説明

光硬化型ジェルネイル用下地剤およびジェルネイル方法

【課題】爪に対する密着性および剥離性のバランスに優れるばかりか、硬化速度が速く、さらには、上方に積層されるジェルネイル層との密着性にも優れる光硬化型ジェルネイル用下地剤およびそれを用いたジェルネイル方法を提供する。
【解決手段】下記(A)〜(F)成分を含有することを特徴とする光硬化型ジェルネイル用下地剤およびそれを用いてなるジェルネイル方法。(A)ポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー100重量部、(B)脂環式(メタ)アクリレートモノマー20〜60重量部、(C)25℃において液体であるアクリルアミド系モノマー5〜20重量部、(D)分子内にエチレンオキサイドを有する2官能(メタ)アクリレートモノマー20〜40重量部、(E)3官能以上の多官能モノマー0重量部または0〜1重量部(F)光重合開始剤5〜20重量部。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化型ジェルネイル用下地剤およびそれを用いたジェルネイル方法に関する。
特に、爪に対する密着性および剥離性のバランスに優れるばかりか、硬化速度が速く、さらには、上方に積層されるジェルネイル層との密着性にも優れる光硬化型ジェルネイル用下地剤およびそれを用いたジェルネイル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、爪に塗布するジェルネイル(マニキュアと呼ばれることもある)は、ニトロセルロース、またはアクリル樹脂を主成分とし、これをトルエン、酢酸ブチル、酢酸エチルの溶剤に溶解させた溶剤型ジェルネイルが一般的であった。
しかしながら、かかる溶剤型ジェルネイルは、使用者が溶剤蒸気を吸ってしまうことになるため、保健衛生上好ましくないという問題があった。
【0003】
また、溶剤型ジェルネイルは、溶剤が飛散するのに、通常、数十分を要することから、ジェルネイルの塗布後、乾燥・硬化するまでの間、長時間に渡って指先を自由に使うことができないという問題も見られた。
【0004】
そこで、硬化反応が速く、溶剤を実質的に含まない光硬化型ジェルネイル組成物が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
すなわち、特許文献1には、重合性不飽和基含有化合物と光重合開始剤を含有することを特徴とする光硬化性無溶剤型マニキュアが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、紫外線硬化型樹脂および光重合開始剤を含む人工爪形成用組成物であって、(1)光重合開始剤は、アルキルフェノン型、アシルフォスフィンオキサイド型、チタノセン型およびオキシムエステル型からなる群から選択される少なくとも一種を含有し、(2)人工爪形成用組成物は、紫外線発光ダイオードを用いて波長が340〜370nmの紫外光を照射することにより硬化させることを特徴とする人工爪形成用組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−161025号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2010−105967号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1および2に記載された光硬化型ジェルネイル組成物は、爪に対する密着性および剥離性のバランスが不十分であり、形成したジェルネイル層が爪から過度に剥離し易くなったり、逆に、過度に剥離しにくくなったりすると言う問題が見られた。
すなわち、特許文献1および2に記載された光硬化型ジェルネイル組成物は、爪に対して直接塗布することによりジェルネイル層を形成するものであるため、ジェルネイル層としての所定レベルの硬度が要求されるのは勿論のこと、それに加えて爪に対する密着性および剥離性のバランスについても要求されることになる。
そのため、これら全ての特性を万遍なく発揮させることは、実際上困難であり、特に、爪に対する密着性および剥離性のバランスが不十分になりやすいという問題が見られた。
【0008】
そこで、本発明者らは、従来の問題を鋭意検討した結果、爪に対して所定の下地層を形成し、かかる下地層の上方にジェルネイル層を積層することで、上述した問題を解決できることを見出し、本発明を完成させたものである。
より具体的には、所定のウレタンメタアクリレートオリゴマーと、所定の(メタ)アクリレートモノマーと、所定のアクリルアミド系モノマーと、所定の2官能(メタ)アクリレートモノマーと、光重合開始剤とを、所定配合比にて含み、かつ、3官能以上の多官能モノマーを実質的に含まない光硬化型ジェルネイル用下地剤を用いることにより、上述した問題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明の目的は、爪に対する密着性および剥離性のバランスに優れるばかりか、硬化速度が速く、さらには、上方に積層されるジェルネイル層との密着性にも優れる光硬化型ジェルネイル用下地剤およびそれを用いたジェルネイル方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、下記(A)〜(F)成分を含有することを特徴とする光硬化型ジェルネイル用下地剤が提供され、上述した問題を解決することができる。
(A)ポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー 100重量部
(B)脂環式(メタ)アクリレートモノマー 20〜60重量部
(C)25℃において液体であるアクリルアミド系モノマー 5〜20重量部
(D)分子内にエチレンオキサイドを有する2官能(メタ)アクリレートモノマー
20〜40重量部
(E)3官能以上の多官能モノマー 0重量部または0〜1重量部
(但し、0重量部は含まない。)
(F)光重合開始剤 5〜20重量部
【0010】
すなわち、本発明の光硬化型ジェルネイル用下地剤であれば、(A)成分として所定のウレタンメタアクリレートオリゴマーを用いることから、光硬化型ジェルネイル用下地剤の反応性を所定の範囲で抑制し、爪に対する下地層の密着性を効果的に向上させることができる。
また、(E)成分である3官能以上の多官能モノマーを実質的に含まないことから、(A)成分に由来した爪に対する下地層の密着性を効果的に発揮させることができる。
その一方で、(B)〜(D)成分として反応性に優れた複数種のモノマー成分および(F)成分としての光重合開始剤を所定の配合割合にて用いることから、光硬化型ジェルネイル用下地剤の反応性を所定の範囲で増加させ、(A)成分に由来した下地層の爪に対する優れた密着性を維持しつつ、剥離性についても効果的に向上させることができる。
したがって、本発明の光硬化型ジェルネイル用下地剤であれば、爪に対する密着性および剥離性のバランスに優れた下地層を安定的に形成することができる。
また、本発明の光硬化型ジェルネイル用下地剤であれば、硬化速度が速く、さらには、上方に積層されるジェルネイル層との密着性にも優れる。
その結果として、下地層の上方に積層されるジェルネイル層は、かかる下地層を介し、爪に対して効果的に密着できる一方で、剥離時には、下地層と一体となって容易に剥離することができる。
なお、本発明において、「2官能」とは、一つのモノマーが重合性二重結合を有する官能基を2つ有することを意味し、「3官能」とは、一つのモノマーが重合性二重結合を有する官能基を3つ有することを意味する。
【0011】
また、本発明の光硬化型ジェルネイル用下地剤を構成するにあたり、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマーの重量平均分子量を10,000〜50,000の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、光硬化型ジェルネイル用下地剤を光硬化させる際の収縮率を低減させて、下地層の爪に対する密着性を維持しつつ、剥離性をさらに向上させることができる。
【0012】
また、本発明の光硬化型ジェルネイル用下地剤を構成するにあたり、(B)成分である脂環式(メタ)アクリレートモノマーが、イソボルニルメタアクリレートであることが好ましい。
このように構成することにより、光硬化型ジェルネイル用下地剤を光硬化させる際の硬化速度をより速くすることができるばかりか、(A)成分に由来した下地層の爪に対する優れた密着性を維持しつつ、剥離性をより向上させることができる。
【0013】
また、本発明の光硬化型ジェルネイル用下地剤を構成するにあたり、(C)成分である25℃において液体であるアクリルアミド系モノマーが、ヒドロキシエチルアクリルアミドであることが好ましい。
このように構成することにより、(A)成分に由来した下地層の爪に対する優れた密着性を維持しつつ、剥離性をさらに向上させることができる。
【0014】
また、本発明の光硬化型ジェルネイル用下地剤を構成するにあたり、(D)成分である分子内にエチレンオキサイドを有する2官能(メタ)アクリレートモノマーが、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物ジアクリレートであることが好ましい。
このように構成することにより、(A)成分に由来した下地層の爪に対する優れた密着性を維持しつつ、剥離性をさらに向上させることができる。
なお、以下において、「エチレンオキサイド」を「EO」と略記する場合がある。
【0015】
また、本発明の光硬化型ジェルネイル用下地剤を構成するにあたり、(F)成分である光重合開始剤が、アシルフォスフィンオキサイド系化合物と、α−ヒドロキシケトン系化合物およびベンゾフェノン系化合物、あるいはいずれか一方と、を含むことが好ましい。
このように構成することにより、光硬化型ジェルネイル用下地剤を光硬化させる際の硬化速度をさらに速くすることができる。
【0016】
また、本発明の別の態様は、光硬化型ジェルネイル用下地剤を用いてなるジェルネイル方法であって、下記工程(1)〜(5)を含むことを特徴とするジェルネイル方法である。
(1)下記(A)〜(F)成分を含有する光硬化型ジェルネイル用下地剤を準備する工程
(A)ポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー 100重量部
(B)脂環式(メタ)アクリレートモノマー 20〜60重量部
(C)25℃において液体であるアクリルアミド系モノマー 5〜20重量部
(D)分子内にエチレンオキサイドを有する2官能(メタ)アクリレートモノマー
20〜40重量部
(E)3官能以上の多官能モノマー 0重量部または0〜1重量部
