説明

光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置

【課題】 より高い精度で検査を行うことができる光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】 一実施形態に係る光検出装置は、残光特性を持つ蛍光体が塗布される紙葉類から残光を検出する光検出装置であって、照明部と、受光部と、蛍光基準部材と、調整部と、検知部とを備える。照明部は、搬送される紙葉類に対して励起光を照射する。受光部は、入射する光の光強度を検出する。蛍光基準部材は、照明部と対向する位置に設けられ、励起光が入射する場合に蛍光を発する蛍光部材と、蛍光部材から発せられる蛍光が受光部に入射するように導光する導光体と、を備える。調整部は、蛍光部材から発せられて導光体を通り受光部に入射する蛍光から受光部により検出する光強度に基づいて、照明部の発光強度及び受光部の受光感度のうちの少なくとも1つを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば紙幣などの紙葉類の計数及び判別を行う紙葉類処理装置が実用化されている。紙葉類処理装置は、投入部に投入された紙葉類を1枚ずつ取り込み、紙葉類の検査装置に搬送する。検査装置は、紙葉類に対して種々の処理を行い紙葉類の状態を判別する。紙葉類処理装置は、検査装置の検査結果に基づいて、紙葉類を区分して集積する。
【0003】
紙葉類処理装置は、検査装置の検査結果に基づいて、紙葉類が再流通可能な紙葉類であるか否かを判定する。例えば、紙葉類処理装置は、再流通に適さない紙葉類に対して「損券(unfit sheet)」という判定を行う。また、例えば、紙葉類処理装置は、再流通に適する紙葉類に対して「正券(fit sheet)」という判定を行う。
【0004】
紙葉類処理装置により処理する紙葉類には、蛍光印刷情報が印刷されている。蛍光印刷情報は、蛍光体を含むインク(蛍光インク)により印刷された情報である。蛍光体は、励起光源から射出される励起光(例えば紫外線)などにより励起される。励起光により励起された蛍光体は、光(蛍光)を発する。また、励起光の照射が中断された場合、蛍光体は、時間とともに徐々に減衰する光(残光)を発する。
【0005】
検査装置は、光検出装置を備える。光検出装置は、紙葉類から蛍光印刷情報を読み取るための光検出装置をさらに備える。光検出装置は、励起光を紙葉類に照射する励起光源と、蛍光を検出するセンサとを備える。光検出装置は、紙葉類に対して励起光源から励起光を照射して蛍光体を励起させる。光検出装置は、励起された蛍光体から発せられる蛍光及び残光をセンサにより検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−039897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
より高い精度で検査を行うことができる光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係る光検出装置は、残光特性を持つ蛍光体が塗布される紙葉類から残光を検出する光検出装置であって、照明部と、受光部と、蛍光基準部材と、調整部と、検知部とを備える。照明部は、搬送される前記紙葉類に対して励起光を照射する。受光部は、入射する光の光強度を検出する。蛍光基準部材は、前記照明部と対向する位置に設けられ、励起光が入射する場合に蛍光を発する蛍光部材と、前記蛍光部材から発せられる蛍光が前記受光部に入射するように導光する導光体と、を備える。調整部は、前記蛍光部材から発せられて前記導光体を通り前記受光部に入射する蛍光から前記受光部により検出する光強度に基づいて、前記照明部の発光強度及び前記受光部の受光感度のうちの少なくとも1つを調整する。検知部は、前記調整部により調整が行われた前記照明部及び前記受光部により、検知対象である前記紙葉類に対して、蛍光検知を行う。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、一実施形態に係る紙葉類処理装置の外観について説明するための説明図である。
【図2】図2は、一実施形態に係る紙葉類処理装置の構成例について説明するための説明図である。
【図3】図3は、一実施形態に係る紙葉類処理装置の制御系の構成例について説明するための説明図である。
【図4】図4は、一実施形態に係る光検出装置の構成例について説明するための説明図である。
【図5】図5は、一実施形態に係る光検出装置の構成例について説明するための説明図である。
【図6】図6は、一実施形態に係る残光減衰特性について説明するための説明図である。
【図7】図7は、一実施形態に係る光検出装置の構成例について説明するための説明図である。
【図8】図8は、一実施形態に係る光検出装置の構成例について説明するための説明図である。
【図9】図9は、一実施形態に係る光検出装置の構成例について説明するための説明図である。
【図10】図10は、一実施形態に係る光検出装置の構成例について説明するための説明図である。
【図11】図11は、一実施形態に係る光検出装置の構成例について説明するための説明図である。
【図12】図12は、一実施形態に係る光検出装置の構成例について説明するための説明図である。
【図13】図13は、一実施形態に係る光検出装置の構成例について説明するための説明図である。
【図14】図14は、一実施形態に係る光検出装置の構成例について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置について詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、一実施形態に係る紙葉類処理装置100の外観について説明するための説明図である。
図1に示すように、紙葉類処理装置100は、装置外部に、投入部112、操作部136、操作表示部137、ドア138、取出口139、及びキーボード140を備えている。
【0012】
投入部112は、例えば紙幣などの紙葉類8を投入するための構成である。投入部112は、重ねられた状態の紙葉類8をまとめて受け入れる。操作部136は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける。操作表示部137は、オペレータに対して各種の操作案内、及び処理結果などを表示する。なお、操作表示部137は、タッチパネルとして構成されていてもよい。この場合、紙葉類処理装置100は、操作表示部137に表示されるボタンと、操作表示部137に対するオペレータによる操作と、に基づいて、各種の操作入力を検知する。
【0013】
ドア138は、投入部112の投入口を開閉する為のドアである。取出口139は、紙葉類処理装置100により再流通不可と判断された紙葉類8がスタックされる集積部から紙葉類8を取り出す為の構成である。キーボード140は、オペレータによる各種操作入力を受け付ける入力部として機能する。
【0014】
図2は、図1に示す紙葉類処理装置100の構成例について説明するための説明図である。
