説明

光源装置

【課題】冷却水による冷却を図りつつ、簡単な構成で確実な結露の防止を図る。
【解決手段】複数のLED11が搭載された実装基板12から構成される光源モジュール13で発生した熱を、実装基板12の発光面の反対側に対向させた冷却流水路161〜166に冷却水を流して冷却させる。冷却流水路に冷却水を流す入水パイプ61に電磁バルブ83を設置し、実装基板12の温度を検出する温度センサ25と実装基板12の周辺の温度を検出する温度センサ26による検出結果が、温度センサ25の検出温度が低い場合は、電磁バルブ83の開閉を調整するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光ダイオード(LED)等の固体発光素子による光源を複数使用して大きな光量を得る光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のLEDを複数使用して大きな光量を得る光源装置は、放熱用冷却フィンに水路を設け、冷却機能が不足な冷却フィンの機能を補った水冷システムが採用されている。(例えば、特許文献1)
また、LEDの冷却手段としてペルチェ素子を用い、ペルチェ素子の冷却側をLEDユニット内に密着させた構造とし、内部に水分をほとんど含まない気体あるいは不活性ガスを封入することで、ペルチェ素子で周囲温度以下に冷却しても結露を発生させないようにしている。(例えば、特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−147148公報
【特許文献2】特開2006−253274公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1の技術は、より効率よく冷却を行うには冷却水の温度を低く設定する必要があるが、回路動作による発熱よりも冷却が上回り、実装基板の温度と周囲温度との落差が大きい場合は結露が発生し、点灯不良や実装基板が破損する恐れがあった
また、特許文献2の技術は、結露対策が図られた冷却装置であるが、密閉された発光面側に乾燥空気または窒素ガス充填を行う構成である。この密閉空間は容易に開閉可能な機構が指定されているため、周囲の湿気を伴った空気が流入した場合は結露が発生する恐れがあった。
【0005】
この発明の目的は、冷却水による冷却を図りつつ、確実な結露の防止を図るとともに、異常発生時の安全停止が可能な光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、この発明の光源装置は、複数個の固体発光素子を搭載した実装基板と、前記実装基板で発生した熱を冷却させる冷却流水路と、前記冷却流水路に流入させる冷却水の入水量または入水温を調整する調整手段と、前記実装基板の温度を検出するための第1の検出手段と、前記実装基板の周囲気体の温度、湿度、気圧の少なくとも1つを検出するための第2の検出手段と、前記調整手段の調整を制御する制御ユニットと、が透光性容器内に配置された光源装置であって、前記制御ユニットは、予め保持された冷却制御基準値と前記第1および第2の検出手段による検出結果を比較判定し、前記調整手段による冷却水を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、冷却水による冷却を図りつつ、確実な結露の防止を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の光源装置に関する一実施形態について説明するための概略的なシステム構成図である。
【図2】図1のIa−Ib線断面図である。
【図3】光源モジュールについて説明するための正面図である。
【図4】図3のIIa−IIb線断面図である。
【図5】発光ダイオードの指向特性について説明するための説明図である。
【図6】図1要部の斜視図である。
【図7】図1要部の斜視図である。
【図8】光源装置の冷却系について説明するための概略構成図である。
【図9】光源装置の発光システム例の概略について説明するための構成図である。
【図10】結露防止について説明するための説明図である。
【図11】空気の温度と空気中に含むことのできる水蒸気圧の量の関係を表したグラフである。
