説明

光照射美容器具

【課題】熱的障害を招くことがない光照射美容を行う。
【解決手段】肌の美容のための光を皮膚に対して照射する光源部2と、光源部2からの光が照射される皮膚の温度を検出する皮膚温度検知手段3と、皮膚温度検知手段で得られた皮膚温度データに基づいて光源部の光出力を制御する制御手段4とを備える。光照射による皮膚温度変化に応じて光照射が制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌の美容のために肌に対して光を照射する光照射美容器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を照射することで肌の美容を図る光照射美容器具には、照射する光としてレーザー光を用いるもの、低出力の非コヒーレント光を用いるもの等、各種存在しているが、この光照射に際し、皮膚の色を検出して肌の色に応じて光照射時間を制御するもの(特許文献1)があるとともに、皮膚表面の電磁波に対応するインレット信号によって光照射をフィードバック制御するもの(特許文献2)がある。
【0003】
しかし、前者においては光照射中の皮膚の状態変化に応じた光照射制御を行うことができないという問題を有している。また、後者においてはフィードバック制御がなされるとはいえ、皮膚の熱的障害については考えられていない。
【特許文献1】特開平5−146517号公報
【特許文献2】特開平9−285520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、熱的障害を招くことがない光照射美容を行うことができる光照射美容器具を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係る光照射美容器具は、肌の美容のための光を皮膚に対して照射する光源部と、光源部からの光が照射される皮膚の温度を検出する皮膚温度検知手段と、皮膚温度検知手段で得られた皮膚温度データに基づいて光源部の光出力を制御する制御手段とを備えていることに特徴を有している。光照射による皮膚温度変化に応じて光照射が制御されるものである。
【0006】
上記制御手段には、光源部から出力する光出力をデューティ制御するものを好適に用いることができる。
【0007】
また制御手段は、検出された皮膚温度と光照射時間との積算値が所定値に達したならば光出力を低減乃至停止させるものが好ましい。
【0008】
環境温度を測定する環境温度検知手段を備えて、制御手段は皮膚温度検知手段の出力と環境温度検知手段の出力とから皮膚温度検知手段が皮膚に接触しているか否かを判断して接触していないと判断された時に光源部からの光出力を停止させるものであってもよい。
【0009】
皮膚温度検知手段は皮膚温度を非接触で測定する非接触式のものを用いてもよく、更には皮膚を冷却する皮膚冷却手段を備えたものとするのも好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、光照射による皮膚温度変化に応じて光照射が制御されるために、光照射による熱障害が皮膚に生じてしまうことを避けることができて、光照射による美容効果を安全に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明すると、図1は手持ち式の光照射美容器具を示しており、手で持つことができるサイズに形成されているハウジング1の一端側には光源部2と皮膚温度検知手段である温度センサ3とが配設され、ハウジング1内には上記光源部2からの光出力を制御する制御部4と、報知部5とが配設されている。
【0012】
上記光源部2は、光源20と、その光照射用開口部に配した光透過性材からなるカバー21とからなるもので、このカバー21には、集光や光拡散といったレンズの機能や波長カットの機能をもたせたものを用いることができる。上記光源20としてはどのようなものを用いるものであってもよいが、ここでは低出力の非コヒーレント光を出力するものを用いている。
【0013】
また、上記温度センサ3は、上記光照射用開口部の周縁に配置されて光照射用開口部(カバー21)を皮膚に接触させた時に同時に皮膚に接触して皮膚の温度を検出するもので、図2に示すように、熱電対からなるセンサ部30とこのセンサ30を付勢するばね31とからなり、皮膚に押し当てた時、センサ部30と皮膚との接触圧がほぼ一定に保たれる。
【0014】
光を照射したい部分の皮膚に光照射用開口部を押し当ててスイッチを投入すれば、光源部2の光源20が点灯して皮膚に対する光照射を開始すると同時に、温度センサ3によって皮膚温度を測定し、測定された皮膚温度が例えば50℃以上であれば、制御部4は光出力を低下させ、55℃以上であれば光出力を停止させる。
【0015】
また制御部は、上記のような光出力制御に際し、上記報知部5(たとえばスピーカや報知ランプ)を作動させることで、光照射出力を変化させていることを使用者に対して報知する。
【0016】
照射完了時は再びスイッチを操作することで、制御部4を介して光源部2や温度センサ3の動作を停止させる。制御部4にタイマー機能を搭載して、使用開始から例えば20分間で自動的に照射を停止させるようにしても良い。
【0017】
皮膚温度検知は10秒間隔で行えばよいが、図3に示すように、環境温度を検出する温度センサ8を設けるとともに、皮膚温度検知の間隔を少なくとも1秒以下もしくは常時検出するものとし、検出される皮膚温度が環境温度とほぼ同じとなった時には、光照射出力を停止させるようにしてもよい。光照射用開口部が皮膚から離れた場合、光が漏れ出ることになるとともに、この光で目を痛めることがあるが、この時には光照射が停止されるために、安全性が増すものであり、また、別途安全装置のセンサを追加しなくても誤照射の危険を防ぐことができる。
【0018】
