説明

光硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、及びプリント配線板

【課題】紫外線領域の吸収を調整しつつ充分な着色があり、紫外線及びレーザー露光において高感度でさらに乾燥塗膜の指触乾燥性が良好な組成物を提供する。
【解決手段】(A)カルボン酸含有樹脂、(B)アミノアントラキノン骨格を有する化合物からなる着色剤、(C)光重合開始剤、及び(D)分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を含有している希アルカリ溶液により現像可能な光硬化性樹脂組成物であって、アミノアントラキノン骨格を有する化合物からなる着色剤を用いることにより紫外線領域の吸収を調整しつつ充分な着色があり、紫外線及びレーザー露光において高感度でさらに乾燥塗膜の指触乾燥性が良好な組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、希アルカリ溶液により現像可能な光硬化性樹脂組成物、特に紫外線露光又はレーザー露光されるソルダーレジスト用組成物、そのドライフィルム、硬化物、及びプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の半導体部品の急速な進歩により、電子機器は小型軽量化、高性能化、多機能化される傾向にある。この傾向に追従して、プリント配線板においても、高密度化、部品の表面実装化が進みつつある。高密度プリント配線板の製造においては一般にフォトソルダーレジストが採用されており、ドライフィルム型フォトソルダーレジストや液状フォトソルダーレジストが開発されている。
【0003】
このようなソルダーレジストは、着色剤としてフタロシアニン化合物を使用することにより緑及び青色に着色していた(特許文献1:特開2000−7974)。
【0004】
しかし、この着色剤を使用して紫外線露光を適用した場合は以下の課題がある。すなわち、フタロシアニン化合物は紫外線領域において吸収が大きく、且つ350nmから400nmの紫外線領域にかけて吸収の変化が大きい。この紫外線領域で吸収が大きいと、硬化深度を得ることは困難である。また、各種紫外線露光装置(ランプ)は紫外線波長分布がそれぞれ異なる。このため、紫外線領域での吸収の変化が大きいと、異なる紫外線露光装置で同一の解像性を有するようにソルダーレジストを開発することが難しい。
【0005】
また、この着色剤を使用して最近普及しているレーザー露光を適用した場合は以下の課題がある。すなわち、レーザー露光は非常に高感度化が要求され、同時に高解像で形状の良好なレジストプロファイルを得ることも要求される。また、レーザー露光は紫外線ランプ露光と異なり単一波長の光を利用している。従って、レーザー露光では、レジストの吸収がその波長に対してどれだけあるかが重要であり、用いる光源の光を光重合開始剤に有効に吸収させることで感度が決定する。しかし、着色剤は上述のように光を吸収するために、その存在は高感度化に不利なだけでなく、光を底部にまで透過することを阻害しアンダーカットを生じてしまう。上述のように、フタロシアニン化合物は紫外線領域での吸収が大きいので、充分な着色力を得るようにフタロシアニン含有量を加えると、アンダーカットが生じる。これを防ぐためには光重合開始剤の量を少なくしなければならず、その結果、高感度に露光することが出来なかった。逆に、フタロシアニン化合物の量をアンダーカットがないように調整し、光重合開始剤の濃度を高くすれば、感度は充分に得られるが、着色力が不十分であるという問題があった。
【0006】
また、ソルダーレジストの着色力が不十分であると、プリント配線板上に形成されている銅回路の汚れや変色が目立つためプリント配線板の良品率を著しく低下させる。さらに最近ではプリント配線板の後工程である実装の工程が自動化されており機械による部品の取り付けが行われるが、画像認識の際にソルダーレジストと銅回路の認識がうまくできないという不具合がおこる。この現象はプリント配線板の最終検査であるAOI(Automatic Optical Inspection)の際にも同様に問題になっている。
【0007】
現在市販されているソルダーレジストは膜厚や基材の銅の前処理にもよるがCIE L*a*b*表示系で表すと、緑色でL*値40から60、a*値は-10から-28,b*値は6から18、青色はL*値40から60、a*値は-10から-28,b*値は-6から-18であり、さらに好ましいものは緑色、青色ともにL*値が40-50のものがAOIの観点から好ましく、この程度の着色力は必要である。
【0008】
さらにまた、ソルダーレジスト組成物はその固形分(溶剤を乾燥させた乾燥皮膜)の状態で軟化点が低いと感度が高い。しかし、軟化点が低すぎると指触乾燥性が悪く、フォトツールを密着させて露光する際、露光装置に塗布基板を搬送する際もしくは、ドライフィルムの状態で保護フィルムを剥離する際にべとつく、いわゆるタックが悪いという現象が生じるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−7974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、紫外線領域の吸収を調整しつつ充分な着色があり、紫外線及びレーザー露光において高感度でさらに乾燥塗膜の指触乾燥性が良好な組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために本発明は、以下の構成を備える。
【0012】
(1) (A)カルボン酸含有樹脂、(B)アミノアントラキノン骨格を有する化合物からなる着色剤、(C)光重合開始剤、及び(D)分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を含有していることを特徴とする希アルカリ溶液により現像可能な光硬化性樹脂組成物。
【0013】
(2) アミノアントラキノン化合物(B)が、下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする(1)に記載の希アルカリ溶液により現像可能な光硬化性樹脂組成物。
【化1】

