説明

光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置

【課題】蛍光及び残光の検出結果に基づいて紙葉類の真偽判定及び正損判定を行うことが出来る光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】光検出装置(135)は、搬送される紙葉類(5)に対して励起光を照射する照明手段(1)と、所定の走査領域から蛍光信号を検出する第1の受光手段(2)と、所定の走査領域から残光信号を検出する第2の受光手段(3)とを備える。光検出装置は、前記第1の受光手段により検出する蛍光信号及び前記第2の受光手段により検出する残光信号に基づいて前記紙葉類の真偽判定及び正損判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される紙葉類から光を検出する光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば紙幣等の種々の紙葉類の計数鑑別を行う紙葉類処理装置が実用化されている。紙葉類処理装置は、投入部に投入された紙葉類を1枚ずつ取り込み、光検出装置に搬送する。光検出装置は、紙葉類から光を検出し、検出した光に基づいて画像を取得する。光検出装置は、取得した画像に基づいて、紙葉類の種類判定、及び真偽判定を行う。またさらに、光検出装置は、紙葉類が再流通可能であるか否かの判定(正損判定)を行う。紙葉類処理装置は、光検出装置の判定結果に基づいて紙葉類を区分して集積する。
【0003】
紙葉類処理装置により処理する紙葉類には、蛍光印刷情報が印刷されている。蛍光印刷情報は、蛍光体を含むインク(蛍光インク)により印刷された情報である。蛍光体は、励起光源から射出される励起光(例えば紫外線)などにより励起される。励起された蛍光体は、光(蛍光)を発する状態になる。また、励起光の照射が中断された場合、燐光体は、時間とともに徐々に減衰する光(残光)を発する状態になる。
【0004】
紙葉類処理装置は、この蛍光印刷情報を読み取るための光検出装置をさらに備える。光検出装置は、励起光を紙葉類に照射する励起光源と、蛍光を検出するセンサとを備える。光検出装置は、紙葉類に対して励起光源から励起光を照射して蛍光体を励起させる。光検出装置は、励起された蛍光体から発せられる蛍光及び残光をセンサにより検出する。
【0005】
また、特許文献1には、励起光を所定の周期を持って断続させながら照射し、照射開始直前の最低値、照射停止直前の最大値、及び照射停止直後の検出値を個別に検知する光学読取装置ならびに物品仕分け装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3860595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
紙葉類を的確に判定する為に、種々の観点から正損判定を行いたいという要望がある。しかし、上記した特許文献に記載されている光検出装置は、上記した光検出装置により検出する蛍光及び残光に基づいて、紙葉類の真偽の検出を行う構成であり、正損判定を行うことができないという問題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、蛍光及び残光の検出結果に基づいて紙葉類の真偽判定及び正損判定を行うことが出来る光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態としての光検出装置は、搬送される紙葉類に対して励起光を照射する第1の照明手段と、所定の走査領域から蛍光信号を検出する第1の受光手段と、所定の走査領域から残光信号を検出する第2の受光手段と、前記第1の受光手段により検出する蛍光信号及び前記第2の受光手段により検出する残光信号に基づいて前記紙葉類の真偽判定及び正損判定を行う判定手段と、を具備する。
【0010】
また、本発明の一実施形態としての紙葉類処理装置は、紙葉類を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される紙葉類に対して励起光を照射する照明手段と、所定の走査領域から蛍光信号を検出する第1の受光手段と、所定の走査領域から残光信号を検出する第2の受光手段と、前記第1の受光手段により検出する蛍光信号及び前記第2の受光手段により検出する残光信号に基づいて前記紙葉類の真偽判定及び正損判定を行う判定手段と、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記紙葉類を区分する区分処理部と、を具備する。
【発明の効果】
【0011】
この発明の一形態によれば、蛍光及び残光の検出結果に基づいて紙葉類の真偽判定及び正損判定を行うことが出来る光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、一実施形態に係る紙葉類処理装置の構成例について説明するための説明図である。
【図2】図2は、図1に示す紙葉類処理装置の構成例について説明するための説明図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示す紙葉類処理装置の制御系の構成例について説明するためのブロック図である。
【図4】図4は、第1の実施形態に係る光検出装置の構成例を示す説明図である。
【図5】図5は、図4に示す光検出装置により処理する紙葉類の蛍光体の励起立ち上り特性について説明するための説明図である。
【図6】図6は、図4に示す光検出装置により処理する紙葉類の蛍光体の残光減衰特性について説明するための説明図である。
【図7】図7は、図4に示す光検出装置における蛍光判定処理について説明する為の説明図である。
【図8】図8は、図4に示す光検出装置における残光判定処理について説明する為の説明図である。
【図9】図9は、図4に示す光検出装置が備える判定テーブルについて説明する為の説明図である。
【図10】図10は、図4に示す光検出装置による判定結果について説明するための説明図である。
【図11】図11は、図4に示す光検出装置における判定処理について説明する為のフローチャートである。
【図12】図12は、第2の実施形態に係る光検出装置の構成例を示す説明図である。
