説明

光源装置およびプロジェクター

【課題】光束による劣化を抑制した光源装置を提供する。
【解決手段】光源装置31は、光源と、光源を収納する光源用筐体6と、光源用筐体6に配置され、光源から射出された光束が透過する平行化レンズ313と、ガラス製である平行化レンズ313に形成されたアルミニウム等が蒸着等の反射膜8と、光源用筐体6に形成されたアルミニウム等の金属製の板材の遮光膜7を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光束を射出する光源装置、およびこの光源装置を備えたプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調して拡大投写するプロジェクターが知られている。近年、投写される画像のさらなる高輝度化が進み、光源装置として超高圧水銀ランプ等の高輝度の光源が用いられている。そして、光源を収納する光源用筐体には、光源からの高輝度の光束が照射されるため、光源用筐体の光劣化や熱劣化を抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の光源装置は、光源と、光源から射出された光束を反射するリフレクターと、リフレクターから射出された光束の方向を揃える平行化レンズと、平行化レンズを保持する保持部材とを備えている。保持部材は、合成樹脂製の光源用筐体(保持部材本体)とその内側に配設された吸収部材とを有し、二重構造となっている。吸収部材は、アルミニウム等の金属板で形成され、光源用筐体の内側に対して光源からの光束を遮光するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−106656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、吸収部材によって光源用筐体の内側に光が照射されることが抑制されるとはいうものの、平行化レンズを保持している光源用筐体の部位には、平行化レンズからの光束が照射されることとなる。すなわち、光源から射出された光束のうち、光学的に制御できずに平行化レンズから迷光となる光束が光源用筐体に射出されることとなる。光源用筐体は、この迷光が照射されると、光劣化や熱劣化によって、材料の一部がガス状に浮遊したり、変形したりする恐れがある。光源用筐体が劣化すると、光源装置は、ガス状に浮遊した材料の一部が平行化レンズやリフレクターに付着することに伴う輝度低下や、平行化レンズの位置ずれによって光学特性の劣化が生じるという課題がある。また、迷光が光源用筐体に照射されるのを抑制するために、平行化レンズと光源用筐体との間にも吸収部材を配設する場合には、平行化レンズを精度良く光源用筐体に配置することが難しかったり、光源装置が大型化したりするという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係る光源装置は、光源と、前記光源を収納する光源用筐体と、前記光源用筐体に配置され、前記光源から射出された光束が透過する光透過部材と、前記光源用筐体と前記光透過部材との間に介在する遮光膜と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
光透過部材としては、光源から射出された光束を光学的に処理する光学部品や、光源を保護したり、光源が破損した際に破損物の外部への飛散を防止したりするためのカバー部材等がある。この構成によれば、光源用筐体と光透過部材との間には、遮光膜が介在しているので、光源から射出された光束のうち、光学的に制御できずに迷光となって光透過部材から光源用筐体に向かう光束を遮光することが可能となる。
よって、光源用筐体は、光透過部材からの迷光の吸収に伴うガス発生や、熱変形等の劣化が抑制され、光源装置は、ガス状に浮遊した材料が光透過部材に付着することや、光源用筐体の変形による光透過部材の位置ずれ等が抑制される。また、遮光膜の厚みを薄く形成することで、光源用筐体に対する光透過部材の高い精度での配置が可能となる。
したがって、光源装置は、光源用筐体の劣化に伴う輝度低下や輝度ムラ等の劣化が抑制され、安定した光学特性を有する光束を長期に亘って射出することが可能となる。つまり、光源装置の長寿命化が図れる。
【0009】
[適用例2]上記適用例に係る光源装置において、前記遮光膜は、前記光透過部材に形成された反射膜を有することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、光透過部材には、光源用筐体との間に遮光膜としての反射膜が設けられている。反射膜としては、例えば、蒸着やスパッタリング等の加工によって形成される金属膜等の薄膜がある。これによって、光透過部材からの迷光を反射膜が確実に反射し、光源用筐体に照射されることを抑制することが可能となる。よって、光源装置は、光源用筐体が光透過部材からの迷光による劣化が抑制され、安定した光学特性を有する光束を長期に亘って射出することが可能となる。
【0011】
