説明

光源装置

【課題】明るい照明光を射出する色切り替え可能な小型の光源装置を提供する。
【解決手段】光源装置は励起光源と蛍光体30A,30B,30Cとを有している。蛍光体30A,30B,30Cはそれぞれ、励起光源から射出された励起光によって励起されて第一と第二と第三の蛍光を発する。蛍光体30A,30B,30Cは、蛍光体30Bが蛍光体30Aよりも光射出端側に位置し、蛍光体30Cが蛍光体30Bよりも光射出端側に位置するように、光射出端方向に並べて配置されている。蛍光体30Bは三つの貫通穴32を有し、蛍光体30Cは三つの貫通穴34と三つの貫通穴36を有している。貫通穴32と貫通穴34は整列している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、赤色光と緑色光と青色光を順次切り替えて射出する光源装置を備えた内視鏡装置が知られている。特開2003−19112号公報は、このような内視鏡のひとつを開示している。この内視鏡において、光源装置は、赤色光と緑色光と青色光をそれぞれ発する三本の蛍光ファイバーを有し、三本の蛍光ファイバーの光入射端は三つの励起光源にそれぞれ接続されており、三本の蛍光ファイバーの光射出端は、内視鏡挿入部の内部を通って延びている一本の光ファイバーの光入射端に接続されている。三つの励起光源が順次オンオフされ、対応する蛍光ファイバーが励起されて蛍光を発する。発せられた蛍光は、光ファイバーを伝搬し、内視鏡挿入部の先端部に位置する光ファイバーの光射出端から射出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−19112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この光源装置では、蛍光ファイバーで発生した蛍光の多くは光ファイバーの外へと散逸してしまう。また、三本の蛍光ファイバーが一本の光ファイバーに接続されているが、三本の蛍光ファイバーを一本の光ファイバーに高い結合効率で接続することは難しい。このため、十分な明るさの照明光を得ることが難しい。また、結合効率の向上を図る光学部材などの使用は、装置の大型化を招く。
【0005】
本発明の目的は、明るい照明光を射出する色切り替え可能な小型の光源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光源装置は、第一の励起光を射出する第一の光源と、第二の励起光を射出する第二の光源と、前記第一の励起光によって励起されて第一の蛍光を発する第一の蛍光体と、前記第二の励起光によって励起されて前記第一の蛍光とは異なる第二の蛍光を発する第二の蛍光体とを有している。前記第一の蛍光体と前記第二の蛍光体は光射出端方向に並べて配置され、前記第二の蛍光体は前記第一の蛍光体よりも光射出端側に位置している。前記第一の蛍光体は前記第二の励起光を透過する。前記第二の蛍光体は前記第一の蛍光を透過する第一の光学的開口を有している。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、明るい照明光を射出する色切り替え可能な小型の光源装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第一実施形態による光源装置を示している。
【図2】図1に示した蛍光体を示している。
【図3】図1に示した光源側の蛍光体を光射出端方向から見た図である。
【図4】図1に示した中央の蛍光体を光射出端方向から見た図である。
【図5】図1に示した光射出端側の蛍光体を光射出端方向から見た図である。
【図6】図1に示した波長変換ユニットを示している。
【図7】図6に示した波長変換ユニットに代わる別の波長変換ユニットを示している。
【図8】本発明の第二実施形態による波長変換ユニットを示している。
【図9】図8に示した蛍光体を光射出端方向から見た図である。
【図10】図1に示した波長変換ユニットを示している。
【図11】本発明の第三実施形態による波長変換ユニットを示している。
【図12】本発明の第三実施形態の変形例を示している。
【図13】本発明の第四実施形態による波長変換ユニットを示している。
【図14】第一実施形態と第三実施形態と第四実施形態の変形例を示している。
【図15】第二実施形態と第三実施形態の変形例を示している。
【図16】第五実施形態による光源装置を示している。
【図17】第五実施形態の変形例を示している。
【図18】一般的な内視鏡装置を概略的に示している。
【図19】図18に示した内視鏡先端部の構成を示している。
【図20】第一実施形態の変形例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0010】
[第一実施形態]
<構成>
本発明の第一実施形態による光源装置を図1に示す。図1に示すように、光源装置は、照明光を射出する装置であり、三つの励起光源10A,10B,10Cと、三本の光ファイバー20A,20B,20Cと、一つの波長変換ユニット40とを有している。波長変換ユニット40は、三つの蛍光体30A,30B,30Cを有している。
【0011】
励起光源10Aは、蛍光体30Aを励起する励起光を射出する。励起光源10Bは、蛍光体30Bを励起する励起光を射出する。励起光源10Cは、蛍光体30Cを励起する励起光を射出する。励起光源10A,10B,10Cから射出される励起光は、それぞれ蛍光体30A,30B,30Cを励起可能な波長の光であればよく、互いに異なる波長の光であっても、互いに同じ波長の光であってもよい。なお、各蛍光体30A,30B,30Cを独立にオンオフする場合には、励起光源10A,10B,10Cから射出される励起光は、それぞれ対応する蛍光体30A,30B,30Cのみを励起可能であり、それ以外の蛍光体を透過するものが望ましい。本実施形態では、このように、独立にオンオフ可能なように蛍光体と励起光源が選択されている。
【0012】
励起光源10A,10B,10Cは、それぞれ、励起光を発する半導体レーザー12A,12B,12Cと、半導体レーザー12A,12B,12Cから発せられた励起光をそれぞれ光ファイバー20A,20B,20Cに入射させるレンズ14A,14B,14Cとを有している。
【0013】
光ファイバー20Aは、励起光源10Aから射出された励起光を導光する。光ファイバー20Bは、励起光源10Bから射出された励起光を導光する。光ファイバー20Cは、励起光源10Cから射出された励起光を導光する。