【図12】この発明の光源装置に関する他の実施形態について説明するための概略的なシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1〜図11は、この発明の光源装置に関する一実施形態について説明するためのもので、図1は概念的なシステム構成図、図2は図1のIa−Ib断面図、図3は光源モジュールの一例について説明するための正面図、図4は図3IIa−IIb断面図、図5は発光ダイオードの指向特性について説明するための説明図、図6、図7はそれぞれ図1要部の斜視図、図8は光源装置の冷却系について説明するための概略構成図、図9は光源装置の発光システム例の概略について説明するための構成図、図10は結露防止について説明するための説明図、図11は空気の温度と空気中に含むことのできる水蒸気圧の量の関係を表したグラフである。
【0011】
図1、図2に示す100は、高い光出力の得られる光源装置である。この光源装置100は、複数の発光ダイオード(LED)11を、高熱伝導性のアルミ系、銅系金属等の金属や、窒化アルミニウム等のセラミックスを基材とした略矩形形状の実装基板12に実装してモジュール化された光源モジュール13の状態で複数配置される。
【0012】
図3に示す光源モジュール13は、LEDの数が図では省略して示しているが、一個の光源モジュールあたり、例えば100個のLEDをマトリクス状に細密配列した状態を基本構成としている。また、LED11は、例えば、図4に示すように、約3[mm]×3[mm]の矩形形状をなす平面実装型のLEDで構成され、出射面に固設された半球状のレンズ111の作用により、図5に示すような半値角約45度(光干渉角約135度)の指向特性で光を放射する。各LED11は、実装基板12に対し、マトリクス状に細密配置される。より具体的には、隣接するLED11からの出射光が遮られないようにするための最低限の間隔である例えば、0.2[mm]を保持した等ピッチで実装される。
【0013】
図1、図2に示す14は、例えば、外周に6面の平坦な実装面部151〜156を有する6角柱状の熱伝導性が高く、耐熱性の高い例えばアルミニウム合金などからなる冷却部材である。冷却部材14内には、実装面部151〜156にそれぞれ対向する位置に、楕円形状の冷却流水路161〜166が例えば押出し成型により一体的に形成される。冷却流水路161〜166は、楕円形状としたことにより、実装基板12に対する対向面積を増やし、冷却効果を向上させるようにしている。冷却流水路161〜166は、流れを滑らかにするため同じ断面積で構成される。冷却流水路161〜166内は、耐久性を持たせるために、アルマイト(登録商標)加工を行い、アルミニウムの耐食性、耐摩耗性の向上が図られている。
【0014】
冷却部材14の中央に形成された開口17は、冷却部材14の重量軽減のためのものである。冷却部材14は、長手方向が上下となるように配置される。冷却流水路161,163,165は、上から下へ冷却水を流し、冷却流水路162,164,166は、下から上へ冷却水を流す。
【0015】
各光源モジュール13は、LED11が実装された実装基板12の反対面側を、冷却部材14の外周に形成された実装面部151〜156に対し、例えば、耐熱性を有し、且つ熱伝導性の良好な接着剤などを介して固着される。これにより光源モジュール13は、冷却部材14に対して熱的に接続され、相互間での熱交換が可能となる。
【0016】
ここでは、1つの実装面部に対して1枚の光源モジュール13が固着されているが、光源モジュール13は、実装面部に複数配置しても構わない。また、冷却部材14は、本件出願人が先に出願した特願2010−104167の図1〜図3に示すように、短手方向に九十九折り状に配置された複数の実装面部によって形成することにより、外形寸法の大型化等を招くことなく、限られた領域内に、複数の光源モジュールを効率よく集約配置しても構わない。
【0017】
冷却部材14の長手方向の上端面には、冷却流水路161〜166に流れる冷却水を通過させる透孔が形成されたガスケット181を介し、例えばアルミニウム製で少なくとも水路部分は、耐久性を向上させるためのアルマイト加工が施された連結部材191が取着される。
【0018】
