光直交周波数分割多重伝送用回路
【課題】高い帯域利用効率を実現できる光OFDM伝送用の光受信回路を提供する。
【解決手段】本発明によれば、受信器において光OFDM伝送処理の多くを光領域で行うことができる。本発明による光受信器は、光直交周波数分割多重された光をN分岐する光強度分岐器と、光強度分岐器からのN個の光をそれぞれ遅延するN本の光遅延線と、光遅延線からのN個の光を高速フーリエ変換処理するN入力N出力の光高速フーリエ変換回路と、光高速フーリエ変換回路からのN個の光をゲート処理して、チャネルごとに復調されたチャネル信号を出力するN個の時間ゲート素子とを備える。
【解決手段】本発明によれば、受信器において光OFDM伝送処理の多くを光領域で行うことができる。本発明による光受信器は、光直交周波数分割多重された光をN分岐する光強度分岐器と、光強度分岐器からのN個の光をそれぞれ遅延するN本の光遅延線と、光遅延線からのN個の光を高速フーリエ変換処理するN入力N出力の光高速フーリエ変換回路と、光高速フーリエ変換回路からのN個の光をゲート処理して、チャネルごとに復調されたチャネル信号を出力するN個の時間ゲート素子とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信分野において高い帯域利用効率を実現することができる光直交周波数分割多重(光OFDM:Optical Orthogonal Frequency Division Multiplexing)伝送用の送受信回路に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムの帯域利用効率を高める手段として、波長分割多重(WDM:Wavelength Dlvision Multiplexing)伝送システムの研究開発が盛んに行われている。チャネル間隔がΔf[Hz]、チャネルあたりのビットレートがBR[bit/s]の場合、WDM伝送システムの帯域利用効率Eは、E=BR/Δfと表される。
【0003】
図1に、WDMシステムの構成例を示す(非特許文献1)。複数の光送信器1−1〜J(等周波数間隔Δf)からのデータ信号を、アレイ導波路格子(AWG:Arrayed−Waveguide Grating)などの波長合波器2を用いて合波する。合波信号は、光ファイバ3を伝送した後、AWGなどの波長分波器4で周波数毎に分波され、複数の光受信器5−1〜Jで受信される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】A.R.Chraplyvy and R.W.Tkach, “Terabit/second Transmission Experiments,” IEEE J. Quantum Electron., vol. 34, no. 11, pp.2103−2107, 1998.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多値ではない通常のIM−DD(Intensity Modulation−Direct Detection)バイナリWDM伝送(強度0,1のみをデータ信号として用いるWDM伝送)の場合、通常、図1においては、チャネル間クロストークを避けるため、Δf>BRと設定することが必須となる。そのため、帯域利用効率が悪くなるという問題があった。
【0006】
また、従来、光OFDM伝送用の信号の生成および復調は、主に電気信号処理によって行われていた。しかしながら、電気信号処理を主とした光OFDM伝送では、電気信号処理の速度に制限されるという問題があった。実際、電気信号処理の場合には、各チャネルのビットレートがMb/sオーダに留まっている。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、チャネル間を直交状態とすることによって、バイナリ伝送においても高い帯域利用効率を実現することができ、各チャネルのビットレートをGb/sオーダーに増大できる光信号処理を用いた光OFDM伝送用の受信器構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、光直交周波数分割多重伝送用の光受信器であって、光直交周波数分割多重された光をN分岐する光強度分岐器と、前記光強度分岐器からのN個の光をそれぞれ遅延するN本の光遅延線と、前記光遅延線からのN個の光を高速フーリエ変換処理するN入力N出力の光高速フーリエ変換回路と、前記光高速フーリエ変換回路からのN個の光をゲート処理して、チャネルごとに復調されたチャネル信号を出力するN個の時間ゲート素子とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、光直交周波数分割多重伝送用の光受信器であって、光直交周波数分割多重された光を位相変調して、チャネル信号のタイムスロット長T内で周波数を時間の関数としてシフトする第1の光位相変調器と、前記光位相変調器からの光を、所定の周波数ごとにN個の光パルスに分波する光周波数分波器と、前記光周波数分波器からのN個の光パルスについて、それぞれが前記第1の光位相変調器とは符号が逆の位相変調を施すN個の第2の光位相変調器と、前記第2の光位相変調器からのN個の光パルスをそれぞれ遅延するN本の光遅延線と、前記光遅延線からのN個の光パルスを高速フーリエ変換処理して、チャネルごとに復調されたチャネル信号を出力するN入力N出力の光高速フーリエ変換回路とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、光直交周波数分割多重伝送用の光受信器であって、光直交周波数分割多重された光を、チャネル信号のタイムスロット長T内でN個のパスにスイッチングする光スイッチと、前記光スイッチからのN個の光パルスをそれぞれ遅延するN本の光遅延線と、前記光遅延線からのN個の光パルスを高速フーリエ変換処理して、チャネルごとに復調されたチャネル信号を出力するN入力N出力の光高速フーリエ変換回路とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の光受信器であって、前記光高速フーリエ変換回路は、N=2L(L:1以上の整数)個の入力および出力を有し、Lが1の場合、1個の2入力2出力の方向性結合器から構成され、Lが2以上の場合、2個のN/2入力N/2出力の光高速フーリエ変換回路と、N/2個の2入力2出力の方向性結合器とから構成され、前記2個の光高速フーリエ変換回路のうちそれぞれの第M番目(M=1,2,・・・,N/2)の出力を、前記N/2個の方向性結合器のうち第M番目の方向性結合器の入力にそれぞれ接続するように構成されたことを特徴とすることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の光受信器であって、前記光高速フーリエ変換回路は、N=2L(L:1以上の整数)個の入力および出力を有し、Lが1の場合、1個の2入力2出力の対称マッハツェンダ干渉計から構成され、Lが2以上の場合、2個のN/2入力N/2出力の光高速フーリエ変換回路と、N/2個の2入力2出力の対称マッハツェンダ干渉計とから構成され、前記2個の光高速フーリエ変換回路のうちそれぞれの第M番目(M=1,2,・・・,N/2)の出力を、前記N/2個の対称マッハツェンダ干渉計のうち第M番目の対称マッハツェンダ干渉計の入力にそれぞれ接続するように構成されたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の光受信器であって、前記光高速フーリエ変換回路は、N=2L(L:1以上の整数)個の入力および出力を有し、Lが1の場合、1個の2入力2出力の方向性結合器または対称マッハツェンダ干渉計から構成され、Lが2以上の場合、2個のN/2入力N/2出力の光高速フーリエ変換回路と、N/2個の2入力2出力の方向性結合器および対称マッハツェンダ干渉計の組み合わせとから構成され、前記2個の光高速フーリエ変換回路のうちそれぞれの第M番目(M=1,2,・・・,N/2)の出力を、前記N/2個の方向性結合器および対称マッハツェンダ干渉計の組み合わせのうち第M番目の方向性結合器または対称マッハツェンダ干渉計の入力にそれぞれ接続するように構成されたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の波長分割多重伝送システムの構成例を示す図である。
【図2】光直交周波数分割多重伝送システムの構成例を示す図である。
【図3】光直交周波数分割多重伝送信号のスペクトルを示す図である。
【図4】第1の参考形態に係る光直交周波数分割多重伝送システム用送信器の構成例を示す図である。
【図5】第2の参考形態に係る光直交周波数分割多重伝送システム用送信器の構成例を示す図である。
【図6】第3の参考形態に係る光直交周波数分割多重伝送システム用送信器の構成例を示す図である。
【図7】第4の参考形態に係る光直交周波数分割多重伝送システム用送信器の構成例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る光直交周波数分割多重伝送システム用受信器の構成例を示す図である。
【図9】光離散フーリエ変換を実現するための光回路の構成例を示す図である。
【図10】光高速フーリエ変換を実現するための光回路の構成例を示す図である。
【図11】光高速フーリエ変換を実現するための光回路の構成例を示す図である。
【図12】光高速フーリエ変換を実現するための光回路の構成例を示す図である。
【図13】図8の直交周波数分割多重伝送システム用受信器での光パルスの様子を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る光直交周波数分割多重伝送システム用受信器の構成例を示す図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る光直交周波数分割多重伝送システム用受信器の構成例を示す図である。
【図16】第5の参考形態に係る光直交周波数分割多重伝送システム用受信器の構成例を示す図である。
【図17】第6の参考形態に係る光直交周波数分割多重伝送システム用受信器の構成例を示す図である。
【図18】第7の参考形態に係る光直交周波数分割多重伝送システム用受信器の構成例を示す図である。
【図19】第8の参考形態に係る光直交周波数分割多重伝送システム用受信器の構成例を示す図である。
【図20】図8でN=4とし、光フーリエ変換回路部を図11で構成した場合の各部の信号スペクトルを示す図であり、(a)は光入力部502での信号スペクトル、(b)は出力導波路44−3での信号スペクトルを示している。
【図21】図8でN=4とし、光フーリエ変換回路部を図11で構成した場合の光出力部512−1〜4での信号のエラーレート特性を測定した結果を示す図である。
【図22】図8でN=4とし、光フーリエ変換回路部を図11で構成した場合の信号d1(t)のエラーレート〜10−9でのアイパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について、図面に示す実施形態を参照して詳細に説明する。
【0016】
まず、光直交周波数分割多重伝送の概要を説明する。図2に、光直交周波数分割多重伝送システムの構成例を示す。ここで、基準搬送波光周波数をf0、第nチャネルと第n+1チャネル間の光周波数間隔をΔfn、各チャネルのタイムスロット時間長をT、それぞれが同期したチャネル信号をdn(t)とする。なお、Nは2以上の整数であり、n=0,1,…,N−1、tは時間を表す。また、Δfn=kn/T(kn:1以上の整数)である。
【0017】
光送信器11−1〜Nでは、発振光周波数間の位相が光周波数領域において保持された光周波数を、それぞれのチャネル信号dn(t)を用いて変調している。発振光周波数間の位相、およびチャネル信号dn(t)間の同期を保ちながら、光強度合流器12を用いて光送信器11−1〜Nからの各変調信号光を合流する。この合流後の信号S(t)は、次式で表される。
【0018】
【数1】
【0019】
サブキャリア(搬送波)ごとの変調波帯信号Sn(t)は、次式のように表される。
【0020】
【数2】
【0021】
隣接するサブキャリアについての変調波帯信号Sn(t)およびSn+1(t)間の相互相関関数CC[Sn(t)Sn+1(t)]は、次式に示すように、隣接するサブキャリア同士は直交している。
【0022】
【数3】
【0023】
このように、nによらずkn=1の場合、隣接チャネルが直交する最小の周波数間隔が得られ、帯域利用効率E=1が実現される。この時の各サブキャリアのスペクトル形状を図3に示す。
【0024】
ある1つのサブキャリアに注目すると、このサブキャリアは他のサブキャリアの中心周波数の位置において周波数成分が0となり、他のサブキャリアに影響を及ぼさない。以降、すべての実施形態では、簡単のためkn=1の場合について議論を進める。この場合、S(t)は、次式のように変形することができる。
【0025】
【数4】
【0026】