紙葉類処理装置100は、装置内部に、投入部112、取出部113、吸着ローラ114、搬送路115、検査部116、ゲート120乃至125、排除搬送路126、排除集積部127、集積・結束部128乃至131、裁断部133、及びスタッカ134を備える。また、紙葉類処理装置100は、主制御部151を備える。主制御部151は、紙葉類処理装置100の各部の動作を統合的に制御する。
【0015】
取出部113は、投入部の上部に設けられる。取出部113は、吸着ローラ114を備えている。吸着ローラ114は、投入部112にセットされた紙葉類8を集積方向の上端に接するように設けられている。即ち、吸着ローラ114は、回転することにより、投入部112にセットされた紙葉類8を集積方向の上端から1枚ずつ装置内部に取り込む。吸着ローラ114は、たとえば、1回転するごとに1枚の紙葉類8を取出すように機能する。これにより、吸着ローラ114は、紙葉類8を一定のピッチで取出す。吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類8は、搬送路115に導入される。
【0016】
搬送路115は、紙葉類8を紙葉類処理装置100内の各部に搬送する搬送手段である。搬送路115は、図示しない搬送ベルト及び駆動プーリなどを備えている。搬送路115は、図示しない駆動モータ及び駆動プーリにより搬送ベルトを動作させる。搬送路115は、吸着ローラ114により取り込まれた紙葉類8を搬送ベルトにより一定速度で搬送する。なお、搬送路115における取出部113に近い側を上流側、スタッカ134に近い側を下流側として説明する。
【0017】
取出部113から延びた搬送路115上には、検査部116が設けられている。検査部116は、画像読取装置117、画像読取装置118、光検出装置135、及び厚み検査部119を備えている。検査部116は、紙葉類8の光学的特徴情報、機械的特徴、及び磁気的特長情報を検出する。これにより、紙葉類処理装置100は、紙葉類8の種類、汚損度、及び真偽などを検知する。
【0018】
画像読取装置117、及び118は、それぞれ搬送路115を挟んで対面するように設けられている。画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類8の両面の画像を読み取る。画像読取装置117、及び118は、それぞれ、Charge Coupled Device(CCD)カメラを備える。紙葉類処理装置100は、画像読取装置117、及び118により撮像した画像に基づいて、紙葉類8の表面及び裏面の模様画像を取得する。
【0019】
画像読取装置117、及び118は、読み取った画像を検査部116内の図示しないメモリに一時的に記憶する。紙葉類処理装置100は、このメモリに記憶されている画像を操作入力に応じて操作表示部137に表示する。
【0020】
光検出装置135は、搬送される紙葉類8に対して励起光を照射する。さらに光検出装置135は、紙葉類8から蛍光、及び/または残光を検出する。これにより、光検出装置135は、例えば、紙葉類8上の蛍光印刷情報を検出する。
【0021】
厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類8の厚みを検査する。例えば、検出した厚みが規定値以上である場合、紙葉類処理装置100は、紙葉類8の2枚取りを検出する。
【0022】
また、検査部116は、図示しない磁気センサなどを備えている。磁気センサは、紙葉類8の磁気的な特徴情報を検出する。
【0023】
主制御部151は、画像読取装置117、118、光検出装置135、厚み検査部119、及び磁気センサなどによる検出結果に基づいて、各種の判定を行う。例えば、主制御部151は、紙葉類8の種類(category)を判定する。
【0024】
また、主制御部151は、紙葉類8の真偽(authentication)を判定する。すなわち、主制御部151は、紙葉類8が真券(legal sheet)であるか、偽券(illegal sheet)であるかを判定する。
【0025】
また、主制御部151は、紙葉類8の正損(recirculatable/unrecirculatable)を検知する。即ち、主制御部151は、紙葉類8が再流通可能(recirculatable)な正券(fit sheet)であるか、再流通不可能(unrecirculatable)な損券(unfit sheet)であるかを判定する。
【0026】
さらに、主制御部151は、紙葉類8が排除券であるか否か判定する。すなわち、主制御部151は、偽券と判定された紙葉類8、または厚み検査部119により重なりが検知された紙葉類8を、排除券と判定する。すなわち、排除券は、正券及び損券に該当しない紙葉類8である。
【0027】
紙葉類処理装置100は、正券と判定した紙葉類8を集積・結束部128乃至131に搬送する。また、紙葉類処理装置100は、損券と判定した紙葉類8を裁断部133に搬送する。裁断部133は、搬送される損券を裁断する。なお、紙葉類処理装置100は、損券をスタッカ134に搬送し集積してもよい。スタッカ134は、集積した損券が例えば100枚に到達するごとに施封を行う。
【0028】
紙葉類処理装置100は、排除券と判定した紙葉類8を排除集積部127に搬送する。排除券は、例えば、2枚取り券などの搬送異常券、折れまたは破れなどが存在する不良券、及び適用外券種または偽券などの判別不能券を含む。
【0029】
検査部116の下流側の搬送路115上には、ゲート120乃至125が順に配設されている。ゲート120乃至125は、それぞれ、主制御部151により制御される。主制御部151は、検査部116による検査の結果に基づいて各ゲート120乃至125の動作を制御する。これにより、主制御部151は、搬送路115を搬送されている紙葉類8を所定の処理部に搬送するように制御する。
【0030】
検査部116の直後に配設されたゲート120は、搬送路115を排除搬送路126に分岐する。即ち、ゲート120は、検査部116による検査の結果、真券ではないと判定された排除券、または、検査部116による検査を行うことができない検査不能券等を排除搬送路126に搬送するように切り替えられる。
【0031】
排除搬送路126の終端部には、排除集積部(排除部)127が設けられている。排除集積部127は、取出部113にて取出した姿勢のまま、上記したような排除券、及び検査不能券を集積する。排除集積部127に集積された紙葉類8は、取出口139から取り出すことができる。
【0032】
また、ゲート121乃至124により分岐される先には、集積・結束部128乃至131(総じて集積結束部132と称する)がそれぞれ設けられている。集積・結束部132には、再流通可能であると判定された紙葉類8が種類及び表裏毎に区別されて集積される。集積・結束部132は、集積した紙葉類8を所定枚数毎に結束して格納する。
【0033】
ゲート125により分岐される先には、裁断部133が配設されている。裁断部133は、紙葉類8を裁断して収納する。ゲート125には、正規の紙葉類8であり、且つ、再流通が不可能であると判定された紙葉類8(損券)が搬送される。
【0034】
