説明

光源装置の調整方法、光源装置及びプロジェクター

【課題】蛍光体の配置位置を短時間で正確に調整することが可能な光源装置の調整方法、光源装置を提供する。
【解決手段】励起光源10から射出された第1の光量の励起光を集光手段20により集光させて蛍光体に入射させる第1の工程と、蛍光体から放射された第1の蛍光の光量を検出する第2の工程と、第2の光量の励起光を集光手段20により集光させて蛍光体に入射させる第3の工程と、蛍光体から放射された第2の蛍光の光量を検出する第4の工程と、第1の励起光の光量に対する第1の蛍光の光量と第2の励起光の光量に対する第2の蛍光の光量との比に基づいて集光手段20と蛍光体との相対位置を調整する第5の工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置の調整方法、光源装置及びプロジェクターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロジェクター用の光源装置として、特許文献1に記載の光源装置が知られている。特
許文献1の光源装置は、励起光源と、励起光源から射出された励起光により励起されて蛍
光を放射する蛍光体と、を備えている。特許文献1の光源装置では、二次光源としての蛍
光体の発光面積を小さくするために、励起光を一点に集光させて蛍光体に入射させている

【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−327361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
励起光の集光位置を検出する方法としては、例えば、CCDモニターを用いて励起光の
集光スポットが最小となる位置を画像処理により検出する方法がある。しかしその方法で
は、CCDモニターの観測後、蛍光体を配置するのに手間がかかり、励起光の集光位置の
調整に時間がかかってしまう。また、蛍光体を配置する前後でずれが生じ、励起光の集光
位置を正確に調整できない場合もある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、励起光の集光位置を短時間で
正確に調整することが可能な光源装置の調整方法、光源装置を提供することを目的とする
。また、このような光源装置を備えた、表示品質に優れたプロジェクターを提供すること
を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の光源装置の調整方法は、励起光源から射出された
第1の光量の励起光を集光手段により集光させて蛍光体に入射させる第1の工程と、前記
集光手段と前記蛍光体との相対位置を変更し、変更された相対位置ごとの前記第1の光量
の励起光を受けて前記蛍光体から放射された第1の蛍光の光量を検出する第2の工程と、
前記第1の光量の励起光よりも光量が大きい第2の光量の励起光を集光手段により集光さ
せて蛍光体に入射させる第3の工程と、前記集光手段と前記蛍光体との相対位置を変更し
、変更された相対位置ごとの前記第2の光量の励起光を受けて前記蛍光体から放射された
第2の蛍光の光量を検出する第4の工程と、前記相対位置ごとの前記第1の励起光の光量
に対する前記第1の蛍光の光量と前記第2の励起光に対する前記第2の蛍光の光量との比
のうち光量比が最も大きくなるときの位置に基づいて前記集光手段と前記蛍光体との相対
位置を調整する第5の工程と、を有することを特徴とする。
【0007】
蛍光体に入射する励起光の光量(光密度)が大きくなると、温度上昇による影響(温度
消光現象)や吸収準位の数密度の減少による影響(光飽和現象)などにより、励起光の光
量に対する蛍光の光量は低下することがある。これは、蛍光の光量を励起光の光量で除算
して得られる蛍光体の発光効率が低下することがある、と言い換えることができ、励起光
の光量が一定である場合には蛍光の光量そのものが低下することがある、と言い換えるこ
とができる。本発明では、このような現象を積極的に利用することで、励起光の集光位置
を検出している。
【0008】
励起光の集光位置では、その励起光が照射される蛍光体の発光部における励起光の光量
(光密度)が大きくなり、励起光の光量に対する蛍光の光量が小さくなる。よって、励起
光の光量に対する蛍光の光量が最も小さくなる位置に基づいて蛍光体を位置決めすること
で、励起光の集光位置を基準にして集光手段と蛍光体との相対位置が調整され、蛍光体を
所望の位置に配置することができる。蛍光体を励起光の集光位置に配置すれば、発光面積
を小さくすることができるので、光源装置としての性能を上げることができる。また、こ
の光源装置を備えた機器の全体の光学系の特性を考慮して、蛍光体を励起光の集光位置か
らずらした位置に配置する場合であっても、集光位置を容易に求めることができるため、
蛍光体の位置を容易に調整できる。
【0009】
ここで、集光手段と蛍光体との相対位置を変更する過程において、蛍光体から放射され
た蛍光が蛍光の光量を検出する領域(検出領域)に入りきらない場合(蛍光が検出領域外
に漏れる場合)がある。集光手段と蛍光体との相対位置を変更する過程において、一つの
蛍光の光量のみを用いた場合には、蹴られ部分を解消することができない。例えば、検出
領域外に蛍光の光量の最も小さい部分が存在する場合、蹴られが生じている検出領域外の
蛍光の光量を蹴られを考慮せずに焦点位置を演算することになり、励起光の集光位置を精
度良く調整することができないおそれがある。それに対し、本発明の方法によれば、2つ
の光量の励起光を利用することにより、蛍光が検出領域に入りきらない部分の光量を相殺
(いわゆる蹴られ部分を解消)している。このため、励起光の集光位置を精度良く調整す
ることができる。
【0010】
また、この方法によれば、相対位置ごとの第1の励起光の光量に対する第1の蛍光の光
量と第2の励起光の光量に対する第2の蛍光の光量との比のうち光量比が最も大きくなる
ときの位置に基づいて集光手段と蛍光体との相対位置が調整される。すなわち、蹴られ部
分を解消しつつ集光手段と蛍光体との相対位置が調整される。蛍光体の励起光の光量に対
する蛍光の光量が最も小さくなる位置が励起光の集光位置であるため、励起光の光量に対
する蛍光の光量比の最も大きい位置に基づいて蛍光体を位置決めすることで、励起光の焦
点位置に基づいた所望の位置に蛍光体を配置することができる。また、本発明の方法では
蛍光体を配置したまま集光手段と蛍光体との相対位置を調整する方法を採用しており、調
整の過程で蛍光体を取り外したり配置したりする必要がない。このため、励起光の集光位
置の調整に時間がかかったりずれが生じたりすることもない。よって、励起光の集光位置
を短時間で正確に調整することができる。ゆえに、蛍光体の位置を容易に調整できる。
【0011】
また、本発明の光源装置の調整方法は、前記第5の工程においては、変更した相対位置
ごとの、前記蛍光体に入射する前記第1の光量の励起光に対する前記蛍光の光量の比であ
る前記蛍光体の第1の発光効率E1と、前記蛍光体に入射する前記第2の光量の励起光に
対する前記蛍光の光量の比である前記蛍光体の第2の発光効率E2との比を、前記蛍光体
の発光効率比E1/E2とし、前記蛍光体の発光効率比E1/E2を前記第1の励起光の
光量に対する前記第1の蛍光の光量と前記第2の励起光の光量に対する前記第2の蛍光の
光量との比として利用し、前記集光手段と前記蛍光体との相対位置を調整してもよい。
【0012】
この方法によれば、変更した相対位置ごとに求められた蛍光体の発光効率比E1/E2