図6に示すように、連結部材191には、外部から冷却水を取り入れるための円形状の入水パイプ61が取り付けられる。円形状の入水パイプ61は、連結部材191により円形状から冷却流水路161の楕円形状に合わせた楕円形状の接続口62に漸次変換する機能を備えている。入水パイプ61を通して給水される冷却水は、冷却流水路161を介して下方側に流される。
【0019】
冷却流水路161〜166に流す冷却水としては、例えば、水またはオイル等からなる冷却液を循環する後述する冷却装置が入水パイプ61の経路に接続されている。この冷却装置からの冷却水を、冷却流水路161〜166に圧送する。これにより、冷却部材14は、常に所定の低温に保たれ、LED11に対する冷却機能を果たしている。
【0020】
連結部材191は、冷却流水路162を下方から流れてきた冷却水を折り返して冷却流水路163に折り返して下方に、冷却流水路164を下方から流れてきた冷却水を折り返して冷却流水路165に折り返させ下方に流させる。
【0021】
さらに連結部材191は、楕円形状の冷却流水路166に楕円形状に合わせた楕円形状の接続口63から連結部材191に取り付けられる円形状の出水パイプ64に漸次変換する機能を備えている。冷却流水路166を下から流れてきた冷却水は、連結部材191を介して出水パイプ64を通して外部に出水される。
【0022】
冷却流水路162,163の解放端は、連結部材191に穿たれた連結孔69を介して連結される。冷却流水路164,165の解放端は、連結部材191に穿たれた連結孔70を介して連結される。連結孔69,70は、それぞれ冷却流水路に接続される部分の断面は冷却流水路の形状に合わせた楕円形状とし、そこから離れるに従い漸次断面が円形となる形状で穿たれている。
【0023】
なお、入水パイプ61、出水パイプ64の冷却水が流れる面積と冷却流水路161〜170の冷却水が流れる面積は同じとする。また、連結孔69,70の冷却水が流れる面積と冷却流水路161〜166の冷却水が流れる面積は同じとする。連結孔69,70は、例えば三次元切削加工機を用いて形成し、切削加工後にアルマイト加工を施す。
【0024】
そこで、連結部材191がガスケット181(図6では図示せず)を介して冷却部材14に結合させることで、冷却流水路162,163は連結孔69を介して、冷却流水路164,165は連結孔70を介し、それぞれが連結された状態で冷却水を送水させることができる。
【0025】
冷却部材14の長手方向の下端面には、冷却流水路161〜166に流れる冷却水を通過させる透孔が形成されたガスケット182を介し、例えばアルミニウム製の少なくとも水路部分は、耐久性を向上させるためのアルマイト加工が施された連結部材192が取着される。
【0026】
図7に示すように連結部材192は、冷却流水路161を上から流れてきた冷却水を冷却流水路162に折り返して下から上に、冷却流水路163を上から流れてきた冷却水を冷却流水路164に折り返して下から上に、冷却流水路165を上から流れてきた冷却水を冷却水166に折り返して下から上にそれぞれ流させる。
【0027】
冷却流水路161,162の解放端は、連結部材192に穿たれた連結孔77を介して連結される。冷却流水路163,164の解放端は、連結部材192に穿たれた連結孔78を介して連結される。冷却流水路165,166の解放端は、連結部材192に穿たれた連結孔79を介して連結される。連結孔77〜79は、それぞれ冷却流水路に接続される部分の断面は冷却流水路の形状に合わせた楕円形状とし、そこから離れるに従い漸次断面が円形となる形状で穿たれている。
【0028】
なお、冷却水の流れる連結孔77〜79は、冷却流水路161〜166の冷却水が流れる面積は同じとする。また、連結孔77〜79の冷却水が流れる面積と冷却流水路161〜166の冷却水が流れる面積は同じとする。連結孔77〜79は、例えば三次元切削加工機を用いて形成し、この切削加工後にアルマイト加工を施す。
【0029】
そこで、連結部材192がガスケット182(図7では図示せず)を介して冷却部材14に結合されることで、連結孔77を介して冷却流水路161,162が、連結孔78を介して冷却流水路163,164が、連結孔79を介して冷却流水路165,166がそれぞれ連結される。
【0030】
