光相関装置および方法
本発明は、入力データと1つまたは複数の基準データセットの相関をとるためのパターン認識相関器および方法に関する。例えば振幅変調されたデジタル光データであり得る入力データが、光信号を変調するために使用され、位相変調された光信号を形成する。次いで、この位相変調された一時的な光信号は、好ましくは光遅延を使用することによって並列光位相信号に変換され、光位相変調器によって変調される。入力データと基準データの間に相関があるとき、出現する波面は平面であり、検出器に強く結合され得る。相関がないと、出現する波面は平面でなく、したがって、検出器にそれほど強くは結合されない。したがって、検出器の出力が相関の指標として使用され得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン認識、すなわち検索データと基準データの相関をとるための装置および方法に関し、特に、相関をとる目的で一時的なデータストリームを並列データパターンに変換するための光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パターン認識は、知られている基準対象をデータと比較することにより、入ってくるデータ、例えばテキストまたは画像の中の1つまたは複数の知られている対象を認識するプロセスに関する。パターン認識を自律的に行う理想的な方法は、相関の数学的演算によるものである。本特許は、超高速動作のために光学技法を用いる改善された相関器に関する。
【0003】
特定の検索項目を探し出すようにデータベースに問い合わせをすることから、生物統計学に基づく認識システムおよび2次元像の中の対象識別まで、パターン認識が使用される分野が多くある。しばしば、検索は、適切にプログラムされたプロセッサを使用してデジタル方式で行われ、知られている基準データストリングを検索されるデータと比較して一致が識別される。一例には、1つまたは複数の入力基準語をインターネットデータと比較して一致を識別するインターネット検索エンジンがある。
【0004】
しかし、非常に大量のデータを検索するとき、ソフトウェアによるパターン識別技術は、遅いかまたは非常に大きな処理能力を必要とするであろう。また、データが、例えば電気通信データ転送速度の高いデータレートで受信されるとき、ソフトウェアによるシステムは、この速度で相関をとることができないであろう。
【0005】
整合フィルタまたは相関器として知られている光学パターン認識システムも知られており、空間パターンと整合するように使用され得る。最も初期のそのような方式の1つに、ファンデルルクトの「複合空間フィルタによる信号検出」(1964年のIEEE翻訳の情報理論IT−10の139〜145ページ)に記述されたファンデルルクトの光学的整合フィルタがある。このシステムは、光学装置を使用して、情景のフーリエ変換に対して、フーリエ逆変換を行う前に、合成されたパターン上で共役の基準パターンのフーリエ変換を掛けるものである。基準パターンと像の間に強い相関があるとき、鮮明な明るさの最高点が、システムの後側焦点面内に生成される。したがって、このシステムは観測像を基準像と比較して相関があるかどうかを示し、相関がある場合にはその位置を示す。すなわち、システムは、情景中の対象の存在および(諸)位置を識別する。より最近の光学パターン認識システムは、情景パターンおよび基準パターンのフーリエ変換(FT)を電子的に行って空間光変調器(SLM)上に結合されたFTを表示し、それによって動作を簡単かつ高速にする。例えば国際特許出願WO00/17809に記述された相関器を参照されたい。そのような光学パターン認識システムは、観測された情景などの中の対象識別の場合はうまく動作することができるが、データリポジトリの検索の場合には、検索されるべきデータまたは結合されたデータと基準パターンのいずれかを有するSLMの更新が必要である。高速のSLMでさえ、SLMの更新速度が、後者の用途向けに相関をとる速度を制限する。本明細書に使用される用語、相関器は、整合フィルタによるシステムを含むものと解釈されるであろうということに留意されたい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、高速パターン認識が可能であり、しかも非常に高い入力データレートに対処することができるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明によれば、一時的な入力データストリームを、入力データを複製する位相変調を有する少なくとも1つの並列光データストリームに変換するための光遅延手段および少なくとも1つの基準データセットを複製する並列位相変調を与えるための基準位相変調器を備える相関装置が提供され、基準位相変調器および光遅延手段は、入力データと基準データの両方に従って同相変調されている並列光信号を生成するように調整される。
【0008】
本発明は、光位相を使用して、相関をとるための手段を提供する。入力データストリームは、たいていはレーザ光線を変調することにより入力データを複製する位相変調を有する並列光信号を生成するために使用される。基準位相変調器は、基準データセットによる位相変調を与え、結果として生ずる並列光データ信号は、基準データおよび入力データの両方によって同相変調される。したがって、2つの位相変調の組合せである空間位相パターンを有する光波面が生成される。2つの位相変調が一致しない場合、結果として生じる波面の位相は、入力データストリームに依存したランダムなものであろう。しかし、基準データと入力データの間に相関がある場合、結合された両位相変調が協働して、知られている位相プロファイルを有する出力波面を生成する。一般に、システムは、波面の位相が一様なように配置される。すなわち、基準とデータの間に相関があるとき波面は平面である。この平坦な波面は検出され得るが、このことは後で説明され、入力データと基準データの間の相関の指標として使用される。
【0009】
光遅延手段は、入力の一時的なデータストリームを並列光データストリームに変換するように配置される。この並列光データストリームは、実質上は空間位相パターンである。基準位相変調器によって与えられた変調は、並列位相変調であり、したがって、これも、実質上は空間位相パターンである。したがって、本発明は、一方が入力データから形成され、他方が基準データから形成される2つの空間位相パターン上で相関をとることによって動作するものと見なされ得る。これによって、入力データのストリーム、例えばデータベースから出力されたデジタルデータが、装置に入力され得て、簡単な空間相関技法によって相関がとられ得るようになる。本発明が、連続的な入力データストリーム上で動作することができることに留意されたい。
【0010】
光遅延手段は、好ましくは、複数のチャンネルの各々が入力位相変調された光信号の複製を生成し、次々に遅れるチャンネルに与えられる遅れが一定量だけ変化する別個の遅れを各々が有する複数のチャンネルを与える。換言すれば、光遅延手段は、入力位相変調された光信号を取り入れ、各々が他方に対して増加された一定量だけ遅れるいくつかの複製を生成する。したがって、最短遅れのチャンネルからの光遅延手段の出力は、特定の時間における入力光信号の位相であろう。時間tの増加された遅れに相当する2番目に短い遅れを有するチャンネルからの出力は、時間tだけ前の光入力信号の位相であろう。2つのその次に短い遅れを有するチャンネルからの出力は、それぞれ2tおよび3tだけ前の入力信号の位相であろう。以下同様である。したがって、光遅延手段からの出力は、時間の経過とともに展開する、入力位相変調された光信号の一連のスナップショットであろう。実質上、位相変調された一時的な入力信号は、並列光位相信号に変更され、いかなる一時刻においても、各光チャンネルの出力は、入力データの別々の部分を表す。実質上、光遅延手段の出力が空間位相パターンを生成し、その正確な配置は、光遅延手段のチャンネルの物理的配置次第である。最も簡単な例では、遅延された信号が空間に直線的に、すなわち後で図1を参照しながら説明されるように直線上に配列されるが、他の構成が好ましいことがある。
【0011】
したがって、本明細書に使用される用語、並列光信号は、複数の別個の光チャンネルへ分離されているが、空間位相プロファイルによってデータが表される波面も含む光信号を意味すると解釈されるものとする。
【0012】
好ましくは、入力位相変調された光信号は、位相変調されたデジタル信号であり、相次ぐ遅れの間の漸増的な遅れは、位相変調された光信号のビットレートと等しく、通常、これは入力データのビットレートでもある。換言すれば、入力光信号における1ビットの期間は、相次ぐチャンネルが次第に遅れる量と同じである。このことは、デジタル信号の各ビットが、光遅延手段の別個の出力チャンネルで表され、また、各出力チャンネルが、入力位相変調された光信号の別個のビットを表すということを保証する。一般に、入力光信号は、2値位相変調を有することになる。すなわち、位相が180゜ずれた2つの状態のうちの1つに変調される。
【0013】
光学的遅延を使用して入力位相変調された一時的なパターンから空間位相パターンを生成する本発明のこの実施形態は、知られている光相関システムなどで使用されることがある空間光変調器での位相パターンの迅速な更新の必要性を回避する。入力光データは、任意の高い入力データ転送速度を反映するように選択され得る光遅延手段によって、並列光信号(実質的には空間パターン)として自動的に複製される。したがって、このシステムは、光による既存の相関システムまたはすべての電子的データ処理よりはるかに大きい相関速度を提供する。好ましい実施形態を参照しながら説明されることになるが、必要とされる高速構成要素は、位相変調器および光検出器だけであり、高速の光検出器および位相変調器は、電気通信産業で知られている。実際に、電気通信産業において、これらの構成要素のスピードは、どれだけ速くデータが伝送され得るかということの基幹であるので、本発明は、生得的に、データが相関器に供給され得るのと同程度に速くデータの相関をとることができるシステムを提供する。
【0014】
このシステムは、いくつかの別々の基準パターン用に、並行して相関をとることもできる。以下でより完全に説明されることになるが、光遅延手段は、好ましくは、入力データを基に複数の光データ信号を生成するための光複製器を備える。各並列データの光信号は、別の基準データセットを複製する基準位相変調器によって変調され、この装置は、並列光データ信号と任意の基準データ位相変調の間の相関を独立して検出する手段を有する。非常に高い入力データ速度に対処し、かつ複数の基準データセット用に並行して相関をとる能力は、本発明の別の利点である。
【0015】
光遅延手段は、入力位相変調された光信号の次々に遅れる複数の複製を生成するための、任意の適当な光学装置であり得る。例えば、ビーム分割手段が、複数の別個の遅れの光導波路遅延線路と共に使用され得る。これは、共通の特性を有するが長さが異なる光ファイバを使用することにより、容易に実現され得る。使用される光ファイバは、忠実度のために単一モードであるべきで、好ましくは、相関器出力で正確な干渉、例えば焦点合わせのために分極を維持するべきであるが、このことは当業者には理解されるであろう。単一モードファイバの出力が、基本的に点光源であるので、それらの出力は、好ましくは、基準位相パターンを含む空間光位相変調器に出会う前に視準されるであろう。視準の好ましい手段は、小型レンズの配列を使用することである。
【0016】
あるいは、別個の長さの複数の光導波路を与えるために光集積回路が使用され得る。光集積回路は、光ファイバと比較して、温度安定度が大きいことおよびオンチップ位相変調の点から利点を提供することができる。光集積回路は、光導波路を備え、恐らく基板内の他の電気光学の構成要素と統合されるということが当業者には理解されるであろう。基板はシリコンなどの半導体材料でよく、または、導波路がプラスチックへ浮き彫りにされてよい。自由空間の光遅延、例えばバルク光学系または中空コア導波路が使用され得る。熟練者なら、互いに対して次第に遅れていく、入力光信号のいくつかの複製を作成する様々な方法に気付くであろう。例えば、入力位相変調された光信号をNの別個の導波路に分割するために、多重モード干渉の1〜Nの方向の分配器が使用され得る。そこで、各導波路は、光ファイバに関して前述されたのと同様に、別個の遅れを与えるために別個の長さであり得る。
【0017】
ほとんどの場合、システムによって受け取られる入力データは、光通信リンク経由の高速デジタル振幅変調形式か、あるいは電子データベースまたはデータ収集装置からの、デジタルまたはアナログいずれかの電子的形式のものである。そこで、光遅延手段は、好ましくは、一時的な入力データストリームに応答して変調された位相変調された光源を備える。入力データストリームが位相変調されたデジタル光データストリームを含むとすると、データが正確なデータレートを有し、しかも位相および周波数が安定しているのであれば、光遅延手段に入力データを直接導くことが可能であろう。
【0018】
したがって、入力データストリームは、光源を位相変調して、光遅延手段に入力される位相変調された光信号を生成するのに使用される。前述のように、好ましくは、位相変調は2値位相変調である。換言すれば、光信号は、180゜位相差がある2つの位相状態のうちの1つに変調される。
【0019】
光源は、便利にはレーザを備える。レーザは、レーザの位相変動が相関における誤差を生じさせることがあるので、位相および絶対周波数の両方に関して安定出力を有するべきである。前述のように、システムは光位相の使用に依存しており、また、レーザの出力周波数の変化、したがって波長の変化は、光遅延手段の出力で位相変化をもたらすであろう。熟練者は、適当なレーザ源、例えばダイオード励起YAGレーザに気付くであろう。電気通信産業で現在使用されているレーザ源は、通常、十分に安定したものではないであろうということに留意されたい。レーザは、安定した出力を生成するために、安定化手段を使用することができる。国際特許出願WO00/17613は、安定したレーザとして本発明向けに使用され得るレーザ安定化装置を記述する。安定したレーザの出力は、便利には位相変調器によって変調される。位相変調器は2値位相変調が可能であるべきで、また、デジタル入力データストリームの場合、入力データのデータレートで動作することができるべきである。再び、電気通信産業に使用されるマッハツェンダー振幅変調器は、まさに本発明で必要とされるタイプの位相変調器を含んでおり、そのような単体の位相変調器のいくつかは市販で入手可能である。
【0020】
言及されたように、入力データは様々な形で受け取られ得る。入力データがデジタル電気信号を含むとき、これらは位相変調器に直接供給され得てレーザ出力を変調する。入力データストリームが、高速光ファイバデータリンク経由で受け取られ得るものなどのデジタル光データストリームであるとき、振幅変調された信号から入力データストリームを変換することが必要であろう。したがって、そのような実施形態では、相関装置は、光信号を電気信号に変換するために光検出器を備えてよく、安定した光源を位相変調する。
【0021】
本発明の一実施形態では、基準位相変調器は、基準データセットを基に空間位相変調パターンを表示する空間光位相変調器を備える。次いで、光遅延手段の出力は、基準位相パターンを表示する空間光位相変調器と光学的整合に配置される。光遅延手段の出力は、好ましくは視準されてよく、入力データに依存して空間的に変化する位相を有する。次いで、この波面は、空間光位相変調器上の基準位相パターンによって変調される。基準パターンとデータの空間位相パターンの間に相関がないと、生じる位相は、入力データに依存してランダムに変化することになる。すなわち、波面は平面ではないであろう。しかし、基準位相パターンがデータ位相パターンとの共役であると、出現する光波面は、平坦な波面であろう。
【0022】
光遅延手段が光集積回路内で実施されるとき特に適切な本発明の別の実施形態では、基準位相変調器は複数の位相変調要素を備えてよく、各光チャンネルにつき少なくとも1つの位相変調要素を備えてよい。位相変調要素は電気−光変調器でよく、光集積回路と共に使用されるとき、オンチップの電気−光位相変調器であり得る。
【0023】
したがって、各チャンネルが独自に位相変調要素を有して、そのチャンネルに位相変調を与え、光遅延手段のすべてのチャンネルに与えられた変調は、基準データを表す。必ずしも光チャンネルの出力に基準位相変調が与えられる必要はないことに留意されたい。各チャンネルは、位相変調要素によって適切に変調されるべきであるが、この変調は、入力、出力、または光路に沿ったいかなる個所においても可能である。その上、各光チャンネルは、別個のポイントにその基準位相変調要素を有することがあり得る。各々がそれ自体の位相変調器を有する個別の光チャンネルを与えるために光集積回路を使用すると、あらゆるSLMとの精密な整合の必要性を解消し、チップ上に相関装置を供給する。
【0024】