【0014】
励起光源10A,10B,10Cは、発光素子が半導体レーザー12A,12B,12Cで構成されているため、光ファイバー20A,20B,20Cとの結合効率が高い。例えば、光ファイバー20A,20B,20Cがマルチモードファイバーで構成された場合、70%以上の結合効率が得られる。
【0015】
波長変換ユニット40内の蛍光体30A,30B,30Cを図2に示す。図2中、右側が光射出端方向となっている。図2に示すように、蛍光体30A,30B,30Cは光射出端方向に並べて間隔を置いて配置されている。蛍光体30Bは蛍光体30Aよりも光射出端側に位置し、蛍光体30Cは蛍光体30Bよりも光射出端側に位置している。
【0016】
蛍光体30Aは、光ファイバー20Aから射出された励起光によって励起されて第一の蛍光を発する。また蛍光体30Aは、光ファイバー20Bから射出される励起光と光ファイバー20Cから射出される励起光を透過する。蛍光体30Bは、光ファイバー20Bから射出された励起光によって励起されて第二の蛍光を発する。また蛍光体30Bは、光ファイバー20Cから射出される励起光を透過する。蛍光体30Cは、光ファイバー20Cから射出された励起光によって励起されて第三の蛍光を発する。第一の蛍光の波長は第二の蛍光の波長よりも長く、第二の蛍光の波長は第三の蛍光の波長よりも長い。例えば、蛍光体30Aは、赤色の蛍光を発する赤色蛍光体で構成され、蛍光体30Bは、緑色の蛍光を発する緑色蛍光体で構成され、蛍光体30Cは、青色の蛍光を発する青色蛍光体で構成される。さらに、蛍光体30Bは、貫通穴32を有しており、蛍光体30Cは、貫通穴34と貫通穴36とを有している。
【0017】
以下では、基本的に、蛍光体30Aが赤色蛍光体で構成され、蛍光体30Bが緑色蛍光体で、蛍光体30Cが青色蛍光体で構成されているものとして説明する。
【0018】
ここで蛍光体は、単結晶の蛍光体や、多結晶蛍光体を透明化したもので構成されてよく、また、通常の粉末蛍光体や、いわゆるナノ蛍光体等を樹脂等の部材に封入して固化したもので構成されてもよい。さらに、発光中心となる元素をガラスなどに添加した蛍光ガラスなど、一般に使用されている蛍光体であれば、どのようなものが使用されてもよい。
【0019】
蛍光体30A,30B,30Cを波長変換ユニット40の光射出端方向から見た図をそれぞれ図3,図4,図5に示す。図3〜図5に示すように、蛍光体30A,30B,30Cはそれぞれ、光射出端方向に垂直な平面への投影において回転対称な輪郭を有している。例えば、蛍光体30A,30B,30Cはそれぞれ円板状であり、光射出端方向に垂直な平面への投影において円形の輪郭を有している。これは、光ファイバー20A,20B,20Cから射出される励起光のビームパターンがほぼ円形となるためである。
【0020】
図4に示すように、蛍光体30Bは三つの貫通穴32を有している。貫通穴32は、円形の輪郭の蛍光体30Bの中心に対して等距離の位置に等間隔で配置されている。つまり、貫通穴32は、円形の輪郭の蛍光体30Bの回転対称の軸に対して回転対称に配置されている。具体的には、貫通穴32は、それらの中心が円形の輪郭の蛍光体30Bの中心に重心を有する正三角形37のほぼ頂点に配置されている。貫通穴32は、蛍光体30Aから発せられる赤色の蛍光を透過するためのものである。つまり、貫通穴32は、蛍光体30Aから発せられる赤色の蛍光を透過する光学的開口を構成している。
【0021】
図5に示すように、蛍光体30Cは三つの貫通穴34と三つの貫通穴36を有している。貫通穴34,36は、円形の輪郭の蛍光体30Cの中心に対して等距離の位置に等間隔で配置されている。つまり、貫通穴34,36は、円形の輪郭の蛍光体30Bの回転対称の軸に対して回転対称に配置されている。具体的には、貫通穴34,36は、それらの中心が円形の輪郭の蛍光体30Cの中心に重心を有する正六角形38の頂点に交互に配置されている。貫通穴34は、蛍光体30Aから発せられる赤色の蛍光を透過するためのものであり、貫通穴36は、蛍光体30Bから発せられる緑色の蛍光を透過するためのものである。つまり、貫通穴34,36は、蛍光体30Aから発せられる赤色の蛍光と蛍光体30Bから発せられる緑色の蛍光を透過する光学的開口を構成している。
【0022】
蛍光体30Bと蛍光体30Cは、光射出端方向に垂直な平面への投影において貫通穴32と貫通穴34とが互いに重なるように配置されている。つまり貫通穴32と貫通穴34は整列している。言い換えれば、光射出端方向に垂直な平面への投影において、貫通穴32から構成された光学的開口は、貫通穴34,36から構成された光学的開口と部分的に重なっている。
【0023】
蛍光体30Bに形成された貫通穴32と、蛍光体30Cに形成された貫通孔34,36の大きさは、光射出端から射出される各蛍光の混合色が、所望の色となるように調整される。すなわち、貫通穴32と貫通穴34を通過した赤色蛍光と、緑色蛍光体30Bと青色蛍光体30Bを透過した赤色蛍光の和としての赤色蛍光と、貫通孔36を通過した緑色蛍光と、蛍光体30Cを透過した緑色蛍光の和としての緑色蛍光と、蛍光体30Cから射出された青色蛍光の和が、所望の色となるように、貫通孔32,34,36の大きさを調整される。
【0024】
ここでは貫通穴32,34,36の個数が三つずつの例を示したが、貫通穴32,34,36の個数は三つに何ら限定されない。
【0025】
波長変換ユニット40は、図6に示すように、蛍光体30A,30B,30Cを上述した配置関係で保持する筐体42を有している。また筐体42は、光ファイバー20A,20B,20Cの光射出端面が蛍光体30Aに対峙するように光ファイバー20A,20B,20Cを保持している。筐体42は好ましくは遮光性を有しており、光ファイバー20A,20B,20Cの光射出端から射出された励起光や蛍光体30A,30B,30Cから発せられた蛍光が外部に漏れるのを防ぐとよい。より好ましくは、筐体42は内面が反射面で構成されており、光ファイバー20A,20B,20Cの光射出端から射出された励起光や蛍光体30A,30B,30Cから発せられた蛍光を反射するとよい。これにより光損失が低減される。
【0026】
<動作>
本実施形態の光源装置の動作について説明する。
【0027】
図1に戻って説明を続ける。励起光源10A,10B,10Cは、図示しない駆動回路に接続されており、それぞれ独立にオンオフされる。