このように、連結部材191,192を冷却部材14に取り付けることにより、冷却流水路161〜166は直列的に接続され、入水パイプ61から給水される冷却水は、冷却流水路161〜166を介して出水パイプ64から送水される。
【0031】
図8は、光源装置100の冷却水の制御系についてさらに説明するための概略構成図である。なお、冷却部材14と冷却流水路161〜166はそれぞれ平面的に模式化して示している。
【0032】
図9において、入水パイプ61を送水される冷却水は、冷却水タンク81に蓄えられた冷却用の水を、熱交換器821とポンプ822で構成される冷却装置82の熱交換器821で例えば10度程度まで冷却した冷却水を、ポンプ822から冷却流水路161〜166に圧送する。これにより、冷却部材14は、常に所定の低温に保たれ、LED11に対する冷却機能が果たれている。83は入水パイプ61に取り付けられた電磁バルブであり、この電磁バルブ83は、開閉量に応じて供給される冷却水の流量・流速あるいは停止したりする冷却水を調整することが可能な調整手段となるものである。
【0033】
入水パイプ61から供給させる冷却水は、連結部材191を介して冷却流水路161、連結管77、冷却流水路162、連結管69、冷却流水路163、連結管78、冷却流水路164、連結管70、冷却流水路165、連結管79、冷却流水路166、連結部材191を介して出水パイプ84から送出される。出水パイプ84から送出された冷却水は、直列に接続された冷却流水路161〜166を流れる過程で、光源モジュール13から発せられる熱が冷却部材14を介して奪われ、20度程度に温められる。温められた冷却水は、冷却水ポンプ81に循環され、再び冷却装置82で10度程度に冷却されて再び冷却流水路161〜166に圧送される。
【0034】
図1、図8に示す20は、透光性、耐熱性の材料で形成される例えば石英ガラス製の容器である。冷却部材14は、容器20内に長手方向の両端に連結部材191,192が取り付けられた状態で、連結部材192には耐熱性の支持部21、さらに支持部21を保持する保持部22を介して、連結部材191には入水パイプ61、出水パイプ64も支持する支持部23を介して上下が保持される。容器20の上部に取着された24は、光源装置100を取り付ける保持部材である。容器20は密閉された状態で光源装置100を封止している状態となる。
【0035】
さらに、実装基板12の発光側表面には、実装基板12の温度を検出するための第1の検出手段としての温度センサ25が取着されている。また、容器20内には、光源モジュール13の周辺温度を検出するための第2の検出手段としての温度センサ26が取り付けられている。必要に応じて結露防止のために乾燥空気または窒素ガス充填されている。
【0036】
図9に示すように温度センサ25は、高密度に細密配置されたLED11の温度を光源モジュール13の単位で個別に監視するため、実装基板12のそれぞれに設けられている。また、1個のLED11が短絡あるいは開放等した場合にも他のLED11を的確に点灯させるため、各LED11に対する給電系の配線121は、実装基板12上においてマス目状に配線され、各LED11を直並列の状態で接続する。
【0037】
図9に示す27は、マイクロコンピュータ等で構成される制御ユニットである。制御ユニット27は、操作パネル28の操作に基づき、冷却水タンク81、冷却装置82、電磁バルブ83、LED点灯回路29をそれぞれ駆動させる。さらに制御ユニット27は、光源装置100に異常があった場合に警告音を発する警告装置30を駆動させる。制御ユニット27には、温度センサ25,26から実装基板12とその周辺の温度情報も供給されこれら情報を監視している。
【0038】
ここで、制御ユニット27による制御について説明する。制御ユニット27では、LEDが実装された実装基板12の表面温度を検出するための温度センサ25の情報に基づき、予め設定された値より実装基板12の表面温度が高い場合、警報装置27で警報したり、LED点灯回路29の駆動を停止し、光源装置100を停止したりする制御を行うことも可能である。
【0039】
さらに、制御ユニット27は、操作パネル28の図示しないスイッチ等の操作を行うことにより、LED点灯回路29を駆動させたり、光源装置100の各光源モジュール13の点灯を開始させたりする操作を行う。さらに、操作パネル28は光源装置100に接続される入水パイプ61の手前に取り付けられ、冷却水の供給をしたり停止したりする電磁バルブ83の開閉操作なども行う。
