説明

光源装置、およびプロジェクタ

【課題】長寿命化が図れる光源装置、およびプロジェクタを提供する。
【解決手段】光源装置10は、放電空間を有する発光管、および発光管の放電空間に配置される一対の電極を有する光源ランプ11と、断面略凹状に拡がり光源ランプ11から放射された光束に含まれる可視領域の光束を反射するとともに、赤外領域の光束を透過する主反射鏡12と、主反射鏡12の反射面122Aと対向配置され、光源ランプ11から放射された光束の一部を放電空間に向けて反射する反射膜132Aを有する副反射鏡13とを備える。反射膜132Aは、光源ランプ11から放射された光束に含まれる可視領域の光束、および赤外領域の光束R22を反射する材料で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、およびプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し光学像を拡大投射するプロジェクタが利用されている。
このようなプロジェクタの光源装置としては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ等の放電型の光源ランプと、光源ランプから射出された光束を反射するリフレクタと、これら光源ランプおよびリフレクタを内部に収納するランプハウジングとを備えた構成が多用される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−148293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の光源装置では、光源ランプから射出された光束のうちリフレクタ側に向う光束は、リフレクタにて反射され、照明対象に対して照射可能な利用光となる。また、光源ランプから射出された光束のうちリフレクタから外れた光束(リフレクタとは反対側に射出された光束)は、照明対象に対して照射することができない非利用光となる。そして、この非利用光は、ランプハウジングに照射され、ランプハウジング内壁にて吸収されて熱に変換される。このため、光源装置内部の温度が上昇し、光源装置の冷却が困難なものとなり、光源装置の長寿命化が図れない、という問題がある。
【0005】
本発明の目的は、長寿命化が図れる光源装置、およびプロジェクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光源装置は、放電空間を有する発光管、および前記発光管の放電空間に配置される一対の電極を有する光源ランプと、断面略凹状に拡がり前記光源ランプから放射された光束を反射するリフレクタとを備えた光源装置であって、前記リフレクタは、前記光源ランプから放射された光束に含まれる可視領域の光束を反射するとともに、赤外領域の光束を透過するように構成され、前記リフレクタの反射面と対向配置され、前記光源ランプから放射された光束の一部を前記放電空間に向けて反射する反射部材を有する副反射鏡を備え、前記反射部材は、前記光源ランプから放射される光束に含まれる可視領域の光束、および赤外領域の光束を反射する材料で構成されていることを特徴とする。
ここで、リフレクタとしては、パラボラリフレクタおよび楕円面リフレクタのいずれを採用してもよい。また、リフレクタとしては、可視領域の光束を反射するとともに、赤外領域の光束を透過するように構成されていればよく、例えば、コールドミラーが例示できる。
【0007】
本発明では、光源装置は、可視領域の光束(以下、可視光)、および赤外領域の光束(以下、赤外線)を反射する反射部材を有する副反射鏡を備えている。このことにより、光源ランプからリフレクタとは反対側に放射される光束に含まれる可視光を副反射鏡にて放電空間に向けて反射させ、再度、リフレクタにて反射させることができる。このため、光源ランプから射出される光の利用効率を向上できる。
また、リフレクタが赤外線を透過する構成とされ、副反射鏡が可視光のみならず赤外線を反射する構成とされている。このことにより、光源ランプからリフレクタとは反対側に放射される光束に含まれる赤外線を副反射鏡にて放電空間に向けて反射させるとともにリフレクタを透過させてリフレクタの光射出後方側から外部に排出できる。このため、従来のように非利用光(赤外線)がランプハウジング等の内壁にて吸収されて熱に変換されることがなく、光源装置内部の温度を低く維持することができ、ランプハウジングの劣化や光源ランプの劣化を抑制し光源装置の長寿命化が図れる。
【0008】
本発明の光源装置では、前記発光管は、前記一対の電極間で放電発光が行われる発光部、および前記発光部の両端に設けられる封止部を有し、前記副反射鏡は、前記発光部の光射出前方側を覆う椀形状を有し、前記反射部材は、前記副反射鏡における前記発光部から離間した椀形状の外面に設けられていることが好ましい。
ところで、副反射鏡において、反射部材は、光源ランプから放射された光束を反射する際、一部の光束を吸収して熱に変換するものである。このため、光源装置内部の温度を低く維持するためには、反射部材の冷却が必要となる。ここで、例えば、副反射鏡において、反射部材を椀形状の内面(発光部に近接する側の面)に設けた場合には、副反射鏡の外側から冷却空気を送風しても、冷却空気を副反射鏡と発光部の隙間に位置する反射部材に送風することが難しく、すなわち、反射部材を冷却することが難しい。
本発明では、副反射鏡において、反射部材は、椀形状の外面(発光部から離間した側の面)に設けられている。このことにより、副反射鏡の外側から冷却空気を送風すれば、冷却空気を反射部材に送風することができ、反射部材を冷却して光源装置内部の温度を低く維持できる。また、反射部材の劣化を抑制して、光源装置の長寿命化が図れる。
【0009】
本発明の光源装置では、前記リフレクタの光射出前方側に設けられ光束を透過する透光性部材と、前記リフレクタの光射出前方側端部、および前記透光性部材の外周端部に接続し、前記リフレクタおよび前記透光性部材を一体化する支持部材とを備え、前記支持部材は、筒形状を有し、筒形状一端側の開口部分が前記リフレクタの光射出前方側端部に接続し、筒形状他端側の開口部分が前記透光性部材の外周端部に接続することが好ましい。
本発明によれば、光源装置は、支持部材を備えているので、光源ランプおよびリフレクタが一体化されたユニットと、透光性部材とを一体化でき、光源装置が搭載される光学機器へ光源装置を組み込むレイアウトを容易とする。
