説明

光源ユニット及び照明装置

【課題】所定の平行光を確保して対象物へ有効に光を照射できる光源ユニット及びこの光源ユニットを用いた照明装置を提供する。
【解決手段】光源ユニットLuは、光の照射方向に向かって拡開し、曲線を回転させた回転曲面の少なくとも一部によって形成された反射面31と、発光素子22と、この発光素子22が実装されるとともに前記反射面31の焦点Fの周囲であって反射面による反射光の光軸方向に向かうように配設された平板状の複数の基板21とを有する光源部2とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、夜の景観を美しく演出するライトアップや競技場等における照明を行うのに適する光源ユニット及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、投光器等の照明装置において、光源から放射される光を反射する反射面の形状を放物線を回転させた回転放物面とし、この回転放物面の焦点に光源の光中心を配置するものが知られている。これによって、反射面で反射された光は、略平行光となって集光されて対象物に照射される。したがって、対象物にスポットをあてて照明を行い、効果的に演出するには、光源の光中心を反射面の焦点に配置することが好適となる。
【0003】
ところで、近時、光源として長寿命や省電力が期待できるLED(発光ダイオード)等の発光素子が用いられるようになってきている。この場合、その光出力を増加するため、発光素子が実装された基板を複数平面状に並べて、発光面積を増大して配設することが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−117558号公報
【特許文献2】国際公開2011/016236号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発光面積の増大に伴い、発光面に関し、反射面の焦点から離れて離間距離が長くなる領域が生じる。このため、ビームの開きが大きくなったり、反射光が拡散したりして、対象物へ有効に光を照射できないという不具合が生じる場合がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、発光素子が実装された平板状の複数の基板を用いる場合において、所定の平行光を確保して対象物へ有効に光を照射できる光源ユニット及びこの光源ユニットを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態による光源ユニットは、光の照射方向に向かって拡開し、曲線を回転させた回転曲面の少なくとも一部によって形成された反射面を備えている。また、発光素子と、この発光素子が実装されるとともに前記反射面の焦点の周囲であって反射面による反射光の光軸方向に向かうように配設された平板状の複数の基板とを有する光源部を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、所定の平行光を確保して対象物へ有効に光を照射できる光源ユニット及びこの光源ユニットを用いた照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る照明装置を示す斜視図である。
【図2】同照明装置を示す縦断面図である。
【図3】同照明装置において、アームを省略して示す正面図である。
【図4】同照明装置において、光源部を拡大して示す斜視図である。
【図5】同照明装置において、発光素子が実装された基板を示す斜視図である。
【図6】比較例を示す図3に相当する正面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る照明装置を示す斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る照明装置を示す斜視図である。
【図9】同照明装置を示す縦断面図である。
【図10】同照明装置において、アームを省略して示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の第1の実施形態について図1乃至図6を参照して説明する。図1乃至図4は、照明装置を示し、図5は、発光素子が実装された基板を示し、図6は、比較例を示している。
【0011】
図1に代表して示すように、照明装置として投光器が示されている。この投光器は、装置本体としての有底筒状の筐体1と、この筐体1に配設された光源部2と、この光源部2から出射される光を反射して目的とする方向に照射する反射体3とを備えている。また、光源部2に電力を供給する電源ユニット4と、筐体1を支持するアーム5と、筐体1の前面側に設けられた前面カバー6とを備えている。
【0012】
筐体1は、図1及び図2に示すように、アルミニウム合金製のダイカストで作られていて、光の照射方向側、すなわち、前面側が円形状に開口して、光源部2及び反射体3が収容される円筒状の収容空間11が形成されている。なお、開口の大きさは、φ400mm〜500mm程度の寸法で形成されている。
