説明

光硬化性樹脂組成物、ウエハレベルレンズ、および、その製造方法

【課題】光学特性、プロセス適正が良好で、型からの剥離力が小さく、ガラス密着性が良好な成型体を提供する。
【解決手段】(A)脂肪族環状炭化水素基を有する樹脂、(B)脂肪族環状炭化水素基を有し、重合性基を有する化合物、(C)活性光線もしくは放射線の照射により、ラジカルもしくは酸を発生する化合物、および(D)界面活性剤を含む、光硬化性樹脂組成物であり、該光硬化性樹脂組成物を用いて形成されたレンズ、とくにウエハレベルレンズ及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性樹脂組成物、該光硬化性樹脂組成物を用いて製造したレンズおよびウエハレベルレンズに関する。また、レンズおよびウエハレベルレンズの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの電子機器の携帯端末には、小型で薄型な撮像ユニットが搭載されている。このような撮像ユニットは、一般に、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子と、固体撮像素子上に被写体像を結像するレンズとを備えている。
【0003】
携帯端末の小型化・薄型化、そして携帯端末の普及により、それに搭載される撮像ユニットにも更なる小型化・薄型化が要請され、そして生産性が要請される。かかる要請に対して、複数のレンズが形成されたレンズ基板と、複数の固体撮像素子が形成されたセンサ基板とを一体に組み合わせ、その後に、それぞれにレンズ及び固体撮像素子を含むようにレンズ基板及びセンサ基板を切断して撮像ユニットを量産する方法が知られている。また、他の製造方法としては、例えば、レンズのみをガラスウェハ上などで作製し、個々のセンサと組み合わせて用いるための適切なサイズに切断し、予め個片化された撮像素子と組み合わせて撮像ユニットを作製する方法、樹脂のみを用い、金型で複数のレンズを形成し、これらをセンサ基板上に組み合わせて切断する方法、レンズを個々のセンサと組み合わせるサイズに切断し、予め個片化された撮像素子と組み合わせ、撮像ユニットを作製する方法などをとることができる。
【0004】
ここで、レンズ等の光学部品を製造するために、ガラスレンズの代替として、光硬化性樹脂組成物が採用されている。このような光硬化性樹脂組成物は、鋳型等に注入し、硬化させて成形する。特に、光硬化性樹脂組成物中に、プレポリマーと呼ばれる重合性基を有した重合体を含有することで、硬化収縮を低減させているものが検討されている。このような光硬化性樹脂組成物としては、特許文献1および2に記載のものが知られている。特許文献1には、脂環族炭化水素骨格とラジカル重合性モノマーを含む組成物を光重合することにより、硬化時の体積収縮を低減し、微細形状を精度よく形成する技術が開示されている。特許文献1に記載の硬化性樹脂組成物は、硬化による収縮が小さく、離型性がよく、耐傷性にも優れ、さらに、60℃での長期安定性にも優れている。一方、特許文献2には、アダマンチルアクリレートを含む硬化性樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−286316号公報
【特許文献2】特開2006−213851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1および2に記載の組成物は、レンズ作成時のプロセス適正が悪く、レンズ、特に、ウエハレベルレンズの製造に使うには困難である。この原因の1つとして、特許文献1や2に記載の組成物では、粘度が高いことがあげられる。また、特許文献2では、得られるレンズの透明性が劣っていることがあげられる。
一方、レンズ分野では、型からの剥離力が小さく、かつ、ガラスとの密着性に優れたレンズを製造できる硬化性樹脂組成物が求められる。本願発明は、かかる問題点を解決した光硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。さらに、高屈折、かつ、高アッベ数のレンズは技術的難易度が高い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題のもと、本願発明者が検討を行った結果、光硬化性樹脂組成物の主成分である樹脂として、脂肪族環状炭化水素基を有する樹脂を用い、かつ、重合性化合物成分として、脂肪族環状炭化水素基を有するものを採用し、さらに、界面活性剤を併用することにより、上記課題を解決しうることを見出した。具体的には、下記<1>の手段、好ましくは<2>〜<14>の手段により達成された。
【0008】
<1>(A)脂肪族環状炭化水素基を有する樹脂、
(B)脂肪族環状炭化水素基を有し、重合性基を有する化合物、
(C)活性光線もしくは放射線の照射により、ラジカルもしくは酸を発生する化合物、および
(D)界面活性剤
を含む、光硬化性樹脂組成物。
<2>(B)化合物が有する重合性基が、(メタ)アクリロイル基および/またはエポキシ基である、<1>に記載の光硬化性樹脂組成物。
<3>(D)界面活性剤が、珪素原子および/またはフッ素原子を含有する、<1>または<2>に記載の光硬化性樹脂組成物。
<4>(A)樹脂と(B)化合物の比率(質量比)が、1:1.9〜1:4である、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
<5>(A)樹脂が脂肪族環状炭化水素基を含む繰返単位と重合性基を含む繰返単位を含む、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
<6>(A)樹脂が有する脂肪族環状炭化水素基が、炭素数6以上の炭化水素基である、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
<7>(A)樹脂が、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、イソシアネート基、および、エポキシ基がから選択される少なくとも1種の重合性基を有する、<1>〜<6>のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
<8>(A)樹脂が下記一般式(1)で表される繰返単位を有することを特徴とする、<1>〜<7>のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
【化1】

〔一般式(1)中、R1は、水素原子または置換基を表し、L1は二価の連結基または単結合を表し、環αは単環式または多環式の環を表す。〕
<9>前記(A)樹脂が、さらに、下記一般式(3)で表される繰返単位を含む、<8>に記載の光硬化性樹脂組成物。
【化2】