また、上述したように光源ランプからリフレクタとは反対側に放射される光束に含まれる赤外線は、副反射鏡およびリフレクタによりリフレクタの光射出後方側から外部に排出されるため、赤外線が支持部材に照射されることを回避できる。すなわち、赤外線の照射による支持部材の劣化を抑制できるため、支持部材を耐熱性のそれほど高くない材料にて構成でき、支持部材の設計の自由度が向上するとともに、光源装置の低コスト化が図れる。
さらに、上述したように光源ランプからリフレクタとは反対側に放射される光束に含まれる赤外線は、副反射鏡およびリフレクタによりリフレクタの光射出後方側から外部に排出されるため、支持部材を筒形状とし筒形状一端側の開口部分にリフレクタの光射出前方側端部を接続し筒形状他端側の開口部分に透光性部材の外周端部を接続してリフレクタと透光性部材との間の空間を支持部材にて略密閉空間にした場合であっても、光源装置内部の温度を低い状態で維持できる。そして、リフレクタと透光性部材との間の空間を支持部材にて略密閉空間にすることで、光源ランプが破裂した場合であっても、破片が光源装置外部に飛散することを抑制できる。
【0010】
本発明の光源装置では、前記リフレクタの光射出後方側に配設され、前記リフレクタを透過した赤外領域の光束を遮光する遮光部材を備えていることが好ましい。
ところで、光源ランプからリフレクタとは反対側に放射される光束に含まれる赤外線は、副反射鏡およびリフレクタによりリフレクタの光射出後方側から外部に排出されるため、光源装置が搭載される光学機器を構成する他の部材(外装筺体等)に照射されることとなる。光源ランプからリフレクタ側に放射される光束に含まれる赤外線も同様に、リフレクタを透過してリフレクタの光射出後方側から外部に排出されるため、外装筺体等に照射されることとなる。そして、外装筺体等に赤外線が照射された場合には、外装筺体等にて吸収されて熱に変換され、外装筐体等の劣化が生じる恐れがある。
本発明によれば、光源装置は、遮光部材を備えているので、リフレクタの光射出後方側から射出される赤外線を遮光部材にて遮光できる。このため、光源装置外部に赤外線が排出されることがなく、光源装置が搭載される光学機器を構成する他の部材に赤外線が照射されることを回避し、前記他の部材の劣化を防止できる。
【0011】
本発明の光源装置では、前記遮光部材は、赤外領域の光束を吸収する材料で構成されていることが好ましい。
本発明によれば、遮光部材は、赤外領域の光束を吸収する材料で構成されているので、リフレクタの光射出後方側から射出される赤外線を遮光部材にて吸収して熱に変換でき、上述した光源装置が搭載される光学機器を構成する他の部材に赤外線が照射されることを回避し、前記他の部材の劣化を防止できるという効果を好適に図れる。
【0012】
本発明の光源装置では、前記遮光部材は、赤外領域の光束を反射するように構成され、赤外領域の光束が照射される照射面に光束を乱反射させるための凹凸加工が施されていることが好ましい。
本発明によれば、遮光部材は、赤外領域の光束を反射するように構成されているので、リフレクタの光射出後方側から射出される赤外線を遮光部材にて反射でき、上述した光源装置が搭載される光学機器を構成する他の部材に赤外線が照射されることを回避し、前記他の部材の劣化を防止できるという効果を好適に図れる。
また、遮光部材の照射面には凹凸加工が施されているので、照射面に照射された赤外線を凹凸状の照射面によって乱反射させ、反射光(赤外線)の強度分布の偏りを低減することができる。このため、遮光部材により反射された赤外線が光源装置を構成する他の部材に照射された場合であっても、強度の強い赤外線が前記他の部材に照射されることを防止でき、前記他の部材の劣化を抑制できる。
【0013】
本発明のプロジェクタは、光源装置と、前記光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置にて変調された光束を拡大投射する投射光学装置とを備えたプロジェクタであって、前記光源装置は、上述した光源装置であることを特徴とする。
本発明によれば、プロジェクタは、上述した光源装置を備えているので、上述した光源装置と同様の作用・効果を享受できる。
また、プロジェクタは、内部の温度を低く維持できる光源装置を備えているので、光源装置に冷却空気を送風、あるいは、光源装置近傍の空気を吸入して光源装置を冷却する冷却ファンの回転数をそれほど高くする必要がなく、プロジェクタの静粛性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクタの構成〕
図1は、第1実施形態におけるプロジェクタ1の概略構成を示す平面図である。
プロジェクタ1は、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して画像光を形成し、該画像光をスクリーン等の投射面上に拡大投射する光学機器である。このプロジェクタ1は、図1に示すように、略直方体状の外装筺体2と、この外装筺体2内部に収納配置される光学ユニット3とで大略構成される。
なお、具体的な図示は省略するが、外装筺体2内部には、光学ユニット3の他、プロジェクタ1の構成部材に外部からの電力を供給する電源ユニット、プロジェクタ1内部を冷却する冷却ユニット、プロジェクタ1全体を制御する制御装置等が配置されるものとする。
【0015】
外装筺体2は、射出成型等による合成樹脂製品であり、プロジェクタ1の天面、前面、背面、および側面をそれぞれ構成するアッパーケース、およびプロジェクタ1の底面、前面、背面、および側面をそれぞれ構成するロアーケース等で構成される。そして、各ケースは、互いにねじ等で固定されている。
なお、外装筺体2は、合成樹脂製に限らず、その他の材料にて形成してもよく、例えば、金属等により構成してもよい。
【0016】
光学ユニット3は、外装筺体2内部に配置され、画像光を形成して拡大投射する。この光学ユニット3は、図1に示すように、光源装置10、均一照明光学系20、色分離光学系30、リレー光学系35、光学装置40、および投射光学装置としての投射光学系50を備えて構成され、これらの光学系20〜35を構成する光学素子および光学装置40は、所定の照明光軸Aが設定された光学部品用筐体60内に位置決め調整されて収納されている。
【0017】
