説明

光源モジュール及び照明装置

【課題】白熱電球のように配光範囲が広く、安価で、且つ、光利用効率の高い照明装置の光源モジュールを実現する。
【解決手段】光を出射するLED部110と、LED部110から出射された出射光の少なくとも一部を、当該出射光の出射前方に対して垂直な方向または斜め後方に放射する光方向変換素子100とを備えたLEDモジュール10は、光方向変換素子100は、光方向変換素子100の径がLED部110から遠ざかるにつれて小さくなるように、光方向変換素子100の傾斜面105が、全体として、内側へ傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光源モジュール及びそれを備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題に対する意識が高まり、白熱電球に代表される消費電力の高い照明光源から、LEDのように消費電力の低い照明光源への見直しが活発になっている。LEDは低消費電力であるだけでなく、水銀レスであるという面で見ても環境にやさしい光源であるため、従来光源の置き換えとしてLEDが用いられる事例が増えている。
【0003】
一方、LEDは指向性の高い光源であるため、従来光源のように光を全周囲に放射するものからLEDへ置き換えを行えば、それぞれの照射面の様子が大きく異なってしまう。そのため、LEDを光源とした電球を用いる場合には、その配光を白熱電球に近づけて実用性を向上させることが課題となる。このような課題を解決するために、例えば、特許文献1には、複数個のLEDとLEDからの光を拡散する蛍光体の層とが形成されたLED電球が記載されている。また、特許文献5には、複数個のLEDを立体的に設置するLEDランプが記載されている。
【0004】
このような構成により配光範囲を広げることは可能となるが、電球の美観を損なうだけでなく、構造が複雑であるため実装コストが高くなるというデメリットがある。このようなデメリットがなく、より簡易に上記の課題を解決する手段として、例えば下記のような例が挙げられる。
【0005】
第1の例は、グローブ材料として、99%に近いヘーズ値を有し、分散度60°程度(相対透過率が50%になる角度)を有する拡散性の高い樹脂、または、ガラスを使用することである。
【0006】
第2の例は、例えば、側方に光を出射するように配置された小型のLED光源を使用し、内部にドーム状のレンズ(ドーム型レンズ)を取り付けることである(例えば特許文献2)。この例では、ある程度側方に光を分散させてから、拡散性の高い樹脂またはガラスをグローブ材料として使用する。
【0007】
第3の例は、電球形照明装置のグローブ(光源カバー)内に、グローブの頂端部側に位置する反射面を形成した導光体を取り付けることである(例えば特許文献3)。LEDから出射された光は、導光体内に入射すると、導光体の側周面内面で全反射を繰り返して頂端部側に位置する反射板まで到達し、反射板付近の出射部から後方、すなわち口金方向に出射される。
【0008】
第4の例は、特許文献4や特許文献6に示すように、光学レンズを用いて光を屈折・反射させることで光を所望の範囲に放射することである。例えば、特許文献4には、LEDから照射される光の波長を変換する波長変換部材と、波長変換部材から出てくる光を集光するレンズとを備えたLED照明装置が記載されている。また、特許文献6には、発光素子と発光素子から放射される光を側面方向へ放射する光方向変換素子とを有した光源モジュールが記載されている。また、特許文献7には、透明部材の中心点付近のグレアの発生を抑制する光学素子及び発光装置が記載されている。このレンズ、光方向変換素子、または光学素子に入射した光は、レンズ、光方向変換素子または光学素子と空気の境界で臨界角以上の角度で入射すると入射角と同じ角度で全反射し伝播する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−243807号公報(平成13年9月7日公開)
【特許文献2】特開2004−343025号公報(平成16年12月2日公開)
【特許文献3】特開2009−289697号公報(平成21年12月10日公開)
【特許文献4】特開2010−129202号公報(平成22年6月10日公開)
【特許文献5】特開2010−135308号公報(平成22年6月17日公開)
【特許文献6】特開2010−239021号公報(平成22年10月21日公開)
【特許文献7】特開2010−153328号公報(平成22年7月8日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、第1の例では、グローブの拡散性により、例えばビーム角160°程度まで配光範囲は拡がるものの、側方または後方までは広げることは難しい。分散度の高い材質をグローブに用いれば分散度の低い材質と比較して配光範囲は拡がるが、分散度の高い材質は全光線透過率が低く光吸収率が高い傾向にあるため、器具効率(光利用効率)の低下が著しく、例えば80%程度になってしまう。すなわち、第1の例に拡散性の高い材質で作製したグローブを付けることにより、配光範囲は広がるが、光束の損失が20%程度生じてしまう。これにより、このような照明器具(照明装置)は、光源の明るさより低い明るさになるため、器具効率が低くなってしまう。
【0011】
また、グローブの材質を変えずに配光範囲を広げるには、光を後方に出射するために、グローブを大型化する必要がある。しかしながら、グローブを極端に大型化すると、従来の電球が収まっていた灯具に入らなくなり、単純な電球の置き換えを行うことができなくなる。
【0012】
また、電球形照明装置の熱設計において、一般にアルミニウムなどの材料からなる筐体部からの放熱を考慮することが必要となる。筐体部とは、LEDなどの光源を固定し、また、光源を駆動するための駆動回路や、駆動回路の電源などを収容するための部材である。高輝度のLEDモジュールを用いた電球形照明装置の筐体部は、光源などから生じた熱の放熱効果を高めるために表面積を大きくする必要がある。このような筐体部を用いた電球形照明装置において、グローブを大きくすることは、電球形照明装置の大型化を引き起こしてしまうため、実用的ではない。
【0013】
