説明

光源モジュール、並びにそれを備えた電子機器および液晶表示装置

【課題】導光方向と垂直方向において、中央部で輝度が高く、中央部から周辺部へ向かうにしたがい弓なりに低下する輝度分布を実現し、画面品位が優れた光源モジュールを実現する。
【解決手段】光拡散構造のドット径分布は、A−A’線方向、B−B’線方向、及びC−C’線方向において、極値を少なくとも3つ有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源モジュール、並びにそれを備えた電子機器および液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビをはじめとする液晶表示装置は、薄型化、軽量化に適していることから色々な分野に使用されている。液晶表示装置は、液晶パネルを背面側より照射するバックライトと呼ばれる光源モジュールを供えている。
【0003】
特に、光源からの光を導光部材によって面状に出射させるバックライトは、他の方式のものよりも薄型化に適していることから注目されている。バックライトの光源としては、例えばLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)が使用されている。
【0004】
導光部材を利用したバックライトとしては、例えば特許文献1に記載のものが挙げられる。
【0005】
図10は、特許文献1に記載の光源モジュール200の構成を示す断面図である。特許文献1の光源モジュール200では、導光部材201の端面201Aに導光部材201に光を結合するための光源202が配置されている。そして、導光部材201における背面201C及び光出射面201Dの少なくとも一方には、結合した光を拡散させる複数の光拡散部204Aを有する光拡散構造204が設けられている。
【0006】
光源202から出射した光は、導光部材201内部に結合し、内部で全反射を繰り返しながら伝播する。このとき、導光部材201に形成された光拡散構造204で全反射条件が破られると、導光部材201より出射する。
【0007】
特許文献1には、均一な光取り出しを実現するために、導光方向の単位寸法当たりに占める光拡散部204Aの導光方向の寸法の割合である光拡散構造204の密度が、結合端面201Aの位置から結合端面と対向する面201Bまでの導光部材201の寸法の2分の1以上の位置まで増加していることが開示されている。それと共に、結合端面201Aの位置から結合端面と対向する面201Bまでの導光部材201の寸法の2分の1以上の位置を超える領域では一定であるかもしくは減少するように、光拡散構造204を形成することが開示されている。
【0008】
また、特許文献2に開示されたバックライト装置では、導光板に形成された反射部同士の間隔が、導光板の上側から下側へ向かう方向、及び左右両側から中央側へ向かう方向で変化している。
【0009】
また、特許文献3に開示されたバックライト装置は、複数のLEDと、複数のLEDからの出射光を入射し、入射した光に拡散作用を与える拡散板とを有する。そして、複数のLEDは、所定の面上に不均一な配置密度で配置されている。
【0010】
また、特許文献4には、複数のLEDチップからなる線状光源装置が開示されている。
【0011】
また、特許文献5には、導光板の側面にライン状に配置される複数のLEDに関する技術が開示されている。特許文献5の技術によれば、複数のLEDを輝度に基づきランク分けし、中央部には輝度のランクが「高」のLEDを配置し、端部側には輝度のランクが「低」のLEDを配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第4565030号(2010年10月20日発行)
【特許文献2】特開2010−282911号公報(2010年12月16日公開)
【特許文献3】特開2010−049994号公報(2010年 3月4日公開)
【特許文献4】特開2010−015709号公報(2010年 1月21日公開)
【特許文献5】特開2006−267780号公報(2006年10月 5日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、特許文献1の光源モジュールにおいて、導光方向と垂直な方向において光拡散構造204の密度は、一定となっている。しかしながら、この構成では、導光方向と垂直な方向における導光部材201の寸法が比較的長い場合、導光方向と垂直な方向における輝度分布は、光源内の輝度バラつき、光源から入射した光の導光部材内での広がりにより影響を受ける。さらには、光拡散構造により散乱され全反射条件を満たす光は、導光部材内を導光して広がるので、この光の広がりによっても影響を受ける。それゆえ、特許文献1の光源モジュールでは、導光方向と垂直な方向において光拡散構造204の密度が一定になっている場合、画面品位が低下するという課題が残されている。この課題について、より詳細に説明する。
【0014】
一般的に、大型の液晶表示装置においては、低消費電力化と画面品位向上とを両立させるために、バックライトの輝度分布は、画面中心の輝度を高くし、周辺部の輝度を弓なりに低下させるような輝度分布としている。周辺部を弓なりに低下させる理由は、輝度分布を滑らかに低下させて輝度ムラとして視認されないようにし、画面品位を向上させることにある。したがって、バックライトの輝度分布が滑らかになっていない場合、輝度ムラとして視認され、画面品位が低下する。
【0015】
図9(a)〜(c)は、図10に示す光拡散構造204の密度を導光方向と垂直な方向において一定とした導光部材201を用いてバックライトの輝度分布を解析した結果を示す。
【0016】
図9(a)〜(c)に示されるように、導光方向と垂直な方向において一定とした導光部材201を用いたバックライトでは、輝度分布が滑らかになっておらず、所々で輝度分布が波打った形状になる。このような輝度分布は、輝度ムラとして視認されることとなり、画面品位を低下させることになる。
【0017】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、導光方向と垂直方向において、中央部で輝度が高く、中央部から周辺部へ向かうにしたがい弓なりに低下する輝度分布を実現でき、画面品位が優れた光源モジュール、並びにそれを備えた電子機器および液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本願発明者らは、導光方向と垂直方向において、中央部で輝度が高く、中央部から周辺部へ向かうにしたがい弓なりに低下する輝度分布を実現するための光拡散構造について、鋭意検討した結果、導光方向と垂直方向において光拡散構造の密度分布が極値を少なくとも3つ有していれば、上記輝度分布を実現できることを見出し、本発明に至った。
【0019】
すなわち、本発明の光源モジュールは、上記の課題を解決するために、光源と、上記光源からの光を入射する第1の端面と、該第1の端面と反対側の第2の端面と、上記第1及び第2の端面間に位置するとともに上記第1の端面からの光を出射させる出射面とを有する導光部材と、上記第1の端面から導光部材内部へ導光する光を拡散させる複数の光拡散部で構成され、上記出射面およびその反対側の背面の少なくとも一方に形成された光拡散構造と、を備え、上記出射面側から見て、第1の端面から第2の端面へ向かう方向を第1の方向とし、上記第1の方向に垂直な方向を第2の方向としたとき、上記光拡散構造の密度分布は、上記第2の方向において、極値を少なくとも3つ有することを特徴としている。
