説明

光源ユニットおよび液晶表示装置

【課題】導光板を備えた光源ユニットにおいて、導光板の出光面におけるより広い領域をディスプレイの有効発光領域として利用可能な光源ユニットを提供すること。
【解決手段】本発明の光源ユニット1は、対向する一対の主面11a、11b及び一対の主面11a、11b間の端面11cを有する板状体であって、一対の主面11a、11bがそれぞれ出光面及び反射面であり、一つの端面11cが入光面である導光板11と、導光板11の入光面11cに光を入光するように配置されたLED13と、導光板11の出光面11a側に配置された拡散シート12とを具備し、拡散シート12は、シート状の基材と、基材の一方の主面上に設けられた不規則な凹凸パターンを有する樹脂層と、基材の一方の主面上又は他方の主面上に設けられた非透過成分率調整パターン133とを有し、非透過成分率がシート面内で不均一であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源を入光面に配した導光板を備えた光源ユニットに関し、特に、液晶表示装置の照明手段として用いられる、面内輝度の均一性に優れた液晶表示装置を実現できる光源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶表示装置は、携帯電話、PDA端末、デジタルカメラ、テレビ、パーソナルコンピュータ用ディスプレイ、ノートパソコン等の幅広い分野で利用されている。液晶表示装置においては、例えば、液晶表示パネルの背後に面状の照明装置(バックライト)を配置し、このバックライトからの光を液晶表示パネルに供給することにより、画像を表示する。このような液晶表示装置に用いられるバックライトにおいては、その表示画像を見やすくするために、液晶表示パネルに均一な光を供給することが要求される。
【0003】
バックライトとしては、光源を液晶表示パネルの背面方向に設置する直下方式、及び光源を液晶表示パネルの側面方向に設置するエッジライト方式の2種類がある。薄型表示装置のバックライトには、導光板を用いたエッジライト方式の照明装置が多く用いられている。このような照明装置の光源としては、CCFL(冷陰極管)等の線状光源とLED(発光ダイオード)等の点状光源とがあるが、低消費電力の観点から点状光源であるLEDが注目されている。
【0004】
LEDを用いたエッジライト方式の照明装置においては、導光板の入光面である端面にLEDを配置する。該導光板においては、導光板の端面から導入されたLEDの光が、導光板の2つの主面(以下、液晶表示パネルに近い側を「出光面」といい、遠い側を「反射面」という。)の間で全反射しつつ導光板内を伝播し、反射面上又は導光板内部に設けられた光反射拡散体によって反射拡散して出光面から液晶表示パネル側に出光する。
【0005】
光源からの光を反射拡散させるには、一般的には導光板の反射面に酸化チタン、チタン酸バリウム等の白色物質を直接印刷したり、白色物質が印刷されたシートを導光板の反射面に貼り合わせたりして反射拡散させる。また、導光板の反射面にパターン化された微細な凹凸を施し、この凹凸で光源からの光を出光面方向に拡散させることや、あるいは導光板内部に反射拡散物質を混入させて光源からの光を拡散させることもできる。これらの白色物質や微細な凹凸や反射拡散物質のことを、総称して「光反射拡散体」という。
【0006】
導光板に設ける光反射拡散体には、通常光源からの距離に応じた濃淡あるいは密度のグラデーションが施されている。これは、光源からの距離に応じて導光板内を伝播する光の強度が低下するのを光反射拡散体からの反射効率を向上させることで補償するためである。例えば、光反射拡散体として白色物質を印刷した場合には、光源から近い位置では導光板単位面積当たりの白色物質の被覆率が小さく、光源から遠ざかるにつれて被覆率が高くなるようなパターンが選択される。
【0007】
ところで、光源としてLEDを用いる場合、LEDには強い指向性があるため、導光板に上述のグラデーションが施された光反射拡散体を設けても、導光板面上には様々な輝度ムラが存在する。例えば、LEDから遠ざかるにつれて導光板単位面積当たりの白色物質の被覆率が高くなるグラデーションを設けた導光板では、LEDからある程度離れた出光面上では均一な輝度分布が得られるが、LEDに近接する出光面上ではLEDの直前部が極端に明るくなる。このため、LEDとLEDとの間の部分は暗くなってしまう所謂ホットスポットという輝度ムラが生じることが知られている。
【0008】
輝度ムラとしては、この他にも、導光板の入光面内において、平行に輝線と暗線とが繰り返される輝度ムラ、ボス(位置決めのために導光板上に設ける支持ピン)の影による輝度ムラ、ボスを設けることにより導光板が変形することで生じる輝度ムラ、導光板を保持するために導光板の辺などに設けた切り欠き部分で導光してきた光が反射した輝度ムラ、LEDが配置できない導光板の四隅部分の輝度ムラ、等が挙げられる。
【0009】
そこで、輝度ムラを防止するため、導光板の縁部(入光面に該当する)に切り込みを形成してLEDを配設し、このLEDを覆うように導光板の縁部に沿って反射吸収シートを設けると共に、この反射吸収シートの裏側にLEDに対応してLEDを覆うように光吸収部を設けたバックライト装置が提案されている(特許文献1)。また、導光板の入光面に複数の楕円柱状の溝が厚さ方向に陰刻された導光板が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−242817号公報
【特許文献2】特開2007−149672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1記載のバックライト装置は、LEDを覆うように設けられた光吸収部がLED近傍の光を吸収し、輝度の高かった部分の輝度を低下させて均一性を図るものであるため、LED近傍の導光板出射面とLED間の導光板出射面との輝度差は減少するものの、LEDから出射された光を有効利用することができない。また、上述したホットスポット以外の輝度ムラを十分に低減できない。
【0012】
また、特許文献2記載の導光板においては、導光板の入光面に複数の楕円柱状の溝を設け、入射光の入射角を広げることで輝度ムラの発生する領域を狭めることはできるが、入射角を広げることに物理的な限界があるため輝度ムラを完全に除去することはできなかった。そのため、導光板の出光面のうち、輝度ムラが生じた不均一な光の出光領域は有効発光領域として利用することができず、出光面の利用効率および光の利用効率として不十分なものであった。
【0013】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、導光板を備えた光源ユニットにおいて、導光板の出光面におけるより広い領域をディスプレイの有効発光領域として利用可能な光源ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上述の従来技術の課題を解決するために検討した結果、導光板上に、不規則な凹凸パターンを有する樹脂層と非透過成分率調整パターンとを有する拡散シートを配置した光源ユニットによって、上述の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は、以下の通りである。
【0015】
本発明の光源ユニットは、対向する一対の主面及び前記一対の主面間の端面を有する板状体であって、前記一対の主面がそれぞれ出光面及び反射面であり、一つの端面が入光面である導光板と、前記導光板の前記入光面に光を入光するように配置された光源と、前記導光板の前記出光面側に配置された拡散シートとを具備し、前記拡散シートは、シート状の基材と、当該基材の一方の主面上に設けられた不規則な凹凸パターンを有する樹脂層と、前記基材の前記一方の主面上又は他方の主面上に設けられた非透過成分率調整パターンとを有し、非透過成分率がシート面内で不均一であることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、導光板の出光面内における輝度ムラが生じる領域から出光された光が、拡散シートによって効果的に拡散されるので、導光板の出光面全体をディスプレイの有効発光領域として利用できる。
【0017】
本発明の光源ユニットにおいては、前記拡散シートのシート面内における非透過成分率の相対強度分布と、前記拡散シートの入光時のシート面内における照度の相対強度分布とが略等しいことが好ましい。
