説明

光源装置、照明装置、プロジェクタおよびモニタ装置

【課題】レーザ光の波長変換を行う波長変換素子の温度を精度良く調整する。
【解決手段】レーザ光源装置12は、半導体レーザアレイ20と光波長変換素子30と反射ミラー40とを備えている。光波長変換素子30には、サーミスタ35とヒータ37とが接続されており、温度制御回路70は、サーミスタ35によって測定した温度に基づきヒータ37を制御して、光波長変換素子30の温度を調整する。半導体レーザアレイ20と光波長変換素子30との間には、不要レーザ光LB3を遮光する遮光板50が配置されており、これにより、不要レーザ光LB3が直接的あるいは間接的にサーミスタ35を照射することが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光源を用いた光源装置や照明装置、プロジェクタ、モニタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像を拡大投写するプロジェクタには、一般的に、その光源として、超高圧水銀ランプ(UHP)が用いられていた。しかし、UHPは、最高輝度に到達するまでに数分程度の時間を要することや、寿命が比較的短いこと等の種々の課題が存在していた。そこで、近年では、光源として半導体赤外レーザを用いる手法が開発されつつある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−99160号公報
【特許文献2】特開2003−16699号公報
【0004】
赤外レーザ光(波長:1000nm前後)から可視光を得るためには、PPLN(Periodically Poled Lithium Niobate)等の波長変換素子を用いることができる。この波長変換素子を用いれば、比較的製造の容易な半導体赤外レーザ装置を用いて、青色(波長:460nm)や、緑色(波長:532nm)等の可視光を得ることができる。
【0005】
しかし、波長変換素子による光の変換効率は、その温度によって大きく左右されることが知られている。図9は、波長変換素子による光の変換効率の一例を示すグラフである。図示するように、波長の変換効率が最も高くなる波長変換素子の温度は、所定の温度に対して、1℃程度の狭い範囲であり、その範囲を外れてしまうと、その変換効率は大きく低下してしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レーザ光を光源として用いる装置に生じる上述の問題を考慮し、本発明が解決しようとする課題は、波長変換素子の温度を精度良く調整することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を踏まえ、本発明を光源装置として次のように構成した。すなわち、
光源装置であって、
レーザ光源と、
前記レーザ光源から発せられたレーザ光の波長を所定の波長に変換する波長変換素子と、
前記波長変換素子の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサによって検出された温度に応じて、前記波長変換素子を所定の温度に調整する温度調整器と、
前記レーザ光源と前記温度センサとの間を遮光する遮光部と
を備えることを要旨とする。
【0008】
本発明の光源装置では、波長変換素子の温度を検出する温度センサとレーザ光源との間を、遮光部によって遮光するものとした。そのため、レーザ光源から発せされたレーザ光が温度センサに照射されることなく、温度センサによる温度の誤検出を抑制することができる。この結果、温度調整器によって波長変換素子の温度を高精度に保つことができ、安定した出力を得られることが可能になる。
【0009】
上記構成の光源装置において、前記遮光部は、熱伝導性材料である金属を含有するものとしてもよい。
【0010】
このような構成であれば、レーザ光の遮光に伴って発生する熱が遮光部によって放熱されるため、温度センサによる波長変換素子の温度の誤検出を抑制することができる。前記金属としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、鉄、真鍮、チタン、ステンレスの内、少なくともいずれか一つを含有しているものとすることができる。なお、遮光部は、これらの金属そのものによって形成されていてもよいし、樹脂に金属粉を混在させたものや、樹脂の一部に金属部位を形成したものとしてもよい。
【0011】
上記構成の光源装置において、
該光源装置は、前記温度センサより遠方に熱を放出する放熱機構を備えており、前記遮光部は、前記放熱機構に接続されているものとしてもよい。このような構成であれば、遮光部に生じた熱を、放熱機構によって効率的に放熱することができる。
