説明

光源装置及びプロジェクタ

【課題】発光管の各部を適切に冷却して発光管周辺の温度分布を均一に保ち、発光管の失透や黒化を防止して光源装置の長寿命化を図ること。
【解決手段】光源装置1の冷却構造は、ハウジング17に具備される送風口171、排気口173、及び整流板174と、冷却ファン175とによって構成される。そして、冷却ファン175によって発生する冷却用空気は、ハウジング17底面の送風口171から導入され、ハウジング17上面の整流板174に向けて流通するが、このとき、冷却用空気は、発光部111から延びる第2封止部113の先端より外側を流通し、第2封止部113を直接冷却しないようになっている。そして、整流板174によってリフレクタ13の内側に導かれてランプ本体11上側の各部を冷却した後、リフレクタ13の楕円カーブに沿ってランプ本体11の下部に導かれ、排気口173から排気される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置及び当該光源装置を用いたプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
光源から射出された光源光を変調して画像を形成し、形成した画像をスクリーン等に投射するプロジェクタが知られている。このプロジェクタにおいて、内部に一対の電極を有する発光部と、発光部の両側に延びる封止部(シール部)とを含む発光管と、発光管から射出された光を反射する反射鏡であるリフレクタとを備えた光源装置が用いられている。
【0003】
また、本構成の光源装置において、発光管の発熱分布を考慮した冷却構造を組み込むことにより発光管の失透や黒化を防止し、光源装置の長寿命化を図ったものがある。例えば、光源装置の内部に冷却用の空気を導入し、導入した空気を、凹レンズの凹面を利用してリフレクタの内部に流入させることにより、発光管の周辺を冷却する技術が知られている(特許文献1参照。)。或いは、リフレクタに送風口を設け、送風口から導入した空気を発光管の上部から下部へ回り込むように送り込む構成の冷却構造が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−70216号公報
【特許文献2】特開2004−342599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1又は特許文献2の技術では、発光管を構成する封止部を通過するように光源装置内に導入される冷却用の空気の流路が形成されているが、形成される流路によっては、発光管を部分的に冷却してしまい、発光管周辺の温度分布が均一に保たれないという問題があった。このため、ハロゲンサイクルを効率よく行わせることができず、発光管の失透や黒化を引き起こす要因となり、冷却構造として不十分であった。また、特許文献2に開示されている冷却構造では、リフレクタを加工し、開口を設けて送風口を形成する必要があった。
【0006】
また、上記実施形態では、例えば天吊りが可能なタイプのプロジェクタに用いる場合のように、光源装置を上下反転させる使用において、光源装置内の冷却を適切な状態とすることができなかった。
【0007】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑み為されたものであり、発光管の各部を適切に冷却して発光管周辺の温度分布を均一に保ち、発光管の失透や黒化を防止して光源装置の長寿命化を図ることを目的とする。また、上下反転等させた場合においても適切に冷却を行い光源装置の長寿命化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る光源装置は、光源光を射出する発光管と、前記発光管から射出された光源光を反射するリフレクタと、前記リフレクタを保持する保持部とを備えた光源装置であって、前記保持部は、冷却用空気を装置内部の発光管の光射出側に導入する送風口と、送風口側から供給され発光管の光射出側を経た冷却用空気を前記発光管の上部に向けて流通させる第1の整流部とを備える。ここで、発光管の光射出側とは、発光管に対してリフレクタの反対側に延在する空間に限らず、発光管のうちリフレクタの反対側である光射出側部分の周辺空間を含む概念である。
【0009】
上記光源装置によれば、送風口から導入した冷却用空気が発光管のうち特に発光部を直接冷却しないように、第1の整流部まで流通させることができる。また、第1の整流部によって、冷却用空気を発光管の上部に向けて流通させることができる。発光管の発熱分布は一様ではなく、上部がより高温となり、下部がより低温となるが、本構成によれば、先ず、高温部である発光管の上部に冷却用空気を流通させ、これにより暖められた冷却用空気を低温部である発光管の下部に流通させることができ、発光管の上部と下部との温度差を低減させることができる。したがって、発光管の各部を適切に冷却して発光管周辺の温度分布を均一にすることができるので、ハロゲンサイクルを効率よく行わせて発光管の失透や黒化を防止し、光源装置の寿命を延ばすことができる。
【0010】
また、本発明のさらに別の態様では、前記発光管は、発光部と、前記発光部の両側に延びる封止部とを含み、前記送風口は、装置内部に導入する冷却用空気を、前記発光管の光射出側すなわち外側に向けて流通させる第2の整流部を備える。これにより、送風口から導入した冷却用空気が発光管の両側に延びる封止部のうち光射出側の封止部を冷却しながら、第1の整流部まで流通させることができる。
【0011】
また、本発明のさらに別の態様では、前記第1の整流部は、前記保持部の内壁に形成される曲面又は傾斜面である。これにより、保持部の内壁に形成される曲面又は傾斜面を利用して、冷却用空気を発光管の上部に流通させることができる。
【0012】
また、本発明のさらに別の態様では、前記リフレクタの反射面に対向して配置され、前記発光管から射出された光束の一部を前記発光管に向けて反射させる副反射鏡を備える。これによれば、第1の整流部によって発光管の上部に向けて流通させた冷却用空気によって、副反射鏡周辺を冷却して温度を低下させることができる。
【0013】
また、本発明のさらに別の態様では、前記保持部は、前記発光管の側方位置に、冷却用空気を排気する排気口を備える。これにより、発光管の上部から下部に流通した冷却用空気を、発光管の側方から効率良く排気させることができる。
【0014】
また、本発明の具体的な態様によれば、前記第1の整流部は前記発光管の上側に配置され、前記送風口は前記発光管の下側の前記第1の整流部と対向する位置に配置される。これにより、発光管の下側から導入した冷却用空気を発光管の上側に流通させ、発光管の上部に導くことができる。
【0015】
