説明

光検出半導体装置、光ピックアップ及び光記録再生装置

【課題】不要な入射光の遮光と、高速動作に影響を与える寄生容量成分の軽減とを両立させることができる光検出半導体装置を提供する。
【解決手段】開示される光検出半導体装置1は、受光面21aを有する受光部21と、受光部21からの出力信号を増幅するアンプ部22とを含むICチップ12と、受光面21aを露出させる開口部16aを有し、ICチップ12を封止する封止部16とを備えている。この光検出半導体装置1では、封止部16は、遮光性樹脂で形成されている。また、受光面21aの外周端に近接し、かつ、アンプ部22に重ならない領域のICチップ12の表面には、遮光層14が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光面を有する受光部と、受光部からの電気信号を増幅するアンプ部とを含む集積回路素子と、この集積回路素子を封止する封止部とを備えた光検出半導体装置(OEIC:Optical Electrical Integrated Circuit)に関する。本発明は、特に、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)あるいはブルーレイディスク(BD:Blu-ray Disc:登録商標)等の光ディスクに情報の記録又は再生を行う光ピックアップに用いられる光検出半導体装置、この光検出半導体装置を備えた光ピックアップ及びこの光ピックアップを搭載した光記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光検出半導体装置は、受光面を有する受光部、この受光部から出力される電気信号を増幅するアンプ部、各部に電源を供給する電源部及び、各部を制御する制御部などから構成されている。この光検出半導体装置では、不要な入射光があった場合、当該入射光により光電流が光検出半導体装置の内部で発生し、受光部以外の構成要素、例えば、アンプ部が誤動作する虞がある。
【0003】
そこで、従来の光検出半導体装置には、チップ表面に選択的に受光領域を設定するために、アルミニウム系の金属膜からなる遮光膜を備えているものがある。この遮光膜は、入射光により電気的特性が変化する領域の表面を覆うとともに、受光部を露出させるように配置形成されている。また、この遮光膜は、下部に形成されている回路素子の電極間寄生容量による、いわゆる“とびつき”又は“クロストーク”等の悪影響を軽減するために、基板電位等の所定電位と電気的に接続されている(例えば、特許文献1参照。)。以下、この技術を第1の従来例と呼ぶ。
【0004】
また、従来の光検出半導体装置には、受光部を透明樹脂で封止し、受光部以外の部分を非透明の樹脂で封止したものもある(例えば、特許文献2参照。)。以下、この技術を第2の従来例と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3726416号公報
【特許文献2】特開平5−291434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光検出半導体装置の構成要素のうち、アンプ部は、受光部から出力される電気信号を増幅するという光検出半導体装置の主たる機能を果たしている。しかし、前述した第1の従来例のように、遮光膜をアルミニウム系の金属膜で構成した光検出半導体装置では、図4に示すように、基板電位等の所定電位と電気的に接続された遮光膜Fと、この遮光膜Fの下部に形成されている、光検出半導体装置内の回路素子(例えば、トランジスタTR、抵抗R又はコンデンサC)や配線Lなどとの間に、寄生容量成分Cが生じる場合がある。この場合、寄生容量成分Cにより回路の動作速度が遅くなり、回路のAC特性(例えば、周波数特性、群遅延特性(group delay characteristic)、ノイズ特性)に悪影響を及ぼすことになる。この結果、例えば、アンプ部を構成するトランジスタ等の素子が性能を十分に発揮することができず、アンプ部に要求されるAC特性(例えば、良好な周波数特性、群遅延特性、ノイズ特性)を得ることが困難となるという問題があった。
【0007】