第2の例では、第1の例と比較して、グローブが小型でも配光範囲を広げることができる。その一方、複数のLEDの配光の調整が難しい上に、第1の例と同様、器具効率が低いといった問題がある。
【0014】
また、特許文献2に記載されているドーム型レンズ付きのLEDは、いわゆる砲弾型LEDであり、このようなLEDの場合、放熱などの観点から、高輝度のLEDでは実現できない。このように、輝度の低いLEDを用いて、高輝度の光源を実現するためには、多数のLEDを散在させる必要があるので、価格の高騰やエネルギー効率の悪化を招く。
【0015】
第3の例では、反射面(反射部)が、光源カバーの球面中心からグローブ(光源カバー)の頂端までの間隔を等分したときの中点よりもグローブの頂端側へ位置するように配設されている。なぜならば、反射面と筐体部との距離が短いと、反射面で反射した光が筐体部によって遮られてしまう範囲が大きいからである。このため、口金方向に出射した光が筐体部で遮られないようにするためには、反射面を筐体部から離して、十分な距離を確保しなければならない。一方、導光体は、その内部が中空ではなく中実である。そのため、筐体部から十分な距離を確保しようとすると導光体の重量が大きくなってしまう。また、全反射の繰り返しにより反射面に導光する導光体の部分は、口金方向に光を出射するように配光範囲を広げることに寄与しない。
【0016】
このように、第3の例では、配光範囲を拡張することに寄与しない部分が大きい導光体が広く存在するため、配光範囲は広がるが、電球形照明装置の大型化を引き起こす可能性があり、実用的ではない。
【0017】
また、一般的に導光体として用いられる透明アクリル樹脂は、例えば厚み15mmであれば透過率92%程度である。すなわち、8%程度の光は、出射されず損失してしまう。これらの損失した光は、導光体に入射する前に、入射せずに反射してしまったものであったり、導光体に入射した後、導光体内部を全反射して進む間に光吸収されてしまったりしたものである。反射面を筐体部から離して設置した場合、つまり、導光体の長さを長くし、反射面をグローブの頂端側に近づけた場合、導光体に入射した光が導光体内部を進む距離は長くなる。これにより、光の透過率は一層低下してしまい、器具効率が低下するといった問題がある。
【0018】
第4の例では、例えば特許文献4のように、レンズの形状を工夫することによって、LED照明装置の前方に対する集光性と、色むらの低減とを両立させている。しかしながら、LED照明装置の側方または後方への配光について、全く考慮されていない。特許文献6の光方向変換素子には、入射した光を側方、斜め前方および斜め後方に出射するための光反射面が形成されているが、さらに、光方向変換素子に光拡散材を含有させる構成と、上記光反射面との組み合わせによって、光の拡散性を均一化し、輝度むらの低減を図っている。この結果、この光方向変換素子は、体積全体で光が拡散するため、シミュレーションを用いた形状の設計に膨大な時間を費やしてしまうことが危惧される。また、光吸収率も透明材料のみの場合と比較して高くなってしまうため、器具効率の低下を招いてしまう。
【0019】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、白熱電球のように配光範囲が広く、安価で、且つ、光利用効率の高い照明装置の光源モジュールを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の課題を解決するために、本発明における光源モジュールは、光を出射する発光部と、発光部から出射された出射光の少なくとも一部を、当該出射光の出射前方に対して垂直な方向または斜め後方に放射する光方向変換素子とを備えた光源モジュールにおいて、当該光方向変換素子は、該光方向変換素子の径が発光部から遠ざかるにつれて小さくなるように、該光方向変換素子の外周壁が、全体として、内側へ傾斜していることを特徴としている。
【0021】
上記構成によれば、光方向変換素子は、例えば、円錐台形または略円錐台形のように、光方向変換素子の径が発光部から遠ざかるにつれて小さくなるように、該光方向変換素子の外周壁が全体として内側に傾斜している。このような光方向変換素子は、光方向変換素子に入射した光の一部を、上記外周壁の内面にて反射させ、上記出射前方に対して垂直な方向または斜め後方へ進行させる。あるいは、上記外周壁の内面にて反射した光が、上記内面と対向する内面に到達し、上記外周壁の内側から外側へ出射する場合に、屈折作用によって、光の進路を上記出射前方に対してさらに斜め後方へ変更する。したがって、本発明の光方向変換素子は、上記出射前方に対して垂直な方向または斜め後方に対する光の放射量を増大させることができる。
【0022】
なお、光方向変換素子の形状は、円錐台形及び略円錐台形に限られない。また、このような光方向変換素子の外周壁は、平面に限られず、例えば、波状のように、平面でない外周壁であってもよい。また、このような光方向変換素子の母線は直線に限られず、2次以上の高次関数で表される曲線、双曲線、または指数関数で表される曲線などの任意の曲線の一部であってもよいし、任意の曲線または直線の組み合わせであってもよい。これにより、光源モジュールは、配光範囲が広がり、より広い範囲に光を照射することができる。
【0023】
また、このような光方向変換素子は、外周壁を全体として内側へ傾斜させるという簡単な構成を採用しているため、設計が容易であり、光利用効率が高い光源モジュールを実現することができる。
【0024】
また、本発明における光源モジュールの前記光方向変換素子は、前記発光部から出射された出射光の少なくとも一部を透過させる反射面であって、出射光の少なくとも一部を、上記外周壁の内面に向けて反射させるための反射面を備えていることが好ましい。
【0025】
このような反射面を有することにより、反射面にて反射した光を、外周壁の内面に到達させるので、外周壁の内面に到達する光を増大させることができる。この結果、上述した屈折作用によって、斜め後方に放射する光を増大させることができる。これにより、光源モジュールは、より広い範囲に光を照射することができる。
【0026】
また、本発明における光源モジュールの前記光方向変換素子は、前記発光部と前記反射面との間に、前記発光部から出射された出射光が入射する入射面を更に有し、前記反射面の形状は、凹形状であり、前記入射面の形状は、凸形状であることが好ましい。