のうち発光効率比が最も大きくなるときの位置に基づいて集光手段と蛍光体との相対位置
が調整される。すなわち、蹴られ部分を解消しつつ第2の発光効率E2のうち発光効率が
最も小さくなるときの位置に基づいて所望の位置に集光手段と蛍光体との相対位置が調整
される。蛍光体の発光効率を利用することで、励起光の光量の変動などによる影響を受け
ずに調整ができるため、蛍光体の位置を容易に調整できる。
【0013】
また、本発明の光源装置の調整方法は、前記第2の光量は、前記蛍光体が前記集光手段
の焦点位置に配置されたときに、前記第2の光量の励起光による前記蛍光体の温度上昇又
は光飽和の現象により発光効率の低下が生じる光量であってもよい。
【0014】
この方法によれば、第2の光量の励起光を集光手段を介して蛍光体に入射させる際、励
起光の焦点位置において蛍光体の発光効率を低下させることができる。よって、励起光の
集光位置の調整が容易となる。ゆえに、蛍光体の位置を容易に調整できる。
【0015】
また、本発明の光源装置の調整方法は、前記励起光源を構成する複数のレーザー光源か
ら前記第2の光量の励起光としてレーザー光を射出させてもよい。
【0016】
この方法によれば、励起光源のパワーを向上させることができる。このため、第2の光
量の励起光を集光手段を介して蛍光体に入射させる際、励起光の焦点位置において蛍光体
の温度が上昇し、励起光の光量に対する蛍光の光量が低下する。よって、励起光の光量に
対する蛍光の光量が低下する現象を利用した励起光の集光位置の調整を容易に行うことが
できる。
【0017】
また、本発明の光源装置の調整方法は、前記第1の光量および前記第2の光量の励起光
を、前記励起光源をパルス駆動させて間欠的に射出させてもよい。
【0018】
この方法によれば、蛍光体への未照射時間があるため、励起光源を連続駆動した場合に
比べて、高い励起光量を蛍光体に入射させることが可能となる。よって、励起光の光量に
対する蛍光の光量が低下する現象を利用した励起光の集光位置の調整を容易に行うことが
できる。
【0019】
また、本発明の光源装置の調整方法は、前記蛍光体の前記第1の光量および前記第2の
光量の前記励起光が入射する部分を時間的に変動させてもよい。
【0020】
この方法によれば、いったん蛍光体に励起光が照射されると次に照射されるまでに未照
射時間があるため、蛍光体を固定した場合に比べて、高い励起光量を蛍光体に入射させる
ことが可能となる。よって、励起光の光量に対する蛍光の光量が低下する現象を利用した
励起光の集光位置の調整を容易に行うことができる。
【0021】
また、本発明の光源装置の調整方法は、励起光として実際に光源として使用する光量よ
りも大きい光量の励起光を前記蛍光体に照射して前記集光手段と前記蛍光体との相対位置
を調整してもよい。
【0022】
この方法によれば、励起光の光量に対する蛍光の光量の低下が大きくなるため、測定精
度が向上する。
【0023】
本発明の光源装置は、励起光の光量を変更可能な励起光源と、前記励起光源から射出さ
れた励起光を集光する集光手段と、前記集光手段により集光された励起光を受けて蛍光を
放射する蛍光体と、前記蛍光体から放射された蛍光の光量を検出する検出装置と、前記集
光手段と前記蛍光体との相対位置を変更し、前記蛍光体に入射する第1の励起光の光量に
対する第1の蛍光の光量と、前記第1の光量の励起光よりも光量が大きい第2の励起光の
光量に対する第2の蛍光の光量と、の比が最も大きくなる位置に基づいて前記集光手段と
前記蛍光体との相対位置を調整する位置調整機構と、を備えることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、第1の励起光の光量に対する第1の蛍光の光量と第2の励起光の光
量に対する第2の蛍光の光量との比のうち光量比が最も大きくなるときの位置に基づいて
集光手段と蛍光体との相対位置が調整される。このため、蛍光が検出領域に入りきらない
部分の発光効率を相殺(いわゆる蹴られ部分を解消)することができ、励起光の集光位置
を精度良く調整することができる。また、本発明の構成では蛍光体を配置したまま集光手
段と蛍光体との相対位置を調整する構成を採用しており、調整の過程で蛍光体を取り外し
たり改めて配置したりする必要がない。このため、励起光の集光位置の調整に時間がかか
ったりずれが生じたりすることもない。よって、励起光の集光位置を短時間で正確に調整
することができる。ゆえに、蛍光体の位置を容易に調整できる。
【0025】
また、本発明の光源装置において、前記位置調整機構は、前記集光手段と前記蛍光体と
の相対位置を変更し、前記蛍光体に入射する第1の励起光の光量に対する第1の蛍光の光
量の比である前記蛍光体の第1の発光効率E1と、前記第1の光量の励起光よりも光量が
大きい第2の励起光の光量に対する第2の蛍光の光量の比である前記蛍光体の第2の発光
効率E2との比、である前記蛍光体の発光効率比E1/E2が最も大きくなる位置に基づ
いて前記集光手段と前記蛍光体との相対位置を調整してもよい。
【0026】
この構成によれば、位置調整機構により、蛍光体の発光効率比E1/E2のうち発光効
率比が最も大きくなるときの位置に基づいて集光手段と蛍光体との相対位置が調整される
。すなわち、蹴られ部分を解消することができ、励起光の集光位置を精度良く調整するこ
とができる。蛍光体の発光効率を利用することで、励起光の光量の変動などによる影響を
受けずに調整ができるため、蛍光体の位置を容易に調整できる。
【0027】
また、本発明の光源装置において、前記検出装置は、前記蛍光体から放射された蛍光の
光路に対して進退自在に構成されていてもよい。
【0028】
この構成によれば、蛍光の光量を検出する場合には、検出装置は蛍光の光路上に配置さ
れ、蛍光の光量を検出しない場合(例えば光源装置を実際に使用する場合)には、検出装
置は蛍光の光路外に退避される。この構成においては、検出装置を取り付けたり取り外し
たりする必要がないので、励起光の集光位置を短時間で調整することができる。
【0029】
また、本発明の光源装置において、前記励起光源は、前記励起光を射出する複数のレー
ザー光源が配列されたレーザー光源アレイであってもよい。
【0030】
この構成によれば、励起光源のパワーを向上させることができる。このため、励起光を
集光手段を介して蛍光体に入射させる際、励起光の焦点位置において蛍光体の温度が上昇
し、励起光の光量に対する蛍光の光量が低下する。よって、励起光の光量に対する蛍光の
光量が低下する現象を利用した励起光の集光位置の調整を容易に行うことができる。
【0031】
また、本発明の光源装置において、前記蛍光体は、回転駆動される回転板の回転方向に
沿って円環状に形成されており、前記回転板を回転駆動することにより、前記蛍光体の前
記励起光が入射する部分が時間的に変動されていてもよい。
【0032】
この構成によれば、いったん蛍光体に励起光が照射されると次に照射されるまでに未照
射時間があるため、蛍光体を固定した場合に比べて、蛍光体の温度上昇を抑えることがで
きる。また、蛍光体の固定時より高い励起光量を蛍光体に入射させることが可能となる。
よって、励起光の光量に対する蛍光の光量が低下する現象を利用した励起光の集光位置の
調整を容易に行うことができる。
【0033】
本発明のプロジェクターは、上述した光源装置と、前記光源装置から射出された光を画
像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置からの変調光を投写画像として投
写する投写光学系と、を備えることを特徴とする。