【図13】図13は、図12に示す光検出装置における判定処理について説明する為のフローチャートである。
【図14】図14は、第3の実施形態に係る光検出装置の構成例を示す説明図である。
【図15】図15は、図14に示す光検出装置における補正処理について説明する為のフローチャートである。
【図16】図16は、図14に示す光検出装置が備える判定テーブルについて説明する為の説明図である。
【図17】図17は、図14に示す光検出装置における判定処理について説明する為のフローチャートである。
【図18】図18は、第4の実施形態に係る光検出装置の構成例を示す説明図である。
【図19】図19は、図18に示す光検出装置における判定処理について説明する為のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置について詳細に説明する。
【0014】
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態に係る紙葉類処理装置100の構成例について説明するための説明図である。紙葉類処理装置100は、紙葉類を検査し、再流通可能な紙葉類を結束する。
【0015】
図1に示すように、紙葉類処理装置100は、装置外部に、投入部112、操作部136、操作・表示パネル137、ドア138、取出口139、及びキーボード140を備えている。
【0016】
投入部112は、紙葉類を投入するための構成である。投入部112は、重ねられた状態の紙葉類をまとめて受け入れる。操作部136は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける。操作・表示パネル137は、オペレータに対して各種の操作案内、及び処理結果などを表示する。なお、操作・表示パネル137は、タッチパネルとして構成されていてもよい。この場合、紙葉類処理装置100は、操作・表示パネル137に表示されるボタンと、操作・表示パネル137に対するオペレータによる操作と、に基づいて、各種の操作入力を検知する。
【0017】
ドア138は、投入部112の投入口を開閉する為のドアである。取出口139は、紙葉類処理装置100により再流通不可と判断された紙葉類がスタックされる集積部から紙葉類を取り出す為の構成である。キーボード140は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける。
【0018】
また、図2に示すように、紙葉類処理装置100は、装置内部に、投入部112、取出部113、吸着ローラ114、搬送路115、検査部116、ゲート120乃至125、排除搬送路126、排除集積部127、集積・結束部128乃至132、裁断部133、及びスタッカ134を備えている。また、紙葉類処理装置100は、紙葉類処理装置100の各部の動作を統合的に制御する主制御部151を備えている。
【0019】
取出部113は、投入部の上部に設けられている。取出部113は、吸着ローラ114を備えている。吸着ローラ114は、投入部112にセットされた紙葉類を集積方向の上端に接するように設けられている。即ち、吸着ローラ114は、回転することにより、投入部112にセットされた紙葉類を集積方向の上端から1枚ずつ装置内部に取り込む。吸着ローラ114は、たとえば、1回転するごとに1枚の紙葉類を取出すように機能する。これにより、吸着ローラ114は、紙葉類一定のピッチで取出す。吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類は、搬送路115に導入される。
【0020】
搬送路115は、紙葉類を紙葉類処理装置100内の各部に搬送する搬送部である。搬送路115は、図示しない搬送ベルト及び駆動プーリなどを備えている。搬送路115は、図示しない駆動モータにより搬送ベルトを動作させる。搬送路115は、吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類を搬送ベルトにより一定速度で搬送する。なお、搬送路115における取出部113に近い側を上流側、スタッカ134に近い側を下流側として説明する。
【0021】
取出部113から延びた搬送路115上には、検査部116が設けられている。検査部116は、画像読取装置117、画像読取装置118、厚み検査部119、及び光検出装置135を備えている。検査部116は、紙葉類の光学的特徴情報、及び磁気的特長情報を検出する。これにより、検査部116は、紙葉類の種類を判定する。また、検査部116は、紙葉類の汚棄損の度合いを判定する。また、検査部116は、紙葉類の表と裏とを判定する。またさらに、検査部116は、紙葉類の真偽を判定する。
【0022】
画像読取装置117、及び118は、それぞれ搬送路115を挟んで対面するように設けられている。画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類の両面の画像を読み取る。画像読取装置117、及び118は、それぞれ、CCDカメラを備える。検査部116は、画像読取装置117、及び118により撮像した画像に基づいて、紙葉類の表面及び裏面の模様画像を取得する。
【0023】
画像読取装置117、及び118は、読み取った画像を検査部116内の図示しないメモリに一時的に記憶する。検査部116は、このメモリに記憶されている画像を操作入力に応じて操作・表示パネル137に表示する。
【0024】
厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類の厚みを検査する。例えば、検出した厚みが規定値以上である場合、検査部116は、紙葉類の2枚取りを検出する。
【0025】
光検出装置135は、搬送路115を搬送される紙葉類から蛍光を検出し、蛍光印刷情報を取得する。光検出装置135については後で詳細を説明する。
【0026】
また、検査部116は、図示しない磁気センサなどを備えている。磁気センサは、紙葉類の磁気的な特徴情報を検出する。
【0027】
検査部116の下流側の搬送路115上には、ゲート120乃至125が順に配設されている。ゲート120乃至125は、それぞれ、主制御部151により制御される。主制御部151は、検査部116による検査及び判定の結果に基づいて各ゲート120乃至125の動作を制御する。これにより、主制御部151は、搬送路115を搬送されている紙葉類を所定の処理部に搬送するように制御する。