〔一般式(3)中、R3〜R6はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、L3は二価の連結基または単結合を表す。〕
<10>ウエハレベルレンズ用である、<1>〜<9>のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
<11><1>〜<10>のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物を用いて形成された、レンズ。
<12><1>〜<10>のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物を用いて形成された、ウエハレベルレンズ。
<13><1>〜<10>のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物を硬化することを含む、レンズの製造方法。
<14><1>〜<10>のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物を硬化することを含む、ウエハレベルレンズの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、光学特性、プロセス適正が良好で、型からの剥離力が小さく、ガラス密着性が良好な成型体を提供できる硬化性樹脂組成物が提供可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ウエハレベルレンズの構成の一例を示す平面図である。
【図2】図1に示すウエハレベルレンズの構成のA−A線断面図である。
【図3】基板にレンズとなる成形材料を供給している状態を示す図である。
【図4】図4A〜図4Cは、基板にレンズを型で成形する手順を示す図である。
【図5】ウエハレベルレンズの他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
【0012】
本発明の光硬化性組成物は、(A)脂肪族環状炭化水素基を有する樹脂、(B)脂肪族環状炭化水素基を有し、重合性基を有する化合物、(C)活性光線もしくは放射線の照射により、ラジカルもしくは酸を発生する化合物、および(D)界面活性剤を含む、ことを特徴とする。
以下、本発明の光硬化性樹脂組成物の詳細について説明する。
【0013】
[樹脂(A)]
本発明で用いる樹脂(A)は、脂肪族環状炭化水素基を有することを特徴とする。
脂肪族環状炭化水素基は、炭素原子からなる主鎖を有し、かつ、主鎖または側鎖に脂環構造を有する。
樹脂(A)は、さらに、重合性基を有することが好ましい。本発明の樹脂(A)の好ましい態様としては、炭素原子からなる主鎖を有し、かつ、主鎖または側鎖に脂環構造を有する繰返単位と、重合性基を有する繰返単位(好ましくは、側鎖に重合性基を有する繰返単位)を有する態様が挙げられ、さらに好ましい態様としては、炭素原子からなる主鎖を有し、かつ、主鎖または側鎖に脂環構造を有する繰返単位と、炭素原子からなる主鎖を有し、かつ、側鎖に重合性基を有する繰返単位を有する態様が挙げられる。
ここで、(A)樹脂は、下記一般式(1)で表される繰返単位および下記一般式(2)で表される繰返単位の少なくとも1種類の繰返単位を有していることが好ましい。
【化3】

〔一般式(1)中、R1は、水素原子または置換基を表し、L1は二価の連結基または単結合を表し、環αは単環式または多環式の環を表す。〕
一般式(1)中、R1は、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基がさらに好ましい。
一般式(1)中、L1は、−CO−、−O−、−CH2−およびこれらの組み合わせからなる基から選択される二価の連結基、または、単結合であることが好ましく、−CO−、−O−、−CH2−およびこれらの組み合わせからなる基から選択される二価の連結基がより好ましい。L1は、主鎖に結合する側が、−C(=O)−O−であることが好ましい。
一般式(1)中、αは、炭素数6〜20の炭素原子を骨格とする環状構造であることが好ましく、下記群(1)から選択される構造を骨格とする環状構造であることがより好ましい。
群(1)
【化4】

上記環状構造は、置換基を有していてもよいし、置換基を有していなくてもよい。置換基を有している場合、アルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
【化5】

〔一般式(2)中、環βは単環式または多環式の環を表す。〕
一般式(2)中、βは、炭素数6〜20の炭素原子を骨格とする環状構造であり、下記群(2)から選択される構造を骨格とする環状構造であることがより好ましい。
【化6】

上記環状構造は、置換基を有していてもよいし、置換基を有していなくてもよい。置換基を有している場合、アルキル基、アリル基、オキソ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子が挙げられ、これらはさらにこれら基によって置換されていてもよい。置換基は、炭素原子、水素原子、酸素原子および窒素原子のいずれか1種以上から構成されることが好ましい。上記置換基は、炭素原子、酸素原子および窒素原子の合計原子数が、1〜10個であることが好ましく、1〜5個であることがより好ましい。
【0014】
上記一般式(1)および(2)のうち、一般式(1)が好ましい。
【0015】
本発明における(A)樹脂が有する重合性基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基(本明細書では、アクリロイル基、メタクリロイル基を併せて、「(メタ)アクリロイル基」ということがある)、ビニル基、アリル基、イソシアネート基およびエポキシ基が例示され、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、およびビニル基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基、およびビニル基がさらに好ましく、ビニル基が特に好ましい。
本発明では、特に、下記一般式(3)で表される繰返単位を含むことが好ましい。
【化7】

〔一般式(3)中、R3〜R6はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、L3は二価の連結基または単結合を表す。〕
3は、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基がさらに好ましい。
4およびR5は、それぞれ、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基がさらに好ましく、水素原子が特に好ましい。
6は、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基がさらに好ましい。
3は、−CO−、−O−、−CH2−およびこれらの組み合わせからなる基から選択される二価の連結基であることが好ましい。L3は、−C(=O)−O−で表される構造を有することがより好ましい。
【0016】
(A)樹脂は、通常、重合性モノマーを含む光硬化性樹脂組成物を用いて、公知の方法によって合成することができる。例えば、ラジカル重合によって重合させてもよいし、イオン重合、または開環重合によって重合させてもよい。
【0017】
一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)で表される繰返単位は、それぞれ、1種類のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
以下に、重合することによって一般式(1)で表される繰返単位を形成することができる重合性化合物の具体例を以下のA1に、一般式(2)で表される繰返単位を形成することができる重合性化合物の具体例を以下のA2に、一般式(3)で表される繰返単位を形成することができる重合性化合物の具体例を以下のA3として挙げるが、本発明で採用することができるモノマーはこれらの具体例に限定されるものではない。
【0019】
【化8】