【0020】
ここでいう「極値」とは、光拡散構造の密度分布を曲線の関数として近似したとき、接線の傾きが0となるときの値であり、「極大値」及び「極小値」を包含する。また、「光拡散構造の密度分布」は、「光拡散部のドット径分布」、「隣り合う光拡散部の中心間距離の分布」を包含する。
【0021】
上記の構成によれば、上記出射面側から見て、第1の端面から第2の端面へ向かう方向を第1の方向とし、上記第1の方向に垂直な方向を第2の方向としたとき、上記光拡散構造の密度分布は、上記第2の方向において、極値を少なくとも3つ有するので、導光方向と垂直方向において、中央部で輝度が高く、中央部から周辺部へ向かうにしたがい弓なりに低下する輝度分布を実現し、画面品位が優れた光源モジュールを提供することができる。
【0022】
特に上記光拡散構造の上記第2の方向における密度分布は、上記導光部材の上記第2の方向の中央部に極大値を有し、上記極大値を挟んで上記第2の方向の両側に極小値を有することが好ましい。
【0023】
また、本発明の光源モジュールでは、上記光拡散構造の上記第2の方向における密度分布は、上記導光部材における上記第2の方向両端部の近傍に極小値が存在し、当該極小値に対応する上記第2の方向の位置から上記第2の方向の端部へ向かうにしたがって密度が大きくなっている。
【0024】
より具体的には、本発明の光源モジュールでは、上記第2の方向における上記導光部材の寸法をHとしたとき、上記光拡散構造の上記第2の方向における密度分布の極小値は、上記導光部材の上記第2の方向の両端部からH/3までの領域に存在することが好ましい。
【0025】
上記の構成によれば、上記光拡散構造の上記第2の方向における密度分布の極小値は、上記導光部材の上記第2の方向の両端部からH/3までの領域に存在するので、上記導光部材の第2の方向の両端から取り出される光量が低下するのを抑制することができる。その結果、上記の構成によれば、例えばガウス分布や2次関数といった滑らかな輝度分布を実現することができる。
【0026】
本発明の光源モジュールでは、上記光拡散構造の上記第2の方向における密度分布は、極小値を有し、上記極小値前後での密度変化率は、上記第1の方向において変化しており、上記導光部材の上記第1の方向の中央部と上記第2の端面との間に最大値が存在することが好ましい。
【0027】
上記の構成によれば、上記極小値前後での密度変化率は、上記第1の方向において変化しており、上記導光部材の上記第1の方向の中央部と上記第2の端面との間に最大値が存在しており、光拡散構造の密度分布は、上記第2の方向に加え上記第1の方向における光の広がりを考慮した分布となっている。それゆえ、上記の構成によれば、導光部材の上記第1の方向の各箇所においても、上記第2の方向の輝度分布について、ガウス分布や2次関数といった滑らかな分布を実現することができる。
【0028】
本発明の光源モジュールでは、隣り合う上記光拡散部同士の中心間距離をpとし、上記導光部材の厚さをtとしたとき、上記pは、下記式(1)、
p≦2.5t/3 ・・・式(1)
を満たすことが好ましい。
【0029】
上記の構成によれば、上記光拡散部が光源モジュール上で視認されることを抑制することができるため、画面品位がさらに優れた光源モジュールを実現することが可能になる。
【0030】
なお、隣り合う上記光拡散部同士の中心間距離pが一定でない場合、隣り合う上記光拡散部同士の中心間距離の最大値pmaxを上記式(1)に当てはめればよい。すなわち、導光部材の厚さをtとしたとき、pmaxは、下記式(1’)、
max≦2.5t/3 ・・・式(1’)
を満たせばよい。
【0031】
本発明の光源モジュールでは、上記出射面の単位面積に占める上記光拡散構造の密度は、0.4%/unit以上、67%/unit以下であることが好ましい。
【0032】
上記の構成によれば、光拡散部が視認されることを抑制しつつ、光拡散部同士の間隔を一定値以上とることができる。光拡散部間の間隔を一定値以上にすることにより、スクリーン印刷などの方法で光拡散部を形成する場合、滲み・擦れなどの影響で光拡散部同士がくっついてしまうことがなくなる。このため、上記の構成によれば、画面品位の向上とともに、歩留まり、光学特性等が向上した光源モジュールを提供することができる。
【0033】
本発明の光源モジュールでは、隣り合う上記光拡散部同士の中心間距離をpとしたとき、pは、一定であることが好ましい。
【0034】
光拡散部同士の間隔(ピッチ)を制御して光拡散構造の密度を制御する場合、モアレと呼ばれるスジ状のムラが出現することがある。その結果、光源モジュールの光学特性が低下してしまうおそれがある。
【0035】
上記の構成によれば、隣り合う上記光拡散部同士の中心間距離pは、一定であるため、モアレと呼ばれるスジ状のムラを取り除くことができ、滑らかな輝度分布を実現することができる。
【0036】
本発明の電子機器は、上記の課題を解決するために、上述の光源モジュールを備えたことを特徴としている。
【0037】
また、本発明の液晶表示装置は、上記の課題を解決するために、上述の光源モジュールを備えたことを特徴としている。
【0038】
上記の構成によれば、上述の光源モジュールを備えているので、導光方向と垂直方向において、中央部で輝度が高く、中央部から周辺部へ向かうにしたがい弓なりに低下する輝度分布を実現し、画面品位が優れた電子機器及び液晶表示装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の光源モジュールは、以上のように、光源と、上記光源からの光を入射する第1の端面と、該第1の端面と反対側の第2の端面と、上記第1及び第2の端面間に位置するとともに上記第1の端面からの光を出射させる出射面とを有する導光部材と、上記第1の端面から導光部材内部へ導光する光を拡散させる複数の光拡散部で構成され、上記出射面およびその反対側の背面の少なくとも一方に形成された光拡散構造と、を備え、上記出射面側から見て、第1の端面から第2の端面へ向かう方向を第1の方向とし、上記第1の方向に垂直な方向を第2の方向としたとき、上記光拡散構造の密度分布は、上記第2の方向において、極値を少なくとも3つ有する構成である。
【0040】
また、本発明の電子機器は、以上のように、上記光源モジュールを備えた構成である。
【0041】
また、本発明の液晶表示装置は、以上のように、上記光源モジュールを備えた構成である。
【0042】
それゆえ、導光方向と垂直方向において、中央部で輝度が高く、中央部から周辺部へ向かうにしたがい弓なりに低下する輝度分布を実現し、画面品位が優れた光源モジュール、並びにそれを備えた電子機器および液晶表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の一形態に係る液晶表示装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す導光部材に形成された複数の光拡散部からなる光拡散構造の概略構成を示す模式図である。
【図3】光拡散部(ドット)の配列の一例を示す平面図であり、(a)は正方格子状の配列を示し、(b)は六方格子状の配列を示す。