【0040】
制御ユニット27は、温度センサ25,26で検出された温度情報と制御ユニット27の内部に予め記憶された冷却制御基準値との比較を行い、容器20内が結露発生に近い状態かあるいは結露発生状態かを判断する。結露発生に近い状態であると判断した場合、電磁バルブ83を閉じる、もしくは絞るなどの制御により、冷却水の流量を少なくする、あいは流速を遅くして冷却部材14の温度を上げ結露発生の回避、もしくは結露が発生した場合の結露除去を行う。
【0041】
ここで、制御ユニット27が温度センサ25,26の検出情報に基づき、結露を防止する制御系について図10、図11とともにさらに説明する。
【0042】
制御ユニット27は、光源モジュール13が非点灯状態に、温度センサ25,26で検出された温度情報に基づき、容器20内が結露の状態であるかどうかを判断する。結露であると判断した場合は、電磁バルブ83を閉じて冷却部材14の温度上げ結露の除去を行う。上記の説明では、冷却装置82で冷却された冷却水が入水パイプ61から冷却流水路161に供給されるときの温度例としては10度とし、冷却部材14を冷却した後に出水パルプ64から送出される冷却水の温度例としては20度とした。
【0043】
光源モジュール13が点灯状態での制御ユニット27は、温度センサ25,26で検出された温度情報に基づき、容器20内が予め設定された条件となり結露が発生する前の条件にあるかどうかを判断する。制御ユニット27が結露到達前であると判断した場合は、電磁バルブ83の開状態を調整して冷却部材14の温度を上げて結露の発生を未然に防ぐ制御を行う。
【0044】
冷却部材14の温度を上げるために電磁バルブ83を閉める制御について説明したが、電磁バルブ83を閉めずに冷却水の温度を上げてもよいし、電磁バルブ83の操作と冷却水の温度を上げる動作を同時に行ってもよい。
【0045】
図10は、光源モジュール13の実装基板12の表面温度と実装基板12の周辺温度による結露の発生と非発生との関係を簡単に説明するためのものである。図10の横軸は温度センサ25で検出された実装基板12の表面温度を示し、縦軸は温度センサ26で検出された実装基板12の周辺温度を示している。
【0046】
そこで、横軸が20度で、縦軸が20度あった場合は、温度センサ25と26の検出温度に差がないことから、結露の発生はない。この場合、実装基板12の表面温度が20度以上であれば結露の発生はない。実装基板12の表面温度が20度未満となった場合は、光源モジュール13の周辺温度が20度よりも低くなったことから、実装基板12の表面に結露が発生することとなる。
【0047】
ところで、実際には結露が発生した状態での点灯や点灯している状態で冷却部材が冷え過ぎて結露が発生した場合は、点灯不良や実装基板が破損する恐れが生じることになる。そのため、条件が結露に到達する前に結露に至らないような制御を行う必要がある。
【0048】
そこで、空気の温度と空気中に含むことのできる水蒸気圧の量の関係を表した図11のグラフより各周囲温度と湿度毎の結露発生温度条件を冷却水調整回路内に基準データとして保持しておき、サンプリングデータとの比較で冷却流水路に流す冷却水の量を調整する。
【0049】
図11のA点では、例えば容器20内の温度が20℃で、湿度が60%の状態から温度が15℃に下がった場合、湿度が82%に上昇している。湿度が100%を超えると容器20内の水蒸気は水滴に姿を変え、いわゆる結露が発生することを示している。
【0050】
結露が発生する前の状態の条件を制御ユニット27内のメモリに記憶させておき、温度センサの検出結果に基づき記憶データとの比較により、結露発生の状態を事前に認知でき結露防止の制御を行うことが可能となる。
【0051】
このように、実装基板の温度と光源モジュールの周辺温度との関係をモニターしながら、冷却水の流量を調整することで、光源モジュールの冷却とともに、結露の発生を防止することができる。
【0052】
なお、結露の判断は、温度センサ25,26の温度情報を確認できる状態であればよいことから、LED11の点灯動作の有無に関係ない。このため、LED11を点灯させる前に、結露の条件下にあれば、予め冷却水の送水を止めた状態で点灯させることも考えられる。
