説明

光源装置及びこれを備えたプロジェクタ

【課題】ランプ全体の冷却効率を高め、良好な点灯を長時間維持可能とした光源装置及びこれを備えたプロジェクタを提供する。
【解決手段】本発明は、マイクロ波を出力するマイクロ波電源部200と、マイクロ波の照射を受けて発光するマイクロ波励起ランプ32と、マイクロ波電源部200とマイクロ波励起ランプ32とを接続する伝送路400と、終端側の同軸ケーブル142及びマイクロ波励起ランプ32と略同軸位置に設けられ、同軸ケーブル142の一部外周及びマイクロ波励起ランプ32の一部を取り囲む筒状の空洞同軸部44とを有し、空洞同軸部44と同軸ケーブル142との間に伝送路に沿う方向の空気流路Rが形成され、空気流路Rが、マイクロ波励起ランプ32を冷却するための冷却空気を流通させる光源装置2とプロジェクタである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置及びこれを備えたプロジェクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクタに用いられる光源装置として、マイクロ波放電方式を用いた無電極光源が提案されてきている。無電極光源は、従来の白熱灯や高圧水銀ランプに代表される電極放電式ランプとは異なり発光管内部に放電用の電極を有しないので、電極の消耗やそれに伴う発光管の白濁や黒化等に起因する発光管の劣化が抑制される。また、発光管内に封入される発光物質の選択肢が広がり、必ずしも水銀を使用する必要がないので不必要な紫外線を放出せずに済み、プロジェクタ向けの長寿命光源として期待されている。
このようなマイクロ波放電方式の光源装置では、発光管内に封入された発光物質がマイクロ波によって励起されてプラズマ発光する構成であることから、長時間点灯させるとランプ全体が高温になって破損する虞がある。
【0003】
光源装置の冷却技術としては、マイクロ波の放電を集中させる放電コンセントレータに、その先端から公報に向かって熱を移送する熱移送手段を備えた構造や(特許文献1参照)、発光管に冷却風を当てることで発光管の温度上昇を防止する冷却用送風機構を備えた構造(特許文献2参照)が開示されている。
【特許文献1】特開2002−75290号公報
【特許文献2】特開平5−54861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、放電コンセントレータが発光管内に封入されているためランプの外部に熱を移送させることができず、長時間点灯させた場合には発光管内に熱がこもってしまう虞がある。また、特許文献2では、冷却用送風機構が発光管の端部に外装される口金に一体形成されているものの、発光管の上部に向けて冷却風を送風する構成となっている。そのため、発光管の一部にしか冷却風を当てることができず、発光管全体を冷却することは困難である。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、ランプ全体の冷却効率を高め、良好な点灯を長時間維持可能とした光源装置及びこれを備えたプロジェクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、マイクロ波を出力するマイクロ波電源と、マイクロ波の照射を受けて発光するマイクロ波励起ランプと、前記マイクロ波電源と前記マイクロ波励起ランプとを接続する伝送線路と、前記伝送線路及び前記マイクロ波励起ランプと略同軸位置に設けられ、前記伝送線路の一部外周及び前記マイクロ波励起ランプの一部を取り囲む筒状の同軸部とを有し、前記同軸部と前記伝送線路との間に、該記伝送線路に沿う方向に冷却空気を流通させる空気流路が形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、マイクロ波電源から出力されたマイクロ波が伝送線路を介してマイクロ波励起ランプへと伝送され、そのマイクロ波によってマイクロ励起ランプがプラズマ発光する。そのため、長時間点灯させた場合にマイクロ波励起ランプが高温となるが、同軸部から送出される冷却空気によって、発熱するマイクロ波励起ランプを効率よく冷却することができる。また、筒状の同軸部を伝送線路及びマイクロ波励起ランプに略同軸で外装させることにより、導入した冷却空気をマイクロ波励起ランプ全体に向けて送出することができる。その結果、マイクロ波励起ランプ全体に冷却空気を当てることができるようになり、マイクロ波励起ランプの冷却効率を向上させることができる。
【0008】
また、前記マイクロ波励起ランプは、マイクロ波の照射を受けて発光する発光物質が封入された発光管と、該発光管内で互いの端部が所定間隔をおいて対向配置された一対のアンテナと、を備え、前記伝送線路が、前記一対のアンテナのいずれかに接続される内部導体と、該内部導体を覆う外部導体とを有し、前記同軸部内において、前記内部導体の一部が前記外部導体から露出していることが好ましい。
本発明によれば、同軸部内(空気流路)を流通する冷却空気によって、アンテナに接続されている内部導体の露出部分が直接冷却されるので、内部導体の熱伝導性が向上し、プラズマを照射する(マイクロ波電位が集中する)ことによって発熱するアンテナの熱を効率よく放熱することができる。
【0009】
また、前記内部導体の表面が、凹凸形状とされていることが好ましい。
本発明によれば、内部導体の表面積が増加するので、露出部分における放熱効率が向上し、アンテナの熱を内部導体を介して逃がすことができる。
【0010】
また、前記同軸部が、筒状の本体部と該本体部と一体に形成された拡径部とにより漏斗形状とされ、前記拡径部の端部における空気導入口の口径と前記本体部の内径との差が、マイクロ波の1/4波長よりも小さいことが好ましい。
本発明によれば、同軸部にチョーク効果を持たせることができるので、マイクロ波が、例えば同軸部の空気導入口から外部に漏洩することを抑制することができる。また、漏斗形状とすることで、空気導入口からより多くの空気を導入でき、マイクロ波励起ランプに向けて効率よく冷却空気を送出することができる。