【0012】
上記構成の光源装置において、
前記遮光部は、前記レーザ光源から発せられたレーザ光を反射する反射膜を有するものとしてもよい。このような構成によれば、レーザ光源から発せられた不要なレーザ光を反射することにより、容易に遮光を行うことが可能になる。
【0013】
上記構成の光源装置において、
前記遮光部は、断熱性の材料を含んで形成されているものとしてもよい。
【0014】
このような構成によれば、レーザ光の遮光によって発生した熱が、温度センサにまで到達することを抑制することができるため、波長変換素子の温度を高精度に保つことができる。このような断熱性の材料としては、例えば、シリコンや樹脂を採用することができる。その他、遮光部を中空構造としたり、ABS、エポキシ、ゴム系の材料を用いて形成することもできる。また、断熱性の材料と前述した熱伝導性材料とを貼り合わせて遮光部を形成するものとしてもよい。
【0015】
上記構成の光源装置において、
前記遮光部は、前記レーザ光が前記波長変換素子に入射する部分および前記レーザ光が前記波長変換素子から射出される部分を除き、前記波長変換素子および前記温度センサを覆うカバーとして形成されているものとしてもよい。
【0016】
このような構成であれば、不要なレーザ光を容易に遮光することができるので、温度センサによる波長変換素子の温度の誤検出を抑制することができる。
【0017】
上記構成の光源装置において、
前記レーザ光源は、赤外レーザ光を発するものであり、前記遮光部は、少なくとも前記赤外レーザ光を遮光する構成とすることができる。このような構成であれば、比較的入手の容易な赤外レーザ光源を用いて、可視レーザ光を出力することができる。
【0018】
上記構成の光源装置において、
前記波長変換素子は、前記赤外レーザ光の波長を、青色または緑色に相当する波長に変換する素子であるものとしてもよい。このような構成であれば、本発明の光源装置を、青色や緑色の光源が必要な種々の用途に利用することができる。
【0019】
また、本発明は、上述した種々の構成の光源装置と、前記波長変換素子から射出された光を拡散する拡散素子とを備える照明装置として構成することができる。このような構成であれば、安定した出力で照明を行うことが可能になる。
【0020】
また、本発明は、次のようなプロジェクタとして構成することができる。すなわち、
入力した画像信号に応じて画像を投写するプロジェクタであって、
レーザ光源と、
前記レーザ光源から発せられたレーザの波長を所定の波長に変換する波長変換素子と、
前記波長変換素子の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサによって検出された温度に応じて、前記波長変換素子の温度を調整する温度調整器と、
前記レーザ光源と前記温度センサとの間を遮光する遮光部と、
前記波長変換素子から射出された光を前記画像信号に応じて変調する変調部と、
前記変調された光を拡大投写する投写部と
を備えることを要旨とする。このような構成であれば、安定した輝度の画像を投写することができる。
【0021】
また、本発明は、次のようなモニタ装置として構成することもできる。すなわち、
撮影した被写体を出力するモニタ装置であって、
レーザ光源と、
前記レーザ光源から発せられたレーザの波長を所定の波長に変換する波長変換素子と、
前記波長変換素子の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサによって検出された温度に応じて、前記波長変換素子の温度を調整する温度調整器と、
前記レーザ光源と前記温度センサとの間に配置された遮光部と、
前記波長変換素子から射出された光を拡散する拡散素子と、
前記拡散素子によって照明された被写体を撮像する撮像部と、
を備えることを要旨とする。このような構成であれば、高出力のレーザ光源によって、被写体を明るく照射することができるので、明瞭な画像を撮像することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、上述した本発明の作用・効果を一層明らかにするため、本発明の実施の形態を実施例に基づき次の順序で説明する。
A.第1実施例(照明装置):
B.第2実施例(モニタ装置):
C.第3実施例(プロジェクタ):
D.変形例:
【0023】
A.第1実施例(照明装置):
