説明

光断層画像撮像装置

【課題】 参照光の光路に設けられた光学部材が光源からの熱の影響を受けると、光学部材の形状変化等により、光学部材の機能が低下する。
【解決手段】 本発明に係る光断層画像撮像装置は、光源101−1〜3を格納する光源格納部302と、参照光の光路の一部を格納し且つ光源格納部302の側面に離間して設けられた参照格納部301と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物の断層画像を取得する光断層画像撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、低コヒーレンス光による干渉を利用した光断層画像撮像(Optical Coherence Tomography:OCT)装置(以下、OCT装置と記載)が実用化されている。これは、被検査物の断層画像を高分解能で且つ非侵襲に取得することができる。そのため、OCT装置は、特に眼科領域において、被検眼の眼底の断層画像を得るうえで、必要不可欠な装置になりつつある。また、眼科領域以外でも、皮膚の断層観察や、内視鏡やカテーテルとして構成して、消化器、循環器の壁面断層画像撮像等が試みられている。
ここで、眼科分野におけるOCT装置において、撮像取得中の被検眼の動きにより断層画像の位置ずれが生じる可能性があるため、撮像時間の短縮が求められている。そこで、複数の光を用いたOCT装置が、特許文献1に開示されている。これにより、測定光1つあたりの撮像領域の大きさを小さくすることができるため、1つの測定光で撮像するよりも短時間で撮像することができる。このとき、複数の光は光ファイバを伝搬するように構成されている。
一方、診療現場では、複数の医療機器を設置する必要があることから、個々の装置をできるだけ小型化することが望まれている。このとき、単にOCT装置を小型化するだけだと、装置の筐体内の空間が減るために部材同士の距離が短くなる。そのため、光源からの発熱による光学系等への影響(熱膨張、熱変位に起因する精度の低下)が無視できなくなる。そこで、レーザ光源と光学系とを光ファイバを介して熱隔離し、該レーザ光源を筐体に固着させたレーザ測量装置が、特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−167268号公報
【特許文献2】特開平9−113272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、OCT装置の参照光の光路には、一般的に、参照ミラーだけでなく、参照光の光量を調整可能なNDフィルタや、被検眼で戻り光に生じる分散を補償する分散補償用ガラス等の光学部材が設けられている。
このとき、参照光の光路に設けられた光学部材が光源からの熱の影響を受けると、光学部材の形状変化等により、参照光の特性が変わったり、光量損失が生じたりする。例えば、参照ミラーの反射面が歪むことにより、参照光が正反射しなくなり、参照光の光量損失が生じる。また、例えば、分散補償用ガラスの形状が変化すると、測定光路の光学系の分散が正しく補償されないため、OCT画像の深さ分解能が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る光断層画像撮像装置は、
複数の光から分かれた複数の測定光を照射した被検査物からの複数の戻り光と、該複数の光から分かれ且つ該複数の測定光にそれぞれ対応する複数の参照光とを合波した複数の合波光に基づいて該被検査物の断層画像を取得する光断層画像撮像装置であって、
前記複数の光を発生させる光源部と、
前記光源部を格納する光源格納部と、
前記複数の参照光の光路の一部を格納し且つ前記光源格納部の側面に離間して設けられた参照格納部と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、参照光の光路の一部が筐体内の熱源、例えば光源から離間して設けられるため、参照光の光路に設けられた光学部材に熱源から伝わる熱を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態に係るOCT装置の光学系の構成を説明する模式図である。
【図2】本実施形態に係るOCT装置の外観を説明する模式図である。