光源装置10は、光源ランプ11から放射された光束を一定方向に揃えて射出し、光学装置40を照明するものである。この光源装置10は、詳しくは後述するが、図1に示すように、光源ランプ11、リフレクタとしての主反射鏡12、副反射鏡13、透光性部材としての平行化レンズ14、これらを保持する支持部材15(図2、図3参照)、および遮光部材16(図2参照)を備えて構成されている。この光源装置10は、光学部品用筐体60に接続するアウターハウジング10C(図1)に収納配置される。光源装置10は、アウターハウジング10Cに収納配置されることで、光学部品用筐体60に対する所定位置(光源装置10から射出される光束の中心軸と光学部品用筐体60内に設定された照明光軸Aとが一致する位置)に位置決めされる。
そして、光源ランプ11から放射された光束は、主反射鏡12により光源装置10の前方側に射出方向を揃えて集束光として射出され、平行化レンズ14によって平行化され、均一照明光学系20に射出される。
なお、図1では主反射鏡12が楕円面リフレクタとして構成されている場合を示しており、主反射鏡12がパラボラリフレクタとして構成されている場合には平行化レンズ14を省略する。
【0018】
均一照明光学系20は、光源装置10から射出された光束を複数の部分光束に分割し、照明領域の面内照度を均一化する光学系である。この均一照明光学系20は、第1レンズアレイ21、第2レンズアレイ22、偏光変換素子23、および重畳レンズ24を備えている。
第1レンズアレイ21は、光源装置10から射出された光束を複数の部分光束に分割する光束分割光学素子としての機能を有し、照明光軸Aと直交する面内にマトリクス状に配列される複数の小レンズを備えて構成される。
第2レンズアレイ22は、上述した第1レンズアレイ21により分割された複数の部分光束を集光する光学素子であり、第1レンズアレイ21と同様に照明光軸Aに直交する面内にマトリクス状に配列される複数の小レンズを備えた構成を有している。
【0019】
偏光変換素子23は、第1レンズアレイ21により分割された各部分光束の偏光方向を略一方向の直線偏光に揃える偏光変換素子である。
この偏光変換素子23は、図示を略したが、照明光軸Aに対して傾斜配置される偏光分離膜および反射膜を交互に配列した構成を具備する。偏光分離膜は、各部分光束に含まれるP偏光光束およびS偏光光束のうち、一方の偏光光束を透過し、他方の偏光光束を反射する。反射された他方の偏光光束は、反射膜によって曲折され、一方の偏光光束の射出方向、すなわち照明光軸Aに沿った方向に射出される。射出された偏光光束のいずれかは、偏光変換素子23の光束射出面に設けられる位相差板によって偏光変換され、略全ての偏光光束の偏光方向が揃えられる。このような偏光変換素子23を用いることにより、光源ランプ11から射出される光束を、略一方向の偏光光束に揃えることができるため、光学装置40で利用する光源光の利用率を向上することができる。
【0020】
重畳レンズ24は、第1レンズアレイ21、第2レンズアレイ22、および偏光変換素子23を経た複数の部分光束を集光して光学装置40の後述する3つの液晶パネルの画像形成領域上に重畳させる光学素子である。
【0021】
色分離光学系30は、2枚のダイクロイックミラー31,32と、反射ミラー33とを備え、ダイクロイックミラー31,32により均一照明光学系20から射出された複数の部分光束を、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離する機能を具備する。
ダイクロイックミラー31,32は、基板上に所定の波長領域の光束を反射し、他の波長領域の光束を透過する波長選択膜が形成された光学素子である。そして、光路前段に配置されるダイクロイックミラー31は、青色光を反射し、その他の色光を透過するミラーである。また、光路後段に配置されるダイクロイックミラー32は、緑色光を反射し、赤色光を透過するミラーである。
【0022】
リレー光学系35は、入射側レンズ36と、リレーレンズ38と、反射ミラー37,39とを備え、色分離光学系30を構成するダイクロイックミラー31,32を透過した赤色光を光学装置40まで導く機能を有している。なお、赤色光の光路にこのようなリレー光学系35が設けられているのは、赤色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。本実施形態においては赤色光の光路の長さが長いのでこのような構成とされているが、青色光の光路の長さを長くしてリレー光学系35を青色光の光路に用いる構成も考えられる。
【0023】
上述したダイクロイックミラー31により分離された青色光は、反射ミラー33により曲折された後、フィールドレンズ41を介して光学装置40に供給される。また、ダイクロイックミラー32により分離された緑色光は、そのままフィールドレンズ41を介して光学装置40に供給される。さらに、赤色光は、リレー光学系35を構成するレンズ36,38および反射ミラー37,39により集光、曲折されてフィールドレンズ41を介して光学装置40に供給される。なお、光学装置40の各色光の光路前段に設けられるフィールドレンズ41は、第2レンズアレイ22から射出された各部分光束を、各部分光束の主光線に対して平行な光束に変換するために設けられている。
【0024】
光学装置40は、入射した光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものである。この光学装置40は、照明対象となる光変調装置としての液晶パネル42R,42G,42B(赤色光側の液晶パネルを42R、緑色光側の液晶パネルを42G、青色光側の液晶パネルを42Bとする)と、クロスダイクロイックプリズム43とを備えて構成される。なお、フィールドレンズ41および各液晶パネル42R,42G,42Bの間には、入射側偏光板44が介在配置され、各液晶パネル42R,42G,42Bおよびクロスダイクロイックプリズム43の間には、射出側偏光板45が介在配置され、入射側偏光板44、液晶パネル42R,42G,42B、および射出側偏光板45によって入射する各色光の光変調が行なわれる。
【0025】
液晶パネル42R,42G,42Bは、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶を密閉封入したものであり、例えば、ポリシリコンTFT(Thin Film Transistor)をスイッチング素子として、与えられた画像信号にしたがって、入射側偏光板44から射出された偏光光束の偏光方向を変調する。