図1は、本発明の第1実施例としての照明装置10の概略構成図である。図示するように、照明装置10は、レーザ光源装置12と、レーザ光源装置12から発せられたレーザ光を拡散する拡散素子14とを備える。レーザ光源装置12は、パッケージ45内に、半導体レーザアレイ20を内蔵するレーザセル20Cと、遮光板50と、光波長変換素子30と、反射ミラー40とが配置されることにより構成されている。拡散素子14としては、例えば、拡散レンズや、入射した光が拡散するように干渉縞が予め形成されたホログラム素子を用いることができる。
【0024】
図2は、レーザ光源装置12の要部を示す説明図である。レーザ光源装置12は、前述したように、半導体レーザアレイ20、遮光板50、光波長変換素子30、および、反射ミラー40を備えている。
【0025】
半導体レーザアレイ20は、レーザ光LB1が基板面20aに対して垂直に出射するVCSEL(Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser)と呼ばれるもので、複数の発光層(活性層)20bが1列に並ぶ1次元のアレイ構造を有する。この発光層20bが本発明の「レーザ光源」に相当する。発光層20bの数は、図の例では5つとなっているが、5つに限る必要はない。本実施例の半導体レーザアレイ20は、赤外レーザ光を射出する。
【0026】
光波長変換素子30は、第2高調波発生(Second Harmonic Generation:SHG)の現象、すなわち、2個の光子が2倍の振動数をもつ1個の光子に変換される2次の非線形光学現象を引き起こす素子であり、強誘電体材料に分極反転構造が形成されたものである。光波長変換素子30は、半導体レーザアレイ20から発せられたレーザ光LB1を内部に導入し、これを、青色や緑色などの可視レーザ光LB2に波長変換する。
【0027】
光波長変換素子30内の分極反転構造は、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムを用いた素子において電界印加法により形成されている。なお、分極反転構造の形成方法は、この方法に限る必要もなく、イオン交換による分極反転法、電子ビームによるマイクロドメイン反転法等の他の方法によるものであってもよい。材料についても、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムに限る必要はなく、それぞれの方法における適正な材料を用いる構成とすればよい。
【0028】
光波長変換素子30には、温度センサとしてのサーミスタ35と、光波長変換素子30の温度を所定の温度まで昇温させるヒータ37とが接着剤によって取り付けられている。図示するように、半導体レーザアレイ20から射出されるレーザ光の熱の発生を考慮し、サーミスタ35は、ヒータ37よりも、半導体レーザアレイ20から遠い位置に取り付けられている。また、かかる取り付けに際しては、ヒータ37によって生じた熱を、サーミスタ35が直接検知しないように、これらはある程度、離間して取り付けられている。なお、図示の便宜上、サーミスタ35とヒータ37とは、光波長変換素子30の同一面内に取り付けられている、それぞれ光波長変換素子30の異なる面に設けられていることが好ましい。また、ヒータ37は、光波長変換素子30の一の面の全面に亘って加熱を行うように、面状に形成されていることが好ましい。
【0029】
サーミスタ35とヒータ37とは、温度制御回路70に接続されている。温度制御回路70は、サーミスタ35によって光波長変換素子30の温度を測定し、その温度が、波長変換素子30の波長変換効率が最も高まる温度(例えば、50℃)になるようにヒータ37に流す電流量をフィードバック制御して光波長変換素子30の温度を調整する。なお、本実施例では、光波長変換素子30の温度を調整するために、ヒータ37を取り付けるものとしたが、光波長変換素子30の温度特性によっては、ペルチェ素子等の冷却器を取り付けるものとしてもよい。
【0030】
反射ミラー40は、光波長変換素子30側の面40aに特殊コーティングが施されたものである。この特殊コーティングは、半導体レーザアレイ20から発せられた励起光に対しては高反射、光波長変換素子30から発した第2高調波に対しては高透過となるものである。一方、半導体レーザアレイ20の出射側の基板面20aには、前記励起光に対しては高透過、前記第2高調波に対しては高反射となる特殊コーティングが施されている。かかる構成により、半導体レーザアレイ20の基板面20aと反射ミラー40の面40aとの間で光共振器が構成される。半導体レーザアレイ20から出射したレーザ光LB1は、この光共振器内に閉じこめられる形になって、光波長変換素子30内を何回も透過する。光波長変換素子30は、前述したようにヒータ37により温度制御されていることから、ノイズの少ない第2高調波を得ることができる。この第2高調波は、反射ミラー40を透過し、可視光に波長変換されたレーザ光LB2として拡散素子14に照射される。