(但し、0重量部は含まない。)
(F)光重合開始剤 5〜20重量部
(2)光硬化型ジェルネイル用下地剤を爪に対して塗布する工程
(3)塗布した光硬化型ジェルネイル用下地剤を光硬化させて、下地層を形成する工程
(4)下地層に対して光硬化型ジェルネイル組成物を塗布する工程
(5)塗布した光硬化型ジェルネイル組成物を光硬化させて、ジェルネイル層を形成する工程
【0017】
すなわち、本発明のジェルネイル方法であれば、所定の光硬化型ジェルネイル用下地剤を用いることから、爪に対する密着性および剥離性のバランスに優れた下地層を安定的に、かつ、短時間で形成することができる。
したがって、下地層の上方に積層されるジェルネイル層は、かかる下地層を介し、爪に対して効果的に密着できる一方で、剥離時には、下地層と一体となって容易に剥離することができる。
【0018】
また、本発明のジェルネイル方法を実施するにあたり、工程(4)における光硬化型ジェルネイル組成物が、下記(A)成分、(B)成分、(D)成分、(E´)成分、および(F)成分を含有することが好ましい。
(A)ポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー 100重量部
(B)脂環式(メタ)アクリレートモノマー 20〜60重量部
(D)分子内にエチレンオキサイドを有する2官能(メタ)アクリレートモノマー
20〜40重量部
(E´)3官能以上の多官能モノマー 5〜20重量部
(F)光重合開始剤 5〜20重量部
【0019】
このように実施することにより、下地層に対するジェルネイル層の密着性を、さらに向上させることができる。
【0020】
また、本発明のジェルネイル方法を実施するにあたり、(E´)成分である3官能以上の多官能モノマーが、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであることが好ましい。
このように実施することにより、下地層に対するジェルネイル層の密着性を安定的に維持しつつ、ジェルネイル層の硬度を向上させ、ひいてはジェルネイル層の耐久性についても向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、下地層の密着性および剥離性に対する(B)成分の配合量の影響を説明するために供する図である。
【図2】図2は、下地層の密着性および剥離性に対する(C)成分の配合量の影響を説明するために供する図である。
【図3】図3は、下地層の密着性および剥離性に対する(D)成分の配合量の影響を説明するために供する図である。
【図4】図4は、下地層の密着性および剥離性に対する(E)成分の配合量の影響を説明するために供する図である。
【図5】図5(a)〜(e)は、爪に対し、下地層およびジェルネイル層を順次形成する方法を説明するために供する図である。
【図6】図6(f)〜(h)は、爪に対し、下地層、ジェルネイル層およびクリアコート層を順次形成する方法を説明するために供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態は、下記(A)〜(F)成分を含有することを特徴とする光硬化型ジェルネイル用下地剤である。
(A)ポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー 100重量部
(B)脂環式(メタ)アクリレートモノマー 20〜60重量部
(C)25℃において液体であるアクリルアミド系モノマー 5〜20重量部
(D)分子内にエチレンオキサイドを有する2官能(メタ)アクリレートモノマー
20〜40重量部
(E)3官能以上の多官能モノマー 0重量部又は0〜1重量部
(但し、0重量部は含まない。)
(F)光重合開始剤 5〜20重量部
以下、第1の実施形態の各構成要件である(A)〜(F)成分等について、具体的に説明する。
【0023】
1.(A)成分:ウレタンメタアクリレートオリゴマー
(1)種類
本発明の光硬化型ジェルネイル用下地剤は、(A)成分としてポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマーを含むことを特徴とする。
すなわち、(A)成分を、ポリエーテル骨格ポリオールと、有機ポリイソシアネート化合物およびヒドロキシメタアクリレートと、の反応物とすることを特徴とする。
この理由は、(A)成分としてポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマーを用いることにより、光硬化型ジェルネイル用下地剤の反応性を所定の範囲で抑制し、下地層の爪に対する密着性を効果的に向上させることができるためである。
また、(A)成分としてのポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマーであれば、後述する(B)〜(D)成分等との組み合わせにより、光硬化型ジェルネイル用下地剤の反応性を所定の範囲で増加させ、(A)成分に由来した下地層の爪に対する優れた密着性を維持しつつ、剥離性についても効果的に向上させることができるためである。
したがって、(A)成分としてポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマーを用いることにより、爪に対する密着性および剥離性のバランスに優れた下地層を安定的に形成することができる。
【0024】
すなわち、ポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマーであれば、ポリエーテル骨格ウレタンアクリレートオリゴマーと比較して、光硬化後における体積収縮率が少なく、下地層の爪に対する密着性を効果的に向上させることができるためである。
また、ポリエーテル骨格であれば、ポリエステル骨格、ポリカプロラクトン骨格、ポリカーボネート骨格の場合と比較して、下地層の爪に対する密着性を効果的に維持しつつも、光硬化型ジェルネイル用下地剤の硬化性を向上させることができるためである。
【0025】
ここで、ポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマーを得るためのポリエーテル骨格ポリオールの種類については、特に制限されるものではないが、工業的に容易に入手でき、比較的安価であることから、ポリエーテル骨格ジオール化合物であることが好ましい。
【0026】
また、ポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマーを得るための有機ポリイソシアネート化合物の種類としては、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなど、無黄変型のものが好ましい。
また、ポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマーを得るためのヒドロキシメタアクリレートとしては、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、カプロラクトン変性−2−ヒドロキシエチルメタアクリレートなどが好ましい。
但し、これらのポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマーを必ずしも単独使用する必要はなく、本願発明の効果が得られる範囲において、他のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、例えば、ポリエステル骨格ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカプロラクトン骨格ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート骨格ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等を併用することも好ましい。
【0027】
(2)重量平均分子量
また、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマーは、重量平均分子量が10,000〜50,000であることが好ましい。
この理由は、(A)成分の重量平均分子量をかかる範囲内の値とすることにより、光硬化型ジェルネイル用下地剤を光硬化させる際の収縮率を低減させて、下地層の爪に対する密着性を維持しつつ、剥離性をさらに向上させることができるためである。
すなわち、(A)成分の重量平均分子量が10,000未満の値となると、光硬化型ジェルネイル用下地剤の硬化速度が過度に増大し、下地層の爪に対する密着性が不十分になって、下地層が過度に剥離し易くなる場合があるためである。一方、(A)成分の重量平均分子量が50,000を超えた値となると、光硬化型ジェルネイル用下地剤の硬化速度が過度に低下し、硬化時間が長くなったり、下地層に要求される耐久性を得ることが困難になったりする場合があるためである。
したがって、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマーの重量平均分子量を15,000〜35,000の範囲内の値とすることがより好ましく、20,000〜30,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0028】
(3)配合量
また、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマーの配合量を、(A)〜(F)成分を含む光硬化型ジェルネイル用下地剤の全体量(100重量%)に対して、30〜70重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、硬化速度を効果的に維持しつつも、爪に対する密着性を向上させることができるためである。
すなわち、(A)成分の配合量が30重量%未満の値となると、光硬化型ジェルネイル用下地剤の硬化速度が過度に低下し、硬化時間が長くなったり、下地層に要求される耐久性を得ることが困難になったりする場合があるためである。一方、(A)成分の配合量が70重量%を超えた値となると、光硬化型ジェルネイル用下地剤の硬化速度が過度に増大し、下地層の爪に対する密着性が不十分になって、下地層が過度に剥離し易くなる場合があるためである。
したがって、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマーの配合量を、光硬化型ジェルネイル用下地剤の全体量に対して、35〜65重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、40〜60重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0029】