【0028】
蛍光体30Aを励起するための励起光源10Aがオンにされると、励起光源10Aから励起光が射出される。励起光源10Aから射出された励起光は光ファイバー20Aによって波長変換ユニット40まで導光され、光ファイバー20Aの光射出端から蛍光体30Aに向けて射出される。光ファイバー20Aの光射出端は蛍光体30Aから間隔を置いて配置されているため、光ファイバー20Aから射出された励起光は光ファイバー20AのNAに応じた射出角で拡がって蛍光体30Aに照射される。蛍光体30Aに照射された励起光は全部または一部が蛍光体30Aを励起し、蛍光体30Aは赤色の蛍光をあらゆる方向にほとんど均等に発する。蛍光体30B,30Cは、蛍光体30Aから発せられる赤色の蛍光の一部を透過するが、残りの一部を吸収または散乱する。これは、波長変換ユニット40の光射出端から射出される赤色の蛍光を減少させてしまう。しかし、蛍光体30B,30Cは、蛍光体30Aから発せられる赤色の蛍光を透過するための貫通穴32,34をそれぞれ有しているため、蛍光体30Aから波長変換ユニット40の光射出端方向に発せられた赤色の蛍光の一部は蛍光体30B,30Cの貫通穴32,34を通って、吸収されたり散乱されたりすることなく、そのまま波長変換ユニット40の光射出端から射出される。
【0029】
蛍光体30Bを励起するための励起光源10Bがオンにされると、励起光源10Bから励起光が射出される。励起光源10Bから射出された励起光は光ファイバー20Bによって波長変換ユニット40まで導光され、光ファイバー20Bの光射出端から蛍光体30Aに向けて射出される。光ファイバー20Bから射出された励起光は蛍光体30Aを透過して蛍光体30Bに照射される。蛍光体30Bに照射された励起光は全部または一部が蛍光体30Bを励起し、蛍光体30Bは緑色の蛍光をあらゆる方向にほとんど均等に発する。蛍光体30Cは、蛍光体30Bから発せられる緑色の蛍光の一部を透過するが、残りの一部を吸収または散乱する。これは、波長変換ユニット40の光射出端から射出される緑色の蛍光を減少させてしまう。しかし、蛍光体30Cは、蛍光体30Bから発せられる緑色の蛍光を透過するための貫通穴36を有しているため、蛍光体30Bから波長変換ユニット40の光射出端方向に発せられた緑色の蛍光の一部は蛍光体30Cの貫通穴36を通って、吸収されたり散乱されたりすることなく、そのまま波長変換ユニット40の光射出端から射出される。
【0030】
蛍光体30Cを励起するための励起光源10Cがオンにされると、励起光源10Cから励起光が射出される。励起光源10Cから射出された励起光は光ファイバー20Cによって波長変換ユニット40まで導光され、光ファイバー20Cの光射出端から蛍光体30Aに向けて射出される。光ファイバー20Cから射出された励起光は蛍光体30A,30Bを透過して蛍光体30Cに照射される。蛍光体30Cに照射された励起光は全部または一部が蛍光体30Cを励起し、蛍光体30Cは青色の蛍光をあらゆる方向にほとんど均等に発する。蛍光体30Cから波長変換ユニット40の光射出端方向に発せられた青色の蛍光は波長変換ユニット40の光射出端から射出される。
【0031】
図6に示した波長変換ユニット40では、蛍光体30Bを励起するための励起光が、赤色の蛍光を透過するための貫通穴32,34を通って、また蛍光体30Cを励起するための励起光が、緑色の蛍光を透過するための貫通穴36を通って射出されることが懸念される。これを避ける好ましい波長変換ユニット40の構成を図7に示す。この波長変換ユニット40は、蛍光体30Cよりも波長変換ユニット40の光射出端側に配置された励起光遮光フィルター50を有している。
【0032】
励起光遮光フィルター50は、蛍光体30A,30B,30Cから発せられる蛍光を透過し、少なくとも蛍光体30B,30Cを励起する励起光を遮光する特性を有している。蛍光体30Aは貫通穴を有していないため、蛍光体30Aを励起する励起光の漏れは少ない。このため、励起光遮光フィルター50は必ずしも、蛍光体30Aを励起する励起光を遮光する特性を有している必要はない。しかし、好ましくは、励起光遮光フィルター50はさらに、蛍光体30Aを励起する励起光を遮光する特性を有しているとよい。
【0033】
<作用>
本実施形態の光源装置は、励起光源10A,10B,10Cが所定のタイミングで順次オンオフされると、赤色の蛍光と緑色の蛍光と青色の蛍光を所望のタイミングで照明光として射出する。また、励起光源10A,10B,10Cのうちの二つが同時にオンにされると、対応する赤色の蛍光と緑色の蛍光と青色の蛍光のうちの二つが混合された所望の色調の光を照明光として射出する。さらに、励起光源10A,10B,10Cのすべてが同時にオンにされると、赤色の蛍光と緑色の蛍光と青色の蛍光が混合された白色光を照明光として射出する。加えて、各励起光源10A,10B,10Cの発光強度を駆動電流により調整したり、各励起光源10A,10B,10Cをオンにしておく時間の長さを調整したりすることによって、赤色の蛍光と緑色の蛍光と青色の蛍光が混合された白色光の色温度などを調整することが可能である。
【0034】
本実施形態では、蛍光体30Aから波長変換ユニット40の光射出端側に発せられた赤色の蛍光は蛍光体30B,30Cの貫通穴32,34を通って射出されるため、赤色の蛍光が蛍光体30B,30Cによって吸収されたり散乱されたりする光量が軽減される。また、蛍光体30Bから波長変換ユニット40の光射出端側に発せられた緑色の蛍光は蛍光体30Cの貫通穴34を通って射出されるため、緑色の蛍光が蛍光体30Cによって吸収されたり散乱されたりする光量が軽減される。その結果、より明るい照明光が得られる。
【0035】
さらに、図4と図5に示したように、貫通穴32は、蛍光体30Bの回転対称の軸に対して回転対称に配置され、貫通穴34,36は、蛍光体30Cの回転対称の軸に対して回転対称に配置されているため、貫通穴32,34,36が配光に与える影響が軽減される。例えば、蛍光体30Bに励起光が照射されたとき、励起光の強度に応じた分布の蛍光が貫通穴32を除いた蛍光体30Bの部分から発せられ、貫通穴32からは蛍光は発せられない。このため、貫通穴32は暗点となってしまう。しかし、貫通穴32は蛍光体30Bの回転対称の軸に対して回転対称に配置されており、緑色の蛍光の全体の重心が蛍光体30Bの回転対称の軸と重なるため、暗点の影響が良好に抑えられる。蛍光体30Cから発せられる青色の蛍光についても同様のことがいえる。
