説明

光照射ユニット

【課題】ワークの形状に応じて発光領域を変化させて光照射する、消費電力を節約できる希ガス蛍光ランプを備えた光照射装置を提供することを目的とする。
【解決手段】発光管11の内面に蛍光体が塗布され、外部に管軸に沿って配置された一対の外部電極を有する希ガス蛍光ランプ1と、当該希ガス蛍光ランプ1を点灯する駆動回路と、当該希ガス蛍光ランプを収容する筐体95と、反射ミラー97を備え、ワークに対して光を照射する光照射ユニット100において、前記希ガス蛍光ランプ1の外部電極の少なくとも一方の電極は管軸方向に離間するよう分割され、その分割された外部電極ごとに別個独立に接続された複数の駆動回路と、当該希ガス蛍光ランプの少なくとも一端に位置する外部電極が形成された管壁の内面に形成された始動電極21と、当該駆動回路に点灯信号を送出する点灯制御回路90とを備え、前記点灯制御回路90は、当該分割された外部電極ごとに電圧を印加する、点灯信号を各駆動回路に送出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光管の外部に管軸に沿って設けられた一対の電極をそなえる希ガス蛍光ランプ、およびこの希ガス蛍光ランプを備えてなり、紫外線を含む光をワークに照射することにより、例えば硬化処理や改質処理を行う光照射ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紫外線を含む光を照射する光源ランプを備えた光照射ユニットを用いて、例えばワークにおける保護膜、接着剤、塗料、インキ、フォトレジスト、樹脂、配向膜等に対して、硬化、乾燥、溶融あるいは軟化、改質処理などが各分野で幅広く行われている。
また、従来から、OA機器の光源や液晶表示装置のバックライト等に使用される蛍光ランプとして、発光管の外表面に一対の帯状の外部電極を配設し、高周波電圧を印加して点灯する方式の希ガス蛍光ランプが知られている。
【0003】
図7(a)は、例えば特許文献1記載の従来の外部電極型希ガス蛍光ランプを示す断面図、図7(b)はZ−Z’線断面図であり、図8は例えば特許文献2記載の従来の光照射器である。
図7(a)において、希ガス蛍光ランプ8は、透光性の誘電材料よりなる発光管81を備え、発光管81の外表面上に、発光管81を挟んで離間する一対の帯状の外部電極83、84が、発光管81の管軸方向に沿って配設されている。発光管81の内面には蛍光体が全域にわたって塗布されており、内部には、Xeガスなどの希ガスよりなる発光ガスが封入されている。
外部電極83、84間に高周波電圧が印加されると、誘電材料である発光管81を介して放電空間S内にエキシマ放電が発生し、このエキシマ放電により発生した真空紫外光によって蛍光体が励起されて発光管81の外部に光が出射される。出射される光の波長は発光管内面に塗布される蛍光体の種類によって決定される。
【0004】
図8において、この光照射器800は、この光照射器800の下方位置を通過するよう不図示の搬送機構によって搬送されるワークWに対して紫外線を照射するものである。
光照射器800は、下方が開口する箱型形状のランプハウス98を備えてなり、棒状のロングアークランプ80がワークWの搬送方向に対して直交する方向に伸びるように配設されているとともに、このロングアークランプ80からの光を反射する反射ミラー97がロングアークランプ80に沿って伸びるように上方に配設されている。ロングアークランプ80から放射された光は、直接的に、あるいは反射ミラー97によって反射されてワークWに照射される。このような光照射器800の用途としては、例えば紫外線による接着剤の硬化である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−34211号公報
【特許文献2】特開2008−130302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の光照射器の光源としては、棒状で水銀を封入したロングアークランプが普及しており、このロングアークランプを一、または複数備えた光照射器により光を照射していた。
近年では、ワークが一定寸法ではなく、様々なサイズで搬送される場合が増えている。例えば、LCD基板などにおいては、大小異なるワークが同じ製造ラインで搬送処理される場合があり、ランプ全長に対してその照射範囲が小さいワークの場合は、ランプ全長にわたっての発光は消費電力の無駄となっていた。しかも、ロングアーク型水銀ランプは、内部に電極を有し、発光管内で管軸方向に放電をして発光をするものであり、発光長の調節をすることは困難である。