【図3】本実施形態に係るOCT装置のNDフィルタの配置関係を異なる方向から見た際の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態に係るOCT装置(光断層画像撮像装置とも呼ぶ。)について、図1及び図2を用いて説明する。なお、図1は、本実施形態に係るOCT装置の光学系の構成を説明する模式図である。また、図2は、本実施形態に係るOCT装置の外観を説明する模式図である。ここで、本実施形態では、被検査物を被検眼の網膜としているが、本発明に係るOCT装置が適用可能な被検査物はこれに限定されない。例えば、被検査物として、被検眼の前眼部や被検体の皮膚でも良い。また、本実施形態に係るOCT装置は、フーリエドメイン方式(FD:Fourier Domain)のOCT装置のうち、スペクトラルドメイン方式(SD:Spectral Domain)のOCT装置であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、波長掃引光源を用いたスウェプトソース方式(SS:Swept Source)のOCT装置も適用可能である。
【0009】
また、本実施形態では3つの測定光及び参照光を用いたOCT装置について述べているが、1つ以上の測定光及び参照光ならば適用可能である。2つ以上の測定光及び参照光の場合、1つの測定光及び参照光よりも参照光の光路の数が多くなるため、参照光の光路に設けられた光学部材の数も多くなる。これらの光学部材が筺体内の熱源、例えば光源からの熱の影響を受けた場合、複数の参照光の光量損失や複数の合波光の干渉強度が低下するだけでなく、光量損失や強度低下のばらつきが生じる可能性がある。このため、本発明は、2つ以上の測定光及び参照光の場合に好適に用いられる。なお、本実施形態において、熱源は、光源の他に、例えば、電動ステージのドライバや、XYスキャナのドライバ等が想定される。
【0010】
(OCT装置の構成)
本実施形態に係るOCT装置の構成について、図1(a)及び図1(b)を用いて説明する。ここで、図1(b)は、図1(a)の参照光の光路を含む参照格納部111(後述)を拡大した図である。なお、本実施形態に係るOCT装置は、マイケルソン干渉計によって構成されているが、マッハツェンダ干渉計も適用可能である。
【0011】
まず、複数の光源101−1〜3それぞれから出射された複数の光は、光ファイバ102−1〜3を通り、ファイバカプラ103−1〜3を介してそれぞれ複数の参照光127−1〜3と複数の測定光128−1〜3とに強度比90:10で分割される。複数の測定光128−1〜3は、測定対象の一例である被検眼118に入射され、眼底119で反射あるいは散乱された複数の戻り光129−1〜3となって戻される。複数の戻り光129−1〜3はファイバカプラ103−1〜3によって複数の参照光127−1〜3とそれぞれ合波され、複数の干渉光130−1〜3(複数の合波光とも呼ぶ。)となる。複数の干渉光130−1〜3は、透過型グレーティング123によって波長ごとに分光され、ラインカメラ125に入射される。ラインカメラ125は位置(波長)ごとに光強度を電圧に変換し、その信号132は制御・信号処理部126に送られる。信号132は制御・信号処理部126によって処理されることで、被検眼118の眼底119の断層画像が構成される。
【0012】
なお、光ファイバ102−1〜3等やファイバカプラ103−1〜3等を含むファイバ部136は、後述する図2のファイバ格納部303により格納されている。
【0013】
<光源部134>
次に、光源101−1〜3を含む光源部134について説明する。なお、光源部134は、後述する図2の光源格納部302により格納されている。また、光源は一つでも良く、この場合、一つの光源から発生した光を複数の光に分割すればよい。
【0014】
ここで、光源101−1〜3は、低コヒーレント光を発生させる光源であり、例えば、SLD(Super Luminescent Diode)を用いる。中心波長は840nm、バンド幅は50nmである。なお、本実施形態ではSLDを選択したが、低コヒーレント光を出射できる光源であればよく、ASE(Amplified Spontaneous Emission)等も用いることが出来る。また、光源101−1〜3から出射される光の波長は特に制限されるものではなく、400nmから2μmの間で被検査物に合わせて設定すればよい。さらに、OCTを実現するためのバンド幅としては、例えば1nm以上、好ましくは10nm以上、さらに好ましくは30nm以上であることが望ましい。
【0015】
また、光源101−1〜3から出射した光は、光ファイバ102−1〜3をそれぞれ通してファイバカプラ103−1〜3に導かれる。ファイバカプラ103−1〜3は光源101−1〜3より出射した光を参照光127−1〜3及び測定光128−1〜3に強度比90:10でそれぞれ分割する。
【0016】
<参照部111>
次に、参照光127−1〜3の光路を含む参照部111について説明する。なお、参照部111は、後述する図2の参照格納部301により格納されている。
【0017】