平坦な波面を検出し、したがって相関を検出するために、相関装置は、好ましくは、結合手段の出力の検出のための光検出器において、並列光信号の干渉計結合を引き起こすために、結合手段をさらに備える。前述のように、一般に、装置は、入力データと基準データの間に相関があると、位相変調の結合された効果がすべて同相の波面を生成するように配置される。相関がない場合、生じる波面は空間の位相変動を有するであろう。結合手段は、それ自体に対する波面の干渉を引き起こす。波面がすべて同相であると、強め合う干渉となり、検出器で高輝度の信号を与えることになる。しかし、波面が、変動する空間位相を有すると、部分的に弱め合う干渉となり、光検出器の輝度は、はるかに低いはずである。したがって、光検出器によって検出される光の輝度は、相関の指標として使用され得る。
【0025】
結合手段は、並列光データ信号と光学的整合である焦点合わせ要素を単に備えてよく、光検出器は、この焦点合わせ要素の焦点または各焦点合わせ要素の焦点に配置されたポイント光検出器でよい。焦点合わせ要素は、変調された波面を焦点に集めることになるが、前述のように、合焦の度合いは、平坦さ、すなわち変調された波面の位相に依存するであろう。平坦な波面は、理想的には焦点合わせ要素の焦点に完全に合焦するが、ランダムな位相分布を有する波面は焦点に合焦しないであろう。相関があると、出現する波面が平面であり、したがって、焦点合わせ要素の焦点に配置された「ポイント」検出器上へ強く合焦される。しかし、波面が平面でなく、したがって、放射がすべて焦点に合焦されるわけではない場合、放射のいくらかは光検出器上に入ってこない。
【0026】
あるいは、結合手段は光集積回路結合器、例えば多重モード干渉結合器を備えることがあり得る。多重モード干渉(MMI)装置は、良く知られている装置であり、ビームの組合せおよび/または分割を行うために、多重モード導波路を使用して再結像技法を利用することが当業者には理解されるであろう。この例では、複数の光チャンネルは、その出力が再結像点で単一の出力を有するMMI結合器への入力として、規則的な間隔で配置されるであろう。各光チャンネルは、相対的位相次第で強め合う干渉または弱め合う干渉となる、MMI装置内の多重モードを励起して、単一の出力を供給するであろう。そこで、光検出器は、出力導波路の終端に配置されることになり、再び、受け取られた光の輝度が相関の程度を示すことになる。
【0027】
前述のように、光検出器で受け取られた放射の輝度は、波面の平坦さすなわち位相コヒーレンスを示し、したがって入力データと基準データの間の相関の程度を示す。したがって、検出器の出力が監視され得て、また、例えば、ある所定レベルを基準とした輝度が、相関の指標として使用される。この所定レベルは、必要な基準データシーケンスを有するデータ信号を注入してシステムを較正することにより、好ましくは設定され、かつ格納される。較正プロセスは、例えば時間の経過とともに温度が変化することによる性能における小さなずれを修正するために時々繰り返されてよい。
【0028】
したがって、この装置は、基準データと相関することが知られているデータを入力し、かつ装置の出力を測定するために、較正手段を備えてよい。較正手段は、好ましくは、知られているデータが入力されたとき光検出器の出力を監視し、かつこの出力に基づいた相関すなわち輝度レベルを識別するための閾値を設定する。較正手段は、装置の位相変動に応答して与えられる基準位相変調を調節してもよい。位相変調SLMが基準位相変調を与えるために使用される場合、これは、表示された基準位相パターンの少なくとも一部を変更することにより可能である。個々の位相変調器が各チャンネルと共に使用される場合、任意のチャンネルに与えられた変調は、必要に応じて調節され得る。
【0029】
本明細書で使用される用語、ポイント光検出器は、約10μm2など比較的小さな検出区域またはピクセル区域を有する光検出器を意味するものと解釈される。強く合焦された光の輝度が、強く合焦されないが有効な検出区域を与えるべき光の輝度と明らかに異なるように、光検出器が十分に小さくあるべきであることが理解されよう。ニューフォーカス検出器1577−Aに類似した特性で12GHzの帯域幅および25μm2の検出区域を有する検出器、または45GHzの帯域幅および12μm2の検出器区域を有するニューフォーカス1011が適当であろう。
【0030】
出力検出器の帯域幅は、このデータレートを下回らないようにするべきである。帯域幅がこのデータレートに近いと、検出器は、データビット周期にわたって積分することになり、これは好都合な動作条件である。
【0031】
適当な焦点合わせ手段は、屈折レンズ装置でよく、あるいは、代替的または付加的に、1つまたは複数の回折光学部品を備えることがあり得る。焦点合わせ要素が回折部品である場合、いくつかの環境では、例えば直角位相機能を追加することによって、基準空間光位相変調器上に表示されたパターン内に併合され得る。便利ではあるが、全体的な幾何形状は、焦点合わせ要素が、基準空間位相パターンによって変更された波面の焦点を合わせるのに適切な設計の単一の屈折レンズを、単独で、または配列の一部として備えるように配置される。
【0032】
空間光位相変調器を使用することによって基準位相変調が与えられるとき、この変調器は、所望の方法で光の位相を変調することができる任意のものでよい。便利には、別個の基準位相パターンで更新することを可能にするために、空間光位相変調器は位相変調空間光変調器(SLM)を備える。位相変調SLMは、当技術分野でよく知られており、前述のように、以前に光相関計で使用されている。しかし、本発明では、基準SLMは、希に更新される必要があるだけであり、したがって、更新レートが動作速度を制限することはない。例えば、装置が大きなデータベースに問い合わせしている場合、検索項目は、基準SLMに書き込まれた基準データの空間位相パターンを生成するために使用されることになる。次いで、データベースからのデータは、非常に高いデータレートで読み取られ得る。
【0033】
しかし、基準パターンが固定されたとき、すなわち更新を必要としないとき、空間光位相変調器は、例えばエッチングされたスライドガラスなど、固定された位相パターンを表示する一定のパターンであり得ることに留意されたい。
【0034】
空間光位相変調器は、その上に表示されたパターンが、生成されたデータの空間位相パターンと光学的整合であるかぎり、透過モードまたは反射モードで動作し得ることが当業者には理解されるであろう。
【0035】
ほとんどの実施形態では、相関をとるために入力データストリームと比較することが望まれる複数の基準データセットがあり得る。例えば、データベースを検索することが望まれるいくつかの検索項目があり得る。その場合には、好ましくは、光遅延手段は複数の同一データの並列光信号を生成し、各データの並列光信号は、別個の基準データセットに対応する別個の基準位相変調によって別々に変調される。
【0036】
基準位相変調が、空間光位相変調器上に基準位相パターンを表示することによって行われる場合、各基準空間位相パターンが個別の空間光位相変調器上に表示されてよく、あるいは位相変調SLMなど単一の空間光位相変調器が複数の基準パターンを表示してもよい。好ましくは、複数の基準位相パターンが1つのSLM上に表示される。SLMに基準パターンを書き込むことは、複数の別個の方法で実現され得る。例えば、大きなデータベースに問い合わせをする用途では、データベースからデータを読み出す前に、検索項目が入力され、基準位相パターンに変換されてSLM上に表示されることがある。検索が終わった後、新規検索のために、新規の基準パターンがSLMに書き込まれ得る。
【0037】
しかし、いくつかの用途では、連続的なデータ入力フロー中に検索項目を修正することが望まれるかもしれない。例えば、株式市場データの連続的な入力フローを、特定の株の売買を識別するために検索することが望まれるかもしれないし、また、変更されるべき取引のリストを更新することが望まれるかもしれない。そのような場合、データのフローを中断させることは不可能かもしれず、また、既存の基準パターンに対する相関処理を停止させたくないであろう。したがって、好ましくは、SLMは、表示された対応する基準パターンの有無にかかわらず、複数の入力の空間位相データパターンで照光されるように配置される。検索項目が追加されるのに伴って、対応する基準パターンがSLMの空白部に書き込まれ得て、新規の基準パターンが完成すると直ちに、システムは、そのパターンの相関の識別を開始することができる。このことは、入力データフローを中断せず、既存のパターン用の相関処理に割込をかけることもない。SLM上に全体的に空白区域があって新規の基準パターンが書き込まれ得るように、SLMへの基準パターンの書込みを管理することは有利であろう。このことは、空白区域に新規の基準パターンを書き込み、次いでSLMの別の部分からもはや必要とされない基準パターンを削除して空白区域を再生することにより、基準パターンが更新されることを可能にする。
【0038】
相関装置が、各々別個の遅れを有する複数の別個の光チャンネルを有する光遅延手段を備える場合、この装置は、好ましくは、チャンネル出力に作用するように配置された光複製装置を含む。換言すれば、光遅延装置が、入力位相変調された一時的なデータを空間データの位相パターンに変換し、これが次に光複製装置によって複製される。この装置は、単一の光遅延手段を使用し、次いで、その出力を、各データの位相パターンに対応するチャンネルに個別に同じ遅れを与える光遅延手段を必要とせずに複製する。
【0039】
好都合な光複製装置は、Dammann型グレーティングなどの回折光学装置であるが、他の適当な手段および出力チャンネルの複数の複製を生成するための手段の組合せも使用され得る。例えば、そのような手段は、さらなるファイバの分光、および/または遅れ、複数のミラーおよび複数の反射を含む。いくつかの環境では、SLMにわたって別個の遅れ時間で複製されたデータのうちのいくつかを示すことが利益になるであろう。
【0040】
基準パターンとデータパターンの空間的配置は、特定の用途および装置の構成要素によって選択され得る。例えば、基準パターンがnビットのデジタル文字列の表現であるとき、別個の位相区域の直線状の配列として基準パターンが配置され得る。その場合には、生成されたデータパターンも、nの別個の位相区域の直線状の配列として配置され、これら2つのパターンは光学的整合である。レンズと共に使用されるとき、レンズも、直線状の配列からポイントまで波面を合焦させるように適切に設計される。いくつかのそのような環境では、好ましいレンズ装置は、長い寸法で光を合焦させ、狭い寸法で結像させることにより、検出器を最良に照光することができる。しかし、直線状の配列の代わりに、nビットの基準パターンが、任意の選択されたパターンに配置され得る。例えば、位相区域の8×5の長方形配列として40のビットのパターンが配置され得る。この場合、レンズは、その開口が方形で8×5の配列区域をまかなう単一の球面レンズを備えてよい。複数の基準の場合には、そのような小型レンズの配列が使用されてよい。適当な配列形状は、直線、正方形、長方形および6角形を含む。
【0041】
前述のように、データの空間位相パターンの光複製は、いくつかの別個の検索項目用に並行処理を提供する。光複製は、複数の入力データパターンが同時に生成されることを意味する。また、これも前述のように、SLM上の基準パターンは、高速で更新する必要がない。したがって、すべての電子的デジタル処理が並行検索を行うために非常に大きな処理能力を必要とするはずなので、いくつかの基準パターン用に、非常に高いデータレートの並列相関処理を提供する能力は、本発明のもう1つの重要な利点である。したがって、本発明は、複数の同一データの空間位相パターンを生成するための光複製手段と光学的整合である複数の別個の基準空間位相パターンを表示するための基準空間光位相変調器を備える相関装置と見なされ得て、各データの空間位相パターンが一時的な入力データストリームを複製する。
【0042】
基準位相変調が、光遅延手段の別個の光チャンネルに作用する複数の位相変調器要素によって与えられる場合、光遅延手段が、漸増的な遅れを有する光チャンネルの第1の組、同じ漸増的な遅れを有する光チャンネルの第2の組と、以下同様に有するように装置が配置され得る。光チャンネルの第1の組上で動作する位相変調器要素は、第1の基準データセットを表す変調を与え、また、光チャンネルの第2の組上で動作する位相変調器要素は、第2の基準データセットを表す変調を与え、以下同様である。
【0043】
前述のように、光集積回路の使用が、堅固で、コンパクトで、しかも電気通信のデータレートに適合する本発明の特に有用な実施形態をもたらす。したがって、本発明の別の態様では、光位相変調された一時的なデータストリームを受け取るための入力、光位相変調された一時的なデータストリームを少なくとも第1の組の諸導波路(組中の各導波路は、別個の漸増的な光遅延を与えるために別個の光路長を有する)へと分割するためのビーム分割器、および導波路の各組の出力を検出器へ干渉計結合するためのビーム結合器を備え、各導波路が、基準データセットによる位相変調を与えるための関連した電気光学的位相変調を有する相関装置が与えられる。ビーム分割器および/またはビーム結合器は、便利にはMMI装置を備えてよく、導波路は中空コア導波路でよい。
【0044】
本発明の代替実施形態では、光遅延手段が音響光学セルを備える音響光学セルは、媒体を音響で刺激することによって屈折率が変更され得る媒体を備える。したがって、セルを通って音波が伝達され得て、その光学的性質を変更する。音響媒体内の音波の伝搬が比較的低速であるため、音響波形がセルに与えられ得て、光速に対して遅れを伴って、セルを通って伝播することになる。音響波形は、変換器に与えられた一時的なデータ波形の空間的な複製を形成する。したがって、空間パターンが時間にわたって音響セルに書き込まれることになる。好ましくは、音響セルは、音響媒体、入力データストリームに基づいて音響媒体を通して音波を伝達するための変換器ならびに吸収体および/または音響媒体の向こう側の音波を散逸させる他の手段を備える。したがって、変換器が音響セルに入力データストリームを書き込み、これが媒体を通って伝播し、最終的には吸収される。
【0045】
したがって、音響光学セル上に入射する光は位相変調され、また、当技術において「ブラッグ回折ビーム」として知られている1つの出力成分が、空間データの位相パターンを取得する。基準位相パターンを表示する空間光位相変調器は、音響光学セルのこの出力と光学的整合に配置される。したがって、好ましくは安定したレーザから発せられた光は、基準位相パターンとデータ位相パターンの両方によって変調される。上の実施形態を参照しながら説明されたように、基準パターンとデータパターンの間に相関があるとき、出現する波面は平面であり得て、ポイント光検出器を有するレンズ装置を使用することによって検出され得る。
【0046】
音響光学セルは、一時的な入力データを空間データ位相パターンに変換する簡単な方法を提供する。しかし、音響光学セルは、変換器の限定された帯域幅および高周波数での音響伝搬損失を含む様々な要因によって動作可能な速度が1Gb/秒以下の入力データレートに制限されており、したがって、この実施形態は、非常に高い入力データレート向けの使用には好まれない。しかし、処理レートは、多チャンネル音響「ブラッグ」セルを使用する、より複雑な装置で向上され得る。同様に、音響ブラッグセルと基準位相変調器の順序が入れ替えられる代替構成が存在する。
【0047】
本発明の別の態様では、位相変調された一時的な光信号を取得するステップであって位相変調が入力データを表すステップと、位相変調された一時的な光信号を、入力データを表す位相変調を有する少なくとも1つの並列データの光信号へと変換するステップと、基準データを表す位相変調を有する前記少なくとも1つの並列データの光信号を変調するステップと、基準変調によって変更された、この光データ信号または各光データ信号を干渉計結合して検出器上に導くステップと、検出器出力を入力データと基準データの間の相関の指標として使用するステップとを含む入力データと基準データの相関をとる方法が提供される。
【0048】
本方法は、本発明の第1の態様に関して上に説明された利点をすべて有し、非常に高い入力データレートでデータの相関をとるのに適した相関プロセスを提供する。
【0049】
好ましくは、位相変調された一時的な光信号を少なくとも1つの並列データの光信号に変換するステップは、各々が入力位相変調された光信号の複製を生成し別個の遅れを有する複数のチャンネルを有する光遅延手段に位相変調された一時的な光信号を入力するステップを含み、次々に遅れる諸チャンネルに与えられた遅れは、一定量だけ変化し、出力チャンネルから光データ信号を形成する。便利には、位相変調された一時的な光信号は、光遅延手段の相次ぐチャンネルの遅れが変化する量と等しいビットレートを有する2値のデジタル位相信号である。
【0050】
本方法は、基準データと相関があることが知られている入力データとの相関をとり、関連する検出器の出力を測定し、この出力を使用して閾値を設定する初期の較正ステップを含んでもよく、この較正ステップを周期的に繰り返してよい。便利には、較正ステップの間の検出器の出力は、現在の閾値を維持し、閾値を調節するかまたはシステムの位相状態を再設定する必要性を示すために使用される。
【0051】
光位相変調器がアナログの空間光変調器(SLM)を備えるとき、本方法は、SLM上に表示された適切な基準空間位相パターンの少なくとも一部の位相を周期的に調節することができ、SLM上のそのポイントで入射する放射内の位相ずれを補償する。