【0013】
図1乃至図4に示すように、収容空間11における光の照射方向とは反対側、すなわち、背面側の中央部には、光軸方向に突出する基板取付部12が一体的に形成されている。この基板取付部12は、4面の側壁が台形状をなす略四角錐台形状に形成されている。
さらに、筐体1の背面側であってその外面には、板状の放熱フィン13が複数突設して形成されている。各放熱フィン13は、互いに略平行状態となっている。
【0014】
光源部2は、図5に代表して示すように、COB(chip on board)型のものであって、基板21と、この基板21に複数実装された発光素子22であるLEDチップと、封止部材23とを備えていて、この発光素子22が実装された基板21が複数集合されて構成されている。
【0015】
基板21は、例えば、白色系の酸化アルミニウム、窒化アルミニウムや窒化ケイ素等のセラミックス材料の平板状で一辺が20mm〜40mmの略四角形状に形成されている。表面側には銅箔で形成された配線パターン層が形成されている。また、その上には適宜レジスト層が積層されるようになっている。
【0016】
さらに、基板21の一端部側には、配線パターン層に接続された図示ない一対の給電端子が設けられている。加えて、基板21の各角部の近傍には、取付け用のねじ貫通孔25が形成されている。
【0017】
なお、基板21の材料には、絶縁材である例えば、ガラスエポキシ樹脂(FR−4)等の材料又は各発光素子22の放熱性を高めるうえで、アルミニウム等の熱伝導性が良好で放熱性に優れたべース板の一面に絶縁層が積層された金属製のべース基板を適用することができ、格別その材料が限定されるものではない。
【0018】
複数の発光素子22は、LEDのベアチップからなる。LEDのベアチップには、例えば、白色系の光を発光部で発光させるために、青色の光を発するものが用いられている。このLEDのベアチップは、シリコーン樹脂系の絶縁性接着剤を用いて基板21上にマトリクス状に配置されて接着され、ボンディングワイヤによって配線パターン層に電気的に接続されている。
【0019】
封止部材23は、蛍光体層であり、透光性合成樹脂、例えば、透明シリコーン樹脂にYAG:Ce等の蛍光体を適量含有している。封止部材23は、発光素子22及び配線パターン層を被覆して略四角形状に形成されている。蛍光体は、発光素子22が発する光で励起されて、発光素子22が発する光の色とは異なる色の光を放射する。発光素子22が青色光を発する本実施形態では、白色光を出射できるようにするために、蛍光体には青色の光とは補色の関係にある黄色系の光を放射する黄色蛍光体が使用されている。
【0020】
なお、発光素子としては、表面実装型のLEDパッケージを用いてもよい。また、砲弾型のLEDを実装するようにしてもよく、実装方式や形式は、格別限定されるものではない。
【0021】
このような基板21は、図2乃至図5に示すように、基板取付部12の複数の各側壁に例えば、ねじ止めされて取付けられるようになっている。具体的には、図4に示す基板取付部12において、4面の傾斜状をなす台形状の側壁に4枚の基板21が、その裏面側が側壁に面接触して熱的に結合され、表面側が外方に向けて取付けられている。
【0022】
したがって、複数の基板21は、光軸方向に向かって立設するように立体的に配設され、この複数の基板21の集合によって光源部2が構成されるようになっている。
【0023】
反射体3は、図1乃至図3に示すように、アルミニウム等の材料により作られていて、光の照射方向に向かって拡開するように凹面状に形成され、内面側は鏡面仕上げされて反射面31が形成されている。なお、反射面31は、鏡面仕上げや白色塗装等が施され、反射率が高くなるように構成される。
【0024】
反射面31は、曲線を回転させた回転曲面によって形成されている。詳しくは、放物線を回転させた回転放物面によって形成されていて、拡開した光の照射方向側の開口部には、円環状の鍔部32が形成されており、光の照射方向側とは反対側、すなわち、背面側の中央部には、円形状の中央開口部33が形成されている。
また、反射面31には、放物線の軸上に焦点Fがある。前記中央開口部33は、放物線の軸を中心とする円形状の開口である。
【0025】
このように構成された反射体3は、鍔部32が筐体1の前面側の開口縁に支持されて配設されるようになっている。この場合、反射面31の焦点Fは、基板取付部12の略中央部に位置するようになり、反射面31の中央開口部33から光源部2が前面側へ突出するように位置される。
【0026】
したがって、光源部2を構成する複数の基板21は、反射面31の焦点Fの周囲であって、反射面31による反射光の光軸方向に向かって立設するように配設されるようになる。つまり、複数の基板21は、立体的に焦点Fを囲むように位置される。
【0027】
なお、反射面31は、放物線を回転させた回転放物面によって構成するのが好ましいが、これに限定されない。例えば、回転楕円面等の回転曲面によって構成することもできる。さらに、反射面31は、放物線を回転させた回転放物面の一部によって構成するようにしてもよい。
