光源装置および光軸調整方法
【課題】複数光源からのビームを1本に合波する光源装置において、合波のための調整作業および部品組立作業を容易にし、また筐体に装着される光源同士の間の距離を狭めることにより小型化を可能し、コストダウンが図れる光源装置を提供する。
【解決手段】少なくとも2つの光源と、これら光源から出射されるビーム光を反射および透過させて、それらの光軸をほぼ同軸上に一致させる光軸一致素子とを備える光源装置100において、これら少なくとも2つの光源は装置筐体の装着面に対してxとyの面内調整が可能となるように取り付け、且つ光軸一致素子は装置に対してβ、γの2軸回転調整が可能となるように取り付けて、光源からのビーム光の光軸位置を高精度に調整することを特徴とする。
【解決手段】少なくとも2つの光源と、これら光源から出射されるビーム光を反射および透過させて、それらの光軸をほぼ同軸上に一致させる光軸一致素子とを備える光源装置100において、これら少なくとも2つの光源は装置筐体の装着面に対してxとyの面内調整が可能となるように取り付け、且つ光軸一致素子は装置に対してβ、γの2軸回転調整が可能となるように取り付けて、光源からのビーム光の光軸位置を高精度に調整することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形成した像を拡大投写する画像投写装置等において使用される光源装置および光源の光軸調整方法に係り、特に、レーザ投射型表示装置等の複数のレーザ光の光軸を高精度に一致させる光軸調整装置、光軸調整方法およびこれを用いた光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光源として発光素子(Light Emitting Diode:LED)やレーザ光源を用い、ラスタ走査して画像を表示する投写型映像表示装置(以下、「プロジェクタ」という)が注目されている。プロジェクタにおいては、RGB3原色(赤、緑、青)を用いて映像のカラー表示を行なうことができる。例えば、レーザ等の発光素子を使用したプロジェクタでは、発光素子は前記原色を提供するために使用される。各発光素子は画面(スクリーン)を横切りラスタ走査されるか、静止して画像を照らすのに使用される。その上で、優れた輝度特性を有するビームを提供することができる発光素子はプロジェクタ内において効果的且つ適切に機能する。
【0003】
その上で、最近の携帯電話、デジカメ、パーソナルコンピュータ機器などモバイル機器を含む情報家電機器の高性能化に伴って、携帯型プロジェクタへの期待が高まっている。このような携帯型プロジェクタに搭載されるRGB3原色光源装置は、小型かつ安価でなければならない。また、その他、車載搭載用ヘッドアップディスプレイやエンターティメント向けのヘッドマウントディスプレイとして、携帯型プロジェクタ出現が待望されている。
【0004】
また、プロジェクタにおいては、赤、青、緑の色の波長の光源から出射される光をスクリーンに投写して重ね合わせ、出射光を変調することによりカラー表示画像を形成する。したがって、プロジェクタ用の3色光源においては、スクリーン上で全ての色のビーム位置が重なり合っている必要がある。このようなRGB3色からなる複数の光源からのビーム光を合成させる光源装置として、例えば、特許文献1に開示のようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−166598号公報
【特許文献2】特開2005−243115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術は、特許文献1に示す通り、第1の光源から出射されるビーム光と第2の光源から出射されるビーム光を光軸一致素子により一致させ、1つの光束とするために、筐体に装着した光源側に角度調整機構を設けている。しかしながら、角度調整を実現するために、この機構は多くの部品を必要とする上に調整機構の占める体積が大きく、光源と光源との間の距離を広く取らざるを得ない。よって、小型化を行なうことが困難であるという問題点を有している。また、光軸調整方法も複雑であり、組立に多くの時間がかかるという問題点を有している。したがって、小型の携帯型RGB光学エンジンとして、利用できないという問題があった。また、部品点数が多いため、組み立てコストを含む実装コストが高いという問題が生じてくる。
【0007】
一方、複数の光源から出射されたビーム光の光軸が一致した光束を得る別の従来技術として、特許文献2に示す通り、光源は光軸に対して垂直な面内のみの可動機構と光軸一致素子の1軸回転機構を利用する方法がある。光源は単純な面内可動の調整機構であるために、光源と光源との間の距離を狭くすることができ、小型化を図ることが可能である。しかしながら、この方法は、光源から出射されるビーム光が筐体の装着面に対して垂直でない場合に、光軸を一致させることができないという問題点を有している。また、光軸一致素子の部材加工精度および搭載精度ズレにも対応できないことから、光軸を一致させることができないという問題点を有している。
【0008】
本発明は係る問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、複数の光源から出射されたビーム光においても、すべてのビーム光が一致した1本のビーム光とすることができる光源装置を提供することを目的とする。
【0009】
第2の目的は、このような光源装置に装着する光源と光源の実装距離を狭めることにより、小型化を図ることができる光源装置を提供することを目的とする。
【0010】
第3の目的は、光軸調整機構を簡素化し短時間で組立を行なうことにより、装置のコストダウンを図ることが可能な光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本願発明に係る光源装置は、以下の特徴を有する。
【0012】
請求項1に係る発明は、複数個の光源と、これら光源から出射される光を反射または透過させて、反射または透過したそれぞれの光の光軸をほぼ同軸上に合成する光軸一致素子とを備える光源装置において、複数個の光源の一つから出射した出射光が、該複数個の光源の一つに対応して設けられた第1の光軸一致素子が有する第1の光路変換平面に入射し、該第1の光路変換平面から法線に対して第1の角度で反射し、複数個の光源の他の一つから出射した出射光が、複数個の光源の他の一つに対応して設けられた第2の光軸一致素子が有する第2の光路変換平面に入射し、該第2の光路変換平面から法線に対して第2の角度で反射し、さらに第1の光軸一致素子を透過する場合に、第1の角度を、第1の光路変換平面を第1の回転軸と第1の回転軸と直交する第2の回転軸との2つの回転軸を有する回転機構により、第2の角度に一致するように調整する角度調整手段を有することを特徴とする。この構成により、複数の光源から出射されたビーム光は、1本のビーム光にすることが可能となる。また、上記発明の光源装置において、光源間の実装距離を狭くすることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、光源装置が小型化可能となる。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1において、複数個の光源が取り付けられた光源装置の装着面を決定する座標軸をx軸およびy軸とするとき、光源をx軸方向とy軸方向の面内調整が可能な面方向調整手段を、さらに有することを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る発明は、複数個の光源と、これら光源から出射される光を反射または透過させて、反射または透過したそれぞれの光の光軸をほぼ同軸上に合成する光軸一致素子とを備える光源装置において、複数個の光源が取り付けられた光源装置の装着面を決定する座標軸をx軸およびy軸とするとき、光源をx軸方向とy軸方向の面内調整が可能な調整手段と、装着面に対して垂直なz軸方向の周りの回転をγ回転とし、反射または透過した光の進行方向に垂直であって装着面に平行な軸方向の周りの回転をβ回転とするとき、光軸一致素子は、β回転とγ回転の2軸回転調整が可能な回転手段とを有し、調整手段と回転手段により、複数個の光源からのビーム光の光軸位置を調整可能とすることを特徴とする。この構成により、複数の光源から出射されたビーム光は、1本のビーム光にすることが可能となる。また、上記発明の光源装置において、光源間の実装距離を狭くすることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、光源装置が小型化可能となる。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の光源装置において、光軸一致素子は、光源装置の筐体に設けられ光軸一致素子を収容する第1穴部に挿入された回転調整保持部の回転によりγ回転を行うγ回転可動機構と、光軸一致素子に設けた突起部が回転調整保持部に設けられた第2穴部に挿入され、該突起部の回転によりβ回転を行うβ回転可動機構との2つの回転機構を有することを特徴とする。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項3または4に記載の光源装置において、複数個の光源は、レーザ光源であり、該複数個の光源から出射された光束のそれぞれを概ね平行光束にするコリメートレンズを有し、該コリメートレンズは、出射ビームの軸線に沿う方向に光源に対して相対的に移動可能であると共に、出射ビームの軸線に対して垂直な平面内で少なくとも2方向にそれぞれ光源に対して相対的に移動可能なように設置されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に係る発明は、請求項3〜5のいずれか一項に記載の光源装置において、複数個の光源は、キャンパッケージに収められた光源、または基本波光源と波長変換素子から構成される波長変換レーザ光源を少なくとも1つ含むことを特徴とする。
【0018】
また、上記発明の光源装置を構成している光源がキャンステムに搭載されていることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、小型且つ汎用性がある光源装置となる。
【0019】
また、上記発明の光源装置における複数の光源は、基本波としての半導体レーザと波長変換素子としての非線形結晶からなる波長変換レーザ、半導体レーザのいずれかであることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、例えばRGB光源とした場合、単一波長であり色純度が高く、コヒーレンスが高いためにビームを整形しやすい(絞り易い)等の特徴からスクリーン上でのカラー表示が可能なる。
【0020】
請求項7に係る発明は、請求項3〜6のいずれか一項に記載の光源装置において、光軸一致素子は、ダイクロイックプリズムあるいはビームスプリッターからなることを特徴とする。
【0021】
