説明

光源システム

【課題】2組以上の光源装置を有する光源システムにおいて、大型化せず、かつ2組以上の光源装置の各々について異常の有無を検知できるようにする。
【解決手段】光源システムの異常の有無を特定する検出期間において、各光源装置の点灯のタイミングを異ならせる。例えば、第1の光源装置が点灯しているとき、第2の光源装置が消灯し、逆に第2の光源装置が点灯しているとき、第1の光源装置が消灯する。光源装置の光量を検知する光量検出器は、各光源装置の出力を、時分割で取得することができる。したがって、故障検出部は、この光量検出器の出力に基づいて、各光源装置の異常の有無を特定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光源システムにおいて、システムの異常を検知する様々な機構が知られている。例えば特許文献1には、以下のような技術が開示されている。この光源システムは、パッケージの内部に半導体発光素子を備える光源と、光源から射出された光を集光させるレンズと、集光された光を導光部材に導入するためのコネクタと、コネクタに接続された導光部材と、導光部材の他端に配置され、導かれた光を射出する光部品と、を備えている。さらに、光源からの光を集光させるレンズとコネクタとの間には、光分岐部材が配置されている。さらに、光部品で反射した戻り光であって、光分岐部材によって分岐された光を検出する検知部材としての受光素子が配置されている。この光源システムは、受光素子が検知する光の強度に基づいて、導光部材の断線を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−026698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば上記のような光源システムにおいて、射出光量を多くしたい場合や、射出(照射)範囲を広くした場合には、例えば光源から射出口までを含む光源装置の構成を2組以上同時に使用することが考えられる。このような2組以上の光源装置を有する光源システムにおいて、各光源装置の異常を検知するための機構をそれぞれ設けると、システム全体の構成が大型化する。
【0005】
そこで本発明では、2組以上の光源装置を有する光源システムであって、大型化せず、かつ2組以上の光源装置の各々について異常の有無を特定できる光源システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を果たすため、本発明の光源システムの一態様は、互いに異なる識別因子を有する出力光を各々射出する複数の光源装置と、前記出力光を受光し、該出力光に応じた受光信号を出力する光検出器と、前記受光信号を取得し、該受光信号に含まれる前記識別因子に由来する成分と該受光信号とに基づいて、複数の前記光源装置の各々の故障の有無を特定する故障検出部と、を具備することを特徴する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、識別因子に基づいて複数の光源装置の各々について異常の有無を特定できるので、2組以上の光源装置を有する光源システムであって、大型化せず、かつ2組以上の光源装置の各々について異常の有無を特定できる光源システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光源システムの構成例を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態に係る光源システムの各部の配置例を示す図。
【図3】第1の実施形態に係る光源システムの各部の別の配置例を示す図。
【図4】第1の実施形態に係る光源システムの各部の別の配置例を示す図。
【図5】第1の実施形態に係る光源システムの各部の別の配置例を示す図。
【図6】第1の実施形態に係る光源システムの動作の一例を示すタイミングチャート。
【図7】第1の実施形態の第1の変形例に係る光源システムの動作の一例を示すタイミングチャート。
【図8】第1の実施形態の第2の変形例に係る光源システムの動作の一例を示すタイミングチャート。
【図9】第1の実施形態の第3の変形例に係る光源システムの動作の一例を示すタイミングチャート。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る光源システムの構成例を示すブロック図。
【図11】第2の実施形態に係る光源システムの動作の一例を示すタイミングチャート。
【図12】第2の実施形態の第1の変形例に係る光源システムの構成例を示すブロック図。
【図13】第2の実施形態の第2の変形例に係る光源システムの構成例を示すブロック図。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る光源システムの構成例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態に係る光源システムの構成の概略を図1に示す。光源システムは、光源制御部11と、故障検出部12と、第1の光源装置13と、第2の光源装置14と、光量検出器15と、警告器16とを有する。
【0010】
光源制御部11は、本光源システム全体を制御する。例えば光源制御部11は、後に詳述する第1の光源装置13及び第2の光源装置14の動作を制御し、第1の光源装置13及び第2の光源装置14の光の射出のタイミングや射出する光の強度等を調整する。また、光源制御部11は、故障検出部12から入力する第1の光源装置13及び第2の光源装置14の状態に応じて、第1の光源装置13及び第2の光源装置14の動作を制御する。
【0011】
第1の光源装置13及び第2の光源装置14は、それぞれ光源制御部11の制御の下、光を射出する。光量検出器15は、第1の光源装置13の出力光と、第2の光源装置14の出力光とが共に入射する場所に配置されている。光量検出器15は、第1の光源装置13の出力光と第2の光源装置14の出力光とを受光し、その光量に応じた受光信号を、故障検出部12に出力する。
【0012】
故障検出部12は、光量検出器15からの受光信号を取得する。また、故障検出部12は、光源制御部11から、第1の光源装置13及び第2の光源装置14から光の射出のタイミングや光量等を表す信号を取得する。故障検出部12は、取得したこれら信号に基づいて、第1の光源装置13及び第2の光源装置14について故障の有無等の状態を特定する。故障検出部12は、特定した第1の光源装置13及び第2の光源装置14の状態を、光源制御部11に出力する。また、故障検出部12は、第1の光源装置13又は第2の光源装置14に異常があることを検出したら、警告器16に警告を出させる。
【0013】
警告器16は、故障検出部12の指示の下、第1の光源装置13又は第2の光源装置14に異常が検知された際に警告を出す。警告器16は、例えばスピーカであり、音を発するように構成されてもよい。また、警告器16は、例えばLEDであり、点灯により異常がある旨を表示してもよい。また、警告器16は、本光源装置に接続された表示装置に担わせるように構成してもよい。