また、本発明のさらに別の態様では、前記リフレクタは、楕円曲面の反射面を備えて構成される。これにより、楕円曲面の反射面を備えたリフレクタを用いた光源装置では、発光管からの光束が楕円曲面の所定の焦点位置に収束する光束となって射出されるため、かかる収束光束周辺のスペースを利用して発光管の各部を冷却する構造を組み込むことができる。
【0016】
また、本発明の別の具体的な態様では、前記保持部は、前記送風口を複数有し、当該複数の送風口を開閉することにより冷却用空気の流れを切り替える切替装置を備える。この場合、切替装置により、光源装置の使用態様に応じて用いる送風口を選択して冷却用空気の流れを切り替えることができる。
【0017】
また、本発明のさらに別の態様では、前記切替装置は、前記複数の送風口のそれぞれを開閉するために対向して配置される複数の開閉シャッターを有し、前記複数の開閉シャッターのうち前記発光管の下側となる開閉シャッターを開放するとともに前記発光管の上側となる開閉シャッターを閉塞して冷却用空気の流れを切り替える。この場合、複数の開閉シャッターのうち発光管の下側に位置する開閉シャッターから導入した冷却用空気を先ず発光管の上部に流通させ、温まった冷却用空気を発光管の下部側に導くことができる。
【0018】
また、本発明のさらに別の態様では、前記切替装置は、前記複数の送風口を開閉するためのシャッターリングを有し、前記シャッターリングの回転動作により、前記シャッターリングに設けられた開口を前記複数の送風口のうち前記発光管の下側となる送風口に対応させて配置することにより冷却用空気の流れを切り替える。この場合、シャッターリングの開口を発光管の下側となる送風口に対応させることにより、当該送風口及び開口を経ることで先ず冷却用空気を発光管の上部に流通させ、温まった冷却用空気を発光管の下部側に導くことができる。
【0019】
また、本発明のさらに別の態様では、前記シャッターリングは、前記開口を複数有し、当該複数の開口を前記発光管の下側となる送風口と冷却用空気の排気のための通気口とに対応させて配置する。これにより、シャッターリングにより、送風口から冷却用空気を装置内部に導入させるとともに、通気口から冷却用空気を装置外部へ排気させることが可能となる。
【0020】
また、本発明のさらに別の態様では、前記冷却用空気の排気のための通気口は、前記発光管の側方位置に、冷却用空気を排気する排気口である。これにより、発光管の上部から下部に流通した冷却用空気を、発光管の側方から効率良く排気させることができる。
【0021】
また、本発明に係るプロジェクタは、上記構成の光源装置を備え、当該光源装置から射出される光源光を画像情報に応じて変調して像光を形成するプロジェクタである。これによれば、寿命の長い光源装置を組み込んだプロジェクタが実現できる。
【0022】
また、本発明のさらに別の態様では、冷却用空気を発生させて前記保持部に導入する冷却ファン装置をさらに備える。これにより、前記保持部を経て発光管の各部を冷却するための冷却用空気を発生させることができる。
【0023】
また、本発明のさらに別の態様では、前記冷却ファン装置は、シロッコファンを有する。この場合、冷却ファンを比較的小型にしやすく、光学装置の光路を遮らない位置に配置しやすい。
【0024】
また、本発明のさらに別の態様では、前記冷却ファン装置は、前記複数の送風口に対応して複数配置される。これにより、より効果的な冷却を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態の光源装置の内部構成を説明する断面図である。
【図2】光源装置の冷却構造を説明するための説明図である。
【図3】冷却用空気の流路を説明するための図である。
【図4】ハウジングの構成の変形例を説明する図である。
【図5】ハウジングの構成の他の変形例を説明する図である。
【図6】光源装置の冷却構造の変形例を説明する図である。
【図7】第1実施形態で説明した光源装置を組み込んだ第2実施形態のプロジェクタの光学系の構成を説明する概念図である。
【図8】第3実施形態の光源装置の冷却構造を説明するための説明図である。
【図9】光源装置の構成の変形例を説明する図である。
【図10】ハウジングの構成の変形例を説明する図である。
【図11】第4実施形態の光源装置を説明する図である。
【図12】光源装置の構成の変形例の動作を説明する図である。
【図13】光源装置の構成の他の変形例の動作を説明する図である。
【図14】第3実施形態で説明した光源装置を組み込んだ第5実施形態のプロジェクタの光学系の構成を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1実施形態〕
図1は、本実施形態に係る光源装置の内部構成を説明する断面図である。本光源装置1は、放電発光型の発光管であるランプ本体11と、ランプ本体11から射出された光源光を反射する楕円型のリフレクタ13と、リフレクタ13で反射された光源光をコリメートする凹レンズ15とを含む。この光源装置1において、ランプ本体11から射出された光源光は、リフレクタ13及び凹レンズ15を経て平行化され、前方側に射出される。また、ランプ本体11は、リフレクタ13に支持されてリフレクタ13とともにランプ装置を構成しており、リフレクタ13と凹レンズ15とは、保持部の一例であるハウジング17(構造の詳細については後述)にアライメントされた状態で固定されている。
【0027】
ランプ本体11は、中央部が球状に膨出した石英ガラス管から構成され、中央部分が発光部111、この発光部111の両側に延びる部分が第1及び第2封止部112,113となっている。このランプ本体11には、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等の放電発光型ランプが採用されている。
【0028】
発光部111の内部には、所定距離で離間配置される一対のタングステン製の電極114,115の先端部と、水銀、希ガス、ハロゲン等を含むガスとが封入されている。一方、各封止部83,84の内部には、発光部111に設けた電極114,115の根元側と電気的に接続されるモリブデン製の金属箔116a,116bが挿入され、両封止部83、84の先端部は、ガラス材料等で封止されている。そして、この金属箔116a,116bに接続されたリード線117a,117bに電圧を印加すると、一対の電極114,115間でアーク放電が生じ、発光部111が高輝度で発光する。
【0029】
