光源識別装置及び光源識別方法
【課題】人工光と自然光とを識別できる光源識別装置及び光源の識別方法を提供することを目的としている。
【解決手段】特定の波長域の光強度を測定する複数の光検知部10と、複数の光検知部10の測定値を比較して自然光と人工光とを識別する判断部30と、を備えた光源識別装置1であって、複数の光検知部10に、透過する可視光の波長を制限する第1の波長制限フィルタ21を設けた第1の光検知部11と、第1の波長制限フィルタ21よりも長波長の可視光を透過する第2の波長制限フィルタ22を設けた第2の光検知部12と、を少なくとも有し、第1の波長制限フィルタ21は波長480nm〜520nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタであることを特徴とする。
【解決手段】特定の波長域の光強度を測定する複数の光検知部10と、複数の光検知部10の測定値を比較して自然光と人工光とを識別する判断部30と、を備えた光源識別装置1であって、複数の光検知部10に、透過する可視光の波長を制限する第1の波長制限フィルタ21を設けた第1の光検知部11と、第1の波長制限フィルタ21よりも長波長の可視光を透過する第2の波長制限フィルタ22を設けた第2の光検知部12と、を少なくとも有し、第1の波長制限フィルタ21は波長480nm〜520nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタであることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源識別装置及び光源識別方法に関し、特に、人工光と自然光とを識別できる光源識別装置及び光源識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、直射日光等の自然光と、人工的に作り出された照明光と、を識別する光源識別装置が自動車等に応用されていた。たとえば、車両用ライト自動点消灯装置には、夜間やトンネル内等でのヘッドライト自動点灯と、ヘッドライト等が不要な状況での自動消灯と、を制御するために光源識別手段が必要である。この場合、トンネル等の照明灯や対向車のヘッドライトが照射されても、それが自然光の明るさであると誤判定してヘッドライト等を消灯することがあってはならない。
【0003】
たとえば、特許文献1に開示されているように、可視光領域の光量を検出する可視光検出センサと、赤外光領域の光量を検出する赤外光検出センサと、センサからの検出結果に基づいて点消灯を制御する点消灯制御部と、を備え、可視光または赤外光のどちらか一方の光量が所定光量に達していない場合は人工光であると判定してライトの点消灯を制御する自動点消灯装置がある。この点消灯制御には、可視光検出と赤外光検出とを用いた光源識別方法が組み込まれた。
【0004】
ところが、近年、高輝度で可視光と赤外光とに亘って波長分布を有するハロゲンランプ等によって人工照明が明るくなった。そのため、可視光と赤外光との両方の光量が所定光量に達していると、誤判断が生じる問題を有していた。
【0005】
そこで、特許文献2に開示されているように、紫外光センサを追加して、紫外光の光の照度が所定値よりも小さく、可視光または赤外光の光の照度が所定値よりも大きい場合に、人工光であると判定する人工光検出時点灯切替手段を備えた車両用ライト制御装置が開発されている。これによれば、太陽光には紫外光が含まれることから、紫外光が弱いときには人工光であるとして判定する光源識別方法が組み込まれた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−44860号公報
【特許文献2】特開2008−80932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような光源識別装置において、通常、光センサの車両への取り付け位置はフロントガラスの内側(車室内)である。そのため、紫外光及び赤外光の透過率が小さい車両用フロントガラスが普及するにつれて、紫外光を識別に用いることは困難になった。図13は、車両用のフロントガラスの透過率を測定した事例である。合わせガラスの構成により、400nm以下の紫外光の透過がほとんどカットされていることが分かる。このようなフロントガラスの場合では、紫外光センサの照度(光強度)に対する所定値(閾値)を相対的に小さくしなければならないので、ノイズによる誤判定がないように高精度の紫外線センサを用いる必要があった。
【0008】
一方、近年では、ビルや家屋内の照明設備や空調設備においても人体検知センサ等によって、きめ細かい制御がおこなわれるようになってきており、さらに、人工光と自然光の場合とで制御パターンを変えることも検討されている。屋外の直射日光に比べて、屋内においてガラスやプラスチック等を透過して射し込んでくる自然光では、紫外光がガラス等の吸収によって著しく減衰している。したがって、適度な光量の屋内照明が点灯している状況下で、屋外から差し込んできている日光の強さに応じて照明の制御や空調の制御をおこなう屋内用制御システムには、特許文献1や特許文献2に開示されている車両用の光源識別方法を適用することはできない。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためのものであり、人工光と自然光とを識別できる光源識別装置及び光源識別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、特定の波長域の光強度を測定する複数の光検知部と、前記複数の光検知部の測定値を比較して自然光と人工光とを識別する判断部と、を備えた光源識別装置であって、前記複数の光検知部は、透過する可視光の波長を制限する第1の波長制限フィルタを設けた第1の光検知部と、前記第1の波長制限フィルタよりも長波長の可視光を透過する第2の波長制限フィルタを設けた第2の光検知部と、を少なくとも有し、前記第1の波長制限フィルタは波長480nm〜520nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタである、ことを特徴とする。
【0011】
これにより、可視光の波長域だけを検知して、自然光と人工光との特徴的な差異を有する波長480nm〜520nmの可視光強度を測定する。この波長の可視光強度の測定値と、それよりも長波長の可視光の波長域における光強度の測定値とを比較することにより、窓ガラスを通して紫外光が減衰した自然光であっても、そのような自然光と室内照明による人工光とを判別することが可能になる。
【0012】
したがって、人工光と自然光とを識別できる。
【0013】
さらに、前記第2の波長制限フィルタは波長525nm〜565nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタであることが好適である。第1の波長制限フィルタの波長域に対して、第2の波長制限フィルタの波長域での光強度を相対比較して、自然光で期待される比較値に対して第2の波長制限フィルタの波長域での光強度が大きければ、人工光であると判定できる。
【0014】
前記判断部は前記第1の光検知部の測定値に対して、前記第2の光検知部の測定値の比率が、第1の閾値以上であるときに、人工光として判定した識別信号を出力することが好ましい。こうすれば、第1の波長制限フィルタの波長域に対して、第2の波長制限フィルタの波長域で光強度が大きいかどうかを、測定値の比率で判定するので、自然光と人工光とを識別することが容易である。
【0015】
前記複数の光検知部は、前記第2の波長制限フィルタよりも長波長の可視光を透過する第3の波長制限フィルタを設けた第3の光検知部を有し、前記判断部は、前記第1の光検知部の測定値に対して前記第2の光検知部の測定値の比率が第1の閾値以下であるとともに、前記第1の光検知部の測定値または前記第2の光検知部の測定値に対して前記第3の光検知部の測定値の比率が第2の閾値以上であるときに、自然光として判定した識別信号を出力することが好ましい。こうすれば、第1の波長制限フィルタの波長域に対して、第2の波長制限フィルタの波長域で光強度があまり大きくないような特殊な照明光の環境下においても、第3の光検知部の測定値も使うことによって、自然光と人工光とを正確に識別できる。
【0016】
前記第3の波長制限フィルタは波長700nm〜750nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタであることが好適である。これにより、第3の波長制限フィルタの波長域での光強度が大きければ自然光が入射している状況であることが判定できる。