すなわち、信号光Sは、チャネル信号dnの逆離散フーリエ変換(IDFT:Inverse Discrete Fourier Transform)となる。この信号光Sは光ファイバ13を通過した後、光離散フーリエ変換素子14を経て、もとのdnに復調され、光受信器15−1〜Nに入射する。光離散フーリエ変換素子14では、次式で表される処理が行われる。
【0027】
【数5】
【0028】
式4および式5は、nのうち1つでもkn≧2(E<1)となる場合でも、対応する離散変換の式が存在し、nによらずkn=1の場合と同様な議論ができる。
【0029】
このように送信器および受信器とも光領域で処理することにより、電気信号処理による速度制限がなくなり、各チャネルのビットレートをGb/sオーダにまで高速化することができる。これにより、光直交周波数分割多重伝送のさらなる大容量化を実現することができる。
【0030】
また、光直交周波数分割多重伝送を用いることによって、時間多重分離(TDM:Time Division Multiplexing)方式における、超短光パルス化を用いた時間多重分離処理(タイムスロットT/N毎の高速時間多重分離処理)を用いる必要はなくなり、タイムスロットT毎の低速での処理のみとなる。
【0031】
(第1の参考形態)
図4は、本参考形態に係る送信器の構成例を示している。この送信器100は、複数の発振光周波数間の位相が光周波数領域において保持された光源102と、光源からの光を光周波数ごとに分波する光周波数分波器104と、分波した光をそれぞれチャネル信号で変調する光変調器106−1〜Nと、変調した信号光を合波する光周波数合波器(あるいは光強度合流器)108と、合波した信号光を出力する光出力部110とを備えている。この送信器100は、例えば、導波路技術を用いて1つの基板上に構成することができる。
【0032】
光源102としては、半導体もしくは光ファイバモードロックレーザ、半導体利得スイッチ光源、または直流光源と光強度変調器(強誘電体材料あるいは半導体材料の電気光学効果を用いた干渉計型変調器、または半導体EA(Electro−Absorption)変調器)とを組み合わせた構成とすることができる。あるいは、直流光源と、光位相変調器(強誘電体材料)とを組み合わせた光周波数コム発生器などを用いることができる。光周波数分波器104および光周波数合波器108としては、アレイ導波路格子または非対称マッハツェンダ型干渉計もしくはそれを多段縦続接続したものなどを用いることができる。光変調器106−1〜Nとしては、強誘電体材料または半導体材料から構成されたものを用いることができる。また、光強度合流器108としては、多モード干渉(MMI:Multi−Mode Interference)カプラ、スターカプラ、方向性結合器を多段縦続接続したもの、または対称マッハツェンダ型干渉計を多段縦続接続したものなどを用いることができる。
【0033】
図4の構成要素の中で、光周波数分波器104、光周波数合波器(あるいは光強度合流器)108および光出力部110、ならびに各構成要素の接続部は、安定かつ低損失(〜0.01dB/cm)で、長さおよび位相を精密に調節可能な、シリコンまたはガラス基板上の石英系ガラス導波路技術を用いて作製することができる。位相調節部としては、石英ガラス上に蒸着されたクロムや窒化タンタルの薄膜ヒータ(熱光学位相シフタ、0.01π以下の精密な位相調節が可能)を用いることができる。また、ポリマー導波路、LiNbO3(LN)、KTa1‐xNbxO3(KTN)などの強誘電体導波路、半導体導波路、シリコン導波路、光ファイバなどの導波路単体、またはこれらを複数用いたハイブリッド構成を用いることも可能である。
【0034】
例えば、光周波数分波器104、光周波数合波器(あるいは光強度合流器)108および光出力部110、ならびに各構成要素の接続部には石英系ガラス導波路を用い、その他の構成要素には他の材料のデバイスを石英系ガラス導波路にハイブリッド集積する構成とすることができる。光源102のモードロックレーザまたは光周波数コム発生器は、複数の周波数間の位相が固定されているため、光周波数分波器104で分岐し、光変調器106−1〜Nにおいて、各周波数成分を、各チャネル信号dn(t)を用いて周期Tで変調(光電変換)する。各変調信号光を、光周波数合波器108を用いて合波、あるいは光強度合流器108を用いて合流することによって、光出力部110において、式1で表される信号光S(t)を得ることができる。
【0035】
ここで、光周波数合波器108を用いる場合には、低損失の合波が可能となるが、周波数依存素子であるため、変調信号光帯域が狭まる欠点が生じる。また、光強度合流器108を用いる場合には、合流損失による損失の増加が生じるが、周波数依存素子ではないため、変調信号光帯域の低減劣化は発生しない。なお、光直交周波数分割多重は、信号の変調ではなく多重化手法であるため、光変調器106−1〜Nにおける変調は、2値強度変調のみに限定されず、2値であるか、多値であるかにかかわらず、強度変調、位相変調、周波数変調、偏波変調等のいずれでも良い。
【0036】
(第2の参考形態)
図5は、本参考形態に係る送信器の構成例を示している。本参考形態に係る光送信器は、光直交周波数分割多重伝送システムにおいて、変調器1つのみを用いて簡便に伝送特性をシミュレートするためのものである。光送信器200は、複数の発振光周波数間の位相が光周波数領域において保持された光源202と、光源からの光を特定のチャネル信号で変調する光変調器204と、変調した信号光を光周波数ごとに分波する光周波数分波器206と、分波した信号光をそれぞれ遅延する光遅延線208−1〜Nと、変調した信号光を合波する光周波数合波器(あるいは光強度合流器)210と、合波した信号光を出力する光出力部212とを備えている。この光送信器200は、例えば、導波路技術を用いて1つの基板上に構成することができる。
【0037】
光変調器204は、光源202からの光を変調する。この場合、光変調器204を駆動する信号はチャネル信号dn(t)のうち1つのみでよい。次に、光周波数分波器206を用いて変調した信号光を波長ごとに分波する。各波長のデータ信号は同一の変調器を用いて変調されたため、時間的に分離し、各波長間のデータ相関を減少させる必要がある。そのため、光遅延線208−1〜Nの長さはそれぞれ異なる値に定め、最小長さを基準とした長さの差は、pTc0/neffとなるように設定する。ここで、pは0または2以上の偶数、c0は真空中の光速、neffは光周波数分波器の出力と光周波数合波器(または光強度合流器)の入力を結ぶN個の部分の等価屈折率である。pを1以上の奇数としないのは、各波長間で同じデータが連続するのを避けるためである。最後に、光周波数合波器(あるいは光強度合流器)210を用いて各波長の信号を合波し(あるいは合流し)、光出力部212で信号光S(t)のシミュレーション信号が得られる。なお、遅延線以外では各波長に対応する導波路の長さは等しく設定されているものとする。
【0038】
(第3の参考形態)
図6は、本参考形態に係る送信器の構成例を示している。この光送信器300は、特定の発振光周波数を有する光源302と、光源からの光をN分岐する光強度分岐器304と、分岐した光を位相変調する光位相変調器306−1〜Nと、位相変調して周波数がシフトした光をチャネル信号で変調する光変調器308−1〜Nと、変調した信号光を合波する光周波数合波器(あるいは光強度合流器)310と、合波した信号光を出力する光出力部312とを備えている。この光送信器302は、例えば、導波路技術を用いて1つの基板上に構成することができる。
【0039】
光源302からの特定の発振光周波数f0を有する光を、光強度分岐器304を用いてN分岐し、光位相変調器306−1〜Nに入射する。光強度分岐器304は、光強度合流器の入出力を逆にして構成することができる。光位相変調器306−1〜Nは、各チャネルの光の位相φn(t)に対して以下の位相変調を施す。
【0040】
【数6】
【0041】
式6の位相変調を与えられた光の周波数fn(t)はもとの周波数f0からシフトし、次式で与えられる。
【0042】
【数7】
【0043】
そして、光変調器308−1〜Nで、各チャネルの周波数成分fn(t)を、各チャネル信号dn(t)を用いて変調し、光周波数合波器(あるいは光強度合流器)310で中心周波数
【0044】
【数8】
【0045】
毎の合波(あるいは合流)を行うことによって、光出力部312において、式1で表される信号光S(t)を得ることができる。
【0046】
光周波数合波器310は、光強度合流器310とするよりも素子の損失は低下する。光周波数合波器310での中心周波数
【0047】
【数9】
【0048】
毎の合波は、不均一な周波数間隔となる可能性があるが、アレイ導波路格子または非対称マッハツェンダ型干渉計もしくはそれを多段縦続接続した光周波数合波器は、不均一な周波数間隔の合波にも対応可能である。
【0049】
(第4の参考形態)
図7は、本参考形態に係る送信器の構成例を示している。本参考形態に係る光送信器は、光直交周波数分割多重伝送システムにおいて、変調器1つのみを用いて簡便に伝送特性をシミュレートするためのものである。光送信器400は、特定の発振光周波数を有する光源402と、光源からの光を特定のチャネル信号で変調する光変調器404と、変調した信号光をN分岐する光強度分岐器406と、分岐した信号光を位相変調する光位相変調器408−1〜Nと、位相変調した信号光をそれぞれ遅延する光遅延線410−1〜Nと、遅延した信号光を合波する光周波数合波器(あるいは光強度合流器)412と、合波した信号光を出力する光出力部414とを備えている。この光送信器400は、例えば、導波路技術を用いて1つの基板上に構成することができる。
【0050】
光源402からの特定の発振光周波数f0を有する光を、光変調器404を用いて変調する。光変調器404を駆動する信号はチャネル信号dn(t)のうち1つのみでよい。次に、光強度分岐器406を用いて変調信号光をN分岐し、光位相変調器408−1〜Nに入射する。光位相変調器408−1〜Nでは、各チャネルの光の位相φn(t)および周波数fn(t)は、それぞれ、式6および式7で表される。各分岐のデータ信号は同一の変調器を用いて変調されたため、時間的に分離し、各波長間のデータ相関を減少させる必要がある。そのため、光遅延線410−1〜Nの長さはそれぞれ異なる値に定め、最小長さを基準とした長さの差は、pTc0/neffとなるように設定する。ここで、pは0および2以上の偶数、c0は真空中の光速、neffは光強度分岐器の出力と光周波数合波器(または光強度合流器)の入力を結ぶN個の部分の等価屈折率である。最後に、光周波数合波器(あるいは光強度合流器)412を用いて各チャネルの変調信号光を合波し(あるいは合流し)、光出力部414で信号光S(t)のシミュレーション信号が得られる。
【0051】
(第1の実施形態)
図8は、本発明の第1実施形態に係る受信器の構成例を示している。この光受信器500は、光直交周波数分割多重された信号光が入力される光入力部502と、入力された信号光をN分岐する光強度分岐器504と、分岐した信号光をそれぞれ遅延する光遅延線506−1〜Nと、遅延した信号光をフーリエ変換処理する光高速フーリエ変換回路508と、フーリエ変換処理された信号光をゲート処理する時間ゲート素子510−1〜Nと、復調されたチャネル信号を出力する光出力部512−1〜Nとを備えている。この光受信器500は、例えば、導波路技術を用いて1つの基板上に構成することができる。
【0052】
受信側において、光直交周波数分割多重された信号光S(t)から各チャネル信号dn(t)を一括復調する際、式5で示す光離散フーリエ変換が必要となる。光離散フーリエ変換の演算量(かけ算量)を削減し、ハード面でも構成の簡略化が可能な光高速フーリエ変換について説明する。なお、簡単のためN=4の場合について説明する。この場合、式5で示す光離散フーリエ変換は次式で表される。
【0053】
【数10】
【0054】
ここで、チャネル信号dn(t)は次式のように変形できる。
【0055】
【数11】
【0056】
したがって、式8は、次式のように変形できる。
【0057】
【数12】
【0058】
式10は、式8と比較してかけ算の数が16から8に低減されている。これが光高速フーリエ変換である。かけ算が半分となっているため、演算量の低下、すなわち演算を実現するための光回路構成の簡略化を実現することができる。
【0059】
図9に、式8の演算を実現するための光回路の構成例を、図10および図11に、式10を実現するための光回路の構成例を示す。
【0060】
図9は、光離散フーリエ変換を実現するための光回路である。この光回路20は、4本の入力導波路21−1〜4と、4個の光強度分岐器22−1〜4と、16個の位相調節部23−1〜16と、16本の導波路24−1〜16と、4個の光強度合流器25−1〜4と、4本の出力導波路26−1〜4とから構成されている。入力導波路21−1〜4のそれぞれの長さ、導波路24−1〜16のそれぞれの長さ、および出力導波路26−1〜4のそれぞれの長さは等しく設定する。これは、式8における位相関係を保持するためである。計16個(一般的にはN2個)の位相調節部23−1〜16の位相を調節することによって、式8の関係が満たされるようにする。なお、位相調節部23−1〜16の1つに対して、他の15個の位相調節部の相対位相が合えばよいので、位相調節部の必要最低数は15個(一般的にはN2−1個)となる。このようにして光離散フーリエ変換を実際の光回路を用いて実現することができる。なお、この光回路は、交差部分が多く、導波路損失が高くなる欠点がある。
