説明

光照射装置

【課題】 太陽電池パネルの耐侯試験装置の光源として有用な新規な構造を有する光照射装置を提供すること。
【解決手段】 この光照射装置は、互いに平行に延びる姿勢で配置された複数の外部電極型の希ガス放電ランプと、前記希ガス放電ランプの軸方向における一端に形成された給電部に電気的に接続される、当該希ガス放電ランプの各々に対応する複数のインバータとを具えており、複数のインバータは、希ガス放電ランプが並ぶランプ配置面に垂直な方向の離間距離が互いに異なる複数のレベル位置において、インバータが配置されるレベル位置がランプ配置面より遠くなるに従って希ガス放電ランプの軸方向における給電部が形成された端部側に位置されるよう、希ガス放電ランプの軸方向に変位した状態で配置された構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、太陽電池用パネルの耐侯試験装置に用いられる光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、地球環境の保全の観点から、化石燃料消費をあまり伴わないクリーンなエネルギーが求められている。これらの中でも、無尽蔵とも言える太陽エネルギーを利用できる太陽電池が着目されており、太陽光発電システムなどの導入、開発が行われている。太陽電池の寿命特性は、太陽から放射される紫外線による影響が最も大きく、日光照射によって物理的、化学的な劣化が生じ、それに伴って、太陽電池の性能や機能が劣化する。従って、例えば日光照射による劣化の状況を使用条件ごとに予め知っておくことなどは、製品設計上、非常に重要な要素となり、例えば故意に紫外線を照射させて耐侯特性を測定するための耐侯試験装置などが提案されている。
【0003】
このような耐侯試験装置においては、例えば太陽から放射される紫外線量の5倍以上の紫外線を太陽電池に故意に放射させるといった過酷な条件下に太陽電池を晒すことにより意図的に劣化を進めて製品寿命を検証する加速試験を行うものとして利用されており、紫外線源としては、スペクトル分布や放射照度の点で優れていることから、例えばメタルハライドランプなどが好適に用いられている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−241487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、メタルハライドランプは発熱量が大きいだけでなく、放射光量の変動性、瞬時点灯の困難性、寸法的に大型であるなど多々問題を有する。また、メタルハライドランプは、ランプ自体の寿命が短く、頻繁にランプ交換をしなければならない。
そこで、本発明者らは、紫外域において太陽光に似たスペクトル分布を有するものであって、メタルハライドランプと比べて、発熱量が小さく、放射光量の変動性も小さく、また瞬時点灯も可能であり、さらには寸法的にも小型であるなどの特長を有する外部電極型希ガス放電ランプに注目した。希ガス放電ランプは、例えば殺菌装置、原稿照明装置、バックライトなどの光源といった種々の用途において広く用いられているが、太陽電池用パネルの耐侯試験装置の光源として用いること、特に、大面積の太陽電池に対応するために複数本の希ガス放電ランプを並べて用いることは、従来においては知られていない。
【0006】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、太陽電池パネルの耐侯試験装置の光源として有用な新規な構造を有する光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光照射装置は、互いに平行に延びる姿勢で配置された複数の外部電極型の希ガス放電ランプと、前記希ガス放電ランプの軸方向における一端に形成された給電部に電気的に接続される、当該希ガス放電ランプの各々に対応する複数のインバータとを具えており、
前記複数のインバータは、前記希ガス放電ランプが並ぶランプ配置面に垂直な方向の離間距離が互いに異なる複数のレベル位置において、前記インバータが配置されるレベル位置がランプ配置面より遠くなるに従って前記希ガス放電ランプの軸方向における給電部が形成された端部側に位置されるよう、前記希ガス放電ランプの軸方向に変位した状態で配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の光照射装置においては、一のレベル位置において、2つのインバータが前記希ガス放電ランプの軸方向に互いに離間して配置されており、
各レベル位置において希ガス放電ランプの軸方向における同一側に位置されるインバータが、それぞれ対応する前記希ガス放電ランプの軸方向における同一側の端部に接続されて給電部が形成された構成とされていることが好ましい。