【0028】
検査部116の直後に配設されたゲート120は、搬送路115を排除搬送路126に分岐する。即ち、主制御部151は、検査部116により正規の紙葉類(Legal sheet)ではないと判定された紙葉類(illegal sheet)、または、検査部116による検査を行うことができない検査不能券等を排除搬送路126に搬送するようにゲート120を切り替える。
【0029】
排除搬送路126の終端部には、排除集積部(排除部)127が設けられている。排除集積部127は、取出部113にて取出した姿勢のまま、上記したような排除券、及び検査不能券を集積する。排除集積部127に集積された紙葉類は、取出口139から取り出すことができる。
【0030】
また、ゲート121乃至124により分岐される先には、集積・結束部128乃至131(総じて集積結束部132と称する)がそれぞれ設けられている。集積・結束部132には、再流通可能であると判定された紙葉類が種類及び表裏毎に区別されて集積される。集積・結束部132は、集積した紙葉類を所定枚数毎に結束して格納する。
【0031】
ゲート125により分岐される先には、裁断部133が配設されている。裁断部133は、紙葉類を裁断して収納する。なお、ゲート125に搬送される紙葉類は、真偽判定において正規の紙葉類であると判定され、且つ、正損判定において再流通が不可能な損券であると判定された紙葉類である。また、ゲート125により分岐される他方の搬送路の先には、スタッカ134が配設されている。
【0032】
主制御部151は、損券裁断モードが選択されている場合、紙葉類を裁断部133に搬送するようにゲート125を制御する。また、主制御部151は、損券裁断モードが選択されていない場合、紙葉類をスタッカ134に搬送するようにゲート125を制御する。
【0033】
なお、主制御部151は、集積・結束部132に集積された紙葉類の枚数、及び、裁断部133により裁断された紙葉類の枚数を計数する。
【0034】
図3は、図1及び図2に示す紙葉類処理装置100の制御系の構成例について説明するためのブロック図である。
図3に示すように、装置全体を統合的に制御する主制御部151に検査部116、搬送制御部152、集積・結束制御部153、操作・表示パネル137、及びキーボード140などが接続されている。
【0035】
主制御部151は、紙葉類処理装置100の全体的な制御を司る。主制御部151は、操作・表示パネル137により入力される操作信号、及び検査部116による検査結果に基づき、搬送制御部152及び集積・結束制御部153を制御する。
【0036】
検査部116は、画像読取装置117、及び118、厚み検査部119、光検出装置135、その他のセンサ類154、及びCPU155を備える。
【0037】
画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類の両面の画像を読み取る。厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類の厚みを検査する。
【0038】
光検出装置135は、搬送路115を搬送される紙葉類から蛍光を検出し、蛍光印刷情報を取得する。
【0039】
その他のセンサ類154は、例えば、磁気センサなどである。磁気センサは、搬送路115を搬送される紙葉類から磁気的な特徴情報を検出する。
【0040】
CPU155は、画像読取装置117、118、厚み検査部119、光検出装置135、及びその他のセンサ類154などによる検査の結果に基づいて、搬送路115を搬送される紙葉類の種類、汚棄損、表裏、及び真偽などを判別する。
【0041】
搬送制御部152は、主制御部151の制御に基づき、取出部113、搬送路115、排除搬送路126、及びゲート120乃至125を制御する。これにより、搬送制御部152は、紙葉類の取り込み及び搬送を制御する。また、搬送制御部152は、判定した紙葉類の種類毎に区分する区分処理を行う。即ち、搬送制御部152は、区分処理部として機能する。
【0042】
集積・結束制御部153は、主制御部151の制御に基づき、前記排除集積部127及び集積・結束部128〜131を制御する。これにより、集積・結束制御部153は、紙葉類の集積、及び結束の制御を行なう。
【0043】
本実施形態に係る紙葉類処理装置100により処理する紙葉類上には、例えば、蛍光体を含有する蛍光インクにより印刷された蛍光印刷情報が印刷されているとする。
【0044】
図4は、図2及び図3に示す光検出装置135の構成を模式的に示す説明図である。
光検出装置135は、図示しない駆動プーリ及び搬送ベルトなどにより構成される搬送路115の近傍に設けられる。搬送路115は、紙葉類5を矢印aの方向に搬送する。
【0045】
図4に示すように、光検出装置135は、照明部1、第1の受光部2、第2の受光部3、及び判定部4を備える。また、光検出装置135は、図示しない蛍光基準板を備える。
【0046】
照明部1は、例えば、紫外線などの励起光を照射する。照明部1は、搬送路115により搬送される紙葉類5に対して励起光を照射する。紙葉類5は、蛍光体6を備える。蛍光体6は、励起光が照射される場合、蛍光を発する。なお、照明部1は、少なくとも第1の受光部2の走査領域を含む範囲に対して励起光を照射する。
【0047】
紙葉類5の蛍光体6は、図5及び図6に示すような特性を有する。図5は、図4に示す光検出装置135により処理する紙葉類5の蛍光体6の励起立ち上り特性について説明するための説明図である。
【0048】
図5に示すように、蛍光体6は、励起光が照射される場合、照射時間に応じて蛍光の発光量を増加させる。励起光が所定時間照射される場合、蛍光体6は、蛍光の発光量が増加しない発光飽和状態になる。照明部1の照射範囲は、例えば、蛍光体6が照射範囲を通過する間に発光飽和する範囲である。
【0049】
図6は、図4に示す光検出装置135により処理する紙葉類5の蛍光体6の残光減衰特性について説明するための説明図である。
【0050】