【0017】
本発明は、特定の波長域の光強度を測定する第1の光検知部及び第2の光検知部と、前記第1の光検知部の測定値及び前記第2の光検知部の測定値を比較して自然光と人工光とを識別する判断部と、を備えた光源識別装置の光源識別方法であって、前記第1の光検知部で測定される波長480nm〜520nmの波長域の可視光強度の測定値と、前記第1の光検知部で測定される波長域よりも長波長の可視光強度が測定される前記第2の光検知部の測定値と、を取得するステップと、前記第1の光検知部の測定値に対する前記第2の光検知部の測定値の比率が第1の閾値以上であるかを判定するステップとを有することを特徴とする。
【0018】
こうすれば、第1の光検知部と第2の光検知部との特定波長域の光強度を測定して、第1の光検知部の光強度または第2の光検知部の光強度が所定の明るさに対応する光強度を有する環境下において、第1の光検知部の測定値に対する第2の光検知部の測定値の比率によって、自然光と人工光とを識別することができる。
【0019】
前記第2の光検知部は波長525nm〜565nmの波長域の可視光強度を測定することが好適である。こうすれば、第1の光検知部の測定値に対して第2の光検知部の測定値が相対的に大きいときは人工光による照明の明るさであると判定することができる。
【0020】
特定の波長の光強度を測定する第1の光検知部及び第2の光検知部並びに第3の光検知部と、前記第1の光検知部の測定値及び前記第2の光検知部の測定値並びに前記第3の光検知部の測定値を比較して自然光と人工光とを識別する判断部と、を備えた光源識別装置の光源識別方法であって、前記第1の光検知部で測定される波長480nm〜520nmの波長域の可視光強度の測定値と、前記第2の光検知部で測定される波長525nm〜565nmの波長域の可視光強度の測定値と、前記第2の光検知部で測定される波長域よりも長波長の可視光強度が測定される前記第3の光検知部の測定値と、を取得するステップと、前記第1の光検知部の測定値に対する前記第2の光検知部の測定値の比率が第1の閾値以下であるかを判定するステップと、前記第1の光検知部の測定値または前記第2の光検知部の測定値に対する前記第3の光検知部の測定値の比率が第2の閾値以上であるかを判定するステップと、を有することが好ましい。
【0021】
こうすれば、第1の光検知部の光強度または第2の光検知部の光強度が所定の明るさに対応する光強度を有する環境下において、第1の光検知部の測定値に対する第2の光検知部の測定値の比率が第1の閾値以下であっても、第3の光検知部の測定値も使うことによって、自然光と人工光とを正確に識別できる。
【0022】
前記第3の光検知部は波長700nm〜750nmの波長域の可視光強度を測定することが好適である。こうすれば、第1の光検知部の測定値に対する第2の光検知部の測定値の比率が第1の閾値以下であって、第2の光検知部の測定値に対して第3の光検知部の測定値が相対的に大きいときは自然光であると判定することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、窓ガラスを通して紫外光が減衰した自然光であっても、室内照明による人工光との差異を判別することが可能であり、人工光と自然光とを識別できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施形態の光源識別装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】複数の光検知部が備えられた光センサの斜視図である。
【図3】複数の光検知部が備えられた光センサの回路ブロック図である。
【図4】第1の波長制限フィルタの透過率と第2の波長制限フィルタの透過率とのグラフである。
【図5】第1の実施形態における光源識別のフローチャートである。
【図6】第1の実施形態の変形例のフローチャートである。
【図7】第2の実施形態の光源識別装置の概略構成を示すブロック図である。
【図8】第2の実施形態における光源識別のフローチャートである。
【図9】地表で測定したときの太陽光スペクトルである。
【図10】代表的な人工光の発光スペクトルであり、ハロゲンランプのスペクトルである。
【図11】代表的な人工光の発光スペクトルであり、蛍光灯のスペクトルである。
【図12】代表的な人工光の発光スペクトルであり、LEDランプのスペクトルである。
【図13】車両用のフロントガラスの透過率を測定した事例である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1の実施形態>
図1は本発明の第1の実施形態の光源識別装置1の概略構成を示すブロック図である。なお、光源識別装置とは、光源を識別する専用機器だけでなく、光源を識別することにより何らかの機能が付加された機器を含み、具体的には照明設備や空調設備に組み込まれたユニット等を含む。
【0026】
図2に、本実施形態で使用する複数の光検知部10が備えられた光センサ30の斜視図を示す。図3に、複数の光検知部10が備えられた光センサ30の回路ブロック図を示す。また、図4には、本実施形態で使用する第1の光検知部11に設けられた第1の波長制限フィルタ21の透過率と、第2の光検知部12に設けられた第2の波長制限フィルタ22の透過率とを示す。
【0027】
図1〜図4を参照して、本実施形態での光源識別装置1について詳述する。第1の光検知部11は第1の波長制限フィルタ21を透過した光を検知して、受光強度に応じた出力に変換する。第1の光検知部11の出力は、たとえばフォトダイオードの電流出力であり、電流電圧変換によって電圧出力に変更したり、AD変換回路によってデジタル信号出力に変更されたりといったコンディショナー回路16を介して任意の出力形式に変更されて、判断部40に入力される。図3に示した回路ブロック図はデジタル信号を出力するコンディショナー回路16の一例である。同様に、第2の光検知部12は第2の波長制限フィルタ22を透過した光を検知して、受光強度に応じた出力に変換する。第2の光検知部12の出力もまた、同様の処理を経て判断部40に入力される。コンディショナー回路16は、それぞれの光検知部の出力を切り替えて入力するマルチプレクサ回路を有する。
【0028】
図1及び図2に示すように、光センサ30は、第1の波長制限フィルタ21が設けられた第1の光検知部11と、第2の波長制限フィルタ22が設けられた第2の光検知部12と、コンディショナー回路16と、が、パッケージ基板70に配置されてパッケージ樹脂75に封止されて一体化された構造であることが好ましい。
【0029】
図1に示す判断部40では、第1の光検知部11の出力と第2の光検知部12の出力とから得られた測定値を用いて、自然光と人工光とを識別して、人工光の識別信号または自然光の識別信号を出力する。このときの、自然光と人工光との光源識別装置1について、以下に詳述する。
【0030】
本実施形態での光源識別装置1は、自然光と各種の人工光との光源スペクトルを比較検討するとともに、必要になる波長制限フィルタを製作することによって実現された。
【0031】
図9は地表で測定したときの太陽光スペクトルである。地球上の大気成分による吸収の影響を受けても、波長300nm付近の紫外光から、可視光の500nm付近をピークに、赤外光に亘る広い波長分布を有している。通常、可視光の波長域は400nm付近〜800nm付近とされており、本明細書では波長400nm以下を紫外光、波長800nm以上を赤外光として、可視光を400nm〜800nmの範囲内とする。
【0032】
一方、代表的な人工光の発光スペクトルを図10〜図12に示す。図10に示すハロゲンランプは可視光領域の短波長側から赤外領域にかけて発光スペクトルを有し、発光のピーク波長は800nmより長波長の赤外光の波長域である。可視光領域では短波長光の相対強度が小さい。
【0033】
図11に示す蛍光灯は、より発光スペクトルが狭い波長域にあり、特徴的には水銀の発光スペクトルが強く現れている。発光波長は400nm〜700nmにあり、水銀の発光波長を除くと、600nm付近にピークを有している。波長700nm以上の発光スペクトルは僅かな強度である。
【0034】
白色LED照明として普及しているタイプのLEDランプは、図12に示すように、可視光領域に2つのピーク波長を有している。波長450nm付近のピークは青色の高輝度発光ダイオードの発光波長であり、波長600nm付近のブロードなピークは蛍光体の発光によるものである。この発光スペクトルは白色に視認され、比較的演色性が良いとされている。また、蛍光灯と同様に、白色LEDにおいても、波長700nm以上の発光スペクトルは僅かな強度である。
