説明

光照射装置

【課題】 被処理対象物の光照射面における照度の面内均一性の高い光照射処理を行うことのできる光照射装置を提供すること。
【解決手段】 この光照射装置は、長手方向の両端部が筐体によって保持された、長手方向に垂直な断面形状が矩形状の長尺なランプと、当該ランプが内部に挿通された状態で、長手方向の両端部が前記筐体によって保持されて設けられた、内部に冷却風流通路を形成する透光性を有する長尺な筒状の外套管とにより構成された光源エレメントを備えてなり、前記外套管の内部には、前記ランプをその長手方向の局所的な位置において当該外套管に対して直接的に支持させるサポータが設けられており、当該サポータは、前記ランプの4つの稜に係る角部と接して当該ランプを挟持して保持する、絶縁材料からなるサポータ本体を備えており、当該サポータ本体には、前記外套管の内面に当接する、弾性部材を備えた外套管当接部が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル70は、図8に示すように、2枚のガラス板の間に液晶を封入した構造とされており、例えば、一面に、多数のアクティブ素子(例えば薄膜トランジスタ:TFT)72および液晶駆動用電極(透明電極:ITO)73が形成され、さらにその上に配向膜74が形成された第1のガラス板71と、一面に、カラーフィルター76、透明電極77および配向膜78が形成された第2のガラス板75とがスペーサ部材79を介して一面同士が互いに対向するよう配置され、第1のガラス板71および第2のガラス板75の間に液晶層80が形成されて、構成されている。
このような液晶パネル70の製造工程において、紫外線に反応して重合する光反応性物質(モノマー)が含有された液晶を備えた液晶パネル材に対して紫外線を照射することにより、液晶パネル材の反応処理(プレチルト角発現処理,PSVA)を行う技術が知られている(特許文献1参照)。この技術においては、電圧を印加しながら、紫外線を液晶パネル材に照射することで、液晶を特定方向に配向させた状態で光反応性物質を重合させることができ、これにより、液晶にいわゆるプレチルト角を付与することができる、とされている。
【0003】
このような紫外線を利用した液晶パネル材の反応処理(PSVA)においては、液晶における光反応性物質に対して、紫外線を高照度で照射することが必要とされる一方で、液晶における光反応性物質が高い温度に晒されることのないことが求められている。
光反応性物質の反応速度は温度依存性が高く、光照射中の温度が高いと重合が進みすぎてポリマー粒の成長が大きくなりすぎる。すると均一なプレチルト角がつかないためにコントラストが悪くなったり、光漏れするようになってしまう。
さらに、液晶パネル材における光照射面において温度不均一が生じてしまうと、光反応性物質の反応に差(バラツキ)が生じ、液晶の傾き(プレチルト角)にムラを発生させてしまうこととなり、この液晶の傾きのムラは製品時に濃淡ムラとなって現れてしまう。
以上のように、液晶パネルの製造工程において、紫外線を利用した液晶パネル材の反応処理を行うに際しては、(イ)波長300〜400nmの紫外線が液晶パネル材に照射されること、(ロ)液晶パネル材の光照射面における紫外線照度の面内均一性が高いこと、(ハ)液晶パネル材の温度上昇が少なく、液晶パネル材の光照射面における温度の面内均一性が高いこと、が要求されるが、光反応性物質に悪影響を与えることなく、所望の液晶パネル材の反応処理を行うことのできる紫外線照射装置は知られていないのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−177408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、このような紫外線照射装置においては、例えば全長が2500mm以上であるような長尺なエキシマランプが、その点灯時において例えば冷却風により冷却されながら、用いられる。
エキシマランプを冷却する手段としては、例えばエキシマランプが内部に挿通された状態で透光性を有する外套管を設け、外套管の内部に冷却風を流通させることが考えられるが、エキシマランプが長尺なものである場合には、外套管の内部に、例えば流速が20〜30m/secとなる風量といった強力な冷却風を流すことが必要とされる。
しかしながら、このような冷却方法では、外套管の内部で乱流が生じることによってエキシマランプが揺れてしまい、その振動でランプが破損する、という問題が生ずる。
