説明

光硬化型クリアインク組成物及び記録方法

【課題】硬化性に優れ、且つ印刷後に優れた美観を付与する光硬化型クリアインク組成物、及びこれを用いた記録方法を提供する。
【解決手段】重合性化合物と、アシルフォスフィンオキサイド系化合物と、青系顔料と、を含む光硬化型クリアインク組成物であって、前記青系顔料の含有量は、該光硬化型クリアインク組成物の総質量に対し、1.8ppm〜100ppmであり、かつ、前記アシルフォスフィンオキサイド系化合物の含有量は、該光硬化型クリアインク組成物の総量に対し、6質量%〜10質量%である、光硬化型クリアインク組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化型クリアインク組成物及び記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録物に印刷された人物写真などの美観を高める目的で、硬化性に優れたインクを、印刷インク又は保護膜形成用の塗料として用いることが求められており、種々の検討がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、フェニル基に複数のアルキル基を導入し、カルボン酸若しくはスルホン酸をペンダントしたアルキルフェノン系光開始剤、又はベンジルケタール系光開始剤を含む紫外線硬化性インクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−138150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたインクを用いると、硬化性、及び印刷後の審美性(美観)に劣る場合があるという問題が生じる。そのため、依然として、硬化性及び審美性に優れた塗膜を形成する光硬化型クリアインク組成物が強く求められている。
【0006】
そこで、本発明は、硬化性に優れ、且つ印刷後に優れた美観を付与する光硬化型クリアインク組成物、及びこれを用いた記録方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した。その結果、特許文献1に開示されたものを含む従来のインクは、硬化性に劣るか、又は、硬化性が良好であっても硬化の際に黄変してしまうため、印刷後の審美性(美観)に劣ることを見出した。そこで、更に検討を重ねた結果、重合性化合物、所定含有量のアシルフォスフィンオキサイド系化合物、及び微量の青系顔料を含む光硬化型クリアインク組成物が、硬化性に優れ、かつ、硬化した後の非着色性に優れることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]
重合性化合物と、アシルフォスフィンオキサイド系化合物と、青系顔料と、を含む光硬化型クリアインク組成物であって、前記青系顔料の含有量は、該光硬化型クリアインク組成物の総質量に対し、1.8ppm〜100ppmであり、かつ、前記アシルフォスフィンオキサイド系化合物の含有量は、該光硬化型クリアインク組成物の総質量に対し、6質量%〜10質量%である、光硬化型クリアインク組成物。
[2]
前記アシルフォスフィンオキサイド系化合物は、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドからなる群より選択される1種以上である、[1]に記載の光硬化型クリアインク組成物。
[3]
インクジェット記録用である、[1]又は[2]に記載の光硬化型クリアインク組成物。
[4]
被記録媒体上に付着した[1]〜[3]のいずれかに記載の光硬化型クリアインク組成物に対して、第1の光源から、200〜1,000mJ/cm2の照射エネルギーで光を照射することにより、前記光硬化型クリアインク組成物を硬化させることを含む、記録方法。
[5]
前記第1の光源が、水銀ランプ又はメタルハライドランプである、[4]に記載の記録方法。
[6]
前記光硬化型クリアインク組成物に対して、前記第1の光源からの照射エネルギーで光を照射する前に、第2の光源から光を照射する、[4]又は[5]に記載の記録方法。
[7]
前記第2の光源が発光ダイオードである、[6]に記載の記録方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0010】
本明細書において、「青系顔料」とは、カラーインデックス一般名がC.I.pigment Blueである顔料を意味する。「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びそれに対応するメタクリルを意味する。また、本明細書において、クリアインクは、被記録媒体に可視画像を記録するために用いるカラーインクとは異なり、カラーインクとセットで、あるいは単独で、被記録媒体への記録に用いることで、被記録媒体の光沢性や面質の調整や、その他、カラーインクにより記録する記録物の画質の調整などに用いるインクである。
【0011】
また、本明細書において、「硬化」とは、綿棒で擦って痕が付かない状態のことをいう。「硬化性」とは、光の照射により、光重合開始剤の存在下又は不存在下で重合硬化する性質をいう。「非着色性」とは、硬化膜において黄変や青みなどの変色が目立たない性質をいう。「吐出安定性」とは、ノズルの目詰まりがなく常に安定したインク滴をノズルから吐出させる性質をいう。