【0014】
:直鎖もしくは分岐アルキル基、アルキル置換もしくは無置換フェニル基、シクロヘキシル基、カルボニル基を介した直鎖もしくは分岐アルキル基、置換もしくは無置換フェニル基
:直接もしくはNH基を介して水素、水酸基、シクロヘキシル基、直鎖もしくは分岐アルキル基、置換もしくは無置換フェニル基、Rと環状物を形成しても良い。
,R,R:それぞれ独立して、水素、水酸基、シクロヘキシル基、直鎖もしくは分岐アルキル基、置換もしくは無置換フェニル基、NH基を介して直鎖もしくは分岐アルキル基、アルキル置換もしくは無置換フェニル基、シクロヘキシル基、アミド基を介した直鎖もしくは分岐アルキル基、置換もしくは無置換フェニル基
(3) (B)アミノアントラキノン骨格を有する化合物からなる着色剤は、構造の異なる2以上の着色剤であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の希アルカリ溶液により現像可能な光硬化性樹脂組成物。
【0015】
(4) (B)アミノアントラキノン骨格を有する化合物からなる着色剤は、下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の希アルカリ溶液により現像可能な光硬化性樹脂組成物。
【化2】

【0016】
:直鎖もしくは分岐アルキル基、アルキル置換もしくは無置換フェニル基、シクロヘキシル基、カルボニル基を介した直鎖もしくは分岐アルキル基、置換もしくは無置換フェニル基
,R:それぞれ独立して、水素、水酸基、シクロヘキシル基、直鎖もしくは分岐アルキル基、置換もしくは無置換フェニル基、NH基を介して直鎖もしくは分岐アルキル基、アルキル置換もしくは無置換フェニル基、シクロヘキシル基、アミド基を介した直鎖もしくは分岐アルキル基、置換もしくは無置換フェニル基
:直鎖もしくは分岐アルキル基、アルキル置換もしくは無置換フェニル基、シクロヘキシル基、カルボニル基を介した直鎖もしくは分岐アルキル基、置換もしくは無置換フェニル基
(5) アミノアントラキノン骨格を有する化合物からなる着色剤(B)は、色調が緑色の着色剤及び色調が青色の着色剤の群から選択された単一の化合物または混合物であることを特徴とする希アルカリ溶液により現像可能な(1)乃至(4)のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
(6) 前記光重合開始剤(C)が、
下記一般式(III)で表されるオキシムエステル系光重合開始剤、
【化3】

【0017】
(式中、Rは、水素原子、フェニル基(炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルカノイル基またはベンゾイル基(炭素数が1〜6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい)を表し、
は、フェニル基(炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルカノイル基またはベンゾイル基(炭素数が1〜6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい)を表す。)
下記一般式(IV)で表されるα−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、及び
【化4】