【0061】
図10は、光高速フーリエ変換を実現するための光回路である。この光回路30は、4本の入力導波路31−1〜4と、7個の位相調節部32−1〜7と、4個の方向性結合器33−1〜4と、4本の出力導波路34−1〜4とから構成されている。入力導波路31−1〜4のそれぞれの長さ、出力導波路34−1〜4のそれぞれの長さ、方向性結合器33−1〜4同士を結ぶ導波路のそれぞれの長さは等しく設定する。これは、式10における位相関係を保持するためである。方向性結合器33−1〜4の伝達行列fcplは、強度結合率κが0.5(3dBカプラ)の場合、次式で表される。
【0062】
【数13】
【0063】
したがって、位相調節部32−1〜7の位相を−π/2(伝達式exp(jπ/2))に設定した場合、図10の構成を用いて式10の演算(光高速フーリエ変換)が実現できる。詳細は以下の通りである。図10中の(F0,F1)、(F2,F3)は以下の式で表される。
【0064】
【数14】
【0065】
【数15】
【0066】
よって、(d0(t),d2(t))、(d1(t),d3(t))は以下の式で表される。
【0067】
【数16】
【0068】
【数17】
【0069】
上2式は、定数倍の係数を除いて式10に一致する。
【0070】
方向性結合器の伝達行列および図10の出力を示すベクトル表示における定数倍の係数は、信号の復調には影響しない。なお、図10の構成例は、例示であり、位相調節部32−1〜7の設置場所やその設定量は変更してもよい。図9と比較して、図10の構成では、導波路の数は24から4に、位相調節部の数は15から7に低減されていることがわかる。この低減効果は、通常2の倍数に設定されるNの数が大きくなるほど顕著になる。なお、方向性結合器33−1〜4としては、多モード干渉(MMI:Multi−Mode Interference)カプラ、スターカプラなどを用いることもできる。
【0071】
図11は、光高速フーリエ変換を実現するための他の構成の光回路を示している。この光回路40は、4本の入力導波路41−1〜4と、4個の対称マッハツェンダ型干渉計42−1〜4と、5個の位相調節部43−1〜5と、4本の出力導波路44−1〜4とから構成されている。入力導波路41−1〜4のそれぞれの長さ、出力導波路44−1〜4のそれぞれの長さ、対称マッハツェンダ型干渉計42−1〜4同士を結ぶ導波路のそれぞれの長さは等しく設定する。これは、式10における位相関係を保持するためである。対称マッハツェンダ型干渉計42−1〜4の伝達行列fsmziは、対称マッハツェンダ型干渉計を構成する方向性結合器の強度結合率κが0.5、位相調節部43−1〜4の位相設定量φがπ/2の場合、次式で表される。
【0072】
【数18】
【0073】
したがって、位相調節部43−5の位相をπ/2(伝達式exp(−jπ/2))に設定した場合、図11の構成を用いて式10の演算(光高速フーリエ変換)が実現できる。詳細は以下の通りである。図11中の(F0,F1)、(F2,F3)は以下の式で表される。
【0074】
【数19】
【0075】
【数20】
【0076】
よって、(d0(t),d2(t))、(d1(t),d3(t))は以下の式で表される。
【0077】
【数21】
【0078】
【数22】
【0079】
上2式は、定数倍の係数を除いて式10に一致する。
【0080】
なお、図11の構成例は、例示であり、位相調節部43−5の設置場所やその設定量は変更することができる。図10と比較して、図11の構成ではさらに、位相調節部の数は7から5に低減されていることがわかる。この低減効果はNの数が大きくなるほど顕著になる。
【0081】
図10および11に関する説明より、光高速フーリエ変換を実現するためには、方向性結合器と対称マッハツェンダ型干渉計は、総数がNであれば、任意の数ずつ組み合わせて用いても良い。また、一般に、2N入力2N出力の光高速フーリエ変換回路は、N入力N出力の光高速フーリエ変換回路を2個組み合わせて、図12のように構成することができる。
【0082】
この光回路50は、2N本の入力導波路51−1〜2Nと、2個のN入力N出力の光高速フーリエ変調回路52−1および52−2と、2N本の光高速フーリエ変調回路と方向性結合器を接続する導波路53−1〜2Nと、N個の方向性結合器(あるいは対称マッハツェンダ型干渉計)54−1〜Nと、2N本の出力導波路55−1〜2Nとから構成されている。なお、この図では位相調節部は省略した。入力導波路51−1〜2Nのそれぞれの長さ、導波路53−1〜2Nのそれぞれの長さ、および出力導波路55−1〜2Nのそれぞれの長さは等しい長さに設定する。これは、式10における位相関係を保持するためである。また、光高速フーリエ変換を実現するための他の光回路の構成として、N入力N出力のMMIカプラやスターカプラなども考えられる。
【0083】
図13に、図8の各部での1タイムスロット分の光パルスの様子を示す。具体的には、図13(a)は、図8の入力導波路部での光パルスの様子であり、図13(b)は、図8の遅延線の出力での光パルスの様子であり、図13(c)は、図8の光高速フーリエ変換回路の出力での光パルスの様子であり、図13(d)は、図8の出力導波路部での光パルスの様子を示している。本図においても、簡単のため、N=4の場合について説明する。図13(a)に示す入力光パルスは、光強度分岐器504でN分岐され、光遅延線506−1〜NではTc0/(Nneff)ずつ異なる遅延を与えられる(図13(b))。光高速フーリエ変換回路508において、光高速フーリエ変換に相当する位相が各光パルスに与えられる(図13(c))。各パルスが重なった部分のみを時間ゲート素子510−1〜Nによるゲーティングにて時間的に取り出した場合、光直交周波数分割多重信号S(t)から、式10に対応するdn(t)を復調することができる。
【0084】
なお、時間ゲート素子510−1〜Nとしては、強誘電体材料あるいは半導体材料の電気光学効果を用いた干渉計型変調器や、半導体光増幅器(SOA:Semlconductor Optical Amplifier)を用いたゲーティング、信号光の光電変換後の電気領域でのゲーティングなどを用いることができるが、ゲート時間窓を短く設定することができる半導体EA変調器が現状では最適であると考えられる。
【0085】
図8でN=4とし、光フーリエ変換回路部を図11で構成した場合について、図8の動作を実証する実験を行った。図8の光入力部502に10Gbit/s×4チャネルの光OFDM信号を入射した。各チャネルは別々のデータ信号で変調され、各チャネル間の周波数差は10GHzである。図20(a)、(b)に、それぞれ光入力部502および出力導波路44−3での信号スペクトルを示す。図20(b)より、d1(t)のスペクトルがきれいに抜き出されていることがわかる。また、図21に、光出力部512−1〜4での信号(それぞれ、d0(t),d2(t),d1(t),d3(t)に対応)のエラーレート特性を測定した結果を示す。●は、光入力部502にd1(t)のみを入射した場合の参照エラーレート特性を示す。また、図22に示すアイパターンは、d1(t)のエラーレート〜10−9でのものを示している。図21の結果より、図8の構成を用いて、d0(t),d2(t),d1(t),d3(t)のいずれに関してもエラーレート〜10−9が達成され、光OFDM信号から正確に分離されていることがわかる。
【0086】
(第2の実施形態)
図14は、本発明の第2の実施形態に係る受信器の構成例を示している。この光受信器600は、光直交周波数分割多重された信号光が入力される光入力部602と、入力された信号光を位相変調する光位相変調器604と、位相変調して周波数がシフトした信号光を周波数分波する光周波数分波器606と、分波した信号光のチャーピングを相殺する光位相変調器608−1〜Nと、分波した信号光をそれぞれ遅延する光遅延線610−1〜Nと、遅延した信号光をフーリエ変換処理する光高速フーリエ変換回路612と、復調されたチャネル信号を出力する光出力部614−1〜Nとを備えている。この受信器600は、例えば、導波路技術を用いて1つの基板上に構成することができる。
【0087】
光入力部602からの光直交周波数分割多重された信号光の位相θ(t)に対して、光位相変調器604は、aを定数として以下の位相変調を施す。
【0088】
【数23】
【0089】
式13の位相変調を与えられた光の周波数f(t)はもとの周波数f0からシフトし、次式で与えられる。
【0090】
【数24】
【0091】
光周波数分波器606では、位相変調により周波数がシフトされる信号光f(t)に対して、光中心周波数2aT/N毎の分波が行われる。各分波信号光の1タイムスロット長はT/Nである。その後、N個の光位相変調器608−1〜Nが互いに同期して、周期Tで同一の時間長T/Nのタイムスロット内で以下の位相変調が行われる。
【0092】
【数25】
【0093】
式13および式15は符号が逆であるので、光位相変調器608−1〜Nにおいて信号光のチャーピングは相殺される。次に、光遅延線610−1〜NでTc0/(Nneff)ずつ異なる遅延を与えられた後、N入力N出力の光高速フーリエ変換回路612において、光高速フーリエ変換に相当する位相が各光パルスに与えられる。光出力部614−1〜Nの出力として、光直交周波数分割多重信号S(t)から、式10に対応するチャネル信号dn(t)を復調することができる。なお、光周波数分波器606におけるフィルタリングによって、各パルスが重なる部分のみの時間的取り出しは完了している。したがって、図14の受信器は、図8の構成と比較して、時間ゲート素子が不要であるという利点がある。
【0094】
(第3の実施形態)
図15は、本発明の第3の実施形態に係る受信器の構成例を示している。この光受信器700は、光直交周波数分割多重された信号光が入力される光入力部702と、入力された信号光を各パスにスイッチングする光スイッチ704と、スイッチングした信号光をそれぞれ遅延する光遅延線706−1〜Nと、遅延した信号光をフーリエ変換処理する光高速フーリエ変換回路708と、復調されたチャネル信号を出力する光出力部710−1〜Nとを備えている。この受信器700は、例えば、導波路技術を用いて1つの基板上に構成することができる。
【0095】
光スイッチ704では、光直交周波数分割多重信号S(t)の同一の時間長Tのタイムスロットを、時間長T/Nの部分毎に、異なるN個の出力パスに、時間周期Tで空間的にスイッチングを行う。スイッチングにより取り出された光パルスは、光遅延線706−1〜NでTc0/(Nneff)ずつ異なる遅延を与えられた後、光高速フーリエ変換回路708において、光高速フーリエ変換に相当する位相が各光パルスに与えられる。光出力部710−1〜Nの出力として、光直交周波数分割多重信号S(t)から、式10に対応するチャネル信号dn(t)を復調することができる。なお、光スイッチ704におけるスイッチングによって、各パルスが重なる部分のみの時間的取り出しは完了している。したがって、図15の受信器は、図8の構成と比較して、時間ゲート素子が不要であるという利点がある。光スイッチ704としては、高速性が要求されるため、通常、強誘電体材料あるいは半導体材料から構成されるものが用いられる。
【0096】
(第5の参考形態)
図16は、本参考形態に係る受信器の構成例を示している。この光受信器800は、光直交周波数分割多重された信号光が入力される光入力部802と、入力された信号光をN分岐する光強度分岐器804と、分岐した信号光を位相変調する光位相変調器806−1〜Nと、位相変調した信号光をさらにN分岐する光強度分岐器808−1〜Nと、分岐した信号光をそれぞれ遅延する光遅延線810−1〜Nと、遅延した信号光を合流する光強度合流器812−1〜Nと、合流した信号光をゲート処理する時間ゲート素子814−1〜Nと、復調されたチャネル信号を出力する光出力部816−1〜Nとを備えている。この受信器800は、例えば、導波路技術を用いて1つの基板上に構成することができる。
【0097】
光強度分岐器804において、入力信号光を等強度でN分岐する。各位相変調器806は、周期Tで同一の時間長Tのタイムスロット内で位相φn(t)に対して以下の位相変調を施す。
【0098】
【数26】
【0099】
次に、光強度分岐器808で、位相変調器806からの光をさらに等強度でN分岐する。そして、分岐後の光は、光遅延線810でTc0/(Nneff)ずつ異なる遅延を与えられた後、光強度合流器812で合流され、時間ゲート素子814で、光直交周波数分割多重信号S(t)の同一の時間長Tのタイムスロットからの時間的に重なった時間長T/Nの部分のみを時間T毎に周期的に取り出す時間ゲーティングを行うことにより、式5および式8で表される光離散フーリエ変換操作を直接的に実行し、チャネル信号dn(t)を復調することができる。