【0012】
また、本明細書において、「仮硬化」とは、インクの仮留め(ピニング)を意味し、ドットのブリードや混色を防止するために、本硬化の前に硬化させることを言い、一般に、仮硬化における転化率は仮硬化の後で行う本硬化による転化率よりも低い。「本硬化」とは、被記録媒体上に形成されたドットを、記録物を使用するのに必要な硬化状態まで硬化させることをいう。本硬化させるのに必要なエネルギーを硬化エネルギーという。転化率は例えば特開2006−76122号公報に記載の方法で測定することができる。
【0013】
[光硬化型クリアインク組成物]
本発明の一実施形態は、光硬化型クリアインク組成物に係る。当該光硬化型クリアインク組成物は、重合性化合物と、アシルフォスフィンオキサイド系化合物と、青系顔料と、を含む。加えて、前記青系顔料の含有量は、該光硬化型クリアインク組成物の総質量に対し、1.8ppm〜100ppmであり、かつ、前記アシルフォスフィンオキサイド系化合物の含有量は、該光硬化型クリアインク組成物の総質量に対し、6質量%〜10質量%である。
【0014】
本実施形態のインク組成物は、後述するように青系顔料をごく僅か含むにすぎないため、実質的に無色透明のクリアインク組成物ということができる。
以下、本実施形態の光硬化型クリアインク組成物を構成するか又は構成し得る、各添加剤を詳細に説明する。
【0015】
〔重合性化合物〕
本実施形態の光硬化型クリアインク組成物に含まれる重合性化合物は、後述する光重合開始剤の作用により紫外線などの光の照射時に重合し、固化する化合物であれば、特に制限はないが、単官能基、2官能基、及び3官能基以上の多官能基を有する種々のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。
【0016】
上記モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩またはエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、上記オリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート、及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0017】
また、他の単官能モノマーや多官能モノマーとして、N−ビニル化合物を含んでいてもよい。N−ビニル化合物としては、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、及びそれらの誘導体が挙げられる。これらのうち、インクの優れた硬化性及び記録物の優れた美観をより有効かつ確実に得るため、N−ビニルカプロラクタムが好ましい。
上記で列挙したものの中でも(メタ)アクリル酸のエステル、即ち(メタ)アクリレートが好ましい。
【0018】
上記(メタ)アクリレートのうち、単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0019】
上記(メタ)アクリレートのうち、2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0020】
上記(メタ)アクリレートのうち、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0021】
これらの中でも、硬化時の塗膜の伸び性が高く、且つ低粘度であるため、インクジェット記録時の射出安定性が得られやすいため、光硬化型クリアインク組成物は、重合性化合物として、単官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。さらに塗膜の硬さが増すため、単官能(メタ)アクリレートと2官能(メタ)アクリレートとを併用することがより好ましい。
【0022】
また、本実施形態の光硬化型クリアインク組成物に含まれる具体的な重合性化合物として、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、フェノキシエチルアクリレート(以下、「PEA」ともいう。)、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルアクリレート、及びテトラヒドロフルフリルアクリレートからなる群より選択される1種以上が好ましく挙げられる。これらの中でも、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート及びフェノキシエチルアクリレートのうち少なくともいずれかがより好ましい。これらの具体的な重合性化合物を使用することにより、光硬化型クリアインク組成物の溶解性を一層良好なものとすることができる。
インクの硬化性に優れ、且つ記録物に優れた美観を付与するため、特に記録物により優れた美観を付与するため、光硬化型クリアインク組成物は、重合性化合物として、2官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びトリシクロデカンジメタノールジアクリレートからなる群より選択される1種以上を含むことがより好ましく、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートを含むことがより好ましい。