【0035】
本実施形態では、自然光と人工光との特徴的な差異として、可視光領域の波長500nm付近と、550nm付近での強度に着目した。太陽光では、図9に示すように、500nm付近をピークとして、550nmの強度は相対的に弱くなっている。一方、図10や図11に示すように、人工光であるハロゲンランプや蛍光灯では550nmのほうが500nmよりも強度が強い。図12に示すように、典型的な白色LEDランプでは、500nm付近が2つのピークの谷になっていて、550nm付近の強度に比べて弱い。
【0036】
そこで、図4に示すように、第1の波長制限フィルタ21として、波長480nm〜520nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタが製作された。また、第2の波長制限フィルタ22として、波長525nm〜565nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタが製作された。これらの光学フィルタは、石英ガラス基板の一方の面にSiO2膜とTa2O5膜とを所望の膜厚で多層に積層することによって得られた。第1の波長制限フィルタ21が第1の光検知部11に設けられ、第2の波長制限フィルタ22が第2の光検知部12に設けられた。なお、他の波長域(たとえば、1000nm以上)の透過を抑制する光学フィルタを同時に備えておくことが好ましい。たとえば、石英ガラスの他方の面に赤外光を反射する材料を成膜することができる。
【0037】
図5に、第1の実施形態における光源識別のフローチャートを示す。測定が開始されると、ステップST1で、第1の光検知部11の測定値及び第2の光検知部12の測定値が得られる。ステップST2では、第2の光検知部12の測定値が判定を必要とする有意な値であるかどうかを、閾値Aと比較する。ここで、閾値Aは人工照明の点灯を必要とする照度環境下で得られる第2の光検知部12の測定値にほぼ合わせた設定値である。第2の光検知部12の測定値が閾値Aより大きければ、ステップST3に進み、そうでない場合は以下のフローを中止して、次の測定開始まで待機する。なお、第2の光検知部12の測定値の替わりに、第1の光検知部11の測定値を用いてもよいが、人工照明の点灯を必要とする照度の測定には第2の光検知部12の測定値のほうが適している。
【0038】
ステップST3では、第2の光検知部12の出力測定値を第1の光検知部11の測定値で割る演算をおこない、演算値Xを得る。ステップST4で、演算値Xが閾値B以上であるかを判定する。ここで、閾値Bは自然光の環境下で得られる演算値Xの値より大きな設定値である。演算値Xが閾値B以上である場合は、ステップST5に進み、人工光の識別信号を出力する。一方、演算値Xが閾値Bよりも小さければ、ステップST6に進み、自然光の識別信号を出力する。
【0039】
こうすれば、第1の光検知部11と第2の光検知部12との特定波長域の光強度を測定して、第1の光検知部11の光強度または第2の光検知部12の光強度が所定の明るさに対応する光強度を有する環境下において、第1の光検知部11の測定値に対する第2の光検知部12の測定値の比率が自然光に比べて相対的に大きいときは、人工光による照明の明るさであると判定することができる。また、第1の光検知部11の測定値に対する第2の光検知部12の測定値の比率が自然光に比べて同程度であるときは自然光による明るさであると判定する。
【0040】
識別信号は所定の電圧による2値信号、たとえば人工光に対してHigh電圧、自然光に対してLo電圧を出力する。また、電圧を出力するのでなく、接点のオープン、ショートによる信号であってもよいし、その他の出力手段(光、磁気、等)であってもよい。出力先の構成に合わせて判断部40の出力手段を構成すればよい。
【0041】
このようにして、第1の波長制限フィルタ21の波長域に対して、第2の波長制限フィルタ22の波長域での光強度を相対比較して、自然光で期待される比較値に対して第2の波長制限フィルタ22の波長域での光強度が大きければ、人工光であると判定できる。このとき、第1の波長制限フィルタ21の波長域に対して、第2の波長制限フィルタ22の波長域で光強度が大きいかどうかを、測定値の比率で判定すれば、自然光と人工光とを識別することが容易である。また、400nm以上の可視光によって、自然光と人工光とを識別できることが好ましい。こうすれば、窓ガラスを通して紫外光が減衰した自然光であっても、室内照明による人工光との差異を判別することが可能であり、人工光と自然光とを識別できる。
【0042】
このように可視光を検出できる光検知部であればよいので、一般的な半導体材料で構成されたフォトダイオードを用いることができる。たとえば、一般的なシリコン・フォトダイオードであれば、可視光〜近赤外光の波長範囲に感度をもつので、本実施形態の光源識別装置1への適用が容易である。また、本実施形態の光源識別装置1は紫外光を検出しなくてよいので、高精度の紫外線センサが不要である。したがって、その分、低コスト化が可能である。
【0043】
第1の波長制限フィルタ21として、波長480nm〜520nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタを用いたが、より狭い波長域(たとえば490nm〜510nm)の光学フィルタであってもよい。波長域が狭いほうが第1の光検知部11の光強度が減少して、その出力が小さくなるが、ノイズに比べて十分な出力が得られていれば不具合を生じることはない。波長500nm付近が自然光と典型的な人工光とのスペクトルに差異がある波長域なので、その波長域の光学フィルタであれば効果を奏する。透過する波長域がより広い設計の光学フィルタを適用する場合は、上述の差異が得られるように慎重に選定すればよい。
【0044】
本実施形態において、第2の光検知部12は、波長525nm〜565nmの波長域の可視光を検出したが、波長585nm〜625nmの波長域の可視光を検出するようにしてもよい。これには、第2の波長制限フィルタ22として、波長585nm〜625nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタを用いればよい。この波長域を選んでも、第1の光検知部11の測定値に対する第2の光検知部12の測定値の比率が自然光に比べて相対的に大きいときは人工光による照明の明るさであると判定することができる。また、それぞれの場合において、波長域がより狭い(たとえば530nm〜560nmの)光学フィルタやより広い(たとえば520nm〜570nmの)光学フィルタであっても、閾値A、閾値Bを適切に設定すれば本発明を適用できる。
【0045】
なお、ビルや家屋内の冷暖房効率をさらに高めるために、窓ガラスに赤外光の反射率が高い材料を複合化するようになってきている。このため、自然光と人工光とを識別するためには800nm以上の赤外光も使用しない識別方法であることが好ましい。本実施形態に示すように、可視光の波長域だけを使用する識別方法であれば、紫外光も赤外光も使用しないので、好適である。
【0046】
演算値Xは逆数であってもよい。その場合はステップST14の判定基準を変更すればよい。また、測定値の絶対値が大きく変動しない場合には、割り算の替わりに、引き算の演算式を用いてもよい。
【0047】
図6に第1の実施形態の変形例のフローチャートを示す。この場合は、人工光または自然光が有意な光強度で検知されていることが前提となっている。したがって、図5におけるステップST2が省略されている。たとえば、照度センサを有するシステムにおいては、有意な照度が得られている環境下で、人工光と自然光との識別をおこなうように用いられる。
【0048】
<第2の実施形態>
図7は本発明の第2の実施形態の光源識別装置2の概略構成を示すブロック図である。光センサ31において、複数の光検知部15は、第3の波長制限フィルタ23を設けた第3の光検知部13を有している。その他の光源識別装置2の構成は第1の実施形態と同様であり、同符号を用いた。
【0049】
第3の波長制限フィルタ23は波長700nm〜750nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタであり、第1の波長制限フィルタ21及び第2の波長制限フィルタ22と同様に製作された。
【0050】
