説明

光源装置

【課題】発光素子の熱を効率良く放熱させて光源の高輝度化を図ることのできる光源装置を提供する。
【解決手段】発光素子1と、発光素子の熱を放熱させる放熱部品3と、放熱部品を冷却する羽根14を有した冷却ファン5と、発光素子の熱を放熱部品を介して冷却ファンの羽根に伝導させて前記羽根をヒートシンクとして機能させる熱伝導手段と、を有した光源装置。熱伝導手段は、放熱部品の他面3bに凹部17が形成され、その凹部に回転体12の頭部10を回転自在に挿入し、前記凹部の底面17aと前記頭部の天面10aとの間に形成された隙間に充填した熱伝導材8からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を光源とした光源装置に関し、詳細には、発光素子の熱を冷却ファンの羽根に伝導させて放熱する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDを利用した照明装置やプロジェクタ用の光源が開発されている。この光源装置では、LEDが取り付けられた回路基板に、LEDの発熱による輝度劣化や寿命劣化を防ぐための放熱部品が取り付けられている。そして、この光源装置では、放熱部品に対し自然空冷や強制空冷を行いLEDを冷却する。このような構成にすることで、LEDを利用した光源として安定した特性を維持している。
特に、照明装置やプロジェクタに使用されるLED光源は、高出力の素子を使用し、さらに複数個使用するなどして高輝度化を図る必要がある。しかし、高出力のLEDやLEDを複数個使用すると、発熱量も増加する。LEDは、温度が高くなると発光効率が低下するとともに信頼性も低下する。
【0003】
そこで、LEDの温度を上昇させないためは、LEDを取り付けるための電気回路が形成された基板の熱伝導率を高くしたり、LEDや基板に放熱部品を取り付けて放熱効果を高めている。一方、放熱部品は、光源装置を取り付ける場所の制約もあり、自由なサイズで作成することができないため、制限された範囲の中で放熱効率の良い形状が求められる。
【0004】
冷却ファンによる強制冷却の方法として、例えば特許文献1にLED取り付け基板と放熱部品を同軸上のファンと一緒に回転させて冷却する構造が提案されている。特許文献2では、LEDを取り付けた基板を回転させている。特許文献3では、LEDを取り付けた放熱部品は固定し、その同軸上の冷却ファンのみを回転自在としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−177020号公報
【特許文献2】特開2007−206627号公報
【特許文献3】特許第4236544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1及び2の構造では、LEDを取り付けた基板が回転するため、LEDに電力を供給するためにスリップリングやロータリートランスなどの高価な設備が必要になる。また、特許文献3の構造は、冷却ファンによる強制空冷の基本的な能力以上の冷却効率は望めない。
【0007】
そこで本発明は、発光素子の熱を効率良く放熱させて光源の高輝度化を図り、また発光素子に電力供給する設備を簡略化することのできる光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、発光素子(1)と、前記発光素子(1)が一面(3a)に取り付けられ、前記発光素子(1)の熱を放熱させる放熱部品(3)と、前記放熱部品(3)の他面(3b)に取り付けられ、前記放熱部品(3)を冷却する羽根(14)を有した冷却ファン(5)と、前記発光素子(1)の熱を前記放熱部品(3)を介して前記冷却ファン(5)の羽根(14)に伝導させて前記羽根(14)をヒートシンクとして機能させる熱伝導手段と、を有したことを特徴とする光源装置。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記熱伝導手段は、前記放熱部品(3)の他面(3b)に凹部(17)が形成され、その凹部(17)に前記羽根(14)を取り付けた回転体(21)の頭部(10)を回転自在に挿入し、前記凹部(17)の底面(17a)と前記頭部(10)の天面(10a)との間に形成された隙間に充填した熱伝導材(8)からなることを特徴とする光源装置。
【0010】
第3の発明は、第1の発明において、前記熱伝導手段は、前記放熱部品(3)の他面(3b)に円環溝(22、23)が形成され、その円環溝(22、23)に前記羽根(14)を取り付けた回転体(21)の頭部(10)に形成した円環突起(24、25)を回転自在に挿入し、前記円環溝(22、23)と前記円環突起(24、25)との間に形成された隙間に充填された空気による熱伝導と熱放射からなることを特徴とする光源装置。
