光源装置
【課題】導光板の両端側に配置された光源に対する導光板の熱膨張による機械的ストレスを抑止可能な、発光の均一性が良好で発光効率の良い導光板を用いた光源装置を提供する。
【解決手段】光源装置は、光源からの光を対向する両端面25a、25bより導入し側面から出射させるための導光板3と、導光板3の両端側にそれぞれ配置された光源であるLED1a、1bと、LED1a、1bおよび導光板3を収容するための筐体4と、導光板3を筐体側から押さえつけて筐体4に固定する導光板固定機構としてのネジ10a、10bとを備える。導光板3は、側面の長さが端面の幅よりも長く、かつ端面のサイズが光源の発光部サイズよりも大きく構成され、側面に対向する面に端面から離れるに従って乱反射性を上げる乱反射機構を具備している。
【解決手段】光源装置は、光源からの光を対向する両端面25a、25bより導入し側面から出射させるための導光板3と、導光板3の両端側にそれぞれ配置された光源であるLED1a、1bと、LED1a、1bおよび導光板3を収容するための筐体4と、導光板3を筐体側から押さえつけて筐体4に固定する導光板固定機構としてのネジ10a、10bとを備える。導光板3は、側面の長さが端面の幅よりも長く、かつ端面のサイズが光源の発光部サイズよりも大きく構成され、側面に対向する面に端面から離れるに従って乱反射性を上げる乱反射機構を具備している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの光を端面より導入し側面から出射させるための導光板を備えた光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光源装置としては従来から蛍光ランプ等を用いたものが多用されているが、このところ蛍光ランプ等の既存のランプを発光ダイオード(以下、LEDと記す)に置き換える提案が種々の分野でなされている。LEDは蛍光ランプと異なり水銀を使用しておらず、しかも小形で低電力駆動が可能であり、近年ではその発光効率の向上が目覚ましい。従来のLEDデバイスの形状は砲弾型が主流であったが徐々に面実装タイプが増え、LEDデバイスが小型化することで、その利用が幅広く期待されている。LEDは、これまでインジケータなどの表示に用いられることが多かったが、その効率向上に伴い照明用途としても展開され、徐々に普及し始めている。
【0003】
従来、例えば、蛍光ランプが使用されていたものに小型のLEDを使用し、線上あるいは面状の光源を実現しようとする場合には、多数のLEDを等間隔に配置する方法が一般的である。しかしながら、この方法では光源が粒状に発光しているのが視認され、滑らかな線上あるいは面状の光源にはならない。そこでLED光源の前面に拡散効果をもつシートあるいは板を配置し、LEDの直進光を拡散することで滑らかな線状あるいは面状光源とすることが可能であるが、この場合は拡散シートあるいは板の透過率が60%程度であることから、光の利用効率が極端におちてしまう。
【0004】
また、LEDを並べることで線状あるいは面状の光源を実現しようとする場合、LEDの数量を削減することは困難である。密に並べればそれだけ光源が近接するため、線状あるいは面状とした際の発光の均一さが良好となるが、それだけ多くのLEDを使用する必要が生じる。一方、LEDの数量を減らす為にはLED同士の間隔を粗にして配列する必要が生じ、この場合は発光面での均一さが損なわれてしまう。
【0005】
これに対して、導光技術を用いた線状光源が、例えばファクシミリ等の画像入力装置用の光源として提案されている。例えば、特許文献1のものは、ランプの光を凹面反射鏡で反射させ、その光を透明部材からなる円柱状のロッドの端面から導入し、ロッド内で散乱させてロッド長手方向の表面において線状の光を得るものである。また、特許文献2のものは、円柱状の導光部の一端に複数の発光ダイオード素子を配置し、導光部の表面に軸方向に沿って直線上に拡散反射部を有し、前記導光部の周囲に円筒状の反射部材を備え、この反射部材の軸方向に沿った直線上の間隔から線上の光を得るものである。
【特許文献1】特開平1−237534号公報
【特許文献2】特開平9−9006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のようにLEDを用いて線上光源を形成する場合、LEDを複数個使用し列状に配置させることで実現する方法があるが、この方法では複数の光源を使用しているため、明るさの均一性が低い線上光源となり、LEDを配置する間隔次第で、粒状に光る点光源の集合体として視認されてしまう問題がある。また同時に、LEDの発光色のバラツキがあると、隣接するLEDの色度の差により、明るさだけでなく色味の均一性も低くなるという問題がある。
【0007】
一方、上記従来の技術には、導光技術を使用することで均一性の高い線状光源を実現する方法がファクシミリ等の画像入力装置用の光源において提案されているが、その発光効率は十分とはいえない。導光体の入光部よりも光源部分の発光面積を大きくすると、導光体への入光効率は著しく低下する。導光体に入光するまでの光の損失が多いと光源装置としての発光効率が極端に悪くなる。さらに筐体を含めた光源装置として考えた場合、光源部分が大きくなるために、蛍光ランプの代替光源や照明器具としての使用には適さないという問題も挙げられる。
【0008】
また、光源部と導光板を保持する保持部材として、アルミニウムなどの放熱性が高い金属部材を使用した場合、温度特性による膨張係数が、保持部材と導光板とで異なるため、高温下では導光板の方が膨張し、光源部分を圧迫する方向に伸びてしまう。予め光源部と導光板に十分な隙間を生じさせて配置させることでの回避は可能だが、何らかの形で導光板と光源と保持部材の相互位置関係が保たれる構成を取らないと、落下などの衝撃において、相互の自重によって応力を与えあうこととなってしまう。また、導光板の端部片側にのみ光源を配置する構成では、対向する導光板の端部を保持部材に固定させれば問題はないが、両端側に光源が存在する場合は、導光板の長手方向の固定に関して何らかの手段が必要となる。
【0009】
従って本発明の目的は、導光板の両端側に配置された光源に対する導光板の熱膨張による機械的ストレスを抑止可能な、発光の均一性が良好で発光効率の良い導光板を用いた光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、光源からの光を対向する両端面より導入し側面から出射させるための導光板と、前記導光板の両端側にそれぞれ配置された光源と、前記光源および前記導光板を収容するための筐体と、前記導光板を前記筐体側から押さえつけて前記筐体に固定する導光板固定機構とを備え、前記導光板は、前記側面の長さが前記端面の幅よりも長く、かつ前記端面のサイズが前記光源の発光部サイズよりも大きく構成され、前記側面に対向する面に前記端面から離れるに従って乱反射性を上げる乱反射機構を具備する光源装置により達成される。
【0011】