【図4】ドット間隔の最大値(pmax)と輝度分布との関係を示すグラフであり、(a)は、ドット間隔の最大値(pmax)=2mm、導光部材130の厚さt=3.0mmの場合を示し、(b)は、ドット間隔の最大値(pmax)=3mm、導光部材130の厚さt=3.0mmの場合を示す。
【図5】ドット間隔pと輝度ムラとの関係を示すグラフである。
【図6】導光部材に形成された光拡散部のドット径分布を示し、(a)はz方向から見たドット径分布であり、(b)は、(a)におけるD−D’線断面でのドット径分布を示すグラフであり、(c)〜(e)はそれぞれ、(a)におけるA−A’線断面、B−B’線断面、及びC−C’線断面でのドット径分布を示すグラフである。
【図7】図1に示す光源群の輝度分布を説明するためのグラフである。
【図8】図6(a)〜(e)に示した光拡散構造の密度分布を有する導光部材を用いてバックライトの輝度分布を解析した結果を示し、(a)は輝度分布を2次元的に示した平面図であり、(b)は、(a)におけるI−I’断面及びII−II’断面での輝度分布を表したグラフであり、(c)は(a)におけるIII−III’断面及びIV−IV’断面での輝度分布を表したグラフである。
【図9】光拡散構造の密度を導光方向と垂直な方向において一定とした導光部材を用いてバックライトの輝度分布を解析した結果を示し、(a)は輝度分布を2次元的に示した平面図であり、(b)は、(a)におけるI−I’断面及びII−II’断面での輝度分布を表したグラフであり、(c)は(a)におけるIII−III’断面及びIV−IV’断面での輝度分布を表したグラフである。
【図10】特許文献1に記載の光源モジュールの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置について図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰返さない。なお、実施形態の説明において、説明の便宜上、上、下、左、右の表現を用いるが、これらの表現は示した図に基づくものであって発明の構成を限定するものではない。
【0045】
下記の実施形態においては、電子機器の一例として液晶表示装置について説明するが、本発明の形態は、液晶表示装置に限られず、光源モジュール(バックライト)からの光を利用する電子機器であればよい。
【0046】
(液晶表示装置100の構成)
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置100の概略構成を示す分解斜視図である。
【0047】
図1に示すように、液晶表示装置100は、ベゼル102、シャーシ101、反射シート110、導光部材130、積層シート群150、液晶表示パネル170、光源群103および制御部160を備えている。ベゼル102とシャーシ101との間には、下(シャーシ101側)から順に、反射シート110、導光部材130、積層シート群150および液晶表示パネル170が配置されている。また、導光板部材130の側方に、光源群103が配置されている。光源群103および液晶表示パネル170は、制御部160に接続されている。
【0048】
バックライト120は、反射シート110と、導光部材130と、積層シート群150と、光源群130とを備えている。図4に示すように、本実施形態においては、導光部材130は、略平板状となっている。
【0049】
光源群103は、導光部材130の短手方向の一方の側に配置されており、光源としての複数のLED(Light Emitting Diode)を備えている。これらLEDは、互いに間隔を置いて回路基板に実装されている。
【0050】
本実施形態において、光源群103は、導光部材130における短手方向の一方の側のみに配置されている。しかし、光源群103は、導光部材130の短手方向の他方の側にも、配置されていてもよい。すなわち、光源群103は、導光部材130における短手方向の両側に配置されていてもよいし、何れか一方の側のみに配置されていてもよい。
【0051】
また、光源群103は、導光部材130における長手方向の一方の側、または両側に配置されていてもよい。
【0052】
導光部材130は、複数のLEDと対向する位置に入射面130A(第1の端面)を有する。光源群103のLEDから出射した光は、導光部材130の入射面130Aに入射するようになっている。また、導光部材130は、入射面130Aに隣接する出射面130Bを有している。この出射面130Bは、入射面130Aを導光部材130の側面としたとき、上面となる位置にある。ここで、図2に示す導光部材130の主表面130Cにおいて、入射面130A(第1の端面)から側面130F(第2の端面)へ向かう方向をx方向(第1の方向)とする。また、導光部材130の法線方向をz方向とする。x方向及びz方向の両方に垂直な方向をy方向(第2の方向)とする。x方向は、「導光方向」とすることができる。この「導光方向」は、光源群103に備えられたLEDの出射光の光軸方向であるといえる。また、z方向は、出射面130Bの法線方向であるともいえる。
【0053】
また、導光部材130は、出射面130Bと背向する主表面130C(背面)を有している。また、導光部材130は、出射面130A及び主表面130Cに隣接する、側面130Dおよび側面130Eを有している。側面130D及び側面130Eは、互いに対向している。主表面130C及び出射面130Bの少なくとも一方には、後述する光拡散構造104が形成されている。
【0054】
導光部材130の内部では、入射面130Aから入射した光が、該入射面130Aと反対側の側面130F(第2の端面)へ向かって導光するようになっている。具体的には、入射面130Aから入射した光は、出射面130Bおよび主表面130Cの間、並びに側面130Dおよび側面130Eの間において、全反射させつつ導光部材130の内方に伝播する。そして、主に出射面130Bで全反射条件が破れて出射する。
【0055】
以下、バックライト120に備えられた各種部品について、詳細に説明する。
【0056】
光源群103を構成する光源としては、LEDに限られず、蛍光管およびその他の光源を採用することができる。
【0057】
また、反射シート110は、例えば、ポリエステルから構成されている。より具体的には、発泡PET(Polyethylene Terephthalate)から構成されており、光の反射特性を有する。反射シート110は、導光部材130の主表面130Cから漏れた光を反射し、導光部材130内に戻す機能を有している。
【0058】
積層シート群150は、拡散シートと複数のプリズムシートとを含む。積層シート群150は、導光部材130から出射する光の輝度ムラを抑制するとともに、導光部材130からの光を集光して液晶表示パネル170に向けて出射する機能を有している。
【0059】
液晶表示パネル170は、アクティブマトリックス基板と、カラーフィルタと、対向基板と、アクティブマトリックス基板および対向基板の間に封入された液晶とを含む。アクティブマトリックス基板には、複数のTFT(thin film transistor)素子が形成されている。液晶表示パネル170は、積層シート群150から出射した光を入射し、画像を表示する機能を有する。
【0060】
