4月30日出願の共有出願「口腔内画像化システム」に記載されており、代理人整理番号第12075/41である。上記出願の説明全体は引用することにより、ここに組み込まれているものとする。データセットは、対象物112の物理的なモデルを表示するために、フライス加工プログラム又はCAMプログラムのような形状モデリングプログラムによって用いることができる。
【0037】
図4は、フーリエ領域OCT画像化システム400(スペクトル領域OCT画像化又は高速フーリエ領域画像化とも呼ばれる)の実施形態を示している。フーリエ領域OCT画像化システム400は、光源402、カプラ404、プロジェクター408、固定基準アーム406、及びセンサー410を含んでいてもよい。光源402、カプラ404及びプロジェクター408は、それぞれ、先に述べた光源102、カプラ104、プロジェクター108と同様であってもよい。
【0038】
固定基準アーム406は、固定反射面を含んでいてもよい。反射面は、光を一定の経路長に沿って反射する1つ以上のミラーであってもよい。固定基準アーム406は、一端がカプラに光学的に連結され、他端に反射表面を有する一定の長さの導波管であってもよい。固定基準アーム406は、先に述べたような時間依存の基準又は遅延であってもよい。
【0039】
センサー410は、波長又は屈折率を測定する分光計418と光センサー416を含んでいてもよい。センサー410は、組み合わせられた光をカプラ404から受け取ることができる。分光計418は、組み合わせられた光を様々な成分要素に分離して、組み合わせられた光のスペクトログラフを提供する格子を含んでいてもよい。スペクトルグラフは、周波数データを構成する1つの画像内の空間的に分離された、組み合わせられた光の様々な周波数要素を含むことができる。各成分要素は、広帯域の光源402を構成する光の異なる波長又は周波数に対応することができる。成分要素は、広帯域の光源402の各成分要素に対し割合が異なっていてもよい。
【0040】
光センサー416は、CCDかCMOS又はリニアアレイのような光感知デバイスのアレイであってもよい。分光器418からのスペクトルグラフは、対象物412の表面特性を表現することができる。所与の点について、対象物の高さは、組み合わせられた光のスペクトルグラフに基づいて判定することができる。ドットが対象物412の表面を横断して走査されると、高さと位置の測定値が光センサーによって測定される。光センサー416は、格子によって作られるスペクトルグラフに基づいて信号を生成することができる。
【0041】
プロセッサー又はコントローラー414は、これらの信号を、対象物112の特性を表すデータセットに変換することができる。プロセッサーは、スペクトルグラフから集められたデータ上で実行される逆高速フーリエ変換のような逆フーリエ変換を通して、データセットを生成することができる。逆フーリエ変換に基づいて、周波数データは、周波数領域から空間領域に変換することができる。分光器418からのスペクトルグラフの周波数分布は、不自然な結果を含むかもしれない逆フーリエ変換に従って空間分布を生成することができる。不自然な結果は、対象物412に向けて投射される光の軸に沿う表面の空間位置に対応するスパイクであるかもしれない。様々な表面の多次元の場所は、対象物112に向けて投射されるビームに基づいて判定することができる。
【0042】
図5は、X−Z面内での、光のビーム520の投射を示している。ビーム520は、OCT画像化システム501から投射することができる。ビーム520は、対象物550の内部又は外部領域522に入射することができる。更に、ビーム520は、共通の入射経路520に沿って反射することができる。
【0043】
共通経路520に沿って戻る反射ビームと、干渉計からの光の重ね合わせから、前記ビームに沿った表面領域522までの距離Rが求められる。検出された表面領域522は、対象物550の第1外部表面上に在る。この実施形態では、ビーム520は、OCT画像化システム510の光学軸510からX−Z面内のX軸に沿って距離xの位置で、OCT画像化システム501を出る。ビーム520は、Z軸に平行な垂直軸512に対して角度ψで、OCT画像化システム501を出る。同時に、パラメーターx及びψと、X−Z面内でのRの投射が、X−Z面内における点522の場所の特性を示す。
【0044】
図6は、Y−Z面内の視点から見た構成である。ビーム520は、光学軸510からY軸に沿って距離yの位置で、Z軸に平行な垂直軸612に対して角度θで、OCT画像化システム501を出る。
【0045】
パラメーターx、y、θ、ψ及びRは、OCT画像化システム501の光学軸上の点511に対する位置522の場所を求めるのに用いることができる。この実施形態では、基準点511は、プロジェクターの一部である。パラメーターx、y、θ、ψは、2軸スキャナーの回転パラメーターのようなプロジェクターの構成要素の位置に基づいて求められる。パラメーターx、y、θ、ψは、校正手順又は別の測定手順によって求められる。パラメーターx、y、θ、ψは、スキャナー内の反射面の向きと、OCT画像化システムの固定された幾何学的諸元によって個々に求められる。距離Rは、組み合わせられた光の重畳干渉パターンと相関関係があってもよい。距離Rは、経路520に沿う測定値であり、表面領域522のX、Y又はZ成分を含むことができる。
【0046】