【0052】
本発明は、入力された一時的なデータを、効果的に空間位相パターンに変換し、基準位相パターンも生成する。基準位相変調は、SLM上に位相変調パターンとして表示されたパターンか、または、いくつかの独立した位相変調器が個別の光導波路に作用した結果と見なされ得る。最終的な結合された位相パターンは、これらのパターンの両方から生成され、入力データと基準データの間に相関があるかどうかを示す。したがって、本発明の別の態様では、少なくとも1つのデータの空間位相パターンを生成するための手段と光学的整合である少なくとも1つの基準空間位相パターンを生成するための空間光位相変調器を備える相関装置が提供され、データの空間位相パターンが一時的な入力データストリームを複製する。
【0053】
次に、本発明が、以下の図面を参照しながら単に例として説明されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
図1は、本発明の第1の態様による相関装置を示す。例えば、光ファイバケーブル経由で受け取られる入力データストリーム2は、振幅変調された2値の光デジタル信号を含む。すなわち、データの各ビットは、ビット周期である一定持続期間の2つの光輝度レベルのうちの1つによって表される。そのような光デジタルデータ伝送は、電気通信において一般的であり、毎秒10ギガビットまたは毎秒40ギガビットのデータ伝送レートが使用され得るが、今後、恐らくより高いレートが使用される。特に、多くの別個の基準パターンを同時に認識することを求められたとき、そのようなデータ伝送レートは、既存のパターン認識相関器には速すぎることがある。
【0055】
入力データストリームは、高データレートで動作することができる非常に高速の光検出器4上に入射する。光検出器4は、同じデータレートの電気的データ信号に変換される入射した放射の輝度レベルを検出する。
【0056】
光検出器4の電気的出力は、適切に増幅し恐らく鮮明にした後で、位相変調器6を制御するために使用される。位相変調器6は、連続波の安定したレーザ8の出力を変調し、入力データストリームに応答して2値位相変調を与える。レーザとしてダイオード励起YAGレーザが使用され得て、出力は、位相変調に先立ってエルビウムでドープされたファイバ増幅器10によって増幅されるが、増幅器が正確な位相パターンを維持するのであれば、変調後に増幅が行われ得る。レーザの動作波長は、適切な位相変調器SLMおよび光検出器が必要な速度で利用可能なものでなければならない。高速の構成要素が容易に利用可能であるので、現在の電気通信波長は有用であり得る。すなわち、1.55μmまたは1.3μmの波長が使用され得るが、1.55μmがより長い波長であるので好まれる。熟練者なら理解するように、より長い波長であると、システム上の様々な変化の影響を低減させることができ、システムの許容範囲を効果的に向上させる。その上、特定のレーザ出力パワーの場合、より長い波長であると、より多くの光子が生成され(各光子のエネルギーは周波数に比例するものと仮定する)検出器でより大きな電気的出力をもたらすことを意味する。もちろん、さらにいくつかの状況では、適当な構成要素が存在するのであれば、より長い波長を使用することは望ましいことであり得るが、もちろん、周波数は、そのデータレートで振幅変調が可能であるように十分に高くなくてはならない。
【0057】
位相変調されたビットストリームは、次いで、ビーム分配器12によってN個の方向に分割され、141から14NまでのNの別個の光ファイバ遅延線路に入力される。各遅延線路は別個の遅れを有し、この遅れは、入力データストリームのビット期間と等しい時間tだけ、1つの遅延線路から次のものにかけて増加される。したがって、第1の遅延線路141が、ある遅れTを生じさせ、第2の遅延線路はT+tの遅れを生じさせ、第3の遅延線路はT+2t遅れで、以下、T+(N−1)tの遅れを有するN番目の遅延線路まで同様である。
【0058】
各遅延線路間の漸増的な遅れが入力データのビット期間と等しいとすれば、第1の遅延線路の出力は第1のビット、第2の遅延線路の出力はその前のビット、第3の遅延線路の出力はそれに先行するビットということになり、以下同様である。したがって、遅延線路141から14Nまでの出力は、入力データストリームの最後のNビットを表す。
【0059】
入ってくるデータのビットレートに遅延線路の相対的な遅れを一致させるには、データのビットレートが知られている必要があることは明らかである。ほとんどの用途では、入ってくるデータのビットレートが知られているはずであるか、または恐らく制御され得て、したがって、装置はそれに応じて設計され得る。しかし、場合によっては、ビットレートを前もって知ることが不可能かもしれない。そのような場合は、装置は入ってくるデータを一時的に格納し得て、次いで、必要なビットレートで、すなわち、遅延線路上の漸増的な遅れに一致するレートで位相変調器にそれを読み出す。
【0060】
図1に示された装置の側面を示す図2を参照すると、遅延線路の出力は、小型レンズの配列28によって視準され、次いでDammann型グレーティング複製器16によって複製される。遅延線路141〜14Nの各々が光ファイバであるため、その出力は実質上点光源である。したがって、すべての遅延線路からの出力が視準されて波面を形成する。次いで、この波面はSLMに渡される。図1および図2に示されるように、Dammann型グレーティングによる波面の複製に先立って視準が与えられ得るが、あるいは代替装置では、遅延線路の点光源出力が複製され得て、次いでSLMに隣接した小型レンズの配列によって視準される。
【0061】
Dammann型グレーティング複製器は、複製された入力光信号の複製および空間的分離をもたらす回折光学装置である。実質的に、141から14Nの遅延線路から出力され小型レンズの配列28によって視準されたデータの空間位相パターンは、複数回複製されて、空間的に分離された複数のデータの位相パターンを生成する。
【0062】
複製されたデータの位相波面は、次いで、位相変調する空間光変調器(SLM)18上に入射し、複数の基準位相パターンを表示する。その結果、SLM 18上に表示された各基準位相パターンが、データの位相パターン、すなわち光遅延線の複製された出力のうちの1つで照明される。一般に、SLMの別々にアドレス指定可能な各区域、すなわち各ピクセルは、基準位相パターンの別個のビットを表すために使用される。明らかに、次いで、データの位相パターンの各ビットがSLMの単一ピクセルを照光するように、複製されたデータの位相パターンは配置されるべきである。換言すれば、視準および複製の後、視準されたビームのピッチがSLMピクセルのピッチと一致するように、遅延線路の出力は配置されるべきである。これは、ある程度の拡大または縮小を必要とするであろう。典型的なSLMは、約30μmのピッチを有する傾向がある。
【0063】
図1および図2に示されたように、遅延線路の出力は、次に一連の直線状の配列へ複製されるNビットの直線状の配列である。その場合には、基準パターンは直線状の配列としてSLM 18上に表示されることになる。複雑な小型レンズの配列用には様々な選択肢があるが、この場合、小型レンズ20は、細長いアナモルフィックなものでよい。しかし、好都合なものとして、他の空間的配置が使用され得る。例えば、遅延線路の出力は2次元配列としてグループ化され得て、次いで、Dammann型グレーティングによって複製され、また、基準パターンは同じ配列構成に配列される。例えば、そのような2次元配列が正方配列かほぼ正方配列であると、小型レンズ配列20は、整合する開口を有する簡単な球状の小型レンズを備えることができる。
【0064】
図示のSLMは透過型SLMであるが、反射型SLMが代わりに使用され得ることに留意されたい。
【0065】
SLM 18の1つの区域、すなわち特定の基準位相パターンに相当する区域上の位相パターンが、入ってくる複製されたデータパターンの共役複素数であると、SLMから出現する光は平面波であり、小型レンズ20によってポイント光検出器22上に合焦される。位相パターンと基準パターンに緊密な一致がないと、SLMのその部分から出現する光波面は平面でなく、ポイント検出器22に強く合焦されることがない。したがって、検出された輝度は、緊密に一致する場合にはより大きく、ポイント検出器で検出された光の輝度は、相関を示すために使用され得る。出力検出器配列の個々の検出器は、迷光で遮られて照光が最小限になるかもしれない。
【0066】
SLM上に入射する光のパターンのすべてのビットの位相が、基準を生成するのに使用されたパターンに対して反転される場合、すなわちすべての0゜の位相が180゜になり180゜が0゜になる場合、2値位相変調を使用すると、実際に擬似的な一致があるであろうということに留意されたい。いくつかの環境では、入力データのこの区分の遅延されたものを、都合のよい時にデジタル的に調査して、一致かそうでないか確認することができるので、これは些細な不都合でしかあり得ない。しかし、他の場合には、好ましくない一致を元で除去することが望ましく、そのような手段の1つがここで説明される。光位相は逆であるが同じ振幅と輝度を有するという2つの場合を識別するために、知られている固定位相を有する1つまたは複数の追加ビットがパターンに加えられ得て、SLM上の対応する(諸)ビットが、所要出力には同相の出力を与えるが反転出力には位相がずれた出力を与えるように設定される。したがって、反転された場合における(諸)追加ビットを含む基準パターンからの波面はもはや平面ではないが、所要パターンの場合は平面である。したがって、所要パターンは、より大きな検出器出力を与える。
【0067】
図1に戻って、追加ビットは追加データライン24によって加えられる。
【0068】
この追加信号ラインは、各基準位相パターンに共通した一定の位相基準を与えるので、後述するように別の用途を有することがある。
【0069】
したがって、SLM 18の上の基準位相パターンの各区域は、小型レンズの配列20から適切な小型レンズを有して、その区域からポイント検出器22のうちの1つへと光を合焦させる。小型レンズ配列の小型レンズの形状および構成は、SLM 18の上の基準パターンの形状および構成によって決定されることになる。正方配列パターンなどは、そこで従来の2次元の小型レンズ配列が使用され得るので、したがって好まれるであろう。しかし、波面を合焦させるために、小型レンズの配列は、回折光学部品の配列によって交換または補完され得て、場合によっては、SLMは、合焦させる回折パターンを基準データパターンと組み合わせて組み込むように構成され得る。
【0070】
装置を通して位相の安定性を維持することは明らかに重要であり、したがって、好ましくは位相の安定した構成要素が使用される。言及されたように、レーザは安定したレーザが好ましいが、知られている多くのレーザ安定化技法によっても安定化され得る。光遅延線は、位相ずれを最小限にするために好ましくは温度に対して安定した光ファイバを使用するが、全体の組立体は、恐らく一定温度に維持される。SLMが位相調整のない2値位相装置であると、必要な相関機能は結局光位相によって動作するので、例えば遅延線路がすべて光波長の整数を有するように、光遅延線の遅れに適合したレーザ周波数(またはレーザ周波数に適合した光遅延線の遅れ)を使用する必要がある。安定したレーザの絶対周波数を固定するために様々な手段が存在する。例えば、光ファイバ遅延線路に対しては、必要とされる安定したレーザを提供するために、例えば国際特許出願WO00/17613(その内容は参照により本明細書に合体される)に記述された技法が使用され得る。
【0071】
しかし、ある程度の位相ずれは起こり得るので、したがって微調整システムを使用することは望ましいであろう。これを実現する好ましい1つの方法は、SLM 18として、Meadowlark Shapeshifter SLMなどのアナログ位相SLMを使用することである。アナログ位相SLMは、必要なあらゆる位相変調を与えることができ、したがって、例えば入力信号の位相がどこかのピクセルでずれたとしても、アナログSLMによってそのピクセルで使用された2相変調状態が、補償するために調節され得る。
【0072】
システムのずれは、知られている基準信号が入力データとして注入される周期的な較正手順によって検出され得る。初期の閾値は、知られている基準パターンを入力データとして入力することにより決定され得る。これは、適切な基準パターンとの相関をもたらし、対応するポイント検出器22で最大出力を生じさせることになる。知られている相関でのこの出力は、その基準パターンの相関用の閾値を確立するために使用され得る。知られている基準パターンを周期的に入力することは、システムにおけるずれの指標を与えることができる。ずれが小さければ、装置を修正する必要性は全くないであろうし、または、閾値をわずかに調節すれば十分であろう。しかし、諸閾値が、それらの初期ピーク値からあまりに低下する場合、これは受け入れられないずれおよび性能における深刻な劣化を示し、補正が必要とされることになる。ずれに対して補正するために、アナログ位相SLMは、システムにおける誤差をすべて相殺し、かつ任意の固定周波数レーザの使用を可能にするために使用され得るので特に有効である。
【0073】
SLMの位相状態を設定するために可能な処理手順は以下の通りである。輝度変調器(図示せず)は、低い繰返し率でシステム内へ単一ビットを送る。次いで、各検出器の出力は、(a)線路24によって与えられた連続的に動作する追加ビットと、(b)遅延線路およびSLMピクセルを通過する単一の入力ビットの、相対的位相状態を示す時間に対する一連の電圧レベルになるであろう。これらの個々の電圧を最大にするように各SLMピクセルを調節することによって、「基準」ピクセルを含むすべてのピクセルが、基準位相状態の各配列内の共通位相に導かれ得る。この理想的なポイントから、SLMは、基準によって必要とされる所望の2値位相状態に設定され得る。
【0074】
データの空間位相パターン内のビット数、および、それに対応して、基準データの位相パターンは、相関器が使用される用途次第であろう。明らかに、パターン内のデータビットがより多ければ、より多くの遅延線路が必要とされ、システムは個々のビット誤差に対してより低感度になるはずである。しかし、入力データストリームの全体が時間にわたって表示されるとしても、別個の部分的な基準パターンを探すことによって長い検索を分割する方が容易であろう。例えば、入力データが複数の文献からのテキストに相当し、システムが単語IDENTIFIEDの例を検出しようとすると仮定する。一方がIDENTに相当し、他方がIFIEDに相当する、2つの別個の基準パターンが形成され得る。次いで、IDENTのあらゆる例が相関を生じさせることになり、IFIEDの例についても同様である。しかし、偽陽性を排斥するために、この処理は、IDENTに対する相関の例から知られている時間の後にIFIEDの相関が追従するときのみ一致を報告することになる。
【0075】
SLM上にいくつかの予備ピクセルを含めることにより、システムが動作しているときにSLMが新規の基準パターンで更新され得るので、新規の検索項目を加えるために相関処理を止める必要がないことに留意されたい。同様に、もはや必要とされない基準パターンは、動作中に削除され得る。このことは、中断することができない連続的データ入力供給で相関器が動作しており、新規の検索項目の追加が、SLM上に既に表示されている基準パターンの持続的な相関処理を止めるべきでないとき特に有効になり得る。
【0076】
40〜50ビットのデータパターンが有効なサイズであろう。50ビットのデータパターンおよび512×512ピクセルの位相変調SLMを使用すると、個別の基準パターン間の間隔の総計に依存して、5000までの基準パターンのビットを表す各ピクセルがSLM上に表示され得る。
【0077】
したがって、本発明のこの実施形態は、非常に高いデータレートで作動することができる高速で簡単なパターン認識相関器を提供する。相関器は、入力データが届くのと同程度に高速で作動することができる。現行のデータレートは、目下の傾向は毎秒約2.5ギガビットであるが、業界は毎秒10ギガビットに向っており、また恐らく毎秒40ギガビット以上に移行することに関心を向けている。いくつかの点で、データレートがより高いとずれの問題が低減する。というのは、遅延線路がより短くなり、その結果、例えば温度に対して光位相のずれがより小さくなるからである。
【0078】
上に説明された実施形態は、長さの異なる光ファイバ遅延線路を使用するが、漸増的な遅れ出力を実現するために、他の多くの構成要素が使用され得る。例えば光集積回路は、別個の出力チャンネル間の光学距離の差が小さいとき、特により高いビットレートで有効であり得る。また、この媒体によって、システムの要件と一致するように出力間隔を選択することが可能になる。すなわち、出力のピッチが生得的にSLM上のピクセルのピッチと一致させられ得る。光集積回路の遅延線路は、ガラス、ニオブ酸リチウムまたはヒ化ガリウムなどの材料中で形成され得るが、ヒ化ガリウムは、曲がりくねった遅延線路を生成する際に柔軟性の点で有利である。ニオブ酸リチウムまたはヒ化ガリウムなどの材料を使用するとき、基板上に電極を与えて電圧を印加することによって、導波路の屈折率を変更することも可能である。これは、いくつかの商用位相変調器の基本であり、個々の遅延線路を通過する信号の位相の微調整を可能にし得る。例えばガラス板内で例えば多重反射を使用するバルク光学系も、光遅延として使用され得る。光集積回路中で実施される本発明の一実施形態は、図4を参照しながら以下でより詳細に説明される。