請求項8に係る発明は、請求項3〜7のいずれか一項に記載の光源装置において、複数個の光源は、それぞれが赤色、緑色、青色の各色を発するレーザ光源で構成されることを特徴とする。また、上記発明の光源装置における複数の光源は、異波長のレーザ光源であることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、例えば、光源がRGB3原色光源である場合、1本のビーム光は、赤色、緑色、青色の他にも白色等の全色を再現することができ、カラー表示が効果的に行なえる。その上で、この光源装置から出射光は、ビーム径の小さい概ねコリメート光とすることができ、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーを用いたラスター走査型手法を用いた映像表示が行なえる。
【0022】
請求項9に係る発明は、請求項3〜8のいずれか一項に記載の光源装置において、光源からのビーム光の光軸位置が調整されたビーム光をラスタースキャンし、光源装置の外部へビーム光を出射するミラーをさらに、有することを特徴とする。
【0023】
請求項10に係る発明は、前記複数の光源からのビーム光が束ねられ1つのビーム光となり、そのビーム光を走査し、スクリーン上に投射するための二次元走査ミラーと、該二次元走査ミラーを制御するための制御回路と、光源から出射されるビームを駆動させるためのドライバ回路と、制御回路やドライバ回路を駆動させるためのバッテリーとを備えたことを特徴とする。また、本発明は、上述した光源装置を備える映像投写装置でもある。このような本発明にかかる映像投写装置は、例えば、ラスタ走査型のディスプレイ装置の光学エンジンとして用いることが可能である。
【0024】
また、上記課題を解決するために、本願発明に係る光源装置の光軸調整方法は、以下の特徴を有する。
【0025】
請求項11に係る発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の光源装置から出射されるビーム光の光軸の角度と位置とを調整するための調整用信号を発生する光軸調整装置を具備し、光軸調整装置は、該光源装置の複数の光源のうち任意に選んだ一つの光源から出射される入射ビーム光の一部を反射分岐する第1の反射分岐フィルタと、該第1の反射分岐フィルタを透過したビーム光が入射する撮像面を有する位置検出用撮像手段と、第1の反射分岐フィルタにより反射されたビーム光を収束させる集光レンズと、を有し、光軸調整装置を用いて、該集光レンズによって収束されたビーム光が入射される光軸の角度を決定し、位置検出用撮像手段の撮像面における前記ビーム光の入射位置に基づいて、入射ビーム光の光源から出射される光軸の位置を決定し、決定された光軸の角度と位置を調整し、該調整により発生した信号を用いることにより、光源装置の他の一つの光源から出射されるビーム光を前記一つの光源から出射されるビーム光に一致するように調整し、さらに別の他の一つの光源から出射されるビーム光を一つの光源から出射されるビーム光に一致するように調整がなされることを特徴とする光源装置の光軸調整方法。この光軸調整方法により、高精度に光軸一致が図れる光源装置となる。
【0026】
請求項12に係る発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の光源装置から出射されるビーム光の光軸の角度と位置とを調整するための調整用信号を発生する光軸調整装置を具備し、光軸調整装置は、該光源装置の複数の光源のうち任意に選んだ2つの光源から出射される入射ビーム光の一部を反射分岐する第1の反射分岐フィルタと、該第1の反射分岐フィルタを透過したビーム光が入射される撮像面を有する位置検出用撮像手段と、第1の反射分岐フィルタにより反射されたビーム光を収束させる集光レンズと、を有し、光軸調整装置を用いて、該集光レンズによって収束されたビーム光が入射される光軸の角度を決定し、位置検出用撮像手段の撮像面における前記ビーム光の入射位置に基づいて、入射ビーム光の光源から出射される光軸の位置を決定し、決定された光軸の角度と位置を調整し、該調整により発生した信号を用いることにより、2つの光源の一つからのビーム光と他の一つの光源からのビーム光の光軸が一致するように調整して光軸一致ビーム光を得、該得られた光軸一致ビーム光を基準のビーム光にし、他の別の一つの光源から出射されるビーム光を該基準のビーム光に一致するように調整がなされることを特徴とする。この光軸調整方法により、高精度に光軸一致が図れると伴に短時間での組立が可能な光源装置となる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように本発明の光源装置によれば、複数の光源から出射された複数のビーム光は1つに光束となり、光源装置から出射されるため、数メートル先まで出力損失なく飛ばすことが可能である。
【0028】
また、本発明によれば、光源間の距離を狭くすることができるため、複数の光源からなる光源装置の小型化を図ることができる。また、光源装置の厚みを薄くできるため、光源装置体積は2cc以下とすることもできる。
【0029】
また、本発明によれば、複数の光源からのビーム光一致を図るべく、複数の光源の平面可動機構と光軸一致素子の2軸回転可動機構の簡素化された工程により組立が行なえるため、組み立てコストを含む実装コストを安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施形態による光源装置の基本構成を説明する図である。
【図2】(a)は、図1で示す光源装置の断面図であり、(b)は、(a)のA−B面で分けた場合の光源装置において、光軸一致素子の回転可動機構を説明する図(b)である。
【図3】(a)は、本発明の光源装置における光軸一致素子の2軸回転可動を可能にするホルダーを説明する図であり、(b)は、本発明の光源装置における光軸一致素子を説明する図であり、(c)は、本発明の光源装置における光軸一致素子の2軸回転可動を可能にするホルダーの光源装置への取り付け手法を説明する図であり、(d)は、本発明の光源装置における光軸一致素子の2軸回転可動を可能にするホルダーへの光軸一致素子の取り付け手法を説明する図である。
【図4】本発明の光源装置における光源への集光レンズ取り付け工程を説明する図である。
【図5】本発明の第2の実施形態による光源装置の基本構成を説明する図である。
【図6】本発明の第3の実施形態による光源装置の基本構成を説明する図である。
【図7】本発明の第4の実施形態による光源装置において、各光源から出射されるビーム光の光軸調整をするためのモニター装置が付加されたときの基本構成を説明する図である。
【図8】本発明の光源装置において、光源1a、1b、1cの光軸調整の方法を説明する工程図である。
【図9】本発明の光源装置において、光源1a、1b、1cの光軸調整の方法を説明する工程図である。
【図10】本発明の光源装置を用いた携帯型プロジェクタを説明する図である。
【図11】(a)は、本発明の光源装置における光軸一致素子の2軸回転調芯を実現する手段で、それぞれの部品を分解した場合を説明する図であり、(b)は、本発明の光源装置における光軸一致素子の2軸回転調芯を実現する手段を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る諸々の実施形態の構成及び作用について、図面を参照して具体的に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
〔実施の形態1〕
【0032】
まず、図1を参照して、本発明の一実施の形態に係る光源装置の構成について説明する。
<光源装置の構成>
図1は、本実施の形態に係る光源装置の構成図である。
【0033】
図1に示す通り、光源装置は、光源1a、1b、1c、集光レンズ2a、2b、2c、集光レンズホルダー3a、3b、3c、スリーブ4a、4b、4c、リング5a、5b、5c、光軸一致素子6a、6b、6cから構成されている。そのうち、光源1aは赤色レーザ光源、光源1bは緑色レーザ光源、光源1cは青色レーザ光源、光軸一致素子6a、6b、6cは各光源からのビーム光線を合波する合波フィルタから成り、それぞれの光源は、筐体100に装着されている。
【0034】
図1に示すとおり、レーザ光源1aから出射されるビーム光は、集光レンズ2aを通過したのち、概ねコリメート光となる。そのビーム光は、光軸一致素子6aにて反射された後、特定の波長の光を反射し、その他の波長の光を透過する合波フィルタ50bと50cを通過、外部に出射する。
【0035】
同様にして、レーザ光源1bから出射されるビーム光は、集光レンズ2bを通過したのち、概ねコリメート光となる。そのビーム光は、光軸一致素子6bにて反射された後、特定の波長の光を反射し、その他の波長の光を透過する合波フィルタ50cを通過、外部に出射する。また、レーザ光源1cから出射されるビーム光は、集光レンズ2cを通過したのち、概ねコリメート光となる。そのビーム光は、光軸一致素子6cにて反射、外部に出射する。
【0036】
このとき、3つのビーム光が一致するように、光源1a、1b、1cは筐体の装着面、即ちxy平面と光軸一致素子6a、6b、6cの2軸回転、即ちβ、γ回転の4軸調整を行なう。ここで、β回転は、図面に垂直な方向のY軸の周りの回転を示し、γ回転は、Z軸の周りの回転を示すものとする。
【0037】
図1に示す光源装置は、RGB3色光源からのそれぞれの出射光を、光軸一致素子の回転可動調整手段により、複数の光源からの出射ビーム光の中心を一致させることができる。そのため、従来よりも光源間の実装間隔を狭くすることができ、小型化を図れる。その上で、本発明の光源装置は部品点数の削減、実装コスト削減の効果がある。
<回転機構の構成>
次に、図2を用いて光軸一致素子の2軸回転、即ちβとγ回転の可動機構について説明する。
図2(b)は、図2(a)の光源装置のA―Bで分断した場合の光軸一致素子側の立体概観図であり、本実施の形態に係る光軸一致素子の2軸回転可動を説明する図である。
【0038】
図2に示す通り、2軸回転可動は、光軸一致素子を収容する光軸一致素子ホルダー7a、7b、7cを利用して行なわれる。詳細には、筐体100の窓9a、9b、9cの光軸一致素子の穴から突起している光軸一致素子のつまみ8a、8b、8cを利用する。
【0039】
具体的には、光軸一致素子6aは光軸一致素子ホルダー7aを利用することによりγ方向の回転可動が可能になる。
【0040】
また、光軸一致素子6aは光軸一致素子ホルダーの穴73aを利用して突起させたつまみ8aを回転することによりβ方向の回転が可能になる。
【0041】
同様にして、光軸一致素子6bは光軸一致素子ホルダー7bを利用することによりγ方向の回転可動が可能になる。
【0042】
また、光軸一致素子6bは光軸一致素子ホルダーの穴73bを利用して、突起させたつまみ8bを回転することによりβ方向の回転が可能になる。
同様にして、光軸一致素子6cは光軸一致素子ホルダー7cを利用することによりγ方向の回転可動が可能になる。
【0043】
また、光軸一致素子6cは光軸一致素子ホルダーの穴73cを利用して、突起させたつまみ8cを回転することによりβ方向の回転が可能になる。