【0009】
また、本発明の光照射装置においては、前記2つのインバータの間の領域には、前記ランプ配置面に垂直な方向に伸びる冷却風路が形成された構成とされていることが好ましい。
【0010】
本発明の光照射装置は、太陽電池用パネル用耐侯試験装置に用いられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光照射装置によれば、複数のインバータがいわば階層構造で配置されているので、光照射装置が大型化することを回避することができ、しかも、インバータが位置されるレベル位置がランプ配置面より遠くなるに従って、対応する希ガス放電ランプにおける給電部が形成された端部側に位置されるよう、希ガス放電ランプの軸方向に変位した状態で配置された構成とされていることにより、各々の希ガス放電ランプについて、希ガス放電ランプとインバータとを接続する給電線の長さの差を可及的に小さくすることができるので、給電線の長さによる電圧降下の影響によって紫外線放射効率のバラツキが生ずることを防止すること、あるいは紫外線放射効率のバラツキを小さく抑制することができ、紫外線を所期の放射分布で放射することができる。
また、希ガス放電ランプが、発光管の内部空間において生ずる所定の波長域の紫外線(真空紫外線)の作用によって蛍光体層を発光させる構成のものであることにより、余分な光成分が太陽電池パネルに放射されることがないので、所期の耐候試験を高い信頼性をもって行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る光照射装置の一例における構成の概略を示す、希ガス放電ランプのランプ中心軸に沿った説明用断面図である。
【図2】図1に示す光照射装置を矢印A方向(希ガス放電ランプのランプ中心軸方向)から見たときの説明用断面図である。
【図3】本発明の光照射装置において用いられる希ガス放電ランプの一例における構成の概略を示す図であって、(a)ランプ中心軸に沿った断面図、(b)(a)におけるB−B線断面図である。
【図4】希ガス放電ランプとインバータとの接続状態を示す図である。
【図5】太陽電池パネルの耐候試験装置における、本発明の光照射装置の太陽電池パネルに対する配置例の一例を概略的に示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る光照射装置の一例における構成の概略を示す、希ガス放電ランプが並ぶ方向から見た側面図である。
【図7】図6に示す光照射装置を矢印A方向(希ガス放電ランプのランプ中心軸方向)から見た側面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る光照射装置の一例における構成の概略を示す、希ガス放電ランプが並ぶ方向から見た側面図である。
【図9】図8に示す光照射装置を矢印A方向(希ガス放電ランプのランプ中心軸方向)から見た側面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る光照射装置の他の例における構成の概略を示す、希ガス放電ランプが並ぶ方向から見た側面図である。
【図11】図10に示す光照射装置を矢印A方向(希ガス放電ランプのランプ中心軸方向)から見た側面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る光照射装置の他の例における構成の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光照射装置の一例における構成の概略を示す、希ガス放電ランプのランプ中心軸に沿った説明用断面図、図2は、図1に示す光照射装置を矢印A方向(希ガス放電ランプのランプ中心軸方向)から見たときの説明用断面図である。本発明の光照射装置において用いられる希ガス放電ランプの数は例えば20〜40本であるが、理解を容易にするために、希ガス放電ランプの数を12本として構成されたものを例に挙げて説明する。
この光照射装置10は、複数本(例えば12本)の外部電極型の希ガス放電ランプ(以下、特定のものを説明する場合を除いて、符号「11」が付してある。)が、ランプ中心軸Cが同一平面内に位置されると共に互いに平行に延びる姿勢で、例えば等間隔毎に並んで配置されたランプ収容部15と、希ガス放電ランプ11の各々に対応する複数(例えば12個)のインバータ30およびその他の電装体が収容されて配置されたインバータ収容部20とを具えている。
【0014】
各々の希ガス放電ランプ11は、図3に示すように、両端が封止された直管状のガラス製の発光管12を具えており、この発光管12の内部には、キセノンガスあるいはキセノンガスを主成分とする混合ガスが所定量封入されている。
