説明

光照射装置

【課題】 光軸方向に大型化させることなく、少ないエネルギーロスで、被照射部に高照度な光を照射することのできる光照射装置を提供する。
【解決手段】 LED20の出射平面20aに片凸レンズ7の入射平面7aを密着して固着させることにより、LED20から広角に出射する光を、片凸レンズ7に漏れなく入射させる。そして、LED20から入射した光を片凸レンズ7によって所定の狭角に絞り込むことにより、光照射装置1を光軸方向に大型化させることなく、少ないエネルギーロスで、被照射部に高照度の光を照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面実装型の発光ダイオードを光源とする光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、紫外線硬化樹脂や接着剤等からなる被照射部に紫外線を照射するための紫外線照射装置等のように、特に、工業分野等で使用される光照射装置では、被照射部に高照度の光を照射する必要があり、このためには、光源から放射線状に出射する光を例えば略平行な光束に集光する必要がある。このような出射光の平行光等への変換は、例えば、特許文献1に開示されているように、レンズ光学系にコリメーションレンズ等を用いることで実現が可能である。
【0003】
ところで、近年においては、比較的小型で高出力な表面実装型の発光ダイオード(LED)が広く普及しており、このLEDを光照射装置の光源として好適に利用することが期待されている。
【特許文献1】特開2003−107124公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般に、表面実装型のLEDから出射する光の出射角は160°〜180°程度と極めて広角であり、このように広角な出射光をコリメーションレンズで略平行光に変換するためには、LEDの出射平面からコリメーションレンズまでの光軸方向の距離を長く設定する必要がある。
【0005】
その一方で、LEDの出射平面からコリメーションレンズまでの距離を長く設定した場合、特に出射角が広角な表面実装型のLEDを用いた光照射装置においては、LEDから出射する光の利用効率が低下する。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、光軸方向に大型化させることなく、少ないエネルギーロスで、被照射部に高照度な光を照射することのできる光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、表面実装型の発光ダイオードと、前記発光ダイオードの出射平面に入射平面が密着して固着する片凸レンズと、前記片凸レンズからの出射光が入射するレンズ光学系と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の光照射装置によれば、光軸方向に大型化させることなく、少ないエネルギーロスで、被照射部に高照度な光を照射することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図1は本発明の第1の形態に係わり、図1は光照射装置の要部断面図である。
【0010】
図1において、符号1は、光照射装置の一例としての紫外線照射装置を示す。この紫外線照射装置1は、照射対象に対して紫外線をスポット照射するもので、例えば、略円筒形状をなす鏡筒2内に、レンズ光学系15とともに、表面実装型(チップ型)の紫外線発光ダイオード(UV−LED:以下、単にLEDと称す)20を光源として内蔵する。
【0011】
具体的に説明すると、本形態において、鏡筒2は、その内周の基部側に、段付の雌ネジ部3を有する。この雌ネジ部3には、外周に雄ネジ部5を有するリング部材4が螺合するようになっており、鏡筒2は、雌ネジ部3の先端に形成した段部3aによって、LED20を実装した回路基板6を、リング部材4との間に挟持する。
【0012】
また、回路基板6に実装されて鏡筒2内に臨まされたLED20の出射平面20aには、例えば透光性を有する接着剤等を介して、片凸レンズ7の入射平面7aが密着して固着している。そして、片凸レンズ7は、入射平面7aがLED20の出射平面20aに密着することにより、LED20から広角(例えば、160°程度、図1中の2点鎖線参照)に出射する光を漏れなく入射し、所定の狭角(例えば、30°程度)に絞り込んで出射する。
【0013】
また、鏡筒2は、その内周の先端側に、内向フランジ8を有し、さらに、この内向フランジ8よりも先端寄りに、雌ネジ部9を有する。この雌ネジ部9には、外周に雄ネジ部10aを有するリング部材10が螺合するようになっており、鏡筒2は、内向フランジ8によって、レンズ光学系15をリング部材10との間に挟持する。ここで、本形態において、レンズ光学系15は、例えば、単一のコリメーションレンズで構成されており、片凸レンズ7から入射する光を平行光に変換して出射する。
【0014】
このような形態によれば、LED20の出射平面20aに片凸レンズ7の入射平面7aを密着して固着させる構成により、LED20から広角に出射する光を、片凸レンズ7に漏れなく入射させることができる。そして、LED20から入射した光を片凸レンズ7によって所定の狭角に絞り込んで出射することにより、光照射装置1を光軸方向に大型化させることなく、少ないエネルギーロスで、被照射部に高照度の光を照射することができる。
【0015】
すなわち、LED20の出射平面20aに密着した片凸レンズ7の作用によって、出射角を狭角に絞り込んだ光をレンズ光学系15に入射させることができるので、LED20からレンズ光学系15までの光路長を長く設定することなく、レンズ光学系15の機能(本形態においてはコリメーションレンズの機能)を十分に発揮させることができる。
【0016】