ここで、前記固定機構は、前記導光板の両端面から実質的に等距離の位置に設けることが好ましい。前記固定機構は、前記筐体の外側からねじ込まれたネジ、または前記筐体と前記導光板との間に挿入された介在物とすることができる。前記介在物は、くさび形状部材とすることができる。前記導光板と前記筐体との間に前記導光板からの光を反射する反射シートが設けられ、前記固定機構が前記反射シートを介して前記導光板を押さえつけるように構成することができる。また、前記光源で発生する熱を放熱する機能を有し且つ前記光源を保持する保持部材が前記筐体に収容されるように構成することができる。前記導光板が、例えば四角柱のような多角柱とすることができる。前記光源は、1つまたは複数の発光ダイオードを用いて構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、導光板の両端側に配置された光源に対する導光板の熱膨張による機械的ストレスを抑止可能な、発光の均一性が良好で発光効率の良い導光板を用いた光源装置を得ることが出来る。固定機構を導光板の両端面から実質的に等距離の位置に設けることで導光板の両端側に配置する光源の位置設計を簡単にすることができる。固定機構を筐体の外側からねじ込まれるネジとすることで導光板の固定強度の調整が容易となる。固定機構を筐体と導光板との間に挿入された介在物とすることで筐体を加工することなく導光板を固定することができる。介在物をくさび形状部材とすることで固定作業が容易となる。導光板と筐体との間に導光板からの光を反射する反射シートを設け、固定機構で反射シートを介して導光板を押さえつけるようにすることで、固定機構による導光板へのキズを防止できる。光源で発生する熱を放熱する機能を有し且つ光源を保持する保持部材が筐体に収容されるように構成することで、光源で発生する熱を保持部材を介して筐体に放熱することができる。前記導光板が、例えば四角柱のような多角柱とすることができる。前記光源は、1つまたは複数の発光ダイオードを用いて構成することができる。
【0013】
また、1つまたは複数のLEDを用いることで小型軽量かつ省エネルギーとする事が出来る。1W以上の入力電力をもつ白色LEDを用いることで明るい照明を得ることが出来る。複数の異なる発光波長のLEDを用いることで演出効果あるいは装飾性等を向上させることができる。導光板の厚みを4mm以上とすることで寸法の大きなハイパワーLEDを用いる場合でも発光効率を良くすることができる。保持部材に光源で発生する熱を放熱する機能を持たせることで光源の発光効率や寿命に悪影響を及ぼさないようにすることができる。導光板を例えば四角柱のような多角柱とすることで光出射面を平面とすることができる。
さらに、本発明により細形の光源装置を得ることができるので、省スペースな光源として利用することが可能となる。例えば、従来蛍光ランプが使用されている所への代替光源としての利用をはじめとし、これまで蛍光ランプ等の取りつけが出来ないような環境や場所での使用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明に係る光源装置の一実施例を示す図である。図2は、図1の光源装置の分解図である。
本実施例は図示のように、光源であるLED1aと、LED1aを保持するための保持部材2aと、光源であるLED1bと、LED1bを保持するための保持部材2bと、LED1aおよび1bからの光をそれぞれ端面25aおよび25bより導入し側面26から出射させるための導光板3とを備える。導光板3は、反射シート8に介して筐体4に収容される。筐体4は、導光板3と保持部材2a、2bを位置固定する。LED1aおよび1bはそれぞれ基板9aおよび9bに実装され、基板9aおよび9bを介して、保持部材2aおよび2bに各々保持される。導光板の側面26に対向する面28には、端面25から離れるに従って反射性を向上させた乱反射機構(図示しない)を具備する。この乱反射機構については後述する。また、LED1aおよび1bに接続された配線5の他端はLEDを駆動する駆動回路6に接続され、駆動回路6は電源7に接続される。筐体4はネジ穴加工がされており、導光板固定機構であるネジ10aおよび10bはこのネジ穴にそれぞれねじ込まれ、筐体4の両側面より筐体4を介して導光板3を押さえつけることで、導光板3と筐体4を固定する。
【0015】
光源装置の作動時には、電源7より駆動回路6に給電され、駆動回路6により配線5および基板9aおよび9bを介してLED1aおよび1bに電圧が印加され、LED1aおよび1bが発光する。このとき、LED1aおよび1bの発光量を安定させるためには、駆動回路6は定電流制御あるいは定電圧制御で動作することが望ましい。LED1aおよび1bの発光により放出された光は導光板3の端面25aおよび25bよりそれぞれ導入され導光板3内を伝搬する。導光板3内を伝搬する光は、導光板の面28の各部に配置された乱反射機構(図示しない)により乱反射され、導光板3の側面26から出射する。この原理については後述する。
【0016】
このように本実施例では、光源からの光を対向する両端面25a、25bより導入し側面から出射させるための導光板3と、導光板3の両端側にそれぞれ配置された光源であるLED1a、1bと、LED1a、1bおよび導光板3を収容するための筐体4と、導光板3を筐体側から押さえつけて筐体4に固定する導光板固定機構としてのネジ10a、10bとを備えるものである。導光板3は、側面の長さが端面の幅よりも長く、かつ端面のサイズが光源の発光部サイズよりも大きく構成され、側面に対向する面に端面から離れるに従って乱反射性を上げる乱反射機構を具備している。ネジ10a、10bは導光板3の両端面25a、25bから実質的に等距離の位置、すなわち導光板3の長手方向の中央部に設けられ、筐体4の外側からねじ込まれる。
【0017】
本例の導光板3は、図示のように断面が矩形の四角柱であるが、これ以外の断面を有する多角柱とすることもできる。導光板3の側面26の長さLは、端面25aおよび25bの幅Wよりも長く構成される。また、端面25aおよび25bのサイズは、LED1aおよび1bの発光部のサイズよりも大きく構成される。このように導光板の幅を狭くし長さを長尺とし、端面のサイズを光源発光部のサイズよりも大きく構成することで、輝度の高い照明に適した光を得ることができる。
【0018】
ここでサイズとは、導光板の端面における厚みと幅の両方の寸法をいい、またLED1(光源)の発光部27における厚みと幅の両方の寸法をいう。図2に示すように導光板の端面25a、25bの幅をW、厚みをTとし、図3に示すようにLED1の発光部27の幅をw、厚みをtとした場合に、端面25a、25bのサイズがLED1の発光部27のサイズよりも大きく構成されるとは、W>w、かつT>tであることをいう。
【0019】
図3(a)〜(c)は、LED1の発光部27のサイズについて説明するための図である。LED1は、LED素子91とそれを封止する樹脂部を備える。LED素子91からの光はこの樹脂部を通して発光するので、ここではこの樹脂部を発光部27とする。図3(a)はLEDが1つの場合の発光部27のサイズ(幅w、厚みt)を示す。図3(b)はLEDが横に2つ配列された場合の発光部サイズを示す。この場合、左側の発光部の左端から右側の発光部の右端の間の幅を発光部27の幅wとする。図3(c)はLEDが縦横2つずつ合計4つ配置された場合をそれぞれ示す。この場合、上側の発光部の上端から下側の要領で幅と厚みが決められる。例えば、ハイパワーLEDの場合、発光部27はφ4〜5mm程度で構成されることが多い。これは使用するLED素子に1mm角前後のものを使用し、このLED素子に通電するためのワイヤーを張るあめの領域として、LED素子周辺に1mm程度の距離が必要となり、さらにそのワイヤーにストレスを与えない距離として1mm程度の距離を設けて透明樹脂で封止される界面または透明樹脂を封止するための壁面が構成されている。このため、LED1の発光部の径がφ4〜5mmとなる。従って、発光部27に合わせて導光板の厚みも4mm以上にする必要がある。