図6に示すように、蛍光体6は、発光飽和している状態で励起光の照射が停止される場合、時間に応じて蛍光の発光量が減衰する。なお、上記の立ち上がり特性及び減衰特性は、蛍光体6の種類に応じた固有の特性である。即ち、蛍光体の種類が異なる場合、立ち上がり特性及び減衰特性が異なる。
【0051】
照明部1は、例えば、紫外線を出力する蛍光灯、または冷陰極管を備える。照明部1は、高周波の電圧を受けることにより、連続して紫外線を照射することができる。
【0052】
また、近年、LED照明が高輝度化している。この為、照明部1は、紫外光を発するLED照明を搬送路115に沿ってアレイ状に配列する構成であってもよい。また、照明部1は、水銀ランプ等の紫外線を含む光を照射する光源により、検出位置に合わせて光を照射する照明装置を用いてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、紫外線を照射することにより光を発する蛍光体を例に挙げて説明するが、これに限定されない。例えば、赤外線により励起されて光を発する蛍光体を検出する場合、照明部1は、赤外線を出力する照明装置により構成される。即ち、照明部1は、検出する物体の特性に応じて適宜変更される。
【0054】
第1の受光部2及び第2の受光部3は、例えば、CMOS、またはCCDなどを用いたラインイメージセンサと、光を受光するレンズと、フィルタ7とを備える。
【0055】
フィルタ7は、所定の波長の領域の光を透過する。たとえば、フィルタ7は、紙葉類5に塗布されている蛍光体を励起することにより発せられる蛍光のみを透過する。なお、第1の受光部2及び第2の受光部3は、所定の波長を感度領域とするセンサを備える構成であってもよい。この場合、フィルタ7の構成は省略される。
【0056】
レンズは、搬送路115上の所定の走査領域からフィルタ7を透過した光を受光する。レンズは、受光した光をセンサに結像させる。センサは、受光した光を電気信号に変換する。
【0057】
第1の受光部2及び第2の受光部3は、検出した光について色分解を行う場合、カラーラインイメージセンサ等のアレイ型センサを備える。また、第1の受光部2及び第2の受光部3は、色分解を行う必要がない場合、モノクロイメージセンサ、またはフォトダイオードアレイ等を備える。また、第1の受光部2及び第2の受光部3は、走査方向に幅を持たせる必要がない場合、単一の受光素子により構成されていてもよい。
【0058】
また、第1の受光部2及び第2の受光部3は、例えば、裏面入射型のイメージセンサを備えていてもよい。またさらに、第1の受光部2及び第2の受光部3は、TDI(Time Delay Integration)イメージセンサなどを備えていてもよい。
【0059】
また、第1の受光部2及び第2の受光部3が単一の受光素子である場合、アバランシェフォトダイオード(Avalanche Photodiode)、または光電子増倍管(Photo Multiplier)などにより構成されてもよい。
【0060】
なお、第1の受光部2は、照明部1により励起光が照射される範囲から光を取得する。すなわち、第1の受光部2は、紙葉類5の蛍光体6から蛍光を検出する。また、第2の受光部3は、照明部1の照射範囲より下流側であり、且つ、照明部1から励起光が照射されない範囲から光を取得する。すなわち、第2の受光部3は、紙葉類5の蛍光体6から残光を検出する。
【0061】
判定部4は、第1の受光部2及び第2の受光部3により検出する信号に基づいて真偽判定、及び正損判定を行う。
【0062】
判定部4は、第1の受光部2により検出する蛍光信号のレベルとあらかじめ設定される蛍光基準レベルとに基づいて蛍光判定処理を行う。
【0063】
図7は、図4に示す光検出装置135における蛍光判定処理について説明する為の説明図である。
【0064】
即ち、判定部4は、図7に示すように、第1の受光部2により検出する蛍光信号の強度と蛍光基準レベルとを比較する。例えば、判定部4は、第1の受光部2により検出する蛍光信号の強度が蛍光基準レベルより大きい「Hレベル」か、小さい「Lレベル」か、または同程度「Sレベル」であるかを判定する。
【0065】
また、判定部4は、第2の受光部3により検出する残光信号のレベルとあらかじめ設定される残光基準レベルとに基づいて、残光判定処理を行う。
【0066】
図8は、図4に示す光検出装置における残光判定処理について説明する為の説明図である。
【0067】
即ち、判定部4は、図8に示すように、第2の受光部3により検出する残光信号の強度と残光基準レベルとを比較する。例えば、判定部4は、第2の受光部3により検出する残光信号の強度が残光基準レベルより大きい「Hレベル」か、小さい「Lレベル」か、または同程度「Sレベル」であるかを判定する。
【0068】
なお、上記の蛍光基準レベル及び残光基準レベルは、予め設定される固定値であってもよいし、可変パラメータであってもよい。例えば、蛍光基準レベル及び残光基準レベルは、所定枚数の紙葉類5から検出する蛍光信号及び残光信号に基づいて決定されるものであってもよい。また、蛍光基準レベル及び残光基準レベルは、「Hレベル」と「Sレベル」との間に設定される閾値と「Sレベル」と「Lレベル」との間に設定される閾値とをそれぞれ備えるものであってもよい。
【0069】
判定部4は、蛍光判定処理及び残光判定処理の判定結果に基づいて、紙葉類5の真偽判定、及び正損判定を行う。この為に、判定部4は、図9に示す判定テーブル41を備える。
【0070】
判定テーブル41は、蛍光判定処理及び残光判定処理の判定結果の関係と、真偽判定及び正損判定の論理とを対応付けて記憶する。判定部4は、判定テーブル41に基づいて真偽判定、及び正損判定を行うことにより、図10に示すような判定結果を得る。
【0071】
まず、判定部4は、真偽判定を行う。判定部4は、蛍光判定処理の結果が「Hレベル」であり、残光判定処理の結果が「Hレベル」である紙葉類5を真券であると判定する。判定部4は、蛍光判定処理の結果が「Sレベル」であり、残光判定処理の結果が「Sレベル」である紙葉類5を真券であると判定する。判定部4は、蛍光判定処理の結果が「Lレベル」であり、残光判定処理の結果が「Lレベル」である紙葉類5を真券であると判定する。
【0072】