【0018】
本発明の光源ユニットにおいては、前記拡散シートの拡散角度が、1度〜120度の範囲であることが好ましい。
【0019】
本発明の光源ユニットにおいては、前記拡散シートの不規則な凹凸パターンを有する樹脂層が、干渉露光によるスペックルパターンにより形成されたものであることが好ましい。
【0020】
本発明の光源ユニットにおいては、前記拡散シートの非透過成分率調整パターンが、光拡散剤を含む光反射性インキ硬化物を含有することが好ましい。
【0021】
本発明の光源ユニットにおいては、前記導光板の下方に配置される反射シートを備えたことが好ましい。
【0022】
本発明の光源ユニットにおいては、前記拡散シートの上方に配置されるレンズシートを備えたことが好ましい。
【0023】
本発明の光源ユニットにおいては、前記拡散シートの上方に配置されるプリズムシートを備えたことが好ましい。
【0024】
本発明の光源ユニットにおいては、前記拡散シートの上方に配置される反射型偏光シートを備えたことが好ましい。
【0025】
本発明の液晶表示装置は、液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルに光を供給する上記光源ユニットと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、導光板を備えた光源ユニットにおいて、導光板の出光面におけるより広い領域をディスプレイの有効発光領域として利用可能な光源ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)は、本発明の実施の形態に係る光源ユニットの模式的な平面図であり、(b)は、本発明の実施の形態に係る光源ユニットの模式的な側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る光源ユニットにおける導光板の出光面の輝度ムラの説明図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る導光板の出光面の輝度ムラの他の例を示す説明図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係る拡散シートの構成例を示す断面模式図である。
【図5】(a)は、本発明の実施の形態に係る拡散シートの拡散角度の説明図であり、(b)は、拡散シートの法線方向から光が入射したときの透過光強度を示す模式的概略図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る拡散シートの非透過成分率の測定条件を示す断面模式図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る拡散シートの非透過成分率調整パターンを構成するドットの形状を例示する模式図である。
【図8】(a)〜(e)は、本発明の実施の形態に係る拡散シートの構成例を示す断面模式図である。
【図9】(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係る拡散シートにおけるドット密度の一例を示す模式図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る光源ユニットの他の構成を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施に係る複合分割パネル用バックライトユニットの一例を示す模式図である。
【図12】(a)は、本発明の実施例及び比較例に係る光源ユニットの導光板を出光面側から見たときの輝度ムラ(ホットスポット)の一例を示す写真であり、(b)は、本発明の実施例に係る光源ユニットにおいて、拡散シートによってホットスポットを低減した一例を示す写真である。
【図13】比較例に係る光源ユニットの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
本発明に係る光源ユニットは、光源、導光板、及び拡散シートを具備する。本発明に係る光源ユニットにおいては、光源が導光板の入光面に配置され、拡散シートが導光板の出光面に配置される。拡散シートは、シート状の基材と、当該基材の一方の主面上に設けられた不規則な凹凸パターンを有する樹脂層と、基材の一方の主面上又は他方の主面上に設けられた非透過成分率調整パターンとを有しており、非透過成分率がシート面内で不均一である。導光板は、出光面と、当該出光面と対向する反射面と、出光面と反射面との間に挟まれた少なくとも1つの入光面を有する。以下、図1(a)、(b)を参照して、本発明の一実施の形態に係る光源ユニットについて詳細に説明する。
【0029】
(光源ユニット)
図1(a)は、本発明の一実施の形態に係る光源ユニットの模式的な平面図であり、図1(b)は、図1(a)の側面図である。
【0030】
図1(a)、(b)に示すように、本実施の形態に係る光源ユニット1は、光源からの光を導光する導光板11と、導光板11から出光を拡散する拡散シート12とを備えており、光源としてのLED13からの光を導光板11に入光して導光し、導光板11から出光される光を拡散シート12によって拡散するように構成されている。
【0031】
導光板11は、対向する一対の主面11a、11b及び一対の主面11a、11b間の端面11c、11dを有する板状体である。導光板11の一側端面11cに近接して点状光源としてのLED13が配設されている。LED13は、導光板11の一側端面11c内に複数配設されており、各LED13から出光する光が、導光板11の側端面11cに向けて光を入光するように配設されている。導光板11の一側端面11cが、複数のLED13からの光を導光板11に入光する入光面(以下、「入光面11c」とする)となる。また、導光板11の一方の主面11aが、入光した光を導光板11から出光する出光面(以下、「出光面11a」とする)となり、他方の主面11bが反射面(出光面に対向する面:以下、「反射面11b」とする)となる。反射面11bには、導光板11内に入光した光を反射する出光面11a側に反射する光反射拡散体14が設けられている。
【0032】
このような構成の導光板11においては、LED13から出射された光は、導光板11の入光面11cから入光して、導光板11内を反射しながら伝搬する。反射面11bに到達した光が光反射拡散体14にあたった場合には反射角度が変えられて光路が出光面11aに向い、出光面11aから出光される。導光板11から出光された光は、出光面11aの上方に配設される拡散シート12により角度制御され、液晶表示パネル等の非照明体に導かれ照明光として利用される。
【0033】
図1(a)、(b)に示した光源ユニット1においては、入光面11cが一側端面11cである場合について示したが、照射したい面積やその照射強度に応じて、点状光源としてのLED13は、配置を変更してもよい。例えば、LED13は、他の側端面11dに配設してもよく、対向する2つの側端面11c、11dに配設してもよく、側端面11c、11dを含む4つの側端面すべてに配設してもよい。
【0034】
次に、図2及び図3(a)〜(d)を参照して本実施の形態に係る光源ユニット1における導光板11の出光面11aにおける輝度ムラについて説明する。図2は、本実施の形態に係る光源ユニット1における導光板11の出光面11aの輝度ムラの一例の説明図であり、図3(a)〜(d)は、導光板11の出光面11aの輝度ムラの他の例を示す説明図である。なお、図2及び図3においては、図1に示した光源ユニット1を導光板11の出光面11a側からみた模式的な平面図を示し、説明の便宜上、拡散シート12を省略して示している。
【0035】
図2に示すように、本実施の形態に係る光源ユニット1においては、LED13から導光板11の入光面11cより導光板11に入光する光の入光角度は、導光板11に入光する際に屈折により狭められる。このため、平面視にて導光板11の出光面11aには、複数のLED13の照射により相対的に照度が高い高照度領域A1と、各高照度領域A1の間において高照度領域A1に対して相対的に照度が低い低照度領域A2とが生じる。このように高照度領域A1と低照度領域A2とが生じることにより、ホットスポットと呼ばれる輝度ムラとなる。
【0036】
このように、ホットスポットが生じた場合、導光板11の出光面11aのうち、図2に示す破線L1から入光面11c側の領域A3は、輝度ムラにより有効発光領域として使用できず、破線L1から入光面11cと反対側の領域A4のみが、輝度ムラのない有効発光領域として使用できる。
