光源装置、画像表示装置、プロジェクタ、照明装置、及びモニタ装置
【課題】所定面を均一な照度分布で照明できる照射光を生成できる光源装置を提供する。
【解決手段】光源装置は、所定面に照射するための照射光を生成する。光源装置は、レーザ光を射出するレーザ光源と、レーザ光源と所定面との間に配置され、レーザ光を回折させる回折光学素子と、レーザ光源と所定面との間に配置され、レーザ光が入射する入射面、及び入射面からのレーザ光が射出する射出面を有し、レーザ光を拡散させる拡散光学素子とを備える。拡散光学素子は、射出面でレーザ光を屈折させることによって拡散させ、射出面は、射出後のレーザ光が再入射しないように、レーザ光の進行方向を制御する形状を有する。
【解決手段】光源装置は、所定面に照射するための照射光を生成する。光源装置は、レーザ光を射出するレーザ光源と、レーザ光源と所定面との間に配置され、レーザ光を回折させる回折光学素子と、レーザ光源と所定面との間に配置され、レーザ光が入射する入射面、及び入射面からのレーザ光が射出する射出面を有し、レーザ光を拡散させる拡散光学素子とを備える。拡散光学素子は、射出面でレーザ光を屈折させることによって拡散させ、射出面は、射出後のレーザ光が再入射しないように、レーザ光の進行方向を制御する形状を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、画像表示装置、プロジェクタ、照明装置、及びモニタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置等の空間光変調装置で生成された画像情報を含む色光を投射系を用いてスクリーン上に投射する投射型画像表示装置(プロジェクタ)において、レーザ光源を用いる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−64789号公報
【特許文献2】特開2000−162548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロジェクタにおいては、所望の画像を得るために、レーザ光により空間光変調装置の入射面を均一な照度分布で照明することが重要である。したがって、レーザ光により空間光変調装置の入射面を均一な照度分布で照明するための光学系を構築することが重要である。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、所定面を均一な照度分布で照明できる照射光を生成できる光源装置を提供することを目的とする。また、光源装置からの照射光を用いて画像を表示する画像表示装置、プロジェクタを提供することを目的とする。また、光源装置からの照射光を用いる照明装置、モニタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
【0007】
本発明の第1の観点によると、所定面に照射するための照射光を生成する光源装置であって、レーザ光を射出するレーザ光源と、前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光を回折させる回折光学素子と、前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光が入射する入射面、及び前記入射面からの前記レーザ光が射出する射出面を有し、前記レーザ光を拡散させる拡散光学素子と、を備え、前記拡散光学素子の前記入射面、前記射出面の少なくとも一方は、前記拡散光学素子に対して垂直に入射する光を1回屈折させて前記所定面に向けて射出させる単位構造体が複数、平面的に配列されてなることを特徴とする光源装置が提供される。
【0008】
本発明の第1の観点によれば、レーザ光源からのレーザ光を拡散光学素子で拡散することによって、所定面を均一な照度分布で照明できる照射光を生成できる。拡散光学素子は、入射面、射出面の少なくとも一方が、拡散光学素子に対して垂直に入射する光を1回屈折させて前記所定面に向けて射出させる単位構造体が複数、平面的に配列されてなる構成であるため、所定面に到達するレーザ光(照射光)の光量の減衰を抑制し、高い照度で所定面を照明できる。
【0009】
本発明の光源装置において、前記単位構造体の複数位置のそれぞれから射出される前記レーザ光の進行方向が異なるように、前記単位構造体の形状が設定される構成を採用できる。これにより、レーザ光を良好に拡散できる。
【0010】
本発明の光源装置において、前記回折光学素子及び前記拡散光学素子を介した前記レーザ光が前記所定面の所定領域に対して所定の入射角度で入射するように、前記単位構造体の形状が設定される構成を採用できる。これにより、所定面を所望状態で照明できる。
【0011】
本発明の光源装置において、前記単位構造体が凹部、凸部の少なくとも一方を含む構成を採用できる。これにより、レーザ光を良好に拡散できる。
【0012】
本発明の光源装置において、前記単位構造体が、前記射出面とほぼ平行な面に沿って平面的に規則的に配列される凹部、凸部の少なくとも一方を有する構成を採用できる。これにより、所定面を均一な照度分布で照明できる。
【0013】
本発明の光源装置において、前記単位構造体は、表面が曲面状の凹部、凸部の少なくとも一方を有する構成を採用できる。これにより、所定面を均一な照度分布で照明できる。
【0014】
本発明の光源装置において、前記単位構造体は、前記射出面とほぼ垂直な断面において前記所定面に対して凹む円弧状の溝を含み、前記溝は、前記射出面とほぼ平行な面の所定方向に複数形成されている構成を採用できる。これにより、射出面から射出されるレーザ光を所定面に良好に到達させることができる。
【0015】
本発明の光源装置において、前記拡散光学素子は、前記入射面で前記レーザ光を屈折させることによって拡散させ、前記入射面は、入射後の前記レーザ光が前記射出面に向かうように、前記レーザ光の進行方向を制御する形状を有する構成を採用できる。これにより、所定面に到達するレーザ光(照射光)の光量の減衰を抑制し、高い照度で所定面を照明できる。
【0016】
本発明の第2の観点によると、所定面に照射するための照射光を生成する光源装置であって、レーザ光を射出するレーザ光源と、前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光を回折させる回折光学素子と、前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光が入射する入射面、及び前記入射面からの前記レーザ光が射出する射出面を有し、前記レーザ光を拡散させる拡散光学素子と、を備え、前記拡散光学素子は、前記入射面で前記レーザ光を屈折させることによって拡散させ、前記入射面は、入射後の前記レーザ光が前記射出面に向かうように、前記レーザ光の進行方向を制御する形状を有することを特徴とする光源装置が提供される。
【0017】
本発明の第2の観点によれば、レーザ光源からのレーザ光を拡散光学素子で拡散することによって、所定面を均一な照度分布で照明できる照射光を生成できる。拡散光学素子は、入射面でレーザ光を屈折させることによって拡散させ、その入射面は、入射後のレーザ光が射出面に向かうように、レーザ光の進行方向を制御する形状を有するので、所定面に到達するレーザ光(照射光)の光量の減衰を抑制し、高い照度で所定面を照明できる。
【0018】
本発明の光源装置において、前記拡散光学素子は、前記回折光学素子と前記所定面との間に配置され、前記回折光学素子からの前記レーザ光が前記拡散光学素子の前記入射面に入射する構成を採用できる。これにより、回折光学素子で生成されたレーザ光の回折光が拡散光学素子で拡散されるので、所定面を均一な照度分布で照明できる。
【0019】
本発明の光源装置において、前記レーザ光に対して前記拡散光学素子を移動する駆動装置を備えた構成を採用できる。これにより、レーザ光をさらに良好に拡散でき、所定面を均一な照度分布で照明できる。
【0020】
本発明の光源装置において、前記入射面及び前記射出面の少なくとも一方に反射防止構造を備えた構成を採用できる。これにより、所定面に到達するレーザ光(照射光)の光量の減衰をさらに良好に抑制し、高い照度で所定面を照明できる。
【0021】
本発明の光源装置は、所定面に照射するための照射光を生成する光源装置であって、レーザ光を射出するレーザ光源と、前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光を回折させる回折光学素子と、前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光が入射する入射面、及び前記入射面からの前記レーザ光が射出する射出面を有し、前記レーザ光を拡散させる拡散光学素子と、を備え、前記拡散光学素子の前記入射面、前記射出面の少なくとも一方は、表面が曲面状の凹部、凸部の少なくとも一方を含む単位構造体が複数、平面的に配列されてなることを特徴とする。
この構成によれば、拡散光学素子の入射面、射出面の少なくとも一方は、表面が曲面状の凹部、凸部の少なくとも一方を含む単位構造体が複数、平面的に配列されてなるものであるから、所定面に到達するレーザ光(照射光)の光量の減衰を抑制し、高い照度で所定面を照明できる。
【0022】
本発明の光源装置において、前記拡散光学素子の射出面から射出される光の光軸と前記射出面の法線とのなす角度が1.2°以下である構成を採用できる。
これにより、高い照度で所定面を照明できる。
【0023】
本発明の光源装置において、前記拡散光学素子を配置していないときに前記所定面における被照明領域(光を照射すべき領域)の中心に入射する光に対し、前記拡散光学素子による前記光の拡散範囲となる円の半径をd、前記所定面における被照明領域となる矩形の対角線の長さをLとしたとき、2d≦Lを満たす構成を採用できる。
これにより、光の損失を十分に抑制することができる。
【0024】
本発明の光源装置において、前記拡散光学素子を配置していないときに前記所定面における被照明領域(光を照射すべき領域)の中心に入射する光に対し、前記拡散光学素子による前記光の拡散範囲となる円の半径をd、前記所定面における被照明領域となる矩形の短辺の長さをSとしたとき、2d≦Sを満たす構成を採用できる。
これにより、光の損失をより十分に抑制することができる。
【0025】
本発明の第3の観点によると、上記に記載の光源装置からの照射光が照射され、前記所定面を介した光により画像を表示することを特徴とする画像表示装置が提供される。
【0026】
本発明の第3の観点によれば、所望状態で照明された所定面を介した照射光により所望の画像を得ることができる。
【0027】
本発明の画像表示装置において、前記所定面は、照射された照射光を画像信号に応じて光変調する空間光変調装置の入射面を含む構成を採用できる。これにより、所望の画像を表示することができる。
【0028】
本発明の第4の観点によると、上記に記載の画像表示装置を含み、前記所定面を介した画像情報を含む光を表示面に投射する投射系を備えたことを特徴とするプロジェクタが提供される。
【0029】
本発明の第4の観点によれば、良好な画像を形成できる。
【0030】
本発明の第5の観点によると、上記に記載の光源装置を備えたことを特徴とする照明装置が提供される。
【0031】
本発明の第5の観点によれば、高い照度の照射光で所定面を均一な照度分布で照明できる。
【0032】
本発明の第6の観点によると、上記に記載の光源装置を備えたことを特徴とするモニタ装置が提供される。
【0033】
本発明の第6の観点によれば、高い照度の照射光で物体を照明し、その物体を良好にモニタできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1実施形態に係る光源装置を示す概略構成図である。
【図2】第1実施形態に係る光源装置を示す概略斜視図である。
【図3】回折光学素子の一例を説明するための模式図である。
【図4】回折光学素子の一例を説明するための模式図である。
【図5】第1実施形態に係る拡散光学素子の一部を拡大した側面図である。
【図6】第1実施形態に係る拡散光学素子の一部を拡大した斜視図である。
【図7】第1実施形態に係る拡散光学素子の一部を拡大した側面図である。
【図8】拡散光学素子と所定面との位置関係を示す図である。
【図9】所定面の状態の一例を示す図である。
【図10】回折光学素子の輝度分布の一例を示す図である。
【図11】散乱部材の一例を示す図である。
【図12】第2実施形態に係る拡散光学素子の一部を拡大した側面図である。
【図13】第3実施形態に係る拡散光学素子の一部を拡大した側面図である。
【図14】第4実施形態に係る拡散光学素子の一部を拡大した側面図である。
【図15】第5実施形態に係る拡散光学素子の一部を拡大した側面図である。
【図16】第5実施形態に係る拡散光学素子の一部を拡大した側面図である。
【図17】第6実施形態に係る拡散光学素子の一部を拡大した斜視図である。
【図18】第6実施形態に係る光源装置を示す概略構成図である。
【図19】光源装置の変形例を示す概略構成図である。
【図20】光源装置の変形例を示す概略構成図である。
【図21】光源装置の変形例を示す概略構成図である。
【図22】第7実施形態に係る画像表示装置を示す図である。
【図23】第8実施形態に係る照明を示す図である。
【図24】第9実施形態に係るモニタ装置を示す図である。
【図25】拡散光学素子の凹凸形状を設計する手法説明するための図である。
【図26】同図である。
【図27】好ましい光の拡散範囲を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。そして、水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
【0036】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る光源装置1を示す概略構成図、図2は、図1を模式的に示す斜視図である。図1及び図2において、光源装置1は、所定部材10の所定面11に照射するための照射光を生成するものであって、レーザ光を射出するレーザ光源2と、レーザ光源2と所定面11との間に配置され、レーザ光が入射する入射面3、及び入射面3からのレーザ光が射出する射出面4を有し、レーザ光を回折させる回折光学素子5と、レーザ光源2と所定面11との間に配置され、レーザ光が入射する入射面6、及び入射面6からのレーザ光が射出する射出面7を有し、レーザ光を拡散させる拡散光学素子8と、レーザ光源2と所定面11との間に配置され、レーザ光が入射する入射面9A、及び入射面9Aからのレーザ光が射出する射出面9Bを有し、レーザ光の射出角度を調整する角度調整用光学素子9とを備えている。
【0037】
本実施形態においては、回折光学素子5は、レーザ光源2と拡散光学素子8との間に配置され、拡散光学素子8は、回折光学素子5と所定面11との間に配置されている。角度調整用光学素子9は、拡散光学素子8と所定面11との間に配置されている。
【0038】
レーザ光源2は、レーザ光を射出する。本実施形態においては、レーザ光源2は複数設けられており、各レーザ光源2の光射出面は、+Z側を向いている。また、本実施形態においては、複数のレーザ光源2は、一次元方向(図1の例ではX軸方向)に複数並べられている。複数のレーザ光源2のそれぞれは、回折光学素子5の入射面3にレーザ光を照射する。
【0039】
回折光学素子5は、入射面3に入射したレーザ光を回折して回折光を生成し、射出面4より射出する。本実施形態においては、回折光学素子5の入射面3には、レーザ光源2からのレーザ光が照射される。回折光学素子5は、例えば石英(ガラス)、透明な合成樹脂等、レーザ光を透過可能な材料で形成されている。本実施形態の回折光学素子5は、計算機合成ホログラム(Computer Generated Hologram;CGH)を含む。