【0011】
また、前記外部導体の前記マイクロ波励起ランプに接続される側の端部が、前記同軸部の前記本体部内に配置されていることが好ましい。
本発明によれば、同軸部内において内部導体の一部が露出している場合でも、マイクロ波の漏洩を防止でき、マイクロ波の伝送効率を向上させることができる。
【0012】
また、前記同軸部がグランド電位であることが好ましい。
本発明によれば、同軸部を外部導体として機能させることができ、同軸部内で露出する内部導体とでマイクロ波を伝送することができる。
【0013】
また、前記伝送線路と前記マイクロ波励起ランプとの間の特性インピーダンスを整合するマッチング回路が設けられていることが好ましい。
本発明によれば、マッチング回路によって、伝送線路における反射波を低減するようにインピーダンスを整合し、反射波による伝送損失を低減することができる。そのため、マイクロ波励起ランプに対し、省電力でマイクロ波を連続的に発振することができる。これにより、光源装置全体のエネルギー効率を高めることができる。
【0014】
また、前記一対のアンテナにそれぞれ前記伝送線路が接続されているとともに、前記各伝送線路に前記同軸部がそれぞれ設けられていることが好ましい。
本発明によれば、マイクロ波励起ランプの両側から各アンテナに対してマイクロ波の電力を供給することができる。また、マイクロ波励ランプの両側から冷却空気を当てることが可能となり、マイクロ波励起ランプの冷却効率をより一層向上させることができる。また、各伝送線路に供給するマイクロ波の電力を半分にすることができるので、例えば、安価な省電力のマイクロ波電源を2つ用いることができる。
【0015】
また、前記発光管内における前記一対のアンテナと、該一対のアンテナの対向端部間の距離を含めた長さが、マイクロ波の1/2波長の整数倍となることが好ましい。
本発明によれば、マイクロ派が照射される一対のアンテナの対向する端部間、すなわちマイクロ波励起ランプの中央(アンテナ間のギャップの中央)においてマイクロ波の電界の振幅が腹になるようにすることができる。
【0016】
また、前記空気流路に空気を流通させる流通手段を有することが好ましい。
本発明によれば、冷却空気の送出量や送出時間を適宜調整することができ、より効率よくマイクロ波励起ランプを冷却することができる。
【0017】
本発明のプロジェクタは、上記光源装置と、前記光源装置から射出された光束を、入力された画像情報に応じて変調し光学像を形成する光変調部と、前記光変調部により形成された前記光学像を投射する投射部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、マイクロ波励起ランプの温度上昇を防止して長寿命化を実現することが可能で、省力化を図ることが可能なプロジェクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0019】
以下に説明する各実施形態の光源装置は、後述のプロジェクタに組み込まれるものである。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は本実施形態の光源装置の概略を示す模式図である。図2(a)は、空洞同軸部の空気導入口側から見た平面図、図2(b)は、空洞同軸部及び同軸ケーブルの概略構成を示す模式図である。
【0021】
一般にマイクロ波帯としての慣用的周波数は、3GHz〜30GHzを言うが、本案件では、UHF帯からSHF帯に相当する300MHz〜30GHz帯と定義する。
【0022】
本実施形態の光源装置2は、図1に示すように、マイクロ波電源部200と光源部300とを有して構成されている。ここで、マイクロ波電源部200は、マイクロ波を発振する機能を有し、光源部300は、マイクロ波電源部200から発振されたマイクロ波により光束を出射する機能を有し、これらマイクロ波電源部200と光源部300とが同軸ケーブル42を介して接続されている。
【0023】
マイクロ波電源部200は、図6に示すように、固体高周波発振部20、パワーモニタ22、制御回路21、サーキュレータ23、マッチング回路24とを有し、それぞれを接続する伝送線路として同軸ケーブル42が使用されている。この複数の同軸ケーブル42によって、固体高周波発振部20からマイクロ波励起ランプ32までマイクロ波を伝送する伝送路400が構成されている。
【0024】
伝送路400における終端側の同軸ケーブル42(マイクロ波励起ランプ32に接続されている同軸ケーブル142)には、該同軸ケーブル142の一部外周及びマイクロ波励起ランプ32の一部を取り囲む筒状の空洞同軸部44が設けられている。この空洞同軸部44と同軸ケーブル142とによって、マイクロ波励起ランプ32に対して冷却空気を送出することにより当該マイクロ波励起ランプ32の冷却が可能となっている。この空洞同軸部44については後程詳述する。
【0025】
光源部300は、図1に示すように、マイクロ波励起ランプ32と、リフレクタ34と、反射器36とを有して構成され、マイクロ波電源部200から伝送路400を介して導入されたマイクロ波によって発光する。
【0026】
まず、マイクロ波励起ランプの構成について詳述する。
マイクロ波励起ランプ32は、例えば石英ガラス等の非導電性材料から形成される発光管10と、この発光管10内に配置される一対のアンテナ11a,11bとを備えている。発光管10の形成材料としては、透明セラミックスや透明サファイヤなどを用いても良く、これにより、発光管10の光透過率や耐熱性を向上させることができる。発光管10は、中央部分が略球状に膨出した膨出部10Aと、膨出部10Aの両側に延在する細管部10B,10Cとを有して構成されている。
【0027】
膨出部10A内に形成された発光空間Kには、マイクロ波によって発光する発光物質が充填されている。発光空間Kの内径は、例えば1〜2mm程度である。発光物質としては、点灯中の水銀蒸気圧が1〜200気圧程度(超高圧水銀ランプ)になるように水銀を封じ込めたものか、キセノンガスにヨウ化ナトリウムやヨウ化スカンジウムを用いたものを用いてもよい。超高圧に封入することで、マイクロ波の励起によって十分な輝度を得ることができる。