即ち、判定部4は、蛍光信号の強度と残光信号の強度との比率に基づいて、紙葉類5が真券であるか偽券であるかを判定する。例えば、紙葉類5が偽券である場合、紙葉類5に用いられている蛍光体6が真券の蛍光体6と一致しないことが想定される。即ち、真券と偽券とでは、蛍光体6の蛍光立ち上がり特性、及び残光減衰特性が異なる。判定部4は、蛍光信号の強度と残光信号の強度との比率が予め想定される値でない場合、偽券と判定する。
【0073】
次に、判定部4は、真券と判定した紙葉類5に対して正損判定を行う。判定部4は、蛍光判定処理及び残光判定処理の結果が「Hレベル」、または「Sレベル」である紙葉類5を正券であると判定する。また、判定部4は、蛍光判定処理及び残光判定処理の結果が「Lレベル」である紙葉類5を損券であると判定する。
【0074】
なお、上記の判定に用いる蛍光判定結果及び残光判定結果は、紙葉類5上の同じ位置から検出した蛍光及び残光に基づくものである必要がある。判定部4は、第1の受光部2により検出する蛍光信号に基づいて蛍光画像を作成し、第2の受光部3により検出する残光信号に基づいて残光画像を作成する。判定部4は、蛍光画像及び残光画像の同じ位置の画素値に基づいて蛍光判定処理及び残光判定処理を行う。
【0075】
図11は、図4に示す光検出装置135の動作について説明する為のフローチャートである。
まず、光検出装置135の照明部1は、照射範囲に連続して励起光を照射する(ステップS11)。
【0076】
光検出装置135の第1の受光部2は、搬送路115を搬送される紙葉類5から蛍光を検出する(ステップS12)。これにより、第1の受光部2は、蛍光信号を取得する。なお、第1の受光部2は、照明部1により励起光が照射される範囲から蛍光を検出する。
【0077】
光検出装置135の第2の受光部3は、搬送路115を搬送される紙葉類5から残光を検出する(ステップS13)。これにより、第2の受光部3は、残光信号を取得する。なお、第2の受光部3は、照明部1の照射範囲より下流側であり、且つ、照明部1から励起光が照射されない範囲から残光を取得する。
【0078】
光検出装置135の判定部4は、第1の受光部2及び第2の受光部3により検出する信号に基づいて真偽判定を行う(ステップS14)。また、判定部4は、第1の受光部2及び第2の受光部3により検出する信号に基づいて正損判定を行う(ステップS15)。
【0079】
まず判定部4は、第1の受光部2により検出する蛍光信号のレベルとあらかじめ設定される蛍光基準レベルとに基づいて蛍光判定処理を行う。また、判定部4は、第2の受光部3により検出する残光信号のレベルとあらかじめ設定される残光基準レベルとに基づいて、残光判定処理を行う。判定部4は、蛍光判定処理及び残光判定処理の判定結果に基づいて判定テーブル41を参照し、紙葉類5の真偽判定、及び正損判定を行う。
【0080】
判定部4は、蛍光判定処理及び残光判定処理において判定した蛍光信号の強度と残光信号の強度との比率が予め想定される比率である場合、紙葉類5が真券であると判定する。また、判定部4は、蛍光信号の強度と残光信号の強度との比率が予め想定される比率でない場合、紙葉類5を偽券と判定する。
【0081】
また、判定部4は、真券と判定した紙葉類5に対して正損判定を行う。判定部4は、蛍光判定処理及び残光判定処理の結果が「Hレベル」、または「Sレベル」である紙葉類5を正券であると判定する。また、判定部4は、蛍光判定処理及び残光判定処理の結果が「Lレベル」である紙葉類5を損券であると判定する。
【0082】
即ち、判定部4は、真偽判定において真券であると判定し、且つ正損判定において正券であると判定した紙葉類5を「真/正」券であると判定する(ステップS16)。判定部4は、「真/正」券を再流通可能な紙葉類5であると判定し、集積結束部132に集積するように紙葉類処理装置100の主制御部151に判定結果を通知する。
【0083】
また、判定部4は、真偽判定において真券であると判定し、且つ正損判定において損券であると判定した紙葉類5を「真/損」券であると判定する(ステップS17)。判定部4は、「真/損」券を再流通不可能な紙葉類5であると判定し、スタッカ134に集積する、または裁断部133により裁断するように紙葉類処理装置100の主制御部151に判定結果を通知する。
【0084】
また、判定部4は、真偽判定において偽券であると判定した紙葉類5を「偽」券であると判定する(ステップS18)。判定部4は、「偽」券を排除集積部127に集積するように紙葉類処理装置100の主制御部151に判定結果を通知する。
【0085】
上記したように、本実施形態の光検出装置135は、第1の受光部2により蛍光信号を検出し、第2の受光部3により残光信号を検出する。光検出装置135の判定部4は、検出した蛍光信号及び残光信号の比率と強度とに基づいて紙葉類5の真偽判定と正損判定とを同時に行うことができる。この結果、蛍光及び残光の検出結果に基づいて紙葉類の真偽判定及び正損判定を行うことが出来る光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0086】
次に、第2の実施形態に係る光検出装置135について説明する。
図12は、第2の実施形態に係る光検出装置135の構成を模式的に示す説明図である。なお、第1の実施形態と同様の構成には同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図12に示すように、光検出装置135は、照明部1、第1の受光部2、第2の受光部3、判定部4、及び照明部8を備える。また、光検出装置135は、図示しない蛍光基準板を備える。
【0087】
照明部8は、照明部1と同様の構成を有する。即ち、照明部8は、搬送路115上の所定の照射領域に励起光を照射する。照明部8は、第1の受光部2より下流側であり、且つ第2の受光部3の走査領域を含まない位置に励起光を照射するように設けられる。
【0088】
第1の実施形態によると、照明部1の照射領域と第2の受光部3の走査領域との間を紙葉類5が移動する間に蛍光体6から発せられる残光が減衰する。照明部1の照射領域と第2の受光部3の走査領域との距離が長い場合、第2の受光部3により適切なレベルの残光を検出することができない可能性がある。そこで、照明部8を照明部1の照射領域と第2の受光部3の走査領域との間に設けることにより、第2の受光部3は十分なレベルの残光を検出することができる。
【0089】
