説明

光検出装置、光学装置及び光学的情報読取装置

【課題】 対象物を光ビームにより走査すると共にその反射光の検出を行うモジュールを、小型化する。
【解決手段】 光検出装置43において基板51のうち第1面にフォトダイオードを設け、基板51の上記第1面と反対側の第2面に、フォトダイオードが受光した光量に応じた電気信号を出力するための平面状の出力電極53を設け、基板51の、上記第1面とも上記第2面とも異なる第3面に、上記第2面に設けた出力電極53に接するように切り欠き部54を設け、切り欠き部54の内面に、出力電極53に接続する電極を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、受光素子を備え、受光素子が受光した光量に応じた電気信号を出力する光検出装置、このような光検出装置を基板上に備える光学装置、および、このような光学装置を備え、光反射率が周囲と異なるモジュールが配列されたコード記号により示される情報を読み取る光学的情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バーコードあるいは二次元コードと呼ばれるコード記号は、光反射率の低い黒バー(あるいは単に「バー」)と光反射率の高い白バー(あるいはスペース)のモジュールで構成される画像である。
一般に、物品に関する情報をこのようなコード記号により表し、そのコード記号を物品に印刷又は貼付しておき、そのコード記号を光学的情報読取装置で読み取る方法がよく知られている。使用分野は、スーパーマーケットを始めとする小売店等に配置されるPOS(Point of sales)システムが代表的であるが、その他、物流、郵便、イベント会場管理や医療・化学検査など幅広い分野に及んでいる。
【0003】
そして、光学的情報読取装置には大別して、レーザを使用するレーザコードスキャナと、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いたカメラを使用するエリアセンサスキャナがある。これらのうちレーザコードスキャナは、エリアセンサスキャナに比べ、歴史が長く技術が蓄積しており、信頼度が高い。
【0004】
このレーザコードスキャナには、光源として半導体レーザ素子を用いて光束(レーザ光)により読取対象物を走査し、その反射光から情報を復号する小型の光走査モジュールが搭載されている。そして、この光走査モジュールには、走査のためレーザ光を偏向させる方式として、多面ミラー(ポリゴンミラー)を回転させる方式や、一枚のミラーを揺動させる走査ミラー方式が知られている。
【0005】
例えば、特許文献1には、半導体レーザ等の発光素子から光を出射し、ポリゴンミラーの一面にて読取対象物へ向けて反射させるバーコード読取装置が記載されている。特許文献2には、発光ユニットから出射されるレーザビームをシーソ式に振動する振動ミラーにより読取対象物へ向けて反射させる光学的情報読取装置が記載されている。
これらの装置においては、読取対象物に多くの光束を当てるため、前者は多くの反射面を有するポリゴンミラーを搭載し、後者は一面のミラーを振動させている。読取対象物に当たる光束の多さは、コード記号をデコードした時の精度にも関わり、多くの光束を当てた方が良好なデコードが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−259058号公報
【特許文献2】特許第4331597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述のようなデコード精度もさることながら、光学的情報読取装置に搭載する、光ビームの走査及び反射光の検出を行う光走査モジュールの小型化及び薄型化も、大きな課題となっている。これは、従来のように、光走査モジュールがハンド式スキャナのような情報読取の専用機に搭載されるだけでなく、ハンディターミナルやスマートフォンなど、多機能の電子機器にさらに追加して光走査モジュールを搭載する場面が増えているためである。
【0008】
特許文献2に記載の技術を用いた光走査モジュールも、公開された当時は世界最小と認識されていたが、現在ではさらなる小型化が要求されている。
そして、この小型化を試みる際に問題となるのは、モジュールの光学機能である。すなわち、モジュールを小型化しても、十分な強度を有する光束が内部を行き来する構造とできなければ、読取対象物を走査する光束の強度が弱くなり、デコード精度の低下に繋がってしまう。
【0009】
この発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、対象物を光ビームにより走査すると共にその反射光の検出を行う光学装置や、このような機能を有するモジュールを使用する光学的情報読取装置を、小型化できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、上記の目的を達成するため、基板の第1面に受光素子を設け、その基板の上記第1面と反対側の第2面に上記受光素子が受光した光量に応じた電気信号を出力するための平面状の出力電極を設けた光検出装置において、上記基板の、上記第1面とも上記第2面とも異なる第3面に、上記第2面に設けた上記出力電極に接するように切り欠き部を設け、その切り欠き部の内面に、上記出力電極に接続する電極を設けたものである。
【0011】
このような光検出装置において、上記第3面を、上記第1面と略垂直な面とするとよい。
【0012】
また、この発明の光学装置は、接続電極を設けた回路基板を有し、上記のいずれかの光検出装置を、上記切り欠き部が、上記出力電極と接続すべき回路基板上の接続電極と対向するように、かつ上記第1面が上記回路基板の上記接続電極を設けた面と略垂直になるように配置し、上記切り欠き部に充填された導電材料により、上記出力電極と上記回路基板上の接続電極とが電気的に接続されるようにしたものである。
【0013】