この点、前述した第2の従来例では、受光部以外の部分を非透明の樹脂で封止している。しかし、非透明の樹脂は、金属膜で構成した遮光膜と比較して、特に、開口部から受光面に対して斜めに入射される不要な光に対して遮光性能が十分とは言えない。したがって、このような不要な入射光により光電流が光検出半導体装置の内部で発生し、受光部以外の構成要素、例えば、アンプ部が誤動作する虞がある。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、上述のような問題を解決することを課題の一例とするものであり、これらの課題を解決することができる光検出半導体装置、光ピックアップ及び光記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明に係る光検出半導体装置は、受光面を有する受光部と、前記受光部からの出力信号を増幅するアンプ部とを含む集積回路素子と、前記受光面を露出させる開口部を有し、前記集積回路素子を封止する封止部とを備える光検出半導体装置であって、前記封止部は、遮光性樹脂層で形成され、前記受光面の外周端に近接し、かつ、前記アンプ部に重ならない領域の前記集積回路素子の表面に遮光層が形成されていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項6に記載に係る光ピックアップは、請求項1乃至5のいずれかに記載の光検出半導体装置を備えることを特徴としている。
また、請求項7に記載の発明に係る光記録再生装置は、請求項6に記載の光ピックアップを搭載したことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光検出半導体装置の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る光ピックアップの光学系の構成を示す概略図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係る光記録再生装置の構成の一例を示す概念図である。
【図4】第1の従来例の不都合点を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る光検出半導体装置1の構成を示す図である。図1(a)は光検出半導体装置1の平面図、図1(b)は図1(a)のA−A断面図である。なお、図1(a)には、後述する保護膜15、樹脂阻止薄膜16及び封止部17を示していない。本実施の形態に係る光検出半導体装置1は、例えば、CDやDVDあるいはBD等の光ディスクに情報の記録又は再生を行う光ピックアップに用いられる。
【0013】
光検出半導体装置1には、プリント基板11と、ICチップ(集積回路素子)12と、複数のボンディングワイヤー13と、遮光層14と、保護膜(パシベーション(passivation)膜)15と、樹脂阻止薄膜16と、封止部17とから概略構成されており、開口部18が形成されている。プリント基板11は、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂銅張積層板、耐熱性ガラス布基材エポキシ樹脂銅張積層板あるいは、耐熱性紙基材フェノール樹脂銅張積層板等からなり、略矩形板状を呈している。
【0014】
プリント基板11の表面には、銅箔からなり、表面が金メッキ処理された電極11aが形成され、ICチップ12や図示せぬチップ抵抗、チップコンデンサ等が装着されている。ICチップ12や図示せぬチップ抵抗、チップコンデンサ等は、プリント基板11上の図示せぬ配線パターンに導電性接着剤で接着されている。
【0015】
ICチップ12は、受光部21と、アンプ部22と、電源部23と、制御部24と、ボンディングパッド部25とから構成されている。受光部21は、受光面21aを有し、例えば、半導体レーザで発光され、光ディスクの情報記録面によって反射された光ビームを受光して電気信号(電流信号)に光電変換する。アンプ部22は、受光部21から出力される電流信号を電圧信号に変換した後、所定の増幅度で増幅する。電源部23は、所望の電圧又は電流を生成し、各部に供給する。制御部24は、外部から供給される制御信号に基づいて、例えば、アンプ部22の増幅度、信号の演算式等の動作モードを設定する。
【0016】
ボンディングパッド部25と電極11aとは、ボンディングワイヤー13を介して接続されている。ボンディングワイヤー13の材料としては一般に金線が用いられ、ボンディングパッド部25と電極11aとは熱圧着にてボンディングされている。
【0017】
