説明

光測定装置

【課題】テラヘルツ光などの光が被測定物を透過したものの測定結果に生ずるジッタを抑制する。
【解決手段】被検出光パルスが、被検出光パルス出力部24から出力されてからトリガ信号出力器23に与えられるまでの時間をT1とし、プローブ光パルスが、プローブ光源11から出力されてから測定用信号出力器22に与えられるまでの時間をT2とし、被検出光パルスが被検出光パルス出力部24から出力されてから、被測定物2を透過して、測定用光パルスとして測定用信号出力器22に与えられるまでの時間をT3とし、プローブ光パルスが、プローブ光源11から出力されてからトリガ信号出力器23に与えられるまでの時間をT4としたときに、光測定装置1が、時間T1と時間T4との差と、時間T3と時間T2との差とが等しくなるように、時間T2を調整する光遅延部15を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の測定に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、テラヘルツエミッターから被測定物に与えられたテラヘルツ光A(パルスである)が被測定物を透過したものと、テラヘルツ光Aのパルス周期とわずかに異なるパルス周期の光Bとをテラヘルツディテクターで受けて、被測定物を測定する方法が知られている(例えば、特許文献1の要約を参照)。
【0003】
上記のような従来技術においては、テラヘルツディテクターの検出結果と、時間の原点を示すトリガ信号とをデジタルオシロスコープに与えて、被測定物を測定する。ただし、トリガ信号は、第一のフェムト秒レーザーから出力される光パルス(テラヘルツディテクターに与えられるプローブ光)の一部と、第二のフェムト秒レーザーから出力される光パルス(テラヘルツエミッターに与えられるポンプ光)の一部とのSFG(Sum Frequency Generation)相互相関をとることにより得られる(例えば、特許文献1の図20を参照)。
【0004】
なお、トリガ信号については、非特許文献1〜6にも記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2006/092874号パンフレット
【非特許文献1】Bartels et al, “Ultrafast time-domain spectroscopy based on high-speedasynchronous optical sampling”, Rev. Sci. Instrum., vol.78, pp.035107 (2007)
【非特許文献2】T. Yasui et al, “Asynchronous optical sampling terahertz time-domainspectroscopy for ultrahigh spectral resolution and rapid data acquisition”,Appl. Phys. Lett., vol.87, pp.061101 (2005)
【非特許文献3】A. Bartels et al, “High-resolution THz spectrometer with kHzscan rates”, Optics express, vol.14, pp.430 (2006)
【非特許文献4】A. Bartels et al, “Femtosecond time-resolved optical pump-probespectroscopy at kilohertz-scan-rates iver nanosecond-time-delays withoutmechanical delay line”, Appl. Phys. Lett., vol.88, pp.041117 (2006)
【非特許文献5】C. Janke et al, “Asynchronous optical sampling for high-speedcharacterization of integrated resonant terahertz sensors”, Optics Letters,vol.30, pp.1405 (2005)