このような光学装置において、読取対象物に光を照射する照射手段と、上記読取対象物からの反射光を、上記光検出装置の上記基板が備える受光素子に入射させるための光学部材とを設け、上記光学部材に入射してから上記受光素子に入射するまでの上記反射光の光路が、上記回路基板の上記接続電極を設けた面と略平行となるようにするとよい。
【0014】
また、この発明の光学的情報読取装置は、これらのいずれかの光学装置を備えた、光反射率が周囲と異なるモジュールが配列されたコード記号により示される情報を読み取る光学的情報読取装置である。
【発明の効果】
【0015】
この発明による光検出装置又は光学装置を用いることにより、対象物を光ビームにより走査すると共にその反射光の検出を行うモジュールを、小型化することができる。また、この発明の光学的情報読取装置によれば、上記のような光検出装置又は光学装置を利用して、装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の光学装置の実施形態である光走査モジュールの斜視図である。
【図2】図1の矢視A方向から見た正面図である。
【図3】図2の3−3線における断面図である。
【図4】図1に示した光走査モジュールが備える光検出装置の斜視図である。
【図5】光走査モジュールにおける光検出装置の配置を模式的に示す図である。
【0017】
【図6】従来の表面実装タイプの光検出装置の配置を示す図である。
【図7】図1に示した光走査モジュールが備えるレーザ光源ユニットの斜視図である。
【図8A】クリップを用いてレーザ光源ユニットをモジュール筐体へ固定する手順の説明図である。
【図8B】その続きの図である。
【図8C】その続きの図である。
【図8D】その続きの図である。
【図9】レーザ光源ユニットを台座に固定した状態の平面図である。
【図10A】レーザ光源ユニットが固定されたモジュール筐体へ回路基板を取り付ける手順の説明図である。
【図10B】その続きの図である。
【0018】
【図11】図1に示した光走査モジュールの、コイルから支持軸及び振動ミラー保持部材に至る部分の断面を模式的に示す図である。
【図12】比較例における図11と対応する断面を示す図である。
【図13A】図1に示した光走査モジュールが備えるレンズが有するパワーについて説明するための図である。
【図13B】その別の図である。
【図14】そのレンズを通過したレーザ光が形成するスポットの形状を示す図である。
【図15】そのレンズの形状を示す図である。
【図16A】比較例におけるレンズのパワーについて説明するための、図13Aと対応する図である。
【図16B】同じく図13Bと対応する図である。
【図17】図15に示した形状のレンズの製造方法について説明するための図である。
【図18】この発明の光学的情報読取装置の実施形態であるコードスキャナの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔光学装置の実施形態:図1乃至図16B〕
まず、この発明の光検出装置を備えた光学装置の実施形態である光走査モジュールについて説明する。
図1に、この光走査モジュールの斜視図を、図2に図1の矢視A方向から見た正面図を、図3に図2の3−3線における断面図をそれぞれ示す。なお、図3において、モジュール筐体2以外については断面を表すハッチングは省略した。
【0020】
この光走査モジュール1は、その外装を、図1及び図2に示すように、モジュール筐体2と回路基板3とを、2本のネジ4,4でネジ留めすることにより固定して構成している。
このうちモジュール筐体2は、ZDC2と呼ばれる亜鉛合金によってダイキャスト製法で形成されており、全体の外形として縦(D)14mm、横(W)20.4mm、高さ(H)3.4mmの大きさを有する。亜鉛合金に代えて、アルミニウム又はアルミニウム合金あるいはマグネシウム合金を用いてもよい。なお、このような金属で形成するのは、充分な精度と強度が得られることと、後述するLSIに対するシールド効果を得るためである。シールド効果を別に考慮する場合には、強化プラスチックなどの樹脂で形成してもよい。
【0021】
そして、モジュール筐体2には、後述するようにレーザ光源ユニット10をモジュール筐体2に固定するためのクリップ15を挿入するためのスリット5と、走査用のレーザビームを出射させ、また検出すべき反射光を入射させるための開口部6を設けている。なお、図3において、モジュール筐体2のうち符号2aで示す部分が他の部分と分離したように表われているが、この部分は、図2の3−3線より上側の部分で他の部分と繋がっている。
【0022】
また、回路基板3には、レーザ光源ユニット10の端子13を通すための貫通孔7と、後述するように振動ミラー31の支持軸34及びその軸受け33を貫通させるための貫通孔とを設けている。なお、後者の貫通孔は、図1においてはカバー38により覆った状態で示しており、図には表われていない。
また、モジュール筐体2と回路基板3とは、図3に示すように、その内部に多数の部品を備えている。次に図3を参照しつつこれらについて説明する。なお、図3に表われる構成要素のうち重要なものについては追って詳述するため、図3を用いての各部の説明は概略に留める。
【0023】
まず、モジュール筐体2は、対象物にレーザ光を照射する照射手段の光源として、レーザ光源ユニット10を備える。このレーザ光源ユニット10は、薄型パッケージレーザとして構成し、その一端部付近に、レーザ光を出力するレーザ光源である半導体レーザ体11を備える。また、側面にはフランジ状の1対の突起部12,12を備え、クリップ15,15により、それぞれモジュール筐体2上に設けた台座の端部の、対応する突起部に圧着している。なお、台座の端部の突起部については、図3には表われていない。また、レーザ光源ユニット10は、半導体レーザ体11と反対側の端部に、4本の端子13を設け、これを回路基板3に設けた貫通孔7を通して光走査モジュール1の外部に露出させ、外部からレーザ光源ユニット10を駆動するための駆動信号を入力できるようにしている。