【0053】
また、結露の発生が検出された場合に、制御ユニット27は電磁バルブ83を閉じるとの説明をしたが、完全に電磁バルブ83を閉じてしまうと冷却部材14の温度が急激に上昇することから、光源モジュール13が破損する可能性がある。このため実際には、電磁バルブ83は、温度センサ25,26により温度をモニターしながら、電磁バルブの開く状態を制御することで、冷却水の流量の調整を行うことができる。
【0054】
この場合は、温度センサ25,26で検出された温度情報に基づき、入水パイプ61に流す冷却水の流量を調整することで光源モジュール13の規定の温度値を保持しながら、結露防止を図ることができる。
【0055】
連結部材191,192としては、耐熱性の合成樹脂やセラミック等の非導電性物質による成型品を用いることもできる。この場合は、電食の抑制も可能となるばかりか、冷却流水路との接合される部分の表面処理を省くことも可能となる。
【0056】
冷却部材14の温度を急速に上げ方としては、冷却水路に流していた冷却水よりも温度の高い冷却水を予めサブタンクに貯蔵しておき、必要に応じサブタンクを開放し冷却水入水パイプ61に流入させ冷却水の温度を上昇させてもよい。また、冷却部材14の熱を吸収し温められ出水パイプ64から外部へ排出された冷却水をそのまま冷却水としてサブタンクに一旦貯蔵若しくは、そのまま入水パイプ61に流入させてよい。
【0057】
さらに、第2の検出手段の一例としては、光源モジュール13の周辺温度を検出する温度センサ26を例に挙げたが、湿度あるいは気圧センサを用いて光源モジュール13の周囲の湿度あるいは気圧を検出するものであっても構わない。
【0058】
光源モジュール13の点灯前に、温度センサ25,26に検出結果に基づき、光源モジュール13に結露が発生していると制御ユニット27が判断した場合は、結露を除去した状態で光源モジュール13を点灯する。また、光源モジュール13の点灯後に、温度センサ25,26に検出結果に基づき光源モジュール13に結露が発生する条件になってきたと制御ユニット27が判断した場合は、結露到達前に、結露が発生する条件を解除させ、光源モジュール13を点灯させ続けるように制御する。
【0059】
このように、結露の発生を事前に検知した結果に基づき、結露発生状況を事前に認知することができ、この情報に基づいて冷却流水路を流れる冷却水の流量、流速あるいは冷却水温の少なくとも1つを調整することで、光源モジュール13を点灯させる前に発生している結露を除去した後に点灯させたり、点灯中において結露に到達することを防止させたりすることができる。
【0060】
図12は、この発明の光源装置に関する他の実施形態について説明するための概略的なシステム構成図である。なお、上記実施形態と同一機能の構成部分には同一の符号を付し、ここでの説明は異なる部分を中心に説明する。
【0061】
図12において、141は冷却部材14に、例えば押出成型により一体的に形成された冷却フィンである。142は、冷却部材14の長手方向の一端面から例えばドリルを用いて形成された収納部である。収容部142内には、光源モジュール13を駆動させるためのLED点灯回路29が構成された回路基板291が収容される。収容部142は、冷却流水路の押出し成型時と同時に形成しても構わない。この場合は、底有ではなく、貫通孔となり、後の工程でこの部分を密封させる。
【0062】
LED11が搭載された反対側の実装基板11は、冷却フィン141上に固着される。さらに、光源モジュール13の全LED11は、これを搭載した実装基板11側で透明樹脂101に覆われる。透明樹脂101は、熱伝導性に優れたペースト状の樹脂が薄く均一に塗布される。102,103は、光源モジュール13と回路基板291とを電気的に接続するリード104,105を通すために冷却部材14に形成された接続孔である。リード104,105は、接続孔102,103とは非接触状態で光源モジュール13と回路基板291の電気的が行われている。
【0063】
透明樹脂101は、回路基板291と光源モジュール13を電気的に接続するためのリード104,105を通すために実装基板11に開けた接続孔106,107にも充填させることにより、接続孔を封止している。