【0023】
さらに、上記単官能(メタ)アクリレートは、芳香環骨格、飽和脂環骨格、及び不飽和脂環骨格からなる群より選択される1種以上の骨格を有することが好ましい。重合性化合物が上記骨格を有する単官能(メタ)アクリレートであることにより、光硬化型クリアインク組成物の粘度を低下させ、且つ上記のエポキシ基含有ポリマーを光硬化型クリアインク組成物中に効果的に溶解させることができる。
【0024】
芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、及び2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、飽和脂環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、不飽和脂環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0025】
上記の重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、硬化膜の耐擦性を確保することができるため、重合性化合物の含有量は、光硬化型クリアインク組成物の総質量に対して、20〜95質量%が好ましく、40〜90質量%がより好ましい。
【0026】
〔光重合開始剤〕
本実施形態の光硬化型クリアインク組成物は光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、活性放射線の照射による光重合によって、被記録媒体の表面に存在するインクを硬化させて印字を形成するために用いられる。ここで、上記活性放射線としては、α線、β線、γ線、電子線、X線、紫外線(UV)、可視光線、及び赤外線が挙げられる。中でも、紫外線が好ましい。
【0027】
光重合開始剤は、上記のアシルフォスフィンオキサイド系化合物を含む。アシルフォスフィンオキサイド系化合物として、以下に限定されないが、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドが挙げられる。中でも、内部硬化性に優れるため、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドのうち少なくともいずれかであることが好ましい。より好ましくは、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドのうち少なくともいずれかである。
【0028】
光重合開始剤の市販品としては、例えば、ラジカル重合開始剤であるDAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)(以上、チバ・ジャパン社(Ciba Japan K.K.)製商品名)が挙げられる。
【0029】
上記の光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
上記の光重合開始剤として用いられるアシルフォスフィンオキサイド系化合物は、その光吸収ピーク波長が、長波長LEDの発光ピーク波長とほぼ重なるという特徴を有する。そのため、インクを硬化させるための光照射源として長波長LEDを用いることにより、長波長LEDから照射された光を効率よくアシルフォスフィンオキサイド系化合物が吸収して開始種を発生する。すなわち、少ない光の照射量で多くの開始種を発生することができるので、後述する記録方法にかかるコストを低減することができる。したがって、本実施形態の光硬化型クリアインク組成物は、長波長LED対応のインクとして用いると好適であり、低コストのため使用しやすいという利点がある。
なお、上記長波長LEDにおける「長波長」は、発光ピーク波長として350nm〜400nmであることが好ましい。
【0031】
アシルフォスフィンオキサイド系化合物の含有量は、光硬化型クリアインク組成物の総質量に対し、6質量%〜10質量%であり、6.5〜9.5質量%であることが好ましく、7〜9質量%であることがより好ましい。含有量が6質量%以上かつ10質量%以下であると、アシルフォスフィンオキサイド系化合物が十分に分解するため、青系顔料により硬化膜の黄変を十分に抑制することができると共に、インクの硬化性も優れたものとすることができる。
【0032】
〔青系顔料〕
本実施形態の光硬化型クリアインク組成物に含まれる青系顔料は、着色のためでなく、クリアインクの黄変を緩和させるために用いられる。そのため、光硬化型クリアインク組成物中の青系顔料の濃度は後述するようにごく僅かである。
【0033】