【0014】
このように、例えば第1の光源装置13及び第2の光源装置14は、出力光を各々射出する複数の光源装置として機能し、例えば光量検出器15は、出力光を受光し、該出力光に応じた受光信号を出力する光検出器として機能し、例えば故障検出部12は、受光信号を取得し、該受光信号に含まれる識別因子に由来する成分と該受光信号とに基づいて、複数の光源装置の各々の故障の有無を特定する故障検出部として機能する。また、本実施形態では、光源装置は、第1の光源装置13及び第2の光源装置14の2個であるのに対して、光量検出器15は1個であり、光量検出器15の個数は、光源装置の個数よりも少ない。
【0015】
ここで、第1の光源装置13、第2の光源装置14、及び光量検出器15の配置例について説明する。例えば図2に示すように、光量検出器15は、第1の光源装置13及び第2の光源装置14から射出された光が直接入射するような位置に、保持部21によって固定される。図2においては、光量検出器15は、第1の光源装置13及び第2の光源装置14の光の射出方向正面に配置されているが、第1の光源装置13及び第2の光源装置14から射出された光が直接入射するような位置であれば、偏った位置に配置されてもよい。また図2において、保持部21は、第1の光源装置13及び第2の光源装置14を固定する部材と一体となって描かれているが、光量検出器15を適切な位置に保持できればこれに限らない。
【0016】
また、例えば図3に示すように、第1の光源装置13及び第2の光源装置14から射出された光が直接入射するような位置に、保持部21に固定されたミラー22を配置し、ミラー22で反射した光を受光するように光量検出器15を配置してもよい。
【0017】
また、例えば図4に示すように、第1の光源装置13及び第2の光源装置14が配置されている部分に対して着脱自在なカバー状の保持部材23に光量検出器15を配置してもよい。この場合、保持部材23は、本光源システムの使用前に、第1の光源装置13及び第2の光源装置14が配置されている部分を覆うように設置され、その状態で第1の光源装置13及び第2の光源装置14の異常の有無を確認する。その後、保持部材23を第1の光源装置13及び第2の光源装置14が配置されている部分から外して、本光源システムを使用する。光量検出器15は、カバー状の保持部材23の内部であり、第1の光源装置13及び第2の光源装置14から射出された光が直接入射するような位置に配置されている。このような構成により、使用前に安全に以上の有無を点検することができる。
【0018】
また、例えば図5に示すように、本光源システムは、第1の光源装置13及び第2の光源装置14から射出された光を調整する、例えばレンズなどの光学部材24を備えている。光量検出器15は、光学部材24の表面で反射された光を受光できるような位置に配置されてもよい。この場合、光学部材24は、第1の光源装置13及び第2の光源装置14から射出された光を適度に反射するように加工されていることが好ましい。
【0019】
次に、本実施形態に係る光源システムの動作を説明する。光源制御部11は、第1の光源装置13及び第2の光源装置14の点灯又は消灯を制御する。本実施形態では、故障した光源装置を特定する期間、すなわち、第1の光源装置13及び第2の光源装置14のうち何れかに故障があるか否かを特定するための期間として、検出期間が設けられている。本実施形態では、この検出期間は、本光源システムの電源投入後、光源としての使用の前に、すなわち、第1の光源装置13及び第2の光源装置14の光の射出開始時に設けられている。
【0020】
本光源システムの動作例のタイミングチャートを図6に示す。この図において、上段は、第1の光源装置13の出力を示し、中段は、第2の光源装置14の出力を示し、下段は、光量検出器15の出力を示す。この図に示すように、検出期間において、第1の光源装置13及び第2の光源装置14は、それぞれ単独で点灯するように制御されている。すなわち、図2に示す例では、検出期間の前半((i)で示した期間)においては、第1の光源装置13のみが点灯して第2の光源装置14は消灯し、検出期間の後半((ii)で示した期間)においては、逆に第2の光源装置14のみが点灯して第1の光源装置13は消灯する。
【0021】
この検出期間において、光量検出器15は、第1の光源装置13及び第2の光源装置14が射出する光を検出し、光量に応じた出力値を、故障検出部12に出力する。また、光源制御部11は、第1の光源装置13及び第2の光源装置14の発光タイミングや射出させた光量等に関する信号を、故障検出部12に出力する。故障検出部12は、光量検出器15から入力した光量に応じた値、及び光源制御部11から入力した信号に基づいて、第1の光源装置13及び第2の光源装置14に故障があるか否かを特定する。
【0022】
ここで、検出期間において第1の光源装置13が発光する時間と第2の光源装置14が発光する時間とが区切られている。したがって、光量検出器15は1つであるが、故障検出部12は、光源制御部11から入力した情報を利用して、光量検出器15の出力について、第1の光源装置13から射出された光に由来する信号と、第2の光源装置14から射出された光に由来する信号とを分離することができる。
なお、検出期間は、光量検出器15が安定して光量を検出できるような長さにするとよい。また、例えば光量検出器15の出力を積分して用いる場合、検出期間は、必要なSN比が得られる積分時間を確保できる長さにすればよい。
【0023】
より具体的に説明する。図6に示すように、第1の光源装置13が点灯している期間((i)で示した期間)において、光量検出器15は、第1の光源装置13から射出された光を検出し、その光量に応じた値を故障検出部12に出力する。同様に、第2の光源装置14が点灯している期間((ii)で示した期間)において、光量検出器15は、第2の光源装置14から射出された光を検出し、その光量に応じた値を故障検出部12に出力する。第1の光源装置13及び第2の光源装置14が共に正常に動作している場合、故障検出部12は、検出期間の前半((i)で示した期間)においても、検出期間の後半((ii)で示した期間)においても、ともに光量検出器15から点灯を表す信号を入力するので、第1の光源装置13及び第2の光源装置14が共に正常に動作していることを特定できる。正常に動作していることが特定された場合には、図6に示すように、第1の光源装置13と第2の光源装置14とを両方とも点灯して通常の光源としての動作を開始する。
【0024】
一方、例えば第1の光源装置13が正常に機能しておらず、第1の光源装置13から射出される光が弱い場合、第1の光源装置13が点灯している期間(図6において(i)で示した期間)において、光量検出器15の出力は低下する。このような信号を入力した故障検出部12は、第1の光源装置13が故障していることを特定できる。逆に、例えば第2の光源装置14が正常に機能しておらず、第2の光源装置14から射出される光が弱い場合、第2の光源装置14が点灯している期間(図6において(ii)で示した期間)において、光量検出器15の出力は低下する。このような信号を入力した故障検出部12は、第2の光源装置14が故障していることを特定できる。