【0034】
このプロジェクターによれば、上述した光源装置を備えているので、表示品質に優れた
プロジェクターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るプロジェクターの光学系を示す模式図である。
【図2】同、励起光源の正面図である。
【図3】同、光源装置の側面図である。
【図4】同、光源装置及び蛍光体層の発光特性を示すグラフである。
【図5】同、回転蛍光板の斜視図である。
【図6】同、光源装置の調整方法のフローチャートである。
【図7】同、蛍光体の第1の発光効率と蛍光体の第2の発光効率との関係を示すグラフである。
【図8】同、集光手段と蛍光体との相対位置と蛍光体の発光効率比との関係を示すグラフである。
【図9】同、検出装置が蛍光の光量を検出するときの様子を示す図である。
【図10】同、検出装置の検出領域内の発光効率と検出装置の検出領域外の発光効率との関係を示すグラフである。
【図11】同、光源装置の調整方法のフローチャートの変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、
本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思
想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやす
くするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
【0037】
図1は、本発明に係るプロジェクター1000の光学系を示す模式図である。
図1に示すように、プロジェクター1000は、光源装置100と、色分離導光光学系
200と、光変調装置としての液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G、 液
晶光変調装置400Bと、クロスダイクロイックプリズム500及び投写光学系600と
、を具備して構成されている。
【0038】
光源装置100は、励起光源10、第1集光レンズ(集光手段)20、回転蛍光板30
、コリメート光学系40、第2集光レンズ50、検出装置SEN、演算装置COM、ロッ
ドインテグレーター60、平行化レンズ70を備えている。励起光の光路上には、励起光
源10、第1集光レンズ(集光手段)20、回転蛍光板30、コリメート光学系40、第
2集光レンズ50、検出装置SEN、ロッドインテグレーター60、平行化レンズ70が
この順に配置されている。
【0039】
図2は、励起光源10の正面図である。
図2に示すように、励起光源10は、基台11上にレーザー光源12が5個×5個の正
方形状に2次元配列(合計25個)で並べられているレーザー光源アレイである。
【0040】
励起光源10は、後述する回転蛍光板30が備える蛍光物質を励起させる励起光として
、青色(発光強度のピーク:約445nm、図4(a)参照)のレーザー光を射出する。
励起光源10は、励起光の光量を変更可能に構成されている。例えば、励起光源10は、
第1の光量の励起光を射出するとともに第1の光量よりも光量が大きい第2の光量の励起
光を射出する。なお、励起光源10は、後述する蛍光物質を励起させることができる波長
の光であれば、445nm以外のピーク波長を有する色光を射出する励起光源であっても
構わない。
【0041】
第1集光レンズ20は、例えば凸レンズからなる。第1集光レンズ20は、励起光源1
0から射出されるレーザー光の光線軸上に配置され、励起光源10から射出された励起光
(複数のレーザー光)を集光する。
【0042】
図5は、回転蛍光板30の斜視図である。
回転蛍光板30はいわゆる透過型の回転蛍光板である。回転蛍光板30は、図1及び図
5に示すように、モーター33により回転駆動される回転板31の回転方向に沿って、単
一の蛍光体32が形成されてなる。蛍光体32が形成されている領域は、励起光が入射す
る領域を含む。回転板31を回転駆動することにより、蛍光体32の励起光が入射する部
分が時間的に変動される。回転蛍光板30は、励起光(青色光)が入射する側とは反対側
に向けて赤色光及び緑色光を射出する。
【0043】
回転蛍光板30は、使用時において7500rpmで回転する。詳しい説明は省略する
が、回転蛍光板30の直径は50mmであり、回転蛍光板30に入射する励起光の光軸が
回転蛍光板30の回転中心から約22.5mm離れた場所に位置するように構成されてい
る。つまり、回転蛍光板30は、励起光の集光スポットが約18m/秒で蛍光体32上を
移動するような回転速度で回転する。
【0044】
回転板31は、励起光を透過する材料からなる。なお、本実施形態では回転板として円
板を用いているが、その形状は円板に限られない。回転板31の材料としては、例えば、
石英ガラス、水晶、サファイア、光学ガラス、透明樹脂等を用いることができる。励起光
源10から射出されたレーザー光は励起光として、回転板31側から回転蛍光板30に入
射する。
【0045】
蛍光体32は、蛍光を発する蛍光体粒子を有しており、励起光(青色光)を吸収し黄色
(発光強度のピーク:約550nm、図4(b)参照)の蛍光に変換する機能を有する。
図4(b)において符号Rで示した成分は、蛍光体32が射出する黄色光のうち赤色光と
して利用可能な色光成分であり、符号Gで示した成分は、同様に緑色光として利用可能な
色光成分である。図1では、赤色光を符号R、緑色光を符号Gで示している。
【0046】
蛍光体粒子は、図1に示す励起光源10から射出される励起光を吸収し、蛍光を発する
粒子状の蛍光物質である。例えば、蛍光体粒子には、波長が約445nmの青色光によっ
て励起されて蛍光を発する物質が含まれており、励起光の一部を、赤色の波長帯域から緑
色の波長帯域までを含む光に変換して射出する。
【0047】
蛍光体粒子としては、通常知られたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット
)系蛍光体を用いることができる。例えば、平均粒径が10μmの(Y,Gd)(Al
,Ga)12:Ceで示される組成のYAG系蛍光体を用いることができる。なお、
蛍光体粒子の形成材料は、1種であっても良く、2種以上の形成材料を用いて形成されて
いる粒子を混合したものを蛍光体粒子として用いることとしても良い。
【0048】
図3は、光源装置100の側面図である。なお、図3においては、便宜上、励起光源1
0からコリメート光学系40までの構成を図示し、検出装置SEN以降の構成の図示を省
略している。
【0049】
図3に示すように、回転蛍光板30の回転板31の端部には第1位置調整機構34が取
り付けられている。第1位置調整機構34としては、例えばマイクロメーターを用いるこ
とができる。第1位置調整機構34は、第1集光レンズ20と回転蛍光板30(蛍光体3
2)との相対位置を調整する機能を有する。また、第1位置調整機構34は、第1集光レ
ンズ20と蛍光体32との相対位置を変更し、演算装置COMで求められた蛍光体32の
発光効率比E1/E2が最も大きくなる位置に第1集光レンズ20と蛍光体32との相対
位置を調整する。なお、発光効率比E1/E2については後述する。
【0050】
本実施形態においては、励起光源10及び第1集光レンズ20がステージSTに固定さ
れている。一方、回転蛍光板30とコリメート光学系40とが連結されており、第1位置
調整機構34を駆動させると、回転蛍光板30とコリメート光学系40とが励起光の光軸