【0031】
遮光板50は、半導体レーザアレイ20と光波長変換素子30との間に配置されており、その中央部に貫通口51が設けられている。この貫通口51は、発光層20bから垂直に発せされたレーザ光LB1のみを光波長変換素子30に通す位置に形成されている。遮光板50の外周は、図1に示したパッケージ45に接しており、この遮光板50によって、パッケージ45内部が、半導体レーザアレイ20が存在する領域と、光波長変換素子30および反射ミラー40とが存在する領域とに区画されることになる。
【0032】
以上のように構成された照明装置10に備えられるレーザ光源装置12によれば、半導体レーザアレイ20から垂直方向に射出された赤外レーザ光は、遮光板50の貫通口51を通ることで、光波長変換素子30に導入されることになるが、垂直以外の方向にレーザ光が射出された場合には、そのレーザ光(以下、「不要レーザ光LB3」という)は、遮光板50の下面によって遮光されることになる。つまり、不要レーザ光LB3が、遮光板50によって遮光されることにより、不要レーザ光LB3が直接的、あるいは、パッケージ45内を反射して間接的にサーミスタ35に到達することを抑制することが可能になる。この結果、サーミスタ35が光波長変換素子30の温度を誤認することが防止され、精度良く、光波長変換素子30の温度を調整することが可能になる。
【0033】
遮光板50は、例えば、断熱性の材料であるシリコンや樹脂によって形成することができる。また、遮光部50を中空構造としたり、ABS、エポキシ、ゴム系の材料を用いて形成することもできる。また、遮光板50の半導体レーザアレイ20側の面には、不要レーザ光LB3を反射する多層反射膜が形成されていてもよい。このような構成であれば、不要レーザ光LB3が遮光板50によって遮光される際にその熱がサーミスタ35に到達することを抑制することができる。
【0034】
図3は、本実施例の効果を示す説明図である。図の上部に示すグラフは、半導体レーザアレイ20に流す電流量を表している。また、図の下部に実線で示したグラフは光波長変換素子30の本来の温度を表し、破線で示したグラフは、遮光板50がないとした場合においてサーミスタ35によって測定される温度を表す。これらのグラフに表したように、ある時間t1において、温度制御回路70が、ヒータ37の加熱を開始し、光波長変換素子30の温度が所定の温度に達した後に、時間t2において半導体レーザアレイ20に電流を流すと、光波長変換素子30内をレーザ光LB1が通過することにより、実線で示したグラフに示すように、光波長変換素子30の本来の温度は少し上昇することになる。しかし、遮光板50がない場合には、垂直方向以外の方向に射出されたレーザ光が、サーミスタ35に直接的あるいは間接的に照射され、サーミスタ35は、図の破線のグラフに示すように、光波長変換素子30の温度を本来よりも高めに検出してしまうことになる。そうすると、温度制御回路70による光波長変換素子30の温度制御が不調となり、光波長変換素子30によるレーザ光の波長変換効率が大きく低下してしまうおそれがある。しかし、本実施例によれば、遮光板50を設けることにより、不要レーザ光LB3が、直接的あるいは間接的にサーミスタ35に照射されることがないため、図の矢印に示すように、サーミスタ35の測定温度が、光波長変換素子30の本来の温度に近づくことになる。この結果、光波長変換素子30による波長変換効率を高精度に保つことが可能になり、レーザ光源装置12から安定した出力の光量を得ることが可能になる。
【0035】
図4は、第1実施例の第1の変形例を示す説明図である。本変形例では、遮光板50は、熱電導性材料としての金属によって形成されているものとした。このような金属としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、鉄、真鍮、チタン、ステンレス、あるいは、これらの合金等を採用することができる。なお、遮光板50は、これらの金属を含有する樹脂やこれらの金属が一部に設けられた樹脂によって形成されているものとしてもよい。
【0036】
この遮光板50は、図1のパッケージ45の外部に備えられた多数の放熱フィン61を有する放熱機構60に接続されている。放熱機構60の材料は、遮光板50と同一の材料とすることができる。このような構成であれば、不要レーザ光LB3の遮光によって遮光板50の温度が上昇したとしても、その熱を放熱機構60によって外部に放出することができる。この結果、遮光板50の熱がパッケージ45内においてサーミスタ35に伝搬することが抑制され、光波長変換素子30の温度をより精度良く調整することが可能になる。