【0025】
例えば第1の光源装置13に故障があるとき、故障検出部12は、第1の光源装置13が故障している旨を、光源制御部11に出力する。例えば第1の光源装置13が故障している旨を入力した光源制御部11は、第1の光源装置13を消灯し、第2の光源装置14を点灯状態とする。第1の光源装置13を完全に消灯しなくとも、安全なレベルまで減光するように動作させてもよい。例えば第2の光源装置14に故障があるときは、逆に光源制御部11は、第2の光源装置14を消灯し、第1の光源装置13を点灯状態とする。
【0026】
なお、上記説明では、光源装置は、第1の光源装置13及び第2の光源装置14の2つであるとして説明したが、光源装置が3つ以上の場合も同様に構成することができる。すなわち、光源装置の数に応じて、検出期間を分割し、それら光源装置を順次点灯させ、その光量を光量検出器15で検出するようにすればよい。
【0027】
また、上記説明では、検出期間のうち特定の期間において、第1の光源装置13及び第2の光源装置14のうち一方を完全に消灯するとして説明したが、出力を低下させるようにしてもよい。この場合、故障検出部12は、出力の低下量を考慮して故障の有無を特定するように構成する。
【0028】
以上のように動作する本実施形態に係る光源システムによれば、2つ以上の光源装置を有するシステムにおいて、異常の有無を検知する機構を大型化することなく、1つの光量検出器15によって、各光源装置の故障の有無を特定することができる。したがって、一部の光源装置が故障した場合に、故障した光源装置のみを停止し、その他の光源装置を引き続き動作させることができる。その結果、何れかの光源装置に故障が生じても、故障がない光源装置によって、照明光の出力を維持することができる。
【0029】
なお、本実施形態の説明では、異常がある光源装置は、光量が低下するとしたが、異常によって光量が上昇するときも、故障検出部12は、同様に異常を検出できる。
また、本実施形態では、光量検出器15は、常に受光量を表す受光信号を出力し続けているとしたが、検出期間のみ受光信号を出力するように構成してもよい。この場合、光量検出器15は、故障検出部12によって制御される。
【0030】
[第1の実施形態の第1の変形例]
第1の実施形態の第1の変形例について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。第1の実施形態では、光源システムの使用の前に検出期間を設けている。これに対して本変形例では、検出期間を光源システムの使用中に周期的に設けている。
【0031】
本変形例に係る光源システムの動作のタイミングチャートを、図7に示す。この図に示すように、光量検出器15が受光信号を出力する検出期間は、第1の光源装置13及び第2の光源装置14がともに光を射出している通常の動作の間に挿入されている。言い換えると、検出期間と検出期間との間においては、第1の光源装置13及び第2の光源装置14は、ともに光を射出する通常の動作を行っている。
【0032】
検出期間では、光源制御部11は、第1の実施形態の場合の検出期間と同様に、第1の光源装置13及び第2の光源装置14を順次点灯させる。図7において、第1の光源装置13が点灯する期間は(i)で示され、第2の光源装置14が点灯する期間は(ii)で示されている。光量検出器15は、光を検出し、その光量を表す信号を故障検出部12に出力する。故障検出部12は、図7において(i)で示された第1の光源装置13が点灯している期間の光量検出器15の出力と、図7において(ii)で示された第2の光源装置14が点灯している期間の光量検出器15の出力とに基づいて、第1の光源装置13及び第2の光源装置14の正常又は異常を第1の実施形態の場合と同様に特定する。故障検出部12は、第1の光源装置13及び第2の光源装置14の異常の有無を、光源制御部11に出力する。
【0033】
第1の実施形態の場合と同様に、光源装置の数は、2つに限らず、3つ以上でもよい。光源装置の数が3つ以上の場合、検出期間中に各光源装置は、順次点灯すればよい。また、光量検出器15は、常に受光量を表す受光信号を出力し続けてもよいし、検出期間のみ受光信号を出力するように構成してもよい。何れの場合も故障検出部12は、検出期間において受光信号を用いた処理を行う。
【0034】
本光源システムを撮像装置と組み合わせて、本光源システムを撮影対象の照明のために用いる場合などは、前記の検出期間を、当該撮像装置のイメージャの読み出し期間や帰線期間等、当該撮像装置の露光期間以外の期間に設けるとよい。このようにすることで、撮像装置による画像撮影に影響を与えることがない。本変形例によれば、光源装置の異常の有無を定期的に検査することができる。
【0035】
光源装置をパルス幅変調(Pulse Width Modulation;PWM)によって制御する場合は、パルス変調の変調周期と検出期間の挿入周期を等しくすればよく、同様の効果が得られる。
【0036】
[第1の実施形態の第2の変形例]
第1の実施形態の第2の変形例について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明する。本変形例では、光源システムの使用中に、第1の光源装置13及び第2の光源装置14の出力の総光量を検出し、故障検出部12は、その総光量の変化によって故障の発生を検知する。故障の発生が検知されたら、第1の実施形態と同様に検出期間を設ける。
【0037】
本変形例に係る光源システムの動作のタイミングチャートを、図8に示す。光量検出器15は、図8において使用期間と記した本光源システムの使用中の期間に、第1の光源装置13及び第2の光源装置14から射出される光を受光し、その強度を故障検出部12に出力する。ここでは、故障検出部12は、第1の光源装置13の出力と第2の光源装置14の出力とを区別せず、両出力の合計について光量検出器15が出力した受光信号を取得している。
【0038】
故障検出部12は、使用期間において、光量検出器15からの信号に基づいて、光強度が許容範囲を超えて変化することを検知したら、検出期間に移行させる。なお、図8においては、この許容範囲の下限値を一点鎖線で示した。すなわち、光量検出器15による検出値が許容範囲から外れる場合、第1の光源装置13又は第2の光源装置14に異常が発生している可能性がある。しかしながら、第1の光源装置13及び第2の光源装置14のうち何れに異常があるのかは、第1の光源装置13の出力と第2の光源装置14の出力との合計を検出している使用期間では特定できない。そこで、第1の光源装置13及び第2の光源装置14のうち何れに異常があるのかを、検出期間において特定する。