2.(B)成分:(メタ)アクリレートモノマー
(1)種類
また、本発明の光硬化型ジェルネイル用下地剤は、(B)成分として脂環式(メタ)アクリレートモノマーを含むことを特徴とする。
この理由は、(A)成分によって所定の範囲で抑制される光硬化型ジェルネイル用下地剤の反応性を、反応性に優れた(B)成分によって所定の範囲で増加させ、(A)成分に由来した下地層の爪に対する優れた密着性を維持しつつ、剥離性を向上させることができるためである。
すなわち、(B)成分としての脂環式(メタ)アクリレーとモノマーは、光硬化型ジェルネイル用下地剤の粘度や下地層の剥離性を調整するための反応性希釈剤として含まれる。
より具体的には、脂環式(メタ)アクリレートモノマーであれば、分子中に脂環式構造を有する故に光硬化による収縮率が少なく、それにより、光硬化型ジェルネイル用下地剤の硬化性を効果的に維持しつつも、爪に対する下地層の密着性を向上させることができるためである。
【0030】
なお、本発明において脂環式(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリル酸に由来する構造部位と、アルコールに由来する構造部位とを含み、アルコールに由来する構造部位に、無置換または置換された脂環式炭化水素基を少なくとも1つ含む構造を有しているものである。
なお、脂環式炭化水素基は、アルコールに由来する構造部位そのものであっても、連結基を介してアルコールに由来する構造部位に結合していてもよい。
また、本発明において「(メタ)アクリレート」とは、メタアクリレートまたはアクリレートを意味し、以下においても同様である。
【0031】
また、脂環式炭化水素基としては、環状の非芳香族炭化水素基を含むものであれば特に限定はなく、単環式炭化水素基、2環式炭化水素基、3環式以上の多環式炭化水素基が挙げられる。
例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基や、シクロアルケニル基、ビシクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、アダマンチル基、デカヒドロナフタレニル基、ペルヒドロフルオレニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、およびビシクロ[4.3.0]ノナン等を挙げることができる。
【0032】
また、脂環式炭化水素基とアルコールに由来する構造部位とを結合する連結基としては、炭素数1〜20までの、アルキル基、アルケニル基、アルキレン基、アラルキル基、アルコキシ基、モノまたはオリゴエチレングルコール基、モノまたはオリゴプロピレングリコール基などが好適なものとして挙げられる。
【0033】
また、以下において脂環式(メタ)アクリレートの具体例を示す。
すなわち、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基の炭素数が3〜10のシクロアルキル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0034】
この中でも、イソボルニルメタアクリレートを用いることが好ましい。
この理由は、イソボルニルメタアクリレートであれば、光硬化型ジェルネイル用下地剤を光硬化させる際の硬化速度をより速くすることができるばかりか、(A)成分に由来した下地層の爪に対する優れた密着性を維持しつつ、剥離性をさらに向上させることができるためである。
また、光硬化型ジェルネイル用下地剤におけるPII値をより小さな値とすることにも寄与するためである。
すなわち、イソボルニルメタアクリレートであれば、光硬化型ジェルネイル用下地剤の硬化性および下地層の爪に対する密着性を向上させることができるばかりか、反応性希釈剤としても優れており、容易に光硬化型ジェルネイル用下地剤の粘度調整を行うことができ、取り扱い性についても向上させることができるためである。
【0035】
(2)配合量
また、(B)成分である脂環式(メタ)アクリレートモノマーの配合量を、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー100重量部に対して、20〜60重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、(B)成分の配合量をかかる範囲内の値とすることにより、光硬化型ジェルネイル用下地剤の硬化速度を効果的に向上させ、下地層の爪に対する剥離性を向上させつつも、(A)成分に由来した優れた密着性については、さらに効果的に維持することができるためである。
また、爪およびその周囲の皮膚に対する刺激性を抑制することができるためである。
すなわち、(B)成分の配合量が20重量部未満の値となると、光硬化型ジェルネイル用下地剤の硬化速度が過度に増大し、硬化性の制御が困難になったり、(A)成分に由来した下地層の爪に対する優れた密着性の維持が不十分になって、下地層が過度に剥離し易くなったりする場合があるためである。一方、(B)成分の配合量が60重量部を超えた値となると、光硬化型ジェルネイル用下地剤の硬化速度が過度に低下し、硬化時間が長くなったり、下地層に要求される耐久性を得ることが困難になったりする場合があるためである。
したがって、(B)成分である脂環式(メタ)アクリレートモノマーの配合量を、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー100重量部に対し、22〜50重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、25〜45重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0036】
次いで、図1を参照して、光硬化型ジェルネイル用下地剤を光硬化させてなる下地層の爪に対する密着性および剥離性に対する(B)成分である脂環式(メタ)アクリレートモノマーの配合量の影響について説明する。
すなわち、図1には、横軸に、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー100重量部に対する、(B)成分である脂環式(メタ)アクリレートモノマーの配合量(重量部)を採り、左縦軸に、爪に対する下地層の密着性(評価点)を採った特性曲線Aが示してあり、右縦軸に、爪に対する下地層の剥離性(評価点)を採った特性曲線Bが示してある。
また、密着性および剥離性の評価点は、以下に記載の密着性(耐温水)おおび剥離性の評価を行い、得られた結果を下記基準に沿って数値化したものである。
なお、光硬化型ジェルネイル用下地剤や、光硬化型ジェルネイル組成物の組成等の詳細は、実施例1、4〜5および比較例3〜4に準じる。
【0037】
(密着性)
爪に対して下地層およびジェルネイル層が形成された状態の手を、約25℃の温水で、石鹸を用いずに普通に洗い、洗い終わった後、タオル性素材によりふき取る作業を1日に30回行い、これを3日間継続した後の外観変化を、下記基準に沿って数値化した。
4:3日以上経過しても、外観に変化が確認されなかった。
3:3日以内に、爪と下地層との間に、若干の剥離が確認された。
2:1日以内に、爪と下地層との間に、一部の剥離が確認され、外観の一部に白化が確認された。
1:1日以内に、爪と下地層との間に、顕著な剥離が確認され、外観の全体に白化が確認された。
【0038】
(剥離性)
下地層およびジェルネイル層が形成された爪に対して、アセトンを含んだ布を巻き付けて軽く擦り、その時の剥離具合を下記基準に沿って数値化した。
4:15分未満で、爪から剥離層およびジェルネイル層の積層体が剥離した。
3:15〜30分未満で、爪から剥離層およびジェルネイル層の積層体が剥離した。
2:30〜45分未満で、爪から剥離層およびジェルネイル層の積層体が剥離した。
1:45分の時点で、爪から剥離層およびジェルネイル層の積層体が剥離しなかった。
【0039】
まず、特性曲線Aからは、密着性を向上させるに際し、(B)成分の配合量には最適範囲が存在していることが理解される。
すなわち、(B)成分の配合量が増加するのに伴って、密着性は一旦増加した後、低下することが理解される。
より具体的には、(B)成分の配合量が20〜60重量部の範囲内の値であれば、密着性の評価点を安定的に3以上の値とすることができる一方、それ以外の数値範囲では、密着性の評価点を安定的に3以上の値に維持することが困難になり、優れた密着性を維持することが困難になることが理解される。
【0040】
また、特性曲線Bについても、特性曲線Aと同様であり、(B)成分の配合量が20〜60重量部の範囲内であれば、剥離性の評価点を安定的に3以上の値とすることができる一方、それ以外の数値範囲では、剥離性の評価点を安定的に3以上の値に維持することが困難になることが理解される。
よって、(B)成分の配合量を、(A)成分100重量部に対して20〜60重量部の範囲内の値とすることで、(A)成分に由来した下地層の爪に対する優れた密着性を維持しつつ、剥離性についても効果的に向上させることができることが理解される。
【0041】
3.(C)成分:アクリルアミド系モノマー
(1)種類
また、本発明の光硬化型ジェルネイル用下地剤は、(C)成分として25℃において液体であるアクリルアミド系モノマーを含むことを特徴とする。
この理由は、(A)成分によって所定の範囲で抑制される光硬化型ジェルネイル用下地剤の反応性を、反応性に優れた(C)成分によって所定の範囲で増加させ、(A)成分に由来した下地層の爪に対する優れた密着性を維持しつつ、剥離性を向上させることができるためである。
すなわち、(C)成分としての25℃において液体であるアクリルアミド系モノマーは、25℃において液体であるため、光硬化型ジェルネイル用下地剤の粘度を効果的に調整することができ、かつ、光硬化後には下地層における可撓性の向上に寄与するため、好適な反応性希釈剤として含まれる。
より具体的には、25℃で液体であるアクリルアミド系モノマーであれば、分子中に窒素原子を有する故に、光硬化型ジェルネイル用下地剤の硬化速度を効果的に維持しつつも、爪に対する下地層の密着性を向上させることができるばかりか、下地層に対し、所定の可撓性を付与することができるためである。
【0042】
ここで、25℃において液体であるアクリルアミド系モノマーの種類としては、イソブトキシメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、t−オクチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ブトキシメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどが挙げられる。