【0011】
第4の発明は、第3の発明において、前記放熱部品(3)の円環溝(22、23)の内壁及び前記放熱部品(3)の前記冷却ファン(5)と対向する他面(3b)、前記冷却ファンの円環突起(24、25)の外壁及び前記冷却ファン(5)の前記放熱部品(3)と対向する面(10a)の放射率が0.8以上であることを特徴とする光源装置。
【0012】
第5の発明は、第2から第4の何れか1つに記載の発明において、前記放熱部品(3)と前記冷却ファン(5)との間に回転摺動自在に設けられて、前記放熱部品(3)と前記冷却ファン(5)との間隔を一定に保つ球状のスペーサ(13)を配したことを特徴とする光源装置。
【0013】
第6の発明は、第1から第4の何れか1つに記載の発明において、前記放熱部品(3)を、前記冷却ファン(5)がその内部に収まるように囲いを有したダクト形状としたことを特徴とする光源装置。
【0014】
第7の発明は、第1から第6の何れか1つに記載の発明において、前記冷却ファン(5)の前記羽根(14)を、熱伝導率1W/m・K以上の材質で形成したことを特徴とする光源装置。
【0015】
第8の発明は、第1から第7の何れか1つに記載の発明において、前記発光素子(1)は、前記発光素子(1)を点灯させるための電気回路が形成された基板(2)に設けられており、前記基板(2)が前記放熱部品(3)の一面(3a)に取り付けられたことを特徴とする光源装置。
【0016】
第9の発明は、第1から第7の何れか1つに記載の発明において、前記発光素子(1)は、前記発光素子(1)を点灯させるための電気回路が形成された前記放熱部品(3)の一面(3a)に直接取り付けられたことを特徴とする光源装置。
【0017】
第10の発明は、第1から第9の何れか1つに記載の発明において、前記発光素子(1)がLEDまたは半導体レーザであることを特徴とする光源装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、放熱部品による放熱に加えて冷却ファンの羽根がヒートシンクとして機能するために高い放熱特性が得られるので、高出力のLEDを複数配置した場合でも複数のLEDの温度上昇を十分に抑えることができる。そして、本発明によれば、温度上昇が抑えられることによりLEDの発光効率の低下も抑えられるようになり、光源の高輝度化が図られるようになる。その結果、放熱特性の優れた高輝度で信頼性の高い光源装置を提供することが可能になる。また、本発明によれば、発光素子に電力を供給するためのスリップリングやロータリートランスなどの設備が要らないため、発光素子への電力供給設備を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は実施形態1の光源装置の斜視図である。
【図2】図2は図1に示す光源装置の断面図である。
【図3】図3は実施形態2の光源装置の一部を破断して示す斜視図である。
【図4】図4は実施形態3の光源装置の斜視図である。
【図5】図5は実施形態4の光源装置の斜視図である。
【図6】図6は実施形態5の光源装置の斜視図である。
【図7】図7は図6に示す光源装置の一部を破断して示す斜視図である。
【図8】図8は実施形態6の光源装置の一部を破断して示す斜視図である。
【図9】図9は実施形態7の光源装置の斜視図である。
【図10】図10は実施形態8の光源装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
[実施形態1]
図1及び図2に本発明を適用した実施形態1の光源装置を示す。実施形態1の光源装置は、発光素子であるLED1と、LED1の熱を放熱させる放熱部品3と、放熱部品3を冷却する羽根14を有した冷却ファン5と、LED1の熱を放熱部品3を介して冷却ファン5の羽根14に伝導させて前記羽根14をヒートシンクとして機能させる熱伝導手段とからなる。
【0022】
LED1は、図1及び図2に示すように、前記LED1を点灯させるための電気回路が形成された回路基板2に、はんだ材や銀ペースト等により電気的に接続されている。回路基板2は、LED1で発生した熱を冷却するために設置された放熱部品3に熱伝導部材4を介して取り付けられている。熱伝導部材4には、熱伝導シートや熱伝導グリス等の熱伝導率の高い材質が使用される。回路基板2の放熱部品3への取り付け方法は、この放熱部品3の一面3aにねじ締結、接着、バネ押さえ等の各種取付手段で行われる。実施形態1では、ネジ7で回路基板2を放熱部品3に固定した。
【0023】
なお、実施形態1では、光源にLED1を使用したが、半導体レーザを光源としてもよい。この半導体レーザも点灯することで発熱するため、その熱を効率良く放熱するための機構として本発明を適用できる。