経路520は、完全にX−Z面内又はY−Z面内に位置している必要は無い。結像されている対象物の表面上の点522の位置を(x、y、z)とすると、座標x、y及びzは、パラメーターx、y、θ、ψ及びRに従って以下のように求められる。
xi=Rcosθsinψ+x0 式1
yi=Rcosψsinθ+y0 式2
【数1】

式3
プロセッサーは、上記パラメーターに基づきこれらの式を使って、座標x、y及びzを求めるように構成されていてもよい。
【0047】
図7は、調整された歯又は調製品730をデジタル化するOCT画像化装置の実施形態を示している。光のビームは、軸710を通って収束することができる。ビームは、調製品730の表面と近隣の歯720に当たるように、軸710に沿って投射されてもよい。ビームは、近隣の歯の表面に、ビーム710の軸に沿う近隣領域712において入射してもよい。近隣表面領域712において入射する光の一部は、同じ軸710に沿って反射してOCT画像化装置に戻ることができる。光の残りの部分は、近隣の歯720を越え、又はこれを貫通して、近隣の歯720を出て、歯肉組織740へ入ってもよい。光の一部は、近隣の表面領域712と歯肉組織の間の界面から軸710に沿う714で反射して戻ることができる。入射光の残りの部分は、軸710に沿って進み続け、調整された歯730の表面に入射してもよい。光の一部は、調整品730の辺縁領域716から反射することができる。
【0048】
軸710に沿って検出される反射光は、様々な表面領域712、714及び716の位置を求めるために分析することができる。調整された歯730の表面の三次元表示、マップ又は画像は、求められた表面領域を集めたものから生成することができる。OCT画像化装置からの直接視界が、近隣の歯群、他の組織又は物質によって遮られていても、縁領域716の画像を求めることができる。
【0049】
象牙質要素725のような歯の中の更なる内部構造も検出することができる。歯石又は腐敗の存在も検出される。様々な表面が、組み合わせられた干渉パターンの分析で固有の痕跡を有しているので、様々な表面を画像化することができる。
【0050】
表面領域712は、固有の反射光の分布を有する空気/エナメル界面であってもよい。界面領域714は、固有の反射光の分布を有するエナメル/歯肉界面であってもよい界面領域716は、固有の反射光の分布を有する歯肉/エナメル界面であってもよい。空気エナメル界面から反射する光の典型的な信号の正しい形態及び形状と強さを有する信号が検出されれば、距離Rは、信号を発生させた具体的な位置において、基準アーム経路距離の基準経路長さの測定値に基づいて判定することができる。
【0051】
図8は、準備された歯830の肩部又は辺縁隆線をデジタル化するためのOCT画像化装置の実施形態である。光のビームは、軸810に沿って歯830に向け投射することができる。ビームは、調整された歯830に、辺縁隆線816の上方の点で入射する。光の一部は、表面816から反射し、軸810に沿ってOCT画像化装置に戻る。光の他の部分は、表面領域816を貫通し、軸810に沿って進み続け、調整された歯830を貫通する。光の他の部分は、調整された歯を、辺縁隆線を越えて領域818において出る。光は、表面領域818からも反射されうる。反射光が分析され、辺縁隆線の上方及び下方の点の位置を判定することができる。辺縁隆線の上方及び下方の表面の交差点が求められ、正確な辺縁の測定値を提供することができる。これは、2つ以上の面の交差点と近似する様々な特徴の検出に拡張することができる。
【0052】
別の実施形態では、OCT画像化装置は、歯の型又は鋳型をデジタル化することができる。型又は鋳型は、OCT画像化システムの作動波長に対して透過性であってもよい。OCT画像化システムが直接アクセスできない鋳型の表面は、透過性の材料を通して画像を捕捉することによってデジタル化される。
【0053】
別の実施形態では、OCT画像化システムは、歯肉下の歯石の存在及び/又は量を非侵襲的に測定する。OCT画像化システムは、既存の歯肉組織を通して二次元の領域を測定して、歯石の存在を検出することができる。OCT画像化システムは、2次元、3次元又は多次元の領域も測定することができる。
【0054】
別の実施形態では、表面は、表面データが入手できる場所から表面の滑らかさを局部的に想定することによって、推測される。これは、1次元、2次元、3次元又は多次元の補間技法を使って行うことができる。例えば、表面から失われているデータを推測するために、双三次又はNURBS(非一様加重Bスプライン面)パッチが、局所表面に嵌め込まれる。表面データの不一致は、当業者には既知の補間技法によって推測することができる。
【0055】
OCT画像化の実施形態によって提供される三次元モデルは、予防歯科、予防診察処置、歯肉保持の検出、歯石の検出、及び、歯冠ブリッジ、アンレー、インレーその他の復元物のような歯科復元物の嵌め込みと形成、歯科矯正、歯根分析、保持装置などにおける用途を含む、非常に広い範囲で使用することができる。
【0056】
以上、本発明の様々な実施形態について説明してきたが、当業者には自明のように、本発明の範囲内でもっと多くの実施形態及び実施策が考えられる。従って、本発明は、特許請求の範囲の内容並びにその等価物以外には制限されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分要素を有する構造光のビームを生成するように構成されている光源と、