さらにまた、エキシマランプが揺れることにより、エキシマランプから光が照射されるエリアの大きさや位置が変化してしまって、被処理対象物の光照射面における照度均一性が損なわれる、という問題が生じる。
【0006】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、被処理対象物の光照射面における照度の面内均一性の高い光照射処理を行うことのできる光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光照射装置は、長手方向の両端部が筐体によって保持された、長手方向に垂直な断面形状が矩形状の長尺なランプと、当該ランプが内部に挿通された状態で、長手方向の両端部が前記筐体によって保持されて設けられた、内部に冷却風流通路を形成する透光性を有する長尺な筒状の外套管とにより構成された光源エレメントを備えてなり、
前記外套管の内部には、前記ランプをその長手方向の局所的な位置において当該外套管に対して直接的に支持させるサポータが設けられており、
当該サポータは、前記ランプの4つの稜に係る角部と接して当該ランプを挟持して保持する、絶縁材料からなるサポータ本体を備えており、当該サポータ本体には、前記外套管の内面に当接する、弾性部材を備えた外套管当接部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の光照射装置においては、前記ランプは、バルブの長手方向に延びる開口部を有する反射材層が前記バルブの内面に形成されたエキシマランプよりなり、
前記サポータは、前記反射材層の開口部に対向する領域に、当該開口部を介して放射される前記エキシマランプからの放射光を通過させる空間部が形成された構成とされていることが好ましい。
このような構成のものにおいては、前記サポータ本体は、各々全体が略鉤状の2つのアーム部材が連結されて構成されており、当該アーム部材の各々の先端が前記反射材層の開口部に対向する領域外に位置されるよう離間された状態で設けられ、これにより、前記空間部が形成された構成とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の光照射装置によれば、ランプを両端部が筐体に保持された外套管に対して直接的に支持させるサポータが、ランプの4つの稜に係る角部と接してランプを挟持して保持した状態において、外套管の内面に外套管当接部を構成する弾性部材により圧接されて外套管に保持される構成とされていることにより、外套管の内部に流通される冷却風によりランプが上下方向に揺れるその程度が小さくなるよう抑制することができるので、被処理対象物の光照射面における照度の面内均一性の高い光照射処理を行うことができると共に、ランプが振動により破損することを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る紫外線照射装置の一構成例における内部構造の概略を示す説明図である。
【図2】図1に示す紫外線照射装置の一部を拡大して示す断面図である。
【図3】図1に示す紫外線照射装置の光源ユニットにおける光源エレメントの配置例を概略的に示す説明図である。
【図4】本発明に係る紫外線照射装置において用いられるエキシマランプの一例における構成の概略を、ランプの長手方向に垂直な断面で切断した状態で、示す断面図である。
【図5】サポータの一例における構成の概略を示す斜視図である。
【図6】図5に示すサポータの、支持されるエキシマランプの光放射方向反対側から見たときの平面図である。
【図7】エキシマランプの外套管に対する支持構造を示す断面図である。
【図8】液晶パネルの構造の概略を示す説明用断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る紫外線照射装置の一構成例における内部構造の概略を示す説明図、図2は、図1に示す紫外線照射装置の一部を拡大して示す断面図である。
この紫外線照射装置は、大別して、光源部10、冷却部40、ライトガイド部50および電源部(不図示)により構成されている。
【0012】
光源部10は、下方に開口する光照射用開口11Cを有する全体が箱型形状の光源部ハウジング部材11を備えている。
この光源部ハウジング部材11の内部には、断面形状が略H型形状の筐体12が設けられており、筐体12を構成する水平方向に伸びる平板状の隔壁12Aによって光源部ハウジング部材11の内部空間が上下に区画されている。
隔壁12Aによって区画される下方側空間部は、光源ユニット20が配置される光源ユニット配置空間部15とされており、上方側空間部は、光源ユニット20に対応した例えばトランス35などの電装体が配置された電装体配置空間部16とされている。
