説明

光構造化方法

【目的】 二層法で寸法通りの構造物転移をまた解像限度を越える構造物の製造を可能とし、その際高い透過性、サブミクロン範囲においてもなお高い解像力及び高感度がもたらされる構造物を製造する。
【構成】 サブミクロン範囲で構造物を製造するに当たり、基板上に、第1又は第2アミンと反応する官能基及びNブロックされたイミド基を有するポリマー成分と、露光時に酸を遊離する光開始剤と、適当な溶剤 とからなるフォトレジスト層を施し、フォトレジスト層を乾燥し、フォトレジスト層を画像に応じて露光し、露光したフォトレジスト層を熱処理し、こうして処理したフォトレジスト層を水性アルカリ又は有機現像剤で現像してフォトレジスト構造物とし、フォトレジスト構造物を、第1又は第2アミンを含む化学試薬で処理し、その際現像時に一定の暗損傷を20〜100nmの範囲で起こさせる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はサブミクロン範囲の構造物を製造する光構造化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】欧州特許出願公開第0388484号明細書からサブミクロン範囲の構造物を製造するために水性アルカリで現像可能の高解像性フォトレジストが公知である。このレジストは現像可能のベースポリマー及び光活性成分(並びに場合によっては他の一般的な添加物)からなるが、その際ベースポリマーは現像可能な、また従って溶解を助ける基として無水官能基を有している。DUV透過性でありまた一層法にも二層法にも適している無水物含有ベースポリマーは有利には10〜55モル%の無水マレイン酸を含み、アリルトリメチルシラン及びスチロール並びに場合によっては他のモノマー、例えばマレインイミドを共重合又は三重合することによって得られる。
【0003】光活性成分としてジアゾナフトキノン又はジアゾケトン誘導体を含むこの種のベースポリマーを有するフォトレジストはDUV露光、例えば波長248nmで露光する場合、寸法通りに露光するには約70〜80mJ/cm2 の線量を必要とする。この比較的高い線量は製造ライン・例えば高集積マイクロエレクトロニクスデバイス用の場合僅かな装填量では経費のかさむ露光装置(ステッパー)を長時間保持する必要があることから、すなわちこの製造に際して一般に<20mJ/cm2 の感度が必要であることから欠点である。更に、二層法において上記形式のシリコン含有レジストを使用する場合酸素プラズマ中での構造物転移後ボトムレジスト中には、トップレジスト中の構造物に比べて10%以上寸法を欠いたサブミクロン構造物が得られるという問題が生じる。これは製造上許容し得ないことである。
【0004】欧州特許出願公開第0395917号明細書からは、サブミクロン構造物のフォトリソグラフィー転移を二層法で行う光構造化法が公知である。この方法では無水物含有ベースポリマー又はレジストの長所を利用し、また同時に寸法通りの転移を可能とする。すなわち二層法でボトムレジストに正確なマスク寸法が再生される。これはトップレジスト中の無水物含有構造物を、酸素プラズマ中での構造物転移に際して生じる寸法損失に正確に一致する範囲で、化学的に拡大することによって得られる。しかしこの方法の場合にもトップレジストの構造化には比較的高い線量、すなわち約90mJ/cm2 (DUV領域で)を必要とする。
【0005】更に上記の光構造化法によって初めて、使用されるリソグラフィー法の物理的分解限度によって設定されるよりも小さい構造物寸法を製造する可能性が開かれた。すなわちフォトレジスト構造物中においてその溝幅は分解限度以下にまで縮小される。これは無水物含有レジスト構造物をほぼ数ナノメータから数ミクロメータまで化学的に拡大することによって達成され、これにより相応する溝の狭窄化がもたらされる。一層法でも二層法でも可能であるこの処理方法の場合、光活性成分としてジアゾケトン誘導体を有するレジストを使用するが、しかしこのレジストは感度に関して製造要件を満足するものではない。
【0006】欧州特許出願公開第0102450号明細書(又はこれに相当する米国特許第4491628号明細書)からポジ又はネガ作用のレジスト組成物が公知であり、この場合従来のレジストの不十分な感度に関する問題はいわゆる化学的強化の構想で対処している。更にこのレジスト組成物は、酸に不安定な基を含むポリマー及び露光時に酸を遊離する光開始剤を有している。この場合アルカリ可溶性基、例えばフェノール性OH基(ビニルフェノール−ポリマー中の)を有するベースポリマーを使用するが、これは酸分解可能の基、例えば第3ブチル基又は第3ブトキシカルボニル基によってブロックされている。従ってこのポリマーはまずアルカリ不溶性である。DUV光線、電子線又はX線で露光した際に強酸を生じる光開始剤(又は光酸)としてはいわゆるクリベロ(Crivello)塩、すなわちトリフェニルスルホニウム−ヘキサフルオロホスフェートのようなオニウム塩を使用する。