受光部21を含んだICチップ12の表面には、受光部21の表面である受光面21aの表面を除く領域、電源部23の受光面21aに隣接した領域及び、制御部24の受光面21aに隣接した領域に、所定の厚さで遮光層14が形成されている。すなわち、遮光層14は、受光面21aを囲む領域であって、受光面21aを露出させる封止部17の開口部17aの内部に形成されている。また、遮光層14の一部は、ICチップ12の表面において、封止部17の開口部17aのエッジから受光部21とは反対側、すなわち、封止部17の下方へ、例えば、数μm〜数10μm程度入り込んでいる。遮光層14が上記した領域に形成されているのは、封止部17の厚さが薄く、封止部17の遮光性が低下する領域を覆うとともに、開口部16aから受光面21aに対して斜めに入射される不要な光を遮ることにより、封止部17の遮光機能を補うためである。なお、図1(a)から分かるように、遮光層14は、アンプ部22と重ならない領域に形成されている。
【0018】
ここで、遮光層14の形成領域について説明する。上記したように、ICチップ12は、受光部21と、アンプ部22と、電源部23と、制御部24と、ボンディングパッド部25とから構成されている。このうち、アンプ部22は、受光部21における光電変換により得られた電流信号を電圧信号に変換した後、所定の増幅度で増幅し、回路のAC特性(例えば、周波数特性、群遅延特性、ノイズ特性)、すなわち、信号品質を劣化させずに出力するという光検出半導体装置1の主たる機能を担っている。
【0019】
したがって、金属を含む遮光層14とアンプ部22を構成する配線や素子との間に余分な寄生容量成分が存在した場合、寄生容量成分により回路の動作速度が遅くなり、アンプ部22を構成するトランジスタ等の素子が性能を十分に発揮することができず、アンプ部22に要求されるAC特性(例えば、良好な周波数特性、群遅延特性、ノイズ特性)を得ることが困難となる。したがって、アンプ部22の上面は、遮光層14と配線や素子との間の寄生容量成分による影響は極力排除するために、金属を含まない樹脂によって遮光する必要がある。これに対し、電源部23及び制御部24については、光電変換により得られた電気信号そのものの演算や増幅など、信号品質に直接影響する機能を担っておらず、所定のAC特性は求められていないため、遮光層14と配線や素子との間の寄生容量成分による影響をアンプ部22と比較して、考慮する必要はない。したがって、電源部23及び制御部24の上面は、金属を含む遮光層14によって遮光しても良い。
【0020】
遮光層14は、CD規格の光ディスクを記録再生するための波長780nmの光ビーム、DVD規格の光ディスクを記録再生するための波長650nmの光ビーム及び、BD規格の光ディスクを記録再生するための波長405nmの光ビームのいずれも透過しない特性を有している。遮光層14は、例えば、アルミニウム、銅、クロム、タンタル、銀、金、鉄、ニッケル等の金属単体、これらの金属を適当に含んだ合金あるいは、これらの金属にシリコンを含有する金属化合物などから構成されている。遮光層14は、公知のウェハープロセスにより形成されている。
【0021】
ICチップ12の表面には、受光面21a及びボンディングパッド部25のそれぞれの表面を除く領域に、保護膜15が形成されている。保護膜15は、例えば、窒化珪素、酸化珪素などの絶縁性のシリコン化合物等から構成されている。保護膜15の表面には、受光部21の表面である受光面21aの表面及びボンディングパッド部25の表面をほぼ除く領域に所定の厚さで樹脂阻止薄膜16が形成されている。これにより、樹脂阻止薄膜16は、受光面21aを露出させる多角形状、円形状又は楕円形状の開口部16aを中央部に有した構造となっている。図1には、開口部16aが円形状を呈している例を示している。そして、樹脂阻止薄膜16は、開口部16aにより受光面21aの周囲に形成される段差が、少なくとも1μm以上となるように、膜厚が設定されている。すなわち、受光面21aの表面の位置は、樹脂阻止薄膜16の表面よりも1μm以上低い位置になっている。樹脂阻止薄膜16は、窒化珪素、チタン、窒化チタン又はポリイミド樹脂などから構成されている。樹脂阻止薄膜16のうち、窒化珪素からなるものは、例えば、プラズマCVD法により、シランガス、アンモニアガスを高周波電界によりプラズマ化して低温(200℃〜400℃)でプラズマ窒化膜を堆積させて形成する。なお、樹脂阻止薄膜16の材料、形成方法及び封止用樹脂とのぬれ性の詳細については、例えば、特許第4042993号公報を参照されたい。