【0037】
図3(a)〜(d)に輝度ムラの他の例を示す。図3(a)には、導光板11の出光面11a内において、輝線(L2参照)と暗線(L3参照)とが平行に繰り返される輝度ムラ15が生じた例を示し、図3(b)には、ボス16の影による輝度ムラ17が生じた例を示している。また、図3(c)には、LED13を導光板11の各端側面に配置した際に生じる輝度ムラの例を示している。本例においては、光源(LED13)が配置できない導光板11の四隅部分に輝度ムラ18が生じる。このムラは導光板11の四辺すべてにLEDが配置されている場合、二辺に配置されている場合、一辺にのみ配置されている場合すべてに発生する。図3(d)には、LED13からの光が導光板11に入る際に漏れたことによる輝度ムラ19を示している。この他に、使用する光源ユニットによって発生する場所や強度が異なるが、ボスを設けることにより導光板が変形することで生じる輝度ムラや、導光板を保持するために導光板の辺などに設けた切り欠き部分で導光してきた光が反射することで生じる輝度ムラがある。
【0038】
本発明者らは、光源ユニットにおいて、所定の構成を有する拡散シートを導光板の出光面側に配置することにより、導光板から出光される光を効果的に拡散することが可能となり、導光板の出光面において、必ずしも十分に輝度ムラが効果的に低減できない領域についても輝度ムラを低減して有効発光領域として使用できることを見出し、本発明をなすに至った。以下、本実施の形態に係る拡散シートについて詳細に説明する。
【0039】
〔拡散シート〕
本実施の形態に係る拡散シート12は、シート状の基材と、基材の一方の主面上に設けられた不規則な凹凸パターンを有する樹脂層と、基材の一方の主面上又は他方の主面上に設けられた非透過成分率調整パターンと、を有する。また、本実施の形態に係る拡散シート12は、非透過成分率がシート面内で不均一である。ここで、不規則な凹凸パターンは、干渉露光によるスペックルパターンを用いて形成された凹凸パターンであることが好ましい。
【0040】
図4(a)〜(c)を参照して本実施の形態に係る拡散シート12の構成の概略について説明する。図4(a)〜(c)は、本実施の形態に係る拡散シートの構成例を示す断面模式図である。図4(a)〜(c)に示すように、本実施の形態に係る拡散シート12は、一対の主面を有する基材131と、この基材131の一方の主面側に設けられ、不規則な凹凸パターンを有する樹脂層132(以下、単に「凹凸パターン層132」ともいう。)と、基材131の一方の主面側又は他方の主面側に設けられ、シート面内における非透過成分率を調整する非透過成分率調整層133とを備える。拡散シート12は、非透過成分率が相対的に高い領域(以下、「高非透過成分率領域」という)と、相対的に低い領域(以下、「低非透過成分率領域」という)とを有しており、拡散シート12のシート面内において非透過成分率が不均一になるように設けられている。
【0041】
拡散シート12の構成例としては、基材131の一方の主面上に凹凸パターン層132を設け、基材131の他方の主面上に非透過成分率調整133を設けてもよく(図4(a)参照)、基材131の一方の主面上に非透過成分率調整層133を設け、この非透過成分率調整層133上に凹凸パターン層132を設けてもよく(図4(b)参照)、基材131の一方の主面上に凹凸パターン層132を設け、この凹凸パターン層132上に非透過成分率調整層133を設けてもよい(図4(c)参照)。なお、非透過成分率調整層133は、完全に層を形成していなくともよく、後述するように、基材131の少なくとも一方の主面上において、複数の非透過成分率調整層133が互いに離間するように不均一に分布していていもよい(以下、非透過成分率調整層133を「非透過成分率調整パターン133」という)。
【0042】
拡散シート12の構成としては、基材131の一方の主面に凹凸パターン層132を設け、他方の主面に非透過成分率調整パターン133を設けることが好ましい(図4(a)参照)。この場合には、基材131を介して凹凸パターン層132と非透過成分率調整パターン133とが対向配置されるので、凹凸パターン層132と非透過成分率調整パターン133との間の距離が大きくなる。このため、凹凸パターン層132(非透過成分率調整パターン133)を透過・拡散された入射光が、基材131を透過する過程で更に拡散されて非透過成分率調整パターン133(凹凸パターン層132)に到達するので、輝度ムラ抑制効果をより効果的に発揮することができる。
【0043】
また、拡散シート12の構成としては、基材131の一方の主面に凹凸パターン層132(非透過成分率調整パターン133)、非透過成分率調整パターン133(凹凸パターン層132)を順次積層することも好ましい(図4(b)、(c)参照)。この場合には、基材131に積層された凹凸パターン層132(非透過成分率調整パターン133)によって、非透過成分率調整パターン133(凹凸パターン層132)を物理的に保護できるので、拡散シート12の強度を高めることが可能となる。
【0044】
本実施の形態に係る拡散シート12においては、拡散シート12の入光時のシート面における照度分布に応じて非透過成分率調整パターン133を設け、シート面における相対的に照度の高い領域の非透過成分率が大きくなるように制御することにより、透過光が適度に均されて拡散シート12の輝度ムラを効果的に軽減させることができる。すなわち、本実施の形態に係る拡散シート12においては、シート面内において、非透過成分率調整パターン133を不均一に設けてシート面内の所望の領域に高非透過成分率領域と低非透過成分率領域とを形成し、拡散シート12のシート面内の非透過成分率の相対強度分布と、拡散シート12の入光時のシート面内における照度の相対強度分布とを略等しくすることが好ましい。これにより、透過光の照度の分布に応じて適度に拡散できるので、輝度ムラを効果的に軽減させることができる。
【0045】
(凹凸パターン層)
このとき、本実施の形態に係る拡散シート12において、凹凸パターン層132は、ミクロ的には不規則な高さまたはピッチを有する凹凸構造を有する。また凹凸パターン層132は、拡散角度及び非透過成分率が拡散シート12のシート面内に渡って均一である。このため、後述するように不均一な非透過成分率を発現させるために形成する非透過成分率調整パターン133に対して凹凸パターン層132を位置あわせする必要がなく、製造の容易性、及び輝度ムラ低減能力に優れる。また、凹凸パターン層132の表面構造による拡散を利用できるので高透過率・高ヘーズとなり、所望の輝度ムラ抑制効果をより高輝度で実現できる。
【0046】
さらに、拡散シート12の非透過成分率調整パターン133に対して、凹凸パターン層132がある側を光出射面とする、すなわち、非透過成分率調整パターン133を入光面側、凹凸パターン層132を出光面側とすることにより、非透過成分率調整パターン133によって拡散シート12のシート面内に生じた光拡散度合いの分布が、凹凸パターン層132によって適度に均されるため、輝度ムラを効果的に軽減させることができる。
【0047】
凹凸パターン層132は、具体的には次のようにして製造することができる。まず、予め干渉露光により、コヒーレントなレーザー光が拡散板を通過した後の空間に生成する不規則な光強度分布(スペックルパターン)をレンズやマスクを介して感光性材料やフォトレジストに照射・現像し、所望のスペックルパターンの光強度に応じた凹凸を形成させたサブマスタ型を作製する。レーザー照射システムを構成する部材間の距離やサイズを変えスペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、拡散角度の範囲を制御し、異なる拡散角度をもつ凹凸構造を記録することができる。
【0048】
一般に、拡散角度の範囲は、スペックルの平均サイズ及び形状に依存する。スペックルが小さければ角度範囲が広い。また、凹凸構造の単位構造は等方性のものに限らず、異方性のものを形成することもでき、両者の複合された凹凸構造とすることもできる。スペックルが横方向の長円形であれば、拡散角度分布の形は縦方向の長円形となる。このように所望する指向角度や拡散角度に応じてスペックルパターンを決定し、その拡散角度を持つサブマスタ型を作製する。このサブマスタ型に電鋳などの方法で金属を被着してこの金属にスペックルパターンを転写してマスタ型を作製する。このサブマスタ型の詳細な製造方法については、特許第3413519号公報に開示されている。この内容はすべてここに含めておく。光硬化性樹脂層に、上記マスタ型を用いて紫外線による賦形を行って光硬化性樹脂層の光取り出し面にスペックルパターンを転写する。