【0036】
これまでの説明からわかるように、本実施形態の光源装置は、シンプルな構成なので容易に小型に構成可能であり、色切り替え可能であり、明るい照明光を射出する。
【0037】
[第二実施形態]
<構成>
次に、本発明の第二実施形態について図8,図9,図10を用いて説明する。以下では、第一実施形態と共通の部分については省略し、異なる部分についてのみ説明を行う。
【0038】
本実施形態の光源装置の外観は、図1に示した第一実施形態の光源装置と同様に構成されており、波長変換ユニット40の内部構造が第一実施形態とは異なっている。本実施形態による波長変換ユニット40内の蛍光体を図8と図10に示す。
【0039】
本実施形態では、図8と図10に示すように、波長変換ユニット40は、三つの蛍光体30D,30E,30Fを有している。蛍光体30D,30E,30Fは、それぞれ、第一実施形態の蛍光体30A,30B,30Cと同様の光学的特性を有している。蛍光体30D,30E,30Fは光射出端方向に並べて間隔を置いて配置されている。蛍光体30Eは蛍光体30Dよりも光射出端側に位置し、蛍光体30Fは蛍光体30Eよりも光射出端側に位置している。
【0040】
図9に示すように、蛍光体30D,30E,30Fはそれぞれ、光射出端方向に垂直な平面への投影において回転対称な輪郭を有している。例えば、蛍光体30D,30E,30Fはそれぞれ円板状であり、光射出端方向に垂直な平面への投影において円形の輪郭を有している。光射出端方向に垂直な平面への投影において、蛍光体30Eの輪郭は蛍光体30Dの輪郭よりも小さく、蛍光体30Fの輪郭が蛍光体30Eの輪郭よりも小さい。さらに、蛍光体30Eの輪郭は蛍光体30Dの輪郭の内側に位置し、蛍光体30Fの輪郭は蛍光体30Eの輪郭の内側に位置している。蛍光体30D,30E,30Fは、それらの円形の輪郭の中心が互いに一致するように配置されている。
【0041】
図10に示すように、蛍光体30D,30E,30Fは上述した配置関係で筐体42に保持されている。蛍光体30E,30Fはそれぞれ透明部材60E,60Fを介して筐体42に取り付けられている。また筐体42は、光ファイバー20A,20B,20Cの光射出端面が蛍光体30Dに対峙するように光ファイバー20A,20B,20Cを保持している。筐体42は、第一実施形態で述べたように、好ましくは遮光性を有しており、より好ましくは、内面が反射面で構成されている。
【0042】
<動作>
本実施形態の光源装置の動作について説明する。基本的な動作は第一実施形態の光源装置と同様であるため、ここでは、異なる部分についてのみ説明する。
【0043】
蛍光体30Dを励起するための励起光源10Aがオンにされると、光ファイバー20Aから励起光が射出されて蛍光体30Dに照射され、蛍光体30Dから赤色の蛍光が発せられる。蛍光体30Dから光射出端方向に発せられた赤色の蛍光は透明部材60Eを透過し、一部は蛍光体30Eに入射し、残りの一部は蛍光体30Eの外側を通過する。蛍光体30Eに入射した赤色の蛍光は、蛍光体30Eによって吸収されたり散乱されたりし、その一部はさらに蛍光体30Fに入射し、蛍光体30Fによって吸収されたり散乱されたりする。蛍光体30Eの外側を通過した赤色の蛍光は透明部材60Eを透過し、吸収されたり散乱されたりすることなく、そのまま波長変換ユニット40の光射出端から射出される。
【0044】
蛍光体30Eを励起するための励起光源10Bがオンにされると、光ファイバー20Bから励起光が射出され蛍光体30Dを透過して蛍光体30Eに照射され、蛍光体30Eから緑色の蛍光が発せられる。蛍光体30Eから光射出端方向に発せられた緑色の蛍光は透明部材60Fを透過し、一部は蛍光体30Fに入射し、残りの一部は蛍光体30Fの外側を通過する。蛍光体30Fに入射した緑色の蛍光は、蛍光体30Fによって吸収されたり散乱されたりする。蛍光体30Fの外側を通過した緑色の蛍光は、吸収されたり散乱されたりすることなく、そのまま波長変換ユニット40の光射出端から射出される。
【0045】
蛍光体30Fを励起するための励起光源10Cがオンにされると、光ファイバー20Cから励起光が射出され蛍光体30D,30Eを透過して蛍光体30Fに照射され、蛍光体30Fから青色光の蛍光が発せられる。蛍光体30Fから光射出端方向に発せられた青色の蛍光は波長変換ユニット40の光射出端から射出される。
【0046】
<作用>
本実施形態では、光射出端方向に垂直な平面への投影において蛍光体30E,30Fの輪郭は蛍光体30Dの輪郭の内側に位置しているため、蛍光体30Dから光射出端方向に発せられた赤色の蛍光は、一部は蛍光体30E,30Fによって吸収されたり散乱されたりするが、蛍光体30Eの外側を通過する部分はそのまま波長変換ユニット40の光射出端から射出される。これにより、赤色の蛍光が蛍光体30E,30Fによって吸収されたり散乱されたりする光量が軽減される。また、光射出端方向に垂直な平面への投影において蛍光体30Fの輪郭は蛍光体30Eの輪郭の内側に位置しているため、蛍光体30Eから光射出端方向に発せられた緑色の蛍光は、一部は蛍光体30Fによって吸収されたり散乱されたりするが、蛍光体30Fの外側を通過する部分はそのまま波長変換ユニット40の光射出端から射出される。これにより、緑色の蛍光が蛍光体30Fによって吸収されたり散乱されたりする光量が軽減される。その結果、より明るい照明光が得られる。
【0047】
また、蛍光体30D,30E,30Fは貫通穴を有していないので、第一実施形態の蛍光体30B,30Cとは異なり、蛍光体30D,30E,30Fから発せられる蛍光は暗点を生じない。このため、より安定な配光が達成される。また、蛍光体30D,30E,30Fは、第一実施形態の蛍光体30B,30Cと比較して、貫通穴を設ける必要がないため、作製が容易でコスト的にも有利である。
【0048】
[第三実施形態]
<構成>
次に、本発明の第三実施形態について図11を用いて説明する。以下では、第一実施形態と共通の部分については省略し、異なる部分についてのみ説明を行う。
【0049】
本実施形態の光源装置の外観は、図1に示した第一実施形態の光源装置と同様に構成されており、波長変換ユニット40の内部構造が第一実施形態とは異なっている。本実施形態による波長変換ユニット40の内部構造を図11に示す。