【0022】
そして、プリント基板11に搭載されたICチップ12、ボンディングワイヤー13、図示せぬチップ抵抗やチップコンデンサ等を覆うように、封止用樹脂が塗布されて封止部17が形成されている。封止用樹脂をICチップ12の受光面21aを除いた部分に塗布・充填することにより、封止部17には、受光面21aを露出させる開口部17aが形成されている。封止部17の傾斜側面17bは、上面から受光面21aに向かって徐々に厚さが減少する傾斜面となっている。
【0023】
封止用樹脂は、CD規格の光ディスクを記録再生するための波長780nmの光ビーム、DVD規格の光ディスクを記録再生するための波長650nmの光ビーム及び、BD規格の光ディスクを記録再生するための波長405nmの光ビームのいずれも透過しない特性を有している。封止用樹脂としては、例えば、シリコン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの透明樹脂に、遮光性顔料、例えば、カーボンブラック、チタン化合物、フェライト、黒色顔料などの黒色又は暗色材料を混合させたものを用いる。この封止用樹脂は、例えば、シリコン系樹脂程度の表面張力を有し、かつ、硬化前に1パスカル・秒以上の粘性を有している。
【0024】
図1(b)に示すように、樹脂阻止薄膜16の表面に塗布された封止用樹脂は、開口部16aを形成している樹脂阻止薄膜16の段差の部分では表面張力により、受光面21a側には流れ込まない。したがって、受光面21aの上には、開口部16a及び開口部17aにより、封止用樹脂が入り込まない開口部18が形成されている。開口部17aの断面形状は、図1(b)の例では、曲面状を呈している。
【0025】
樹脂阻止薄膜16の表面と保護膜15の表面との間に形成されている段差は、樹脂阻止薄膜16の膜厚に等しく、この段差が少なくとも1μm以上となるように、樹脂阻止薄膜16は形成されている。このように段差を設定することにより、樹脂阻止薄膜16の表面に塗布された封止用樹脂が開口部18側に流れることを防止でき、封止用樹脂の付着による受光面21aの汚れを防止して、製造上の歩留まりを大きく改善することができる。つまり、製造工程において封止用樹脂を流し込む際、この樹脂阻止薄膜16の段差部分で生じる表面張力により、封止用樹脂が開口部18へ入り込むことを防止しているのである。
【0026】
次に、上記構成を有する光検出半導体装置1の製造方法のうち、封止用樹脂の充填工程について説明する。まず、上面にICチップ12が搭載され、電極11aとICチップ12のボンディングパッド部25とがボンディングワイヤー13を介して接続されている2枚のプリント基板11の側縁を密着させた状態において、2枚のプリント基板11の境界位置の上方に配置されたノズルから、これらのプリント基板11に向けて所定の噴射速度で封止用樹脂を吐出する。
【0027】
これにより、封止用樹脂は、ボンディングワイヤー13を伝わってICチップ12上に形成された樹脂阻止薄膜16の上部まで塗布される。このボンディングワイヤー13の存在が封止用樹脂の成形に役立っている。
【0028】
次に、樹脂阻止薄膜16の段差部分で生じる表面張力により、封止用樹脂が開口部16aの内側へ入り込むことが防止されて、開口部17aを備えた封止部17が形成される。封止用樹脂は、ICチップ12の上に直接塗布せずに、プリント基板11の端縁側からICチップ12の表面側に徐々に這い上がるように充填させると効率よく製造することができる。
【0029】
次に、封止用樹脂が光硬化性樹脂である場合は光により硬化し、熱硬化性樹脂である場合は加熱により硬化する。光検出半導体装置1は、封止部17の形成により、ICチップ12の受光面21a以外の部分とボンディングワイヤー13及びその接続部分が覆われて、外部からの機械的衝撃等から保護される。一方、受光面21aは封止用樹脂では保護されないが、その表面に薄くプラズマ窒化膜を付着することにより耐湿性を改善することができる。また、受光面21aの表面に反射防止膜を形成しても良い。なお、封止用樹脂の充填工程の詳細については、例えば、上記した特許第4042993号公報を参照されたい。
【0030】
このように、本発明の実施の形態1によれば、不要な入射光の遮光と、高速動作に影響を与える寄生容量成分の軽減とを両立させることができる光検出半導体装置1を提供することができる。
【0031】
実施の形態2.