【0043】
この中でも、ヒドロキシエチルアクリルアミドを用いることが好ましい。
この理由は、ヒドロキシエチルアクリルアミドであれば、下地層の可撓性を効果的に向上させることができることから、(A)成分に由来した下地層の爪に対する優れた密着性を維持しつつ、剥離性をさらに向上させることができるためである。
すなわち、ヒドロキシエチルアクリルアミドであれば、光硬化型ジェルネイル用下地剤の硬化性を効果的に維持しつつも、下地層の可撓性を向上させることができるばかりか、25℃で液状であることから、光硬化型ジェルネイル用下地剤の粘度調整を容易にし、取り扱い性を向上させることができるためである。
【0044】
(2)配合量
また、(C)成分である25℃において液体であるアクリルアミド系モノマーの配合量を、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー100重量部に対して、5〜20重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、(C)成分の配合量をかかる範囲内の値とすることにより、光硬化型ジェルネイル用下地剤の硬化速度を効果的に向上させ、下地層の爪に対する剥離性を向上させつつも、下地層に可撓性を付与することにより、(A)成分に由来した優れた密着性についてもさらに効果的に維持することができるためである。
すなわち、(C)成分の配合量が5重量部未満の値となると、光硬化型ジェルネイル用下地剤の硬化速度が過度に増大し、硬化性の制御が困難になったり、(A)成分に由来した下地層の爪に対する優れた密着性の維持が不十分になって、下地層が過度に剥離し易くなったりする場合があるためである。一方、(C)成分の配合量が20重量部を超えた値となると、光硬化型ジェルネイル用下地剤の硬化速度が過度に低下し、硬化時間が過度に長くなったり、下地層に要求される耐久性を得ることが困難になったりする場合があるためである。
したがって、(C)成分である25℃において液体であるアクリルアミド系モノマーの配合量を、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー100重量部に対し、8〜18重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、10〜15重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0045】
次いで、図2を参照して、光硬化型ジェルネイル用下地剤を光硬化させてなる下地層の爪に対する密着性および剥離性に対する(C)成分である25℃において液体であるアクリルアミド系モノマーの配合量の影響について説明する。
すなわち、図2には、横軸に、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー100重量部に対する、(C)成分である25℃において液体であるアクリルアミド系モノマーの配合量(重量部)を採り、左縦軸に、爪に対する下地層の密着性(評価点)を採った特性曲線Aが示してあり、右縦軸に、爪に対する下地層の剥離性(評価点)を採った特性曲線Bが示してある。
なお、密着性および剥離性の評価点の基準等は、図1に示す特性曲線の場合と同様であり、光硬化型ジェルネイル用下地剤や、光硬化型ジェルネイル組成物の組成等についての詳細は、実施例1、6〜7および比較例5〜6に準じる。
【0046】
まず、特性曲線Aからは、密着性を向上させるに際し、(C)成分の配合量には最適範囲が存在していることが理解される。
すなわち、(C)成分の配合量が増加するのに伴って、密着性は一旦増加した後、低下することが理解される。
より具体的には、(C)成分の配合量が5〜20重量部の範囲内であれば、密着性の評価点を安定的に3以上の値とすることができる一方、それ以外の数値範囲では、密着性の評価点を安定的に3以上の値に維持することが困難になり、優れた密着性を維持することが困難になることが理解される。
【0047】
また、特性曲線Bについても、特性曲線Aと同様であり、(C)成分の配合量が5〜20重量部の範囲内の値であれば、剥離性の評価点を安定的に3以上の値とすることができる一方、それ以外の数値範囲では、剥離性の評価点を安定的に3以上の値に維持することが困難になることが理解される。
よって、(C)成分の配合量を、(A)成分100重量部に対して5〜20重量部の範囲内の値とすることで、(A)成分に由来した下地層の爪に対する優れた密着性を維持しつつ、剥離性についても効果的に向上させることができることが理解される。
【0048】
4.(D)成分:2官能(メタ)アクリレートモノマー
(1)種類
また、本発明の光硬化型ジェルネイル用下地剤は、(D)成分として分子内にEOを有する2官能(メタ)アクリレートモノマーを含むことを特徴とする。
この理由は、(A)成分によって所定の範囲で抑制される光硬化型ジェルネイル用下地剤の反応性を、反応性に優れた架橋剤である(D)成分によって所定の範囲で増加させ、(A)成分に由来した下地層の爪に対する優れた密着性を維持しつつ、剥離性を向上させることができるためである。
より具体的には、分子内にEOを有する2官能(メタ)アクリレートモノマーであれば、分子内にEOを有することにより、分子の極性が高くなり、光硬化型ジェルネイル用下地剤の硬化速度を効果的に維持しつつも、爪に対する下地層の密着性を向上させることができるためである。
【0049】
ここで、分子内にEOを有する2官能(メタ)アクリレートモノマーの種類としては、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングルコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(#200)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(#400)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(#600)ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO(エチレンオキサイド)付加物ジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレートなどが挙げられる。
【0050】
この中でも、ビスフェノールA−EO付加物ジアクリレートを用いることが好ましい。
この理由は、ビスフェノールA−EO付加物ジアクリレートであれば、(A)成分に由来した下地層の爪に対する優れた密着性を維持しつつ、剥離性をさらに向上させることができるためである。
特に、EOの繰り返し数n=4であるビスフェノールA−EO付加物ジアクリレートは、下地層の可撓性を向上させることで、(A)成分に由来した下地層の爪に対する優れた密着性を効果的に維持しつつ、剥離性についてもさらに向上させることができることから、より好ましい。
なお、本願発明において、ビスフェノールA−EO付加物ジアクリレートとは、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとアクリル酸との反応によって得られる2官能アクリレートモノマーに、エチレンオキサイドを付加反応することによって得られる化合物等を示す。
【0051】
(2)配合量
また、(D)成分である分子内にEOを有する2官能(メタ)アクリレートモノマーの配合量を、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー100重量部に対して、20〜40重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、(D)成分の配合量をかかる範囲内の値とすることにより、光硬化型ジェルネイル用下地剤の架橋密度を効果的に向上させ、下地層の爪に対する剥離性を向上させつつも、下地層に可撓性を付与することにより、(A)成分に由来した優れた密着性についてもさらに効果的に維持することができるためである。
すなわち、(D)成分の配合量が20重量部未満の値となると、光硬化型ジェルネイル用下地剤の硬化速度が過度に低下し、硬化時間が過度に長くなったり、下地層に要求される耐久性を得ることが困難になったりする場合があるためである。一方、(D)成分の配合量が40重量部を超えた値となると、光硬化型ジェルネイル用下地剤の硬化速度が過度に増大し、硬化性の制御が困難になったり、(A)成分に由来した下地層の爪に対する優れた密着性の維持が不十分になって、下地層が過度に剥離し易くなったりする場合があるためである。
したがって、(D)成分である分子内にEOを有する2官能アクリレートモノマーの配合量を(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー100重量部に対して、25〜38重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、28〜35重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0052】
次いで、図3を参照して、光硬化型ジェルネイル用下地剤を光硬化させてなる下地層の爪に対する密着性および剥離性に対する(D)成分である分子内にEOを有する2官能アクリレートモノマーの配合量の影響について説明する。
すなわち、図3には、横軸に、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー100重量部に対する、(D)成分である分子内にEOを有する2官能アクリレートモノマーの配合量を採り、左縦軸に、爪に対する下地層の密着性(評価点)を採った特性曲線Aが示してあり、右縦軸に、爪に対する下地層の剥離性(評価点)を採った特性曲線Bが示してある。
なお、密着性および剥離性の評価点の基準等は、図1に示す特性曲線の場合と同様であり、光硬化型ジェルネイル用下地剤や、光硬化型ジェルネイル組成物の組成等の詳細は、実施例1、8〜9および比較例7〜8に準じる。
【0053】
まず、特性曲線Aからは、密着性を向上させるに際し、(D)成分の配合量には最適範囲が存在していることが理解される。
すなわち、(D)成分の配合量が増加するのに伴って、密着性は一旦増加した後、低下することが理解される。
より具体的には、(D)成分の配合量が20〜40重量部の範囲内の値であれば、密着性の評価点を安定的に3以上の値とすることができる一方、それ以外の数値範囲では、密着性の評価点を安定的に3以上の値に維持することが困難になり、優れた密着性を維持することが困難になることが理解される。