【0028】
アンテナ11a,11bは、例えば熱膨張係数が小さく耐熱性が高い導電性材料、具体的にはタングステン合金やステンレス合金等からなることが好適である。そして、各細管部10B内にそれぞれに挿入され、膨出部10Aの発光空間K内において先端同士を対向させ且つ互いに所定間隔(以下、ギャップgと呼ぶこともある)をおいて配置されている。なお、ギャップgはなるべく小さいほうが好ましく、これによって点光源に近い高輝度発光を得ることができる。
【0029】
アンテナ11a,11bは、先端に向かって先鋭形状となっている。これにより、マイクロ波の放射指向性が向上し、発光管10の中央部にマイクロ波を集中させることができる。また、低エネルギーのマイクロ波であっても発光物質を効率よく励起させることが可能となる。
【0030】
図1では、アンテナ11a,11bの先端が僅かに発光空間K内に侵入しているが、発光空間K内に侵入しなくても構わない。アンテナ11a,11bの先端が発光空間K内に侵入している場合には、発光空間K内に充填された発光物質の種類にもよるが、発光物質との反応によってアンテナ11a,11bの金属が腐食することが考えられるので、その場合には、アンテナ11a,11bの先端を保護膜で被覆しておくことが好ましい。
【0031】
さらに、アンテナ11a,11bの一部を箔状としても良く、例えば、アンテナ11a,11bにモリブデン製の金属箔12を接続することが好ましい。これによって、石英ガラスとの熱膨張率差を打ち消すことができ、発光空間K内の気密性を維持することが可能となる。
【0032】
伝送路400を構成する各同軸ケーブル42は、図2(a),(b)に示す内部導体42Aと、これを覆う外部導体42Bと、さらに内部導体42Aと外部導体42Bとの間に介在する誘電体42C(絶縁体)とから構成されている。例えば、内部導体42A及び外部導体42Bには銅が用いられ、誘電体42Cには、マイクロ波に対して誘電体損失の少ないPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などが用いられる。PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を用いることにより、誘電体損失を低く抑えることができる。なお、内部導体42Aを構成する銅線の表面には銀メッキ処理が施されていることが好ましく、これによって少ない損失でマイクロ波を伝送することができる。
【0033】
図3に、内部導体の断面形状を示す。
図3に示すように、本実施形態における内部導体42Aは、その表面が凹凸形状とされている。詳細には、内部導体42Aの周方向に凸条48と凹条49(溝)とが繰り返し存在する形状とされ、凹凸のない場合に比べて内部導体42Aの表面積を大幅に増加させている。
【0034】
伝送路400(各同軸ケーブル42)の特性インピーダンスは、内部導体42A及び外部導体42Bの距離と、これらの間に介在する誘電体42Cの比誘電率(絶縁部材の静電容量)との関係により50Ωに保持されている。
【0035】
そして、伝送路400における終端側の同軸ケーブル42(142)の内部導体42Aがマイクロ波励起ランプ32のアンテナ11aに接続される。
【0036】
同軸ケーブル142の一端(アンテナ11aに接続される側の端部)は、外部導体42B及び誘電体42Cが所定の寸法で除去され、内部導体42Aが引き出されている。すなわち、内部導体42Aの端部は、外部導体42B及び誘電体42Cによって被覆されておらず露出している。以下、この部分を露出部42aと呼ぶ。
【0037】
この同軸ケーブル142には空洞同軸部44が設けられている。
【0038】
次に、空洞同軸部について詳述する。
空洞同軸部44は、マイクロ波励起ランプ32を冷却するための冷却空気を送出する機能を有している。図2(a),(b)に示すように、空洞同軸部44は、導電性材料である金属からなり、円筒形状の本体部44Aと該本体部44Aの端部に一体形成される拡径部44Bとを備えた漏斗形状を呈している。そして、同軸ケーブル142の一部外周及びマイクロ波励起ランプ32の一部を取り囲むようにして、マイクロ波励起ランプ32の近傍に外装されている。詳細には、空洞同軸部44の本体部44Aが、同軸ケーブル142の内部導体42Aの露出部42aを覆うとともに、本体部44A内に軸ケーブル142の外部導体42Bの端部が位置するように配置されている。
【0039】
拡径部44Bは、本体部44Aの周縁から径方向外側に拡がるフランジ形状とされており、本体部44Aとは反対側の開口が冷却空気を導入させるための空気導入口44bとされている。
【0040】
このような空洞同軸部44を同軸ケーブル142に外装させることにより、空洞同軸部44と同軸ケーブル142との間に同軸ケーブル142に沿う方向の空気流路Rが形成される。そして、空気導入口44bから空洞同軸部44内に導入された冷却空気が空気流路Rを流通し、空気導出口44aからマイクロ波励起ランプ32へ向かって送出される。
【0041】
なお、空洞同軸部44内に外気を冷却空気として導入させるための手段、すなわち、空気流路Rに冷却空気を流通させるための流通手段としては、後述のプロジェクタ100(図8参照)の内部に設置されるファン(不図示)が用いられる。空洞同軸部44内に導入された空気は、本体部44Aの空気導出口44aからマイクロ波励起ランプ32に向けて送出される。この空洞同軸部44から送出される冷却空気によって、マイクロ波励起ランプ32を冷却することができる。
また、これに限らず光源装置2内に流通手段を備えるようにしても良い。
【0042】
上述したように、同軸ケーブル142の内部導体42Aの一部が、空洞同軸部44内において露出している。そのため、空洞同軸部44が同軸ケーブル142の外部導体42Bと同じ働きをする。また、空洞同軸部44と内部導体42A(露出部)との間に導入される空気がこれらを絶縁する絶縁体となる。これにより、空洞同軸部44が内部導体42A(露出部42a)との間でマイクロ波を伝送することになる。