【0020】
上述の通り、導光板3の側面26に対向する面28には、端面25から離れるに従って反射性を上げた乱反射機構を具備する。この乱反射機構については以下詳述するが、その前に導光板3内での光の伝搬の原理をまず説明する。
【0021】
図4は、LEDから導入された光が導光板内を伝搬する様子を示す図である。図示のように、LED1で発光した光は、導光板3の端面より入光される。導光板3に入光された光は、導光板3と空気の間の屈折率差により、導光板と空気の界面にて全反射が生じる。全反射が生じるためには、導光板3と空気の間の屈折率差で生じる臨界角以上の角度にて、界面に光が当たる必要があるが、LED1から導光板3に入光する時点の屈折率差により、入光角度は一定角以内になっているため、前述の導光板3から空気との界面に光が当たるときには臨界角以上の角度が保持されている。また、この関係を維持するため、導光板の表面は凹凸のない平滑面であることが望ましい。
【0022】
導光板3より、外部すなわち空気に対して光を射出するためには、前述の全反射を崩して光の反射の角度を意図的に変えてやる必要がある。このためには導光板3の側面26に対向する面28に乱反射機構が設けられる。乱反射機構は、例えば端面25から離れるに従って祖から密に配置された光を乱反射する平面的なパターンあるいは凹凸部で構成することができる。
【0023】
図5では、導光板に乱反射機構として平面的なパターンを形成した場合の例を示す図である。本例では、平面的なパターンは白色シルク印刷11で構成されているが、これに限定されず、他の印刷または塗布でもよい。導光板3とシルク印刷11の間には空気層が介在しないため、導光板3内の光がシルク印刷11に当たった場合、導光板3と空気層間の屈折率差は存在しない。またシルク印刷11自体光透過性が少なく、反射率の高いものを使用するのが通例である。したがって、導光板3内からの光がシルク印刷11に当たった場合は、シルク印刷が白色であることから、散乱反射が生じる。よってシルク印刷11が施された面28と対向する側面26の方向に反射された光は、側面26において臨界角以下で入射するため、全反射が生じず側面26より光が射出されることとなる。シルク印刷11は背面全面に印刷するものではなく、ドットや線などによって印刷する部分としない部分を存在させる必要がある。印刷された部分に当たった光は、前述のように散乱して側面26より射出され、印刷されていない部分に当たって光は全反射が維持され、端面から遠方方向に光が導出されることとなる。入光部(端面25)近傍での印刷面積は少なめにし、徐々に遠方になるにつれ、印刷面積の割合を多めにすることで、すなわち、平面的パターンの面積を端面25から離れるに従って粗から密に配置することで乱反射性を徐々に上げ、導光距離に対して均一性の高い発光を得ることが可能となる。
【0024】
図6は、導光板に乱反射機構として凹凸部を形成した場合の例を示す図である。本例では、凹凸部は、V溝12で構成されるが、これに限定されず、例えばシボ加工等でもよい。図6におけるV溝12は導光板3を削るあるいは凹ませる事によって形成した溝である。導光板3内からの光が溝に当たることで、反射角度が変わり側面26より射出する。図5のシルク印刷と同様に、溝の密度や深さを入光部(端面25)からの距離によって変化させ、すなわち、溝を端面25から離れるに従って粗から密に配置することで乱反射性を徐々に上げ、均一性の高い光を得ることができる。
【0025】
図5および図6に示すように、シルク印刷や溝を導光板背面(側面28)に設けることで、出光面(側面26)からの発光を得ることができるが、一方で出光面および背面以外の側面からの発光も生じてしまうと同時に、背面方向へ抜ける光が生じてしまう。そこで、図2に示す反射シート8によって出光面と入光面以外の面を反射性の高い部材により覆うことで、側面や背面に抜けてしまう光の漏れをなくすことが可能となる。ただし、反射シート8と導光板3の間には空気層を存在させる必要があるため、接着等での固定は望ましくない。そこで筐体4などによる別部材によって導光板3および反射シート8の位置関係を保持するための機構を設けることが望ましい。同時に導光板3とLED1aおよび1bの位置関係も保持する必要があるため、LED1aおよび1bを実装した基板9aおよび9bを筐体4に取りつけるための保持部材2aおよび2bによって固定することで、導光板3および反射シート8およびLED1aおよび1bの位置関係を保持する構成が実現できる。
【0026】
またLED1aおよび1bの発熱を放熱することが重要である。この点については、保持部材2aおよび2bおよび筐体4にはアルミニウムなどの熱伝導性の良い金属部材を用いることで、筐体4の全体に放熱機構を担わせることが可能となる。
【0027】
導光板3はアクリルなどの透明樹脂を用いることが通例であるが、筐体4をアルミニウムなどの金属部材とした場合は、導光板3と筐体4に生じる線膨張係数差が大きい。導光板3の両端部にLED1aおよび1bが各々配置されるため、LED1aおよび1bと、導光板3の配置構成には隙間を設ける必要が生じる。隙間が無いと導光板の熱膨張により、LED1aあるいは1bを圧迫する方向に応力がかかり、LED1aあるいは1bにダメージを与える。ただし、前述の隙間を空けるためには、導光板3を筐体4内のLED1aと1bの間隔に対して十分小さな大きさとすれば良いが、小さすぎるとLED1aあるいは1bと導光板端面25aあるいは25bまでの距離が離れてしまい、導光板3への入光効率が落ちてしまう。また、LED1aおよび1bと、導光板3の隙間を維持するための固定がなされていないと、導光板3が筐体4の中でフリーになってしまい、光源装置自体の落下などの衝撃があった場合、導光板3の自重によって、LED1aあるいは1bに対してダメージを与えることになってしまう。このため、何らかの手段で導光板3を筐体4に位置固定する必要がある。図1に示すように筐体4の両側面よりネジ10aおよび10bによって締め付けることで、筐体4を介して導光板3を押さえつけるように保持することができる。ネジ10aおよび10bの位置を導光板3の中心部周辺に設定すれば、導光板3の熱膨張の起点がこのネジ10aおよび10bで固定された部位となるため、導光板3は中心からおよそ等距離での熱膨張を起こすこととなる。このためLED1aおよび1bに対しての必要隙間距離を容易に算出することが可能となるだけでなく、落下等の衝撃があった際にも導光板3によってLED1aおよび1bにダメージを与えることを防止できる。
【0028】
図7はネジ10aとネジ10bの取り付け状態を示す図1に示す光源装置の断面図である。筐体4にネジ穴加工がされており、ネジ10aとネジ10bを締めることで、矢印に示す方向に力が加わり、反射シート8を介して、ネジ10aとネジ10bで導光板3を押さえつける構成となり、導光板3を筐体4に対して固定することができる。
【0029】