【0039】
故障検出部12は、使用期間において、光強度が許容範囲を超えて変化していることを検出したら、その旨及び検出期間に移行する旨を光源制御部11に出力する。検出期間において、光源制御部11は、第1の実施形態の場合と同様に、所定の期間では第1の光源装置13のみを点灯させ、その他の期間では第2の光源装置14のみを点灯させる。第1の実施形態の場合と同様に、故障検出部12は、光源制御部11から取得した第1の光源装置13及び第2の光源装置14の発光タイミングと、光量検出器15から取得した受光信号に含まれる光強度との関係に基づいて、第1の光源装置13及び第2の光源装置14のうち何れに異常があるのかを特定する。図8に示す例では、故障検出部12は、第2の光源装置14に係る光量検出器15の出力が小さいことに基づいて、第2の光源装置14に異常があることを特定する。
【0040】
故障検出部12は、検出期間において特定した異常がある光源装置を、光源制御部11に伝達する。光源制御部11は、異常がある光源装置の出力を停止、又は安全な程度まで低下させる。図8に示す例では、故障検出部12によって第2の光源装置14に異常があることが特定されているので、光源制御部11は、検出期間後において第2の光源装置14の出力を停止している。
【0041】
本変形例によれば、使用期間においては、第1の光源装置13及び第2の光源装置14を常時点灯することができる。すなわち、点灯デューティー比100%の点灯が可能である。したがって、本変形例はより高い光量が必要なときに有効である。
【0042】
使用期間における故障の検出は、本変形例のように検出期間で用いる光量検出器15を用いても良いが、他の手段で故障を検出しても良い。例えば、本光源システムを映像取得システムと併用する場合、映像取得システムのカラーイメージセンサにより取得した画像に基づいて、光量の減少を検出するようにしてもよい。
【0043】
[第1の実施形態の第3の変形例]
第1の実施形態の第3の変形例について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明する。本変形例は、光源装置が3つ以上の場合に係る動作例である。
本変形例に係る光源システムの動作のタイミングチャートを図9に示す。図9に示す例では、光源システムは、3つの光源装置を有している。ここでは、これら光源を第1の光源装置、第2の光源装置、及び第3の光源装置と称し、第2の光源装置に故障があるものとして説明する。
【0044】
本変形例では、第1の実施形態の第2の変形例と同様に、当該光源システムを使用中に、検出期間を設けている。検出期間において、光源制御部11は、第1乃至第3の光源装置のうち、1つの光源装置を順次消灯する。すなわち、図9に示す例では、光源制御部11は、検出期間中の(i)と記した期間においては、第1の光源装置を消灯し、第2及び第3の光源装置を点灯する。同様に、検出期間中の(ii)と記した期間においては、光源制御部11は、第2の光源装置を消灯し、第1及び第3の光源装置を点灯する。検出期間中の(iii)と記した期間においては、光源制御部11は、第3の光源装置を消灯し、第1及び第2の光源装置を点灯する。
【0045】
このとき、光量検出器15は、光源装置から射出された光を検出し、その強度に応じた信号を故障検出部12に出力する。第2の光源装置の出力が通常(図9における2段目に示す破線)より下がっているので、図9の最下段に示すように、検出期間において、第2の光源装置が点灯している(i)を記した期間及び(iii)を記した期間の光量検出器15の出力は、(ii)を記した期間の出力よりも低い。故障検出部12は、このような期間ごとの光量検出器15の出力を比較することにより、この例では、第2の光源装置に異常があることを特定する。このようにして、故障検出部12は、複数の光源装置のうち、何れの光源装置に故障があるかを特定することができる。
【0046】
なお、光源装置を順に消灯せずとも、光源制御部11により、特定の光源装置の出力を例えば通常の半分など、所定の割合に変化させても良い。その場合も、同様に、何れかの光源装置に故障がある場合、故障検出部12は、故障している光源装置を特定することができる。
【0047】
また、検出期間において、各光源装置の出力光量を、所定のパターンで変調することで、故障検出部12が光量検出器15の出力に基づいて光源装置ごとの光を分離できるようにし、故障検出部12は故障した光源装置を特定するように構成してもよい。例えば、各光源装置の変調に用いるパターンを、それぞれ直交性を持たせることで、光量検出器15の出力について、どの光源装置に由来する光であるかを把握することができる。
【0048】
また、多くの光源装置のうち、1つずつ光量等を変化させるに限らず、最適秤量問題のアプローチをとることで、最短の検出期間で故障している光源装置を特定するように構成してもよい。すなわち、同時に複数の光源装置の光量を変化させ、それらの組み合わせに基づいて、異常がある光源装置を特定するように構成してもよい。例えば、全光源装置のうち半分ずつ消灯し、どちらの半分に異常がある光源装置が含まれているかを特定し、異常がある光源装置が含まれている半分の光源装置についてさらに同様のことを繰り返し、最終的に異常がある光源装置を1個に限定する等である。何れの光源装置の出力光量等を変化させるかは、予めそのパターンを用意しておき、図示しない記憶部などに備えおくことができる。この場合、光源制御部11は、記憶部に備えられたパターンを読み出して光源装置の制御を行うことができる。このような方法は、多くの光源装置を備えた光源システム、例えば数十以上の光源装置を備えた光源システムの場合、特に有効である。
【0049】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態では、分光センサを利用し光源装置から射出される光の波長の違いを利用して、何れの光源装置に異常があるかを特定する。
【0050】
本実施形態に係る光源システムの構成を図10を参照して説明する。本光源装置の第1の光源装置13及び第2の光源装置14は、互いに異なる波長の光を射出する。ここでは、第1の光源装置13が射出する光の波長をλ1とし、第2の光源装置14が射出する光の波長をλ2とする。本実施形態に係る光源システムは第1の実施形態における光量検出器15の代わりに分光センサ35を有している。
【0051】
本実施形態において、光源制御部11は、第1の実施形態と異なり第1の光源装置13及び第2の光源装置14を両方とも同時に点灯させる。分光センサ35は、第1の光源装置13が射出する波長λ1の光強度と、第2の光源装置14が射出する波長λ2の光強度とを表す波長別強度信号を含む受光信号を故障検出部12に出力する。
【0052】