【0020】
【化9】

【0021】
【化10】

【0022】
<共重合可能なモノマー>
本発明で用いる(A)樹脂は、重合することによって一般式(1)で表される繰返単位、一般式(2)で表される繰返単位、または一般式(3)で表される繰返単位を形成することができるモノマーとともに、他のモノマーを共重合させることにより製造してもよい。そのような他のモノマーとして、Polymer Handbook 2nd ed.,J.Brandrup,Wiley lnterscience (1975) Chapter 2 Page 1〜483に記載のものなどを用いることができる。
【0023】
具体的には、例えば、スチレン誘導体、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、イタコン酸ジアルキル類、前記フマール酸のジアルキルエステル類またはモノアルキルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
【0024】
前記スチレン誘導体としては、スチレン、2,4,6−トリブロモスチレン、2−フェニルスチレン、4−クロロスチレン等が挙げられる。
【0025】
前記アクリル酸エステル類としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸tert−ブチル、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等が挙げられる。
【0026】
前記メタクリル酸エステル類としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
【0027】
前記アクリルアミド類としては、アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミド等が挙げられる。
【0028】
前記メタクリルアミド類としては、メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0029】
前記イタコン酸ジアルキル類としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル等が挙げられ、前記フマール酸のジアルキルエステル類またはモノアルキルエステル類としては、ジブチルフマレート等が挙げられる。
【0030】
その他、クロトン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル等も挙げることができる。
【0031】
樹脂(A)は、一般式(1)で表される繰返単位および/または一般式(2)で表される繰返単位が、5〜100質量%と、一般式(3)で表される繰返単位が0〜95重量%、他の重合性モノマー由来の繰返単位5質量%以下で構成されることが好ましい。さらに、一般式(1)で表される繰返単位および/または一般式(2)で表される繰返単位は、5〜95質量%であることが好ましく、30〜90質量%であることがより好ましく、40〜80質量%であることがさらに好ましい。一方、一般式(3)で表される繰返単位を形成することができる重合性モノマーは、好ましくは、5〜95質量%であり、より好ましくは、10〜70質量%であり、さらに好ましくは、20〜60質量%である。
【0032】
樹脂(A)の分子量は、粘度の点で、40,000以下であることが好ましく、3,000から25,000であることが体積収縮の観点で、さらに好ましい。
【0033】
樹脂(A)の分子量分散(Pd)は、(1.0〜6.0)であることが好ましく、1.0〜3.5であることがより好ましい。
【0034】
樹脂(A)は、本発明の光硬化性樹脂組成物中に、5〜60質量%の範囲で含まれることが好ましく、7〜50質量%の範囲で含まれることがより好ましく、10〜40質量%の範囲で含まれることがさらに好ましい。
【0035】
[重合性化合物(B)]
本発明で用いる重合性化合物(B)は、脂肪族環状炭化水素基と重合性基をすることを特徴とする。但し、重合性化合物(B)は、上記「(A)脂肪族環状炭化水素基を有する、重量平均分子量40,000以下の樹脂」に該当するものを除く趣旨であり、通常は、分子量1,000以下の化合物であり、好ましくはモノマーまたはオリゴマーである。
【0036】
重合性基は、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニル基、アリル基、イソシアネート基、または、エポキシ基であることが好ましく、(メタ)アクリロイル基およびエポキシ基の少なくとも1つであることが硬化性の観点からより好ましい。重合性基は、1分子中に1つであってもよいが、2つ以上含まれていてもよい。
【0037】
炭素数6〜16の脂環構造を有していることがより好ましく、炭素数6〜10の脂環構造を有していることがさらに好ましい。
重合性基と脂環構造は、直接にまたは連結基を介して結合しており、直接に結合しているか、−CO−、−O−、−CH2−及びこれらの組み合わせからなる基から選択される二価の連結基を介して結合していることがより好ましい。
重合性化合物(B)の分子量は、100〜700であることが好ましく、130〜600であることがより好ましく、150〜400であることがさらに好ましい。
以下に、重合性化合物(B)の具体例を示すが、これらの構造に限定されない。
【0038】
【化11】