【0027】
前記光方向変換素子の強度を確保するためには、前記入射面と前記反射面との厚みは、少なくとも数mm程度確保する必要がある(例えば2mm)。しかし、光変換素子の厚みが大きくなると、光の損失は増えてしまう。凹形状の反射面との厚みを最小限確保し、より入射面と反射面との厚みを小さくするために、光を入射する入射面の形状は凸形状であることが適している。
【0028】
上記構成によれば、凸形状の前記入射面は、発光部から出射した光が屈折して前方に集中する光学作用も有している。これにより、光方向変換素子に入射した光が効率よく反射面に到達することができる。また、凸形状の入射面と凹形状の反射面との厚みを少なくすることができるため、光の損失を低減できる。また、光方向変換素子の厚みを少なくすることにより、小型化、軽量化、及び、光方向変換素子の低価格化を実現することができる。
【0029】
また、本発明における光源モジュールの前記入射面は、前記発光部を覆うための凹形状の部分を更に有しており、前記入射面の凹形状の部分は、前記入射面の凸形状の部分を囲むように設けられてもよい。
【0030】
このような構成により、発光部から出射された光がどのような方向であっても、前記光方向変換素子に光を入射することができるため、より光利用効率の高い光源モジュールを実現することができる。
【0031】
また、本発明における光源モジュールの前記光方向変換素子は、前記反射面を介さずに、前記外周壁に到達する光を、前記外周壁の内面によって、該光方向変換素子の中心に向かう方向に反射させてもよい。
【0032】
また、本発明における光源モジュールの前記光方向変換素子は、前記光方向変換素子の中心に向かう方向に反射させた光を、光が反射した外周壁の部分の対角に位置する外周壁の内面に導き、当該対角に位置する外周壁から斜め後方へ出射させてもよい。
【0033】
反射面を介さずに外周壁に到達する光は、前記外周壁の内面で反射される。この反射された光には、内面に対する入射角度によって全反射された光も含まれる場合がある。この反射された光の方向は、前記外周壁の傾きにより決定される。これにより、外周壁にて反射された光の一部は反射面より外部に出力され、一部は、光が反射した外周壁の部分の対角に位置する外周壁の部分から、斜め後方へ出射される。
【0034】
これにより、光源モジュールは、配光範囲が広がり、より広い範囲に光を照射することができる。
【0035】
また、本発明における光源モジュールの前記反射面は、発光部の中心から水平方向に遠ざかるにつれて、傾きが水平に近づく形状であってもよい。
【0036】
前記反射面に入射する光は、発光部から遠ざかるにつれて光軸に対して傾くので、反射面の傾きを水平に近づけても全反射面を形成することができる。これにより、より光方向変換素子の斜め後方へ光を反射させることができる。
【0037】
また、本発明における光源モジュールの前記光方向変換素子は、前記発光部から出射された出射光の出射前方に対して、断面円形状となるように形成されていることが好ましい。
【0038】
上記構成により、光源モジュールは、各方位に対し、均一に光を配分して出射することができる。
【0039】
また、本発明における光源モジュールの前記光方向変換素子は、更に鍔状の基台部を有していてもよい。
【0040】
また、本発明における前記基台部は、前記光方向変換素子を固定するための機構を有していてもよい。
【0041】
上記構成によれば、基台部は、ビスや爪などの手段により光方向変換素子を固定する機構を有している。また、基台部は、発光部を固定する機構部品及び当該発光部に繋がる配線を隠す機構部品を挟み込んで固定する機構を有していてもよい。このように、光変換素子及び上記機構部品をまとめて固定することができるため、安定性が増す。
【0042】
また、本発明における光源モジュールの前記光方向変換素子は、透明材料から構成されていてもよい。
【0043】
このような光方向変換素子を介することによる光損失は、拡散粒子を含有する素材と比較して少なくなるため、光利用効率の高い光源モジュールを実現することができる。
【0044】
また、本発明における光源モジュールの前記光方向変換素子は、表面の一部または全部に光拡散処理が施されていてもよい。
【0045】
上記構成によれば、光源モジュールは、光拡散性の高い材料を別個に設けることなく、高い照度でムラのない出力光を得ることができる。
【0046】
また、このような光源モジュールを照明装置に適用した際、グローブの材料や光学特性等を考慮する必要がないため、安価な照明装置を実現することができる。
【0047】
また、本発明における光源モジュールの前記発光部は、LEDであってもよい。
【0048】
このように、発光部に消費電力の低いLEDを用いることによって、消費電力の低い光源モジュールを実現することができる。
【0049】
また、上述した光源モジュールを備えた照明装置も本発明の技術的範囲に含まれる。
【発明の効果】
【0050】
本発明の光源モジュールは、光を出射する発光部と、発光部から出射された出射光の少なくとも一部を、当該出射光の出射前方に対して垂直な方向または斜め後方に放射する光方向変換素子とを備えた光源モジュールにおいて、当該光方向変換素子は、該光方向変換素子の径が発光部から遠ざかるにつれて小さくなるように、該光方向変換素子の外周壁が、全体として、内側へ傾斜していることを特徴としている。
【0051】
したがって、本発明の光方向変換素子は、上記出射前方に対して垂直な方向または斜め後方に対する光の放射量を増大させることができる。また、光源モジュールは、配光範囲が広がり、より広い範囲に光を照射することができる。また、このような光方向変換素子は、外周壁を全体として内側へ傾斜させるという簡単な構成を採用しているため、設計が容易であり、光利用効率が高い光源モジュールを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明における光源モジュールの構成を示す図である。
【図2】図1の光源モジュールを含む電球形照明装置の概略を示す図であり、(a)は、電球形照明装置の側面図を示す図であり、(b)は、電球形照明装置の上面図を示す図である。
【図3】図1の光源モジュールを通過する光の一例を示した図である。