<光軸一致素子の挿入方法>
次に、図3を用いて本発明の一実施例に係る光源装置における光軸一致素子の2軸回転機構を可能にする光軸一致素子ホルダー、光軸一致素子とその光軸一致素子から突起しているつまみ、光源装置筐体への光軸一致素子ホルダーとその光軸一致素子ホルダーの挿入方法、および光軸一致素子ホルダーへの光軸一致素子の挿入方法を説明する。
【0044】
図3(a)は光軸一致素子ホルダー、図3(b)は光軸一致素子6およびその光軸一致素子から突起しているつまみ8、図3(c)は光源装置筐体100への光軸一致素子ホルダー7の挿入方法、図3(d)は光軸一致素子ホルダー7への光軸一致素子6の挿入方法を示す。
【0045】
図3(a)に示す通り、光軸一致素子ホルダー7は筒状形状をしており、光軸一致素子から突起しているつまみ8を挿入するための窓73と光軸一致素子を挿入するための窓72とビーム光線を通過させるための窓71が設けてある。
【0046】
図3(b)に示す通り、光軸一致素子6は各光源からのビーム光線を合波、あるいは合波したレーザ光の一部を反射分岐する合波フィルタ50を含んで構成される。この光軸一致素子は立方体形状あるいは板形状であることはいうまでもない。さらに、この光軸一致素子にはつまみ8の突起部を有している。
【0047】
図3(c)に示す通り、光源装置100は、光軸一致素子ホルダーを挿入するための筒状の穴13と光軸一致素子から突起したつまみを外部に露出させるための窓9とビーム光線を通過させるための窓10と光軸一致素子を挿入するための窓14が設けてある。
【0048】
また、図3(c)に示す通り、光軸一致素子ホルダー7は光源装置100の穴13に挿入することができる。よって、光軸一致素子ホルダー7はγ回転可動が可能であることを意味している。
【0049】
図3(d)に示す通り、光軸一致素子6は、光源装置100の筐体に設けてある窓14あるいは光軸一致素子に設けてある窓72を通じて、光源装置100の筐体に挿入済みの光軸一致素子ホルダーに挿入することができる。光軸一致素子は光軸一致素子ホルダーに挿入する際、つまみ8は穴73に挿入し、光軸調整後固定することできる。固定方法は、紫外線硬化樹脂を用いることもできる。
【0050】
また、つまみ8を利用することにより、光軸一致素子はβ回転可動が可能であることを意味している。
【0051】
光軸一致素子から突起しているつまみ8の光軸一致素子ホルダーに設けてある穴73への固定、および光軸一致素子ホルダー7の光源装置100に設けてある窓10への固定は、光軸調整が終了した後、紫外線硬化樹脂等の接着剤を用いて行なってもよい。
<光源装着工程>
次に、図4を用いて、概ねコリメート光を出射することができる集光レンズを光源に装着する工程を説明する。図4は、上から下に順に工程1から工程3を示す。また、各工程において、断面図および上面図を並記している。
【0052】
図4の工程1に示す通り、キャンステムにパッケージされた光源1を準備する。光源1には、上面図で示すように光出射口15が設けてある。
【0053】
次に、図4の工程2に示す通り、光源1にリング形状のスペーサ5を被せ、UV硬化型の接着剤を用いて固定する。あるいは、この際、高出力レーザによる溶接手法を用いて固定してもよい。
【0054】
最後に、図4の工程3に示す通り、集光レンズ2を有する集光レンズホルダー3とスリーブ4を用いて、集光レンズ2が光源1に固定される。このとき、リング形状のスペーサ5に対して、スリーブ4はxy平面可動が可能である。また、集光レンズホルダー3はスリーブ4に対して、z方向可動が可能である。
【0055】
集光レンズ2の最適位置決定は以下のようにして行なう。まず、所望の距離におけるビーム形状を計測(図示せず)しながら、スリーブ4をxy平面内で可動、および集光レンズホルダー3をz方向で可動し、仕様で決められた形状になるように最適位置を探し、固定する。これにより、キャンステムにパッケージされた光源から概ねコリメートされたビーム光線が出射される。
〔実施の形態2〕
【0056】
次に、図5を用いて、本発明の第2の実施形態による光源装置の基本構成について説明する。図5に示す本発明の第2の実施形態は、図1に示して説明した本発明の第1の実施形態の構成と基本的に同一の構成である。
【0057】
図5に示す通り、本発明の第2の実施形態は、光源装置100に合波したビーム光線を任意の角度に反射させスクリーン22上に映像を投射する走査ミラー16を含む装置101が付加している。走査ミラーを含む装置101と光源装置100は、一体であり1つの筐体であってもよい。
【0058】
本発明の第2の実施形態は、合波されたビーム光線を任意の角度に反射する走査用ミラー16で二次元走査され、スクリーン22等の被投射面に投射されることにより、スクリーン22上にカラー画像を形成するものである。なお、合波されたビーム光線は、光源1a、1b、1cからの赤青緑色のレーザ光であり、レーザ光強度は、表示データにより変調されていることはいうまでもない。
〔実施の形態3〕
【0059】
次に、図6を用いて本発明の第3の実施形態による光源装置の基本構成について説明する。図6に示す本発明の第3の実施形態は、図1に示して説明した本発明の第1の実施形態の構成と基本的に同一の構成である。
【0060】
図6に示す通り、本発明の第3の実施形態による光源装置は、第1の実施形態における光源1aから出射されるビーム光がX軸上に沿うように、光源装置の筐体100に装着されている。なお、このとき、第1の実施形態における光源1b、1cから出射されるビーム光はZ軸上に沿うように光源装置の筐体100に装着されている。
【0061】
図6に示す通り、本発明の第3の実施形態による光源装置は、第1の実施形態による光源装置と比べると光軸一致素子を1つ減らすことができる。また、光源装置の筐体100の更なる小型を図ることもできる。
〔実施の形態4〕
【0062】
次に、図7を用いて本発明の第4の実施形態による光源装置および光軸調整装置の基本構成について説明する。図7に示す本発明の第4の実施形態は、図1に示して説明した本発明の第1の実施形態の構成と基本的に同一の構成である。
【0063】
図7に示す通り、本発明の第4の実施形態による光源装置は、位置検出用撮像手段19と角度検出用撮像手段18、ビーム光線を反射分岐するフィルタ17を含む観測装置102を有している。
【0064】
本発明の第1〜3の実施形態のような投射型表示装置は、複数の光源1a、1b、1cからの出射光の光軸を一致させ、また、その位置が一致する必要がある。そのため、本発明の実施形態は、合波されたビーム光の一部を反射分岐するフィルタ17および集光レンズ2dを用いて、合波されたビーム光の一部を位置検出用撮像手段19、および角度検出用撮像手段18に導き、検出された位置情報および角度情報をCPU20が演算し、メモリ21に保管し、その結果により光源および光軸一致素子の位置を制御することにより、光源1a、1b、1cから出射されたビーム光の光軸を一致させるようにしている。
【0065】
なお、図7で示す矢印は、上述した位置情報や角度情報のデータの流れ、あるいは制御指令の信号の流れを示している。
【0066】
上記の角度検出用撮像手段18へビーム光を導く集光レンズ2dは、fθレンズと称するレンズでもよい。それによって、集光レンズに入射する角度に比例した量分だけ中心位置から離れた位置に焦点が結ばれるため、角度検出が容易に行なえる。
【0067】
なお、前述の位置検出用撮像手段19および角度検出用撮像手段18は、よく知られているチャージ・カップルドデバイス・イメージセンサ(CCD)カメラと呼ばれる素子であってもよい。
<光軸調整工程>
次に、図8を用いて本発明の第4の実施形態による光源装置における光軸調整工程について説明する。図8は、光源装置における光軸調整工程を示す。
【0068】
先ず、工程1において、基準となる光源1aと光軸一致素子回転調整機構60aは、位置検出用撮像面19と角度検出用撮像面18をモニターしながら、CPU20からの信号を用いて、光源1aはxy平面の可動を、光軸一致素子回転調整機構60aはβ、γ回転の可動を行い、光軸を調整する。
【0069】
光源1aと光軸一致素子回転調整機構60aは、基準なので、光源を点灯させずに固定することもできる。
【0070】
次に、工程2において、光源1bと光軸一致素子回転調整機構60bは、位置検出用撮像面19と角度検出用撮像面18をモニターしながら、CPU20からの信号を用いて、光源1bはxy平面の可動を、光軸一致素子回転調整機構60bはβ、γ回転の可動を行い、基準となる1aに合致するように光軸を調整する。
【0071】
最後に、工程3において、光源1cと光軸一致素子回転調整機構60cは、位置検出用撮像面19と角度検出用撮像面18をモニターしながら、CPU20からの信号を用いて、光源1cはxy平面の可動を、光軸一致素子回転調整機構60cはβ、γ回転の可動を行い、基準となる1aに合致するように光軸を調整する。
【0072】
このようにして、光源1a、1b、1cから出射されるビーム光を一本にすることができる。
〔実施の形態5〕
【0073】
次に、図9を用いて本発明の第5の実施形態による光源装置における光軸調整工程について説明する。
<光軸調整工程>
図9は、光源装置における光軸調整工程を示す。
【0074】
基準となる光源1a、1bあるいは光軸一致素子回転調整機構60a、60bは、位置検出用撮像面19と角度検出用撮像面18をモニターしながら、CPU20からの信号を用いて、光源1aと1bはそれぞれxy平面の可動を、光軸一致素子回転可動調整60a、60bはそれぞれβ、γ回転の可動を行い、光軸を調整する。
【0075】
光源1a、1bは、点灯せずにパッシブにて筐体に装着が可能であり、光軸一致素子回転可動調整60a、60bだけを利用して、光源1aと1bから出射されたビーム光を合致させることができる。
【0076】
次に、光源1cと光軸一致素子60cは、位置検出用撮像面19と角度検出用撮像面18をモニターしながら、CPU20からの信号を用いて、光源1aから出射されたビーム光と光源1bから出射されたビーム光を合致させたビーム光を基準として、光源1cはxy平面の可動を、光軸一致素子回転可動調整60cはβ、γ回転の可動を行い、基準となる1aと1bからのビーム光が一致したビーム光と光源1cからの出射光が合致するように光軸を調整する。
【0077】
このようにして、光源1a、1b、1cから出射されるビーム光を一本にすることができる。
<光源装置>
次に、図10を用いて本発明の第5の実施形態による光源装置について説明する。
図10は本発明の第6の実施形態としての投射型表示装置用光源を説明する図である。
【0078】
本発明の第6の実施形態は、図1により説明した本発明の第1の実施形態による投射型表示装置から合波したレーザ光を任意の角度に反射する走査用のミラー16とその走査用ミラーを駆動させるための制御回路と光源1a、1b、1cを駆動させるためのドライバ回路と表示データを記録する記録媒体、およびこれら制御回路とドライバ回路と記録媒体に電力を供給させるためのバッテリーを1つの筐体103に収めた携帯型プロジェクターを表している。
【0079】