【0018】
(式中、RおよびR10は、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基またはアリールアルキル基を表し、
11およびR12は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または2つが結合した環状アルキルエーテル基を表す。)
下記一般式(V)で表されるアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤
【化5】

【0019】
(式中、R13およびR14は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、アリール基、アルコキシ基、またはハロゲン原子、アルキル基若しくはアルコキシ基で置換されたアリール基を表し、但し、R13およびR14の一方は、R−C(=O)−基(ここでRは、炭素数1〜20の炭化水素基)を表してもよい)。)
からなる群から選ばれた1種以上の光重合開始剤であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
【化6】

【0020】
(8) 前記一般式(III)で表されるオキシムエステル系光重合開始剤(C)が、下記一般式(VII)であらわされることを特徴とする(6)に記載の光硬化性樹脂組成物。
【化7】

【0021】
(式中、R15は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、ベンゾイル基、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基(アルコキシル基を構成するアルキル基の炭素数が2以上の場合、アルキル基は1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、またはフェノキシカルボニル基を表し、
16、R18は、それぞれ独立に、フェニル基(炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルカノイル基またはベンゾイル基(炭素数が1〜6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい)を表し、
17は、水素原子、フェニル基(炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルカノイル基またはベンゾイル基(炭素数が1〜6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい)を表す)
(9) さらに(E)熱硬化成分を含有していることを特徴とする(1)乃至(8)のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
【0022】
(10) 組成物の色調が緑色から青色の範囲内にあることを特徴とする(1)乃至(9)のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
【0023】
(11) 前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を、キャリアフィルムに塗布・乾燥して得られる光硬化性のドライフィルム。
【0024】
(12) 前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物又は前記(11)記載のドライフィルムを、銅上にて光硬化して得られる硬化物。
【0025】
(13) 前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物又は(11)記載のドライフィルムを、光硬化して得られる硬化物。
【0026】
(14) 前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物又は(11)記載のドライフィルムを、光硬化させた後、熱硬化して得られるプリント配線板。
【0027】
(15) 前記(1)乃至(4)のいずれかに記載されたアミノアントラキノン骨格を有する化合物からなる着色剤を含有するプリント配線板。
【0028】
(組成物並びにソルダーレジストの色の定義)
組成物並びにソルダーレジストの色はJISZ8721に準拠した色相環およびマンセル色相環(財団法人 日本色彩研究所監修 新基本色表シリーズ2 マンセルシステム 日本色研事業株式会社発行)に表される記号で区別することができる。色調は以下の範囲とする(マンセル色相環 図1参照)。
【0029】
赤色 7RPから9R未満の範囲
橙色 9Rから7YR未満の範囲
黄色 7YRから9Y未満の範囲
緑色 9Yから5BG未満の範囲
青色 5BGから3P未満の範囲
紫色 3Pから7RP未満の範囲
特許請求の範囲及び明細書の記載において、「緑色から青色の範囲内」とは、マンセル色相環において、9Yから3Pの範囲をいう。
【0030】
さらに明度、彩度は、それぞれ下地(ガラスエポキシ基材もしくは銅回路さらには表面処理された銅回路)によって異なるが、彩度は1以上16未満、明度は1以上9未満、さらに好ましくは彩度2以上15未満、明度は2以上9未満のものが好ましい(明度、彩度はJISZ8102 JISZ8721による)。
【0031】
さらにその好適な測定条件は、ソルダーレジスト厚20〜30μmで銅回路上であることが好ましい。
【0032】
尚、本発明において、プリント配線板とは、電気絶縁性基板の表面に、スクリーン印刷法やフォト・エッチング法などの印刷技術を用いて、導体パターンを形成した基板を指し、リジット配線板及びフレキシブル配線板がある。
【発明の効果】
【0033】
本発明ではアミノアントラキノン骨格を有する化合物からなる着色剤を用いることにより、紫外線領域の吸収を調整しつつ充分な着色があり、紫外線及びレーザー露光において高感度でさらに乾燥塗膜の指触乾燥性が良好である組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】マンセル色相環を示す説明図。