制御部160は、表示する画像データに基づいて、液晶表示パネル170の各TFT素子のON/OFFを切り替える。また、制御部160は、液晶表示パネル170に映像信号を印加し、この印加のタイミングに同期させて、複数のLEDの各々を順次消灯させる。これにより、液晶表示パネル170において、1フレーム内に発光期間と非発光期間とを設けることができるため、画像表示と黒表示とを交互に行うことができる。
【0061】
ベゼル102は、液晶表示パネル170の表示領域を視認可能にする窓部を有している。
【0062】
(導光部材130の構成)
以下、導光部材130について詳細に説明する。
【0063】
図2は、導光部材130に形成された複数の光拡散部104Aからなる光拡散構造104の概略構成を示す模式図である。なお、図2では、光拡散構造104を構成する複数の光拡散部104の粗密状態を強調して示している。
【0064】
図2に示されるように、主表面130Cには、複数の光拡散部104Aからなる光拡散構造104が形成されている。本実施形態においては、光拡散構造104を構成する複数の光拡散部104Aは、互いに一定の間隔で離間しドット状に形成されている。なお、ここでいう「間隔」とは、互いに隣り合う光拡散部104Aにおける、中心同士の間隔を意味し、「ピッチ」ともいえる。
【0065】
ここで、光拡散構造104における光拡散部104Aの密度(以下、単に光拡散構造104の密度とする)は、ドットを印刷する場合、ドット径若しくはドットの間隔(隣り合うドットの中心間距離))、またはドット径及びドットの間隔の両方を変えることで調整を行うことが考えられる。光拡散部104Aがドット状である場合、ドット径が大きく、かつドットの間隔が詰まっているほど、光拡散構造104の密度は「密」である。一方、ドット径が小さく、かつドットのピッチが広いほど、光拡散構造104の密度は、光拡散構造は「疎」となる。
【0066】
ドット間隔を調整して光拡散構造104の密度を制御する場合、ドット間隔とプリズムシートとの関係で「モアレ」と呼ばれるスジ状のムラが出現して、画面品位を低下させることがある。このため、光拡散構造104の密度を制御する場合は、ドット間隔を一定とし、ドット径を調整することが好ましい。
【0067】
(光拡散部104A(ドット)の配列)
図3(a)及び(b)は、光拡散部104A(ドット)の配列を示す平面図である。図3(a)に示されるように、光拡散部104Aは正方格子状に配列されていてもよい。また、図3(b)に示されるように、六方格子状に配列されていてもよい。また、光拡散部104Aの配列としては、図3(a)及び(b)に示された配列以外にも、様々な配列を適用することができる。
【0068】
また、隣り合う光拡散部104A(ドット)の中心間距離(以下、ドット間隔とする)pは、導光部材130の厚さをtとすると、下記式(1)、
p≦2.5t/3 ・・・式(1)
を満たすことが望ましい。上記式(1)を満たすようなパターンピッチでドットを配列することによって、ドットが視認されることを抑制することができる。このため、画面品位に優れた光源モジュールを実現することができる。
【0069】
ここで、ドットの配列が図3(a)のような正方格子状の配列である場合、ドット間隔pは、正方格子の対角線の長さ及び正方格子2つ分の距離となり、一定でない。このような場合、ドット間隔pの最大値pmax(正方格子2つ分の距離)を上記式(1)に当てはめればよい。すなわち、ドット間隔pが一定でない場合、光拡散部104Aのドット間隔の最大値をpmaxとし、導光部材130の厚さをtとしたとき、pmaxは、下記式(1’)、
max≦2.5t/3 ・・・式(1’)
を満たせばよい。
【0070】
次に、上記式(1’)についてさらに詳述する。図1に示されるバックライト120において、光拡散部104A(ドット)が視認されるか否かは、各光拡散部104Aから放射される光が導光部材130の真上でどのような輝度分布を形成するかに影響する。
【0071】
本願発明者らは、上記の点について数多くの解析・実験を行った結果、バックライト120において輝度ムラが視認される原因となる主な要素は、輝度ムラの大きさだけでなく、輝度ムラの変化の度合い(輝度分布の傾き)であることが明確にした。そして、この結果に基づき、輝度ムラが目視されない(視認されない)条件として、輝度ムラにおける輝度分布の傾きが1.0%/mm以下であれば輝度ムラとして視認されにくいことを導き出した。
【0072】
換言すると、各光拡散部104A(ドット)を、光を発する(散乱する)光源としてとらえたとき、光拡散構造104は、ドット間隔(ピッチ)pで並んだ光源の集合体であると考えることができる。そして、これら光源(光拡散部104A)がt(導光部材130の厚さ)だけ離れた位置で比較的均一な輝度分布(輝度ムラが1.0%/mm以下)を実現していれば、光拡散部104A(ドット)は目視されることがないことになる。その結果、画面品位を向上させることが可能になる。
【0073】
図4は、ドット間隔の最大値(pmax)と輝度分布との関係を示すグラフである。図4(a)は、ドット間隔の最大値(pmax)=2mm、導光部材130の厚さt=3.0mmの場合を示す。また、図4(b)は、ドット間隔の最大値(pmax)=3mm、導光部材130の厚さt=3.0mmの場合を示す。図4(a)及び(b)のグラフでは、各ドットの輝度分布を点線で示し、各ドットの輝度分布同士を足し合わせたトータルの輝度分布を実線で示している。なお、上記トータルの輝度分布は、導光部材130内部で光拡散構造104によって散乱する光が出射面130Bから出射したときの輝度分布であるといえる。
【0074】
図4(a)に示されるように、ドット間隔の最大値(pmax)=2mm、導光部材130の厚さt=3.0mmの場合、実線で示されるトータルの輝度分布は、略フラットな分布になる。これに対し、図4(b)に示されるように、ドット間隔の最大値(pmax)=3mm、導光部材130の厚さt=3.0mmの場合、トータルの輝度分布には、5%程度の輝度ムラが出現する。この図4(b)に示された輝度ムラは、輝度分布の傾きに換算すると、3.3%/mmであり、視認される輝度ムラとなる。また、この輝度ムラは、各ドットの輝度分布(点線の分布)に対応して存在しているので、ドットが視認されることを意味する。
【0075】
なお、念のため付記すると、ドット間隔pに最大値pmaxがある場合について説明したが、ドット間隔pが一定である場合でも同様の結果となることは明らかである。
【0076】
次に、ドット間隔pを変えたときに、どの程度の輝度ムラが現れるのかを計算した。計算結果を図5に示す。図5は、ドット間隔pと輝度ムラとの関係を示すグラフである。図5から、ドット間隔p=2.5mm付近では、輝度分布の傾きが1.0%/mm以下となり、ドットが視認されないことがわかる。
【0077】
なお、図4(a)及び(b)、並びに図5のグラフは、導光部材130の厚さt=3.0mmの場合のグラフである。導光部材130の厚さtを変えた場合においても、導光部材130の厚さtとドット間隔pとの関係は、相似的に成り立つ。
【0078】
本願発明者らは、以上のように説明したドット間隔pと輝度ムラとの関係から、上記式m(1’)を導き出した。よって、ドット間隔の最大値(pmax)について、上記式(1’)を満たすように設定することによって、ドットが視認されることを抑制し、画面品位を向上させることが可能になる。また、同様に、ドット間隔pが一定である場合、ドット間隔pについて、上記式(1)を満たすように設定することによって、同様の効果を奏することは明らかである。