【0054】
また、特性曲線Bについても、特性曲線Aと同様であり、(D)成分の配合量が20〜40重量部の範囲内の値であれば、剥離性の評価点を安定的に3以上の値とすることができる一方、それ以外の数値範囲では、剥離性の評価点を安定的に3以上の値に維持することが困難になることが理解される。
よって、(D)成分の配合量を、(A)成分100重量部に対して20〜40重量部の範囲内の値とすることで、(A)成分に由来した下地層の爪に対する優れた密着性を維持しつつ、剥離性についても効果的に向上させることができることが理解される。
【0055】
5.(E)成分:3官能以上の多官能モノマー
また、本発明の光硬化型ジェルネイル用下地剤は、(E)成分としての3官能以上の多官能モノマーを実質的に含まないことを特徴とする。
より具体的には、3官能以上の多官能モノマーを、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー100重量部に対して、0重量部または0〜1重量部(但し、0重量部は含まない。)とすることを特徴とする。
この理由は、(E)成分を所定以上の範囲で含む場合、(A)成分に由来した爪に対する下地層の優れた密着性が著しく低下し、下地層が爪から過度に剥離し易くなるためである。
すなわち、(E)成分の配合量が1重量部を超えた値となると、光硬化型ジェルネイル用下地剤の硬化速度が過度に速くなるとともに、その際の収縮率が過度に高くなり、(A)成分に由来した爪に対する下地層の優れた密着性が著しく低下するばかりか、形成された下地層にひび割れが生じ易くなる場合があるためである。
したがって、原則的には、(E)成分である3官能以上の多官能モノマーの配合量を、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー100重量部に対して0重量部とすることが好ましいが、硬化速度や剥離性を調節から少量用いる場合であっても、0.1〜0.8重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.3〜0.5重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0056】
ここで、3官能以上の多官能モノマーとは、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等、文字通り、3官能以上の多官能モノマーを意味する。
【0057】
次いで、図4を参照して、光硬化型ジェルネイル用下地剤を光硬化させてなる下地層の爪に対する密着性および剥離性に対する(E)成分である3官能以上の多官能モノマーの配合量の影響について説明する。
すなわち図4には、横軸に、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー100重量部に対する、(E)成分である3官能以上の多官能モノマーの配合量を採り、左縦軸に、爪に対する下地層の密着性(評価点)を採った特性曲線Aが示してあり、右縦軸に、爪に対する下地層の剥離性(評価点)を採った特性曲線Bが示してある。
なお、密着性および剥離性の評価点の基準等は、図1に示す特性曲線の場合と同様であり、光硬化型ジェルネイル用下地剤や、光硬化型ジェルネイル組成物の組成等の詳細は、実施例1、10〜11および比較例9〜11に準じる。
【0058】
まず、特性曲線Aからは、(E)成分の配合量が増加するのにしたがって、密着性が低下することが理解される。
より具体的には、(E)成分の配合量が1重量部以下の値であれば、密着性の評価点を3以上の値とすることができる一方、1重量部を超えた値となると、密着性の評価点を3以上の値に維持することが困難になり、優れた密着性を維持することが困難になることが理解される。
【0059】
また、特性曲線Bについても、特性曲線Aとほぼ同様であり、(E)成分の配合量が1重量部以下の値であれば、剥離性の評価点を少なくとも2以上の値とすることができる一方、1重量部を超えた値になると、剥離性の評価点を2以上の値とすることが困難になることが理解される。
よって、(E)成分の配合量を、(A)成分100重量部に対して0重量部または0〜1重量部(但し、0重量部は含まない。)とすることで、(A)成分に由来した下地層の爪に対する優れた密着性を維持しつつ、剥離性についても効果的に向上させることができることが理解される。
【0060】
6.(F)成分:光重合開始剤
(1)種類
また、本発明の光硬化型ジェルネイル用下地剤は、(F)成分として光重合開始剤を含むことを特徴とする。
かかる光重合開始剤は、紫外線により、ラジカルを発生し、そのラジカルがウレタンアクリレートオリゴマーや、メタアクリレートモノマーを重合反応させるものであればよい。
このような光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、クロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンジルジメチルケタール系化合物;オリゴ〔2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノン〕、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシケトン系合物;2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェ二ル)−ブタノン−1等のα−アミノケトン系化合物;ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物;1−〔4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル〕−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパン−1−オン等のケトスルフォン系化合物;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等のメタロセン系化合物;2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オン−メソクロライド等のチオキサントン系化合物などが挙げられる。
【0061】
また、上述した光重合開始剤の中でも、フェニル基を有するアシルフォスフィンオキサイド系化合物、α−ヒドロキシケトン系化合物、ベンゾフェノン系化合物は紫外線によりラジカルを発生し、そのラジカルが、光重合オリゴマーおよび光重合モノマーと効率的に反応することにより硬化反応が促進される。
【0062】
また、チオキサントン系化合物などの水素引き抜きによりラジカル発生するタイプの光重合開始剤は、水素供与体と組合せることによって、硬化反応が促進されることからより好ましい態様である。
このような水素供与体としては、例えば、メルカプト化合物およびアミン化合物などが挙げられ、中でもアミン化合物が好ましい。
そして、好適なアミン化合物として、トリエチルアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミノエチルアクリレート、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、ペンチル4−ジメチルアミノベンゾエートなどが挙げられる。
【0063】
また、光重合開始剤は、少なくとも2種類以上を混合使用することが好ましい。
特に、硬化速度や耐候性が適当であって、硬化塗膜としての耐久性を効果的に調整することができることから、アシルフォスフィンオキサイド系化合物に、α−ヒドロキシケトン系化合物、または、ベンゾフェノン系化合物のいずれか一方を混合して使用することが好ましい。
なお、顔料等を含有させず、着色顔料を使用しない、無色(クリア)の光硬化型ジェルネイル組成物として構成する場合には、光硬化塗膜の着色の影響を回避するため、光重合開始剤としてα−ヒドロキシケトン系化合物のみを使用することが好ましい。
【0064】
(2)配合量
また、(F)成分である光重合開始剤の配合量を、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー100重量部に対して、5〜20重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、(F)成分の配合量が5重量未満の値となると、光硬化型ジェルネイル用下地剤の硬化速度が過度に低下し、硬化時間が過度に長くなったり、下地層に要求される耐久性を得ることが困難になったりする場合があるためである。一方、(F)成分の配合量が20重量部を超えた値となると、光硬化型ジェルネイル用下地剤の硬化速度が過度に増大し、硬化性の制御が困難になったり、(A)成分に由来した下地層の爪に対する優れた密着性の維持が不十分になって、下地層が過度に剥離し易くなったりする場合があるためである。
したがって、(F)成分である光重合開始剤の配合量を、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー100重量部に対して、7〜18重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、9〜16重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0065】
7.(G)成分:着色剤
また、光硬化型ジェルネイル用下地剤を構成するにあたり、(G)成分として着色剤を含むこともできる。
かかる着色剤としては、無機系着色顔料、有機系着色顔料、有機色素、パール顔料、ラメ色剤等が挙げられる。
より具体的には、好ましい顔料として、縮合アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、クナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料の有機系着色顔料等およびチタン系顔料、カーボンブラック系顔料等の無機系着色顔料などが挙げられる。
また、ラメ色剤としては、細かい溝を有する合成樹脂フィルムであるポリエチレンテレフタレートフィルムと蒸着金属およびバインダー樹脂、例えばエポキシ樹脂で積層にして細かく裁断したものなどが挙げられる。
また、着色剤の配合量は、光硬化型ジェルネイル用下地剤の光硬化速度を阻害させず、本発明の目的を低下させない範囲で決められ、通常、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー100重量部に対して、0.1〜35重量部の範囲で使用される。
【0066】
8.(H)成分:添加剤
また、光硬化型ジェルネイル用下地剤を構成するにあたり、(H)成分として添加剤を含むこともできる。