【0007】上記形式のレジスト組成物の高感度は、露光に続く熱処理(post exposure bake)で、露光時に光酸から製造された唯一のプロトンが、従って1個の光子によって、触媒的に多くの酸分解可能の基を分解すること、すなわち多数のアルカリ可溶性基を遊離するということによって説明することができる。これに対して光活性成分としてジアゾ化合物を含む従来のレジストは1光子当り最高で1個のアルカリ可溶性の酸基を製造し得るに過ぎない。上記レジスト組成物に関しては、UV照射の場合5〜55mJ/cm2 に達するか又は電子線照射では10μC/cm2 の感度が示される。更にこの組成物は高いコントラストを示す。しかしこれらの系の場合寸法通りの構造物転移が不可能なこと、幅の狭い溝、すなわち分解限度よりも小さい幅の溝を製造できないことまたDUV透過性又は基板エッチング処理に対する耐食性が極めて小さいことが欠点である。
【0008】欧州特許出願公開第0234327号明細書(又はこれに相当する米国特許第4837124号及び同第4912018号明細書)から、DUV及びエキシマレーザ−リソグラフィー用フォトレジスト組成物は公知であるが、この場合も同様に化学的補強の考えに基づき作業する。そのためにレジスト組成物は潜在光酸1〜50%及び膜形成可能のイミド基を含むポリマー50〜99%を、共に溶剤中に溶解して有している。この場合十分な数のイミド基は、このポリマーをアルカリ不溶性にするために酸不安定性基でブロックされている。この種の基はオキシカルボニル基、特に第3ブトキシカルボニル基である。酸不安定性基は光酸により、記載されたようにして分解され、それによりポリマーは、その際生じるイミド基によってアルカリ可溶性となる。このレジスト組成物の利点は改良された解像能であるが、しかしこれは欧州特許出願公開第0102450号明細書によるレジスト組成物と同じ欠点を有する。更に重合類似の反応による酸不安定性基の導入は制御不能でありまた再生不能に進行し、従って定量的に行われないという欠点を有する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、二層法で寸法通りの構造物転移をまた解像限度を越える構造物(溝又は孔)の製造を可能とし、その際高い透過性、サブミクロン範囲においてもなお高い解像力及び(DUV領域で<20mJ/cm2 の)高感度、すなわちUV光線並びに電子線及びX線に対しても高い感度がもたらされる、構造物の製法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】この課題は本発明によれば、a)基板上に、第1又は第2アミンと反応することのできる官能基及びNブロックされたイミド基を有するポリマー成分と、露光時に酸を遊離する光開始剤と、適当な溶剤とからなるフォトレジスト層を施し、b)フォトレジスト層を乾燥し、c)フォトレジスト層を画像に応じて露光し、d)露光したフォトレジスト層を熱処理し、e)こうして処理したフォトレジスト層を水性アルカリ又は有機現像剤で現像してフォトレジスト構造物とし、f)レジスト線を拡大しかつ耐食性を得るためにフォトレジスト構造物を、第1又は第2アミンを含む化学試薬で処理し、現像時に一定の暗損傷を20〜100nmの範囲で起こさせることによって解決される。
【0011】本発明方法の場合、2つの異なる種類の官能基を有するポリマー成分を含むフォトレジストを使用することが重要である。これらの2種の基は第1及び第2アミンと反応する基とNブロックされたイミド基である。後者は、水素原子が酸分解可能の保護基によって代えられている(酸イミドの)NH基である。これらの両官能基は異なるポリマー中に存在していてもよいが、同一ポリマー中に存在することが有利である。
【0012】更に本発明に基づく方法の場合、現像時に一定の暗損傷が生じることは重要である。この暗損傷は20〜100nmの範囲内であり、有利には暗損傷は約50nmである。
【0013】暗損傷を起こさせるには以下の3つの方法を使うことができるが、それらは個々にも又は一緒にも使用可能である。
−フォトレジストの乾燥時の温度/時間−組合わせ(工程b)