に沿って(あるいはステージSTの上面に沿って)一体に移動する。これにより、第1位
置調整機構34を駆動させると、第1集光レンズ20と蛍光体32との相対位置が調整さ
れるようになっている。
【0051】
なお、第1集光レンズ20と蛍光体32との相対位置が調整される構成はこれに限られ
ず、回転蛍光板30をステージSTに固定しつつ第1集光レンズ20を移動させて第1集
光レンズ20と蛍光体32との相対位置が調整される構成であってもよいし、回転蛍光板
30と第1集光レンズ20の双方を移動させて第1集光レンズ20と蛍光体32との相対
位置が調整される構成であってもよい。
【0052】
コリメート光学系40は、回転蛍光板30と第2集光レンズ50との間の光(励起光及
び蛍光)の光路上に配置されている。コリメート光学系40は、回転蛍光板30からの光
の広がりを抑える第1レンズ41と、第1レンズ41から入射される光を平行化する第2
レンズ42とを含んで構成されている。第1レンズ41は、例えば凸のメニスカスレンズ
からなり、第2レンズ42は、例えば凸レンズからなる。コリメート光学系40は、回転
蛍光板30からの光を略平行化した状態で第2集光レンズ50に入射させる。
【0053】
第1レンズ41及び第2レンズ42は、ベース部43に固定されている。ベース部43
の端部には第2位置調整機構44が取り付けられている。第2位置調整機構44としては
、例えばマイクロメーターを用いることができる。第2位置調整機構44は、回転蛍光板
30(蛍光体32)とコリメート光学系40との相対位置を調整する機能を有する。
【0054】
本実施形態においては、回転蛍光板30とコリメート光学系40とが連結されており、
第2位置調整機構44を駆動させると、コリメート光学系40のみが励起光の光軸に沿っ
て移動する。このとき、回転蛍光板30は、移動しないようになっている。これにより、
第2位置調整機構44を駆動させると、蛍光体32とコリメート光学系40との相対位置
が調整されるようになっている。
【0055】
図1に戻り、第2集光レンズ50は、例えば凸レンズからなる。第2集光レンズ50は
、コリメート光学系40(第2レンズ42)を透過する光の光線軸上に配置され、コリメ
ート光学系40を透過した光を集光する。
【0056】
検出装置SENは、第2集光レンズ50を透過した光の集光位置に配置されている。検
出装置SENは、蛍光体32から放射された蛍光の光路に対して進退自在に構成されてい
る。具体的には、検出装置SENは、蛍光体32から放射された蛍光の光量を検出すると
きには当該蛍光の光路上に配置され、一方、蛍光体32から放射された蛍光の光量を検出
しないときには当該蛍光の光路外に退避されるようになっている。検出装置SENは、蛍
光体32の側に受光面を有する受光センサー(例えば受光素子)を用いることができる。
検出装置SENは、蛍光体32から放射された蛍光の光量を検出するものである。
【0057】
演算装置COMは、検出装置SEN及び励起光源10と電気的に接続されている。演算
装置COMは、蛍光体32に入射する励起光と検出装置SENにより検出された蛍光の光
量を基に、蛍光体32に入射する励起光に対する蛍光の光量の比を演算して蛍光体32の
発光効率を求める機能を有する。例えば、演算装置COMは、蛍光体32に入射する第1
の光量の励起光に対する蛍光の光量の比を演算して蛍光体32の第1の発光効率E1を求
めるとともに、第1の光量よりも光量が大きい第2の光量の励起光に対する蛍光の光量の
比を演算して蛍光体32の第2の発光効率E2を求める。そして、蛍光体の第1の発光効
率E1と蛍光体の第2の発光効率E2との比を演算して蛍光体32の発光効率比E1/E
2を求める。
【0058】
第2集光レンズ50を透過した光は、ロッドインテグレーター60の一端側に入射する
。ロッドインテグレーター60は、光路方向に延在する角柱状の光学部材であり、内部を
透過する光に多重反射を生じさせることにより、第2集光レンズ50を透過した光を混合
し、輝度分布を均一化するものである。ロッドインテグレーター60の光路方向に直交す
る断面形状は、液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G、液晶光変調装置40
0Bの画像形成領域の外形形状と略相似形となっている。
【0059】
ロッドインテグレーター60の他端側から射出された光は、平行化レンズ70により平
行化され、光源装置100から射出される。
【0060】
色分離導光光学系200は、ダイクロイックミラー210、ダイクロイックミラー22
0、反射ミラー230、 反射ミラー240、 反射ミラー250及びリレーレンズ260
を備えている。色分離導光光学系200は、光源装置100からの光を赤色光、緑色光及
び青色光に分離し、赤色光、緑色光及び青色光のそれぞれの色光を照明対象となる液晶光
変調装置400R、 液晶光変調装置400G、 液晶光変調装置400Bに導光する機能
を有する。
【0061】
ダイクロイックミラー210、ダイクロイックミラー220は、基板上に、所定の波長
領域の光を反射して、他の波長領域の光を透過させる波長選択透過膜が形成されたミラー
である。具体的には、ダイクロイックミラー210は、青色光成分を透過させ、赤色光成
分及び緑色光成分を反射する。ダイクロイックミラー220は、緑色光成分を反射して、
赤色光成分を透過させる。
【0062】
反射ミラー230、反射ミラー240、反射ミラー250は、入射した光を反射するミ
ラーである。具体的には、反射ミラー230は、ダイクロイックミラー210を透過した
青色光成分を反射する。反射ミラー240、反射ミラー250は、ダイクロイックミラー
220を透過した赤色光成分を反射する。
【0063】
ダイクロイックミラー210を透過した青色光は、反射ミラー230で反射され、青色
光用の液晶光変調装置400Bの画像形成領域に入射する。ダイクロイックミラー210
で反射された緑色光は、ダイクロイックミラー220でさらに反射され、緑色光用の液晶
光変調装置400Gの画像形成領域に入射する。ダイクロイックミラー220を透過した
赤色光は、入射側の反射ミラー240、リレーレンズ260、射出側の反射ミラー250
を経て赤色光用の液晶光変調装置400Rの画像形成領域に入射する。
【0064】
液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G、液晶光変調装置400Bは、通常
知られたものを用いることができ、例えば、液晶素子410と液晶素子410を挟持する
偏光素子420、430とを有した、透過型の液晶ライトバルブ等の光変調装置により構
成される。偏光素子420,430は、例えば透過軸が互いに直交する構成(クロスニコ
ル配置)となっている。
【0065】
液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G、液晶光変調装置400Bは、入射
された色光を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものであり、光源装置10
0の照明対象となる。これら液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G及び液晶
光変調装置400Bによって、入射された各色光の光変調が行われる。
【0066】
例えば、液晶光変調装置400R、液晶光変調装置400G、液晶光変調装置400B
は、一対の透明基板に液晶を密閉封入した透過型の液晶光変調装置であり、ポリシリコン