【0024】
放熱部品3は、図1に示すように、中央部に回路基板2を取り付ける領域が設けてあり、前記回路基板2と接続する領域よりも外側に放熱面積を拡大するためのフィン20を放射状に複数配置してある。フィン20とフィン20の間は、空間になっており、この空間を冷却風が通過することにより放熱部品3を冷却する。放熱部品3の他面3bには、冷却ファン5と熱的に接合するための熱伝導手段が設けられている。
【0025】
熱伝導手段は、図2に示すように、放熱部品3の他面3bに凹部17が形成され、その凹部17に前記羽根14を取り付けた回転体21の頭部10を回転自在に挿入し、前記凹部17の底面17aと前記頭部10の天面10aとの間に形成された隙間に充填した熱伝導材8からなる。
【0026】
放熱部品3の他面3bには、冷却ファン5のモータ15により回転する回転体21の頭部10を包括するような、前記頭部10の外径よりも若干大きい円形にへこむ凹部17を形成してある。凹部17の底面17aには、断面を三角形とした溝9が円周状に形成されている。また、円筒形の凹部17の側面には、シール材12を嵌め込むための溝18を断面矩形とした円環溝として形成されている。
【0027】
前記回転体21には、風を発生させるための複数枚の羽根14が設けられている。これら羽根14は、回転体21が回転したときに、放熱部品3と接触しない位置に設けられている。前記回転体21の頭部10の天面10aには、放熱部品3の凹部17に設けられた溝9と対向する位置に、同じく断面を三角形とした溝11が円周状に形成されている。これら相対向する位置に形成された溝9、11には、球形のスペーサ13が複数個設けられる。スペーサ13は、三角形の溝9、11に挟まれて設けられることで、放熱部品3の凹部17の底面17aと回転体21の頭部10の天面10aとの間隔(隙間)を一定に保つ役目を果たす。
【0028】
そして、一定に保たれた隙間(空間部)には、LED1で発生した熱を放熱部品3を介して冷却ファン5に伝導させるための熱伝導材8が封入されている。熱伝導材8は、基本的に水に代表される液体であるが、冷却ファン5の回転を阻害しない範囲で液体よりも粘度の高いグリス状、ゲル状のものも使用される。放熱部品3の凹部側面に設けられた溝18には、ドーナツ状のシール材12が設けられている。このシール材12は、冷却ファン5の回転により熱伝導材8である液体が漏れ出すのを防止する。球形のスペーサ13は、三角形の溝9、11内を回転摺動することで冷却ファン5の回転運動を妨げない役目も果たす。
【0029】
前記回転体21と羽根14は、放熱部品(ヒートシンク)の一つとして機能するため、熱伝導率の高い材質で形成されている。例えば、アルミナや窒化アルミに代表されるようなセラミックやアルミ、銅などの金属、または、熱伝導率が1W/m・K以上の樹脂材料が使用される。一般的な樹脂の熱伝導率は、0.2W/m・K程度であるが、最近流通している放熱性を高めた熱伝導樹脂と呼ばれる樹脂は1W/m・K以上である。熱伝導率を1W/m・K以上とするのは、熱伝導率が悪くなると熱源(LED1)からの発熱が部品全体へ熱伝導し難くなるため、発熱を部品全体に拡散させて放熱効果を高めるということができなくなるからである。
【0030】
また、放熱部品3と冷却ファン5とは、前記冷却ファン5の外枠と放熱部品3とをねじ6や板金部品などを使用して結合されている。LED1で発生した熱は、放熱部品3を介して冷却ファン5との間に封入された熱伝導材8を伝わり、冷却ファン5の回転体21の頭部10から羽根14へと伝導される。冷却ファン5が回転することで、羽根14は空気を攪拌することになり、前記羽根14の表面は風が当たっている状態と同じになり、放熱部品3から伝導したLED1の発熱を効率よく放熱させる。また、冷却ファン5の回転により発生した風は、放熱部品3に放射状に設けられたフィン20の間を流れることになり、その風により放熱部品3は効率的に冷却されLED1の温度上昇を防ぐ。
【0031】
冷却ファン5により発生する風の向きは、冷却ファン5から放熱部品3に向かって流れる場合と放熱部品3側から冷却ファン5に向かって流れる場合があるが、光源装置の設置場所により方向が決まることがあるため、その風の向きは限定されない。
【0032】
実施形態1の光源装置によれば、LED1を一面3aに取り付けた放熱部品3と冷却ファン5とを熱伝導材8を介して結合したので、LED1で発生した熱を放熱部品3を介して冷却ファン5の羽根14へと伝導させることができ、前記羽根14をヒートシンクとして機能させることができる。このため、冷却ファン5の羽根14が回転することで生じた風によりLED1及び放熱部品3を冷却することに加えて、羽根14自身がヒートシンクとして機能することで、LED1の熱を効率良く放熱することができる。その結果、LED1の放熱効率が向上すると共に温度上昇を防ぐことができ、高輝度で信頼性の高い光源装置を提供することが可能となる。