【0050】
本実施形態では、図11に示すように、波長変換ユニット40は、蛍光体30A,30B,30Cに加えて、二枚のフィルター70A,70Bを有している。フィルター70Aは、蛍光体30Aと蛍光体30Bの間に配置されている。フィルター70Bは、蛍光体30Bと蛍光体30Cの間に配置されている。
【0051】
フィルター70Aは、蛍光体30Aから発せられる赤色の蛍光と蛍光体30Bを励起する励起光と蛍光体30Cを励起する励起光とを透過するとともに、蛍光体30Bから発せられる緑色の蛍光を遮光する特性を有している。より好ましくは、フィルター70Aは緑色の蛍光を反射する特性を有している。例えば、フィルター70Aは、波長580nm以上の赤色・オレンジ色領域の光を透過し、それ以下の波長の光を反射するような光学フィルターで構成される。また、フィルター70Bは、蛍光体30Aから発せられる赤色の蛍光と蛍光体30Bから発せられる緑色の蛍光と蛍光体30Cを励起する励起光とを透過するとともに、蛍光体30Cから発せられる青色の蛍光を遮光する特性を有している。より好ましくは、フィルター70Bは青色の蛍光を反射する特性を有している。例えば、フィルター70Bは、波長500nm以上の緑色・赤色領域の光を透過し、それ以下の波長の光を反射する光学フィルターで構成される。
【0052】
<動作>
本実施形態の光源装置の動作について説明する。基本的な動作は第一実施形態の光源装置と同様であるため、ここでは、異なる部分についてのみ説明する。
【0053】
蛍光体30Aを励起するための励起光源10Aがオンにされると、蛍光体30Aから赤色の蛍光が発せられる。フィルター70A,70Bはいずれも赤色の蛍光を透過するため、蛍光体30Aから光射出端方向に発せられた赤色の蛍光の一部はフィルター70Aを透過し、蛍光体30Bの貫通穴32を通り、フィルター70Bを透過し、蛍光体30B,30Cの貫通穴32,34を通って、吸収されたり散乱されたりすることなく、波長変換ユニット40の光射出端から射出される。
【0054】
蛍光体30Bを励起するための励起光源10Bがオンにされると、蛍光体30Bから緑色の蛍光が発せられる。フィルター70Bは緑色の蛍光を透過するため、蛍光体30Bから光射出端方向に発せられた緑色の蛍光の一部はフィルター70Bを通り、蛍光体30Cの貫通穴36を通って、吸収されたり散乱されたりすることなく、波長変換ユニット40の光射出端から射出される。さらに、フィルター70Aが緑色の蛍光を反射する特性を有している場合には、蛍光体30Bから光源側に向けて発せられた緑色の蛍光はフィルター70Aによって光射出端側に反射される。フィルター70Aによって反射された緑色の蛍光の一部は蛍光体30Bとフィルター70Bを透過し、蛍光体30Cの貫通穴36を通って、吸収されたり散乱されたりすることなく、波長変換ユニット40の光射出端から射出される。
【0055】
蛍光体30Cを励起するための励起光源10Cがオンにされると、蛍光体30Cから青色光の蛍光が発せられる。蛍光体30Cから光射出端方向に発せられた青色の蛍光は波長変換ユニット40の光射出端から射出される。さらに、フィルター70Bが青色の蛍光を反射する特性を有している場合には、蛍光体30Cから光源側に向けて発せられた緑色の蛍光はフィルター70Bによって光射出端側に反射される。フィルター70Bによって反射された緑色の蛍光の一部は蛍光体30Cを透過して、波長変換ユニット40の光射出端から射出される。
【0056】
<作用>
一般に蛍光体は、自己の発光波長より短い光によって励起される。従って、蛍光体30Aは、その蛍光材料によっては、蛍光体30Bから発せられる緑色の蛍光や蛍光体30Cから発せられる青色の蛍光によって励起されて、望まれていないにもかかわらず赤色の蛍光を発してしまうことがある。例えば、励起光源10Bがオンにされたとき、蛍光体30Bから蛍光体30Aの方向に発せられた緑色の蛍光が蛍光体30Aを励起し、蛍光体30Aから赤色の蛍光が発せられてしてしまう可能性がある。この結果、緑色の照明光を射出させるつもりが、実際には緑色と赤色が混じった不所望な色の照明光が射出されてしまう。しかし、本実施形態の光源装置では、蛍光体30Aと蛍光体30Bの間に緑色の蛍光を遮光するフィルター70Aが配置されているため、蛍光体30Bから蛍光体30Aの方向に発せられた緑色の蛍光はフィルター70Aによって遮光されて蛍光体30Aに到達し得ない。このため、蛍光体30Aが不所望に励起されることは起こらず、励起光源10Bがオンにされたときは、光源装置は緑色の蛍光だけを照明光として射出する。
【0057】
同様に、蛍光体30Aの励起光源10Cがオンにされたとき、蛍光体30Cから蛍光体30Bの方向に発せられた青色の蛍光はフィルター70Bによって遮光されて蛍光体30Bに到達し得ないので、蛍光体30Bが不所望に励起されることは起こらず、光源装置は青色の蛍光だけを照明光として射出する。
【0058】
従って、本実施形態の光源装置は第一実施形態の光源装置と同様の利点を有するとともに、第一実施形態の光源装置と比較して赤色と緑色と青色の純度が向上した照明光を射出する。
【0059】
特に、フィルター70Aが緑色の蛍光を反射する特性を有している場合には、蛍光体30Bから発せられた緑色の蛍光が波長変換ユニット40から効率良く射出される。また、フィルター70Bが青色の蛍光を反射する特性を有している場合には、蛍光体30Cから発せられた青色の蛍光が波長変換ユニット40から効率良く射出される。
【0060】
このため、本実施形態の光源装置は、第一実施形態の光源装置と比較して、蛍光の利用効率が高く、明るい照明光を射出する。
【0061】
<第三実施形態の変形例>
図11に示した波長変換ユニット40は、第一実施形態の波長変換ユニット40に対してフィルター70A,70Bを付加した構成であるが、本実施形態の波長変換ユニット40は、第二実施形態の波長変換ユニット40に対してフィルター70A,70Bを付加した構成であってもよい。本実施形態の変形例として、第二実施形態の波長変換ユニット40に対してフィルター70A,70Bを付加した構成を図12に示す。図12に示すように、本変形例の波長変換ユニット40では、フィルター70Aは、蛍光体30Dと蛍光体30Eの間に配置されている。フィルター70Bは、蛍光体30Eと蛍光体30Fの間に配置されている。フィルター70Aは、蛍光体30Eが固定される透明部材60Eを兼ねてもよい。同様に、フィルター70Bは、蛍光体30Fが固定される透明部材60Fを兼ねてもよい。