【0024】
次に、モジュール筐体2は、レーザ光源ユニット10が備えた半導体レーザ体11が出射するレーザ光を、楕円形のビームスポットを形成するレーザビームとして投射するための投射光学系を構成する光学素子として、ミラー21と、レンズ22と、アパーチャ23を備える。
【0025】
このうちミラー21は、レーザビームの光路の向きを変えるための固定のミラーである。レンズ22は、コリメートレンズと、互いに直交するX方向とY方向の一方のみについてパワーを有するシリンダレンズとの両方のパワーを持つレンズである。そして、半導体レーザ体11が出力する放射状のレーザ光は、このレンズ22を通ることにより、コリメートレンズのパワーにより円形のスポットを有する平行光に、シリンダレンズのパワーによりさらに楕円形のスポットを有するビームに変換される。アパーチャ23は、レンズ22を通過したビームの端部をカットし、所望の径に絞るためのものである。
【0026】
そして、アパーチャ23を通ったレーザビームは、矢印Cで示すようにシーソ式に振動する振動ミラー31により反射され、符号Sで示す光路で開口部6から外部に出射される。このことにより、レーザビームで出射先にある走査対象物を往復走査することができる。
【0027】
また、モジュール筐体2は、金属、樹脂又はガラス製の振動ミラー31を振動させるための構成として、振動ミラー31を前面部に固着した樹脂製の振動ミラー保持部材32と、支持軸34と、コイル36とを備えている。また、振動ミラー保持部材32は樹脂製の軸受け33により支持軸34を回転軸として回動可能に保持され、振動ミラー31を取り付けた側と反対側に、可動磁石(永久磁石)35が固着されている。また、コイル36には、その巻回方向に垂直な方向にヨーク37が貫通している。図3では、コイル36及びヨーク37を、ヨーク37の中心付近で切断した断面が表われている。
【0028】
そして、可動磁石35とヨーク37とは、非作動状態(コイル36に通電していない状態)のとき、互いに平行になるストレート形状であり、その平行な方向に直交する方向のヨーク37の断面積が、可動磁石の同じ方向の断面積より小さい。コイル36の不図示の端子は、回路基板3に接続され、回路基板3から制御信号が供給される。
【0029】
また、ヨーク37はコイル36のボビンを兼ねた絶縁部材を介して、モジュール筐体2の側壁部と内壁部に形成された一対のスリット8,8に差し込んで固定されている。このヨーク37の配置すなわちコイル36の配置は、磁力を考慮してはじめに調整し、その位置に固定する。
【0030】
また、振動ミラー保持部材32の可動磁石35は、コイル36から僅かに離間して配置される。そして、その支持軸34は、滑り軸受けとなっている軸受け33によって覆われ、その軸方向の上下両面を支持軸34に嵌合する不図示のスライダによって緩く保持している。したがって、振動ミラー保持部材32は、支持軸34に対してその軸線方向に所定の範囲で移動自在に支持され、微少な振幅運動が可能に構成されている。
【0031】
なお、スライダは樹脂ワッシャで構成され、非接触でかつ干渉防止の役目をなし、振動ミラー保持部材32はフローティング状態になっている。その状態でコイル36に異なる向きの電圧を交互に印加すると、コイル36と可動磁石35との電磁誘導の働きによって、振動ミラー31が支持軸34を中心にシーソ式に振動する。
【0032】
また、モジュール筐体2は、走査対象物からの反射光も、開口部6から入射させる。そして、入射した反射光は、振動ミラー31によって反射され、集光パワーを有する受光レンズ41に入射する。振動ミラー31の振動の位相によらず(どの角度を走査している場合でも)、受光レンズ41に対しては同じ角度から光が戻ってくるため、振動ミラー31が振動していてもこの点は特に問題とならない。
【0033】
反射光が受光レンズ41を通過した先には、レーザ光源ユニット10が出力するレーザビームの波長の光を選択的に透過させるフィルタ42を設けており、走査ビームの反射光以外の周囲からの入射光をカットする。例えば、レーザビームとして波長650nm(ナノメートル)のビームを用いる場合、フィルタ42としては波長650nmのビームを選択的に透過させるフィルタを用いればよい。赤外線レーザを用いる場合には、その波長の赤外線を選択的に透過させる赤外(IR)フィルタを用いればよい。
【0034】
そして、反射光がフィルタ42を通過した後の、受光レンズ41の焦点付近に、フォトダイオードを備えた光検出装置43を、回路基板3上に搭載して設けている。すなわち、受光レンズ41とフィルタ42は、モジュール筐体2に固定されているが、光検出装置43はこれらとは異なり図1及び図2で上側の回路基板3に固定されている。
【0035】
この光検出装置43は、フォトダイオードを備えた受光面の反対側の面に設けた電極から、フォトダイオードが受光した光量に応じた電気信号を出力する。従って、例えば黒バーと白バーとが交互に配置されたコード記号上を走査したレーザビームの反射光が光検出装置43に入射すると、反射率の低い黒バーの位置からの反射光を受光したタイミングでは低レベルの電気信号を、反射率の高い白バーの位置からの反射光を受光したタイミングでは高レベルの電気信号を、光検出装置43の出力として得ることができる。このため、光検出装置43が出力する電気信号を回路基板3により取り出して解析することにより、バーの配置を推定し、コード記号が意味する情報を読み取ることができる。
【0036】
以上説明してきた光走査モジュール1において、特徴的な部分は主に次の4つである。
(1)光検出装置43の構造及びその回路基板3への取り付け構造
(2)レーザ光源ユニット10のモジュール筐体2への取り付けの手順及びその取り付け構造
(3)振動ミラー保持部材32の軸受け33と支持軸34の配置
(4)レンズ22の機能及び構造