発光管12を構成するガラス材料としては、例えばバリウムガラス、コバールガラス、タングステンガラス、ソーダ石灰ガラス、ホウ珪酸ガラスなどを用いることができる。
発光管12の外径は、例えば6mm以上15mm以下であり、肉厚は0.3〜0.6mm以下である。特に、発光効率を高くすることができることから、発光管12の外径は9.8〜14mmであることが好ましい。
【0015】
発光管12の内周面には、例えば略全域にわたって蛍光体層13が形成されている。この蛍光体層13は、例えば、酢酸ブチルにニトロセルロースを混合した溶剤に、可視光または紫外光を発光する蛍光体物質を混合した蛍光体スラリーを発光管12の内面に塗布し、焼成することにより形成することができる。蛍光体物質としては、例えば青色発光用のもの、緑色発光用のもの、赤色発光用のものが組み合わされて用いられ、例えば、紫外発光蛍光体としては、LaMgAll119:Ce,Ce−(Mg,Ba)−Al−Oなどを例示することができ、赤色蛍光体としては、(Y,Gd)BO:EuないしはY:Euなどを例示することができ、緑色蛍光体としては、LaPO:Ce,Tbなどを例示することができ、青色蛍光体としては、BaMgAl1017:Euなどを例示することができるが、蛍光体物質はこれらに限定されるものではない。
蛍光体層13の厚さは、例えば10〜25μmであり、用いられる蛍光体物質の組み合わせによって最も明るくなる大きさが選定される。蛍光体層13の厚さは、通常は、13〜17μmが最適である。
蛍光体層13の形成される領域は、発光管12の内周面の略全域である必要はなく、発光管12の内周面の一部に蛍光体層13が形成されていない領域、または、蛍光体層13の厚さが小さい領域が形成されていてもよい。
【0016】
発光管12の外周面には、ランプ中心軸Cを挟んで互いに対向する位置に、各々概略帯状の一対の電極14A,14Bが発光管12の管軸(ランプ中心軸C)に沿って延びるよう設けられており、一方の電極14Aが高圧側電極、他方の電極14Bが低圧側電極として機能する。
各々の電極14A,14Bは、例えばアルミニウム、銅などの金属製テープを帯状に切断したものを発光管12の外周面に貼り付けて構成されたものにより、あるいは、銀ペーストなどの導電性ペースト材料を発光管12の外周面にスクリーン印刷し、焼き付けることにより形成された薄膜により構成されており、例えば銀ペーストの薄膜により構成される場合には、厚みは2〜20μmの範囲内であることが好ましい。
また、各々の電極14A,14Bは、発光管12の内部で生じた発光を放射するためのスリットや開口が形成された構成とすることができる。電極に例えばスリットを形成する技術については、例えば特開平09−298049号公報に開示される。
【0017】
各々の希ガス放電ランプ11は、図4に示すように、各々の電極14A,14Bの一端において接続された給電線18を介してインバータ30に接続されており、このインバータ30は、不図示の電流検出手段によりランプ電流を検出してフィードバック制御する制御部31によって動作状態が制御される。
【0018】
希ガス放電ランプ11の具体的な構成例を示すと、発光管12は、長さ450mm、外径φ10mmであり、発光長は430mm程度である。発光管12の内部に封入されるキセノンガスの量は、10〜40kPaの範囲内、例えば20kPaである。各々の電極14A,14Bの幅は0.2〜4mmの範囲内、例えば3mmである。定格点灯電力が20W程度である。
【0019】
インバータ収容部20には、上述したように、複数の希ガス放電ランプ11の各々に対応する複数のインバータ30およびその他の電装体が収容されて配置されている。
この例におけるインバータ収容部20は、希ガス放電ランプ11が並ぶランプ配置面Sに垂直な方向の離間距離が互いに異なる3つのレベル位置L1,L2,L3の各々において、各々区画された内部空間を有する複数のインバータ収容室(以下、特定のものを説明する場合を除いて、符号「21」が付してある。)が、2つのものが希ガス放電ランプ11の軸方向に離間して並ぶと共に2つのものが希ガス放電ランプ11の並ぶ方向(図2において左右方向)に隙間なく並ぶよう、形成されて構成されている。
【0020】
希ガス放電ランプ11の軸方向に離間して並ぶインバータ収容室21(A〜A),21(B〜B)の間の領域には、上部に例えば送風ファン25により構成された冷却風供給機構が設けられていると共に、各々平板状の複数の冷却風路区画壁26が希ガス放電ランプ11のランプ中心軸Cに垂直な平面に沿って延びるよう所定の間隔で互いに並設されており、これにより、ランプ配置面Sに垂直な方向に延びる各々独立した複数の冷却風路28が形成されている。各々の冷却風路28は、インバータ収容室21を区画する中央側の側壁22Aに形成された導風用通風口23を介して、対応するランプ収容室21の内部空間に連通されている。そして、各々のランプ収容室21における導風用通風口23が形成された側壁22Aと対向する側壁22Bには、冷却風をランプ収容室21から排出するための排風用通風口24が形成されている。図示されてはいないが、各々のランプ収容室21から排出される暖められた冷却風が適宜の熱交換器を介して送風ファン25に導入されるよう循環送風システムが構築された構成とされていてもよい。