判断部40は、第1の光検知部11の測定値に対して第2の光検知部12の測定値の比率が第1の閾値以下であるとともに、第2の光検知部12の測定値に対して第3の光検知部13の測定値の比率が第2の閾値以上であるときに、自然光として判定した識別信号を出力することが好ましい。こうすれば、第1の波長制限フィルタ21の波長域に対して、第2の波長制限フィルタ22の波長域で光強度があまり大きくないような特殊な照明光の環境下においても、第3の波長制限フィルタ23の波長域での光強度が大きくなければ自然光が入射していない状況であることが判定できる。したがって、第3の光検知部13の測定値も使うことによって、自然光と人工光とを正確に識別できる。
【0051】
図8に、第2の実施形態における光源識別のフローチャートを示す。測定が開始されると、ステップST11で、第1の光検知部11の測定値及び第2の光検知部12の測定値が得られる。
【0052】
ステップST13では、第2の光検知部12の測定値を第1の光検知部11の測定値で割る演算をおこない、演算値Xを得る。ステップST14で、演算値Xが閾値Bよりも大きいかを判定する。ここで、閾値Bは自然光の環境下で得られる演算値Xの値にほぼ合わせた設定値である。演算値Xが閾値Bよりも大きい場合は、ステップST15に進み、人工光の識別信号を出力する。
【0053】
一方、演算値Xが閾値B以下であれば、ステップST16に進み、第3の光検知部13の測定値を第2の光検知部12の測定値で割る演算をおこない、演算値Yを得る。ステップST17で、演算値Yが閾値C以上であるかを判定する。ここで、閾値Cは自然光の環境下で得られる演算値Yの値よりも少し小さい設定値である。演算値Yが閾値C以上である場合は、ステップST18に進み、自然光の識別信号を出力する。一方、演算値Yが閾値Cよりも小さければ、ステップST15に進み、人工光の識別信号を出力する。
【0054】
図10に示すようなハロゲンランプ等の赤外光強度が強い人工照明は、第1の光検知部11と第2の光検知部12との測定値を比較して識別できる。さらに、自然光の波長スペクトルに近い人工照明は、図11や図12に示すように、第3の光検知部13での光強度が大きくないので、第3の光検知部13での光強度が大きければ自然光が入射している状況であることが識別できる。これにより、本実施形態では、第1の光検知部11の測定値に対する第2の光検知部12の測定値の比率が第1の閾値(閾値B)以下であっても、人工光と自然光との光源識別を誤判定することがない。
【0055】
第3の波長制限フィルタ23は波長700nm〜750nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタであるが、第3の波長制限フィルタ23の波長域は適宜選定することができる。たとえば、650nm〜750nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタや、700nm〜750nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタであってもよい。これらの波長域における人間の比視感度が低いことから、人工照明の発光波長として重視されておらず、図11や図12に示すような人工照明における相対強度が小さい。
【0056】
なお、図8のステップST16では、演算値Yとして、第3の光検知部13の測定値を第2の光検知部12の測定値で割る演算をおこなったが、第3の光検知部13の測定値を第1の光検知部11の測定値で割る演算を用いてもよい。ステップST14によって、第1の光検知部11の測定値が小さい場合の識別がなされているので、ステップST16では第1の光検知部11の測定値と第2の光検知部12の測定値との、いずれの測定値を用いても誤判定しない。しかしながら、第1の光検知部11の測定値が小さくても演算値Xが閾値B以下になるような閾値Bの値に設定するときは、自然光、人工光のいずれでも光強度が大きい第2の光検知部12の測定値を用いればよい。
【0057】
第2の実施形態においても、演算式は上記に限らず、実施形態の変形が可能である。また、図5に示すステップST2と同じ内容のステップST12を、ステップST13の前に挿入してもよい。ステップST12をおこなうことによって、第1の光検知部11の測定値と第2の光検知部12の測定値とが小さい場合は、光源の識別をおこなわずに終了させることができる。
【0058】
本実施形態においても、複数の光検知部15とコンディショナー回路16とを有する光センサ31が一体化されたパッケージ構造であることが好ましい。しかし、第1の実施形態及び第2の実施形態において、光検知部が1個の光センサを各選択波長ごとに用意して、複数の光センサによって複数の光検知部を構成できることは言うまでもない。また、コンディショナー回路16を内蔵していない光センサも適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1、2 光源識別装置
10、15 複数の光検知部
11 第1の光検知部
12 第2の光検知部
13 第3の光検知部
16 コンディショナー回路
21 第1の波長制限フィルタ
22 第2の波長制限フィルタ
23 第3の波長制限フィルタ
30、31 光センサ
40 判断部
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源識別装置及び光源識別方法に関し、特に、人工光と自然光とを識別できる光源識別装置及び光源識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、直射日光等の自然光と、人工的に作り出された照明光と、を識別する光源識別装置が自動車等に応用されていた。たとえば、車両用ライト自動点消灯装置には、夜間やトンネル内等でのヘッドライト自動点灯と、ヘッドライト等が不要な状況での自動消灯と、を制御するために光源識別手段が必要である。この場合、トンネル等の照明灯や対向車のヘッドライトが照射されても、それが自然光の明るさであると誤判定してヘッドライト等を消灯することがあってはならない。
【0003】
たとえば、特許文献1に開示されているように、可視光領域の光量を検出する可視光検出センサと、赤外光領域の光量を検出する赤外光検出センサと、センサからの検出結果に基づいて点消灯を制御する点消灯制御部と、を備え、可視光または赤外光のどちらか一方の光量が所定光量に達していない場合は人工光であると判定してライトの点消灯を制御する自動点消灯装置がある。この点消灯制御には、可視光検出と赤外光検出とを用いた光源識別方法が組み込まれた。
【0004】
ところが、近年、高輝度で可視光と赤外光とに亘って波長分布を有するハロゲンランプ等によって人工照明が明るくなった。そのため、可視光と赤外光との両方の光量が所定光量に達していると、誤判断が生じる問題を有していた。
【0005】
そこで、特許文献2に開示されているように、紫外光センサを追加して、紫外光の光の照度が所定値よりも小さく、可視光または赤外光の光の照度が所定値よりも大きい場合に、人工光であると判定する人工光検出時点灯切替手段を備えた車両用ライト制御装置が開発されている。これによれば、太陽光には紫外光が含まれることから、紫外光が弱いときには人工光であるとして判定する光源識別方法が組み込まれた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−44860号公報
【特許文献2】特開2008−80932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような光源識別装置において、通常、光センサの車両への取り付け位置はフロントガラスの内側(車室内)である。そのため、紫外光及び赤外光の透過率が小さい車両用フロントガラスが普及するにつれて、紫外光を識別に用いることは困難になった。図13は、車両用のフロントガラスの透過率を測定した事例である。合わせガラスの構成により、400nm以下の紫外光の透過がほとんどカットされていることが分かる。このようなフロントガラスの場合では、紫外光センサの照度(光強度)に対する所定値(閾値)を相対的に小さくしなければならないので、ノイズによる誤判定がないように高精度の紫外線センサを用いる必要があった。
【0008】