【0100】
(第6の参考形態)
図17は、本参考形態に係る受信器の構成例を示している。この光受信器900は、光直交周波数分割多重された信号光が入力される光入力部902と、入力された信号光をN分岐する光強度分岐器904と、分岐した信号光をさらに分岐する光強度分岐器906−1〜Nと、分岐した信号光の位相を調整する光位相シフタ908−1〜Nと、位相調整された信号光をそれぞれ遅延する光遅延線910−1〜Nと、遅延した信号光を合流する光強度合流器912−1〜Nと、合流した信号光をゲート処理する時間ゲート素子914−1〜Nと、復調されたチャネル信号を出力する光出力部916−1〜Nとを備えている。この受信器900は、例えば、導波路技術を用いて1つの基板上に構成することができる。
【0101】
光強度分岐器904において、入力信号光を等強度でN分岐する。N分岐した信号光をそれぞれを光強度分岐器906−1〜Nにおいてさらに等強度でN分岐する。なお、光強度分岐器904および906−1〜Nは、1入力N2出力の1つの光強度分岐器にまとめても良い。N個の光強度分岐器906−1〜NのそれぞれのN本の分岐出力からの信号光を、それぞれN本の位相シフタ908−1〜Nに入力する。各位相シフタ908では、以下の位相シフトを行う。
【0102】
【数27】
【0103】
そして、位相シフト後の光は、光遅延線910で長さの差がTc0/(Nneff)ずつ異なる遅延を与えられた後、光強度合流器912で合流され、時間ゲート素子914で、光直交周波数分割多重信号S(t)の同一の時間長Tのタイムスロットからの時間的に重なった時間長T/Nの部分のみを時間T毎に周期的に取り出す時間ゲーティングを行う。これにより、式5および8で表される光離散フーリエ変換操作を直接的に実行し、チャネル信号dn(t)を復調することができる。なお、位相シフタ908−1〜Nと光遅延線910−1〜Nの配置の順序は図17の逆でも良い。
【0104】
(第7の参考形態)
図18は、本参考形態に係る受信器の構成例を示している。この光受信器1000は、光直交周波数分割多重された信号光が入力される光入力部1002と、入力された信号光をN分岐する光強度分岐器1004と、分岐した信号光を位相変調する光位相変調器1006−1〜Nと、位相変調して周波数がシフトした信号光を周波数分波する光周波数分波器1008−1〜Nと、分波した信号光のチャーピングを相殺する光位相変調器1010−1〜Nと、分波した信号光をそれぞれ遅延する光遅延線1012−1〜Nと、遅延した信号光を合流する光強度合流器1014−1〜Nと、復調されたチャネル信号を出力する光出力部1016−1〜Nとを備えている。この受信器1000は、導波路技術を用いて1つの基板上に構成することができる。
【0105】
光強度分岐器1004からのそれぞれの光の位相θn(t)に対して、光位相変調器1006−1〜Nは、bnを定数として以下の位相変調を施す。
【0106】
【数28】
【0107】
式18の位相を与えられた光の周波数fn(t)はもとの周波数f0からシフトし、次式で与えられる。
【0108】
【数29】
【0109】
光周波数分波器1008−1〜Nでは、中心周波数2bnT/N毎の分波が行われる。各分波信号の1タイムスロット長はT/Nである。その後、N個の光位相変調器1010が互いに同期して、周期Tで同一の時間長T/Nのタイムスロット内で以下の位相変調が行われる。
【0110】
【数30】
【0111】
式18および式20の第1項は符号が逆であるので、光位相変調器1010において信号のチャーピングは相殺される。式20の第2項では、光離散フーリエ変換に相当する位相が各光パルスに与えられる。各光パルスは、光遅延線1012でTc0/(Nneff)ずつ異なる遅延を与えられた後、光強度合流器1014で合流され、光出力部1016の出力として、光直交周波数分割多重信号S(t)から、式5および式8に対応するチャネル信号dn(t)を復調することができる。なお、光周波数分波器1008−1〜Nにおけるフィルタリングによって、各パルスが重なる部分のみの時間的取り出しは完了している。したがって、図18の受信器は、図16および図17の構成と比較して、時間ゲート素子が不要であるという利点がある。
【0112】
(第8の参考形態)
図19は、本参考形態に係る受信器の構成例を示している。この光受信器1100は、光直交周波数分割多重された信号光が入力される光入力部1102と、入力された信号光を各出力パスにスイッチングする光スイッチ1104と、スイッチングした信号光をN分岐する光強度分岐器1106−1〜Nと、分岐した信号光の位相を調整する光位相シフタ1108−1〜Nと、位相調整された信号光をそれぞれ遅延する光遅延線1110−1〜Nと、遅延した信号光を合流する光強度合流器1112−1〜Nと、復調されたチャネル信号を出力する光出力部1114−1〜Nとを備えている。この受信器1100は、導波路技術を用いて1つの基板上に構成することができる。
【0113】
光スイッチ1104では、光直交周波数分割多重信号S(t)の同一の時間長Tのタイムスロットを、時間長T/Nの部分毎に、異なるN個の出力パスに、時間周期Tで空間的にスイッチングを行う。N個のパスは、光強度分岐器1106−1〜Nにおいて等強度でN分岐される。N個の光強度分岐器のそれぞれのN本の分岐出力からの信号光を、それぞれN本の位相シフタ1108−1〜Nに入力する。各位相シフタ1108では、以下の位相シフトを行う。
【0114】
【数31】
【0115】
そして、位相シフト後の光は、光遅延線1110で長さの差がTc0/(Nneff)ずつ異なる遅延を与えられた後、光強度合流器1112で合流される。これにより、光出力部1114−1〜Nの出力として、光直交周波数分割多重信号S(t)から、式5および8に対応するチャネル信号dn(t)を光離散フーリエ変換により復調することができる。なお、光スイッチ1104におけるスイッチングによって、各パルスが重なる部分のみの時間的取り出しは完了している。
【0116】
送信側におけるそれぞれの同期チャネル信号dn(t)は、並列信号だけでなく、dn(t)のN倍のビットレートを持つ信号からNビットごとに時間分離して得られる信号でもよい。
【0117】
受信側で復調されるそれぞれのチャネル信号dn(t)は、そのまま並列信号として処理しても良いが、dn(t)のN倍のビットレートを持つ信号に時間多重した後、処理する形態でももちろん構わない。
【0118】
以上、本発明について、具体的にいくつかの実施形態について説明したが、本発明の原理を適用できる多くの実施可能な形態に鑑みて、ここに記載した実施形態は、単に例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。ここに例示した実施形態は、本発明の趣旨から逸脱することなくその構成と詳細を変更することができる。さらに、説明のための構成要素および手順は、本発明の趣旨から逸脱することなく変更、補足、またはその順序を変えてもよい。
【符号の説明】
【0119】
3,13 光ファイバ
20 光離散フーリエ変換回路
21−1〜4 入力導波路
23−1〜16 位相調節部
24−1〜16 導波路
26−1〜4 出力導波路
30 光高速フーリエ変換回路
31−1〜4 入力導波路
32−1〜7 位相調節部
33−1〜4 方向性結合器
34−1〜4 出力導波路
40 光高速フーリエ変換回路
41−1〜4 入力導波路
42−1〜4 対称マッハツェンダ型干渉計
43−1〜5 位相調節部
44−1〜4 出力導波路
50 光高速フーリエ変換回路
51−1〜2N 入力導波路
53−1〜2N 導波路
55−1〜2N 出力導波路
100 光OFDM送信器
106−1〜N 光変調器
110 光出力部
200 光OFDM送信器
208−1〜N 光遅延線
212 光出力部
300 光OFDM送信器
306−1〜N 光位相変調器
308−1〜N 光変調器
312 光出力部
400 光OFDM送信器
408−1〜N 光位相変調器
410−1〜N 光遅延線
414 光出力部
500 光OFDM受信器
506−1〜N 光遅延線
510−1〜N 時間ゲート素子
512−1〜N 光出力部
600 光OFDM受信器
602 光入力部
604 光位相変調器
608−1〜N 光位相変調器
610−1〜N 光遅延線
614−1〜N 光出力部
700 光OFDM受信器
702 光入力部
706−1〜N 光遅延線
710−1〜N 光出力部
800 光OFDM受信器
802 光入力部
810−1〜N 光遅延線
816−1〜N 光出力部
900 光OFDM受信器
902 光入力部
908−1〜N 光位相シフタ
910−1〜N 光遅延線
916−1〜N 光出力部
1000 光OFDM受信器
1002 光入力部
1010−1〜N 光位相変調器
1012−1〜N 光遅延線
1016−1〜N 光出力部
1100 光OFDM受信器
1102 光入力部
1108−1〜N 光位相シフタ
1110−1〜N 光遅延線
1114−1〜N 光出力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信分野において高い帯域利用効率を実現することができる光直交周波数分割多重(光OFDM:Optical Orthogonal Frequency Division Multiplexing)伝送用の送受信回路に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムの帯域利用効率を高める手段として、波長分割多重(WDM:Wavelength Dlvision Multiplexing)伝送システムの研究開発が盛んに行われている。チャネル間隔がΔf[Hz]、チャネルあたりのビットレートがBR[bit/s]の場合、WDM伝送システムの帯域利用効率Eは、E=BR/Δfと表される。
【0003】
図1に、WDMシステムの構成例を示す(非特許文献1)。複数の光送信器1−1〜J(等周波数間隔Δf)からのデータ信号を、アレイ導波路格子(AWG:Arrayed−Waveguide Grating)などの波長合波器2を用いて合波する。合波信号は、光ファイバ3を伝送した後、AWGなどの波長分波器4で周波数毎に分波され、複数の光受信器5−1〜Jで受信される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】A.R.Chraplyvy and R.W.Tkach, “Terabit/second Transmission Experiments,” IEEE J. Quantum Electron., vol. 34, no. 11, pp.2103−2107, 1998.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多値ではない通常のIM−DD(Intensity Modulation−Direct Detection)バイナリWDM伝送(強度0,1のみをデータ信号として用いるWDM伝送)の場合、通常、図1においては、チャネル間クロストークを避けるため、Δf>BRと設定することが必須となる。そのため、帯域利用効率が悪くなるという問題があった。
【0006】