−フォトレジストの熱処理時の温度/時間−組合わせ(工程d)
−現像の温度及び期間並びに現像剤の種類及び場合によっては濃度(工程e)
【0014】初めの2つの方法では、例えばホットプレート上でレジストを加熱する際の温度/時間−組合わせを、湿式現像に際して所望の暗損傷が起こるように選択する。この2つの場合、すなわちレジストの乾燥(prebake)及び熱処理(post exposure bake)に際して、加熱を有利には60〜160℃の温度範囲内で、有利には10〜150秒の時間内で行う。その際保護基が熱分解する。湿式現像は一般に5℃から50℃の温度で15〜300秒間行う。その際水性アルカリ現像剤、例えばテトラメチル水酸化アンモニウムを含む現像剤の濃度は0.05〜1モルである。
【0015】本発明に基づく方法は、前記のように一層法で行うことができる。この場合露光波長に対して透過性である使用フォトレジストは必ずしも基板エッチング処理に対して耐性である必要はない。しかしこの方法は二層レジスト法によって行うことも有利である。そのためには基板上にまず基板エッチング処理に対して耐性のレジストからなる層を施す。従ってこのレジスト、いわゆるボトムレジストは芳香族構造物を有し、これには一般にノボラックを使用する。引続きボトムレジストを加熱する。その際ノボラックの交叉結合が生じ、これによりレジストはトップレジスト溶剤に対して不溶性となる。
【0016】次いで本発明方法に相応してボトムレジスト上に、トップレジストとしてフォトレジストを施す。このレジストは酸素プラズマ中での乾式現像に対して必ずしも耐食性である必要はない。トップレジストを、記載したようにして乾燥し、露光し、熱処理し、湿式現像し、化学的に後処理する。次いで化学的後処理後のフォトレジスト構造物を更に異方性の酸素含有プラズマ中でエッチングし、これによりボトムレジスト中への構造物転移が生じる。
【0017】本発明方法の場合、画像に応じた露光(工程c)に際して、露光範囲内で光開始剤から酸が形成される。更に露光後の熱処理(post exposurebake)によって保護基は酸の触媒作用で分解する。その際まずアルカリ不溶性のポリマーがアルカリ可溶性となる。すなわちレジストは露光範囲内で現像可能となる。アルカリ現像に続く化学的後処理によって(トップ)レジスト線を拡大する。すなわち(トップ)レジストの溝又は孔は狭窄化される。一層法では同時に、芳香化合物含有試薬の使用によって基板のエッチング処理に対する耐食性が形成され、また二層法では、珪素含有試薬の使用によって酸素プラズマ中での乾式現像に対する耐食性がもたらされる。
【0018】第1及び第2アミンと反応し得るポリマー成分の官能基は有利には無水カルボン酸基である。その他に特にエポキシ基及びエステル基も考慮される。この無水物基を含む有利なものは、場合によっては置換されていてもよい無水マレイン酸であり、この形式の他の化合物は例えば無水イタコン酸(イタコン酸=メチレン琥珀酸)である。これらのポリマーは環状の無水物官能基(その際これらは主鎖又は側鎖中に配置されていてもよい)並びに非環状のすなわち線状の無水物官能基を有していてもよい。一連の相応するモノマー、例えば無水アクリル酸又はメタクリル酸及び無水ビニルフタル酸は欧州特許出願公開第0388484号明細書から公知である。
【0019】ポリマー成分のイミド基は有利には第3ブトキシカルボニル基、すなわち−CO−O−C(CH3 3 (Boc基)及び/又は第3ブチル基でブロックされている。一種の保護基として作用するこれらの基は酸不安定性であり、従ってこれらは酸によって分解される。このイミド基を含むものは、有利には場合によっては置換されていてもよいマレインイミドである。もう1つの他の可能なイミド基はポリマー中に例えばグルタルイミド単位の形で存在することができる。Bocブロックされたマレインイミドの製法はドイツ連邦共和国特許出願公開第4040999号明細書(N−第3ブトキシカルボニル−マレインイミド)の対象である。
【0020】ポリマー成分を製造するため、N−第3ブトキシカルボニル−又はN−第3ブチル−マレインイミドと重合させるコモノマーとしては欧州特許出願公開第0388484号明細書から公知であるような化合物を使用することができる。その際重合は有利にはラジカル法で開始される。ポリマーは近及び深UV領域でも高い透過性において優れており、従って高コントラストDUVフォトレジストの使用に、例えば波長248nmのKrFエキシマレーザ露光装置での露光に極めて適している。