また、従来の希ガス蛍光ランプにおいても、管軸方向の発光長を適宜調節することは困難であった。
そこで、本発明者らは、外部電極型希ガス蛍光ランプは、放電が管軸方向ではないこと、出射される光の波長は蛍光体により決定されることから、光照射ユニットの光源として希ガス蛍光ランプを適用することを見出した。
【0007】
以上により本発明は、ワークの形状に応じて発光領域を変化させて光照射する、消費電力を節約できる希ガス蛍光ランプを備えた光照射ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、発光管の内面に蛍光体が塗布され、外部に管軸に沿って配置された一対の外部電極を有する希ガス蛍光ランプと、当該希ガス蛍光ランプを点灯する駆動回路と、当該希ガス蛍光ランプを収容する筐体と、反射ミラーを備え、ワークに対して光を照射する光照射ユニットにおいて、前記希ガス蛍光ランプの外部電極の少なくとも一方の電極は管軸方向に離間するよう分割され、その分割された外部電極ごとに別個独立に接続された複数の駆動回路と、当該希ガス蛍光ランプの少なくとも一端に位置する外部電極が形成された管壁の内面に形成された始動電極と、当該駆動回路に点灯信号を送出する点灯制御回路とを備え、前記点灯制御回路は、当該分割された外部電極ごとに電圧を印加する、点灯信号を各駆動回路に送出することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記点灯制御回路は、点灯始動時に当該分割された外部電極のすべてに一定期間電圧を印加した後、照射が必要な点灯領域に対応する外部電極へ給電して、不必要な点灯領域に対応する外部電極への給電を停止する、点灯信号を各駆動回路へ送出することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記光照射ユニットは、前記ワークの形状を検出するワーク検出部を備え、前記点灯制御回路は、当該ワーク検出部から送出される検出信号に基づいて照射が必要な点灯領域を決定し、前記駆動回路へ点灯信号を送出することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記光照射ユニットは、搬送される前記ワークに対して、搬送と同時に光を照射することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記光照射ユニットは、複数の前記希ガス蛍光ランプを並列配置して備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記筐体には始動部の光がワークに対して漏れないよう遮蔽する光遮蔽部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記点灯制御回路が、点灯始動時に一定期間印加する電圧は、同位相の電圧であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、希ガス蛍光ランプの外部電極を管軸方向に分割し、その分割された外部電極ごとに駆動回路を接続して点灯、光照射を行うことができるので、ワークの形状に合せた照射を行うことができる。これにより、ランプの全長よりも小さいワークに対して光を照射する際に、不要な照射をなくすことにより消費電力を節約することができる。また、端部に始動電極が設けられていることにより、分割された外部電極における始動性を高めることができる。
【0016】
また、本発明によれば、全ての外部電極について一旦放電を生じさせた後、選択的な点灯を行うことにより、始動性を高めることができる。
【0017】
また、本発明によれば、ワーク検出部によりワークの形状を検出するので、形状の異なるワークの処理がおなじ製造ラインで行われる場合でも、ワークごとに照射が必要な領域について検出することができる。これにより、不要な照射をなくして消費電力を節約することができる。
【0018】
また、本発明によれば、複数の希ガス蛍光ランプを並列配置することにより、所望の照射領域を構成でき、光照射量を増やすことができる。
【0019】
また、本発明によれば、搬送とともにワークに光を照射する場合でも、希ガス蛍光ランプの端部に設けられた始動部によって始動性が高いので、照射領域の変更が容易である。