ランプ本体11の発光部111のうち光射出方側すなわち前方側の略半分は、副反射鏡118によって覆われている。この副反射鏡118は、ランプ本体11の発光部111から前方に放射された光束を発光部111に戻す副反射部119と、この副反射部119の根元部を支持した状態で第2封止部113の周囲に固定される支持部120とを備える。ここで、副反射部119の内側ガラス面は、発光部111の表面に倣う略球面の凹曲面状に加工され、その表面上に反射面が形成されている。また、支持部120は、第2封止部113を挿通させるとともに、第2封止部113との隙間に無機系接着剤MBを充填することによって副反射部119を発光部111に対してアライメントした状態で固定可能にしている。
【0030】
リフレクタ13は、ランプ本体11の第1封止部112が挿通される首状部131と、この首状部131から拡がる楕円曲面状の主反射部132とを備えた結晶化ガラスなどの耐熱性部材による一体成形品である。首状部131は、第1封止部112を挿通させるとともに、第1封止部112との隙間に無機系接着剤MBを充填することによって主反射部132を発光部111に対してアライメントした状態で固定可能にしている。また、主反射部132の内側ガラス面は、楕円曲面状に加工され、その表面上に反射面が形成されている。
【0031】
上記構成の光源装置1において、ランプ本体11は、主反射部132の回転対称軸と一致するシステム光軸OAに沿って配置されるとともに、発光部111内の電極114,115間の発光中心Oが主反射部132の楕円曲面の第1焦点F1位置となるように配置される。ランプ本体11を点灯した場合、発光部111から放射された光束は主反射部132で反射され、或いは副反射部89を経て主反射部132で反射され、楕円曲面の第2焦点F2位置に収束する光束となる。
【0032】
また、本実施形態の光源装置1は、内部に冷却用の空気(冷却用空気)を導入し、ランプ本体11の各部を冷却する冷却構造を備える。図2は、この冷却構造を説明するための説明図であり、図2(a)は光源装置1を光射出側すなわち前方からみて左側の概略側面図、図2(b)は概略底面図である。
【0033】
図2に示すように、光源装置1は、リフレクタ13及び凹レンズ15を固定するためのハウジング17を含む。このハウジング17の底面には、ランプ本体11の下側となる位置に、ハウジング17の内部と外部とを連通する送風口171が形成されている。また、光射出側すなわち前方から見て左側の側面には、ランプ本体11の側方位置に、ハウジング17の内部と外部とを連通する排気口173が形成されている。一方、ハウジング17上面の内壁には、送風口171と対向する位置にこの送風口171から導入される冷却用空気を整流する第1の整流部である整流板174が配置されている。
【0034】
そして、光源装置1の冷却構造は、ハウジング17に具備される送風口171、排気口173、及び整流板174のほか、送風口171を介して光源装置1の内部に冷却用空気を送り込む冷却ファン175によって構成される。送風口171は、光源装置1の内部に冷却用空気を導入する。この送風口171は、冷却ファン175によって発生する冷却用空気の風向を調整する第2の整流部であるルーバ172を備え、冷却用空気が整流板174に向けて流通するように風向きが予め設定される。整流板174は、図2(a)に示すように、ハウジング17上面の内壁を形成する曲面に沿って湾曲され、整流板174に向かう冷却用空気の風向方向に対して、接線方向が所定角度傾斜するように構成される。この整流板174は、送風口171から導入された冷却用空気の流路をそれ自身の曲面形状によってランプ本体11の方向に流通させ、冷却用空気をリフレクタ13の内側に導く。
【0035】
図3は、光源装置1の概略側面図であり、前述の冷却構造によって導入される冷却用空気の流路を矢印により示している。図3に示すように、冷却ファン175によって発生する冷却用空気は、ハウジング17底面の送風口171から導入され、ルーバ172によってハウジング17上面の整流板174に向けて流通するが、このとき、冷却用空気は、先ず、発光部111から延びる第2封止部113を流通し、第2封止部113を冷却する。そして、整流板174に到達した冷却用空気は、リフレクタ13の内側に導かれてランプ本体11上側の各部を冷却する。また、リフレクタ13の内部に導かれた冷却用空気のうちの一部が副反射鏡118の周辺に流通し、副反射鏡118周辺の各部を冷却する。また、ランプ本体11の上部を冷却した冷却用空気は、リフレクタ13の楕円カーブに沿ってランプ本体11の下部に導かれ、排気口173から排気される。
【0036】
この冷却構造によって、ハウジング17の底面から導入された冷却用空気は、第2封止部113を冷却した後にランプ本体11の上部に導かれ、ランプ本体11の下部に流通して排気口173から排気される。これによれば、先ず、高温部であるランプ本体11の上部に冷却用空気を流通させ、これにより暖められた冷却用空気を低温部であるランプ本体11の下部に流通させることができる。また、リフレクタ13の内部に導かれた冷却用空気のうちの一部を副反射鏡118の周辺に流通させることができる。したがって、ランプ本体11上側の各部を十分に冷却して温度を低下させるとともに、ランプ本体11下側の各部の過度の温度低下を抑制できるので、ランプ本体11上部と下部との温度差を低減しつつランプ本体11全体を適切に冷却することができる。これにより、ハロゲンサイクルを効率よく行わせてランプ本体11の発光部111の失透や黒化を防止することができ、光源装置1の長寿命化が実現できる。
【0037】
また、送風口171からの冷却用空気を一旦、整流板174に向けて流通させ、整流板174によってランプ本体11の上部に向けて流通させる構成としたので、ランプ本体11上側の各部を冷却し過ぎず適切な冷却が実現できる。さらに、ハウジング17に開口を形成して冷却用空気を導入する送風口171を設けたので、リフレクタ13に冷却用空気を導入するための開口を形成する必要がない。
【0038】
なお、上記した光源装置1では、ハウジング17上部の内壁の曲面形状に沿って湾曲させた整流板174によって、冷却用空気を整流してリフレクタ13の内部に導くこととしたが、以下のような変形例も可能である。
【0039】
図4は、ハウジング401の構成の変形例を説明する図である。図4(a)に示す例では、ハウジング401の上面内壁において、送風口171から導入される冷却用空気の風向方向と対向する位置に、所定の傾斜角度を有する傾斜面404が形成されており、この傾斜面404の表面に整流板405が固定されるように配置される。そして、この整流板405によって、送風口171から導入された冷却用空気の流路をランプ本体11の方向に流通させ、冷却用空気をリフレクタ13の内側に導く。また、図4(b)に示す例では、ハウジング411の上面内壁が、ハウジング411の底面に対して所定の傾斜角度を有するように形成されており、この内壁に沿って整流板415が傾斜して配置される。そして、この整流板415によって、送風口171から導入された冷却用空気の流路をランプ本体11の方向に流通させ、冷却用空気をリフレクタ13の内側に導く。