【0021】本発明方法では有利には例えばN−第3ブトキシカルボニル−又はN−第3ブチル−マレインイミド/無水マレイン酸コポリマーを使用することができる。しかし有利にはN−第3ブトキシカルボニル−又はN−第3ブチル−マレインイミド、無水マレイン酸及びスチロール及び/又はアリルトリメチルシランからなるコポリマーを使用することもできる。本発明方法で使用できるN−第3ブチル−マレインイミドを含むポリマーはドイツ連邦共和国特許出願公開第4040996号明細書(マレインイミド−ポリマー)の対象である。この場合これらのポリマーはビポリマーとして並びにターポリマーとして構成されていてもよい。
【0022】光酸として表されている光開始剤としては本発明方法の場合それ自体は公知の化合物を使用することができる(これに関しては例えば欧州特許出願公開第0102450号及び同第0234327号明細書参照)。光開始剤の選択に関して重要なことは、露光時に酸を遊離するという必要な特性のみである。この場合露光をUV光線又は電子線又はX線で行うが、その際有利には強酸が形成される。次いで、すなわち露光に続く熱処理時にこの酸はブロックされたイミド基から第3ブトキシカルボニル基又は第3ブチル基を脱離させる。この酸で触媒された脱ブロック化により当初疎水性でアルカリ不溶性のポリマーは親水性でアルカリ可溶性になる。
【0023】本発明方法の場合光開始剤は有利にはオニウム塩である。クリベロ塩とも称されるこの種の化合物は例えばジフェニルヨードニウム−及びトリフェニルスルホニウム−トリフレート(トリフレートはトリフルオルメタンスルホニル基を表す)である。他の使用可能の光開始剤は例えばトリアジン誘導体である。この光開始剤は一般に、無水のフォトレジスト、すなわち溶剤を含まないレジスト組成物に対して1〜20重量%の濃度で使用される。
【0024】溶剤としてはそれ自体公知のレジスト溶剤を使用する。溶剤の選択に当たって重要なことは、ポリマー成分並びに光開始剤をも溶解する必要のあることが要求されることだけである。更に公知の被覆法で、欠陥のないレジスト層を基板上に、例えばシリコンウェハ上に又はボトムレジストで被覆されたウェハ上に形成させなければならない。溶剤としてはシクロヘキサノン又はメトキシプロピルアセテートが有利であるが、その他に例えばジエチレングリコールジメチルエーテルも使用することができる。
【0025】本発明方法で使用されるフォトレジストは1〜5mJ/cm2の感度を有する。上記成分の他にこれらのフォトレジストは他の添加物を含んでいてもよい。そのような添加物としては例えば増感剤があるが、これによりレジストは近UV領域での露光に対して例えば365nmで感光可能にされる。この場合適当な増感剤は特にペリレンである。
【0026】本発明方法によりポジ及びネガの構造物を製造することができるが、これは湿式現像に際して、露光された範囲、すなわち画像に応じて露光されたフォトレジスト層の親水性でアルカリ可溶性の範囲を溶出する現像剤を使用するか又は未露光の範囲、すなわち疎水性でアルカリ不溶性の範囲を溶出する現像剤を使用するかによる。これは第1の場合は水性アルカリ現像剤であり、第2の場合は有機溶剤、すなわち特にアニソール、トルオール及びキシロールのような比較的高沸点の有機溶剤の形の液状有機媒体である。更に本発明方法は一層レジスト法(湿式現像)でもまた二層レジスト法(湿式及び乾式現像)でも使用することができる。
【0027】一層法では有利には、第3ブトキシカルボニル基又は第3ブチル基及び無水カルボン酸基の他に付加的に更に芳香族基を有するポリマーを使用する。この種のポリマーは簡単な方法で、例えば無水マレイン酸及びN−第3ブトキシカルボニル又はN−第3ブチル−マレインイミドをスチロールのような芳香族モノマーとまた場合によっては1個又は数個の他のモノマー、例えばアリルトリメチルシランとラジカル重合させることによって得ることができる。しかしまた例えば欧州特許出願公開第0388484号明細書から公知であるような他の芳香族モノマーも使用することができる。この場合各モノマーの混合比によって、ポリマー中における第3ブトキシカルボニル−又は第3ブチル−マレインイミドのモル量並びにまた他のモノマーのモル量も容易にかつ再生可能に制御することができる。一層法では第3ブトキシカルボニル−又は第3ブチル−マレインイミド10〜55モル%、無水マレイン酸10〜55モル%及びスチロール10〜55モル%からなるターポリマーを使用するのが有利である。その際個々の成分の量は合計して100%になる量である。