まず、参照光127−1〜3はそれぞれ、光ファイバ104−1〜3(参照光ファイバとも呼ぶ。)を通してレンズ106−1〜3に導かれ、平行光になるように調整され、ミラー109−1〜3に導かれる。参照光127−1〜3はそれぞれミラー109−1〜3で反射されることで、再びファイバ104−1〜3を通してファイバカプラ103−1〜3に導かれる。ここで、参照光127−1〜3が通過した分散補償用ガラス108−1〜3は、被検眼118に測定光128−1〜3が往復した時の分散を、参照光127−1〜3に対して補償するものである。分散補償用ガラス108−1〜3のそれぞれの厚さL1−1〜3は被検眼118、レンズ113、115、116の構成と波長の関係によって決定される。例えば、分散補償用ガラス108−1と108−3の厚さは18.8mm、分散補償用ガラス108−2の厚さは19.6mmが好ましい。これは、被検眼は眼軸を長軸とする楕円形に近い形をしているため、眼底の中央付近の分散が大きくなるためである。なお、分散補償用ガラスをプリズム2つにより構成し、ガラスの厚さを可変に構成することが好ましい。これにより、被検眼の長さが異なっても、分散補償を正確に行うことができる。
【0018】
また、光路長L2−1〜3は、それぞれファイバカプラ103−1〜3から被検眼の眼底119までの光学距離とファイバカプラ103−1〜3からミラー109−1〜3までの光学距離を同一にするために調整される光路長である。ミラー109−1〜3はそれぞれステージ110−1〜3上に固定されており、矢印で図示する方向にステージ110−1〜3を移動させることで参照光127−1〜3の光路長L2−1〜3を調整・制御することが出来る。また、NDフィルタ107−1〜3(光量変更部とも呼ぶ。)が参照光127−1〜3のそれぞれの光軸上に設置され、参照光127−1〜3を任意の光量に調整することが可能である。
【0019】
ここで、NDフィルタ107−1〜3の部分を、図3を用いて説明する。なお、図3(a)と図3(b)はそれぞれ、NDフィルタの配置関係を異なる方向から見た際の模式図である。NDフィルタ107−1〜3は、それぞれが接触しないように、参照光127−1〜3の光軸方向に互いにずらして設置されることが好ましい。さらに、NDフィルタ107−1〜3は互いに他の光路を遮ってしまわないように配置されることが好ましい。これにより、参照光127−1〜3はレンズ106−1〜3、分散補償用ガラス108−1〜3、ステージ110−1〜3がそれぞれ接触しない範囲で近づけることが可能となり、参照部111をより小型化することができる。なお、NDフィルタ107−1〜3はOCT画像の画質を損なわないように参照光127−1〜3の光量を調整できれば形状、材質は問わないが、一枚で光量を変更できるNDフィルタを使うことが好ましい。さらに、連続的に参照光127−1〜3の光量を変更できるNDフィルタを使用することが好ましい。さらに、ドーナツ円盤状の基板に円盤の回転方向に向かって連続的に濃度を変化させた回転NDフィルタを使用することが好ましい。また、NDフィルタ107−1〜3(複数の光量変更部それぞれにおける複数の参照光の入射面)は、参照光127−1〜3それぞれの光軸に対して傾斜角度501−1〜3だけ傾けて配置される。これによってNDフィルタ107−1〜3それぞれの表面より参照光127−1〜3の一部が反射した場合に、反射光が再びレンズ106−1〜3に入射してしまうことを避けることが出来る。傾斜角度501−1〜3は、参照光127−1〜3がNDフィルタ107−1〜3の表面でそれぞれ反射し、レンズ106−1〜3を経由して光ファイバ104−1〜3に戻らない範囲で任意に設定可能である。さらに傾斜角度501−1〜3はOCT画像に影響が出ない範囲で任意に設定可能である。このように、NDフィルタを互いに接触しないように配置することで、装置を小型化することが可能である。
【0020】
光ファイバ104−1〜3には、偏光調整部105−1〜3がそれぞれ設置しており、参照光の偏光を調整することが出来る。なお、本実施形態においては、偏光調整部を光ファイバ上に設けたが、光ファイバ104−1〜3の端部からミラー109−1〜3の参照光の光軸上に偏光を調整可能なデバイスを設置しても構わない。
【0021】
<測定部133>
次に、測定光128−1〜3の光路を含む測定部133について説明する。なお、測定部133は、後述する図2の測定格納部304(本体部とも呼ぶ。)により格納されている。
【0022】