【0040】
或いは、以下のようにしてもよい。図5は、この場合のハウジング431の構成を示す図である。図5に示す例では、ハウジング431の入射側の側面に開口部438が形成されており、この開口部438にリフレクタ13の端部13aが挿入されて保持される。また、ハウジング431上面の内壁が、リフレクタ13の端部13aの曲率に応じた湾曲状に形成されており、ハウジング431内部の上側の空間が、開口部438を介してリフレクタ13の端部13aと連通する構成となっている。そして、この内壁に沿って整流板435が湾曲されて配設されている。これによれば、整流板435に流通された冷却用空気を確実にリフレクタ13の内部に導き、発光管の上部に流通させることができる。
【0041】
また、上記した第1実施形態では、ランプ本体11の下側に送風口171を配置し、ランプ本体11の上側の送風口171と対向する位置に整流板174を配置した場合について説明したが、以下のようにしてもよい。図6は、光源装置の冷却構造の変形例を説明する図であり、光源装置の概略正面図である。本変形例では、ハウジング421の底面には、ハウジング421の内側と外側とを連通する2つの送風口421a,421bが形成されており、ハウジング421上面の内壁には、送風口421a,421bと対向する位置に、それぞれ送風口421a,421bから導入される冷却用空気を整流する整流板425a,425bが配置されている。また、光射出側から見て左側の側面及び右側の側面には、それぞれハウジング421の内部と外部とを連通する排気口423a,423bが形成されている。
【0042】
そして、本変形例の冷却構造は、ハウジング421に具備される送風口421a,421b、排気口423a,423b、及び整流板425a,425bのほか、送風口421a,421bを介して光源装置1の内部にそれぞれ冷却用空気を送り込む冷却ファン427a,427bによって構成される。そして、図6中の矢印A10で示すように、冷却ファン427aによって導入される冷却用空気は、ハウジング421底面の送風口421aから導入され、対向するハウジング421上面の整流板425aに向けて流通される。そして、整流板425aによってランプ本体11の上部に流通して各部を冷却した後、ランプ本体11の下部周辺に導かれて、排気口423aから排気される。同様にして、図6中の矢印A20で示すように、冷却ファン427bによって導入される冷却用空気は、ハウジング421底面の送風口421bから導入され、対向するハウジング421上面の整流板425bに向けて流通される。そして、整流板425bによってランプ本体11の上部に流通して各部を冷却した後、ランプ本体11の下部周辺に導かれて、排気口423bから排気される。
【0043】
なお、以上で説明した光源装置1において、リフレクタ13は、放物面とすることができ、この場合、凹レンズ15を省略することができる。
【0044】
また、光源装置1では、整流板174,415,435,425a,425bはハウジング17,401,411,431,421と別体で設けられていたが、ハウジング17,401,411,431,421の内部に整流板と同じ形状を一体形成しても良い。
【0045】
〔第2実施形態〕
図7は、第1実施形態で説明した光源装置を組み込んだプロジェクタの光学系の構成を説明する概念図である。本プロジェクタ200は、図1の光源装置1と、光源光を均一化して射出する均一化光学系20と、均一化光学系20を経た光源光を赤緑青の3色に分割する色分離光学系30と、色分離光学系30から射出された各色の光源光によって照明される光変調部40と、光変調部40からの各色の像光を合成するクロスダイクロイックプリズム50と、クロスダイクロイックプリズム50を経た像光を不図示のスクリーンに投射するための投射光学系である投射レンズ60とを備え、これらを光軸OAに沿って順に配置して構成されている。
【0046】
光源装置1は、第1実施形態で説明したように、ランプ本体11と、リフレクタ13と、凹レンズ15と、リフレクタ13及び凹レンズ15を固定するハウジング17(401,411,431,421)を含む。そして、図2に示して説明した冷却構造を備え、この冷却構造によって、ランプ本体11の各部が適切に冷却されてランプ本体11周辺の温度分布が均一に保たれるようになっている。
【0047】
均一化光学系20は、一対の第1レンズアレイ23a及び第2レンズアレイ23bと、偏光変換部材24と、重畳レンズ25とを備える。一対の第1レンズアレイ23a及び第2レンズアレイ23bは、マトリクス状に配置された複数の要素レンズからなり、これらの要素レンズによって光源装置1からの光源光を分割して個別に集光・発散させる。偏光変換部材24は、第2レンズアレイ23bから射出した光源光を例えば図8の紙面に垂直なS偏光成分のみに変換して次段光学系に供給する。重畳レンズ25は、偏光変換部材24を経た光源光を全体として適宜収束させる。そして、重畳レンズ25とを経た光源光は、色分離光学系30を経て、光変調部40に設けられた各色の液晶パネル41a,41b,41cを均一に重畳照明する。
【0048】
色分離光学系30は、第1及び第2ダイクロイックミラー31a,31bと、補正光学系である3つのフィールドレンズ33a,33b,33cと、反射ミラー35a,35b,35c,35dとを備える。ここで、第1ダイクロイックミラー31aは、赤緑青の3色のうち例えば赤光及び緑光を反射し青光を透過させる。また、第2ダイクロイックミラー31bは、入射した赤及び緑のうち例えば緑光を反射し赤光を透過させる。この色分離光学系30において、光源装置1からの略白色の光源光は、反射ミラー35aで光路を折り曲げられて第1ダイクロイックミラー31aに入射する。そして、第1ダイクロイックミラー31aを通過した青光は、例えばS偏光のまま、反射ミラー35bを経てフィールドレンズ33aに入射する。また、第1ダイクロイックミラー31aで反射されて第2ダイクロイックミラー31bでさらに反射された緑光は、例えばS偏光のままフィールドレンズ33bに入射する。さらに、第2ダイクロイックミラー31bを通過した赤光は、例えばS偏光のまま、レンズLL1,LL2及び反射ミラー35c,35dを経て、入射角度を調節するためのフィールドレンズ33cに入射する。レンズLL1,LL2及びフィールドレンズ33cは、リレー光学系を構成している。このリレー光学系は、第1レンズLL1の像を、第2レンズLL2を介してほぼそのままフィールドレンズ33cに伝達する機能を備えている。
【0049】