【0039】
【化12】

【0040】
これらの2つ以上の重合性化合物(B)は、光硬化性樹脂組成物に1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。本発明では、(メタ)アクリレート基を有する重合性化合物とエポキシ基を有する重合性化合物を併用することが好ましい。
【0041】
2つ以上の重合性化合物(B)は、本発明の光硬化性樹脂組成物中に、20〜90質量%の範囲で含まれることが好ましく、25〜80質量%の範囲で含まれることがより好ましく、30〜70質量%の範囲で含まれることがさらに好ましい。
【0042】
樹脂(A)と重合性化合物(B)との比率は、1:1.9〜1:4であることが粘度の観点で望ましく、1:2.3〜1:3.5であることが、体積収縮率の観点でさらに好ましい。
【0043】
[(C)活性光線もしくは放射線の照射により、ラジカルもしくは酸を発生する化合物]
本発明の活性光線もしくは放射線の照射により、ラジカルを発生する化合物(以下、「(光)重合開始剤」ともいう)としては、本発明の趣旨を逸脱しない限り、例えばラジカル重合開始剤として知られる公知の化合物から選択することができる。
重合開始剤としては、例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有する光重合開始剤が好ましく、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、前記光重合開始剤は、約300〜800nm(330〜500nmがより好ましい。)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有していることが好ましい。
【0044】
前記光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの、など)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノンなどが挙げられる。
【0045】
前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物、F.C.SchaeferなどによるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物、特開平5−34920号公報記載化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物、などが挙げられる。
【0046】
前記米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物としては、例えば、オキサジアゾール骨格を有する化合物(例えば、2−トリクロロメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール;2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−n−ブトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリプロモメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾールなど)などが挙げられる。
【0047】
また、上記以外の光重合開始剤として、アクリジン誘導体(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9’−アクリジニル)ヘプタンなど)、N−フェニルグリシンなど、ポリハロゲン化合物(例えば、四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトンなど)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ベンゾトリアゾール−2−イルクマリン、また、特開平5−19475号公報、特開平7−271028号公報、特開2002−363206号公報、特開2002−363207号公報、特開2002−363208号公報、特開2002−363209号公報などに記載のクマリン化合物など)、アシルホスフィンオキサイド類(例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキサイド、LucirinTPOなど)、メタロセン類(例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフロロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフロロホスフェート(1−)など)、特開昭53−133428号公報、特公昭57−1819号公報、同57−6096号公報、及び米国特許第3615455号明細書に記載された化合物などが挙げられる
【0048】
前記ケトン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、2−エトキシカルボニルベンゾルフェノン、ベンゾフェノンテトラカルボン酸又はそのテトラメチルエステル、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン類(例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビスジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、フェナントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロル−チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノールオリゴマー、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール)、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドンなどが挙げられる。
【0049】
光重合開始剤としては、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アミノアセトフェノン化合物、及び、アシルホスフィン化合物も好適に用いることができる。より具体的には、例えば、特開平10−291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィンオキシド系開始剤も用いることができる。
ヒドロキシアセトフェノン系開始剤としては、IRGACURE−184、DAROCUR−1173、IRGACURE−500、IRGACURE−2959,IRGACURE−127(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、及び、 IRGACURE−379(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤として、365nmまたは405nm等の長波光源に吸収波長がマッチングされた特開2009−191179公報に記載の化合物も用いることができる。また アシルホスフィン系開始剤としては市販品であるIRGACURE−819やDAROCUR−TPO(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
【0050】
光重合開始剤として、より好ましくはオキシム系化合物が挙げられる。オキシム系化合物の具体例としては、特開2001−233842号記載の化合物、特開2000−80068号記載の化合物、特開2006−342166号記載の化合物を用いることができる。
【0051】
本発明で光重合開始剤として好適に用いられるオキシム誘導体等のオキシム化合物としては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
【0052】
オキシムエステル化合物としては、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年)pp.202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報、特開2006−342166号公報の各公報に記載の化合物等が挙げられる。
市販品ではIRGACURE−OXE01(BASF社製)、IRGACURE−OXE02(BASF社製)も好適に用いられる。
【0053】
また上記記載以外のオキシムエステル化合物として、カルバゾールN位にオキシムが連結した特表2009−519904公報に記載の化合物、ベンゾフェノン部位にヘテロ置換基が導入された米国特許7626957号公報に記載の化合物、ADEKA製開始剤である、色素部位にニトロ基が導入された特開2010−15025公報および米国特許公開2009−292039記載の化合物、国際公開特許2009−131189公報に記載のケトオキシム系化合物、トリアジン骨格とオキシム骨格を同一分子内に含有する米国特許7556910公報に記載の化合物、405nmに吸収極大を有しg線光源に対して良好な感度を有する特開2009−221114公報記載の化合物、などを用いてもよい。
【0054】
好ましくはさらに、特開2007−231000公報、及び、特開2007−322744公報に記載される環状オキシム化合物に対しても好適に用いることができる。環状オキシム化合物の中でも、特に特開2010−32985公報、特開2010−185072公報に記載されるカルバゾール色素に縮環した環状オキシム化合物は、高い光吸収性を有し高感度化の観点から好ましい。
また、オキシム化合物の特定部位に不飽和結合を有する特開2009−242469公報に記載の化合物も、重合不活性ラジカルから活性ラジカルを再生することで高感度化を達成でき好適に使用することができる。
【0055】
最も好ましくは、特開2007−269779公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009−191061公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物が挙げられる。
具体的には、オキシム系光重合開始剤としては、下記式(1)で表される化合物が好ましい。なお、オキシムのN−O結合が(E)体のオキシム化合物であっても、(Z)体のオキシム化合物であっても、(E)体と(Z)体との混合物であってもよい。
【0056】
【化13】

(式(1)中、R及びBは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。)
前記Rで表される一価の置換基としては、一価の非金属原子団であることが好ましい。
前記一価の非金属原子団としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としてはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
【0057】
置換基を有していてもよいアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基、4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、及び、3−ニトロフェナシル基が例示できる。
【0058】
置換基を有していてもよいアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、並びに、オバレニル基が例示できる。
【0059】
置換基を有していてもよいアシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、具体的には、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、及び、4−メトキシベンゾイル基が例示できる。
【0060】
置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、及び、トリフルオロメチルオキシカルボニル基が例示できる。
【0061】
置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基として具体的には、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基が例示できる。
【0062】
置換基を有していてもよい複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子若しくはリン原子を含む、芳香族又は脂肪族の複素環が好ましい。
具体的には、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、及び、チオキサントリル基が例示できる。
【0063】
置換基を有していてもよいアルキルチオカルボニル基として具体的には、メチルチオカルボニル基、プロピルチオカルボニル基、ブチルチオカルボニル基、ヘキシルチオカルボニル基、オクチルチオカルボニル基、デシルチオカルボニル基、オクタデシルチオカルボニル基、及び、トリフルオロメチルチオカルボニル基が例示できる。
【0064】
置換基を有していてもよいアリールチオカルボニル基として具体的には、1−ナフチルチオカルボニル基、2−ナフチルチオカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルチオカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルチオカルボニル基、2−クロロフェニルチオカルボニル基、2−メチルフェニルチオカルボニル基、2−メトキシフェニルチオカルボニル基、2−ブトキシフェニルチオカルボニル基、3−クロロフェニルチオカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルチオカルボニル基、3−シアノフェニルチオカルボニル基、3−ニトロフェニルチオカルボニル基、4−フルオロフェニルチオカルボニル基、4−シアノフェニルチオカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルチオカルボニル基が挙げられる。
【0065】
前記Bで表される一価の置換基としては、アリール基、複素環基、アリールカルボニル基、又は、複素環カルボニル基を表す。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
【0066】
なかでも、特に好ましくは以下に示す構造である。
下記の構造中、Y、X、及び、nは、それぞれ、後述する式(2)におけるY、X、及び、nと同義であり、好ましい例も同様である。
【0067】
【化14】

【0068】
前記Aで表される二価の有機基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、シクロヘキシレン基、アルキニレン基が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
中でも、Aとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
【0069】
前記Arで表されるアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、また、置換基を有していてもよい。置換基としては、先に置換基を有していてもよいアリール基の具体例として挙げた置換アリール基に導入された置換基と同様のものが例示できる。
なかでも、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。
【0070】
式(1)においては、前記Arと隣接するSとで形成される「SAr」の構造が、以下に示す構造であることが感度の点で好ましい。なお、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
【0071】
【化15】