このような本発明の第6の実施形態は、光源1a、1b、1cから出射されたレーザ光のビーム光線を高精度に一致させた投写型表示装置用光源として利用できることを可能としたものであり、セットメーカ等に製品として提供することができる。セットメーカ等は、走査ミラー16、スクリーン22を組み込んで表示装置としての製品を製造販売することができる。
【0080】
以上では、複数の光源をRGB3色光源モジュールとして構成した例で説明したが、本発明は、この形態に限定されることはなく、アレイ化された同一波長の光源から構成される光源装置およびアレイ化された同一色の光源から構成される光源装置、または、前記に示す光源が混在した光源装置などあらゆるものに適用可能である。
〔実施の形態6〕
【0081】
次に、図11を用いて、本発明の第6の実施形態による光源装置における光軸一致素子の2軸回転調芯を実現する手段について説明する。図11に示す本発明の第6の実施形態は、図1に示して説明した本発明の第1の実施形態の構成と基本的に同一の構成である。
【0082】
図11(a)に示す通り、本発明の第6の実施形態は、光軸一致素子のつまみ8に光軸一致素子のつまみを保持する部品12を装着する。光軸一致素子のつまみを保持する部品12に設けた穴に光軸一致素子を調芯するための部品23の棒状突起部24を差込む。
図11(a)に示す全ての部品を組み立てた場合の図が11(b)である。
【0083】
図11(b)に示す通り、光軸一致素子のβ回転は、光軸一致素子を調芯するための部品12を26に示す方向に調芯を行なうことで実現することができる。また、光軸一致素子のγ回転は、光軸一致素子を調芯するための部品12を25に示す方向に調芯を行なうことで実現することができる。
【0084】
以上に示す手段を用いることにより、光軸一致素子の回転方向に関する高精度調芯が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明に係る光源装置は、小型で、且つ光軸調整機構が簡素化されているため、低コストであり、光軸が一致したビーム光を出射することができる。そのため、ラスタースキャン型のレーザプロジェクタなどに利用されるRGB3色光源モジュール、すなわち光学エンジンへの応用に有用である。
【符号の説明】
【0086】
1,1a,1b,1c:光源、
2,2a,2b,2c,2d:集光レンズ、
3,3a,3b,3c:集光レンズホルダー、
4,4a,4b,4c:スリーブ、
5,5a,5b,5c:リング形状のスペーサ、
6,6a,6b,6c:光軸一致素子、
7,7a,7b,7c,70:光軸一致素子ホルダー、
8,8a,8b,8c,12:光軸一致素子のつまみ、
9,9a,9b,9c:光軸一致素子のつまみを掴むための窓、
10,10a,10b,10c:光軸一致素子ホルダーの窓、
11:ビーム光を通過させるため光源装置に設けた窓、
12:光軸一致素子のつまみを保持する部材、
13:光軸一致素子ホルダーを挿入するため光源装置に設けた窓、
14:光軸一致素子を光軸一致素子ホルダーに挿入するため光源装置に設けた窓、
15:光源から出射されるビーム光取出し口、
16:ラスタースキャン型ミラー、
17:ビーム光を反射分岐するためのハーフミラーまたはビームスプリッター、
18:ビーム角度評価装置、
19:ビーム位置評価装置、
20:CPU、
21:メモリ、
22:スクリーン、
23:光軸一致素子を調芯するための部品、
24:光軸一致素子のつまみを保持する部材に設けた穴に差込む光軸一致素子を調芯するための部品の棒状突起部、
25:γ回転方向、
26:β回転方向、
50a,50b,50c:合波フィルタ、
60a,60b,60c:光軸一致素子回転調整機構、
71…ビーム光を通過させるための光軸一致素子ホルダーに設けた窓、
72…光軸一致素子を光軸一致素子ホルダーに挿入するための窓、
73,73a,73b,73c…光軸一致素子のつまみを挿入するための光軸一致素子ホルダーの穴、
100…筐体、
101…ラスタースキャン型ミラーが収容されている筐体、
102…ビーム角度とビーム位置を評価する装置が収容されている筐体、
103…携帯型プロジェクタの筐体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、形成した像を拡大投写する画像投写装置等において使用される光源装置および光源の光軸調整方法に係り、特に、レーザ投射型表示装置等の複数のレーザ光の光軸を高精度に一致させる光軸調整装置、光軸調整方法およびこれを用いた光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光源として発光素子(Light Emitting Diode:LED)やレーザ光源を用い、ラスタ走査して画像を表示する投写型映像表示装置(以下、「プロジェクタ」という)が注目されている。プロジェクタにおいては、RGB3原色(赤、緑、青)を用いて映像のカラー表示を行なうことができる。例えば、レーザ等の発光素子を使用したプロジェクタでは、発光素子は前記原色を提供するために使用される。各発光素子は画面(スクリーン)を横切りラスタ走査されるか、静止して画像を照らすのに使用される。その上で、優れた輝度特性を有するビームを提供することができる発光素子はプロジェクタ内において効果的且つ適切に機能する。
【0003】
その上で、最近の携帯電話、デジカメ、パーソナルコンピュータ機器などモバイル機器を含む情報家電機器の高性能化に伴って、携帯型プロジェクタへの期待が高まっている。このような携帯型プロジェクタに搭載されるRGB3原色光源装置は、小型かつ安価でなければならない。また、その他、車載搭載用ヘッドアップディスプレイやエンターティメント向けのヘッドマウントディスプレイとして、携帯型プロジェクタ出現が待望されている。
【0004】
また、プロジェクタにおいては、赤、青、緑の色の波長の光源から出射される光をスクリーンに投写して重ね合わせ、出射光を変調することによりカラー表示画像を形成する。したがって、プロジェクタ用の3色光源においては、スクリーン上で全ての色のビーム位置が重なり合っている必要がある。このようなRGB3色からなる複数の光源からのビーム光を合成させる光源装置として、例えば、特許文献1に開示のようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−166598号公報
【特許文献2】特開2005−243115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術は、特許文献1に示す通り、第1の光源から出射されるビーム光と第2の光源から出射されるビーム光を光軸一致素子により一致させ、1つの光束とするために、筐体に装着した光源側に角度調整機構を設けている。しかしながら、角度調整を実現するために、この機構は多くの部品を必要とする上に調整機構の占める体積が大きく、光源と光源との間の距離を広く取らざるを得ない。よって、小型化を行なうことが困難であるという問題点を有している。また、光軸調整方法も複雑であり、組立に多くの時間がかかるという問題点を有している。したがって、小型の携帯型RGB光学エンジンとして、利用できないという問題があった。また、部品点数が多いため、組み立てコストを含む実装コストが高いという問題が生じてくる。
【0007】
一方、複数の光源から出射されたビーム光の光軸が一致した光束を得る別の従来技術として、特許文献2に示す通り、光源は光軸に対して垂直な面内のみの可動機構と光軸一致素子の1軸回転機構を利用する方法がある。光源は単純な面内可動の調整機構であるために、光源と光源との間の距離を狭くすることができ、小型化を図ることが可能である。しかしながら、この方法は、光源から出射されるビーム光が筐体の装着面に対して垂直でない場合に、光軸を一致させることができないという問題点を有している。また、光軸一致素子の部材加工精度および搭載精度ズレにも対応できないことから、光軸を一致させることができないという問題点を有している。
【0008】
本発明は係る問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、複数の光源から出射されたビーム光においても、すべてのビーム光が一致した1本のビーム光とすることができる光源装置を提供することを目的とする。
【0009】
第2の目的は、このような光源装置に装着する光源と光源の実装距離を狭めることにより、小型化を図ることができる光源装置を提供することを目的とする。
【0010】
第3の目的は、光軸調整機構を簡素化し短時間で組立を行なうことにより、装置のコストダウンを図ることが可能な光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本願発明に係る光源装置は、以下の特徴を有する。
【0012】
請求項1に係る発明は、複数個の光源と、これら光源から出射される光を反射または透過させて、反射または透過したそれぞれの光の光軸をほぼ同軸上に合成する光軸一致素子とを備える光源装置において、複数個の光源の一つから出射した出射光が、該複数個の光源の一つに対応して設けられた第1の光軸一致素子が有する第1の光路変換平面に入射し、該第1の光路変換平面から法線に対して第1の角度で反射し、複数個の光源の他の一つから出射した出射光が、複数個の光源の他の一つに対応して設けられた第2の光軸一致素子が有する第2の光路変換平面に入射し、該第2の光路変換平面から法線に対して第2の角度で反射し、さらに第1の光軸一致素子を透過する場合に、第1の角度を、第1の光路変換平面を第1の回転軸と第1の回転軸と直交する第2の回転軸との2つの回転軸を有する回転機構により、第2の角度に一致するように調整する角度調整手段を有することを特徴とする。この構成により、複数の光源から出射されたビーム光は、1本のビーム光にすることが可能となる。また、上記発明の光源装置において、光源間の実装距離を狭くすることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、光源装置が小型化可能となる。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1において、複数個の光源が取り付けられた光源装置の装着面を決定する座標軸をx軸およびy軸とするとき、光源をx軸方向とy軸方向の面内調整が可能な面方向調整手段を、さらに有することを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る発明は、複数個の光源と、これら光源から出射される光を反射または透過させて、反射または透過したそれぞれの光の光軸をほぼ同軸上に合成する光軸一致素子とを備える光源装置において、複数個の光源が取り付けられた光源装置の装着面を決定する座標軸をx軸およびy軸とするとき、光源をx軸方向とy軸方向の面内調整が可能な調整手段と、装着面に対して垂直なz軸方向の周りの回転をγ回転とし、反射または透過した光の進行方向に垂直であって装着面に平行な軸方向の周りの回転をβ回転とするとき、光軸一致素子は、β回転とγ回転の2軸回転調整が可能な回転手段とを有し、調整手段と回転手段により、複数個の光源からのビーム光の光軸位置を調整可能とすることを特徴とする。