光変調部40は、3つの液晶パネル41a,41b,41cと、各液晶パネル41a,41b,41cを挟むように配置される3組の偏光フィルタ43a,43b,43cとを備える。ここで、青光用の液晶パネル41aと、これを挟む一対の偏光フィルタ43a,43aとは、光源光のうち青光を画像情報に基づいて2次元的に輝度変調するための青光用の液晶ライトバルブを構成する。同様に、緑光用の液晶パネル41bと、対応する偏光フィルタ43b,43bとは、緑光用の液晶ライトバルブを構成し、赤光用の液晶パネル41cと、偏光フィルタ43c,43cとは、赤光用の液晶ライトバルブを構成する。
【0050】
青光用の液晶パネル41aには、色分離光学系30の第1ダイクロイックミラー31aで反射されることによって分岐された青光が、フィールドレンズ33aを介して入射する。緑光用の液晶パネル41bには、色分離光学系30の第2ダイクロイックミラー31bで反射されることによって分岐された緑光が、フィールドレンズ33bを介して入射する。赤光用の液晶パネル41cには、第2ダイクロイックミラー31bを透過することによって分岐された赤光が、フィールドレンズ33cを介して入射する。各液晶パネル41a,41b,41cにそれぞれ入射した3色の光は、各液晶パネル41a,41b,41cに電気的信号として入力された駆動信号或いは画像信号に応じて変調される。その際、偏光フィルタ43a,43b,43cによって、各液晶パネル41a,41b,41cに入射する光源光の偏光方向が正確に調整されるとともに、各液晶パネル41a,41b,41cから射出される変調光から所定の偏光方向の成分光が像光として取り出される。
【0051】
クロスダイクロイックプリズム50は、光合成部材であり、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、X字状に交差する一対の誘電体多層膜51a,51bが形成されている。一方の第1誘電体多層膜51aは青光を反射し、他方の第2誘電体多層膜51bは赤光を反射する。このクロスダイクロイックプリズム50は、液晶パネル41aからの青光を第1誘電体多層膜51aで反射して進行方向右側に射出させ、液晶パネル41bからの緑光を第1及び第2誘電体多層膜51a,51bを介して直進・射出させ、液晶パネル41cからの赤光を第2誘電体多層膜51bで反射して進行方向左側に射出させる。
【0052】
投射レンズ60は、クロスダイクロイックプリズム50で合成されたカラーの像光を、所望の倍率でスクリーンに投射する。つまり、各液晶パネル41a,41b,41cに入力された駆動信号或いは画像信号に対応する所望の倍率のカラー動画やカラー静止画がスクリーンに投射される。
【0053】
上記構成のプロジェクタ200では、第1実施形態で説明した光源装置1を用いているので、寿命の長い光源装置を組み込んだプロジェクタが実現できる。これにより、光源装置の交換回数を減らすことができる。
【0054】
なお、上記したプロジェクタ200では、光源装置1の冷却ファン175、427a,427bをプロジェクタ200側に備え、冷却ファン175と送風口175、421a,421bの間をダクトで接続させても良い。
【0055】
なお、上記したプロジェクタ200では、均一化光学系20を、一対の第1レンズアレイ23a及び第2レンズアレイ23b、偏光変換部材24、及び重畳レンズ25で構成したが、第1レンズアレイ23a及び第2レンズアレイ23b、偏光変換部材24等については省略することができる。さらに、第1レンズアレイ23a及び第2レンズアレイ23bをロッドインテグレータに置き換えることもできる。
【0056】
また、上記したプロジェクタ200では、色分離光学系30を用いて光源光の色分離を行って、光変調部40において各色の変調を行った後に、クロスダイクロイックプリズム50において各色の像の合成を行っているが、単一の液晶パネルにより光変調を行うプロジェクタ、2つの液晶パネルにより光変調を行うプロジェクタ、或いは4つ以上の液晶パネルにより光変調を行うプロジェクタにも同様に適用可能である。
【0057】
また、色分離光学系30や光変調部40に代えて、光源装置1及び均一化光学系20によって照明されるカラーホイールと、カラーホイールの透過光が照射されるデジタル・マイクロミラー・デバイスとを組み合わせたものを用いることによって、各色の光変調及び合成を行うこともできる。
【0058】
また、上記の第2実施形態では、透過型のプロジェクタに本発明を適用した場合の例について説明したが、本発明は、反射型プロジェクタにも適用することが可能である。ここで、「透過型」とは、液晶パネル等を含む液晶ライトバルブが光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、液晶ライトバルブが光を反射するタイプであることを意味している。
【0059】
また、プロジェクタとしては、スクリーンを観察する方向から投射を行うフロントタイプのプロジェクタと、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行うリアタイプのプロジェクタとがあるが、本発明は何れのタイプのプロジェクタにも適用が可能である。
【0060】
〔第3実施形態〕
図8(a)、図8(b)及び図8(c)は第3実施形態の光源装置及びその冷却構造を説明するための図であり、図8(a)は概略斜視図、図8(b)は光射出側すなわち前方からみて左側の概略側面図、図8(c)は概略底面図である。このうち、図8(b)及び図8(c)は、一部断面図であり、ハウジングの部分が断面図となっている。なお、本実施形態の光源装置は、光源としての光学的構造については第1実施形態のものと同様であるので、冷却構造以外の箇所については詳しい説明を省略する。
【0061】
図8(a)〜図8(c)に示すように、光源装置301は、リフレクタ313及び凹レンズ315を固定するためのハウジング317を含む。このハウジング317には、ランプ本体311の下側となる位置とこれに対向する位置すなわち上側となる位置とに、ハウジング317の内部と外部とを連通するための送風口371a,371bが形成されている。なお、図8(a)〜図8(c)は、いずれも、光源装置301を通常の状態で設置した場合の図であるが、光源装置301は、上下反転させて設置することも可能であり、光源装置301を上下反転させた場合、送風口371bがランプ本体311の下側となる。また、光射出側すなわち前方から見てハウジング317の正面左側には、外付けされる冷却ファン375によって発生する冷却用空気をハウジング317内に導入する送気口376が形成されている。なお、冷却ファン375は、例えばシロッコファンであり、例えばプロジェクタ等の光源装置301を取り付ける装置に付随するものである。冷却ファン375は、送気口376において光源装置301と接続され、送気口376から冷却用空気をハウジング317内へ送り込む。つまり、冷却ファン375は、冷却用空気を発生させてハウジング317に導入する冷却ファン装置として機能する。また、光射出側すなわち前方から見て右側の側面には、ランプ本体311の側方位置に、ハウジング317の内部と外部とを連通する排気口373が形成されている。