図2は、本発明の実施の形態2に係る光ピックアップ31の光学系の構成を示す概略図である。この光ピックアップ31は、上記した実施の形態1に係る光検出半導体装置1と、半導体レーザ32と、偏光ビームスプリッタ33と、コリメートレンズ34と、立ち上げミラー35と、1/4波長板36と、対物レンズ37と、センサレンズ38とから概略構成されている。
【0032】
半導体レーザ32は、例えば、BD規格の光ディスク39を記録再生するための波長405nmの光ビームを出射する。偏光ビームスプリッタ33は、半導体レーザ32からの光ビームのP偏光の直線偏光成分をほぼ100%反射してコリメートレンズ34に入射する。また、偏光ビームスプリッタ33は、立ち上げミラー35からのS偏光の直線偏光成分を90%以上透過して、センサレンズ38に入射する。
【0033】
コリメートレンズ34は、偏光ビームスプリッタ33からの発散光ビームを平行光ビームに変換するとともに、立ち上げミラー35からの平行光ビームを集束光ビームに変換する。また、コリメートレンズ34は、図2に矢印で示すように、光軸方向に移動可能に構成されている。
【0034】
立ち上げミラー35は、コリメートレンズ34を透過した後の光ビームを反射して光路を折り曲げて光ディスク39の方向に立ち上げ、1/4波長板36に入射させる。また、立ち上げミラー35は、1/4波長板36からの光ビームを反射して光路を折り曲げてコリメートレンズ34に入射させる。
【0035】
1/4波長板36は、立ち上げミラー35からの光ビームのP偏光の直線偏光成分(以下、「往路光ビーム」という。)を円偏光成分に変換するとともに、対物レンズ37からの円偏光成分を上記往路光ビームの偏光方位と直交する方向の直線偏光成分、すなわち、上記S偏光の直線偏光成分に変換する。対物レンズ37は、1/4波長板36からの平行光ビームを光ディスク39の情報記録面に集光するとともに、光ディスク39からの反射光ビームを平行光ビームに変換する。
【0036】
コリメートレンズ34から見て偏光ビームスプリッタ33の光透過側にはセンサレンズ38及び光検出半導体装置1がこの順に配置されている。センサレンズ38は、光ディスク39で反射された光ビームを所定の光学系倍率で拡大する。
【0037】
光検出半導体装置1には、複数の受光領域が設けられており、半導体レーザ32で発光され、光ディスク39の情報記録面によって反射された光ビームをそれぞれ受光する。受光された各光ビームは各受光領域内でさらに分割された各受光セルそれぞれにおいて独立に光電変換され、電気信号として出力される。
【0038】
このように、本発明の実施の形態2によれば、光ピックアップ31を構成する光検出半導体装置として、上記した実施の形態1に係る光検出半導体装置1を用いている。したがって、不要な入射光の遮光と、高速動作に影響を与える寄生容量成分の軽減とを両立させることができるので、例えば、BD規格の光ディスク39を誤動作することなく、高速で記録再生することができる。
【0039】
実施の形態3.
図3は、本発明の実施の形態3に係る光記録再生装置の構成の一例を示す概念図である。この光記録再生装置は、本発明の実施の形態2に係る光ピックアップ31と、スピンドルモータ41と、スピンドルモータ駆動回路42と、コントローラ43と、送りモータ44と、送りモータ駆動回路45と、レーザ駆動回路46と、レンズ駆動回路47とから概略構成されている。
【0040】
スピンドルモータ駆動回路42は、コントローラ43の制御の下、スピンドルモータ41を駆動して光ディスク39を回転させる。コントローラ43は、光ピックアップ31から供給される光検出半導体装置1での検出信号に基づいて、スピンドルモータ駆動回路42、送りモータ駆動回路45、レーザ駆動回路46及びレンズ駆動回路47をそれぞれ制御する。
【0041】
送りモータ駆動回路45は、コントローラ43の制御の下、送りモータ44を駆動して光ピックアップ31を光ディスク39の半径方向に移動させる。レーザ駆動回路46は、コントローラ43の制御の下、光ピックアップ31を構成する半導体レーザ32(図2参照)を駆動するためのレーザ駆動信号を生成し、光ピックアップ31に供給する。レンズ駆動回路47は、コントローラ43の制御の下、光ピックアップ31を構成する対物レンズ37のフォーカシング、トラッキング及びラジアルチルトを制御するため及び、コリメートレンズ34の位置を調整するためのレンズ駆動信号を生成し、光ピックアップ31に供給する。
【0042】
コントローラ43は、フォーカスサーボ追従回路51と、トラッキングサーボ追従回路52と、チルト調整回路53と、コリメートレンズ調整回路54と、レーザコントロール回路55とを有している。フォーカスサーボ追従回路51は、光ピックアップ31から供給される光検出半導体装置1での検出信号から演算により生成されたフォーカスエラー信号(FE信号)に基づいて、回転している光ディスク39の情報記録面に光ピックアップ31から出射された光ビームのフォーカスをかけるためのフォーカスサーボ信号を生成し、レンズ駆動回路47に供給する。
【0043】