【0020】
また、本発明によれば、希ガス蛍光ランプを複数並列配置することにより、充分な照射量を確保でき、かつ所望の形状に点灯領域を構成することができる。
【0021】
また、本発明によれば、筐体には、始動部からの発光を遮蔽する光遮蔽部が設けられていることにより、始動部の種火放電が外部に漏れてワークに影響を与えることが無い。
【0022】
また、本発明によれば、点灯始動時に発光管全体に放電を生じさせるとき、全ての外部電極について同位相の電圧を印加して放電を生じさせることにより、隣接する分割された外部電極どうしで沿面放電が起こりにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)は、本発明の光照射ユニットに用いる希ガス蛍光ランプの断面図であり、(b)はA−A’線断面図、(c)はB−B’線断面図である。
【図2】(a)は本発明の光照射ユニットに用いる希ガス蛍光ランプの始動部を説明するための部分説明図であり、(b)は視点Cから見た部分説明図である。
【図3】本発明の光照射ユニットを説明するための模式図である。
【図4】本発明の光照射ユニットの点灯回路を説明するためのブロック図である。
【図5】本発明の光照射ユニットを説明するための模式図である。
【図6】本発明の光照射ユニットを説明するための断面図である。
【図7】(a)従来の希ガス蛍光ランプの断面図であり、(b)はZ−Z’線断面図である。
【図8】従来の光照射器の構成を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に図面を参照しながら説明する。図1(a)は、本発明の光照射ユニットの希ガス蛍光ランプの断面図であり、(b)はA−A’線断面図、(c)はB−B’線断面図である。
図1において、希ガス蛍光ランプ1は、ガラスなど透光性の誘電材料よりなる発光管11を備え、発光管11の外表面上に、発光管11を挟んで一対の帯状の外部電極130、131、132、133、および14が発光管11の管軸方向に沿って配設されている。発光管11の内面には主に紫外光を発光する蛍光体が全域にわたって塗布された蛍光体層12が形成されている。
【0025】
これらの外部電極は、導電性のものであれば特に制限されるものではなく、例えば、金、銀、ニッケル、カーボン、金パラジウム、銀パラジウム、白金、アルミニウムなどを好適に用いることができ、発光管11の外表面にテープ状金属を貼付したり、導電性ペーストをスクリーン印刷して焼成したりすることにより、実現できる。外部電極の給電部以外は、ガラスペーストを焼成した保護膜により被覆されている。
発光管を構成するガラスは、例えばホウ珪酸ガラス、アルミノケイ酸ガラスであり、使用する波長によって、他にはコバールガラス、タングステンガラス、ソーダ石灰ガラス、バリウムガラスなどを用いてもよい。
発光管11の内部に封入される希ガスは、例えばキセノン、クリプトン、アルゴン、ネオンまたはそれらの混合ガスなどであり、10〜300Torr程度封入される。
【0026】
発光管11の内面に塗布される蛍光体は、エキシマ発光を例えば250nm〜400nmの紫外光へ変換するものであり、具体的にはLaPO:GdまたはPr、SrB:Eu、LaMgAl1119:Ce、LaPO:Ce、YPO:Ce、YBO:Prなどである。このような波長の紫外線は、例えば接着剤や、インクの硬化などキュアリング用途に用いられる。
外部電極間に高周波電圧が印加されると、誘電材料である発光管11を介して放電空間S内にエキシマ放電が発生し、このエキシマ放電により発生した真空紫外光によって蛍光体が励起されて発光管11の外部に紫外光等が出射される。
【0027】
外部電極130、131、132、および133はいずれも高電圧側に接続された同極性となる電極であるが、管軸方向で互いに離間するように分割されて配置されている。これに対し異極性となる外部電極14は、外部電極130、131、132、133に対して共通の接地電極である。これらを合せて一対の外部電極と呼ぶ。なお、外部電極14は、管軸方向に複数に分割して配設してもよい。
【0028】
このように、一方の電極130、131、132、および133が管軸方向に沿って、複数に分割されて配置されている。この複数の電極の各々に独立に高周波電力を給電可能な駆動回路をそれぞれ別個独立に接続することにより、各電極間に対して異なる給電することができる。