【0079】
本発明には、パターン認識のあらゆる分野への用途があり、入力データストリームが、データベースから出力され得るか、またはデータ取得装置から実供給され得る。しかし、本発明のこの実施形態には、高い入力データレートが使用される場合、および/または検索するべき大量のデータがある場合、という状況で特定の用途がある。1つの分野は、例えばインターネット検索またはバーコード識別など、高速で大きなデータベースの検索であり、データが高速データリンクを下って本発明の相関装置に伝達され得る。
【0080】
極めて大量データを検索する必要のある別の分野には遺伝子データベースがあり、特定の配列または塩基配列を求めて非常に大規模な遺伝子配列を検索することが望まれるであろう。
【0081】
相関の事例が存在しないことを確認するためにも本発明が使用され得る。例えば金融機関で、例えば他に同じものがないコードを生成しようとしているランダムコード発生器は、そのコードが確かに唯一のものであるか確認するために、以前に発行されていないか、データベースのすべての発行されたコードを検索するであろう。
【0082】
図3は、本発明の第2の実施形態を示し、図1に示されたものと類似の構成要素には同じ参照数字が記載されている。ここで、図1の光遅延手段は、音響光学セル30で置換されている。この実施形態では、レーザ8が、先ず、データの位相パターンを持つ音響光学セル30を変調されていない光で照光する。したがって、セル30が波面に位相変調を与え、次いで、この波面は、複製された波形がSLM 18上に入射する前に複製器16によって複製される。
【0083】
セル30は、音響の刺激に応答して光学的性質が変化する音響媒体を備える。変換器32は、入力データに応答して、位相変調を生成するように媒体に適切な音響信号を伝達する。入力データが時間とともに変化するので、変換器が変調を変更し、そこで音響波形が媒体に伝達され、吸収体に吸収される前にセルを横切って伝播する。音響信号が媒体を横切って伝播するので、セルは、入射する放射を変調する空間データの位相パターン(変化する屈折率)を表示する。前述のように、音響光学セルに表示されたパターンがSLM上に表示されたパターンと共役であるとき、生じる波面は平面であり、レンズ20によって検出器22上に合焦される。
【0084】
したがって、本発明の第2の実施形態も、パターン認識を行う簡単な手段を提供するが、AOセルへのアドレス制限は、前述の実施形態ほどには高いデータレートを処理できないことを意味する。
【0085】
前述のように、光集積回路環境で本発明を実施することには利点がある。すなわち、導波路が電気光学装置と一緒に基板内で一体に形成される。図4は、光集積回路内に実施された本発明の一実施形態を示す。
【0086】
振幅変調されたレーザ8は、入ってくるデータ信号40を基に、高速の位相変調器6によって2値位相で変調される。入ってくるデータ40は、デジタル電気信号であるが、図1を参照しながら説明されたように、振幅変調された光信号から変換されたものであり得る。高速の位相変調器6からの出力は、2値位相変調された一時的な光信号である。
【0087】
この信号は、入力導波路42を介して、1〜NのMMI分配器44に渡される。MMI分配器44は、入力導波路42、多重モード導波路領域およびNの出力導波路46a〜46d(参照し易くするために4つ示されているが、実際の装置では、出力チャンネル数ははるかに大きいものであり得る)を有する多重モード干渉装置である。入力光信号は、入力の複製が出力導波路46a〜46dの各々で再結像されるような大きさにされるMMI装置内の多重モードを励起する。この種のMMI分配器は当技術でよく知られており、例えば、そのようなMMI装置がどのようにしてビーム分配器および再結合器として機能するように使用され得るか説明している米国特許第5,410,625号を参照されたい。米国特許第5,410,625号の内容は、参照によって特に本明細書に合体される。特に第5カラムの64行目から第6カラムの54行目まで、および第17カラムの66行目から第19カラムの19行目までの記述が該当する。国際特許公開WO03/065088も、適当なMMI分配器および再結合器を説明している。
【0088】
導波路46a〜46dは、任意の好都合な材料、例えばガリウムヒ素から形成されるか、またはシリコンなどの半導体材料内に形成された自由空間の導波路でよい。
【0089】
振幅変調制御48は、最適の性能を保証するために輝度の整合用に与えられる。
【0090】
各導波路は、1つの導波路から次の導波路までの遅れの増分が、入ってくるデータのビット時間と等しくなる前述の光ファイバの別個の長さに類似のやり方で、別個の漸増的な遅れの長さを与えるように別個の長さを有する。熟練者なら、例えば追加の曲がり目54b〜54dを組み合わせることにより別個の長さの導波路を構成する方法をよく知っているであろう。したがって、導波路は、一時的な入力信号を、出力で並列光データ信号に変換する。
【0091】
しかし、各導波路46a〜46dは、位相変調器制御52によって制御された対応する位相変調器50a〜50dを有する。位相変調器制御は、各導波路に与えられた2値位相変調を制御し、また特定の基準データストリング用に適切な位相変調を与える。前述の実施形態に関して、一般に、与えられる位相変調は、所望のデータ用の位相変調の逆にするべきである。
【0092】
基準位相変調は、遅延線路内の任意のポイントに与えられてよい。図4に示されるように、位相変調器は整合される必要がなく、また、特定の導波路の遅れは、位相変調器の前または後、あるいはその両方で与えられてよい。これは、基準データは入力データレートで更新されるわけではなく、そのために、基準データは、したがって各チャンネルに与えられた適切な位相変調も、遅延時間中は実質上一定だからである。しかし、基準位相変調が、より迅速に更新されるとすると、正確な入力データに正確な位相変調が与えられることを保証するために、位相変調器が遅延線路の終端に配置されることは有利であろう。
【0093】
各導波路がそれ自体の位相変調器手段を有するということは、前述のように、光遅延手段の出力をSLMに整合させる必要性がないことを意味する。その上、個別チャンネルへのどんな微調整も実現するのが容易である。
【0094】
位相変調器は、熟練者なら精通しているはずの一体型の電気−光変調器である。
【0095】
導波路46a〜46dの出力は、N〜1のMMI結合器56への入力を形成する。MMI結合器は、導波路の出力を結合して結合器からの単一出力とし、光検出器58に供給する。MMI結合器への入力がすべて同相である場合、信号は強め合う加算となるが、位相が不一致であると弱め合う結合をもたらす。したがって、前述のように、検出器上の輝度が相関の指標として使用され得る。
【0096】
一連の光分配器および再結合器が、光チャンネルを生成するために使用され得ることに留意されたい。例えば、位相変調された一時的な信号は、例えば先頭の1から6のMMI分配器に渡ってよい。6つの出力導波路の各々は、次いで、関連する6つの導波路の組を有するさらなる1から6の方向の分配器へ入力され得る。これは36の別個の光チャンネルをもたらす。別個の遅れは、同様に、共通の導波路の一部に組み込まれ得る。例えば、第1の分配器から第2の分配器に通じている先頭の6つの導波路は、互いに対して、0、6t、12t、18t、24tおよび30tの遅れだけ漸増的に遅らされ得る。次いで、第2の導波路の6つの組の各々は、0、t、2t、3t、4tおよび5tの漸増的な遅れを有し得る。したがって、漸増的な遅れが0の第1の組の導波路を下って通過させられる信号は、それぞれ0、t、2t、3t、4tおよび5tの漸増的な遅れを有する6つの第2の導波路へ分配される。6tの遅れを有して第1の組の導波路へ分配された信号は、次いで、6つの第2の導波路へ分配され、6t、7t、8t、9t、10tおよび11tの最終遅れを有する6つの信号を与える。次いで、このようにして、36のチャンネルの各々が別個の遅れの長さを有し、なおかつ、導波路の一部は他の光チャンネルに共通である。これは、必要とされるチャンネルの数を減らすことができ、複数の分配器が使用されることを可能にする。明らかに、光チャンネルがこのように分岐するとき、基準位相変調は、いかなる共通導波路でもなく、個別の各導波路区分に与えられる必要がある。
【0097】
信号を結合する際に、類似の手法が使用され得るが、あるいは単一のより大きな結合器が使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明による相関装置の概略図である。
【図2】図1の装置の概略側面図である。
【図3】本発明の別の一実施形態の概略図である。
【図4】光集積回路内に実施された本発明の一実施形態を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン認識、すなわち検索データと基準データの相関をとるための装置および方法に関し、特に、相関をとる目的で一時的なデータストリームを並列データパターンに変換するための光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パターン認識は、知られている基準対象をデータと比較することにより、入ってくるデータ、例えばテキストまたは画像の中の1つまたは複数の知られている対象を認識するプロセスに関する。パターン認識を自律的に行う理想的な方法は、相関の数学的演算によるものである。本特許は、超高速動作のために光学技法を用いる改善された相関器に関する。
【0003】
特定の検索項目を探し出すようにデータベースに問い合わせをすることから、生物統計学に基づく認識システムおよび2次元像の中の対象識別まで、パターン認識が使用される分野が多くある。しばしば、検索は、適切にプログラムされたプロセッサを使用してデジタル方式で行われ、知られている基準データストリングを検索されるデータと比較して一致が識別される。一例には、1つまたは複数の入力基準語をインターネットデータと比較して一致を識別するインターネット検索エンジンがある。
【0004】
しかし、非常に大量のデータを検索するとき、ソフトウェアによるパターン識別技術は、遅いかまたは非常に大きな処理能力を必要とするであろう。また、データが、例えば電気通信データ転送速度の高いデータレートで受信されるとき、ソフトウェアによるシステムは、この速度で相関をとることができないであろう。
【0005】
整合フィルタまたは相関器として知られている光学パターン認識システムも知られており、空間パターンと整合するように使用され得る。最も初期のそのような方式の1つに、ファンデルルクトの「複合空間フィルタによる信号検出」(1964年のIEEE翻訳の情報理論IT−10の139〜145ページ)に記述されたファンデルルクトの光学的整合フィルタがある。このシステムは、光学装置を使用して、情景のフーリエ変換に対して、フーリエ逆変換を行う前に、合成されたパターン上で共役の基準パターンのフーリエ変換を掛けるものである。基準パターンと像の間に強い相関があるとき、鮮明な明るさの最高点が、システムの後側焦点面内に生成される。したがって、このシステムは観測像を基準像と比較して相関があるかどうかを示し、相関がある場合にはその位置を示す。すなわち、システムは、情景中の対象の存在および(諸)位置を識別する。より最近の光学パターン認識システムは、情景パターンおよび基準パターンのフーリエ変換(FT)を電子的に行って空間光変調器(SLM)上に結合されたFTを表示し、それによって動作を簡単かつ高速にする。例えば国際特許出願WO00/17809に記述された相関器を参照されたい。そのような光学パターン認識システムは、観測された情景などの中の対象識別の場合はうまく動作することができるが、データリポジトリの検索の場合には、検索されるべきデータまたは結合されたデータと基準パターンのいずれかを有するSLMの更新が必要である。高速のSLMでさえ、SLMの更新速度が、後者の用途向けに相関をとる速度を制限する。本明細書に使用される用語、相関器は、整合フィルタによるシステムを含むものと解釈されるであろうということに留意されたい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、高速パターン認識が可能であり、しかも非常に高い入力データレートに対処することができるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明によれば、一時的な入力データストリームを、入力データを複製する位相変調を有する少なくとも1つの並列光データストリームに変換するための光遅延手段および少なくとも1つの基準データセットを複製する並列位相変調を与えるための基準位相変調器を備える相関装置が提供され、基準位相変調器および光遅延手段は、入力データと基準データの両方に従って同相変調されている並列光信号を生成するように調整される。
【0008】
本発明は、光位相を使用して、相関をとるための手段を提供する。入力データストリームは、たいていはレーザ光線を変調することにより入力データを複製する位相変調を有する並列光信号を生成するために使用される。基準位相変調器は、基準データセットによる位相変調を与え、結果として生ずる並列光データ信号は、基準データおよび入力データの両方によって同相変調される。したがって、2つの位相変調の組合せである空間位相パターンを有する光波面が生成される。2つの位相変調が一致しない場合、結果として生じる波面の位相は、入力データストリームに依存したランダムなものであろう。しかし、基準データと入力データの間に相関がある場合、結合された両位相変調が協働して、知られている位相プロファイルを有する出力波面を生成する。一般に、システムは、波面の位相が一様なように配置される。すなわち、基準とデータの間に相関があるとき波面は平面である。この平坦な波面は検出され得るが、このことは後で説明され、入力データと基準データの間の相関の指標として使用される。
【0009】
光遅延手段は、入力の一時的なデータストリームを並列光データストリームに変換するように配置される。この並列光データストリームは、実質上は空間位相パターンである。基準位相変調器によって与えられた変調は、並列位相変調であり、したがって、これも、実質上は空間位相パターンである。したがって、本発明は、一方が入力データから形成され、他方が基準データから形成される2つの空間位相パターン上で相関をとることによって動作するものと見なされ得る。これによって、入力データのストリーム、例えばデータベースから出力されたデジタルデータが、装置に入力され得て、簡単な空間相関技法によって相関がとられ得るようになる。本発明が、連続的な入力データストリーム上で動作することができることに留意されたい。
【0010】
光遅延手段は、好ましくは、複数のチャンネルの各々が入力位相変調された光信号の複製を生成し、次々に遅れるチャンネルに与えられる遅れが一定量だけ変化する別個の遅れを各々が有する複数のチャンネルを与える。換言すれば、光遅延手段は、入力位相変調された光信号を取り入れ、各々が他方に対して増加された一定量だけ遅れるいくつかの複製を生成する。したがって、最短遅れのチャンネルからの光遅延手段の出力は、特定の時間における入力光信号の位相であろう。時間tの増加された遅れに相当する2番目に短い遅れを有するチャンネルからの出力は、時間tだけ前の光入力信号の位相であろう。2つのその次に短い遅れを有するチャンネルからの出力は、それぞれ2tおよび3tだけ前の入力信号の位相であろう。以下同様である。したがって、光遅延手段からの出力は、時間の経過とともに展開する、入力位相変調された光信号の一連のスナップショットであろう。実質上、位相変調された一時的な入力信号は、並列光位相信号に変更され、いかなる一時刻においても、各光チャンネルの出力は、入力データの別々の部分を表す。実質上、光遅延手段の出力が空間位相パターンを生成し、その正確な配置は、光遅延手段のチャンネルの物理的配置次第である。最も簡単な例では、遅延された信号が空間に直線的に、すなわち後で図1を参照しながら説明されるように直線上に配列されるが、他の構成が好ましいことがある。
【0011】
したがって、本明細書に使用される用語、並列光信号は、複数の別個の光チャンネルへ分離されているが、空間位相プロファイルによってデータが表される波面も含む光信号を意味すると解釈されるものとする。
【0012】
好ましくは、入力位相変調された光信号は、位相変調されたデジタル信号であり、相次ぐ遅れの間の漸増的な遅れは、位相変調された光信号のビットレートと等しく、通常、これは入力データのビットレートでもある。換言すれば、入力光信号における1ビットの期間は、相次ぐチャンネルが次第に遅れる量と同じである。このことは、デジタル信号の各ビットが、光遅延手段の別個の出力チャンネルで表され、また、各出力チャンネルが、入力位相変調された光信号の別個のビットを表すということを保証する。一般に、入力光信号は、2値位相変調を有することになる。すなわち、位相が180゜ずれた2つの状態のうちの1つに変調される。