【0062】
蛍光体30Aを励起するための励起光源10Aがオンにされると、蛍光体30Dから赤色の蛍光が発せられる。蛍光体30Dから光射出端方向に発せられた赤色の蛍光の一部はフィルター70Aを透過し、蛍光体30Eの外側を通り、フィルター70Bを透過して、吸収されたり散乱されたりすることなく、波長変換ユニット40の光射出端から射出される。
【0063】
蛍光体30Eを励起するための励起光源10Bがオンにされると、蛍光体30Eから緑色の蛍光が発せられる。蛍光体30Eから光射出端方向に発せられた緑色の蛍光の一部はフィルター70Bを通り、蛍光体30Fの外側を通って、吸収されたり散乱されたりすることなく、波長変換ユニット40の光射出端から射出される。さらに、フィルター70Aが緑色の蛍光を反射する特性を有している場合には、蛍光体30Eから光源側に向けて発せられた緑色の蛍光はフィルター70Aによって光射出端側に反射される。フィルター70Aによって反射された緑色の蛍光の一部は蛍光体30Eとフィルター70Bを透過し、蛍光体30Fの外側を通って、吸収されたり散乱されたりすることなく、波長変換ユニット40の光射出端から射出される。
【0064】
そのほかの動作・作用は、図11に示した波長変換ユニット40と同様である。
【0065】
[第四実施形態]
<構成>
次に、本発明の第四実施形態について図13を用いて説明する。以下では、第一実施形態と共通の部分については省略し、異なる部分についてのみ説明を行う。
【0066】
本実施形態の光源装置の外観は、図1に示した第一実施形態の光源装置と同様に構成されており、波長変換ユニット40の内部構造が第一実施形態とは異なっている。本実施形態による波長変換ユニット40の内部構造を図13に示す。
【0067】
本実施形態では、図13に示すように、波長変換ユニット40は、蛍光体30A,30B,30Cに加えて、蛍光体30Bの貫通穴32と蛍光体30Cの貫通穴34を通って延びている導光路80Aと、蛍光体30Cの貫通穴36を通って延びている導光路80Bとを有している。導光路80Aの光源側の端面は蛍光体30Bに接している。導光路80Bの光源側の端面は蛍光体30Bに接している。導光路80Aは、蛍光体30Aから発せられる赤色の蛍光を導光する。導光路80Bは、蛍光体30Bから発せられる緑色の蛍光を導光する。導光路80A,80Bは、これに限らないが、例えばコア=クラッド構造を有する光ファイバーで構成される。
【0068】
<作用>
本実施形態では、蛍光体30Aから発せられ導光路80Aに入射した赤色の蛍光は導光路80Aによって効率良く導波され、波長変換ユニット40の光射出端から射出される。同様に、蛍光体30Bから発せられ導光路80Bに入射した緑色の蛍光は導光路80Bによって効率良く導波され、波長変換ユニット40の光射出端から射出される。これにより、より明るい照明光が得られる。さらに、導光路80A,80Bがコア=クラッド構造を有する光ファイバーで構成された場合、蛍光体30A,30B,30Cが遠く離れている構成や、波長変換ユニット40の筐体42が変形する構成などに、赤色の蛍光と緑色の蛍光の損失が低く抑えられる。
【0069】
<第一実施形態〜第四実施形態の変形例>
第一実施形態と第三実施形態と第四実施形態では、蛍光体30A,30B,30Cは光射出端方向に間隔を置いて配置されているが、図14に示すように、蛍光体30A,30B,30Cは互いに接して配置されてもよい。また、第二実施形態と第三実施形態では、蛍光体30D,30E,30Fは光射出端方向に間隔を置いて配置されているが、図15に示すように、蛍光体30D,30E,30Fは互いに接して配置されてもよい。このような構成にすることにより、波長変換ユニット40の小型化が図れる。また、蛍光体30Aから発せられる赤色の蛍光や、蛍光体30Bから発せられる緑色の蛍光を、波長変換ユニット40の光射出端まで導きやすい構成となる。
【0070】
[第五実施形態]
<構成>
本発明の第五実施形態について図16を用いて説明する。以下では、第一実施形態と共通の部分については省略し、異なる部分についてのみ説明を行う。
【0071】
本発明の第五実施形態による光源装置を図16に示す。本実施形態では、図16に示すように、光源装置は、図1に示した第一実施形態の光源装置の構成に加えて、波長変換ユニット40からの射出される赤色の蛍光と緑色の蛍光と青色の蛍光を含む照明光を導光する光導光部をさらに有している。光導光部はバンドルファイバー90で構成されている。バンドルファイバー90は波長変換ユニット40の光射出端側に接続されており、波長変換ユニット40から射出される照明光を導光してバンドルファイバー90の光射出端から射出する。バンドルファイバー90は、波長変換ユニット40から射出される蛍光を受光して導光するため、NAの大きなものが望ましい。
【0072】
<動作>
本実施形態の光源装置の動作は、蛍光体30A,30B,30Cから発せられた蛍光が波長変換ユニット40から射出されるまでは、第一実施形態の光源装置の動作と同じである。本実施形態では、バンドルファイバー90のNAの範囲内で波長変換ユニット40から射出された蛍光がバンドルファイバー90に入射し、バンドルファイバー90によって導光され、バンドルファイバー90の光射出端から射出される。
【0073】
<作用>
本実施形態では、光源装置の光射出端に波長変換ユニット40が配置されている第一実施形態や第二実施形態の光源装置に比べて、光源装置の光射出端が小型化されている。さらに、蛍光体30Aから30Cは蛍光を発するときに発熱するが、本実施形態の光源装置では、蛍光体30Aから30Cが光源装置の光射出端から比較的離れているので、光源装置の光射出端の付近の発熱が抑えられる。これは、内視鏡に組み込む用途にとって有用である。
【0074】
ここでは、波長変換ユニット40から射出される照明光を導光する光導光部をバンドルファイバー90で構成した例を示したが、これに限定されるものではなく、NAの大きなマルチモードの単ファイバーで構成したり、コア=クラッド構造を有する導光路で構成したりしてもよい。単ファイバーは、光導光部を特に小さくしたい場合に好適である。
【0075】
また、バンドルファイバー90と波長変換ユニット40が直接接続された例を示したが、これに限定されることなく、例えば、バンドルファイバー90と波長変換ユニット40はレンズやリフレクターなどの光学素子を介して接続されてもよい。