青系顔料に用いられるシアン顔料としては、以下に限定されないが、例えば、C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigment Blue 2、C.I.Pigment Blue 3、C.I.Pigment Blue 15、C.I.Pigment Blue 15:1、C.I.Pigment Blue 15:2、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:34、C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 18、C.I.Pigment Blue 22、C.I.Pigment Blue 25、C.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Blue 65、C.I.Pigment Blue 66、C.I.Vat Blue 4、C.I.Vat Blue 60が挙げられる。
【0034】
青系顔料の含有量は、光硬化型クリアインク組成物の総質量に対し、質量基準で1.8ppm〜100ppmであり、5ppm〜90ppmであることが好ましく、10ppm〜80ppmであることがより好ましい。含有量が1.8ppm以上であると、アシルフォスフィンオキサイド系化合物(光重合開始剤)が十分に分解するため、硬化膜の非着色性に優れる(黄変が目立たない)。含有量が100ppm以下であると、シアンの青みが目立たないため、硬化膜は透明な色相に優れる。このように、青系顔料は光硬化型クリアインク組成物中に微量含まれるにすぎないため、上記のとおり、本実施形態の光硬化型インク組成物はクリアインクである。
【0035】
〔界面活性剤〕
本実施形態の光硬化型クリアインク組成物は、基材への濡れ性を良好なものとする(ハジキを防止する)ため、界面活性剤を含むと好ましい。その光硬化型クリアインク組成物に含まれ得る界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤が挙げられる。シリコーン系界面活性剤として、より具体的には、ポリエステル変性シリコーン及びポリエーテル変性シリコーンを用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが特に好ましい。その具体例としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(ビックケミー・ジャパン社製商品名)を挙げることができる。
【0036】
〔重合禁止剤〕
本実施形態の光硬化型クリアインク組成物は、重合禁止剤を含むと好ましい。その光硬化型クリアインク組成物に含まれ得る重合禁止剤としては、特に限定されないが、例えば、IRGASTAB UV10及びUV22(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals Inc.)製商品名)、ハイドロキノンモノメチルエーテル(関東化学社(KANTO CHEMICAL CO., INC)製商品名)等を用いることができる。重合禁止剤を添加することにより、光硬化型クリアインク組成物の保存安定性が向上する。
【0037】
〔分散剤〕
本実施形態の光硬化型クリアインク組成物は、顔料分散性を良好なものとするため、分散剤を含有させることが好ましい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂等の一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、ノベオン社(Noveon Inc.))製のソルスパーズシリーズ(例えばソルスパーズ36000)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズ等が挙げられる。
【0038】
〔その他添加剤〕
本実施形態の光硬化型クリアインク組成物は、上記の添加剤以外の添加剤(成分)を含んでもよい。この添加剤として、特に限定されないが、例えば従来公知の、顔料分散剤、酸化防止剤、重合促進剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、表面調整剤、定着剤、防黴剤、及び防腐剤が挙げられる。
【0039】
〔光硬化型クリアインク組成物の用途〕
本実施形態の光硬化型クリアインク組成物は、後述するとおり、インクジェット記録用として使用されることが好ましい。
【0040】
本実施形態の光硬化型クリアインク組成物は、硬化性に優れ、且つ硬化した後の非着色性に優れるため、優れた審美性が要求される人物写真用や塗膜保護用の塗料として用いることができる。これらの中でも、光硬化型クリアインク組成物は、人物写真用のインクとして用いることが好ましい。
【0041】
このように、本実施形態によれば、硬化性に優れ、且つ印刷後に優れた美観を付与する(硬化膜の非着色性に優れた)光硬化型クリアインク組成物が得られる。ここで、本願発明者らは、硬化膜の非着色性の作用機序を調べたところ、次のような知見が得られた。
【0042】
光硬化型クリアインク組成物が硬化されて形成される硬化膜の着色度は、硬化時の光重合開始剤の分解度に反比例する。つまり、本実施形態で光重合開始剤として用いられるアシルフォスフィンオキサイド系化合物は黄色を帯びており、硬化時に分解されずに相当量の光重合開始剤が残存した場合、この光重合開始剤が硬化膜を黄変させてしまう。ひいては、硬化膜の非着色性が損なわれ、印刷後の審美性に劣ってしまう。
【0043】