例えば、下地層の色調整のために、増白剤(ブルーイング剤)を所定量配合することが好ましい。
具体的には、群青、コバルトブルー、酸化燐酸コバルト、キナクリドン系顔料等の一種単独、または二種以上の混合物を、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレート100重量部に対して、0.001〜2重量部の範囲内の値で配合することが好ましい。
また、光硬化型ジェルネイル用下地剤の粘性および塗布適性を調整する目的で、消泡剤、レベリング剤、顔料湿潤剤、分散剤、流動調整剤、熱重合禁止剤、酸化重合防止剤等の少なくとも一つを、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレート100重量部に対して、0.001〜5重量部の範囲内の値で配合することも好ましい。
【0067】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態は、光硬化型ジェルネイル用下地剤を用いてなるジェルネイル方法であって、下記工程(1)〜(5)を含むことを特徴とするジェルネイル方法である。
(1)下記(A)〜(F)成分を含有する光硬化型ジェルネイル用下地剤を準備する工程
(A)ポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー 100重量部
(B)脂環式(メタ)アクリレートモノマー 20〜60重量部
(C)25℃において液体であるアクリルアミド系モノマー 5〜20重量部
(D)分子内にエチレンオキサイドを有する2官能(メタ)アクリレートモノマー
20〜40重量部
(E)3官能以上の多官能モノマー 0重量部または0〜1重量部
(但し、0重量部は含まない。)
(F)光重合開始剤 5〜20重量部
(2)光硬化型ジェルネイル用下地剤を爪に対して塗布する工程
(3)塗布した光硬化型ジェルネイル用下地剤を光硬化させて、下地層を形成する工程
(4)下地層に対して光硬化型ジェルネイル組成物を塗布する工程
(5)塗布した光硬化型ジェルネイル組成物を光硬化させて、ジェルネイル層を形成する工程
すなわち、本発明のジェルネイル方法であれば、所定の光硬化型ジェルネイル用下地剤を用いることから、爪に対する密着性および剥離性のバランスに優れた下地層を安定的に、かつ、短時間で形成することができる。
したがって、下地層の上方に積層されるジェルネイル層は、かかる下地層を介し、爪に対して効果的に密着できる一方で、剥離時には、下地層と一体となって容易に剥離することができる。
以下、本発明の第2の実施形態のジェルネイル方法について、具体的に説明する。
【0068】
1.下地層の形成
(1)準備工程:工程(1)
図5(a)に示すように、ジェルネイル層を形成する基材としての自指10´の爪10を準備する。
その際、自指の爪の表面が汚れているような場合には、事前に、アルコール脱脂等をすることが好ましい。
また、かかる塗布層を形成する基材は、通常、自爪であるが、ABS、アクリルシート等の合成プラスチック製基材であっても良い。
すなわち、ABSシート等の合成プラスチック製基材を使用して、本発明の光硬化型ジェルネイル組成物を用いて、ジェルネイル層を形成することにより、人工爪やつけ爪として構成することも可能である。
【0069】
また、第1の実施形態で説明した光硬化型ジェルネイル用下地剤を準備する。
すなわち、かかる光硬化型ジェルネイル用下地剤は、公知の混合方法によって準備することができる。
例えば、配合成分につき、プロペラミキサー、プラネタリーミキサー、ボールミル、ジェットミル、三本ローラー、ニーダー等の各種混合装置を用いて均一に混合することにより、光硬化型ジェルネイル用下地剤を調製することができる。
なお、光硬化型ジェルネイル用下地剤の詳細については、第1の実施形態において説明したため、省略する。
【0070】
(2)塗布工程:工程(2)
次いで、図5(b)に示すように、光硬化型ジェルネイル用下地剤12´を、基材(爪)10の上に塗布する。
ここで、光硬化型ジェルネイル組成物の基材(爪)に対する塗布方法についても特に制限されるものではないが、例えば、はけ、ブラシ、ヘラ、ローラー、スポイト等を用いることができる。
また、かかる塗布層の厚さは、デザインにもよるが、通常10〜5,000μmの範囲内の値とすることが好ましく、30〜3,000μmの範囲内の値とすることがより好ましく、50〜2,000μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0071】
(3)光硬化工程:工程(3)
次いで、図5(c)に示すように、塗布された光硬化型ジェルネイル用下地剤12´に対して、照射装置14から、所定量の紫外線14aを照射して光硬化させ、所定の下地層12を、基材(爪)10の上に形成する。
また、光硬化型ジェルネイル用下地剤の塗布層を光硬化して下地層とする際の紫外線の照射条件としては、250〜600mJ/cm2の範囲内の値とすることが好ましく、300〜450mJ/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく、350〜400mJ/cm2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、照射装置としては、紫外線LEDを用いることが好ましく、紫外線の波長領域としては、340〜420nmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0072】
2.ジェルネイル層の形成
(1)準備工程
次いで、下地層の上に塗布するための光硬化型ジェルネイル組成物を準備する。
かかる光硬化型ジェルネイル組成物としては、特に制限されるものではなく、従来公知の光硬化型ジェルネイル組成物を用いることができる。
【0073】
また、光硬化型ジェルネイル組成物が、下記(A)成分、(B)成分、(D)成分、(E´)成分、および(F)成分を含有することが好ましい。
(A)ポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー 100重量部
(B)脂環式(メタ)アクリレートモノマー 20〜60重量部
(D)分子内にエチレンオキサイドを有する2官能(メタ)アクリレートモノマー
20〜40重量部
(E´)3官能以上の多官能モノマー 5〜20重量部
(F)光重合開始剤 5〜20重量部
【0074】
この理由は、下地層に対するジェルネイル層の密着性を、さらに向上させることができるためである。
すなわち、かかる光硬化型ジェルネイル組成物であれば、(A)成分、(B)成分、(D)成分、および(F)成分が、下地層を形成する光硬化型ジェルネイル用下地剤の組成と共通していることから、下地層と、ジェルネイル層との間における親和性を向上させて、これらの密着性を効果的に向上させることができるためである。
したがって、(A)成分、(B)成分、(D)成分、および(F)成分の種類や配合量については、第1の実施形態で説明した光硬化型ジェルネイル用下地剤と同様にすることができる。
【0075】
また、光硬化型ジェルネイル組成物が、(E´)成分としての3官能以上の多官能モノマーを、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー100重量部に対して、5〜20重量部の範囲内で含むことが好ましい。
この理由は、第1の実施形態において説明した光硬化型ジェルネイル用下地剤においては、下地層の爪に対する密着性の低下を防止する観点から、(E)成分としての3官能以上の多官能モノマーを実質的に含まないことが必要であった。
この点、光硬化型ジェルネイル組成物を光硬化させてなるジェルネイル層は、爪に対して直接形成されず、下地層に対して形成されるため爪に対する密着性の低下を考慮することなく(E´)成分としての3官能以上の多官能モノマーを配合することができるためである。
すなわち、(E´)成分の配合量が5重量部未満の値となるとジェルネイル層の硬度が不十分になって、十分な耐久性を得ることができなくなる場合があるためである。一方、(E´)成分の配合量が20重量部を超えた値となると、光硬化型ジェルネイル組成物を光硬化させる際の収縮率が過度に増大して、ひび割れ等が生じ易くなったり、ジェルネイル層が下地層から過度に剥離し易くなったりする場合があるためである。
したがって、(E´)成分である3官能以上の多官能モノマーの配合量を、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー100重量部に対して、6〜16重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、8〜14重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、(E´)成分の種類については、第1の実施形態である光硬化型ジェルネイル用下地剤における(E)成分と同内容である。
一方、光硬化型ジェルネイル用下地剤では(E)成分を実質的に含まないのに対し、光硬化型ジェルネイル組成物では所定量含むことが好ましい内容であるため、この点の紛らわしさを解消すべく、光硬化型ジェルネイル組成物においては、3官能以上の多官能モノマーを、敢えて「(E´)成分」と記載している。
【0076】
また、(E´)成分である3官能以上の多官能モノマーが、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであることが好ましい。
この理由は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであれば、下地層に対するジェルネイル層の密着性を安定的に維持しつつ、ジェルネイル層の硬度を向上させることができ、ひいてはジェルネイル層の耐久性を向上させることができるためである。
すなわち、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであれば、下地層に対するジェルネイル層の密着性を効果的に維持しつつも、硬化速度や耐久性をさらに向上させることができるばかりか、光沢性、装飾性および視覚性に優れたジェルネイル層を得ることができるためである。
【0077】
また、光硬化型ジェルネイル組成物が、(G)成分である着色剤を含むことが好ましい。
この理由は、光硬化型ジェルネイル組成物を光硬化させてなるジェルネイル層は、爪に対して装飾性を付与することを目的として形成される層であるためである。
なお、(G)成分である着色剤の種類や配合量については、第1の実施形態で説明した光硬化型ジェルネイル用下地剤と同様にすることができる。
【0078】