【0049】
表面構造の凹凸高さは、例えば走査型電子顕微鏡で観察した光反射シート断面形状のピッチやアスペクト比、表面粗さ等から判断できる。また、レーザー共焦点顕微鏡による光反射シート表面の観察像からも、ピッチ、アスペクト比や、表面粗さ等を読み取ることができる。例えば、ピッチが短いほど、或いはアスペクト比が大きいほど、或いは表面粗さが大きいものほど凹凸高さが高いと見なすことができる。凹凸パターン層132の凹凸パターンのピッチとしては0.1μm〜100μm、高さは0.1μm〜30μmの範囲であることが好ましい。
【0050】
本発明において、「拡散角度」とは、透過光強度がピーク強度の半分に減衰する角(半値角)の2倍の角度(FWHM:Full Width Half Maximum)をいう(図5(a)参照)。この拡散角度は、例えば、Photon社製のGoniometric Radiometers Real−Time Far−Field Angular Profiles Model LD8900(以下、「LD8900」という。)で、拡散シート12の凹凸面の法線方向から、凹凸面側より入射した光に対する透過光強度の角度分布を測定することによって求めることができる。ここで、拡散シート12の法線方向とは、図5(b)に示す方向を指す。本明細書において、拡散シート12の拡散角度とは、非透過成分率調整パターン133を設けずに、基材131と一層の凹凸パターン層132のみの構成で、凹凸パターン層132側から光を入射して測定して得られた角度をいう。
【0051】
また、拡散シート12の凹凸パターン層132としては、測定方向によらず、ほぼ同じ拡散角度が得られる等方性凹凸パターン、及び測定方向によって拡散角度が異なる異方性凹凸パターンの両方を用いることができる。異方性凹凸パターンとは、例えば、直交する2つの方向で拡散角度を測定した場合に、拡散角度が異なるような凹凸パターンである。異方性凹凸パターンの場合、最も拡散する方向の拡散角度をA度、最も拡散しない方向の拡散角度をB度としたとき、拡散角度は「A度xB度」と表記することとする。なお、凹凸パターン層132が異方性凹凸パターンの場合の好ましい拡散角度範囲とは、最も拡散する方向の拡散角度の好ましい拡散角度範囲をいうものとする。
【0052】
本実施の形態に係る拡散シート12において、拡散シート12の拡散角度は、1度〜120度であることが好ましい。拡散シート12の拡散角度は、30度〜110度がより好ましく、50度〜100度がさらに好ましい。十分に輝度ムラ抑制効果を発現するという観点から1度以上であり、輝度の低下を防止するという観点から120度以下である。拡散角度の好ましい範囲は、上記異方性凹凸パターンを有する拡散シート12における「A度」についても同様である。
【0053】
(非透過成分率調整パターン)
非透過成分率調整パターン133は、拡散シート12のシート面内において、以下で定義する非透過成分率が所定値となるように基材131上に設けられる。本実施の形態に係る拡散シート12においては、凹凸パターン層132が積層された基材131の一方の主面又はその反対側の他方の主面に非透過成分率調整パターン133を設けることにより、シート面内の所望の領域に高非透過成分率領域及び低非透過成分率領域を設けることが可能となる。このように、高非透過成分率領域及び低非透過成分率領域を設けることにより、拡散シート12の非透過成分率がシート面内で不均一になるように調整される。非透過成分率調整パターン133としては、具体的には、基材131の主面上に光反射性のインキや光吸収性のインキをドット状に塗布して作製したパターン、透明な樹脂層の表面に設けた凹凸パターンが例示される。
【0054】
本発明において、「非透過成分率」は、拡散シート12のシート面内に光源からの光が入射したとき、拡散シート12から透過する成分以外の成分(例えば、反射成分、吸収成分、散乱成分)の総和の百分率である。本実施の形態に係る拡散シート12における非透過成分率は、例えば、紫外可視分光光度計(島津製作所社製、UV−2450、MPC−2200)を用いて測定する。また、拡散シート12の非透過成分率は、基材131、凹凸パターン層132及び非透過成分率調整パターン133を設けた状態で測定する。この場合、図6(a)〜(c)に示すように、拡散シート12の凹凸パターン層132の方が、非透過成分率調整パターン133よりも光源から遠くなる向きにセットし、透過波長550nmにおける入射光強度および透過光強度を検出し、下記関係式(1)及び下記関係式(2)によって算出する。
光透過率(%)=(550nmにおける透過光強度)/(550nmにおける入射光強度)×100…式(1)
非透過成分率(%)=100−光透過率…式(2)
【0055】
本実施の形態に係る拡散シート12において、非透過成分率は、10%以上90%以下であることが好ましく、10%以上80%以下であることがより好ましく、20%以上80%以下であることがさらに好ましい。非透過成分率は、輝度の低下を抑えるという観点から90%以下であることが好ましく、輝度ムラを効果的に低減させるという観点から10%以上であることが好ましい。
【0056】
本発明において、「非透過成分率が不均一」とは、拡散シート12のシート面内における非透過成分率を1mm間隔で測定した時に、その測定値の最大値から最小値を引いた値が測定した全点の平均値の2%以上異なるように、シート面内の非透過成分率が分布している状態のことをいう。このように、非透過成分率が不均一となる状態としては、例えば、シート面内に高非透過成分率領域と低非透過成分率領域とを、発生する輝度ムラ、例えば図2、又は図3(a)〜(c)に対応するように設け、各高非透過成分率領域での非透過成分率の測定値の最大値から、各非透過成分率領域での非透過成分率の測定値の最小値を引いた差分値が、シート面内における全点の測定値の平均値の2%を超える状態が挙げられる。
【0057】
非透過成分率調整パターン133は、光反射性や光吸収性のインキをドット状に塗布して作製することができる。この場合、非透過成分率調整パターン133によって拡散シート12のシート面内の非透過成分率を変化させるには、一定面積のドットの密度を場所によって変えても良いし、密度を一定にしてドットの面積を変えても良いし、インキを塗り重ねて、インキの膜厚を場所によって変えても良い。非透過成分率調整パターン133がドットからなる場合は、ドットが小さすぎると作製時の再現性が問題となり、ドットが大きすぎると本実施の形態に係る拡散シート12を液晶表示装置に用いた場合にドットが視認出来てしまい表示装置として不良になる。このため、各ドットの面積が25μm以上〜250000μm以下であることが好ましい。非透過成分率調整パターン133がドットからなる場合は、図7に示すように、ドットは円状でも良く、楕円状でも良く、四角形状でもよく、星型などの多角形状でも良い。それぞれの形状の外形が少し歪んだような形状であっても構わない。
【0058】
光反射性のインキとしては、反射率が高く吸収率が少ないという観点から白色インクが最も好ましい。また、塗布方法としては、白色インク硬化物のパターンを自由に形成できるため、印刷法が好ましい。ここで、白色インク硬化物とは、白色インク組成物を印刷硬化させたものを意味し、白色インク組成物には、溶剤、白色顔料、分散剤、及び対象物表面への固着剤としての樹脂が基本成分として含まれる。
【0059】
白色インク組成物における白色顔料としては、具体的には、酸化チタン(TiO、チタンホワイト)、炭酸カルシウム、タルク、クレー、ケイ酸アルミニウム、塩基性炭酸鉛(2PbCOPb(OH)、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、ジンクホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO、チタンストロンチウムホワイト)、硫酸バリウムなどが単独または混合系で使用できる。
【0060】
特に、酸化チタンは、他の無機白色顔料と比べると比重が小さいため分散安定性があり、屈折率が大きく光学散乱性に優れ、化学的、物理的にも安定である。このように、顔料としての隠蔽力や光学散乱性が大きいので、無機白色顔料としては酸化チタンを主成分として用いるのが好ましい。拡散光の色目を調整する目的で、上記白色顔料を混合することも可能である。