【0021】
希ガス放電ランプ11の軸方向における同一側に位置される各レベル位置L1,L2,L3のインバータ収容室21内に配置されるインバータ30の各々は、それぞれ対応する希ガス放電ランプ11の軸方向における同一側の端部に接続されて給電部が形成されている。具体的には、希ガス放電ランプ11の軸方向における一端側(図1において左側)に位置される各レベル位置L1,L2,L3のインバータ収容室21A,21A,21A内に配置されるインバータ30の各々は、一端側に給電線18が接続されており、この給電線18は、希ガス放電ランプ11の軸方向における電極14A,14Bの一端(図1における左端)に接続されて給電部が形成されている。一方、希ガス放電ランプ11の軸方向における他端側(図1において右側)に位置される各レベル位置L1,L2,L3のインバータ収容室21B,21B,21B内に配置されるインバータ30の各々には、他端側に給電線18が接続されており、この給電線18は、希ガス放電ランプ11の軸方向における電極14A,14Bの他端(図1における右端)に接続されて給電部が形成されている。そして、軸方向における一端部に給電部が形成された希ガス放電ランプ11Aと、軸方向における他端部に給電部が形成された希ガス放電ランプ11Bとが1本ごとに交互に位置された状態とされている。
【0022】
各々のインバータ30は、インバータ収容室21が位置されるレベル位置がランプ配置面Sより遠くなるに従って、対応する希ガス放電ランプ11における給電部が形成された端部側に位置されるよう、希ガス放電ランプ11の軸方向に変位した状態で配置されている。具体的には、インバータ収容部20の一端側においては、ランプ配置面Sに対するレベル位置が最も低い下段のインバータ収容室21Aにおいては、導風用通風口23が形成された側壁22Aに近接した位置にインバータ30が配置されており、このインバータ収容室21Aより高いレベル位置に位置される中段のインバータ収容室21A内においては、下段のインバータ収容室21A内のインバータ30より排風用通風口24が形成された側壁22Bに接近するよう、希ガス放電ランプ11の軸方向一端側に変位した位置にインバータ30が配置されており、さらに、このインバータ収容室21Aより高いレベル位置に位置される上段のインバータ収容室21A内のインバータ30は、中段のインバータ収容室21A内のインバータ30より排風用通風口24が形成された側壁22Bに接近するよう、希ガス放電ランプ11の軸方向一端側に変位した位置にインバータ30が配置されている。インバータ収容部20の他端側においても同様に、下段のインバータ収容室21Bにおいては、導風用通風口23が形成された側壁22Aに近接した位置にインバータ30が配置されており、中段のインバータ収容室21B内においては、下段のインバータ収容室21B内のインバータ30より排風用通風口24が形成された側壁22Bに接近するよう、希ガス放電ランプ11の軸方向他端側に変位した位置にインバータ30が配置されており、さらに、上段のインバータ収容室21B内のインバータ30は、中段のインバータ収容室21B内のインバータ30より排風用通風口24が形成された側壁22Bに接近するよう、希ガス放電ランプ11の軸方向他端側に変位した位置にインバータ30が配置されている。
【0023】
上記の光照射装置の具体的な構成例を示すと、上述したように、希ガス放電ランプ11の数は、実際上は、例えば20〜40本であり、一のレベル位置に配置されるインバータ30の数は最大で10個であり、ランプ収容部15内における隣接する希ガス放電ランプ間11の離間距離(ランプ中心軸間の距離)は、例えば30〜60mmである。太陽電池パネル41の表面温度を例えば60℃付近に維持するため、送風ファン25によって供給される冷却風は、温度が例えば30〜50℃であり、流速が例えば0.3〜2m/sec、供給量が例えば4.4〜30m/minである。
【0024】
上記の光照射装置は、太陽電池パネル用耐侯試験装置の光源として用いられ、例えば図5に示すように、複数の希ガス放電ランプ11が並ぶランプ配置面Sがステージ40上に配置される太陽電池パネル41と互いに離間して対向するよう配置される。ここに、太陽電池パネル41の光照射面41Aとランプユニット10におけるランプ配置面Sとの間の離間距離は150〜500mm、例えば300mmである。