トラッキングサーボ追従回路52は、光ピックアップ31から供給される光検出半導体装置1での検出信号から演算により生成されたトラッキングエラー信号(TE信号)に基づいて、光ディスク39の偏芯している信号トラックに対して、光ピックアップ31から出射された光ビームのビームスポットを追従させるためのトラッキングサーボ信号を生成し、レンズ駆動回路47に供給する。チルト調整回路53は、光ピックアップ31から供給される光検出半導体装置1での検出信号から演算により生成されたTE信号あるいはその他の信号に基づいて、光ピックアップ31を構成する対物レンズ37(図2参照)をラジアル方向に傾斜させるためのチルト調整信号を生成し、レンズ駆動回路47に供給する。
【0044】
コリメートレンズ調整回路54は、光ピックアップ31から供給される光検出半導体装置1での検出信号から演算により生成されたFE信号又はTE信号に基づいて、光ピックアップ31を構成するコリメートレンズ34を調整するためのコリメートレンズ調整信号を生成し、レンズ駆動回路47に供給する。レーザコントロール回路55は、光ピックアップ31から供給される光検出半導体装置1での検出信号から抽出された光ディスク39に記録されている記録条件設定情報に基づいて、適切なレーザ駆動信号の生成を行う。
【0045】
コントローラ43は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、シーケンサ等のハードウェアで構成しも良いし、CPU(中央処理装置)が上記フォーカスサーボ追従回路51、上記トラッキングサーボ追従回路52、上記チルト調整回路53、上記コリメートレンズ調整回路54及び上記レーザコントロール回路55が行う処理をプログラムに基づいて実行するように構成しても良い。
【0046】
このように、本発明の実施の形態3によれば、光記録再生装置を構成する光ピックアップとして、実施の形態1に係る光検出半導体装置1を備えた実施の形態2に係る光ピックアップ31を搭載している。したがって、不要な入射光の遮光と、高速動作に影響を与える寄生容量成分の軽減とを両立させることができるので、例えば、BD規格の光ディスク39を誤動作することなく、高速で記録再生することができる。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、上述の実施の形態1では、封止用樹脂をノズルから所定の噴射速度で吐出することにより封止部17を形成するため、開口部17aの断面形状が曲面状を呈している例を示したが、これに限定されない。封止部は、上記した特許文献2に記載されているように、金型を用いて形成しても良い。この場合、封止部の開口部の断面形状は、金型の形状に対応して略矩形状や略逆台形状を呈する場合がある。
【符号の説明】
【0048】
1…光検出半導体装置、11…プリント基板、11a…電極、12…ICチップ(集積回路素子)、13…ボンディングワイヤー、14…遮光層、15…保護膜、16…樹脂阻止薄膜、16a…開口部、17…封止部、17a…開口部、17b…傾斜側面、18…開口部、21…受光部、21a…受光面、22…アンプ部、23…電源部、24…制御部、25…ボンディングパッド部、31…光ピックアップ、32…半導体レーザ、33…偏光ビームスプリッタ、34…コリメートレンズ、35…立ち上げミラー、36…1/4波長板、37…対物レンズ、38…センサレンズ、39…光ディスク、41…スピンドルモータ、42…スピンドルモータ駆動回路、43…コントローラ、44…送りモータ、45…送りモータ駆動回路、46…レーザ駆動回路、47…レンズ駆動回路、51…フォーカスサーボ追従回路、52…トラッキングサーボ追従回路、53…チルト調整回路、54…コリメートレンズ調整回路、55…レーザコントロール回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光面を有する受光部と、前記受光部からの出力信号を増幅するアンプ部とを含む集積回路素子と、前記受光面を露出させる開口部を有し、前記集積回路素子を封止する封止部とを備える光検出半導体装置であって、
前記封止部は、遮光性樹脂で形成され、
前記受光面の外周端に近接し、かつ、前記アンプ部に重ならない領域の前記集積回路素子の表面に遮光層が形成されている
ことを特徴とする光検出半導体装置。
【請求項2】
前記封止部の開口部側面が前記受光面に向かって徐々に厚さが減少する傾斜面となっており、前記遮光層が前記傾斜面に対向している
ことを特徴とする請求項1記載の光検出半導体装置。
【請求項3】
前記傾斜面は、曲面状に傾斜している
ことを特徴とする請求項2記載の光検出半導体装置。
【請求項4】
前記遮光層は、金属層で構成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光検出半導体装置。
【請求項5】
前記開口部は、多角形、円形又は楕円形である
ことを特徴とする請求項1記載の光検出半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の光検出半導体装置を備えることを特徴とする光ピックアップ。
【請求項7】
請求項6に記載の光ピックアップを搭載したことを特徴とする光記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−199275(P2010−199275A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42052(P2009−42052)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(503213291)パイオニア・マイクロ・テクノロジー株式会社 (25)
【Fターム(参考)】