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光沢ニッケルめっき材、光沢ニッケルめっき材を用いた電子部品、及び、光沢ニッケルめっき材の製造方法
説明

光沢ニッケルめっき材、光沢ニッケルめっき材を用いた電子部品、及び、光沢ニッケルめっき材の製造方法

【課題】良好な外観を有する光沢ニッケルめっき材、光沢ニッケルめっき材を用いた電子部品、及び、光沢ニッケルめっき材の製造方法を提供する。
【解決手段】光沢ニッケルめっき材は、圧延、スキンパス圧延、バフ研磨、ブラシ研磨によって表面に厚さが0.2μm以上で、結晶粒径が0.01〜0.3μmである加工変質層を形成した、ステンレス鋼、銅または銅合金等の金属基材と、該金属表面に形成したニッケルめっき層とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光沢ニッケルめっき材、光沢ニッケルめっき材を用いた電子部品、及び、光沢ニッケルめっき材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
端子、コネクタ等の電子部品、或いは、金属装飾品等には、金属基材に光沢ニッケルめっきを施した材料が用いられている。光沢ニッケルめっきを製造する際の問題としては、めっき外観がめっき素材の表面特性に影響される点が挙げられる。例えば、黄銅(Cu−30%Zn)条に光沢ニッケルめっきを施す場合、黄銅素材が焼き鈍し材であると、めっき後の外観に良好な光沢が見られず、曇った外観、或いは、光沢と曇りとが混在するような外観になることがある。また、りん青銅(Cu−8%Sn−P)条に光沢ニッケルめっきを施す場合にも同様の問題点が確認されている。
【0003】
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1には、めっき性に優れた銅合金の製造方法が開示されている。そして、これによれば、銅合金表面の加工変質層を薄くすることにより、特に銀めっき又は銅めっきを良好に形成できると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−39804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の銅合金は、銀めっき又は銅めっきへは良好に適用できるが、光沢ニッケルめっきにおいて、良好な光沢を得ることは非常に難しく、未だ改善の余地がある。そこで、本発明は、良好な外観を有する光沢ニッケルめっき材、光沢ニッケルめっき材を用いた電子部品、及び、光沢ニッケルめっき材の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、めっき処理を行う金属基材の表面に加工変質層を形成することで、外観良好な光沢ニッケルめっきが得られるという、特許文献1とは相反する事実を見出した。
【0007】
以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、表面の加工変質層の厚さが0.2μm以上である金属基材と、該金属基材の該表面に形成したニッケルめっき層とを備えた光沢ニッケルめっき材である。
【0008】
本発明に係る光沢ニッケルめっき材の更に別の一実施形態においては、加工変質層の厚さが0.25〜3.0μmである。
【0009】
本発明に係る光沢ニッケルめっき材の更に別の一実施形態においては、加工変質層の厚さが0.3〜2.0μmである。
【0010】
本発明に係る光沢ニッケルめっき材の更に別の一実施形態においては、ニッケルめっき層を構成するニッケルの結晶粒径が0.3μm以下である。
【0011】
本発明に係る光沢ニッケルめっき材の更に別の一実施形態においては、ニッケルめっき層を構成するニッケルの結晶粒径が0.01〜0.3μmである。
【0012】
本発明に係る光沢ニッケルめっき材の更に別の一実施形態においては、金属基材が、ステンレス、銅、又は、銅合金で形成されている。
【0013】
本発明は別の一側面において、本発明に係る光沢ニッケルめっき材を用いた電子部品である。
【0014】
本発明は更に別の一側面において、表面の加工変質層の厚さが0.2μm以上である金属基材を準備し、該表面にニッケルめっき層を形成する光沢ニッケルめっき材の製造方法である。
【0015】