また、従来、光OFDM伝送用の信号の生成および復調は、主に電気信号処理によって行われていた。しかしながら、電気信号処理を主とした光OFDM伝送では、電気信号処理の速度に制限されるという問題があった。実際、電気信号処理の場合には、各チャネルのビットレートがMb/sオーダに留まっている。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、チャネル間を直交状態とすることによって、バイナリ伝送においても高い帯域利用効率を実現することができ、各チャネルのビットレートをGb/sオーダーに増大できる光信号処理を用いた光OFDM伝送用の受信器構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、光直交周波数分割多重伝送用の光受信器であって、光直交周波数分割多重された光をN分岐する光強度分岐器と、前記光強度分岐器からのN個の光をそれぞれ遅延するN本の光遅延線と、前記光遅延線からのN個の光を高速フーリエ変換処理するN入力N出力の光高速フーリエ変換回路と、前記光高速フーリエ変換回路からのN個の光をゲート処理して、チャネルごとに復調されたチャネル信号を出力するN個の時間ゲート素子とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、光直交周波数分割多重伝送用の光受信器であって、光直交周波数分割多重された光を位相変調して、チャネル信号のタイムスロット長T内で周波数を時間の関数としてシフトする第1の光位相変調器と、前記光位相変調器からの光を、所定の周波数ごとにN個の光パルスに分波する光周波数分波器と、前記光周波数分波器からのN個の光パルスについて、それぞれが前記第1の光位相変調器とは符号が逆の位相変調を施すN個の第2の光位相変調器と、前記第2の光位相変調器からのN個の光パルスをそれぞれ遅延するN本の光遅延線と、前記光遅延線からのN個の光パルスを高速フーリエ変換処理して、チャネルごとに復調されたチャネル信号を出力するN入力N出力の光高速フーリエ変換回路とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、光直交周波数分割多重伝送用の光受信器であって、光直交周波数分割多重された光を、チャネル信号のタイムスロット長T内でN個のパスにスイッチングする光スイッチと、前記光スイッチからのN個の光パルスをそれぞれ遅延するN本の光遅延線と、前記光遅延線からのN個の光パルスを高速フーリエ変換処理して、チャネルごとに復調されたチャネル信号を出力するN入力N出力の光高速フーリエ変換回路とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の光受信器であって、前記光高速フーリエ変換回路は、N=2L(L:1以上の整数)個の入力および出力を有し、Lが1の場合、1個の2入力2出力の方向性結合器から構成され、Lが2以上の場合、2個のN/2入力N/2出力の光高速フーリエ変換回路と、N/2個の2入力2出力の方向性結合器とから構成され、前記2個の光高速フーリエ変換回路のうちそれぞれの第M番目(M=1,2,・・・,N/2)の出力を、前記N/2個の方向性結合器のうち第M番目の方向性結合器の入力にそれぞれ接続するように構成されたことを特徴とすることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の光受信器であって、前記光高速フーリエ変換回路は、N=2L(L:1以上の整数)個の入力および出力を有し、Lが1の場合、1個の2入力2出力の対称マッハツェンダ干渉計から構成され、Lが2以上の場合、2個のN/2入力N/2出力の光高速フーリエ変換回路と、N/2個の2入力2出力の対称マッハツェンダ干渉計とから構成され、前記2個の光高速フーリエ変換回路のうちそれぞれの第M番目(M=1,2,・・・,N/2)の出力を、前記N/2個の対称マッハツェンダ干渉計のうち第M番目の対称マッハツェンダ干渉計の入力にそれぞれ接続するように構成されたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の光受信器であって、前記光高速フーリエ変換回路は、N=2L(L:1以上の整数)個の入力および出力を有し、Lが1の場合、1個の2入力2出力の方向性結合器または対称マッハツェンダ干渉計から構成され、Lが2以上の場合、2個のN/2入力N/2出力の光高速フーリエ変換回路と、N/2個の2入力2出力の方向性結合器および対称マッハツェンダ干渉計の組み合わせとから構成され、前記2個の光高速フーリエ変換回路のうちそれぞれの第M番目(M=1,2,・・・,N/2)の出力を、前記N/2個の方向性結合器および対称マッハツェンダ干渉計の組み合わせのうち第M番目の方向性結合器または対称マッハツェンダ干渉計の入力にそれぞれ接続するように構成されたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の波長分割多重伝送システムの構成例を示す図である。
【図2】光直交周波数分割多重伝送システムの構成例を示す図である。
【図3】光直交周波数分割多重伝送信号のスペクトルを示す図である。
【図4】第1の参考形態に係る光直交周波数分割多重伝送システム用送信器の構成例を示す図である。
【図5】第2の参考形態に係る光直交周波数分割多重伝送システム用送信器の構成例を示す図である。
【図6】第3の参考形態に係る光直交周波数分割多重伝送システム用送信器の構成例を示す図である。
【図7】第4の参考形態に係る光直交周波数分割多重伝送システム用送信器の構成例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る光直交周波数分割多重伝送システム用受信器の構成例を示す図である。
【図9】光離散フーリエ変換を実現するための光回路の構成例を示す図である。
【図10】光高速フーリエ変換を実現するための光回路の構成例を示す図である。
【図11】光高速フーリエ変換を実現するための光回路の構成例を示す図である。
【図12】光高速フーリエ変換を実現するための光回路の構成例を示す図である。
【図13】図8の直交周波数分割多重伝送システム用受信器での光パルスの様子を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る光直交周波数分割多重伝送システム用受信器の構成例を示す図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る光直交周波数分割多重伝送システム用受信器の構成例を示す図である。
【図16】第5の参考形態に係る光直交周波数分割多重伝送システム用受信器の構成例を示す図である。
【図17】第6の参考形態に係る光直交周波数分割多重伝送システム用受信器の構成例を示す図である。
【図18】第7の参考形態に係る光直交周波数分割多重伝送システム用受信器の構成例を示す図である。
【図19】第8の参考形態に係る光直交周波数分割多重伝送システム用受信器の構成例を示す図である。
【図20】図8でN=4とし、光フーリエ変換回路部を図11で構成した場合の各部の信号スペクトルを示す図であり、(a)は光入力部502での信号スペクトル、(b)は出力導波路44−3での信号スペクトルを示している。
【図21】図8でN=4とし、光フーリエ変換回路部を図11で構成した場合の光出力部512−1〜4での信号のエラーレート特性を測定した結果を示す図である。
【図22】図8でN=4とし、光フーリエ変換回路部を図11で構成した場合の信号d1(t)のエラーレート〜10−9でのアイパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について、図面に示す実施形態を参照して詳細に説明する。
【0016】
まず、光直交周波数分割多重伝送の概要を説明する。図2に、光直交周波数分割多重伝送システムの構成例を示す。ここで、基準搬送波光周波数をf0、第nチャネルと第n+1チャネル間の光周波数間隔をΔfn、各チャネルのタイムスロット時間長をT、それぞれが同期したチャネル信号をdn(t)とする。なお、Nは2以上の整数であり、n=0,1,…,N−1、tは時間を表す。また、Δfn=kn/T(kn:1以上の整数)である。
【0017】
光送信器11−1〜Nでは、発振光周波数間の位相が光周波数領域において保持された光周波数を、それぞれのチャネル信号dn(t)を用いて変調している。発振光周波数間の位相、およびチャネル信号dn(t)間の同期を保ちながら、光強度合流器12を用いて光送信器11−1〜Nからの各変調信号光を合流する。この合流後の信号S(t)は、次式で表される。
【0018】
【数1】
【0019】
サブキャリア(搬送波)ごとの変調波帯信号Sn(t)は、次式のように表される。
【0020】
【数2】
【0021】
隣接するサブキャリアについての変調波帯信号Sn(t)およびSn+1(t)間の相互相関関数CC[Sn(t)Sn+1(t)]は、次式に示すように、隣接するサブキャリア同士は直交している。
【0022】
【数3】
【0023】
このように、nによらずkn=1の場合、隣接チャネルが直交する最小の周波数間隔が得られ、帯域利用効率E=1が実現される。この時の各サブキャリアのスペクトル形状を図3に示す。
【0024】
ある1つのサブキャリアに注目すると、このサブキャリアは他のサブキャリアの中心周波数の位置において周波数成分が0となり、他のサブキャリアに影響を及ぼさない。以降、すべての実施形態では、簡単のためkn=1の場合について議論を進める。この場合、S(t)は、次式のように変形することができる。
【0025】
【数4】
【0026】
すなわち、信号光Sは、チャネル信号dnの逆離散フーリエ変換(IDFT:Inverse Discrete Fourier Transform)となる。この信号光Sは光ファイバ13を通過した後、光離散フーリエ変換素子14を経て、もとのdnに復調され、光受信器15−1〜Nに入射する。光離散フーリエ変換素子14では、次式で表される処理が行われる。
【0027】
【数5】
【0028】
式4および式5は、nのうち1つでもkn≧2(E<1)となる場合でも、対応する離散変換の式が存在し、nによらずkn=1の場合と同様な議論ができる。
【0029】
このように送信器および受信器とも光領域で処理することにより、電気信号処理による速度制限がなくなり、各チャネルのビットレートをGb/sオーダにまで高速化することができる。これにより、光直交周波数分割多重伝送のさらなる大容量化を実現することができる。
【0030】
また、光直交周波数分割多重伝送を用いることによって、時間多重分離(TDM:Time Division Multiplexing)方式における、超短光パルス化を用いた時間多重分離処理(タイムスロットT/N毎の高速時間多重分離処理)を用いる必要はなくなり、タイムスロットT毎の低速での処理のみとなる。
【0031】
(第1の参考形態)
図4は、本参考形態に係る送信器の構成例を示している。この送信器100は、複数の発振光周波数間の位相が光周波数領域において保持された光源102と、光源からの光を光周波数ごとに分波する光周波数分波器104と、分波した光をそれぞれチャネル信号で変調する光変調器106−1〜Nと、変調した信号光を合波する光周波数合波器(あるいは光強度合流器)108と、合波した信号光を出力する光出力部110とを備えている。この送信器100は、例えば、導波路技術を用いて1つの基板上に構成することができる。
【0032】
光源102としては、半導体もしくは光ファイバモードロックレーザ、半導体利得スイッチ光源、または直流光源と光強度変調器(強誘電体材料あるいは半導体材料の電気光学効果を用いた干渉計型変調器、または半導体EA(Electro−Absorption)変調器)とを組み合わせた構成とすることができる。あるいは、直流光源と、光位相変調器(強誘電体材料)とを組み合わせた光周波数コム発生器などを用いることができる。光周波数分波器104および光周波数合波器108としては、アレイ導波路格子または非対称マッハツェンダ型干渉計もしくはそれを多段縦続接続したものなどを用いることができる。光変調器106−1〜Nとしては、強誘電体材料または半導体材料から構成されたものを用いることができる。また、光強度合流器108としては、多モード干渉(MMI:Multi−Mode Interference)カプラ、スターカプラ、方向性結合器を多段縦続接続したもの、または対称マッハツェンダ型干渉計を多段縦続接続したものなどを用いることができる。
【0033】
図4の構成要素の中で、光周波数分波器104、光周波数合波器(あるいは光強度合流器)108および光出力部110、ならびに各構成要素の接続部は、安定かつ低損失(〜0.01dB/cm)で、長さおよび位相を精密に調節可能な、シリコンまたはガラス基板上の石英系ガラス導波路技術を用いて作製することができる。位相調節部としては、石英ガラス上に蒸着されたクロムや窒化タンタルの薄膜ヒータ(熱光学位相シフタ、0.01π以下の精密な位相調節が可能)を用いることができる。また、ポリマー導波路、LiNbO3(LN)、KTa1‐xNbxO3(KTN)などの強誘電体導波路、半導体導波路、シリコン導波路、光ファイバなどの導波路単体、またはこれらを複数用いたハイブリッド構成を用いることも可能である。
【0034】
例えば、光周波数分波器104、光周波数合波器(あるいは光強度合流器)108および光出力部110、ならびに各構成要素の接続部には石英系ガラス導波路を用い、その他の構成要素には他の材料のデバイスを石英系ガラス導波路にハイブリッド集積する構成とすることができる。光源102のモードロックレーザまたは光周波数コム発生器は、複数の周波数間の位相が固定されているため、光周波数分波器104で分岐し、光変調器106−1〜Nにおいて、各周波数成分を、各チャネル信号dn(t)を用いて周期Tで変調(光電変換)する。各変調信号光を、光周波数合波器108を用いて合波、あるいは光強度合流器108を用いて合流することによって、光出力部110において、式1で表される信号光S(t)を得ることができる。
【0035】
ここで、光周波数合波器108を用いる場合には、低損失の合波が可能となるが、周波数依存素子であるため、変調信号光帯域が狭まる欠点が生じる。また、光強度合流器108を用いる場合には、合流損失による損失の増加が生じるが、周波数依存素子ではないため、変調信号光帯域の低減劣化は発生しない。なお、光直交周波数分割多重は、信号の変調ではなく多重化手法であるため、光変調器106−1〜Nにおける変調は、2値強度変調のみに限定されず、2値であるか、多値であるかにかかわらず、強度変調、位相変調、周波数変調、偏波変調等のいずれでも良い。
【0036】
(第2の参考形態)