この構成により、複数の光源から出射されたビーム光は、1本のビーム光にすることが可能となる。また、上記発明の光源装置において、光源間の実装距離を狭くすることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、光源装置が小型化可能となる。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の光源装置において、光軸一致素子は、光源装置の筐体に設けられ光軸一致素子を収容する第1穴部に挿入された回転調整保持部の回転によりγ回転を行うγ回転可動機構と、光軸一致素子に設けた突起部が回転調整保持部に設けられた第2穴部に挿入され、該突起部の回転によりβ回転を行うβ回転可動機構との2つの回転機構を有することを特徴とする。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項3または4に記載の光源装置において、複数個の光源は、レーザ光源であり、該複数個の光源から出射された光束のそれぞれを概ね平行光束にするコリメートレンズを有し、該コリメートレンズは、出射ビームの軸線に沿う方向に光源に対して相対的に移動可能であると共に、出射ビームの軸線に対して垂直な平面内で少なくとも2方向にそれぞれ光源に対して相対的に移動可能なように設置されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に係る発明は、請求項3〜5のいずれか一項に記載の光源装置において、複数個の光源は、キャンパッケージに収められた光源、または基本波光源と波長変換素子から構成される波長変換レーザ光源を少なくとも1つ含むことを特徴とする。
【0018】
また、上記発明の光源装置を構成している光源がキャンステムに搭載されていることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、小型且つ汎用性がある光源装置となる。
【0019】
また、上記発明の光源装置における複数の光源は、基本波としての半導体レーザと波長変換素子としての非線形結晶からなる波長変換レーザ、半導体レーザのいずれかであることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、例えばRGB光源とした場合、単一波長であり色純度が高く、コヒーレンスが高いためにビームを整形しやすい(絞り易い)等の特徴からスクリーン上でのカラー表示が可能なる。
【0020】
請求項7に係る発明は、請求項3〜6のいずれか一項に記載の光源装置において、光軸一致素子は、ダイクロイックプリズムあるいはビームスプリッターからなることを特徴とする。
【0021】
請求項8に係る発明は、請求項3〜7のいずれか一項に記載の光源装置において、複数個の光源は、それぞれが赤色、緑色、青色の各色を発するレーザ光源で構成されることを特徴とする。また、上記発明の光源装置における複数の光源は、異波長のレーザ光源であることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、例えば、光源がRGB3原色光源である場合、1本のビーム光は、赤色、緑色、青色の他にも白色等の全色を再現することができ、カラー表示が効果的に行なえる。その上で、この光源装置から出射光は、ビーム径の小さい概ねコリメート光とすることができ、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーを用いたラスター走査型手法を用いた映像表示が行なえる。
【0022】
請求項9に係る発明は、請求項3〜8のいずれか一項に記載の光源装置において、光源からのビーム光の光軸位置が調整されたビーム光をラスタースキャンし、光源装置の外部へビーム光を出射するミラーをさらに、有することを特徴とする。
【0023】
請求項10に係る発明は、前記複数の光源からのビーム光が束ねられ1つのビーム光となり、そのビーム光を走査し、スクリーン上に投射するための二次元走査ミラーと、該二次元走査ミラーを制御するための制御回路と、光源から出射されるビームを駆動させるためのドライバ回路と、制御回路やドライバ回路を駆動させるためのバッテリーとを備えたことを特徴とする。また、本発明は、上述した光源装置を備える映像投写装置でもある。このような本発明にかかる映像投写装置は、例えば、ラスタ走査型のディスプレイ装置の光学エンジンとして用いることが可能である。
【0024】
また、上記課題を解決するために、本願発明に係る光源装置の光軸調整方法は、以下の特徴を有する。
【0025】
請求項11に係る発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の光源装置から出射されるビーム光の光軸の角度と位置とを調整するための調整用信号を発生する光軸調整装置を具備し、光軸調整装置は、該光源装置の複数の光源のうち任意に選んだ一つの光源から出射される入射ビーム光の一部を反射分岐する第1の反射分岐フィルタと、該第1の反射分岐フィルタを透過したビーム光が入射する撮像面を有する位置検出用撮像手段と、第1の反射分岐フィルタにより反射されたビーム光を収束させる集光レンズと、を有し、光軸調整装置を用いて、該集光レンズによって収束されたビーム光が入射される光軸の角度を決定し、位置検出用撮像手段の撮像面における前記ビーム光の入射位置に基づいて、入射ビーム光の光源から出射される光軸の位置を決定し、決定された光軸の角度と位置を調整し、該調整により発生した信号を用いることにより、光源装置の他の一つの光源から出射されるビーム光を前記一つの光源から出射されるビーム光に一致するように調整し、さらに別の他の一つの光源から出射されるビーム光を一つの光源から出射されるビーム光に一致するように調整がなされることを特徴とする光源装置の光軸調整方法。この光軸調整方法により、高精度に光軸一致が図れる光源装置となる。
【0026】
請求項12に係る発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の光源装置から出射されるビーム光の光軸の角度と位置とを調整するための調整用信号を発生する光軸調整装置を具備し、光軸調整装置は、該光源装置の複数の光源のうち任意に選んだ2つの光源から出射される入射ビーム光の一部を反射分岐する第1の反射分岐フィルタと、該第1の反射分岐フィルタを透過したビーム光が入射される撮像面を有する位置検出用撮像手段と、第1の反射分岐フィルタにより反射されたビーム光を収束させる集光レンズと、を有し、光軸調整装置を用いて、該集光レンズによって収束されたビーム光が入射される光軸の角度を決定し、位置検出用撮像手段の撮像面における前記ビーム光の入射位置に基づいて、入射ビーム光の光源から出射される光軸の位置を決定し、決定された光軸の角度と位置を調整し、該調整により発生した信号を用いることにより、2つの光源の一つからのビーム光と他の一つの光源からのビーム光の光軸が一致するように調整して光軸一致ビーム光を得、該得られた光軸一致ビーム光を基準のビーム光にし、他の別の一つの光源から出射されるビーム光を該基準のビーム光に一致するように調整がなされることを特徴とする。この光軸調整方法により、高精度に光軸一致が図れると伴に短時間での組立が可能な光源装置となる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように本発明の光源装置によれば、複数の光源から出射された複数のビーム光は1つに光束となり、光源装置から出射されるため、数メートル先まで出力損失なく飛ばすことが可能である。
【0028】
また、本発明によれば、光源間の距離を狭くすることができるため、複数の光源からなる光源装置の小型化を図ることができる。また、光源装置の厚みを薄くできるため、光源装置体積は2cc以下とすることもできる。
【0029】
また、本発明によれば、複数の光源からのビーム光一致を図るべく、複数の光源の平面可動機構と光軸一致素子の2軸回転可動機構の簡素化された工程により組立が行なえるため、組み立てコストを含む実装コストを安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施形態による光源装置の基本構成を説明する図である。
【図2】(a)は、図1で示す光源装置の断面図であり、(b)は、(a)のA−B面で分けた場合の光源装置において、光軸一致素子の回転可動機構を説明する図(b)である。
【図3】(a)は、本発明の光源装置における光軸一致素子の2軸回転可動を可能にするホルダーを説明する図であり、(b)は、本発明の光源装置における光軸一致素子を説明する図であり、(c)は、本発明の光源装置における光軸一致素子の2軸回転可動を可能にするホルダーの光源装置への取り付け手法を説明する図であり、(d)は、本発明の光源装置における光軸一致素子の2軸回転可動を可能にするホルダーへの光軸一致素子の取り付け手法を説明する図である。
【図4】本発明の光源装置における光源への集光レンズ取り付け工程を説明する図である。
【図5】本発明の第2の実施形態による光源装置の基本構成を説明する図である。
【図6】本発明の第3の実施形態による光源装置の基本構成を説明する図である。
【図7】本発明の第4の実施形態による光源装置において、各光源から出射されるビーム光の光軸調整をするためのモニター装置が付加されたときの基本構成を説明する図である。
【図8】本発明の光源装置において、光源1a、1b、1cの光軸調整の方法を説明する工程図である。
【図9】本発明の光源装置において、光源1a、1b、1cの光軸調整の方法を説明する工程図である。
【図10】本発明の光源装置を用いた携帯型プロジェクタを説明する図である。
【図11】(a)は、本発明の光源装置における光軸一致素子の2軸回転調芯を実現する手段で、それぞれの部品を分解した場合を説明する図であり、(b)は、本発明の光源装置における光軸一致素子の2軸回転調芯を実現する手段を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る諸々の実施形態の構成及び作用について、図面を参照して具体的に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
〔実施の形態1〕
【0032】
まず、図1を参照して、本発明の一実施の形態に係る光源装置の構成について説明する。
<光源装置の構成>
図1は、本実施の形態に係る光源装置の構成図である。
【0033】
図1に示す通り、光源装置は、光源1a、1b、1c、集光レンズ2a、2b、2c、集光レンズホルダー3a、3b、3c、スリーブ4a、4b、4c、リング5a、5b、5c、光軸一致素子6a、6b、6cから構成されている。そのうち、光源1aは赤色レーザ光源、光源1bは緑色レーザ光源、光源1cは青色レーザ光源、光軸一致素子6a、6b、6cは各光源からのビーム光線を合波する合波フィルタから成り、それぞれの光源は、筐体100に装着されている。
【0034】