そこで、本願発明者らが鋭意検討した結果、アシルフォスフィンオキサイド系化合物(光重合開始剤)の含有量を所定範囲に制限して光重合開始剤が残存することを極力避けるとともに、補色である青を発色する青系顔料を微量添加することにより、硬化膜の黄色を消すことができることを見出したのである。
【0044】
[被記録媒体]
上記実施形態の光硬化型クリアインク組成物は、後述の記録方法を実施することにより、被記録媒体上に画像を形成するために用いられ得る。
【0045】
被記録媒体として、例えば、吸収性又は非吸収性の被記録媒体が挙げられる。なお、非吸収性の被記録媒体を使用した場合は、紫外線を照射してインクを硬化させた後に乾燥工程を設けること等が必要となる場合がある。
【0046】
吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、電子写真用紙などの普通紙、及びインクジェット用紙、並びに一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、及びキャスト紙が挙げられる。ここで、上記のインクジェット用紙は、詳細には、シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えたインクジェット専用紙ということもできる。
【0047】
非吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック類のフィルムやプレート、鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート、又はそれら各種金属を蒸着により製造した金属プレートやプラスチック製のフィルム、ステンレスや真鋳等の合金のプレートが挙げられる。
【0048】
[記録方法]
本発明の一実施形態は、記録方法に係る。当該記録方法は、被記録媒体上に付着した上記実施形態の光硬化型クリアインク組成物に対して、第1の光源から、200〜1,000mJ/cm2、好ましくは250〜900mJ/cm2、より好ましくは300〜800mJ/cm2の照射エネルギーで光を照射することにより、その光硬化型クリアインク組成物を硬化させることを含む。第1の光源からの照射エネルギーが上記範囲であると、光重合開始剤が分解して黄色が消え、硬化膜の黄変がほとんど起こらない傾向にある上、未反応の光重合開始剤に起因した着色が青系顔料の作用により目立たない。
ここで、上記第1の光源とは本硬化に用いる光源を意味し、後述する第2の光源とは、仮硬化に用いる光源を意味する。
【0049】
また、上記実施形態の光硬化型クリアインク組成物は、上述のとおり、インクジェット記録用として使用されることが好ましい。すなわち、本実施形態は、インクジェット記録方法であることが好ましい。当該インクジェット記録方法は、被記録媒体上に、上記光硬化型クリアインク組成物を吐出する吐出工程と、上記吐出工程により吐出された光硬化型クリアインク組成物に活性放射線を照射して、上記光硬化型クリアインク組成物を硬化する硬化工程とを含む。このようにして、被記録媒体上で硬化した光硬化型クリアインク組成物により、塗膜(硬化膜)が形成される。
なお、インクジェット記録方法に関する以下の説明においては、光硬化型クリアインク組成物及び他の色のインク組成物を、単に「インク組成物」と称する。
【0050】
〔吐出工程〕
上記吐出工程においては、従来公知のインクジェット記録装置を用いることができる。吐出時のインク組成物の粘度としては、好ましくは30mPa・s以下、より好ましくは20mPa・s以下である。このようにして、良好な吐出安定性が実現される。
なお、インク組成物の吐出は、加熱により、インク組成物の粘度を上記の好ましい数値範囲まで下げた後に行うことも可能である。
【0051】
光硬化型インク組成物は、通常のインクジェット記録用インクで使用される水性インク組成物より粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。かかるインクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こし得る。従って、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが好ましい。
【0052】
〔硬化工程〕
次に、上記硬化工程においては、被記録媒体上に吐出されたインク組成物が、活性放射線を照射することによって硬化する。これは、インク組成物に含まれる光重合開始剤が活性放射線の照射により分解して、ラジカル、酸及び塩基などの開始種を発生し、ラジカル重合性化合物の重合反応が、その開始種の機能によって促進されるためである。このとき、インク組成物において光重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、光重合開始剤と接触することによって光重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
【0053】
ここで、上記の活性放射線としては、上述のとおり、α線、β線、γ線、電子線、X線、紫外線(UV)、可視光線、及び赤外線が挙げられ、好ましくは紫外線(UV)である。
【0054】
活性放射線源(光照射の光源)として、ランプ、発光ダイオード(LED)、又はレーザーダイオード(LD)が挙げられる。