本発明に係る光沢ニッケルめっき材の製造方法の一実施形態においては、ニッケルめっき層を構成するニッケルの結晶粒径が0.01〜0.3μm以下である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、良好な外観を有する光沢ニッケルめっき材、光沢ニッケルめっき材を用いた電子部品、及び、光沢ニッケルめっき材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例3に係る黄銅基材、加工変質層及びニッケルめっき層の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(金属基材)
本発明に用いることのできる金属基材の形態に特に制限はないが、例えば、ステンレス鋼、銅、又は、銅合金が挙げられる。このうち、ステンレス鋼としては、マルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系等を用いることができる。また、銅又は銅合金は、コネクタや端子等の電子部品に使われる母材として公知である任意の銅又は銅合金としてよいが、電気・電子機器の接続端子等に用いられることを考慮すれば、電気伝導率の高いもの(例えば、IACS(International Anneild Copper Standerd:国際標準軟銅の導電率を100とした時の値)が15〜80%程度)を用いるのが好ましく、例えばCu−Sn−P系(例えばりん青銅)、Cu−Zn系(例えば黄銅、丹銅)、Cu−Ni−Zn系(例えば洋白)、Cu−Ni−Si系(コルソン合金)、Cu−Fe−P系合金などが挙げられる。また、金属基材の形状には特に制限はなく、板、条及びプレス品等の形態であってもよい。
【0019】
ニッケルめっきを施す金属基材の表面には、加工変質層が0.2μm以上の厚さで存在する。加工変質層の厚さが0.2μm未満であると、当該表面に形成するニッケルめっき組織が全て、或いは部分的に粗大なものとなり、良好な外観のめっきが得られない。加工変質層とは、圧延加工やバフ研磨等によって金属表面に生じる結晶流の微細な層である。加工変質層の厚さは、好ましくは0.25〜3.0μmであり、より好ましくは0.3〜2.0μmである。
一方、光沢ニッケルめっき材を製造する場合には、光沢剤を含有するめっきを用いて金属基材にめっき被膜を形成するが、上述のように金属基材表面の状態により、ニッケルめっきが光沢外観にならない場合がある。ニッケルめっきは下地の金属結晶の影響を受けやすいという特性を有するためである。例えば、金属基材の結晶粒が粗大であれば、めっきの結晶粒も大きくなり、結果としてめっき表面の凹凸が大きくなる。このため、曇った外観となる。一方、金属基材の結晶粒が微細であれば、めっき組織も微細となり、めっき表面は平滑になる。このため、めっきは光沢外観となる。
【0020】
(光沢ニッケルめっき材)
本発明に係る光沢ニッケルめっき材は、上述の金属基材の加工された表面に、ニッケルめっき層が形成されている。ニッケルめっき層は、金属基材の表面の金属の結晶粒径に対応する大きさの結晶粒径(0.3μm以下)を有するニッケルで構成されている。ニッケルめっき層は、このように結晶粒径が微細であるため、良好な光沢を有している。また、ニッケルめっき層を構成するニッケルの結晶粒径は、好ましくは0.01〜0.3μmである。
【0021】
ニッケルめっき層はニッケルで構成されるが、この中にはごく微量な有機光沢剤成分も含まれる。これは光沢剤成分がめっき工程で被膜に微量取り込まれるためである。
また、本発明に係る端子、コネクタ等の電子部品は、上述の光沢ニッケルめっき材を材料として構成されている。
【0022】
(光沢ニッケルめっき材の製造方法)
まず、ステンレス鋼、銅、又は、銅合金等で形成された金属基材を準備する。次に、例えば、圧延、スキンパス圧延、バフ研磨、ブラシ研磨によって金属基材の表面に加工変質層を形成する。加工変質層の厚さが0.2μm以上になるように加工の条件、例えば圧延加工度、バフ研磨時の圧力や時間を調整する。加工変質層の観察は、FIB(Focused Ion Beam)による断面観察で行い、加工の成否を確認する。
【0023】
次に、光沢めっき浴を準備する。光沢めっき浴に用いる光沢めっき液は、水溶性ニッケル塩、pH緩衝剤、光沢剤を含有する。
ここで、水溶性ニッケル塩としては、例えば硫酸ニッケル、塩化ニッケル等が挙げられ、これらは合計250〜350g/L添加される。
pH緩衝剤としては、例えば、ホウ酸、クエン酸等が挙げられ、これらは35〜45g/L添加される。
光沢剤としては、例えば、サッカリン、1−4ブチンジオールが挙げられ、これらは0.1〜2g/L添加される。
【0024】
光沢めっき液は水溶液であり、pH3〜5に調整することが好ましく、pH3.8〜4.2に調整することがより好ましい。