【図4】LED部の配光曲線図である。
【図5】グローブを取り付けたLED部の配光曲線図である。
【図6】光源モジュールの配光曲線図である。
【図7】グローブを取り付けた光源モジュールの配光曲線図である。
【図8】本発明における光源モジュールの他の構成を示す図である。
【図9】図1の光源モジュールを通過する光の一例を示した図である。
【図10】図8の光源モジュールの光方向変換素子の表面の一部に光散乱処理を施したときの、光源モジュール配光曲線図である。
【図11】図8の光源モジュールの光方向変換素子の表面の全部に光散乱処理を施したときの、光源モジュール配光曲線図である。
【図12】光源モジュールの形状の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
〔実施の形態1〕
本発明の実施形態について図面に基づいて説明すると以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に限定的な記載が無い限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0054】
(電球形照明装置1の概略)
本発明の電球形照明装置(照明装置)1の概略を図2に示す。図2は、電球形照明装置1の概略を示す図であり、(a)は、電球形照明装置1の側面図を示し、(b)は、電球形照明装置1の上面図を示す。
【0055】
図2に示すように、電球形照明装置1は、LEDモジュール(光源モジュール)10、グローブ11、筐体12、口金13、及び、リフレクタ14を備えている。
【0056】
グローブ11は、LEDモジュール10を覆って保護するとともに、LEDモジュール10より放射された光を透過させる。グローブ11は、例えば、ポリカーボネート(PC)等の透明樹脂またはガラスによって形成されている。また、グローブ11は、ヘーズ値99%の光拡散性樹脂によって形成されてもよい。また、グローブ11の表面にマイクロメートルオーダーのランダムで微小な凹凸を加工してもよい。このように加工されたグローブ11は、表面構造による屈折作用で光を拡散することができる。なお、グローブ11は球面状または曲面状に形成されていることが好ましい。
【0057】
筐体12は、略円錐台形状であり、筐体12の径が小さいほうの一端に口金13が設けられ、他端にグローブ11を設けると共に、LEDモジュール10及び内部の光を効率よく反射するリフレクタ14を固定する。筐体12において、リフレクタ14を固定している端は、リフレクタ14及びLEDモジュール10を取り付けるため平坦に形成されていてもよい。
【0058】
また、筐体12は、LEDモジュール10を駆動するための駆動回路及び駆動回路に印加する直流バイアスを生成する電源(図示しない)などを収容するための部材である。筐体12は、更に、駆動回路、電源、及びLEDモジュール10から生じた熱を放熱する。なお、筐体12の形状は、一例であり、円錐台形状以外の形状であってもよい。
【0059】
口金13は、駆動回路と電気的に接続されていると共に、外部の電源につながるソケットに螺合するような、螺旋型の形状を有している。口金13は、筐体12の径が小さいほうの一端に設けられている。
【0060】
リフレクタ14は、筐体12の径が大きいほうの一端、つまり、口金13が設けられていない方の端に固定されている。リフレクタ14は、グローブ11の反射光及びLEDモジュール10の放射光を反射するための部材である。また、リフレクタ14は、図2に示すように、LEDモジュール10のLED部110(後述する)を固定するための基板押さえ141と、LED部110の上面を露出させるための開口部142と、電極113(後述する)に接続する駆動回路からの配線を通すためにリフレクタ14の上面に隆起させ、配線を固定した配線隠し143とを有している。
【0061】
また、リフレクタ14の高さは、LED部110の高さとほぼ同一となるように構成されている。なお、リフレクタ14の高さは一例であり、これに限定されない。また、開口部142の形状は、例えば、矩形状であるが、これに限定されない。
【0062】
LEDモジュール10は、光方向変換素子100と、LED部110とを備えている。
【0063】
光方向変換素子100は、LED部110から出射された出射光の少なくとも一部を、反射または屈折させることで、当該出射光の出射前方に対して垂直な方向または斜め後方に放射する。光方向変換素子100は、透過率の高い透明材料で作られており、且つ、100℃程度の熱源であるLED部110の近傍に設置するため、耐熱性が高い材料、例えば、ポリカーボネート(PC)により形成されていることが好ましい。このような光方向変換素子100を介することによる光損失は、拡散粒子を含有する素材と比較して少なくなるため、光利用効率の高いLEDモジュール100を実現することができる。
【0064】
なお、光方向変換素子100は、PCに限定されず、例えば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)に代表されるアクリル樹脂等の透明樹脂であってもよい。また、LED部110の熱源の温度はこれに限定されない。光方向変換素子100の構成については後述する。
【0065】
LED部110は、光を出射する発光部111と、発光部111を固定する基板112と、発光部111に電流を供給する電極113とを有している。また、LED部110は、筐体12上に形成されている。
【0066】
発光部111は、複数個のLED(図示せず)が互いに間隔をもって実装され、蛍光体を含んだ樹脂で封止されている。また、発光部111は、基板112上の中央部に固定されている。なお、発光部111の固定場所はこれに限定されない。このように、発光部111にLEDを使用することによって、消費電力の低いLEDモジュール10を実現することができる。
【0067】
基板112は、矩形状に形成されているが、基板112の形状はこれに限定されない。また、基板112は、筐体12上に形成されている。基板112は、リフレクタ14の基板押さえ141と嵌合されることでLED部110を固定している。
【0068】
次に、図1を参照して、光方向変換素子100の構成を説明する。
【0069】
(光方向変換素子100の構成)