【0037】
図5は、第1実施例の第2の変形例を示す説明図である。本変形例では、光波長変換素子30全体を、サーミスタ35およびヒータ37を含め、断熱性あるいは熱伝導性の材料で形成された遮光カバー80によって包む構成とした。
【0038】
図6は、図5に示した遮光カバー80のA−A断面を示す説明図である。この遮光カバー80の半導体レーザアレイ20側および反射ミラー40側には、発光層20bから射出されたレーザ光を通す貫通口81,82が設けられている。このような本変形例の構成によっても、遮光カバー80によって、不要レーザ光LB3が直接的あるいは間接的にサーミスタ35に到達することが防止できるため、光波長変換素子30の温度調整を精度良く行うことが可能になる。
【0039】
B.第2実施例(モニタ装置):
図7は、本発明の第2実施例としてのモニタ装置400の概略構成図である。モニタ装置400は、装置本体410と、光伝送部420とを備える。装置本体410は、前述した第1実施例のレーザ光源装置12を備える。レーザ光源装置12は、第1実施例で説明したように、半導体レーザアレイ20、遮光板50、光波長変換素子30および反射ミラー40を備える。
【0040】
光伝送部420は、光を送る側と受ける側の2本のライトガイド421,422を備える。各ライトガイド421,422は、多数本の光ファイバを束ねたもので、レーザ光を遠方に送ることができる。光を送る側のライトガイド421の入射側にはレーザ光源装置12が配設され、その出射側には拡散板423が配設されている。レーザ光源装置12から出射したレーザ光は、ライトガイド421を伝って光伝送部420の先端に設けられた拡散板423に送られ、拡散板423により拡散されて被写体を照射する。
【0041】
光伝送部420の先端には、結像レンズ424も設けられており、被写体からの反射光を結像レンズ424で受けることができる。その受けた反射光は、受け側のライトガイド422を伝って、装置本体410内に設けられた撮像手段としてのカメラ411に送られる。この結果、レーザ光源装置12により出射したレーザ光により被写体を照射したことで得られる反射光に基づく画像をカメラ411で撮像することができる。
【0042】
以上のように構成されたモニタ装置400によれば、高出力のレーザ光源装置12により被写体を照射することができることから、カメラ411によって画像を明瞭に撮影することができる。
【0043】
なお、上述した第2実施例のモニタ装置400において、レーザ光源装置12を、第1実施例の各変形例で説明したレーザ光源装置に換える構成とすることもできる。
【0044】
C.第3実施例(プロジェクタ):
図8は、本発明の第3実施例としてのプロジェクタ500の概略構成図である。図中においては、簡略化のためプロジェクタ500を構成する筐体は省略している。プロジェクタ500は、赤色光を射出する赤色レーザ光源装置501Rと、緑色光を射出する緑色レーザ光源装置501Gと、青色光を射出する青色レーザ光源装置501Bとを備える。
【0045】
赤色レーザ光源装置501Rは、赤色のレーザ光LBbを発する一般的な半導体レーザアレイである。緑色レーザ光源装置501Gは、前述した第1実施例のレーザ光源装置12と同一の構成で、半導体レーザアレイ20、遮光板50、光波長変換素子30および反射ミラー40を備える。この光波長変換素子30では、緑色の波長のレーザ光LBgを出射するように波長変換がなされている。青色レーザ光源装置501Bは、前述した第1実施例のレーザ光源装置12と同一の構成で、半導体レーザアレイ20、光波長変換素子30および反射ミラー40を備える。この光波長変換素子30では、青色の波長のレーザ光LBbを出射するように波長変換がなされている。
【0046】
また、プロジェクタ500は、各色のレーザ光源装置501R,501G,501Bから射出された各色のレーザ光LBr,LBg,LBbをパソコン等から送られてきた画像信号に応じてそれぞれ変調する液晶ライトバルブ(変調部)504R,504G,504Bと、液晶ライトバルブ504R,504G,504Bから射出された光を合成して投写レンズ507に導くクロスダイクロイックプリズム506と、液晶ライトバルブ504R,504G,504Bによって形成された像を拡大してスクリーン510に投写する投写レンズ507とを備えている。
【0047】