【0061】
白色顔料の混合率は、白色インク組成物全体の30質量%〜60質量%とするのが好ましい。酸化チタン以外の白色顔料は、必要により分散補助等の目的で白色顔料全体の3割程度までの量で使用するのが一般的である。
【0062】
白色インク組成物における樹脂としては、例えば、ケトン樹脂、スルホアミド樹脂、マレイン酸樹脂、エステルガム、キシレン樹脂、アルキド樹脂、ロジン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、セルロース樹脂、ビニル樹脂、フェノール樹脂、エステル樹脂などが使用できるが、中でもアクリル系樹脂が好適に使用できる。
【0063】
白色インク組成物における有機溶剤は、樹脂の溶解、粘度の調整などを目的として使用するものであり、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどのシクロパラフィン系溶剤などが単独又は混合物として使用できる。有機溶剤の使用量は、白色インク組成物全体の30質量%〜60質量%程度である。
【0064】
また、白色インク組成物中に光学効果をもつ光学剤を含有してもよい。光学剤は光線を拡散させる性質を有する粒子であり、無機フィラーと有機フィラーに大別される。無機フィラーとしては、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化バリウム、マグネシウムシリケート、又はこれらの混合物を用いることができる。有機フィラーとしては、アクリル、アクリロニトリル、無黄変ウレタン、スチレンなどを用いることができる。印刷インクによる膨潤性の低さからは無機フィラーが好ましく、有機フィラーの中ではウレタン系フィラーが好ましい。
【0065】
光学剤の配合量は、白色インク組成物中の樹脂100質量部に対して10質量部以上80質量部以下が好ましく、20質量部以上60質量部以下が特に好ましい。光学剤の配合量が10質量部以上であると、輝度均一効果が十分に発現され、光学剤の配合量が80質量部以下であると、非透過成分率調整パターン133を形成する白色インク組成物の塗工が容易となる。
【0066】
光吸収性のインキとしては、吸収率が高いという観点から黒色インクが最も好ましい。また、塗布方法としては、黒色インク硬化物のパターンを自由に形成できるため、印刷法が好ましい。ここで、黒色インク硬化物とは、黒色インク組成物を印刷硬化させたものを意味し、黒色インク組成物には、溶剤、黒色顔料、分散剤、及び対象物表面への固着剤としての樹脂が基本成分として含まれる。黒色インク組成物における黒色顔料としては、具体的には、カーボンブラックが使用できる。
【0067】
また、印刷方法については、従来公知の方法であればよく、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、並びに熱転写リボンを用いた熱溶融印刷、及び熱昇華印刷などのいずれの方法でもよい。
【0068】
なかでもオフセット印刷は網点の鮮明な印刷が可能で、さらに版が直接シートに触れず胴の磨耗が少ないため、大量印刷に適しており、また版を比較的短時間で作製できるため、生産効率の面ではよい。なかでもグラビア印刷は網点の鮮明な印刷が可能で、さらに版が金属であるため磨耗が少なく、大量印刷に適しているため、デザイン再現性と生産効率の面で優れている。フレキソ印刷は、印刷濃度が安定していてかつ印刷濃度を比較的濃くでき、また版と印刷物の間を仲介するアニロックスロールのセルの大きさの調整でインキ濃度を制御できるので、高生産安定性・高隠蔽度・印刷濃度制御が容易、という点で優れている。スクリーン印刷はインク厚みを厚く出来るため容易に隠蔽度を高く出来る点で優れている。
【0069】
印刷インクは、印刷に使用可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、蒸発乾燥型インク、酸化重合型インク、加熱硬化型インク、2液反応型インク、紫外線硬化型インク、熱溶融型インク、熱昇華型インク等が挙げられる。中でも、フィルム印刷に適する紫外線硬化型インクが好ましい。なお、光学効果向上のためには、印刷インクは白色あるいは、灰色が好ましい。ただし、透明インク中に、無機フィラーや有機フィラーを添加して拡散効果を向上しもよい。
【0070】
また、非透過成分率調整パターン133によって非透過成分率を制御する場合には、透明な樹脂層の表面に非透過成分率調整パターン133を凹凸パターンとして設けてもよい。この場合には、上述した凹凸パターン層132を構成する凹凸パターンと同種の非透過成分率調整パターン133の凹凸パターンを、凹凸パターンのアスペクト比を場所によって変えて作製することがあげられる。この場合、非透過成分率調整パターン133の凹凸パターンのアスペクト比は周期的に変化してもよいし、局在的に存在してもよい。またバックライト画面の所望の方向にそって一軸的に変化してもよい。いずれも場合においても、非透過成分率の高い領域(非透過成分率調整パターン133の凹凸パターンのアスペクト比が高い領域)が、拡散シート12に入射する光の照度が高い部分に略一致するように非透過成分率調整パターン133の凹凸パターンを配置するのが好ましい。非透過成分率調整パターン133の凹凸パターンのピッチとしては0.1μm〜100μm、高さは0.1μm〜30μmの範囲であることが好ましい。
【0071】
本実施の形態に係る光源ユニット1において、拡散シート12の入光面における照度分布は、例えばELDIM社のEZCONTRASTXL88などによって測定できる。具体的には、拡散シート12が設けられる光源ユニットにおいて、拡散シート12を除き、拡散シート12の入光面が位置する箇所に装置の焦点を定めて全方位輝度分布を測定し、その結果から積算光束量(Integrated Intensity)を得る、ということを面内測定対象範囲において繰り返すことで測定することができる。この測定条件によって測定された照度分布に合わせて、本実施の形態に係る拡散シート12においては、シート面内における非透過成分率を制御することにより、ホットスポットなどの輝度ムラを効果的に低減することができる。
【0072】
(拡散シートの構成例)
以下、図8(a)〜(e)を参照して本実施の形態に係る拡散シート12の具体的な構成例について説明する。図8(a)〜(e)は、拡散シート12の構成例を示す断面模式図である。
【0073】
図8(a)〜(e)に示すように、本実施の形態に係る拡散シート12は、シート状の基材131と、この基材131の一方の主面に設けられ凹凸パターン層132と、基材131の一方の主面側又は他方の主面側に設けられた非透過成分率調整パターン133とを有する。
【0074】
非透過成分率調整パターン133は、例えば光拡散剤を含む光反射性インキ硬化物からなるパターンとして設けられる。非透過成分率調整パターン133は、基材131の他方の主面上に互いに離間するように複数設けてもよく(図8(a)参照)、基材131の一方の主面上において、基材131と凹凸パターン層132との間に互いに離間するように複数設けてもよく(図8(b)参照)、凹凸パターン層132の表面に互いに離間するように複数設けてもよい(図8(c)参照)。また、非透過成分率調整パターン133として不規則な凹凸パターンを設けてもよい(図8(d)、(e)参照)。この場合、非透過成分率調整パターン133として不規則な凹凸パターンは、周期的に存在してもよいし(図8(d)参照)、非周期的でもよい(図8(e)参照)。図8(e)においては、シートの一方向に沿って凹凸形状のアスペクト比が単調に増加している例を示している。
【0075】
凹凸パターン層132を基材131の一方の主面に設け、非透過成分率調整パターン133を基材131の他方の主面に設けることにより、凹凸パターン層132と非透過成分率調整パターン133との間の距離が大きくなり、それぞれの輝度ムラ抑制効果をより発揮できるので好ましい。また、凹凸パターン層132と非透過成分率調整パターン133とを基材131の一方の主面に積層する場合は、凹凸パターン層132(非透過成分率調整パターン133)が非透過成分率調整パターン133(凹凸パターン層132)を物理的に保護でき、強度を高められる点で好ましい。特に、基材131の上に非透過成分率調整パターン133を設け、さらにその上に凹凸パターン層132を設けると、非透過成分率調整パターン133を構成する光反射性のインキ硬化物のパターンを、凹凸構造から構成される凹凸パターン層132により物理的に保護できるため、光反射性のインキ硬化物の機械的強度の制約を少なくし、選択肢を広げられる点で好ましい。