また、上記制御部4は、皮膚温度と照射時間とを積算して予め設定された積算値を越えると光照射出力を低減するものであってもよい。圧迫などによって皮膚血流が滞り、この状態で皮膚温度が45℃を超えた状態が係属すると低温火傷の危険が生じるが、上記積算値による制御を行うことで、熱の蓄積を検出することができて、低温火傷の発生を防ぐことができる。
【0019】
ところで光照射出力の制御にあたっては、光源部20に流す電流値を制限したりすることで光出力を低下させるのではなく、図4に示すようにデューティ比制御で行うことが好ましい。例えば100%の出力で照射していた光照射強度を半減させる場合、点灯10msec、消灯10msecを繰り返すデューティ比50%のパルス点灯により行うのである。光照射中に、光の照射が中断したり、光の照射強度があからさまに低下すると使用者のとしては美容施術を継続する意欲が低減してしまうが、短い周期のパルス点灯では、目の残像現象により連続点灯しているように認識されるためであり、使用者に認識されることなく光照射強度低下を行うことができる。
【0020】
皮膚温度検出手段としては、皮膚に対して非接触で検出することができるもの、例えば赤外線放射センサを用いてもよい。図5はこのような非接触式温度センサ3を用いた光照射美容器具の一例を示しており、図中9は人体を示している。机上などに置いた状態で用いられる本体部10に対して光源部2は可動式アーム11でその光照射方向が可変となっていて、使用者は任意の姿勢で光源部2からの光照射を顔面等の皮膚に受けることができる。なお、上記温度センサ3は光源部2の表面に配設されている。可動式アーム11を介さずに本体部10に対して光源部2を角度調整自在に取り付けたものであってもよい。
【0021】
図6に示すものは、前記図1に示したものにおいて、皮膚を冷却するための冷却手段6を光照射用開口部の付近に設けたものを示している。皮膚の高温状態が検知された場合、冷却手段7によって皮膚を冷却することができるために、光照射の停止や光照射出力を低減したりしなくても、皮膚の熱障害を防ぐことができる。なお、皮膚に接触して皮膚を冷却する冷却手段6としては、ペルチェモジュールを用いることができる。
【0022】
皮膚の冷却は、送風によって行ってもよい。図7は図5に示したものにおける光源部2の両脇に送風用ファン61を配したものを示しており、図8は図1に示したものに送風ファン61と排気路62とを設けたものを示している。
【0023】
さらに皮膚の冷却は、ミストを皮膚に供給することで行ってもよい。図9は図5に示したものにおける光源部2の両脇にミスト発生手段62を配したものを、図10は図1に示したものにミスト発生手段62を配したものを示している。このミスト発生手段62としては、ベンリュリー効果によって吸い上げた水をミスト状にして吐出するもの、ボイラーを備えてスチームミストを吐出するもの、放電によって水をミスト化して吐出するもの、超音波を用いてミストを生成するもの等、どのようなものでもよい。この場合、皮膚の冷却に加えて、皮膚に水分を供給することができるために、皮膚の乾燥を防ぐことができる。
【0024】
このような皮膚冷却動作は、前記制御部4は前記報知部5をまず作動させて、使用者に対してこれから皮膚冷却動作を行うことを報知するようにしておくのが好ましい。使用者にしてみれば、冷却動作に驚くことがなくなる上に、故障と混同してしまうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態の一例の概略断面図である。
【図2】同上の温度センサを示す断面図である。
【図3】他例の概略断面図である。
【図4】光照射出力のデューティ制御の説明図である。
【図5】他の実施例を示すもので、(a)は光源部の斜視図、(b)(c)は側面図である。
【図6】別の例の概略断面図である。
【図7】更に別の例を示すもので、(a)は光源部の斜視図、(b)は側面図である。
【図8】他の例の概略断面図である。
【図9】更に他の例を示すもので、(a)は光源部の斜視図、(b)は側面図である。
【図10】別の例の概略断面図である。
【符号の説明】
【0026】
2 光源部
3 温度センサ
4 制御部
5 報知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌の美容のための光を皮膚に対して照射する光源部と、光源部からの光が照射される皮膚の温度を検出する皮膚温度検知手段と、皮膚温度検知手段で得られた皮膚温度データに基づいて光源部の光出力を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする光照射美容器具。
【請求項2】
制御手段は光源部から出力する光出力をデューティ制御するものであることを特徴とする請求項1記載の光照射美容器具。
【請求項3】
制御手段は、検出された皮膚温度と光照射時間との積算値が所定値に達したならば光出力を低減乃至停止させるものであることを特徴とする請求項1または2記載の光照射美容器具。
【請求項4】
環境温度を測定する環境温度検知手段を備えており、制御手段は皮膚温度検知手段の出力と環境温度検知手段の出力とから皮膚温度検知手段が皮膚に接触しているか否かを判断して接触していないと判断された時に光源部からの光出力を停止させるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光照射美容器具。
【請求項5】
皮膚温度検知手段は皮膚温度を非接触で測定する非接触式のものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光照射美容器具。
【請求項6】
皮膚を冷却する皮膚冷却手段を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光照射美容器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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