【0055】
上記のランプとして、特に限定されないが、例えば、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、及び水銀ランプ(低圧水銀ランプや高圧水銀ランプ)が挙げられる。これらの中でも、高い硬化率を得ることができるため、水銀ランプ又はメタルハライドランプが好ましい。
【0056】
一方、上記のとおり、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることも可能である。また、LEDやLDは、入力電流の大きさを制御することによって、照射エネルギーを容易に変更することが可能なため、比較的小さなエネルギーを用いる仮硬化の光源としても好適に用いることができる。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。これらは、小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。これらの中でも、LEDが好ましく、紫外LEDがより好ましい。
【0057】
ここで、上記第1の光源からの照射エネルギーは、上述の硬化エネルギー、すなわち本硬化させるのに必要なエネルギー以上であることが好ましい。上記第1の光源は、水銀ランプ又はメタルハライドランプであることが好ましい。
なお、硬化エネルギーは、活性放射線光源として用いる光源が例えばメタルハライドランプであれば、これにより照射する場合の硬化エネルギーであって、光源の種類が異なれば硬化エネルギーも異なる。
【0058】
また、前記光硬化型クリアインク組成物に対して、前記第1の光源からの照射エネルギーで光を照射することにより本硬化を行う前に、第2の光源から光を照射することにより仮硬化を行うことが好ましい。この第2の光源とは、上記のとおり、仮硬化に用いる光源を意味する。
【0059】
仮硬化はLEDで行うことが好ましい。つまり、上記第2の光源がLEDであることが好ましい。具体的にいえば、光硬化型クリアインク組成物に光を照射する過程において、まずLEDで仮硬化を行い、次に、水銀ランプ又はメタルハライドランプで本硬化を行うことが好ましい。
なお、仮硬化は、上記のとおり、ドットのブリードや混色を防止するために行うものであるので、ブリードや混色が問題にならない場合には仮硬化を行わなくてもよい。
【0060】
このように、本実施形態によれば、インクの硬化性に優れ、且つ印刷後に優れた美観を付与する(硬化膜の非着色性に優れた)記録方法を提供することができる。ここで、本願発明者らは、硬化膜の非着色性の作用機序を調べたところ、次のような知見が得られた。
上記のとおり、光硬化型クリアインク組成物が硬化されて形成される硬化膜の着色度は、硬化時(特に本硬化時)の光重合開始剤の分解度に反比例する。そこで、本願発明者らが鋭意検討した結果、硬化時(特に本硬化時)の照射光源からの照射エネルギーを所定範囲とすることにより、光重合開始剤の分解度を高くして、分解していない光重合開始剤による黄変を低減させることを見出した。これに加えて、光重合開始剤の過度の分解を抑制して、未分解の光重合開始剤を残存させることにより、添加した青系顔料による青みと相殺させることができることを知見した。これらにより、硬化膜の着色度を小さくし、且つ硬化性を高くするのに十分なほど、光重合開始剤を分解できることを見出した。
【実施例】
【0061】
以下、上記の実施形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0062】
[材料]
実施例及び比較例において使用した材料は、下記に示す通りである。
〔重合性化合物〕
・トリプロピレングリコールジアクリレート(V#310HP(商品名)、大阪有機化学工業社(OSAKA ORGANIC CHEMICAL INDUSTRY LTD.)製)
・フェノキシエチルアクリレート(V#192(商品名)、大阪有機化学工業社製)
・N−ビニルカプロラクタム(ビニルカプロラクタム(商品名)、BASF社製)
〔光重合開始剤〕
・DAROCUR TPO(チバスペシャルティーケミカルズ社製商品名)
・IRGACURE 819(チバスペシャルティーケミカルズ社製商品名)
〔重合禁止剤〕
・Irgastab UV22(チバスペシャルティーケミカルズ社製商品名)
〔界面活性剤〕
・BYK−UV3500(ビッグケミー・ジャパン社製商品名)
〔青系顔料〕
・IRGALITE BLUE GLO(C.I.Pigment Blue 15:3、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製商品名)
〔分散剤〕
・ソルスパーズ36000(ノベオン社製商品名)
【0063】
[実施例1〜9、比較例1〜5]
〔顔料分散液の調製〕
顔料(IRGALITE BLUE GLO)15質量%、分散剤(ソルスパーズ36000)9質量%に、フェノキシエチルアクリレートを加えて全体を100質量%とし、混合撹拌して混合物とした。この混合物を、サンドミル(安川製作所社製)を用いて、ジルコニアビーズ(直径1.5mm)と共に6時間分散処理を行った。その後、ジルコニアビーズをセパレータで分離することにより、実施例1〜9及び比較例1〜5で使用するクリアインク組成物に用いる顔料分散液を得た。