TFTをスイッチング素子として、与えられた画像信号に応じて、入射側偏光板420か
ら射出された1種類の直線偏光の偏向方向を変調する。
【0067】
クロスダイクロイックプリズム500は、射出側偏光板430から射出された色光毎に
変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロ
イックプリズム500は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなして
いる。直角プリズムを貼り合わせた略X字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている
。略X字状の一方の界面に形成された誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他
方の界面に形成された誘電体多層膜は、青色光を反射するものである。これらの誘電体多
層膜によって赤色光及び青色光は曲折され、緑色光の進行方向と揃えられることにより、
3つの色光が合成される。
【0068】
クロスダイクロイックプリズム500から射出されたカラー画像は、投写光学系600
によって拡大投写され、スクリーンSCR上で画像を形成する。
【0069】
(光源装置の調整方法)
図6は、光源装置の調整方法のフローチャートである。
【0070】
まず、励起光源10から射出された第1の光量の励起光を第1集光レンズ20により集
光させて回転蛍光板30(蛍光体32)に入射させる(ステップS1、第1の工程)。次
に、検出装置SENを蛍光体32から射出される蛍光の光路上に配置する。
【0071】
第1の光量は、蛍光体32が第1集光レンズ20の焦点位置に配置されたときに、励起
光による蛍光体32の温度上昇又は光飽和の現象により発光効率の低下がわずかに生ずる
程度の光量である。例えば、第1の光量の光量は2W程度である。
【0072】
次に、第1集光レンズ20と蛍光体32との相対位置を変更し、変更した相対位置ごと
に第1の光量の励起光を受けて蛍光体32から放射された蛍光の光量を検出装置SENに
より検出する(ステップS2、第2の工程)。そして、変更した相対位置ごとに蛍光体3
2に入射する第1の光量の励起光に対する蛍光の光量の比を演算して蛍光体32の第1の
発光効率E1を求める(ステップS3)。励起光の光量は、定められた光量になるように
予め駆動電流などを調整しておくが、必要に応じて、図示しない検出装置で検出するよう
にしてもよい。
【0073】
ステップS1からステップS2においては、励起光源10をパルス駆動させて励起光源
10から第1の光量の励起光を間欠的に射出させる。また、回転蛍光板30を回転させて
、蛍光体32の第1の励起光が入射する部分を時間的に変動させる。
【0074】
次に、励起光源10から射出された第2の光量の励起光を第1集光レンズ20により集
光させて回転蛍光板30(蛍光体32)に入射させる(ステップS4、第3の工程)。第
3の工程においては、励起光源10を構成する複数のレーザー光源12から第2の光量の
励起光としてレーザー光を射出させる。
【0075】
第2の光量は、蛍光体32が第1集光レンズ20の焦点位置に配置されたときに、励起
光による蛍光体32の温度上昇又は光飽和の現象により発光効率の低下が生じる光量であ
る。例えば、焦点位置の調整の際に利用する光量は30W程度(実際にプロジェクターに
搭載する光源装置として使用する際に利用する光量と同程度)とする。
【0076】
次に、第1集光レンズ20と蛍光体32との相対位置を変更し、変更した相対位置ごと
に第2の光量の励起光を受けて蛍光体32から放射された蛍光の光量を検出装置SENに
より検出する(ステップS5、第4の工程)。そして、変更した相対位置ごとに蛍光体3
2に入射する第2の光量の励起光に対する蛍光の光量の比を演算して蛍光体32の第2の
発光効率E2を求める(ステップS6)。励起光の光量は、定められた光量になるように
予め駆動電流などを調整しておくが、必要に応じて、図示しない検出装置で検出するよう
にしてもよい。
【0077】
ステップS3からステップS4においては、励起光源10をパルス駆動させて励起光源
10から第2の光量の励起光を間欠的に射出させる。また、回転蛍光板30を回転させて
、蛍光体32の第2の励起光が入射する部分を時間的に変動させる。
【0078】
次に、変更した相対位置ごとに蛍光体32の第1の発光効率E1と蛍光体32の第2の
発光効率E2との比を演算して蛍光体32の発光効率比E1/E2を求める(ステップS
7)。
【0079】
次に、変更した相対位置ごとに求められた蛍光体32の発光効率比E1/E2のうち発
光効率が最も大きくなるときの位置に第1集光レンズ20と蛍光体32との相対位置を調
整する(ステップS8、第5の工程)。
【0080】
次に、検出装置SENを蛍光体32から射出される蛍光の光路外に退避させる。次に、
第1位置調整機構34を取り外し、回転蛍光板30とコリメート光学系40とを接着剤等
でステージSTに固定する。
以上の工程により、光源装置の調整が完了する。
【0081】
蛍光の光量を励起光の光量で除算して得られる蛍光体の発光効率は、励起光の光量が大
きくなると、温度上昇による影響(温度消光現象)や吸収準位の数密度の減少による影響
(光飽和現象)などにより低下することがある。本発明では、このような現象を積極的に
利用することで、励起光の集光位置を検出している。
【0082】
図7は、蛍光体32の第1の発光効率E1(低パワー)と蛍光体32の第2の発光効率
E2(高パワー)との関係を示すグラフである。図7において、横軸はピント、縦軸は発
光効率相対比を示している。
図8は、第1集光レンズ20と蛍光体32との相対位置と蛍光体32の発光効率比E1
/E2との関係を示すグラフである。
【0083】
なお、ピントは、焦点位置を基準としたときの第1集光レンズ20と蛍光体32との間
の間隔である。正負の符号は、例えば焦点位置を基準に蛍光体32を第1集光レンズ20
に近づけたときはマイナス、蛍光体32を第2集光レンズ20から遠ざけたときはプラス
とする。また、発光効率相対比は、焦点位置を基準としたときの変更した相対位置ごとの
発光効率の比である。すなわち、変更した相対位置ごとに求められた発光効率を焦点位置
における発光効率で割った値である(つまり、焦点位置における発光効率相対比は1とな
る)。
【0084】
また、低パワーの発光効率相対比は、焦点位置における高パワーの発光効率相対比を1
としたときに、変更した相対位置ごとに求められた第1の発光効率E1を焦点位置におけ
る発光効率E2で割った値である。また、高パワーの発光効率相対比は、変更した相対位
置ごとに求められた第2の発光効率E2を焦点位置における発光効率E2で割った値であ
る。
【0085】
図7に示すように、低パワーの発光効率相対比は高パワーの発光効率相対比よりも大き
く、その値は変更した相対位置ごとにほとんど変化していない。対して、高パワーの発光
効率相対比は、変更した相対位置ごとに大きく変化している。
【0086】
第1位置調整機構34により、第1集光レンズ20と蛍光体32との相対位置が変更さ
れ、蛍光体32の発光効率比E1/E2が最も大きくなる位置に(高パワーの発光効率相
対比が1となる位置に)、第1集光レンズ20と蛍光体32との相対位置が調整される。
【0087】
ここで、変更した相対位置ごとに求められた蛍光体32の発光効率比E1/E2のうち
発光効率が最も大きくなるときは、第2の蛍光の光量V2のうち光量が最も小さくなると