【0028】二層法では有利には、第3ブトキシカルボニル基又は第3ブチル基及び無水カルボン酸基の他に付加的に更に珪素含有基を有するポリマーを使用する。この種のポリマーは簡単な方法で、例えば無水マレイン酸及びN−第3ブトキシカルボニル又はN−第3ブチル−マレインイミドをアリルトリメチルシランのような珪素含有モノマーとまた場合によっては1個又は数個の他のモノマー、例えばスチロールとラジカル重合させることによって得ることができる。しかしまた例えば欧州特許出願公開第0388484号明細書から公知であるような他の珪素含有モノマーも使用することができる。この場合各モノマーの混合比によって、ポリマー中における第3ブトキシカルボニル−又は第3ブチル−マレインイミドのモル量並びにまた他のモノマーのモル量も容易にかつ再生可能に制御することができる。二層法では第3ブトキシカルボニル−又は第3ブチル−マレインイミド10〜55モル%、無水マレイン酸10〜55モル%及びアリルトリメチルシラン10〜55モル%からなるターポリマーを使用するのが有利である。その際個々の成分の量は合計して100%になる量である。
【0029】本発明方法は特に、欧州特許出願公開第0395917号明細書から公知であるような方法に有利に使用することができる。すなわちフォトレジスト構造物の幅を変えるのに使用することができる。これは二層法での寸法通りの構造物転移の際にまた溶解限度を越える構造物の製造時に行う。両方法の場合レジストポリマーを選択するに当たって重要なことは、ポリマーが無水物含有基又は第1又は第2アミンと自発的に反応する他の基(特にアミノシロキサンの形の)を有していることである。
【0030】
【実施例】本発明を以下に実施例に基づき更に詳述する。
【0031】例 1ターポリマー(N−第3ブトキシカルボニル−マレインイミド/無水マレイン酸/スチロール)の製造ジエチルケトン50ml中に溶かしたN−第3ブトキシカルボニル−マレインイミド5.42g(27.5mモル)、無水マレイン酸2.7g(27.5mモル)、スチロール5.2g(50mモル)及びアゾイソ酪酸ニトリル0.17g(1.04mモル)の溶液を、保護ガス雰囲気下に1時間加熱沸騰させた。室温に冷却した後、反応混合物を石油ベンジン350mlに滴下することにより、その際生じたターポリマーを沈澱させた。濾過し、真空中で乾燥した後、無色の芳香族ポリマー11.8gが得られた。 1H−NMR分光分析によりターポリマー中のモノマー比は約1:1:2であることが確認された。
【0032】例 2ターポリマー(N−第3ブチル−マレインイミド/無水マレイン酸/スチロール)の製造ジエチルケトン50ml中のN−第3ブチル−マレインイミド4.21g(27.5mモル)、無水マレイン酸2.7g(27.5mモル)、スチロール5.2g(50mモル)及びアゾイソ酪酸ニトリル0.17g(1.04mモル)の溶液を、保護ガス雰囲気下に1時間加熱沸騰させた。室温に冷却した後、反応混合物を石油ベンジン350mlに滴下することにより、その際生じたターポリマーを沈澱させた。濾過し、真空中で乾燥した後、無色の芳香族ポリマー11.5gが得られた。 1H−NMR分光分析によりターポリマー中のモノマー比は約1:1:2であることが確認された。
【0033】例 3ターポリマー(N−第3ブトキシカルボニル−マレインイミド/無水マレイン酸/アリルトリメチルシラン)の製造ジエチルケトン50ml中のN−第3ブトキシカルボニル−マレインイミド4.34g(22mモル)、無水マレイン酸3.24g(33mモル)、アリルトリメチルシラン5.71g(50mモル)及びアゾイソ酪酸ニトリル0.17g(1.04mモル)の溶液を保護ガス雰囲気下に1時間加熱沸騰させた。室温に冷却した後、反応混合物を石油ベンジン350mlに滴下することにより、その際生じたターポリマーを沈澱させた。濾過し、真空中で乾燥した後無色の珪素含有ポリマー10.2gが得られる。 1H−NMR分光分析によりターポリマー中のモノマー比は約2:3:4.5であることが確認された。
【0034】例 4ターポリマー(N−第3ブチル−マレインイミド/無水マレイン酸/アリルトリメチルシラン)の製造ジエチルケトン50ml中のN−第3ブチル−マレインイミド3.37g(22mモル)、無水マレイン酸3.24g(33mモル)、アリルトリメチルシラン5.71g(50mモル)及びアゾイソ酪酸ニトリル0.17g(1.04mモル)の溶液を、保護ガス雰囲気下に1時間加熱沸騰させた。室温に冷却した後、反応混合物を石油ベンジン350mlに滴下することにより、その際生じたターポリマーを沈澱させた。濾過し、真空中で乾燥した後、無色の珪素含有ポリマー11.7gが得られた。1H−NMR分光分析によりターポリマー中のモノマー比は約2:3:4.5であることが確認された。