[適用例3]上記適用例に係る光源装置において、前記遮光膜は、前記光源用筐体に形成された光吸収膜を有することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、光源用筐体には、光透過部材との間に遮光膜としての光吸収膜が設けられている。光吸収膜としては、光束を吸収する材料を塗装や塗布加工等よって形成される塗膜等がある。これによって、光透過部材と光源用筐体との間に、光吸収膜を容易に介在させて迷光を吸収し、光源用筐体に照射されることを抑制することが可能となる。よって、光源装置は、光源用筐体が光透過部材からの迷光による劣化が抑制され、安定した光学特性を有する光束を長期に亘って射出することが可能となる。
【0013】
[適用例4]本適用例に係るプロジェクターは、上記記載の光源装置と、前記光源装置から射出された光束を変調する光変調装置と、前記光変調装置で変調された光束を投写する投写レンズと、を備えることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、プロジェクターは、前述した光源装置を備えているので、光源装置からの安定した光学特性を有する光束を変調し、長期に亘って画質や明るさが良好な画像を表示させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成を示す模式図。
【図2】第1実施形態の光源装置の斜視図。
【図3】第1実施形態の光源装置の分解斜視図。
【図4】第1実施形態の平行化レンズ近傍の光源装置を模式的に示す部分断面図。
【図5】第2実施形態の平行化レンズ近傍の光源装置を模式的に示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照して説明する。
本実施形態のプロジェクターは、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調してスクリーン等に拡大投写する。
図1は、本実施形態のプロジェクターの概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、プロジェクター1は、外装を構成する外装筐体2、制御部(図示省略)、光源装置31を有する光学ユニット3、および光源装置31や制御部に電力を供給する電源装置4等を備えている。なお、具体的な図示は省略したが、外装筐体2内には、プロジェクター1内部を冷却する冷却ファン等が配置されている。
【0017】
制御部は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、コンピューターとして機能するものであり、プロジェクター1の動作の制御、例えば、画像の投写に関わる制御等を行う。
【0018】
光学ユニット3は、制御部による制御の下、光源装置31から射出された光束を光学的に処理して投写する。
光学ユニット3は、図1に示すように、光源装置31に加え、インテグレーター照明光学系32、色分離光学系33、リレー光学系34、電気光学装置35、投写レンズ36、およびこれらの光学部品31〜36を光路上の所定位置に配置する光学部品用筐体5を備える。
【0019】
光源装置31は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源311、リフレクター312および光透過部材としての平行化レンズ313等を備え、光学部品用筐体5に着脱可能に構成されている。光源装置31は、光源311から射出された光束をリフレクター312にて反射した後、平行化レンズ313よって射出方向を揃え、インテグレーター照明光学系32に向けて射出する。光源装置31については、後で詳細に説明する。
【0020】
インテグレーター照明光学系32は、第1レンズアレイ321、第2レンズアレイ322、偏光変換素子323、および重畳レンズ324を備える。
第1レンズアレイ321は、光源装置31から射出された光束を複数の部分光束に分割する光学素子であり、光源装置31から射出された光束の光軸Lに対して略直交する面内にマトリクス状に配列される複数の小レンズを備えている。
【0021】
第2レンズアレイ322は、第1レンズアレイ321と略同様の構成を有しており、重畳レンズ324とともに、第1レンズアレイ321から射出された部分光束を後述する液晶ライトバルブ351の表面に重畳させる。
偏光変換素子323は、第2レンズアレイ322から射出されたランダム偏光光を液晶ライトバルブ351で利用可能な略1種類の偏光光に揃える機能を有する。
【0022】
色分離光学系33は、2枚のダイクロイックミラー331,332、および反射ミラー333を備え、インテグレーター照明光学系32から射出された光束を赤色光(以下「R光」という)、緑色光(以下「G光」という)、青色光(以下「B光」という)の3色の色光に分離する機能を有する。
【0023】
リレー光学系34は、入射側レンズ341、リレーレンズ343、および反射ミラー342,344を備え、色分離光学系33で分離されたR光をR光用の液晶ライトバルブ351Rまで導く機能を有する。なお、光学ユニット3は、リレー光学系34がR光を導く構成としているが、これに限らず、例えば、B光を導く構成としてもよい。
【0024】
電気光学装置35は、光変調装置としての液晶ライトバルブ351および色合成光学装置としてクロスダイクロイックプリズム352を備え、色分離光学系33で分離された各色光を画像情報に応じて変調する。
【0025】