【0076】
非透過成分率調整パターン133は、例えば、光反射性材料をその基材131の主面の全面または部分的に塗布することで構成することができる。そのような光反射性材料としては、例えば塗料や金属ペーストなどの光反射性インク、シリコンビーズ、アクリルビーズなどの光拡散剤、蛍光増白剤などの光吸収剤、表面凹凸形状、有機/無機フィラーなどが挙げられ、主面における光反射性材料の占める面積や厚み、密度などによって、透過率、反射率をコントロールすることができる。これらの中でも、透過率と反射率を容易にコントロールでき、大面積化が可能であるという観点から光反射性インクが好ましく、なかでも反射率が高く吸収率が少ないという観点から白色インクが最も好ましい。また、塗布方法としては、白色インク硬化物のパターンを自由に形成できるため、印刷法が好ましい。白色インク硬化物と印刷方法については、上述の通りである。
【0077】
非透過成分率の分布は、光反射性インク硬化物で形成されたドットからなる非透過成分率調整パターン133における、ドット密度とドット濃度の分布により生じさせることができる。
【0078】
光反射性インク硬化物のドット密度とは、下記関係式(3)に示すように光反射性インク硬化物と基材131が接触している部分を基材131の主面に対して法線方向から観察した際の面積(以下「インク面積」という。)を、観察した単位面積で除した値の百分率を指す。インク面積は、例えば、超深度カラー3D形状測定顕微鏡(キーエンス社製、VK−9500)や光学顕微鏡で測定することができる。ドット密度が大きくなると、その部位の反射率は増加し、透過率は減少する。
ドット密度(%)=(インク面積)/(観察した単位面積)×100…式(3)
【0079】
光反射性インク硬化物のドット濃度は、任意の面上におけるインク濃度(インク硬化物における光反射成分の割合)とドット厚みとによって支配される。この場合、インク組成物中における光反射成分の濃度が予め分かっているので、インクの種類を変更する毎にその濃度を把握することができる。ドット厚みは、例えば、超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK−9500、キーエンス社製)で測定することができる。ここでドット厚みとは、例えばインクが水含有性インクや溶剤含有性インクの場合、水や溶剤などの溶媒成分が揮発した後のドット厚みを表す。ドット濃度が大きくなると、その部位の反射率は増加し、透過率は減少する。
【0080】
非透過成分率の分布は、非透過成分率調整パターン133(光反射性インク硬化物)のドット濃度、すなわち「ドット厚み」と「インク濃度」とを一定にし、ドット密度を変化させて形成することが、光透過率の分布を制御しやすいという観点で好ましい。図9(a)〜(c)は、拡散シート12におけるドット密度の一例を示す模式図である。拡散シート12のドット密度を変化させるにあたっては、ドット間のピッチPを一定にして、ドット密度の低下と共に、各非透過成分率調整パターン133(光反射性インク硬化物)のドット面積を小さくしてもよい(図9(a))。また、各非透過成分率調整パターン133(光反射性インク硬化物)のドット面積を一定にして、ドット密度の低下と共に、各非透過成分率調整パターン133(光反射性インク硬化物)のピッチPを大きくしてもよい(図9(b))。また、ドット密度の低下と共に、各非透過成分率調整パターン133(光反射性インク硬化物)のドット面積を小さくすると共に、ピッチPを大きくしても良い。(図9(c))
【0081】
非透過成分率調整パターン133(光反射性インク硬化物のドットパターン)は、一回で作製しても良いし、複数回に分けて作製しても良い。その場合、ドット密度の大きい部分について、隣接するドット同士が重なり合っていても良い。
【0082】
(拡散シートの製造方法)
このような拡散シート12の凹凸パターン層132を作製するための型は、以下のようにして作製することができる。まず、予め干渉露光により、レーザー光をレンズやマスクを介して感光性材料やフォトレジストに照射し、非透過成分率が位置によって変化するようにスペックルパターンを形成させたサブマスタ型を作製する。レーザー照射システムを構成する部材間の距離やサイズを変えスペックルパターンの寸法、形状及び方向を調節することにより、非透過成分率の範囲を制御し、異なる非透過成分率をもつ凹凸構造を記録することができる。さらに上記サブマスタ型にニッケルなどの金属による電鋳を行うことで、金属製のマスタ型を作製してもよい。例えば、これらの型と拡散シート12の基材131との間で紫外線硬化樹脂を光硬化させることによって、凹凸パターン層132を基材131の片方の主面に形成することができる。
【0083】
次に、拡散シート12の製造方法について詳細に説明する。
図8(a)に示す拡散シート12は、基材131の片方の主面に凹凸パターン層132を形成した後に、基材131のもう一方の主面に非透過成分率調整パターン133を印刷して製造することができる。また、基材131の片方の主面に非透過成分率調整パターン133を印刷した後に基材131のもう一方の主面に凹凸パターン層132を形成しても良いし、非透過成分率調整パターン133と凹凸パターン層132とを同時に形成しても良い。このように製造することにより、凹凸パターン層132と、光反射性インキ硬化物からなる非透過成分率調整パターン133とが、基材131の一対の主面上にそれぞれ設けられる。このため、凹凸パターン層132と非透過成分率調整パターン133との間の距離が大きくなるために、それぞれの輝度ムラ抑制効果をより発揮できる点で好ましい。
【0084】
また、図8(b)に示す拡散シート12は、基材131の片方の主面上に光反射性インキ硬化物からなる非透過成分率調整パターン133を印刷し、さらにその上に凹凸パターン層132を設けることで製造できる。このように基材131の片方の主面上に光反射性インキ硬化物からなる非透過成分率調整パターン133を設け、さらにその上に凹凸パターン層132を設けると、非透過成分率調整パターン133を構成する光反射性インキのパターンを、凹凸パターン層132により物理的に保護できる。このため、光反射性インキの機械的強度の制約を少なくし、選択肢を広げられる点で好ましい。
【0085】
同様にして、図8(c)に示す拡散シート12は、基材131の片方の主面に凹凸パターン層132を設け、さらにその上に光反射性インキ硬化物からなる非透過成分率調整パターン133を印刷することで製造できる。同様にして、図8(d)(e)に示す拡散シート12は、基材131の片方の主面に凹凸パターン層132を設け、さらに基材131のもう一方の主面に凹凸パターンからなる非透過成分率調整パターン133を設けることで製造できる。
【0086】
図8(b)、(c)のような拡散シート12の構成の場合、非透過成分率調整パターン133及び凹凸パターン層132を設ける主面と対向するもう一つの主面は、平滑面、凹凸面、マット面などであってもよい。輝度向上、および輝度ムラ軽減の観点から、凹凸構造がある面と反対側の面は、平滑面となっていることが好ましい。なお、一般に拡散シートを積層する場合等に、傷つき防止のため、平滑性を失わない範囲で、凹凸構造がある面と反対側の面に極微量のビーズを塗布する場合がある。このような場合も平滑面に含まれるものとする。
【0087】
本発明に係る拡散シートは、導光板や光学シート上に配置してもよく、透明な粘着材などを用いて貼合してもよい。貼合する場合は、導光板および光学シートとの間に空気層を介さないため、輝度ムラ抑制効果に優れる。貼合方法としては、粘着材や超音波溶着、高周波溶着、エキシマレーザー処理、プラズマレーザー処理、熱ラミネートなどが挙げられるが、プロセスが簡便であることから粘着材を用いるのが好ましい。
【0088】
〔導光板〕
導光板11としては、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン等透光性のあるプラスチック材料やガラス等の透光性の良好な材料を用いることができる。
【0089】
〔光反射拡散体〕