すなわち、分割された外部電極ごとに発光できるので、外部電極131と外部電極14の間で発光させて、外部電極132と外部電極14の間で発光させないということが可能となる。
【0029】
図1(b)に示すように、希ガス蛍光ランプ1のA−A’線断面図において、左端の外部電極130が設けられている箇所の管壁の内面側には、例えばカーボンペーストよりなる始動電極21が、発光管11の周方向に半周以上にわたってC字状に形成されている。この始動電極21は、始動性を高めるための種火放電を発生させるものであり、誘電材料である発光管11の管壁を介して外部電極131および14と交差するように設けられ、容量結合されている。なお、始動電極21は導電材料であり、耐スパッタ性の高い材質であれば、材質を限定されるものではない。
これらの発光管11の端部の、外部電極130、始動電極21が設けられている領域を始動部20とする。また、光照射ユニットとしての主な照射光を担うという意味で始動部20以外の領域を発光部22と呼ぶ。
【0030】
図2(a)は本発明の光照射ユニットの希ガス蛍光ランプ1の始動部20について説明するための部分説明図であり、(b)は、視点Cから見た部分説明図である。
図2(a)において、発光管11の内面に始動電極21が形成された箇所の管壁の外表面に配置されている高電圧側の電極130に、外部電極間で放電させるよりも電圧の低い適宜の高周波電圧を印加することにより、外部電極130と外部電極14との間で直接放電を生じさせることなく、外部電極130と始動電極21との間、または外部電極14と始動電極21との間で、小規模な種火放電IDを生じさせることができる。
【0031】
図2(b)に示すように、図2(a)に示した矢印の方向の視点Cよりこの発光管11の内部を観察すると、発光管11の管壁を介して、始動電極21と外部電極14との間で種火放電IDが生じている。
このような種火放電IDが生じていると、始動部20に隣接する発光部22は種火放電IDを予備電離放電として、低い電圧から容易に放電開始することができる。
本発明のように、外部電極が管軸方向で分割されたランプの場合には、発光部22を構成する外部電極に始動電極21のような易始動手段を設けると出射する光を妨げるため、その代替として始動部20が設けられる。これにより、易始動手段を備えない外部電極131、132、133、134であっても低い電圧から放電を開始することができる。
しかも、この種火放電IDは、図に示したような狭小な領域でのみ発生する程度のものであるので、放電維持していても消費電力は非常に少ない。したがって、この光照射ユニットの使用中は放電維持していてもよい。
始動部20は発光管11の端部に設けられることが好ましい。また、始動部20を発光管の両端に設けてもよい。両端からの始動により、より始動性が高められるためである。
始動電極21は図示のように、蛍光体が塗布されていない管壁の内面に設けられている。したがって、種火放電IDによる発光は変換されずにそのまま出射されるので、ワークに影響を与えないように、後述する光遮蔽手段によって遮蔽される。
【0032】
このように、図1(a)に示した希ガス蛍光ランプは、管軸方向で分割された外部電極ごとに給電して、点灯領域を選択して点灯することができるが、管軸方向で分割された外部電極どうしが近接しており、かつ異なる点灯がされるゆえに問題が生じる。
具体的には、始動時に外部電極131に電圧を印加せず、外部電極132に電圧を印加する場合には、距離が近いために外部電極132と外部電極14間の放電よりも、外部電極132と外部電極131の間で行われる沿面放電が発生しやすくなる。また、始動部20と離れて位置する外部電極では始動時は放電が起こりにくい。そこで、点灯始動は以下のように行われる。
【0033】
まず、全ての分割された外部電極に対して一定期間電圧を印加する。すると、始動部20の種火放電IDの効果により、低電圧で放電が生じ、始動部20側から速やかに発光管全体へ放電が広がる。発光管全体に放電が広がった後は、点灯が不必要な領域について消灯する。これにより、低電圧から容易に放電することができ、かつ選択的な点灯を行うことができる。
【0034】
ここで、始動時とは、例えばこの希ガス蛍光ランプにつき、いずれの外部電極にも電圧が印加されておらず、点灯がなされていない場合の点灯のタイミングを言う。また、始動とは、外部電極型希ガス蛍光ランプはパルス電圧、交流電圧等印加されて点灯されるがゆえに、厳密には極性反転して点灯、点滅により断続的に点灯されるものであったとしても、発光管内に放電を生じさせるために一定期間行われる一連の点灯をいう。