図13は、図12に示す光検出装置135の動作について説明する為のフローチャートである。
まず、光検出装置135の照明部1は、照射範囲に連続して励起光を照射する(ステップS21)。
【0090】
光検出装置135の第1の受光部2は、搬送路115を搬送される紙葉類5から蛍光を検出する(ステップS22)。これにより、第1の受光部2は、蛍光信号を取得する。なお、第1の受光部2は、照明部1により励起光が照射される範囲から蛍光を検出する。
【0091】
光検出装置135の照明部8は、照射範囲に連続して励起光を照射する(ステップS23)。
【0092】
光検出装置135の第2の受光部3は、搬送路115を搬送される紙葉類5から残光を検出する(ステップS24)。これにより、第2の受光部3は、残光信号を取得する。なお、第2の受光部3は、照明部1及び照明部8の照射範囲より下流側であり、且つ、照明部1及び照明部8から励起光が照射されない範囲から残光を取得する。
【0093】
光検出装置135の判定部4は、第1の受光部2及び第2の受光部3により検出する信号に基づいて真偽判定を行う(ステップS25)。また、判定部4は、第1の受光部2及び第2の受光部3により検出する信号に基づいて正損判定を行う(ステップS26)。
【0094】
即ち、判定部4は、真偽判定において真券であると判定し、且つ正損判定において正券であると判定した紙葉類5を「真/正」券であると判定する(ステップS27)。判定部4は、「真/正」券を再流通可能な紙葉類5であると判定し、集積結束部132に集積するように紙葉類処理装置100の主制御部151に判定結果を通知する。
【0095】
また、判定部4は、真偽判定において真券であると判定し、且つ正損判定において損券であると判定した紙葉類5を「真/損」券であると判定する(ステップS28)。判定部4は、「真/損」券を再流通不可能な紙葉類5であると判定し、スタッカ134に集積する、または裁断部133により裁断するように紙葉類処理装置100の主制御部151に判定結果を通知する。
【0096】
また、判定部4は、真偽判定において偽券であると判定した紙葉類5を「偽」券であると判定する(ステップS29)。判定部4は、「偽」券を排除集積部127に集積するように紙葉類処理装置100の主制御部151に判定結果を通知する。
【0097】
上記したように、本実施形態の光検出装置135は、照明部8を照明部1の照射領域と第2の受光部3の走査領域との間に設けることにより、第2の受光部3は十分なレベルの残光を検出することができる。この結果、より高い精度で蛍光及び残光の検出結果に基づいて紙葉類の真偽判定及び正損判定を行うことが出来る光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0098】
次に、第3の実施形態に係る光検出装置135について説明する。
図14は、第3の実施形態に係る光検出装置135の構成を模式的に示す説明図である。なお、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の構成には同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図14に示すように、光検出装置135は、照明部1、第1の受光部2、第2の受光部3、判定部4、照明部8、及び制御部9を備える。また、光検出装置135は、図示しない蛍光基準板を備える。
【0099】
制御部9は、第1の受光部2により検出する蛍光信号を受け取る。制御部9は、第1の受光部2により検出する蛍光信号の値と予め設定される基準レベルとに基づいて照明部8から照射される励起光の強度を制御する。
【0100】
図15は、制御部9による照明部8の発光強度の制御について説明する為の説明図である。
制御部9は、第1の受光部2により検出する蛍光信号が予め設定される蛍光基準レベルに一致するように照明部8の発光強度を強く、または弱く制御する。図15に示すように、第1の受光部2により検出する蛍光信号が予め設定される蛍光基準レベルより高い場合、制御部9は、照明部8の発光強度を弱める。また、第1の受光部2により検出する蛍光信号が予め設定される蛍光基準レベルより低い場合、制御部9は、照明部8の発光強度を強める。
【0101】
これにより、判定部4は、第2の受光部3により検出する残光信号のレベルが残光基準レベルに相当するか否かに基づいて、紙葉類5の真偽判定を行うことができる。
【0102】
判定部4は、図16に示す判定テーブル42を備える。判定テーブル42は、蛍光判定処理及び残光判定処理の判定結果の関係と、真偽判定及び正損判定の論理とを対応付けて記憶する。判定部4は、判定テーブル42に基づいて真偽判定、及び正損判定を行う。
【0103】
まず、判定部4は、真偽判定を行う。判定部4は、蛍光判定処理の結果に係らず、残光判定処理の結果が「Sレベル」である場合、紙葉類5を真券であると判定する。即ち、判定部4は、残光判定処理の結果が「Hレベル」または「Lレベル」である場合、紙葉類5が偽券であると判定する。
【0104】
次に、判定部4は、真券と判定した紙葉類5に対して正損判定を行う。判定部4は、蛍光判定処理の結果が「Hレベル」、または「Sレベル」である紙葉類5を正券であると判定する。また、判定部4は、蛍光判定処理の結果が「Lレベル」である紙葉類5を損券であると判定する。
【0105】
図17は、図14に示す光検出装置135の動作について説明する為のフローチャートである。
まず、光検出装置135の照明部1は、照射範囲に連続して励起光を照射する(ステップS31)。
【0106】
光検出装置135の第1の受光部2は、搬送路115を搬送される紙葉類5から蛍光を検出する(ステップS32)。これにより、第1の受光部2は、蛍光信号を取得する。なお、第1の受光部2は、照明部1により励起光が照射される範囲から蛍光を検出する。第1の受光部2は、検出する蛍光信号を判定部4及び制御部9に送信する。
【0107】
制御部9は、第1の受光部2から受信する蛍光信号のレベルに応じて、照明部8の発光強度を補正する(ステップS33)。
【0108】
光検出装置135の照明部8は、制御部9の制御に基づく発光高度で照射範囲に連続して励起光を照射する(ステップS34)。
【0109】