図1は、LEDモジュール10の構成を示す図であり、図2(b)におけるA−A線矢視断面図である。図1に示すように、光方向変換素子100は、光方向変換素子本体部101と、基台部102とを含んでいる。
【0070】
光方向変換素子本体部101は、基台部102の上面に設けられており、光方向変換素子本体部101の径が発光部111から遠ざかる方向、つまり、図1において0°方向に向かうに従い、径が小さくなるように、光方向変換素子本体部101の傾斜面105が、全体として、内側へ傾斜するように形成されている。
【0071】
また、光方向変換素子本体部101は、凸入射面(入射面)103、出射面(反射面)104、及び、傾斜面(外周壁)105が形成されている。
【0072】
凸入射面103は、LED部110と出射面104との間に設けられ、LED部110の発光部111から出射された出射光を入射する。具体的には、出射光を入射し、屈折させて、当該出射光の出射前方となる直進方向(0°方向)に集中させる。
【0073】
出射面104は、凹形状を成している。具体的には、出射面104は、漏斗形状または朝顔形状のような、発光部111の中心から水平方向に遠ざかるにつれて、傾きが水平に近づく形状である。出射面104は、発光部111から出射された出射光の少なくとも一部を透過させる。また、出射面104は、出射光の少なくとも一部を、傾斜面105の内面に向けて反射させる。具体的には、出射面104は、図1に示す0°方向に対して垂直な90°方向または90°方向よりも180°方向に傾斜した方向に反射させる。出射面104によって反射された光には、全反射された光が含まれている場合がある。出射面104による光の全反射は、光方向変換素子100の屈折率によって定められる臨界角によって生じるか生じないかが設定され、出射面104で反射した光(反射光)の反射方向は、出射面104の傾斜角度により設定される。
【0074】
傾斜面105は、出射面104で反射した反射光を屈折させ、出射光の出射前方に対して斜め後方に放射する。また、傾斜面105は、反射光をより後方向へ放射する。これにより、反射光は光方向変換素子100の外部へと出射される。
【0075】
基台部102は、鍔状または脚状に形成されている。基台部102は、発光部111を覆うための凹形状の部分である凹入射面(入射面)106を有している。凹入射面106は、凸入射面103と同様に、LED部110の発光部111から出射された出射光を入射する。また、凹入射面106は、凸入射面103を囲むように設けられている。
【0076】
このような構成により、LED部110から出射された光がどのような方向であっても、光方向変換素子100に光を入射することができるため、より光利用効率の高いLEDモジュール10を実現することができる。
【0077】
また、基台部102は、リフレクタ14における筐体12に接触している面と対向する面に形成されている。この基台部102におけるリフレクタ14に接触している面を基台部102の下面と呼び、基台部102の下面と対向する面を基台部102の上面と呼ぶ。
【0078】
また、凹入射面106は、光方向変換素子100を固定するための機構である固定穴107を有している。固定穴107は、例えば、ビス15などを挿通させることにより、光方向変換素子100とリフレクタ14とを筐体12に強固に取り付けることができる。このように基台部102は、ビスや爪などの手段により光方向変換素子100を固定する機構を有している。
【0079】
また、凹入射面106は、発光部111を固定する機構部品及び当該発光部111に繋がる配線を隠す機構部品である配線隠し143を挟み込んで固定する機構を有している。このように、光方向変換素子100及び上記機構部品をまとめて固定することができるため、安定性が増す。
【0080】
また、基台部102の上面にはビス15の螺旋山の面と基台部102の上面とを同一の高さにするための凹形状(図示せず)が設けられていてもよい。また、基台部102の下面にはリフレクタ14の凹凸形状(図示せず)と嵌合できる形状を有していることが好ましい。
【0081】
(凸入射面103の形状について)
凸入射面103の形状は、図1に示すように凸形状である。
【0082】
仮に光方向変換素子100の入射面が凹形状で設けられている場合、入射面から入射した光は屈折して広がる。そのため、出射面104へ到達して反射する光は減少し、直接傾斜面105へ向かう光は増加する。これにより、正面斜め方向の光強度が大きくなり、後方向への光強度の増加が少なくなる。この場合、発光部111から見た光方向変換素子100の高さを低くし、半径を大きくすることにより傾斜面105に光が到達しにくくすれば、出射面104で反射する光を増やすことができ、後方向の光強度は増加する。
【0083】
一方、出射面104は、筐体12が光を遮らないように、LED部110から見てなるべく高い位置に設けられることが好ましい。出射面104が高い位置に設けられることにより、光を出射面104にて反射し、斜め後方へ打ち下ろすように光を出射しても、筐体12を避けて出射することができるからである。
【0084】
光方向変換素子100の入射面が凹形状である場合、光方向変換素子100の出射面104がLED部110より高い位置にするためには、出射面104にて反射する光を増やすために、光方向変換素子100の半径を大きくする必要がある。しかし、光方向変換素子100は、図2に示すように電球形照明装置1の中に設けられるものであるため、光方向変換素子100の半径は電球形照明装置1の大きさに制限される。そのため、半径の大きさに制限のある光方向変換素子100の入射部には凹形状は適していない。
【0085】
また、図1のように、出射面104の形状が凹形状であるとき、光方向変換素子100は、0°方向から180°方向に向けた孔が存在する。しかし、光方向変換素子100の強度を確保するためには、光を入射する入射面と出射面104との厚みは、少なくとも数mm(例えば、2mm)程度確保する必要がある。しかし、入射面と出射面104との厚みが大きくなると、光の損失は増えてしまう(例えば、PMMAの場合、2mm毎に8%の光損失)。そのため、入射面と出射面104との厚みを最小限確保し、より入射面と出射面104との厚みを小さくするために、光を入射する入射面の形状は凸形状または、平面状が適しているといえる。