液晶ライトバルブ351は、3色の色光毎に備えられており(R光用の液晶ライトバルブを351R、G光用の液晶ライトバルブを351G、B光用の液晶ライトバルブを351Bとする)、それぞれ透過型の液晶パネル、およびその両面に配置された入射側偏光板、射出側偏光板を有している。
【0026】
液晶ライトバルブ351は、図示しない微小画素がマトリクス状に形成された矩形状の画素領域を有し、各画素が表示画像信号に応じた光透過率に設定され、画素領域内に表示画像を形成する。そして、色分離光学系33で分離された各色光は、液晶ライトバルブ351にて変調された後、クロスダイクロイックプリズム352に射出される。
【0027】
クロスダイクロイックプリズム352は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、2つの誘電体多層膜が形成されている。クロスダイクロイックプリズム352は、誘電体多層膜が液晶ライトバルブ351R,351Bにて変調された色光を反射し、液晶ライトバルブ351Gにて変調された色光を透過して、各色光を合成する。
【0028】
投写レンズ36は、複数のレンズを組み合わせた組レンズとして構成され、液晶ライトバルブ351にて変調され、クロスダイクロイックプリズム352にて合成された光をスクリーン上に拡大投写する。
【0029】
電源装置4は、詳しい図示は省略するが、電源ブロックおよび光源装置31を駆動する光源駆動ブロックを備え、制御部および光源311等の電子部品に電力を供給する。光源駆動ブロックは、光源装置31に接続される出力コネクターを備え、この出力コネクターは、ケーブルを介して光学部品用筐体5に配置されている。
【0030】
ここで、光源装置31について、詳細に説明する。
図2〜図4は、光源装置31を示す図である。具体的に、図2は、光源装置31の斜視図、図3は、光源装置31の分解斜視図、図4は、平行化レンズ313近傍の光源装置31を模式的に示す部分断面図である。なお、図4は、後述するレンズ取付板314を省略した図であり、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜異ならせてある。また、以下では、説明の便宜上、光源装置31から光束が射出される方向を+X方向、投写レンズ36から画像光が投写される方向を+Y方向、X方向およびY方向に直交し、図2の図面視における上を+Z方向(上方向)として記載する。つまり、±X方向は、光軸L方向となる。
【0031】
光源装置31は、光源311、リフレクター312、平行化レンズ313に加え、図3に示すように、レンズ取付板314、入力コネクター315、光源用筐体6および遮光部材7(図4参照)を備えている。
【0032】
平行化レンズ313は、図3、図4に示すように、光源用筐体6の光束射出側に配置され、光源311(図1参照)から射出された光束が透過する。
平行化レンズ313は、ガラス製であり、外形寸法が異なる小径部3131と大径部3132とを有して形成され、外形寸法が大径部3132より小さい小径部3131が光束入射側(−X側)に位置するように配置される。また、平行化レンズ313は、小径部3131の光束入射側の端面が凹状に形成された凹面313A(図4参照)、および大径部3132の+Y側、−Y側の端部が平坦に形成された平坦部3133(図3参照)を有している。
【0033】
また、図4に示すように、小径部3131の外周面、大径部3132の外周面、および小径部3131と大径部3132とで段差となる段差面313Bには、遮光膜としての反射膜8が形成されている。反射膜8は、アルミニウムやクロム等が蒸着等によって形成された光束を反射する薄膜であり、その厚さは、反射膜8を含まない平行化レンズ313の寸法公差内に充分収まる寸法となるように形成されている。また、反射膜8は、蒸着に限らずスパッタリング加工等によって形成してもよく、複数の薄膜が積層された誘電体多層膜等であってもよい。
【0034】
レンズ取付板314は、平行化レンズ313を光源用筐体6とで狭装する部材であり、ステンレス等のバネ性を有する板材で形成されている。レンズ取付板314は、図3に示すように、上下の端部がそれぞれ−X側に屈曲されており、この屈曲されている部位には、矩形状の角孔3141が形成されている。また、レンズ取付板314の中央部には、リフレクター312にて反射された光束が通過し、平行化レンズ313の大径部3132の外形寸法より小さな内径寸法の丸孔3142が形成されている。
【0035】
入力コネクター315は、電源装置4と電気的に接続される接続部であり、図3に示すように、光源用筐体6の−X側に配置される。入力コネクター315は、ケーブルCAを介して光源311の図示しない電極に接続されている。入力コネクター315は、光源装置31が光学部品用筐体5に挿着される際に、電源装置4の出力コネクターに接続される。
【0036】
光源用筐体6は、光源311およびリフレクター312を内部に収納し、前述したように、平行化レンズ313および入力コネクター315が配置される。