光検出装置135の第2の受光部3は、搬送路115を搬送される紙葉類5から残光を検出する(ステップS35)。これにより、第2の受光部3は、残光信号を取得する。なお、第2の受光部3は、照明部1及び照明部8の照射範囲より下流側であり、且つ、照明部1及び照明部8から励起光が照射されない範囲から残光を取得する。
【0110】
光検出装置135の判定部4は、第2の受光部3により検出する残光信号に基づいて真偽判定を行う(ステップS36)。即ち、判定部4は、第2の受光部3から受信する残光信号が予め設定される残光基準レベルと一致する場合、紙葉類5を真券であると判定する。
【0111】
また、判定部4は、第1の受光部2により検出する蛍光信号に基づいて正損判定を行う(ステップS37)。即ち、判定部4は、第1の受光部2から受信する蛍光信号が予め設定される蛍光基準レベル以上である場合、紙葉類5を正券であると判定する。
【0112】
判定部4は、真偽判定において真券であると判定し、且つ正損判定において正券であると判定した紙葉類5を「真/正」券であると判定する(ステップS38)。判定部4は、「真/正」券を再流通可能な紙葉類5であると判定し、集積結束部132に集積するように紙葉類処理装置100の主制御部151に判定結果を通知する。
【0113】
また、判定部4は、真偽判定において真券であると判定し、且つ正損判定において損券であると判定した紙葉類5を「真/損」券であると判定する(ステップS39)。判定部4は、「真/損」券を再流通不可能な紙葉類5であると判定し、スタッカ134に集積する、または裁断部133により裁断するように紙葉類処理装置100の主制御部151に判定結果を通知する。
【0114】
また、判定部4は、真偽判定において偽券であると判定した紙葉類5を「偽」券であると判定する(ステップS40)。判定部4は、「偽」券を排除集積部127に集積するように紙葉類処理装置100の主制御部151に判定結果を通知する。
【0115】
上記したように、本実施形態の光検出装置135は、照明部8の発光強度を第1の受光部2により検出する蛍光信号の値に応じて制御する。これにより、光検出装置135の判定部4は、残光信号に基づいて真偽判定を行うことができる。この結果、より高い精度で蛍光及び残光の検出結果に基づいて紙葉類の真偽判定及び正損判定を行うことが出来る光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0116】
次に、第4の実施形態に係る光検出装置135について説明する。
図18は、第4の実施形態に係る光検出装置135の構成を模式的に示す説明図である。なお、第1乃至第3の実施形態と同様の構成には同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図18に示すように、光検出装置135は、照明部1、第1の受光部2、第2の受光部3、判定部4、照明部8、制御部9、及び第3の受光部10を備える。また、光検出装置135は、図示しない蛍光基準板を備える。
【0117】
第3の受光部10は、第1の受光部2及び第2の受光部3と同様の構成を備える。第3の受光部10は、照明部8により励起光が照射される範囲からフィルタ7を介して蛍光を検出する。すなわち、第3の受光部10は、紙葉類5の蛍光体6から蛍光を検出する。
【0118】
判定部4は、第3の受光部10により検出する蛍光信号に基づいて、異常判定を行う。制御部9は、第1の受光部2により検出する蛍光信号に基づいて照明部8の発光強度を補正する。
【0119】
この為、第3の受光部10により検出する蛍光信号は、蛍光基準レベルと一致する値になることが想定される。しかし、例えば、紙葉類5の蛍光体6の特性、または他の要因により第3の受光部10により検出する蛍光信号が蛍光基準レベルと一致しない可能性がある。判定部4は、第3の受光部10により検出する蛍光信号が蛍光基準レベルと一致しない場合、異常処理と判定する。判定部4は、異常処理と判定する場合、紙葉類5を排除集積部127に集積するように紙葉類処理装置100の主制御部151に通知する。
【0120】
図19は、図18に示す光検出装置135の動作について説明する為のフローチャートである。
まず、光検出装置135の照明部1は、照射範囲に連続して励起光を照射する(ステップS41)。
【0121】
光検出装置135の第1の受光部2は、搬送路115を搬送される紙葉類5から蛍光を検出する(ステップS42)。これにより、第1の受光部2は、蛍光信号を取得する。なお、第1の受光部2は、照明部1により励起光が照射される範囲から蛍光を検出する。第1の受光部2は、検出する蛍光信号を判定部4及び制御部9に送信する。
【0122】
制御部9は、第1の受光部2から受信する蛍光信号のレベルに応じて、照明部8の発光強度を補正する(ステップS43)。
【0123】
光検出装置135の照明部8は、制御部9の制御に基づく発光高度で照射範囲に連続して励起光を照射する(ステップS44)。
【0124】
光検出装置135の第3の受光部10は、搬送路115を搬送される紙葉類5から蛍光を検出する(ステップS45)。
【0125】
判定部4は、第3の受光部10により検出する蛍光信号と予め設定される蛍光基準レベルとに基づいて異常判定を行う(ステップS46)。蛍光信号と予め設定される蛍光基準レベルとが一致、または近い値である場合、判定部4は、正常処理であると判定する。
【0126】
ステップS46において正常処理であると判定する場合、第2の受光部3は、搬送路115を搬送される紙葉類5から残光を検出する(ステップS47)。これにより、第2の受光部3は、残光信号を取得する。なお、第2の受光部3は、照明部1及び照明部8の照射範囲より下流側であり、且つ、照明部1及び照明部8から励起光が照射されない範囲から残光を取得する。
【0127】
光検出装置135の判定部4は、第2の受光部3により検出する残光信号に基づいて真偽判定を行う(ステップS48)。即ち、判定部4は、第2の受光部3から受信する残光信号が予め設定される残光基準レベルと一致する場合、紙葉類5を真券であると判定する。
【0128】
また、判定部4は、第1の受光部2により検出する蛍光信号に基づいて正損判定を行う(ステップS49)。即ち、判定部4は、第1の受光部2から受信する蛍光信号が予め設定される蛍光基準レベル以上である場合、紙葉類5を正券であると判定する。