図8は、筐体4の側面片側よりネジ10aにて導光板を固定する一例を示す光源装置の断面図である。筐体4にネジ穴加工がされており、ネジ10aを締めることで、矢印に示す方向に力が加わり、反射シート8を介して、ネジ10aで導光板3を押さえつける構成となり、導光板3を筐体4に対して固定することができる。
【0030】
図9は、筐体4の底面よりネジ10aにて導光板を固定する一例を示す光源装置の断面図である。筐体4は天面に突起部13を持つ構造となっており、かつ筐体4の底面にネジ穴加工がされており、ネジ10aを締めることで、矢印に示す方向に力が加わり、反射シート8を介して、ネジ10aで導光板3を押さえつける構成となり、導光板3を筐体4に対して固定することができる。
【0031】
図10はくさび形状部材14によって導光板を固定する一例を示す光源装置の断面図である。筐体4と反射シート8の空間に、くさび形状部材14を挿入することで、矢印に示す方向に力が加わり、反射シート8を介して、くさび形状部材14で導光板3を押さえつける構成となり、導光板3を筐体4に対して固定することができる。くさび形状部材は例えば樹脂材料で形成可能であるが、これに限定されることなく、他の材料を用いることもできる。また、本例では、筐体と導光板との間に挿入される介在物をくさび形状部材としたが、介在物はこれに限定されることなく、導光板3を押さえつけて、導光板3を筐体4に対して固定することができるものであればよい。
【0032】
図11は、本発明に係る光源装置の他の実施例を示す図である。本実施例では、図11に示すように、筐体4の両側面よりネジ10aおよび10bおよび10cおよび10dが筐体4の外側からねじ込まれ導光板3の複数箇所を押さえつけることで、筐体4を介して導光板3を保持している。ネジ10aと10dおよびネジ10bと10cは互いに導光板3の両端面25a、25bからそれぞれ実質的に等距離の位置に設けることが好ましい。複数での固定箇所を取ることにより、導光板3の熱膨張の起点が散乱し、かつ固定強度が増すため、落下等の衝撃があった際にも、導光板3によるLED1aおよび1bへのダメージを防止することができる。
【0033】
以上のように、従来の線状光源で生じる、線状に配列された多数の光源が粒状に見えてしまう問題や、色の不均一性については導光技術を用いることで解決する事ができる。光の利用効率を高めるべく、導光体入光部分の面積よりも光源の発光部面積を小さくすることで、入光効率を高めることができる。光源の発光部の面積を小さくし、かつ光源装置から出射される光の明るさを確保するためには、より発光量の大きい光源を使うことが望ましい。近年ではハイパワーLEDと呼ばれるような大電力の投入が可能なLEDデバイスが存在しており、これらを使用することなどで、実現が可能となる。しかし、発光面積が小さく大光量が出せるような光源は光源自体の発熱量も大きいため光源を保持する部材に金属等の放熱性の高い材質を採用し、光源の発熱を光源装置外部へ放熱することが必要である。しかし、導光板は樹脂素材が通例であるため、導光板と金属筐体の線膨張係数差より、筐体内部の導光板が筐体よりも膨張することで、内部に配置される光源を圧迫させてしまう。予め隙間を設ける必要があるが、導光板の両端に光源が配置された構成においては、導光板の中心部をネジ締め、接着剤、粘着テープなどで固定することで、前述の諸課題を解決することが可能となる。
【0034】
また、近年一般的な液晶バックライトなどで用いられる導光板は厚みが薄く、本発明に使用すると仮に導光板の入光面積よりも小さな発光面積の光源を使用しても、導光板の厚み方向で光源の方が厚くなってしまう。そこで、導光板入光面積と光源発光面積との大小関係を維持すると同時に、厚みと幅の両方の寸法でも導光板入光部寸法よりも光源発光部を小さくする必要がある。このような構成とすることで、発光部分の小形化を図った、明るさおよび色均一性を高めた線状光源が達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、光源からの光を端面より導入し側面から出射させるための導光板を備えた光源装置に関わるものであり、産業上の利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る光源装置の一実施例を示す図である。
【図2】図1の光源装置の分解図である。
【図3】(a)〜(c)は、LED1の発光部27のサイズについて説明するための図である。
【図4】LEDから導入された光が導光板内を伝搬する様子を示す図である。
【図5】導光板に乱反射機構として平面的なパターンを形成した場合の例を示す図である。
【図6】導光板に乱反射機構として凹凸部を形成した場合の例を示す図である。
【図7】図1の光源装置の断面図である。
【図8】本発明に係る光源装置の他の実施例の断面図である。
【図9】本発明に係る光源装置の他の実施例の断面図である。
【図10】本発明に係る光源装置の他の実施例の断面図である。
【図11】本発明に係る光源装置の他の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1a、1b…LED(光源)、2a、2b…保持部材、3…導光板、4…筐体、5…配線、6…駆動回路、7…電源、8…反射シート、9a、9b…基板、10a、10b、10c、10d…ネジ、11…シルク印刷、12…V溝、13…突起部、14…くさび形状部材、25a、25b…導光板端面、26…導光板出光面、28…導光板背面
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの光を端面より導入し側面から出射させるための導光板を備えた光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光源装置としては従来から蛍光ランプ等を用いたものが多用されているが、このところ蛍光ランプ等の既存のランプを発光ダイオード(以下、LEDと記す)に置き換える提案が種々の分野でなされている。LEDは蛍光ランプと異なり水銀を使用しておらず、しかも小形で低電力駆動が可能であり、近年ではその発光効率の向上が目覚ましい。従来のLEDデバイスの形状は砲弾型が主流であったが徐々に面実装タイプが増え、LEDデバイスが小型化することで、その利用が幅広く期待されている。LEDは、これまでインジケータなどの表示に用いられることが多かったが、その効率向上に伴い照明用途としても展開され、徐々に普及し始めている。
【0003】
従来、例えば、蛍光ランプが使用されていたものに小型のLEDを使用し、線上あるいは面状の光源を実現しようとする場合には、多数のLEDを等間隔に配置する方法が一般的である。しかしながら、この方法では光源が粒状に発光しているのが視認され、滑らかな線上あるいは面状の光源にはならない。そこでLED光源の前面に拡散効果をもつシートあるいは板を配置し、LEDの直進光を拡散することで滑らかな線状あるいは面状光源とすることが可能であるが、この場合は拡散シートあるいは板の透過率が60%程度であることから、光の利用効率が極端におちてしまう。
【0004】
また、LEDを並べることで線状あるいは面状の光源を実現しようとする場合、LEDの数量を削減することは困難である。密に並べればそれだけ光源が近接するため、線状あるいは面状とした際の発光の均一さが良好となるが、それだけ多くのLEDを使用する必要が生じる。一方、LEDの数量を減らす為にはLED同士の間隔を粗にして配列する必要が生じ、この場合は発光面での均一さが損なわれてしまう。