クロスダイクロイックプリズム43は、射出側偏光板45から射出された色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロイックプリズム43は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、誘電体多層膜が形成されている。略X字状の一方の誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他方の誘電体多層膜は、青色光を反射するものであり、これらの誘電体多層膜によって赤色光および青色光は曲折され、緑色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光が合成される。
そして、クロスダイクロイックプリズム43から射出されたカラー画像は、投射光学系50によって拡大投射され、図示を略したスクリーン上で大画面画像を形成する。
【0026】
〔光源装置の構成〕
図2および図3は、光源装置10の概略構成を示す図である。具体的に、図2は、光源装置10を光射出前方側から見た斜視図である。図3は、光源装置10を光射出前方側から見た分解斜視図である。
光源装置10は、図2または図3に示すように、光源装置本体10Aと、平行化レンズ14と、支持部材15と、遮光部材16(図2)とを備える。
【0027】
図4は、光源装置本体10Aの概略構成を示す断面図である。
光源装置本体10Aは、図2ないし図4に示すように、光源ランプ11、主反射鏡12、および副反射鏡13が一体化された構成である。
光源ランプ11は、図4に示すように、石英ガラス管から構成される発光管111と、この発光管111内に配置される一対の電極112および図示しない封入物とを備える。
ここで、光源ランプ11としては、高輝度発光する種々の光源ランプを採用でき、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を採用できる。
【0028】
発光管111は、中央部分に位置し略球状に膨出する発光部1111と、この発光部1111の両側に延びる一対の封止部1112,1113とで構成される。
発光部1111には、略球状の放電空間が形成され、この放電空間内に、一対の電極112と、水銀、希ガス、および少量のハロゲンが封入される。
一対の封止部1112,1113の内部には、一対の電極112と電気的に接続されるモリブデン製の金属箔112Aが挿入され、ガラス材料等で封止されている。各金属箔112Aには、さらに電極引出線としてのリード線113が接続され、このリード線113は、光源ランプ11の外部まで延出している。
そして、リード線113に電圧を印加すると、図4に示すように、金属箔112Aを介して電極112間に電位差が生じて放電が生じ、アーク像Dが生成して発光部1111内部が発光する。なお、以下では、発光中心を電極112間に生成されるアーク像Dの中心位置Oとして説明する。また、アーク像Dの中心位置Oは、一対の電極112間の略中央に位置する。さらに、アーク像Dの中心位置Oは、封止部1112,1113の延出方向に沿った発光管111の中心軸(図4では照明光軸Aと一致)と、発光部1111が最も膨出している部位の照明光軸Aに直交する平面に沿った断面との交点(発光管111の中心)に略一致するものとする。
【0029】
主反射鏡12は、図4に示すように、光源ランプ11の基端側の一方の封止部1112が挿通される筒状の首状部121、およびこの首状部121から拡がる凹曲面状の反射部122を備えた透光性を有するガラス製の一体成形品である。
首状部121には、図4に示すように、略円筒状となるように中央に挿入孔123が成形加工により形成されており、この挿入孔123の中心に封止部1112が配置される。
反射部122は、回転曲線形状のガラス面に金属薄膜を蒸着形成して構成された反射面122Aを備える。そして、この反射面122Aは、可視光を反射して赤外線および紫外線を透過するコールドミラーとなっている。
【0030】
このような主反射鏡12の反射部122内部に配置される光源ランプ11は、アーク像Dの中心位置Oが反射部122の反射面122Aの回転曲線形状の第1焦点位置F1の近傍となるように配置される。
そして、光源ランプ11を点灯すると、図4に示すように、発光部1111から放射された光束のうち主反射鏡12に向った光束R1は、主反射鏡12の反射部122の反射面122Aで反射して、回転曲線形状の第2焦点位置F2に集束する集束光となる。
また、反射部122における光射出前方側端部は、図3に示すように、発光管111の中心軸(図4では照明光軸Aに一致)に略直交して外側に延出し、平面視矩形枠形状を有する。
【0031】
図5は、副反射鏡13の概略構成を示す断面図である。
副反射鏡13は、図4または図5に示すように、光源ランプ11の発光管111を構成する他方の封止部1113が挿通される略筒状の首状部131、およびこの首状部131から拡がる略球面状の反射部132を備え、これら首状部131および反射部132が一体的に形成されたものである。
首状部131は、光源ランプ11に対して副反射鏡13を固着する部分であり、筒状の挿通孔131Aに光源ランプ11の封止部1113を挿通することで、図4に示すように、光源ランプ11に対して副反射鏡13が設置される。そして、この挿通孔131Aの内周面は、封止部1113との固定用接着剤が充填される接着面とされる。このように、副反射鏡13に首状部131を設けることで、首状部131を設けない構成と比較して、光源ランプ11に対する副反射鏡13の固着領域を大きくとることができ、光源ランプ11に対する副反射鏡13の固着状態を良好に維持できる。
【0032】
反射部132は、図4または図5に示すように、光源ランプ11に対して副反射鏡13を設置した状態で、光源ランプ11の発光部1111の球面に倣い、発光部1111の光射出前方側の略半分を覆う椀形状に構成されている。
この反射部132において、椀形状の内面(発光部1111に近接する側の面)には、図5に示すように、可視領域の光束(以下、可視光)、および赤外領域の光束(以下、赤外線)を反射する材料で構成された反射部材としての反射膜132Aが形成されている。
そして、本実施形態では、反射膜132Aは、低屈折率材料であるSiO、高屈折率材料であるTaOを積層した多層膜で構成されている。そして、反射膜132Aを上述した多層膜で構成することで、380nm〜1000nm程度の波長領域の光束を反射し、紫外領域の光束(以下、紫外線)を透過する。