【0013】
光学的遅延を使用して入力位相変調された一時的なパターンから空間位相パターンを生成する本発明のこの実施形態は、知られている光相関システムなどで使用されることがある空間光変調器での位相パターンの迅速な更新の必要性を回避する。入力光データは、任意の高い入力データ転送速度を反映するように選択され得る光遅延手段によって、並列光信号(実質的には空間パターン)として自動的に複製される。したがって、このシステムは、光による既存の相関システムまたはすべての電子的データ処理よりはるかに大きい相関速度を提供する。好ましい実施形態を参照しながら説明されることになるが、必要とされる高速構成要素は、位相変調器および光検出器だけであり、高速の光検出器および位相変調器は、電気通信産業で知られている。実際に、電気通信産業において、これらの構成要素のスピードは、どれだけ速くデータが伝送され得るかということの基幹であるので、本発明は、生得的に、データが相関器に供給され得るのと同程度に速くデータの相関をとることができるシステムを提供する。
【0014】
このシステムは、いくつかの別々の基準パターン用に、並行して相関をとることもできる。以下でより完全に説明されることになるが、光遅延手段は、好ましくは、入力データを基に複数の光データ信号を生成するための光複製器を備える。各並列データの光信号は、別の基準データセットを複製する基準位相変調器によって変調され、この装置は、並列光データ信号と任意の基準データ位相変調の間の相関を独立して検出する手段を有する。非常に高い入力データ速度に対処し、かつ複数の基準データセット用に並行して相関をとる能力は、本発明の別の利点である。
【0015】
光遅延手段は、入力位相変調された光信号の次々に遅れる複数の複製を生成するための、任意の適当な光学装置であり得る。例えば、ビーム分割手段が、複数の別個の遅れの光導波路遅延線路と共に使用され得る。これは、共通の特性を有するが長さが異なる光ファイバを使用することにより、容易に実現され得る。使用される光ファイバは、忠実度のために単一モードであるべきで、好ましくは、相関器出力で正確な干渉、例えば焦点合わせのために分極を維持するべきであるが、このことは当業者には理解されるであろう。単一モードファイバの出力が、基本的に点光源であるので、それらの出力は、好ましくは、基準位相パターンを含む空間光位相変調器に出会う前に視準されるであろう。視準の好ましい手段は、小型レンズの配列を使用することである。
【0016】
あるいは、別個の長さの複数の光導波路を与えるために光集積回路が使用され得る。光集積回路は、光ファイバと比較して、温度安定度が大きいことおよびオンチップ位相変調の点から利点を提供することができる。光集積回路は、光導波路を備え、恐らく基板内の他の電気光学の構成要素と統合されるということが当業者には理解されるであろう。基板はシリコンなどの半導体材料でよく、または、導波路がプラスチックへ浮き彫りにされてよい。自由空間の光遅延、例えばバルク光学系または中空コア導波路が使用され得る。熟練者なら、互いに対して次第に遅れていく、入力光信号のいくつかの複製を作成する様々な方法に気付くであろう。例えば、入力位相変調された光信号をNの別個の導波路に分割するために、多重モード干渉の1〜Nの方向の分配器が使用され得る。そこで、各導波路は、光ファイバに関して前述されたのと同様に、別個の遅れを与えるために別個の長さであり得る。
【0017】
ほとんどの場合、システムによって受け取られる入力データは、光通信リンク経由の高速デジタル振幅変調形式か、あるいは電子データベースまたはデータ収集装置からの、デジタルまたはアナログいずれかの電子的形式のものである。そこで、光遅延手段は、好ましくは、一時的な入力データストリームに応答して変調された位相変調された光源を備える。入力データストリームが位相変調されたデジタル光データストリームを含むとすると、データが正確なデータレートを有し、しかも位相および周波数が安定しているのであれば、光遅延手段に入力データを直接導くことが可能であろう。
【0018】
したがって、入力データストリームは、光源を位相変調して、光遅延手段に入力される位相変調された光信号を生成するのに使用される。前述のように、好ましくは、位相変調は2値位相変調である。換言すれば、光信号は、180゜位相差がある2つの位相状態のうちの1つに変調される。
【0019】
光源は、便利にはレーザを備える。レーザは、レーザの位相変動が相関における誤差を生じさせることがあるので、位相および絶対周波数の両方に関して安定出力を有するべきである。前述のように、システムは光位相の使用に依存しており、また、レーザの出力周波数の変化、したがって波長の変化は、光遅延手段の出力で位相変化をもたらすであろう。熟練者は、適当なレーザ源、例えばダイオード励起YAGレーザに気付くであろう。電気通信産業で現在使用されているレーザ源は、通常、十分に安定したものではないであろうということに留意されたい。レーザは、安定した出力を生成するために、安定化手段を使用することができる。国際特許出願WO00/17613は、安定したレーザとして本発明向けに使用され得るレーザ安定化装置を記述する。安定したレーザの出力は、便利には位相変調器によって変調される。位相変調器は2値位相変調が可能であるべきで、また、デジタル入力データストリームの場合、入力データのデータレートで動作することができるべきである。再び、電気通信産業に使用されるマッハツェンダー振幅変調器は、まさに本発明で必要とされるタイプの位相変調器を含んでおり、そのような単体の位相変調器のいくつかは市販で入手可能である。
【0020】
言及されたように、入力データは様々な形で受け取られ得る。入力データがデジタル電気信号を含むとき、これらは位相変調器に直接供給され得てレーザ出力を変調する。入力データストリームが、高速光ファイバデータリンク経由で受け取られ得るものなどのデジタル光データストリームであるとき、振幅変調された信号から入力データストリームを変換することが必要であろう。したがって、そのような実施形態では、相関装置は、光信号を電気信号に変換するために光検出器を備えてよく、安定した光源を位相変調する。
【0021】
本発明の一実施形態では、基準位相変調器は、基準データセットを基に空間位相変調パターンを表示する空間光位相変調器を備える。次いで、光遅延手段の出力は、基準位相パターンを表示する空間光位相変調器と光学的整合に配置される。光遅延手段の出力は、好ましくは視準されてよく、入力データに依存して空間的に変化する位相を有する。次いで、この波面は、空間光位相変調器上の基準位相パターンによって変調される。基準パターンとデータの空間位相パターンの間に相関がないと、生じる位相は、入力データに依存してランダムに変化することになる。すなわち、波面は平面ではないであろう。しかし、基準位相パターンがデータ位相パターンとの共役であると、出現する光波面は、平坦な波面であろう。
【0022】
光遅延手段が光集積回路内で実施されるとき特に適切な本発明の別の実施形態では、基準位相変調器は複数の位相変調要素を備えてよく、各光チャンネルにつき少なくとも1つの位相変調要素を備えてよい。位相変調要素は電気−光変調器でよく、光集積回路と共に使用されるとき、オンチップの電気−光位相変調器であり得る。
【0023】
したがって、各チャンネルが独自に位相変調要素を有して、そのチャンネルに位相変調を与え、光遅延手段のすべてのチャンネルに与えられた変調は、基準データを表す。必ずしも光チャンネルの出力に基準位相変調が与えられる必要はないことに留意されたい。各チャンネルは、位相変調要素によって適切に変調されるべきであるが、この変調は、入力、出力、または光路に沿ったいかなる個所においても可能である。その上、各光チャンネルは、別個のポイントにその基準位相変調要素を有することがあり得る。各々がそれ自体の位相変調器を有する個別の光チャンネルを与えるために光集積回路を使用すると、あらゆるSLMとの精密な整合の必要性を解消し、チップ上に相関装置を供給する。
【0024】
平坦な波面を検出し、したがって相関を検出するために、相関装置は、好ましくは、結合手段の出力の検出のための光検出器において、並列光信号の干渉計結合を引き起こすために、結合手段をさらに備える。前述のように、一般に、装置は、入力データと基準データの間に相関があると、位相変調の結合された効果がすべて同相の波面を生成するように配置される。相関がない場合、生じる波面は空間の位相変動を有するであろう。結合手段は、それ自体に対する波面の干渉を引き起こす。波面がすべて同相であると、強め合う干渉となり、検出器で高輝度の信号を与えることになる。しかし、波面が、変動する空間位相を有すると、部分的に弱め合う干渉となり、光検出器の輝度は、はるかに低いはずである。したがって、光検出器によって検出される光の輝度は、相関の指標として使用され得る。
【0025】
結合手段は、並列光データ信号と光学的整合である焦点合わせ要素を単に備えてよく、光検出器は、この焦点合わせ要素の焦点または各焦点合わせ要素の焦点に配置されたポイント光検出器でよい。焦点合わせ要素は、変調された波面を焦点に集めることになるが、前述のように、合焦の度合いは、平坦さ、すなわち変調された波面の位相に依存するであろう。平坦な波面は、理想的には焦点合わせ要素の焦点に完全に合焦するが、ランダムな位相分布を有する波面は焦点に合焦しないであろう。相関があると、出現する波面が平面であり、したがって、焦点合わせ要素の焦点に配置された「ポイント」検出器上へ強く合焦される。しかし、波面が平面でなく、したがって、放射がすべて焦点に合焦されるわけではない場合、放射のいくらかは光検出器上に入ってこない。
【0026】
あるいは、結合手段は光集積回路結合器、例えば多重モード干渉結合器を備えることがあり得る。多重モード干渉(MMI)装置は、良く知られている装置であり、ビームの組合せおよび/または分割を行うために、多重モード導波路を使用して再結像技法を利用することが当業者には理解されるであろう。この例では、複数の光チャンネルは、その出力が再結像点で単一の出力を有するMMI結合器への入力として、規則的な間隔で配置されるであろう。各光チャンネルは、相対的位相次第で強め合う干渉または弱め合う干渉となる、MMI装置内の多重モードを励起して、単一の出力を供給するであろう。そこで、光検出器は、出力導波路の終端に配置されることになり、再び、受け取られた光の輝度が相関の程度を示すことになる。
【0027】
前述のように、光検出器で受け取られた放射の輝度は、波面の平坦さすなわち位相コヒーレンスを示し、したがって入力データと基準データの間の相関の程度を示す。したがって、検出器の出力が監視され得て、また、例えば、ある所定レベルを基準とした輝度が、相関の指標として使用される。この所定レベルは、必要な基準データシーケンスを有するデータ信号を注入してシステムを較正することにより、好ましくは設定され、かつ格納される。較正プロセスは、例えば時間の経過とともに温度が変化することによる性能における小さなずれを修正するために時々繰り返されてよい。
【0028】
したがって、この装置は、基準データと相関することが知られているデータを入力し、かつ装置の出力を測定するために、較正手段を備えてよい。較正手段は、好ましくは、知られているデータが入力されたとき光検出器の出力を監視し、かつこの出力に基づいた相関すなわち輝度レベルを識別するための閾値を設定する。較正手段は、装置の位相変動に応答して与えられる基準位相変調を調節してもよい。位相変調SLMが基準位相変調を与えるために使用される場合、これは、表示された基準位相パターンの少なくとも一部を変更することにより可能である。個々の位相変調器が各チャンネルと共に使用される場合、任意のチャンネルに与えられた変調は、必要に応じて調節され得る。
【0029】
本明細書で使用される用語、ポイント光検出器は、約10μm2など比較的小さな検出区域またはピクセル区域を有する光検出器を意味するものと解釈される。強く合焦された光の輝度が、強く合焦されないが有効な検出区域を与えるべき光の輝度と明らかに異なるように、光検出器が十分に小さくあるべきであることが理解されよう。ニューフォーカス検出器1577−Aに類似した特性で12GHzの帯域幅および25μm2の検出区域を有する検出器、または45GHzの帯域幅および12μm2の検出器区域を有するニューフォーカス1011が適当であろう。
【0030】
出力検出器の帯域幅は、このデータレートを下回らないようにするべきである。帯域幅がこのデータレートに近いと、検出器は、データビット周期にわたって積分することになり、これは好都合な動作条件である。
【0031】
適当な焦点合わせ手段は、屈折レンズ装置でよく、あるいは、代替的または付加的に、1つまたは複数の回折光学部品を備えることがあり得る。焦点合わせ要素が回折部品である場合、いくつかの環境では、例えば直角位相機能を追加することによって、基準空間光位相変調器上に表示されたパターン内に併合され得る。便利ではあるが、全体的な幾何形状は、焦点合わせ要素が、基準空間位相パターンによって変更された波面の焦点を合わせるのに適切な設計の単一の屈折レンズを、単独で、または配列の一部として備えるように配置される。
【0032】
空間光位相変調器を使用することによって基準位相変調が与えられるとき、この変調器は、所望の方法で光の位相を変調することができる任意のものでよい。便利には、別個の基準位相パターンで更新することを可能にするために、空間光位相変調器は位相変調空間光変調器(SLM)を備える。位相変調SLMは、当技術分野でよく知られており、前述のように、以前に光相関計で使用されている。しかし、本発明では、基準SLMは、希に更新される必要があるだけであり、したがって、更新レートが動作速度を制限することはない。例えば、装置が大きなデータベースに問い合わせしている場合、検索項目は、基準SLMに書き込まれた基準データの空間位相パターンを生成するために使用されることになる。次いで、データベースからのデータは、非常に高いデータレートで読み取られ得る。
【0033】
しかし、基準パターンが固定されたとき、すなわち更新を必要としないとき、空間光位相変調器は、例えばエッチングされたスライドガラスなど、固定された位相パターンを表示する一定のパターンであり得ることに留意されたい。
【0034】
空間光位相変調器は、その上に表示されたパターンが、生成されたデータの空間位相パターンと光学的整合であるかぎり、透過モードまたは反射モードで動作し得ることが当業者には理解されるであろう。
【0035】
ほとんどの実施形態では、相関をとるために入力データストリームと比較することが望まれる複数の基準データセットがあり得る。例えば、データベースを検索することが望まれるいくつかの検索項目があり得る。その場合には、好ましくは、光遅延手段は複数の同一データの並列光信号を生成し、各データの並列光信号は、別個の基準データセットに対応する別個の基準位相変調によって別々に変調される。
【0036】
基準位相変調が、空間光位相変調器上に基準位相パターンを表示することによって行われる場合、各基準空間位相パターンが個別の空間光位相変調器上に表示されてよく、あるいは位相変調SLMなど単一の空間光位相変調器が複数の基準パターンを表示してもよい。好ましくは、複数の基準位相パターンが1つのSLM上に表示される。SLMに基準パターンを書き込むことは、複数の別個の方法で実現され得る。例えば、大きなデータベースに問い合わせをする用途では、データベースからデータを読み出す前に、検索項目が入力され、基準位相パターンに変換されてSLM上に表示されることがある。検索が終わった後、新規検索のために、新規の基準パターンがSLMに書き込まれ得る。
【0037】
しかし、いくつかの用途では、連続的なデータ入力フロー中に検索項目を修正することが望まれるかもしれない。例えば、株式市場データの連続的な入力フローを、特定の株の売買を識別するために検索することが望まれるかもしれないし、また、変更されるべき取引のリストを更新することが望まれるかもしれない。そのような場合、データのフローを中断させることは不可能かもしれず、また、既存の基準パターンに対する相関処理を停止させたくないであろう。したがって、好ましくは、SLMは、表示された対応する基準パターンの有無にかかわらず、複数の入力の空間位相データパターンで照光されるように配置される。検索項目が追加されるのに伴って、対応する基準パターンがSLMの空白部に書き込まれ得て、新規の基準パターンが完成すると直ちに、システムは、そのパターンの相関の識別を開始することができる。このことは、入力データフローを中断せず、既存のパターン用の相関処理に割込をかけることもない。SLM上に全体的に空白区域があって新規の基準パターンが書き込まれ得るように、SLMへの基準パターンの書込みを管理することは有利であろう。このことは、空白区域に新規の基準パターンを書き込み、次いでSLMの別の部分からもはや必要とされない基準パターンを削除して空白区域を再生することにより、基準パターンが更新されることを可能にする。
【0038】
相関装置が、各々別個の遅れを有する複数の別個の光チャンネルを有する光遅延手段を備える場合、この装置は、好ましくは、チャンネル出力に作用するように配置された光複製装置を含む。換言すれば、光遅延装置が、入力位相変調された一時的なデータを空間データの位相パターンに変換し、これが次に光複製装置によって複製される。この装置は、単一の光遅延手段を使用し、次いで、その出力を、各データの位相パターンに対応するチャンネルに個別に同じ遅れを与える光遅延手段を必要とせずに複製する。