【0025】
各々の希ガス放電ランプ11においては、高圧側電極として機能する一方の電極14Aに、例えば高周波電圧がインバータ30を介して供給されると、発光管12を構成するガラス材料(誘電体)を介して発光管12の内部空間で誘電体バリア放電が生じ、誘電体バリア放電によってエキシマ分子が形成され、エキシマ分子から放射される光(キセノンガスの場合172nmの真空紫外光)によって蛍光体層13における蛍光体物質が励起されて例えば太陽光の紫外領域に近似した波長範囲の紫外線が太陽光の例えば最大で5倍程度の紫外線量で太陽電池パネル41に放射される。
一方、送風ファン25が駆動されることより供給される冷却風が冷却風路28を介して各々のインバータ収容室21内に導入されると共にランプ収容部15内に導入され、これにより、各々の希ガス放電ランプ11およびインバータ30が冷却される。
【0026】
このように、太陽電池パネル用耐侯試験装置の光源として用いられる場合には、太陽電池パネル41に対して所定の紫外線量の光を放射するために、多数の希ガス放電ランプ11が必要となると共に希ガス放電ランプ11の各々に対応する複数のインバータ30が必要となる。然るに、上記の光照射装置によれば、インバータ収容部20が、複数のインバータ収容室21がいわば階層構造で形成されて構成されているので、光照射装置が大型化することを回避することができ、しかも、インバータ収容室21が位置されるレベル位置がランプ配置面Sより遠くなるに従って、対応する希ガス放電ランプ11における給電部が形成された端部側に位置されるよう、希ガス放電ランプ11の軸方向に変位した状態で配置された構成とされていることにより、各々の希ガス放電ランプ11について、希ガス放電ランプ11とインバータ30とを接続する給電線18の長さの差を可及的に小さくすることができるので、給電線18の長さによる電圧降下の影響によって紫外線放射効率のバラツキが生ずることを防止すること、あるいは紫外線放射効率のバラツキを小さく抑制することができ、紫外線を所期の放射分布で放射することができる。
【0027】
また、複数の希ガス放電ランプ11の各々に対応して複数のインバータ30が設けられていることにより、例えばインバータ30における高周波トランスの設計が容易になると共に、不点灯になるなど不具合が生じた場合に当該希ガス放電ランプ11の検出を容易に行うことができる。
さらにまた、希ガス放電ランプ11が、発光管12の内部空間において生ずる所定の波長域の紫外線(真空紫外線)の作用によって蛍光体層13を発光させる構成のものであることにより、余分な光成分が太陽電池パネル41に放射されることがないので、所期の耐候試験を高い信頼性をもって行うことができる。
【0028】
〔第2の実施の形態〕
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る光照射装置の一例における構成の概略を示す、希ガス放電ランプが並ぶ方向から見た側面図、図7は、図6に示す光照射装置を矢印A方向(希ガス放電ランプのランプ中心軸方向)から見た側面図である。この例においても、便宜上、希ガス放電ランプ(インバータ)の数を実際のものより少なくした状態で、示されている。
この光照射装置10は、下方に開口する光放射開口51を有する全体が略箱型形状のケーシング50を具えており、このケーシング50内における下方領域に、複数本(この例では16本)の希ガス放電ランプ11が、ランプ中心軸Cが同一平面内に位置されると共に互いに平行に延びる姿勢で、例えば等間隔毎に並んで配置されたランプ収容部15が形成されていると共に、ケーシング50内におけるランプ収容部15の上方領域において、希ガス放電ランプ11の各々に対応する複数(この例では16個)のインバータ(以下、特定のものを説明する場合を除いて、符号「30」が付してある。)が配置されたインバータ収容部20が形成されている。
【0029】
ケーシング50の上部中央位置には、例えば送風ファン25により構成された冷却風供給機構が設けられており、ケーシング50内における送風ファン25の直下の領域には、ランプ収容部15に冷却風を供給するための冷却風路28Aを区画する各々平板状の2つの冷却風路区画壁26Aが、希ガス放電ランプ11のランプ中心軸Cに垂直な平面に沿って延びるよう所定の間隔で互いに並設されており、これにより、互いに独立した、インバータ収容部20に冷却風を供給する送風系と、ランプ収容部15に冷却風を供給する送風系とが形成されている。インバータ収容部20に供給される冷却風は、ケーシング50の両側壁の各々に形成された排風用通風口24を介してケーシング50の外部に排出される。
【0030】