図5は、本参考形態に係る送信器の構成例を示している。本参考形態に係る光送信器は、光直交周波数分割多重伝送システムにおいて、変調器1つのみを用いて簡便に伝送特性をシミュレートするためのものである。光送信器200は、複数の発振光周波数間の位相が光周波数領域において保持された光源202と、光源からの光を特定のチャネル信号で変調する光変調器204と、変調した信号光を光周波数ごとに分波する光周波数分波器206と、分波した信号光をそれぞれ遅延する光遅延線208−1〜Nと、変調した信号光を合波する光周波数合波器(あるいは光強度合流器)210と、合波した信号光を出力する光出力部212とを備えている。この光送信器200は、例えば、導波路技術を用いて1つの基板上に構成することができる。
【0037】
光変調器204は、光源202からの光を変調する。この場合、光変調器204を駆動する信号はチャネル信号dn(t)のうち1つのみでよい。次に、光周波数分波器206を用いて変調した信号光を波長ごとに分波する。各波長のデータ信号は同一の変調器を用いて変調されたため、時間的に分離し、各波長間のデータ相関を減少させる必要がある。そのため、光遅延線208−1〜Nの長さはそれぞれ異なる値に定め、最小長さを基準とした長さの差は、pTc0/neffとなるように設定する。ここで、pは0または2以上の偶数、c0は真空中の光速、neffは光周波数分波器の出力と光周波数合波器(または光強度合流器)の入力を結ぶN個の部分の等価屈折率である。pを1以上の奇数としないのは、各波長間で同じデータが連続するのを避けるためである。最後に、光周波数合波器(あるいは光強度合流器)210を用いて各波長の信号を合波し(あるいは合流し)、光出力部212で信号光S(t)のシミュレーション信号が得られる。なお、遅延線以外では各波長に対応する導波路の長さは等しく設定されているものとする。
【0038】
(第3の参考形態)
図6は、本参考形態に係る送信器の構成例を示している。この光送信器300は、特定の発振光周波数を有する光源302と、光源からの光をN分岐する光強度分岐器304と、分岐した光を位相変調する光位相変調器306−1〜Nと、位相変調して周波数がシフトした光をチャネル信号で変調する光変調器308−1〜Nと、変調した信号光を合波する光周波数合波器(あるいは光強度合流器)310と、合波した信号光を出力する光出力部312とを備えている。この光送信器302は、例えば、導波路技術を用いて1つの基板上に構成することができる。
【0039】
光源302からの特定の発振光周波数f0を有する光を、光強度分岐器304を用いてN分岐し、光位相変調器306−1〜Nに入射する。光強度分岐器304は、光強度合流器の入出力を逆にして構成することができる。光位相変調器306−1〜Nは、各チャネルの光の位相φn(t)に対して以下の位相変調を施す。
【0040】
【数6】
【0041】
式6の位相変調を与えられた光の周波数fn(t)はもとの周波数f0からシフトし、次式で与えられる。
【0042】
【数7】
【0043】
そして、光変調器308−1〜Nで、各チャネルの周波数成分fn(t)を、各チャネル信号dn(t)を用いて変調し、光周波数合波器(あるいは光強度合流器)310で中心周波数
【0044】
【数8】
【0045】
毎の合波(あるいは合流)を行うことによって、光出力部312において、式1で表される信号光S(t)を得ることができる。
【0046】
光周波数合波器310は、光強度合流器310とするよりも素子の損失は低下する。光周波数合波器310での中心周波数
【0047】
【数9】
【0048】
毎の合波は、不均一な周波数間隔となる可能性があるが、アレイ導波路格子または非対称マッハツェンダ型干渉計もしくはそれを多段縦続接続した光周波数合波器は、不均一な周波数間隔の合波にも対応可能である。
【0049】
(第4の参考形態)
図7は、本参考形態に係る送信器の構成例を示している。本参考形態に係る光送信器は、光直交周波数分割多重伝送システムにおいて、変調器1つのみを用いて簡便に伝送特性をシミュレートするためのものである。光送信器400は、特定の発振光周波数を有する光源402と、光源からの光を特定のチャネル信号で変調する光変調器404と、変調した信号光をN分岐する光強度分岐器406と、分岐した信号光を位相変調する光位相変調器408−1〜Nと、位相変調した信号光をそれぞれ遅延する光遅延線410−1〜Nと、遅延した信号光を合波する光周波数合波器(あるいは光強度合流器)412と、合波した信号光を出力する光出力部414とを備えている。この光送信器400は、例えば、導波路技術を用いて1つの基板上に構成することができる。
【0050】
光源402からの特定の発振光周波数f0を有する光を、光変調器404を用いて変調する。光変調器404を駆動する信号はチャネル信号dn(t)のうち1つのみでよい。次に、光強度分岐器406を用いて変調信号光をN分岐し、光位相変調器408−1〜Nに入射する。光位相変調器408−1〜Nでは、各チャネルの光の位相φn(t)および周波数fn(t)は、それぞれ、式6および式7で表される。各分岐のデータ信号は同一の変調器を用いて変調されたため、時間的に分離し、各波長間のデータ相関を減少させる必要がある。そのため、光遅延線410−1〜Nの長さはそれぞれ異なる値に定め、最小長さを基準とした長さの差は、pTc0/neffとなるように設定する。ここで、pは0および2以上の偶数、c0は真空中の光速、neffは光強度分岐器の出力と光周波数合波器(または光強度合流器)の入力を結ぶN個の部分の等価屈折率である。最後に、光周波数合波器(あるいは光強度合流器)412を用いて各チャネルの変調信号光を合波し(あるいは合流し)、光出力部414で信号光S(t)のシミュレーション信号が得られる。
【0051】
(第1の実施形態)
図8は、本発明の第1実施形態に係る受信器の構成例を示している。この光受信器500は、光直交周波数分割多重された信号光が入力される光入力部502と、入力された信号光をN分岐する光強度分岐器504と、分岐した信号光をそれぞれ遅延する光遅延線506−1〜Nと、遅延した信号光をフーリエ変換処理する光高速フーリエ変換回路508と、フーリエ変換処理された信号光をゲート処理する時間ゲート素子510−1〜Nと、復調されたチャネル信号を出力する光出力部512−1〜Nとを備えている。この光受信器500は、例えば、導波路技術を用いて1つの基板上に構成することができる。
【0052】
受信側において、光直交周波数分割多重された信号光S(t)から各チャネル信号dn(t)を一括復調する際、式5で示す光離散フーリエ変換が必要となる。光離散フーリエ変換の演算量(かけ算量)を削減し、ハード面でも構成の簡略化が可能な光高速フーリエ変換について説明する。なお、簡単のためN=4の場合について説明する。この場合、式5で示す光離散フーリエ変換は次式で表される。
【0053】
【数10】
【0054】
ここで、チャネル信号dn(t)は次式のように変形できる。
【0055】
【数11】
【0056】
したがって、式8は、次式のように変形できる。
【0057】
【数12】
【0058】
式10は、式8と比較してかけ算の数が16から8に低減されている。これが光高速フーリエ変換である。かけ算が半分となっているため、演算量の低下、すなわち演算を実現するための光回路構成の簡略化を実現することができる。
【0059】
図9に、式8の演算を実現するための光回路の構成例を、図10および図11に、式10を実現するための光回路の構成例を示す。
【0060】
図9は、光離散フーリエ変換を実現するための光回路である。この光回路20は、4本の入力導波路21−1〜4と、4個の光強度分岐器22−1〜4と、16個の位相調節部23−1〜16と、16本の導波路24−1〜16と、4個の光強度合流器25−1〜4と、4本の出力導波路26−1〜4とから構成されている。入力導波路21−1〜4のそれぞれの長さ、導波路24−1〜16のそれぞれの長さ、および出力導波路26−1〜4のそれぞれの長さは等しく設定する。これは、式8における位相関係を保持するためである。計16個(一般的にはN2個)の位相調節部23−1〜16の位相を調節することによって、式8の関係が満たされるようにする。なお、位相調節部23−1〜16の1つに対して、他の15個の位相調節部の相対位相が合えばよいので、位相調節部の必要最低数は15個(一般的にはN2−1個)となる。このようにして光離散フーリエ変換を実際の光回路を用いて実現することができる。なお、この光回路は、交差部分が多く、導波路損失が高くなる欠点がある。
【0061】
図10は、光高速フーリエ変換を実現するための光回路である。この光回路30は、4本の入力導波路31−1〜4と、7個の位相調節部32−1〜7と、4個の方向性結合器33−1〜4と、4本の出力導波路34−1〜4とから構成されている。入力導波路31−1〜4のそれぞれの長さ、出力導波路34−1〜4のそれぞれの長さ、方向性結合器33−1〜4同士を結ぶ導波路のそれぞれの長さは等しく設定する。これは、式10における位相関係を保持するためである。方向性結合器33−1〜4の伝達行列fcplは、強度結合率κが0.5(3dBカプラ)の場合、次式で表される。
【0062】
【数13】
【0063】
したがって、位相調節部32−1〜7の位相を−π/2(伝達式exp(jπ/2))に設定した場合、図10の構成を用いて式10の演算(光高速フーリエ変換)が実現できる。詳細は以下の通りである。図10中の(F0,F1)、(F2,F3)は以下の式で表される。
【0064】
【数14】
【0065】
【数15】
【0066】
よって、(d0(t),d2(t))、(d1(t),d3(t))は以下の式で表される。
【0067】
【数16】
【0068】
【数17】
【0069】
上2式は、定数倍の係数を除いて式10に一致する。
【0070】
方向性結合器の伝達行列および図10の出力を示すベクトル表示における定数倍の係数は、信号の復調には影響しない。なお、図10の構成例は、例示であり、位相調節部32−1〜7の設置場所やその設定量は変更してもよい。図9と比較して、図10の構成では、導波路の数は24から4に、位相調節部の数は15から7に低減されていることがわかる。この低減効果は、通常2の倍数に設定されるNの数が大きくなるほど顕著になる。なお、方向性結合器33−1〜4としては、多モード干渉(MMI:Multi−Mode Interference)カプラ、スターカプラなどを用いることもできる。
【0071】
図11は、光高速フーリエ変換を実現するための他の構成の光回路を示している。この光回路40は、4本の入力導波路41−1〜4と、4個の対称マッハツェンダ型干渉計42−1〜4と、5個の位相調節部43−1〜5と、4本の出力導波路44−1〜4とから構成されている。入力導波路41−1〜4のそれぞれの長さ、出力導波路44−1〜4のそれぞれの長さ、対称マッハツェンダ型干渉計42−1〜4同士を結ぶ導波路のそれぞれの長さは等しく設定する。これは、式10における位相関係を保持するためである。対称マッハツェンダ型干渉計42−1〜4の伝達行列fsmziは、対称マッハツェンダ型干渉計を構成する方向性結合器の強度結合率κが0.5、位相調節部43−1〜4の位相設定量φがπ/2の場合、次式で表される。
【0072】
【数18】
【0073】
したがって、位相調節部43−5の位相をπ/2(伝達式exp(−jπ/2))に設定した場合、図11の構成を用いて式10の演算(光高速フーリエ変換)が実現できる。詳細は以下の通りである。図11中の(F0,F1)、(F2,F3)は以下の式で表される。
【0074】
【数19】
【0075】
【数20】
【0076】
よって、(d0(t),d2(t))、(d1(t),d3(t))は以下の式で表される。
【0077】
【数21】
【0078】
【数22】
【0079】
上2式は、定数倍の係数を除いて式10に一致する。
【0080】
なお、図11の構成例は、例示であり、位相調節部43−5の設置場所やその設定量は変更することができる。図10と比較して、図11の構成ではさらに、位相調節部の数は7から5に低減されていることがわかる。この低減効果はNの数が大きくなるほど顕著になる。
【0081】
図10および11に関する説明より、光高速フーリエ変換を実現するためには、方向性結合器と対称マッハツェンダ型干渉計は、総数がNであれば、任意の数ずつ組み合わせて用いても良い。また、一般に、2N入力2N出力の光高速フーリエ変換回路は、N入力N出力の光高速フーリエ変換回路を2個組み合わせて、図12のように構成することができる。
【0082】
この光回路50は、2N本の入力導波路51−1〜2Nと、2個のN入力N出力の光高速フーリエ変調回路52−1および52−2と、2N本の光高速フーリエ変調回路と方向性結合器を接続する導波路53−1〜2Nと、N個の方向性結合器(あるいは対称マッハツェンダ型干渉計)54−1〜Nと、2N本の出力導波路55−1〜2Nとから構成されている。なお、この図では位相調節部は省略した。入力導波路51−1〜2Nのそれぞれの長さ、導波路53−1〜2Nのそれぞれの長さ、および出力導波路55−1〜2Nのそれぞれの長さは等しい長さに設定する。これは、式10における位相関係を保持するためである。また、光高速フーリエ変換を実現するための他の光回路の構成として、N入力N出力のMMIカプラやスターカプラなども考えられる。