また、光源部ハウジング部材11内における一端側領域に、筐体12を構成する上下方向に伸びる一端壁13と光源部ハウジング部材11の一端壁11Aとにより区画されて形成された、電装体配置空間部16および光源ユニット配置空間部15のそれぞれに冷却風を導入するための共通の導風用空間部18を有すると共に、光源部ハウジング部材11内における他端側領域に、筐体12を構成する上下方向に伸びる他端壁14と光源部ハウジング部材11の他端壁11Bとにより区画されて形成された共通の排風用空間部19を有している。
筐体12の一端壁13には、冷却風を電装体配置空間部16に導入するための導風用通風口13Aが形成されており、他端壁14には、冷却風を電装体配置空間部16から排出するための排風用通風口14Aが形成されている。
【0013】
光源ユニット20は、図3に示すように、各々、波長300〜400nmに発光ピークを有する光を放射する長尺なエキシマランプ25およびこのエキシマランプ25が内部に挿通された状態でエキシマランプ25に沿って伸びるよう設けられた例えば円筒状の長尺な外套管24により構成された光源エレメント21の複数のものが、例えば、各々のエキシマランプ25の軸中心が同一平面内に位置されると共に互いに平行に伸びる状態で、等間隔毎に並列に配置されて構成されている。
各々の光源エレメント21を構成するエキシマランプ25は、長手方向における両端部がランプホルダー22を介して筐体12の一端壁13および他端壁14に同一の水平レベルで保持固定されており、また、外套管24は、その一端開口24Aが導風用空間部18に位置されると共に他端開口24Bが排風用空間部19に位置された状態で、長手方向における両端部が筐体12の一端壁13および他端壁14に同一の水平レベルで保持固定されている。
【0014】
光源ユニット20を構成するエキシマランプ25は、例えば、液晶パネル材における液晶に含まれる光反応性物質(モノマー)を重合するのに適した波長である300nm〜400nmの紫外光を放射するものである。
図4は、本発明に係る紫外線照射装置において用いられるエキシマランプの一例における構成の概略を、ランプの長手方向に垂直な断面で切断した状態で、示す断面図である。
このエキシマランプ25は、内部に放電空間Sが形成された、長手方向に垂直な断面における断面形状が矩形状の長尺なバルブ26を備えており、このバルブ26の内部には、放電用ガスとして、例えばキセノンガスが封入されている。ここに、バルブ26は、例えば石英ガラスよりなる。
バルブ26における上壁26Aおよび下壁26Bの各々の外表面には、例えば一対のメッシュ状の電極、すなわち、高電圧給電電極として機能する一方の電極27Aおよび接地電極として機能する他方の電極27Bが長手方向に伸びるよう互いに対向して配置されている。
バルブ26の内面には、バルブ26の長手方向に延びる開口部30Aを有する反射材層30が形成されており、さらに、反射材層30の内面領域および反射材層30の開口部30Aが位置されるバルブ26の内面領域にガラス粉末層31が形成され、ガラス粉末層31の内面上に、蛍光体層32が形成されている。このエキシマランプ25においては、反射材層30の開口部30Aがバルブ26の下壁26Bの内面領域に形成されており、反射材層が形成されていない領域により光出射部38が形成されている。
【0015】
反射材層30は、例えば、シリカとアルミナの混合物により構成されている。
また、ガラス粉末層31を構成するガラスとしては、例えば、ホウケイ酸ガラス(Si−B−O系ガラス)およびアルミノケイ酸ガラス(Si−Al−O系ガラス)、バリウムケイ酸ガラス、または、これらいずれかの組成を元にアルカリ土類酸化物やアルカリ酸化物、金属酸化物を添加したガラスなどを例示することができる。
また、蛍光体層32を構成する蛍光体としては、例えばユーロピウム付活ホウ酸ストロンチウム(Sr−B−O:Eu(以下「SBE」と称する。)、中心波長368nm)蛍光体、セリウム付活アルミン酸マグネシウムランタン(La−Mg−Al−O:Ce(以下、「LAM」と称する。)、中心波長338nm(ただし、broad))蛍光体、ガドリニウム、プラセオジム付活リン酸ランタン(La−P−O:Gd,Pr(以下、「LAP:Pr,Gd」と称する。)、中心波長311nm)蛍光体などを例示することができる。
【0016】
外套管24は、例えば300〜400nmの波長域の光を透過する透光性を有する材料、例えば石英ガラスよりなる円筒状のものであって、エキシマランプ25とほぼ同じ長さを有する。