【0040】
回折光学素子(ホログラム素子)5は、照明領域設定機能、拡散光生成機能(照度均一化機能)、及び拡大照明機能を有する。照明領域設定機能を有する回折光学素子5を含む光源装置1は、レーザ光源2から射出されたレーザ光に基づいて、所定面11を所定の照明領域で照明する。また、拡散光生成機能を有する回折光学素子5を含む光源装置1は、所定面11の照明領域の少なくとも一部の照度を均一化する。また、拡大照明機能を有する回折光学素子5を含む光源装置1は、回折光学素子5の射出面4から光が射出される射出領域よりも大きい照明領域で所定面11を照明する。
【0041】
図3は、回折光学素子の一例を示す模式図であって、図3(A)は平面図、図3(B)は図3(A)のA−A線断面矢視図である。図3において、回折光学素子5は、その表面に複数の矩形状の凹部(凹凸構造)5Mを有している。凹部5Mは、互いに異なる深さを有している。また、凹部5Mどうしの間の複数の凸部も互いに異なる高さを有している。そして、凹部5Mどうしのピッチd及び凹部5Mの深さ(凸部の高さ)tを含む回折光学素子5の表面条件を適宜調整することにより、回折光学素子5に所定の機能(照明領域設定機能、拡散光生成機能、及び拡大照明機能)を持たせることができる。その表面条件を最適化する設計手法としては、例えば反復フーリエ法など、所定の演算手法(シミュレーション手法)が挙げられる。
【0042】
なお、回折光学素子5としては、矩形の凹部5Mを有するものに限られず、互いに異なる方向を向く平面を組み合わせた表面を有するものであってもよい。例えば、回折光学素子5としては、図4に示すような、斜面を有する三角形状の凹部を有するものであってもよい。また回折光学素子5としては、図3に示したような矩形状の凹部5Mを有する領域と、図4に示したような三角形状の凹部を有する領域とのそれぞれを有するものであってもよい。そして、その表面条件を最適化することにより、所望の機能を有する回折光学素子5を形成することができる。
【0043】
次に、拡散光学素子8について説明する。拡散光学素子8は、入射面6に入射したレーザ光を拡散して拡散光を生成し、射出面7より射出する。本実施形態においては、拡散光学素子8の入射面6には、回折光学素子5の射出面4から射出されたレーザ光が照射される。拡散光学素子8は、例えば石英(ガラス)、透明な合成樹脂等、レーザ光を透過可能な材料で形成されている。本実施形態においては、拡散光学素子8は、射出面7でレーザ光を屈折させることによって、そのレーザ光を拡散させる。
【0044】
図5は、本実施形態に係る拡散光学素子8の一部を拡大した側面図、図6は、本実施形態に係る拡散光学素子8の一部を拡大した斜視図である。図5に示すように、拡散光学素子8は、射出面7でレーザ光を屈折させることによって拡散させる。
【0045】
本実施形態の拡散光学素子8の射出面7は、射出後のレーザ光が再入射しないように、レーザ光の進行方向を制御する形状を有している。すなわち、本実施形態においては、射出面7より射出後のレーザ光が射出面7に再入射せずに、所定面11(角度調整用光学素子9)に向かって進行するように、射出面7の形状が最適化されている。
【0046】
射出面7(後述の溝7M)の形状は、その射出面7(溝7M)の複数位置のそれぞれから射出されるレーザ光の進行方向が互いに異なるように設定されている。射出面7の複数位置のそれぞれから射出されるレーザ光は、互いに異なる方向に進行するように、その射出面7において屈折する。
【0047】
例えば、図5に示すように、入射面6の第1の位置6Aにほぼ垂直に入射したレーザ光は、拡散光学素子8を通過した後、射出面7で屈折して、第1の方向に進行するように、その射出面7より射出される。第1の位置6Aと異なる入射面6の第2の位置6Bにほぼ垂直に入射したレーザ光は、拡散光学素子8を通過した後、射出面7で屈折して、第1の方向と異なる第2の方向に進行するように、その射出面7より射出される。
【0048】
このように、本実施形態においては、射出面7は、その射出面7の複数位置のそれぞれから射出するレーザ光の進行方向を互いに異ならせるように屈折させる形状を有する。また、射出面7は、射出後のレーザ光が再入射しないように、レーザ光の進行方向を制御し、射出面7において1回だけ屈折した後、所定面11(角度調整用光学素子9)に向かって進行する。
【0049】
本実施形態においては、射出面7は、凹凸構造を含み、射出面7の複数位置のそれぞれより射出するレーザ光は、凹部及び凸部の少なくとも一方を含む射出面7によって、互いに異なる方向に進行するように屈折する。
【0050】
図5及び図6に示すように、本実施形態においては、射出面7は、その射出面7とほぼ垂直な断面において、所定面11(角度調整用光学素子9)に対して凹む円弧状の溝7Mを含む。本実施形態の場合、溝7Mが特許請求の範囲における「単位構造体」に相当する。溝7Mは、射出面7とほぼ平行な面の所定方向に複数形成されている。図5及び図6においては、拡散光学素子8は、入射面6及び射出面7とXY平面とがほぼ平行となるように配置されている。射出面7は、その射出面7とほぼ垂直なXZ平面において、所定面11に対して凹む円弧状の溝7Mを有する。溝7Mは、Y軸方向に長く、X軸方向に複数形成されている。
【0051】
このように、本実施形態においては、溝7Mは、XZ平面において所定面11に対して凹む円弧状であって、Y軸方向に長いライン状であり、X軸方向に複数形成されている。また、隣り合う溝7M同士の境界は、所定面11(角度調整用光学素子9)に対して凸状であり、稜線を形成している。
【0052】
また、本実施形態においては、入射面6は、XY平面とほぼ平行な平面である。
【0053】
図1に示すように、光源装置1は、レーザ光に対して拡散光学素子8を移動する駆動装置12を備えている。駆動装置12は、拡散光学素子8を回転可能な回転モータを含み、拡散光学素子8をθZ方向に回転可能である。駆動装置12により回転されることによって、拡散光学素子8は、所定面11における照明領域の少なくとも一部の照度分布を均一化できる。なお、駆動装置12は、拡散光学素子8を、X軸、Y軸、Z軸、θX、及びθY方向の少なくとも1つの方向に移動(微動、揺動)するようにしてもよい。
【0054】
角度調整用光学素子9は、入射面9Aより入射したレーザ光の射出角度を調整して、射出面9Bより射出する。本実施形態においては、角度調整用光学素子9の入射面9Aには、拡散光学素子8の射出面7から射出されたレーザ光が照射される。本実施形態においては、角度調整用光学素子9は、屈折レンズ(フィールドレンズ)である。屈折レンズは、例えば球面レンズ、又は非球面レンズ等の光軸に対して回転対称な軸対象レンズを含む。あるいは、角度調整用光学素子9はフレネルレンズ等を含むものでもよい。角度調整用光学素子9は、射出面9Bから射出されるレーザ光の射出角度、ひいては所定面11に対するレーザ光(照射光)の入射角度を調整可能である。
【0055】
本実施形態においては、角度調整用光学素子9は、複数のレーザ光源2のそれぞれから射出され、回折光学素子5及び拡散光学素子8を介したレーザ光で、所定面11の所定領域を重畳的に照明するように、射出面9Bより射出するレーザ光(照射光)の射出角度を調整する。
【0056】
次に、光源装置1の動作の一例について説明する。複数のレーザ光源2のそれぞれから射出されたレーザ光は、回折光学素子5の入射面3に入射し、その回折光学素子5を通過した後、回折光学素子5の射出面4より射出される。回折光学素子5は、入射面3より入射したレーザ光により回折光を生成し、射出面4より射出する。
【0057】
回折光学素子5の射出面4から射出されたレーザ光(回折光)は、拡散光学素子8の入射面6に入射し、その拡散光学素子8を通過した後、拡散光学素子8の射出面7より射出される。拡散光学素子8は、入射面6より入射したレーザ光により拡散光を生成し、射出面7より射出する。
【0058】
拡散光学素子8の射出面7から射出されたレーザ光(拡散光)は、角度調整用光学素子9の入射面9Aに入射し、その角度調整用光学素子9を通過した後、角度調整用光学素子9の射出面9Bより射出される。角度調整用光学素子9は、入射面9Aより入射したレーザ光の射出角度を調整して、射出面9Bより射出する。角度調整用光学素子9の射出面9Bから射出されたレーザ光は、所定面11に照射される。
【0059】
本実施形態においては、回折光学素子5及び拡散光学素子8を含む光源装置1は、所定面11を所定の照明領域で照明する。射出面7の形状は、回折光学素子5及び拡散光学素子8を介したレーザ光が、所定面11の所定領域に対して所定の入射角度で入射するように設定されている。
【0060】
図7は、拡散光学素子8の拡大図である。本実施形態においては、一例として、円弧状の溝7Mの曲率半径Rが約13mm、隣り合う溝7M同士の距離(ピッチ)Pが約1.2mm、溝7Mの深さDが約13μmに設定されている。XY平面とほぼ平行な入射面6に対してほぼ垂直に入射したレーザ光は、拡散光学素子8を通過した後、射出面7で屈折し、所定方向に進行する。射出面7より射出されるレーザ光の射出角度θ1は、射出面7の位置によって異なるが、本実施形態においては、射出角度θ1が−1.2°〜+1.2°となるように、射出面7の形状が設定されている。ここで、射出角度θ1は、入射面6にほぼ垂直に入射するレーザ光の延長線、すなわちZ軸となす角度である。なお、見やすくするために、図では、図面上の大きさ、角度と、実際の大きさ、角度とが異なるように図示してある。
【0061】
図8は、拡散光学素子8と所定面11を有する所定部材10との位置関係を示す模式図、図9は、光源装置1により照射光が照射されている所定面11を示す模式図である。図8に示すように、拡散光学素子8の射出面7と、所定部材10の所定面11とは、XY平面とほぼ平行である。図8に示す例では、拡散光学素子8の射出面7と所定部材10の所定面11との距離Tが約25mmに設定されている。
【0062】
射出面7より射出角度θ1で射出されたレーザ光は、所定面11に対して角度θ2で入射する。ここで、拡散光学素子8の射出面7と所定部材10の所定面11とは平行である。したがって、射出面7から射出されるレーザ光の射出角度θ1と、所定面11に入射するレーザ光の入射角度θ2とはほぼ等しい。射出角度θ1は射出面7の形状を調整することによって制御可能なので、射出面7の形状を調整することによって、所定面11に対するレーザ光の入射角度θ2も制御できる。このように、射出面7の形状を調整することによって、所定面11に対するレーザ光の入射角度を設定可能である。なお、本実施形態においては、角度調整用光学素子9が配置されているので、その角度調整用光学素子9によっても、入射角度θ2を調整できる。
【0063】
射出角度θ1が−1.2°〜+1.2°の場合において、入射面6にほぼ垂直に入射するレーザ光の延長線と所定面11とが交わる位置を基準点とした場合、図8に示すように、そのレーザ光に基づいて射出面7より射出されたレーザ光が所定面11に到達する位置Sは、約−0.5mm〜+0.5mmの範囲となる。
【0064】
図9において、本実施形態においては、光源装置1は、少なくとも所定面11の矩形状(長方形状)の所定領域A1(被照明領域)に照射光を照射する。回折光学素子5は、所定領域A1にレーザ光が照射されるように設計されている。なお、本実施形態においては、所定領域A1のX軸方向の大きさは16mm、Y軸方向の大きさは9mmである。射出面7の形状は、回折光学素子5及び拡散光学素子8を介したレーザ光が、所定面11の所定領域A1に対して所定の入射角度θ2で入射するように設定されている。
【0065】
図8等を参照して説明したように、レーザ光は、射出面7より射出角度θ1で射出される。射出面7より射出されるレーザ光の射出角度θ1は、射出面7の位置によって異なるので、射出面7の複数位置のそれぞれから射出されたレーザ光は、所定面11において混ぜ合わせられ、所定領域A1での照度が均一化される。本実施形態においては、少なくとも所定領域A1での照度が均一化されるように、すなわち、射出面7の複数位置のそれぞれから射出されたレーザ光が、所定面11の所定領域A1において混ぜ合わせられるように、射出面7の形状(溝7Mの曲率半径R、ピッチP、深さDを含む)、及び射出面7と所定面11との距離Tが最適化されている。
【0066】
なお、例えば射出面7の光射出領域のエッジ近傍から射出されたレーザ光など、射出面7の複数位置のそれぞれから射出されるレーザ光のうち、一部のレーザ光は、所定面11で他のレーザ光と混ぜ合わせられないで、所定領域A1よりも外側の領域A3に照射される。すなわち、図9に示すように、本実施形態においては、光源装置1によって設定される照明領域A2は、所定領域A1を含むものであって、所定領域A1よりも大きい。そして、その照明領域A2のうち、少なくとも所定領域A1に対応する一部の領域(領域A3以外の領域)の照度が均一化される。本実施形態においては、照明領域A2のうち、照明対象領域である所定領域A1における照度が均一化されるように、射出面7の形状(溝7Mの曲率半径R、ピッチP、深さDを含む)、及び射出面7と所定面11との距離Tが最適化されている。
【0067】
本実施形態においては、例えば回折光学素子5の射出面4から射出されるレーザ光の輝度分布に起因する所定面11における照度分布の不均一性を、拡散光学素子8によって均一化できる。例えば、回折光学素子5を製造する際のプロセス等に起因して、図10に示すように、回折光学素子5の射出面4から射出されるレーザ光の輝度分布に偏りが生じる虞がある。なお、図10の横軸は、回折光学素子5のX軸方向の位置を正規化した値、縦軸は、輝度(照度)を正規化した値である。このように、たとえ、回折光学素子5の射出面4から射出されるレーザ光の輝度(照度)分布に偏りが生じても、本実施形態によれば、拡散光学素子8によって、所定面11におけるレーザ光(照射光)の照度分布を均一化できる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態によれば、レーザ光源2からのレーザ光を拡散光学素子8で拡散することによって、所定面11を均一な照度分布で照明できる照射光を生成できる。拡散光学素子5は、射出面7でレーザ光を屈折させることによって拡散させ、その射出面7は、射出後のレーザ光が再入射しないように、レーザ光の進行方向を制御する形状を有するので、所定面11に到達するレーザ光(照射光)の光量の減衰を抑制し、高い照度で所定面11を照明できる。
【0069】
例えば、レーザ光を拡散させるために、従来のように、粗面を有する散乱部材を用いる場合、図11の模式図に示すように、射出面7Jから射出されたレーザ光の進行方向が制御されないので、射出面7Jから射出後のレーザ光が、射出面7Jに再入射したり、射出と入射とを繰り返す可能がある。この場合、拡散部材から所定面11に向けて進行するレーザ光の光量は減衰する。
【0070】
本実施形態においては、射出面7から射出後のレーザ光は、射出面7に再入射しないように設定されているので、複数回、或いは1回の屈折又は反射による損失を抑制し、光量の減衰が抑制された状態で、所定面11に向かって進行することができる。
【0071】
そして、射出面7(溝7M)の複数位置のそれぞれにおけるレーザ光の進行方向が互いに異なるように、射出面7の形状が設定されているので、射出面7から射出されたレーザ光は、光量の減衰が抑制された状態で、良好に拡散される。
【0072】
本実施形態の拡散光学素子8の射出面7は、Y軸方向に長いライン状であって、X軸方向に複数形成された溝7Mを含む。射出面7をこのような形状にすることによって、拡散光学素子8を容易に製造できる。例えば、光学部材の表面に半球状のバイト(工具)を当てて、一方向に移動することで、複数の溝7Mを形成できる。また、本実施形態においては、駆動装置12を用いて、拡散光学素子8を少なくともθZ方向に回転するので、所定面11における照明領域A2のうち、少なくとも所定領域A1に対応する一部の領域の照度分布を良好に均一化できる。