【0035】例 5クオーターポリマー(N−第3ブトキシカルボニル−マレインイミド/無水マレイン酸/アリルトリメチルシラン/スチロール)の製造ジエチルケトン50ml中のN−第3ブトキシカルボニル−マレインイミド4.34g(22mモル)、無水マレイン酸3.24g(33mモル)、アリルトリメチルシラン2.86g(25mモル)、スチロール2.61g(25mモル)及びアゾイソ酪酸ニトリル0.17g(1.04mモル)の溶液を、保護ガス雰囲気下に1時間加熱沸騰させた。室温に冷却した後、反応混合物を石油ベンジン350mlに滴下することにより、その際生じたクオーターポリマーを沈澱させた。濾過し、真空中で乾燥した後、無色の芳香族珪素含有ポリマー10.8gが得られた。 1H−NMR分光分析によりクオーターポリマー中のモノマー比は約2:3:2:2であることが確認された。
【0036】例 6ターポリマー(N−第3ブトキシカルボニル−マレインイミド/無水マレイン酸/スチロール)及びジフェニルヨードニウム−トリフレートを有するフォトレジスト例1により製造したターポリマー4.5gを室温でジフェニルヨードニウム−トリフレート0.5gと一緒にシクロヘキサノン40mlに溶かした。次いで溶液を1800rpmで4″−シリコンウェハ上に遠心塗布し、80℃で1分間ホットプレート上で乾燥した。その際厚さ1μmのレジスト層が得られた。
【0037】例 7ターポリマー(N−第3ブチル−マレインイミド/無水マレイン酸/スチロール)及びジフェニルヨードニウム−トリフレートを有するフォトレジスト例2により製造したターポリマー4.5gを室温でジフェニルヨードニウム−トリフレート0.5gと一緒にシクロヘキサノン40mlに溶かした。次いで溶液を2000rpmで4″−シリコンウェハ上に遠心塗布し、80℃で1分間ホットプレート上で乾燥した。その際厚さ1μmのレジスト層が得られた。
【0038】例 8ターポリマー(N−第3ブチル−マレインイミド/無水マレイン酸/アリルトリメチルシラン)及びジフェニルヨードニウム−トリフレートを有するフォトレジスト例4により製造したターポリマー4.5gを室温でジフェニルヨードニウム−トリフレート0.5gと一緒にシクロヘキサノン40mlに溶かした。次いで溶液を3500rpmで、予め厚さ1.3μmのボトムレジスト層(230℃で加熱したノボラックレジスト)を施された4″−シリコンウェハ上に遠心塗布し、80℃で1分間ホットプレート上で乾燥した。その際厚さ0.32μmのレジスト層が得られた。
【0039】140℃で1分間乾燥することにより、厚さ0.3μmのレジスト層が得られた。
【0040】例 9クオーターポリマー(N−第3ブトキシカルボニル−マレインイミド/無水マレイン酸/アリルトリメチルシラン/スチロール)及びジフェニルヨードニウム−トリフレートを有するフォトレジスト例5により製造したクオーターポリマー4.5gを室温でジフェニルヨードニウム−トリフレート0.5gと一緒にシクロヘキサノン40mlに溶かした。次いで溶液を4000rpmで、予め厚さ1.3μmのボトムレジスト層(230℃で加熱したノボラックレジスト)を施された4″−シリコンウェハ上に遠心塗布し、80℃で1分間ホットプレート上で乾燥した。その際厚さ0.32μmのレジスト層が得られた。
【0041】140℃で1分間乾燥することにより、厚さ0.3μmのレジスト層が得られた。
【0042】例 10DUV光感度及びコントラストの測定例6により製造した一層レジスト層を、248nmでグレーウエッジマスク(Ditric Optics−Wilm.Div.社製)により接触露光した。露光後ウェハを110℃に加熱したホットプレート上に1分間載せ、引続き市販の現像剤NMD−W2.38%(Tokyo Ohka社製)中で120秒間現像した。次いで現像したウェハを流水下に洗浄し、100℃で1分間ホットプレート上で乾燥した。接触露光したウェハは1.9mJ/cm2 の感度及び−γ>6の極めて高いコントラストを示した。マスク上の微細構造物、1μm脚部及び溝が精密に解像された。露光されなかった箇所の層損傷は認められなかった。
【0043】例7により製造した一層レジスト層を有する、接触露光しまた120℃で熱処理したウェハは1.3mJ/cm2の感度及び−γ>5の極めて高いコントラストを示した。マスク上の微細構造物はこの場合にも精密に解像され、露光されなかった箇所に層損傷は生じなかった。