【0076】
さらに、波長変換ユニット40は、第一実施形態の構成のものに限らず、第二実施形態〜第四実施形態の構成のものであってもよい。
【0077】
<第五実施形態の変形例>
本発明の第五実施形態の変形例を図17に示す。図17に示すように、本変形例の光源装置では、波長変換ユニット40から射出される照明光を導光する光導光部が、図16に示したバンドルファイバー90に代えて、バンドルファイバー92で構成されている。バンドルファイバー92は途中で二本に分岐されており、二つの光射出端94を有している。
【0078】
本変形例の光源装置は、二つの光射出端94を有しているので、照明の対象物に陰を生じさせにくいという利点を有している。
【0079】
<第一実施形態〜第五実施形態の変形例>
これまで説明した実施形態の光源装置はいずれも、三つの励起光源10A,10B,10Cと三本の光ファイバー20A,20B,20Cと三つの蛍光体30A,30B,30Cまたは30D,30E,30Fとを有しているが、二つの励起光源10A,10Bと二本の光ファイバー20A,20Bと二つの蛍光体30A,30Bまたは30D,30Eとを有している構成であってもよい。例えば、図1や図16や図17に示した光源装置から励起光源10Cと光ファイバー20Cと蛍光体30Cを省いた構成であってもよい。また、図7に示した波長変換ユニット40から光ファイバー20Cと蛍光体30Cを省いた構成や、図10に示した波長変換ユニット40から蛍光体30Cと透明部材60Fを省いた構成、図11に示した波長変換ユニット40から蛍光体30Cとフィルター70Bを省いた構成、図12に示した波長変換ユニット40から蛍光体30Fとフィルター70Bを省いた構成、図13に示した波長変換ユニット40から蛍光体30Cと導光路80Bを省いた構成であってもよい。
【0080】
このような構成において、例えば、蛍光体30A,30Bまたは30D,30Fの組み合わせは、蛍光体30Aまたは30Dから発せられる蛍光と蛍光体30Bまたは30Fから発せられる蛍光とが互いに補色の関係となるように、例えば青色と黄色の関係や青緑色と赤色の関係となるように選択されている。この場合、蛍光体30A,30Bまたは30D,30Fが共に励起されたとき、光源装置は白色の照明光を射出する。
【0081】
本変形例の光源装置は、ただ二つの蛍光体30A,30Bまたは30D,30Fを有しているだけなので、要求される特性を満たす蛍光体30A,30Bまたは30D,30Fの組み合わせの選択肢が広い。
【0082】
<光源装置の内視鏡装置への搭載>
また、上述した実施形態の光源装置は特に内視鏡装置への搭載に適している。
【0083】
一般的な内視鏡装置を図18に概略的に示す。図18に示すように、内視鏡装置100は、操作部110と、操作部110から延びている挿入部120と、挿入部120の先端に位置する内視鏡先端部130とを有している。
【0084】
また、一般的な内視鏡先端部130の構成を図19に示す。図19に示すように、内視鏡先端部130は、三つの先端金属部材132A,132B,132Cと、それらを覆うカバー144とを有している。二つの先端金属部材132A,132Cは断熱材134Aを介して結合され、二つの先端金属部材132B,132Cは断熱材134Bを介して結合されている。先端金属部材132Cには個体撮像装置136と送気送水ノズル138と吸引チャンネル140とが設けられている。また先端金属部材132A,132Bには照明用のライトガイドユニット142が一つずつ設けられている。
【0085】
このように内視鏡装置は一般に二つのライトガイドユニット142を有している。このため、上述した実施形態の光源装置を内視鏡装置に搭載する際は、図1や図9に示したように一つの光射出部を有する光源装置を二つ内視鏡装置に組み込んでもよく、また図12に示したように二つの光射出部を有する光源装置を一つだけ内視鏡装置に組み込んでもよい。
【0086】
図1に示した光源装置を組み込む構成は、高い輝度の照明光を得るのに都合が良い。また図9や図12に示した光源装置を組み込む構成は、発熱する波長変換ユニット40が内視鏡先端部から離して配置されるため、内視鏡先端部の近傍の発熱を抑制するのに都合が良い。
【0087】
これまで、図面を参照しながら本発明の実施形態を述べたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。
【0088】
上述したすべての実施形態では、光源が半導体レーザーで構成されているが、光源は、これに限定されるものではなく、発光ダイオードなどの他の半導体光源で構成されてもよい。発光ダイオードを使用すると、半導体レーザーを使用したときと比較して、より安価な光源装置が得られる。
【0089】
また、第一実施形態では、蛍光体30A,30Bからそれぞれ発せられる蛍光を透過する蛍光体30B,30Cの光学的開口がそれぞれ複数の貫通穴で構成された例を示したが、例えば、蛍光体30B,30Cは、図20に示すように、単一の貫通穴33,35をそれぞれ有する蛍光体30G,30Hで置き換えられてもよい。
【符号の説明】
【0090】
10A,10B,10C…励起光源、12A,12B,12C…半導体レーザー、14A,14B,14C…レンズ、20A,20B,20C…光ファイバー、22A,22B,22C…光射出端、30A,30B,30C,30D,30E,30F,30G,30H…蛍光体、32,34,36…貫通穴、40…波長変換ユニット、40…波長変換ユニット、42…筐体、50…励起光遮光フィルター、60E,60F…透明部材、70A,70B,70C…フィルター、80A,80B…導光路、90,92…バンドルファイバー、94…光射出端、100…内視鏡装置、110…操作部、120…挿入部、130…内視鏡先端部、132A,132B,132C…先端金属部材、134A,134B…断熱材、136…個体撮像装置、138…送気送水ノズル、140…吸引チャンネル、142…ライトガイドユニット、144…カバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の励起光を射出する第一の光源と、
第二の励起光を射出する第二の光源と、
前記第一の励起光によって励起されて第一の蛍光を発する第一の蛍光体と、