【0072】
オキシム化合物は、下記式(2)で表される化合物であることが好ましい。
【0073】
【化16】

(式(2)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、A及びYは各々独立に二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。)
式(2)におけるR、A、及びArは、前記式(1)におけるR、A、及びArと同義であり、好ましい例も同様である。
【0074】
前記Xで表される一価の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、複素環基、ハロゲン原子が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
【0075】
これらの中でも、Xとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、アルキル基が好ましい。
また、式(2)におけるnは、0〜5の整数を表し、0〜2の整数が好ましい。
【0076】
前記Yで表される二価の有機基としては、以下に示す構造が挙げられる。なお、以下に示される基において、「」は、前記式(2)において、Yと隣接する炭素原子との結合
位置を示す。
【0077】
【化17】

【0078】
中でも、高感度化の観点から、下記に示す構造が好ましい。
【0079】
【化18】

【0080】
さらにオキシム化合物は、下記式(3)で表される化合物であることが好ましい。
【化19】

(式(3)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。)
式(3)におけるR、X、A、Ar、及び、nは、前記式(2)におけるR、X、A、Ar、及び、nとそれぞれ同義であり、好ましい例も同様である。
【0081】
以下好適に用いられるオキシム化合物の具体例(C−4)〜(C−13)を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0082】
【化20】

【0083】
オキシム化合物は、350nm〜500nmの波長領域に極大吸収波長を有するものであり、360nm〜480nmの波長領域に吸収波長を有するものであることが好ましく、365nm及び455nmの吸光度が高いものが特に好ましい。
【0084】
オキシム化合物は、365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、1,000〜300,000であることが好ましく、2,000〜300,000であることがより好ましく、5,000〜200,000であることが特に好ましい。
化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Carry−5 spctrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
【0085】
本発明に用いられる光重合開始剤は、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用しても良い。
光重合開始剤の感放射線性組成物中における含有量(2種以上の場合は総含有量)としては、体積収縮率の観点から、組成物の総量(全質量)に対して、0.1〜15質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%の範囲、特に好ましくは0.5〜8質量%の範囲である。この範囲内であると、良好な感度とパターン形成性が得られる。
【0086】
重合性組成物は、光重合開始剤のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有していてもよい。本発明に用いることができる増感剤としては、前記した(C)光重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。
【0087】
重合性組成物に用いられる増感剤としては、例えば、特開2008−32803号公報の段落番号〔0101〕〜〔0154〕に記載される化合物が挙げられる。
重合性組成物中における増感剤の含有量は、深部への光吸収効率と開始分解効率の観点から、固形分換算で、0質量%〜20質量%であることが好ましく、0質量%〜15質量%がより好ましい。
増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0088】
活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「酸発生剤」ともいう)としては、公知のものであれば特に限定されないが、好ましくは下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
【化21】

【0089】
上記一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
-は、非求核性アニオン(求核反応を起こす能力が著しく低いアニオン)を表す。
【0090】
-としては、例えば、スルホン酸アニオン(脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなど)、カルボン酸アニオン(脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなど)、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン等を挙げられる。
【0091】
脂肪族スルホン酸アニオン及び脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位は、アルキル基であってもシクロアルキル基であってもよく、好ましくは炭素数1〜30の直鎖又は分岐のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基が挙げられる。
芳香族スルホン酸アニオン及び芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
【0092】
上記で挙げたアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。この具体例としては、ニトロ基、フッ素原子などのハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルイミノスルホニル基(好ましくは炭素数2〜15)、アリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20)、アルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数7〜20)、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数10〜20)、アルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数5〜20)、シクロアルキルアルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数8〜20)等を挙げることができる。各基が有するアリール基及び環構造については、置換基としてさらにアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。
【0093】
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数6〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルブチル基等を挙げることができる。
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンを挙げることができる。
【0094】
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。これらのアルキル基の置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基等を挙げることができ、フッ素原子又はフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
その他のZ-としては、例えば、フッ素化燐、フッ素化硼素、フッ素化アンチモン等を挙げることができる。
【0095】
-としては、スルホン酸の少なくともα位がフッ素原子で置換された脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。非求核性アニオンとして、より好ましくはパーフロロ脂肪族スルホン酸アニオン(更に好ましくは炭素数4〜8)、フッ素原子を有するベンゼンスルホン酸アニオン、更により好ましくはノナフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフロロベンゼンスルホン酸アニオン、3,5−ビス(トリフロロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンである。
酸強度の観点からは、発生酸のpKaが−1以下であることが、感度向上のために好ましい。
【0096】
201、R202及びR203の有機基としては、アリール基(炭素数6〜15が好ましい)、直鎖又は分岐のアルキル基(炭素数1〜10が好ましい)、シクロアルキル基(炭素数3〜15が好ましい)などが挙げられる。
【0097】
201、R202及びR203のうち、少なくとも1つがアリール基であることが好ましく、三つ全てがアリール基であることがより好ましい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などの他に、インドール残基、ピロール残基などのヘテロアリール基も可能である。これらアリール基は更に置換基を有していてもよい。その置換基としては、ニトロ基、フッ素原子などのハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0098】
また、R201、R202及びR203から選ばれる2つが、単結合又は連結基を介して結合していてもよい。連結基としてはアルキレン基(炭素数1〜3が好ましい)、−O−、−S−、−CO−、−SO2−などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0099】
201、R202及びR203のうち少なくとも1つがアリール基でない場合の好ましい構造としては、特開2004−233661号公報の段落0047,0048、特開2003−35948号公報の段落0040〜0046、US2003/0224288A1号明細書に式(I-1)〜(I-70)として例示されている化合物、US2003/0077540A1号明細書に式(IA-1)〜(IA-54)、式(IB-1)〜(IB-24)として例示されている化合物等のカチオン構造を挙げることができる。
【0100】
特に、R201、R202及びR203のうち少なくとも1つがアリール基でない場合、特に、以下の(1)または(2)の態様が好ましい。
【0101】
(1)R201、R202及びR203のうち少なくとも1つが、Ar−CO−X−で表される構造であり、残りの基が、直鎖若しくは分岐のアルキル基、またはシクロアルキル基である場合。このとき、残りの基が2つの場合、2つの直鎖若しくは分岐のアルキル基、またはシクロアルキル基は、互いに結合して環構造を形成してもよい。
【0102】
ここで、Arは置換基を有していてもよいアリール基を表し、具体的には、R201、R202及びR203としてのアリール基と同様である。好ましくは置換基を有していてもよいフェニル基である。
【0103】
Xは置換基を有してもよいアルキレン基を表す。具体的には、炭素数1〜6のアルキレン基である。好ましくは炭素数1〜3の直鎖構造または分岐構造のアルキレン基である。
【0104】
残りの直鎖若しくは分岐のアルキル基、またはシクロアルキル基は、好ましくは炭素数1〜6である。これら原子団は更に置換基を有していてもよい。また、残りの基が2つの場合、互いに結合して環構造(好ましくは5〜7員環)を形成していていることが好ましい。
【0105】
(2)R201、R202及びR203のうち1つ又は2つが、置換基を有していてもよいアリール基であり、残りの基が直鎖若しくは分岐のアルキル基、またはシクロアルキル基である場合。
【0106】
このとき、上記アリール基としては、具体的には、R201、R202及びR203としてのアリール基と同様であり、フェニル基又はナフチル基が好ましい。また、アリール基は、水酸基、アルコキシ基、アルキル基のいずれかを置換基として有することが好ましい。置換基としより好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基、更に好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基である。
【0107】
残りの直鎖若しくは分岐のアルキル基、またはシクロアルキル基は、好ましくは炭素数1〜6である。これら原子団は更に置換基を有していてもよい。また、残りの基が2つの場合、2つが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
【0108】
一般式(ZII)、(ZIII)中、
204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基としては、前述の化合物(ZI)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基として説明したアリール基と同様である。
【0109】
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としても、前述の化合物(ZI)におけるR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよいものが挙げられる。
【0110】
-は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZ-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
酸発生剤として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物も挙げられる。
【化22】