まず、測定光128−1〜3はそれぞれ、光ファイバ131−1〜3(測定光ファイバとも呼ぶ。)を通してレンズ113に入射し、XYスキャナ114(測定光を走査する走査部とも呼ぶ。)に導かれる。ここでは簡単のため、XYスキャナ114は1つのミラーとして記したが、実際にはXスキャン用ミラーとYスキャン用ミラーとの2枚のミラーが近接して配置され、眼底119上を光軸に垂直な方向にラスタースキャン出来る構成になっている。また、測定光128−1〜3の中心はXYスキャナ114のミラーの回転中心と一致するように構成されている。レンズ115、116は眼底119を走査するための光学系であり、測定光128−1〜3は瞳孔120の付近を支点として、眼底119をスキャンする役割がある。電動ステージ117は矢印で図示している方向に移動することができ、付随するレンズ116の位置を調整・制御することが出来る。レンズ116の位置を制御・信号処理部126によって調整することで、被検眼118の眼底119に測定光128−1〜3をそれぞれ集光し、観察することが可能になる。また、被検眼118が屈折異常を有している場合にも対応できる。測定光128−1〜3は被検眼118に入射すると、眼底119からの反射や散乱によって戻り光129−1〜3となり、測定光128−1〜3の光路をそれぞれ逆に進む。戻り光129−1〜3はスキャナ114を経てファイバカプラ103−1〜3に導かれる。また、光ファイバ131−1〜3には偏光調整部112−1〜3(例えば、偏光コントローラ)がそれぞれ設置されており、測定光128−1〜3及び戻り光129−1〜3の偏光を調整することが出来る。なお、本実施形態においては偏光調整部を光ファイバ上に設けたが、光ファイバ131−1〜3の端部から被検眼118の測定光の光軸上に偏光を調整可能なデバイスを設置しても構わない。
【0023】
<検出部135>
次に、ラインカメラ125を含む検出部135の構成について説明する。なお、検出部135は、検出格納部(例えば、ベース部310や不図示の外部の格納部)により格納されている。
【0024】
まず、戻り光129−1〜3と参照光127−1〜3とをそれぞれ合波した干渉光130−1〜3は、光ファイバ121−1〜3(合波光ファイバとも呼ぶ。)を通り、それぞれ光ファイバ端から射出される。また、干渉光130−1〜3はそれぞれ、レンズ122を通り、透過型グレーティング123によって波長ごとに分光され、レンズ124で集光されて、ラインカメラ125(例えば、ラインセンサ)の異なる領域にそれぞれが重ならない様に結像する。ラインカメラ125では光の強度が位置(波長)ごとに電圧に変換される。具体的にはラインカメラ125上には波長軸上のスペクトル領域の干渉縞が観察されることになる。得られた電気信号軍は制御・信号処理部126にてフーリエ変換等のデータ処理を行い、断層画像が形成される。
【0025】
<配置>
次に、本実施形態に係るOCT装置の外願について、図2(a)〜(d)を用いて説明する。なお、図2(a)はOCT装置の正面図、図2(b)と図2(c)はOCT装置の側面図、図2(d)は上面図である。
【0026】
まず、本実施形態に係るOCT装置の本体部304(測定格納部とも呼ぶ。)は、ベース部310上に支柱311を介して設けられている。ここで、ベース部310には、被検者の顔を乗せるための顔受け部312と本体部304をベース部310に対する移動の操作を行うためのジョイスティック307とが設けられている。ジョイスティック307を前後左右に傾けることで、本体部304を水平方向に移動させることが出来る。また、ジョイスティック307を軸周りに回転させることで、本体部304を鉛直方向に移動させることが出来る。これにより、ユーザは、本体部304と被検眼118との位置を簡単に合わせることができる。
【0027】
また、本体部304には、参照格納部301、光源格納部302、ファイバ格納部303、電気基板308が設けられている。なお、これらの部材を外部の衝撃から守るために、これらの部材を覆う外装(不図示)を設けても良い。また、これらの格納部は、外部の衝撃からの衝撃に強い部材、例えば金属が好ましい。また、これらの格納部は、軽量化の観点から、アルミ等が好ましい。
【0028】
また、光源格納部302と参照格納部301とを離間するために、これらの格納部の間にはスペーサ309(離間部材とも呼ぶ。)が設けられている。ここで、参照格納部301は光源格納部302の側面に離間して設けられることが好ましい。参照格納部301が光源格納部302の上面に設けられると、装置の高さが長くなり、装置が大型化する。また、この場合、装置の重心がベース部310から離れるため、装置の移動時に装置が不安定になる可能性が高くなる。このため、参照格納部301を設ける位置は、装置の上側過ぎず、光源格納部302から離れ過ぎない位置である光源格納部302の側面としている。
【0029】