【0073】
また、本実施形態においては、光源装置1は複数のレーザ光源2を備えているので、スペックルパターンの発生を抑えることもできる。スペックルパターンとは、レーザ光のようなコヒーレント光で散乱面を照射し、その散乱光を観察したとき、空間に生じるコントラストの高い斑点状の模様をいう。散乱面の各点で発生した散乱光は、互いにランダムな位相関係で干渉し、その結果複雑な干渉パターンを生じ、所定面11を不均一な照度分布で照明する可能性がある。本実施形態では、光源装置1は複数のレーザ光源2を備えており、それら複数のレーザ光源2のそれぞれから射出されたレーザ光は互いにインコヒーレントであるため、互いに異なる照度分布(輝度分布)を持つ光で所定面11を照明することとなる。そのため、それら各レーザ光に基づく照射光を所定面11上で重ね合わせることにより、スペックルパターンの発生を低減し、所定面11上での照度分布をほぼ均一にすることができる。また、拡散光学素子8によって、スペックルパターンの発生をさらに抑制し、所定面11をほぼ均一な照度分布で照明することができる。
【0074】
なお、本実施形態においては、射出面7(溝7M)の複数位置のそれぞれから射出されたレーザ光を、所定面11において混ぜ合わせることによって、所定面11での照射光の照度分布が均一化されている。したがって、例えば、回折光学素子5の射出面4から射出されるレーザ光の輝度分布に起因する所定面11における照度分布の不均一性が大きい場合(ムラが大きい場合)には、レーザ光同士の混ぜ合わせ領域を大きくすることによって、所定面11における照度分布を均一化できる。レーザ光同士の混ぜ合わせ領域を大きくするためには、例えば拡散光学素子8からの射出角度θ1を大きくしたり、距離Tを大きくすればよい。なお、射出角度θ1を大きくしたり、距離Tを大きくすると、射出面7の複数位置のそれぞれから射出されるレーザ光のうち、所定面11で他のレーザ光と混ぜ合わせられないで、所定領域A1よりも外側の領域A3に照射されるレーザ光の成分が多くなる。所定領域A1の外側に照射されるレーザ光が多くなると、照明効率の劣化等をもたらすため、所定領域A1において所望の照度分布を得られる範囲内で、射出角度θ1、距離Tなどを最適化することが望ましい。
【0075】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。上述の第1実施形態においては、射出面7は、Y軸方向に長いライン状であって、X軸方向に複数形成された溝7Mを含み、その溝7Mは、XZ平面において所定面11に対して凹む円弧状であり、隣り合う溝7M同士の境界は、所定面11に対して凸状の稜線を形成している。本実施形態の特徴的な部分は、射出面7が、曲面状の凹部及び凸部を有する点にある。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0076】
図12は、第2実施形態に係る拡散光学素子8を示す図である。図12において、射出面7は、その射出面7とほぼ垂直な断面において、所定面11に対して凹む円弧状の凹部(溝)7Maを含む。本実施形態の場合、凹部7Maが特許請求の範囲における「単位構造体」に相当する。凹部7Maは、射出面7とほぼ平行な面の所定方向に複数形成されている。図12においては、拡散光学素子8は、入射面6及び射出面7とXY平面とがほぼ平行となるように配置されており、凹部7Maは、XZ平面において、所定面11に対して凹む円弧状(曲面状)の表面を有する。凹部7Maは、Y軸方向に長いライン状であり、X軸方向に複数形成されている。
【0077】
本実施形態においては、隣り合う凹部7Ma同士の間には、所定面11に対して突出する凸部7Tが形成される。凸部7Tは、XZ平面において、所定面11に対して突出する円弧状(曲面状)の表面を有する。凸部7Tは、Y軸方向に長いライン状であり、凹部7Ma同士の間において、X軸方向に複数形成されている。
【0078】
本実施形態においては、射出面7は、全体として、XZ平面においてサイン波状の表面を有する凹凸構造を含む。
【0079】
本実施形態においても、射出面7から射出後のレーザ光は、射出面7に再入射しないようになっている。本実施形態においても、所定面11に到達するレーザ光(照射光)の光量の減衰を抑制し、高い照度で所定面11を照明できる。
【0080】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態の特徴的な部分は、拡散光学素子8は、入射面6でレーザ光を屈折させることによって拡散させ、入射面6は、入射後のレーザ光が射出面7に向かうように、レーザ光の進行方向を制御する形状を有する点にある。
【0081】
図13は、第3実施形態に係る拡散光学素子8を示す図である。図13において、拡散光学素子8の入射面6は、凹凸構造を含む。入射面6は、その入射面6とほぼ垂直な断面において、レーザ光源2に対して凹む円弧状の溝6Mを含む。本実施形態の場合、溝6Mが特許請求の範囲における「単位構造体」に相当する。溝6Mは、入射面6とほぼ平行な面の所定方向に複数形成されている。図13においては、拡散光学素子8は、入射面6及び射出面7とXY平面とがほぼ平行となるように配置されている。入射面6は、その入射面6とほぼ垂直なXZ平面において、レーザ光源2に対して凹む円弧状の溝6Mを有する。溝6Mは、Y軸方向に長いライン状であり、X軸方向に複数形成されている。
【0082】
また、本実施形態においては、射出面7は、XY平面とほぼ平行な平面である。
【0083】
入射面6の形状は、射出面7(溝6M)の複数位置のそれぞれから射出されるレーザ光の進行方向が互いに異なるように、設定されている。入射面6の形状は、回折光学素子5及び拡散光学素子8を介したレーザ光が所定面11の所定領域A1に対して所定の入射角度で入射するように設定されている。
【0084】
本実施形態においても、レーザ光源2からのレーザ光を拡散光学素子8で拡散することによって、所定面11を均一な照度分布で照明できる照射光を生成できる。拡散光学素子8は、入射面6でレーザ光を屈折させることによって拡散させ、その入射面6は、入射後のレーザ光が、射出面7以外の領域に向かわずに、射出面7に向かうように、レーザ光の進行方向を制御する形状を有するので、所定面11に到達するレーザ光(照射光)の光量の減衰を抑制し、高い照度で所定面を照明できる。
【0085】
なお、本実施形態において、入射面6の形状を、図12の射出面7のようなサイン波状にしてもよい。
【0086】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。図14は、第4実施形態に係る拡散光学素子8を示す図である。図14に示すように、入射面6及び射出面7の両方に、上述の実施形態で説明したような凹凸構造を設けてもよい。こうすることによっても、光源装置1は、所定面11に到達するレーザ光(照射光)の光量の減衰を抑制し、高い照度で所定面を照明できる。
【0087】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態の特徴的な部分は、入射面6及び射出面7の少なくとも一方に反射防止構造を備えた点にある。
【0088】
図15は、第5実施形態に係る拡散光学素子8を示す図である。図15において、光源装置1は、拡散光学素子8の入射面6に設けられた第1反射防止膜13と、射出面7に設けられた第2反射防止膜14とを備えている。本実施形態においては、第1反射防止膜13は、多層膜であり、第2反射防止膜14は、単層膜である。多層膜は、例えば誘電体多層膜である。単層膜は、例えばフッ化マグネシウムで形成される。第1、第2反射防止膜13、14は、干渉型の反射防止膜であって、第1反射防止膜13は、入射面6に入射するレーザ光の反射を抑制し、第2反射防止膜14は、射出面7から射出する際のレーザ光の反射を抑制する。
【0089】
反射防止膜を設けることによって、所定面11に到達するレーザ光(照射光)の光量の減衰をさらに良好に抑制し、高い照度で所定面11を照明できる。
【0090】
なお、図15を用いた説明では、第1反射防止膜13は多層膜であるが、単層膜でもよい。また、図15を用いた説明では、第2反射防止膜14は単層膜であるが、多層膜でもよい。また、第1反射防止膜13を省略して、射出面7のみに反射防止膜14を設けてもよいし、第2反射防止膜14を省略して、入射面6のみに反射防止膜13を設けてもよい。
【0091】
また、図16に示すように、例えば入射面6に、円錐状の微細な突起部材を複数周期的に配列した構造、所謂モスアイ構造を設けることによって、入射面6に入射するレーザ光の反射を防止するようにしてもよい。また、射出面7にモスアイ構造を形成してもよい。
【0092】
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について説明する。本実施形態の特徴的な部分は、射出面7に設けられた凹凸構造が、射出面7とほぼ平行なXY平面に沿って2次元的に規則的に配列される凹部及び凸部を有する点にある。
【0093】
図17は、第6実施形態に係る光源装置1の概略構成図、図18は、第6実施形態に係る射出面7の一部を拡大した斜視図である。図18に示すように、拡散光学素子8の射出面7に設けられた凹凸構造は、射出面7とほぼ平行なXY平面に沿って2次元的に規則的に配列される凹部15及び凸部16を有する。凹部15及び凸部16の表面は、曲面状である。本実施形態の場合、凹部15及び凸部16が特許請求の範囲における「単位構造体」に相当する。
【0094】
本実施形態においても、光源装置1は、所定面11に到達するレーザ光(照射光)の光量の減衰を抑制し、高い照度で所定面11を照明できる。また、拡散光学素子7は、レーザ光を良好に拡散できる。これにより、光源装置1は、所定面11を均一な照度分布で照明できる。
【0095】
また、本実施形態においては、図18に示すように、駆動装置12を省略しても、光源装置1は、所定面11を均一な照度分布で照明できる。もちろん、本実施形態の拡散光学素子8を駆動装置12で移動(回転)してもよい。
【0096】
なお、上述の第1〜第6実施形態においては、回折光学素子5は、レーザ光源2と拡散光学素子8との間に配置され、拡散光学素子8は、回折光学素子5と所定面11との間に配置され、角度調整用光学素子9は、拡散光学素子8と所定面11との間に配置されているが、回折光学素子5、拡散光学素子8、及び角度調整用光学素子9の位置関係を変更してもよい。
【0097】
例えば、図19に示すように、レーザ光源2と所定面11との間に、レーザ光源2から所定面11に向かって、回折光学素子5、角度調整用光学素子9、及び拡散光学素子8の順に配置してもよい。
【0098】
また、図20に示すように、レーザ光源2と所定面11との間に、レーザ光源2から所定面11に向かって、拡散光学素子8、回折光学素子5、及び角度調整用光学素子9の順に配置してもよい。
【0099】
また、図21に示すように、角度調整用光学素子9を省略してもよい。図21に示す例では、レーザ光源2と所定面11との間に、レーザ光源2から所定面11に向かって、回折光学素子5、及び拡散光学素子8の順に、各素子が配置されている。
【0100】
なお、上述の第1〜第6実施形態においては、光源装置1は一次元方向(X軸方向)に複数並んだレーザ光源2を有しているが、二次元方向(XY方向)にアレイ状に配置されたレーザ光源2を備えていてもよい。
【0101】
なお、上述の第1〜第6実施形態においては、光源装置1は複数のレーザ光源2を有しているが、レーザ光源2は1つであってもよい。
【0102】
なお、上述の第1〜第6実施形態においては、回折光学素子として透過型の回折光学素子(回折格子)のうち、位相変調型の回折光学素子を用いているが、振幅変調型の回折光学素子を用いることもできる。また、透過型の回折光学素子に限られず、反射型の回折光学素子を用いることもできる。また、例えば、透過型の回折光学素子と、反射型の回折光学素子とを組み合わせてもよい。そして、それら回折光学素子の表面条件を最適化することにより、その回折光学素子に所望の機能を持たせることができる。
【0103】
ここで、屈折面となる拡散光学素子8の入射面、または射出面の凹凸形状を設計する手法の一例を説明する。
例えば図25に示す拡散光学素子の射出面に円弧状の溝を形成した形状(図25の上側)、サイン波状の形状(図25の下側)、図26に示す拡散光学素子の入射面に円弧状の凸部を形成した形状(図26の上側)、サイン波状の形状(図26の下側)においては、拡散光学素子に対して垂直に入射した光は入射位置によって射出角度が異なる。射出角度が最大となるのは、凹凸形状の接線と水平線とのなす角度αが最大となる位置に入射したときである。
【0104】
このとき、拡散光学素子に対して垂直入射した光線の最大射出角度をθ1とすると、図25のように入射面が平坦な場合と、図26のように射出面が平坦な場合のいずれにおいても下記の(1)式でθ1が書き表せる。拡散光学素子の屈折率をnとする。
θ1=sin-1(n×sinα)−α ……(1)
【0105】
所定面において、レーザ光の光軸に対して最大距離d[mm]だけ光線を拡散させたい場合、所定面と拡散光学素子との距離Tに対し、下記の(2)式の関係が成り立つ。
d=T×tanθ1 ……(2)
【0106】
つまり、(2)式を変形すると、最大距離dだけ拡散させたい場合の射出角度θ1は下記の(3)式で書き表せる。
θ1=tan-1(d/T) ……(3)
よって、(1)式、(3)式を満足するように拡散光学素子の角度αを設定すれば、所望の拡散角を持った拡散光学素子が実現できる。
【0107】
例えば、所定面において±0.5mm以内に光を拡散させたい場合、n=1.49とすると、入射面が平坦な場合も射出面が平坦な場合も角度αは同一であり、角度αが約2.3°のときに条件を満たす。
一方、本願発明者らの実験によれば、射出角度θ1は1.2°以下でレーザ光の減衰が十分に抑制され、高い照度を実現できるという結果が得られている。
【0108】
また、光の拡散範囲については、図27(a)に示すように、拡散光学素子による光の拡散範囲は通常、円形となる。ただし、ここで示す「光の拡散範囲」とは、拡散光学素子を配置していないときに被照明領域の中心に入射する光に対する拡散範囲のことである。また、所定面の被照明領域として、後述する液晶ライトバルブの画像表示領域(通常、長方形状)を想定する。ここで、光の拡散範囲を示す円の半径をd、画像表示領域の長方形の対角線の長さをLとすると、2d≦Lを満たすことが望ましい。
この場合、光の拡散範囲を示す円は、画像表示領域を示す長方形の外接円となる。このとき、光の損失はある程度生じるものの、全くランダムな散乱パターンを持った従来の拡散板を用いたときと比べて十分に損失を抑制することができる。
【0109】
さらに、図27(b)に示すように、拡散光学素子による光の拡散範囲となる円の半径をd、画像表示領域を示す長方形の短辺の長さをSとしたとき、2d≦Sを満たすことがより望ましい。この場合、図27(a)に比べて、光の損失をより十分に抑制することができる。
【0110】
<第7実施形態>
次に、第7実施形態について説明する。本実施形態では、上述の各実施形態で説明した光源装置1を応用した画像表示装置の一例について説明する。
【0111】
図22は、上述の各実施形態で説明した光源装置1(1R、1G、1B)を備えた画像表示装置を示す概略構成図である。本実施形態においては、画像表示装置として、空間光変調装置で生成された画像情報を含む色光を投射系を介してスクリーン上に投射する投射型画像表示装置(プロジェクタ)を例にして説明する。
【0112】