図1に示すとおり、レーザ光源1aから出射されるビーム光は、集光レンズ2aを通過したのち、概ねコリメート光となる。そのビーム光は、光軸一致素子6aにて反射された後、特定の波長の光を反射し、その他の波長の光を透過する合波フィルタ50bと50cを通過、外部に出射する。
【0035】
同様にして、レーザ光源1bから出射されるビーム光は、集光レンズ2bを通過したのち、概ねコリメート光となる。そのビーム光は、光軸一致素子6bにて反射された後、特定の波長の光を反射し、その他の波長の光を透過する合波フィルタ50cを通過、外部に出射する。また、レーザ光源1cから出射されるビーム光は、集光レンズ2cを通過したのち、概ねコリメート光となる。そのビーム光は、光軸一致素子6cにて反射、外部に出射する。
【0036】
このとき、3つのビーム光が一致するように、光源1a、1b、1cは筐体の装着面、即ちxy平面と光軸一致素子6a、6b、6cの2軸回転、即ちβ、γ回転の4軸調整を行なう。ここで、β回転は、図面に垂直な方向のY軸の周りの回転を示し、γ回転は、Z軸の周りの回転を示すものとする。
【0037】
図1に示す光源装置は、RGB3色光源からのそれぞれの出射光を、光軸一致素子の回転可動調整手段により、複数の光源からの出射ビーム光の中心を一致させることができる。そのため、従来よりも光源間の実装間隔を狭くすることができ、小型化を図れる。その上で、本発明の光源装置は部品点数の削減、実装コスト削減の効果がある。
<回転機構の構成>
次に、図2を用いて光軸一致素子の2軸回転、即ちβとγ回転の可動機構について説明する。
図2(b)は、図2(a)の光源装置のA―Bで分断した場合の光軸一致素子側の立体概観図であり、本実施の形態に係る光軸一致素子の2軸回転可動を説明する図である。
【0038】
図2に示す通り、2軸回転可動は、光軸一致素子を収容する光軸一致素子ホルダー7a、7b、7cを利用して行なわれる。詳細には、筐体100の窓9a、9b、9cの光軸一致素子の穴から突起している光軸一致素子のつまみ8a、8b、8cを利用する。
【0039】
具体的には、光軸一致素子6aは光軸一致素子ホルダー7aを利用することによりγ方向の回転可動が可能になる。
【0040】
また、光軸一致素子6aは光軸一致素子ホルダーの穴73aを利用して突起させたつまみ8aを回転することによりβ方向の回転が可能になる。
【0041】
同様にして、光軸一致素子6bは光軸一致素子ホルダー7bを利用することによりγ方向の回転可動が可能になる。
【0042】
また、光軸一致素子6bは光軸一致素子ホルダーの穴73bを利用して、突起させたつまみ8bを回転することによりβ方向の回転が可能になる。
同様にして、光軸一致素子6cは光軸一致素子ホルダー7cを利用することによりγ方向の回転可動が可能になる。
【0043】
また、光軸一致素子6cは光軸一致素子ホルダーの穴73cを利用して、突起させたつまみ8cを回転することによりβ方向の回転が可能になる。
<光軸一致素子の挿入方法>
次に、図3を用いて本発明の一実施例に係る光源装置における光軸一致素子の2軸回転機構を可能にする光軸一致素子ホルダー、光軸一致素子とその光軸一致素子から突起しているつまみ、光源装置筐体への光軸一致素子ホルダーとその光軸一致素子ホルダーの挿入方法、および光軸一致素子ホルダーへの光軸一致素子の挿入方法を説明する。
【0044】
図3(a)は光軸一致素子ホルダー、図3(b)は光軸一致素子6およびその光軸一致素子から突起しているつまみ8、図3(c)は光源装置筐体100への光軸一致素子ホルダー7の挿入方法、図3(d)は光軸一致素子ホルダー7への光軸一致素子6の挿入方法を示す。
【0045】
図3(a)に示す通り、光軸一致素子ホルダー7は筒状形状をしており、光軸一致素子から突起しているつまみ8を挿入するための窓73と光軸一致素子を挿入するための窓72とビーム光線を通過させるための窓71が設けてある。
【0046】
図3(b)に示す通り、光軸一致素子6は各光源からのビーム光線を合波、あるいは合波したレーザ光の一部を反射分岐する合波フィルタ50を含んで構成される。この光軸一致素子は立方体形状あるいは板形状であることはいうまでもない。さらに、この光軸一致素子にはつまみ8の突起部を有している。
【0047】
図3(c)に示す通り、光源装置100は、光軸一致素子ホルダーを挿入するための筒状の穴13と光軸一致素子から突起したつまみを外部に露出させるための窓9とビーム光線を通過させるための窓10と光軸一致素子を挿入するための窓14が設けてある。
【0048】
また、図3(c)に示す通り、光軸一致素子ホルダー7は光源装置100の穴13に挿入することができる。よって、光軸一致素子ホルダー7はγ回転可動が可能であることを意味している。
【0049】
図3(d)に示す通り、光軸一致素子6は、光源装置100の筐体に設けてある窓14あるいは光軸一致素子に設けてある窓72を通じて、光源装置100の筐体に挿入済みの光軸一致素子ホルダーに挿入することができる。光軸一致素子は光軸一致素子ホルダーに挿入する際、つまみ8は穴73に挿入し、光軸調整後固定することできる。固定方法は、紫外線硬化樹脂を用いることもできる。
【0050】
また、つまみ8を利用することにより、光軸一致素子はβ回転可動が可能であることを意味している。
【0051】
光軸一致素子から突起しているつまみ8の光軸一致素子ホルダーに設けてある穴73への固定、および光軸一致素子ホルダー7の光源装置100に設けてある窓10への固定は、光軸調整が終了した後、紫外線硬化樹脂等の接着剤を用いて行なってもよい。
<光源装着工程>
次に、図4を用いて、概ねコリメート光を出射することができる集光レンズを光源に装着する工程を説明する。図4は、上から下に順に工程1から工程3を示す。また、各工程において、断面図および上面図を並記している。
【0052】
図4の工程1に示す通り、キャンステムにパッケージされた光源1を準備する。光源1には、上面図で示すように光出射口15が設けてある。
【0053】
次に、図4の工程2に示す通り、光源1にリング形状のスペーサ5を被せ、UV硬化型の接着剤を用いて固定する。あるいは、この際、高出力レーザによる溶接手法を用いて固定してもよい。
【0054】
最後に、図4の工程3に示す通り、集光レンズ2を有する集光レンズホルダー3とスリーブ4を用いて、集光レンズ2が光源1に固定される。このとき、リング形状のスペーサ5に対して、スリーブ4はxy平面可動が可能である。また、集光レンズホルダー3はスリーブ4に対して、z方向可動が可能である。
【0055】
集光レンズ2の最適位置決定は以下のようにして行なう。まず、所望の距離におけるビーム形状を計測(図示せず)しながら、スリーブ4をxy平面内で可動、および集光レンズホルダー3をz方向で可動し、仕様で決められた形状になるように最適位置を探し、固定する。これにより、キャンステムにパッケージされた光源から概ねコリメートされたビーム光線が出射される。
〔実施の形態2〕
【0056】
次に、図5を用いて、本発明の第2の実施形態による光源装置の基本構成について説明する。図5に示す本発明の第2の実施形態は、図1に示して説明した本発明の第1の実施形態の構成と基本的に同一の構成である。
【0057】
図5に示す通り、本発明の第2の実施形態は、光源装置100に合波したビーム光線を任意の角度に反射させスクリーン22上に映像を投射する走査ミラー16を含む装置101が付加している。走査ミラーを含む装置101と光源装置100は、一体であり1つの筐体であってもよい。
【0058】
本発明の第2の実施形態は、合波されたビーム光線を任意の角度に反射する走査用ミラー16で二次元走査され、スクリーン22等の被投射面に投射されることにより、スクリーン22上にカラー画像を形成するものである。なお、合波されたビーム光線は、光源1a、1b、1cからの赤青緑色のレーザ光であり、レーザ光強度は、表示データにより変調されていることはいうまでもない。
〔実施の形態3〕
【0059】
次に、図6を用いて本発明の第3の実施形態による光源装置の基本構成について説明する。図6に示す本発明の第3の実施形態は、図1に示して説明した本発明の第1の実施形態の構成と基本的に同一の構成である。
【0060】
図6に示す通り、本発明の第3の実施形態による光源装置は、第1の実施形態における光源1aから出射されるビーム光がX軸上に沿うように、光源装置の筐体100に装着されている。なお、このとき、第1の実施形態における光源1b、1cから出射されるビーム光はZ軸上に沿うように光源装置の筐体100に装着されている。
【0061】
図6に示す通り、本発明の第3の実施形態による光源装置は、第1の実施形態による光源装置と比べると光軸一致素子を1つ減らすことができる。また、光源装置の筐体100の更なる小型を図ることもできる。
〔実施の形態4〕
【0062】
次に、図7を用いて本発明の第4の実施形態による光源装置および光軸調整装置の基本構成について説明する。図7に示す本発明の第4の実施形態は、図1に示して説明した本発明の第1の実施形態の構成と基本的に同一の構成である。
【0063】
図7に示す通り、本発明の第4の実施形態による光源装置は、位置検出用撮像手段19と角度検出用撮像手段18、ビーム光線を反射分岐するフィルタ17を含む観測装置102を有している。
【0064】
本発明の第1〜3の実施形態のような投射型表示装置は、複数の光源1a、1b、1cからの出射光の光軸を一致させ、また、その位置が一致する必要がある。そのため、本発明の実施形態は、合波されたビーム光の一部を反射分岐するフィルタ17および集光レンズ2dを用いて、合波されたビーム光の一部を位置検出用撮像手段19、および角度検出用撮像手段18に導き、検出された位置情報および角度情報をCPU20が演算し、メモリ21に保管し、その結果により光源および光軸一致素子の位置を制御することにより、光源1a、1b、1cから出射されたビーム光の光軸を一致させるようにしている。
【0065】
なお、図7で示す矢印は、上述した位置情報や角度情報のデータの流れ、あるいは制御指令の信号の流れを示している。
【0066】
上記の角度検出用撮像手段18へビーム光を導く集光レンズ2dは、fθレンズと称するレンズでもよい。それによって、集光レンズに入射する角度に比例した量分だけ中心位置から離れた位置に焦点が結ばれるため、角度検出が容易に行なえる。
【0067】
なお、前述の位置検出用撮像手段19および角度検出用撮像手段18は、よく知られているチャージ・カップルドデバイス・イメージセンサ(CCD)カメラと呼ばれる素子であってもよい。
<光軸調整工程>
次に、図8を用いて本発明の第4の実施形態による光源装置における光軸調整工程について説明する。図8は、光源装置における光軸調整工程を示す。
【0068】
先ず、工程1において、基準となる光源1aと光軸一致素子回転調整機構60aは、位置検出用撮像面19と角度検出用撮像面18をモニターしながら、CPU20からの信号を用いて、光源1aはxy平面の可動を、光軸一致素子回転調整機構60aはβ、γ回転の可動を行い、光軸を調整する。
【0069】
光源1aと光軸一致素子回転調整機構60aは、基準なので、光源を点灯させずに固定することもできる。