【0017】
冷却部40は、例えば、光源部ハウジング部材11の上部における、箱型形状の冷却部ハウジング部材41を備えており、この冷却部ハウジング部材41の内部には、例えば軸流ファンなどの冷却ファン42と、当該冷却ファン42の上流側において、例えば水冷ラジエータなどの放熱用の熱交換器43とが配置されている。
冷却ファン42は、例えば、各々の光源エレメント21において、外套管24の内部に流通される冷却風の流速が10〜30m/secで、50〜250m3 /minの送風量の冷却風を供給することのできる送風能力を有するものである。
この冷却部ハウジング部材41の内部空間は、冷却部ハウジング部材41の両側の各々に設けられた通風ダクト45を介して光源部10における導風用空間部18および排風用空間部19と連通しており、これにより、冷却ファン42より供給される冷却風が光源部10における導風用空間部18を介して電装体配置空間部16内に導入されると共に各々の光源エレメント21における外套管24内に導入され、排風用空間部19を介して冷却部40における放熱用の熱交換器43に導入される、閉鎖された循環冷却風流通経路を形成する冷却機構が構成されている。
【0018】
ライトガイド部50は、被処理対象物Wに対する紫外線照射量を十分に確保しながら、光源ユニット20と被処理対象物Wとの間に十分な大きさの離間距離を確保するためのいわばスペーサとしての機能も有しており、光源部ハウジング部材11における光照射用開口11Cに対応した大きさを有し、内周面が反射面により形成された、例えば処理空間を区画する矩形枠状のライトガイド部材51が光源部10の下面から下方に伸びるように取り付けられて構成されている。
図1における符号58は、被処理対象物Wである例えば液晶パネル材をライトガイド部50の下側に位置される、載置面が水平とされたステージ、59はステージ架台である。
【0019】
而して、上記の紫外線照射装置の光源ユニット20を構成する光源エレメント21においては、例えば、外套管24の内部におけるエキシマランプ25の長手方向における局所的な位置例えば中央位置に、エキシマランプ25を外套管24に対して直接的に支持させるサポータ60が設けられている。ここに、サポータ60は、エキシマランプ25の両端の各々より長手方向に例えば700mm以上離間した中央部領域内において配置されていればよく、サポータ60の数も一つに限定されない。
【0020】
サポータ60は、例えば、図5および図6に示すように、2つのアーム部材62,63が螺子(図示せず)により連結されてなる、エキシマランプ25を2つのアーム部材62,63により挟持して保持するサポータ本体61を備えている。
一方のアーム部材62は、支持されるエキシマランプ25におけるバルブ26の上壁26Aと対向して延びる基部62Aと、この基部62Aの一端に連続して下方に傾斜して延びる傾斜部62Bと、この傾斜部62Bに連続して下方内方側に向かって延びる先端部62Cとを有する全体が鉤状(フック状)のものであって、傾斜部62Bの内面および先端部62Cの内面に、エキシマランプ25のバルブ26における2つの稜(例えば図4においてバルブ26の左側壁と、上壁26Aおよび下壁26Bとの稜)に係る角部26Cに接する円弧状の対接面を有するランプ当接部64が形成されている。図5に示す符号62Dは、2つのアーム部材62,63を連結させるネジ(図示せず)が装着される連結用ネジ装着用ネジ穴である。
他方のアーム部材63は、支持されるエキシマランプ25におけるバルブ26の上壁26Aと対向して延びる基部63Aと、この基部63Aの一端に連続して下方に傾斜して延びる傾斜部63Bと、この傾斜部63Bに連続して下方内方側に向かって延びる先端部63Cと、基部63Aの他端に連続して当該基部63Aと垂直に上方に延びる連結部63Dとを有する全体が鉤状(フック状)のものであって、傾斜部63Bの内面および先端部63Cの内面に、エキシマランプ25のバルブ26における2つの稜(例えば図4においてバルブ26の右側壁と、上壁26Aおよび下壁26Bとの稜)に係る角部26Cに接する円弧状の対接面を有するランプ当接部64が形成されている。
ここに、ランプ当接部64がエキシマランプ25の角部26Cと接する位置に形成される理由は、バルブ26の角部26Cが比較的に強度が高いこと、および、幅狭な一対の対向壁(例えば図4におけるバルブ26の左側壁および右側壁)に力を作用させると、応力集中によりエキシマランプ25が破損に至るという不具合が生ずるためである。
【0021】