図22において、投射型画像表示装置PJは、スクリーン100(表示面)上に画像情報を含む光を投射する投射ユニットUを備えている。投射ユニットUからスクリーン100に対して光が投射されることにより、スクリーン100上に画像が形成される。本実施形態の投射型画像表示装置PJは、スクリーン100を透過型のスクリーンとし、スクリーン100の正面側からスクリーン100上に画像情報を含む光を投射する。
【0113】
投射ユニットUは、第1の基本色光(赤色光)で所定面11を照明可能な第1光源装置1Rと、第2の基本色光(緑色光)で所定面11を照明可能な第2光源装置1Gと、第3の基本色光(青色光)で所定面11を照明可能な第3光源装置1Bと、第1光源装置1Rで照明される入射面(所定面)11を有し、照明された光を画像情報に応じて光変調する第1空間光変調装置10Rと、第2光源装置1Gで照明される入射面(所定面)11を有し、照明された光を画像情報に応じて光変調する第2空間光変調装置10Gと、第3光源装置1Bで照明される入射面(所定面)11を有し、照明された光を画像情報に応じて光変調する第3空間光変調装置10Bと、空間光変調装置10R、10G、10Bにより変調された各基本色光を合成する色合成系20と、色合成系20で生成された光をスクリーン100上に投射する投射系21とを備えている。空間光変調装置10R、10G、10Bのそれぞれは液晶装置を含んで構成されている。以下の説明においては、空間光変調装置を適宜、ライトバルブ、と称する。
【0114】
ライトバルブは、入射側偏光板と、一対のガラス基板どうしの間に封入された液晶を有するパネルと、射出側偏光板とを備えている。ガラス基板には画素電極や配向膜が設けられている。空間光変調装置を構成するライトバルブは、定められた振動方向の光のみを透過させるようになっており、ライトバルブに入射した基本色光は、ライトバルブを通過することによって光変調される。
【0115】
第1光源装置1Rの複数のレーザ光源2は、赤色(R)のレーザ光をそれぞれ射出する。第1光源装置1Rは、赤色のレーザ光に基づいて、第1ライトバルブ10Rの入射面11を照明する。
【0116】
第2光源装置1Gの複数のレーザ光源2は、緑色(G)のレーザ光をそれぞれ射出する。第2光源装置1Gは、緑色のレーザ光に基づいて、第2ライトバルブ10Gの入射面11を照明する。
【0117】
第3光源装置1Bの複数のレーザ光源2は、青色(B)のレーザ光をそれぞれ射出する。第3光源装置1Gは、青色のレーザ光に基づいて、第3ライトバルブ10Bの入射面11を照明する。
【0118】
各ライトバルブ10R、10G、10Bを通過することで変調された各基本色光(変調光)は、色合成系20で合成される。色合成系20はダイクロイックプリズムによって構成されており、赤色光(R)、緑色光(G)、及び青色光(B)は色合成系20で合成されてフルカラー合成光となる。色合成系20から射出されたフルカラー合成光は投射系21に供給される。投射系21はフルカラー合成光をスクリーン100上に投射する。投射系21は、入射側の画像を拡大してスクリーン100上に投射する所謂拡大系である。
【0119】
投射ユニットUは、各光源装置1R、1G、1Bのそれぞれで照明された各ライトバルブ10R、10G、10Bを介した画像情報を含むフルカラー合成光を投射系21を用いてスクリーン100上に投射することによって、スクリーン100上にフルカラーの画像を形成する。鑑賞者は、投射ユニットUによりスクリーン100に対して投射された画像を鑑賞する。
【0120】
本実施形態のプロジェクタPJの各ライトバルブ10R、10G、10Bは、高い照明効率を有する各光源装置1R、1B、1Gにより、高い照度を有し、均一な照度分布を有する照射光で照明される。したがって、プロジェクタPJは、コントラストが高い良好な画像を表示できる。
【0121】
また、図10等を参照して説明したように、例えば、回折光学素子5を製造する際のプロセス等に起因して、回折光学素子5の射出面4から射出されるレーザ光の輝度に分布(ムラ)が生じる場合がある。その輝度のムラが発生している状態を放置したまま、プロジェクタPJでスクリーン100に画像を表示すると、その画像は投射系21によって拡大されたものであるため、回折光学素子5に起因する輝度ムラが、鑑賞者に把握されるまで大きくなる可能性がある。本実施形態においては、拡散光学素子8によって輝度ムラを修正しているので、上述の不都合を抑制できる。
【0122】
なお、本実施形態においては、各光源装置1R、1B、1Gの拡散光学素子8の入射面7は、射出角度θ1(入射角度θ2)が、−2°〜+2°になるような形状を有する。これにより、各ライトバルブ10R、10G、10Bに所望状態で光が照射され、プロジェクタPJは、良好に画像を表示できる。
【0123】
なお、図22を用いた説明では、スクリーン100の正面側からスクリーン100上に画像情報を含む光を投射するフロント投射型のプロジェクタを例にして説明したが、投射ユニットUと、スクリーン100と、筐体とを有し、投射ユニットUがスクリーン100の背面側に配置され、スクリーン100の背面側からスクリーン100上に画像情報を含む光を投射する所謂リアプロジェクタに、上述の各実施形態の光源装置1を適用することもできる。
【0124】
なお上述の各実施形態においては、空間光変調装置として透過型の液晶装置(ライトバルブ)を用いているが、反射型の液晶装置を用いることもできるし、例えばDMD(Digital Micromirror Device)等の反射型光変調装置(ミラー変調器)を用いてもよい。
【0125】
なお、上述の実施形態のプロジェクタPJは、各基本色光(R、G、B)を射出可能なレーザ光源2をそれぞれ有する第1、第2、第3光源装置1R、1G、1Bを有しているが、赤色光(R)を射出する赤色レーザ光源、緑色光(G)を射出する緑色レーザ光源、及び青色光(B)を射出する青色レーザ光源をアレイ状に配置した構成を有する光源装置を1つ有する構成であってもよい。この場合、各基本色光を射出可能なレーザ光源のレーザ光射出動作を時分割で行い、その各レーザ光源のレーザ光射出動作に同期して、ライトバルブの動作を制御することにより、1つの光源装置及び1つのライトバルブでスクリーン100上にフルカラー画像を表示することができる。
【0126】
なお、上述の実施形態のプロジェクタにおいては、光源装置1で空間光変調装置を照明し、その空間光変調装置を介した光によりスクリーン100上に画像を表示しているが、画像表示装置(プロジェクタ)としては、空間光変調装置を有していなくてもよい。例えば、画像情報を含むスライド(ポジフィルム)の面を光源装置1で照明し、スクリーン上に画像情報を含む光を投射する、所謂スライドプロジェクタに、上述の各実施形態の光源装置1を適用することも可能である。
【0127】
また、画像表示装置としては、投射系を有さず空間光変調装置の画像を直接観察する直視型の画像表示装置であってもよい。
【0128】
<第8実施形態>
次に、第8実施形態について説明する。本実施形態では、上述の各実施形態で説明した光源装置1を応用した照明装置の一例について説明する。
【0129】
図23は、本実施形態に係る照明装置200を示す概略構成図である。図23に示すように、照明装置200は、上述の各実施形態で説明した光源装置1を備えている。以上のように構成された照明装置200によれば、所望の光量が得られ、長寿命化が図られた光源装置1を備えているので、照明装置200自体も、低消費電力化及び長寿命化が図られたものとなる。
【0130】
<第9実施形態>
次に、第9実施形態について説明する。本実施形態では、上述の各実施形態で説明した光源装置1を応用したモニタ装置の一例について説明する。
【0131】
図24は、本実施形態に係るモニタ装置400を示す概略構成図である。図24において、モニター装置400は、装置本体410と、光伝送部420とを備える。装置本体410は、上述の各実施形態で説明した光源装置1を備える。
【0132】
光伝送部420は、光を送る側と受ける側の2本のライトガイド421、422を備える。各ライトガイド421、422は、多数本の光ファイバを束ねたもので、レーザ光を遠方に送ることができる。光を送る側のライトガイド421の入射側には、光源装置1が配置され、その射出側には、拡散板423が配置されている。光源装置1から射出したレーザ光は、ライトガイド421を伝って、光伝送部420の先端に設けられた拡散板423に送られ、拡散板423により拡散されて被写体を照射する。
【0133】
光伝送部420の先端には、結像レンズ424も設けられており、被写体からの反射光を結像レンズ424で受けることができる。その受けた反射光は、受け側のライトガイド422を伝って、装置本体410内に設けられた撮像手段としてのカメラ411に送られる。この結果、光源装置1により射出したレーザ光により被写体を照射したことで得られる反射光に基づく画像をカメラ411で撮像することができる。
【0134】
以上のように構成されたモニタ装置400によれば、光源装置1により被写体を照射することができることから、カメラ411により得られる撮像画像の明るさを高めることができる。
【0135】
なお、上述の各実施形態で説明した光源装置1を、レーザ加工機の光源として用いることもできる。
【符号の説明】
【0136】
1…光源装置、2…レーザ光源、5…回折光学素子、6…入射面、6M…溝、7…射出面、7M…溝、8…拡散光学素子、9…角度調整用光学素子、10…所定部材(空間光変調装置)、11…所定面(入射面)、100…スクリーン(表示面)、PJ…画像表示装置(プロジェクタ)、200…照明装置、400…モニタ装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、画像表示装置、プロジェクタ、照明装置、及びモニタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置等の空間光変調装置で生成された画像情報を含む色光を投射系を用いてスクリーン上に投射する投射型画像表示装置(プロジェクタ)において、レーザ光源を用いる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−64789号公報
【特許文献2】特開2000−162548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロジェクタにおいては、所望の画像を得るために、レーザ光により空間光変調装置の入射面を均一な照度分布で照明することが重要である。したがって、レーザ光により空間光変調装置の入射面を均一な照度分布で照明するための光学系を構築することが重要である。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、所定面を均一な照度分布で照明できる照射光を生成できる光源装置を提供することを目的とする。また、光源装置からの照射光を用いて画像を表示する画像表示装置、プロジェクタを提供することを目的とする。また、光源装置からの照射光を用いる照明装置、モニタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
【0007】
本発明の第1の観点によると、所定面に照射するための照射光を生成する光源装置であって、レーザ光を射出するレーザ光源と、前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光を回折させる回折光学素子と、前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光が入射する入射面、及び前記入射面からの前記レーザ光が射出する射出面を有し、前記レーザ光を拡散させる拡散光学素子と、を備え、前記拡散光学素子の前記入射面、前記射出面の少なくとも一方は、前記拡散光学素子に対して垂直に入射する光を1回屈折させて前記所定面に向けて射出させる単位構造体が複数、平面的に配列されてなることを特徴とする光源装置が提供される。
【0008】
本発明の第1の観点によれば、レーザ光源からのレーザ光を拡散光学素子で拡散することによって、所定面を均一な照度分布で照明できる照射光を生成できる。拡散光学素子は、入射面、射出面の少なくとも一方が、拡散光学素子に対して垂直に入射する光を1回屈折させて前記所定面に向けて射出させる単位構造体が複数、平面的に配列されてなる構成であるため、所定面に到達するレーザ光(照射光)の光量の減衰を抑制し、高い照度で所定面を照明できる。
【0009】
本発明の光源装置において、前記単位構造体の複数位置のそれぞれから射出される前記レーザ光の進行方向が異なるように、前記単位構造体の形状が設定される構成を採用できる。これにより、レーザ光を良好に拡散できる。
【0010】
本発明の光源装置において、前記回折光学素子及び前記拡散光学素子を介した前記レーザ光が前記所定面の所定領域に対して所定の入射角度で入射するように、前記単位構造体の形状が設定される構成を採用できる。これにより、所定面を所望状態で照明できる。
【0011】
本発明の光源装置において、前記単位構造体が凹部、凸部の少なくとも一方を含む構成を採用できる。これにより、レーザ光を良好に拡散できる。
【0012】
本発明の光源装置において、前記単位構造体が、前記射出面とほぼ平行な面に沿って平面的に規則的に配列される凹部、凸部の少なくとも一方を有する構成を採用できる。これにより、所定面を均一な照度分布で照明できる。
【0013】
本発明の光源装置において、前記単位構造体は、表面が曲面状の凹部、凸部の少なくとも一方を有する構成を採用できる。これにより、所定面を均一な照度分布で照明できる。
【0014】
本発明の光源装置において、前記単位構造体は、前記射出面とほぼ垂直な断面において前記所定面に対して凹む円弧状の溝を含み、前記溝は、前記射出面とほぼ平行な面の所定方向に複数形成されている構成を採用できる。これにより、射出面から射出されるレーザ光を所定面に良好に到達させることができる。
【0015】
本発明の光源装置において、前記拡散光学素子は、前記入射面で前記レーザ光を屈折させることによって拡散させ、前記入射面は、入射後の前記レーザ光が前記射出面に向かうように、前記レーザ光の進行方向を制御する形状を有する構成を採用できる。これにより、所定面に到達するレーザ光(照射光)の光量の減衰を抑制し、高い照度で所定面を照明できる。
【0016】
本発明の第2の観点によると、所定面に照射するための照射光を生成する光源装置であって、レーザ光を射出するレーザ光源と、前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光を回折させる回折光学素子と、前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光が入射する入射面、及び前記入射面からの前記レーザ光が射出する射出面を有し、前記レーザ光を拡散させる拡散光学素子と、を備え、前記拡散光学素子は、前記入射面で前記レーザ光を屈折させることによって拡散させ、前記入射面は、入射後の前記レーザ光が前記射出面に向かうように、前記レーザ光の進行方向を制御する形状を有することを特徴とする光源装置が提供される。
【0017】
本発明の第2の観点によれば、レーザ光源からのレーザ光を拡散光学素子で拡散することによって、所定面を均一な照度分布で照明できる照射光を生成できる。拡散光学素子は、入射面でレーザ光を屈折させることによって拡散させ、その入射面は、入射後のレーザ光が射出面に向かうように、レーザ光の進行方向を制御する形状を有するので、所定面に到達するレーザ光(照射光)の光量の減衰を抑制し、高い照度で所定面を照明できる。
【0018】
本発明の光源装置において、前記拡散光学素子は、前記回折光学素子と前記所定面との間に配置され、前記回折光学素子からの前記レーザ光が前記拡散光学素子の前記入射面に入射する構成を採用できる。これにより、回折光学素子で生成されたレーザ光の回折光が拡散光学素子で拡散されるので、所定面を均一な照度分布で照明できる。