【0035】
また、始動時に全ての分割された外部電極に対して一定期間印加する電圧を同位相の電圧とする場合には、沿面放電を起こりにくくすることができる。
なお、点灯が不必要な領域についての消灯は、消灯の代わりに調光によって発光量を減じたとしても同じことである。
【0036】
図3は、図1の希ガス蛍光ランプを使用した本発明の光照射ユニットの処理について説明するための概念図であり、(a)は処理前、(b)は処理時の光照射ユニットを真上から見た様子を示す模式図である。
また、図4は本発明の光照射ユニットの点灯回路を説明するためのブロック図である。
図3において、希ガス蛍光ランプ1の発光管の外部に設けられた外部電極14は接地電極であり、高電圧側の電極として外部電極130、131、132、133および134が管軸方向に離間して設けられる。外部電極130が設けられた位置の発光管の内壁には始動電極(不図示)が設けられ、始動部20を構成している。外部電極131、132、133、134と外部電極14間には、それぞれ独立に高周波電圧を給電可能な駆動回路が接続され、各電極に対して独自に給電され、調光・点滅が行われて点灯される。
この独自に点灯できる領域を、点灯領域LD1、LD2、LD3、LD4とし、その箇所を図3に示してある。
また、ワークWは、例えば矢印で示した方向に不図示の搬送機構により搬送される。この搬送方向とランプの管軸方向とは略直交の関係である。ワークを検出するためのワーク検出部91が、希ガス蛍光ランプ1よりも搬送方向の上流側に設けられる。
【0037】
図3(a)において、紙面手前側が上方、紙面奥側が下方であり、ワークWは希ガス蛍光ランプの下方を通過するように搬送される。ワーク検出部91は、ワークWの上方または下方のいずれかに設けられる。
ワーク検出部91は、例えばラインセンサ、位置検出センサなどであり、管軸方向に沿って配置され、搬送されるワークWの形状を検出することができる。ワーク検出部91は、少なくともワークWの管軸方向の幅を検出できればよく、さらに搬送方向に検出できてもよい。
ワークWが、各ワーク検出部91の検出範囲まで搬送されると、検出されたワークWの形状の情報が検出信号として送出される。
【0038】
図4において、希ガス蛍光ランプ1は、図3に示したものと同様であるので説明を省略する。各外部電極131、132、133、および134と外部電極14間での放電により発光する点灯領域LD1、LD2、LD3、LD4ごとに別個独立の駆動回路71、72、73、74が接続される。また、始動部20についても別の駆動回路70が接続される。
各駆動回路を構成するのは、トランス40、41、42、43および44、インバーター部50、51、52、53、および54である。各駆動回路のインバーター部は点灯制御回路90に接続されており、点灯制御回路90にはDC電源30が接続されている。点灯制御回路90にはワーク検出部91が検出した検出信号が送出される。
【0039】
ワーク検出部91から点灯制御回路90がワークWの検出信号を受け取ると、ワークWの形状に基づいて照射が必要な点灯領域が決定される。
点灯制御回路90は各駆動回路のインバーター部へ点灯信号を送出する。この点灯信号とは、分割された外部電極のすべてに一定期間電圧を印加して発光管全体に放電を生じさせた後、照射が必要な点灯領域に対応する外部電極には給電を続行して、不必要な点灯領域に対応する外部電極にはの給電を停止する点灯信号である。
点灯信号を受け取った各インバーター部は、DC電源30から供給される直流電圧を交流電圧に変換し、この交流電圧は各トランスによって昇圧されて外部電極130、131、132、133、134へ点灯電力として供給される。
【0040】
例えば図3(b)においては、ワーク検出部91により検出したワークの形状に基づいて、点灯制御回路90により、点灯領域LD2、LD3のみから光照射を行うことが決定され、点灯信号が各駆動回路に送出される。
そして、各駆動回路により、点灯始動時に全ての分割された外部電極へ一定期間給電がなされて、一旦放電が生じる。その後分割された外部電極132、133に交流電圧を供給することにより、照射が必要な点灯領域LD2、LD3で発光し、各点灯領域の下方の領域に向けて光が照射される。このとき、照射が不必要な点灯領域LD1、LD4については、給電を停止して点灯を行わない、あるいは、調光により発光量を減ずる。