また、(C)成分である25℃において液体であるアクリルアミド系モノマーについては、第1の実施形態で説明した光硬化型ジェルネイル用下地剤と同様に配合しても良いが、光硬化型ジェルネイル組成物においては、配合しないことが好ましい。
この理由は、光硬化型ジェルネイル組成物において(C)成分である25℃において液体であるアクリルアミド系モノマーを加えた場合、ジェルネイル層の可撓性が増加することにより下層である下地層との密着性が低下し、下地層とジェルネイル層との間での層間剥離が生じ易くなる場合があるためである。
したがって、光硬化型ジェルネイル組成物においては、(C)成分である25℃において液体であるアクリルアミド系モノマーの配合量を、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー100重量部に対して、0重量部とすることが好ましく、仮に配合する場合であっても、0〜4重量部(但し、0重量部は含まない。)の範囲内の値とすることが好ましく、1〜3重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0079】
(2)塗布工程:工程(4)
次いで、図5(d)に示すように、光硬化型ジェルネイル組成物16´を、下地層12の上に塗布する。
なお、かかる塗布工程は、工程(2)である光硬化型ジェルネイル用下地剤の塗布工程と同様にして行うことができる。
【0080】
(3)光硬化工程:工程(5)
次いで、図5(e)に示すように、塗布された光硬化型ジェルネイル組成物16´に対し、照射装置14から、所定量の紫外線14aを照射して光硬化させ、ジェルネイル層16を下地層12の上に形成する。
なお、かかる光硬化工程は、工程(3)である光硬化型ジェルネイル用下地剤の光硬化工程と同様にして行うことができる。
なお、ジェルネイル層は、デザイン性を向上させる観点から、複数層を積層してもよい。
【0081】
3.クリアコート層の形成
また、図6(f)〜(g)に示すようにジェルネイル層16を保護し、かつ、ジェルネイルの艶やかさを向上させる観点から、ジェルネイル層16の上に、さらにクリアコート層18を設けることも好ましい。
かかるクリアコート層18を形成するためのクリアコート剤18´の組成としては、(G)成分としての着色剤を含まないほかは、上述したジェルネイル組成物の組成と同様にすることができる。
また、塗布工程および光硬化工程についても、光硬化型ジェルネイル用組成物の塗布工程および光硬化工程と同様にして行うことができる。
なお、図6(h)には、本発明のバリエーションとして、ドット状のジェルネイル層16aを設けた場合について例示してあるが、このように、本発明における下地層、ジェルネイル層およびクリアコート層は、単純な層状である必要はなく、求められるデザインに応じて様々な形状となるように形成することができる。
【実施例】
【0082】
以下、本発明を、実施例に基づいて詳細に説明するが、特に理由なく、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0083】
[実施例1]
1.光硬化型ジェルネイル用下地剤の調製
撹拌装置を備えた容器内に、下記組成を収容した後、撹拌装置を用いて均一になるまで混合し、光硬化型ジェルネイル用下地剤とした。
(A)ポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー:100重量部
(B)イソボルニルメタアクリレート : 35重量部
(C)ヒドロキシエチルアクリルアミド : 10重量部
(D)ビスフェノールA−EO付加物ジアクリレート : 30重量部
(F1)α−ヒドロキシケトン系化合物 : 8重量部
(F2)アシルフォスフィンオキサイド系化合物 : 2重量部
(H)シリコーン系レベリング剤 : 2重量部
【0084】
また、上述した(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマーの重量平均分子量は23,000であった。以下においても同様である。
さらに、(D)成分であるビスフェノールA−EO付加物ジアクリレートとしては、大阪有機化学工業(株)製のEOの繰り返し数n=2のものを用いた。以下においても同様である。
【0085】
また、上述した(F1)成分であるα−ヒドロキシケトン系化合物としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Ciba(株)製、IRGACURE184)を用いた。以下においても同様である。
さらに、(F2)成分であるアシルフォスフィンオキサイド系化合物としては、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド(BASF(株)製、ルシリンTPO)を用いた。以下においても同様である。
【0086】
2.光硬化型ジェルネイル組成物の調製
次いで、撹拌装置を備えた容器内に、下記組成を収容した後、撹拌装置を用いて均一になるまで混合し、光硬化型ジェルネイル組成物とした。
(A)ポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー:100重量部
(B)イソボルニルメタアクリレート : 35重量部
(D)ビスフェノールA−EO付加物ジアクリレート : 30重量部
(E)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート : 10重量部
(F1)α−ヒドロキシケトン系化合物 : 5重量部
(F2)アシルフォスフィンオキサイド系化合物 : 5重量部
(G)有機赤色顔料 : 4重量部
(H)シリコーン系レベリング剤 : 2重量部
【0087】
3.下地層の形成
次いで、手の爪に対し、光硬化型ジェルネイル用下地剤を刷毛にて塗布した後、ジェルネイル専用UV装置を用いて光硬化させて、下地層を形成した。
なお、光硬化型ジェルネイル用下地剤の塗布条件および硬化条件は、以下の通りである。
【0088】
(塗布条件)
粘度 :20,000mPa・s(測定温度:25℃)
刷毛 :ジェルネイル専用刷毛
塗膜の厚さ:0.1〜1mm
【0089】
(硬化条件)
照射装置 :ジェルネイル専用UV装置
照射時間 :60秒
照射量 :250〜400mJ/cm2
【0090】
4.ジェルネイル層の形成
次いで、得られた下地層に対し、光硬化型ジェルネイル組成物を刷毛にて塗布した後、ジェルネイル専用UV装置を用いて光硬化させて、ジェルネイル層を形成した。
なお、光硬化型ジェルネイルの塗布条件および硬化条件は、光硬化型ジェルネイル用下地剤の場合と同様とした。
【0091】
5.評価
(1)密着性
(1)−1 耐外力
得られた爪/下地層/ジェルネイル層の積層体における密着性を、耐外力の観点から評価した。
すなわち、下地層およびジェルネイル層が形成された爪を、他の爪で30回引っ掻いた後の外観変化を、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、下地層とジェルネイル層との間における剥離は確認されなかった(他の実施例および比較例も同様。但し、実施例14〜15および18〜19は除く。)。
◎:外観に変化が確認されなかった。
○:爪と下地層との間に、若干の剥離が確認された。
△:爪と下地層との間に、一部の剥離が確認され、外観の一部に白化が確認された。
×:爪と下地層との間に、顕著な剥離が確認され、外観の全体に白化が確認された。
【0092】
(1)−2 耐温水
また、得られた爪/下地層/ジェルネイル層の積層体における密着性を、耐温水の観点から評価した。
すなわち、爪に対して下地層およびジェルネイル層が形成された状態の手を、約25℃の温水で、石鹸を用いずに普通に洗い、洗い終わった後、タオル性素材により拭きとる作業を1日に30回行い、これを3日間継続した後の外観変化を、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、下地層とジェルネイル層との間における剥離は確認されなかった(他の実施例および比較例も同様。但し、実施例14〜15および18〜19は除く。)。
◎:3日以上経過しても、外観に変化が確認されなかった。
○:3日以内に、爪と下地層との間に、若干の剥離が確認された。
△:1日以内に、爪と下地層との間に、一部の剥離が確認され、外観の一部に白化が確認された。
×:1日以内に、爪と下地層との間に、顕著な剥離が確認され、外観の全体に白化が確認された。
【0093】
(1)−3 耐石鹸
また、得られた爪/下地層/ジェルネイル層の積層体における密着性を、耐石鹸の観点から評価した。
すなわち、爪に対して下地層およびジェルネイル層が形成された状態の手を、約25℃の水で、石鹸(ハンドソープ)を用いて普通に洗い、洗い終わった後、タオル性素材により拭きとる作業を1日に30回行い、これを3日間継続した後の外観変化を、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、下地層とジェルネイル層との間における剥離は確認されなかった(他の実施例および比較例も同様。但し、実施例14〜15および18〜19は除く。)。
◎:3日以上経過しても、外観に変化が確認されなかった。
○:3日以内に、爪と下地層との間に、若干の剥離が確認された
△:1日以内に、爪と下地層との間に、一部の剥離が確認され、外観の一部に白化が確認された。
×:1日以内に、爪と下地層との愛大に、顕著な剥離が確認され、外観の全体に白化が確認された。
【0094】
(2)剥離性
得られた爪/下地層/ジェルネイル層の積層体における剥離性を評価した。
すなわち、下地層およびジェルネイル層が形成された爪に対して、アセトンを含んだ布を巻き付けて軽く擦り、そのときの剥離具合を下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、下地層とジェルネイル層との間における剥離は確認されなかった(他の実施例および比較例も同様。但し、実施例14〜15および18〜19は除く。)。
◎:15分未満で、爪から剥離層およびジェルネイル層の積層体が剥離した。
○:15〜30分未満で、爪から下地層およびジェルネイル層の積層体が剥離した。
△:30〜45分未満で、爪から下地層およびジェルネイル層の積層体が剥離した。
×:45分の時点で、爪から下地層およびジェルネイル層の積層体が剥離しなかった。
【0095】
[実施例2〜3および比較例1〜2]
実施例2〜3および比較例1〜2では、光硬化型ジェルネイル用下地剤を調製する際に、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマーの配合比を表1に示すように変えたほかは、実施例1と同様に爪に対して下地層およびジェルネイル層を順次形成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0096】