該構造光のビームに基づいて基準の光のビームを生成するように構成されている基準アームと、
該構造光のビームを対象物に向けて投射し、該対象物の少なくとも表面からの該ビームの少なくとも一部の反射を検出するように構成されているプロジェクターであって、該ビームは、該対象物の表面を横切るパターンに沿って移動するドットとして該対象物に向けて投射される、プロジェクターと、
該基準ビームと該反射を組み合わせて、光の重畳干渉パターンを生成するように構成されているカプラと、
該光の重畳干渉パターンを表す信号を生成するように構成されているセンサーと、
該対象物の表面を表すデータセットを生成するように構成されているプロセッサーと、を備えている口腔内デジダイザー。
【請求項2】
該プロジェクターは、口腔内で操作できるように構成されている手持ち式の口腔内プローブを備えている、請求項1に記載の口腔内デジタイザー。
【請求項3】
該口腔内プローブは、構造光のビームを生体内歯群に向けて投射し、該歯群から反射された光を検出する、請求項2に記載の口腔内デジタイザー。
【請求項3】
該基準アームは、時間変動ベースラインパターンを生成し、該プロセッサーは、時間領域のデータ処理に従ってデータセットを生成するように構成されている、請求項1に記載の口腔内デジタイザー。
【請求項4】
該センサーが生成する信号は、該光の重畳干渉パターンの形状、分布及び組成を含んでいる、請求項1に記載の口腔内デジタイザー。
【請求項5】
該基準アームは、固定基準のベースラインのパターンを生成し、該センサーは、
該光の重畳干渉パターンを成分要素に分離するように構成されている分光計と、
該成分要素を検出するように構成されているリニアフォトセンサーと、を備えている、請求項1に記載の口腔内デジタイザー。
【請求項6】
該プロセッサーは、フーリエ領域データ処理に従って該データセットを生成するように構成されている、請求項1に記載の口腔内デジタイザー。
【請求項7】
該分光計は格子を備えている、請求項6に記載の口腔内デジタイザー。
【請求項8】
該光センサーは、光感知検出器のアレイを備えている、請求項7に記載の口腔内デジタイザー。
【請求項9】
該光センサーは、電荷結合デバイスを備えている、請求項8に記載の口腔内デジタイザー。
【請求項10】
該光源は、該構造光のビームを第1ビームと第2ビームに分割するように構成されているビームスプリッターを備えている、請求項1に記載の口腔内デジタイザー。
【請求項11】
構造光のビームを対象物に向けて投射し、該対象物からの該構造光のビームの少なくとも一部の反射を検出するように構成されているプロジェクターと、
該反射とベースライン基準の光のビームを含む重畳干渉パターンを生成するように構成されているカプラであって、該ベースライン基準の光のビームは、該構造光のビームに基づいている、カプラと、
該重畳干渉パターンに基づいて、該対象物の多次元の可視画像を表すデータセットを生成するように構成されているプロセッサーと、を備えている画像化システム。
【請求項13】
該プロセッサーは、時間領域データ処理に従って該データセットを生成する、請求項12に記載の画像化システム。
【請求項14】
該プロセッサーは、フーリエ領域データ処理に従って該データセットを生成する、請求項12に記載の画像化システム。
【請求項15】
該多次元画像は、該対象物の三次元の視覚的表示を含んでいる、請求項12に記載の画像化システム。
【請求項16】
該多次元画像は、該対象物の、視覚的に隠された部分を含んでいる、請求項12に記載の画像化システム。
【請求項17】
該対象物は歯科アイテムである、請求項16に記載の画像化システム。
【請求項18】
該隠された部分は縁部を含んでいる、請求項17に記載の画像化システム。
【請求項19】
構造光のビームを物体に向けて投射し、
該対象物の外部表面からの、該構造光の少なくとも一部の反射を検出し、
該反射を、基準の光のビームと組み合わせ、
該組み合わせられた反射と基準ビームに基づいて、該対象物の表面のマップを求めること、から成る生体内対象物の三次元の可視画像を生成するための方法。
【請求項20】
該構造光のビームを、該対象物の隠された面に向けて投射し、
該対象物の隠された面からの、該構造光の少なくとも一部の反射を検出し、
該構造光の該隠された面からの反射を、基準の光のビームと組み合わせ、
該組み合わせられた反射と基準ビームに基づいて、該対象物の該隠された面のマップを求めること、を更に含んでいる、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−504049(P2008−504049A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−514326(P2006−514326)
【出願日】平成16年5月5日(2004.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/014383
【国際公開番号】WO2004/100068
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(505250111)ディースリーディー,エル.ピー. (4)
【氏名又は名称原語表記】D3D,L.P.
【Fターム(参考)】