また、ゲート125により分岐される他方の搬送路の先には、スタッカ134が配設されている。主制御部151は、損券裁断モードが選択されている場合、紙葉類8を裁断部133に搬送するようにゲート125を制御する。また、主制御部151は、損券裁断モードが選択されていない場合、紙葉類8をスタッカ134に搬送するようにゲート125を制御する。
【0035】
なお、主制御部151は、集積・結束部132に集積された紙葉類8の枚数、及び、裁断部133により裁断された紙葉類8の枚数及び識別情報を逐次記憶する。
【0036】
図3は、図1及び図2に示す紙葉類処理装置100の制御系の構成例について説明するためのブロック図である。
【0037】
紙葉類処理装置100は、主制御部151、検査部116、搬送制御部152、集積・結束制御部153、裁断制御部156、操作表示部137、及びキーボード140などを備える。
【0038】
主制御部151は、紙葉類処理装置100の全体的な制御を司る。主制御部151は、操作表示部137により入力される操作、及び検査部116による検査結果に基づき、搬送制御部152及び集積・結束制御部153を制御する。
【0039】
例えば、紙葉類処理装置100を操作する操作員は、操作表示部137またはキーボード140により、処理する紙葉類8に対する各種の判定における閾値、紙葉類8の供給元の名称、及び処理方法などを入力する。
【0040】
検査部116は、画像読取装置117、及び118、厚み検査部119、光検出装置135、その他のセンサ類154、及びCPU155を備える。
【0041】
画像読取装置117、及び118は、搬送路115を搬送される紙葉類8の両面の画像を読み取る。画像読取装置117、及び118は、例えばCCDなどの受光素子と光学系とを備える。画像読取装置117、及び118は、搬送される紙葉類8に対して光を投光し、反射光または透過光を光学系により受光する。画像読取装置117、及び118は、光学系により受光した光をCCDに結像させ、電気信号(画像)を取得する。
【0042】
主制御部151は、紙葉類8の基準となる画像(基準画像)を記憶部151aに予め記憶する。主制御部151は、紙葉類8から取得した画像と、記憶部151aに記憶される基準画像とを比較することにより、紙葉類8に対する各種の判定を行う。
【0043】
光検出装置135は、上記したように、搬送される紙葉類8に対して励起光を照射する。さらに光検出装置135は、紙葉類8から蛍光、及び/または残光を検出する。これにより、光検出装置135は、例えば、紙葉類8上の蛍光印刷情報を検出する。
【0044】
また、記憶部151aは、光検出装置135の検出結果と比較する閾値を予め記憶する。主制御部151は、光検出装置135の検出結果と記憶部151aに記憶されている閾値とに基づいて、紙葉類8に対する各種の判定を行う。
【0045】
厚み検査部119は、搬送路115を搬送される紙葉類8の厚みを検査する。その他のセンサ類154は、例えば、磁気センサなどである。磁気センサは、搬送路115を搬送される紙葉類8から磁気的な特徴情報を検出する。
【0046】
CPU155は、画像読取装置117、118、厚み検査部119、光検出装置135、及びその他のセンサ類154などの動作の制御を行う。また、CPU155は、主制御部151とデータの伝送を行う。すなわち、CPU155は、検査部116の各部における検知結果を主制御部151に伝送することができる。
【0047】
搬送制御部152は、主制御部151の制御に基づき、取出部113、搬送路115、排除搬送路126、及びゲート120乃至125を制御する。これにより、搬送制御部152は、紙葉類8の取り込み及び搬送を制御する。また、搬送制御部152は、判定した紙葉類8の種類毎に区分する区分処理を行う。即ち、搬送制御部152は、区分処理部として機能する。
【0048】
例えば、搬送制御部152は、損券であると判定された紙葉類8を裁断部133、またはスタッカ134に搬送するようにゲート120乃至125を制御する。また、搬送制御部152は、排除券であると判定された紙葉類8を排除集積部127に搬送するようにゲート120乃至125を制御する。またさらに、搬送制御部152は、正券であると判定された紙葉類8を集積結束部132に搬送するようにゲート120乃至125を制御する。
【0049】
集積・結束制御部153は、主制御部151の制御に基づき、排除集積部127及び集積・結束部128乃至131を制御する。これにより、集積・結束制御部153は、紙葉類8の集積、及び結束の制御を行なう。
【0050】
裁断制御部156は、主制御部151の制御に基づき、裁断部133の動作を制御する。これにより、裁断部133は、搬送される紙葉類8の裁断を行う。
【0051】
なお、紙葉類8上に例えば、蛍光体を含有する蛍光インクにより印刷された蛍光印刷情報が印刷されていると仮定して光検出装置135について説明する。
【0052】
図4は、第1の実施形態に係る光検出装置135の構成例について説明するための説明図である。また、図5は、光検出装置135の一部を図4の上方から見た図である。
光検出装置135は、例えば紙葉類処理装置100の搬送路115の近傍に設置される。図4に示すように、光検出装置135は、検出部2、制御部3、判定部4、及びメモリ10を備える。検出部2は、照明部5、受光部6、及び蛍光基準部材7を備える。
【0053】
紙葉類8は、搬送路115により図4に示す矢印aの方向に搬送される。即ち、図4に示す矢印aは、紙葉類8の搬送方向を示す。また、紙葉類8上には、蛍光体を含有する蛍光インクにより蛍光印刷情報9が印刷されている。
【0054】
また、図5に示す矢印bは、受光部6の走査方向を示す。なお、搬送方向aと走査方向bとは互いに直交する。紙葉類8は、搬送方向aと走査方向bとを含む面(搬送面P)に沿って搬送される。
【0055】
検出部2は、紙葉類8から残光を検出する。検出部2の照明部5は、例えば、紫外線などの励起光を照射する。照明部5は、搬送路115上(搬送面P上)の所定の照射範囲に励起光を照射する。即ち、照明部5は、搬送路115により搬送される紙葉類8に対して励起光を照射する。
【0056】
上記したように、紙葉類8は、蛍光印刷情報9を備える。蛍光印刷情報9の蛍光体は、励起光が照射される場合、蛍光を発する。なお、照明部5は、少なくとも紙葉類8の蛍光印刷情報9が通過する範囲であり、且つ、受光部6の走査範囲を含まない範囲に対して励起光を照射する。
【0057】
蛍光印刷情報9の蛍光体は、励起光が照射される場合、照射時間に応じて蛍光の発光量を増加させる。蛍光印刷情報9の蛍光体は、励起光が所定時間照射される場合、蛍光の発光量が増加しない発光飽和状態になる。
【0058】
また、蛍光印刷情報9の蛍光体は、図6に示すような残光減衰特性を有する。図6は、図4に示す光検出装置135により処理する紙葉類8の蛍光印刷情報9の蛍光体の残光減衰特性について説明するための説明図である。
【0059】
図6に示すように、蛍光印刷情報9の蛍光体は、発光飽和している状態で励起光の照射が停止される場合、時間に応じて蛍光の発光量が減衰する。即ち、蛍光印刷情報9の蛍光体の発光量は、励起光の照射が停止される時刻tからの経過時間に応じて減衰する。なお、残光減衰特性は、蛍光体の種類に応じた固有の特性である。即ち、蛍光体の種類が異なる場合、減衰特性が異なる。