このサポータ60においては、一方のアーム部材62および他方のアーム部材63の各々の先端部62C,63Cの外面、および、他方のアーム部材63の連結部63Dの上面の3ケ所に、外套管24の内面に弾性的に当接する外套管当接部65が形成されている。 外套管当接部65は、サポータ本体61における3ケ所以上の位置に形成されていることが好ましく、これにより、長手方向に垂直な断面における全方向において外套管24によって保持された構成とすることができる。
例えば、他方のアーム部材63の連結部63Dの上面における外套管当接部65の構成について具体的に説明すると、外套管当接部65は、他方のアーム部材63の連結部63Dの上面にネジ止めされて設けられた、例えば金属よりなる側面視略台形状の板バネ66よりなる弾性部材と、この板バネ66の天板部66Aの外面にネジ止めされて固定された緩衝部材68とにより構成され、板バネ66の基板部66Bの各々に形成されたネジ装着用貫通孔の少なくとも一方が長穴66Cとされており、これにより、板バネ66がサポータ本体61に対して長手方向にスライド可能な状態(遊嵌状態)とされている。
一方のアーム部材62の先端部62Cおよび他方のアーム部材63の先端部63Cにおける外套管当接部65の構成についても同様である。
【0022】
サポータ本体61および緩衝部材68を構成する材料としては、例えば耐熱性,耐UV性および電気絶縁性に優れた絶縁性材料が用いられ、このような絶縁性材料としては、例えばPTFEなどのフッ素樹脂材料を例示することができる。
【0023】
サポータ60は、図7に示すように、サポータ本体61の内面における4ケ所のランプ当接部64がそれぞれエキシマランプ25におけるバルブ26の4ケ所の角部26Cと接してバルブ26の一部を受容するようエキシマランプ25を挟持して保持した状態において、3ケ所の外套管当接部65の各々が外套管24の内面に板バネ66のバネ弾性により圧接され、これにより、例えば長手方向に垂直な断面における全方向において外套管24によって保持されている。
すなわち、エキシマランプ25は、サポータ60が装着された状態において、外套管24内に挿入されて配置されるが、エキシマランプ25の挿入時においては、サポータ60の外套管当接部65を構成する板バネ66が緩衝部材68を介して外套管24の内面によって外套管24の軸中心方向に圧縮されながら長穴66Cの作用によって長手方向にスライドされて弾性的に変形され、板バネ66の復元力によって外套管24の内面に圧接されることとなる。
【0024】
サポータ60は、エキシマランプ25における反射材層30の開口部30Aに対向する領域に、当該開口部30A(光出射部38)を介して放射されるエキシマランプ25からの放射光を通過させる空間部が形成された状態、具体的には、エキシマランプ25の長手方向に垂直な断面において、一方のアーム部材62の先端部62Cに形成されたランプ当接部64の対接面の先端縁および他方のアーム部材63の先端部63Cに形成されたランプ当接部64の対接面の先端縁が反射材層30の開口部30Aに対応する領域外に位置されるよう離間されて光の通路が形成された状態で、エキシマランプ25に設けられている。
また、サポータ60は、サポータ本体61の内面、具体的には、2つのアーム部材62,63の基部62A,63Aの内面と一方の電極(高電圧給電電極)27Aが接触しないよう空隙Kが形成された状態で、エキシマランプ25に設けられている。このような構成とされていることにより、例えばスクリーン印刷などで形成された一方の電極27Aがサポータ60の装着時に期せずして作用する力によってはがれてしまうことを確実に回避することができる。
【0025】
上記の紫外線照射装置の一構成例を示すと、エキシマランプ25の全長が2800mm、縦横の寸法が43mm×15mm、ランプ出力が2kWであり、外套管24の全長が2500mm、内径が76mm、肉厚が2.5mmであり、サポータ60の長手方向の寸法(図6における上下方向の寸法)が80mm、幅方向の最大寸法(図6における左右方向の寸法)が75mmである。
光源ユニット20を構成する光源エレメント21の数は、例えば32個であり、隣り合う光源エレメント21の離間距離pは、例えば87mmである。
【0026】
上記の紫外線照射装置の動作について説明する。