【0044】例 11DUV光構造化例6により製造した一層レジスト層をKrFエキシマレーザ投影露光装置(露光波長248nm、開口数0.37、解像力0.35μm)で18mJ/cm2 の線量で画像に応じて露光した。露光後ウェハを110℃に加熱したホットプレート上に1分間載せ、引続き市販の現像剤NMD−W2.38%( TokyoOhka社製)中で120秒間現像した。次いで現像したウェハを流水下に洗浄し、100℃で1分間ホットプレート上で乾燥した。急勾配の側面を有する構造物を0.35μmまで良好に解像することができた。
【0045】例7により製造した一層レジスト層を有する、10mJ/cm2で画像に応じて露光しまた120℃で熱処理したウェハの場合、同様に急勾配の側面を有する構造物を0.35μmまで良好に解像することができた。
【0046】例 12DUV光感度及びコントラストの測定例9により製造した二層レジスト層を、248nmでグレーウエッジマスク(Ditric Optics−Wilm.Div.社製)により接触露光した。露光後ウェハを110℃に加熱したホットプレート上に1分間載せ、引続き市販の現像剤NMD−W2.38%(Tokyo Ohka社製)中で90秒間現像した。次いで現像したウェハを流水下に洗浄し、100℃で1分間ホットプレート上で乾燥した。接触露光したウェハは1.7mJ/cm2の感度及び−γ>7の極めて高いコントラストを示した。マスク上の微細構造物、1μm脚部及び溝が精密に解像された。レジスト層(例9参照)を80℃で前記のように乾燥した場合、露光されなかった箇所の層損傷は認められなかった。140℃で乾燥した場合露光されなかった箇所の層損傷は40nmであった。
【0047】例8により製造した二層レジスト層を有する、接触露光しまた120℃で熱処理したウェハは1.1mJ/cm2の感度及び−γ>6の極めて高いコントラストを示した。マスク上の微細構造物はこの場合にも精密に解像された。レジスト層(例8参照)を80℃で前記のように乾燥した場合、露光されなかった箇所に層損傷は認められなかった。140℃で乾燥した場合露光されなかった箇所の層損傷は35nmであった。
【0048】例 13DUV光構造化例9により製造した二層レジスト層(80℃で乾燥)をKrFエキシマレーザ投影露光装置(露光波長248nm、開口数0.73、解像力0.35μm)で12mJ/cm2 の線量で画像に応じて露光した。露光後ウェハを110℃に加熱したホットプレート上に1分間載せ、引続き市販の現像剤NMR−W2.38%(Tokyo Ohka社製)中で90秒間現像した。次いで現像したウェハを流水下に洗浄し、100℃で1分間ホットプレート上で乾燥した。急勾配の側面を有する構造物を0.25μmまで良好に解像することができた。
【0049】例8により製造した二層レジスト層(80℃で乾燥)を有する、8mJ/cm2 で画像に応じて露光しまた120℃で熱処理したウェハの場合、同様に急勾配の側面を有する構造物を0.25μmまで良好に解像することができた。
【0050】例 14ボトムレジスト中のマスク構造物の寸法通りの結像例9により製造した二層レジスト層を例13に相応して18mJ/cm2の線量で画像に応じて露光し、熱処理し(110℃)、現像し、乾燥した。その際相応するマスク寸法よりも0.1μm狭いレジスト構造物(脚部)が得られた。この構造物を、最良には末端位にアミノプロピル基を有するオリゴマー線状ジメチルシロキサン8重量部、1−メトキシ−2−プロパノール86重量部及び水6重量部からなる珪素含有試薬で60秒間処理し、次いでイソプロパノールで洗浄し、乾燥した。その際相応するマスク寸法よりも0.03μm幅広のレジスト構造物が得られた。引続きウェハをプラズマ反応器内で酸素プラズマを用いてエッチング(ガス圧6mトル、バイアス電圧410V)すると、精密なマスク寸法及び直角側面を有するボトムレジスト構造物が得られた。レジスト層(例9参照)を80℃で乾燥した場合、構造物は0.45μmまで、また140℃で乾燥した場合、構造物は0.25μmまで寸法通り解像することができた。
【0051】例8により製造した二層レジスト層を有する、11mJ/cm2で画像に応じて露光しまた120℃で熱処理したウェハの場合、珪素含有試薬で40秒間処理した後同様に構造物を0.45μm又は0.25μmまで寸法通りに解像することができた。