【0111】
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar3及びAr4は、各々独立に、アリール基を表す。
208、R209及びR210は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
酸発生剤の中で、特に好ましい例を以下に挙げる。
【化23】

【0112】
【化24】

【0113】
酸発生剤は、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
酸発生剤の組成物中の含有率は、組成物の全固形分を基準として、 0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、更に好ましくは0.1〜10質量%である。
【0114】
界面活性剤(D)
本発明の光硬化性樹脂組成物には、界面活性剤を含む。界面活性剤としては、フッ素原子を含有するフッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、珪素原子を含有するシリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用でき、珪素原子および/またはフッ素原子を含有する界面活性剤が好ましい。 界面活性剤の添加量は、光硬化性樹脂組成物の全質量に対して、0.001質量%〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005質量%〜1.0質量%である。界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
特に、フッ素原子を含有する界面活性剤の配合量は、光硬化性組成物の固形分の4重量%以下であることがガラス密着性の観点から好ましい。下限値としては、特に定めるものではないが、例えば、(0.1)重量%以上とすることができる。
珪素原子を含有する界面活性剤の配合量は、例えば、光硬化性組成物の固形分の0.5〜10質量%とすることができ、添加量が多いほど、剥離力低減の観点で良いが、形状崩れやゆがみの観点で、0.5〜5質量%が好ましい。
ただし、珪素原子およびフッ素原子を含有する界面活性剤を用いる場合、この限りでない。
【0115】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)等が挙げられる。
【0116】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、光硬化性樹脂組成物中における溶解性も良好である。
【0117】
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)等が挙げられる。
【0118】
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
【0119】
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
【0120】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
【0121】
添加剤(E)
本発明の硬化性樹脂組成物は、その他、重合禁止剤および溶解調整剤等の添加剤を含んでいてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記(A)〜(D)以外の成分が全体の15質量%以下であることが好ましい。
【0122】
重合禁止剤
本発明の組成物は、重合禁止剤を含んでいても良い。重合禁止剤は1種類のみでもよいし、2種類以上含んでいても良い。重合禁止剤としては、フェノール系水酸基含有化合物、およびキノン類、N−オキシド化合物類、ピペリジン−1−オキシルフリーラジカル化合物類、ピロリジン−1−オキシルフリーラジカル化合物類、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン類、アニリン類、ピリジン類、脂肪族3級アミン類、およびカチオン染料類からなる群より選択される化合物が挙げられる。
【0123】
具体的には、ハロイドキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、レゾルシノール、カテコール、t−ブチルカテコール、ハイドロキノンモノアルキルエーテル(例えば、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ハイドロキノンモノブチルエーテル等)、ベンゾキノン、4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンおよびその誘導体、ジ−t−ブチルニトロキシド、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシドおよびその誘導体等、ピペリジン 1−オキシルフリーラジカル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルフリーラジカル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルフリーラジカル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルフリーラジカル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルフリーラジカル、4−マレイミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルフリーラジカル、4−ホスホノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシルフリーラジカル、3−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン 1−オキシルフリーラジカル、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩、クリスタルバイオレット、メチルバイオレット、エチルバイオレット、およびビクトリアピュアブルーBOH、N,N−ジエチルアニリン、4−メチルアニリン、2,6−ジメチルピリジン、4−ヒドロキシピリジン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、カリオフィレン等が挙げられる。
【0124】
重合禁止剤の組成物中における含有量としては、体積収縮率の観点から、組成物の総量(全質量)に対して、0.1〜15質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。
【0125】
溶剤
本発明の組成物は、溶剤を含んでいてもよい。含有量は、10質量%以下が好ましく、成型体の気泡低減の観点で、さらに好ましいのは、5質量%以下である。
しかしながら、本発明の光硬化性樹脂組成物は、実質的に、溶剤を含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、例えば、溶剤の含量が、光硬化性樹脂組成物の1質量%以下であることをいう。
【0126】