【0070】
次に、工程2において、光源1bと光軸一致素子回転調整機構60bは、位置検出用撮像面19と角度検出用撮像面18をモニターしながら、CPU20からの信号を用いて、光源1bはxy平面の可動を、光軸一致素子回転調整機構60bはβ、γ回転の可動を行い、基準となる1aに合致するように光軸を調整する。
【0071】
最後に、工程3において、光源1cと光軸一致素子回転調整機構60cは、位置検出用撮像面19と角度検出用撮像面18をモニターしながら、CPU20からの信号を用いて、光源1cはxy平面の可動を、光軸一致素子回転調整機構60cはβ、γ回転の可動を行い、基準となる1aに合致するように光軸を調整する。
【0072】
このようにして、光源1a、1b、1cから出射されるビーム光を一本にすることができる。
〔実施の形態5〕
【0073】
次に、図9を用いて本発明の第5の実施形態による光源装置における光軸調整工程について説明する。
<光軸調整工程>
図9は、光源装置における光軸調整工程を示す。
【0074】
基準となる光源1a、1bあるいは光軸一致素子回転調整機構60a、60bは、位置検出用撮像面19と角度検出用撮像面18をモニターしながら、CPU20からの信号を用いて、光源1aと1bはそれぞれxy平面の可動を、光軸一致素子回転可動調整60a、60bはそれぞれβ、γ回転の可動を行い、光軸を調整する。
【0075】
光源1a、1bは、点灯せずにパッシブにて筐体に装着が可能であり、光軸一致素子回転可動調整60a、60bだけを利用して、光源1aと1bから出射されたビーム光を合致させることができる。
【0076】
次に、光源1cと光軸一致素子60cは、位置検出用撮像面19と角度検出用撮像面18をモニターしながら、CPU20からの信号を用いて、光源1aから出射されたビーム光と光源1bから出射されたビーム光を合致させたビーム光を基準として、光源1cはxy平面の可動を、光軸一致素子回転可動調整60cはβ、γ回転の可動を行い、基準となる1aと1bからのビーム光が一致したビーム光と光源1cからの出射光が合致するように光軸を調整する。
【0077】
このようにして、光源1a、1b、1cから出射されるビーム光を一本にすることができる。
<光源装置>
次に、図10を用いて本発明の第5の実施形態による光源装置について説明する。
図10は本発明の第6の実施形態としての投射型表示装置用光源を説明する図である。
【0078】
本発明の第6の実施形態は、図1により説明した本発明の第1の実施形態による投射型表示装置から合波したレーザ光を任意の角度に反射する走査用のミラー16とその走査用ミラーを駆動させるための制御回路と光源1a、1b、1cを駆動させるためのドライバ回路と表示データを記録する記録媒体、およびこれら制御回路とドライバ回路と記録媒体に電力を供給させるためのバッテリーを1つの筐体103に収めた携帯型プロジェクターを表している。
【0079】
このような本発明の第6の実施形態は、光源1a、1b、1cから出射されたレーザ光のビーム光線を高精度に一致させた投写型表示装置用光源として利用できることを可能としたものであり、セットメーカ等に製品として提供することができる。セットメーカ等は、走査ミラー16、スクリーン22を組み込んで表示装置としての製品を製造販売することができる。
【0080】
以上では、複数の光源をRGB3色光源モジュールとして構成した例で説明したが、本発明は、この形態に限定されることはなく、アレイ化された同一波長の光源から構成される光源装置およびアレイ化された同一色の光源から構成される光源装置、または、前記に示す光源が混在した光源装置などあらゆるものに適用可能である。
〔実施の形態6〕
【0081】
次に、図11を用いて、本発明の第6の実施形態による光源装置における光軸一致素子の2軸回転調芯を実現する手段について説明する。図11に示す本発明の第6の実施形態は、図1に示して説明した本発明の第1の実施形態の構成と基本的に同一の構成である。
【0082】
図11(a)に示す通り、本発明の第6の実施形態は、光軸一致素子のつまみ8に光軸一致素子のつまみを保持する部品12を装着する。光軸一致素子のつまみを保持する部品12に設けた穴に光軸一致素子を調芯するための部品23の棒状突起部24を差込む。
図11(a)に示す全ての部品を組み立てた場合の図が11(b)である。
【0083】
図11(b)に示す通り、光軸一致素子のβ回転は、光軸一致素子を調芯するための部品12を26に示す方向に調芯を行なうことで実現することができる。また、光軸一致素子のγ回転は、光軸一致素子を調芯するための部品12を25に示す方向に調芯を行なうことで実現することができる。
【0084】
以上に示す手段を用いることにより、光軸一致素子の回転方向に関する高精度調芯が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明に係る光源装置は、小型で、且つ光軸調整機構が簡素化されているため、低コストであり、光軸が一致したビーム光を出射することができる。そのため、ラスタースキャン型のレーザプロジェクタなどに利用されるRGB3色光源モジュール、すなわち光学エンジンへの応用に有用である。
【符号の説明】
【0086】
1,1a,1b,1c:光源、
2,2a,2b,2c,2d:集光レンズ、
3,3a,3b,3c:集光レンズホルダー、
4,4a,4b,4c:スリーブ、
5,5a,5b,5c:リング形状のスペーサ、
6,6a,6b,6c:光軸一致素子、
7,7a,7b,7c,70:光軸一致素子ホルダー、
8,8a,8b,8c,12:光軸一致素子のつまみ、
9,9a,9b,9c:光軸一致素子のつまみを掴むための窓、
10,10a,10b,10c:光軸一致素子ホルダーの窓、
11:ビーム光を通過させるため光源装置に設けた窓、
12:光軸一致素子のつまみを保持する部材、
13:光軸一致素子ホルダーを挿入するため光源装置に設けた窓、
14:光軸一致素子を光軸一致素子ホルダーに挿入するため光源装置に設けた窓、
15:光源から出射されるビーム光取出し口、
16:ラスタースキャン型ミラー、
17:ビーム光を反射分岐するためのハーフミラーまたはビームスプリッター、
18:ビーム角度評価装置、
19:ビーム位置評価装置、
20:CPU、
21:メモリ、
22:スクリーン、
23:光軸一致素子を調芯するための部品、
24:光軸一致素子のつまみを保持する部材に設けた穴に差込む光軸一致素子を調芯するための部品の棒状突起部、
25:γ回転方向、
26:β回転方向、
50a,50b,50c:合波フィルタ、
60a,60b,60c:光軸一致素子回転調整機構、
71…ビーム光を通過させるための光軸一致素子ホルダーに設けた窓、
72…光軸一致素子を光軸一致素子ホルダーに挿入するための窓、
73,73a,73b,73c…光軸一致素子のつまみを挿入するための光軸一致素子ホルダーの穴、
100…筐体、
101…ラスタースキャン型ミラーが収容されている筐体、
102…ビーム角度とビーム位置を評価する装置が収容されている筐体、
103…携帯型プロジェクタの筐体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の光源と、これら光源から出射される光を反射または透過させて、前記反射または透過したそれぞれの光の光軸をほぼ同軸上に合成する光軸一致素子とを備える光源装置において、
前記複数個の光源の一つから出射した出射光が、該複数個の光源の一つに対応して設けられた第1の光軸一致素子が有する第1の光路変換平面に入射し、該第1の光路変換平面から法線に対して第1の角度で反射し、
前記複数個の光源の他の一つから出射した出射光が、前記複数個の光源の他の一つに対応して設けられた第2の光軸一致素子が有する第2の光路変換平面に入射し、該第2の光路変換平面から法線に対して第2の角度で反射し、さらに前記第1の光軸一致素子を透過する場合に、
前記第1の角度を、前記第1の光路変換平面を第1の回転軸と前記第1の回転軸と直交する第2の回転軸との2つの回転軸を有する回転機構により、前記第2の角度に一致するように調整する角度調整手段を有することを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記複数個の光源が取り付けられた前記光源装置の装着面を決定する座標軸をx軸およびy軸とするとき、前記光源をx軸方向とy軸方向の面内調整が可能な面方向調整手段を、さらに有することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
複数個の光源と、これら光源から出射される光を反射または透過させて、前記反射または透過したそれぞれの光の光軸をほぼ同軸上に合成する光軸一致素子とを備える光源装置において、
前記複数個の光源が取り付けられた前記光源装置の装着面を決定する座標軸をx軸およびy軸とするとき、前記光源をx軸方向とy軸方向の面内調整が可能な調整手段と、
前記装着面に対して垂直なz軸方向の周りの回転をγ回転とし、前記反射または透過した光の進行方向に垂直であって前記装着面に平行な軸方向の周りの回転をβ回転とするとき、前記光軸一致素子は、前記β回転と前記γ回転の2軸回転調整が可能な回転手段とを有し、
前記調整手段と前記回転手段により、前記複数個の光源からのビーム光の光軸位置を調整可能とすることを特徴とする光源装置。
【請求項4】
前記光軸一致素子は、前記光源装置の筐体に設けられ前記光軸一致素子を収容する第1穴部に挿入された回転調整保持部の回転により前記γ回転を行うγ回転可動機構と、前記光軸一致素子に設けた突起部が前記回転調整保持部に設けられた第2穴部に挿入され、該突起部の回転により前記β回転を行うβ回転可動機構との2つの回転機構を有することを特徴とする請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記複数個の光源は、レーザ光源であり、
該複数個の光源から出射された光束のそれぞれを概ね平行光束にするコリメートレンズを有し、
該コリメートレンズは、出射ビームの軸線に沿う方向に前記光源に対して相対的に移動可能であると共に、出射ビームの軸線に対して垂直な平面内で少なくとも2方向にそれぞれ前記光源に対して相対的に移動可能なように設置されていることを特徴とする請求項3または4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記複数個の光源は、キャンパッケージに収められた光源、または基本波光源と波長変換素子から構成される波長変換レーザ光源を少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記光軸一致素子は、ダイクロイックプリズムあるいはビームスプリッターからなることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項8】
前記複数個の光源は、それぞれが赤色、緑色、青色の各色を発するレーザ光源で構成されることを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項9】