【0062】
さらに、光源装置301において、送風口371a,371bの開閉を行うための一対の開閉シャッター374a,374bが送風口371a,371bのそれぞれに対応して対向する位置に配置されている。一対の開閉シャッター374a,374bは、光源側のエッジ部分にそれぞれヒンジ377a,377bを備え、当該エッジ部分を支点として回転可能に取り付けられている。一対の開閉シャッター374a,374bは、重力によりそれぞれ送風口371a,371bを開閉して、どちらか一方のみを開放状態にする。より具体的には、図8(b)等に示すように、送風口371aが下側となるように光源装置301を配置すると、ランプ本体311の下側となる開閉シャッター374aは、重力の作用により図8(b)において点線に示す位置から実線に示す位置に回転する。これにより、開閉シャッター374aは、送風口371aを開放する。一方、ランプ本体311の上側となる開閉シャッター374bは、重力の作用によって回転することで送風口371bを閉塞する。この結果、送風口371a,371bのうち、送風口371aのみから冷却用空気が装置内部に導入される。この際、送風口371aから導入される冷却用空気は、第2の整流部であるルーバ372aにより風向を調整される。一方、送風口371bを閉塞した開閉シャッター374bは、送風口371aから装置内部に導入された冷却用空気を整流する第1の整流部の一部として機能する。つまり、この場合、開閉シャッター374bとその周辺部分とによって第1の整流部が構成され、送風口371aから導入された冷却用空気の流路が形成される。
【0063】
ここで、光源装置301を上下反転させた場合、上記の場合とは逆に、各開閉シャッター374a,374bは、いずれも図8(b)において点線に示す位置に回転する。これにより、送風口371bが開放され、送風口371aが閉塞される。従って、この場合、送風口371aからのみ冷却用空気が内部に導入され、この際、冷却用空気は、第2の整流部であるルーバ372bにより風向を調整される。以上のように、一対の開閉シャッター374a,374bは、送風口371a,371bを開閉する動作を行うことにより冷却用空気の流れを切り替える切替装置として機能する。
【0064】
図9は、本実施形態の光源装置の変形例について説明する概念図であり、光射出側すなわち前方からみて左側の概略側面図である。なお、図9は、一部断面図であり、ハウジングの部分が断面図となっている。本変形例の光源装置401は、内部と外部とを連通する排気口473を、ハウジング417側ではなく、リフレクタ413の側面に形成している。つまり、本変形例では、光射出側すなわち前方から見てリフレクタ413の右側の側面に、リフレクタ413の内部と外部とを連通する排気口473が形成されている。なお、排気口473の形成位置を除いて他の構成については図8の光源装置301と同様であるので説明を省略する。
【0065】
図10は、光源装置の冷却構造の変形例を説明する図である。図10(a)は、光源装置の概略正面図であり、図10(b)は、光源装置の概略上面図である。このうち、図10(b)は、一部断面図であり、ハウジングの部分が断面図となっている。本変形例において、光源装置501は、光射出側から見て左側の側面及び右側の側面に、ハウジング517の内部と外部とを連通する排気口573a,573bが形成されている。なお、排気口573の形成位置を除いて他の構成については図8の光源装置301と同様であるので説明を省略する。
【0066】
本変形例の冷却構造は、ハウジング517に具備される送風口571a、排気口573a,573b、及び整流板525a,525bのほか、送風口573a,573bを介して光源装置501の内部に冷却用空気を送り込むことによって構成される。なお、この場合、冷却用空気は、送気口576に合わせて取り付けられる外部装置である冷却ファン575により送風される。図10(a)及び図10(b)中の矢印で示すように、冷却ファン575によって送気口576を介してハウジング517に導入された冷却用空気は、ハウジング517下面側の送風口571aから左右に分かれて装置内部に導入され、対向するハウジング575上面側の整流板525a,525bに向けて流通される。そして、整流板525a,525bにより、ランプ本体511の上部から下部周辺に導かれて、排気口573a,573bから排気される。
【0067】
〔第4実施形態〕
図11は、第4実施形態の光源装置について説明する概念図である。本実施形態の光源装置601は、ランプ本体611の各部を冷却する冷却構造を備える。図11(a)及び図11(b)は、この冷却構造を説明するための図であり、図11(a)は光源装置601を光射出側すなわち前方からみて左側の概略側面図、図11(b)は概略底面図である。なお、光源装置601は、光源としての光学的構造については第1実施形態のものと同様であるので冷却構造以外の箇所については詳しい説明を省略する。
【0068】
光源装置601は、リフレクタ613及び凹レンズ615を固定するためのハウジング617を含む。このハウジング617には、ランプ本体611の下側となる位置とこれに対向する位置すなわち上側となる位置とに、ハウジング317の内部と外部とを連通するための送風口671a,671bが形成されている。なお、図11(a)及び図11(b)はいずれも、光源装置601を通常の状態で設置した場合の図であるが、光源装置601は、上下反転させて設置することも可能である。また、送風口671a,671bには、冷却用空気を発生する外部装置である冷却ファン675a,675bがそれぞれ取り付けられている。なお、冷却ファン675a,675bは、例えばシロッコファンである。また、光射出側すなわち前方から見て左側の側面には、ハウジング617の内部と外部とを連通する通気口である排気口673が形成されている。
【0069】