上述した副反射鏡13(反射膜132Aを除く部分)は、低熱膨張材および/または高熱伝導材である、例えば石英、アルミナセラミックス等の無機系材料から構成される。
【0033】
そして、上述した副反射鏡13を発光管111に装着することにより、図4に示すように、発光部1111から主反射鏡12とは反対側(前方側)に放射される光束R2のうち、可視光R21は、副反射鏡13の反射膜132Aにて反射されて発光部1111を介して主反射鏡12に向かう。主反射鏡12に向かった可視光R21は、反射面122Aにて反射され、光源ランプ11から反射面122Aに直接入射した光束R1と同様に、第2焦点位置F2に集束する。
【0034】
図6は、光源装置10を上方側から見た断面図である。
支持部材15は、図2、図3、または図6に示すように、光源装置本体10Aおよび平行化レンズ14を一体化する部材である。より具体的に、この支持部材15は、図2、図3、または図6に示すように、光射出前方側に向かうにしたがって内径寸法が縮径する筒形状を有し、筒形状一端側の開口部分151が光源装置本体10Aを構成する主反射鏡12の光射出前方側端部に接続し、筒形状他端側の開口部分152が平行化レンズ14の外周端部で接続する。
ここで、開口部分151は、平面視略矩形形状を有し、主反射鏡12の光射出前方側端部を嵌合可能に構成されている。すなわち、開口部分151に主反射鏡12の光射出前方側端部を嵌合させることで、支持部材15と主反射鏡12とが接続する。
また、開口部分152は、平面視円形形状を有し、平行化レンズ14を嵌合可能に構成されている。すなわち、開口部分152に平行化レンズ14を嵌合させることで、支持部材15と平行化レンズ14とが接続する。
なお、上述したように、各開口部分151,152に対して主反射鏡12および平行化レンズ14を嵌合した後、例えば、固定用接着剤等で接着固定してもよい。
【0035】
また、この支持部材15において、側面には、図2、図3、または図6に示すように、左右方向(発光管111の延出方向に略直交する水平方向)に対向し、支持部材15内部に空気を流通可能とする平面視矩形状の開口部153,154が形成されている。
そして、開口部153近傍に配設される前記冷却ユニットを構成する冷却ファン(例えば、排気ファン)により、図6に示すように、開口部153,154を介して、支持部材15外部の冷却空気が吸入され、支持部材15内部に導入される。支持部材15内に冷却空気が導入されることで、光源装置本体10Aの光源ランプ11に冷却空気が送風されて冷却される。また、開口部153を介して支持部材15内部の空気が前記排気ファンにより吸入され、プロジェクタ1外部へと排気される。
【0036】
遮光部材16は、図2または図6に示すように、光源装置本体10A(主反射鏡12)の光射出後方側に配設され、赤外線を遮光する部材であり、主反射鏡12の光射出後方側を覆う箱状に形成されている。そして、遮光部材16は、赤外線を吸収して熱に変換する材料にて構成されている。この遮光部材16の材料としては、例えば、セラミックスや、アルマイト処理が施されたアルミニウム等の部材を採用できる。なお、遮光部材16の材料としては、セラミックスや、アルマイト処理が施されたアルミニウム等の部材の他、赤外線を遮光可能とする材料であればいずれの材料で構成しても構わない。
すなわち、図6に示すように、発光部1111から主反射鏡12とは反対側(前方側)に放射される光束R2のうち、赤外線R22は、副反射鏡13の反射膜132Aにて反射されて発光部1111を介して主反射鏡12に向かう。主反射鏡12に向かった赤外線R22は、主反射鏡12を透過して、遮光部材16に照射される。そして、遮光部材16に照射された赤外線R22は、遮光部材16にて吸収されて熱に変換される。また、発光部1111から主反射鏡12側に放射される光束に含まれる赤外線も同様に、主反射鏡12を透過して、遮光部材16に照射され遮光部材16にて吸収されて熱に変換される。
【0037】
また、この遮光部材16において、開口部153側の側面には、図6に示すように、遮光部材16内外に空気を流通可能とする平面視矩形状の開口部161が形成されている。また、この開口部161には、図6に示すように、赤外線(発光部1111から主反射鏡12とは反対側に放射され副反射鏡13にて反射され主反射鏡12を透過した赤外線R22や、発光部1111から主反射鏡12側に放射され主反射鏡12を透過した赤外線)が開口部161を介して遮光部材16外部に漏れることを防止する複数の遮光板161Aが設けられている。これら遮光板161Aは、図6に示すように、板状の形状を有し、板面が発光部1111に対向するように開口部161の開口面に対して傾斜した状態で設けられている。すなわち、開口部161に向かう赤外線は、複数の遮光板161Aにて遮光(吸収)され、開口部161を介して遮光部材16外部に漏れることがない。
【0038】
そして、前記排気ファンにより、図6に示すように、開口部161を介して、光源装置10外部の冷却空気が吸入され、光源装置本体10Aと遮光部材16との間の隙間から主反射鏡12の光射出後方側と遮光部材16とで囲まれる空間に導入される。前記空間に冷却空気が導入されることで、遮光部材16内面に冷却空気が送風されて冷却される。また、開口部161を介して前記空間の空気が前記排気ファンにより吸入され、プロジェクタ1外部へと排気される。
【0039】
上述した第1実施形態によれば、以下の効果がある。
本実施形態では、光源装置10は、可視光および赤外線を反射する反射膜132Aを有する副反射鏡13を備えている。このことにより、光源ランプ11から主反射鏡12とは反対側に放射される光束R2に含まれる可視光R21を副反射鏡13にて主反射鏡12の反射面122Aに入射するよう後方側に反射させ、再度、主反射鏡12にて反射させることができる。このため、光源ランプ11から射出される光の利用効率を向上できる。また、主反射鏡12の光軸方向寸法および開口径を例えば副反射鏡13を設けない場合と比較して小さくすることができる。すなわち、光源装置10やプロジェクタ1を光の利用効率を低下させずに小型化でき、光源装置10をプロジェクタ1内に組み込むレイアウトも容易となる。
【0040】