光反射拡散体14は、LED13から出光され入光面11cより導光板11内に入光した光を出光面11a全体において均一に出光できるように、入光面11cからの距離に応じてその大きさが調整されている。光反射拡散体14としては、酸化チタン、チタン酸バリウム等の白色物質を反射面11bに印刷することにより設けることができる。また、導光板11の反射面11bに微細な凹凸を設けて光反射拡散体14としても良い。これらの光反射拡散体14は、導光板11の出光面11a全面から光が効率よく均一に出光できるように配置される。
【0090】
導光板11の厚さとしては1mm〜10mmのものが好ましく、より好ましくは2mm〜5mmのものが用いられる。1mmより小さいと加工時のハンドリング性の低下や、吸湿等でたわみが生じる。10mmよりも大きいと、コスト高になることや、重量が大きくなるので好ましくない。
【0091】
〔光源〕
光源としては、LED13に限定されず、冷陰極管(CCFL)などの線光源や、レーザーなどの点光源を用いることができる。
【0092】
〔光源ユニットの他の構成〕
なお、上記実施形態に係る光源ユニット1においては、導光板11の出光面11a側に拡散シート12を配置する構成について説明したが、導光板11の反射面11b側に反射シート21を設置し、さらに、導光板11の出光面11a側に、出光した光を集光、立ち上げ、拡散するための種々の光学シートを設置することが好ましい。光学シートしては、レンズシート、プリズムシート、反射型偏光シート等を用いることができる。
【0093】
図10に光源ユニットの他の構成例を示す。図10に示す光源ユニットにおいては、導光板11の反射面11b側にLED13からの光を導光板11に反射する反射シート21が配置される。また、導光板11の出光面11a側に配置された拡散シート12の上方にレンズシート22、プリズムシート23及び反射型偏光シート24がこの順で配置される。
【0094】
反射シート21としては、光を反射させることのできるものであれば、様々なものを用いることができる。例えば、ポリエステル、ポリカーボネートなどの樹脂を発泡させて内部に微細な空気の粒を入れシート状としたもの、2成分以上の樹脂を混合してシート状としたもの、屈折率の異なる樹脂層を積層したシート、などを用いることができる。また、反射シート21としては、表面に凹凸形状が形成されていても良い。これらには、必要に応じて、表面に無機微粒子などを添加したものを用いることができる。
【0095】
レンズシート22としては、アクリル系樹脂の球状ビーズがポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、或いはポリカーボネート等のシート上に塗布されたシートを用いることができる。また、レンズシートとしては、紫外線硬化樹脂による微細な凹凸構造がポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、或いはポリカーボネート等のシート上に転写されたシートを用いることができる。
【0096】
プリズムシート23としては、表面に、断面形状が略三角形状、略台形状、略楕円状であるプリズム条列がアレイ状に配列しているような光学シートを用いることができる。断面形状の頂点を丸めた形状としたものも、耐擦傷性向上などの観点から、好ましく用いることができる。これらのプリズムシート23としては、紫外線硬化樹脂によるプリズム条列がポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース、或いはポリカーボネート等の基材シート上に転写された形態として用いることができる。このようなプリズムシート23は再帰反射性を示すため、入射光を正面へ集光する機能を有する。プリズムの頂角は約90度であると集光機能が良く発揮されるために好ましく、プリズム条列の周期が約50μmであると、液晶表示装置を構成した際にモアレの発生を軽減できるために好ましい。
【0097】
反射型偏光シート24としては、自然光又は偏光から偏光を分離する機能を有するシートを用いることができる。直線偏光を分離するシートとしては、例えば、軸方向で直交する直線偏光の一方を透過し、他方を反射するフィルム等が挙げられる。反射型偏光シートとしては、具体的には、複屈折位相差の大きい樹脂(ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等)と、複屈折位相差の小さい樹脂(シクロオレフィンポリマー等)とを交互に多層積層し一軸延伸して得られるシートや、複屈折性のポリエステル樹脂を数百層積層した構造からなるシート(DBEF、3M社製)等を用いることができる。
【0098】
本発明に係る光源ユニットは、面光源として液晶表示装置のバックライトに適用することができ、エッジライト方式のバックライトユニットに用いることができる。また、画面(照明エリア)を複数のエリアに分けて省エネ対応のローカルディミング等の適用が考慮された複合分割パネル用のバックライトユニットにも用いることができる。また、看板等の面光源としても適用することができる。また、複数の導光体が集まって画面全体の導光板を形成する複合分割パネル用バックライトユニットについても適用可能である。
【0099】
図11(a)〜(c)に複合分割パネル用バックライトユニットの一例の模式図を示す。図11(a)〜(c)に示すように、複合分割パネル用バックライト30は、光源31が配設された複数の導光体32が集まって画面全体の導光板33を形成する。このため、隣接する各導光体32の継ぎ目に輝線が生じる場合がある。このような複合分割パネル用バックライトユニットにおいて、本実施の形態に係る拡散シート12を用いることにより、各導光体32におけるホットスポットを低減することや、隣接する導光体32と導光体32との間の継ぎ目に発生する輝線を低減することも可能となる。
【0100】
〔液晶表示装置〕
本発明の実施の形態に係る液晶表示装置は、液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルに光を供給する本発明に係る光源ユニットと、を備えたことを特徴とする。
【0101】
このように、上記実施の形態に係る光源ユニットによれば、導光板11の出光面11aから出光した光を拡散シート12によって拡散するので、導光板11の出光面11a内において、輝度ムラが生じた領域も有効発光領域として用いることができる。これにより、上記光源ユニットを用いた本発明の実施の形態に係る液晶表示装置における画面内において、相対的に照度が高い領域の光を吸収させることなく反射し、相対的に照度が低い領域を明るくさせることができ、画面内における明暗を均一にすることが可能となる。このように、光の利用効率が高く、光源ユニットの利用面積を拡大させることができるので、省エネ、省スペース化(狭額縁化)という観点からも有用である。
【実施例】
【0102】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0103】
(実施例)
【0104】
実施例の光源ユニットは、図10に示すように構成した。導光板11としては、厚みが2mmの三菱レイヨン社製のSHINKOLITE−A(登録商標)を18.2cm×10.9cmに切断し、端面を平坦化加工したものを用いた。
【0105】
導光板11の10.9cm×2mmの一側端面11cを入光面11cとして配置した。導光板11の反射面11b側に反射シート(ルミラーE6SL、東レ社製)21を配置した。出光面11a側に拡散シート12、レンズシート22(TDF−127、シンファインターテック社製)、プリズムシート23(BEF−III、3M社製)、及び反射型偏光シート(DBEF、3M社)をこの順に配置した。LED13としてはパナソニック社製の車載用モニターSTRADA TR−M80WVS7に搭載されているLEDを6個使用した。
【0106】
導光板11の反射面11bには、光反射拡散体14として白色ドットをスクリーン印刷した。白色ドットパターンは、導光板11の入光面11cから離れた一定の領域(図2における破線L1より右側の領域A4)の面内輝度が均一になるように、入光面11cからの距離に応じてドット密度を調整した。また、LED13近傍の明るい高照度領域A1の明るさが、導光板11の中央付近の明るさに合うようにドット密度を小さく調整した。
【0107】
拡散シート12は、図8(a)に示すように構成した。基材131として厚さ250μmのポリエチレンテレフタラートフィルム(コスモシャインA4300、東洋紡社製)を用いた。また、不規則な凹凸パターン層132として干渉露光によるスペックルパターンを用いて作製した不規則な凹凸パターンを有する光硬化性樹脂層であって、拡散角度が90°となるものを用いた。非透過成分率調整パターン133としては、光反射性インクとして白色インクをドット印刷したものを用いた。ここでドット印刷は熱転写式印刷装置と該印刷装置専用の白色インクリボン(MD−5500、MDC−SCWH、アルプス電気社製)とを用いた。したがって、ドット濃度は全印刷領域に亘って一定である。