【0079】
また、上記式(1)を満たすように配置されたドットの単位面積(単位セル)当たりの密度は、0.4%/unitと67%/unitとの間(0.4%/unit以上、67%/unit)に調整されることが望ましい。ドットの単位面積当たりの密度を67%/unit以下とすることにより、ドット同士の距離(ドット間隔(ピッチ)p−ドット直径)を0.1mm以上とすることができる。このため、例えばスクリーン印刷等の方法で光拡散部104A(ドット)を形成する場合、滲み、擦れなどの影響でドット同士がくっついてしまうことがなくなる。このため、歩留まり、画面品位、光学特性などが向上する。また、ドットの単位面積当たりの密度が67%/unitよりも大きい場合、光拡散部103Aを構成する材料等の吸収を受け易くなり、大きな色変化がおきる。このため、光拡散部103Aは、密度が濃い箇所と密度が薄い箇所とが発生し、色ムラが発生する。
【0080】
また、ドットの単位面積当たりの密度を0.4%/unit以上とすることにより、ドット径の寸法が小さくなりすぎることを抑制できる。このため、例えばスクリーン印刷等の方法で光拡散部104A(ドット)を形成することが容易になる。
【0081】
なお、上記単位面積(unit)とは、図3における最小ピッチで囲まれる範囲の面積を意図する。例えば図3(a)に示された構成では、単位面積は、pmaxの半分の長さを1辺とする正方形の面積である。また、図3(b)に示された構成では、pを1辺とする正三角形の面積である。
【0082】
また、図2に示された構成では、光拡散構造104は、導光部材130の主表面130Cに形成されているが、主表面130C及び出射面130Bのどちらに形成されていてもよく、主表面130C及び出射面130Bの両方に設けられていてもよい。但し、出射面130B側に光拡散構造104が形成されている場合、ドット間隔の最大値(pmax)が上記式(1)を満たしていたとしても、光拡散構造104からバックライト120の直上部分までの距離が近くなる。それゆえ、光拡散構造104を構成する複数の拡散部104A(ドット)が液晶パネル170を通して目視されるおそれがある。したがって、光拡散構造104は、導光部材130の出射面130Bよりも、出射面130Bと対向する主表面130Cに形成されていることが好ましい。
【0083】
光拡散部104Aは、例えば、光散乱微粒子をポリマー中に分散させて、その後、ポリマーを主表面130Cにスクリーン印刷することにより形成されている。光散乱粒子として蛍光体を用いてもよい。また、主表面130Cに、プリズムなどの微細な凹凸形状を形成することにより、光拡散部104Aを構成してもよい。さらに、主表面103Cに、ブラスト処理を施すことにより、光拡散部104Aを構成してもよい。
【0084】
主表面130Cに形成された光拡散部104Aは、導光部材130内を伝播する光の光路を変更する機能を有する。具体的には、導光部材130内を伝播する光は、主表面130Cの光拡散部104Aに入射することにより拡散されて、導光部材130内を進む方向が変わる。その結果、光拡散部104Aで拡散された光の少なくとも一部は、出射面130Bで全反射せずに、出射面130Bから外部に出射する。
【0085】
よって、本実施形態のバックライト120においては、光拡散部130Aを導光部材130の主表面130Cのどの位置に、どの程度の密度で配置するかによって、出射光の輝度分布を制御することができる。すなわち、導光部材130Aからの出射光の輝度分布は、主表面130Aに形成された光拡散構造104の密度分布によって制御される。以下、本実施形態のバックライトの特徴点である、光拡散構造104における光拡散部104Aの密度分布(印刷パターン)について、説明する。
【0086】
(光拡散構造104における光拡散部104Aの密度分布について)
図6は、導光部材130に形成された光拡散部104Aのドット径分布を示し、図6(a)はz方向から見たドット径分布であり、図6(b)は、図6(a)におけるD−D’線断面(画面中央の縦断面)でのドット径分布を示すグラフであり、図6(c)〜(e)はそれぞれ、図6(a)におけるA−A’線断面、B−B’線断面、及びC−C’線断面(ともに画面の横断面)でのドット径分布を示すグラフである。また、図6(a)〜(e)では、導光部材130の寸法として、60型の液晶表示装置に使われる導光部材130の大きさ(例えば1330mm×765mm程度の大きさ)を示している。
【0087】
本実施形態においては、複数の光拡散部104Aからなる光拡散構造104は一定間隔においてドット状に形成された構造になっている。したがって、図6(a)〜(e)に示されたドット径の分布は、光拡散構造104の密度分布をより具体的に示したものと同じである。よって、以下の説明では、ドット径の分布ではなく、光拡散構造104の密度分布として説明を行う。
【0088】
まず、導光方向に平行な方向(x方向)における(D−D’断面に平行な面での)光拡散構造104の密度分布について、説明する。
【0089】
図6(a)では、光拡散構造104の密度分布を2次元的に表している。そして、密度の大小を濃淡で示している。図6(a)において、色が濃い箇所は密度が小さい箇所であり、色が淡い箇所は密度が大きい箇所である。また、図6(a)には、分かり易くするため、密度の大小を等高線でも示している。
【0090】
図6(b)に示されるように、導光方向と平行な方向(D-D’断面)において、光拡散構造104は、入射面130A側から導光方向(側面130F側)へ向かうにしたがって、密度が大きくなるように形成されている。入射面130Aから導光部材130内部に入射した光は、入射面130Aから離れるにつれて、拡散して輝度が減衰する。そこで、上記のように、入射面130Aから離れるにつれて、光拡散部104Aのドット径を大きくすることにより、出射面130Bから出射される光の輝度のばらつきの発生を抑制することができる。言い換えれば、入射面130Aから離れるにつれて光拡散構造104の密度を高くすることにより、出射面130Bから出射される光の輝度のばらつきの発生を抑制することができる。
【0091】
なお、図6(b)に示されるように、光拡散構造104の密度分布は、入光面130Aと対向する面(側面130F)付近において減少している。これは、入射面130Aと対向する面からの反射光を考慮して設計した結果である。入射面130Aと対向する面付近では、入射面130A側から光が導光するとともに、対向する面(側面130F)から光が反射する。この反射光は、光拡散構造104にて散乱して出射面140Bから出射する。それゆえ、光拡散構造104の密度分布は、入射面130Aと対向する面付近で密度が減少するように設定される。
【0092】
図6(a)〜(e)に示されるように、光源群からの光を導光部材130の片側のみから光結合させる構成では、光拡散構造104により取り出されなかった光は、入射面130Aと対向する面(側面130F)から放射される。それゆえ、対向面(側面130F)には反射部材等が設けられていることが好ましい。これにより、側面130Fからの光の放射を防止するととともに、側面130Fから導光部材130内部へ光を再度反射させることができる。その結果、この反射光を再結合させることで光利用効率を向上させることができる。