また、主反射鏡12が赤外線を透過する構成とされ、副反射鏡13が可視光のみならず赤外線を反射する構成とされている。このことにより、光源ランプ11から主反射鏡12とは反対側に放射される光束R2に含まれる赤外線R22を副反射鏡13にて主反射鏡12に入射するよう後方側に反射させるとともに主反射鏡12を透過させて主反射鏡12の光射出方向側から外部に排出できる。このため、従来のように赤外線がランプハウジング(支持部材15)の内壁にて吸収されて熱に変換されることがなく、光源装置10内部の温度を低く維持することができ、支持部材15の劣化や光源ランプ11の劣化を抑制し光源装置10の長寿命化が図れる。
さらに、光源装置10の長寿命化が図れるため、光源ランプ11や支持部材15を短期間で交換する必要がなく、産業廃棄物を低減できる。
【0041】
また、光源装置10は、支持部材15を備えているので、光源装置本体10Aと、平行化レンズ14とを一体化でき、光源装置10をプロジェクタ1に組み込むレイアウトを容易とする。
さらに、光源ランプ11から主反射鏡12とは反対側に放射される光束R2に含まれる赤外線R22は、副反射鏡13および主反射鏡12により主反射鏡12の光射出後方側から外部に排出されるため、赤外線R22が支持部材15に照射されることを回避できる。すなわち、赤外線R22の照射による支持部材15の劣化を抑制できるため、支持部材15を耐熱性のそれほど高くない材料にて構成でき、支持部材15の設計の自由度が向上するとともに、光源装置10の低コスト化が図れ、ひいては、プロジェクタ1の低コスト化が図れる。
【0042】
さらにまた、赤外線R22が主反射鏡12の光射出後方側から外部に排出されるため、支持部材15を筒形状とし筒形状一端側の開口部分151に主反射鏡12の光射出前方側端部を接続し筒形状他端側の開口部分152に平行化レンズ14の外周端部を接続して主反射鏡12と平行化レンズ14との間の空間を支持部材15にて略密閉空間にした場合であっても、光源装置10内部の温度を低い状態で維持できる。そして、主反射鏡12と平行化レンズ14との間の空間を支持部材15にて略密閉空間にすることで、光源ランプ11が破裂した場合であっても、破片が光源装置10外部に飛散することを抑制できる。
【0043】
また、支持部材15には、開口部153,154が形成されているので、各開口部153,154を介して支持部材15内部に空気を流通させることができ、赤外線R22を主反射鏡12の光射出後方側から外部に排出する効果に加えて、光源装置10内部の温度をより低く維持できる。
さらに、光源装置10内部の温度を低く維持できるため、前記冷却ユニットを構成する冷却ファン(例えば、排気ファン)により各開口部153,154を介して支持部材15内部に流通させる空気の量を低減できる。すなわち、前記排気ファンの回転数を低減でき、プロジェクタ1の低騒音化が図れる。また、前記排気ファンに印加する電圧を低く設定でき、プロジェクタ1の省電力化が図れる。
【0044】
また、光源装置10は、遮光部材16を備えているので、主反射鏡12の光射出後方側から射出される赤外線(発光部1111から主反射鏡12とは反対側に放射され副反射鏡13にて反射され主反射鏡12を透過した赤外線R22や、発光部1111から主反射鏡12側に放射され主反射鏡12を透過した赤外線)を遮光部材16にて遮光できる。このため、光源装置10外部に赤外線が排出されることがなく、プロジェクタ1を構成する他の部材(例えば、外装筺体2、アウターハウジング10C等)に赤外線が照射されることを回避し、前記他の部材の劣化を防止できる。
ここで、遮光部材16は、赤外線を吸収する材料で構成されているので、主反射鏡12の光射出後方側から射出される赤外線を遮光部材16にて吸収して熱に変換でき、上述したプロジェクタ1を構成する他の部材に赤外線が照射されることを回避し、前記他の部材の劣化を防止できるという効果を好適に図れる。
また、遮光部材16には、開口部161が形成されているので、開口部161を介して主反射鏡12の光射出後方側と遮光部材16とで囲まれる空間内外に空気を流通させることができ、遮光部材16にて赤外線を遮光して前記他の部材に照射されることを回避しつつ、遮光部材16を効率的に冷却して光源装置10内部の温度を低く維持できる。
さらに、開口部161には複数の遮光板161が設けられているので、開口部161を介して赤外線が光源装置10外部に漏れることを防止しつつ、主反射鏡12の光射出後方側と遮光部材16とで囲まれる空間内外に良好に空気を流通可能とする。
【0045】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構造および同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図7および図8は、第2実施形態における光源装置100の概略構成を示す図である。具体的に、図7は、光源装置100を光射出前方側から見た斜視図である。図8は、光源装置100を光射出前方側から見た分解斜視図である。
前記第1実施形態では、光源装置10を構成する支持部材15は、2つの開口部153,154が形成され、各開口部153,154を介して内部に空気を流通可能に構成されている。
これに対して第2実施形態では、光源装置100を構成する支持部材150は、図7または図8に示すように、各開口部153,154が省略された構成である。すなわち、支持部材150内部は、筒形状一端側の開口部分151が光源装置本体10Aにより閉塞され、筒形状他端側の開口部分152が平行化レンズ14により閉塞されるため、密閉空間となっている。支持部材150において各開口部が省略された点以外の構成は、前記第1実施形態と同様のものである。
【0046】
上述した第2実施形態によれば、支持部材150内部を密閉空間とした場合であっても、前記第1実施形態と略同様の効果を享受できる。また、以下の効果がある。
前記第1実施形態で説明した構成のように、支持部材15内部に空気を導入し、光源ランプ11に冷却空気を送風した場合には、発光管111において、局所的に温度が低い部分が生じる恐れがある。このように、発光管111の温度分布に比較的大きい偏りが生じた場合には、発光管111の管壁に黒化等が生じやすく、光源装置10の明るさの低下や、発光管111の破裂を引き起こしてしまう。
本実施形態では、支持部材150内部は密閉空間となっており、光源ランプ11に冷却空気が送風されない構成であるので、上述したように発光管111の温度分布に比較的大きい偏りが生じにくく、光源装置100の明るさの低下や、発光管111の破裂を抑制できる。また、光源ランプ11が破裂した場合であっても破片が光源装置100外部に飛散することを前記第1実施形態よりさらに抑制できる。