【0083】
図13に、図8の各部での1タイムスロット分の光パルスの様子を示す。具体的には、図13(a)は、図8の入力導波路部での光パルスの様子であり、図13(b)は、図8の遅延線の出力での光パルスの様子であり、図13(c)は、図8の光高速フーリエ変換回路の出力での光パルスの様子であり、図13(d)は、図8の出力導波路部での光パルスの様子を示している。本図においても、簡単のため、N=4の場合について説明する。図13(a)に示す入力光パルスは、光強度分岐器504でN分岐され、光遅延線506−1〜NではTc0/(Nneff)ずつ異なる遅延を与えられる(図13(b))。光高速フーリエ変換回路508において、光高速フーリエ変換に相当する位相が各光パルスに与えられる(図13(c))。各パルスが重なった部分のみを時間ゲート素子510−1〜Nによるゲーティングにて時間的に取り出した場合、光直交周波数分割多重信号S(t)から、式10に対応するdn(t)を復調することができる。
【0084】
なお、時間ゲート素子510−1〜Nとしては、強誘電体材料あるいは半導体材料の電気光学効果を用いた干渉計型変調器や、半導体光増幅器(SOA:Semlconductor Optical Amplifier)を用いたゲーティング、信号光の光電変換後の電気領域でのゲーティングなどを用いることができるが、ゲート時間窓を短く設定することができる半導体EA変調器が現状では最適であると考えられる。
【0085】
図8でN=4とし、光フーリエ変換回路部を図11で構成した場合について、図8の動作を実証する実験を行った。図8の光入力部502に10Gbit/s×4チャネルの光OFDM信号を入射した。各チャネルは別々のデータ信号で変調され、各チャネル間の周波数差は10GHzである。図20(a)、(b)に、それぞれ光入力部502および出力導波路44−3での信号スペクトルを示す。図20(b)より、d1(t)のスペクトルがきれいに抜き出されていることがわかる。また、図21に、光出力部512−1〜4での信号(それぞれ、d0(t),d2(t),d1(t),d3(t)に対応)のエラーレート特性を測定した結果を示す。●は、光入力部502にd1(t)のみを入射した場合の参照エラーレート特性を示す。また、図22に示すアイパターンは、d1(t)のエラーレート〜10−9でのものを示している。図21の結果より、図8の構成を用いて、d0(t),d2(t),d1(t),d3(t)のいずれに関してもエラーレート〜10−9が達成され、光OFDM信号から正確に分離されていることがわかる。
【0086】
(第2の実施形態)
図14は、本発明の第2の実施形態に係る受信器の構成例を示している。この光受信器600は、光直交周波数分割多重された信号光が入力される光入力部602と、入力された信号光を位相変調する光位相変調器604と、位相変調して周波数がシフトした信号光を周波数分波する光周波数分波器606と、分波した信号光のチャーピングを相殺する光位相変調器608−1〜Nと、分波した信号光をそれぞれ遅延する光遅延線610−1〜Nと、遅延した信号光をフーリエ変換処理する光高速フーリエ変換回路612と、復調されたチャネル信号を出力する光出力部614−1〜Nとを備えている。この受信器600は、例えば、導波路技術を用いて1つの基板上に構成することができる。
【0087】
光入力部602からの光直交周波数分割多重された信号光の位相θ(t)に対して、光位相変調器604は、aを定数として以下の位相変調を施す。
【0088】
【数23】
【0089】
式13の位相変調を与えられた光の周波数f(t)はもとの周波数f0からシフトし、次式で与えられる。
【0090】
【数24】
【0091】
光周波数分波器606では、位相変調により周波数がシフトされる信号光f(t)に対して、光中心周波数2aT/N毎の分波が行われる。各分波信号光の1タイムスロット長はT/Nである。その後、N個の光位相変調器608−1〜Nが互いに同期して、周期Tで同一の時間長T/Nのタイムスロット内で以下の位相変調が行われる。
【0092】
【数25】
【0093】
式13および式15は符号が逆であるので、光位相変調器608−1〜Nにおいて信号光のチャーピングは相殺される。次に、光遅延線610−1〜NでTc0/(Nneff)ずつ異なる遅延を与えられた後、N入力N出力の光高速フーリエ変換回路612において、光高速フーリエ変換に相当する位相が各光パルスに与えられる。光出力部614−1〜Nの出力として、光直交周波数分割多重信号S(t)から、式10に対応するチャネル信号dn(t)を復調することができる。なお、光周波数分波器606におけるフィルタリングによって、各パルスが重なる部分のみの時間的取り出しは完了している。したがって、図14の受信器は、図8の構成と比較して、時間ゲート素子が不要であるという利点がある。
【0094】
(第3の実施形態)
図15は、本発明の第3の実施形態に係る受信器の構成例を示している。この光受信器700は、光直交周波数分割多重された信号光が入力される光入力部702と、入力された信号光を各パスにスイッチングする光スイッチ704と、スイッチングした信号光をそれぞれ遅延する光遅延線706−1〜Nと、遅延した信号光をフーリエ変換処理する光高速フーリエ変換回路708と、復調されたチャネル信号を出力する光出力部710−1〜Nとを備えている。この受信器700は、例えば、導波路技術を用いて1つの基板上に構成することができる。
【0095】
光スイッチ704では、光直交周波数分割多重信号S(t)の同一の時間長Tのタイムスロットを、時間長T/Nの部分毎に、異なるN個の出力パスに、時間周期Tで空間的にスイッチングを行う。スイッチングにより取り出された光パルスは、光遅延線706−1〜NでTc0/(Nneff)ずつ異なる遅延を与えられた後、光高速フーリエ変換回路708において、光高速フーリエ変換に相当する位相が各光パルスに与えられる。光出力部710−1〜Nの出力として、光直交周波数分割多重信号S(t)から、式10に対応するチャネル信号dn(t)を復調することができる。なお、光スイッチ704におけるスイッチングによって、各パルスが重なる部分のみの時間的取り出しは完了している。したがって、図15の受信器は、図8の構成と比較して、時間ゲート素子が不要であるという利点がある。光スイッチ704としては、高速性が要求されるため、通常、強誘電体材料あるいは半導体材料から構成されるものが用いられる。
【0096】
(第5の参考形態)
図16は、本参考形態に係る受信器の構成例を示している。この光受信器800は、光直交周波数分割多重された信号光が入力される光入力部802と、入力された信号光をN分岐する光強度分岐器804と、分岐した信号光を位相変調する光位相変調器806−1〜Nと、位相変調した信号光をさらにN分岐する光強度分岐器808−1〜Nと、分岐した信号光をそれぞれ遅延する光遅延線810−1〜Nと、遅延した信号光を合流する光強度合流器812−1〜Nと、合流した信号光をゲート処理する時間ゲート素子814−1〜Nと、復調されたチャネル信号を出力する光出力部816−1〜Nとを備えている。この受信器800は、例えば、導波路技術を用いて1つの基板上に構成することができる。
【0097】
光強度分岐器804において、入力信号光を等強度でN分岐する。各位相変調器806は、周期Tで同一の時間長Tのタイムスロット内で位相φn(t)に対して以下の位相変調を施す。
【0098】
【数26】
【0099】
次に、光強度分岐器808で、位相変調器806からの光をさらに等強度でN分岐する。そして、分岐後の光は、光遅延線810でTc0/(Nneff)ずつ異なる遅延を与えられた後、光強度合流器812で合流され、時間ゲート素子814で、光直交周波数分割多重信号S(t)の同一の時間長Tのタイムスロットからの時間的に重なった時間長T/Nの部分のみを時間T毎に周期的に取り出す時間ゲーティングを行うことにより、式5および式8で表される光離散フーリエ変換操作を直接的に実行し、チャネル信号dn(t)を復調することができる。
【0100】
(第6の参考形態)
図17は、本参考形態に係る受信器の構成例を示している。この光受信器900は、光直交周波数分割多重された信号光が入力される光入力部902と、入力された信号光をN分岐する光強度分岐器904と、分岐した信号光をさらに分岐する光強度分岐器906−1〜Nと、分岐した信号光の位相を調整する光位相シフタ908−1〜Nと、位相調整された信号光をそれぞれ遅延する光遅延線910−1〜Nと、遅延した信号光を合流する光強度合流器912−1〜Nと、合流した信号光をゲート処理する時間ゲート素子914−1〜Nと、復調されたチャネル信号を出力する光出力部916−1〜Nとを備えている。この受信器900は、例えば、導波路技術を用いて1つの基板上に構成することができる。
【0101】
光強度分岐器904において、入力信号光を等強度でN分岐する。N分岐した信号光をそれぞれを光強度分岐器906−1〜Nにおいてさらに等強度でN分岐する。なお、光強度分岐器904および906−1〜Nは、1入力N2出力の1つの光強度分岐器にまとめても良い。N個の光強度分岐器906−1〜NのそれぞれのN本の分岐出力からの信号光を、それぞれN本の位相シフタ908−1〜Nに入力する。各位相シフタ908では、以下の位相シフトを行う。
【0102】
【数27】
【0103】
そして、位相シフト後の光は、光遅延線910で長さの差がTc0/(Nneff)ずつ異なる遅延を与えられた後、光強度合流器912で合流され、時間ゲート素子914で、光直交周波数分割多重信号S(t)の同一の時間長Tのタイムスロットからの時間的に重なった時間長T/Nの部分のみを時間T毎に周期的に取り出す時間ゲーティングを行う。これにより、式5および8で表される光離散フーリエ変換操作を直接的に実行し、チャネル信号dn(t)を復調することができる。なお、位相シフタ908−1〜Nと光遅延線910−1〜Nの配置の順序は図17の逆でも良い。
【0104】
(第7の参考形態)
図18は、本参考形態に係る受信器の構成例を示している。この光受信器1000は、光直交周波数分割多重された信号光が入力される光入力部1002と、入力された信号光をN分岐する光強度分岐器1004と、分岐した信号光を位相変調する光位相変調器1006−1〜Nと、位相変調して周波数がシフトした信号光を周波数分波する光周波数分波器1008−1〜Nと、分波した信号光のチャーピングを相殺する光位相変調器1010−1〜Nと、分波した信号光をそれぞれ遅延する光遅延線1012−1〜Nと、遅延した信号光を合流する光強度合流器1014−1〜Nと、復調されたチャネル信号を出力する光出力部1016−1〜Nとを備えている。この受信器1000は、導波路技術を用いて1つの基板上に構成することができる。
【0105】
光強度分岐器1004からのそれぞれの光の位相θn(t)に対して、光位相変調器1006−1〜Nは、bnを定数として以下の位相変調を施す。
【0106】
【数28】
【0107】
式18の位相を与えられた光の周波数fn(t)はもとの周波数f0からシフトし、次式で与えられる。
【0108】
【数29】
【0109】
光周波数分波器1008−1〜Nでは、中心周波数2bnT/N毎の分波が行われる。各分波信号の1タイムスロット長はT/Nである。その後、N個の光位相変調器1010が互いに同期して、周期Tで同一の時間長T/Nのタイムスロット内で以下の位相変調が行われる。
【0110】
【数30】
【0111】
式18および式20の第1項は符号が逆であるので、光位相変調器1010において信号のチャーピングは相殺される。式20の第2項では、光離散フーリエ変換に相当する位相が各光パルスに与えられる。各光パルスは、光遅延線1012でTc0/(Nneff)ずつ異なる遅延を与えられた後、光強度合流器1014で合流され、光出力部1016の出力として、光直交周波数分割多重信号S(t)から、式5および式8に対応するチャネル信号dn(t)を復調することができる。なお、光周波数分波器1008−1〜Nにおけるフィルタリングによって、各パルスが重なる部分のみの時間的取り出しは完了している。したがって、図18の受信器は、図16および図17の構成と比較して、時間ゲート素子が不要であるという利点がある。
【0112】
(第8の参考形態)
図19は、本参考形態に係る受信器の構成例を示している。この光受信器1100は、光直交周波数分割多重された信号光が入力される光入力部1102と、入力された信号光を各出力パスにスイッチングする光スイッチ1104と、スイッチングした信号光をN分岐する光強度分岐器1106−1〜Nと、分岐した信号光の位相を調整する光位相シフタ1108−1〜Nと、位相調整された信号光をそれぞれ遅延する光遅延線1110−1〜Nと、遅延した信号光を合流する光強度合流器1112−1〜Nと、復調されたチャネル信号を出力する光出力部1114−1〜Nとを備えている。この受信器1100は、導波路技術を用いて1つの基板上に構成することができる。
【0113】