【0060】
照明部5は、例えば、紫外線を出力する蛍光灯、または冷陰極管を備える。照明部5は、高周波の電圧を受けることにより、連続して紫外線を照射することができる。
【0061】
また、近年、LED素子が高輝度化している。この為、照明部5は、紫外光を発するLED素子を備える構成であってもよい。また、照明部5は、水銀ランプ等の紫外線を含む光を照射する光源を備える構成であってもよい。
【0062】
また、本実施形態では、紫外線を照射することにより光を発する蛍光体を例に挙げて説明するが、実施例は、この例に限定されない。例えば、赤外線により励起されて光を発する蛍光体を検出する場合、照明部5は、赤外線を出力する照明装置により構成される。即ち、照明部5は、検出する物体の特性に応じて適宜変更される。
【0063】
受光部6は、所定の走査範囲を走査し、画像または光強度に応じた電気信号を取得する。すなわち、受光部6は、入射する光の光強度を検出値として検出する。受光部6は、例えば、CMOS、フォトダイオード、またはCCDなどのセンサと、光を受光するレンズと、フィルタ(波長制限媒体)とを備える。
【0064】
フィルタは、所定の波長の領域の光を透過する。たとえば、フィルタは、紙葉類8に塗布されている蛍光体を励起することにより発せられる蛍光(及びその付近の波長帯域の光)のみを透過する。なお、受光部6は、所定の波長を感度領域とするセンサを備える構成であってもよい。この場合、フィルタの構成は省略される。
【0065】
レンズは、搬送路115上の所定の走査領域からフィルタを透過した光を受光する。レンズは、搬送路115上(搬送面P上)の所定の走査範囲から光を受光し、受光した光をセンサに結像させる。センサは、受光した光を電気信号に変換する。
【0066】
なお、受光部6は、照明部5の照射範囲より下流側であり、且つ、照明部5の照射範囲と重ならない範囲から光を取得する。即ち、照明部5及び受光部6は、照明部5の照射範囲と、受光部6の走査範囲とが搬送方向aにおいて所定距離離隔されて配置されている。これにより、受光部6は、紙葉類8の蛍光体から発せられる残光を検出することができる。
【0067】
蛍光基準部材7は、蛍光部材71、導光体72、充填材73、マスク板74、及びケース75を備える。
【0068】
蛍光部材71は、蛍光体が塗布される、または蛍光体を含有するガラスなどにより構成される。蛍光部材71は、励起光が照射される場合に蛍光発光する。導光体72は、入射した光を導光する。導光体72は、蛍光部材71と面するように設置される。なお、蛍光部材71は、少なくとも、照明部5と対向する位置にのみ設けられていればよい。これにより、蛍光部材71のサイズを抑えることができる。
【0069】
充填材73は、ケース75と導光体72との隙間を埋める。充填材73は、導光体72を通る光を反射する。マスク板74は、光を遮光する遮光部材である。ケース75は、内部に設置される蛍光部材71、導光体72、充填材73、及びマスク板74を保護する。
【0070】
充填材73は、蛍光部材71からの蛍光、および導光体72を通る光が反射する構造となっている。これにより、充填材73は、導光体72内における光の伝達効率を向上させることができる。
【0071】
図4に示すように、蛍光基準部材7は、紙葉類8の搬送面Pを挟んで照明部5及び受光部6と対向する位置に配置される。
【0072】
マスク板74は、少なくとも2つの開口部76、及び77を備える。マスク板74の1つの開口部76は、照明部5から照射される光が導光体72に入射するように設けられる。即ち、開口部76は、図5に示すように、照明部5の照射範囲内に設けられる。なお、開口部76及び開口部77は、照明部5の照射範囲、及び受光部6の走査範囲に応じて適宜サイズを変えても良い。
【0073】
図7は、図4に示す検出部2における光の経路について説明する為の説明図である。
図7に示すように、照明部5から射出された励起光は、マスク板74の開口部76を通り、導光体72に入射する。導光体72に入射した励起光は、蛍光部材71を照射する。蛍光部材71は、例えば、紙葉類8に塗布されている蛍光体と同じ蛍光発光特性を持つ。蛍光部材71は、照明部5からの励起光により蛍光発光する。即ち、蛍光部材71は、蛍光を放出する。
【0074】
なお、本実施形態によると、導光体72が各部に光を導光する。この為、蛍光部材71は、少なくとも照明部5と対向する位置に設けられていればよい。
【0075】
蛍光部材71から放出される蛍光は、照明部5に対峙する位置から受光部6に対峙する位置まで配置されている導光体72に入射する。
【0076】
マスク板74の他方の開口部77は、受光部6と対峙する位置に設けられている。即ち、開口部77は、図5に示すように、受光部6の走査範囲内に設けられる。
【0077】
蛍光部材71から導光体72内に入射する蛍光は、導光体72内を通り、開口部77から射出される。開口部77から射出された蛍光は、受光部6のレンズに入射する。これにより、蛍光基準部材7は、蛍光基準を受光部6に与えることができる。
【0078】
なお、この場合、照明部5から射出されて導光体72に入射した励起光も導光体72内を通り開口部77から射出される。しかし、上記したように、受光部6は、蛍光の波長帯域の光を透過させ、他の帯域の光を遮断するフィルタ、または、蛍光の波長を感度帯域とするセンサを備える。この為、受光部6は、励起光を検出することなく、蛍光の検出値(光強度)を取得することができる。
【0079】
なお、導光体72は、例えば、ガラスなどにより実現可能であるが、この構成に限定されない。導光体72は、光を導光することができる光ファイバー、プラスチック、アクリル、または他の透明物質により実現可能である。
【0080】
制御部3は、光検出装置135の全体の制御を司るものである。判定部4は、紙葉類8上における残光発光(蛍光発光)の有無を判定する。メモリ10は、照明部5、及び受光部6の調整に用いられる第1の基準レベルと、判定部4による判定に用いられる第2の基準レベルとを記憶する。
【0081】
制御部3は、例えば、CPU、バッファメモリ、プログラムメモリ、及び不揮発性メモリなどを備えている。CPUは、種々の演算処理を行う。バッファメモリは、CPUにより演算結果を一時的に記憶する。プログラムメモリ及び不揮発性メモリは、CPUが実行する種々のプログラム及び制御データなどを記憶する。
【0082】
制御部3は、CPUによりプログラムメモリに記憶されているプログラムを実行することにより、種々の処理を行うことができる。例えば、制御部3は、受光部6の動作のタイミングを制御する。
【0083】
また、制御部3は、図3に示す検査部116のCPU155及び主制御部151と接続されている。例えば、制御部3は、処理結果を主制御部151またはCPU155に伝送することができる。また、主制御部151またはCPU155から送信される制御信号に基づいて、光検出装置135の動作を制御することが出来る。
【0084】