【0039】
好都合な光複製装置は、Dammann型グレーティングなどの回折光学装置であるが、他の適当な手段および出力チャンネルの複数の複製を生成するための手段の組合せも使用され得る。例えば、そのような手段は、さらなるファイバの分光、および/または遅れ、複数のミラーおよび複数の反射を含む。いくつかの環境では、SLMにわたって別個の遅れ時間で複製されたデータのうちのいくつかを示すことが利益になるであろう。
【0040】
基準パターンとデータパターンの空間的配置は、特定の用途および装置の構成要素によって選択され得る。例えば、基準パターンがnビットのデジタル文字列の表現であるとき、別個の位相区域の直線状の配列として基準パターンが配置され得る。その場合には、生成されたデータパターンも、nの別個の位相区域の直線状の配列として配置され、これら2つのパターンは光学的整合である。レンズと共に使用されるとき、レンズも、直線状の配列からポイントまで波面を合焦させるように適切に設計される。いくつかのそのような環境では、好ましいレンズ装置は、長い寸法で光を合焦させ、狭い寸法で結像させることにより、検出器を最良に照光することができる。しかし、直線状の配列の代わりに、nビットの基準パターンが、任意の選択されたパターンに配置され得る。例えば、位相区域の8×5の長方形配列として40のビットのパターンが配置され得る。この場合、レンズは、その開口が方形で8×5の配列区域をまかなう単一の球面レンズを備えてよい。複数の基準の場合には、そのような小型レンズの配列が使用されてよい。適当な配列形状は、直線、正方形、長方形および6角形を含む。
【0041】
前述のように、データの空間位相パターンの光複製は、いくつかの別個の検索項目用に並行処理を提供する。光複製は、複数の入力データパターンが同時に生成されることを意味する。また、これも前述のように、SLM上の基準パターンは、高速で更新する必要がない。したがって、すべての電子的デジタル処理が並行検索を行うために非常に大きな処理能力を必要とするはずなので、いくつかの基準パターン用に、非常に高いデータレートの並列相関処理を提供する能力は、本発明のもう1つの重要な利点である。したがって、本発明は、複数の同一データの空間位相パターンを生成するための光複製手段と光学的整合である複数の別個の基準空間位相パターンを表示するための基準空間光位相変調器を備える相関装置と見なされ得て、各データの空間位相パターンが一時的な入力データストリームを複製する。
【0042】
基準位相変調が、光遅延手段の別個の光チャンネルに作用する複数の位相変調器要素によって与えられる場合、光遅延手段が、漸増的な遅れを有する光チャンネルの第1の組、同じ漸増的な遅れを有する光チャンネルの第2の組と、以下同様に有するように装置が配置され得る。光チャンネルの第1の組上で動作する位相変調器要素は、第1の基準データセットを表す変調を与え、また、光チャンネルの第2の組上で動作する位相変調器要素は、第2の基準データセットを表す変調を与え、以下同様である。
【0043】
前述のように、光集積回路の使用が、堅固で、コンパクトで、しかも電気通信のデータレートに適合する本発明の特に有用な実施形態をもたらす。したがって、本発明の別の態様では、光位相変調された一時的なデータストリームを受け取るための入力、光位相変調された一時的なデータストリームを少なくとも第1の組の諸導波路(組中の各導波路は、別個の漸増的な光遅延を与えるために別個の光路長を有する)へと分割するためのビーム分割器、および導波路の各組の出力を検出器へ干渉計結合するためのビーム結合器を備え、各導波路が、基準データセットによる位相変調を与えるための関連した電気光学的位相変調を有する相関装置が与えられる。ビーム分割器および/またはビーム結合器は、便利にはMMI装置を備えてよく、導波路は中空コア導波路でよい。
【0044】
本発明の代替実施形態では、光遅延手段が音響光学セルを備える音響光学セルは、媒体を音響で刺激することによって屈折率が変更され得る媒体を備える。したがって、セルを通って音波が伝達され得て、その光学的性質を変更する。音響媒体内の音波の伝搬が比較的低速であるため、音響波形がセルに与えられ得て、光速に対して遅れを伴って、セルを通って伝播することになる。音響波形は、変換器に与えられた一時的なデータ波形の空間的な複製を形成する。したがって、空間パターンが時間にわたって音響セルに書き込まれることになる。好ましくは、音響セルは、音響媒体、入力データストリームに基づいて音響媒体を通して音波を伝達するための変換器ならびに吸収体および/または音響媒体の向こう側の音波を散逸させる他の手段を備える。したがって、変換器が音響セルに入力データストリームを書き込み、これが媒体を通って伝播し、最終的には吸収される。
【0045】
したがって、音響光学セル上に入射する光は位相変調され、また、当技術において「ブラッグ回折ビーム」として知られている1つの出力成分が、空間データの位相パターンを取得する。基準位相パターンを表示する空間光位相変調器は、音響光学セルのこの出力と光学的整合に配置される。したがって、好ましくは安定したレーザから発せられた光は、基準位相パターンとデータ位相パターンの両方によって変調される。上の実施形態を参照しながら説明されたように、基準パターンとデータパターンの間に相関があるとき、出現する波面は平面であり得て、ポイント光検出器を有するレンズ装置を使用することによって検出され得る。
【0046】
音響光学セルは、一時的な入力データを空間データ位相パターンに変換する簡単な方法を提供する。しかし、音響光学セルは、変換器の限定された帯域幅および高周波数での音響伝搬損失を含む様々な要因によって動作可能な速度が1Gb/秒以下の入力データレートに制限されており、したがって、この実施形態は、非常に高い入力データレート向けの使用には好まれない。しかし、処理レートは、多チャンネル音響「ブラッグ」セルを使用する、より複雑な装置で向上され得る。同様に、音響ブラッグセルと基準位相変調器の順序が入れ替えられる代替構成が存在する。
【0047】
本発明の別の態様では、位相変調された一時的な光信号を取得するステップであって位相変調が入力データを表すステップと、位相変調された一時的な光信号を、入力データを表す位相変調を有する少なくとも1つの並列データの光信号へと変換するステップと、基準データを表す位相変調を有する前記少なくとも1つの並列データの光信号を変調するステップと、基準変調によって変更された、この光データ信号または各光データ信号を干渉計結合して検出器上に導くステップと、検出器出力を入力データと基準データの間の相関の指標として使用するステップとを含む入力データと基準データの相関をとる方法が提供される。
【0048】
本方法は、本発明の第1の態様に関して上に説明された利点をすべて有し、非常に高い入力データレートでデータの相関をとるのに適した相関プロセスを提供する。
【0049】
好ましくは、位相変調された一時的な光信号を少なくとも1つの並列データの光信号に変換するステップは、各々が入力位相変調された光信号の複製を生成し別個の遅れを有する複数のチャンネルを有する光遅延手段に位相変調された一時的な光信号を入力するステップを含み、次々に遅れる諸チャンネルに与えられた遅れは、一定量だけ変化し、出力チャンネルから光データ信号を形成する。便利には、位相変調された一時的な光信号は、光遅延手段の相次ぐチャンネルの遅れが変化する量と等しいビットレートを有する2値のデジタル位相信号である。
【0050】
本方法は、基準データと相関があることが知られている入力データとの相関をとり、関連する検出器の出力を測定し、この出力を使用して閾値を設定する初期の較正ステップを含んでもよく、この較正ステップを周期的に繰り返してよい。便利には、較正ステップの間の検出器の出力は、現在の閾値を維持し、閾値を調節するかまたはシステムの位相状態を再設定する必要性を示すために使用される。
【0051】
光位相変調器がアナログの空間光変調器(SLM)を備えるとき、本方法は、SLM上に表示された適切な基準空間位相パターンの少なくとも一部の位相を周期的に調節することができ、SLM上のそのポイントで入射する放射内の位相ずれを補償する。
【0052】
本発明は、入力された一時的なデータを、効果的に空間位相パターンに変換し、基準位相パターンも生成する。基準位相変調は、SLM上に位相変調パターンとして表示されたパターンか、または、いくつかの独立した位相変調器が個別の光導波路に作用した結果と見なされ得る。最終的な結合された位相パターンは、これらのパターンの両方から生成され、入力データと基準データの間に相関があるかどうかを示す。したがって、本発明の別の態様では、少なくとも1つのデータの空間位相パターンを生成するための手段と光学的整合である少なくとも1つの基準空間位相パターンを生成するための空間光位相変調器を備える相関装置が提供され、データの空間位相パターンが一時的な入力データストリームを複製する。
【0053】
次に、本発明が、以下の図面を参照しながら単に例として説明されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
図1は、本発明の第1の態様による相関装置を示す。例えば、光ファイバケーブル経由で受け取られる入力データストリーム2は、振幅変調された2値の光デジタル信号を含む。すなわち、データの各ビットは、ビット周期である一定持続期間の2つの光輝度レベルのうちの1つによって表される。そのような光デジタルデータ伝送は、電気通信において一般的であり、毎秒10ギガビットまたは毎秒40ギガビットのデータ伝送レートが使用され得るが、今後、恐らくより高いレートが使用される。特に、多くの別個の基準パターンを同時に認識することを求められたとき、そのようなデータ伝送レートは、既存のパターン認識相関器には速すぎることがある。
【0055】
入力データストリームは、高データレートで動作することができる非常に高速の光検出器4上に入射する。光検出器4は、同じデータレートの電気的データ信号に変換される入射した放射の輝度レベルを検出する。
【0056】
光検出器4の電気的出力は、適切に増幅し恐らく鮮明にした後で、位相変調器6を制御するために使用される。位相変調器6は、連続波の安定したレーザ8の出力を変調し、入力データストリームに応答して2値位相変調を与える。レーザとしてダイオード励起YAGレーザが使用され得て、出力は、位相変調に先立ってエルビウムでドープされたファイバ増幅器10によって増幅されるが、増幅器が正確な位相パターンを維持するのであれば、変調後に増幅が行われ得る。レーザの動作波長は、適切な位相変調器SLMおよび光検出器が必要な速度で利用可能なものでなければならない。高速の構成要素が容易に利用可能であるので、現在の電気通信波長は有用であり得る。すなわち、1.55μmまたは1.3μmの波長が使用され得るが、1.55μmがより長い波長であるので好まれる。熟練者なら理解するように、より長い波長であると、システム上の様々な変化の影響を低減させることができ、システムの許容範囲を効果的に向上させる。その上、特定のレーザ出力パワーの場合、より長い波長であると、より多くの光子が生成され(各光子のエネルギーは周波数に比例するものと仮定する)検出器でより大きな電気的出力をもたらすことを意味する。もちろん、さらにいくつかの状況では、適当な構成要素が存在するのであれば、より長い波長を使用することは望ましいことであり得るが、もちろん、周波数は、そのデータレートで振幅変調が可能であるように十分に高くなくてはならない。
【0057】
位相変調されたビットストリームは、次いで、ビーム分配器12によってN個の方向に分割され、141から14NまでのNの別個の光ファイバ遅延線路に入力される。各遅延線路は別個の遅れを有し、この遅れは、入力データストリームのビット期間と等しい時間tだけ、1つの遅延線路から次のものにかけて増加される。したがって、第1の遅延線路141が、ある遅れTを生じさせ、第2の遅延線路はT+tの遅れを生じさせ、第3の遅延線路はT+2t遅れで、以下、T+(N−1)tの遅れを有するN番目の遅延線路まで同様である。
【0058】
各遅延線路間の漸増的な遅れが入力データのビット期間と等しいとすれば、第1の遅延線路の出力は第1のビット、第2の遅延線路の出力はその前のビット、第3の遅延線路の出力はそれに先行するビットということになり、以下同様である。したがって、遅延線路141から14Nまでの出力は、入力データストリームの最後のNビットを表す。
【0059】
入ってくるデータのビットレートに遅延線路の相対的な遅れを一致させるには、データのビットレートが知られている必要があることは明らかである。ほとんどの用途では、入ってくるデータのビットレートが知られているはずであるか、または恐らく制御され得て、したがって、装置はそれに応じて設計され得る。しかし、場合によっては、ビットレートを前もって知ることが不可能かもしれない。そのような場合は、装置は入ってくるデータを一時的に格納し得て、次いで、必要なビットレートで、すなわち、遅延線路上の漸増的な遅れに一致するレートで位相変調器にそれを読み出す。
【0060】
図1に示された装置の側面を示す図2を参照すると、遅延線路の出力は、小型レンズの配列28によって視準され、次いでDammann型グレーティング複製器16によって複製される。遅延線路141〜14Nの各々が光ファイバであるため、その出力は実質上点光源である。したがって、すべての遅延線路からの出力が視準されて波面を形成する。次いで、この波面はSLMに渡される。図1および図2に示されるように、Dammann型グレーティングによる波面の複製に先立って視準が与えられ得るが、あるいは代替装置では、遅延線路の点光源出力が複製され得て、次いでSLMに隣接した小型レンズの配列によって視準される。
【0061】
Dammann型グレーティング複製器は、複製された入力光信号の複製および空間的分離をもたらす回折光学装置である。実質的に、141から14Nの遅延線路から出力され小型レンズの配列28によって視準されたデータの空間位相パターンは、複数回複製されて、空間的に分離された複数のデータの位相パターンを生成する。
【0062】
複製されたデータの位相波面は、次いで、位相変調する空間光変調器(SLM)18上に入射し、複数の基準位相パターンを表示する。その結果、SLM 18上に表示された各基準位相パターンが、データの位相パターン、すなわち光遅延線の複製された出力のうちの1つで照明される。一般に、SLMの別々にアドレス指定可能な各区域、すなわち各ピクセルは、基準位相パターンの別個のビットを表すために使用される。明らかに、次いで、データの位相パターンの各ビットがSLMの単一ピクセルを照光するように、複製されたデータの位相パターンは配置されるべきである。換言すれば、視準および複製の後、視準されたビームのピッチがSLMピクセルのピッチと一致するように、遅延線路の出力は配置されるべきである。これは、ある程度の拡大または縮小を必要とするであろう。典型的なSLMは、約30μmのピッチを有する傾向がある。
【0063】
図1および図2に示されたように、遅延線路の出力は、次に一連の直線状の配列へ複製されるNビットの直線状の配列である。その場合には、基準パターンは直線状の配列としてSLM 18上に表示されることになる。複雑な小型レンズの配列用には様々な選択肢があるが、この場合、小型レンズ20は、細長いアナモルフィックなものでよい。しかし、好都合なものとして、他の空間的配置が使用され得る。例えば、遅延線路の出力は2次元配列としてグループ化され得て、次いで、Dammann型グレーティングによって複製され、また、基準パターンは同じ配列構成に配列される。例えば、そのような2次元配列が正方配列かほぼ正方配列であると、小型レンズ配列20は、整合する開口を有する簡単な球状の小型レンズを備えることができる。
【0064】
図示のSLMは透過型SLMであるが、反射型SLMが代わりに使用され得ることに留意されたい。
【0065】
SLM 18の1つの区域、すなわち特定の基準位相パターンに相当する区域上の位相パターンが、入ってくる複製されたデータパターンの共役複素数であると、SLMから出現する光は平面波であり、小型レンズ20によってポイント光検出器22上に合焦される。位相パターンと基準パターンに緊密な一致がないと、SLMのその部分から出現する光波面は平面でなく、ポイント検出器22に強く合焦されることがない。したがって、検出された輝度は、緊密に一致する場合にはより大きく、ポイント検出器で検出された光の輝度は、相関を示すために使用され得る。出力検出器配列の個々の検出器は、迷光で遮られて照光が最小限になるかもしれない。
【0066】