きにほとんど等しい。これにより、焦点位置に近い範囲で測定する場合には第2の蛍光の
光量V2が最も小さくなる位置が焦点位置であると判断することも可能である。
【0088】
しかしながら、第1集光レンズ20と蛍光体32との相対位置を変更する過程において
、蛍光体32から放射された蛍光が蛍光の光量を検出する領域(検出装置SENの検出領
域)に入りきらない場合(蛍光が検出領域外に漏れる場合)がある。
【0089】
図9は、検出装置SENが蛍光の光量を検出するときの様子を示す図である。図9(a
)は、検出装置SENの検出領域内に蛍光が入りきる場合、図9(b)は、検出装置SE
Nの検出領域内に蛍光が入りきらない場合を示している。
【0090】
図10は、検出装置SENの検出領域内の発光効率と検出装置SENの検出領域外の発
光効率との関係を示すグラフである。
【0091】
図10に示すように、検出装置SENの検出領域内に蛍光が入りきる場合には、低パワ
ー時の発光効率はほぼ一定の値となり、高パワー時の発光効率は焦点位置において最も小
さくなる。一方、検出装置SENの検出領域内に蛍光が入りきらない場合には、低パワー
時の検出される発光効率は検出領域外にずれるに従って徐々に小さくなる。また、高パワ
ー時の発光効率は検出領域外にずれるに従って、ピントがずれたことによる発光効率の上
昇(図10に示すCAの部分)と検出領域に入りきらない部分が生じることによる発光効
率の低下(図10に示すCBの部分)が生じる。
【0092】
集光手段と蛍光体との相対位置を変更する過程において、一つの蛍光の光量のみを用い
た場合には、蹴られ部分を解消することができない。例えば、検出領域外に蛍光の光量の
最も小さい部分が存在する場合、蹴られが生じている検出領域外の蛍光の光量を蹴られを
考慮せずに焦点位置を演算することになり、励起光の集光位置を精度良く調整することが
できないおそれがある。それに対し、本実施形態の方法では、2つの光量の励起光を利用
することにより、蛍光が検出領域に入りきらない部分の発光効率(図10に示す検出領域
外の発光効率)を相殺(蹴られ部分を解消)している。このため、励起光の集光位置を精
度良く調整することができる。
【0093】
本実施形態の光源装置の調整方法によれば、相対位置ごとの蛍光体32の発光効率比E
1/E2のうち発光効率比が最も大きくなるときの位置に第1集光レンズ20と蛍光体3
2との相対位置が調整される。すなわち、蹴られ部分を解消しつつ第1集光レンズと蛍光
体32との相対位置が調整される。蛍光体32の励起光の光量に対する蛍光の光量が最も
小さくなる位置が励起光の集光位置であるため、励起光の光量に対する蛍光の光量比の最
も大きい位置に基づいて蛍光体32を位置決めすることで、励起光の焦点位置に基づいた
所望の位置に蛍光体32を配置することができる。また、本発明の方法では蛍光体32を
配置したまま第1集光レンズ20と蛍光体32との相対位置を調整する方法を採用してお
り、調整の過程で蛍光体32を取り外したり配置したりする必要がない。このため、励起
光の集光位置の調整に時間がかかったりずれが生じたりすることもない。よって、励起光
の集光位置を短時間で正確に調整することができる。ゆえに、蛍光体の位置を容易に調整
できる。蛍光体32を励起光の集光位置に配置すれば、発光面積を小さくすることができ
るので、光源装置としての性能を上げることができる。
【0094】
また、この方法によれば、第1の光量は、蛍光体32が第1集光レンズ20の焦点位置
に配置されたときに、励起光による蛍光体32の温度上昇又は光飽和の現象により発光効
率の低下がほとんど生じない光量である。このため、励起光を第1集光レンズ20を介し
て蛍光体32に入射させる際、励起光の焦点位置において蛍光体32の温度上昇や光飽和
により、蛍光体32の発光効率が低下する。このような現象を利用することにより、励起
光の集光位置の調整を容易に行うことができる。
【0095】
また、この方法によれば、励起光源10を構成する複数のレーザー光源12から第2の
光量の励起光としてレーザー光を射出させているので、励起光源10のパワーを向上させ
ることができる。このため、励起光を第1集光レンズ20を介して蛍光体32に入射させ
る際、励起光の焦点位置において蛍光体32の温度上昇や光飽和により、蛍光体32の発
光効率が低下する。このような現象を利用することにより、励起光の集光位置の調整を容
易に行うことができる。
【0096】
また、この方法によれば、励起光源10をパルス駆動させるので、蛍光体32への未照
射時間がある。そのため、励起光源10を連続駆動した場合に比べて、高い励起光量を蛍
光体32に入射させることが可能となる。よって、蛍光体32の発光効率が低下する現象
を利用した励起光の集光位置の調整を容易に行うことができる。
【0097】
また、この方法によれば、回転蛍光板30を回転させるので、いったん蛍光体32に励
起光が照射されると次に照射されるまでに未照射時間がある。そのため、蛍光体32を固
定した場合に比べて、高い励起光量を蛍光体32に入射させることが可能となる。よって
、蛍光体32の発光効率が低下する現象を利用した励起光の集光位置の調整を容易に行う
ことができる。
【0098】
本実施形態の光源装置によれば、演算装置COMにより、相対位置ごとの蛍光体32の
第1の発光効率E1と蛍光体32の第2の発光効率E2との比が演算される。このため、
蛍光が検出装置SENの検出領域に入りきらない部分の蛍光の光量を相殺(いわゆる蹴ら
れ部分を解消)し、励起光の集光位置を精度良く調整することができる。また、第1位置
調整機構34により、相対位置ごとの蛍光体32の第1の発光効率E1と蛍光体32の第
2の発光効率E2との比が最も大きくなるときの位置に第1集光レンズ20と蛍光体32
との相対位置が調整される。すなわち、蹴られ部分を解消することができ、励起光の集光
位置を精度良く調整することができる。また、本発明の構成では蛍光体32を配置したま
ま第1集光レンズ20と蛍光体32との相対位置を調整する構成を採用しており、調整の
過程で蛍光体を取り外したり改めて配置したりする必要がない。このため、励起光の集光
位置の調整に時間がかかったりずれが生じたりすることもない。よって、励起光の集光位
置を短時間で正確に調整することができる。ゆえに、蛍光体の位置を容易に調整できる。
【0099】
また、この構成によれば、蛍光体32の光量を検出する場合には、検出装置SENは蛍
光の光路上に配置され、蛍光体32の光量を検出しない場合(例えば光源装置100を実
際に使用する場合)には、検出装置SENは蛍光の光路外に退避される。この構成におい
ては、検出装置SENを取り付けたり取り外したりする必要がないので、励起光の集光位
置を短時間で調整することができる。
【0100】
また、この構成によれば、励起光源10がレーザー光源アレイであるので、励起光源1
0のパワーを向上させることができる。このため、励起光を第1集光レンズ20を介して
蛍光体32に入射させる際、励起光の焦点位置において蛍光体32の温度上昇や光飽和に
より、蛍光体32の発光効率が低下する。このような現象を利用することにより、励起光
の集光位置の調整を容易に行うことができる。
【0101】
また、この構成によれば、蛍光体32の励起光が入射する部分が時間的に変動するため
、蛍光体を固定した場合に比べて、蛍光体32の温度上昇を抑えることができる。また、
蛍光体の固定時より高い励起光量を蛍光体32に入射させることが可能となる。よって、
励起光の光量に対する蛍光の光量が低下する現象を利用した励起光の集光位置の調整を容
易に行なうことができる。