【0086】
次に光方向変換素子100の入射面が平面状である場合を考察する。入射面を平面状とした場合、入射面を凸状とした場合と比べ、側面方向に向かうに従い入射面と出射面104との厚みは大きくなる。上述したように厚みが大きくなると、光の損失は増えてしまうため、光を入射する入射面の形状は、凸形状が適しているといえる。
【0087】
このように、凸入射面103の形状を凸形状にすることにより、凸入射面103と出射面104との厚みを少なくすることができるため、光の損失を低減できる。また、凸入射面103と出射面104との厚みを少なくすることにより、小型化及び軽量化を実現でき、更には、光方向変換素子100の低価格化を実現することができる。
【0088】
(LEDモジュール10の出射光の例)
次に、LEDモジュール10の出射光の例を図3に示す。図3は、LEDモジュール10を通過する光の一例を示した図である。図3に示すように、LED部110から出射した光は、光方向変換素子100を介し、光方向変換素子100の外部に出射する。図3においては、特に図3の右側方向に出射する光に注目している。
【0089】
図3に示すように、LED部110から出射した光は、凸入射面103で、屈折して正面方向へと出射方向を変える。出射面104に到達した光は、その一部が透過光22となり、残りが反射光23となる。透過光22は、LED部110から出射した光の一部が出射面104で、臨界角に満たない入射角で入射するために透過して出射する光である。
【0090】
反射光23は、出射面104で反射され、90°方向またはこの90°方向よりも鈍角な方向、つまり、180°方向に傾斜した方向に導かれ、傾斜面105から出射される光である。
【0091】
また、反射光23は出射面104のより高い面で反射することにより、筐体12に遮られる光を減ずることができる。さらに、出射面104の傾きを変えることにより、任意の方向に光を集中させることができる。そのため、出射面104は、配光をコントロールすることができる。
【0092】
透過光24は、凹入射面106の側面に入射し傾斜面105から透過して90°方向へ出射する光である。
【0093】
反射光25は、凸入射面103から入射した光が出射面104を介さずに傾斜面105に到達し、傾斜面105の内面によって光方向変換素子100の中心に向かう方向に反射された光である。
【0094】
また、反射光25は、光方向変換素子100の中心に向かう方向に反射した後、光が反射した傾斜面105の部分の対角に位置する傾斜面105の内面に導かれ、当該対角に位置する傾斜面105から斜め後方へ出射される光である。
【0095】
なお、図3に示す光は、一例であり、LEDモジュール10を通過する光はこの限りではない。
【0096】
反射光25の方向は、傾斜面105の傾きにより決定される。例えば、特許文献4に記載の、発光部111から遠いほど直径が大きい逆円錐台形状の光学レンズの場合、光学レンズの側面の傾斜面に直接光が入射すれば、その傾斜面で反射して0°方向へ出射し、正面方向の光強度が高くなるためビーム角は狭くなる。
【0097】
そこで、傾斜面105を延長してできる円錐の頂角を大きくとるように傾斜面105を傾けることにより、反射光25の一部は出射面104より外部に出力され、一部は、光が反射した傾斜面105の部分の対角に位置する傾斜面105の部分から、斜め後方へ出力される。これにより、配光範囲が広がり、より広い範囲に光を照射することができる。
【0098】
このように、光方向変換素子100から出射される光は、側方または側方より後方にも光が出射される。また、光方向変換素子100から出射される反射光23、透過光24、及び反射光25のように側方または後方へ向かう光は、グローブ11の拡散効果により更に後方へも出射される。特に、グローブ11の高さが上がることでより広範囲へ光を出射することができる。
【0099】
さらに出射面104またはグローブ11で反射され、LEDモジュール10付近に導光された光は、リフレクタ14によって更に反射させることにより、電球形照明装置1の外へ効率よく光を取り出すことができる。
【0100】
(配光範囲の比較)
従来の電球形照明装置では、LED部110の発光部111から、光の出射前方(0°方向)を中心に全方向へ光は発せられ、当該出射前方から垂直方向に近づくに従い、光の強度は低下する。すなわち、0°方向へ向かう光が最も光強度が高い。そのため、本発明における電球形照明装置1では、配光範囲を広げるために、光の強度を全方向へ分散させる。
【0101】
図4は、LED部110のみの配光特性を示す配光曲線図である。また、図5は、拡散性のグローブ11を取り付けたLED部110の配光特性を示す配光曲線図である。図6は、LED部110と光方向変換素子100とからなるLEDモジュール10の配光特性を示す配光曲線図である。図7は、グローブ11を取り付けたLEDモジュール10の配光特性を示す配光曲線図である。
【0102】
ここで、図4から図7の配光曲線図において、周方向は、各光源(LED部または、LEDモジュール)の光軸(図1における0°方向)との角度を示し、径方向は最大値を100%として相対表示した光度を示している。
【0103】
図5に示すように、LED部110に拡散性のグローブ11を取り付けることにより、LED部110から出射された光は、図4と比較して、後方(180°方向)に出射される光の割合が大きくなっている。
【0104】
また、図6に示すように、LED部110と光方向変換素子100とからなるLEDモジュール10は、0°方向に出射される光が減少し、90°方向及び90°から180°に向かう方向に出射される光が増加する。
【0105】
また、グローブ11を取り付けた、LEDモジュール10は、図7に、緩やかな配光強度の変化によって示されているように、光度のムラを軽減していることがわかる。
【0106】
このように、本発明におけるLEDモジュール10の、光方向変換素子100は、光方向変換素子100の径がLED部110から遠ざかるにつれて小さくなるように、光方向変換素子100の傾斜面105が、全体として、内側へ傾斜している。
【0107】