また、光沢めっき液は、浴温40〜60℃で使用するのが好ましく、45〜50℃で使用するのがより好ましい。
光沢めっき液のpH及び浴温が上記範囲外の場合、めっき速度が遅かったり、外観不良を起し易い等の問題がある。
【0025】
続いて、上述の表面が加工された金属基材を光沢めっき浴内に所定時間浸漬し、所望の光沢を有する光沢ニッケルめっき基材を得る。この時、金属基材表面には結晶粒径が1μm以下、好ましくは0.01〜0.2μm程度の加工変質層が形成されているため、該表面に形成されるめっき層の金属の結晶粒径もそれに対応して微細となる。このため、形成しためっき層の表面は平滑となり、良好な光沢を得ることができる。
【実施例】
【0026】
以下、本発明の実施例を示すが、これらは本発明をより良く理解するために提供するものであり、本発明が限定されることを意図するものではない。
【0027】
(例1:実施例1〜10)
表1に示す厚さ0.65mmの金属基材を準備した。金属基材の表面には、バフ研磨により表1に示す厚さの加工変質層を形成した。この変質層の厚さは、FIBを用いて観察したものである。
また、金属基材の加工変質層を構成する金属の結晶粒径をFIBにより観察した。
続いて、以下の組成の光沢めっき液を含有する光沢めっき浴を準備した。
・NiSO4・6H2O 250g/l
・NiCl2・6H2O 50g/l
・ホウ酸 40サッカリン 2g/l
・1,4−ブチンジオール 0.2g/l
次に、表面を加工した金属基材を脱脂、酸洗した後、めっき浴に浸漬させ電流密度5A/dm2でめっき層を形成した。光沢めっき浴は、pH4.0で45℃とした。
図1に、実施例3に係る黄銅基材、加工変質層及びニッケルめっき層の拡大断面図を示す。
【0028】
(例2:比較例1〜5)
比較例1〜5として、まず、実施例と同様の金属基材を準備した。次に、実施例と同様のめっき浴を準備して、これに該金属基材表面を加工しないで、あるいは軽くブラシ研磨する等の軽微な加工を行ってめっきした。めっき電流、及び浴温も実施例と同様に設定した。
【0029】
(評価)
ニッケルめっき層を構成するニッケルの結晶粒径をFIBでの断面像により観察した。
ニッケルめっき層の光沢について外観観察を行った。外観評価は、光沢度計(日本電色工業製反射濃度計ND−1)を用いて行い、測定値が1.8超であるときを○とし、1.6〜1.8であるときを△とし、1.6未満であるときを×と評価した。
例1及び2の結果を表1に示す。
【0030】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面の加工変質層の厚さが0.2μm以上である金属基材と、該金属基材の該表面に形成したニッケルめっき層とを備えた光沢ニッケルめっき材。
【請求項2】
前記加工変質層の厚さが0.25〜3.0μmである請求項1に記載の光沢ニッケルめっき材。
【請求項3】
前記加工変質層の厚さが0.3〜2.0μmである請求項2に記載の光沢ニッケルめっき材。
【請求項4】
前記ニッケルめっき層を構成するニッケルの結晶粒径が0.3μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の光沢ニッケルめっき材。
【請求項5】
前記ニッケルめっき層を構成するニッケルの結晶粒径が0.01〜0.3μmである請求項4に記載の光沢ニッケルめっき材。
【請求項6】
金属基材が、ステンレス、銅、又は、銅合金で形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の光沢ニッケルめっき材。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の光沢ニッケルめっき材を用いた電子部品。
【請求項8】
表面の加工変質層の厚さが0.2μm以上である金属基材を準備し、該表面にニッケルめっき層を形成する光沢ニッケルめっき材の製造方法。
【請求項9】
前記ニッケルめっき層を構成するニッケルの結晶粒径が0.01〜0.3μmである請求項8に記載の光沢ニッケルめっき材の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−214066(P2011−214066A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83223(P2010−83223)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(502362758)JX日鉱日石金属株式会社 (482)
【Fターム(参考)】