ケーシング50内におけるランプ収容部15とインバータ収容部20との間の位置には、例えばスリットやパンチ穴などが形成された板部材により構成された送風分布調整機構35が設けられており、これにより、各々の希ガス放電ランプ11を供給される冷却風によって略均等に冷却することができる。
【0031】
この例におけるインバータ収容部20においては、各々同一形状の4つの平板状のインバータ固定板32(A,A),32(B,B)が、ランプ収容部15に冷却風を供給する冷却風路28Aの両側の各々に2つずつ冷却風路区画壁26Aと平行に延びるよう所定の間隔で互いに並設されており、ケーシング50における両側壁側に位置されるインバータ固定板32A(32B)は、冷却風路区画壁26A側に位置されるインバータ固定板32A(32B)よりランプ配置面Sの垂直方向上方位置に位置された状態とされている。
【0032】
各々のインバータ固定板32(A,A,B,B)の外面(ケーシング50の側壁方向を向く面)には、それぞれ、複数(この例では4つ)のインバータ30が、ランプ配置面Sに対して互いに同一のレベル位置において、希ガス放電ランプ11の並ぶ方向に離間して並ぶよう、配置されている。そして、ケーシング50の両側壁側に位置されるインバータ固定板32A(32B)に設けられた各々のインバータ30A(30B)は、冷却風路区画壁26A側に位置されるインバータ固定板32A(32B)に設けられた各々のインバータ30A(32B)より高いレベル位置L2(>L1)に位置されている。ここに、一のインバータ固定板32(A,A,B,B)に配置されるインバータ30間の離間距離は、例えば5〜15mmであり、これにより、十分な大きさの絶縁距離が確保される。
【0033】
冷却風路28Aに対して希ガス放電ランプ11の軸方向における同一側に位置される各レベル位置のインバータ30の各々は、それぞれ対応する希ガス放電ランプ11の軸方向における同一側の端部に接続されて給電部が形成されている。具体的には、ランプ収容部15に冷却風を供給する冷却風路28Aの、希ガス放電ランプ11の軸方向における一端側(図6において左側)に位置される各レベル位置のインバータ30(A,A)の各々は、その下端側に接続された給電線18が、希ガス放電ランプ11の軸方向における電極14A,14Bの一端(図6における左端)に接続されて給電部が形成されている。一方、冷却風路28Aの、希ガス放電ランプ11の軸方向における他端側(図6において右側)に位置される各レベル位置のインバータ30(B,B)の各々は、その下端側に接続された給電線18が、希ガス放電ランプ11の軸方向における電極14A,14Bの他端(図6における右端)に接続されて給電部が形成されている。そして、軸方向における一端部に給電部が形成された希ガス放電ランプ11Aと、軸方向における他端部に給電部が形成された希ガス放電ランプ11Bとが1本ごとに交互に位置された状態とされている。
【0034】
この第2の実施の形態に係る光照射装置においても、上記第1の実施の形態に係る光照射装置と同様の効果を得ることができる。
【0035】
〔第3の実施の形態〕
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る光照射装置の一例における構成の概略を示す、希ガス放電ランプが並ぶ方向から見た側面図、図9は、図8に示す光照射装置を矢印A方向(希ガス放電ランプのランプ中心軸方向)から見た側面図である。この例においても、便宜上、希ガス放電ランプ(インバータ)の数を実際のものより少なくした状態で、示されている。
この光照射装置10は、下方に開口する光放射開口51を有する全体が略箱型形状のケーシング50を具えており、このケーシング50内における下方領域に、複数本(この例では16本)の希ガス放電ランプ11が、ランプ中心軸Cが同一平面内に位置されると共に互いに平行に延びる姿勢で、例えば等間隔毎に並んで配置されたランプ収容部15が形成されていると共に、ケーシング50内におけるランプ収容部15の上方領域において、希ガス放電ランプ11の各々に対応する複数(この例では16個)のインバータ30が配置されたインバータ収容部20が形成されている。
【0036】
ケーシング50の上部中央位置には、例えば送風ファン25により構成された冷却風供給機構が設けられており、ケーシング50内における送風ファン25の直下の領域には、ランプ収容部15に冷却風を供給するための冷却風路28Aを区画する各々平板状の2つの冷却風路区画壁26Aが、希ガス放電ランプ11のランプ中心軸Cに垂直な平面に沿って延びるよう所定の間隔で互いに並設されており、これにより、互いに独立した、インバータ収容部20に冷却風を供給する送風系およびランプ収容部15に冷却風を供給する送風系が形成されている。インバータ収容部20に供給される冷却風は、ケーシング50の両側壁の各々に形成された排風用通風口24を介してケーシング50の外部に排出される。