このような光方向変換素子100は、光方向変換素子100に入射した光の一部を、傾斜面105の内面にて反射させ、出射前方に対して垂直な方向または斜め後方へ進行させる。あるいは、傾斜面105の内面にて反射した光が、該傾斜面105の内面と対向する内面に到達し、傾斜面105の内側から外側へ出射する場合に、屈折作用によって、光の進路を出射前方に対してさらに斜め後方へ変更する。したがって、本発明の光方向変換素子100は、出射前方に対して垂直な方向または斜め後方に対する光の放射量を増大させることができる。
【0108】
また、このような光方向変換素子100は、傾斜面105を全体として内側へ傾斜させるという簡単な構成を採用しているため、設計が容易であり、光利用効率が高いLEDモジュール10を実現することができる。
【0109】
また、出射面104は、LED部110の中心から水平方向に遠ざかるにつれて、傾きが水平に近づく形状であってもよい。出射面104に入射する光は、LED部110から遠ざかるにつれて光軸に対して傾くので、出射面104の傾きを水平に近づけても全反射面を形成することができる。これにより、より光方向変換素子100の斜め後方へ光を反射させることができる。
【0110】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態(実施形態2)について、図8から図11を参照して説明する。
【0111】
本実施形態では、実施形態1にて説明した光方向変換素子100の表面の一部または全部に、光拡散処理が施されることにより、光拡散面を形成した光方向変換素子200を含むLEDモジュール20について説明を行う。なお、本実施形態において、前記実施形態1にて説明した図1と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0112】
図8は、LEDモジュール20の構成を示す図であり、図2(b)におけるA−A線矢視断面図である。図8に示すように、LEDモジュール20は、光方向変換素子200及びLED部110を備えている。また、光方向変換素子200は、光方向変換素子本体部101と、基台部102aとを含んでいる。
【0113】
また、光方向変換素子本体部101は、凸入射面(入射面)103a、出射面(反射面)104a、及び、傾斜面(外周壁)105aが形成されており、それぞれ、図1の凸入射面103、出射面104及び傾斜面105に相当する。また、基台部102aは、凹入射面(入射面)106aを有しており、これは、図1の凹入射面106に相当する。
【0114】
基台部102a、凸入射面103a、出射面104a、傾斜面105a、及び凹入射面106aは、表面の一部または全部にブラスト処理による梨地面の形成、光拡散シートの貼り付け、光拡散材の塗布などの光拡散処理が施され、それぞれ、光拡散面202、光拡散面203、光拡散面204、光拡散面205、および、光拡散面206を形成している。
【0115】
(LEDモジュール20の出射光の例)
次に、LEDモジュール20の出射光の例を図9に示す。図9は、LEDモジュール20を通過する光の一例を示した図である。図9に示すように、LED部110から出射した光は、光方向変換素子200を介し、光方向変換素子200の外部に出射する。図9においては、特に図9の右側方向に出射する光に注目している。
【0116】
図9に示すように、LED部110から出射した光は、凸入射面103aに設けられた光拡散面203および凹入射面106aに設けられた光拡散面206に入射し散乱する。その後、出射面104aに設けられた光拡散面204、傾斜面105aに設けられた光拡散面205に光が到達するたびに光は散乱され、拡がる。
【0117】
このとき、凸入射面103aおよび出射面104aには光拡散処理を施さなければ、出射面104aで反射される光の割合が増えるため、正面へ出射する光が減少し、出射面104aで反射された光は、傾斜面105aに集中する。傾斜面105aに集中した光は、光拡散面205で散乱されるため配光が拡がる。
【0118】
また、光拡散面204及び光拡散面205を設けることにより、外部に放射される光はより広い表面積で拡散される。そのため、光度のムラはより緩和される。ただし、光拡散面204で傾斜面105aへ反射する光が散乱されてしまうので、傾斜面105aに向かう光の割合は減少し、前方へ向かう光の割合が増える。
【0119】
このように、光度のムラを緩和することと配光範囲を広げることは本形態においてトレードオフの関係にあるが、光拡散処理を施す面を選択することにより光度のムラの度合いと配光範囲をコントロールすることが可能になる。また、各光拡散面において、拡散させる度合いを変えることでも光度のムラおよび配光範囲をコントロールすることができる。
【0120】
(配光範囲の比較)
図10は、図8のLEDモジュール20において、光方向変換素子200の傾斜面105aの表面のみに光拡散処理を施したLEDモジュール20の配光特性を示す配光曲線図である。また、図11は、図8のLEDモジュール20の光方向変換素子200の表面の全部に光拡散処理を施したLEDモジュール20の配光特性を示す配光曲線図である。
【0121】
図10に示すように、図6に示した配光曲線図と比べ、配光曲線は緩やかになり、光度のムラを軽減していることがわかる。
【0122】
また、光方向変換素子200の表面の全部に光拡散処理を施すことにより、図11に示すように、より緩やかな光強度の変化を示しており、光度のムラはより緩和されることがわかる。また、図11に示す配光曲線図は、図7に示した配光曲線図に近似していることがわかる。このように、グローブ11で光を拡散させなくとも、光方向変換素子200の表面で光拡散を行えば、図7で示したような配光特性に近づけることが可能である。そのため、LEDモジュール20は、光拡散性の高い材料を別個に設けることなく、高い照度でムラのない出力光を得ることができる。
【0123】
また、このようなLEDモジュール20を電球形照明装置1に適用した際、グローブの材料や光学特性等を考慮する必要がない。つまり、光拡散性のグローブ11を用いる必要がないため、透明のグローブ11等を用いることができるため、安価な照明装置を実現することができる。
【0124】
(光方向変換素子100及び光方向変換素子200の形状の例)
本実施形態1及び実施形態2において、光方向変換素子100及び光方向変換素子200の形状は円錐台形状であることを例に説明を行ったが、光方向変換素子100及び光方向変換素子200の形状はこれに限定されない。