この紫外線照射装置においては、平板状の被処理対象物W(例えば液晶パネル材)が搬送ロボット(図示せず)によって搬入されてステージ58上に載置された状態において、エキシマランプ25における一方の電極27Aに、電源部より高周波電圧が電装体配置空間部16に設けられたトランス35によって昇圧されて供給されると、バルブ26を構成する誘電体材料を介して放電空間S内で誘電体バリア放電が生じ、誘電体バリア放電によってエキシマ分子が形成され、エキシマ分子から放射される光(キセノンガスの場合172nmの真空紫外光)によって蛍光体層32を構成する蛍光体が励起されて例えば300〜400nmの紫外線が光出射部38を介して出射、すなわち、バルブ26の下壁26Bを透過すると共に他方の電極27Bの開口を通過して出射される。
一方、冷却ファン42が駆動されることより供給される冷却風が光源部10における導風用空間部18を介してその一部が電装体配置空間部16内に導入されると共に他の全部が各々の光源エレメント21における外套管24内に導入され、これにより、エキシマランプ25および外套管24並びにトランス35などの電装体が冷却され、その後、排風用空間部19を介して熱交換器43に導入されて冷却され、装置外部に排気されることなく、再び、冷却ファン42により冷却風が所定の供給量で供給される。
【0027】
而して、上記構成の紫外線照射装置によれば、基本的には、複数の光源エレメント21が、各々のエキシマランプ25の軸中心が同一の水平面内に位置されると共に互いに平行に伸びる状態で、並列に配置されて光源ユニット20が構成されていることにより、例えば300〜400nmの波長域の紫外線を、被処理対象物Wに対して均一な照度分布で、照射することができることに加え、各々の光源エレメント21においては、外套管24がその内部にエキシマランプ25が挿通された状態で設けられていることにより、外套管24による冷却風導風機能(整風作用)によって、エキシマランプ25のバルブ26を直接的に冷却することができるので、複数のエキシマランプ25がランプ毎に均一に冷却されてエキシマランプ25自体による被処理対象物Wに対する放射熱のバラツキを小さく抑制することができると共に熱線が被処理対象物Wに対して照射されることを抑制することができ、しかも、外套管24それ自体も冷却風により冷却されるので被処理対象物Wに対する放射熱を抑制することができ、従って、被処理対象物Wの温度上昇を少なくすることができると共に被処理対象物Wの面内における高い温度均一性を得ることができる。
しかも、エキシマランプ25を両端部が筐体12に保持された外套管24に対して支持させるサポータ60が、長手方向における中央位置においてエキシマランプ25の4ケ所の角部26Cと接してエキシマランプ25を挟持して保持した状態において、外套管24の内面に板バネ66を含む外套管当接部65を介して圧接されて外套管24に保持された構成とされていることにより、冷却風が外套管24内において乱流が生じるような風量(流速)で外套管24の内部に流通される構成とされた場合であっても、冷却風によりエキシマランプ25が上下方向に揺れるその程度が小さくなるよう抑制することができるので、被処理対象物Wの光照射面における照度の面内均一性の高い光照射処理を行うことができると共に、エキシマランプ25が振動により破損することを回避することができる。
【0028】
さらにまた、上記構成の紫外線照射装置によれば、次のような効果が得られる。すなわち、内周面が反射面により形成された空間よりなるライドガイド部50を具備していることにより、被処理対象物Wに対する紫外線照射量は十分に確保しながら、光源ユニット20と被処理対象物Wとの間の離間距離を大きくすることができるので、光源ユニット20の放射熱による影響を一層確実に抑制することができ、被処理対象物Wの温度上昇を少なくすることができると共に被処理対象物Wの面内における高い温度均一性を得ることができる。
【0029】
さらにまた、エキシマランプ25が用いられ、このエキシマランプ25の放電空間Sにおいて生ずる所定の波長域の紫外線(真空紫外線)がバルブ26の内表面に設けられた蛍光体層32の作用によって300〜400nmの紫外線として放射される構成とされていることにより、余分な光成分が被処理対象物Wに放射されることがないので、被処理対象物Wの温度上昇を確実に少なくすることができる。
【0030】
さらにまた、放熱用の熱交換器43を具備した構成とされていることにより、閉鎖された(密閉系の)循環冷却風流通経路を形成することができ、紫外線照射装置を例えばクリーンルーム内で使用する場合であっても、装置の外部より冷却風を取り入れること、および、装置外部に冷却風を排気する必要がなくなるので、ダクトなどを接続する必要がなく、冷却機構をコンパクトに構成することができる。
また、空冷式であることにより、水冷式のものであれば生ずるおそれのある水漏れ等の問題が生ずることない。