【0037】
ケーシング50内におけるランプ収容部15とインバータ収容部20との間の位置には、例えばスリットやパンチ穴などが形成された板部材により構成された送風分布調整機構35が設けられており、これにより、各々の希ガス放電ランプ11を供給される冷却風によって略均等に冷却することができる。
【0038】
この例におけるインバータ収容部20においては、各々同一形状の4つの平板状のインバータ固定板32(A,A),32(B,B)が、冷却風路28Aの両側に位置される空間部の各々にそれぞれ2つずつ、希ガス放電ランプ11が並ぶランプ配置面Sに垂直な方向の離間距離が互いに異なる2つのレベル位置L1,L2において、ランプ配置面Sに沿って平行に延びるよう設けられており、第2のレベル位置L2に位置されるインバータ固定板32A(32B)は、第1のレベル位置L1に位置されるインバータ固定板32A(32B)より、ケーシング50の側壁に接近するよう希ガス放電ランプ11の軸方向に変位した状態とされている。
【0039】
各々のインバータ固定板32(A,A,B,B)の上面には、それぞれ、複数(この例では4つ)のインバータ30が、希ガス放電ランプ11の並ぶ方向に離間して並ぶよう、配置されており、冷却風路28Aの、希ガス放電ランプ11の軸方向における同一側に位置されるインバータ30の各々は、それぞれ対応する希ガス放電ランプ11の軸方向における同一側の端部に接続されて給電部が形成されている。具体的には、希ガス放電ランプ11の軸方向における一端側(図8において左側)に位置される各レベル位置のインバータ30(A,A)の各々は、一端側に給電線18が接続されており、この給電線18は、希ガス放電ランプ11の軸方向における電極14A,14Bの一端(図8における左端)に接続されて給電部が形成されている。一方、希ガス放電ランプ11の軸方向における他端側(図8において右側)に位置される各レベル位置のインバータ30(B,B)の各々は、他端側に給電線18が接続されており、この給電線18は、希ガス放電ランプ11の軸方向における電極14A,14Bの他端(図8における右端)に接続されて給電部が形成されている。そして、軸方向における一端部に給電部が形成された希ガス放電ランプ11Aと、軸方向における他端部に給電部が形成された希ガス放電ランプ11Bとが1本ごとに交互に位置された状態とされている。
【0040】
インバータ収容部20の一端側においては、第2のレベル位置L2に位置される各々のインバータ30Aは、第1のレベル位置L1に位置される各々のインバータ30Aよりケーシング50の側壁に接近するよう、希ガス放電ランプ11の軸方向一端側に変位した位置に配置されている。同様に、ランプ収容部20の他端側においては、第2のレベル位置L2に位置される各々のインバータ30Bは、第1のレベル位置L1に位置される各々のインバータ30Bよりケーシング50の側壁に接近するよう、希ガス放電ランプ11の軸方向他端側に変位した位置に配置されている。
ここに、一のインバータ固定板32(A,A,B,B)に配置されるインバータ30間の離間距離は、例えば5〜15mmであり、これにより、十分な大きさの絶縁距離が確保される。
【0041】
この第3の実施の形態に係る光照射装置においても、上記第1の実施の形態に係る光照射装置と同様の効果を得ることができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、ランプ収容部15に配置される希ガス放電ランプ11は、ケーシング50の光放射開口51に対するレベル位置が互いに異なる複数のランプ配置面の各々において、複数の希ガス放電ランプ11がランプ中心軸Cが互いに平行に延びるよう配置された構成とされていてもよい。図10および図11は、例えば互いにレベル位置の異なる第1のランプ配置面S1および第2のランプ配置面S2の各々に、それぞれ、12本の希ガス放電ランプ11が例えば等間隔で並設された構成とされたものであって、第1のランプ配置面S1に並ぶ第1の希ガス放電ランプ群11Cは、第2のランプ配置面S2に並ぶ第2の希ガス放電ランプ群11Dに対して、希ガス放電ランプ11の並ぶ方向に相対的に変位した状態とされている。
【0043】
そして、第1の希ガス放電ランプ群11Cの希ガス放電ランプ11には、電極14A,14Bの軸方向における一端側(図10において左側)の端部に給電部が形成されており、ランプ収容部15に冷却風を供給する冷却風路28Aの一端側に位置されるインバータ30(A〜A)の各々が、その一端側に接続された給電線18を介して第1の希ガス放電ランプ群11Cにおける対応する希ガス放電ランプ11における電極14A,14Bの一端部に接続されている。また、第2の希ガス放電ランプ群11Dの希ガス放電ランプ11には、電極14A,14Bの軸方向における他端側(図10において右側)の端部に給電部が形成されており、ランプ収容部15に冷却風を供給する冷却風路28Aの他端側に位置されるインバータ30(B〜B)の各々が、その他端側に接続された給電線18を介して第2の希ガス放電ランプ群11Dにおける対応する希ガス放電ランプ11における電極14A,14Bの他端部に接続されている。