一方、近年では、ビルや家屋内の照明設備や空調設備においても人体検知センサ等によって、きめ細かい制御がおこなわれるようになってきており、さらに、人工光と自然光の場合とで制御パターンを変えることも検討されている。屋外の直射日光に比べて、屋内においてガラスやプラスチック等を透過して射し込んでくる自然光では、紫外光がガラス等の吸収によって著しく減衰している。したがって、適度な光量の屋内照明が点灯している状況下で、屋外から差し込んできている日光の強さに応じて照明の制御や空調の制御をおこなう屋内用制御システムには、特許文献1や特許文献2に開示されている車両用の光源識別方法を適用することはできない。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためのものであり、人工光と自然光とを識別できる光源識別装置及び光源識別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、特定の波長域の光強度を測定する複数の光検知部と、前記複数の光検知部の測定値を比較して自然光と人工光とを識別する判断部と、を備えた光源識別装置であって、前記複数の光検知部は、透過する可視光の波長を制限する第1の波長制限フィルタを設けた第1の光検知部と、前記第1の波長制限フィルタよりも長波長の可視光を透過する第2の波長制限フィルタを設けた第2の光検知部と、を少なくとも有し、前記第1の波長制限フィルタは波長480nm〜520nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタである、ことを特徴とする。
【0011】
これにより、可視光の波長域だけを検知して、自然光と人工光との特徴的な差異を有する波長480nm〜520nmの可視光強度を測定する。この波長の可視光強度の測定値と、それよりも長波長の可視光の波長域における光強度の測定値とを比較することにより、窓ガラスを通して紫外光が減衰した自然光であっても、そのような自然光と室内照明による人工光とを判別することが可能になる。
【0012】
したがって、人工光と自然光とを識別できる。
【0013】
さらに、前記第2の波長制限フィルタは波長525nm〜565nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタであることが好適である。第1の波長制限フィルタの波長域に対して、第2の波長制限フィルタの波長域での光強度を相対比較して、自然光で期待される比較値に対して第2の波長制限フィルタの波長域での光強度が大きければ、人工光であると判定できる。
【0014】
前記判断部は前記第1の光検知部の測定値に対して、前記第2の光検知部の測定値の比率が、第1の閾値以上であるときに、人工光として判定した識別信号を出力することが好ましい。こうすれば、第1の波長制限フィルタの波長域に対して、第2の波長制限フィルタの波長域で光強度が大きいかどうかを、測定値の比率で判定するので、自然光と人工光とを識別することが容易である。
【0015】
前記複数の光検知部は、前記第2の波長制限フィルタよりも長波長の可視光を透過する第3の波長制限フィルタを設けた第3の光検知部を有し、前記判断部は、前記第1の光検知部の測定値に対して前記第2の光検知部の測定値の比率が第1の閾値以下であるとともに、前記第1の光検知部の測定値または前記第2の光検知部の測定値に対して前記第3の光検知部の測定値の比率が第2の閾値以上であるときに、自然光として判定した識別信号を出力することが好ましい。こうすれば、第1の波長制限フィルタの波長域に対して、第2の波長制限フィルタの波長域で光強度があまり大きくないような特殊な照明光の環境下においても、第3の光検知部の測定値も使うことによって、自然光と人工光とを正確に識別できる。
【0016】
前記第3の波長制限フィルタは波長700nm〜750nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタであることが好適である。これにより、第3の波長制限フィルタの波長域での光強度が大きければ自然光が入射している状況であることが判定できる。
【0017】
本発明は、特定の波長域の光強度を測定する第1の光検知部及び第2の光検知部と、前記第1の光検知部の測定値及び前記第2の光検知部の測定値を比較して自然光と人工光とを識別する判断部と、を備えた光源識別装置の光源識別方法であって、前記第1の光検知部で測定される波長480nm〜520nmの波長域の可視光強度の測定値と、前記第1の光検知部で測定される波長域よりも長波長の可視光強度が測定される前記第2の光検知部の測定値と、を取得するステップと、前記第1の光検知部の測定値に対する前記第2の光検知部の測定値の比率が第1の閾値以上であるかを判定するステップとを有することを特徴とする。
【0018】
こうすれば、第1の光検知部と第2の光検知部との特定波長域の光強度を測定して、第1の光検知部の光強度または第2の光検知部の光強度が所定の明るさに対応する光強度を有する環境下において、第1の光検知部の測定値に対する第2の光検知部の測定値の比率によって、自然光と人工光とを識別することができる。
【0019】
前記第2の光検知部は波長525nm〜565nmの波長域の可視光強度を測定することが好適である。こうすれば、第1の光検知部の測定値に対して第2の光検知部の測定値が相対的に大きいときは人工光による照明の明るさであると判定することができる。
【0020】
特定の波長の光強度を測定する第1の光検知部及び第2の光検知部並びに第3の光検知部と、前記第1の光検知部の測定値及び前記第2の光検知部の測定値並びに前記第3の光検知部の測定値を比較して自然光と人工光とを識別する判断部と、を備えた光源識別装置の光源識別方法であって、前記第1の光検知部で測定される波長480nm〜520nmの波長域の可視光強度の測定値と、前記第2の光検知部で測定される波長525nm〜565nmの波長域の可視光強度の測定値と、前記第2の光検知部で測定される波長域よりも長波長の可視光強度が測定される前記第3の光検知部の測定値と、を取得するステップと、前記第1の光検知部の測定値に対する前記第2の光検知部の測定値の比率が第1の閾値以下であるかを判定するステップと、前記第1の光検知部の測定値または前記第2の光検知部の測定値に対する前記第3の光検知部の測定値の比率が第2の閾値以上であるかを判定するステップと、を有することが好ましい。
【0021】
こうすれば、第1の光検知部の光強度または第2の光検知部の光強度が所定の明るさに対応する光強度を有する環境下において、第1の光検知部の測定値に対する第2の光検知部の測定値の比率が第1の閾値以下であっても、第3の光検知部の測定値も使うことによって、自然光と人工光とを正確に識別できる。
【0022】
前記第3の光検知部は波長700nm〜750nmの波長域の可視光強度を測定することが好適である。こうすれば、第1の光検知部の測定値に対する第2の光検知部の測定値の比率が第1の閾値以下であって、第2の光検知部の測定値に対して第3の光検知部の測定値が相対的に大きいときは自然光であると判定することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、窓ガラスを通して紫外光が減衰した自然光であっても、室内照明による人工光との差異を判別することが可能であり、人工光と自然光とを識別できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施形態の光源識別装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】複数の光検知部が備えられた光センサの斜視図である。
【図3】複数の光検知部が備えられた光センサの回路ブロック図である。
【図4】第1の波長制限フィルタの透過率と第2の波長制限フィルタの透過率とのグラフである。
【図5】第1の実施形態における光源識別のフローチャートである。
【図6】第1の実施形態の変形例のフローチャートである。
【図7】第2の実施形態の光源識別装置の概略構成を示すブロック図である。
【図8】第2の実施形態における光源識別のフローチャートである。
【図9】地表で測定したときの太陽光スペクトルである。
【図10】代表的な人工光の発光スペクトルであり、ハロゲンランプのスペクトルである。
【図11】代表的な人工光の発光スペクトルであり、蛍光灯のスペクトルである。
【図12】代表的な人工光の発光スペクトルであり、LEDランプのスペクトルである。
【図13】車両用のフロントガラスの透過率を測定した事例である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1の実施形態>
図1は本発明の第1の実施形態の光源識別装置1の概略構成を示すブロック図である。なお、光源識別装置とは、光源を識別する専用機器だけでなく、光源を識別することにより何らかの機能が付加された機器を含み、具体的には照明設備や空調設備に組み込まれたユニット等を含む。
【0026】
図2に、本実施形態で使用する複数の光検知部10が備えられた光センサ30の斜視図を示す。図3に、複数の光検知部10が備えられた光センサ30の回路ブロック図を示す。また、図4には、本実施形態で使用する第1の光検知部11に設けられた第1の波長制限フィルタ21の透過率と、第2の光検知部12に設けられた第2の波長制限フィルタ22の透過率とを示す。