本発明の硬化性樹脂組成物は、粘度を0.1〜25Pa・sとすることができ、さらには0.3〜15Pa・sとすることができ、さらには、0.3〜7Pa・sとすることができる。本発明の硬化性樹脂組成物では、このように低い粘度としても、高い光学特性と低い体積収縮率を維持できる。
【0127】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、硬化させたときの体積収縮率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。
硬化性樹脂組成物では、高屈折かつ、高アッベ数を両立するのが技術的に難しく、具体的には、屈折率1.5以上、且つアッベ数50以上を達成するのが難しい。
従来のレンズ形成用の組成物では、屈折率やアッベ数を高くするために、無機微粒子を添加することが行われていたが、本発明ではこのような無機微粒子を実質的に無添加(例えば、組成物の1質量%以下)としても、高い屈折率およびアッベ数を達成できる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化させた後のヘイズが5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、硬化させたときのガラス転移温度は200℃以上であることが好ましく、260℃以上であることが特に好ましい。
【0128】
<光学部品>
本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物は、例えば、各種ディスプレイ装置(液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等)、各種プロジェクタ装置(OHP、液晶プロジェクタ等)、光ファイバー通信装置(光導波路、光増幅器等)、カメラやビデオ等の撮影装置等の光学部品としても好ましく用いることができる。
【0129】
本発明の硬化物を用いた光学部品は、特にレンズに好適である。
【0130】
<ウエハレベルレンズ>
次に、本発明のウエハレベルレンズについて説明する。図1は、ウエハレベルレンズの構成の一例を示す平面図である。図2は、図1に示すウエハレベルレンズのA−A線断面図である。
図2に示すように、ウエハレベルレンズは、基板10と、該基板10に配列された複数のレンズ12とを備えている。複数のレンズ12は、基板10に対して1次元又は2次元に配列されている。また、複数のレンズ12の間には、レンズ以外の箇所からの光透過を防止する遮光膜14を設けてもよい。
本実施形態では、図1のように、複数のレンズ12が、基板10に対して2次元に配列されている構成を例に説明する。レンズ12と基板10は、本発明の光硬化性樹脂組成物の硬化物で構成され、該基板10上に一体的に成形されるか、或いは、別の構造体として成形され、基板上に固定化されたものである。本発明の光硬化性樹脂組成物は、レンズ12と基板10を一体的に形成される場合に好ましく用いられる。
本発明のウエハレベルレンズは、サイズは特に定めるものではなく、例えば、6〜12インチサイズのものとすることができる。しかしながら、本発明の硬化性樹脂組成物では、8インチサイズ以上としても、良好なウエハレベルレンズを作成できる点で好ましい。特に、8〜12インチサイズのものにさらに好ましく適用できる。ウエハレベルレンズは、サイズが大きくなると反り等が起こりやすくなるが、本願発明の硬化性樹脂組成物を用いた場合、8インチサイズ以上でも良好なウエハレベルレンズを作成できる。
ここでは、一例を挙げたが、本発明のウエハレベルレンズはこの態様に限定されず、多層構造をとるもの、ダイシングによりレンズモジュールに分離されたものなど種々の態様をとり得る。
【0131】
<成形体の製造方法>
本発明の光硬化性樹脂組成物を用いた光学部品等の成形体を製造する方法は公知の方法を広く採用できる。例えば、鋳型に本発明の光硬化性樹脂組成物を充填し、活性エネルギーの照射および/または加熱により硬化し、製造することができる。本発明では、特に、活性エネルギーの照射と加熱の両方を併用することが好ましい。このような手段を採用することにより、成形型(好ましくは成形金型)内での硬化収縮量を抑制するため、成形型の形状転写性に優れ、かつ成形型の隙間(クリアランス)へのモレが抑制できる。
【0132】
<ウエハレベルレンズの形成>
次に、ウエハレベルレンズの形成方法の一例について説明する。図3は、基板に成形材料である本発明の光硬化性樹脂組成物(図3中にMと記載)を供給している状態を示す図である。図3に示すように、基板10のレンズを成形する部位にディスペンサ50を用いて成形材料Mを滴下する。ここでは、供給する1つの部位には、1つのレンズ12に相当する量の成形材料Mが供給される。
【0133】
基板10に成形材料Mを供給した後、図4Aに示すように、レンズを成形するための型60を配置する。型60には、レンズ12の形状を転写するための凹部62が、所望のレンズ12の数に応じて設けられている。
【0134】
図4Bに示すように、型60を基板10上の成形材料Mに押し付け、成形材料Mを凹部の形状に倣って変形させる。そして、型60を成形材料Mに押し付けた状態で、成形材料Mが熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂の場合には型の外側から熱又は紫外線を照射することで、成形材料Mを硬化させる。
【0135】
成形材料Mを硬化させた後、図4Cに示すように、型60から基板10及びレンズ12を離型する。
【0136】
図5は、ウエハレベルレンズの他の構成例を示す図である。図5のウエハレベルレンズは、基板10とレンズ12とを同時に成形した構成(モノリシックタイプ)である。この例では、基板10の一方の面(図中の上側の面)には、凹状のレンズ12が複数形成され、他方の面(図中の下側の面)には、凸状のレンズ20が複数形成されている。本実施形態でも、基板10のレンズ面12aを除く領域、つまり、基板10の表面及びレンズ縁部12bの表面にパターン状の遮光膜14が形成されていてもよい。
【実施例】
【0137】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順などは、本発明の趣旨を逸脱しないかぎり、適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は、以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0138】
合成例
(A)樹脂の合成例
還流冷却器、ガス導入コックを付した1L三口フラスコに、トリシクロ[5,2,1,02,6]デカ−8−イルメタクリレート(日立化成工業株式会社製、FA−513M、例示化合物A1−1に該当)45.0g、アリルメタクリレート(和光純薬工業株式会社製、例示化合物A3−1に該当)5.0g、酢酸エチル500.0gを添加し、2回窒素置換した後、重合開始剤として和光純薬工業株式会社製V−65(商品名)0.6gを添加し、さらに2回窒素置換した後、窒素気流下65℃で6時間加熱した。その後、メタノール2Lに反応液を注ぎ、析出した白色固体を吸引ろ過により回収した。70℃で5時間減圧乾燥を行い、溶媒を留去することにより重合体P−1を得た(収率60%、重量平均分子量(Mw)40,000、分子量分散(Pd)2.43)。
他の例示したポリマーについても、原料モノマー成分(a)および(b)の種類または配合比を下記のとおり変更し、他は同様に行って重合体を得た。
【0139】
【表1】