【0043】
空洞同軸部44の特性インピーダンスZは、下記の式で表される。
ここで、d:内部導体42Aの外径、D:本体部44Aの内径、ε:空気の比誘電率とする。
【0044】
【数1】


【0045】
図2(b)に示すように、空洞同軸部44における本体部44Aの内径Dと、同軸ケーブル142の内部導体42Aの外径dとの最適な導体径比は、空洞同軸部44の特性インピーダンスZの値を50Ωとすると、本体部44Aと内部導体42Aとの絶縁体が空気(比誘電率は1)であることから、上式より、D/d=2.3となる。ここで例えば、内部導体42Aの外径dが2mmの場合、本体部44Aの内径Dは4.6mmとなり、本体部44Aと内部導体42Aとの間には、厚さ2.6mmの空気層が介在することになる。この構成により、同軸ケーブル142と同じ50Ωの特性インピーダンスを維持できるようになっている。
【0046】
このように、本体部44Aの内径Dを上記式1を用いて設定し、これに応じて空洞同軸部44の軸方向長さを適宜設定することによって、空洞同軸部44の特性インピーダンスの値を、同軸ケーブル142の特性インピーダンスの値と同じ50Ωに保持する。その結果、信号伝達において損失を生じさせることなく、マイクロ波を効率よくマイクロ波励起ランプ32へと供給することができる。
【0047】
また、空気導入口44bの口径Dと、空洞同軸部44の内径Dとの差がマイクロ波の1/4波長を越えないようにすることで、空洞同軸部44にチョーク効果を持たせることができ、マイクロ波が外部に漏洩することが防止される。
【0048】
また、空洞同軸部44には、同軸ケーブル142に装着させるための装着部45が設けられている。装着部45は、絶縁性材料から形成された複数の保持板46からなり、拡径部44Bの内面に垂直姿勢で立設されている。各保持板46は、拡径部44Bの周方向に等間隔で配置され、中心軸を介して対向する保持板46の端部46a同士の間に同軸ケーブル142が挿入され保持されている。
【0049】
なお、保持板46の軸方向に沿う長さは、例えばフレキシブル性を有する同軸ケーブル142の、少なくとも発光管10に接続される側の端部を、中心軸と平行に保持可能とする長さに適宜設定する。また、本実施形態では4つの保持板46を設けるとしたが、これに限ったものではなく、増やしても良い。
【0050】
図1に示すリフレクタ34は、空洞同軸部44が挿入される挿入部34Aと、この挿入部34Aから拡がる方物曲面状の光束反射面34bを有した反射部34Bとを備えたガラス製の一体形成品であり、例えば石英ガラスから構成される。挿入部34Aには、中央に挿入孔34aが形成されており、その挿入孔34a内に空洞同軸部44が配置される。光束反射面34bは、マイクロ波を透過するとともに発光管10から入射する光束を反射する誘電体多層膜によって構成されている。また、光束反射面34bの二つの焦点位置の一方と一対のアンテナ11a,11bの中心位置(ギャップgの位置)とが略一致するように構成されていることが好ましい。
なお、光束反射面34bの形状は、収束性の面では方物面形状の曲面を有することが好ましいが、製造簡易性の面では球面形状とする方が有利である。
【0051】
反射器36は、方物曲面状の反射面36aを発光管10の膨出部10Aに向けるとともにリフレクタ34と対向配置されている。この反射器36は、例えば導電性材料である金属部材から構成されるものであって、リフレクタ34よりも小型の反射部材である。反射面36aは、その焦点位置と、発光管10内のアンテナ11a,11b間のギャップgとが略一致するように構成されている。この反射面36aによってマイクロ波を反射する。
【0052】
図4(a)は固定治具の構成を示す斜視図、図4(b)は光源部の固定状態を示す断面図である。
また、光源装置2は、光源部300を後述のプロジェクタ100(図8参照)の本体内に固定するための固定治具50を有している。固定治具50は、金属材料からなるT継ぎ手などにより構成され、プロジェクタ100の本体に固定される板状の固定部51と、固定部51に対して垂直姿勢とされた板状の保持部52とからなる。保持部52の面内中央部には、板厚方向を貫通する貫通孔52aが形成されており、空洞同軸部44を挿通可能とする孔径で形成されている。このような固定治具50は、プロジェクタ100の本体内において、光源部300の光束が予め設定された所定の照明光軸と一致するように光源部300を位置決め固定する。
【0053】
空洞同軸部44はグランド電位とされており、これによって空洞同軸部44を外部導体として機能させることができる。その結果、内部導体42Aの露出部42bを冷却空気によって冷却するのと同時にマイクロ波をマイクロ波励起ランプ32へと伝送することが可能となっている。
【0054】
なお、図5に示す固定治具55のように、空洞同軸部44を挿通させることなく保持する構成としてもよく、これにより光源部300を組み立てた後に固定治具55に取り付けることができるので、作業性が良く簡単に製造することができる。
【0055】
(マイクロ波電源部)
図6は、マイクロ波電源部の概略構成を示すブロック図である。
図6に示すように、マイクロ波電源部200は、高周波信号を出力する固体高周波発振部20(マイクロ波電源)と、反射波強度を検出するパワーモニタ22と、反射波強度から反射率を求めてアンプ29を制御する制御部21と、信号の流れる方向に制限をつけるサーキュレータ23と、固体高周波発振部20とマイクロ波励起ランプ32との特性インピーダンスのマッチングを行うマッチング回路24とを有して構成されている。
【0056】
固体高周波発振部20は、電源(不図示)と、固体高周波発振器である弾性表面波(Surface Acoustic Wave:SAW)発振器としてのダイヤモンドSAW発振器28と、アンプ29とを有して構成される。
【0057】