【0027】
図1〜図4を参照して、本実施形態での光源識別装置1について詳述する。第1の光検知部11は第1の波長制限フィルタ21を透過した光を検知して、受光強度に応じた出力に変換する。第1の光検知部11の出力は、たとえばフォトダイオードの電流出力であり、電流電圧変換によって電圧出力に変更したり、AD変換回路によってデジタル信号出力に変更されたりといったコンディショナー回路16を介して任意の出力形式に変更されて、判断部40に入力される。図3に示した回路ブロック図はデジタル信号を出力するコンディショナー回路16の一例である。同様に、第2の光検知部12は第2の波長制限フィルタ22を透過した光を検知して、受光強度に応じた出力に変換する。第2の光検知部12の出力もまた、同様の処理を経て判断部40に入力される。コンディショナー回路16は、それぞれの光検知部の出力を切り替えて入力するマルチプレクサ回路を有する。
【0028】
図1及び図2に示すように、光センサ30は、第1の波長制限フィルタ21が設けられた第1の光検知部11と、第2の波長制限フィルタ22が設けられた第2の光検知部12と、コンディショナー回路16と、が、パッケージ基板70に配置されてパッケージ樹脂75に封止されて一体化された構造であることが好ましい。
【0029】
図1に示す判断部40では、第1の光検知部11の出力と第2の光検知部12の出力とから得られた測定値を用いて、自然光と人工光とを識別して、人工光の識別信号または自然光の識別信号を出力する。このときの、自然光と人工光との光源識別装置1について、以下に詳述する。
【0030】
本実施形態での光源識別装置1は、自然光と各種の人工光との光源スペクトルを比較検討するとともに、必要になる波長制限フィルタを製作することによって実現された。
【0031】
図9は地表で測定したときの太陽光スペクトルである。地球上の大気成分による吸収の影響を受けても、波長300nm付近の紫外光から、可視光の500nm付近をピークに、赤外光に亘る広い波長分布を有している。通常、可視光の波長域は400nm付近〜800nm付近とされており、本明細書では波長400nm以下を紫外光、波長800nm以上を赤外光として、可視光を400nm〜800nmの範囲内とする。
【0032】
一方、代表的な人工光の発光スペクトルを図10〜図12に示す。図10に示すハロゲンランプは可視光領域の短波長側から赤外領域にかけて発光スペクトルを有し、発光のピーク波長は800nmより長波長の赤外光の波長域である。可視光領域では短波長光の相対強度が小さい。
【0033】
図11に示す蛍光灯は、より発光スペクトルが狭い波長域にあり、特徴的には水銀の発光スペクトルが強く現れている。発光波長は400nm〜700nmにあり、水銀の発光波長を除くと、600nm付近にピークを有している。波長700nm以上の発光スペクトルは僅かな強度である。
【0034】
白色LED照明として普及しているタイプのLEDランプは、図12に示すように、可視光領域に2つのピーク波長を有している。波長450nm付近のピークは青色の高輝度発光ダイオードの発光波長であり、波長600nm付近のブロードなピークは蛍光体の発光によるものである。この発光スペクトルは白色に視認され、比較的演色性が良いとされている。また、蛍光灯と同様に、白色LEDにおいても、波長700nm以上の発光スペクトルは僅かな強度である。
【0035】
本実施形態では、自然光と人工光との特徴的な差異として、可視光領域の波長500nm付近と、550nm付近での強度に着目した。太陽光では、図9に示すように、500nm付近をピークとして、550nmの強度は相対的に弱くなっている。一方、図10や図11に示すように、人工光であるハロゲンランプや蛍光灯では550nmのほうが500nmよりも強度が強い。図12に示すように、典型的な白色LEDランプでは、500nm付近が2つのピークの谷になっていて、550nm付近の強度に比べて弱い。
【0036】
そこで、図4に示すように、第1の波長制限フィルタ21として、波長480nm〜520nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタが製作された。また、第2の波長制限フィルタ22として、波長525nm〜565nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタが製作された。これらの光学フィルタは、石英ガラス基板の一方の面にSiO2膜とTa2O5膜とを所望の膜厚で多層に積層することによって得られた。第1の波長制限フィルタ21が第1の光検知部11に設けられ、第2の波長制限フィルタ22が第2の光検知部12に設けられた。なお、他の波長域(たとえば、1000nm以上)の透過を抑制する光学フィルタを同時に備えておくことが好ましい。たとえば、石英ガラスの他方の面に赤外光を反射する材料を成膜することができる。
【0037】
図5に、第1の実施形態における光源識別のフローチャートを示す。測定が開始されると、ステップST1で、第1の光検知部11の測定値及び第2の光検知部12の測定値が得られる。ステップST2では、第2の光検知部12の測定値が判定を必要とする有意な値であるかどうかを、閾値Aと比較する。ここで、閾値Aは人工照明の点灯を必要とする照度環境下で得られる第2の光検知部12の測定値にほぼ合わせた設定値である。第2の光検知部12の測定値が閾値Aより大きければ、ステップST3に進み、そうでない場合は以下のフローを中止して、次の測定開始まで待機する。なお、第2の光検知部12の測定値の替わりに、第1の光検知部11の測定値を用いてもよいが、人工照明の点灯を必要とする照度の測定には第2の光検知部12の測定値のほうが適している。
【0038】
ステップST3では、第2の光検知部12の出力測定値を第1の光検知部11の測定値で割る演算をおこない、演算値Xを得る。ステップST4で、演算値Xが閾値B以上であるかを判定する。ここで、閾値Bは自然光の環境下で得られる演算値Xの値より大きな設定値である。演算値Xが閾値B以上である場合は、ステップST5に進み、人工光の識別信号を出力する。一方、演算値Xが閾値Bよりも小さければ、ステップST6に進み、自然光の識別信号を出力する。
【0039】
こうすれば、第1の光検知部11と第2の光検知部12との特定波長域の光強度を測定して、第1の光検知部11の光強度または第2の光検知部12の光強度が所定の明るさに対応する光強度を有する環境下において、第1の光検知部11の測定値に対する第2の光検知部12の測定値の比率が自然光に比べて相対的に大きいときは、人工光による照明の明るさであると判定することができる。また、第1の光検知部11の測定値に対する第2の光検知部12の測定値の比率が自然光に比べて同程度であるときは自然光による明るさであると判定する。
【0040】
識別信号は所定の電圧による2値信号、たとえば人工光に対してHigh電圧、自然光に対してLo電圧を出力する。また、電圧を出力するのでなく、接点のオープン、ショートによる信号であってもよいし、その他の出力手段(光、磁気、等)であってもよい。出力先の構成に合わせて判断部40の出力手段を構成すればよい。
【0041】
このようにして、第1の波長制限フィルタ21の波長域に対して、第2の波長制限フィルタ22の波長域での光強度を相対比較して、自然光で期待される比較値に対して第2の波長制限フィルタ22の波長域での光強度が大きければ、人工光であると判定できる。このとき、第1の波長制限フィルタ21の波長域に対して、第2の波長制限フィルタ22の波長域で光強度が大きいかどうかを、測定値の比率で判定すれば、自然光と人工光とを識別することが容易である。また、400nm以上の可視光によって、自然光と人工光とを識別できることが好ましい。こうすれば、窓ガラスを通して紫外光が減衰した自然光であっても、室内照明による人工光との差異を判別することが可能であり、人工光と自然光とを識別できる。
【0042】
このように可視光を検出できる光検知部であればよいので、一般的な半導体材料で構成されたフォトダイオードを用いることができる。たとえば、一般的なシリコン・フォトダイオードであれば、可視光〜近赤外光の波長範囲に感度をもつので、本実施形態の光源識別装置1への適用が容易である。また、本実施形態の光源識別装置1は紫外光を検出しなくてよいので、高精度の紫外線センサが不要である。したがって、その分、低コスト化が可能である。
【0043】