電源ユニット4は、図1及び図2に示すように、筐体1の背面側に設けられていて、放熱フィン13に取付けられている。
【0028】
電源ユニット4は、8角柱の箱状のケース内に回路部品を収容して構成されており、商用交流電源ACに接続されて、この交流電源ACを受けて直流出力を生成するものである。電源ユニット4は、例えば、全波整流回路の出力端子間に平滑コンデンサを接続し、この平滑コンデンサに直流電圧変換回路及び電流検出手段を接続して構成されている。したがって、電源ユニット4は、光源部2に接続されており、その直流出力を発光素子22に供給し、発光素子22を点灯制御するようになっている。なお、電源ユニット4は、外部の直流電源DCに接続されて、直流電源DCを受けて、発光素子に直流出力を供給する形態であってもよい。
【0029】
なお、電源ユニット4の取付け位置は、筐体1の背面側に限らない。筐体1の側面側に取付けるようにしてもよいし、また、アーム5に取付けるようにしてもよい。さらに、電源ユニット4のケースの形状も取付け位置等に応じて円形状や多角形状に種々変更することができる。
【0030】
アーム5は、図1及び図2に示すように、略コ字状に形成されており、筐体1を支持するとともに、照射光を目的の方向に向けて照射できるように調整可能となっている。アーム5は、台座部51と、この台座部51の両端側から略直角方向に延出する脚部52とを備えている。
【0031】
脚部52は、筐体1の両側を回動可能に支持しており、つまり、筐体1の仰角を変更可能に、光の照射方向を可変できるように支持している。この仰角の変更は、脚部52に設けられたハンドル52aを締め付け、緩める操作を行うことにより可能となっている。
【0032】
台座部51は、構造物等に取付けられて投光器を構造物等に固定設置する部分であり、この台座部51の略中央部には、回転台部53が形成されている。回転台部53は、構造物等にボルト締めされて取付けられる。この場合、筐体1を仰角方向と直交する方向(左右方向)に回動させて、照射光を目的の方向に向けて照射できるように調整可能となっている。
【0033】
このように照射方向の調整は、台座部51を構造物等に取付ける際に、回転台部53によって左右方向の調整を行うことができ、脚部52に設けられたハンドル52aを操作することにより仰角方向の調整を行うことができる。
【0034】
前面カバー6は、筐体1の前面側の開口にパッキンを介して装着されている。前面カバー6は、透光性を有し筐体1の開口を密閉的に閉塞して防水性を確保するようになっている。この前面カバー6は、ガラスやポリカーボネートの材料によって構成できる。
【0035】
以上のような照明装置において、光源部2と、この光源部2に対向する反射面31とによって光源ユニットLuが構成される。図1乃至図4に示すように、光源ユニットLuにおいて、光源部2は、発光素子22が実装された複数の基板21を備えているので、高出力化に対応することができる。
【0036】
また、各基板21は、反射面21の焦点Fの周囲に立体的に配設されているので、その表面側の発光面を焦点Fに近づけることが可能で、焦点Fとの離間距離L(図3参照)を短くすることができ、光源部2から出射され反射面21に反射された光は、略平行光となって集光されて対象物へ照射することが可能となる。
【0037】
仮に、図6に示す比較例のように、複数の基板21を反射面21の焦点Fを中心として平面状に配設した場合、基板21の発光面において焦点Fから離れて離間距離Lが長くなる領域が生じることとなる。このため、照射光のビームの開きが大きくなったり、反射光が拡散したりして、対象物へ有効に光を照射できないという不具合が生じる。
【0038】
また、本実施形態では、格別の形態に構成した基板を用いることなく、平板状の基板21を複数枚用いて、反射面21の焦点Fに近づけるべく立体的に配設したので、コスト的に有利に製作でき、さらに、基板21を部品として共通化することも可能となる。
照明装置は、アーム5を例えば、構造物等に取付けて設置し、照射方向を対象物に向けて調整し、電源を投入して使用される。
【0039】
照明装置の設置状態において、電源ユニット4に電力が供給されると、光源部2における発光素子22に基板21を介して通電され発光素子22は発光する。発光素子22から出射された光は、封止部材23を透過し、主として反射面31によって反射され前面カバー6を透過して目的とする方向に照射される。この場合、光源部2は、反射面31の焦点Fに近いので、反射面31で反射された光は、略平行光となって集光されて対象物へ照射することが可能となる。
【0040】
また、光源部2は、反射面31の焦点Fに近く、立体的に構成されているので、光学的に既存のHIDランプのような放電ランプと同様に点光源に近似したものとして扱うことが可能となる。
【0041】
発光素子22の発光に伴い熱が発生する。この熱は、基板21の裏面側から基板取付部12から筐体1全体へ伝導され、さらに、複数の放熱フィン13に伝導されて広い表面積によって効果的に放熱される。これにより発光素子22の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0042】