【0041】
以上により、始動部20の種火放電により低電圧から容易に放電開始することができ、かつ、ワークの形状に合せた選択的な照射を行い、不要な照射を無くして消費電力を節約することができる。
【0042】
図5は、本発明の光照射ユニットを複数の希ガス蛍光ランプより構成した例を示す模式図である。
光照射ユニット100の筐体95には、希ガス蛍光ランプ1、2、3を含め複数の希ガス蛍光ランプが並列に並べられて収容されている。希ガス蛍光ランプは図1に示したものと同様であるから説明を省略し、一部の希ガス蛍光ランプとその構成については符号を付すことを省略する。この図において、正面が希ガス蛍光ランプの光が出射される照射面である。したがって、この場合光は紙面手前側に向かって出射される。
希ガス蛍光ランプ1の分割された外部電極131、同じく希ガス蛍光ランプ2の外部電極231、希ガス蛍光ランプ3の外部電極は、管軸方向では互いに同じ位置に対応し、ランプ、点灯領域どうしが隣接している。
この点灯領域が隣接していることを利用して、外部電極131、231、331を同一の駆動回路71に接続することにより、これらの外部電極が設けられた位置に相当する点灯領域は、一の駆動回路により同一の動作を行う1つの点灯領域LD11とすることができる。
【0043】
また、点灯領域LD11の他にも、希ガス蛍光ランプ1、2、3の各分割された外部電極から点灯領域LD12、LD13、LD14、始動部20が構成され、それぞれ駆動回路71、72、73、74、により点灯される。点灯領域の数は図示した例に限定されることなく、ランプの本数と外部電極の分割数によって適宜設定される。
このように複数の希ガス蛍光ランプを並列配置して、隣接するランプの、管軸方向で同じ位置に対応する、分割された外部電極どうしを合せて1つの点灯領域とすれば、調光を行う単位である1つの点灯領域を任意のサイズで構成することができるし、複数のランプによって充分な照射量を確保することができる。
また、始動部20の作用により始動電極が設けられていない領域においても始動時に低電圧から容易に放電開始することができるので、複数のランプが並べられていても、隣接するランプの外部電極と外部電極の間で不所望な放電が生じにくい。
【0044】
筐体95は、例えばアルミニウム、ステンレス等の金属材よりなり、筐体95には、前述の始動部20の種火放電の光を遮蔽する蓋材の役割をする光遮蔽部96が設けられる。光遮蔽部96は、例えば筐体95と同材質の板材である。これにより、始動部20の種火放電の光を遮蔽することができるので、種火放電を放電維持していたとしても光が漏れることがなく、ワークへの光照射に影響することがない。
【0045】
なお、このように隣接する複数のランプの、管軸方向で同じ位置に対応する、分割された外部電極に一の駆動回路を接続する場合でも、動作が同じであるから、管軸方向に分割された外部電極ごとに別個独立に駆動回路を接続するものと同じである。
【0046】
図6は本発明の光照射ユニット100について、希ガス蛍光ランプ1の管軸方向に直交する面で切断した断面図である。箱状の筐体95が下方に向けて開口しており、複数の希ガス蛍光ランプ1が並列配置されて収容されている。この図において光出射方向は矢印で示したとおり、筐体が開口する紙面下方となる。この光出射方向に各希ガス蛍光ランプの光出射部は揃えて配置される。したがって、この場合は光照射ユニット100の下方にワークWが位置することとなる。
筐体95の内部には、希ガス蛍光ランプの光を反射するための反射ミラー97が設けられる。筐体95の上側外部には駆動回路70、71、72等が配置される。
【0047】
この希ガス蛍光ランプ1の断面は、図1(c)に示した希ガス蛍光ランプ1の断面と同様の断面である。希ガス蛍光ランプ1から出射される光は、外部電極131と14の間から上下に出射されることとなる。下方に向かう光はそのままワークWに照射され、上方に向かう光は反射ミラー97で反射されてワークWに照射されるよう有効利用される。
【0048】
ワークWが搬送される場合は、例えばローラーコンベアなどの不図示の搬送機構により、矢印の方向に搬送される。ワークWが搬送されていない場合は、消灯することもできる。
この図のように、複数のワークWが、順次、光照射ユニット100の下方を通過する場合には、ワークWに応じて適時、照射が必要な点灯領域を変更することにより、適切な照射を行うことができる。