第1の波長制限フィルタ21として、波長480nm〜520nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタを用いたが、より狭い波長域(たとえば490nm〜510nm)の光学フィルタであってもよい。波長域が狭いほうが第1の光検知部11の光強度が減少して、その出力が小さくなるが、ノイズに比べて十分な出力が得られていれば不具合を生じることはない。波長500nm付近が自然光と典型的な人工光とのスペクトルに差異がある波長域なので、その波長域の光学フィルタであれば効果を奏する。透過する波長域がより広い設計の光学フィルタを適用する場合は、上述の差異が得られるように慎重に選定すればよい。
【0044】
本実施形態において、第2の光検知部12は、波長525nm〜565nmの波長域の可視光を検出したが、波長585nm〜625nmの波長域の可視光を検出するようにしてもよい。これには、第2の波長制限フィルタ22として、波長585nm〜625nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタを用いればよい。この波長域を選んでも、第1の光検知部11の測定値に対する第2の光検知部12の測定値の比率が自然光に比べて相対的に大きいときは人工光による照明の明るさであると判定することができる。また、それぞれの場合において、波長域がより狭い(たとえば530nm〜560nmの)光学フィルタやより広い(たとえば520nm〜570nmの)光学フィルタであっても、閾値A、閾値Bを適切に設定すれば本発明を適用できる。
【0045】
なお、ビルや家屋内の冷暖房効率をさらに高めるために、窓ガラスに赤外光の反射率が高い材料を複合化するようになってきている。このため、自然光と人工光とを識別するためには800nm以上の赤外光も使用しない識別方法であることが好ましい。本実施形態に示すように、可視光の波長域だけを使用する識別方法であれば、紫外光も赤外光も使用しないので、好適である。
【0046】
演算値Xは逆数であってもよい。その場合はステップST14の判定基準を変更すればよい。また、測定値の絶対値が大きく変動しない場合には、割り算の替わりに、引き算の演算式を用いてもよい。
【0047】
図6に第1の実施形態の変形例のフローチャートを示す。この場合は、人工光または自然光が有意な光強度で検知されていることが前提となっている。したがって、図5におけるステップST2が省略されている。たとえば、照度センサを有するシステムにおいては、有意な照度が得られている環境下で、人工光と自然光との識別をおこなうように用いられる。
【0048】
<第2の実施形態>
図7は本発明の第2の実施形態の光源識別装置2の概略構成を示すブロック図である。光センサ31において、複数の光検知部15は、第3の波長制限フィルタ23を設けた第3の光検知部13を有している。その他の光源識別装置2の構成は第1の実施形態と同様であり、同符号を用いた。
【0049】
第3の波長制限フィルタ23は波長700nm〜750nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタであり、第1の波長制限フィルタ21及び第2の波長制限フィルタ22と同様に製作された。
【0050】
判断部40は、第1の光検知部11の測定値に対して第2の光検知部12の測定値の比率が第1の閾値以下であるとともに、第2の光検知部12の測定値に対して第3の光検知部13の測定値の比率が第2の閾値以上であるときに、自然光として判定した識別信号を出力することが好ましい。こうすれば、第1の波長制限フィルタ21の波長域に対して、第2の波長制限フィルタ22の波長域で光強度があまり大きくないような特殊な照明光の環境下においても、第3の波長制限フィルタ23の波長域での光強度が大きくなければ自然光が入射していない状況であることが判定できる。したがって、第3の光検知部13の測定値も使うことによって、自然光と人工光とを正確に識別できる。
【0051】
図8に、第2の実施形態における光源識別のフローチャートを示す。測定が開始されると、ステップST11で、第1の光検知部11の測定値及び第2の光検知部12の測定値が得られる。
【0052】
ステップST13では、第2の光検知部12の測定値を第1の光検知部11の測定値で割る演算をおこない、演算値Xを得る。ステップST14で、演算値Xが閾値Bよりも大きいかを判定する。ここで、閾値Bは自然光の環境下で得られる演算値Xの値にほぼ合わせた設定値である。演算値Xが閾値Bよりも大きい場合は、ステップST15に進み、人工光の識別信号を出力する。
【0053】
一方、演算値Xが閾値B以下であれば、ステップST16に進み、第3の光検知部13の測定値を第2の光検知部12の測定値で割る演算をおこない、演算値Yを得る。ステップST17で、演算値Yが閾値C以上であるかを判定する。ここで、閾値Cは自然光の環境下で得られる演算値Yの値よりも少し小さい設定値である。演算値Yが閾値C以上である場合は、ステップST18に進み、自然光の識別信号を出力する。一方、演算値Yが閾値Cよりも小さければ、ステップST15に進み、人工光の識別信号を出力する。
【0054】
図10に示すようなハロゲンランプ等の赤外光強度が強い人工照明は、第1の光検知部11と第2の光検知部12との測定値を比較して識別できる。さらに、自然光の波長スペクトルに近い人工照明は、図11や図12に示すように、第3の光検知部13での光強度が大きくないので、第3の光検知部13での光強度が大きければ自然光が入射している状況であることが識別できる。これにより、本実施形態では、第1の光検知部11の測定値に対する第2の光検知部12の測定値の比率が第1の閾値(閾値B)以下であっても、人工光と自然光との光源識別を誤判定することがない。
【0055】
第3の波長制限フィルタ23は波長700nm〜750nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタであるが、第3の波長制限フィルタ23の波長域は適宜選定することができる。たとえば、650nm〜750nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタや、700nm〜750nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタであってもよい。これらの波長域における人間の比視感度が低いことから、人工照明の発光波長として重視されておらず、図11や図12に示すような人工照明における相対強度が小さい。
【0056】
なお、図8のステップST16では、演算値Yとして、第3の光検知部13の測定値を第2の光検知部12の測定値で割る演算をおこなったが、第3の光検知部13の測定値を第1の光検知部11の測定値で割る演算を用いてもよい。ステップST14によって、第1の光検知部11の測定値が小さい場合の識別がなされているので、ステップST16では第1の光検知部11の測定値と第2の光検知部12の測定値との、いずれの測定値を用いても誤判定しない。しかしながら、第1の光検知部11の測定値が小さくても演算値Xが閾値B以下になるような閾値Bの値に設定するときは、自然光、人工光のいずれでも光強度が大きい第2の光検知部12の測定値を用いればよい。
【0057】
第2の実施形態においても、演算式は上記に限らず、実施形態の変形が可能である。また、図5に示すステップST2と同じ内容のステップST12を、ステップST13の前に挿入してもよい。ステップST12をおこなうことによって、第1の光検知部11の測定値と第2の光検知部12の測定値とが小さい場合は、光源の識別をおこなわずに終了させることができる。
【0058】
本実施形態においても、複数の光検知部15とコンディショナー回路16とを有する光センサ31が一体化されたパッケージ構造であることが好ましい。しかし、第1の実施形態及び第2の実施形態において、光検知部が1個の光センサを各選択波長ごとに用意して、複数の光センサによって複数の光検知部を構成できることは言うまでもない。また、コンディショナー回路16を内蔵していない光センサも適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1、2 光源識別装置
10、15 複数の光検知部
11 第1の光検知部
12 第2の光検知部
13 第3の光検知部
16 コンディショナー回路
21 第1の波長制限フィルタ
22 第2の波長制限フィルタ
23 第3の波長制限フィルタ
30、31 光センサ
40 判断部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の波長域の光強度を測定する複数の光検知部と、