【0093】
また、導光部材130における導光方向の両端に光源群が配置された場合、光拡散部104Aのドット径は、導光方向と平行な方向(D−D’線方向)において、導光部材130の中央部付近で密度が最大となるように形成される。すなわち、光拡散構造104の密度は、導光部材130の中央部付近で高くなる。これにより、出射面130Bから出射される光の輝度のばらつきの発生を抑制することができる。
【0094】
次に、導光方向と垂直な方向(y方向)における光拡散構造104の密度分布について、説明する。
【0095】
図6(c)〜(e)に示されるように、導光方向と垂直な方向における光拡散構造104の密度は、3つ以上の極値を有する分布になるように形成されている。ここでいう「極値」とは、光拡散構造104の密度分布を曲線の関数として近似したとき、接線の傾きが0となるときの値であり、「極大値」及び「極小値」を包含する。図6(c)〜(e)の「矢印」で示した位置が極小値に対応する。
【0096】
図6(c)〜(e)に示されるように、光拡散構造104の密度分布は、A−A’断面、B−B’断面、及びC−C’断面において、中央部に極大値をもつことが望ましい。これは、次の理由による。すなわち、バックライトの輝度分布は、低消費電力化、及び画面品位向上を実現するために、y方向の中央部の輝度を高くし、周辺部の輝度を滑らかに低下させることが要求されるためである。よって、導光部材130におけるy方向の中央部で光拡散構造104の密度を大きくする必要がある。
【0097】
また、光拡散構造104の密度分布は、導光部材130におけるy方向の両端面(図1及び2に示す側面130D・130E)から300〜440mmまでの領域において、極小値があり、上記y方向の端面に向かうにしたがって密度が大きくなっている。この極小値は、導光部材130における導光方向と垂直な方向(y方向)の寸法をHとしたとき、y方向の端面からH/3までの領域内に存在することが好ましい。例えば導光部材130の寸法が上述した1330mm×765mm程度である場合、H=1330mmである。それゆえ、この場合、y方向の端面からH/3=443mmまでの領域内に、光拡散構造104の密度分布における極小値が存在することが好ましい。このような密度分布とすることで、後述するように、2次曲線やガウス分布等といった滑らかな輝度分布を実現することができる。
【0098】
また、光拡散構造104の密度が大きくなる度合い(極小値前後での密度の変化率)はx方向において変化しており、導光部材130における導光方向の中央部(B−B’線)と、入射面130Aと対向する面(側面130F)との間に最大値が存在することが好ましい。
【0099】
これは、光源群103内の輝度ばらつき、並びに光源群103からの入射光の導光部材130内部での広がり、さらには光拡散部104Aによる散乱光のうち全反射条件を満たす光が導光部材130内部を導光して広がることを考慮した結果である。以下、このことについて、詳細に説明する。
【0100】
まず、導光部材130の入射面130Aに対向配置される光源群103について説明する。光源群103の寸法は、導光部材130の幅方向(図6(a)におけるA−A’線方向;y方向)の寸法よりも小さいことが好ましい。光源群103の寸法が導光部材130の幅方向の寸法よりも大きい場合、光源群103からの入射光の中に、導光部材130に光結合しない(入射面130Aに入射しない)光が存在する。このため、光利用効率が悪くなり好ましくない。また、導光部材130に光結合しない光は、迷光となって図1に示すシャーシ101等で反射する。そして、この反射光が側面130D・130Eから導光部材130と再度光結合すると、バックライトの周辺部が明るくなり、画面品位が低下してしまうため好ましくない。よって、光源群103の寸法は、導光部材130の幅方向の寸法よりも小さいことが好ましい。
【0101】
その一方で、光源群103の寸法が導光部材130の幅方向の寸法よりも小さい場合、導光部材130における入射面130Aのy方向両端の領域において、導光する光量が他の領域よりも少なくなり光量差が発生するという課題が残される。上述した通り、低消費電力化、画面品位向上を実現するために、バックライトの輝度分布は、(y方向の)中央部の輝度が高く周辺部の輝度が滑らかに低下することが要求される。このため、光拡散構造104は、(y方向の)中央部が大きく周辺部が小さい密度分布となるように設計することが考えられる。しかし、単に、光拡散構造104の密度分布を周辺部が小さい分布とした場合、入射面130Aのy方向両端の領域における光量差の影響を受け、ガウス分布や2次関数といった滑らかな輝度分布を実現することが困難になる。そこで、本実施形態のバックライトでは、この光量差を補正するために、光拡散構造104の密度分布は、導光方向に垂直な方向(y方向)において、導光部材130のy方向端部近傍にて極小値が存在し、当該極小値に対応するy方向の位置からy方向端部へ向かうにしたがって密度が大きくなっている。これにより、導光部材130の幅方向(y方向)両端から取り出される光量が低下するのを抑制することができ、良好な画面品位を保つことができる。
【0102】
また、上述したように、導光部材130に光を結合する光源群103として、LED(Light Emitting Diode)が互いに間隔を置いて回路基板に実装された光源群を用いている。光源群103を構成するLEDに輝度のばらつきがあると、このLEDの輝度のばらつきに対応して、導光部材130から放射される光(出射面130Bから出射する光)にも輝度ムラが現れる。
【0103】
このような輝度ムラに対する対策として、LEDをランク分けして輝度のばらつきがないようにLEDを並列し光源群103を作製する方法が挙げられる。しかしながら、このような方法では、輝度が揃ったLEDのみしか使用することができないため、コストが高くなる。
【0104】
また、もう1つの対策として、LEDの輝度ばらつきを考慮し、光源群103の中心部に輝度が最も高いLEDを配置し、光源群103の両端に輝度が相対的に低いLEDを配置する方法が挙げられる。このような方法により、例えば図7に示されるような輝度分布を実現することができる。このような方法では、輝度ばらつきがあるLEDを効率よく用いることができるという利点がある。その一方で、入射面130Aのy方向両端の領域に入射する光の光量差の影響を受け、ガウス分布や2次関数といった滑らかな輝度分布を実現することが困難になる。このような輝度の低下は、液晶表示装置100の画面品位を低下させるため、好ましくない。
【0105】
このような場合においても、光源群103の光量差を補正するために、光拡散構造104の密度分布について、導光方向に垂直な方向(y方向)において、導光部材130のy方向端部近傍にて極小値が存在し、当該極小値に対応するy方向の位置からy方向端部へ向かうにしたがって密度を大きくすることは有効である。これにより、導光部材130の幅方向(y方向)両端から取り出される光量が低下するのを抑制することができ、良好な画面品位を保つことができる。
【0106】
次に、導光部材130に結合した光の広がり、及び光拡散構造104により散乱された光について、説明する。
【0107】