SLM上に入射する光のパターンのすべてのビットの位相が、基準を生成するのに使用されたパターンに対して反転される場合、すなわちすべての0゜の位相が180゜になり180゜が0゜になる場合、2値位相変調を使用すると、実際に擬似的な一致があるであろうということに留意されたい。いくつかの環境では、入力データのこの区分の遅延されたものを、都合のよい時にデジタル的に調査して、一致かそうでないか確認することができるので、これは些細な不都合でしかあり得ない。しかし、他の場合には、好ましくない一致を元で除去することが望ましく、そのような手段の1つがここで説明される。光位相は逆であるが同じ振幅と輝度を有するという2つの場合を識別するために、知られている固定位相を有する1つまたは複数の追加ビットがパターンに加えられ得て、SLM上の対応する(諸)ビットが、所要出力には同相の出力を与えるが反転出力には位相がずれた出力を与えるように設定される。したがって、反転された場合における(諸)追加ビットを含む基準パターンからの波面はもはや平面ではないが、所要パターンの場合は平面である。したがって、所要パターンは、より大きな検出器出力を与える。
【0067】
図1に戻って、追加ビットは追加データライン24によって加えられる。
【0068】
この追加信号ラインは、各基準位相パターンに共通した一定の位相基準を与えるので、後述するように別の用途を有することがある。
【0069】
したがって、SLM 18の上の基準位相パターンの各区域は、小型レンズの配列20から適切な小型レンズを有して、その区域からポイント検出器22のうちの1つへと光を合焦させる。小型レンズ配列の小型レンズの形状および構成は、SLM 18の上の基準パターンの形状および構成によって決定されることになる。正方配列パターンなどは、そこで従来の2次元の小型レンズ配列が使用され得るので、したがって好まれるであろう。しかし、波面を合焦させるために、小型レンズの配列は、回折光学部品の配列によって交換または補完され得て、場合によっては、SLMは、合焦させる回折パターンを基準データパターンと組み合わせて組み込むように構成され得る。
【0070】
装置を通して位相の安定性を維持することは明らかに重要であり、したがって、好ましくは位相の安定した構成要素が使用される。言及されたように、レーザは安定したレーザが好ましいが、知られている多くのレーザ安定化技法によっても安定化され得る。光遅延線は、位相ずれを最小限にするために好ましくは温度に対して安定した光ファイバを使用するが、全体の組立体は、恐らく一定温度に維持される。SLMが位相調整のない2値位相装置であると、必要な相関機能は結局光位相によって動作するので、例えば遅延線路がすべて光波長の整数を有するように、光遅延線の遅れに適合したレーザ周波数(またはレーザ周波数に適合した光遅延線の遅れ)を使用する必要がある。安定したレーザの絶対周波数を固定するために様々な手段が存在する。例えば、光ファイバ遅延線路に対しては、必要とされる安定したレーザを提供するために、例えば国際特許出願WO00/17613(その内容は参照により本明細書に合体される)に記述された技法が使用され得る。
【0071】
しかし、ある程度の位相ずれは起こり得るので、したがって微調整システムを使用することは望ましいであろう。これを実現する好ましい1つの方法は、SLM 18として、Meadowlark Shapeshifter SLMなどのアナログ位相SLMを使用することである。アナログ位相SLMは、必要なあらゆる位相変調を与えることができ、したがって、例えば入力信号の位相がどこかのピクセルでずれたとしても、アナログSLMによってそのピクセルで使用された2相変調状態が、補償するために調節され得る。
【0072】
システムのずれは、知られている基準信号が入力データとして注入される周期的な較正手順によって検出され得る。初期の閾値は、知られている基準パターンを入力データとして入力することにより決定され得る。これは、適切な基準パターンとの相関をもたらし、対応するポイント検出器22で最大出力を生じさせることになる。知られている相関でのこの出力は、その基準パターンの相関用の閾値を確立するために使用され得る。知られている基準パターンを周期的に入力することは、システムにおけるずれの指標を与えることができる。ずれが小さければ、装置を修正する必要性は全くないであろうし、または、閾値をわずかに調節すれば十分であろう。しかし、諸閾値が、それらの初期ピーク値からあまりに低下する場合、これは受け入れられないずれおよび性能における深刻な劣化を示し、補正が必要とされることになる。ずれに対して補正するために、アナログ位相SLMは、システムにおける誤差をすべて相殺し、かつ任意の固定周波数レーザの使用を可能にするために使用され得るので特に有効である。
【0073】
SLMの位相状態を設定するために可能な処理手順は以下の通りである。輝度変調器(図示せず)は、低い繰返し率でシステム内へ単一ビットを送る。次いで、各検出器の出力は、(a)線路24によって与えられた連続的に動作する追加ビットと、(b)遅延線路およびSLMピクセルを通過する単一の入力ビットの、相対的位相状態を示す時間に対する一連の電圧レベルになるであろう。これらの個々の電圧を最大にするように各SLMピクセルを調節することによって、「基準」ピクセルを含むすべてのピクセルが、基準位相状態の各配列内の共通位相に導かれ得る。この理想的なポイントから、SLMは、基準によって必要とされる所望の2値位相状態に設定され得る。
【0074】
データの空間位相パターン内のビット数、および、それに対応して、基準データの位相パターンは、相関器が使用される用途次第であろう。明らかに、パターン内のデータビットがより多ければ、より多くの遅延線路が必要とされ、システムは個々のビット誤差に対してより低感度になるはずである。しかし、入力データストリームの全体が時間にわたって表示されるとしても、別個の部分的な基準パターンを探すことによって長い検索を分割する方が容易であろう。例えば、入力データが複数の文献からのテキストに相当し、システムが単語IDENTIFIEDの例を検出しようとすると仮定する。一方がIDENTに相当し、他方がIFIEDに相当する、2つの別個の基準パターンが形成され得る。次いで、IDENTのあらゆる例が相関を生じさせることになり、IFIEDの例についても同様である。しかし、偽陽性を排斥するために、この処理は、IDENTに対する相関の例から知られている時間の後にIFIEDの相関が追従するときのみ一致を報告することになる。
【0075】
SLM上にいくつかの予備ピクセルを含めることにより、システムが動作しているときにSLMが新規の基準パターンで更新され得るので、新規の検索項目を加えるために相関処理を止める必要がないことに留意されたい。同様に、もはや必要とされない基準パターンは、動作中に削除され得る。このことは、中断することができない連続的データ入力供給で相関器が動作しており、新規の検索項目の追加が、SLM上に既に表示されている基準パターンの持続的な相関処理を止めるべきでないとき特に有効になり得る。
【0076】
40〜50ビットのデータパターンが有効なサイズであろう。50ビットのデータパターンおよび512×512ピクセルの位相変調SLMを使用すると、個別の基準パターン間の間隔の総計に依存して、5000までの基準パターンのビットを表す各ピクセルがSLM上に表示され得る。
【0077】
したがって、本発明のこの実施形態は、非常に高いデータレートで作動することができる高速で簡単なパターン認識相関器を提供する。相関器は、入力データが届くのと同程度に高速で作動することができる。現行のデータレートは、目下の傾向は毎秒約2.5ギガビットであるが、業界は毎秒10ギガビットに向っており、また恐らく毎秒40ギガビット以上に移行することに関心を向けている。いくつかの点で、データレートがより高いとずれの問題が低減する。というのは、遅延線路がより短くなり、その結果、例えば温度に対して光位相のずれがより小さくなるからである。
【0078】
上に説明された実施形態は、長さの異なる光ファイバ遅延線路を使用するが、漸増的な遅れ出力を実現するために、他の多くの構成要素が使用され得る。例えば光集積回路は、別個の出力チャンネル間の光学距離の差が小さいとき、特により高いビットレートで有効であり得る。また、この媒体によって、システムの要件と一致するように出力間隔を選択することが可能になる。すなわち、出力のピッチが生得的にSLM上のピクセルのピッチと一致させられ得る。光集積回路の遅延線路は、ガラス、ニオブ酸リチウムまたはヒ化ガリウムなどの材料中で形成され得るが、ヒ化ガリウムは、曲がりくねった遅延線路を生成する際に柔軟性の点で有利である。ニオブ酸リチウムまたはヒ化ガリウムなどの材料を使用するとき、基板上に電極を与えて電圧を印加することによって、導波路の屈折率を変更することも可能である。これは、いくつかの商用位相変調器の基本であり、個々の遅延線路を通過する信号の位相の微調整を可能にし得る。例えばガラス板内で例えば多重反射を使用するバルク光学系も、光遅延として使用され得る。光集積回路中で実施される本発明の一実施形態は、図4を参照しながら以下でより詳細に説明される。
【0079】
本発明には、パターン認識のあらゆる分野への用途があり、入力データストリームが、データベースから出力され得るか、またはデータ取得装置から実供給され得る。しかし、本発明のこの実施形態には、高い入力データレートが使用される場合、および/または検索するべき大量のデータがある場合、という状況で特定の用途がある。1つの分野は、例えばインターネット検索またはバーコード識別など、高速で大きなデータベースの検索であり、データが高速データリンクを下って本発明の相関装置に伝達され得る。
【0080】
極めて大量データを検索する必要のある別の分野には遺伝子データベースがあり、特定の配列または塩基配列を求めて非常に大規模な遺伝子配列を検索することが望まれるであろう。
【0081】
相関の事例が存在しないことを確認するためにも本発明が使用され得る。例えば金融機関で、例えば他に同じものがないコードを生成しようとしているランダムコード発生器は、そのコードが確かに唯一のものであるか確認するために、以前に発行されていないか、データベースのすべての発行されたコードを検索するであろう。
【0082】
図3は、本発明の第2の実施形態を示し、図1に示されたものと類似の構成要素には同じ参照数字が記載されている。ここで、図1の光遅延手段は、音響光学セル30で置換されている。この実施形態では、レーザ8が、先ず、データの位相パターンを持つ音響光学セル30を変調されていない光で照光する。したがって、セル30が波面に位相変調を与え、次いで、この波面は、複製された波形がSLM 18上に入射する前に複製器16によって複製される。
【0083】
セル30は、音響の刺激に応答して光学的性質が変化する音響媒体を備える。変換器32は、入力データに応答して、位相変調を生成するように媒体に適切な音響信号を伝達する。入力データが時間とともに変化するので、変換器が変調を変更し、そこで音響波形が媒体に伝達され、吸収体に吸収される前にセルを横切って伝播する。音響信号が媒体を横切って伝播するので、セルは、入射する放射を変調する空間データの位相パターン(変化する屈折率)を表示する。前述のように、音響光学セルに表示されたパターンがSLM上に表示されたパターンと共役であるとき、生じる波面は平面であり、レンズ20によって検出器22上に合焦される。
【0084】
したがって、本発明の第2の実施形態も、パターン認識を行う簡単な手段を提供するが、AOセルへのアドレス制限は、前述の実施形態ほどには高いデータレートを処理できないことを意味する。
【0085】
前述のように、光集積回路環境で本発明を実施することには利点がある。すなわち、導波路が電気光学装置と一緒に基板内で一体に形成される。図4は、光集積回路内に実施された本発明の一実施形態を示す。
【0086】
振幅変調されたレーザ8は、入ってくるデータ信号40を基に、高速の位相変調器6によって2値位相で変調される。入ってくるデータ40は、デジタル電気信号であるが、図1を参照しながら説明されたように、振幅変調された光信号から変換されたものであり得る。高速の位相変調器6からの出力は、2値位相変調された一時的な光信号である。
【0087】
この信号は、入力導波路42を介して、1〜NのMMI分配器44に渡される。MMI分配器44は、入力導波路42、多重モード導波路領域およびNの出力導波路46a〜46d(参照し易くするために4つ示されているが、実際の装置では、出力チャンネル数ははるかに大きいものであり得る)を有する多重モード干渉装置である。入力光信号は、入力の複製が出力導波路46a〜46dの各々で再結像されるような大きさにされるMMI装置内の多重モードを励起する。この種のMMI分配器は当技術でよく知られており、例えば、そのようなMMI装置がどのようにしてビーム分配器および再結合器として機能するように使用され得るか説明している米国特許第5,410,625号を参照されたい。米国特許第5,410,625号の内容は、参照によって特に本明細書に合体される。特に第5カラムの64行目から第6カラムの54行目まで、および第17カラムの66行目から第19カラムの19行目までの記述が該当する。国際特許公開WO03/065088も、適当なMMI分配器および再結合器を説明している。
【0088】
導波路46a〜46dは、任意の好都合な材料、例えばガリウムヒ素から形成されるか、またはシリコンなどの半導体材料内に形成された自由空間の導波路でよい。
【0089】
振幅変調制御48は、最適の性能を保証するために輝度の整合用に与えられる。
【0090】
各導波路は、1つの導波路から次の導波路までの遅れの増分が、入ってくるデータのビット時間と等しくなる前述の光ファイバの別個の長さに類似のやり方で、別個の漸増的な遅れの長さを与えるように別個の長さを有する。熟練者なら、例えば追加の曲がり目54b〜54dを組み合わせることにより別個の長さの導波路を構成する方法をよく知っているであろう。したがって、導波路は、一時的な入力信号を、出力で並列光データ信号に変換する。
【0091】
しかし、各導波路46a〜46dは、位相変調器制御52によって制御された対応する位相変調器50a〜50dを有する。位相変調器制御は、各導波路に与えられた2値位相変調を制御し、また特定の基準データストリング用に適切な位相変調を与える。前述の実施形態に関して、一般に、与えられる位相変調は、所望のデータ用の位相変調の逆にするべきである。
【0092】
基準位相変調は、遅延線路内の任意のポイントに与えられてよい。図4に示されるように、位相変調器は整合される必要がなく、また、特定の導波路の遅れは、位相変調器の前または後、あるいはその両方で与えられてよい。これは、基準データは入力データレートで更新されるわけではなく、そのために、基準データは、したがって各チャンネルに与えられた適切な位相変調も、遅延時間中は実質上一定だからである。しかし、基準位相変調が、より迅速に更新されるとすると、正確な入力データに正確な位相変調が与えられることを保証するために、位相変調器が遅延線路の終端に配置されることは有利であろう。
【0093】
各導波路がそれ自体の位相変調器手段を有するということは、前述のように、光遅延手段の出力をSLMに整合させる必要性がないことを意味する。その上、個別チャンネルへのどんな微調整も実現するのが容易である。
【0094】
位相変調器は、熟練者なら精通しているはずの一体型の電気−光変調器である。
【0095】
導波路46a〜46dの出力は、N〜1のMMI結合器56への入力を形成する。MMI結合器は、導波路の出力を結合して結合器からの単一出力とし、光検出器58に供給する。MMI結合器への入力がすべて同相である場合、信号は強め合う加算となるが、位相が不一致であると弱め合う結合をもたらす。したがって、前述のように、検出器上の輝度が相関の指標として使用され得る。
【0096】
一連の光分配器および再結合器が、光チャンネルを生成するために使用され得ることに留意されたい。例えば、位相変調された一時的な信号は、例えば先頭の1から6のMMI分配器に渡ってよい。6つの出力導波路の各々は、次いで、関連する6つの導波路の組を有するさらなる1から6の方向の分配器へ入力され得る。これは36の別個の光チャンネルをもたらす。別個の遅れは、同様に、共通の導波路の一部に組み込まれ得る。例えば、第1の分配器から第2の分配器に通じている先頭の6つの導波路は、互いに対して、0、6t、12t、18t、24tおよび30tの遅れだけ漸増的に遅らされ得る。次いで、第2の導波路の6つの組の各々は、0、t、2t、3t、4tおよび5tの漸増的な遅れを有し得る。したがって、漸増的な遅れが0の第1の組の導波路を下って通過させられる信号は、それぞれ0、t、2t、3t、4tおよび5tの漸増的な遅れを有する6つの第2の導波路へ分配される。6tの遅れを有して第1の組の導波路へ分配された信号は、次いで、6つの第2の導波路へ分配され、6t、7t、8t、9t、10tおよび11tの最終遅れを有する6つの信号を与える。次いで、このようにして、36のチャンネルの各々が別個の遅れの長さを有し、なおかつ、導波路の一部は他の光チャンネルに共通である。これは、必要とされるチャンネルの数を減らすことができ、複数の分配器が使用されることを可能にする。明らかに、光チャンネルがこのように分岐するとき、基準位相変調は、いかなる共通導波路でもなく、個別の各導波路区分に与えられる必要がある。
【0097】
信号を結合する際に、類似の手法が使用され得るが、あるいは単一のより大きな結合器が使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明による相関装置の概略図である。
【図2】図1の装置の概略側面図である。
【図3】本発明の別の一実施形態の概略図である。