光源用筐体6は、ガラスフィラーが含まれるポリフェニレンサルファイドや液晶ポリマー等の合成樹脂製であり、略直方体の箱状に形成されている。光源用筐体6の+X側の壁面には、図3に示すように、平行化レンズ313の小径部3131が挿入される開口部61が形成され、開口部61の外側には、+X方向に突出し、内径寸法が大径部3132の外形寸法より大きな筒状部62が設けられている。そして、筒状部62の内面には、平行化レンズ313を位置決めするための複数のリブ63が設けられている。
【0037】
また、光源用筐体6の筒状部62の上下方向には、それぞれX−Y平面に略沿う平坦面が形成されており、この平坦面には、レンズ取付板314の角孔3141が係止される係止部64が設けられている。
平行化レンズ313は、小径部3131が開口部61に挿入された後、レンズ取付板314が係止部64に係止されて光源用筐体6に保持される。平行化レンズ313は、レンズ取付板314が係止部64に係止される際に、レンズ取付板314によって押圧され、大径部3132がリブ63に当接して、図4に示すように、光源用筐体6に位置決めされる。そして、反射膜8は、光源用筐体6と平行化レンズ313との間に介在することとなる。
【0038】
遮光部材7は、アルミニウム等の金属製の板材で形成され、光源用筐体6の内側に配置されている。具体的に、遮光部材7は、詳細な図は省略するが、開口部61の縁部から光源用筐体6の内面6Aに沿い(図4参照)、リフレクター312の+X側縁部の外側まで形成されている。なお、遮光部材7は、表面に黒色のアルマイト処理を施したり、腐食加工、エッチングなどによって表面を荒らしたりするように形成してもよい。
【0039】
そして、光源311から射出された光束は、平行化レンズ313にて方向が揃えられて射出される一方、光源用筐体6に向かう光束は、遮光部材7および反射膜8によって遮光される。具体的に、図4に示すように、光源311から射出された光束のうち、光源用筐体6の内面6Aに向かう光束L1は、遮光部材7に遮光される。そして、平行化レンズ313に入射する光束L2は、方向が揃えられて射出される一方、一部が光学的に制御できずに迷光となって光源用筐体6に向かうが、この迷光となる光束L3は、反射膜8によって反射される。
【0040】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)光源装置31には、遮光部材7に加え、光源用筐体6と平行化レンズ313との間に反射膜8が設けられている。これによって、内面6Aに向かう光束L1はもとより、平行化レンズ313から光源用筐体6に向かう光束L3を遮光することが可能となる。よって、光源用筐体6は、光束の吸収に伴うガス発生や、熱変形等の劣化が抑制され、光源装置31は、ガス状に浮遊した材料が平行化レンズ313やリフレクター312に付着することや、光源用筐体6の変形による平行化レンズ313の位置ずれ等が抑制される。また、反射膜8の厚さは、反射膜8を含まない平行化レンズ313の寸法公差内に充分収まる寸法で形成されているので、反射膜8が介在しても、平行化レンズ313は、光源用筐体6に対して高精度の配置が可能となる。
したがって、光源装置31は、光源用筐体6の劣化に伴う輝度低下や輝度ムラ等の劣化が抑制され、安定した光学特性を有する光束を長期に亘って射出することが可能となる。
【0041】
(2)反射膜8は、アルミニウム等が蒸着等によって形成されているので、段差面313B等を有する形状であっても、小径部3131の外周面、大径部3132の外周面、および段差面313Bにムラ無く形成されることが可能となる。よって、光束L3の確実な遮光が可能になると共に、平行化レンズ313および光源用筐体6の設計自由度の向上や、平行化レンズ313および光源用筐体6の小型化、ひいては光源装置31の小型化が図れる。
【0042】
(3)平行化レンズ313と光源用筐体6との間に他の部品を配置することなく、平行化レンズ313からの光束L3を遮光できるので、部品点数の増加や、光源装置31の大型化を抑制することが可能となる。
【0043】
(4)光源用筐体6は、劣化が抑制されるので、使用される材料の選択肢が広がり、軽量化や低コスト化、成形の容易化を講じることが可能となる。
【0044】
(5)プロジェクター1は、前述した光源装置31を備えているので、光源装置31からの安定した光学特性を有する光束を変調し、長期に亘って画質や明るさが良好な画像を表示させることが可能となる。
【0045】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るプロジェクター1について、図面を参照して説明する。以下の説明では、第1実施形態のプロジェクター1と同様の構造および同様の部材には、同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
本実施形態のプロジェクター1は、第1実施形態の光源装置31と構成の異なる光源装置131を備えている。
【0046】
図5は、平行化レンズ1313近傍の光源装置131を模式的に示す部分断面図である。なお、図5は、図4と同様に、レンズ取付板314を省略した図であり、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜異ならせてある。
光源装置131は、図5に示すように、第1実施形態の光源装置31に対し、遮光部材7が削除されており、反射膜8が形成されていない平行化レンズ1313、および遮光膜としての光吸収膜9が形成された光源用筐体16を備えている。