光拡散構造104により散乱された光の一部は、導光部材130内を導光し、導光方向に平行な端面(図1,2に示す導光部材130の側面130D及び130E)から出射することになる。また、光源群103の出射光は、導光部材130の面内に広がって導光する。これにより、導光部材130のy方向端部を導光する光量は、入射面130Aと対向する面(図1,2に示す側面130F)近傍部分で相対的に低くなり、y方向中央部との光量差が相対的に大きくなる。このy方向中央部との光量差を補正するために、光拡散構造104の密度分布について、導光方向に垂直な方向(y方向)において、導光部材130のy方向端部近傍にて極小値が存在し、当該極小値に対応するy方向の位置からy方向端部へ向かうにしたがって密度を大きくすることは有効である。これは、上述したように、光源群103の寸法が導光部材130の幅方向の寸法よりも小さい場合や、光源群103を形成する光源103Aに分布がある場合にも有効な構成である。
【0108】
また、本願発明者らは、バックライトの試作、評価、及び解析を行った結果、導光部材130における導光方向に垂直な方向(y方向)の寸法をHとして、光拡散構造104の密度分布の極小値が、導光部材130における導光方向に垂直な方向の両端からH/3までの領域にあることにより、2次曲線やガウス分布などの滑らかな輝度分布を実現することができることを明らかにした。
【0109】
また、上述したように、導光部材130におけるy方向端部(図1,2に示す導光部材130の側面130D及び130E)近傍を導光する光量は、入射面130Aと対向する面(図1,2に示す側面130F)近傍部分で、相対的に低くなり、かつy方向中央部との光量差が相対的に大きくなる。図6(a)を用いて説明すると、導光部材130におけるy方向端部近傍を導光する光量は、C−C’断面、B-B’断面、A−A’断面の順で小さくなり、中央部との光量差もこの順で大きくなる。
【0110】
これらの光量差を補正するため、光拡散構造104の密度が大きくなる度合い(極小値前後での密度の変化率)は、入射面130Aと対向する面(図1,2に示す側面130F)に近い部分で相対的に大きくなる。ただし、上述した通り、入射面130Aと対向する面付近では、入射面130A側から光が導光するとともに、対向する面(側面130F)から光が反射する。よって、側面130F付近(例えばA−A’断面)におけるy方向端部近傍部分とy方向中央部との光量差は緩和され、これに伴い、極小値前後での密度の変化率も緩やかになる。それゆえ、上記反射光を考慮すれば、極小値前後での密度の変化率は、x方向において変化しており、導光方向における導光部材130の中央部(図6(a)に示すB−B’線)と、入射面130Aと対向する面(図6(a)に示す側面130F)との間に最大値が存在することが好ましい。
【0111】
導光方向と垂直な方向における光拡散構造104の密度について、上述のような密度分布とすることで、導光部材130の両端から取り出される光量が低下するのを抑制することができ、良好な画面品位を保つことができる。
【0112】
また、このような光拡散構造104の密度分布は、スクリーン印刷などの方法により光拡散部104Aを形成するに際し、利点がある。
【0113】
スクリーン印刷等の方法では、一般的に、印刷方向を導光部材130における導光方向と垂直な方向(y方向)とする。そして、導光部材130に対しy方向のスクリーン印刷を行うに際し、印刷擦れ等により、摺り始め部分及び摺り終わり部分において、光拡散部104Aの寸法が数マイクロメートル〜数十マイクロメートル相対的に小さくなる。すなわち、導光部材130における摺り始め部分及び摺り終わり部分(y方向両端部)では、光拡散構造104の密度が設計値よりも小さくなる。よって、導光部材130のy方向両端部から取り出される光量が下がり、輝度が低下することがある。
【0114】
例えば図6に示された密度分布になるように、スクリーン印刷等の方法で導光部材130に対し光拡散構造104を形成する場合、その印刷方向は導光方向と垂直になるように行うことが多いため、導光方向と垂直な方向(A-A’線方向、B−B’線方向、C−C’線方向)における両端部の光拡散構造104の密度が相対的に小さくなる傾向にある。したがって、導光部材130の両端から取り出される光量が下がり、輝度が低下する。このような輝度の低下は液晶表示装置100の画面品位を低下させるため、望ましくない。
【0115】
そこで、本実施形態では、導光方向と垂直な方向(y方向)において光拡散部104Aのドット径が導光部材130の両端に向かうにしたがって大きくなるように形成されている(図6(a)〜(e))。これにより、スクリーン印刷に際し、摺り始め部分及び摺り終わり部分での拡散部104Aの寸法が数マイクロメートル〜数十マイクロメートル小さくなった場合においても、ドット径が小さく設定した場合と比較して、設計値との誤差が与える影響が少なくなる。このため、導光部材130の両端から取り出される光量が低下するのを抑制することができ、良好な画面品位を保つことができる。
【0116】
なお、図6(c)に示されるように、A−A’断面においては、光拡散構造104の密度分布(ドット径分布)は、導光部材130のy方向両端部(側面130D及び130E)付近でドット径が小さくなっている。しかしながら、A−A’断面におけるドット径分布は、C−C’断面等におけるドット径分布と比較して、全体的にドット径が大きい。このため、拡散部104Aの寸法が数マイクロメートル〜数十マイクロメートル小さくなった場合においても、設計値との誤差が与える影響は、C−C’断面よりも小さい。スクリーン印刷による擦れによる影響は、入射面130Aに近いほど大きい。このため、導光方向と垂直な方向(y方向)において、光拡散部104Aのドット径を導光部材130の両端に向うにしたがって大きくなるように形成することは、特に入射面130Aに近い部分の輝度低下の抑制、画面品位の向上に寄与する。
【0117】
図8(a)〜(c)は、図6(a)〜(e)に示した光拡散構造104の密度分布を有する導光部材130を用いてバックライトの輝度分布を解析した結果を示す。図9(a)〜(c)は、比較例として、図10に示す光拡散構造204の密度を導光方向と垂直な方向において一定とした導光部材201を用いてバックライトの輝度分布を解析した結果を示す。
【0118】
図8及び図9の(a)は輝度分布を2次元的に示した平面図であり、輝度の高低を濃淡で表わしている。図8及び図9の(a)においては、色が濃い箇所は輝度が低い箇所であり、色が淡い箇所は輝度が高い箇所である。また、図8及び図9の(a)には、等高線でも輝度の高低を示している。
【0119】
また、図8及び図9の(b)は、図8及び図9の(a)における縦方向のI−I’断面並びにII−II’断面での輝度分布を表したグラフである。また、図7及び図8の(c)は、図8及び図9の(a)における横方向のIII−III’断面並びにIV−IV’断面での輝度分布を表したグラフである。図8及び図9の(b)及び(c)のグラフにおける縦軸は輝度の相対値を表しており、横軸は図8及び図9の(a)に示す輝度分布の中心を原点として、導光部材内の位置を示している。
【0120】