【0019】
本発明の光源装置において、前記レーザ光に対して前記拡散光学素子を移動する駆動装置を備えた構成を採用できる。これにより、レーザ光をさらに良好に拡散でき、所定面を均一な照度分布で照明できる。
【0020】
本発明の光源装置において、前記入射面及び前記射出面の少なくとも一方に反射防止構造を備えた構成を採用できる。これにより、所定面に到達するレーザ光(照射光)の光量の減衰をさらに良好に抑制し、高い照度で所定面を照明できる。
【0021】
本発明の光源装置は、所定面に照射するための照射光を生成する光源装置であって、レーザ光を射出するレーザ光源と、前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光を回折させる回折光学素子と、前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光が入射する入射面、及び前記入射面からの前記レーザ光が射出する射出面を有し、前記レーザ光を拡散させる拡散光学素子と、を備え、前記拡散光学素子の前記入射面、前記射出面の少なくとも一方は、表面が曲面状の凹部、凸部の少なくとも一方を含む単位構造体が複数、平面的に配列されてなることを特徴とする。
この構成によれば、拡散光学素子の入射面、射出面の少なくとも一方は、表面が曲面状の凹部、凸部の少なくとも一方を含む単位構造体が複数、平面的に配列されてなるものであるから、所定面に到達するレーザ光(照射光)の光量の減衰を抑制し、高い照度で所定面を照明できる。
【0022】
本発明の光源装置において、前記拡散光学素子の射出面から射出される光の光軸と前記射出面の法線とのなす角度が1.2°以下である構成を採用できる。
これにより、高い照度で所定面を照明できる。
【0023】
本発明の光源装置において、前記拡散光学素子を配置していないときに前記所定面における被照明領域(光を照射すべき領域)の中心に入射する光に対し、前記拡散光学素子による前記光の拡散範囲となる円の半径をd、前記所定面における被照明領域となる矩形の対角線の長さをLとしたとき、2d≦Lを満たす構成を採用できる。
これにより、光の損失を十分に抑制することができる。
【0024】
本発明の光源装置において、前記拡散光学素子を配置していないときに前記所定面における被照明領域(光を照射すべき領域)の中心に入射する光に対し、前記拡散光学素子による前記光の拡散範囲となる円の半径をd、前記所定面における被照明領域となる矩形の短辺の長さをSとしたとき、2d≦Sを満たす構成を採用できる。
これにより、光の損失をより十分に抑制することができる。
【0025】
本発明の第3の観点によると、上記に記載の光源装置からの照射光が照射され、前記所定面を介した光により画像を表示することを特徴とする画像表示装置が提供される。
【0026】
本発明の第3の観点によれば、所望状態で照明された所定面を介した照射光により所望の画像を得ることができる。
【0027】
本発明の画像表示装置において、前記所定面は、照射された照射光を画像信号に応じて光変調する空間光変調装置の入射面を含む構成を採用できる。これにより、所望の画像を表示することができる。
【0028】
本発明の第4の観点によると、上記に記載の画像表示装置を含み、前記所定面を介した画像情報を含む光を表示面に投射する投射系を備えたことを特徴とするプロジェクタが提供される。
【0029】
本発明の第4の観点によれば、良好な画像を形成できる。
【0030】
本発明の第5の観点によると、上記に記載の光源装置を備えたことを特徴とする照明装置が提供される。
【0031】
本発明の第5の観点によれば、高い照度の照射光で所定面を均一な照度分布で照明できる。
【0032】
本発明の第6の観点によると、上記に記載の光源装置を備えたことを特徴とするモニタ装置が提供される。
【0033】
本発明の第6の観点によれば、高い照度の照射光で物体を照明し、その物体を良好にモニタできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1実施形態に係る光源装置を示す概略構成図である。
【図2】第1実施形態に係る光源装置を示す概略斜視図である。
【図3】回折光学素子の一例を説明するための模式図である。
【図4】回折光学素子の一例を説明するための模式図である。
【図5】第1実施形態に係る拡散光学素子の一部を拡大した側面図である。
【図6】第1実施形態に係る拡散光学素子の一部を拡大した斜視図である。
【図7】第1実施形態に係る拡散光学素子の一部を拡大した側面図である。
【図8】拡散光学素子と所定面との位置関係を示す図である。
【図9】所定面の状態の一例を示す図である。
【図10】回折光学素子の輝度分布の一例を示す図である。
【図11】散乱部材の一例を示す図である。
【図12】第2実施形態に係る拡散光学素子の一部を拡大した側面図である。
【図13】第3実施形態に係る拡散光学素子の一部を拡大した側面図である。
【図14】第4実施形態に係る拡散光学素子の一部を拡大した側面図である。
【図15】第5実施形態に係る拡散光学素子の一部を拡大した側面図である。
【図16】第5実施形態に係る拡散光学素子の一部を拡大した側面図である。
【図17】第6実施形態に係る拡散光学素子の一部を拡大した斜視図である。
【図18】第6実施形態に係る光源装置を示す概略構成図である。
【図19】光源装置の変形例を示す概略構成図である。
【図20】光源装置の変形例を示す概略構成図である。
【図21】光源装置の変形例を示す概略構成図である。
【図22】第7実施形態に係る画像表示装置を示す図である。
【図23】第8実施形態に係る照明を示す図である。
【図24】第9実施形態に係るモニタ装置を示す図である。
【図25】拡散光学素子の凹凸形状を設計する手法説明するための図である。
【図26】同図である。
【図27】好ましい光の拡散範囲を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。そして、水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
【0036】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る光源装置1を示す概略構成図、図2は、図1を模式的に示す斜視図である。図1及び図2において、光源装置1は、所定部材10の所定面11に照射するための照射光を生成するものであって、レーザ光を射出するレーザ光源2と、レーザ光源2と所定面11との間に配置され、レーザ光が入射する入射面3、及び入射面3からのレーザ光が射出する射出面4を有し、レーザ光を回折させる回折光学素子5と、レーザ光源2と所定面11との間に配置され、レーザ光が入射する入射面6、及び入射面6からのレーザ光が射出する射出面7を有し、レーザ光を拡散させる拡散光学素子8と、レーザ光源2と所定面11との間に配置され、レーザ光が入射する入射面9A、及び入射面9Aからのレーザ光が射出する射出面9Bを有し、レーザ光の射出角度を調整する角度調整用光学素子9とを備えている。
【0037】
本実施形態においては、回折光学素子5は、レーザ光源2と拡散光学素子8との間に配置され、拡散光学素子8は、回折光学素子5と所定面11との間に配置されている。角度調整用光学素子9は、拡散光学素子8と所定面11との間に配置されている。
【0038】
レーザ光源2は、レーザ光を射出する。本実施形態においては、レーザ光源2は複数設けられており、各レーザ光源2の光射出面は、+Z側を向いている。また、本実施形態においては、複数のレーザ光源2は、一次元方向(図1の例ではX軸方向)に複数並べられている。複数のレーザ光源2のそれぞれは、回折光学素子5の入射面3にレーザ光を照射する。
【0039】
回折光学素子5は、入射面3に入射したレーザ光を回折して回折光を生成し、射出面4より射出する。本実施形態においては、回折光学素子5の入射面3には、レーザ光源2からのレーザ光が照射される。回折光学素子5は、例えば石英(ガラス)、透明な合成樹脂等、レーザ光を透過可能な材料で形成されている。本実施形態の回折光学素子5は、計算機合成ホログラム(Computer Generated Hologram;CGH)を含む。
【0040】
回折光学素子(ホログラム素子)5は、照明領域設定機能、拡散光生成機能(照度均一化機能)、及び拡大照明機能を有する。照明領域設定機能を有する回折光学素子5を含む光源装置1は、レーザ光源2から射出されたレーザ光に基づいて、所定面11を所定の照明領域で照明する。また、拡散光生成機能を有する回折光学素子5を含む光源装置1は、所定面11の照明領域の少なくとも一部の照度を均一化する。また、拡大照明機能を有する回折光学素子5を含む光源装置1は、回折光学素子5の射出面4から光が射出される射出領域よりも大きい照明領域で所定面11を照明する。
【0041】
図3は、回折光学素子の一例を示す模式図であって、図3(A)は平面図、図3(B)は図3(A)のA−A線断面矢視図である。図3において、回折光学素子5は、その表面に複数の矩形状の凹部(凹凸構造)5Mを有している。凹部5Mは、互いに異なる深さを有している。また、凹部5Mどうしの間の複数の凸部も互いに異なる高さを有している。そして、凹部5Mどうしのピッチd及び凹部5Mの深さ(凸部の高さ)tを含む回折光学素子5の表面条件を適宜調整することにより、回折光学素子5に所定の機能(照明領域設定機能、拡散光生成機能、及び拡大照明機能)を持たせることができる。その表面条件を最適化する設計手法としては、例えば反復フーリエ法など、所定の演算手法(シミュレーション手法)が挙げられる。
【0042】
なお、回折光学素子5としては、矩形の凹部5Mを有するものに限られず、互いに異なる方向を向く平面を組み合わせた表面を有するものであってもよい。例えば、回折光学素子5としては、図4に示すような、斜面を有する三角形状の凹部を有するものであってもよい。また回折光学素子5としては、図3に示したような矩形状の凹部5Mを有する領域と、図4に示したような三角形状の凹部を有する領域とのそれぞれを有するものであってもよい。そして、その表面条件を最適化することにより、所望の機能を有する回折光学素子5を形成することができる。
【0043】
次に、拡散光学素子8について説明する。拡散光学素子8は、入射面6に入射したレーザ光を拡散して拡散光を生成し、射出面7より射出する。本実施形態においては、拡散光学素子8の入射面6には、回折光学素子5の射出面4から射出されたレーザ光が照射される。拡散光学素子8は、例えば石英(ガラス)、透明な合成樹脂等、レーザ光を透過可能な材料で形成されている。本実施形態においては、拡散光学素子8は、射出面7でレーザ光を屈折させることによって、そのレーザ光を拡散させる。
【0044】
図5は、本実施形態に係る拡散光学素子8の一部を拡大した側面図、図6は、本実施形態に係る拡散光学素子8の一部を拡大した斜視図である。図5に示すように、拡散光学素子8は、射出面7でレーザ光を屈折させることによって拡散させる。
【0045】
本実施形態の拡散光学素子8の射出面7は、射出後のレーザ光が再入射しないように、レーザ光の進行方向を制御する形状を有している。すなわち、本実施形態においては、射出面7より射出後のレーザ光が射出面7に再入射せずに、所定面11(角度調整用光学素子9)に向かって進行するように、射出面7の形状が最適化されている。
【0046】
射出面7(後述の溝7M)の形状は、その射出面7(溝7M)の複数位置のそれぞれから射出されるレーザ光の進行方向が互いに異なるように設定されている。射出面7の複数位置のそれぞれから射出されるレーザ光は、互いに異なる方向に進行するように、その射出面7において屈折する。
【0047】
例えば、図5に示すように、入射面6の第1の位置6Aにほぼ垂直に入射したレーザ光は、拡散光学素子8を通過した後、射出面7で屈折して、第1の方向に進行するように、その射出面7より射出される。第1の位置6Aと異なる入射面6の第2の位置6Bにほぼ垂直に入射したレーザ光は、拡散光学素子8を通過した後、射出面7で屈折して、第1の方向と異なる第2の方向に進行するように、その射出面7より射出される。
【0048】
このように、本実施形態においては、射出面7は、その射出面7の複数位置のそれぞれから射出するレーザ光の進行方向を互いに異ならせるように屈折させる形状を有する。また、射出面7は、射出後のレーザ光が再入射しないように、レーザ光の進行方向を制御し、射出面7において1回だけ屈折した後、所定面11(角度調整用光学素子9)に向かって進行する。
【0049】
本実施形態においては、射出面7は、凹凸構造を含み、射出面7の複数位置のそれぞれより射出するレーザ光は、凹部及び凸部の少なくとも一方を含む射出面7によって、互いに異なる方向に進行するように屈折する。
【0050】
図5及び図6に示すように、本実施形態においては、射出面7は、その射出面7とほぼ垂直な断面において、所定面11(角度調整用光学素子9)に対して凹む円弧状の溝7Mを含む。本実施形態の場合、溝7Mが特許請求の範囲における「単位構造体」に相当する。溝7Mは、射出面7とほぼ平行な面の所定方向に複数形成されている。図5及び図6においては、拡散光学素子8は、入射面6及び射出面7とXY平面とがほぼ平行となるように配置されている。射出面7は、その射出面7とほぼ垂直なXZ平面において、所定面11に対して凹む円弧状の溝7Mを有する。溝7Mは、Y軸方向に長く、X軸方向に複数形成されている。
【0051】
このように、本実施形態においては、溝7Mは、XZ平面において所定面11に対して凹む円弧状であって、Y軸方向に長いライン状であり、X軸方向に複数形成されている。また、隣り合う溝7M同士の境界は、所定面11(角度調整用光学素子9)に対して凸状であり、稜線を形成している。
【0052】
また、本実施形態においては、入射面6は、XY平面とほぼ平行な平面である。
【0053】
図1に示すように、光源装置1は、レーザ光に対して拡散光学素子8を移動する駆動装置12を備えている。駆動装置12は、拡散光学素子8を回転可能な回転モータを含み、拡散光学素子8をθZ方向に回転可能である。駆動装置12により回転されることによって、拡散光学素子8は、所定面11における照明領域の少なくとも一部の照度分布を均一化できる。なお、駆動装置12は、拡散光学素子8を、X軸、Y軸、Z軸、θX、及びθY方向の少なくとも1つの方向に移動(微動、揺動)するようにしてもよい。
【0054】
角度調整用光学素子9は、入射面9Aより入射したレーザ光の射出角度を調整して、射出面9Bより射出する。本実施形態においては、角度調整用光学素子9の入射面9Aには、拡散光学素子8の射出面7から射出されたレーザ光が照射される。本実施形態においては、角度調整用光学素子9は、屈折レンズ(フィールドレンズ)である。屈折レンズは、例えば球面レンズ、又は非球面レンズ等の光軸に対して回転対称な軸対象レンズを含む。あるいは、角度調整用光学素子9はフレネルレンズ等を含むものでもよい。角度調整用光学素子9は、射出面9Bから射出されるレーザ光の射出角度、ひいては所定面11に対するレーザ光(照射光)の入射角度を調整可能である。
【0055】
本実施形態においては、角度調整用光学素子9は、複数のレーザ光源2のそれぞれから射出され、回折光学素子5及び拡散光学素子8を介したレーザ光で、所定面11の所定領域を重畳的に照明するように、射出面9Bより射出するレーザ光(照射光)の射出角度を調整する。
【0056】
次に、光源装置1の動作の一例について説明する。複数のレーザ光源2のそれぞれから射出されたレーザ光は、回折光学素子5の入射面3に入射し、その回折光学素子5を通過した後、回折光学素子5の射出面4より射出される。回折光学素子5は、入射面3より入射したレーザ光により回折光を生成し、射出面4より射出する。