光スイッチ1104では、光直交周波数分割多重信号S(t)の同一の時間長Tのタイムスロットを、時間長T/Nの部分毎に、異なるN個の出力パスに、時間周期Tで空間的にスイッチングを行う。N個のパスは、光強度分岐器1106−1〜Nにおいて等強度でN分岐される。N個の光強度分岐器のそれぞれのN本の分岐出力からの信号光を、それぞれN本の位相シフタ1108−1〜Nに入力する。各位相シフタ1108では、以下の位相シフトを行う。
【0114】
【数31】
【0115】
そして、位相シフト後の光は、光遅延線1110で長さの差がTc0/(Nneff)ずつ異なる遅延を与えられた後、光強度合流器1112で合流される。これにより、光出力部1114−1〜Nの出力として、光直交周波数分割多重信号S(t)から、式5および8に対応するチャネル信号dn(t)を光離散フーリエ変換により復調することができる。なお、光スイッチ1104におけるスイッチングによって、各パルスが重なる部分のみの時間的取り出しは完了している。
【0116】
送信側におけるそれぞれの同期チャネル信号dn(t)は、並列信号だけでなく、dn(t)のN倍のビットレートを持つ信号からNビットごとに時間分離して得られる信号でもよい。
【0117】
受信側で復調されるそれぞれのチャネル信号dn(t)は、そのまま並列信号として処理しても良いが、dn(t)のN倍のビットレートを持つ信号に時間多重した後、処理する形態でももちろん構わない。
【0118】
以上、本発明について、具体的にいくつかの実施形態について説明したが、本発明の原理を適用できる多くの実施可能な形態に鑑みて、ここに記載した実施形態は、単に例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。ここに例示した実施形態は、本発明の趣旨から逸脱することなくその構成と詳細を変更することができる。さらに、説明のための構成要素および手順は、本発明の趣旨から逸脱することなく変更、補足、またはその順序を変えてもよい。
【符号の説明】
【0119】
3,13 光ファイバ
20 光離散フーリエ変換回路
21−1〜4 入力導波路
23−1〜16 位相調節部
24−1〜16 導波路
26−1〜4 出力導波路
30 光高速フーリエ変換回路
31−1〜4 入力導波路
32−1〜7 位相調節部
33−1〜4 方向性結合器
34−1〜4 出力導波路
40 光高速フーリエ変換回路
41−1〜4 入力導波路
42−1〜4 対称マッハツェンダ型干渉計
43−1〜5 位相調節部
44−1〜4 出力導波路
50 光高速フーリエ変換回路
51−1〜2N 入力導波路
53−1〜2N 導波路
55−1〜2N 出力導波路
100 光OFDM送信器
106−1〜N 光変調器
110 光出力部
200 光OFDM送信器
208−1〜N 光遅延線
212 光出力部
300 光OFDM送信器
306−1〜N 光位相変調器
308−1〜N 光変調器
312 光出力部
400 光OFDM送信器
408−1〜N 光位相変調器
410−1〜N 光遅延線
414 光出力部
500 光OFDM受信器
506−1〜N 光遅延線
510−1〜N 時間ゲート素子
512−1〜N 光出力部
600 光OFDM受信器
602 光入力部
604 光位相変調器
608−1〜N 光位相変調器
610−1〜N 光遅延線
614−1〜N 光出力部
700 光OFDM受信器
702 光入力部
706−1〜N 光遅延線
710−1〜N 光出力部
800 光OFDM受信器
802 光入力部
810−1〜N 光遅延線
816−1〜N 光出力部
900 光OFDM受信器
902 光入力部
908−1〜N 光位相シフタ
910−1〜N 光遅延線
916−1〜N 光出力部
1000 光OFDM受信器
1002 光入力部
1010−1〜N 光位相変調器
1012−1〜N 光遅延線
1016−1〜N 光出力部
1100 光OFDM受信器
1102 光入力部
1108−1〜N 光位相シフタ
1110−1〜N 光遅延線
1114−1〜N 光出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光直交周波数分割多重伝送用の光受信器であって、
光直交周波数分割多重された光をN分岐する光強度分岐器と、
前記光強度分岐器からのN個の光をそれぞれ遅延するN本の光遅延線と、
前記光遅延線からのN個の光を高速フーリエ変換処理するN入力N出力の光高速フーリエ変換回路と、
前記光高速フーリエ変換回路からのN個の光をゲート処理して、チャネルごとに復調されたチャネル信号を出力するN個の時間ゲート素子と
を備えたことを特徴とする光受信器。
【請求項2】
光直交周波数分割多重伝送用の光受信器であって、
光直交周波数分割多重された光を位相変調して、チャネル信号のタイムスロット長T内で周波数を時間の関数としてシフトする第1の光位相変調器と、
前記光位相変調器からの光を、所定の周波数ごとにN個の光パルスに分波する光周波数分波器と、
前記光周波数分波器からのN個の光パルスについて、それぞれが前記第1の光位相変調器とは符号が逆の位相変調を施すN個の第2の光位相変調器と、
前記第2の光位相変調器からのN個の光パルスをそれぞれ遅延するN本の光遅延線と、
前記光遅延線からのN個の光パルスを高速フーリエ変換処理して、チャネルごとに復調されたチャネル信号を出力するN入力N出力の光高速フーリエ変換回路と
を備えたことを特徴とする光受信器。
【請求項3】
光直交周波数分割多重伝送用の光受信器であって、
光直交周波数分割多重された光を、チャネル信号のタイムスロット長T内でN個のパスにスイッチングする光スイッチと、
前記光スイッチからのN個の光パルスをそれぞれ遅延するN本の光遅延線と、
前記光遅延線からのN個の光パルスを高速フーリエ変換処理して、チャネルごとに復調されたチャネル信号を出力するN入力N出力の光高速フーリエ変換回路と
を備えたことを特徴とする光受信器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の光受信器であって、
前記光高速フーリエ変換回路は、N=2L(L:1以上の整数)個の入力および出力を有し、
Lが1の場合、1個の2入力2出力の方向性結合器から構成され、
Lが2以上の場合、2個のN/2入力N/2出力の光高速フーリエ変換回路と、N/2個の2入力2出力の方向性結合器とから構成され、前記2個の光高速フーリエ変換回路のうちそれぞれの第M番目(M=1,2,・・・,N/2)の出力を、前記N/2個の方向性結合器のうち第M番目の方向性結合器の入力にそれぞれ接続するように構成されたことを特徴とすることを特徴とする光受信器。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の光受信器であって、
前記光高速フーリエ変換回路は、N=2L(L:1以上の整数)個の入力および出力を有し、
Lが1の場合、1個の2入力2出力の対称マッハツェンダ干渉計から構成され、
Lが2以上の場合、2個のN/2入力N/2出力の光高速フーリエ変換回路と、N/2個の2入力2出力の対称マッハツェンダ干渉計とから構成され、前記2個の光高速フーリエ変換回路のうちそれぞれの第M番目(M=1,2,・・・,N/2)の出力を、前記N/2個の対称マッハツェンダ干渉計のうち第M番目の対称マッハツェンダ干渉計の入力にそれぞれ接続するように構成されたことを特徴とする光受信器。
【請求項6】
請求項1から3のいずれかに記載の光受信器であって、
前記光高速フーリエ変換回路は、N=2L(L:1以上の整数)個の入力および出力を有し、
Lが1の場合、1個の2入力2出力の方向性結合器または対称マッハツェンダ干渉計から構成され、
Lが2以上の場合、2個のN/2入力N/2出力の光高速フーリエ変換回路と、N/2個の2入力2出力の方向性結合器および対称マッハツェンダ干渉計の組み合わせとから構成され、前記2個の光高速フーリエ変換回路のうちそれぞれの第M番目(M=1,2,・・・,N/2)の出力を、前記N/2個の方向性結合器および対称マッハツェンダ干渉計の組み合わせのうち第M番目の方向性結合器または対称マッハツェンダ干渉計の入力にそれぞれ接続するように構成されたことを特徴とする光受信器。
【請求項1】
光直交周波数分割多重伝送用の光受信器であって、
光直交周波数分割多重された光をN分岐する光強度分岐器と、
前記光強度分岐器からのN個の光をそれぞれ遅延するN本の光遅延線と、
前記光遅延線からのN個の光を高速フーリエ変換処理するN入力N出力の光高速フーリエ変換回路と、
前記光高速フーリエ変換回路からのN個の光をゲート処理して、チャネルごとに復調されたチャネル信号を出力するN個の時間ゲート素子と
を備えたことを特徴とする光受信器。
【請求項2】
光直交周波数分割多重伝送用の光受信器であって、
光直交周波数分割多重された光を位相変調して、チャネル信号のタイムスロット長T内で周波数を時間の関数としてシフトする第1の光位相変調器と、
前記光位相変調器からの光を、所定の周波数ごとにN個の光パルスに分波する光周波数分波器と、
前記光周波数分波器からのN個の光パルスについて、それぞれが前記第1の光位相変調器とは符号が逆の位相変調を施すN個の第2の光位相変調器と、
前記第2の光位相変調器からのN個の光パルスをそれぞれ遅延するN本の光遅延線と、
前記光遅延線からのN個の光パルスを高速フーリエ変換処理して、チャネルごとに復調されたチャネル信号を出力するN入力N出力の光高速フーリエ変換回路と
を備えたことを特徴とする光受信器。
【請求項3】
光直交周波数分割多重伝送用の光受信器であって、
光直交周波数分割多重された光を、チャネル信号のタイムスロット長T内でN個のパスにスイッチングする光スイッチと、
前記光スイッチからのN個の光パルスをそれぞれ遅延するN本の光遅延線と、
前記光遅延線からのN個の光パルスを高速フーリエ変換処理して、チャネルごとに復調されたチャネル信号を出力するN入力N出力の光高速フーリエ変換回路と
を備えたことを特徴とする光受信器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の光受信器であって、
前記光高速フーリエ変換回路は、N=2L(L:1以上の整数)個の入力および出力を有し、
Lが1の場合、1個の2入力2出力の方向性結合器から構成され、
Lが2以上の場合、2個のN/2入力N/2出力の光高速フーリエ変換回路と、N/2個の2入力2出力の方向性結合器とから構成され、前記2個の光高速フーリエ変換回路のうちそれぞれの第M番目(M=1,2,・・・,N/2)の出力を、前記N/2個の方向性結合器のうち第M番目の方向性結合器の入力にそれぞれ接続するように構成されたことを特徴とすることを特徴とする光受信器。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の光受信器であって、
前記光高速フーリエ変換回路は、N=2L(L:1以上の整数)個の入力および出力を有し、
Lが1の場合、1個の2入力2出力の対称マッハツェンダ干渉計から構成され、
Lが2以上の場合、2個のN/2入力N/2出力の光高速フーリエ変換回路と、N/2個の2入力2出力の対称マッハツェンダ干渉計とから構成され、前記2個の光高速フーリエ変換回路のうちそれぞれの第M番目(M=1,2,・・・,N/2)の出力を、前記N/2個の対称マッハツェンダ干渉計のうち第M番目の対称マッハツェンダ干渉計の入力にそれぞれ接続するように構成されたことを特徴とする光受信器。
【請求項6】
請求項1から3のいずれかに記載の光受信器であって、
前記光高速フーリエ変換回路は、N=2L(L:1以上の整数)個の入力および出力を有し、
Lが1の場合、1個の2入力2出力の方向性結合器または対称マッハツェンダ干渉計から構成され、
Lが2以上の場合、2個のN/2入力N/2出力の光高速フーリエ変換回路と、N/2個の2入力2出力の方向性結合器および対称マッハツェンダ干渉計の組み合わせとから構成され、前記2個の光高速フーリエ変換回路のうちそれぞれの第M番目(M=1,2,・・・,N/2)の出力を、前記N/2個の方向性結合器および対称マッハツェンダ干渉計の組み合わせのうち第M番目の方向性結合器または対称マッハツェンダ干渉計の入力にそれぞれ接続するように構成されたことを特徴とする光受信器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−257313(P2012−257313A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−181069(P2012−181069)
【出願日】平成24年8月17日(2012.8.17)
【分割の表示】特願2008−273491(P2008−273491)の分割
【原出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月17日(2012.8.17)
【分割の表示】特願2008−273491(P2008−273491)の分割
【原出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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