図8(a)に示されるように、図6(a)〜(e)に示した光拡散構造104の密度分布を有する導光部材130を備えたバックライトは、輝度分布が楕円状の等高線となっている。この図8(a)から、画面中心から滑らかに輝度が低下していることがわかる。このことは、図8(b)及び(c)のグラフからでも明らかである。図8(b)及び(c)に示されるように、導光方向と平行なI−I’断面及びII−II’断面、並びに導光方向と垂直なIII−III’断面及びIV−IV’断面の全ての断面において、輝度分布は、原点に対し対称である。よって、滑らかな輝度分布を実現することができる。
【0121】
一方、比較例の導光部材201(導光方向と垂直な方向において光拡散構造204の密度を一定とした)を備えたバックライトでは、図9(a)に示されるように、輝度分布が綺麗な楕円状の等高線になっていない。
【0122】
図9(b)に示されるように、I−I’断面(画面中央の縦断面)での輝度分布は、原点に対し対称になっており、原点での相対輝度から滑らかに低下した分布となっている。一方、II−II’断面(画面横端の縦断面)での輝度分布は、原点に対し対称となっておらず、画面上部が画面下部と比較してやや暗くなっている。
【0123】
また、図9(c)に示されるように、III−III’断面(画面中央の横断面)での輝度分布は、中心(原点)から画面端部へ向かうにしたがって、輝度が低下した分布になっている。しかし、画面端部近傍では、輝度がそれほど低下していない。また、IV−IV’断面(画面下端の横断面)での輝度分布は、画面端部で輝度が大きくなった分布になっている。
【0124】
よって、図9(a)〜(c)に示されるように、比較例の導光部材を用いたバックライトでは、輝度分布が滑らかになっておらず、所々で輝度分布が波打った形状になる。このような輝度分布は、輝度ムラとして視認されることとなり、画面品位を低下させることになる。
【0125】
したがって、図7(a)〜(c)と図8(a)〜(c)とでバックライトの輝度分布を比較すれば、本実施の形態におけるバックライトの方が画面品位に優れていることは明白である。
【0126】
以上、説明したように、本実施の形態における光源モジュール(バックライト)は、上記説明したように導光方向と垂直な方向の光拡散構造の密度分布に3つ以上の極値を設けることにより、大型の導光部材を用いた場合においても、画面中央の輝度を大きくし、かつ画面端に向かって滑らかに輝度分布を実現することが可能になる。そのため、画面品位を向上し、消費電力、光学特性に優れた光源モジュールを実現することができるという効果を奏する。
【0127】
また、導光方向と垂直な方向、導光方向と平行な方向の両者において、ガウス分布や2次曲線などのスムーズな山なりの分布を実現することが可能となり、さらに画面品位、光学特性が向上するという効果を奏する。
【0128】
また、本発明の光源モジュールにおける光拡散部のドット間隔は、ドットが視認されない間隔となるため、画面品位、光学特性に優れた光源モジュールを実現することができるという効果を奏する。
【0129】
また、本発明の光源モジュールに形成される拡散部(ドットパターン)は、容易に印刷可能な隙間をもつ。したがって、ドットをスクリーン印刷などの方法で形成する場合、滲み、擦れなどの影響でドット同士がくっついてしまうことがなくなり、歩留まり、画面品位、光学特性などが向上するという効果を奏する。
【0130】
また、本発明の電子機器は、上記記載の光源モジュールを備えているものである。
【0131】
それゆえ、均一な輝度表示が得られる光源モジュール、画面品位の優れた液晶表示装置のような電子機器を提供することができるという効果を奏する。
【0132】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、テレビ、モニター等の液晶表示装置のバックライトに用いることができ、特に、サイドエッジ型のバックライトに適用可能である。
【符号の説明】
【0134】
100 液晶表示装置(電子機器)
101 シャーシ
102 ベゼル
103 光源群
104 光拡散構造
104A 光拡散部
120 バックライト(光源モジュール)
130 導光部材
130A 入射面(第1の端面)
130B 出射面
130C 主表面(背面)
130D 側面
130E 側面
130F 側面(第2の端面)
150 積層シート群
160 制御部
170 液晶表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
上記光源からの光を入射する第1の端面と、該第1の端面と反対側の第2の端面と、上記第1及び第2の端面間に位置するとともに上記第1の端面からの光を出射させる出射面とを有する導光部材と、
上記第1の端面から導光部材内部へ導光する光を拡散させる複数の光拡散部で構成され、上記出射面およびその反対側の背面の少なくとも一方に形成された光拡散構造と、を備え、
上記出射面側から見て、第1の端面から第2の端面へ向かう方向を第1の方向とし、上記第1の方向に垂直な方向を第2の方向としたとき、上記光拡散構造の密度分布は、上記第2の方向において、極値を少なくとも3つ有することを特徴とする光源モジュール。
【請求項2】
上記光拡散構造の上記第2の方向における密度分布は、上記導光部材の上記第2の方向の中央部に極大値を有し、上記極大値を挟んで上記第2の方向の両側に極小値を有することを特徴とする請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項3】
上記第2の方向における上記導光部材の寸法をHとしたとき、
上記光拡散構造の上記第2の方向における密度分布の極小値は、上記導光部材の上記第2の方向の両端部からH/3までの領域に存在することを特徴とする請求項2に記載の光源モジュール。
【請求項4】
上記極小値前後での密度変化率は、上記第1の方向において変化しており、上記導光部材の上記第1の方向の中央部と上記第2の端面との間に最大値が存在することを特徴とする請求項2または3に記載の光源モジュール。
【請求項5】
隣り合う上記光拡散部同士の中心間距離をpとし、上記導光部材の厚さをtとしたとき、上記pは、下記式(1)、
p≦2.5t/3 ・・・式(1)
を満たすことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の光源モジュール。
【請求項6】
上記出射面の単位面積に占める上記光拡散構造の密度は、0.4%/unit以上、67%/unit以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の光源モジュール。
【請求項7】
隣り合う上記光拡散部同士の中心間距離をpとしたとき、pは一定であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の光源モジュール。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の光源モジュールを備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項1〜7の何れか1項に記載の光源モジュールを備えたことを特徴とする液晶表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図10】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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