例えば、不図示のワーク検出部が先にワークの形状について検出し、先に搬送されてくるワークの形状に合せた照射を行った後、次のワークが搬送されてくるまでの間消灯して、再び点灯始動し、後に搬送されてくるワークの形状に合せた照射を行う、ということもできる。このときのワークWの検出は、搬送方向の上流側に設けられた前述のワーク検出部によって行われる。
点灯領域の変更は、ワークWの種類や搬送速度によっては速やかに行われなければならないので、始動部によって点灯始動が容易である点は有利である。
【0049】
なお、本発明の用途はワークを搬送する場合に限られず、光照射ユニット100自体を稼動させたり、搬送された後、静止したワークに光を照射するバッチ処理などにおいても利用することが出来る。
【符号の説明】
【0050】
1 希ガス蛍光ランプ
11 発光管
12 蛍光体層
130 外部電極
131 外部電極
132 外部電極
133 外部電極
134 外部電極
12 蛍光体層
14 外部電極
15 保護膜
20 始動部
21 始動電極
22 発光部
30 DC電源
40 トランス
41 トランス
42 トランス
43 トランス
44 トランス
50 インバーター部
51 インバーター部
52 インバーター部
53 インバーター部
54 インバーター部
70 駆動回路
71 駆動回路
72 駆動回路
73 駆動回路
74 駆動回路
8 希ガス蛍光ランプ
81 発光管
82 蛍光体層
83 外部電極
84 外部電極
85 保護膜
80 ロングアークランプ
800 光照射器
90 点灯制御回路
91 ワーク検出部
95 筐体
96 光遮蔽部
97 反射ミラー
98 ランプハウス
LD1 点灯領域
LD11 点灯領域
ID 種火放電
S 放電空間
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光管の内面に蛍光体が塗布され、外部に管軸に沿って配置された一対の外部電極を有する希ガス蛍光ランプと、当該希ガス蛍光ランプを点灯する駆動回路と、当該希ガス蛍光ランプを収容する筐体と、反射ミラーを備え、ワークに対して光を照射する光照射ユニットにおいて、
前記希ガス蛍光ランプの外部電極の少なくとも一方の電極は管軸方向に離間するよう分割され、
その分割された外部電極ごとに別個独立に接続された複数の駆動回路と、
当該希ガス蛍光ランプの少なくとも一端に位置する外部電極が形成された管壁の内面に形成された始動電極と、
当該駆動回路に点灯信号を送出する点灯制御回路とを備え、
前記点灯制御回路は、当該分割された外部電極ごとに電圧を印加する、点灯信号を各駆動回路に送出することを特徴とする光照射ユニット。
【請求項2】
前記点灯制御回路は、点灯始動時に当該分割された外部電極のすべてに一定期間電圧を印加した後、照射が必要な点灯領域に対応する外部電極へ給電して、不必要な点灯領域に対応する外部電極への給電を停止する、点灯信号を各駆動回路へ送出することを特徴とする請求項1に記載の光照射ユニット。
【請求項3】
前記光照射ユニットは、前記ワークの形状を検出するワーク検出部を備え、
前記点灯制御回路は、当該ワーク検出部から送出される検出信号に基づいて照射が必要な点灯領域を決定し、前記駆動回路へ点灯信号を送出することを特徴とする請求項2に記載の光照射ユニット。
【請求項4】
前記光照射ユニットは、搬送される前記ワークに対して、搬送と同時に光を照射することを特徴とする請求項3記載の光照射ユニット。
【請求項5】
前記光照射ユニットは、複数の前記希ガス蛍光ランプを並列配置して備えることを特徴とする請求項1ないし4に記載の光照射ユニット。
【請求項6】
前記筐体には始動部の光がワークに対して漏れないよう遮蔽する光遮蔽部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5に記載の光照射ユニット。
【請求項7】
前記点灯制御回路が、点灯始動時に一定期間印加する電圧は、同位相の電圧であることを特徴とする請求項2に記載の光照射ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−179240(P2010−179240A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24961(P2009−24961)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】