例えば、制御部3は、制御信号を生成し、生成した制御信号を受光部6に入力する。受光部6は、入力される制御信号が示すタイミングに基づいて、センサに溜まった電荷を取得する。これにより、受光部6は、光強度(検出値)を取得することができる。さらに、制御部3は、必要に応じて受光部6により取得する信号に対して信号処理を施し、蛍光画像(残光画像)を取得する。
【0085】
制御部3は、照明部5の照射範囲、及び受光部6の走査範囲に紙葉類8が存在しない場合に受光部6により検出する検出値と、メモリ10に記憶されている第1の基準レベルとの比較を行う。制御部3は、比較結果に応じて、照明部5の発光強度、及び受光部6の受光感度を調整する。
【0086】
即ち、受光部6により検出する検出値がメモリ10に記憶されている第1の基準レベルと同じレベル(または所定の値の範囲内)になるように、照明部5の発光強度、及び受光部6の受光感度を調整する。
【0087】
例えば、検出値が第1の基準レベルより低い場合、制御部3は、照明部5の発光強度、及び受光部6の受光感度を高める。また、検出値が第1の基準レベルより高い場合、制御部3は、照明部5の発光強度、及び受光部6の受光感度を低める。これにより、制御部3は、受光部6により検出する検出値をモニタしながら、照明部5の発光強度及び受光部6の受光感度を調整することができる。
【0088】
また、制御部3は、調整した照明部5及び受光部6を用いて紙葉類8に対して蛍光検知を行う。即ち、制御部3は、受光部6の走査範囲に紙葉類8が存在する場合に受光部6により検出する検出値と、メモリ10に記憶されている第2の基準レベルとの比較を行う。判定部4は、比較結果に基づいて、紙葉類8上における残光発光の有無を判定する。
【0089】
即ち、受光部6により検出する検出値がメモリ10に記憶されている第2の基準レベルと同じレベル(または所定の値の範囲内)である場合、判定部4は、紙葉類8上に残光発光が存在すると判定する。即ち、判定部4は、この場合、紙葉類8上に蛍光印刷情報9が存在すると判定する。
【0090】
また、例えば、判定部4は、光部6により検出する検出値とメモリ10に記憶されている第2の基準レベルとが異なる場合、紙葉類8を偽券、損券、または排除券と判定する。
【0091】
図8は、光検出装置135の動作について説明する為のフローチャートである。なお、照明部5の照射範囲及び受光部6の走査範囲に紙葉類8が存在しないと仮定して説明をする。即ち、光検出装置135の制御部3は、照明部5の照射範囲及び受光部6の走査範囲に紙葉類8が存在しない場合に図8に示すフローチャートを実行する。
まず、光検出装置135は、照明部5により励起光を照射範囲に照射する(ステップS11)。この場合、照明部5から射出された励起光は、蛍光基準部材7のマスク板74の開口部76を通り、導光体72に入射する。導光体72に入射した励起光は、導光体72内を通り蛍光部材71に入射する。
【0092】
蛍光部材71上の蛍光体は、励起光により励起され、蛍光を発する。蛍光部材71から発せられた蛍光は、導光体72に入射し、導光体72内を通り、開口部77から射出される。開口部77から射出される蛍光は、受光部6のレンズに入射する。ここで、光検出装置135は、受光部6により蛍光を検出する(ステップS12)。即ち、光検出装置135は、受光部6により検出値を取得する。
【0093】
光検出装置135の制御部3は、メモリ10に記憶されている第1の基準レベルと受光部6により検出した検出値とを比較する(ステップS13)。メモリ10に記憶されている第1の基準レベルと受光部6により検出した検出値とが同じレベルである場合、制御部3は、処理を終了する。
【0094】
メモリ10に記憶されている第1の基準レベルと受光部6により検出した検出値とが異なる場合、制御部3は、照明部5の発光強度を調整する(ステップS14)。さらに、制御部3は、受光部6の受光感度を調整する(ステップS15)。なお、照明部5の発光強度と受光部6の受光感度の調整は、どちらを先に行ってもよい。また、照明部5の発光強度及び受光部6の受光感度を同時に調整する構成であってもよい。
【0095】
これらの調整は、光検出装置135が搭載される紙葉類処理装置100が非稼動の時(紙葉類8が搬送されていない時)に行われても良いし、紙葉類処理装置100が可動している時(媒体が搬送されている時)の紙葉類8と紙葉類8との間に行われても良い。
【0096】
上記したように、本実施形態に係る光検出装置135は、照明部5と対向する位置に設けられる蛍光部材71と、導光体72と、照明部5の照射範囲内と受光部6の走査範囲内に開口部76、77を備えるマスク板とを備える。この構成によると、光検出装置135は、照明部5の照明範囲及び受光部6の走査範囲に紙葉類8が存在しない場合に、受光部6により蛍光基準部材7から受光する基準光に基づいて、照明部5の発光強度及び受光部6の受光感度を調整することができる。
【0097】
この構成によると、蛍光基準板(蛍光部材71)を受光部6の走査範囲に設ける必要が無い為、蛍光基準部材7は、サイズを抑え、且つ、受光部6に基準光を与えることができる。また、受光部6は、導光体72から直接基準となる蛍光を取得することができる。これにより、光検出装置135は、精度の高い基準光に基づいて各部の調整を行うことができる。この結果、より高い精度で検査を行うことができる光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0098】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係る光検出装置135の構成例について説明するための説明図である。なお、第1の実施形態と同じ構成には同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、図10は、図9に示す検出部2における光の経路について説明する為の説明図である。
【0099】
図9に示す光検出装置135の蛍光基準部材7は、導光体72を通る光を受光することができるように設けられた光センサ78、及びフィルタ(波長制限媒体)79をさらに備える。また、メモリ10は、第3の基準レベルを予め記憶する。
【0100】
光センサ78は、例えば、CMOS、フォトダイオード、またはCCDなどのセンサである。光センサ78は、受光素子に入射する光の強度に応じて電気信号を生成する。即ち、光センサ78は、受光する光の強度を検出する。
【0101】
フィルタ79は、所定の波長の領域の光を透過する。たとえば、フィルタ79は、照明部5から射出される励起光を透過し、他の波長の光を遮断する。なお、光センサ78が、照明部5から射出される励起光の波長を感度領域とするセンサにより構成されていてもよい。この場合、フィルタ79の構成を省略することができる。
【0102】
図10に示すように、照明部5から射出された励起光は、蛍光基準部材7のマスク板74の開口部76を通り、導光体72に入射する。導光体72に入射した励起光の一部は、蛍光部材71に入射する。これにより、蛍光部材71は、蛍光を発する。
【0103】
また、導光体72に入射した励起光の一部は、フィルタ79を透過し、光センサ78に入射する。光センサ78は、入射した励起光の強度に応じて検出値を取得し、取得した検出値を制御部3に送信する。
【0104】