そこで、これらの点について、より詳細な図面を用いつつ順次説明する。
【0037】
〔光検出装置43の構造及びその回路基板3への取り付け構造:図4乃至図6〕
まず、光検出装置43の構造及びその回路基板3への取り付け構造について説明する。
図4は、光検出装置43の斜視図である。図5は、光走査モジュール1における光検出装置43の配置を模式的に示す図である。
光検出装置43は、図4に示すように、基板51上に、受光素子として図5に表われるフォトダイオード(PD)55を設け、その上を、PD55を保護するための透明な樹脂等による被覆材52で被覆して構成している。すなわち、PD55は、基板51の被覆材52を設けた側の面に設けている。
【0038】
また、基板51の、PD55を設けた面と反対側の面には、PD55が受光した光量に応じた電気信号を出力するための平面状の一対の出力電極53,53を設けている。PD55とこの出力電極53,53との接続については、適宜公知の構成を採用すればよいので、ここではその図示及び説明は省略する。
また、基板51の、PD55を設けた面とも出力電極53を設けた面とも異なる、出力電極53を設けた面と隣接する面には、出力電極53と接するように切り欠き部54を設け、切り欠き部54の内部には、出力電極53に接続する電極を設けている。
【0039】
図4では、切り欠き部54の内部に設けた電極には、出力電極53と同じハッチングを付して示している。しかし、切り欠き部54の内部に設ける電極を出力電極53と同じ工程で形成することは必須ではないし、これらの材料が同じである必要もない。また、切り欠き部54の内部全面に電極を設ける必要はない。
ただし、出力電極53が複数ある場合には、切り欠き部54及びその内部の電極は、出力電極53毎に、対応する出力電極53と接続するように、かつ異なる出力電極53同士は接続しないように設ける。
また、切り欠き部54は、基板51の、PD55を設けた面には達しないように設けることが好ましい。被覆材52による被覆に悪影響を及ぼす可能性があるためである。
【0040】
以上のような光検出装置43を回路基板3上に搭載する場合、出力電極53及び切り欠き部54を、回路基板3上で出力電極53と接続すべき接続電極であるパッド電極3aと図4に示すように位置合わせして配置し、出力電極53とパッド電極3aとをハンダ56により接続する。
このとき、切り欠き部54の内部にもハンダ56を充填することにより、切り欠き部54の内部に設けた電極を介して、出力電極53とパッド電極3aとの間の接続を、容易かつ信頼性よく確保することができる。
【0041】
図5に示す例では、ハンダ56を、切り欠き部54だけでなく出力電極53もほぼ覆うように設けているが、これは、出力電極53とパッド電極3aとの接続面積増加と、光検出装置43と回路基板3との間の接着力の強化を意図したものである。しかし、ハンダの使用量を低減したい場合には、切り欠き部54の内部にハンダを充填するだけでも接続は可能である。
【0042】
以上のような光検出装置43及び回路基板3への取り付け構造を用いることにより、小型の光検出装置を、その受光面が回路基板3に垂直になるように、容易に取り付けることができる。従って、図5に示すように、外部から入射し、光検出装置43のPD55に入射させるための最初の光学部材である振動ミラー31により反射された反射光を、(図5では省略した受光レンズ41及びフィルタ42を介して)回路基板3のパッド電極3aを設けた面と平行な光路で、光検出装置43の受光面に入射させることができる。
【0043】
また、光検出装置43のように、基板51の背面に出力電極53を設けた光検出装置は、基板51に複数のPD55を設けて被覆材52で覆い、さらに出力電極53も設けた後で、個別の光検出装置43に切り離すことにより、安価かつ小型のものを量産することができる。切り欠き部54についても、基板を切り離す前に穴を開け、内部を電極材料でメッキすることにより形成することができる。
【0044】
なお、基板51の背面に出力電極53を設けた光検出装置は従来から表面実装タイプの装置として知られていたが、このタイプの装置では、出力電極を回路基板上の接続電極と対向させて回路基板に搭載することが前提となっていた。
図6に、このような従来の表面実装タイプの光検出装置243の配置を示す。
図6に示すように、従来の光検出装置243の場合、受光部は回路基板203の接続電極を設ける面と平行にならざるを得ず、この面と平行に反射光の光路を設定するとすると、反射光を受光部に入射させるためには、途中に反射ミラー250を設けて光路の向きを変える必要があった。
【0045】
このため、部品点数が増加すると共に、回路基板203と垂直な向きにある程度の光路長を確保する必要があり、モジュール筐体202を含む光走査モジュールの厚さ(回路基板と垂直な向きのサイズ)を薄くすることが難しかった。
また、従来から、受光部を回路基板と垂直に配置できるようにした光検出装置も知られていたが、これは、電極をリード線により形成したものであり、部品点数や製造工程の問題により、小型化は、上記の光検出装置243の場合よりも難しかった。
【0046】
これに対し、図4及び図5に示した構造であれば、光検出装置43自体のサイズの小型化も容易であり、さらに、回路基板3のパッド電極3aを設けた面と平行な光路で、光検出装置43の受光面に入射させることができるので、この点でも光走査モジュール1の厚さを薄くすることができる。従って、この構造は、光走査モジュール1の小型化に極めて有用であると言える。
【0047】
なお、図4に示した例では、光検出装置43を天地を気にせず回路基板3に搭載できるよう、出力電極と接する2つの面に切り欠き部54を設けたが、切り欠き部54は、少なくとも1つの面に設ければ足りる。また、図4に示した例では、光検出装置43は直方体状であったが、これに限られることはない。切り欠き部54を設けた面と、PD55を設けた面(受光面)とが略垂直であれば、回路基板3上に搭載した状態で、受光面を、回路基板の接続電極を設けた面と略垂直に配置することができ、上述した効果を得られる。