前記第二の励起光によって励起されて前記第一の蛍光とは異なる第二の蛍光を発する第二の蛍光体とを有し、
前記第一の蛍光体と前記第二の蛍光体は光射出端方向に並べて配置され、前記第二の蛍光体は前記第一の蛍光体よりも光射出端側に位置しており、前記第一の蛍光体は前記第二の励起光を透過し、前記第二の蛍光体は前記第一の蛍光を透過する第一の光学的開口を有している、光源装置。
【請求項2】
前記第一の蛍光体と第二の蛍光体は波長変換ユニット内に配置されている、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記第一の光源から射出された励起光と、前記第二の光源から射出された励起光はともに、光ファイバーによって導光され、
前記波長変換ユニットは、前記光ファイバーと前記第一の蛍光体と前記第二の蛍光体を保持する筐体を有しており、
前記筐体は前記光ファイバーの光射出面が前記第一の蛍光体に対峙するように、前記光ファイバーを保持している、請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記第1の蛍光体と前記第二の蛍光体は、前記波長変換ユニット内において、前記光射出方向に並べて、間隔を置いて、または互いに接して配置されている、請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記光ファイバーは、前記第一の光源から射出された第一の励起光を導光する第一の光ファイバーと、前記第二の光源から射出された第二の励起光を導光する第二の光ファイバーであり、
前記第一の光ファイバーの光射出端面と前記第二の光ファイバーの光射出端とは共に、前記第一の蛍光体に対峙している、請求項3に記載の光源装置。
【請求項6】
第三の励起光を射出する第三の光源と、
前記第三の励起光に励起されて前記第一と第二の蛍光のいずれとも異なる第三の蛍光を発する第三の蛍光体とをさらに有し、
前記第一の蛍光体と前記第二の蛍光体と前記第三の蛍光体は光射出端方向に並べて配置され、前記第三の蛍光体は前記第二の蛍光体よりも光射出端側に位置しており、前記第一の蛍光体は前記第二と第三の励起光を透過し、前記第二の蛍光体は前記第三の励起光を透過し、前記第三の蛍光体は前記第一と第二の蛍光を透過する第二の光学的開口を有している、請求項1に記載の光源装置。
【請求項7】
前記第一の蛍光体と前記第二の蛍光体と前記第三の蛍光体は波長変換ユニット内に配置されている、請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記第一の光源から射出された励起光と、前記第二の光源から射出された励起光と、前記第三の光源から射出された励起光はともに、光ファイバーによって導光され、
前記波長変換ユニットは、前記光ファイバーと前記第一の蛍光体と前記第二の蛍光体と前記第三の蛍光体を保持する筐体を有しており、
前記筐体は、前記光ファイバーの光射出面が前記第一の蛍光体と対峙するように、前記光ファイバーを保持している、請求項7に記載の光源装置。
【請求項9】
前記光ファイバーは、前記第一の光源から射出された第一の励起光を導光する第一の光ファイバーと、前記第二の光源から射出された第二の励起光を導光する第二の光ファイバーと、前記第三の光源から射出された第三の励起光を導光する第三の光ファイバーであり、
前記第一の光ファイバーの光射出端面と前記第二の光ファイバーの光射出端面と前記第三の光ファイバーの光射出端面とは共に、前記第一の蛍光体に対峙している、請求項8に記載の光源装置。
【請求項10】
第一の励起光を射出する第一の光源と、
第二の励起光を射出する第二の光源と、
前記第一の励起光によって励起されて第一の蛍光を発する第一の蛍光体と、
前記第二の励起光によって励起されて前記第一の蛍光とは異なる第二の蛍光を発する第二の蛍光体とを有し、
前記第一の蛍光体と前記第二の蛍光体は光射出端方向に並べて配置され、前記第二の蛍光体は前記第一の蛍光体よりも光射出端側に位置しており、前記第一の蛍光体は前記第二の励起光を透過し、前記光射出端方向に垂直な平面への投影において前記第二の蛍光体の輪郭が前記第一の蛍光体の輪郭よりも小さい、光源装置。
【請求項11】
前記第一の蛍光体と第二の蛍光体は波長変換ユニット内に配置されている、請求項10に記載の光源装置。
【請求項12】
前記第一の光源から射出された励起光と、前記第二の光源から射出された励起光はともに、光ファイバーによって導光され、
前記波長変換ユニットは、前記光ファイバーと前記第一の蛍光体と前記第二の蛍光体を保持する筐体を有しており、
前記筐体は前記光ファイバーの光射出面が前記第一の蛍光体に対峙するように、前記光ファイバーを保持している、請求項11に記載の光源装置。
【請求項13】
前記第一の蛍光体と前記第二の蛍光体は、前記波長変換ユニット内において、前記光射出方向に並べて、間隔を置いて、または互いに接して配置されている、請求項12に記載の光源装置。
【請求項14】
前記光ファイバーは、前記第一の光源から射出された第一の励起光を導光する第一の光ファイバーと、前記第二の光源から射出された第二の励起光を導光する第二の光ファイバーであり、
前記第一の光ファイバーの光射出端面と前記第二の光ファイバーの光射出端とは共に、前記第一の蛍光体に対峙している、請求項12に記載の光源装置。
【請求項15】
前記筐体は、前記第一の励起光と、前記第二の励起光と、前記第一の蛍光と、前記第二の蛍光が外部に漏れるのを防ぐ遮光性を有している、請求項3,8,12のいずれかひとつに記載の光源装置。
【請求項16】
前記筐体はその内面に、前記第一の励起光と、前記第二の励起光と、前記第一の蛍光と、前記第二の蛍光の少なくともひとつを反射する反射面を有している、請求項3,8,12のいずれかひとつに記載の光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−99545(P2013−99545A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−285162(P2012−285162)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2008−204455(P2008−204455)の分割
【原出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】