【0031】
以上のように、本発明に係る紫外線照射装置は、被処理対象物の光照射面における照度の面内均一性および温度の面内均一性の高い光照射処理を行うことができるので、例えば、液晶パネルの製造工程における液晶パネル材の反応処理(プレチルト角発現処理)において用いられる紫外線照射装置として好適なものとなる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、本発明の光照射装置においては、サポータに形成される外套管当接部の数および位置は、上記実施例のものに限定されず、また、外套管当接部を構成する弾性部材についても、上記実施例のものに限定されるものではない。
さらにまた、光源ユニットを構成する光源エレメントの個数および配列方法は、上記実施例のものに限定されず、目的に応じて適宜に設計変更することができる。
【符号の説明】
【0033】
10 光源部
11 光源部ハウジング部材
11A 一端壁
11B 他端壁
11C 光照射用開口
12 筐体
12A 隔壁
13 一端壁
13A 導風用通風口
14 他端壁
14A 排風用通風口
15 光源ユニット配置空間部
16 電装体配置空間部
18 導風用空間部
19 排風用空間部
20 光源ユニット
21 光源エレメント
22 ランプホルダー
24 外套管
24A 一端開口
24B 他端開口
25 エキシマランプ
26 バルブ
26A 上壁
26B 下壁
26C 角部
27A 一方の電極
27B 他方の電極
30 反射材層
30A 開口部
31 ガラス粉末層
32 蛍光体層
35 トランス
38 光出射部
S 放電空間
40 冷却部
41 冷却部ハウジング部材
42 冷却ファン
43 熱交換器
45 通風ダクト
50 ライトガイド部
51 ライトガイド部材
58 ステージ
59 ステージ架台
60 サポータ
61 サポータ本体
62 一方のアーム部材
63 他方のアーム部材
62A,63A 基部
62B,63B 傾斜部
62C,63C 先端部
62D 連結用ネジ装着用ネジ穴
63D 連結部
64 ランプ当接部
65 外套管当接部
66 板バネ(弾性部材)
66A 天板部
66B 基板部
66C 長穴
68 緩衝部材
K 空隙
W 被処理対象物
70 液晶パネル
71 第1のガラス板
72 アクティブ素子
73 液晶駆動用電極
74 配向膜
75 第2のガラス板
76 カラーフィルター
77 透明電極
78 配向膜
79 スペーサ部材
80 液晶層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の両端部が筐体によって保持された、長手方向に垂直な断面形状が矩形状の長尺なランプと、当該ランプが内部に挿通された状態で、長手方向の両端部が前記筐体によって保持されて設けられた、内部に冷却風流通路を形成する透光性を有する長尺な筒状の外套管とにより構成された光源エレメントを備えてなり、
前記外套管の内部には、前記ランプをその長手方向の局所的な位置において当該外套管に対して直接的に支持させるサポータが設けられており、
当該サポータは、前記ランプの4つの稜に係る角部と接して当該ランプを挟持して保持する、絶縁材料からなるサポータ本体を備えており、当該サポータ本体には、前記外套管の内面に当接する、弾性部材を備えた外套管当接部が形成されていることを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
前記ランプは、バルブの長手方向に延びる開口部を有する反射材層が前記バルブの内面に形成されたエキシマランプよりなり、
前記サポータは、前記反射材層の開口部に対向する領域に、当該開口部を介して放射される前記エキシマランプからの放射光を通過させる空間部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。
【請求項3】
前記サポータ本体は、各々全体が略鉤状の2つのアーム部材が連結されて構成されており、当該アーム部材の各々の先端が前記反射材層の開口部に対向する領域外に位置されるよう離間された状態で設けられ、これにより、前記空間部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−53325(P2012−53325A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196506(P2010−196506)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】