電源(不図示)は、駆動信号に基づいて、ダイヤモンドSAW発振器28と、アンプ29とに電力を供給する。ダイヤモンドSAW共振器28は、アンプ29の前段に接続されており、GHz帯の高周波信号を生成するとともに生成した高周波信号をアンプ29に出力する。アンプ29は、入力された高周波信号を増幅した後、光源部300へ出力する。
【0058】
ダイヤモンドSAW発振器28は、移相回路(不図示)によって高周波信号に周波数変調をかけることが可能な周波数可変発振器であり、発光管10に対してマイクロ波周波数を可変及び調整することができる。
【0059】
アンプ29は、ダイヤモンドSAW発振器28から出力された信号を、発光管10内に封入される発光物質を励起して発光させることができる高周波出力レベルに増幅させて、2.45GHz帯の高周波信号を出力することができる。
【0060】
制御回路21は、パワーモニタ22、サーキュレータ23、マッチング回路24を制御することができる。
【0061】
サーキュレータ23は、アンプ29で増幅された高周波信号を光源部300に供給するとともに、信号の流れる方向に制限をつける機能を有している。アンプ29によって高周波出力レベルに増幅された高周波信号は、発光管10内に封入されている発光物質を励起して発光管10を発光させることができる。また、高周波信号を光源部300に供給した結果として、光源部300から反射された反射波(消費されなかった余剰電力)が固体高周波発振部20に戻ることを阻止するアイソレータの機能も有しており、アンプ29などの故障を防止している。
【0062】
マッチング回路24は、サーキュレータ23の後段に設けられ、固体高周波発振部20側の特性インピーダンスと光源部300側の特性インピーダンスとの整合を行う。このマッチング回路24により、一定の特性インピーダンス、具体的には50Ωとされている。
【0063】
パワーモニタ22は、サーキュレータ23の電力強度をモニタリングすることによって、光源部300から反射された反射波の反射強度を検出する機能を有している。そして、このパワーモニタ22と制御回路21とが電気的に接続されている。これにより、パワーモニタ22でモニタリングした結果を制御回路21にフィードバックすることができる。このフィードバックされたデータに基づいて、マッチング回路24を制御することによって、反射波の強度が常に最小になるようにマッチング回路24を調整するフィードバック制御が行われる。
これにより、マイクロ波励起ランプ32からの反射波による伝送損失を低減させ、光源装置全体としてのエネルギー効率を向上させることができる。
【0064】
なお、固体高周波発振部20に適用される発振器としては、ダイヤモンドSAW共振子を用いたダイヤモンドSAW発振器に限定されず、誘電体共振子やLC共振子などを用いた発振器であってもよい。また、パワーモニタ22におけるモニタリングの方法は、例えば図示しないショットキーダイオード(SBD)を利用することによって、マイクロ波の電流の大きさを測定して、検出することで可能である。
【0065】
固体高周波発振部20から出力された高周波信号は、同軸ケーブル142及び空洞同軸部44を導波してアンテナ11a,11bへと供給され、アンテナ11a,11bの先端から発光管10内にマイクロ波として放射される。マイクロ波は、アンテナ11a,11bの先端に局所的に集中するため、発光空間K内の発光物質が効率よく励起される。
【0066】
なお、アンプ29、サーキュレータ23及びマッチング回路24の各々が同軸ケーブル42によって接続され、マッチング回路24の出力端とマイクロ波励起ランプ32のアンテナ11aとが上記した同軸ケーブル142によって接続されている。
【0067】
次に、本実施形態の光源装置の動作について説明する。
本実施形態の光源装置2は、例えば後述のプロジェクタ100内のファン(不図示)の駆動によって、空洞同軸部44の拡径部44Bから本体部44A内に外気が導入され、本体部44A内を流動した空気が、空気導入口44bとは反対側の空気導出口44aからマイクロ波励起ランプ32へと送出される。空洞同軸部44は、同軸ケーブル142及びマイクロ波励起ランプ32と略同軸に設けられていることから、空洞同軸部44から流れ出た冷却空気は発光管10の管壁全体に亘って流れるようになる。このように、発光管10全体に冷却空気を当てることで発光管10の温度上昇を効果的に防止することができるため、長時間の点灯においてもアンテナ11a,11bの変形が防止される。
【0068】
また、アンテナ11a,11bに接続されている同軸ケーブル142の内部導体42Aは、その一部が空洞同軸部44内において露出している。この内部導体42Aの露出部42aが、空洞同軸部44内を通過する空気(冷気)によって直接冷却されることにより、マイクロ波が集中することで発熱するアンテナ11a,11bとの間で温度差が生じる。その結果、アンテナ11a,11bの熱が内部導体42Aへと伝熱され、アンテナ11a,11bの熱が内部導体42Aの露出部42aを介して放熱される。このように、内部導体42Aの熱伝導を利用して、アンテナ11a,11bの温度上昇を防止することができる。
【0069】
さらに、本実施形態の同軸ケーブル142の内部導体42Aは、その表面が凹凸形状とされている(図3参照)。つまり、露出する内部導体42Aの表面積を大きくすることで内部導体42Aの熱伝導性を向上させることが可能なため、アンテナ11a,11bの放熱効率が高まる。
【0070】
本実施形態では、空洞同軸部44から送風される冷却空気によって、発光管10全体を冷却するとともに、内部導体42A(露出部42a)を介してアンテナ11a,11bの熱を放熱することにより、マイクロ波励起ランプ32の温度上昇が効果的に抑制され、寿命特性が向上する。
【0071】
以上のように、同軸ケーブル142と同軸をなす空洞同軸部44(空気導入口44b)を設けることにより、発光管10の管壁全体に亘って冷却空気を当てることができるので、マイクロ波励起ランプ32を効果的に冷却することが可能となる。