【図2】露光・現像によって得られた樹脂組成物の断面形状の模式図で、A乃至Eはそれぞれ異なる評価の形状を示す。図2において、1aはライン幅の設計値、1bは露光・現像後の樹脂組成物、1cは基板である。
【図3】横軸を波長、縦軸を吸光度とした、フタロシアニンブルー Pigment blue 15:3の吸光度特性図。
【図4】横軸を波長、縦軸を吸光度とした、一般式(VIII)の吸光度特性図。
【図5】横軸を波長、縦軸を吸光度とした、一般式(IX)の吸光度特性図。
【図6】横軸を波長、縦軸を吸光度とした、一般式(XIII)の吸光度特性図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の光硬化性樹脂組成物の各構成成分について詳しく説明する。
(A)カルボン酸含有樹脂
本発明の光硬化性樹脂組成物に含まれるカルボン酸含有樹脂(A)としては、分子中にカルボン酸を含有している公知慣用の樹脂化合物が使用できる。更に分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボン酸含有感光性樹脂(A’)が、光硬化性や耐現像性の面からより好ましい。
【0036】
具体的には、下記に列挙するような樹脂が挙げられる。
【0037】
(1)(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物の1種類以上との共重合することにより得られるカルボン酸含有共重合樹脂、
(2)(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物の1種類以上との共重合体に、グリシジル(メタ)アクリレートや3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物や(メタ)アクリル酸クロライドなどによって、エチレン性不飽和基をペンダントとして付加させることによって得られるカルボン酸含有感光性樹脂、
(3)グリシジル(メタ)アクリレートや3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物との共重合体に、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸を反応させ、生成した二級の水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボン酸含有感光性樹脂、
(4)無水マレイン酸などの不飽和二重結合を有する酸無水物と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物との共重合体に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基と不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られるカルボン酸含有感光性樹脂、
(5)多官能エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸を反応させ、生成した水酸基に飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボン酸含有感光性樹脂、
(6)ポリビニルアルコー誘導体などの水酸基含有ポリマーに、飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させた後、生成したカルボン酸に一分子中にエポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られる水酸基及びカルボン酸含有感光性樹脂、
(7)多官能エポキシ化合物と、不飽和モノカルボン酸と、一分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と、エポキシ基と反応するアルコール性水酸基以外の1個の反応性基を有する化合物との反応生成物に、飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボン酸含有感光性樹脂、
(8)一分子中に少なくとも2個のオキセタン環を有する多官能オキセタン化合物に不飽和モノカルボン酸を反応させ、得られた変性オキセタン樹脂中の第一級水酸基に対して飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボン酸含有感光性樹脂、及び
(9)多官能エポキシ樹脂に不飽和モノカルボン酸を反応させた後、多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボン酸含有樹脂に、更に、分子中に1個のオキシラン環と1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させて得られるカルボン酸含有感光性樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものでは無い。
これらの例示の中で好ましいものとしては、上記(2)、(5)、(7)のカルボン酸含有樹脂であり、特に上記(9)のカルボン酸含有感光性樹脂が、光硬化性、硬化塗膜特性の面から好ましい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート及びそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
【0038】
上記のようなカルボン酸含有樹脂(A)は、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数の遊離のカルボキシル基を有するため、希アルカリ水溶液による現像が可能になる。