【0033】
また、実施形態1の光源装置によれば、LED1、回路基板2及び放熱部品3は回転体21と共に回転しないようになっているため、LED1への電力供給のためのスリップリングやロータリートランスなどの特別な部品は必要としない。そのため、実施形態1の光源装置によれば、LED1に電力供給する設備を簡略化することができ、またLED1への安定した電力供給が可能になる。
【0034】
[実施形態2]
図3は本発明を適用した実施形態2の光源装置を示す。例えば、冷却ファン5で発生した風を放熱部品3に吹き付けるように流した場合、風は羽根14の遠心力により外側に向かう流れが多くなり放熱部品3のフィン20の間に流れる風量が少なくなる場合があり、放熱効率が低下するおそれがある。また、放熱部品3側から冷却ファン5側に向かって風が流れるようにした場合も、風は冷却ファン直近から吸い込まれる割合が高くなり、放熱部品3のフィン20の間を流れてくる風量が低下し放熱効率が低下する恐れがある。
【0035】
そこで、実施形態2の光源装置では、図3に示すように放熱部品3と冷却ファン5との間の空間を囲むようなダクト状の囲い枠16を、前記放熱部品3に設ける。具体的には、冷却ファン5の周囲を取り囲むように矩形状の壁を設け、その壁に放熱部品3のフィン先端を連結させるように一体化する。このように放熱部品3を形成することで、矩形状の壁によって冷却ファン5により発生する風はほぼ全てダクト内を通過することになり、放熱部品3の放熱効率の低下を防ぐことができる。
【0036】
また、実施形態2の光源装置では、放熱部品3をダクト形状としたことで冷却ファン5の回りを取り囲む壁の部分からも放熱するため、より一層LED1の熱を放熱させることが可能となる。
【0037】
なお、実施形態2の光源装置は、ダクト状の囲い枠16を放熱部品3に設けた他は、実施形態1の光源装置と同じ構成である。
【0038】
[実施形態3]
図4は本発明を適用した実施形態3の光源装置を示す。実施形態3の光源装置では、放熱部品3をダクト形状としたことに加えて、図4に示すように囲い枠16よりも更にフィン20を外側に延ばすようにしている。このように、フィン20の先端を、囲い枠16の外に突き出るように延ばすことで、放熱面が更に増えより一層放熱効率を高めることができる。
【0039】
なお、実施形態3の光源装置は、フィン20の先端を囲い枠16の外に突き出るように延ばした他は、実施形態2の光源装置と同じ構成である。
【0040】
[実施形態4]
図5は本発明を適用した実施形態4の光源装置を示す。実施形態4の光源装置では、放熱部品3の一面3aにLED1を点灯させるための電気回路(図示は省略する)を直接形成し、そこにLED1を直接取り付けた構造としている。この光源装置によれば、LED1を回路基板2に取り付けた場合に比べて、LED1と放熱部品3との間の熱抵抗が減少することから更にLED1の放熱効率が向上する。
【0041】
図5では、図1で示したタイプの放熱部品3に直接LED1を取り付けたが、図3や図4で示したタイプの放熱部品3にLED1を直接取り付けるようにしてもよい。
【0042】
[実施形態5]
図6及び図7は本発明を適用した実施形態5の光源装置を示す。実施形態5の光源装置では、基本的構成は図1及び図2で示した実施形態1の光源装置と同じであるが、熱伝導手段の構造が異なっている。ここでは、熱伝導手段の構造について詳しく説明し、第1実施形態の光源装置と共通する部分についてはその説明は省略するものとする。
【0043】
実施形態5の光源装置における熱伝導手段は、図7に示すように、放熱部品3の他面3bに円環溝22、23が形成され、その円環溝22、23に前記羽根14を取り付けた回転体21の頭部10に形成した円環突起24、25を回転自在に挿入し、前記円環溝22、23と前記円環突起24、25との間に形成された隙間に充填された空気による熱伝導と熱放射から構成している。
【0044】
円環溝22、23は、回転体21の頭部10と対向する他面3bに円環状をなす溝として同心円状に2つ設けられている。この一方、円環突起24、25は、回転体21の頭部10の天面10aから放熱部品3に向かって突出して2つ形成されており、各円環溝22、23にぞれぞれ挿入されるようになっている。この円環突起24、25は、円環溝22、23と同じ中心径とされ、前記円環溝22、23に挿入されたときに、それらの間に隙間が空くようになっている。つまり、円環溝22、23の内壁と円環突起24、25の外壁との間には、一定の隙間が生じるようになっている。