故障検出部12は、分光センサ35から入力した受光信号に基づいて、第1の光源装置13及び第2の光源装置14の異常の有無を判断する。例えば故障検出部12は、第1の光源装置13又は第2の光源装置14の出力が低下したことを検知したとき、若しくは第1の光源装置13又は第2の光源装置14の出力が所定の範囲を超えたことを検知したとき、その光源装置に異常があると判断することができる。また、第1の光源装置13が射出する光の光量と、第2の光源装置14が射出する光の光量とを比較して、その大小又は差の大きさで故障を判別しても良い。
【0053】
故障検出部12は、第1の光源装置13又は第2の光源装置14に異常があることを検出したら、その旨を光源制御部11に出力する。光源制御部11は、異常がある光源装置を消灯する。光源制御部11は、異常がある光源装置を消灯せずに、出力を安全なレベル、例えば発火しないレベル等に低下させるようにしてもよい。異常がない光源装置は、点灯を維持することができる。
【0054】
例えば、図11に示すように、第2の光源装置14の出力が低下した場合を考える。このとき、分光センサ35の出力に基づいて、すなわち、第1の光源装置13が射出する波長λ1の光強度は変化せず、第2の光源装置14が射出する波長λ2の光強度が低下していることを検知して、故障検出部12は、第2の光源装置14に異常があることを特定する。故障検出部12は、第2の光源装置14に異常がある旨を光源制御部11に出力する。光源制御部11は、故障検出部12から入力した情報に基づいて、第2の光源装置14の出力を停止する。
【0055】
以上のように本実施形態によれば、2つ以上の光源装置を有する光源システムにおいて、異常の有無を検知する機構を大型化することなく、1つの分光センサによって、複数の光源装置のうち何れの光源装置が故障しているのかを特定することができる。したがって、一部の光源装置が故障した場合に、故障した光源装置のみを停止し、その他の光源装置を引き続き動作させることができる。その結果、故障がない光源装置によって、照明光の出力を維持することができる。また、第1の実施形態においては、各光源装置を期間毎に消灯等する必要があるが、本実施形態によれば、各光源装置を常時点灯した状態で、異常の検出を行うことができる。
【0056】
なお、ここでは、光源装置が2個であり、射出する光の波長が2種類の場合を例に挙げて説明したが、光源装置が3個以上であり波長の種類は3種類以上であっても同様に構成することができる。また、本実施形態は第1の実施形態と組み合わせることも可能である。例えば、光源装置が4個であり、そのうち2個は、波長λ1の光を射出し、その他の2個は波長λ2の光を射出するものとする。この時、検出期間を設けて、その検出期間において、波長λ1の光を射出する光源装置の各々の故障の有無を特定するために、第1の実施形態のように、それぞれの光の射出のタイミングを異ならせるようにしてもよい。同様に検出期間において、波長λ2の光を射出する光源装置の各々の故障の有無を特定するために、それぞれの光の射出のタイミングを異ならせるようにしてもよい。
【0057】
[第2の実施形態の第1の変形例]
第2の実施形態の第1の変形例について説明する。ここでは、第2の実施形態との相違点について説明する。本変形例に係る光源システムは、図12に示すように、光源制御部11と、故障検出部12と、第1の励起光源33と、第2の励起光源34と、第1の光ファイバ36と、第2の光ファイバ37と、第1の蛍光体ユニット38と、第2の蛍光体ユニット39と、分光センサ35と、警告器16とを備える。
【0058】
光源制御部11は、第1の励起光源33及び第2の励起光源34の出力を制御する。第1の励起光源33は、光源制御部11の制御の下、波長λ1の励起光を射出する。第1の励起光源33から射出された励起光は、第1の光ファイバ36に入射する。第1の光ファイバ36は、入射した励起光を第1の蛍光体ユニット38に導く。第1の蛍光体ユニット38では、第1の光ファイバ36によって導かれた波長λ1の励起光の一部を波長変換し、波長λ3の蛍光を射出する。また、第1の光ファイバ36によって導かれ、第1の蛍光体ユニット38で波長変換されなかった励起光は、第1の蛍光体ユニット38を透過して射出される。このように、第1の励起光源33、第1の光ファイバ36及び第1の蛍光体ユニット38は、第1の光源装置51を構成する。
【0059】
同様に、第2の励起光源34は、光源制御部11の制御の下、波長λ2の励起光を射出する。第2の励起光源34から射出された励起光は、第2の光ファイバ37に入射する。第2の光ファイバ37は、入射した励起光を第2の蛍光体ユニット39に導く。第2の蛍光体ユニット39では、第2の光ファイバ37によって導かれた波長λ2の励起光の一部を波長変換し、波長λ4の蛍光を射出する。また、第2の光ファイバ37によって導かれ、第2の蛍光体ユニット39で波長変換されなかった励起光は、第2の蛍光体ユニット39を透過して射出される。このように、第2の励起光源34、第2の光ファイバ37及び第2の蛍光体ユニット39は、第2の光源装置52を構成する。
【0060】
分光センサ35は、第1の蛍光体ユニット38から射出した波長λ1の励起光及び波長λ3の蛍光と、第2の蛍光体ユニット39から射出した波長λ2の励起光及び波長λ4の蛍光とを受光する。分光センサ35は、波長λ1の励起光、波長λ2の励起光、波長λ3の蛍光及び波長λ4の蛍光のそれぞれについて、光強度を故障検出部12に出力する。
【0061】
故障検出部12は、分光センサ35からの入力に基づいて、第1の励起光源33、第2の励起光源34、第1の光ファイバ36、第2の光ファイバ37、第1の蛍光体ユニット38、及び第2の蛍光体ユニット39の何れかに故障があるか否かを特定する。
例えば、波長λ1の光も波長λ3の光も検出されない場合、第1の励起光源33又は第1の光ファイバ36に異常があると考えられる。また、波長λ1の光は検出され、波長λ3の光が検出されない場合、第1の蛍光体ユニット38に異常があると考えられる。また、波長λ2の光も波長λ4の光も検出されない場合、第2の励起光源34又は第2の光ファイバ37に異常があると考えられる。また、波長λ2の光は検出され、波長λ4の光が検出されない場合、第2の蛍光体ユニット39に異常があると考えられる。
【0062】
故障検出部12は、第1の励起光源33、第2の励起光源34、第1の光ファイバ36、第2の光ファイバ37、第1の蛍光体ユニット38、及び第2の蛍光体ユニット39の何れかに故障があることを検出したら、その旨を光源制御部11に出力する。光源制御部11は、故障を検出した旨を故障検出部12から入力したら、故障に係る第1の励起光源33又は第2の励起光源34を消灯する。光源制御部11は、故障に係る第1の励起光源33又は第2の励起光源34の出力を低下させるようにしてもよい。
【0063】
本変形例のような、励起光源と波長変換ユニットと用いた光源装置においても、第2の実施形態と同様に、1つの分光センサによって、複数の光源装置のうち何れの光源装置が故障しているのかを特定することができる。
なお、ここでは、励起光源が2個であり射出する光の波長が2種類の場合を例に挙げて説明したが、励起光源が3個以上であり波長の種類は3種類以上でも同様である。