なお、この場合、蛍光部材71から発せられる蛍光も、導光体72を通り、フィルタ79に入射する。しかし、フィルタ79は、蛍光の波長帯域の光を遮断する。この為、光センサ78は、蛍光を検出することなく、励起光の検出値を取得することができる。なお、光センサ78は、照明部5から照射される励起光を受光することができる位置であれば如何なる位置に設けられていても良い。
【0105】
制御部3は、照明部5の照射範囲に紙葉類8が存在しない場合に光センサ78により検出する検出値と、メモリ10に記憶されている第3の基準レベルとの比較を行う。制御部3は、比較結果に応じて、照明部5の発光強度を調整する。
【0106】
即ち、制御部3は、光センサ78により検出する検出値がメモリ10に記憶されている第3の基準レベルと同じレベル(または所定の値の範囲内)になるように、照明部5の発光強度を調整する。
【0107】
例えば、検出値が第3の基準レベルより低い場合、制御部3は、照明部5の発光強度を高める。また、検出値が第3の基準レベルより高い場合、制御部3は、照明部5の発光強度を低める。これにより、制御部3は、光センサ78により検出する検出値をモニタしながら、照明部5の発光強度を調整することができる。
【0108】
さらに、制御部3は、照明部5の照射範囲及び受光部6の走査範囲に紙葉類8が存在しない場合に受光部6により検出する検出値と、メモリ10に記憶されている第1の基準レベルとの比較を行う。制御部3は、比較結果に応じて、受光部6の受光感度を調整する。
【0109】
即ち、制御部3は、受光部6により検出する検出値がメモリ10に記憶されている第1の基準レベルと同じレベル(または所定の値の範囲内)になるように、受光部6の受光感度を調整する。
【0110】
例えば、検出値が第1の基準レベルより低い場合、制御部3は、受光部6の受光感度を高める。また、検出値が第1の基準レベルより高い場合、制御部3は、受光部6の受光感度を低める。これにより、制御部3は、受光部6により検出する検出値をモニタしながら、受光部6の受光感度を調整することができる。
【0111】
また、制御部3は、調整した照明部5及び受光部6を用いて紙葉類8に対して蛍光検知を行う。即ち、制御部3は、受光部6の走査範囲に紙葉類8が存在する場合に受光部6により検出する検出値と、メモリ10に記憶されている第2の基準レベルとの比較を行う。判定部4は、比較結果に基づいて、紙葉類8上における残光発光の有無を判定する。
【0112】
即ち、受光部6により検出する検出値がメモリ10に記憶されている第2の基準レベルと同じレベル(または所定の値の範囲内)である場合、判定部4は、紙葉類8上に残光発光が存在すると判定する。即ち、判定部4は、この場合、紙葉類8上に蛍光印刷情報9が存在すると判定する。
【0113】
また、例えば、判定部4は、光部6により検出する検出値とメモリ10に記憶されている第2の基準レベルとが異なる場合、紙葉類8を偽券、損券、または排除券と判定する。
【0114】
図11は、光検出装置135の動作について説明する為のフローチャートである。なお、照明部5の照射範囲及び受光部6の走査範囲に紙葉類8が存在しないと仮定して説明をする。即ち、光検出装置135の制御部3は、照明部5の照射範囲及び受光部6の走査範囲に紙葉類8が存在しない場合に図11に示すフローチャートを実行する。
まず、光検出装置135は、照明部5により励起光を照射範囲に照射する(ステップS21)。この場合、照明部5から射出された励起光は、蛍光基準部材7のマスク板74の開口部76を通り、導光体72に入射する。導光体72に入射した励起光は、導光体72内を通り蛍光部材71に入射する。
【0115】
蛍光部材71上の蛍光体は、励起光により励起され、蛍光を発する。蛍光部材71から発せられた蛍光は、導光体72に入射し、導光体72内を通り、開口部77から射出される。開口部77から射出される蛍光は、受光部6のレンズに入射する。
【0116】
また、導光体72に入射した励起光は、フィルタ79を透過し、光センサ78に入射する。ここで、光検出装置135は、光センサ78により励起光を検出する(ステップS22)。即ち、光検出装置135は、光センサ78により励起光の検出値を取得する。
【0117】
光検出装置135の制御部3は、メモリ10に記憶されている第3の基準レベルと光センサ78により検出した検出値とを比較する(ステップS23)。メモリ10に記憶されている第3の基準レベルと光センサ78により検出した検出値とが異なる場合、制御部3は、照明部5の発光強度を調整し(ステップS24)、ステップS21に移行する。即ち、制御部3は、照明部5の発光強度が第3の基準レベルに相当するようになるまで、ステップS21乃至ステップS24の処理を繰り返し行う。
【0118】
また、メモリ10に記憶されている第3の基準レベルと光センサ78により検出した検出値とが同レベルである場合、光検出装置135は、受光部6により蛍光を検出する(ステップS25)。即ち、光検出装置135は、受光部6により蛍光の検出値を取得する。
【0119】
光検出装置135の制御部3は、メモリ10に記憶されている第1の基準レベルと受光部6により検出した検出値とを比較する(ステップS26)。メモリ10に記憶されている第1の基準レベルと受光部6により検出した検出値とが同じレベルである場合、制御部3は、処理を終了する。
【0120】
メモリ10に記憶されている第1の基準レベルと受光部6により検出した検出値とが異なる場合、制御部3は、受光部6の受光感度を調整し(ステップS27)、ステップS25に移行する。即ち、制御部3は、受光部6の受光感度が第1の基準レベルに相当するようになるまで、ステップS25乃至ステップS27の処理を繰り返し行う。
【0121】
これらの調整は、光検出装置135が搭載される紙葉類処理装置100が非稼動の時(紙葉類8が搬送されていない時)に行われても良いし、紙葉類処理装置100が可動している時(媒体が搬送されている時)の紙葉類8と紙葉類8との間に行われても良い。
【0122】
上記したように、本実施形態に係る光検出装置135は、照明部5と対向する位置に設けられる蛍光部材71と、導光体72と、照明部5の照射範囲内と受光部6の走査範囲内に開口部76、77を備えるマスク板と、光センサ78とを備える。
【0123】
この構成によると、光検出装置135は、照明部5の照明範囲及び受光部6の走査範囲に紙葉類8が存在しない場合に、光センサ78により検出する検出値に基づいて、照明部5の発光強度を調整する。さらに、光検出装置135は、受光部6により蛍光基準部材7から受光する基準光に基づいて、受光部6の受光感度を調整する。
【0124】
これにより、照明部5の発光強度と、受光部6の受光感度とをそれぞれ個別に調整することができる。この結果、より高い精度で検査を行うことができる光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0125】
(第3の実施形態)
図12は、第3の実施形態に係る光検出装置135の構成例について説明するための説明図である。なお、第1の実施形態と同じ構成には同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、図13は、図12に示す検出部2における光の経路について説明する為の説明図である。