【0005】
これに対して、導光技術を用いた線状光源が、例えばファクシミリ等の画像入力装置用の光源として提案されている。例えば、特許文献1のものは、ランプの光を凹面反射鏡で反射させ、その光を透明部材からなる円柱状のロッドの端面から導入し、ロッド内で散乱させてロッド長手方向の表面において線状の光を得るものである。また、特許文献2のものは、円柱状の導光部の一端に複数の発光ダイオード素子を配置し、導光部の表面に軸方向に沿って直線上に拡散反射部を有し、前記導光部の周囲に円筒状の反射部材を備え、この反射部材の軸方向に沿った直線上の間隔から線上の光を得るものである。
【特許文献1】特開平1−237534号公報
【特許文献2】特開平9−9006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のようにLEDを用いて線上光源を形成する場合、LEDを複数個使用し列状に配置させることで実現する方法があるが、この方法では複数の光源を使用しているため、明るさの均一性が低い線上光源となり、LEDを配置する間隔次第で、粒状に光る点光源の集合体として視認されてしまう問題がある。また同時に、LEDの発光色のバラツキがあると、隣接するLEDの色度の差により、明るさだけでなく色味の均一性も低くなるという問題がある。
【0007】
一方、上記従来の技術には、導光技術を使用することで均一性の高い線状光源を実現する方法がファクシミリ等の画像入力装置用の光源において提案されているが、その発光効率は十分とはいえない。導光体の入光部よりも光源部分の発光面積を大きくすると、導光体への入光効率は著しく低下する。導光体に入光するまでの光の損失が多いと光源装置としての発光効率が極端に悪くなる。さらに筐体を含めた光源装置として考えた場合、光源部分が大きくなるために、蛍光ランプの代替光源や照明器具としての使用には適さないという問題も挙げられる。
【0008】
また、光源部と導光板を保持する保持部材として、アルミニウムなどの放熱性が高い金属部材を使用した場合、温度特性による膨張係数が、保持部材と導光板とで異なるため、高温下では導光板の方が膨張し、光源部分を圧迫する方向に伸びてしまう。予め光源部と導光板に十分な隙間を生じさせて配置させることでの回避は可能だが、何らかの形で導光板と光源と保持部材の相互位置関係が保たれる構成を取らないと、落下などの衝撃において、相互の自重によって応力を与えあうこととなってしまう。また、導光板の端部片側にのみ光源を配置する構成では、対向する導光板の端部を保持部材に固定させれば問題はないが、両端側に光源が存在する場合は、導光板の長手方向の固定に関して何らかの手段が必要となる。
【0009】
従って本発明の目的は、導光板の両端側に配置された光源に対する導光板の熱膨張による機械的ストレスを抑止可能な、発光の均一性が良好で発光効率の良い導光板を用いた光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、光源からの光を対向する両端面より導入し側面から出射させるための導光板と、前記導光板の両端側にそれぞれ配置された光源と、前記光源および前記導光板を収容するための筐体と、前記導光板を前記筐体側から押さえつけて前記筐体に固定する導光板固定機構とを備え、前記導光板は、前記側面の長さが前記端面の幅よりも長く、かつ前記端面のサイズが前記光源の発光部サイズよりも大きく構成され、前記側面に対向する面に前記端面から離れるに従って乱反射性を上げる乱反射機構を具備する光源装置により達成される。
【0011】
ここで、前記固定機構は、前記導光板の両端面から実質的に等距離の位置に設けることが好ましい。前記固定機構は、前記筐体の外側からねじ込まれたネジ、または前記筐体と前記導光板との間に挿入された介在物とすることができる。前記介在物は、くさび形状部材とすることができる。前記導光板と前記筐体との間に前記導光板からの光を反射する反射シートが設けられ、前記固定機構が前記反射シートを介して前記導光板を押さえつけるように構成することができる。また、前記光源で発生する熱を放熱する機能を有し且つ前記光源を保持する保持部材が前記筐体に収容されるように構成することができる。前記導光板が、例えば四角柱のような多角柱とすることができる。前記光源は、1つまたは複数の発光ダイオードを用いて構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、導光板の両端側に配置された光源に対する導光板の熱膨張による機械的ストレスを抑止可能な、発光の均一性が良好で発光効率の良い導光板を用いた光源装置を得ることが出来る。固定機構を導光板の両端面から実質的に等距離の位置に設けることで導光板の両端側に配置する光源の位置設計を簡単にすることができる。固定機構を筐体の外側からねじ込まれるネジとすることで導光板の固定強度の調整が容易となる。固定機構を筐体と導光板との間に挿入された介在物とすることで筐体を加工することなく導光板を固定することができる。介在物をくさび形状部材とすることで固定作業が容易となる。導光板と筐体との間に導光板からの光を反射する反射シートを設け、固定機構で反射シートを介して導光板を押さえつけるようにすることで、固定機構による導光板へのキズを防止できる。光源で発生する熱を放熱する機能を有し且つ光源を保持する保持部材が筐体に収容されるように構成することで、光源で発生する熱を保持部材を介して筐体に放熱することができる。前記導光板が、例えば四角柱のような多角柱とすることができる。前記光源は、1つまたは複数の発光ダイオードを用いて構成することができる。
【0013】
また、1つまたは複数のLEDを用いることで小型軽量かつ省エネルギーとする事が出来る。1W以上の入力電力をもつ白色LEDを用いることで明るい照明を得ることが出来る。複数の異なる発光波長のLEDを用いることで演出効果あるいは装飾性等を向上させることができる。導光板の厚みを4mm以上とすることで寸法の大きなハイパワーLEDを用いる場合でも発光効率を良くすることができる。保持部材に光源で発生する熱を放熱する機能を持たせることで光源の発光効率や寿命に悪影響を及ぼさないようにすることができる。導光板を例えば四角柱のような多角柱とすることで光出射面を平面とすることができる。
さらに、本発明により細形の光源装置を得ることができるので、省スペースな光源として利用することが可能となる。例えば、従来蛍光ランプが使用されている所への代替光源としての利用をはじめとし、これまで蛍光ランプ等の取りつけが出来ないような環境や場所での使用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明に係る光源装置の一実施例を示す図である。図2は、図1の光源装置の分解図である。