【0072】
また、空洞同軸部44内に挿入される同軸ケーブル142の内部導体42Aを露出させることにより、空洞同軸部44内を流動する空気によってその露出部42aが冷却され、内部導体42Aに接続されたアンテナ11aの熱を効率よく放熱することができる。そのため、マイクロ波の励起によって発熱するアンテナ11aの温度上昇を抑えることができるので、発光空間K内にマイクロ波を安定して放射することができる。
【0073】
本実施形態によれば、マイクロ波励起ランプ32の発光管10のみならずアンテナ11aも同時に冷却することができるので、マイクロ波励起ランプ32の冷却効率を格段に向上させることが可能となる。
【0074】
(第2の実施形態)
図7は本発明の第2の実施形態に係る光源装置の構成を示す模式図である。
本実施形態は、発光管の両側からマイクロ波を導入させている点において先の実施形態と異なる。
【0075】
本実施形態の光源装置70は、図7に示すようにマイクロ波励起ランプ32の一対のアンテナ11a,11bにそれぞれ同軸ケーブル142が接続されている。また、各同軸ケーブル142にはそれぞれ空洞同軸部44が設けられており、上記マイクロ波電源部200からのマイクロ波を各同軸ケーブル142及び各空洞同軸部44を介して、マイクロ波励起ランプ32の両側からマイクロ波電力を供給する構成となっている。
【0076】
上記実施形態では、発光管10における細管部10B,10Cとリフレクタ34とが同軸をなすように構成されていたが、本実施形態の光源装置70は、図7に示すように、発光管10における細管部10B,10Cの軸方向がリフレクタ35の軸方向(照明方向A)に交差した姿勢とされている。リフレクタ35には、方物曲面状の光束反射面35bに開口する一対の挿通孔35aが設けられている。挿通孔35aは、上記実施形態同様、空洞同軸部44の挿通を可能とした孔径で形成され、各挿通孔35a内に空洞同軸部44が嵌合される。
【0077】
本実施形態における固定治具72は、矩形状の板部材からなるリフレクタ保持部73と、その表面の両端に所定間隔をおいて配置された一対の同軸固定部74とからなる。同軸固定部74は、空洞同軸部44を固定するものであって、その上面74aが空洞同軸部44の外形に沿って曲面状に形成されていることが好ましい。これによって、同軸固定部74に対する空洞同軸部44の位置決めが容易になるとともにその位置ずれが防止されるので、空洞同軸部44を確実に固定できる。また、リフレクタ保持部73は、リフレクタ35をその上面73aに当接させることにより保持している。このような固定治具72によって、プロジェクタ100内における光源装置70の位置決めがなされることになる。
【0078】
本実施形態の光源装置70によれば、上記実施形態で記述する同様の効果が得られるとともに、下記の効果を得ることができる。
【0079】
本実施形態の光源装置70は、マイクロ波励起ランプ32の両側に冷却機能を備えた構成となっているため、両方の空洞同軸部44から発光管10に向けてそれぞれ冷却空気を送出することができる。これにより、冷却空気が発光管10の膨出部10A(発光点)まで確実に行き届くようになり、効率よく発光管10の冷却を行うことができる。
【0080】
なお、一方の空洞同軸部44から送出された冷却空気が他方の空洞同軸部44内に導入されるようにしても良い。これにより、発光管10の管壁に沿って冷却空気が流れることになるので上記同様の冷却効果を得ることができる。また、マイクロ波励起ランプ32を冷却したことで温められた空気を、他方の空洞同軸部44からプロジェクタ100の排気口(不図示)などを介して外部に排出されるようにしておくことにより、冷却空気送出側の空洞同軸部44内に常に冷気を導入することができる。
【0081】
また、本実施形態は、マイクロ波電源部200から出力されたマイクロ波を2系統に分配する構成となっている。これは、例えば固体高周波発振部20内に、小型のアンプを2つ備えることで可能となる。2つのアンプを用いてマイクロ波励起ランプ32にマイクロ波を供給するため、各アンプにおけるマイクロ波の出力電力を小さくすることができる。例えば、マイクロ波励起ランプ32に100Wのマイクロ波電力を供給する場合に、各アンプから50Wずつのマイクロ波電力を出力すればよいことになる。これにより、高出力な大型のアンプを用いる必要がないので、マイクロ波電源部200の小型化を実現できるとともに省電力化が可能となる。
【0082】
なお、小型のアンプを備えたマイクロ波電源部を2つ備えてもよい。これにより、各マイクロ波電源部に備えるダイヤモンドSAW発振器として、低出力の安価なものを用いることができる。
【0083】
(プロジェクタ)
次に、以上のようにして構成された光源装置が組み込まれたプロジェクタについて説明する。図8は、プロジェクタの回路ブロック図である。図8を用いて、プロジェクタの回路構成と動作を説明する。
【0084】
プロジェクタ100は、制御部800、信号変換部810、画像処理部829、液晶パネル駆動部830、操作受付け部840、電源部850、記憶部860及びファン駆動部870などを有して構成される。また、各部は、バスBにより互いに接続されている。そして、光学系として、マイクロ波電源部200及び光源部300を有する光源装置2(70)、光変調部6、投射部9などで構成されている。
【0085】
信号変換部810は、プロジェクタ100の本体外面に設置される画像入力端子815と接続されている。そして、画像入力端子815に接続された外部の画像信号供給装置(不図示)から供給される例えばアナログ画像信号を受け取る。なお、アナログ画像信号として、例えば、パーソナルコンピュータから出力されたコンピュータ画像を表すRGB信号やビデオレコーダやテレビジョン受信機から出力された動画を表すコンポジット画像信号などの画像信号が、画像入力端子815に供給される。そして、信号変換部810は、画像入力端子815から入力したアナログ画像信号をAD変換して、デジタル画像信号として画像処理部829に出力する。
【0086】