【0064】
[第2の実施形態の第2の変形例]
第2の実施形態の第2の変形例について説明する。ここでは、第2の実施形態との相違点について説明する。光源システムを映像取得システムと併用する場合、映像取得システムのカラーイメージセンサにより取得した画像に基づいて、各波長の光量を検出してもよい。また、図13に示すように、光源システムが独自にカラーイメージセンサ31を備えてもよい。何れの場合も、本光源装置によって、被照射物90に照射された光の反射光をカラーイメージセンサが捉えて、光源の異常の有無を特定する。
【0065】
このような場合、故障検出部12は、カラーイメージセンサ31が撮影により取得した画像の情報を取得する。故障検出部12は、この画像情報に基づいて、本光源システムに係る波長毎にその光強度を得る。この光強度に基づいて、前記した第2の実施形態の場合と同様に、本光源システムが備える各光源について、異常があるか否かを判定する。
本変形例によっても第2の実施形態と同様に、複数の光源装置のうち何れの光源装置が故障しているのかを特定することができる。
【0066】
[第3の実施形態]
第3の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態に係る光源システムの構成例を図14に示す。この図に示すように光源システムは、光源制御部11と、故障検出部12と、第1の励起光源33と、第2の励起光源34と、第1の分岐カプラ41と、第2の分岐カプラ42と、第1の蛍光体ユニット38と、第2の蛍光体ユニット39と、第1の光ファイバ43と、第2の光ファイバ44と、第3の光ファイバ45と、第4の光ファイバ46と、第5の光ファイバ47と、第6の光ファイバ48と、波長フィルタ49と、光量検出器15と、警告器16とを備える。
【0067】
第1の分岐カプラ41及び第2の分岐カプラ42は、2×1型の分岐カプラである。第1の分岐カプラ41の根元側ポートには、第1の光ファイバ43と第3の光ファイバ45とが接続されている。第1の光ファイバ43の他端には、第1の励起光源33が接続されている。第3の光ファイバ45の他端には、波長フィルタ49を介して光量検出器15が接続されている。第1の分岐カプラ41の先端側ポートには、第2の光ファイバ44が接続されている。第2の光ファイバ44の他端には、第1の蛍光体ユニット38が接続されている。このようにして、第1の励起光源33と、第1の分岐カプラ41と、第1の蛍光体ユニット38と、第1の光ファイバ43と、第2の光ファイバ44と、第3の光ファイバ45とは、第1の光源装置61を構成する。
【0068】
第2の分岐カプラ42の根元側ポートには、第4の光ファイバ46と第6の光ファイバ48とが接続されている。第4の光ファイバ46の他端には、第2の励起光源34が接続されている。第6の光ファイバ48の他端には、波長フィルタ49を介して光量検出器15が接続されている。第2の分岐カプラ42の先端側ポートには、第5の光ファイバ47が接続されている。第5の光ファイバ47の他端には、第2の蛍光体ユニット39が接続されている。このようにして、第2の励起光源34と、第2の分岐カプラ42と、第2の蛍光体ユニット39と、第4の光ファイバ46と、第5の光ファイバ47と、第6の光ファイバ48とは、第2の光源装置62を構成する。
光源制御部11は、第1の励起光源33及び第2の励起光源34の出力を制御する。
【0069】
第1の光源装置61における導光について説明する。第1の励起光源33は、光源制御部11の制御の下、波長λ1の励起光を射出する。第1の励起光源33から射出された励起光は、第1の光ファイバ43に入射する。第1の光ファイバ43は、入射した励起光を第1の分岐カプラ41に導く。第1の光ファイバ43から第1の分岐カプラ41に導かれた励起光は、ほぼ全て第2の光ファイバ44に導かれる。第2の光ファイバ44に入射した励起光は、第1の蛍光体ユニット38に導かれる。第1の蛍光体ユニット38では、第2の光ファイバ44によって導かれた波長λ1の励起光の一部が、第1の蛍光体ユニット38内の蛍光体で波長変換され、波長λ3の蛍光が第1の蛍光体ユニット38の出射口から射出される。また、第2の光ファイバ44によって導かれ、第1の蛍光体ユニット38で波長変換されなかった励起光は、第1の蛍光体ユニット38を透過して射出される。
【0070】
第1の蛍光体ユニット38で波長変換された蛍光の大部分は、第1の蛍光体ユニット38の出射口から射出されるが、蛍光の一部は第2の光ファイバ44に入射する。第2の光ファイバ44に入射した蛍光は、第1の分岐カプラ41に導かれる。第1の分岐カプラ41において、蛍光は、理想的には第1の光ファイバ43と第3の光ファイバ45とにそれぞれ1/2ずつ入射する。第3の光ファイバ45に入射した蛍光は、波長フィルタ49に導かれる。
【0071】
第2の励起光源34は、光源制御部11の制御の下、波長λ2の励起光を射出する。第1の励起光源33から射出された励起光は、第4の光ファイバ46に入射する。第4の光ファイバ46は、入射した励起光を第2の分岐カプラ42に導く。第4の光ファイバ46から第2の分岐カプラ42に導かれた励起光は、ほぼ全て第5の光ファイバ47に導かれる。第5の光ファイバ47に入射した励起光は、第2の蛍光体ユニット39に導かれる。第2の蛍光体ユニット39では、第5の光ファイバ47によって導かれた波長λ2の励起光の一部が、第2の蛍光体ユニット39内の蛍光体で波長変換され、波長λ4の蛍光が第2の蛍光体ユニット39の出射口から射出される。また、第5の光ファイバ47によって導かれ、第2の蛍光体ユニット39で波長変換されなかった励起光は、第2の蛍光体ユニット39を透過して射出される。
【0072】
第2の蛍光体ユニット39で波長変換された蛍光の大部分は、第2の蛍光体ユニット39の出射口から射出されるが、蛍光の一部は第5の光ファイバ47に入射する。第5の光ファイバ47に入射した蛍光は、第2の分岐カプラ42に導かれる。第2の分岐カプラ42において、蛍光は、理想的には第4の光ファイバ46と第6の光ファイバ48とにそれぞれ1/2ずつ入射する。第6の光ファイバ48に入射した蛍光は、波長フィルタ49に導かれる。
波長フィルタ49には、波長λ3及び波長λ4の蛍光を透過するものが使用されている。したがって、第3の光ファイバ45又は第6の光ファイバ48によって導かれた蛍光は、光量検出器15に入射する。
【0073】
光源制御部11は、第1の励起光源33及び第2の励起光源34の点灯、消灯を制御する。本実施形態では第1の実施形態と同様に、第1の励起光源33及び第2の励起光源34は、それぞれ単独で点灯する期間を持つように制御されている。それぞれの時間において光量検出器15で検出した光量に基づいて、故障検出部12は、第1の光源装置61及び第2の光源装置62の状態を検知する。すなわち、光源システムが正常に動作しているときは、光量検出器15に入射する蛍光の光量は、所定の範囲に収まる。この所定の範囲は、正常動作時の光量検出器15への入射光量に基づいて定められる。このように、所定の範囲に光量検出器15に入射する蛍光の光量が収まっているとき、故障検出部12は、本光源装置が正常に動作していると判断する。