さらに、ハウジング617の内部には、送風口671a,671bの開閉を行うためのシャッターリング674が設置されている。シャッターリング674は、一定幅を有するリング形状であり、当該一定幅の側面にはハウジング617の送風口671a,671b及び排気口673に対応させるために所定の間隔で複数の開口674a,674bが形成されている。また、リング形状のシャッターリング674の中心軸は、ランプ本体611の光軸に一致している。シャッターリング674は、ギア等(不図示)により噛み合っている円筒状の回転駆動装置676が駆動回路677からの信号に従って回転することでランプ本体611の光軸を中心として軸回転可能であり、駆動回路677からの信号に応じてシャッターリング674の回転位置を所望の角度に制御することができる。シャッターリング674は、この回転位置の制御により、2つの開口674a,674bの位置を送風口671a又は671bあるいは排気口673に合わせることができる。
【0070】
図12は、シャッターリング674の動作について説明するための概念図である。図12(a)及び図12(b)は、いずれも光源装置601を光射出側すなわち前方からみた正面概略図であり、図12(a)は光源装置601を通常の状態で設置した場合の図を示しており、図12(b)は光源装置601を上下反転させた状態で設置した場合の図を示している。なお、図12中において示している上下方向とは重力方向についてのものであり、図中矢印に示す下方向が重力方向である。シャッターリング674の開口674aと開口674bとは、シャッターリング674の中心軸からみて90°の間隔で設けられている。シャッターリング674は、図12(a)に示すように、光源装置601を通常の状態で設置した場合、シャッターリング674の開口674a,674bのうち、開口674aが送風口671aに対応し、開口674bが排気口673に対応している。この場合、2つの冷却ファン675a,675bのうち、冷却ファン675aにより冷却用空気を発生させることにより、送風口671aから開口674aを介して導入された冷却用空気がランプ本体611の下側から装置内部に導入される。また、冷却用空気は、装置内部を冷却した後、排気口673から開口674bを介して排気される。なお、この際、送風口671bは、シャッターリング674の側面により閉塞された状態となっている。
【0071】
一方、図12(b)に示すように、光源装置601を上下反転させた状態で設置した場合、図12の紙面上方向が重力方向即ち下側となる。この場合、図12(a)及び図12(b)に示すように、シャッターリング674を光源装置601に対して時計回りの方向に90°回転させる。これにより、シャッターリング674の開口674a,674bのうち、開口674bが送風口671bに対応し、開口674aが排気口673に対応した状態とすることができる。従って、この場合、2つの冷却ファン675a,675bのうち、冷却ファン675bにより冷却用空気を発生させることにより、送風口671bから開口674bを介して導入された冷却用空気がランプ本体611の下側から装置内部に導入される。また、冷却用空気は、装置内部を冷却した後、排気口673から開口674aを介して排気される。なお、この際、送風口671aは、シャッターリング674の側面により閉塞された状態となっている。従って、光源装置601を上下反転させて設置した場合においても、ランプ本体611の下側となる送風口671bに開口674bを対応させて、通常に設置した場合と同様に適切な冷却を行うことができる。
【0072】
図13は、本実施形態の光源装置の変形例について説明する概念図である。図13(a)及び図13(b)は、いずれもシャッターリング774の動作について説明するための概念図であり、図13(a)は光源装置701を通常の状態で設置した場合の図を示しており、図13(b)は光源装置701を上下反転させた状態で設置した場合の図を示している。図13上での上下方向は矢印で記載された方向となる。本変形例の光源装置701のシャッターリング774には、ハウジング717の送風口771a,771b及び排気口773に対応するように所定の間隔で4つの開口774a,774b,774c,774dが形成されている。なお、光源装置701の構造は、複数の開口774a,774b,774c,774dの形成位置を除いた他の構成については図11及び図12に示した光源装置601の構造と同様であるので説明を省略する。
【0073】
シャッターリング774の開口774a,774b,774c,774dは、シャッターリング774の中心軸からみて45°の間隔で設けられている。従って、例えば開口774aと開口774cとはシャッターリング774の中心軸からみて90°の間隔で設けられている。シャッターリング774は、図13(a)に示すように、光源装置701を通常の状態で設置した場合、開口774aが送風口771aに対応し、開口774cが排気口773に対応している。この場合、外部装置である2つの冷却ファン775a,775bのうち、冷却ファン775aにより送風口671aから開口674aを介して導入された冷却用空気が装置内部に導入され、ランプ本体711を冷却し、排気口773から開口774cを介して排気される。なお、この際、送風口771bは、シャッターリング674の側面により閉塞された状態となっている。また、開口774b,774dはハウジング717の内壁により閉塞されている。
【0074】
一方、図13(b)のように、光源装置701を上下反転させた状態で設置した場合、図13(a)及び図13(b)に示すように、シャッターリング774を光源装置701に対して時計回りの方向に45°回転させる。これにより、開口774dが送風口671bに対応し、開口774bが排気口773に対応した状態とすることができる。従って、この場合、2つの冷却ファン775a,775bのうち、冷却ファン775bにより冷却用空気を発生させることにより、送風口771bから開口774dを介して導入された冷却用空気が装置内部に導入され、排気口773から開口774bを介して排気される。なお、この際、送風口771aは、シャッターリング774の側面により閉塞された状態となっている。また、開口774a,774cはハウジング717の内壁により閉塞されている。従って、光源装置601を上下反転させて設置した場合においても、ランプ本体611の下側となる送風口671bに開口674bを対応させて、通常に設置した場合と同様に適切な冷却を行うことができる。
【0075】
〔第5実施形態〕