以上のように本実施形態によれば、所定の平行光を確保して対象物へ有効に光を照射できる光源ユニット及びこの光源ユニットを用いた照明装置を提供することができる。
次に、本発明の第2の実施形態について図7を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し重複した説明は省略する。
本実施形態の照明装置は、第1の実施形態における光源ユニットLuを複数個、具体的には、2個連接するように構成したものである。
【0043】
このように光源ユニットLuを連接して構成することにより、1台で光出力の増加を実現することが可能となり、光学的な設計が容易となるとともに、設置作業の効率化を図ることができる。
【0044】
次に、本発明の第3の実施形態について図8乃至図10を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し重複した説明は省略する。
【0045】
本実施形態では、筐体1における基板取付部12を略四角錐形状に形成し、この三角形状の各側壁に、略三角形状に形成された平板状の基板21を取付けるようにしたものである。
【0046】
したがって、複数の基板21は、光軸方向に向かって立設するように立体的に配設され、この複数の基板21の集合によって光源部2が構成されている。また、各基板21は、反射面21の焦点Fの周囲に配設され、焦点Fに近づくように配置されている。
このため、光源部2から出射され反射面31で反射された光は、略平行光となって集光されて対象物へ照射することが可能となる。
【0047】
以上のように本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、所定の平行光を確保して対象物へ有効に光を照射できる光源ユニット及び照明装置を提供することができる。
【0048】
なお、上記各実施形態において、基板21を取付ける基板取付部12の形態は、特段限定されるものではない。例えば、三角柱状、三角錐状、四角柱状等に形成できる。この場合、各側壁に基板21を取付けることにより、反射面31の焦点Fの周囲に基板21を配設することが可能となる。
【0049】
また、反射面31の焦点Fの周囲に、焦点Fを囲むように基板21を配設することを考慮すると、基板21は3枚以上用いることが好ましい。さらに、電源ユニット4は、筐体1に取付ける場合に限らず、別置き方式の場合であってもよい。
【0050】
本発明は、上記各実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。また、上記各実施形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
【0051】
例えば、反射面は、曲線を回転させた回転曲面の一部によって構成するようにしてもよい。また、回転放物面に限らず、回転楕円面等の曲面状に形成することができる。
【0052】
さらに、発光素子とは、LEDや有機EL等の固体発光素子である。発光素子の実装は、COB(chip
on board)型によるのが好ましいが、本発明の性質上、実装方式は特に限定されるものではない。SMD(surface
mount device)型によって実装されるものであってもよい。
【0053】
また、発光素子の発光色は、白色に限らず、赤色、緑色や青色の発光色にしたり、これらを混色して所望の発光色にしたり、また、可変色とするように構成してもよい。
さらにまた、照明装置としては、投光器が好適であるが、屋内又は屋外で使用される各種照明器具に適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1・・・装置本体(筐体)、2・・・光源部、
3・・・反射体、4・・・電源ユニット、
5・・・アーム、6・・・前面カバー、
12・・・基板取付部、21・・・基板、
22・・・発光素子(LED)、23・・・封止部材、
31・・・反射面、Lu・・・光源ユニット、
F・・・反射面の焦点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の照射方向に向かって拡開し、曲線を回転させた回転曲面の少なくとも一部によって形成された反射面と;
発光素子と、この発光素子が実装されるとともに前記反射面の焦点の周囲であって反射面による反射光の光軸方向に向かうように配設された平板状の複数の基板とを有する光源部と;
を具備することを特徴とする光源ユニット。
【請求項2】
装置本体と;
この装置本体に配設された請求項1に記載の光源ユニットを具備することを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−114917(P2013−114917A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260260(P2011−260260)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】