【0108】
図12(a)で示した導光板11のホットスポット部(図2に示す破線L1からLED13側の領域A3)の照度分布を元データとして、上記印刷機により白色ドット印刷を行って非透過成分率調整パターン133を形成した拡散シート12を作製した。この際、高非透過成分率領域の非透過成分率は21%であり、低非透過成分領域の非透過成分率は1%であった。高非透過成分率領域における白色ドット間のピッチは283μm、1つのドットは直径194μm、面積29544μmの円状であり、単位面積あたりのドット密度は37%であった。単位面積は283μm×283μm=80089μmであった。低非透過成分率領域における白色ドット間のピッチは283μm、1つのドットは直径12μm、面積113μmの円状であり、単位面積あたりのドット密度は0.14%であった。単位面積は283μm×283μm=80089μmであった。この拡散シート12を凹凸パターン層132が出光面となるように用いた。
【0109】
拡散シート12は、平面視にてシート面内における高非透過成分率領域と、導光板11における高照度領域A1と、が重畳するように配置すると共に、シート面内における低非透過成分率領域と、導光板11における低照度領域A2と、が重畳するようにして配置した。また、拡散シート12は、シート面内における非透過成分率の分布が、導光板11の出光面11aの照度分布の変化に応じてなだらかに変化するように配置した。すなわち、拡散シート12のシート面内における非透過成分率が、高非透過成分率領域から低非透過成分率領域に向けて(導光板11の高照度領域A1から低照度領域A2に向けて)、なだらかに減少するように白色パターンを設けた。拡散シート12を配置した結果、導光板11のホットスポットが低減された(図12(b)参照)。
【0110】
(比較例)
比較例の光源ユニットは、実施例の光源ユニットから光拡散シート12を除いたものを用いた(図13参照)。比較例の光源ユニットの構成においては、導光板11の出光面11aにおけるLED13による暗い低照度領域A2は非常に暗い状態であり、図2に示す破線L1からLED13側の領域A3は、非常にホットスポットの大きな状態だった(図12(a)参照)。したがって、照度が均一な有効発光領域としては図2に示す破線L1より入光面11cの反対側の領域A4しか用いることができないものであった。また、図2に示す破線L1より入光面11c側の領域A3については、その出光分が利用できない無駄な光になっていた。
【0111】
[輝度ムラの評価]
ホットスポットの低減効果については、以下の条件で測定した。まず、2次元色彩輝度計(コニカミノルタ社製、CA2000)を用いて導光板11における高照度領域A1の輝度を測定した。2次元色彩輝度計(CA2000)は、光源ユニットから70cm離して設置した。光源ユニットの中心部2mm×2mmの範囲で測定した平均輝度値を輝度とした。続いて、導光板11における低照度領域A2の輝度を同様に測定し、下記関係式(4)より輝度ムラ値を測定した。この数値が1に近いほど、ホットスポットが小さい事を意味する。実施例に係る光源ユニットでは輝度ムラ値は1.2まで低下したが、比較例に係る光源ユニットでは、輝度ムラ値は1.9に増大した。
(輝度ムラ値)=(高照度領域A1での輝度)/(低照度領域A2での輝度)…式(4)
【0112】
次に、拡散シート12を含む実施例に係る光源ユニットにおける輝度ムラの観察結果と、拡散シート12を含まない比較例に係る光源ユニットにおける輝度ムラの観察結果を比較した。その結果、拡散シート12を含む実施例に係る光源ユニットの方が導光板11の入光面11c近傍の面内輝度の均一性が高く、ホットスポットを劇的に低減できたことが確認された。このように、本発明に係る光源ユニットを用いた場合、導光板11の出光面11aのほぼすべての領域を液晶表示パネル(液晶表示装置)の画面として用いることができる。
【0113】
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態における部材の材質、配置、形状などは例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明に係る光源ユニットは、バックライトに有用であり、薄型液晶表示装置の分野で好適に利用できる。
【符号の説明】
【0115】
1 光源ユニット
11、33 導光板
11a 主面(出光面)
11b 主面(反射面)
11c 端面(入光面)
11d 端面
12 拡散シート
13 LED
14 光反射拡散体
15、17、18、19 輝度ムラ
16 ボス
21 反射シート
22 レンズシート
23 プリズムシート
24 反射型偏光シート
30 複合分割パネル用バックライト
31 光源
32 導光体
131 基材
132 凹凸パターン層
133 非透過成分率調整パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の主面及び前記一対の主面間の端面を有する板状体であって、前記一対の主面がそれぞれ出光面及び反射面であり、一つの端面が入光面である導光板と、
前記導光板の前記入光面に光を入光するように配置された光源と、
前記導光板の前記出光面側に配置された拡散シートとを具備し、
前記拡散シートは、シート状の基材と、当該基材の一方の主面上に設けられた不規則な凹凸パターンを有する樹脂層と、前記基材の前記一方の主面上又は他方の主面上に設けられた非透過成分率調整パターンとを有し、非透過成分率がシート面内で不均一であることを特徴とする光源ユニット。
【請求項2】
前記拡散シートのシート面内における非透過成分率の相対強度分布と、前記拡散シートの入光時のシート面内における照度の相対強度分布とが略等しいことを特徴とする請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記拡散シートの拡散角度が、1度〜120度の範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光源ユニット。
【請求項4】
前記拡散シートの不規則な凹凸パターンを有する樹脂層が、干渉露光によるスペックルパターンにより形成されたものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の光源ユニット。
【請求項5】
前記拡散シートの非透過成分率調整パターンが、光拡散剤を含む光反射性インキ硬化物を含有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の光源ユニット。
【請求項6】
前記導光板の下方に配置される反射シートを備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光源ユニット。
【請求項7】
前記拡散シートの上方に配置されるレンズシートを備えたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の光源ユニット。
【請求項8】
前記拡散シートの上方に配置されるプリズムシートを備えたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の光源ユニット。
【請求項9】
前記拡散シートの上方に配置される反射型偏光シートを備えたことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の光源ユニット。
【請求項10】
液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルに光を供給する請求項1から請求項9のいずれかに記載の光源ユニットと、を備えたことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−74308(P2012−74308A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219666(P2010−219666)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】