【0074】
また、故障検出部12は、例えば第1の励起光源33のみが点灯している期間において、光量検出器15によって検出される光量が低下する場合、第1の励起光源33が属する第1の光源装置61が故障していると判断する。逆に、例えば第2の励起光源34のみが点灯している期間において、光量検出器15によって検出される光量が低下する場合、第2の励起光源34が属する第2の光源装置62が故障していると故障検出部12は判断する。
【0075】
例えば、蛍光体に亀裂が入ったり、蛍光体が第1の蛍光体ユニット38から外れたりする等、第1の蛍光体ユニット38に故障が発生したときは、蛍光体に照射される励起光が減少する。このため、蛍光体で波長変換された蛍光は減少し、第2の光ファイバ44に再入射する蛍光も減少する。第2の光ファイバ44に再入射した蛍光は、正常動作時と同様に第3の光ファイバ45を経由して光量検出器15に入射するので、このとき蛍光の光量は正常動作時の光量に比べて減少する。第2の蛍光体ユニット39に故障が発生したときも同様である。
【0076】
また、例えば第2の光ファイバ44が断線したときは、第1の励起光源33から第1の光ファイバ43に入射し、第1の分岐カプラ41を経由した励起光は、第2の光ファイバ44の断線部で反射し、断線部よりも第1の蛍光体ユニット38側に進行する励起光の光量は減少する。したがって第1の蛍光体ユニット38に入射する励起光は減少する。そのため、蛍光体で発生する蛍光が減少し、蛍光体から第2の光ファイバ44に再入射する蛍光は減少する。よって、光量検出器15に入射する蛍光は減少する。第5の光ファイバ47が断線したときも同様である。
【0077】
また、第1の光ファイバ43が断線したときは、第1の励起光源33から第1の光ファイバ43に入射した励起光は、第1の光ファイバ43の断線部で反射・散乱し、第1の分岐カプラ41へ入射する励起光は減少する。したがって、第1の蛍光体ユニット38に入射する励起光が減少する。そのため、蛍光体で発生する蛍光が減少する。その結果、蛍光体から第2の光ファイバ44に再入射する蛍光は減少し、光量検出器15に入射する蛍光は減少する。第4の光ファイバ46が断線した時も同様である。
【0078】
また、第3の光ファイバ45が断線したときは、正常動作時と同様に、第1の蛍光体ユニット38で発生した蛍光の一部は、第2の光ファイバ44に再入射し、第1の分岐カプラ41で1/2の蛍光が第3の光ファイバ45に入射する。この蛍光は、第3の光ファイバ45の断線部で光量が減少するので、光量検出器15に入射する蛍光の光量が減少する。第6の光ファイバ48が断線した場合も同様である。
以上に述べたように、本実施形態の光源システムを構成している各光ファイバの断線や、各蛍光体ユニットの故障が発生した場合は、光量検出器15に入射する蛍光の光量は減少する。
【0079】
故障検出部12は、第1の光源装置61又は第2の光源装置62に故障が検出されたとき、その旨を光源制御部11に出力する。
第1の光源装置61又は第2の光源装置62に故障が検出された旨を入力した光源制御部11は、故障した第1の光源装置61及び第2の光源装置62のうち、故障した方に属する第1の励起光源33又は第2の励起光源34を消灯する。完全に消灯せずとも、例えばレーザの漏れが人体に影響を与えないレベルなど、出力を安全なレベルまで低下させてもよい。第1の励起光源33及び第2の励起光源34のうち、故障が検出されなかった光源については、点灯を維持することができる。
【0080】
以上のとおり、本実施形態によれば、本実施形態のような構成を有する光源システムにおいて、異常の有無を検知する機構を大型化することなく、光ファイバの断線や、波長変換部材の脱落、破損の発生を、1つの光量検出器15で検出し、かつ、複数の光源装置のうちどれが故障したのかを特定することができる。その結果、故障に係る励起光源の出力を停止又は低減することができる。以上により、簡単な構成によって励起光が本光源装置から外部へ漏出する状態を防止でき高い安全性を確保することができるとともに、故障のない光源を維持することで、照明光の出力を維持することができる。
【0081】
また、波長フィルタ49として波長λ3および波長λ4の蛍光を透過するものを用いたが、波長λ1および波長λ2の励起光を透過するフィルタを用いてもよい。その場合、故障検出部12は、例えば第1の励起光源33のみが点灯している期間において、光量検出器15によって検出される光量が増加または減少し所定の範囲を外れた場合、第1の励起光源33が属する第1の光源装置61が故障していると判断する。逆に、例えば第2の励起光源34のみが点灯している期間において、光量検出器15によって検出される光量が増加または減少し所定の範囲を外れた場合、第2の励起光源34が属する第2の光源装置62が故障していると故障検出部12は判断する。
また、光量検出器15に入射する光を分岐カプラなどで分岐し、それぞれに異なる波長を透過する波長フィルタを設けて、蛍光と励起光の光量を検出する構成としてもよい。その場合、蛍光と励起光の情報を組み合わせることで、より確実に光源装置の故障を判断できる。
【0082】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても、発明が解決しようとする課題の欄で述べられた課題が解決でき、かつ、発明の効果が得られる場合には、この構成要素が削除された構成も発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0083】
なお、本発明に係る光源システムは、以下の要旨を含んでいる。
[1] 互いに異なる識別因子を有する出力光を各々射出する複数の光源装置と、
前記出力光を受光し、該出力光に応じた受光信号を出力する光検出器と、
前記受光信号を取得し、該受光信号に含まれる前記識別因子に由来する成分と該受光信号とに基づいて、複数の前記光源装置の各々の故障の有無を特定する故障検出部と、
を具備することを特徴する光源システム。
[2] 前記出力光が入射するミラーをさらに具備し、
前記光検出器は、前記ミラーで導かれた前記出力光を受光する、
ことを特徴とする[1]に記載の光源システム。
[3] 前記光検出器は、前記出力光が照射された被照明物で反射された該出力光を受光することを特徴とする[1]に記載の光源システム。
[4] 前記光源装置は、前記出力光の光路を調整する光学部材を有しており、
前記光検出器は、前記光学部材で反射した前記出力光を受光する、
ことを特徴とする[1]に記載の光源システム。
[5] 前記光検出器は、映像取得装置であり、
前記受光信号は、前記映像取得装置が取得した映像信号である、
ことを特徴とする[1]に記載の光源システム。
[6] 前記光源装置はそれぞれ、