【0045】
円環突起24、25の外壁および放熱部品3と対向する頭部10の天面10aは、放射率が0.8以上になる表面処理がなされている。また、円環溝22、23の内壁および頭部10と対向する放熱部品3の他面3bは、同じく放射率が0.8以上になる表面処理がなされている。
【0046】
放射率は、物体の熱放射量(W)=ステファン・ボルツマン係数×放射率×(物体表面の全体温度K)4で表される。また、放射率は、物体表面の物質、性状(表面粗さ、色など)、温度などにより決まるもので、0〜1の値をとる。1に近いほど放射率は高く熱放射量も増加する。金属の研磨面やめっき表面は放射率は低く、金属でもアルマイト処理や酸化表面などは放射率が高い。樹脂も一般的に放射率が高く、黒色も放射率が高い。また、物体表面が高温なほど熱放射量は多くなる。
【0047】
放射率0.8以上とするのは、次の理由に基づく。放射率が高いほど放射伝熱量は増加し放熱効果が高くなるため、放射率はできるだけ高い方が良い。放射率は物体の表面状態により値は異なり、一般的に金属の研磨面などは0.1以下であるがアルミをアルマイト処理した場合には放射率が0.8以上となる。このことから放射率は、0.8以上が好ましい。なお、放射率0.8未満では、放射率が低くなることで放熱部品3から冷却ファン5側への放射伝熱量が減少するため、放熱部品3の熱が冷却ファン5側へ伝導し難くなり、LED1の冷却が悪化する。
【0048】
また、実施形態5の光源装置では、放熱部品3と頭部10のそれぞれの対向面に形成された断面を三角形とした溝9、11には、複数個のスペーサ13が設けられている。これらスペーサ13は、放熱部品3に形成された円環溝22、23と頭部10に形成された円環突起24、25との対向間距離および放熱部品3と頭部10との対向面間距離を一定に保つ役目を果たす。これらの間隔を一定に保つことで、冷却ファン5の回転による円環突起24、25と円環溝22、23との接触を防ぐ。球形のスペーサ13は、断面三角形の溝9、11内を回転摺動することで、冷却ファン5の回転運動を妨げない役目も果たす。
【0049】
実施形態5の光源装置では、LED1の熱は、放熱部品3を介して円環溝22、23の内壁からこの円環溝22、23に挿入された円環突起24、25の外壁へと放射される熱放射と、円環溝22、23と円環突起24、25間の隙間(空間)にある空気による熱伝導により、前記回転体21の頭部10から羽根14へと伝導される。また、冷却ファン5の羽根14が回転することで生じた風によりLED1及び放熱部品3を冷却することに加えて、羽根14自身がヒートシンクとして機能することで、LED1の熱を効率良く放熱することができる。その結果、LED1の放熱効率が向上すると共に温度上昇を防ぐことができ、高輝度で信頼性の高い光源装置を提供することが可能となる。
【0050】
[実施形態6]
図8は本発明を適用した実施形態6の光源装置を示す。実施形態6の光源装置は、図8に示すように放熱部品3と冷却ファン5との間の空間を囲むようなダクト状の囲い枠16を、前記放熱部品3に設ける。具体的には、冷却ファン5の周囲を取り囲むように矩形状の壁を設け、その壁に放熱部品3のフィン先端を連結させるように一体化する。このように放熱部品3を形成することで、矩形状の壁によって冷却ファン5により発生する風はほぼ全てダクト内を通過することになり、放熱部品3の放熱効率の低下を防ぐことができる。
【0051】
また、実施形態6の光源装置では、放熱部品3をダクト形状としたことで冷却ファン5の回りを取り囲む壁の部分からも放熱するため、より一層LED1の熱を放熱させることが可能となる。
【0052】
なお、実施形態6の光源装置は、ダクト状の囲い枠16を放熱部品3に設けた他は、実施形態5の光源装置と同じ構成である。
【0053】
[実施形態7]
図9は本発明を適用した実施形態7の光源装置を示す。実施形態7の光源装置では、放熱部品3をダクト形状としたことに加えて、図9に示すように囲い枠16よりも更にフィン20を外側に延ばすようにしている。このように、フィン20の先端を、囲い枠16の外に突き出るように延ばすことで、放熱面が更に増えより一層放熱効率を高めることができる。
【0054】
なお、実施形態7の光源装置は、フィン20の先端を囲い枠16の外に突き出るように延ばした他は、実施形態6の光源装置と同じ構成である。
【0055】
[実施形態8]
図10は本発明を適用した実施形態8の光源装置を示す。実施形態8の光源装置では、放熱部品3の一面3aにLED1を点灯させるための電気回路(図示は省略する)を直接形成し、そこにLED1を直接取り付けた構造としている。LED1を回路基板2に取り付けた場合に比べて、LED1と放熱部品3との間の熱抵抗が減少することから更にLED1の放熱効率が向上する。