【非特許文献6】Y. Takagi et al, “Subpicosecond optical sampling spectrometer usingasynchronous tunable mode-locked lasers”, Rev. Sci. Instrum., vol.70, pp.2218(1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、プローブ光の一部と、ポンプ光の一部とのSFG相互相関をとる場合、テラヘルツディテクターに与えられるプローブ光のパワーが小さくなってしまう。テラヘルツエミッターに与えられるポンプ光のパワーもまた小さくなってしまう。
【0007】
ただし、相互相関をとる対象のプローブ光の一部とポンプ光の一部とのパワーを小さくすれば、テラヘルツディテクターに与えられるプローブ光およびテラヘルツエミッターに与えられるポンプ光のパワーを大きくできる。しかし、この場合は、相互相関光の検出が困難になる。
【0008】
ここで、プローブ光の一部とポンプ光の一部とを光電変換し、所望のパワーになるまで増幅してから、ミキサにより混合してトリガ信号を得ることも考えられる。
【0009】
しかし、ミキサによる混合を利用してトリガ信号を得た場合、テラヘルツ光が被測定物を透過したものにおいて生ずるジッタと、トリガ信号において生ずるジッタとは異なる。よって、テラヘルツ光が被測定物を透過したものの測定結果にジッタが生じてしまう。
【0010】
そこで、本発明は、テラヘルツ光などの光が被測定物を透過したものの測定結果に生ずるジッタを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかる光測定装置は、ポンプ光源からポンプ光パルスを受け、前記ポンプ光パルスの繰り返し周波数と同じ繰り返し周波数を有する被検出光パルスを出力する被検出光パルス出力部と、前記被検出光パルスを被測定物に照射して得られた測定用光パルスを受け、プローブ光源からプローブ光パルスを受け、前記プローブ光パルスを受けた時点で、前記測定用光パルスのパワーに応じた信号を出力する測定用信号出力器と、前記被検出光パルスを受け、前記プローブ光源からプローブ光パルスを受け、前記プローブ光パルスを受けた時点で、前記被検出光パルスのパワーに応じたトリガ信号を出力するトリガ信号出力器と、前記測定用信号出力器の出力を、前記トリガ信号を受けてから次の前記トリガ信号を受けるまでの間に検出することにより、前記測定用信号出力器の出力の波形を測定する波形測定部と、時間T1と時間T4との差と、時間T3と時間T2との差とが等しくなるように、時間T1、T2、T3およびT4のいずれか一つ以上を調整する時間調整部とを備え、前記被検出光パルスの繰り返し周波数と前記プローブ光パルスの繰り返し周波数とが異なり、前記被検出光パルスが、前記被検出光パルス出力部から出力されてから前記トリガ信号出力器に与えられるまでの時間をT1とし、前記プローブ光パルスが、前記プローブ光源から出力されてから前記測定用信号出力器に与えられるまでの時間をT2とし、前記被検出光パルスが前記被検出光パルス出力部から出力されてから、前記測定用光パルスとして前記測定用信号出力器に与えられるまでの時間をT3とし、前記プローブ光パルスが、前記プローブ光源から出力されてから前記トリガ信号出力器に与えられるまでの時間をT4とするように構成される。
【0012】
上記のように構成された光測定装置によれば、被検出光パルス出力部が、ポンプ光源からポンプ光パルスを受け、前記ポンプ光パルスの繰り返し周波数と同じ繰り返し周波数を有する被検出光パルスを出力する。測定用信号出力器が、前記被検出光パルスを被測定物に照射して得られた測定用光パルスを受け、プローブ光源からプローブ光パルスを受け、前記プローブ光パルスを受けた時点で、前記測定用光パルスのパワーに応じた信号を出力する。トリガ信号出力器が、前記被検出光パルスを受け、前記プローブ光源からプローブ光パルスを受け、前記プローブ光パルスを受けた時点で、前記被検出光パルスのパワーに応じたトリガ信号を出力する。波形測定部が、前記測定用信号出力器の出力を、前記トリガ信号を受けてから次の前記トリガ信号を受けるまでの間に検出することにより、前記測定用信号出力器の出力の波形を測定する。時間調整部が、時間T1と時間T4との差と、時間T3と時間T2との差とが等しくなるように、時間T1、T2、T3およびT4のいずれか一つ以上を調整する。しかも、前記被検出光パルスの繰り返し周波数と前記プローブ光パルスの繰り返し周波数とが異なる。なお、前記被検出光パルスが、前記被検出光パルス出力部から出力されてから前記トリガ信号出力器に与えられるまでの時間をT1とする。前記プローブ光パルスが、前記プローブ光源から出力されてから前記測定用信号出力器に与えられるまでの時間をT2とする。前記被検出光パルスが前記被検出光パルス出力部から出力されてから、前記測定用光パルスとして前記測定用信号出力器に与えられるまでの時間をT3とする。前記プローブ光パルスが、前記プローブ光源から出力されてから前記トリガ信号出力器に与えられるまでの時間をT4とする。