【0048】
〔レーザ光源ユニット10のモジュール筐体2への取り付け:図7乃至図10B〕
まず、レーザ光源ユニット10のモジュール筐体2への取り付けの手順及びその取り付け構造について説明する。
図7は、レーザ光源ユニット10の斜視図、図8A乃至図8Dは、クリップ15を用いてレーザ光源ユニット10をモジュール筐体2へ固定する手順の説明図、図9はレーザ光源ユニット10を台座60に固定した状態の平面図、図10A及び図10Bはレーザ光源ユニット10が固定されたモジュール筐体2へ回路基板3を取り付ける手順の説明図である。なお、図8A乃至図8Dにおいて、レーザ光源ユニット10については断面線は省略した。
【0049】
図3の説明でも述べたが、レーザ光源ユニット10は、図7に示すように、一端部付近に半導体レーザ体11を、側面にはフランジ状の1対の突起部12,12を、半導体レーザ体11と反対側の端部に4本の端子13を、それぞれ備える。端子13は、光走査モジュール1を構成した状態では回路基板3を突き抜けて上方へ突出するよう、屈曲した構造となっている。このことにより、レーザ光源ユニット10を搭載するためにその後方に必要なスペースを低減している。
【0050】
また、図示の都合上断面線は省略したが、図8A〜図8Dには、図3において2つのクリップ15,15の中央付近を結ぶ線の位置における、図3の下側から見た断面図により、クリップ15,15を用いてレーザ光源ユニット10をモジュール筐体2へ固定する手順を示している。従って、図8A〜図8Dにおいて、図の奥側から手前側に向けてレーザ光が出力され、この向きが、ミラー21によって偏向されてレンズ22の光軸を通るビームの光路の向きとなる。
【0051】
図8Aからわかるように、モジュール筐体2には、台座60が形成されており、この上にレーザ光源ユニット10を配置する。また、台座60には、中央に溝61が、両端部に一対の突起部62,62が形成されている。
そして、レーザ光源ユニット10を台座60に配置する場合には、図で上側からレーザ光源ユニット10をモジュール筐体2に挿入し、図8Bに示すように、レーザ光源ユニット10の突起部12より下側の(回路基板3と反対側に位置する)部分14が、台座60の溝61に嵌るようにする。符号14で示す箇所の幅は、溝61と概ね同じ幅とし、レーザ光源ユニット10が、台座60の上で、溝61と平行な向き、すなわちレンズ22の光軸を通るビームの光路の向きにのみ移動できるようにしている。
【0052】
また、レーザ光源ユニット10を台座60上に配置した状態では、レーザ光源ユニット10の突起部12,12と、台座60の突起部62,62とは、互いに平面で接する状態となっている。
そして、この状態で、第1の固定手段である弾性を有するクリップ15,15を、図8Bで左右から、すなわちレンズ22の光軸を通るビームの光路に垂直な向きから挿入し、治具70,70により、図8B及び図8Cに示すように下方及び側方から押圧することにより、図8Dに示すように、クリップ15,15で、レーザ光源ユニット10の突起部12,12と、台座60の突起部62,62とを挟み込んでこれらが分離しないように固定することができる。この固定を行う段階では、レーザ光源ユニット10の、レンズ22の光軸を通るビームの光路の向きの位置は、さほど気にする必要はない。
【0053】
図9は、この状態でのレーザ光源ユニット10の取り付け位置を示す平面図である。
なお、図8A乃至図8Dで左側のクリップ15は、モジュール筐体2の側面に設けたスリット5を通して挿入することができ、図で右側のクリップ15は、モジュール筐体2の底面に設けた空隙9(図3参照)から挿入することができる。
【0054】
また、クリップ15によりレーザ光源ユニット10を台座60に固定した状態では、レーザ光源ユニット10は、図8Dで左右方向及び上下方向には移動しない。しかし、図で奥から手前、又は手前から奥の方向については、この移動を規制する部材がない。従って、突起部12,12と突起部62,62とがクリップ15,15により押さえつけられることによる摩擦力に抗する程度の力を加えることにより、レーザ光源ユニット10に、台座60の上を、図で奥から手前、又は手前から奥の方向に移動させることができる。
そこで、この状態で、レーザ光源ユニット10を移動させることにより、半導体レーザ体11からレンズ22までの光路長を調整し、半導体レーザ体11をレンズ22の焦点付近に配置して、レンズ22により適正なサイズのビームスポットが得られるようにすることができる。
【0055】
なお、突起部12,12と、突起部62,62は、その長手方向、すなわちレンズ22の光軸を通るビームの光路の向きにおいて幅を略一定にしておけば、レーザ光源ユニット10を、台座60の上を滑らせて移動させても、突起部によりクリップ15,15が外側に押し出されて外れたり、クリップ15,15が挟み込む突起部の幅が狭くなって固定力が弱まったりすることはない。
【0056】
また、モジュール筐体2に振動ミラー31を装着する前に、レーザ光源ユニット10の配置を行えば、振動ミラー31の位置に焦点調節用ミラー(図示せず)を挿入して、レンズ22及びアパーチャ23を通して射出されるレーザビームを反射させて外部へ導き、レーザビーム測定器(図示せず)を用いて、そのレーザビームの直径を精密に測定しながら、レーザ光源ユニット10を移動させてその位置決めをすることができる。焦点調節用ミラーは、調整終了後に取り外せばよい。
【0057】
以上による調整の終了後、第2の固定手段である接着剤16,16により、クリップ15,15と、レーザ光源ユニット10側の突起部12,12及び台座60側の突起部62,62とをそれぞれ固定し、レーザ光源ユニット10が、他の向きだけでなく、レンズ22の光軸を通るビームの光路の向きにも移動しないようにする(この接着剤16,16は、図3では図示を省略している)。