励起光を射出する励起光源と、
前記励起光源を導く光ファイバと、
前記光ファイバによって導かれた前記励起光を吸収し、波長変換して波長変換光を射出する波長変換部材と、
を有しており、
前記光源装置は、前記励起光と前記波長変換光とを前記出力光として射出する、
ことを特徴とする[1]に記載の光源システム。
[7] 前記波長変換部材から射出された前記波長変換光の一部を前記光検出器に導く検出用光ファイバをさらに具備することを特徴とする[6]に記載の光源システム。
[8] 前記光ファイバに挿入された分岐カプラと、
前記波長変換部材から射出された前記波長変換光の一部であって、前記光ファイバによって導かれ、前記分岐カプラで分岐された該波長変換光の一部を前記光検出器に導く検出用光ファイバと、
をさらに具備することを特徴とする[6]に記載の光源システム。
[9] 複数の前記光源装置から射出された前記波長変換光の一部は、前記検出用光ファイバによって全て一つの前記光検出器に導かれることを特徴とする[7]又は[8]に記載の光源システム。
[10] 前記識別因子は、前記励起光及び/又は前記波長変換光の波長であり、
前記受光信号は、前記波長毎に前記出力光の強度を表す波長別強度信号を含み、
前記故障検出部は、前記受光信号に基づいて、前記波長別強度信号を前記成分として複数の前記光源装置の各々から射出された前記出力光の状態を導出し、複数の該光源装置の各々の故障の有無を特定する、
ことを特徴とする[6]乃至[9]のうち何れかに記載の光源システム。
[11] 前記故障検出部が、複数の前記光源装置の何れかに故障があることを特定したら、
前記故障がある前記光源装置は、前記出力光の出力を停止又は低下させ、
前記故障がない前記光源装置は、前記出力光の射出を継続する、
ように各前記光源装置を制御する光源制御部をさらに具備する
ことを特徴とする[1]に記載の光源システム。
[12] 前記光検出器は、光量検出器であることを特徴とする[1]に記載の光源システム。
[13] 前記光検出器は、波長毎の光量を前記受光信号として出力する分光検出器であることを特徴とする[1]又は[10]に記載の光源システム。
【符号の説明】
【0084】
11…光源制御部、12…故障検出制御部、13…第1の光源装置、14…第2の光源装置、15…光量検出器、16…警告器、21…保持部、22…ミラー、23…保持部材、24…光学部材、31…カラーイメージセンサ、33…第1の励起光源、34…第2の励起光源、35…分光センサ、36…第1の光ファイバ、37…第2の光ファイバ、38…第1の蛍光体ユニット、39…第2の蛍光体ユニット、41…第1の分岐カプラ、42…第2の分岐カプラ、43…第1の光ファイバ、44…第2の光ファイバ、45…第3の光ファイバ、46…第4の光ファイバ、47…第5の光ファイバ、48…第6の光ファイバ、49…波長フィルタ、51…第1の光源装置、52…第2の光源装置、61…第1の光源装置、62…第2の光源装置、90…被照射物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる識別因子を有する出力光を各々射出する複数の光源装置と、
前記出力光を受光し、該出力光に応じた受光信号を出力する光検出器と、
前記受光信号を取得し、該受光信号に含まれる前記識別因子に由来する成分と該受光信号とに基づいて、複数の前記光源装置の各々の故障の有無を特定する故障検出部と、
を具備することを特徴する光源システム。
【請求項2】
前記光検出器は、全ての前記光源装置について射出された前記出力光のうちそれぞれ少なくとも一部を受光することを特徴とする請求項1に記載の光源システム。
【請求項3】
前記光検出器の個数は、前記光源装置の個数よりも少ないことを特徴とする請求項1又は2に記載の光源システム。
【請求項4】
前記識別因子は、検出期間における時間と光強度との関係であり、
前記故障検出部は、前記検出期間における前記受光信号に基づいて、前記光強度が変化する前記時間を前記成分として複数の前記光源装置の各々から射出された前記出力光の状態を導出し、複数の該光源装置の各々の故障の有無を特定する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の光源システム。
【請求項5】
複数の前記光源装置は、前記検出期間において、各々前記時間に応じて前記出力光の射出と非射出とを切り替えることを特徴とする請求項4に記載の光源システム。
【請求項6】
複数の前記光源装置は、前記検出期間において、各々前記時間に応じて前記出力光の前記光強度を変化させることを特徴とする請求項4に記載の光源システム。
【請求項7】
複数の前記光源装置のうち一の該光源装置の前記出力光の前記光強度を前記時間に応じて変化させることを、前記検出期間において順次全ての該光源装置について行うことを特徴とする請求項4に記載の光源システム。
【請求項8】
前記検出期間は、前記光源装置の前記出力光の射出開始時に設けられることを特徴とする請求項4乃至7のうち何れか1項に記載の光源システム。
【請求項9】
前記検出期間は、前記光源装置の前記出力光の射出中に定期的に設けられることを特徴とする請求項4乃至7のうち何れか1項に記載の光源システム。
【請求項10】
前記故障検出部は、前記光源装置の前記出力光の射出中に、前記受光信号に基づいて複数の前記光源装置のうち何れかに故障があるか否かを判定し、
前記検出期間は、前記故障検出部が前記光源装置のうち何れかに故障があると特定した際に設けられる、
ことを特徴とする請求項4乃至7のうち何れか1項に記載の光源システム。
【請求項11】
前記識別因子は、波長であり、
前記受光信号は、前記波長毎に前記出力光の強度を表す波長別強度信号を含み、
前記故障検出部は、前記受光信号に基づいて、前記波長別強度信号を前記成分として複数の前記光源装置の各々から射出された前記出力光の状態を導出し、複数の該光源装置の各々の故障の有無を特定する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の光源システム。
【請求項12】
前記故障検出部は、前記波長毎の前記波長別強度信号を比較することで、複数の前記光源装置の各々の故障の有無を特定することを特徴とする請求項11に記載の光源システム。
【請求項13】
前記光源装置の前記出力光の出射口に着脱可能な保持部材をさらに具備し、
前記光検出器は、前記保持部材に保持されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の光源システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−216299(P2012−216299A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79056(P2011−79056)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】