【0013】
なお、本発明にかかる光測定装置は、前記測定用光パルスが、前記被検出光パルスが前記被測定物を透過したものであるようにしてもよい。
【0014】
なお、本発明にかかる光測定装置は、前記時間調整部が、時間T4が時間T2に等しくなり、時間T3が時間T1に等しくなるようにするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかる光測定装置1の構成を示す図である。
【図2】被検出光パルス(図2(a))、プローブ光パルス(図2(b))、トリガ信号(図2(c))、測定用光パルス(図2(d))のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0017】
第一の実施形態
図1は、本発明の第一の実施形態にかかる光測定装置1の構成を示す図である。第一の実施形態にかかる光測定装置1は、プローブ光源11、ポンプ光源12、光分波器13、光遅延部(時間調整部)15、ビームスプリッタ17、測定用信号出力器22、トリガ信号出力器23、被検出光パルス出力部24、第一電流電圧変換アンプ52、第二電流電圧変換アンプ53、波形測定器54、ミラーM1、M2、M3、M4、M5を備える。なお、光測定装置1は被測定物2を透過したテラヘルツ波を測定するものである。
【0018】
プローブ光源11は、数十フェムト秒のパルス幅を有する近赤外領域波長のレーザーパルス光(プローブ光パルス)を出力する。なお、プローブ光パルスの繰り返し周波数はfrep−Δfである(ただし、Δf>0)。Δfは、例えば、5Hz程度である。
【0019】
ポンプ光源12は、数十フェムト秒のパルス幅を有する近赤外領域波長のレーザーパルス光(ポンプ光パルス)を出力する。なお、ポンプ光パルスの繰り返し周波数はfrepである。
【0020】
光分波器13は、プローブ光パルスをプローブ光源11から受け、光遅延部15およびトリガ信号出力器23に与える。光分波器13は、例えば、ワイヤグリッドポラライザ、ペリクルビームスプリッタ、Siウエハなどである。
【0021】
なお、光分波器13から出力されるプローブ光パルスのうちの一方は、ミラーM4、M5により反射されて、トリガ信号出力器23に入射する。
【0022】
光遅延部(時間調整部)15は、プローブ光パルスを受け、遅延させてから、測定用信号出力器22に与える。
【0023】
被検出光パルス出力部24は、ポンプ光源12からポンプ光パルスを受け、ポンプ光パルスの繰り返し周波数と同じ繰り返し周波数を有する被検出光パルス(繰り返し周波数frep)を出力する。被検出光パルス出力部24は、例えば光伝導スイッチである。光伝導スイッチにポンプ光パルスを与えると、光伝導スイッチからテラヘルツ光(被検出光パルス)が出力される。なお、光伝導スイッチの構成は周知であり、説明を省略する。また、被検出光パルス出力部24は非線形光学結晶であってもよい。
【0024】
なお、被検出光パルスの繰り返し周波数frepと、プローブ光パルスの繰り返し周波数frep−Δfとは異なる。
【0025】
被検出光パルスは、ミラーM1により反射されてから、ビームスプリッタ17に向かう。
【0026】
ビームスプリッタ17は、被検出光パルスを受け、被測定物2およびトリガ信号出力器23に与える。ビームスプリッタ17は、例えば、ワイヤグリッドポラライザ、ペリクルビームスプリッタ、Siウエハなどである。
【0027】
なお、ビームスプリッタ17から出力される被検出光パルスのうちの一方は、被測定物2を透過した後に、ミラーM2により反射されて、測定用信号出力器22に入射する。ここで、被検出光パルスを被測定物2に照射して得られた光パルスを測定用光パルス(例えば、被検出光パルスが被測定物2を透過したもの)という。
【0028】
また、ビームスプリッタ17から出力される被検出光パルスのうちの他方は、ミラーM3により反射されて、トリガ信号出力器23に入射する。
【0029】