【0125】
図12に光方向変換素子100及び光方向変換素子200の形状の例を示す。図12に示すように、光方向変換素子100及び光方向変換素子200の形状は、(a)のように円錐台形であってもよいし、(b)、(d)及び(e)に示すように、母線が直線に限られず、2次以上の高次関数で表される曲線、双曲線、または指数関数で表される曲線などの任意の曲線の一部であってもよい。また、(c)及び(f)に示すように。外周壁が波状のように、平面でなくてもよい。これにより、LEDモジュール10及びLEDモジュール20は、配光範囲が広がり、より広い範囲に光を照射することができる。
【0126】
また、本発明における光方向変換素子100及び光方向変換素子200は、LED部110出射された出射光の出射前方に対して、(a)、(b)、(d)、(e)及び(f)に示すように、断面円形状となるように形成されていてもよいし、(c)のように波状に形成されていてもよい。このような構成により、LEDモジュール10及びLEDモジュール20は、各方位に対し、均一に光を配分して出射することができる。
【0127】
なお、光方向変換素子100及び光方向変換素子200の断面と、発光部111とが平行に設置されていることが好ましい。
【0128】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、広範囲に光を照射する照明装置、特に電球形照明装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0130】
1 電球形照明装置
10 LEDモジュール(光源モジュール)
100 光方向変換素子
101 光方向変換素子本体部
102 基台部
103 凸入射面(入射面)
104 出射面(反射面)
105 傾斜面(外周壁)
106 凹入射面(入射面)
107 固定穴
110 LED部
111 発光部
112 基板
113 電極
11 グローブ
12 筐体
13 口金
14 リフレクタ
141 基板押さえ
142 開口部
143 配線隠し
15 ビス
20 LEDモジュール
200 光方向変換素子
102a 基台部
103a 凸入射面(入射面)
104a 出射面(反射面)
105a 傾斜面(外周壁)
106a 凹入射面(入射面)
202 光拡散面
203 光拡散面
204 光拡散面
205 光拡散面
206 光拡散面
22 透過光
23 反射光
24 透過光
25 反射光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する発光部と、発光部から出射された出射光の少なくとも一部を、当該出射光の出射前方に対して垂直な方向または斜め後方に放射する光方向変換素子とを備えた光源モジュールにおいて、
当該光方向変換素子は、該光方向変換素子の径が発光部から遠ざかるにつれて小さくなるように、該光方向変換素子の外周壁が、全体として、内側へ傾斜していることを特徴とする光源モジュール。
【請求項2】
前記光方向変換素子は、前記発光部から出射された出射光の少なくとも一部を透過させる反射面であって、出射光の少なくとも一部を、上記外周壁の内面に向けて反射させるための反射面を備えていることを特徴とする請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項3】
前記光方向変換素子は、前記発光部と前記反射面との間に、前記発光部から出射された出射光が入射する入射面を更に有し、
前記反射面の形状は、凹形状であり、
前記入射面の形状は、凸形状であることを特徴とする請求項2に記載の光源モジュール。
【請求項4】
前記入射面は、前記発光部を覆うための凹形状の部分を更に有しており、
前記入射面の凹形状の部分は、前記入射面の凸形状の部分を囲むように設けられていることを特徴とする請求項3に記載の光源モジュール。
【請求項5】
前記光方向変換素子は、前記反射面を介さずに、前記外周壁に到達する光を、前記外周壁の内面によって、該光方向変換素子の中心に向かう方向に反射させることを特徴とする請求項2から4の何れか1項に記載の光源モジュール。
【請求項6】
前記光方向変換素子は、前記光方向変換素子の中心に向かう方向に反射させた光を、光が反射した外周壁の部分の対角に位置する外周壁の内面に導き、当該対角に位置する外周壁から斜め後方へ出射させることを特徴とする請求項5に記載の光源モジュール。
【請求項7】
前記反射面は、発光部の中心から水平方向に遠ざかるにつれて、傾きが水平に近づく形状であることを特徴とする請求項2から6の何れか1項に記載の光源モジュール。
【請求項8】
前記光方向変換素子は、前記発光部から出射された出射光の出射前方に対して、断面円形状となるように形成されていることを特徴とする、請求項1から7の何れか1項に記載の光源モジュール。
【請求項9】
前記光方向変換素子は、更に鍔状の基台部を有していることを特徴とする、請求項1から8の何れか1項に記載の光源モジュール。
【請求項10】
前記基台部は、前記光方向変換素子を固定するための機構を有していることを特徴とする、請求項9に記載の光源モジュール。
【請求項11】
前記光方向変換素子は、透明材料から成ることを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の光源モジュール。
【請求項12】
前記光方向変換素子は、表面の一部または全部に光拡散処理が施されていることを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の光源モジュール。
【請求項13】
前記発光部は、LEDであることを特徴とする請求項1から12の何れか1項に記載の光源モジュール。
【請求項14】
請求項1から13の何れか1項に記載の光源モジュールを備えた照明装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−160666(P2012−160666A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21085(P2011−21085)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】