ここで、光源101−1〜3は、光源格納部302内に格納され、本体部304の上面に配置される。光源格納部302は本体部304の上面に接触して配置されており、熱源である光源101−1〜3において発生した熱は光源格納部302を介して本体部304へと伝わり放熱される。ファイバ格納部303には、ファイバカプラ103−1〜3、偏光調整部105−1〜3、112−1〜3が配置され、また、光ファイバ102−1〜3、104−1〜3、121−1〜3、131−1〜3の一部が配置され、本体部304の側面に配置される。ファイバ格納部303は本体部304との間にスペーサ309を有し、空間的に分離され、熱の伝わりを最小限に抑える。また、光源格納部302に対して下方に配置されることで、空気を介して熱が伝わることを抑えている。
【0030】
また、参照格納部301には、光ファイバ104−1〜3の端部、レンズ106−1〜3、NDフィルタ107−1〜3、分散補償用ガラス108−1〜3、ミラー109−1〜3、ステージ110−1〜3が配置されている。参照格納部301はスペーサ309を介して光源格納部302の側面に配置される。これにより光源格納部302および本体部304と空間的に分離され、熱が伝わるのを防いでいる。光源格納部302とファイバ格納部303、参照格納部301とファイバ格納部303はそれぞれ光ファイバで接続されている。また、電気基板308はファイバ格納部303と本体部304を挟んで反対側の面に配置される。ここで、電気基盤308には、本OCT装置を駆動するために必要なIC等が搭載されている。電気基盤308は、多少は発熱するため、参照格納部301、ファイバ格納部303とは反対側に配置される。また、光ファイバ131−1〜3の端部からレンズ116までの光学系は本体部204内に配置されている。なお、制御・信号処理部126は、本体部304内に配置する構成であっても、別体として独立した筺体に配置する構成としても良い。
【0031】
また、光源格納部302に格納された光源101−1〜3とファイバ格納部303に格納されたファイバカプラ103−1〜3は、光ファイバ102−1〜3でそれぞれ接続されている。熱源となる光源101−1〜3に比較的近い位置に光ファイバ102−1〜3が配置されることになるが、光ファイバ102−1〜3を通る光はファイバカプラ103−1〜3で参照光127−1〜3と測定光128−1〜3に分割される前の光であり、撮影される断層画像に大きな影響を与えるものではない。
【0032】
ファイバカプラ103−1〜3で分割された参照光127−1〜3は光ファイバ104−1〜3によって参照格納部301に接続される。光ファイバ104−1〜3の端部より射出される参照光127−1〜3はミラー109−1〜3でそれぞれ反射し、再び光ファイバ104−1〜3を通してファイバカプラ103−1〜3に戻る。一方、分割された測定光128−1〜3は光ファイバ131−1〜3によって本体部304内に導かれる。光ファイバ101−1〜3の端部より射出された測定光128−1〜3は、本体部304の一部である対物レンズ鏡筒(不図示)内に配置されるレンズ116より被検眼118に照射される。照射された測定光128−1〜3は眼底119によって反射、または散乱し、戻り光129−1〜3となって再びレンズ116に入射し、光ファイバ131−1〜3を通してファイバカプラ103−1〜3に導かれる。ファイバカプラ103−1〜3で分割された後、参照光127−1〜3と測定光128−1〜3はそれぞれ別の光路を通り、再びファイバカプラ103−1〜3に戻って干渉光130−1〜3となる。その際に干渉強度が最も強くなるように偏光調整部105−1〜3および112−1〜3を調整する。干渉強度はラインカメラ125で受光され、制御・信号処理部126において処理された信号強度をもとに合わせればよい。
【0033】
また、光ファイバは外部環境の変化によってその特性が変わることが一般に知られている。特に温度環境が変わると光ファイバ内の光の偏光が変わる。干渉計においては、参照光と測定光の偏光がそろっているときに最も干渉強度が高くなるが、温度環境の変化によって経時的に偏光が参照光と測定光で別々に変化すると、干渉強度が経時的に変化することになる。その結果、OCT装置で得られる断層画像は、データ取得のタイミングごとに強度が変化することによってムラのある画像となってしまう。それを回避するために、熱源となる光源101−1〜3の格納されている光源格納部302を本体部304の上部に配置し、さらにファイバ格納部303を光源格納部302の下方かつ本体部304の側面にスペーサ309を介して配置している。また、参照格納部301も本体部304および光源格納部302の側面にスペーサ309を介して配置することで、光ファイバ104−1〜3に熱が伝わるのを防いでいる。
【0034】
以上より、OCT装置を構成することで、光ファイバに対する筐体内の発熱部材の影響を抑え、高画質の断層画像を安定して取得することが可能である。