測定用信号出力器22は、測定用光パルス(例えば、テラヘルツ光)を受け、プローブ光源11から、光分波器13および光遅延部15を介して、プローブ光パルスを受ける。しかも、測定用信号出力器22は、プローブ光パルスを受けた時点で、測定用光パルスのパワーに応じた信号を出力する。測定用信号出力器22は、例えば光伝導スイッチである。光伝導スイッチが出力する信号は、電流である。なお、光伝導スイッチの構成は周知であり、説明を省略する。また、測定用信号出力器22は非線形光学結晶であってもよい。
【0030】
トリガ信号出力器23は、被検出光パルス(例えば、テラヘルツ光)を受け、プローブ光源11からプローブ光パルスを受ける。しかも、トリガ信号出力器23は、プローブ光パルスを受けた時点で、被検出光パルスのパワーに応じたトリガ信号を出力する。トリガ信号出力器23は、例えば光伝導スイッチである。光伝導スイッチが出力する信号は、電流である。なお、光伝導スイッチの構成は周知であり、説明を省略する。また、トリガ信号出力器23は非線形光学結晶であってもよい。
【0031】
図2は、被検出光パルス(図2(a))、プローブ光パルス(図2(b))、トリガ信号(図2(c))、測定用光パルス(図2(d))のタイムチャートである。
【0032】
図2(a)〜(c)を参照して、トリガ信号出力器23は、プローブ光パルスの光パワーが最大になった時点における被検出光パルスのパワーに応じた電流を出力する。例えば、時間t = 0, 1/f1, 2/f1, …における被検出光パルスのパワーに応じた電流を出力する(ただし、f1 = frep−Δf)。すなわち、トリガ信号出力器23は、被検出光パルスのパワーが最大になった時点からΔt1( = 1/f1−1/frep)づつずれた時点(0, Δt1, 2Δt1,…)の被検出光パルスのパワーに応じた電流を出力することになる。ここで、被検出光パルスの幅が狭いため、被検出光パルスのパワーが最大になった時点からΔt1, 2Δt1,…ずつずれた時点においては、トリガ信号出力器23の出力が0になる。トリガ信号出力器23は、やがて、被検出光パルスのパワーが最大になった時点からのずれが1/frepになった時(t = Δt = 1/Δf)の被検出光パルスのパワーに応じた電流を出力する(図2(a)の右端のパルスを参照)。この時点(t = Δt)のトリガ信号出力器23の出力は、t = 0の時点のトリガ信号出力器23の出力と同じである。よって、トリガ信号出力器23は、周波数Δfのトリガ信号を出力することになる。
【0033】
図2(b)〜(d)を参照して、測定用信号出力器22は、プローブ光パルスの光パワーが最大になった時点における測定用光パルスのパワーに応じた電流を出力する。例えば、時間t = 0, 1/f1, 2/f1, …における測定用光パルスのパワーに応じた電流を出力する。すなわち、測定用信号出力器22は、測定用光パルスのパワーが最大になった時点からΔt1( = 1/f1−1/f2)づつずれた時点(0, Δt1, 2Δt1,…)の測定用光パルスのパワーに応じた電流を出力することになる。測定用信号出力器22は、やがて、測定用光パルスのパワーが最大になった時点からのずれが1/frepになったときの測定用光パルスのパワーに応じた電流を出力する(図2(d)の右端のパルスを参照)。この時点で、測定用光パルスの一周期分の測定が完了する。測定用光パルスの一周期分の測定が完了するのにかかる時間はΔtとなる。
【0034】
よって、測定用信号出力器22の出力を、トリガ信号を受けて(t=0)から次のトリガ信号を受ける(t=Δt)までの間に検出することにより、測定用信号出力器22の出力の一周期分の波形が測定できる。この測定は、波形測定器54により行われる。
【0035】
第一電流電圧変換アンプ52は、測定用信号出力器22の出力した電流を電圧に変換し、その電圧を増幅して、波形測定器54に出力する。
【0036】
第二電流電圧変換アンプ53は、トリガ信号出力器23の出力した電流を電圧に変換し、その電圧を増幅して、波形測定器54に出力する。
【0037】
波形測定器54は、測定用信号出力器22の出力を、トリガ信号を受けてから次のトリガ信号を受けるまでの間に検出することにより、測定用信号出力器22の出力の波形を測定する。波形測定器54は、例えば、デジタルオシロスコープである。
【0038】
ここで、時間T1、時間T2、時間T3および時間T4を以下のように定義する。
【0039】
時間T1を、被検出光パルスが、被検出光パルス出力部24から出力されてから、ビームスプリッタ17を通過し、ミラーM3に反射されて、トリガ信号出力器23に与えられるまでの時間とする。
【0040】