【0058】
また、接着剤による固定を行い、モジュール筐体2に、振動ミラー31等も含めて必要な部品を全て取り付けた後で、図10A及び図10Bに示すように、回路基板3を、図1に示したネジ4,4によりモジュール筐体2に組み付ける(図10A及び図10Bは、図9の10−10線にの位置での各部の断面を示している)。このとき、レーザ光源ユニット10の端子13には、回路基板3に設けた貫通孔7を貫通させる。そして、ハンダ17により、端子13を回路基板3上の図示しない電極と接続すると共に、貫通孔7を埋める。
【0059】
なお、モジュール筐体2の製造誤差等により、位置調整後のレーザ光源ユニット10の位置には、個体によるばらつきが発生する。従って、レーザ光源ユニット10の位置が多少ずれても端子13に貫通孔7を貫通させられるよう、貫通孔7の径は、端子13の断面より若干大きくしておくとよい。
また、回路基板3には、モジュール筐体2に組み付けた状態でレーザ光源ユニット10の真上に位置する箇所に、光検出装置43が出力するアナログ電気信号をデジタルデータに変換するためのアナログLSI63を設けることにより、スペースの有効活用を図っている。
【0060】
以上説明してきたレーザ光源ユニット10のモジュール筐体2への取り付け方法及び取り付け構造によれば、レーザ光源ユニット10を、クリップ15,15により台座60に固定した状態で、レンズ22へ近づける方向へも、レンズ22から遠ざける方向へも、同じように移動させることができる。
従って、特許文献2に記載のように、鏡筒穴に対して発光ユニットを圧入して光源の位置合わせを行う場合に比べ、調整が容易であり、また正確な調整も可能である。
【0061】
すなわち、圧入の場合、一度押し込んで光源をコリメートレンズに近づけてしまうと、その後レンズから離す方向への調整ができない。従って、押し込み操作を、目標点を通り過ぎないように注意深く行う必要があるし、安全を考慮して目標点の若干手前で調整をやめざるを得ないこともある。
しかし、図7乃至図10Bを用いて上述した構成及び手順であれば、レーザ光源ユニット10をレンズ22へ近づけ過ぎた場合でも再度遠ざける調整を容易に行うことができるため、行き過ぎを恐れることなくレーザ光源ユニット10を調整できると共に、目標点からの誤差が十分小さくなるまで繰り返し調整することも可能である。
【0062】
また、構造が複雑化することもなく、全体のサイズを小型化したとしても、部品を安価かつ精密に製造することもできる。
また、台座60に、レーザ光源ユニット10を嵌める溝61を設けたことにより、調整時にレーザ光源ユニット10が、調整に不要な、レンズ22の光軸を通る光路と異なる向きに移動してしまうことを容易に防止できる。
【0063】
また、突起部12,12と、突起部62,62とを設けたことにより、図8A〜図8Dに示したように治具により簡単にクリップ15,15を挿入できるため、固定工程を簡単に行うことができる。
さらに、台座60をモジュール筐体2の端部に設ければ、少なくとも1つは、モジュール筐体2の側面にクリップ15を挿入するための空隙を設けることができ、底面にその空隙を設ける場合に比べ、設計上の制約を低減することができる。
【0064】
〔振動ミラー保持部材32の軸受け33と支持軸34の配置:図11及び図12〕
次に、振動ミラー保持部材32の軸受け33と支持軸34の配置について説明する。
図11は、光走査モジュール1の、コイル36から支持軸34及び振動ミラー保持部材32に至る部分の断面を模式的に示す図である。図12は、比較例におけるこれと対応する断面を示す図である。ただし、これらの図においては、図示の都合上、モジュール筐体の断面については、支持軸34,234の固定部付近のみ示している。
【0065】
光走査モジュール1においては、図11に示すように、回路基板3の、支持軸34と対応する位置に開口部80を設け、この開口部80に、支持軸34及び軸受け33の一端を貫通させる構造としている。また、支持軸34の他端は、モジュール筐体2に固定している。
このような構造を採用したことにより、光走査モジュール1の厚さ(支持軸34の長手方向のサイズ)に制約されることなく、軸受け33のサイズを決定することができる。
【0066】
図12に示す比較例のように、支持軸234及び軸受け233を光走査モジュールの内部に収める場合、光走査モジュールの厚さが薄くなった場合に、軸受け部の長さを十分に取ることができず、軸受け233と支持軸234との位置関係がずれて、振動ミラー保持部材232の、支持軸234を中心とする回転がゆらぎ易くなる(振動ミラー保持部材232の回転軸が支持軸234からずれ易くなる)危険がある。
【0067】
しかし、図11に示した構造であれば、このような問題はなく、光走査モジュール1の厚さが薄い場合でも、振動ミラー保持部材32を、支持軸34を中心として安定して回転させることができる。従って、軸受け部のサイズの制約に捕らわれず、光走査モジュール1を小型化することができる。
【0068】
なお、光走査モジュール1においては、図11に示すように、回路基板3の、モジュール筐体2と反対側の面に、開口部80から突出した支持軸34及び軸受け33を覆うように、カバー38を設けている。このカバー38は、ハンダ39により回路基板3に固定されている。
このようなカバー38を設けることにより、振動ミラー保持部材32の軸受け部への異物や湿気の侵入を防止することができる。軸受け部に異物や湿気が侵入すると、支持軸34と軸受け33との間の滑らかな回転を阻害するため、カバー38によりこれを防止することは有用である。しかし、カバー38は必須ではない。また、回路基板3への固定も、接着剤、ネジ等の固定具、あるいは回路基板3への嵌め込みなど、任意の固定手段により行うことができる。
【0069】