【0047】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構造および同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図9は、第3実施形態における副反射鏡130の概略構成を示す断面図である。
前記第1実施形態では、副反射鏡13において、反射膜132Aは、反射部132における椀形状の内面に形成されている。
これに対して第3実施形態では、副反射鏡130において、反射膜132Aは、図9に示すように、反射部132における椀形状の外面(発光部1111から離間した側の面)に形成されている。そして、副反射鏡130は、反射部132を介して反射膜132Aに入射した光束R2(可視光R21および赤外線R22を含む光束)を反射膜132Aにて反射し、反射部132を介して発光部1111に進行させる。すなわち、反射膜132Aの形成位置が前記第1実施形態と異なるのみであり、副反射鏡130の他の構成や、副反射鏡130以外の構成は、前記第1実施形態と同様のものである。
【0048】
上述した第3実施形態においては、前記第1実施形態と同様の効果の他、以下の効果がある。
本実施形態では、副反射鏡130において、反射膜132Aは、椀形状の外面(発光部1111から離間した側の面)に設けられている。このことにより、前記第1実施形態で説明した反射膜132Aが椀形状の内面(発光部1111に近接する側の面)に設けられた副反射鏡13の構成と比較して、副反射鏡130の外側から冷却空気を送風すれば、冷却空気を反射膜132Aに送風することができ、反射膜132Aを冷却して光源装置10内部の温度をより低く維持できる。また、反射膜132Aの劣化を抑制して、光源装置10の長寿命化が図れる。
【0049】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構造および同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図10は、第4実施形態における遮光部材160の拡大断面図である。
前記第1実施形態では、遮光部材16は、赤外線を吸収する材料で構成されている。
これに対して第4実施形態では、遮光部材160は、赤外線を反射する構成、例えば、アルミニウム等の金属材料で構成、赤外線が照射される照射面160Aに銀合金等の高い反射率を有する材料を蒸着した構成、あるいは、照射面160Aに副反射鏡13の反射膜132Aと同一の反射膜を形成した構成とされ、図10に示すように、照射面160Aに、入射した赤外線を乱反射させるための凹凸加工が施されている。なお、凹凸加工としては、例えば、鋼の粒、砂、その他の砥粒材を高圧で吹き付ける、所謂サンドブラスト処理等が例示できる。すなわち、遮光部材160の材料および照射面160Aの形状が前記第1実施形態と異なるのみであり、遮光部材160の形状(箱状)や、遮光部材160以外の構成は、前記第1実施形態と同様のものである。
【0050】
上述した第4実施形態においては、前記第1実施形態と同様の効果の他、以下の効果がある。
本実施形態では、遮光部材160は、赤外線を反射する構成とされているので、主反射鏡12の光射出後方側から射出される赤外線(発光部1111から主反射鏡12とは反対側に放射され副反射鏡13にて反射され主反射鏡12を透過した赤外線R22や、発光部1111から主反射鏡12側に放射され主反射鏡12を透過した赤外線)を遮光部材160にて反射でき、プロジェクタ1を構成する他の部材(例えば、外装筺体2、アウターハウジング10C等)に赤外線が照射されることを回避し、前記他の部材の劣化を防止できる。
また、遮光部材160の照射面160Aには凹凸加工が施されているので、照射面160Aに照射された赤外線を凹凸状の照射面160Aによって乱反射させ、反射光(赤外線)の強度分布の偏りを低減することができる。このため、遮光部材160により反射された赤外線が光源装置10を構成する他の部材(リード線113や、リード線113に接続するコネクタ類等)に照射された場合であっても、強度の強い赤外線が前記他の部材に照射されることを防止でき、前記他の部材の劣化を抑制できる。
【0051】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変更が可能である。
前記各実施形態では、主反射鏡12が楕円面リフレクタとして構成されていたが、これに限らず、光源ランプ11から射出された光束を略平行光として反射するパラボラリフレクタとして構成しても構わない。このように主反射鏡をパラボラリフレクタとして構成した場合には、例えば、平行化レンズ14の代わりに、防爆ガラス等の透光性部材を配置する構成を採用すれば、前記各実施形態と同様に、光源ランプ11が破裂等した場合であっても、光源装置10外部に破片が飛散することを回避できる。
【0052】
前記各実施形態では、副反射鏡13,130が反射部材としての反射膜132Aを有する構成としていたが、これに限らず、副反射鏡13,130自体を可視光および赤外線を反射する材料(アルミニウム等の金属材料等)で形成する構成としても構わない。また、反射膜132Aの膜構成としては、前記各実施形態で説明した構成に限らず、例えば、銀合金等を蒸着することにより形成した構成としても構わない。このような構成とした場合には、紫外線をも発光部1111に向けて反射することとなるため、光源ランプ11の冷却効率を考慮した場合には、反射膜132Aのように紫外線を透過する構成とすることが好ましい。
【0053】
前記各実施形態において、副反射鏡13,130の形状、支持部材15,150の形状、遮光部材16,160の形状は、前記各実施形態で説明した形状に限らず、その他の形状を採用しても構わない。
前記各実施形態を適宜、組み合わせた構成としても構わない。例えば、前記第1実施形態で説明した構成に、前記第3実施形態で説明した副反射鏡130および前記第4実施形態で説明した遮光部材160の双方の構成を適用した構成としても構わない。また、例えば、前記第2実施形態で説明した構成に、前記第3実施形態で説明した副反射鏡130や前記第4実施形態で説明した遮光部材160を適用した構成としても構わない。
【0054】