また、LED20からレンズ光学系15までの光路長を短く設定できるので、LED20からレンズ光学系15に入射する光のエネルギーロスを低減でき、LED20からの出射光の利用効率を向上することができる。
【0017】
次に、図2乃至図5は本発明の第2の形態に係わり、図2は光照射装置を出射側から見た平面図、図3は図2のI−I断面図、図4は図3の変形例を示す要部断面図、図5は図3の変形例を示す要部断面図である。ここで、本形態は、上述の第1の形態で示した光照射装置1を光照射モジュール52として複数個用い、各光照射モジュール52から出射する光束によって全体として1つの光束を形成し、照射対象を照射する光照射装置50を示すものである。なお、上述の第1の形態と同様の構成については、同符号を付して説明を省略する。
【0018】
図2,3に示すように、本形態において、光照射装置50は、例えば略円筒形状をなす筐体51を有する。この筐体51は、内部に複数(例えば、4個)の光照射モジュール52を収容保持し、所定の照射距離において、各光照射モジュール52から出射する光を互いに重畳させる。
【0019】
具体的に説明すると、図3に示すように、本形態において、筐体51は、その内周の中途に、内向フランジ55を有し、さらに、内向フランジ55よりも基端側に、雌ネジ部56を有する。この雌ネジ部56には、外周に雄ネジ部58を有するリング部材57が螺合するようになっており、筐体51は、内向フランジ55によって、各光照射モジュール52を一体的に保持するホルダ59を、リング部材57との間に挟持する。
【0020】
図2,3に示すように、ホルダ59は、例えば回転部分円弧形状をなす曲板で構成されており、このホルダ59の曲面上には、各光照射モジュール52を保持するための保持穴60が等間隔毎に開口している。そして、各保持穴60に光照射モジュール52がそれぞれ嵌入することにより、ホルダ59は、各光照射モジュール52をそれぞれ内方に所定角度傾斜させた状態で筐体51内に保持する。
【0021】
これにより、各光照射モジュール52から出射する光束は、予め設定した照射距離において、互いに重畳する。なお、各光照射モジュール52からの出射光を互いに重畳させるための距離(照射距離)は、光照射装置50の用途等に応じて、ホルダ59の曲率や各保持穴60の開口位置を変更することにより、適宜、調整が可能である。
【0022】
このような構成によれば、上述の第1の形態で得られる効果に加え、片凸レンズ7を固着したLED20を光源として内蔵した光照射モジュール52を複数用いることにより、より高照度の光を被照射部に照射することができるという効果を奏する。
【0023】
ここで、図4に示すように、本形態において、光照射装置50は、各光照射モジュール52から出射する光束の光路を互いに一致する方向に変換するための光学部材65を筐体51の先端部に設けることにより、任意の照射距離に配設された被照射部に対して、高照度の光を照射することが可能である。この場合、図示のように、光学部材65としては、例えば、断面略菱形形状のプリズムを好適に用いることが可能である。また、光学部材65の筐体51への保持は、例えば、外周に雄ネジ部73を有するリング部材72を螺合する有段の雌ネジ部70を筐体51の先端部に設け、雌ネジ部70の基端部側に形成した段部71によって、リング部材72との間に光学部材65を挟持することにより、実現が可能である。
【0024】
また、図5に示すように、本形態において、光照射装置50は、各光照射モジュール52から出射する光束の方向を互いに一致させるための凹レンズ66を筐体51の先端部に設けることにより、任意の照射距離に配設された被照射部に対して、高照度の光を照射することが可能である。この場合、図示のように、光照射モジュール52に用いるレンズ光学系15としては、コリメーションレンズに代えて、片凸レンズ7から入射する光を所定の焦点距離で集光させるコンデンサレンズ等を好適に用いることが可能である。また、凹レンズ66の筐体51への保持は、上述の光学部材65の保持と同様、例えば、外周に雄ネジ部73を有するリング部材72を螺合する有段の雌ネジ部70を筐体51の先端部に設け、雌ネジ部70の基端部側に形成した段部71によって、リング部材72との間に凹レンズ66を挟持することにより、実現が可能である。
【0025】
なお、上述の各形態において、レンズ光学系15を単一のコリメーションレンズ(或いは、コンデンサレンズ)で構成した一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数のレンズによってレンズ光学系15を構成しても良いことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の形態に係わり、光照射装置の要部断面図
【図2】本発明の第2の形態に係わり、光照射装置を出射側から見た平面図
【図3】同上、図2のI−I断面図
【図4】同上、図3の変形例を示す要部断面図
【図5】同上、図3の変形例を示す要部断面図
【符号の説明】
【0027】
1…光照射装置、7…片凸レンズ、7a…入射平面、15…レンズ光学系、20…LED(表面実装型の発光ダイオード)、20a…出射平面、50…光照射装置
代理人 弁理士 伊 藤 進

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面実装型の発光ダイオードと、
前記発光ダイオードの出射平面に入射平面が密着して固着する片凸レンズと、
前記片凸レンズからの出射光が入射するレンズ光学系と、
を具備したことを特徴とする光照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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