【0126】
図12に示す光検出装置135の蛍光基準部材7は、基準光源80をさらに備える。また、メモリ10は、第4の基準レベルを予め記憶する。
【0127】
基準光源80は、蛍光部材71が励起光により励起されて発する蛍光と同じ波長帯域の光(基準光)を発する。基準光源80は、例えば、蛍光灯、冷陰極管、またはLED素子などを備える。基準光源80は、制御部3から電圧を受けることにより、光を照射することができる。即ち、基準光源80の発光のタイミングは、制御部3により制御される。
【0128】
図13に示すように、基準光源80から発せられた光は、導光体72に入射し、導光体72内を通り、開口部77から射出される。開口部77から射出される光は、受光部6のレンズに入射する。受光部6は、受光する光に応じて検出値を取得する。なお、基準光源80は、受光部6に基準光を入射させることができる位置であれば如何なる位置に設けられていても良い。
【0129】
制御部3は、受光部6の走査範囲に紙葉類8が存在しない場合に受光部6により検出する検出値と、メモリ10に記憶されている第4の基準レベルとの比較を行う。制御部3は、比較結果に応じて、受光部6の受光感度を調整する。
【0130】
即ち、制御部3は、受光部6により検出する検出値がメモリ10に記憶されている第4の基準レベルと同じレベル(または所定の値の範囲内)になるように、受光部6の受光感度を調整する。
【0131】
例えば、検出値が第4の基準レベルより低い場合、制御部3は、受光部6の受光感度を高める。また、検出値が第4の基準レベルより高い場合、制御部3は、受光部6の受光感度を低める。これにより、制御部3は、受光部6により検出する検出値をモニタしながら、受光部6の受光感度を調整することができる。制御部3は、受光部6の受光感度の調整が完了する場合、基準光源80をOFFする。
【0132】
さらに、制御部3は、照明部5により照射範囲に光を照射する。図13に示すように、照明部5から射出された励起光は、蛍光基準部材7のマスク板74の開口部76を通り、導光体72に入射する。導光体72に入射した励起光は、蛍光部材71に入射する。これにより、蛍光部材71は、蛍光を発する。
【0133】
蛍光部材71から発せられる蛍光は、導光体72を通り、開口部77から射出され、受光部6に入射する。受光部6は、受光した蛍光の強度に応じて検出値を取得する。
【0134】
さらに、制御部3は、照明部5の照射範囲及び受光部6の走査範囲に紙葉類8が存在しない場合に受光部6により検出する検出値と、メモリ10に記憶されている第1の基準レベルとの比較を行う。制御部3は、比較結果に応じて、照明部5の発光強度を調整する。
【0135】
即ち、制御部3は、受光部6により検出する検出値がメモリ10に記憶されている第1の基準レベルと同じレベル(または所定の値の範囲内)になるように、照明部5の発光強度を調整する。
【0136】
例えば、検出値が第1の基準レベルより低い場合、制御部3は、照明部5の発光強度を高める。また、検出値が第1の基準レベルより高い場合、制御部3は、照明部5の発光強度を低める。これにより、制御部3は、受光部6により検出する検出値をモニタしながら、照明部5の発光強度を調整することができる。
【0137】
また、制御部3は、調整した照明部5及び受光部6を用いて紙葉類8に対して蛍光検知を行う。即ち、制御部3は、受光部6の走査範囲に紙葉類8が存在する場合に受光部6により検出する検出値と、メモリ10に記憶されている第2の基準レベルとの比較を行う。判定部4は、比較結果に基づいて、紙葉類8上における残光発光の有無を判定する。
【0138】
即ち、受光部6により検出する検出値がメモリ10に記憶されている第2の基準レベルと同じレベル(または所定の値の範囲内)である場合、判定部4は、紙葉類8上に残光発光が存在すると判定する。即ち、判定部4は、この場合、紙葉類8上に蛍光印刷情報9が存在すると判定する。
【0139】
また、例えば、判定部4は、光部6により検出する検出値とメモリ10に記憶されている第2の基準レベルとが異なる場合、紙葉類8を偽券、損券、または排除券と判定する。
【0140】
図14は、光検出装置135の動作について説明する為のフローチャートである。なお、照明部5の照射範囲及び受光部6の走査範囲に紙葉類8が存在しないと仮定して説明をする。即ち、光検出装置135の制御部3は、照明部5の照射範囲及び受光部6の走査範囲に紙葉類8が存在しない場合に図14に示すフローチャートを実行する。
まず、光検出装置135は、基準光源80から光を射出する(ステップS31)。この場合、基準光源80から射出された光は、蛍光基準部材7の導光体72に入射する。導光体72に入射した光は、導光体72内を通り、開口部77から射出され、受光部6に入射する。光検出装置135は、受光部6により光を検出する(ステップS32)。即ち、光検出装置135は、受光部6により光の検出値を取得する。
【0141】
光検出装置135の制御部3は、メモリ10に記憶されている第4の基準レベルと受光部6により検出した検出値とを比較する(ステップS33)。メモリ10に記憶されている第4の基準レベルと光センサ78により検出した検出値とが異なる場合、制御部3は、受光部6の受講感度を調整し(ステップS34)、ステップS31に移行する。即ち、制御部3は、受光部6により検出する検出値が第4の基準レベルに相当するようになるまで、ステップS31乃至ステップS34の処理を繰り返し行う。
【0142】
また、メモリ10に記憶されている第4の基準レベルと受光部6により検出した検出値とが同レベルである場合、光検出装置135は、基準光源80をOFFし、照明部5により励起光を照射範囲に照射する(ステップS35)。の場合、照明部5から射出された励起光は、蛍光基準部材7のマスク板74の開口部76を通り、導光体72に入射する。導光体72に入射した励起光は、導光体72内を通り蛍光部材71に入射する。
【0143】
蛍光部材71上の蛍光体は、励起光により励起され、蛍光を発する。蛍光部材71から発せられた蛍光は、導光体72に入射し、導光体72内を通り、開口部77から射出される。開口部77から射出される蛍光は、受光部6のレンズに入射する。
【0144】
光検出装置135は、受光部6により蛍光を検出する(ステップS36)。即ち、光検出装置135は、受光部6により蛍光の検出値を取得する。
【0145】
光検出装置135の制御部3は、メモリ10に記憶されている第1の基準レベルと受光部6により検出した検出値とを比較する(ステップS37)。メモリ10に記憶されている第1の基準レベルと受光部6により検出した検出値とが同じレベルである場合、制御部3は、処理を終了する。
【0146】
メモリ10に記憶されている第1の基準レベルと受光部6により検出した検出値とが異なる場合、制御部3は、照明部5の発光強度を調整し(ステップS38)、ステップS35に移行する。即ち、制御部3は、照明部5の発光強度が第1の基準レベルに相当するようになるまで、ステップS35乃至ステップS38の処理を繰り返し行う。
【0147】