【0035】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光から分かれた複数の測定光を照射した被検査物からの複数の戻り光と、該複数の光から分かれ且つ該複数の測定光にそれぞれ対応する複数の参照光とを合波した複数の合波光に基づいて該被検査物の断層画像を取得する光断層画像撮像装置であって、
前記複数の光を発生させる光源部と、
前記光源部を格納する光源格納部と、
前記複数の参照光の光路の一部を格納し且つ前記光源格納部の側面に離間して設けられた参照格納部と、
を有することを特徴とする光断層画像撮像装置。
【請求項2】
前記複数の測定光を前記被検査物で走査する走査手段と、
前記走査手段を格納する測定格納部と、を有し、
前記光源格納部が、前記測定格納部の上面に設けられることを特徴とする請求項1に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項3】
前記複数の参照光の光路で且つ前記参照格納部の外の光路に設けられた参照光ファイバと、
前記複数の測定光の光路で且つ前記測定格納部の外の光路に設けられた測定光ファイバと、
前記測定格納部の側面に設けられ、前記参照光ファイバと前記測定光ファイバとを格納するファイバ格納部と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項4】
前記複数の合波光を検出する検出手段と、
前記検出手段を格納する検出格納部と、
前記複数の合波光の光路で且つ前記検出格納部の外の光路に設けられた合波光ファイバと、を有し、
前記ファイバ格納部が、前記合波光ファイバの少なくとも一部を格納することを特徴とする請求項3に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項5】
前記複数の参照光の光路で且つ前記参照格納部に格納された光路にそれぞれ設けられた複数の分散補償用ガラスを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項6】
前記複数の参照光の光路で且つ前記参照格納部に格納された光路にそれぞれ設けられた複数の光量変更手段を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項7】
前記複数の参照光の光軸の間の距離は、前記複数の光量変更手段の径または辺の長さよりも小さく、
前記複数の光量変更手段はそれぞれ、前記参照光の光軸方向に互いに接触しないように位置をずらして設けられることを特徴とする請求項6に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項8】
前記複数の光量変更手段それぞれにおける前記複数の参照光の入射面は、前記複数の参照光それぞれの光軸に対して垂直な面より傾けて設けられることを特徴とする請求項6あるいは7に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項9】
前記複数の参照光の偏光と前記複数の測定光の偏光とをそれぞれ調整する複数の偏光調整手段を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項10】
前記光源部が、前記複数の光をそれぞれ発生させる複数の光源を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項11】
前記光源格納部と前記参照格納部との間に設けられた離間部材を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光断層画像撮像装置。
【請求項12】
光源から発生した光から分かれた測定光を照射した被検査物からの戻り光と、該光源からの光から分かれ且つ該測定光に対応する参照光とを合波した合波光に基づいて該被検査物の断層画像を取得する光断層画像撮像装置であって、
前記光源を格納する光源格納部と、
前記参照光の光路の一部を格納し且つ前記光源格納部の側面に離間して設けられた参照格納部と、
を有することを特徴とする光断層画像撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−90903(P2013−90903A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−110749(P2012−110749)
【出願日】平成24年5月14日(2012.5.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】