さらに、プロジェクタ500は、各レーザ光源装置501R,501G,501Bから射出されたレーザ光の照度分布を均一化させるため、各レーザ光源装置501R,501G,501Bよりも光路下流側に、均一化光学系502R,502G,502Bを設けており、これらによって照度分布が均一化された光によって、液晶ライトバルブ504R,504G,504Bを照明している。例えば、均一化光学系502R,502G、502Bは、ホログラム素子やフィールドレンズによって構成される。
【0048】
各液晶ライトバルブ504R,504G,504Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム506に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は投写光学系である投写レンズ507によりスクリーン510上に投写され、拡大された画像が表示される。
【0049】
以上のように構成されたプロジェクタ500によれば、高出力のレーザ光源装置501G,501Bを用いることができることから、高輝度の画像を表示することができる。
【0050】
なお、この第3実施例の変形例として、緑色レーザ光源装置501Gおよび青色レーザ光源装置501Bの少なくとも一方を、第1実施例の各変形例に換える構成とすることもできる。
【0051】
D.変形例:
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。例えば、以下のような変形が可能である。
【0052】
(1)上記実施例では、レーザアレイとしてVCSEL型のものを用いていたが、これに換えて、光の共振する方向が基板面に対して平行になる端面発光型のレーザアレイを用いる構成としてもよい。さらには、レーザ光源は、半導体レーザに換えて、固体レーザ、液体レーザ、ガスレーザ、自由電子レーザ等、他の種類のレーザとすることもできる。
【0053】
(2)上記実施例では、反射ミラー40が、拡散素子14と光波長変換素子30との間に設けられているものとしたが、遮光板50と光波長変換素子30との間、あるいは、遮光板50と半導体レーザアレイ20との間に設けられていてもよい。このような構成であっても、光波長変換素子30によって、赤外レーザ光を可視レーザ光に波長変換することができる。
【0054】
(3)上述した各実施例あるいは変形例では、5つの発光層20bに対して、遮光板50に1つの貫通口51を設けているが、発光層20b毎に、1つずつ貫通穴を形成するものとしてもよい。このような構成であれば、不要レーザ光LB3の遮光をより効果的に行うことが可能になる。
【0055】
(4)上記第3実施例のプロジェクタ500は、いわゆる3板式の液晶プロジェクタであったが、これに換えて、色毎に時分割でレーザ光源装置を点灯することにより1つのライトバルブのみでカラー表示を可能とした構成等の単板式の液晶プロジェクタとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1実施例としての照明装置10の概略構成図である。
【図2】レーザ光源装置12の要部を示す説明図である。
【図3】第1実施例の効果を示す説明図である。
【図4】第1実施例の第1の変形例を示す説明図である。
【図5】第1実施例の第2の変形例を示す説明図である。
【図6】遮光カバー80のA−A断面を示す説明図である。
【図7】本発明の第2実施例としてのモニタ装置400の概略構成図である。
【図8】本発明の第3実施例としてのプロジェクタ500の概略構成図である。
【図9】波長変換素子による光の変換効率の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
【0057】
10…照明装置
12…レーザ光源装置
14…拡散素子
20…半導体レーザアレイ
20C…レーザセル
20b…発光層
30…光波長変換素子
35…サーミスタ
37…ヒータ
40…反射ミラー
45…パッケージ
50…遮光板
51…貫通口
60…放熱機構
61…放熱フィン
70…温度制御回路
80…遮光カバー
81…貫通口
400…モニタ装置
410…装置本体
411…カメラ
420…光伝送部
421,422…ライトガイド
423…拡散板
424…結像レンズ
500…プロジェクタ
501B…青色レーザ光源装置
501G…緑色レーザ光源装置
501R…赤色レーザ光源装置
502R,502G,502B…均一化光学系
504R,504G,504B…液晶ライトバルブ
506…クロスダイクロイックプリズム
507…投写レンズ
510…スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源装置であって、
レーザ光源と、
前記レーザ光源から発せられたレーザ光の波長を所定の波長に変換する波長変換素子と、