【0102】
本実施形態のプロジェクター1000によれば、上述した光源装置100を備えている
ので、表示品質に優れたプロジェクター1000を提供することができる。
【0103】
なお、本実施形態の光源装置の調整方法では、第2の工程において変更した相対位置ご
とに第1の蛍光の光量を求め、第4の工程において変更した相対位置ごとに第2の蛍光の
光量を求め、第5の工程において相対位置ごとの蛍光体32の発光効率比E1/E2のう
ち発光効率比が最も大きくなるときの位置に第1集光レンズ20と蛍光体32との相対位
置を調整しているが、これに限らない。
【0104】
図11は、光源装置の調整方法のフローチャートの変形例である。
【0105】
まず、励起光源10から射出された第1の光量の励起光を第1集光レンズ20により集
光させて回転蛍光板30(蛍光体32)に入射させる(ステップS1A、第1の工程)。
次に、検出装置SENを蛍光体32から射出される蛍光の光路上に配置する。
【0106】
第1の光量は、蛍光体32が第1集光レンズ20の焦点位置に配置されたときに、励起
光による蛍光体32の温度上昇又は光飽和の現象により発光効率の低下がわずかに生ずる
程度の光量である。例えば、第1の光量の光量は2W程度である。
【0107】
次に、第1の光量の励起光を受けて蛍光体32から放射された蛍光の光量を検出装置S
ENにより検出する(ステップS2A、第2の工程)。
【0108】
次に、励起光源10から射出された第2の光量の励起光を第1集光レンズ20により集
光させて回転蛍光板30(蛍光体32)に入射させる(ステップS4A、第3の工程)。
第3の工程においては、励起光源10を構成する複数のレーザー光源12から第2の光量
の励起光としてレーザー光を射出させる。
【0109】
第2の光量は、蛍光体32が第1集光レンズ20の焦点位置に配置されたときに、励起
光による蛍光体32の温度上昇又は光飽和の現象により発光効率の低下が生じる光量であ
る。例えば、焦点位置の調整の際に利用する光量は30W程度(実際にプロジェクターに
搭載する光源装置として使用する際に利用する光量と同程度)とする。
【0110】
次に、第2の光量の励起光を受けて蛍光体32から放射された蛍光の光量を検出装置S
ENにより検出する(ステップS5A、第4の工程)。
【0111】
ステップS1AからステップS2A、ステップS3AからステップS4Aにおいては、
励起光源10をパルス駆動させて励起光源10から第2の光量の励起光を間欠的に射出さ
せる。また、回転蛍光板30を回転させて、蛍光体32の第2の励起光が入射する部分を
時間的に変動させる。また、励起光源10を構成する複数のレーザー光源12から励起光
として一定強度のレーザー光を射出させる。
【0112】
次に、変更した相対位置ごとに蛍光体32の第1の蛍光の光量V1と蛍光体32の第2
の蛍光の光量V2との比を演算して蛍光体32の蛍光の光量比V1/V2を求める(ステ
ップS7A)。
【0113】
次に、変更した相対位置ごとに求められた蛍光体32の蛍光の光量比V1/V2のうち
光量比が最も大きくなるときの位置に第1集光レンズ20と蛍光体32との相対位置を調
整する(ステップS8A、第5の工程)。
【0114】
この方法によれば、変更した相対位置ごとに求められた蛍光体32の蛍光の光量比V1
/V2のうち光量比が最も大きくなるときの位置に第1集光レンズ20と蛍光体32との
相対位置が調整される。すなわち、励起光の光量が一定である場合には、発光効率の変化
は蛍光の光量の変化と相関を持つ。よって、蛍光の光量が最も小さくなる位置が励起光の
集光位置であるため、蛍光の光量の最も小さい位置に蛍光体32を位置決めすることで、
励起光の焦点位置に蛍光体32を配置することができる。また、2つの光量の励起光を利
用することにより、蛍光が検出領域に入りきらない部分の光量を相殺(いわゆる蹴られ部
分を解消)している。このため、励起光の集光位置を精度良く調整することができる。
【0115】
また、本実施形態の光源装置の調整方法において、励起光として実際に光源として使用
する光量よりも大きい光量の励起光を蛍光体32に照射して第1集光レンズ20と蛍光体
32との相対位置を調整してもよい。例えば、焦点位置の調整の際に利用する光量を45
W程度とする。
【0116】
この方法によれば、蛍光体の励起光の光量に対する蛍光の光量の低下が大きくなるため
、測定精度が向上する。
【0117】
また、本実施形態の光源装置の調整方法では、第1の工程において、励起光源10を構
成する複数のレーザー光源12から励起光としてレーザー光を射出させているが、これに
限らない。例えば、励起光源10を構成するレーザー光源12以外の光源(別の光源)を
使用してレーザー光を射出させてもよい。
【0118】
また、本実施形態の光源装置の調整方法では、第2の工程及び第4の工程において、励
起光源10をパルス駆動させて励起光源10から励起光を間欠的に射出させているが、こ
れに限らない。例えば、第2の工程及び第4の工程において、励起光源10を連続駆動さ
せて励起光源10から励起光を連続的に射出させてもよい。
【0119】
また、本実施形態の光源装置の調整方法では、第2の工程及び第4の工程において、蛍
光体32の励起光が入射する部分を時間的に変動させているが、これに限らない。例えば
、第2の工程及び第4の工程において、蛍光体32の励起光が入射する部分を固定しても
よい。
【0120】
また、本実施形態の光源装置の調整方法では、蛍光体32を励起光の集光位置に配置す
るように調整しているが、これに限らない。例えば、この光源装置を備えた機器の全体の
光学系の特性を考慮して、蛍光体32を励起光の集光位置から所定の距離だけずらした位
置に配置してもよい。この場合、初めに励起光の集光位置を求め、次にその集光位置を基
準にして蛍光体32を配置すべき位置を求め、蛍光体32を所望の位置に配置する。この
場合でも、励起光の集光位置を容易に求めることができるため、それに基づく蛍光体32
の位置を容易に調整できる。
【0121】
また、本実施形態の光源装置の調整方法では、第1集光レンズ20と蛍光体32との相
対位置を変更し、変更した相対位置ごとに第1の光量の励起光を受けて蛍光体32から放
射された蛍光の光量を検出装置SENにより検出し、第1集光レンズ20と蛍光体32と
の相対位置を変更し、変更した相対位置ごとに第2の光量の励起光を受けて蛍光体32か
ら放射された蛍光の光量を検出装置SENにより検出しているが、これに限らない。第1
集光レンズ20と蛍光体32との相対位置を変更し、変更した相対位置ごとに第1の光量
の励起光を受けて蛍光体32から放射された蛍光の光量を検出装置SENにより検出し、
相対位置はそのままの状態で励起光の光量を変えて、第2の光量の励起光を受けて蛍光体
32から放射された蛍光の光量とを検出装置SENにより検出してもよい。
【0122】
また、本実施形態の光源装置の調整方法では、変更した相対位置ごとに蛍光体32の第
1の発光効率E1と蛍光体32の第2の発光効率E2との比を演算して蛍光体32の発光
効率比E1/E2を求めているが、これに限らない。第1の光量の励起光に対する測定と
第2の光量の励起光に対する測定とで測定する相対位置を変えてもよい。そのうえで、第
1の発光効率と第2の発光効率とを例えばグラフ化し、同じ相対位置での第1の発光効率
と第2の発光効率とから発光効率比を求めてもよい。
【0123】
また、本実施形態のプロジェクター1000では、液晶光変調装置として3つの液晶光
変調装置を用いたが、これに限らない。1つ、2つ又は4つ以上の液晶光変調装置を用い