【0129】
判定部4は、真偽判定において真券であると判定し、且つ正損判定において正券であると判定した紙葉類5を「真/正」券であると判定する(ステップS50)。判定部4は、「真/正」券を再流通可能な紙葉類5であると判定し、集積結束部132に集積するように紙葉類処理装置100の主制御部151に判定結果を通知する。
【0130】
また、判定部4は、真偽判定において真券であると判定し、且つ正損判定において損券であると判定した紙葉類5を「真/損」券であると判定する(ステップS51)。判定部4は、「真/損」券を再流通不可能な紙葉類5であると判定し、スタッカ134に集積する、または裁断部133により裁断するように紙葉類処理装置100の主制御部151に判定結果を通知する。
【0131】
また、判定部4は、真偽判定において偽券であると判定した紙葉類5を「偽」券であると判定する(ステップS52)。判定部4は、「偽」券を排除集積部127に集積するように紙葉類処理装置100の主制御部151に判定結果を通知する。
【0132】
また、判定部4は、第3の受光部10により検出する蛍光信号と予め設定される蛍光基準レベルとが異なる場合、異常処理であると判定する(ステップS53)。判定部4は、異常処理と判定する場合、紙葉類5を排除集積部127に集積するように紙葉類処理装置100の主制御部151に通知する。
【0133】
上記したように、本実施形態の光検出装置135は、照明部8の発光強度を第1の受光部2により検出する蛍光信号の値に応じて制御する。第3の受光部10は、補正した照明部8により励起光が照射される範囲から蛍光信号を検出する。判定部4は、第3の受光部10により検出する蛍光信号と予め設定される蛍光基準レベルとに応じて異常判定を行う。これにより、光検出装置135の判定部4は、真偽判定及び正損判定の誤判定を防ぐことができる。この結果、より高い精度で蛍光及び残光の検出結果に基づいて紙葉類の真偽判定及び正損判定を行うことが出来る光検出装置、及びこの光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0134】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0135】
1…照明部、2…第1の受光部、3…第2の受光部、4…判定部、5…紙葉類、6…蛍光体、8…照明部、9…制御部、10…第3の受光部、41…判定テーブル、42…判定テーブル、100…紙葉類処理装置、112…投入部、113…取出部、114…吸着ローラ、115…搬送路、116…検査部、125…ゲート、126…排除搬送路、127…排除集積部、132…集積結束部、133…裁断部、134…スタッカ、135…光検出装置、151…主制御部、152…搬送制御部、153…集積・結束制御部、155…CPU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される紙葉類に対して励起光を照射する第1の照明手段と、
所定の走査領域から蛍光信号を検出する第1の受光手段と、
所定の走査領域から残光信号を検出する第2の受光手段と、
前記第1の受光手段により検出する蛍光信号及び前記第2の受光手段により検出する残光信号に基づいて前記紙葉類の真偽判定及び正損判定を行う判定手段と、
を具備することを特徴とする光検出装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記第1の受光手段により検出する蛍光信号の強度と前記第2の受光手段により検出する残光信号の強度との比率に基づいて前記紙葉類の真偽判定を行い、前記第1の受光手段により検出する蛍光信号の強度に基づいて前記紙葉類の正損判定を行うことを特徴とする請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記第1の受光手段より下流であり、且つ前記第2の受光手段より上流に設けられ、搬送される紙葉類に対して励起光を照射する第2の照明手段をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記第2の照明手段は、前記第1の受光手段により蛍光信号の強度に基づいて照射する励起光の強度を制御することを特徴とする請求項3に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記第2の受光手段により検出する残光信号の強度に基づいて前記紙葉類の真偽判定を行い、前記第1の受光手段により検出する蛍光信号の強度に基づいて前記紙葉類の正損判定を行うことを特徴とする請求項4に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記第2の照明手段により励起光が照射される範囲から蛍光信号を検出する第3の受光手段をさらに具備し、
前記判定手段は、前記第3の受光手段により検出する蛍光信号と予め設定される蛍光基準レベルとに基づいて異常判定を行い、前記第3の受光手段により検出する蛍光信号と予め設定される蛍光基準レベルとが一致しない場合、異常処理と判定することを特徴とする請求項5に記載の光検出装置。
【請求項7】
紙葉類を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される紙葉類に対して励起光を照射する照明手段と、
所定の走査領域から蛍光信号を検出する第1の受光手段と、
所定の走査領域から残光信号を検出する第2の受光手段と、
前記第1の受光手段により検出する蛍光信号及び前記第2の受光手段により検出する残光信号に基づいて前記紙葉類の真偽判定及び正損判定を行う判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づいて、前記紙葉類を区分する区分処理部と、
を具備することを特徴とする紙葉類処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−170695(P2011−170695A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35033(P2010−35033)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】