前記各実施形態では、3つの液晶パネル42R,42G,42Bを用いたプロジェクタ1の例のみを挙げたが、本発明は、1つの液晶パネルのみを用いたプロジェクタ、2つの液晶パネルを用いたプロジェクタ、あるいは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタにも適用可能である。
前記各実施形態では、光入射面と光射出面とが異なる透過型の液晶パネルを用いていたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の液晶パネルを用いてもよい。
前記各実施形態では、光変調装置として液晶パネルを用いていたが、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶以外の光変調装置を用いてもよい。この場合は、光束入射側および光束射出側の偏光板は省略できる。
前記各実施形態では、スクリーンを観察する方向から投射を行なうフロントタイプのプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行なうリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
前記各実施形態では、プロジェクタに本発明の光源装置を採用していたが、本発明はこれに限らず、他の光学機器に本発明の光源装置を採用してもよい。
【0055】
本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の光源装置は、長寿命化が図れるため、ホームシアタやプレゼンテーションで利用されるプロジェクタの光源装置として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】第1実施形態におけるプロジェクタの概略構成を示す平面図。
【図2】前記実施形態における光源装置の概略構成を示す図。
【図3】前記実施形態における光源装置の概略構成を示す図。
【図4】前記実施形態における光源装置本体の概略構成を示す断面図。
【図5】前記実施形態における副反射鏡の概略構成を示す断面図。
【図6】前記実施形態における光源装置を上方側から見た断面図。
【図7】第2実施形態における光源装置の概略構成を示す図。
【図8】前記実施形態における光源装置の概略構成を示す図。
【図9】第3実施形態における副反射鏡の概略構成を示す断面図。
【図10】第4実施形態における遮光部材の拡大断面図。
【符号の説明】
【0058】
1・・・プロジェクタ、10,100・・・光源装置、11・・・光源ランプ、12・・・リフレクタ(主反射鏡)、13・・・副反射鏡、14・・・平行化レンズ(透光性部材)、15,150・・・支持部材、16,160・・・遮光部材、42R,42G,42B・・・液晶パネル(光変調装置)、50・・・投射光学系(投射光学装置)、111・・・発光管、112・・・電極、122A・・・反射面、132A・・・反射膜(反射部材)、160A・・・照射面、R21・・・可視領域の光束、R22・・・赤外線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電空間を有する発光管、および前記発光管の放電空間に配置される一対の電極を有する光源ランプと、断面略凹状に拡がり前記光源ランプから放射された光束を反射するリフレクタとを備えた光源装置であって、
前記リフレクタは、前記光源ランプから放射された光束に含まれる可視領域の光束を反射するとともに、赤外領域の光束を透過するように構成され、
前記リフレクタの反射面と対向配置され、前記光源ランプから放射された光束の一部を前記放電空間に向けて反射する反射部材を有する副反射鏡を備え、
前記反射部材は、前記光源ランプから放射された光束に含まれる可視領域の光束、および赤外領域の光束を反射する材料で構成されていることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置において、
前記発光管は、前記一対の電極間で放電発光が行われる発光部、および前記発光部の両端に設けられる封止部を有し、
前記副反射鏡は、前記発光部の光射出前方側を覆う椀形状を有し、
前記反射部材は、前記副反射鏡における前記発光部から離間した椀形状の外面に設けられていることを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光源装置において、
前記リフレクタの光射出前方側に設けられ光束を透過する透光性部材と、
前記リフレクタの光射出前方側端部、および前記透光性部材の外周端部に接続し、前記リフレクタおよび前記透光性部材を一体化する支持部材とを備え、
前記支持部材は、筒形状を有し、筒形状一端側の開口部分が前記リフレクタの光射出前方側端部に接続し、筒形状他端側の開口部分が前記透光性部材の外周端部に接続することを特徴とする光源装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の光源装置において、
前記リフレクタの光射出後方側に配設され、前記リフレクタを透過した赤外領域の光束を遮光する遮光部材を備えていることを特徴とする光源装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光源装置において、
前記遮光部材は、赤外領域の光束を吸収する材料で構成されていることを特徴とする光源装置。
【請求項6】
請求項4に記載の光源装置において、
前記遮光部材は、赤外領域の光束を反射するように構成され、赤外領域の光束が照射される照射面に光束を乱反射させるための凹凸加工が施されていることを特徴とする光源装置。
【請求項7】
光源装置と、前記光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置にて変調された光束を拡大投射する投射光学装置とを備えたプロジェクタであって、
前記光源装置は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の光源装置であることを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−117733(P2008−117733A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−302540(P2006−302540)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】