たプロジェクターにも適用可能である。
【0124】
また、本実施形態のプロジェクター1000では、透過型のプロジェクターを用いたが
、これに限らない。例えば、反射型のプロジェクターを用いてもよい。ここで、「透過型
」とは、透過型の液晶表示装置等のように光変調手段としての光変調装置が光を透過する
タイプであることを意味している。「反射型」とは、反射型の液晶表示装置等のように光
変調手段としての光変調装置が光を反射するタイプであることを意味している。反射型の
プロジェクターに本発明を適用した場合にも、透過型のプロジェクターと同様の効果を奏
することができる。
【0125】
本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクターに適用す
る場合にも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクター
に適用する場合にも、適用することができる。
【0126】
上記各実施形態においては、本発明の照明装置をプロジェクターに適用した例について
説明したが、これに限らない。例えば、本発明の照明装置を他の光学機器(例えば、光デ
ィスク装置、自動車のヘッドランプ、照明機器等)に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0127】
10…励起光源、12…レーザー光源、20…第1集光レンズ(集光手段)、31…回転
板、32…蛍光体、34…マイクロメーター(位置調整機構)、100…光源装置、40
0R,400G,400B…液晶光変調装置(光変調装置)、600…投写光学系、100
0…プロジェクター、COM…演算装置、SEN…検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光源から射出された第1の光量の励起光を集光手段により集光させて蛍光体に入射
させる第1の工程と、
前記集光手段と前記蛍光体との相対位置を変更し、変更された相対位置ごとの前記第1
の光量の励起光を受けて前記蛍光体から放射された第1の蛍光の光量を検出する第2の工
程と、
前記第1の光量の励起光よりも光量が大きい第2の光量の励起光を集光手段により集光
させて蛍光体に入射させる第3の工程と、
前記集光手段と前記蛍光体との相対位置を変更し、変更された相対位置ごとの前記第2
の光量の励起光を受けて前記蛍光体から放射された第2の蛍光の光量を検出する第4の工
程と、
前記相対位置ごとの前記第1の励起光の光量に対する前記第1の蛍光の光量と前記第2
の励起光に対する前記第2の蛍光の光量との比のうち光量比が最も大きくなるときの位置
に基づいて前記集光手段と前記蛍光体との相対位置を調整する第5の工程と、
を有することを特徴とする光源装置の調整方法。
【請求項2】
前記第5の工程においては、変更した相対位置ごとの、前記蛍光体に入射する前記第1
の光量の励起光に対する前記蛍光の光量の比である前記蛍光体の第1の発光効率E1と、
前記蛍光体に入射する前記第2の光量の励起光に対する前記蛍光の光量の比である前記蛍
光体の第2の発光効率E2との比を、前記蛍光体の発光効率比E1/E2とし、前記蛍光
体の発光効率比E1/E2を前記第1の励起光の光量に対する前記第1の蛍光の光量と前
記第2の励起光の光量に対する前記第2の蛍光の光量との比として利用し、前記集光手段
と前記蛍光体との相対位置を調整することを特徴とする請求項1に記載の光源装置の調整
方法。
【請求項3】
前記第2の光量は、前記蛍光体が前記集光手段の焦点位置に配置されたときに、前記第
2の光量の励起光による前記蛍光体の温度上昇又は光飽和の現象により発光効率の低下が
生じる光量であることを特徴とする請求項1または2に記載の光源装置の調整方法。
【請求項4】
前記励起光源を構成する複数のレーザー光源から前記第2の光量の励起光としてレーザ
ー光を射出させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光源装置の調整
方法。
【請求項5】
前記第1の光量および前記第2の光量の励起光を、前記励起光源をパルス駆動させて間
欠的に射出させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光源装置の調整
方法。
【請求項6】
前記蛍光体の前記第1の光量および前記第2の光量の前記励起光が入射する部分を時間
的に変動させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光源装置の調整方
法。
【請求項7】
励起光として実際に光源として使用する光量よりも大きい光量の励起光を前記蛍光体に
照射して前記集光手段と前記蛍光体との相対位置を調整することを特徴とする請求項1〜
6のいずれか一項に記載の光源装置の調整方法。
【請求項8】
励起光の光量を変更可能な励起光源と、
前記励起光源から射出された励起光を集光する集光手段と、
前記集光手段により集光された励起光を受けて蛍光を放射する蛍光体と、
前記蛍光体から放射された蛍光の光量を検出する検出装置と、
前記集光手段と前記蛍光体との相対位置を変更し、前記蛍光体に入射する第1の励起光
の光量に対する第1の蛍光の光量と、前記第1の光量の励起光よりも光量が大きい第2の
励起光の光量に対する第2の蛍光の光量と、の比が最も大きくなる位置に基づいて前記集
光手段と前記蛍光体との相対位置を調整する位置調整機構と、
を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項9】
前記位置調整機構は、前記集光手段と前記蛍光体との相対位置を変更し、前記蛍光体に
入射する第1の励起光の光量に対する第1の蛍光の光量の比である前記蛍光体の第1の発
光効率E1と、前記第1の光量の励起光よりも光量が大きい第2の励起光の光量に対する
第2の蛍光の光量の比である前記蛍光体の第2の発光効率E2との比、である前記蛍光体
の発光効率比E1/E2が最も大きくなる位置に基づいて前記集光手段と前記蛍光体との
相対位置を調整することを特徴とする請求項8に記載の光源装置。
【請求項10】
前記検出装置は、前記蛍光体から放射された蛍光の光路に対して進退自在に構成されて
いることを特徴とする請求項8または9に記載の光源装置。
【請求項11】
前記励起光源は、前記励起光を射出する複数のレーザー光源が配列されたレーザー光源
アレイであることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項12】
前記蛍光体は、回転駆動される回転板の回転方向に沿って円環状に形成されており、
前記回転板を回転駆動することにより、前記蛍光体の前記励起光が入射する部分が時間
的に変動されることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置から射出された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置からの変調光を投写画像として投写する投写光学系と、
を備えることを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−221820(P2012−221820A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87982(P2011−87982)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】