【0052】例 15狭いレジスト溝の製造例9により製造した二層レジスト層(140℃で乾燥)を例13に相応して画像に応じて露光(線量12mJ/cm2 )し、熱処理(110℃)し、現像し、乾燥した。その際得られたレジスト構造物は精密な相応するマスク寸法を示した。この構造物を例14に相応する珪素含有試薬で120秒間処理し、次いでイソプロパノールで洗浄し、乾燥した。その際相応するマスク寸法よりも0.28μm狭いレジスト溝が得られた。引続きウェハをプラズマ反応器内で酸素プラズマを用いてエッチング(ガス圧6mトル、バイアス電圧410V)すると、相応するマスク寸法よりも0.25μm狭い直角側面を有するボトムレジスト溝が得られた。こうして例えば0.35μmのマスク寸法を有する溝から、0.1μmの幅を有するボトムレジスト溝が得られた。すなわち使用した露光技術の解像限度をはるかに下回る構造物が得られた。
【0053】例8により製造した二層レジスト層(140℃で乾燥)を有する、8mJ/cm2 で画像に応じて露光しまた120℃で熱処理したウェハの場合、珪素含有試薬で100秒間処理した後相応する構造物が得られた。
【0054】例 16二層レジスト層に関する例14及び15に記載したと類似する方法で、芳香化合物含有試薬、すなわち珪素不含の試薬を使用して、一層レジスト層で処理することができた。このため例11に相応して実施した。珪素含有試薬と同様アミノ基を有する適当な芳香化合物含有試薬は例えば1,3−ジアミノメチルベンゾール10重量部、1−メトキシ−2−プロパノール86重量部及び水6重量部からなる。一層レジスト層の製造は例えば例8に相応して、すなわちターポリマー(N−第3ブチル−マレインイミド/無水マレイン酸/アリルトリメチルシラン)を使用して行った。しかし相応する方法でターポリマー(N−第3ブトキシカルボニルーマレインイミド/無水マレイン酸/アリルトリメチルシラン)を使用することもできる(例3参照)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 サブミクロン範囲の構造物を製造するに当たり、a)基板上に、第1又は第2アミンと反応することのできる官能基及びNブロックされたイミド基を有するポリマー成分と、露光時に酸を遊離する光開始剤と、適当な溶剤とからなるフォトレジスト層を施し、b)フォトレジスト層を乾燥し、c)フォトレジスト層を画像に応じて露光し、d)露光したフォトレジスト層を熱処理し、e)こうして処理したフォトレジスト層を水性アルカリ又は有機現像剤で現像してフォトレジスト構造物とし、f)レジスト線を拡大しかつ耐食性を得るためにフォトレジスト構造物を、第1又は第2アミンを含む化学試薬で処理し、現像時に一定の暗損傷を20〜100nmの範囲で起こさせることを特徴とするサブミクロン範囲の構造物の光構造化方法。
【請求項2】 基板上にまず基板エッチング処理に対して耐性のレジスト層を施しかつ加熱し、フォトレジスト構造物を化学試薬で処理した後(工程f)、異方性の酸素含有プラズマ中でエッチングすることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】 一定の暗損傷を、乾燥時(工程b)及び熱処理時(工程d)の温度/時間−組合わせによって及び/又は現像の温度及び期間並びに現像剤の種類及び場合によっては濃度(工程e)によって起こさせることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】 官能性基として無水カルボン酸基を有するポリマー成分を使用することを特徴とする請求項1ないし3の1つに記載の方法。
【請求項5】 無水カルボン酸基を含むものが無水マレイン酸であることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】 第3ブトキシカルボニル基によってブロックされたイミド基を有するポリマー成分を使用することを特徴とする請求項1ないし5の1つに記載の方法。
【請求項7】 第3ブチル基によってブロックされたイミド基を有するポリマー成分を使用することを特徴とする請求項1ないし5の1つに記載の方法。
【請求項8】 イミド基を有するものがマレインイミドであることを特徴とする請求項6又は7記載の方法。
【請求項9】 N−第3ブトキシカルボニル−又はN−第3ブチル−マレインイミド/無水マレイン酸−コポリマーを使用することを特徴とする請求項4ないし8の1つに記載の方法。
【請求項10】 N−第3ブトキシカルボニル−又はN−第3ブチル−マレインイミド、無水マレイン酸及びスチロール及び/又はアリルトリメチルシランを含むコポリマーを使用することを特徴とする請求項4ないし8の1つに記載の方法。