前記波長変換素子の近傍に設けられ、温度を検出する温度センサと、
前記温度センサによって検出された温度に応じて、前記波長変換素子を所定の温度に調整する温度調整器と、
前記レーザ光源と前記温度センサとの間を遮光する遮光部と
を備える光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置であって、
前記遮光部は、熱伝導性材料である金属を含有する
光源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光源装置であって、
前記遮光部は、前記金属として、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、鉄、真鍮、チタン、ステンレスの内、少なくともいずれか一つを含有している
光源装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の光源装置であって、
該光源装置は、前記温度センサより遠方に熱を放出する放熱機構を備えており、
前記遮光部は、前記放熱機構に接続されている
光源装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光源装置であって、
前記遮光部は、前記レーザ光源から発せられたレーザ光を反射する反射膜を有する
光源装置。
【請求項6】
請求項1に記載の光源装置であって、
前記遮光部は、断熱性の材料を含んで形成されている
光源装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光源装置であって、
前記遮光部は、前記断熱性の材料として、シリコンまたは樹脂を含む
光源装置。
【請求項8】
請求項1に記載の光源装置であって、
前記遮光部は、前記レーザ光が前記波長変換素子に入射する部分および前記レーザ光が前記波長変換素子から射出される部分を除き、前記波長変換素子および前記温度センサを覆うカバーとして形成されている
光源装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の光源装置であって、
前記レーザ光源は、赤外レーザ光を発するものであり、
前記遮光部は、少なくとも前記赤外レーザ光を遮光するものである
光源装置。
【請求項10】
請求項9に記載の光源装置であって、
前記波長変換素子は、前記赤外レーザ光の波長を、青色または緑色に相当する波長に変換する素子である
光源装置。
【請求項11】
照明装置であって、
レーザ光源と、
前記レーザ光源から発せられたレーザ光の波長を所定の波長に変換する波長変換素子と、
前記波長変換素子近傍に設けられ、温度を検出する温度センサと、
前記温度センサによって検出された温度に応じて、前記波長変換素子の温度を調整する温度調整器と、
前記レーザ光源と前記温度センサとの間を遮光する遮光部と、
前記波長変換素子から射出された光を拡散する拡散素子と
を備える照明装置。
【請求項12】
入力した画像信号に応じて画像を投写するプロジェクタであって、
レーザ光源と、
前記レーザ光源から発せられたレーザ光の波長を所定の波長に変換する波長変換素子と、
前記波長変換素子の近傍に設けられ、温度を検出する温度センサと、
前記温度センサによって検出された温度に応じて、前記波長変換素子の温度を調整する温度調整器と、
前記レーザ光源と前記温度センサとの間を遮光する遮光部と、
前記波長変換素子から射出された光を前記画像信号に応じて変調する変調部と、
前記変調された光を拡大投写する投写部と
を備えるプロジェクタ。
【請求項13】
撮影した被写体を出力するモニタ装置であって、
レーザ光源と、
前記レーザ光源から発せられたレーザ光の波長を所定の波長に変換する波長変換素子と、
前記波長変換素子の近傍に設けられ、温度を検出する温度センサと、
前記温度センサによって検出された温度に応じて、前記波長変換素子の温度を調整する温度調整器と、
前記レーザ光源と前記温度センサとの間に配置された遮光部と、
前記波長変換素子から射出された光を拡散する拡散素子と、
前記拡散素子によって照明された被写体を撮像する撮像部と
を備えるモニタ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−116784(P2008−116784A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−301282(P2006−301282)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】