【0057】
回折光学素子5の射出面4から射出されたレーザ光(回折光)は、拡散光学素子8の入射面6に入射し、その拡散光学素子8を通過した後、拡散光学素子8の射出面7より射出される。拡散光学素子8は、入射面6より入射したレーザ光により拡散光を生成し、射出面7より射出する。
【0058】
拡散光学素子8の射出面7から射出されたレーザ光(拡散光)は、角度調整用光学素子9の入射面9Aに入射し、その角度調整用光学素子9を通過した後、角度調整用光学素子9の射出面9Bより射出される。角度調整用光学素子9は、入射面9Aより入射したレーザ光の射出角度を調整して、射出面9Bより射出する。角度調整用光学素子9の射出面9Bから射出されたレーザ光は、所定面11に照射される。
【0059】
本実施形態においては、回折光学素子5及び拡散光学素子8を含む光源装置1は、所定面11を所定の照明領域で照明する。射出面7の形状は、回折光学素子5及び拡散光学素子8を介したレーザ光が、所定面11の所定領域に対して所定の入射角度で入射するように設定されている。
【0060】
図7は、拡散光学素子8の拡大図である。本実施形態においては、一例として、円弧状の溝7Mの曲率半径Rが約13mm、隣り合う溝7M同士の距離(ピッチ)Pが約1.2mm、溝7Mの深さDが約13μmに設定されている。XY平面とほぼ平行な入射面6に対してほぼ垂直に入射したレーザ光は、拡散光学素子8を通過した後、射出面7で屈折し、所定方向に進行する。射出面7より射出されるレーザ光の射出角度θ1は、射出面7の位置によって異なるが、本実施形態においては、射出角度θ1が−1.2°〜+1.2°となるように、射出面7の形状が設定されている。ここで、射出角度θ1は、入射面6にほぼ垂直に入射するレーザ光の延長線、すなわちZ軸となす角度である。なお、見やすくするために、図では、図面上の大きさ、角度と、実際の大きさ、角度とが異なるように図示してある。
【0061】
図8は、拡散光学素子8と所定面11を有する所定部材10との位置関係を示す模式図、図9は、光源装置1により照射光が照射されている所定面11を示す模式図である。図8に示すように、拡散光学素子8の射出面7と、所定部材10の所定面11とは、XY平面とほぼ平行である。図8に示す例では、拡散光学素子8の射出面7と所定部材10の所定面11との距離Tが約25mmに設定されている。
【0062】
射出面7より射出角度θ1で射出されたレーザ光は、所定面11に対して角度θ2で入射する。ここで、拡散光学素子8の射出面7と所定部材10の所定面11とは平行である。したがって、射出面7から射出されるレーザ光の射出角度θ1と、所定面11に入射するレーザ光の入射角度θ2とはほぼ等しい。射出角度θ1は射出面7の形状を調整することによって制御可能なので、射出面7の形状を調整することによって、所定面11に対するレーザ光の入射角度θ2も制御できる。このように、射出面7の形状を調整することによって、所定面11に対するレーザ光の入射角度を設定可能である。なお、本実施形態においては、角度調整用光学素子9が配置されているので、その角度調整用光学素子9によっても、入射角度θ2を調整できる。
【0063】
射出角度θ1が−1.2°〜+1.2°の場合において、入射面6にほぼ垂直に入射するレーザ光の延長線と所定面11とが交わる位置を基準点とした場合、図8に示すように、そのレーザ光に基づいて射出面7より射出されたレーザ光が所定面11に到達する位置Sは、約−0.5mm〜+0.5mmの範囲となる。
【0064】
図9において、本実施形態においては、光源装置1は、少なくとも所定面11の矩形状(長方形状)の所定領域A1(被照明領域)に照射光を照射する。回折光学素子5は、所定領域A1にレーザ光が照射されるように設計されている。なお、本実施形態においては、所定領域A1のX軸方向の大きさは16mm、Y軸方向の大きさは9mmである。射出面7の形状は、回折光学素子5及び拡散光学素子8を介したレーザ光が、所定面11の所定領域A1に対して所定の入射角度θ2で入射するように設定されている。
【0065】
図8等を参照して説明したように、レーザ光は、射出面7より射出角度θ1で射出される。射出面7より射出されるレーザ光の射出角度θ1は、射出面7の位置によって異なるので、射出面7の複数位置のそれぞれから射出されたレーザ光は、所定面11において混ぜ合わせられ、所定領域A1での照度が均一化される。本実施形態においては、少なくとも所定領域A1での照度が均一化されるように、すなわち、射出面7の複数位置のそれぞれから射出されたレーザ光が、所定面11の所定領域A1において混ぜ合わせられるように、射出面7の形状(溝7Mの曲率半径R、ピッチP、深さDを含む)、及び射出面7と所定面11との距離Tが最適化されている。
【0066】
なお、例えば射出面7の光射出領域のエッジ近傍から射出されたレーザ光など、射出面7の複数位置のそれぞれから射出されるレーザ光のうち、一部のレーザ光は、所定面11で他のレーザ光と混ぜ合わせられないで、所定領域A1よりも外側の領域A3に照射される。すなわち、図9に示すように、本実施形態においては、光源装置1によって設定される照明領域A2は、所定領域A1を含むものであって、所定領域A1よりも大きい。そして、その照明領域A2のうち、少なくとも所定領域A1に対応する一部の領域(領域A3以外の領域)の照度が均一化される。本実施形態においては、照明領域A2のうち、照明対象領域である所定領域A1における照度が均一化されるように、射出面7の形状(溝7Mの曲率半径R、ピッチP、深さDを含む)、及び射出面7と所定面11との距離Tが最適化されている。
【0067】
本実施形態においては、例えば回折光学素子5の射出面4から射出されるレーザ光の輝度分布に起因する所定面11における照度分布の不均一性を、拡散光学素子8によって均一化できる。例えば、回折光学素子5を製造する際のプロセス等に起因して、図10に示すように、回折光学素子5の射出面4から射出されるレーザ光の輝度分布に偏りが生じる虞がある。なお、図10の横軸は、回折光学素子5のX軸方向の位置を正規化した値、縦軸は、輝度(照度)を正規化した値である。このように、たとえ、回折光学素子5の射出面4から射出されるレーザ光の輝度(照度)分布に偏りが生じても、本実施形態によれば、拡散光学素子8によって、所定面11におけるレーザ光(照射光)の照度分布を均一化できる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態によれば、レーザ光源2からのレーザ光を拡散光学素子8で拡散することによって、所定面11を均一な照度分布で照明できる照射光を生成できる。拡散光学素子5は、射出面7でレーザ光を屈折させることによって拡散させ、その射出面7は、射出後のレーザ光が再入射しないように、レーザ光の進行方向を制御する形状を有するので、所定面11に到達するレーザ光(照射光)の光量の減衰を抑制し、高い照度で所定面11を照明できる。
【0069】
例えば、レーザ光を拡散させるために、従来のように、粗面を有する散乱部材を用いる場合、図11の模式図に示すように、射出面7Jから射出されたレーザ光の進行方向が制御されないので、射出面7Jから射出後のレーザ光が、射出面7Jに再入射したり、射出と入射とを繰り返す可能がある。この場合、拡散部材から所定面11に向けて進行するレーザ光の光量は減衰する。
【0070】
本実施形態においては、射出面7から射出後のレーザ光は、射出面7に再入射しないように設定されているので、複数回、或いは1回の屈折又は反射による損失を抑制し、光量の減衰が抑制された状態で、所定面11に向かって進行することができる。
【0071】
そして、射出面7(溝7M)の複数位置のそれぞれにおけるレーザ光の進行方向が互いに異なるように、射出面7の形状が設定されているので、射出面7から射出されたレーザ光は、光量の減衰が抑制された状態で、良好に拡散される。
【0072】
本実施形態の拡散光学素子8の射出面7は、Y軸方向に長いライン状であって、X軸方向に複数形成された溝7Mを含む。射出面7をこのような形状にすることによって、拡散光学素子8を容易に製造できる。例えば、光学部材の表面に半球状のバイト(工具)を当てて、一方向に移動することで、複数の溝7Mを形成できる。また、本実施形態においては、駆動装置12を用いて、拡散光学素子8を少なくともθZ方向に回転するので、所定面11における照明領域A2のうち、少なくとも所定領域A1に対応する一部の領域の照度分布を良好に均一化できる。
【0073】
また、本実施形態においては、光源装置1は複数のレーザ光源2を備えているので、スペックルパターンの発生を抑えることもできる。スペックルパターンとは、レーザ光のようなコヒーレント光で散乱面を照射し、その散乱光を観察したとき、空間に生じるコントラストの高い斑点状の模様をいう。散乱面の各点で発生した散乱光は、互いにランダムな位相関係で干渉し、その結果複雑な干渉パターンを生じ、所定面11を不均一な照度分布で照明する可能性がある。本実施形態では、光源装置1は複数のレーザ光源2を備えており、それら複数のレーザ光源2のそれぞれから射出されたレーザ光は互いにインコヒーレントであるため、互いに異なる照度分布(輝度分布)を持つ光で所定面11を照明することとなる。そのため、それら各レーザ光に基づく照射光を所定面11上で重ね合わせることにより、スペックルパターンの発生を低減し、所定面11上での照度分布をほぼ均一にすることができる。また、拡散光学素子8によって、スペックルパターンの発生をさらに抑制し、所定面11をほぼ均一な照度分布で照明することができる。
【0074】
なお、本実施形態においては、射出面7(溝7M)の複数位置のそれぞれから射出されたレーザ光を、所定面11において混ぜ合わせることによって、所定面11での照射光の照度分布が均一化されている。したがって、例えば、回折光学素子5の射出面4から射出されるレーザ光の輝度分布に起因する所定面11における照度分布の不均一性が大きい場合(ムラが大きい場合)には、レーザ光同士の混ぜ合わせ領域を大きくすることによって、所定面11における照度分布を均一化できる。レーザ光同士の混ぜ合わせ領域を大きくするためには、例えば拡散光学素子8からの射出角度θ1を大きくしたり、距離Tを大きくすればよい。なお、射出角度θ1を大きくしたり、距離Tを大きくすると、射出面7の複数位置のそれぞれから射出されるレーザ光のうち、所定面11で他のレーザ光と混ぜ合わせられないで、所定領域A1よりも外側の領域A3に照射されるレーザ光の成分が多くなる。所定領域A1の外側に照射されるレーザ光が多くなると、照明効率の劣化等をもたらすため、所定領域A1において所望の照度分布を得られる範囲内で、射出角度θ1、距離Tなどを最適化することが望ましい。
【0075】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。上述の第1実施形態においては、射出面7は、Y軸方向に長いライン状であって、X軸方向に複数形成された溝7Mを含み、その溝7Mは、XZ平面において所定面11に対して凹む円弧状であり、隣り合う溝7M同士の境界は、所定面11に対して凸状の稜線を形成している。本実施形態の特徴的な部分は、射出面7が、曲面状の凹部及び凸部を有する点にある。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0076】
図12は、第2実施形態に係る拡散光学素子8を示す図である。図12において、射出面7は、その射出面7とほぼ垂直な断面において、所定面11に対して凹む円弧状の凹部(溝)7Maを含む。本実施形態の場合、凹部7Maが特許請求の範囲における「単位構造体」に相当する。凹部7Maは、射出面7とほぼ平行な面の所定方向に複数形成されている。図12においては、拡散光学素子8は、入射面6及び射出面7とXY平面とがほぼ平行となるように配置されており、凹部7Maは、XZ平面において、所定面11に対して凹む円弧状(曲面状)の表面を有する。凹部7Maは、Y軸方向に長いライン状であり、X軸方向に複数形成されている。
【0077】
本実施形態においては、隣り合う凹部7Ma同士の間には、所定面11に対して突出する凸部7Tが形成される。凸部7Tは、XZ平面において、所定面11に対して突出する円弧状(曲面状)の表面を有する。凸部7Tは、Y軸方向に長いライン状であり、凹部7Ma同士の間において、X軸方向に複数形成されている。
【0078】
本実施形態においては、射出面7は、全体として、XZ平面においてサイン波状の表面を有する凹凸構造を含む。
【0079】
本実施形態においても、射出面7から射出後のレーザ光は、射出面7に再入射しないようになっている。本実施形態においても、所定面11に到達するレーザ光(照射光)の光量の減衰を抑制し、高い照度で所定面11を照明できる。
【0080】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態の特徴的な部分は、拡散光学素子8は、入射面6でレーザ光を屈折させることによって拡散させ、入射面6は、入射後のレーザ光が射出面7に向かうように、レーザ光の進行方向を制御する形状を有する点にある。
【0081】
図13は、第3実施形態に係る拡散光学素子8を示す図である。図13において、拡散光学素子8の入射面6は、凹凸構造を含む。入射面6は、その入射面6とほぼ垂直な断面において、レーザ光源2に対して凹む円弧状の溝6Mを含む。本実施形態の場合、溝6Mが特許請求の範囲における「単位構造体」に相当する。溝6Mは、入射面6とほぼ平行な面の所定方向に複数形成されている。図13においては、拡散光学素子8は、入射面6及び射出面7とXY平面とがほぼ平行となるように配置されている。入射面6は、その入射面6とほぼ垂直なXZ平面において、レーザ光源2に対して凹む円弧状の溝6Mを有する。溝6Mは、Y軸方向に長いライン状であり、X軸方向に複数形成されている。
【0082】
また、本実施形態においては、射出面7は、XY平面とほぼ平行な平面である。
【0083】
入射面6の形状は、射出面7(溝6M)の複数位置のそれぞれから射出されるレーザ光の進行方向が互いに異なるように、設定されている。入射面6の形状は、回折光学素子5及び拡散光学素子8を介したレーザ光が所定面11の所定領域A1に対して所定の入射角度で入射するように設定されている。
【0084】
本実施形態においても、レーザ光源2からのレーザ光を拡散光学素子8で拡散することによって、所定面11を均一な照度分布で照明できる照射光を生成できる。拡散光学素子8は、入射面6でレーザ光を屈折させることによって拡散させ、その入射面6は、入射後のレーザ光が、射出面7以外の領域に向かわずに、射出面7に向かうように、レーザ光の進行方向を制御する形状を有するので、所定面11に到達するレーザ光(照射光)の光量の減衰を抑制し、高い照度で所定面を照明できる。
【0085】
なお、本実施形態において、入射面6の形状を、図12の射出面7のようなサイン波状にしてもよい。
【0086】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。図14は、第4実施形態に係る拡散光学素子8を示す図である。図14に示すように、入射面6及び射出面7の両方に、上述の実施形態で説明したような凹凸構造を設けてもよい。こうすることによっても、光源装置1は、所定面11に到達するレーザ光(照射光)の光量の減衰を抑制し、高い照度で所定面を照明できる。
【0087】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態の特徴的な部分は、入射面6及び射出面7の少なくとも一方に反射防止構造を備えた点にある。
【0088】