画像処理部829は、入力したデジタル画像信号を後述する光変調部6を構成する液晶パネル(不図示)で表示するのに適した信号とするために、画像データを画像メモリ(不図示)に書き込み、所定の条件で読み出すなどの画像処理を施した後、再度アナログ画像信号に変換して画像信号として液晶パネル駆動部830に出力する。また、画像処理とは、画像信号で表される画像を拡大及び縮小することにより液晶パネルの持つ解像度にあわせるスケーリング処理や、画像信号の有する階調値を液晶パネルで表示するのに適した階調値に変換するγ補正処理などの画像処理は、記憶部860に記憶されている画像処理手段を規定したファームウェアを実行することにより行われる。
【0087】
液晶パネル駆動部830は、画像処理部829から出力した画像信号と、画像信号に基づく駆動電圧などを液晶パネル(不図示)に供給し駆動する。制御部850は、CPU(Central PROCESSING Unit)であり、バスBを介して、各部と信号の送受信を行い、プロジェクタの動作を統括制御することができる。
【0088】
記憶部860は、例えばプロジェクタ100を起動させる場合の処理の手順と内容を指示する起動プログラムなど、プロジェクタ100の動作を指示及び制御するための様々な制御プログラムや、ファームウェア及び付随するデータが記憶されている。
【0089】
操作受付け部840は、プロジェクタ100の本体外面に設置される操作部841またはリモコンに対し、使用者が操作を行うと、その操作入力を受付け、各種動作のトリガとなる操作信号を制御部800に出力する。
【0090】
ファン駆動部870は、制御部800からのファン駆動コマンドに従い、駆動回路(不図示)によりファンを駆動(回転)させる。また、ファンは、プロジェクタ100の内部に複数設置され、回転することによりプロジェクタ100の外部から外気を吸気して空気の流れを起こし、光源部300、光変調部6及び電源部850などで発生する熱を放熱させて、温まった空気をプロジェクタ100の外部に排気することにより発熱する各部を冷却する。
【0091】
本実施形態においては、プロジェクタ100の内部に設置される複数のファンのうちのいずれかによって、光源部300における空洞同軸部44内に外気が導入されるとともに、冷却空気としてマイクロ波励起ランプ32に向けて送出されることになる。
【0092】
電源部850は、外部電源からの交流電力をプラグから導き、内蔵するAC/DC変換部(いずれも不図示)で変圧、整流及び平滑などの処理を行い、安定化させた直流電圧をプロジェクタ100の各部に供給することができる。
【0093】
光源装置2(70)のマイクロ波電源部200は、制御部820からの制御コマンドに従い、光源部300を発光(点灯)及び非発光(消灯)を行うことができる。
【0094】
このように構成されたプロジェクタ100においては、本発明による光源装置2(70)が用いられているため、マイクロ波励起ランプ32が効果的に冷却され、これにより光源装置のマイクロ波励起ランプ32の発熱によるプロジェクタ内の温度上昇を防止することができる。その結果、液晶パネルの温度上昇による性能低下、投射画像の画質悪化を防止することが可能となる。
【0095】
本実施形態の光源装置2(70)によれば長時間に亘って良好な点灯状態を維持することができるので、これを備えたプロジェクタ100の信頼性を向上させることが可能である。
【0096】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもなく、上記各実施形態を組み合わせても良い。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0097】
例えば、上記実施形態では同軸ケーブル42を用いているが、これに限らず、ストリップ線路やマイクロストリップ線路、導波管など様々な伝送線路を用いることができる。この際、マイクロ波電源部と伝送線路の特性インピーダンスを整合させることが重要である。
【0098】
また、上記実施形態では、空洞同軸部44内で同軸ケーブル142の内部導体42Aの一部を露出させているが、露出させなくても空洞同軸部44から発光管10に向けて送出される冷却空気によってマイクロ波励起ランプ32を十分に冷却することが可能である。但し、発光管10だけでなくアンテナ11a,11bの温度上昇も抑える構成とすることでより長期的な使用が可能となる。
【0099】
また、上記実施形態でのプロジェクタ100は、光変調部6として液晶パネルを用いている。しかし、これに限らず、一般に、入射光を画像情報に応じて変調するものであればよく、マイクロミラー型光変調装置などを使用しても良い。なお、マイクロミラー型光変調装置としては、例えば、DMD(Digital Micro mirror Device)(登録商標)を用いることができる。なお、マイクロミラー型光変調装置を用いた場合には、入射偏光板や射出偏光板などは不要とすることができ、偏光変換素子も不要とすることができる。
【0100】
上記実施形態での光源装置2,70は、透過型液晶方式のプロジェクタ100に用いられている。しかし、これに限らず、反射型液晶方式であるLCOS(Liquid Crystal On Silicon)方式などを採用したプロジェクタに用いられても同様の効果を奏することが可能である。
【0101】
上記実施形態での光変調部6は、液晶パネルを3枚使用する3板方式であっても、液晶パネルを1枚使用する単板方式を用いても良い。なお、単板方式を用いた場合には、照明光学系の色分離光学系や色合成光学系などは不要とすることができる。
【0102】
上記実施形態での光源装置2,70は、外部に設置されるスクリーンに光学像の投射を行うフロントタイプのプロジェクタに適用している。しかし、これに限らず、プロジェクタの内部にスクリーンを有して、そのスクリーンに光学像を投射するリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
【0103】