【0064】
〔光硬化型クリアインク組成物の調製〕
下記表1及び表2に記載の成分を、表1及び表2に記載の組成となるように添加し、これを撹拌することにより、光硬化型クリアインク組成物を得た。なお、顔料及び分散剤は、上記で調製した顔料分散剤を用いた。評価結果を下記表1及び表2に示す。
なお、表中、単位の記載がない箇所は「質量%」であることを意味する。また、アシルフォスフィンオキサイド系化合物(光重合開始剤)と青系顔料との質量比は、(アシルフォスフィンオキサイド系化合物):(青系顔料)として示す。さらに、表1及び表2に記載した照射エネルギー(照射強度)の測定は、紫外線強度計UM−10及び受光部UM−400(いずれもコニカミノルタセンシング社(KONICA MINOLTA SENSING, INC.)製商品名)を用いて行った。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
〔評価項目〕
(1.硬化膜の非着色性評価)
印刷後の審美性(美観)を評価するため、硬化膜の非着色性を評価した。
サブストレート(ルミラー#125−E20、東レ社(Toray Industries, Inc.)製)に膜厚10μmとなるように光硬化型クリアインク組成物をバーコーターで塗布した。続いて、メタルハライドランプ(Honle社製)を用いて上記表1及び表2に記載した本硬化時の照射エネルギーで、塗布(付着)したインク組成物に光を照射して、光硬化型クリアインク組成物を硬化させた。測定装置としてSpcetrolino(GretagMacbeth社製)を用い、サブストレートと、サブストレート上に形成された硬化膜(クリアインクの塗膜)とを測色(色相を測定)し、それらの間のΔEを算出した。具体的な測定条件としては、硬化後1日放置した後に、サブストレートと得られた膜のΔEを算出した。評価基準は以下の通りである。A及びBが実用上問題のない評価基準である。結果を下記表3及び表4に示す。
A:ΔEが2未満、
B:ΔEが2以上3未満、
C:ΔEが3以上。
【0068】
(2.硬化性評価)
PETフィルム(ルミラー#125−E20、東レ社製商品名)に膜厚10μmとなるようにバーコーターで光硬化型クリアインク組成物を塗布した。続いて、発光ピーク波長395nm、照度70mW/cm2のLED(Firefly(商品名)、Phoseon社製)を用いて、塗布(付着)したインク組成物に光を照射して、光硬化型クリアインク組成物を硬化させ塗膜を得た。塗膜を綿棒で擦り、擦過痕が付かなくなるまでに要する光の照射時間を測定した。評価基準は以下の通りである。A及びBが実用上問題のない評価基準である。結果を下記表3及び表4に示す。
A:照射時間が30秒未満、
B:照射時間が30秒以上60秒未満、
C:照射時間が60秒以上。
【0069】
【表3】

【0070】
【表4】

【0071】
表3及び表4に示した結果より、重合性化合物、所定含有量のアシルフォスフィンオキサイド系化合物(光重合開始剤)、及び所定含有量の青系顔料を含む光硬化型クリアインク組成物が、硬化性に優れ、且つ硬化膜の非着色性に優れる(印刷後の美観に優れる)ことが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性化合物と、アシルフォスフィンオキサイド系化合物と、青系顔料と、を含む光硬化型クリアインク組成物であって、
前記青系顔料の含有量は、該光硬化型クリアインク組成物の総質量に対し、1.8ppm〜100ppmであり、かつ、
前記アシルフォスフィンオキサイド系化合物の含有量は、該光硬化型クリアインク組成物の総質量に対し、6質量%〜10質量%である、光硬化型クリアインク組成物。
【請求項2】
前記アシルフォスフィンオキサイド系化合物は、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドからなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の光硬化型クリアインク組成物。
【請求項3】
インクジェット記録用である、請求項1又は2に記載の光硬化型クリアインク組成物。
【請求項4】
被記録媒体上に付着した請求項1〜3のいずれか1項に記載の光硬化型クリアインク組成物に対して、第1の光源から、200〜1,000mJ/cm2の照射エネルギーで光を照射することにより、前記光硬化型クリアインク組成物を硬化させることを含む、記録方法。
【請求項5】
前記第1の光源が、水銀ランプ又はメタルハライドランプである、請求項4に記載の記録方法。
【請求項6】
前記光硬化型クリアインク組成物に対して、前記第1の光源からの照射エネルギーで光を照射する前に、第2の光源から光を照射する、請求項4又は5に記載の記録方法。
【請求項7】
前記第2の光源が発光ダイオードである、請求項6に記載の記録方法。

【公開番号】特開2012−77197(P2012−77197A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223573(P2010−223573)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】