また、図11に示した例では、回路基板3に開口部80を設けたが、支持軸34を固定位置と反対側に延ばした場合にぶつかる面に開口部を設ければよく、それが回路基板であることは必須ではない。
また、開口部80を貫通させる軸受け33は、任意の厚さに構成してよい。すなわち、軸受け機能を果たすために最小限の肉厚とする必要はない。そして、開口部80の径を、そこを貫通する軸受け33の径とほぼ同じでわずかに大きい径とすれば、万一振動ミラー保持部材32の回転軸が支持軸34からずれた場合でも開口部80によって軸受け33を含む振動ミラー保持部材32を支え、ずれの拡大を防止することができる。
【0070】
〔レンズ22の機能及び構造:図13乃至図17〕
次に、レンズ22の機能及び構造について説明する。
図13A及びBは、レンズ22が有するパワーについて説明するための図、図14はレンズ22を通過したレーザ光が形成するスポットの形状を示す図、図15はレンズ22の形状を示す図、図16A及び図16Bはそれぞれ比較例におけるレンズのパワーについて説明するための図13A及び図13Bと対応する図、図17はレンズ22の製造方法について説明するための図である。
【0071】
光走査モジュール1を、バーコードや二次元バーコードのようなバー状のモジュールを配置したコード記号の読み取りに用いる場合、コード記号をスキャンするビーム光のスポットは、真円より、コード記号の長手方向と長軸の合った楕円であることが好ましい。バーの汚れや擦れの影響を低減できるためである。
そこで、光走査モジュール1においては、前述したように、楕円のスポットを得られるよう、レンズ22として、コリメートレンズと、互いに直交するX方向とY方向の一方のみについてパワーを有するシリンダレンズとの両方のパワーを持つレンズを用いている(X軸もY軸も、光軸に垂直な軸である)。
【0072】
より具体的な形状として、図13A及び図13Bに、レンズ22の、光軸及びX軸を含む平面での断面と、光軸及びY軸を含む平面での断面の形状を、それぞれ示す。
この図からわかるように、レンズ22は、その一方の面22aを、X軸方向の断面が平面で、Y軸方向の断面は凹面の形状としてシリンダレンズのパワーを持たせ、他方の面22bを、X軸方向の断面とY軸方向の断面が双方凸面となるようにしてコリメートレンズのパワーを持たせている。
【0073】
そして、適切な位置に配置されたレーザ光源ユニット10の半導体レーザ体11から出射され、このレンズ22を通ったレーザ光は、図14に示すように、Y軸方向が長軸となる楕円形のビームスポットを形成する。そしてその後、アパーチャ23により端部のビームスポットプロファイルが安定しない部分がカットされ、振動ミラー31により反射されて外部へ射出される。
【0074】
ここで、レンズ22は、図15に示すように、アパーチャ23の開口部23aと同形状の長方形状とし、そのサイズを、開口部23aより若干大きいサイズとしている。このサイズとしたのは、レンズ22を通過したレーザビームが、開口部23aより大きいサイズでアパーチャ23に到達するようにするためである。従って、ビームが拡がりを有するY軸方向については、開口部23aより小さいサイズとすることも可能である。
【0075】
レンズ22を通過したレーザビームの端部は開口部23aを通過せずにアパーチャ23によりカットされるため、レンズ22のサイズはこの程度あれば走査ビームの品質には影響しない。一方、レンズは製造時には通常はまず円形で製造されるが、開口部23aの長辺に合わせた径のレンズを用いると、レンズを配置するために、短辺方向にも同じだけの幅が必要となり、スペースの無駄が生じる。
従って、開口部23aと同形状のレンズ22を用いることにより、このスペースの無駄を低減し、光走査モジュール1に貢献できる。
【0076】
また、図16A及び図16Bに示す比較例のようにコリメートレンズ222とシリンドリカルレンズ223を設ける場合より、レンズ22のように1枚のレンズでこれらを合わせたパワーを実現する方が、レンズの枚数低減により配置スペースを削減することができる。
なお、レンズ22の形状を開口部23aに合わせるためには、初めから長方形状のレンズを製造してもよい。例えば、図17に示すように、多数のレンズを組み合わせた形状にモールド成形したレンズ板を個別のレンズのサイズにカットすることにより、長方形状のレンズを安価に製造することができる。
【0077】
また、レンズ22は、向きによってパワーが異なるため、モジュール筐体2に装着する際、正しい向きで装着しなければならない。この点、点対称である円形であると正しい向きを容易に把握することができないが、長方形であれば、X軸とY軸をそれぞれ短辺と長辺に合わせてカットすることにより、装着時に容易に向きを合わせることができ、工数削減に寄与することができる。
【0078】
〔光学的情報読取装置の実施形態:図18〕
次に、以上説明してきた光走査モジュール1を備えた光学的情報読取装置の実施形態について説明する。
図18は、その光学的情報読取装置の実施形態であるコードスキャナ100の構成を示すブロック図である。
【0079】
このコードスキャナ100は、光反射率が周囲と異なるモジュールである白バー及び黒バーが配列されたコード記号であるバーコードを読み取る装置である。そして、図18に示すように、光走査モジュール1と、デコード部120とを備える。
このうち光走査モジュール1は、図1乃至図17を用いて説明してきた光走査モジュールである。光走査手段25は、レーザ光源ユニット10から振動ミラー31までの、走査ビームを出力する光学系を示す。光検出装置43は、図3等に示した光検出装置43である。
【0080】
そして、光走査手段25が出力するビームが読取対象物上に形成されたバーコードBにより反射された反射光の強度に応じた電気信号を、光検出装置43が出力電極53を介して回路基板3上のパッド電極3aに出力すると、その信号は回路基板3上のアナログLSI63に入力される。
【0081】