図14は、第3実施形態で説明した光源装置を組み込んだプロジェクタの光学系の構成を説明する概念図である。なお、本プロジェクタ800は、図7のプロジェクタ200の光源装置1にかえて光源装置301(401,501)を組み込んだものである。従って、光源装置301(401,501)以外の光学系については、図7のプロジェクタ200と同様であるので説明を省略する。プロジェクタ800は、光源装置として光源装置301(401,501)を用いていることで、寿命の長い光源装置を組み込んだものであり、かつ、例えば天吊りを行うタイプのように、通常の使用とは上下反転させて用いることを可能にするプロジェクタが実現できる。なお、ここで、冷却ファン375(575)はプロジェクタ800側に取り付けられており、光源装置301(401,501)をプロジェクタ800に組みこんだ時に冷却ファン375(575)の送風口と光源装置301(401,501)の送気口が対向配置する構成となっている。また、この場合、冷却ファン375(575)として比較的小型化が可能なシロッコファン等を用いることにより後段の光学系の光路を遮ることなく光源装置を設置することができる。また、プロジェクタに用いる光源装置として、第4実施形態の光源装置を適用することも可能であり、例えば光源装置301にかえて図11の光源装置601等を設置してもよい。なお、この場合、光源装置601等に適合するようにプロジェクタ800には、冷却ファン675a,675b等が取り付けられている。また、本プロジェクタ800は、図7のプロジェクタ200と同等の光学系を用いることが可能であるので、第2実施形態の場合と同様に、例えば第1レンズアレイ23a及び第2レンズアレイ23bをロッドインテグレータに置き換えることや、4つ以上の液晶パネルにより光変調を行うプロジェクタにも同様に適用させること等も可能である。冷却ファン375,401,575,675a、675bは光源装置301に取り付けても良い。また、プロジェクタとしては、スクリーンを観察する方向から投射を行うフロントタイプのプロジェクタと、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行うリアタイプのプロジェクタとがあるが、本発明は何れのタイプのプロジェクタにも適用が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1…光源装置、11…ランプ本体、111…発光部、112,113…第1及び第2封止部、114,115…電極、116a,116b…金属箔、117a,117b…リード線、118…副反射鏡、119…副反射部、120…支持部、13…リフレクタ、131…首状部、132…主反射部、15…凹レンズ、17…ハウジング、171…送風口、172…ルーバ、173…排気口、174…整流板、175…冷却ファン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源光を射出する発光管と、前記発光管から射出された光源光を反射するリフレクタと、前記リフレクタを保持する保持部とを備えた光源装置であって、
前記保持部は、冷却用空気を装置内部の前記発光管の光射出側に導入する送風口と、前記送風口側から供給され前記発光管の光射出側を経た冷却用空気を前記発光管の上部に向けて流通させる第1の整流部とを備える光源装置。
【請求項2】
前記発光管は、発光部と、前記発光部の両側に延びる封止部とを含み、
前記送風口は、装置内部に導入する冷却用空気を、前記発光管の光射出側に向けて流通させる第2の整流部を備える請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記リフレクタは、楕円曲面の反射面を備えて構成される請求項1及び請求項2の何れか一項に記載の光源装置。
【請求項4】
前記リフレクタの反射面に対向して配置され、前記発光管から射出された光束の一部を前記発光管に向けて反射させる副反射鏡を備える請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記保持部は、前記発光管の側方位置に、冷却用空気を排気する排気口を備える請求項1から請求項4までの何れか一項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記第1の整流部は前記発光管の上側に配置され、前記送風口は前記発光管の下側の前記第1の整流部と対向する位置に配置される請求項1から請求項5までの何れか一項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記第1の整流部は、前記保持部の内壁に形成される曲面又は傾斜面である請求項1から請求項6までの何れか一項に記載の光源装置。
【請求項8】
前記保持部は、前記送風口を複数有し、当該複数の送風口を開閉することにより冷却用空気の流れを切り替える切替装置を備える、請求項1から請求項5までの何れか一項に記載の光源装置。
【請求項9】
前記切替装置は、前記複数の送風口のそれぞれを開閉するために対向して配置される複数の開閉シャッターを有し、前記複数の開閉シャッターのうち前記発光管の下側となる開閉シャッターを開放するとともに前記発光管の上側となる開閉シャッターを閉塞して冷却用空気の流れを切り替える、請求項8に記載の光源装置。
【請求項10】
前記切替装置は、前記複数の送風口を開閉するためのシャッターリングを有し、前記シャッターリングの回転動作により、前記シャッターリングに設けられた開口を前記複数の送風口のうち前記発光管の下側となる送風口に対応させて配置することにより冷却用空気の流れを切り替える、請求項8に記載の光源装置。
【請求項11】
前記シャッターリングは、前記開口を複数有し、当該複数の開口を前記発光管の下側となる送風口と冷却用空気の排気のための通気口とに対応させて配置する、請求項10に記載の光源装置。
【請求項12】
前記冷却用空気の排気のための通気口は、前記発光管の側方位置に、冷却用空気を排気する排気口である、請求項11記載の光源装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12までの何れか一項に記載の光源装置を備え、当該光源装置から射出される光源光を画像情報に応じて変調して像光を形成するプロジェクタ。
【請求項14】
冷却用空気を発生させて前記保持部に導入する冷却ファン装置をさらに備える、請求項13に記載のプロジェクタ。
【請求項15】
前記冷却ファン装置は、シロッコファンを有する、請求項14に記載のプロジェクタ。
【請求項16】
前記冷却ファン装置は、前記複数の送風口に対応して複数配置される、請求項14及び請求項15に記載のプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−181966(P2009−181966A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122794(P2009−122794)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【分割の表示】特願2007−278537(P2007−278537)の分割
【原出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】