これらの調整は、光検出装置135が搭載される紙葉類処理装置100が非稼動の時(紙葉類8が搬送されていない時)に行われても良いし、紙葉類処理装置100が可動している時(媒体が搬送されている時)の紙葉類8と紙葉類8との間に行われても良い。
【0148】
上記したように、本実施形態に係る光検出装置135は、照明部5と対向する位置に設けられる蛍光部材71と、導光体72と、照明部5の照射範囲内と受光部6の走査範囲内に開口部76、77を備えるマスク板と、基準光源80とを備える。
【0149】
この構成によると、光検出装置135は、照明部5の照明範囲及び受光部6の走査範囲に紙葉類8が存在しない場合に、基準光源80により受光部6に対して光(基準光)を与える。光検出装置135は、基準光から検出する検出値に基づいて、受光部6の受光感度を調整する。さらに、光検出装置135は、受光部6により蛍光基準部材7の蛍光部材71から受光する蛍光に基づいて、照明部5の発光強度を調整する。
【0150】
これにより、照明部5の発光強度と、受光部6の受光感度とをそれぞれ個別に調整することができる。この結果、より高い精度で検査を行うことができる光検出装置、及び光検出装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0151】
なお、上述の各実施の形態で説明した機能は、ハードウエアを用いて構成するに留まらず、ソフトウエアを用いて各機能を記載したプログラムをコンピュータに読み込ませて実現することもできる。また、各機能は、適宜ソフトウエア、ハードウエアのいずれかを選択して構成するものであっても良い。
【0152】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0153】
2…検出部、3…制御部、4…判定部、5…照明部、6…受光部、7…蛍光基準部材、10…メモリ、71…蛍光部材、72…導光体、73…充填材、74…マスク板、75…ケース、76…開口部、77…開口部、78…光センサ、79…フィルタ、80…基準光源、100…紙葉類処理装置、112…投入部、113…取出部、114…吸着ローラ、115…搬送路、116…検査部、117…画像読取装置、118…画像読取装置、119…厚み検査部、132…集積結束部、133…裁断部、134…スタッカ、135…光検出装置、151…主制御部、151a…記憶部、152…搬送制御部、153…集積・結束制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
残光特性を持つ蛍光体が塗布される紙葉類から残光を検出する光検出装置であって、
搬送される前記紙葉類に対して励起光を照射する照明部と、
入射する光の光強度を検出する受光部と、
前記照明部と対向する位置に設けられ、励起光が入射する場合に蛍光を発する蛍光部材と、前記蛍光部材から発せられる蛍光が前記受光部に入射するように導光する導光体と、を備える蛍光基準部材と、
前記蛍光部材から発せられて前記導光体を通り前記受光部に入射する蛍光から前記受光部により検出する光強度に基づいて、前記照明部の発光強度及び前記受光部の受光感度のうちの少なくとも1つを調整する調整部と、
前記調整部により調整が行われた前記照明部及び前記受光部により、検知対象である前記紙葉類に対して、蛍光検知を行う検知部と、
を具備する光検出装置。
【請求項2】
前記蛍光基準部材は、前記照明部から照射される励起光の光強度を検出する光センサをさらに備え、
前記調整部は、前記光センサにより検出する光強度に基づいて前記照明部の発光強度を調整し、前記蛍光部材から発せられて前記導光体を通り前記受光部に入射する蛍光から前記受光部により検出する光強度に基づいて、前記受光部の受光感度を調整する、
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記光センサは、前記照明部から照射される励起光を感度帯域とするセンサを備える請求項2に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記蛍光基準部材は、少なくとも前記蛍光部材から発せられる蛍光と同じ波長の光を含む基準光を発し、前記導光体を介して前記受光部に基準光を与える基準光源をさらに備え、
前記調整部は、前記基準光源から発せられて前記受光部に入射する基準光から前記受光部により検出する光強度に基づいて前記受光部の受光感度を調整し、前記蛍光部材から発せられて前記導光体を通り前記受光部に入射する蛍光から前記受光部により検出する光強度に基づいて前記照明部の発光強度を調整する、
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記調整部は、予め設定される基準レベルを保持し、前記受光部により検出する光強度が前記基準レベルと等しくなるように、前記照明部の発光強度及び前記受光部の受光感度のうちの少なくとも1つを調整する、
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記調整部は、予め設定される基準レベルを保持し、前記受光部または前記光センサにより検出する光強度が前記基準レベルと等しくなるように、前記照明部の発光強度及び前記受光部の受光感度のうちの少なくとも1つを調整する、
請求項3に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記調整部は、前記照明部により励起光が照射される照射範囲及び受光部により光を検出する走査範囲に前記紙葉類が存在しない場合、前記照明部の発光強度及び前記受光部の受光感度のうちの少なくとも1つを調整する、
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項8】
残光特性を持つ蛍光体が塗布される紙葉類から残光を検出する光検出装置を備える紙葉類処理装置であって、
紙葉類を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される前記紙葉類に対して励起光を照射する照明部と、
入射する光の光強度を検出する受光部と、
前記照明部と対向する位置に設けられ、励起光が入射する場合に蛍光を発する蛍光部材と、前記蛍光部材から発せられる蛍光が前記受光部に入射するように導光する導光体と、を備える蛍光基準部材と、
前記蛍光部材から発せられて前記導光体を通り前記受光部に入射する蛍光から前記受光部により検出する光強度に基づいて、前記照明部の発光強度及び前記受光部の受光感度のうちの少なくとも1つを調整する調整部と、
前記調整部により調整が行われた前記照明部及び前記受光部により、検知対象である前記紙葉類に対して、蛍光検知を行う検知部と、
前記検知部による検知結果に基づいて、前記紙葉類を区分する区分処理部と、
を具備する紙葉類処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−93987(P2012−93987A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241196(P2010−241196)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】