このアナログLSI63は、図18に示す通り、IV変換部111,プリアンプ112,フィルタ処理部113,二値化回路114を有し、光検出装置43が出力する電気信号を処理し、バーコード記号のデコードに供するパルス列を出力する回路である。
より具体的には、まずIV変換部111が、光検出装置43のフォトダイオードから出力される電流信号を電圧信号に変換する。次にプリアンプ112が、IV変換部111によって変換された電圧信号を増幅する。このIV変換部111とプリアンプ112とによって、電流信号を電圧信号に変換して増幅する増幅部を構成している。
【0082】
その後、プリアンプ112から出力された信号に対してフィルタ処理部113でノイズ除去処理を行い、二値化回路114に入力する。二値化回路114は、低域通過(ローパス)フィルタやロジック回路で構成され、バーコード記号のバーの並びに対応した、白バー部と黒バー部の位置を示すパルス列を出力する。
このパルス列を、デコード部120に入力することにより、白バーと黒バーの配列の情報を取得し、その配列の意味する情報に変換することができる。
コードスキャナ100が、デコード部120が取得した情報をパーソナルコンピュータやハンディターミナル等の外部の情報処理装置に出力する手段を有していてもよい。また、デコード部120がコードスキャナ100の外部に存在してもよい。
【0083】
以上で実施形態の説明を終了するが、装置の構成や、読取対象のコード記号の種類等が上述の実施形態で説明したものに限られないことはもちろんである。
また、この発明の光学的情報読取装置は、据え置き型の装置としても、手持ち型の装置としても、構成することができる。また、光走査モジュール1をはじめとするこの発明の光学装置は、光学的情報読取装置に適用すると好適なものであるが、他の装置に適用することを妨げられることはない。光検出装置や光源固定方法についても同様である。
【0084】
また、以上述べてきた構成及び変形例は、矛盾しない範囲で個別に適用したり適宜組み合わせて適用したりすることも可能である。特に、(1)〜(4)として列挙した特徴は、個別に適用したとしても、十分にその効果を発揮することができる。一部の特徴のみを適用する場合、(1)〜(4)として列挙した特徴を適用しない箇所については、比較例や従来例として説明した構成を適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
この発明による光検出装置又は光学装置を用いることにより、対象物を光ビームにより走査すると共にその反射光の検出を行うモジュールを、小型化することができる。また、この発明の光学的情報読取装置によれば、上記のような光検出装置又は光学装置を利用して、装置を小型化することができる。
【符号の説明】
【0086】
1…光走査モジュール、2…モジュール筐体、3…回路基板、4…ネジ、5…スリット、6…開口部、7…貫通孔、8…スリット、9…空隙、10…レーザ光源ユニット、11…半導体レーザ体、12…突起部、13…端子、15…クリップ、21…ミラー、22…レンズ、23…アパーチャ、31…振動ミラー、32…振動ミラー保持部材、33…軸受け、34…支持軸、35…可動磁石、36…コイル、37…ヨーク、38…カバー、39…ハンダ、41…受光レンズ、42…フィルタ、43…光検出装置、51…基板、52…被覆材、53…出力電極、54…切り欠き部、55…PD、60…台座、61…溝、62…突起部、63…アナログLSI、70…治具、80…開口部、100…コードスキャナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の第1面に受光素子を設け、該基板の前記第1面と反対側の第2面に前記受光素子が受光した光量に応じた電気信号を出力するための平面状の出力電極を設けた光検出装置であって、
前記基板の、前記第1面とも前記第2面とも異なる第3面に、前記第2面に設けた前記出力電極に接するように切り欠き部を設け、
該切り欠き部の内面に、前記出力電極に接続する電極を設けたことを特徴とする光検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光検出装置であって、
前記第3面は、前記第1面と略垂直な面であることを特徴とする光検出装置。
【請求項3】
接続電極を設けた回路基板を有し、
請求項1又は2に記載の光検出装置が、前記切り欠き部が、前記出力電極と接続すべき回路基板上の接続電極と対向するように、かつ前記第1面が前記回路基板の前記接続電極を設けた面と略垂直になるように配置されており、
前記切り欠き部に充填された導電材料により、前記出力電極と前記回路基板上の接続電極とが電気的に接続されていることを特徴とする光学装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光学装置であって、
読取対象物に光を照射する照射手段と、
前記読取対象物からの反射光を、前記光検出装置の前記基板が備える受光素子に入射させるための光学部材とを有し、
前記光学部材に入射してから前記受光素子に入射するまでの前記反射光の光路が、前記回路基板の前記接続電極を設けた面と略平行であることを特徴とする光学装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の光学装置を備えた、光反射率が周囲と異なるモジュールが配列されたコード記号により示される情報を読み取る光学的情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−43851(P2012−43851A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181430(P2010−181430)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【出願人】(391062872)株式会社オプトエレクトロニクス (70)
【Fターム(参考)】