本実施例は図示のように、光源であるLED1aと、LED1aを保持するための保持部材2aと、光源であるLED1bと、LED1bを保持するための保持部材2bと、LED1aおよび1bからの光をそれぞれ端面25aおよび25bより導入し側面26から出射させるための導光板3とを備える。導光板3は、反射シート8に介して筐体4に収容される。筐体4は、導光板3と保持部材2a、2bを位置固定する。LED1aおよび1bはそれぞれ基板9aおよび9bに実装され、基板9aおよび9bを介して、保持部材2aおよび2bに各々保持される。導光板の側面26に対向する面28には、端面25から離れるに従って反射性を向上させた乱反射機構(図示しない)を具備する。この乱反射機構については後述する。また、LED1aおよび1bに接続された配線5の他端はLEDを駆動する駆動回路6に接続され、駆動回路6は電源7に接続される。筐体4はネジ穴加工がされており、導光板固定機構であるネジ10aおよび10bはこのネジ穴にそれぞれねじ込まれ、筐体4の両側面より筐体4を介して導光板3を押さえつけることで、導光板3と筐体4を固定する。
【0015】
光源装置の作動時には、電源7より駆動回路6に給電され、駆動回路6により配線5および基板9aおよび9bを介してLED1aおよび1bに電圧が印加され、LED1aおよび1bが発光する。このとき、LED1aおよび1bの発光量を安定させるためには、駆動回路6は定電流制御あるいは定電圧制御で動作することが望ましい。LED1aおよび1bの発光により放出された光は導光板3の端面25aおよび25bよりそれぞれ導入され導光板3内を伝搬する。導光板3内を伝搬する光は、導光板の面28の各部に配置された乱反射機構(図示しない)により乱反射され、導光板3の側面26から出射する。この原理については後述する。
【0016】
このように本実施例では、光源からの光を対向する両端面25a、25bより導入し側面から出射させるための導光板3と、導光板3の両端側にそれぞれ配置された光源であるLED1a、1bと、LED1a、1bおよび導光板3を収容するための筐体4と、導光板3を筐体側から押さえつけて筐体4に固定する導光板固定機構としてのネジ10a、10bとを備えるものである。導光板3は、側面の長さが端面の幅よりも長く、かつ端面のサイズが光源の発光部サイズよりも大きく構成され、側面に対向する面に端面から離れるに従って乱反射性を上げる乱反射機構を具備している。ネジ10a、10bは導光板3の両端面25a、25bから実質的に等距離の位置、すなわち導光板3の長手方向の中央部に設けられ、筐体4の外側からねじ込まれる。
【0017】
本例の導光板3は、図示のように断面が矩形の四角柱であるが、これ以外の断面を有する多角柱とすることもできる。導光板3の側面26の長さLは、端面25aおよび25bの幅Wよりも長く構成される。また、端面25aおよび25bのサイズは、LED1aおよび1bの発光部のサイズよりも大きく構成される。このように導光板の幅を狭くし長さを長尺とし、端面のサイズを光源発光部のサイズよりも大きく構成することで、輝度の高い照明に適した光を得ることができる。
【0018】
ここでサイズとは、導光板の端面における厚みと幅の両方の寸法をいい、またLED1(光源)の発光部27における厚みと幅の両方の寸法をいう。図2に示すように導光板の端面25a、25bの幅をW、厚みをTとし、図3に示すようにLED1の発光部27の幅をw、厚みをtとした場合に、端面25a、25bのサイズがLED1の発光部27のサイズよりも大きく構成されるとは、W>w、かつT>tであることをいう。
【0019】
図3(a)〜(c)は、LED1の発光部27のサイズについて説明するための図である。LED1は、LED素子91とそれを封止する樹脂部を備える。LED素子91からの光はこの樹脂部を通して発光するので、ここではこの樹脂部を発光部27とする。図3(a)はLEDが1つの場合の発光部27のサイズ(幅w、厚みt)を示す。図3(b)はLEDが横に2つ配列された場合の発光部サイズを示す。この場合、左側の発光部の左端から右側の発光部の右端の間の幅を発光部27の幅wとする。図3(c)はLEDが縦横2つずつ合計4つ配置された場合をそれぞれ示す。この場合、上側の発光部の上端から下側の要領で幅と厚みが決められる。例えば、ハイパワーLEDの場合、発光部27はφ4〜5mm程度で構成されることが多い。これは使用するLED素子に1mm角前後のものを使用し、このLED素子に通電するためのワイヤーを張るあめの領域として、LED素子周辺に1mm程度の距離が必要となり、さらにそのワイヤーにストレスを与えない距離として1mm程度の距離を設けて透明樹脂で封止される界面または透明樹脂を封止するための壁面が構成されている。このため、LED1の発光部の径がφ4〜5mmとなる。従って、発光部27に合わせて導光板の厚みも4mm以上にする必要がある。
【0020】
上述の通り、導光板3の側面26に対向する面28には、端面25から離れるに従って反射性を上げた乱反射機構を具備する。この乱反射機構については以下詳述するが、その前に導光板3内での光の伝搬の原理をまず説明する。
【0021】
図4は、LEDから導入された光が導光板内を伝搬する様子を示す図である。図示のように、LED1で発光した光は、導光板3の端面より入光される。導光板3に入光された光は、導光板3と空気の間の屈折率差により、導光板と空気の界面にて全反射が生じる。全反射が生じるためには、導光板3と空気の間の屈折率差で生じる臨界角以上の角度にて、界面に光が当たる必要があるが、LED1から導光板3に入光する時点の屈折率差により、入光角度は一定角以内になっているため、前述の導光板3から空気との界面に光が当たるときには臨界角以上の角度が保持されている。また、この関係を維持するため、導光板の表面は凹凸のない平滑面であることが望ましい。
【0022】
導光板3より、外部すなわち空気に対して光を射出するためには、前述の全反射を崩して光の反射の角度を意図的に変えてやる必要がある。このためには導光板3の側面26に対向する面28に乱反射機構が設けられる。乱反射機構は、例えば端面25から離れるに従って祖から密に配置された光を乱反射する平面的なパターンあるいは凹凸部で構成することができる。
【0023】
図5では、導光板に乱反射機構として平面的なパターンを形成した場合の例を示す図である。本例では、平面的なパターンは白色シルク印刷11で構成されているが、これに限定されず、他の印刷または塗布でもよい。導光板3とシルク印刷11の間には空気層が介在しないため、導光板3内の光がシルク印刷11に当たった場合、導光板3と空気層間の屈折率差は存在しない。またシルク印刷11自体光透過性が少なく、反射率の高いものを使用するのが通例である。したがって、導光板3内からの光がシルク印刷11に当たった場合は、シルク印刷が白色であることから、散乱反射が生じる。よってシルク印刷11が施された面28と対向する側面26の方向に反射された光は、側面26において臨界角以下で入射するため、全反射が生じず側面26より光が射出されることとなる。シルク印刷11は背面全面に印刷するものではなく、ドットや線などによって印刷する部分としない部分を存在させる必要がある。印刷された部分に当たった光は、前述のように散乱して側面26より射出され、印刷されていない部分に当たって光は全反射が維持され、端面から遠方方向に光が導出されることとなる。入光部(端面25)近傍での印刷面積は少なめにし、徐々に遠方になるにつれ、印刷面積の割合を多めにすることで、すなわち、平面的パターンの面積を端面25から離れるに従って粗から密に配置することで乱反射性を徐々に上げ、導光距離に対して均一性の高い発光を得ることが可能となる。
【0024】