図15は、第5実施形態に係る拡散光学素子8を示す図である。図15において、光源装置1は、拡散光学素子8の入射面6に設けられた第1反射防止膜13と、射出面7に設けられた第2反射防止膜14とを備えている。本実施形態においては、第1反射防止膜13は、多層膜であり、第2反射防止膜14は、単層膜である。多層膜は、例えば誘電体多層膜である。単層膜は、例えばフッ化マグネシウムで形成される。第1、第2反射防止膜13、14は、干渉型の反射防止膜であって、第1反射防止膜13は、入射面6に入射するレーザ光の反射を抑制し、第2反射防止膜14は、射出面7から射出する際のレーザ光の反射を抑制する。
【0089】
反射防止膜を設けることによって、所定面11に到達するレーザ光(照射光)の光量の減衰をさらに良好に抑制し、高い照度で所定面11を照明できる。
【0090】
なお、図15を用いた説明では、第1反射防止膜13は多層膜であるが、単層膜でもよい。また、図15を用いた説明では、第2反射防止膜14は単層膜であるが、多層膜でもよい。また、第1反射防止膜13を省略して、射出面7のみに反射防止膜14を設けてもよいし、第2反射防止膜14を省略して、入射面6のみに反射防止膜13を設けてもよい。
【0091】
また、図16に示すように、例えば入射面6に、円錐状の微細な突起部材を複数周期的に配列した構造、所謂モスアイ構造を設けることによって、入射面6に入射するレーザ光の反射を防止するようにしてもよい。また、射出面7にモスアイ構造を形成してもよい。
【0092】
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について説明する。本実施形態の特徴的な部分は、射出面7に設けられた凹凸構造が、射出面7とほぼ平行なXY平面に沿って2次元的に規則的に配列される凹部及び凸部を有する点にある。
【0093】
図17は、第6実施形態に係る光源装置1の概略構成図、図18は、第6実施形態に係る射出面7の一部を拡大した斜視図である。図18に示すように、拡散光学素子8の射出面7に設けられた凹凸構造は、射出面7とほぼ平行なXY平面に沿って2次元的に規則的に配列される凹部15及び凸部16を有する。凹部15及び凸部16の表面は、曲面状である。本実施形態の場合、凹部15及び凸部16が特許請求の範囲における「単位構造体」に相当する。
【0094】
本実施形態においても、光源装置1は、所定面11に到達するレーザ光(照射光)の光量の減衰を抑制し、高い照度で所定面11を照明できる。また、拡散光学素子7は、レーザ光を良好に拡散できる。これにより、光源装置1は、所定面11を均一な照度分布で照明できる。
【0095】
また、本実施形態においては、図18に示すように、駆動装置12を省略しても、光源装置1は、所定面11を均一な照度分布で照明できる。もちろん、本実施形態の拡散光学素子8を駆動装置12で移動(回転)してもよい。
【0096】
なお、上述の第1〜第6実施形態においては、回折光学素子5は、レーザ光源2と拡散光学素子8との間に配置され、拡散光学素子8は、回折光学素子5と所定面11との間に配置され、角度調整用光学素子9は、拡散光学素子8と所定面11との間に配置されているが、回折光学素子5、拡散光学素子8、及び角度調整用光学素子9の位置関係を変更してもよい。
【0097】
例えば、図19に示すように、レーザ光源2と所定面11との間に、レーザ光源2から所定面11に向かって、回折光学素子5、角度調整用光学素子9、及び拡散光学素子8の順に配置してもよい。
【0098】
また、図20に示すように、レーザ光源2と所定面11との間に、レーザ光源2から所定面11に向かって、拡散光学素子8、回折光学素子5、及び角度調整用光学素子9の順に配置してもよい。
【0099】
また、図21に示すように、角度調整用光学素子9を省略してもよい。図21に示す例では、レーザ光源2と所定面11との間に、レーザ光源2から所定面11に向かって、回折光学素子5、及び拡散光学素子8の順に、各素子が配置されている。
【0100】
なお、上述の第1〜第6実施形態においては、光源装置1は一次元方向(X軸方向)に複数並んだレーザ光源2を有しているが、二次元方向(XY方向)にアレイ状に配置されたレーザ光源2を備えていてもよい。
【0101】
なお、上述の第1〜第6実施形態においては、光源装置1は複数のレーザ光源2を有しているが、レーザ光源2は1つであってもよい。
【0102】
なお、上述の第1〜第6実施形態においては、回折光学素子として透過型の回折光学素子(回折格子)のうち、位相変調型の回折光学素子を用いているが、振幅変調型の回折光学素子を用いることもできる。また、透過型の回折光学素子に限られず、反射型の回折光学素子を用いることもできる。また、例えば、透過型の回折光学素子と、反射型の回折光学素子とを組み合わせてもよい。そして、それら回折光学素子の表面条件を最適化することにより、その回折光学素子に所望の機能を持たせることができる。
【0103】
ここで、屈折面となる拡散光学素子8の入射面、または射出面の凹凸形状を設計する手法の一例を説明する。
例えば図25に示す拡散光学素子の射出面に円弧状の溝を形成した形状(図25の上側)、サイン波状の形状(図25の下側)、図26に示す拡散光学素子の入射面に円弧状の凸部を形成した形状(図26の上側)、サイン波状の形状(図26の下側)においては、拡散光学素子に対して垂直に入射した光は入射位置によって射出角度が異なる。射出角度が最大となるのは、凹凸形状の接線と水平線とのなす角度αが最大となる位置に入射したときである。
【0104】
このとき、拡散光学素子に対して垂直入射した光線の最大射出角度をθ1とすると、図25のように入射面が平坦な場合と、図26のように射出面が平坦な場合のいずれにおいても下記の(1)式でθ1が書き表せる。拡散光学素子の屈折率をnとする。
θ1=sin-1(n×sinα)−α ……(1)
【0105】
所定面において、レーザ光の光軸に対して最大距離d[mm]だけ光線を拡散させたい場合、所定面と拡散光学素子との距離Tに対し、下記の(2)式の関係が成り立つ。
d=T×tanθ1 ……(2)
【0106】
つまり、(2)式を変形すると、最大距離dだけ拡散させたい場合の射出角度θ1は下記の(3)式で書き表せる。
θ1=tan-1(d/T) ……(3)
よって、(1)式、(3)式を満足するように拡散光学素子の角度αを設定すれば、所望の拡散角を持った拡散光学素子が実現できる。
【0107】
例えば、所定面において±0.5mm以内に光を拡散させたい場合、n=1.49とすると、入射面が平坦な場合も射出面が平坦な場合も角度αは同一であり、角度αが約2.3°のときに条件を満たす。
一方、本願発明者らの実験によれば、射出角度θ1は1.2°以下でレーザ光の減衰が十分に抑制され、高い照度を実現できるという結果が得られている。
【0108】
また、光の拡散範囲については、図27(a)に示すように、拡散光学素子による光の拡散範囲は通常、円形となる。ただし、ここで示す「光の拡散範囲」とは、拡散光学素子を配置していないときに被照明領域の中心に入射する光に対する拡散範囲のことである。また、所定面の被照明領域として、後述する液晶ライトバルブの画像表示領域(通常、長方形状)を想定する。ここで、光の拡散範囲を示す円の半径をd、画像表示領域の長方形の対角線の長さをLとすると、2d≦Lを満たすことが望ましい。
この場合、光の拡散範囲を示す円は、画像表示領域を示す長方形の外接円となる。このとき、光の損失はある程度生じるものの、全くランダムな散乱パターンを持った従来の拡散板を用いたときと比べて十分に損失を抑制することができる。
【0109】
さらに、図27(b)に示すように、拡散光学素子による光の拡散範囲となる円の半径をd、画像表示領域を示す長方形の短辺の長さをSとしたとき、2d≦Sを満たすことがより望ましい。この場合、図27(a)に比べて、光の損失をより十分に抑制することができる。
【0110】
<第7実施形態>
次に、第7実施形態について説明する。本実施形態では、上述の各実施形態で説明した光源装置1を応用した画像表示装置の一例について説明する。
【0111】
図22は、上述の各実施形態で説明した光源装置1(1R、1G、1B)を備えた画像表示装置を示す概略構成図である。本実施形態においては、画像表示装置として、空間光変調装置で生成された画像情報を含む色光を投射系を介してスクリーン上に投射する投射型画像表示装置(プロジェクタ)を例にして説明する。
【0112】
図22において、投射型画像表示装置PJは、スクリーン100(表示面)上に画像情報を含む光を投射する投射ユニットUを備えている。投射ユニットUからスクリーン100に対して光が投射されることにより、スクリーン100上に画像が形成される。本実施形態の投射型画像表示装置PJは、スクリーン100を透過型のスクリーンとし、スクリーン100の正面側からスクリーン100上に画像情報を含む光を投射する。
【0113】
投射ユニットUは、第1の基本色光(赤色光)で所定面11を照明可能な第1光源装置1Rと、第2の基本色光(緑色光)で所定面11を照明可能な第2光源装置1Gと、第3の基本色光(青色光)で所定面11を照明可能な第3光源装置1Bと、第1光源装置1Rで照明される入射面(所定面)11を有し、照明された光を画像情報に応じて光変調する第1空間光変調装置10Rと、第2光源装置1Gで照明される入射面(所定面)11を有し、照明された光を画像情報に応じて光変調する第2空間光変調装置10Gと、第3光源装置1Bで照明される入射面(所定面)11を有し、照明された光を画像情報に応じて光変調する第3空間光変調装置10Bと、空間光変調装置10R、10G、10Bにより変調された各基本色光を合成する色合成系20と、色合成系20で生成された光をスクリーン100上に投射する投射系21とを備えている。空間光変調装置10R、10G、10Bのそれぞれは液晶装置を含んで構成されている。以下の説明においては、空間光変調装置を適宜、ライトバルブ、と称する。
【0114】
ライトバルブは、入射側偏光板と、一対のガラス基板どうしの間に封入された液晶を有するパネルと、射出側偏光板とを備えている。ガラス基板には画素電極や配向膜が設けられている。空間光変調装置を構成するライトバルブは、定められた振動方向の光のみを透過させるようになっており、ライトバルブに入射した基本色光は、ライトバルブを通過することによって光変調される。
【0115】
第1光源装置1Rの複数のレーザ光源2は、赤色(R)のレーザ光をそれぞれ射出する。第1光源装置1Rは、赤色のレーザ光に基づいて、第1ライトバルブ10Rの入射面11を照明する。
【0116】
第2光源装置1Gの複数のレーザ光源2は、緑色(G)のレーザ光をそれぞれ射出する。第2光源装置1Gは、緑色のレーザ光に基づいて、第2ライトバルブ10Gの入射面11を照明する。
【0117】
第3光源装置1Bの複数のレーザ光源2は、青色(B)のレーザ光をそれぞれ射出する。第3光源装置1Gは、青色のレーザ光に基づいて、第3ライトバルブ10Bの入射面11を照明する。
【0118】
各ライトバルブ10R、10G、10Bを通過することで変調された各基本色光(変調光)は、色合成系20で合成される。色合成系20はダイクロイックプリズムによって構成されており、赤色光(R)、緑色光(G)、及び青色光(B)は色合成系20で合成されてフルカラー合成光となる。色合成系20から射出されたフルカラー合成光は投射系21に供給される。投射系21はフルカラー合成光をスクリーン100上に投射する。投射系21は、入射側の画像を拡大してスクリーン100上に投射する所謂拡大系である。
【0119】
投射ユニットUは、各光源装置1R、1G、1Bのそれぞれで照明された各ライトバルブ10R、10G、10Bを介した画像情報を含むフルカラー合成光を投射系21を用いてスクリーン100上に投射することによって、スクリーン100上にフルカラーの画像を形成する。鑑賞者は、投射ユニットUによりスクリーン100に対して投射された画像を鑑賞する。
【0120】
本実施形態のプロジェクタPJの各ライトバルブ10R、10G、10Bは、高い照明効率を有する各光源装置1R、1B、1Gにより、高い照度を有し、均一な照度分布を有する照射光で照明される。したがって、プロジェクタPJは、コントラストが高い良好な画像を表示できる。
【0121】
また、図10等を参照して説明したように、例えば、回折光学素子5を製造する際のプロセス等に起因して、回折光学素子5の射出面4から射出されるレーザ光の輝度に分布(ムラ)が生じる場合がある。その輝度のムラが発生している状態を放置したまま、プロジェクタPJでスクリーン100に画像を表示すると、その画像は投射系21によって拡大されたものであるため、回折光学素子5に起因する輝度ムラが、鑑賞者に把握されるまで大きくなる可能性がある。本実施形態においては、拡散光学素子8によって輝度ムラを修正しているので、上述の不都合を抑制できる。
【0122】
なお、本実施形態においては、各光源装置1R、1B、1Gの拡散光学素子8の入射面7は、射出角度θ1(入射角度θ2)が、−2°〜+2°になるような形状を有する。これにより、各ライトバルブ10R、10G、10Bに所望状態で光が照射され、プロジェクタPJは、良好に画像を表示できる。
【0123】
なお、図22を用いた説明では、スクリーン100の正面側からスクリーン100上に画像情報を含む光を投射するフロント投射型のプロジェクタを例にして説明したが、投射ユニットUと、スクリーン100と、筐体とを有し、投射ユニットUがスクリーン100の背面側に配置され、スクリーン100の背面側からスクリーン100上に画像情報を含む光を投射する所謂リアプロジェクタに、上述の各実施形態の光源装置1を適用することもできる。
【0124】
なお上述の各実施形態においては、空間光変調装置として透過型の液晶装置(ライトバルブ)を用いているが、反射型の液晶装置を用いることもできるし、例えばDMD(Digital Micromirror Device)等の反射型光変調装置(ミラー変調器)を用いてもよい。
【0125】
なお、上述の実施形態のプロジェクタPJは、各基本色光(R、G、B)を射出可能なレーザ光源2をそれぞれ有する第1、第2、第3光源装置1R、1G、1Bを有しているが、赤色光(R)を射出する赤色レーザ光源、緑色光(G)を射出する緑色レーザ光源、及び青色光(B)を射出する青色レーザ光源をアレイ状に配置した構成を有する光源装置を1つ有する構成であってもよい。この場合、各基本色光を射出可能なレーザ光源のレーザ光射出動作を時分割で行い、その各レーザ光源のレーザ光射出動作に同期して、ライトバルブの動作を制御することにより、1つの光源装置及び1つのライトバルブでスクリーン100上にフルカラー画像を表示することができる。
【0126】
なお、上述の実施形態のプロジェクタにおいては、光源装置1で空間光変調装置を照明し、その空間光変調装置を介した光によりスクリーン100上に画像を表示しているが、画像表示装置(プロジェクタ)としては、空間光変調装置を有していなくてもよい。例えば、画像情報を含むスライド(ポジフィルム)の面を光源装置1で照明し、スクリーン上に画像情報を含む光を投射する、所謂スライドプロジェクタに、上述の各実施形態の光源装置1を適用することも可能である。
【0127】
また、画像表示装置としては、投射系を有さず空間光変調装置の画像を直接観察する直視型の画像表示装置であってもよい。
【0128】
<第8実施形態>
次に、第8実施形態について説明する。本実施形態では、上述の各実施形態で説明した光源装置1を応用した照明装置の一例について説明する。
【0129】
図23は、本実施形態に係る照明装置200を示す概略構成図である。図23に示すように、照明装置200は、上述の各実施形態で説明した光源装置1を備えている。以上のように構成された照明装置200によれば、所望の光量が得られ、長寿命化が図られた光源装置1を備えているので、照明装置200自体も、低消費電力化及び長寿命化が図られたものとなる。
【0130】
<第9実施形態>
次に、第9実施形態について説明する。本実施形態では、上述の各実施形態で説明した光源装置1を応用したモニタ装置の一例について説明する。