時間T2を、プローブ光パルスが、プローブ光源11から出力されてから、光分波器13を通過し、測定用信号出力器22に与えられるまでの時間とする。
【0041】
時間T3を、被検出光パルスが被検出光パルス出力部24から出力されてから、ビームスプリッタ17を通過し、被測定物2を透過し、測定用光パルスとして測定用信号出力器22に与えられるまでの時間とする。
【0042】
時間T4を、プローブ光パルスが、プローブ光源11から出力されてから、光分波器13を通過し、ミラーM4、M5に反射されて、トリガ信号出力器23に与えられるまでの時間とする。
【0043】
ここで、光遅延部(時間調整部)15は、時間T1と時間T4との差と、時間T3と時間T2との差とが等しくなるように(例えば、T1−T4=T3−T2)、時間T2を調整する。なお、光遅延部15による光の遅延時間は可変であってもよい。
【0044】
なお、本発明の実施形態においては、光遅延部15が、プローブ光源11と測定用信号出力器22との間に配置されているので、時間T2を調整することになる。
【0045】
しかし、光遅延部(時間調整部)15は、時間T1、T2、T3およびT4のいずれか一つ以上を調整するようにすればよい。
【0046】
例えば、ミラーM3とトリガ信号出力器23との間に光遅延部15を配置して、時間T1を調整するようにしてもよい。ミラーM2と測定用信号出力器22との間に光遅延部15を配置して、時間T3を調整するようにしてもよい。ミラーM4とミラーM5との間に光遅延部15を配置して、時間T4を調整するようにしてもよい。
【0047】
また、光遅延部(時間調整部)15は、時間T4が時間T2に等しくなり、時間T3が時間T1に等しくなるようにしてもよい。例えば、光遅延部15をプローブ光源11と測定用信号出力器22との間に配置して、時間T2を時間T4と等しくなるように調整し、しかも、他の光遅延部15をミラーM3とトリガ信号出力器23との間に配置して、時間T1を時間T3と等しくなるように調整するようにしてもよい。
【0048】
次に、第一の実施形態の動作を説明する。
【0049】
ポンプ光源12からポンプ光パルス(繰り返し周波数frep)が出力され、被検出光パルス出力部24に与えられる。被検出光パルス出力部24からは被検出光パルス(繰り返し周波数frep)(例えば、テラヘルツ光)が出力される。
【0050】
被検出光パルスは、ミラーM1により反射されてから、ビームスプリッタ17に向かう。ビームスプリッタ17は、被検出光パルスを分けて、被測定物2およびトリガ信号出力器23に与える。
【0051】
被測定物2に与えられた被検出光パルスは、被測定物2を透過し、測定用光パルスとなる。測定用光パルスは、ミラーM2により反射されて、測定用信号出力器22に入射する。
【0052】
プローブ光源11からは、プローブ光パルス(繰り返し周波数frep−Δf)が出力される。光分波器13は、プローブ光パルスを分けて、光遅延部15およびトリガ信号出力器23に与える。
【0053】
プローブ光パルスは、光遅延部15により遅延されて、測定用信号出力器22に入射する。
【0054】
測定用信号出力器22は、プローブ光パルスを受けた時点で、測定用光パルスのパワーに応じた信号(例えば、電流)を出力する(図2(b)、(d)参照)。この電流は、第一電流電圧変換アンプ52により電圧に変換されてから増幅されて、波形測定器54に出力される。
【0055】
被検出光パルスであって、ビームスプリッタ17からミラーM3に向かうものは、ミラーM3により反射されて、トリガ信号出力器23に入射する。
【0056】
プローブ光パルスであって、光分波器13から出力されミラーM4に向かうものは、ミラーM4、M5により反射されて、トリガ信号出力器23に入射する。
【0057】
トリガ信号出力器23は、プローブ光パルスを受けた時点で、被検出光パルスのパワーに応じたトリガ信号(例えば、電流)を出力する(図2(a)〜(c)参照)。この電流は、第二電流電圧変換アンプ53により電圧に変換されてから増幅されて、波形測定器54に出力される。
【0058】
波形測定器54は、測定用信号出力器22の出力を、トリガ信号を受けてから次のトリガ信号を受けるまでの間に検出することにより、測定用信号出力器22の出力の波形を測定する。
【0059】
ここで、光遅延部15は、時間T1と時間T4との差と、時間T3と時間T2との差とが等しくなるように(例えば、T1−T4=T3−T2)、時間T2を調整する。なお、T1=T3であれば、時間T2が時間T4と等しくなるようにする。