【表1】

【0097】
[実施例4〜5および比較例3〜4]
実施例4〜5および比較例3〜4では、光硬化型ジェルネイル用下地剤を調製する際に、(B)成分であるイソボルニルメタアクリレートの配合比を表2に示すように変えたほかは、実施例1と同様に爪に対して下地層およびジェルネイル層を順次形成し、評価した。得られた結果を表2に示す。
【0098】
【表2】

【0099】
[実施例6〜7および比較例5〜6]
実施例6〜7および比較例5〜6では、光硬化型ジェルネイル用下地剤を調製する際に、(C)成分であるヒドロキシエチルアクリルアミドの配合比を表3に示すように変えたほかは、実施例1と同様に爪に対して下地層およびジェルネイル層を順次形成し、評価した。得られた結果を表3に示す。
【0100】
【表3】

【0101】
[実施例8〜9および比較例7〜8]
実施例8〜9および比較例7〜8では、光硬化型ジェルネイル用下地剤を調製する際に、(D)成分であるビスフェノールA−EO付加物ジアクリレートの配合比を表4に示すように変えたほかは、実施例1と同様に爪に対して下地層およびジェルネイル層を順次形成し、評価した。得られた結果を表4に示す。
【0102】
【表4】

【0103】
[実施例10〜11および比較例9〜11]
実施例10〜11および比較例9〜11では、光硬化型ジェルネイル用下地剤を調製する際に、(E)成分としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを配合するとともに、その配合比を表5に示すように変えたほかは、実施例1と同様に爪に対して下地層およびジェルネイル層を順次形成し、評価した。得られた結果を表5に示す。
【0104】
【表5】

【0105】
[実施例12〜19]
実施例12〜19では、爪に対して下地層およびジェルネイル層を順次形成した後、ジェルネイル層に対して、さらにクリアコート剤を塗布し、クリアコート層を形成した場合について評価した。
すなわち、表6に示す組成の光硬化型ジェルネイル用下地剤1〜2、光硬化型ジェルネイル組成物1〜4、およびクリアコート剤1を、表7に示す組み合わせにて、爪に対して積層し、評価した。得られた結果を表7に示す。
なお、光硬化型ジェルネイル用下地剤、光硬化型ジェルネイル組成物、およびクリアコート剤の塗布条件および硬化条件は、実施例1における光硬化型ジェルネイル用下地剤の塗布条件および硬化条件と同様である。
【0106】
【表6】

【0107】
【表7】


*実施例14〜15および18〜19においては、下地層とジェルネイル層との間において若干の剥離が確認された。
【0108】
[比較例12〜15]
比較例12〜15では、光硬化型ジェルネイル用下地剤を調製する際に、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマーの代わりに、ポリエーテル骨格ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:25,000)を用いるとともに、その配合比を表8に示すように変えたほかは、実施例1と同様に爪に対して下地層およびジェルネイル層を順次形成し、評価した。得られた結果を表8に示す。
【0109】
【表8】

【0110】
[比較例16〜19]
比較例16〜19では、光硬化型ジェルネイル用下地剤を調製する際に、(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマーの代わりに、ポリエステル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:30,000)を用いることともに、その配合比を表9に示すように変えたほかは、実施例1と同様に爪に対して下地層およびジェルネイル層を順次形成し、評価した。得られた結果を表9に示す。
【0111】
【表9】

【0112】
[比較例20〜23]
比較例20〜23では、爪に対する下地層の形成を省略するとともに、表10に示す組み合わせにて光硬化型ジェルネイル組成物等を積層し、評価した。得られた結果を表10に示す。
なお、光硬化型ジェルネイル用下地剤等の塗布条件および硬化条件は、実施例1における光硬化型ジェルネイル用下地剤の塗布条件および硬化条件と同様である。
【0113】
【表10】

【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明の光硬化型ジェルネイル用下地剤およびそれを用いたジェルネイル方法によれば、所定のウレタンメタアクリレートオリゴマーと、所定の(メタ)アクリレートモノマーと、所定のアクリルアミド系モノマーと、所定の2官能(メタ)アクリレートモノマーと、光重合開始剤とを、所定配合比にて含み、かつ、3官能以上の多官能モノマーを実質的に含まないことにより、爪に対する密着性および剥離性のバランスに優れるばかりか、硬化速度が速く、さらには、上方に積層されるジェルネイル層との密着性にも優れる下地層を形成できるようになった。
したがって、本発明の光硬化型ジェルネイル用下地剤およびそれを用いたジェルネイル方法は、ジェルネイルの品質向上に著しく寄与することが期待される。
【符号の説明】
【0115】
10:爪、10´:指、12:下地層、12´:光硬化型ジェルネイル用下地剤(塗布層)、14:光照射装置、14a:紫外線、16:ジェルネイル層、16a:ドット状のジェルネイル層、16´:光硬化型ジェルネイル組成物(塗布層)、18:クリアコート層、18´:クリアコート剤(塗布層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(F)成分を含有することを特徴とする光硬化型ジェルネイル用下地剤。
(A)ポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー 100重量部
(B)脂環式(メタ)アクリレートモノマー 20〜60重量部
(C)25℃において液体であるアクリルアミド系モノマー 5〜20重量部
(D)分子内にエチレンオキサイドを有する2官能(メタ)アクリレートモノマー
20〜40重量部
(E)3官能以上の多官能モノマー 0重量部または0〜1重量部
(但し、0重量部は含まない。)
(F)光重合開始剤 5〜20重量部
【請求項2】
前記(A)成分であるポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマーの重量平均分子量を10,000〜50,000の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の光硬化型ジェルネイル用下地剤。
【請求項3】
前記(B)成分である脂環式(メタ)アクリレートモノマーが、イソボルニルメタアクリレートであることを特徴とする請求項1または2に記載の光硬化型ジェルネイル用下地剤。
【請求項4】
前記(C)成分である25℃において液体であるアクリルアミド系モノマーが、ヒドロキシエチルアクリルアミドであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光硬化型ジェルネイル用下地剤。
【請求項5】
前記(D)成分である分子内にエチレンオキサイドを有する2官能(メタ)アクリレートモノマーが、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物ジアクリレートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光硬化型ジェルネイル用下地剤。
【請求項6】
前記(F)成分である光重合開始剤が、アシルフォスフィンオキサイド系化合物と、α−ヒドロキシケトン系化合物およびベンゾフェノン系化合物、あるいはいずれか一方と、を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光硬化型ジェルネイル用下地剤。
【請求項7】
光硬化型ジェルネイル用下地剤を用いてなるジェルネイル方法であって、下記工程(1)〜(5)を含むことを特徴とするジェルネイル方法。
(1)下記(A)〜(F)成分を含有する光硬化型ジェルネイル用下地剤を準備する工程
(A)ポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー 100重量部
(B)脂環式(メタ)アクリレートモノマー 20〜60重量部
(C)25℃において液体であるアクリルアミド系モノマー 5〜20重量部
(D)分子内にエチレンオキサイドを有する2官能(メタ)アクリレートモノマー
20〜40重量部
(E)3官能以上の多官能モノマー 0重量部または0〜1重量部
(但し、0重量部は含まない。)
(F)光重合開始剤 5〜20重量部
(2)前記光硬化型ジェルネイル用下地剤を爪に対して塗布する工程
(3)塗布した前記光硬化型ジェルネイル用下地剤を光硬化させて、下地層を形成する工程
(4)前記下地層に対して光硬化型ジェルネイル組成物を塗布する工程
(5)塗布した前記光硬化型ジェルネイル組成物を光硬化させて、ジェルネイル層を形成する工程
【請求項8】
前記工程(4)における光硬化型ジェルネイル組成物が、下記(A)成分、(B)成分、(D)成分、(E´)成分、および(F)成分を含有することを特徴とする請求項7に記載のジェルネイル方法。
(A)ポリエーテル骨格ウレタンメタアクリレートオリゴマー 100重量部
(B)脂環式(メタ)アクリレートモノマー 20〜60重量部
(D)分子内にエチレンオキサイドを有する2官能(メタ)アクリレートモノマー
20〜40重量部
(E´)3官能以上の多官能モノマー 5〜20重量部
(F)光重合開始剤 5〜20重量部
【請求項9】
前記(E´)成分である3官能以上の多官能モノマーが、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであることを特徴とする請求項8に記載のジェルネイル方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−43853(P2013−43853A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182109(P2011−182109)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【特許番号】特許第4981184号(P4981184)
【特許公報発行日】平成24年7月18日(2012.7.18)
【出願人】(392008024)十条ケミカル株式会社 (10)
【Fターム(参考)】