前記光源からのビーム光の光軸位置が調整されたビーム光をラスタースキャンし、光源装置の外部へビーム光を出射するミラーをさらに、有することを特徴とする請求項3〜8のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記複数の光源からのビーム光が束ねられ1つのビーム光となり、そのビーム光を走査し、スクリーン上に投射するための二次元走査ミラーと、
該二次元走査ミラーを制御するための制御回路と、
光源から出射されるビームを駆動させるためのドライバ回路と、
前記制御回路や前記ドライバ回路を駆動させるためのバッテリーとを備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項11】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の光源装置から出射されるビーム光の光軸の角度と位置とを調整するための調整用信号を発生する光軸調整装置を具備し、
前記光軸調整装置は、該光源装置の複数の光源のうち任意に選んだ一つの光源から出射される入射ビーム光の一部を反射分岐する第1の反射分岐フィルタと、
該第1の反射分岐フィルタを透過したビーム光が入射する撮像面を有する位置検出用撮像手段と、
前記第1の反射分岐フィルタにより反射されたビーム光を収束させる集光レンズと、を有し、
前記光軸調整装置を用いて、該集光レンズによって収束されたビーム光が入射される光軸の角度を決定し、
前記位置検出用撮像手段の撮像面における前記ビーム光の入射位置に基づいて、前記入射ビーム光の光源から出射される光軸の位置を決定し、
前記決定された光軸の角度と位置を調整し、該調整により発生した信号を用いることにより、前記光源装置の他の一つの光源から出射されるビーム光を前記一つの光源から出射されるビーム光に一致するように調整し、
さらに別の他の一つの光源から出射されるビーム光を前記一つの光源から出射されるビーム光に一致するように調整がなされることを特徴とする光源装置の光軸調整方法。
【請求項12】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の光源装置から出射されるビーム光の光軸の角度と位置とを調整するための調整用信号を発生する光軸調整装置を具備し、
前記光軸調整装置は、該光源装置の複数の光源のうち任意に選んだ2つの光源から出射される入射ビーム光の一部を反射分岐する第1の反射分岐フィルタと、
該第1の反射分岐フィルタを透過したビーム光が入射される撮像面を有する位置検出用撮像手段と、
前記第1の反射分岐フィルタにより反射されたビーム光を収束させる集光レンズと、を有し、
前記光軸調整装置を用いて、該集光レンズによって収束されたビーム光が入射される光軸の角度を決定し、
前記位置検出用撮像手段の撮像面における前記ビーム光の入射位置に基づいて、前記入射ビーム光の光源から出射される光軸の位置を決定し、
前記決定された光軸の角度と位置を調整し、該調整により発生した信号を用いることにより、
前記2つの光源の一つからのビーム光と他の一つの光源からのビーム光の光軸が一致するように調整して光軸一致ビーム光を得、
該得られた光軸一致ビーム光を基準のビーム光にし、他の別の一つの光源から出射されるビーム光を該基準のビーム光に一致するように調整がなされることを特徴とする光源装置の光軸調整方法。
【請求項1】
複数個の光源と、これら光源から出射される光を反射または透過させて、前記反射または透過したそれぞれの光の光軸をほぼ同軸上に合成する光軸一致素子とを備える光源装置において、
前記複数個の光源の一つから出射した出射光が、該複数個の光源の一つに対応して設けられた第1の光軸一致素子が有する第1の光路変換平面に入射し、該第1の光路変換平面から法線に対して第1の角度で反射し、
前記複数個の光源の他の一つから出射した出射光が、前記複数個の光源の他の一つに対応して設けられた第2の光軸一致素子が有する第2の光路変換平面に入射し、該第2の光路変換平面から法線に対して第2の角度で反射し、さらに前記第1の光軸一致素子を透過する場合に、
前記第1の角度を、前記第1の光路変換平面を第1の回転軸と前記第1の回転軸と直交する第2の回転軸との2つの回転軸を有する回転機構により、前記第2の角度に一致するように調整する角度調整手段を有することを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記複数個の光源が取り付けられた前記光源装置の装着面を決定する座標軸をx軸およびy軸とするとき、前記光源をx軸方向とy軸方向の面内調整が可能な面方向調整手段を、さらに有することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
複数個の光源と、これら光源から出射される光を反射または透過させて、前記反射または透過したそれぞれの光の光軸をほぼ同軸上に合成する光軸一致素子とを備える光源装置において、
前記複数個の光源が取り付けられた前記光源装置の装着面を決定する座標軸をx軸およびy軸とするとき、前記光源をx軸方向とy軸方向の面内調整が可能な調整手段と、
前記装着面に対して垂直なz軸方向の周りの回転をγ回転とし、前記反射または透過した光の進行方向に垂直であって前記装着面に平行な軸方向の周りの回転をβ回転とするとき、前記光軸一致素子は、前記β回転と前記γ回転の2軸回転調整が可能な回転手段とを有し、
前記調整手段と前記回転手段により、前記複数個の光源からのビーム光の光軸位置を調整可能とすることを特徴とする光源装置。
【請求項4】
前記光軸一致素子は、前記光源装置の筐体に設けられ前記光軸一致素子を収容する第1穴部に挿入された回転調整保持部の回転により前記γ回転を行うγ回転可動機構と、前記光軸一致素子に設けた突起部が前記回転調整保持部に設けられた第2穴部に挿入され、該突起部の回転により前記β回転を行うβ回転可動機構との2つの回転機構を有することを特徴とする請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記複数個の光源は、レーザ光源であり、
該複数個の光源から出射された光束のそれぞれを概ね平行光束にするコリメートレンズを有し、
該コリメートレンズは、出射ビームの軸線に沿う方向に前記光源に対して相対的に移動可能であると共に、出射ビームの軸線に対して垂直な平面内で少なくとも2方向にそれぞれ前記光源に対して相対的に移動可能なように設置されていることを特徴とする請求項3または4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記複数個の光源は、キャンパッケージに収められた光源、または基本波光源と波長変換素子から構成される波長変換レーザ光源を少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記光軸一致素子は、ダイクロイックプリズムあるいはビームスプリッターからなることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項8】
前記複数個の光源は、それぞれが赤色、緑色、青色の各色を発するレーザ光源で構成されることを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項9】
前記光源からのビーム光の光軸位置が調整されたビーム光をラスタースキャンし、光源装置の外部へビーム光を出射するミラーをさらに、有することを特徴とする請求項3〜8のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記複数の光源からのビーム光が束ねられ1つのビーム光となり、そのビーム光を走査し、スクリーン上に投射するための二次元走査ミラーと、
該二次元走査ミラーを制御するための制御回路と、
光源から出射されるビームを駆動させるためのドライバ回路と、
前記制御回路や前記ドライバ回路を駆動させるためのバッテリーとを備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項11】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の光源装置から出射されるビーム光の光軸の角度と位置とを調整するための調整用信号を発生する光軸調整装置を具備し、
前記光軸調整装置は、該光源装置の複数の光源のうち任意に選んだ一つの光源から出射される入射ビーム光の一部を反射分岐する第1の反射分岐フィルタと、
該第1の反射分岐フィルタを透過したビーム光が入射する撮像面を有する位置検出用撮像手段と、
前記第1の反射分岐フィルタにより反射されたビーム光を収束させる集光レンズと、を有し、
前記光軸調整装置を用いて、該集光レンズによって収束されたビーム光が入射される光軸の角度を決定し、
前記位置検出用撮像手段の撮像面における前記ビーム光の入射位置に基づいて、前記入射ビーム光の光源から出射される光軸の位置を決定し、
前記決定された光軸の角度と位置を調整し、該調整により発生した信号を用いることにより、前記光源装置の他の一つの光源から出射されるビーム光を前記一つの光源から出射されるビーム光に一致するように調整し、
さらに別の他の一つの光源から出射されるビーム光を前記一つの光源から出射されるビーム光に一致するように調整がなされることを特徴とする光源装置の光軸調整方法。
【請求項12】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の光源装置から出射されるビーム光の光軸の角度と位置とを調整するための調整用信号を発生する光軸調整装置を具備し、
前記光軸調整装置は、該光源装置の複数の光源のうち任意に選んだ2つの光源から出射される入射ビーム光の一部を反射分岐する第1の反射分岐フィルタと、
該第1の反射分岐フィルタを透過したビーム光が入射される撮像面を有する位置検出用撮像手段と、
前記第1の反射分岐フィルタにより反射されたビーム光を収束させる集光レンズと、を有し、
前記光軸調整装置を用いて、該集光レンズによって収束されたビーム光が入射される光軸の角度を決定し、
前記位置検出用撮像手段の撮像面における前記ビーム光の入射位置に基づいて、前記入射ビーム光の光源から出射される光軸の位置を決定し、
前記決定された光軸の角度と位置を調整し、該調整により発生した信号を用いることにより、
前記2つの光源の一つからのビーム光と他の一つの光源からのビーム光の光軸が一致するように調整して光軸一致ビーム光を得、
該得られた光軸一致ビーム光を基準のビーム光にし、他の別の一つの光源から出射されるビーム光を該基準のビーム光に一致するように調整がなされることを特徴とする光源装置の光軸調整方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−247529(P2012−247529A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117738(P2011−117738)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]