【0044】
図10および図11は、第3の実施の形態に係る光照射装置の構成例を示すものであるが、第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る光照射装置において、複数本の希ガス放電ランプがランプ収容部において上記のように配列された構成とされていてもよい。
【0045】
また、冷却風供給機構としては、図12に示すように、ケーシング50の側壁に形成された導風用通風口23から冷却風を吸引してインバータ収容部20における各インバータ30に供給する吸引ファン25Aにより構成されていてもよい。図12は、第2の実施の形態に係る光照射装置の構成例を示すものであるが、第1の実施の形態および第3の実施の形態に係る光照射装置において、このような吸引ファンによる冷却風供給機構が用いられた構成とされていてもよい。
【0046】
さらにまた、本発明の光照射装置においては、希ガス放電ランプとインバータとを接続する給電線の長さが略一定の大きさとなるよう接続される構成とされていれば、上記の実施の形態のように、給電部が一端部に形成された希ガス放電ランプと、給電部が他端部に形成された希ガス放電ランプとが1本毎に交互に配置されるよう給電線が接続される構成に限定されるものではない。
また、第1の実施の形態に係る光照射装置においては、各レベル位置のインバータが希ガス放電ランプが並ぶ方向に変位した位置に配置された構成とされていてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10 光照射装置
11,11A,11B 希ガス放電ランプ
11C,11D 希ガス放電ランプ群
12 発光管
13 蛍光体層
14A,14B 電極
15 ランプ収容部
18 給電線
20 インバータ収容部
21,21(A〜A),21(B〜B) インバータ収容室
22A,22B 側壁
23 導風用通風口
24 排風用通風口
25 送風ファン
25A 吸引ファン
26,26A 冷却風路区画壁
28,28A,28B 冷却風路
30,30(A,A),30(B,B) インバータ
31 制御部
32(A,A),32(B,B) インバータ固定板
35 送風分布調整機構
40 ステージ
41 太陽電池パネル
41A 光照射面
50 ケーシング
51 光放射開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に延びる姿勢で配置された複数の外部電極型の希ガス放電ランプと、前記希ガス放電ランプの軸方向における一端に形成された給電部に電気的に接続される、当該希ガス放電ランプの各々に対応する複数のインバータとを具えており、
前記複数のインバータは、前記希ガス放電ランプが並ぶランプ配置面に垂直な方向の離間距離が互いに異なる複数のレベル位置において、前記インバータが配置されるレベル位置がランプ配置面より遠くなるに従って前記希ガス放電ランプの軸方向における給電部が形成された端部側に位置されるよう、前記希ガス放電ランプの軸方向に変位した状態で配置されていることを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
一のレベル位置において、2つのインバータが前記希ガス放電ランプの軸方向に互いに離間して配置されており、
各レベル位置において希ガス放電ランプの軸方向における同一側に位置されるインバータが、それぞれ対応する前記希ガス放電ランプの軸方向における同一側の端部に接続されて給電部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。
【請求項3】
前記2つのインバータの間の領域には、前記ランプ配置面に垂直な方向に伸びる冷却風路が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光照射装置。
【請求項4】
太陽電池パネル用耐侯試験装置に用いられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−202928(P2012−202928A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69991(P2011−69991)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】