【0131】
図24は、本実施形態に係るモニタ装置400を示す概略構成図である。図24において、モニター装置400は、装置本体410と、光伝送部420とを備える。装置本体410は、上述の各実施形態で説明した光源装置1を備える。
【0132】
光伝送部420は、光を送る側と受ける側の2本のライトガイド421、422を備える。各ライトガイド421、422は、多数本の光ファイバを束ねたもので、レーザ光を遠方に送ることができる。光を送る側のライトガイド421の入射側には、光源装置1が配置され、その射出側には、拡散板423が配置されている。光源装置1から射出したレーザ光は、ライトガイド421を伝って、光伝送部420の先端に設けられた拡散板423に送られ、拡散板423により拡散されて被写体を照射する。
【0133】
光伝送部420の先端には、結像レンズ424も設けられており、被写体からの反射光を結像レンズ424で受けることができる。その受けた反射光は、受け側のライトガイド422を伝って、装置本体410内に設けられた撮像手段としてのカメラ411に送られる。この結果、光源装置1により射出したレーザ光により被写体を照射したことで得られる反射光に基づく画像をカメラ411で撮像することができる。
【0134】
以上のように構成されたモニタ装置400によれば、光源装置1により被写体を照射することができることから、カメラ411により得られる撮像画像の明るさを高めることができる。
【0135】
なお、上述の各実施形態で説明した光源装置1を、レーザ加工機の光源として用いることもできる。
【符号の説明】
【0136】
1…光源装置、2…レーザ光源、5…回折光学素子、6…入射面、6M…溝、7…射出面、7M…溝、8…拡散光学素子、9…角度調整用光学素子、10…所定部材(空間光変調装置)、11…所定面(入射面)、100…スクリーン(表示面)、PJ…画像表示装置(プロジェクタ)、200…照明装置、400…モニタ装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定面に照射するための照射光を生成する光源装置であって、
レーザ光を射出するレーザ光源と、
前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光を回折させる回折光学素子と、
前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光が入射する入射面、及び前記入射面からの前記レーザ光が射出する射出面を有し、前記レーザ光を拡散させる拡散光学素子と、を備え、
前記拡散光学素子の前記入射面、前記射出面の少なくとも一方は、前記拡散光学素子に対して垂直に入射する光を1回屈折させて前記所定面に向けて射出させる単位構造体が複数、平面的に配列されてなることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記単位構造体の複数位置のそれぞれから射出される前記レーザ光の進行方向が異なるように、前記単位構造体の形状が設定されることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記回折光学素子及び前記拡散光学素子を介した前記レーザ光が前記所定面の所定領域に対して所定の入射角度で入射するように、前記単位構造体の形状が設定されることを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記単位構造体が凹部、凸部の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記単位構造体が、前記射出面とほぼ平行な面に沿って平面的に規則的に配列される凹部、凸部の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記単位構造体が、表面が曲面状の凹部、凸部の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の光源装置。
【請求項7】
前記単位構造体は、前記射出面とほぼ垂直な断面において前記所定面に対して凹む円弧状の溝を含み、前記溝は、前記射出面とほぼ平行な面の所定方向に複数形成されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項8】
前記拡散光学素子は、前記入射面で前記レーザ光を屈折させることによって拡散させ、 前記入射面は、入射後の前記レーザ光が前記射出面に向かうように、前記レーザ光の進行方向を制御する形状を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項9】
所定面に照射するための照射光を生成する光源装置であって、
レーザ光を射出するレーザ光源と、
前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光を回折させる回折光学素子と、
前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光が入射する入射面、及び前記入射面からの前記レーザ光が射出する射出面を有し、前記レーザ光を拡散させる拡散光学素子と、を備え、
前記拡散光学素子は、前記入射面で前記レーザ光を屈折させることによって拡散させ、
前記入射面は、入射後の前記レーザ光が前記射出面に向かうように、前記レーザ光の進行方向を制御する形状を有することを特徴とする光源装置。
【請求項10】
前記拡散光学素子は、前記回折光学素子と前記所定面との間に配置され、
前記回折光学素子からの前記レーザ光が前記拡散光学素子の前記入射面に入射することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項11】
所定面に照射するための照射光を生成する光源装置であって、
レーザ光を射出するレーザ光源と、
前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光を回折させる回折光学素子と、
前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光が入射する入射面、及び前記入射面からの前記レーザ光が射出する射出面を有し、前記レーザ光を拡散させる拡散光学素子と、を備え、
前記拡散光学素子の前記入射面、前記射出面の少なくとも一方は、表面が曲面状の凹部、凸部の少なくとも一方を含む単位構造体が複数、平面的に配列されてなることを特徴とする光源装置。
【請求項12】
前記拡散光学素子の射出面から射出される光の光軸と前記射出面の法線とのなす角度が1.2°以下であることを特徴とする請求項11に記載の光源装置。
【請求項13】
前記拡散光学素子を配置していないときに前記所定面における被照明領域の中心に入射する光に対し、前記拡散光学素子による前記光の拡散範囲となる円の半径をd、前記所定面における被照明領域となる矩形の対角線の長さをLとしたとき、2d≦Lを満たすことを特徴とする請求項11または12に記載の光源装置。
【請求項14】
前記拡散光学素子を配置していないときに前記所定面における被照明領域の中心に入射する光に対し、前記拡散光学素子による前記光の拡散範囲となる円の半径をd、前記所定面における被照明領域となる矩形の短辺の長さをSとしたとき、2d≦Sを満たすことを特徴とする請求項13に記載の光源装置。
【請求項15】
請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の光源装置からの照射光が照射され、前記所定面を介した光により画像を表示することを特徴とする画像表示装置。
【請求項16】
前記所定面は、照射された照射光を画像信号に応じて光変調する空間光変調装置の入射面を含むことを特徴とする請求項15に記載の画像表示装置。
【請求項17】
請求項15又は請求項16に記載の画像表示装置を含み、前記所定面を介した画像情報を含む光を表示面に投射する投射系を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項18】
請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の光源装置を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項19】
請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の光源装置を備えたことを特徴とするモニタ装置。
【請求項1】
所定面に照射するための照射光を生成する光源装置であって、
レーザ光を射出するレーザ光源と、
前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光を回折させる回折光学素子と、
前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光が入射する入射面、及び前記入射面からの前記レーザ光が射出する射出面を有し、前記レーザ光を拡散させる拡散光学素子と、を備え、
前記拡散光学素子の前記入射面、前記射出面の少なくとも一方は、前記拡散光学素子に対して垂直に入射する光を1回屈折させて前記所定面に向けて射出させる単位構造体が複数、平面的に配列されてなることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記単位構造体の複数位置のそれぞれから射出される前記レーザ光の進行方向が異なるように、前記単位構造体の形状が設定されることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記回折光学素子及び前記拡散光学素子を介した前記レーザ光が前記所定面の所定領域に対して所定の入射角度で入射するように、前記単位構造体の形状が設定されることを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記単位構造体が凹部、凸部の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記単位構造体が、前記射出面とほぼ平行な面に沿って平面的に規則的に配列される凹部、凸部の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記単位構造体が、表面が曲面状の凹部、凸部の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の光源装置。
【請求項7】
前記単位構造体は、前記射出面とほぼ垂直な断面において前記所定面に対して凹む円弧状の溝を含み、前記溝は、前記射出面とほぼ平行な面の所定方向に複数形成されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項8】
前記拡散光学素子は、前記入射面で前記レーザ光を屈折させることによって拡散させ、 前記入射面は、入射後の前記レーザ光が前記射出面に向かうように、前記レーザ光の進行方向を制御する形状を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項9】
所定面に照射するための照射光を生成する光源装置であって、
レーザ光を射出するレーザ光源と、
前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光を回折させる回折光学素子と、
前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光が入射する入射面、及び前記入射面からの前記レーザ光が射出する射出面を有し、前記レーザ光を拡散させる拡散光学素子と、を備え、
前記拡散光学素子は、前記入射面で前記レーザ光を屈折させることによって拡散させ、
前記入射面は、入射後の前記レーザ光が前記射出面に向かうように、前記レーザ光の進行方向を制御する形状を有することを特徴とする光源装置。
【請求項10】
前記拡散光学素子は、前記回折光学素子と前記所定面との間に配置され、
前記回折光学素子からの前記レーザ光が前記拡散光学素子の前記入射面に入射することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項11】
所定面に照射するための照射光を生成する光源装置であって、
レーザ光を射出するレーザ光源と、
前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光を回折させる回折光学素子と、
前記レーザ光源と前記所定面との間に配置され、前記レーザ光が入射する入射面、及び前記入射面からの前記レーザ光が射出する射出面を有し、前記レーザ光を拡散させる拡散光学素子と、を備え、
前記拡散光学素子の前記入射面、前記射出面の少なくとも一方は、表面が曲面状の凹部、凸部の少なくとも一方を含む単位構造体が複数、平面的に配列されてなることを特徴とする光源装置。
【請求項12】
前記拡散光学素子の射出面から射出される光の光軸と前記射出面の法線とのなす角度が1.2°以下であることを特徴とする請求項11に記載の光源装置。
【請求項13】
前記拡散光学素子を配置していないときに前記所定面における被照明領域の中心に入射する光に対し、前記拡散光学素子による前記光の拡散範囲となる円の半径をd、前記所定面における被照明領域となる矩形の対角線の長さをLとしたとき、2d≦Lを満たすことを特徴とする請求項11または12に記載の光源装置。
【請求項14】
前記拡散光学素子を配置していないときに前記所定面における被照明領域の中心に入射する光に対し、前記拡散光学素子による前記光の拡散範囲となる円の半径をd、前記所定面における被照明領域となる矩形の短辺の長さをSとしたとき、2d≦Sを満たすことを特徴とする請求項13に記載の光源装置。
【請求項15】
請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の光源装置からの照射光が照射され、前記所定面を介した光により画像を表示することを特徴とする画像表示装置。
【請求項16】
前記所定面は、照射された照射光を画像信号に応じて光変調する空間光変調装置の入射面を含むことを特徴とする請求項15に記載の画像表示装置。
【請求項17】
請求項15又は請求項16に記載の画像表示装置を含み、前記所定面を介した画像情報を含む光を表示面に投射する投射系を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項18】
請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の光源装置を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項19】
請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の光源装置を備えたことを特徴とするモニタ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2013−77022(P2013−77022A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−277821(P2012−277821)
【出願日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【分割の表示】特願2007−311640(P2007−311640)の分割
【原出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【分割の表示】特願2007−311640(P2007−311640)の分割
【原出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]