P−1〜P−6
【化25】

P−7
【化26】

P−8
【化27】

P−9
【化28】

P−10
【化29】

P−11
【化30】

P−12
【化31】

【0140】
(材料の調製)
上記で作成したポリマーをガラス瓶に入れ、高粘度用スターラーにて、1晩攪拌した。得られた液を、ポアサイズ5μmのディスクフィルターにて、濾過し、(Le−1)〜(Le−14)を得た。下記表中の数字は、各成分の割合(重量%)である。
【表2】

【0141】
(B−1) ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学製)
(B−2) 1−アダマンチルメタクリレート(大阪有機化学工業製)
(B−3) 3、4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3、’4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(ダイセル化学製、セロキサイド2021)
(B−4) tert−ブチルメタクリレート
(B−5) 1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(タケネート600、三井化学製)
(B−6) シクロヘキシルメタクリレート
【0142】
(C−1) IRGACURE184(BASF社製)
(C−2) WPI−113(WAKO製)
【0143】
(D−1) KF−6012(信越化学工業製)
(D−2) KF−6015(信越化学工業製)
(D−3) FTX−230G(株式会社ネオス製)
(D−4) FTX−209F(株式会社ネオス製)
【0144】
(E−1) p−メトキシフェノール(東京化成工業製、M0122)
(E−2) β−カリオフィレン(東京化成工業製、C0796)
(E−3) ハイドロキノン
(E−4) トリブチルアミン
【0145】
(評価方法)
(1)屈折率測定
疎水化処理したガラス基板上に液をたらし、厚み1mmの膜状にした。その後、ウシオ製高圧水銀灯HB-50101BYにて、4000mJ/cm2露光し、N2雰囲気下、180℃、2時間加熱した後、ガラス基板を取り外し、厚さ1mmの硬化膜を得た。得られた膜を、アッベ屈折計(アタゴ社製、DR−M4)にて、波長589nmの光について行った。
【0146】
(2)アッベ数(νD)測定
上記屈折率の測定で作成した硬化膜を用い、アッベ屈折計(アタゴ社製、DR−M4)にて、波長486nm、589nm、656nmの光についてそれぞれの屈折率を測定し、波長486nmにおける屈折率をnF、波長589nmにおける屈折率をnD、波長656nmにおける屈折率をnCとした場合に、下記の式より算出した。アッベ数は高いほうが好ましい。
【化32】

【0147】
(3)粘度測定
調製した液を、レオメーター (Anton Paar製、Physica MCR301)にて、せん断粘度測定を行い、粘度を算出した。
【0148】
(4)剥離力測定
剥離力測定機能付き空気加圧式UVインプリント装置(MEPJ製)に、2cmx2cmのポリジメチルシロキサン型をセットし、その上に調整した液を約1μLを適用した。その上に、ガラスウエハを置き、型とガラスウエハの間を200μmの間隔にした。その後、100秒露光した後、型をはずした。このとき、型にかかる最大力(N)を、測定面積(cm2)とし、剥離力(N/cm2)とした。
【0149】
(5)ガラス密着性
調製した液を7cm×7cmのガラス基板上にスピンコーターで、1000rpmで塗布した。この基板を、ウシオ製高圧水銀灯HB-50101BYで、4000mJ/cm2露光した。得られた塗布膜でJIS規格碁盤目セロハンテープ剥離試験を行った。
判断基準は、下記のとおりであり、数字が小さいほど、ガラス密着性がよいものである。
(1)テープ剥離後、膜が完全に残っている。
(2)テープ剥離後、碁盤目の70%が残っている。
(3)テープ剥離後、膜がすべて剥離している。
【0150】
結果を以下の表に示す。
【0151】
【表3】

【0152】
上記表から明らかなとおり、本発明の組成物にて、屈折率、アッベ数、粘度、剥離力、ガラス密着性を両立することができることが明らかである。
【符号の説明】
【0153】
10 基板
12 レンズ(ウエハレベルレンズ)
14 パターン状の遮光膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)脂肪族環状炭化水素基を有する樹脂、
(B)脂肪族環状炭化水素基を有し、重合性基を有する化合物、
(C)活性光線もしくは放射線の照射により、ラジカルもしくは酸を発生する化合物、および
(D)界面活性剤
を含む、光硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
(B)化合物が有する重合性基が、(メタ)アクリロイル基および/またはエポキシ基である、請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
(D)界面活性剤が、珪素原子および/またはフッ素原子を含有する、請求項1または2に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
(A)樹脂と(B)化合物の比率(質量比)が、1:1.9〜1:4である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
(A)樹脂が脂肪族環状炭化水素基を含む繰返単位と重合性基を含む繰返単位を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
(A)樹脂が有する脂肪族環状炭化水素基が、炭素数6以上の炭化水素基である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
(A)樹脂が、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、イソシアネート基、および、エポキシ基がから選択される少なくとも1種の重合性基を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
(A)樹脂が下記一般式(1)で表される繰返単位を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
【化1】

〔一般式(1)中、R1は、水素原子または置換基を表し、L1は二価の連結基または単結合を表し、環αは単環式または多環式の環を表す。〕
【請求項9】
前記(A)樹脂が、さらに、下記一般式(3)で表される繰返単位を含む、請求項8に記載の光硬化性樹脂組成物。
【化2】

〔一般式(3)中、R3〜R6はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、L3は二価の連結基または単結合を表す。〕
【請求項10】
ウエハレベルレンズ用である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物を用いて形成された、レンズ。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物を用いて形成された、ウエハレベルレンズ。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物を硬化することを含む、レンズの製造方法。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物を硬化することを含む、ウエハレベルレンズの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−43983(P2013−43983A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185035(P2011−185035)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】