【0047】
光吸収膜9は、光束を吸収する機能を有し、本実施形態では、銅、鉄及びマンガンの複合酸化物を含む絶縁性の黒色塗料(サンコート株式会社製の無機コート)が用いられている。また、この塗料は、紫外線に対しても効率よく遮光する機能を有している。
【0048】
光吸収膜9は、図5に示すように、光源用筐体16の内面16Aに加え、平行化レンズ1313に対向する面、具体的に、開口部61の内周面、筒状部62の内面、およびリブ63の内面に形成されている。つまり、光吸収膜9は、光源用筐体16と光透過部材としての平行化レンズ1313との間に介在されることとなる。また、光吸収膜9は、厚さが光吸収膜9を含まない光源用筐体16の寸法公差内に充分収まる寸法となるように形成されている。
【0049】
そして、光源311から射出された光束は、平行化レンズ1313にて方向が揃えられて射出される一方、光源用筐体16に向かう光束は、光吸収膜9によって遮光される。具体的に、図5に示すように、光源311から射出された光束のうち、光源用筐体16の内面16Aに向かう光束L1、および平行化レンズ1313から光源用筐体16に向かう光束L3は、光吸収膜9によって吸収される。
【0050】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
光源用筐体16には、内面16Aに加え、平行化レンズ1313との間に光吸収膜9が設けられている。これによって、部品点数を増やすことなく簡素な構成で、光束が光源用筐体16に照射されることを抑制することが可能となる。よって、光源用筐体16の劣化を抑制しつつ、光源装置131の小型化、製造工程の簡略化や低コスト化がさらに図れる。
【0051】
(変形例)
なお、前記実施形態は、以下のように変更してもよい。
前記実施形態の光源装置31,131は、光透過部材として平行化レンズ313,1313を備えているが、平行化レンズ313,1313に限らず、他の光学部品や、光源311を保護したり、光源311が破損した際に破損物の外部への飛散を防止したりするためのカバー部材等を備えた光源装置にも適用できる。そして、この光透過部材と光源用筐体との間に遮光膜を介在するように構成してもよい。
【0052】
前記実施形態の光源装置31,131に反射膜8および光吸収膜9の双方を設けてもよい。例えば、第1実施形態の光源装置31において、遮光部材7を削除し、光源用筐体6の内面6A、あるいは内面6Aおよび平行化レンズ313に対向する面に光吸収膜9を形成してもよい。また、第2実施形態の光源装置131において、平行化レンズ1313の小径部3131の外周面、大径部3132の外周面、および段差面313Bに反射膜8を設けてもよい。
【0053】
前記実施形態のプロジェクター1は、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブ351を用いているが、反射型液晶ライトバルブを利用したものであってもよい。
【0054】
前記実施形態の光源装置31は、放電型の光源311を採用しているが、レーザーダイオード、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro Luminescence)素子、シリコン発光素子などの各種固体発光素子を用いた光源装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0055】
1…プロジェクター、3…光学ユニット、6,16…光源用筐体、7…遮光部材、8…反射膜、9…光吸収膜、31,131…光源装置、61…開口部、62…筒状部、63…リブ、311…光源、312…リフレクター、313,1313…平行化レンズ、351,351B,351G,351R…液晶ライトバルブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源を収納する光源用筐体と、
前記光源用筐体に配置され、前記光源から射出された光束が透過する光透過部材と、
前記光源用筐体と前記光透過部材との間に介在する遮光膜と、
を備えていることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置であって、
前記遮光膜は、前記光透過部材に形成された反射膜を有することを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光源装置であって、
前記遮光膜は、前記光源用筐体に形成された光吸収膜を有することを特徴とする光源装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置から射出された光束を変調する光変調装置と、
前記光変調装置で変調された光束を投写する投写レンズと、
を備えることを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−248174(P2011−248174A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122408(P2010−122408)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】