【0064】
リード104,105は、光源モジュール13と電気的に接続された状態で、接続孔102,103内に充填された柔軟な封止樹脂108,109で保持される。封止樹脂108,109は、リード104,105の保持の他に、回路基板191と光源モジュール13との絶縁も兼ねている。
【0065】
回路基板291には外部からケーブル110が接続される。このケーブル110は、制御ユニット27からの電力供給や制御信号あるいは光源モジュール13の温度情報を制御ユニット27に供給している。
【0066】
収容部142の開口部は、ケーブル110が回路基板291に接続された状態で、封止樹脂111により封止される。これにより、収容部142内は、密閉され回路基板191が外部からの湿気に曝されることを防止することができる。
【0067】
また、回路基板191は、収容部142内で外気から遮断された密閉ボックス内に収められたものとしたが、回路基板191全体を樹脂封入としても構わない。
【0068】
この実施形態によれば、光源モジュールを駆動するLED点灯回路が、冷却部材内部に収容可能としたことにより、LEDが搭載された実装基板の冷却とともに、LED点灯回路の冷却も実現できる。
【0069】
この発明は、上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、警報装置では光源モジュールに異常があった場合に警報するようにしたが、この他に結露情報を知らせるようにすることも、モニターされている実装基板の温度情報とその周辺の温度情報から可能である。また、結露の発生は自動的に防止する例について示したが、結露警告サイン等の出力に基づき冷却水注入禁止を提示し、人的操作を介して結露防止こともできる。
【0070】
冷却水制御の閾値は、実装基板の周囲温度に特定の値を加えて演算するものであっても構わない。この場合は、過敏な制御を防止し、電磁バルブ等の作動を少なくすることで寿命を延ばす効果がある。
【0071】
さらに、容器20内は、大気圧以上で密閉してもよい。この場合、万が一容器20が破損したときに、センサ類が急峻な異常を検知して容器20の外周に爆発性のあるガスがあった場合、瞬時に容器20内にガスの流入することを遅延させることができる。これにより、容器20内に遅れて流入した爆発性のガスは、既に光源モジュール13を駆動する回路を、センサ類の検知によるOFF操作によら破裂に至ることを防止することが可能となる。
【0072】
この発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
100 光源装置
11 LED(発光ダイオード)
12 実装基板
13 光源モジュール
14 冷却部材
151〜156 実装面部
161〜166 冷却流水路
181,182 ガスケット
191,192 連結部材
20 容器
25,26 温度センサ
61 入水パイプ
62,63 接続口
64 出水パイプ
69,70,77〜79 連結孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の固体発光素子を搭載した実装基板と、
前記実装基板で発生した熱を冷却させる冷却流水路と、
前記冷却流水路に流入させる冷却水の入水量または入水温を調整する調整手段と、
前記実装基板の温度を検出するための第1の検出手段と、
前記実装基板の周囲気体の温度、湿度、気圧の少なくとも1つを検出するための第2の検出手段と、
前記調整手段の調整を制御する制御ユニットと、が透光性容器内に配置された光源装置であって、
前記制御ユニットは、予め保持された冷却制御基準値と前記第1および第2の検出手段による検出結果を比較判定し、前記調整手段による冷却水を調整することを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記透光性容器は、内部を大気圧以上で密閉されていることを特徴とする請求項1記載の光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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