【0056】
図10では、図6で示したタイプの放熱部品3に直接LED1を取り付けたが、図8や図9で示したタイプの放熱部品3にLED1を直接取り付けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、発光素子を放熱部品に取り付けると共に冷却ファンで冷却するようにした光源装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 LED(発光素子)
2 回路基板
3 放熱部品
4 熱伝導部材
5 冷却ファン
8 熱伝導材
9 溝
10 頭部(回転体の頭部)
11 溝
12 シール材
13 スペーサ
14 羽根
15 モータ
16 ダクト状の囲い枠
17 凹部
20 フィン
21 回転体
22、23 円環溝
24、25 円環突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子が一面に取り付けられ、前記発光素子の熱を放熱させる放熱部品と、
前記放熱部品の他面に取り付けられ、前記放熱部品を冷却する羽根を有した冷却ファンと、
前記発光素子の熱を前記放熱部品を介して前記冷却ファンの羽根に伝導させて前記羽根をヒートシンクとして機能させる熱伝導手段と、を有した
ことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置であって、
前記熱伝導手段は、前記放熱部品の他面に凹部が形成され、その凹部に前記羽根を取り付けた回転体の頭部を回転自在に挿入し、前記凹部の底面と前記頭部の天面との間に形成された隙間に充填した熱伝導材からなる
ことを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光源装置であって、
前記熱伝導手段は、前記放熱部品の他面に円環溝が形成され、その円環溝に前記羽根を取り付けた回転体の頭部に形成した円環突起を回転自在に挿入し、前記円環溝と前記円環突起との間に形成された隙間に充填された空気による熱伝導と熱放射からなる
ことを特徴とする光源装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光源装置であって、
前記放熱部品の円環溝の内壁及び前記放熱部品の前記冷却ファンと対向する他面、前記冷却ファンの円環突起の外壁及び前記冷却ファンの前記放熱部品と対向する面の放射率が0.8以上である
ことを特徴とする光源装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4の何れか1つに記載の光源装置であって、
前記放熱部品と前記冷却ファンとの間に回転摺動自在に設けられて、前記放熱部品と前記冷却ファンとの間隔を一定に保つ球状のスペーサを配した
ことを特徴とする光源装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1つに記載の光源装置であって、
前記放熱部品を、前記冷却ファンがその内部に収まるように囲いを有したダクト形状とした
ことを特徴とする光源装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか1つに記載の光源装置であって、
前記冷却ファンの前記羽根を、熱伝導率1W/m・K以上の材質で形成した
ことを特徴とする光源装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか1つに記載の光源装置であって、
前記発光素子は、前記発光素子を点灯させるための電気回路が形成された基板に設けられており、前記基板が前記放熱部品の一面に取り付けられた
ことを特徴とする光源装置。
【請求項9】
請求項1から請求項7の何れか1つに記載の光源装置であって、
前記発光素子は、前記発光素子を点灯させるための電気回路が形成された前記放熱部品の一面に直接取り付けられた
ことを特徴とする光源装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9の何れか1つに記載の光源装置であって、
前記発光素子がLEDまたは半導体レーザである
ことを特徴とする光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−164512(P2012−164512A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23804(P2011−23804)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】