【図4】光集積回路内に実施された本発明の一実施形態を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一時的な入力データストリームを、入力データを複製する位相変調を有する少なくとも1つの並列光データストリームに変換するための光遅延手段および少なくとも1つの基準データセットを複製する並列位相変調を与えるための基準位相変調器を備える相関装置であって、基準位相変調器および光遅延手段が、入力データと基準データの両方に従って同相変調されている並列光信号を生成するように調整される、相関装置。
【請求項2】
複数のチャンネルの各々が入力位相変調された光信号の複製を生成し、次々に遅れるチャンネルに与えられる遅れが一定量だけ変化する別個の遅れを各々が有する複数のチャンネルを光遅延手段が与える、請求項1に記載の相関装置。
【請求項3】
入力位相変調された光信号が、位相変調されたデジタル信号であり、相次ぐ遅れの間の漸増的な遅れが、入力位相変調された光信号のビットレートと等しい、請求項2に記載の相関装置。
【請求項4】
入力位相変調された信号が、2値位相変調された信号である、請求項3に記載の相関装置。
【請求項5】
光遅延手段が、別個の遅れの複数の光導波路遅延線路を備える、請求項1から4のいずれかに記載の相関装置。
【請求項6】
光導波路遅延線路が光ファイバである、請求項5に記載の相関装置。
【請求項7】
光導波路が光集積回路の導波路である、請求項5に記載の相関装置。
【請求項8】
光集積回路の導波路が中空コアの導波路である、請求項7に記載の相関装置。
【請求項9】
光遅延手段が、一時的な入力データストリームに応答して変調された位相変調された光源を備える、請求項1から8のいずれかに記載の相関装置。
【請求項10】
位相変調された光源がレーザを備える、請求項9に記載の相関装置。
【請求項11】
位相変調された光源が外部から変調されたレーザを備える、請求項10に記載の相関装置。
【請求項12】
基準位相変調器が位相変調空間光変調器(SLM)を備える、請求項1から11のいずれかに記載の相関装置。
【請求項13】
位相変調SLMが、2値位相変調SLMである、請求項12に記載の相関装置。
【請求項14】
位相変調SLMが、アナログの位相変調SLMである、請求項12に記載の相関装置。
【請求項15】
位相変調SLMが、2値位相変調を与える、請求項14に記載の相関装置。
【請求項16】
基準位相変調器が、各光チャンネル用に少なくとも1つ、複数の位相変調要素を備える、請求項2、または請求項2に直接的または間接的に従属する請求項1から15のいずれかに記載の相関装置。
【請求項17】
位相変調要素が、一体化された電気−光位相変調器である、請求項16に記載の相関装置。
【請求項18】
並列光信号の干渉計結合を引き起こすための結合手段および結合手段の出力を検出するための光検出器をさらに備える、請求項1から17のいずれかに記載の相関装置。
【請求項19】
結合手段が多重モード干渉結合器である、請求項18に記載の相関装置。
【請求項20】
結合手段が、並列光信号と光学的整合である別個の焦点合わせ要素を有する焦点合わせ手段を備え、光検出器が、この焦点合わせ要素の焦点または各焦点合わせ要素の焦点に配置されたポイント光検出器である、請求項18に記載の相関装置。
【請求項21】
焦点合わせ要素が、並列光信号を合焦させるために適切な設計および形状の屈折レンズを備える、請求項20に記載の相関装置。
【請求項22】
光遅延手段が複数の同一の並列光データストリームを生成し、複数の基準データ位相変調器の各々が、並列光データストリームのうちの1つに基準位相変調を与える、請求項1から21のいずれかに記載の相関装置。
【請求項23】
複数の基準空間位相パターンを表示する空間光位相変調器を備え、各基準空間位相パターンが基準データ位相変調器である、請求項22に記載の相関装置。
【請求項24】
光遅延手段のチャンネルの出力に作用して複数の並列光データストリームを与えるように配置された光複製手段を備える、請求項2に直接的または間接的に従属するとき請求項22または請求項23に記載の相関装置。
【請求項25】
光複製手段が回折光学部品を備える、請求項24に記載の相関装置。
【請求項26】
周期的に装置を較正するための較正手段を備える、請求項1から25のいずれかに記載の相関装置。
【請求項27】
較正手段が、基準データセットと相関があることが知られているデータを入力し、かつ装置の出力を測定するための手段を備える、請求項26に記載の相関装置。
【請求項28】
較正手段が、データが入力されたとき光検出器の出力を監視し、この出力に基づいて相関を識別するための閾値を設定する、請求項18に直接的または間接的に従属するとき請求項27に記載の相関装置。
【請求項29】
較正手段が、装置の位相ずれに応答して、少なくともアナログSLMの一部の位相変調を調節する、請求項15に直接的または間接的に従属するとき請求項26から28のいずれかに記載の相関装置。
【請求項30】
基準位相変調器が、複数の基準空間位相パターンを表示するための空間光位相変調器を備え、光遅延手段が、複数の同一データの空間位相パターンを生成するための光複製手段を備え、各データの空間位相パターンが、別個の基準空間位相パターンと光学的整合である、請求項1に記載の相関装置。
【請求項31】
光遅延手段が、少なくとも1つのチャンネルを有する音響光学セルを備える、請求項1に記載の相関装置。
【請求項32】
音響セルが、音響媒体、および入力データストリームに基づいて音響媒体に音波を伝達するための変換器を備える、請求項31に記載の相関装置。
【請求項33】
位相変調が入力データを表す位相変調された一時的な光信号を取得するステップと、
位相変調された一時的な光信号を、入力データを表す位相変調を有する少なくとも1つの並列データの光信号に変換するステップと、
前記少なくとも1つの並列光データの信号を変調するステップであって、位相変調が基準データを複製するステップと、
基準変調によって変更された、この光データ信号または各光データ信号を干渉計結合し、検出器上に導くステップと、
入力データと基準データの間の相関の指標として検出器出力を使用するステップとを含む入力データと基準データの相関をとる、方法。
【請求項34】
位相変調された一時的な光信号を、入力データを表す少なくとも1つの並列データの光信号の位相変調に変換するステップが、各々が入力位相変調された光信号の複製を生成し別個の遅れを有する複数のチャンネルを有する光遅延手段に位相変調された一時的な光信号を入力するステップを含み、次々に遅れる諸チャンネルに与えられた遅れが一定量だけ変化する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
位相変調された一時的な光信号が、光遅延手段の相次ぐチャンネルの遅れが変化する量と等しいビットレートを有する2値のデジタル位相信号である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
基準データと相関があることが知られている入力データとの相関をとり、関連する検出器の出力を測定し、この出力を使用して閾値を設定する初期の較正ステップを含む、請求項33から35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
周期的に較正ステップを繰り返すステップを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
較正ステップの間の検出器の出力が、現在の閾値を維持するか、閾値を調節するか、またはシステムの位相状態を再設定する必要性を示すために使用される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
並列光データを、基準データを表す位相変調で変調するステップが、アナログの空間光変調器(SLM)を使用して行われ、SLMに表示された適切な基準空間位相パターンの少なくとも一部の位相が周期的に調節されて、SLM上のそのポイントで入射する放射内の位相ずれを補償する、請求項38に記載の方法。
【請求項1】
一時的な入力データストリームを、入力データを複製する位相変調を有する少なくとも1つの並列光データストリームに変換するための光遅延手段および少なくとも1つの基準データセットを複製する並列位相変調を与えるための基準位相変調器を備える相関装置であって、基準位相変調器および光遅延手段が、入力データと基準データの両方に従って同相変調されている並列光信号を生成するように調整される、相関装置。
【請求項2】
複数のチャンネルの各々が入力位相変調された光信号の複製を生成し、次々に遅れるチャンネルに与えられる遅れが一定量だけ変化する別個の遅れを各々が有する複数のチャンネルを光遅延手段が与える、請求項1に記載の相関装置。
【請求項3】
入力位相変調された光信号が、位相変調されたデジタル信号であり、相次ぐ遅れの間の漸増的な遅れが、入力位相変調された光信号のビットレートと等しい、請求項2に記載の相関装置。
【請求項4】
入力位相変調された信号が、2値位相変調された信号である、請求項3に記載の相関装置。
【請求項5】
光遅延手段が、別個の遅れの複数の光導波路遅延線路を備える、請求項1から4のいずれかに記載の相関装置。
【請求項6】
光導波路遅延線路が光ファイバである、請求項5に記載の相関装置。
【請求項7】
光導波路が光集積回路の導波路である、請求項5に記載の相関装置。
【請求項8】
光集積回路の導波路が中空コアの導波路である、請求項7に記載の相関装置。
【請求項9】
光遅延手段が、一時的な入力データストリームに応答して変調された位相変調された光源を備える、請求項1から8のいずれかに記載の相関装置。
【請求項10】
位相変調された光源がレーザを備える、請求項9に記載の相関装置。
【請求項11】
位相変調された光源が外部から変調されたレーザを備える、請求項10に記載の相関装置。
【請求項12】
基準位相変調器が位相変調空間光変調器(SLM)を備える、請求項1から11のいずれかに記載の相関装置。
【請求項13】
位相変調SLMが、2値位相変調SLMである、請求項12に記載の相関装置。
【請求項14】
位相変調SLMが、アナログの位相変調SLMである、請求項12に記載の相関装置。
【請求項15】
位相変調SLMが、2値位相変調を与える、請求項14に記載の相関装置。
【請求項16】
基準位相変調器が、各光チャンネル用に少なくとも1つ、複数の位相変調要素を備える、請求項2、または請求項2に直接的または間接的に従属する請求項1から15のいずれかに記載の相関装置。
【請求項17】
位相変調要素が、一体化された電気−光位相変調器である、請求項16に記載の相関装置。
【請求項18】
並列光信号の干渉計結合を引き起こすための結合手段および結合手段の出力を検出するための光検出器をさらに備える、請求項1から17のいずれかに記載の相関装置。
【請求項19】
結合手段が多重モード干渉結合器である、請求項18に記載の相関装置。
【請求項20】
結合手段が、並列光信号と光学的整合である別個の焦点合わせ要素を有する焦点合わせ手段を備え、光検出器が、この焦点合わせ要素の焦点または各焦点合わせ要素の焦点に配置されたポイント光検出器である、請求項18に記載の相関装置。
【請求項21】
焦点合わせ要素が、並列光信号を合焦させるために適切な設計および形状の屈折レンズを備える、請求項20に記載の相関装置。
【請求項22】
光遅延手段が複数の同一の並列光データストリームを生成し、複数の基準データ位相変調器の各々が、並列光データストリームのうちの1つに基準位相変調を与える、請求項1から21のいずれかに記載の相関装置。
【請求項23】
複数の基準空間位相パターンを表示する空間光位相変調器を備え、各基準空間位相パターンが基準データ位相変調器である、請求項22に記載の相関装置。
【請求項24】
光遅延手段のチャンネルの出力に作用して複数の並列光データストリームを与えるように配置された光複製手段を備える、請求項2に直接的または間接的に従属するとき請求項22または請求項23に記載の相関装置。
【請求項25】
光複製手段が回折光学部品を備える、請求項24に記載の相関装置。
【請求項26】
周期的に装置を較正するための較正手段を備える、請求項1から25のいずれかに記載の相関装置。
【請求項27】
較正手段が、基準データセットと相関があることが知られているデータを入力し、かつ装置の出力を測定するための手段を備える、請求項26に記載の相関装置。
【請求項28】
較正手段が、データが入力されたとき光検出器の出力を監視し、この出力に基づいて相関を識別するための閾値を設定する、請求項18に直接的または間接的に従属するとき請求項27に記載の相関装置。
【請求項29】
較正手段が、装置の位相ずれに応答して、少なくともアナログSLMの一部の位相変調を調節する、請求項15に直接的または間接的に従属するとき請求項26から28のいずれかに記載の相関装置。
【請求項30】
基準位相変調器が、複数の基準空間位相パターンを表示するための空間光位相変調器を備え、光遅延手段が、複数の同一データの空間位相パターンを生成するための光複製手段を備え、各データの空間位相パターンが、別個の基準空間位相パターンと光学的整合である、請求項1に記載の相関装置。
【請求項31】
光遅延手段が、少なくとも1つのチャンネルを有する音響光学セルを備える、請求項1に記載の相関装置。
【請求項32】
音響セルが、音響媒体、および入力データストリームに基づいて音響媒体に音波を伝達するための変換器を備える、請求項31に記載の相関装置。
【請求項33】
位相変調が入力データを表す位相変調された一時的な光信号を取得するステップと、
位相変調された一時的な光信号を、入力データを表す位相変調を有する少なくとも1つの並列データの光信号に変換するステップと、
前記少なくとも1つの並列光データの信号を変調するステップであって、位相変調が基準データを複製するステップと、
基準変調によって変更された、この光データ信号または各光データ信号を干渉計結合し、検出器上に導くステップと、
入力データと基準データの間の相関の指標として検出器出力を使用するステップとを含む入力データと基準データの相関をとる、方法。
【請求項34】
位相変調された一時的な光信号を、入力データを表す少なくとも1つの並列データの光信号の位相変調に変換するステップが、各々が入力位相変調された光信号の複製を生成し別個の遅れを有する複数のチャンネルを有する光遅延手段に位相変調された一時的な光信号を入力するステップを含み、次々に遅れる諸チャンネルに与えられた遅れが一定量だけ変化する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
位相変調された一時的な光信号が、光遅延手段の相次ぐチャンネルの遅れが変化する量と等しいビットレートを有する2値のデジタル位相信号である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
基準データと相関があることが知られている入力データとの相関をとり、関連する検出器の出力を測定し、この出力を使用して閾値を設定する初期の較正ステップを含む、請求項33から35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
周期的に較正ステップを繰り返すステップを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
較正ステップの間の検出器の出力が、現在の閾値を維持するか、閾値を調節するか、またはシステムの位相状態を再設定する必要性を示すために使用される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
並列光データを、基準データを表す位相変調で変調するステップが、アナログの空間光変調器(SLM)を使用して行われ、SLMに表示された適切な基準空間位相パターンの少なくとも一部の位相が周期的に調節されて、SLM上のそのポイントで入射する放射内の位相ずれを補償する、請求項38に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公表番号】特表2008−517312(P2008−517312A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536268(P2007−536268)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004028
【国際公開番号】WO2006/043057
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(501352882)キネテイツク・リミテツド (93)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004028
【国際公開番号】WO2006/043057
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(501352882)キネテイツク・リミテツド (93)
【Fターム(参考)】
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