図6は、導光板に乱反射機構として凹凸部を形成した場合の例を示す図である。本例では、凹凸部は、V溝12で構成されるが、これに限定されず、例えばシボ加工等でもよい。図6におけるV溝12は導光板3を削るあるいは凹ませる事によって形成した溝である。導光板3内からの光が溝に当たることで、反射角度が変わり側面26より射出する。図5のシルク印刷と同様に、溝の密度や深さを入光部(端面25)からの距離によって変化させ、すなわち、溝を端面25から離れるに従って粗から密に配置することで乱反射性を徐々に上げ、均一性の高い光を得ることができる。
【0025】
図5および図6に示すように、シルク印刷や溝を導光板背面(側面28)に設けることで、出光面(側面26)からの発光を得ることができるが、一方で出光面および背面以外の側面からの発光も生じてしまうと同時に、背面方向へ抜ける光が生じてしまう。そこで、図2に示す反射シート8によって出光面と入光面以外の面を反射性の高い部材により覆うことで、側面や背面に抜けてしまう光の漏れをなくすことが可能となる。ただし、反射シート8と導光板3の間には空気層を存在させる必要があるため、接着等での固定は望ましくない。そこで筐体4などによる別部材によって導光板3および反射シート8の位置関係を保持するための機構を設けることが望ましい。同時に導光板3とLED1aおよび1bの位置関係も保持する必要があるため、LED1aおよび1bを実装した基板9aおよび9bを筐体4に取りつけるための保持部材2aおよび2bによって固定することで、導光板3および反射シート8およびLED1aおよび1bの位置関係を保持する構成が実現できる。
【0026】
またLED1aおよび1bの発熱を放熱することが重要である。この点については、保持部材2aおよび2bおよび筐体4にはアルミニウムなどの熱伝導性の良い金属部材を用いることで、筐体4の全体に放熱機構を担わせることが可能となる。
【0027】
導光板3はアクリルなどの透明樹脂を用いることが通例であるが、筐体4をアルミニウムなどの金属部材とした場合は、導光板3と筐体4に生じる線膨張係数差が大きい。導光板3の両端部にLED1aおよび1bが各々配置されるため、LED1aおよび1bと、導光板3の配置構成には隙間を設ける必要が生じる。隙間が無いと導光板の熱膨張により、LED1aあるいは1bを圧迫する方向に応力がかかり、LED1aあるいは1bにダメージを与える。ただし、前述の隙間を空けるためには、導光板3を筐体4内のLED1aと1bの間隔に対して十分小さな大きさとすれば良いが、小さすぎるとLED1aあるいは1bと導光板端面25aあるいは25bまでの距離が離れてしまい、導光板3への入光効率が落ちてしまう。また、LED1aおよび1bと、導光板3の隙間を維持するための固定がなされていないと、導光板3が筐体4の中でフリーになってしまい、光源装置自体の落下などの衝撃があった場合、導光板3の自重によって、LED1aあるいは1bに対してダメージを与えることになってしまう。このため、何らかの手段で導光板3を筐体4に位置固定する必要がある。図1に示すように筐体4の両側面よりネジ10aおよび10bによって締め付けることで、筐体4を介して導光板3を押さえつけるように保持することができる。ネジ10aおよび10bの位置を導光板3の中心部周辺に設定すれば、導光板3の熱膨張の起点がこのネジ10aおよび10bで固定された部位となるため、導光板3は中心からおよそ等距離での熱膨張を起こすこととなる。このためLED1aおよび1bに対しての必要隙間距離を容易に算出することが可能となるだけでなく、落下等の衝撃があった際にも導光板3によってLED1aおよび1bにダメージを与えることを防止できる。
【0028】
図7はネジ10aとネジ10bの取り付け状態を示す図1に示す光源装置の断面図である。筐体4にネジ穴加工がされており、ネジ10aとネジ10bを締めることで、矢印に示す方向に力が加わり、反射シート8を介して、ネジ10aとネジ10bで導光板3を押さえつける構成となり、導光板3を筐体4に対して固定することができる。
【0029】
図8は、筐体4の側面片側よりネジ10aにて導光板を固定する一例を示す光源装置の断面図である。筐体4にネジ穴加工がされており、ネジ10aを締めることで、矢印に示す方向に力が加わり、反射シート8を介して、ネジ10aで導光板3を押さえつける構成となり、導光板3を筐体4に対して固定することができる。
【0030】
図9は、筐体4の底面よりネジ10aにて導光板を固定する一例を示す光源装置の断面図である。筐体4は天面に突起部13を持つ構造となっており、かつ筐体4の底面にネジ穴加工がされており、ネジ10aを締めることで、矢印に示す方向に力が加わり、反射シート8を介して、ネジ10aで導光板3を押さえつける構成となり、導光板3を筐体4に対して固定することができる。
【0031】
図10はくさび形状部材14によって導光板を固定する一例を示す光源装置の断面図である。筐体4と反射シート8の空間に、くさび形状部材14を挿入することで、矢印に示す方向に力が加わり、反射シート8を介して、くさび形状部材14で導光板3を押さえつける構成となり、導光板3を筐体4に対して固定することができる。くさび形状部材は例えば樹脂材料で形成可能であるが、これに限定されることなく、他の材料を用いることもできる。また、本例では、筐体と導光板との間に挿入される介在物をくさび形状部材としたが、介在物はこれに限定されることなく、導光板3を押さえつけて、導光板3を筐体4に対して固定することができるものであればよい。
【0032】
図11は、本発明に係る光源装置の他の実施例を示す図である。本実施例では、図11に示すように、筐体4の両側面よりネジ10aおよび10bおよび10cおよび10dが筐体4の外側からねじ込まれ導光板3の複数箇所を押さえつけることで、筐体4を介して導光板3を保持している。ネジ10aと10dおよびネジ10bと10cは互いに導光板3の両端面25a、25bからそれぞれ実質的に等距離の位置に設けることが好ましい。複数での固定箇所を取ることにより、導光板3の熱膨張の起点が散乱し、かつ固定強度が増すため、落下等の衝撃があった際にも、導光板3によるLED1aおよび1bへのダメージを防止することができる。
【0033】
以上のように、従来の線状光源で生じる、線状に配列された多数の光源が粒状に見えてしまう問題や、色の不均一性については導光技術を用いることで解決する事ができる。光の利用効率を高めるべく、導光体入光部分の面積よりも光源の発光部面積を小さくすることで、入光効率を高めることができる。光源の発光部の面積を小さくし、かつ光源装置から出射される光の明るさを確保するためには、より発光量の大きい光源を使うことが望ましい。近年ではハイパワーLEDと呼ばれるような大電力の投入が可能なLEDデバイスが存在しており、これらを使用することなどで、実現が可能となる。しかし、発光面積が小さく大光量が出せるような光源は光源自体の発熱量も大きいため光源を保持する部材に金属等の放熱性の高い材質を採用し、光源の発熱を光源装置外部へ放熱することが必要である。しかし、導光板は樹脂素材が通例であるため、導光板と金属筐体の線膨張係数差より、筐体内部の導光板が筐体よりも膨張することで、内部に配置される光源を圧迫させてしまう。予め隙間を設ける必要があるが、導光板の両端に光源が配置された構成においては、導光板の中心部をネジ締め、接着剤、粘着テープなどで固定することで、前述の諸課題を解決することが可能となる。