【0060】
第一の実施形態によれば、T1=T3であれば、光遅延部15は、時間T2が時間T4と等しくなるようにする。すると、T1=T3なので、ジッタは時間の関数であることから、トリガ信号出力器23に入射する被検出光パルスの(タイミング)ジッタと、測定用信号出力器22に入射するに測定用光パルスの(タイミング)ジッタとは同じものとなる。また、T2=T4なので、測定用信号出力器22に入射するプローブ光パルスの(タイミング)ジッタと、トリガ信号出力器23に入射するプローブ光パルスの(タイミング)ジッタとは同じものとなる。
【0061】
よって、トリガ信号出力器23の出力に含まれるジッタと、測定用信号出力器22の出力に含まれるジッタとの差が小さくなり、テラヘルツ光などの光が被測定物2を透過したもの(測定用光パルス)の測定結果に生ずるジッタを抑制することができる。
【0062】
なお、光遅延部15が、時間T1と時間T4との差と、時間T3と時間T2との差とが等しくなるようにしても、同様な効果が得られる。
【0063】
また、トリガ信号を、トリガ信号出力器23(例えば、光伝導スイッチ)から得るので、被検出光パルスとプローブ光パルスとの相関をとってから光電変換を行ってトリガ信号を得る場合に比べて、部品の個数を少なくすることができる。
【符号の説明】
【0064】
1 光測定装置
2 被測定物
11 プローブ光源
12 ポンプ光源
13 光分波器
15 光遅延部(時間調整部)
17 ビームスプリッタ
22 測定用信号出力器
23 トリガ信号出力器
24 被検出光パルス出力部
52 第一電流電圧変換アンプ
53 第二電流電圧変換アンプ
54 波形測定器
M1、M2、M3、M4、M5 ミラー
T1、T2、T3、T4 時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ光源からポンプ光パルスを受け、前記ポンプ光パルスの繰り返し周波数と同じ繰り返し周波数を有する被検出光パルスを出力する被検出光パルス出力部と、
前記被検出光パルスを被測定物に照射して得られた測定用光パルスを受け、プローブ光源からプローブ光パルスを受け、前記プローブ光パルスを受けた時点で、前記測定用光パルスのパワーに応じた信号を出力する測定用信号出力器と、
前記被検出光パルスを受け、前記プローブ光源からプローブ光パルスを受け、前記プローブ光パルスを受けた時点で、前記被検出光パルスのパワーに応じたトリガ信号を出力するトリガ信号出力器と、
前記測定用信号出力器の出力を、前記トリガ信号を受けてから次の前記トリガ信号を受けるまでの間に検出することにより、前記測定用信号出力器の出力の波形を測定する波形測定部と、
時間T1と時間T4との差と、時間T3と時間T2との差とが等しくなるように、時間T1、T2、T3およびT4のいずれか一つ以上を調整する時間調整部と、
を備え、
前記被検出光パルスの繰り返し周波数と前記プローブ光パルスの繰り返し周波数とが異なり、
前記被検出光パルスが、前記被検出光パルス出力部から出力されてから前記トリガ信号出力器に与えられるまでの時間をT1とし、
前記プローブ光パルスが、前記プローブ光源から出力されてから前記測定用信号出力器に与えられるまでの時間をT2とし、
前記被検出光パルスが前記被検出光パルス出力部から出力されてから、前記測定用光パルスとして前記測定用信号出力器に与えられるまでの時間をT3とし、
前記プローブ光パルスが、前記プローブ光源から出力されてから前記トリガ信号出力器に与えられるまでの時間をT4とする、
光測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光測定装置であって、
前記測定用光パルスは、前記被検出光パルスが前記被測定物を透過したものである、
光測定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光測定装置であって、
前記時間調整部は、時間T4が時間T2に等しくなり、時間T3が時間T1に等しくなるようにする、
光測定装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−7590(P2011−7590A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150541(P2009−150541)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】