上記実施形態でのプロジェクタ100に電圧調整部を設け、固体高周波発振部20のアンプ29の増幅度を可変とすることでも良い。このような構成にすることで、マイクロ波の出力パワーを可変できるため、発光管10で発光する光束の輝度を可変できる。従って、投射する映像のシーン(例えば、明るいシーンや暗いシーン)に合わせて、増幅度を調整することにより、プロジェクタ100から投射される映像光の輝度を映像のシーンに合わせて調整を行うことができる。
【0104】
上記実施形態での光源装置2,70は、固体高周波発振部20で2.45GHz帯の高周波信号を出力し、アンテナ11a,11bからマイクロ波として放射している。しかし、これに限らず、弾性表面波共振子の構成を適宜変更することにより、色々な高周波信号を出力し、マイクロ波として放射して、発光管10を発光させることも可能となる。また、このようにすることで、発光管10に封入する発光物質の種類や発光具合(発光色の具合)に合わせるマイクロ波を放射させることも可能となる。
【0105】
上記実施形態での光源装置2,70は、プロジェクタ100の光源として適用している。しかし、これに限らず、小型軽量の光源装置は、他の光学機器に適用しても良い。また、航空、船舶、車輌などの照明機器や、屋内照明機器などへも好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光源装置を示す概略構成図。
【図2】光源装置の要部構成を示す図であって、(a)平面図、(b)断面図。
【図3】内部導体の形状を示す断面図。
【図4】(a)固定治具の構成を示す斜視図、(b)固定治具による光源装置の保持状態を示す断面図。
【図5】固定治具の変形例を示す斜視図。
【図6】光源装置の構成を示すブロック図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る光源装置の構成を示す模式図。
【図8】プロジェクタの光学系における構成部の構造を示す模式図。
【符号の説明】
【0107】
2…光源装置、10…発光管、11a,11b…アンテナ、20…固体高周波発振部(マイクロ波電源)、32…マイクロ波励起ランプ、42,142…同軸ケーブル(同軸線路)、42A…内部導体、42a…露出部、42B…外部導体、44…空洞同軸部、44B…拡径部、44b…空気導入口、200…マイクロ波電源部、300…光源部、400…伝送路、d…内部導体の外径、D…本体部の内径、D…空気導入口44bの口径、R…空気流路、100…プロジェクタ、6…光変調部、9…投射部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波を出力するマイクロ波電源と、
マイクロ波の照射を受けて発光するマイクロ波励起ランプと、
前記マイクロ波電源と前記マイクロ波励起ランプとを接続する伝送線路と、
前記伝送線路及び前記マイクロ波励起ランプと略同軸位置に設けられ、前記伝送線路の一部外周及び前記マイクロ波励起ランプの一部を取り囲む筒状の同軸部とを有し、
前記同軸部と前記伝送線路との間に、該伝送線路に沿う方向に冷却空気を流通させる空気流路が形成されていることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記マイクロ波励起ランプは、マイクロ波の照射を受けて発光する発光物質が封入された発光管と、該発光管内で互いの端部が所定間隔をおいて対向配置された一対のアンテナと、を備え、
前記伝送線路が、前記一対のアンテナのいずれかに接続される内部導体と、該内部導体を覆う外部導体とを有し、
前記同軸部内において、前記内部導体の一部が前記外部導体から露出していることを特徴とする請求項1記載の光源装置。
【請求項3】
前記内部導体の表面が、凹凸形状とされていることを特徴とする請求項1または2記載の光源装置。
【請求項4】
前記同軸部が、筒状の本体部と該本体部と一体に形成された拡径部とにより漏斗形状とされ、
前記拡径部の端部における空気導入口の口径と前記本体部の内径との差が、マイクロ波の1/4波長よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記外部導体の前記マイクロ波励起ランプに接続される側の端部が、前記同軸部の前記本体部内に配置されていることを特徴とする請求項4記載の光源装置。
【請求項6】
前記同軸部がグランド電位であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記伝送線路と前記マイクロ波励起ランプとの間の特性インピーダンスを整合するマッチング回路が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項8】
前記一対のアンテナにそれぞれ前記伝送線路が接続されているとともに、前記各伝送線路に前記同軸部がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項9】
前記発光管内における前記一対のアンテナと、該一対のアンテナの対向端部間の距離を含めた長さが、マイクロ波の1/2波長の整数倍となることを特徴とする請求項3記載の光源装置。
【請求項10】
前記空気流路に前記冷却空気を流通させる流通手段を有することを特徴とする請求項1記載の光源装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置から射出された光束を、入力された画像情報に応じて変調し光学像を形成する光変調部と、
前記光変調部により形成された前記光学像を投射する投射部と、を備えることを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−181828(P2009−181828A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20352(P2008−20352)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】