【0034】
また、近年一般的な液晶バックライトなどで用いられる導光板は厚みが薄く、本発明に使用すると仮に導光板の入光面積よりも小さな発光面積の光源を使用しても、導光板の厚み方向で光源の方が厚くなってしまう。そこで、導光板入光面積と光源発光面積との大小関係を維持すると同時に、厚みと幅の両方の寸法でも導光板入光部寸法よりも光源発光部を小さくする必要がある。このような構成とすることで、発光部分の小形化を図った、明るさおよび色均一性を高めた線状光源が達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、光源からの光を端面より導入し側面から出射させるための導光板を備えた光源装置に関わるものであり、産業上の利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る光源装置の一実施例を示す図である。
【図2】図1の光源装置の分解図である。
【図3】(a)〜(c)は、LED1の発光部27のサイズについて説明するための図である。
【図4】LEDから導入された光が導光板内を伝搬する様子を示す図である。
【図5】導光板に乱反射機構として平面的なパターンを形成した場合の例を示す図である。
【図6】導光板に乱反射機構として凹凸部を形成した場合の例を示す図である。
【図7】図1の光源装置の断面図である。
【図8】本発明に係る光源装置の他の実施例の断面図である。
【図9】本発明に係る光源装置の他の実施例の断面図である。
【図10】本発明に係る光源装置の他の実施例の断面図である。
【図11】本発明に係る光源装置の他の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1a、1b…LED(光源)、2a、2b…保持部材、3…導光板、4…筐体、5…配線、6…駆動回路、7…電源、8…反射シート、9a、9b…基板、10a、10b、10c、10d…ネジ、11…シルク印刷、12…V溝、13…突起部、14…くさび形状部材、25a、25b…導光板端面、26…導光板出光面、28…導光板背面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を対向する両端面より導入し側面から出射させるための導光板と、前記導光板の両端側にそれぞれ配置された光源と、前記光源および前記導光板を収容するための筐体と、前記導光板を前記筐体側から押さえつけて前記筐体に固定する導光板固定機構とを備え、前記導光板は、前記側面の長さが前記端面の幅よりも長く、かつ前記端面のサイズが前記光源の発光部サイズよりも大きく構成され、前記側面に対向する面に前記端面から離れるに従って乱反射性を上げる乱反射機構を具備することを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記固定機構が、前記導光板の両端面から実質的に等距離の位置に設けられることを特徴とする請求項1記載の光源装置。
【請求項3】
前記固定機構が、前記筐体の外側からねじ込まれたネジであることを特徴とする請求項1または2記載の光源装置。
【請求項4】
前記固定機構が、前記筐体と前記導光板との間に挿入された介在物であることを特徴とする請求項1または2記載の光源装置。
【請求項5】
前記介在物が、くさび形状部材であることを特徴とする請求項4記載の光源装置。
【請求項6】
前記導光板と前記筐体との間に前記導光板からの光を反射する反射シートが設けられ、前記固定機構が前記反射シートを介して前記導光板を押さえつけることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光源装置。
【請求項7】
前記光源で発生する熱を放熱する機能を有し且つ前記光源を保持する保持部材が前記筐体に収容されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光源装置。
【請求項8】
前記導光板が、多角柱であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光源装置。
【請求項9】
前記光源が、1つまたは複数の発光ダイオードを用いて構成されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光源装置。
【請求項1】
光源からの光を対向する両端面より導入し側面から出射させるための導光板と、前記導光板の両端側にそれぞれ配置された光源と、前記光源および前記導光板を収容するための筐体と、前記導光板を前記筐体側から押さえつけて前記筐体に固定する導光板固定機構とを備え、前記導光板は、前記側面の長さが前記端面の幅よりも長く、かつ前記端面のサイズが前記光源の発光部サイズよりも大きく構成され、前記側面に対向する面に前記端面から離れるに従って乱反射性を上げる乱反射機構を具備することを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記固定機構が、前記導光板の両端面から実質的に等距離の位置に設けられることを特徴とする請求項1記載の光源装置。
【請求項3】
前記固定機構が、前記筐体の外側からねじ込まれたネジであることを特徴とする請求項1または2記載の光源装置。
【請求項4】
前記固定機構が、前記筐体と前記導光板との間に挿入された介在物であることを特徴とする請求項1または2記載の光源装置。
【請求項5】
前記介在物が、くさび形状部材であることを特徴とする請求項4記載の光源装置。
【請求項6】
前記導光板と前記筐体との間に前記導光板からの光を反射する反射シートが設けられ、前記固定機構が前記反射シートを介して前記導光板を押さえつけることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光源装置。
【請求項7】
前記光源で発生する熱を放熱する機能を有し且つ前記光源を保持する保持部材が前記筐体に収容されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光源装置。
【請求項8】
前記導光板が、多角柱であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光源装置。
【請求項9】
前記光源が、1つまたは複数の発光ダイオードを用いて構成されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光源装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−181814(P2009−181814A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19865(P2008−19865)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000005474)日立ライティング株式会社 (130)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000005474)日立ライティング株式会社 (130)
【Fターム(参考)】
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