前記複数の光検知部の測定値を比較して自然光と人工光とを識別する判断部と、
を備えた光源識別装置であって、
前記複数の光検知部は、透過する可視光の波長を制限する第1の波長制限フィルタを設けた第1の光検知部と、前記第1の波長制限フィルタよりも長波長の可視光を透過する第2の波長制限フィルタを設けた第2の光検知部と、を少なくとも有し、
前記第1の波長制限フィルタは波長480nm〜520nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタであることを特徴とする光源識別装置。
【請求項2】
前記第2の波長制限フィルタは波長525nm〜565nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタであることを特徴とする請求項1に記載の光源識別装置。
【請求項3】
前記判断部は前記第1の光検知部の測定値に対して、前記第2の光検知部の測定値の比率が、第1の閾値以上であるときに、人工光として判定した識別信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の光源識別装置。
【請求項4】
前記複数の光検知部は、前記第2の波長制限フィルタよりも長波長の可視光を透過する第3の波長制限フィルタを設けた第3の光検知部を有し、
前記判断部は、前記第1の光検知部の測定値に対して前記第2の光検知部の測定値の比率が第1の閾値以下であるとともに、前記第1の光検知部の測定値または前記第2の光検知部の測定値に対して前記第3の光検知部の測定値の比率が第2の閾値以上であるときに、自然光として判定した識別信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の光源識別装置。
【請求項5】
前記第3の波長制限フィルタは波長700nm〜750nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタであることを特徴とする請求項4に記載の光源識別装置。
【請求項6】
特定の波長域の光強度を測定する第1の光検知部及び第2の光検知部と、
前記第1の光検知部の測定値及び前記第2の光検知部の測定値を比較して自然光と人工光とを識別する判断部と、
を備えた光源識別装置の光源識別方法であって、
前記第1の光検知部で測定される波長480nm〜520nmの波長域の可視光強度の測定値と、前記第1の光検知部で測定される波長域よりも長波長の可視光強度が測定される前記第2の光検知部の測定値と、を取得するステップと、
前記第1の光検知部の測定値に対する前記第2の光検知部の測定値の比率が第1の閾値以上であるかを判定するステップと、
を有することを特徴とする光源識別方法。
【請求項7】
前記第2の光検知部は波長525nm〜565nmの波長域の可視光強度を測定することを特徴とする請求項6に記載の光源識別方法。
【請求項8】
特定の波長の光強度を測定する第1の光検知部及び第2の光検知部並びに第3の光検知部と、
前記第1の光検知部の測定値及び前記第2の光検知部の測定値並びに前記第3の光検知部の測定値を比較して自然光と人工光とを識別する判断部と、
を備えた光源識別装置の光源識別方法であって、
前記第1の光検知部で測定される波長480nm〜520nmの波長域の可視光強度の測定値と、前記第2の光検知部で測定される波長525nm〜565nmの波長域の可視光強度の測定値と、前記第2の光検知部で測定される波長域よりも長波長の可視光強度が測定される前記第3の光検知部の測定値と、を取得するステップと、
前記第1の光検知部の測定値に対する前記第2の光検知部の測定値の比率が第1の閾値以下であるかを判定するステップと、
前記第1の光検知部の測定値または前記第2の光検知部の測定値に対する前記第3の光検知部の測定値の比率が第2の閾値以上であるかを判定するステップと、
を有することを特徴とする光源識別方法。
【請求項9】
前記第3の光検知部は波長700nm〜750nmの波長域の可視光強度を測定することを特徴とする請求項8に記載の光源識別方法。
【請求項1】
特定の波長域の光強度を測定する複数の光検知部と、
前記複数の光検知部の測定値を比較して自然光と人工光とを識別する判断部と、
を備えた光源識別装置であって、
前記複数の光検知部は、透過する可視光の波長を制限する第1の波長制限フィルタを設けた第1の光検知部と、前記第1の波長制限フィルタよりも長波長の可視光を透過する第2の波長制限フィルタを設けた第2の光検知部と、を少なくとも有し、
前記第1の波長制限フィルタは波長480nm〜520nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタであることを特徴とする光源識別装置。
【請求項2】
前記第2の波長制限フィルタは波長525nm〜565nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタであることを特徴とする請求項1に記載の光源識別装置。
【請求項3】
前記判断部は前記第1の光検知部の測定値に対して、前記第2の光検知部の測定値の比率が、第1の閾値以上であるときに、人工光として判定した識別信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の光源識別装置。
【請求項4】
前記複数の光検知部は、前記第2の波長制限フィルタよりも長波長の可視光を透過する第3の波長制限フィルタを設けた第3の光検知部を有し、
前記判断部は、前記第1の光検知部の測定値に対して前記第2の光検知部の測定値の比率が第1の閾値以下であるとともに、前記第1の光検知部の測定値または前記第2の光検知部の測定値に対して前記第3の光検知部の測定値の比率が第2の閾値以上であるときに、自然光として判定した識別信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の光源識別装置。
【請求項5】
前記第3の波長制限フィルタは波長700nm〜750nmの波長域の可視光を透過する光学フィルタであることを特徴とする請求項4に記載の光源識別装置。
【請求項6】
特定の波長域の光強度を測定する第1の光検知部及び第2の光検知部と、
前記第1の光検知部の測定値及び前記第2の光検知部の測定値を比較して自然光と人工光とを識別する判断部と、
を備えた光源識別装置の光源識別方法であって、
前記第1の光検知部で測定される波長480nm〜520nmの波長域の可視光強度の測定値と、前記第1の光検知部で測定される波長域よりも長波長の可視光強度が測定される前記第2の光検知部の測定値と、を取得するステップと、
前記第1の光検知部の測定値に対する前記第2の光検知部の測定値の比率が第1の閾値以上であるかを判定するステップと、
を有することを特徴とする光源識別方法。
【請求項7】
前記第2の光検知部は波長525nm〜565nmの波長域の可視光強度を測定することを特徴とする請求項6に記載の光源識別方法。
【請求項8】
特定の波長の光強度を測定する第1の光検知部及び第2の光検知部並びに第3の光検知部と、
前記第1の光検知部の測定値及び前記第2の光検知部の測定値並びに前記第3の光検知部の測定値を比較して自然光と人工光とを識別する判断部と、
を備えた光源識別装置の光源識別方法であって、
前記第1の光検知部で測定される波長480nm〜520nmの波長域の可視光強度の測定値と、前記第2の光検知部で測定される波長525nm〜565nmの波長域の可視光強度の測定値と、前記第2の光検知部で測定される波長域よりも長波長の可視光強度が測定される前記第3の光検知部の測定値と、を取得するステップと、
前記第1の光検知部の測定値に対する前記第2の光検知部の測定値の比率が第1の閾値以下であるかを判定するステップと、
前記第1の光検知部の測定値または前記第2の光検知部の測定値に対する前記第3の光検知部の測定値の比率が第2の閾値以上であるかを判定するステップと、
を有することを特徴とする光源識別方法。
【請求項9】
前記第3の光検知部は波長700nm〜750nmの波長域の可視光強度を測定することを特徴とする請求項8に記載の光源識別方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−86784(P2013−86784A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232402(P2011−232402)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
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