【0039】
また、上記カルボン酸含有樹脂(A)の酸価は、40〜200mgKOH/gの範囲であり、より好ましくは45〜120mgKOH/gの範囲である。カルボン酸含有樹脂の酸価が40mgKOH/g未満であるとアルカリ現像が困難となり、一方、200mgKOH/gを超えると現像液による露光部の溶解が進むために、必要以上にラインが痩せたり、場合によっては、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離してしまい、正常なレジストパターンの描画が困難となるので好ましくない。
また、上記カルボン酸含有樹脂(A)の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000〜150,000、さらには5,000〜100,000の範囲にあるものが好ましい。重量平均分子量が2,000未満であると、タックフリー性能が劣ることがあり、露光後の塗膜の耐湿性が悪く現像時に膜減りが生じ、解像度が大きく劣ることがある。一方、重量平均分子量が150,000を超えると、現像性が著しく悪くなることがあり、貯蔵安定性が劣ることがある。
このようなカルボン酸含有樹脂(A)の配合量は、全組成物中に、20〜60質量%、好ましくは30〜50質量%である。上記範囲より少ない場合、塗膜強度が低下したりするので好ましくない。一方、上記範囲より多い場合、粘性が高くなったり、塗布性等が低下したりするので好ましくない。
【0040】
(B)アミノアントラキノン骨格を有する化合物からなる着色剤
上記一般式(I)に表わされるアミノアントラキノン骨格を有する化合物は、紫外線領域において吸収が小さく、且つ350から400nmにかけて吸収の変化が小さい。このため、この化合物を着色剤として使用することにより、用いる光源の光を光重合開始剤に有効に吸収させることができる。 その結果、組成物の高感度化を図ることができ、光を底部まで透過させて硬化深度を得ることができる。
特に、構造の異なる複数のアミノアントラキノン化合物の混合物を着色剤として用いた場合、単一のアミノアントラキノン化合物を着色剤として用いた場合に比べて、より少ない量で充分な着色をすることができ、高感度化、高硬化深度化に有利である。すなわち、アミノアントラキノン化合物は溶剤に可溶もしくは微溶であるので、溶剤の含まれているときは均一に分散もしくは溶解している。しかし、アミノアントラキノン化合物は本発明の組成物成分であるカルボン酸含有樹脂等に対しては溶解性が極めて乏しい。このため、溶剤を乾燥した状態で溶解していたアミノアントラキノンが析出し粒状の結晶になりやすい。よって単一のアミノアントラキノン化合物を着色剤として使用する場合、粒状結晶の発生を抑えるために少量でしか使用できない。これに対し構造の異なる複数のアミノアントラキノン化合物を使用することにより、乾燥状態で粒状の結晶化が起こりにくく、ソルダーレジストとして充分な着色が認められる事がわかった。これらの知見は、本発明者の新規な知見である。
また、上記一般式(I)に表わされるアミノアントラキノン骨格を有する化合物のうち、上記一般式(II)に代表される置換基が複数のものは、乾燥塗膜の指触乾燥性を向上させるのに有利である。発明者らは、この化合物からなる着色剤とカルボン酸含有樹脂との相互作用で軟化点が向上したためであると推測している。
【0041】
これらアミノアントラキノン化合物(B)からなる着色剤のうち、青若しくは緑の着色剤は、下記一般式(VIII)〜一般式(XIII)に示される化合物が好適である。
これら着色剤は、充分な着色性を得ることと高感度性、高硬化深度性を得ること、さらには指触乾燥性を得ることを考慮して、カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対して、0.010〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部、特に好ましくは0.5〜2質量部とする。
構造の異なる複数のアミノアントラキノン骨格を有する化合物を用いる場合は、その配合量をより多くして着色力を高めることができ、カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対して、0.010〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部、特に好ましくは0.5〜2質量部とする。
【0042】
なお、本発明は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、着色剤(顔料、染料、色素のいずれでもよい)を含むことを許容するものである。これらの着色剤を以下に例示する。
【0043】
青色着色剤
青色着色剤はフタロシアニン系、アントラキノン系があり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)番号が付されているものを挙げることができる。
【0044】
Pigment Blue 15、Pigment Blue 15:1、Pigment Blue 15:2、Pigment Blue 15:3、Pigment Blue 15:4、Pigment Blue 15:6、Pigment Blue 16、Pigment Blue 60、
染料系としては
Solvent Blue 35 、Solvent Blue 45、Solvent Blue 63、Solvent Blue 68、Solvent Blue 70 、Solvent Blue 83、Solvent Blue 87、Solvent Blue 94、Solvent Blue 97、Solvent Blue 101、Solvent Blue 104、Solvent Blue 122、Solvent Blue 136、Solvent Blue 67、Solvent Blue 70等を使用することができる。上記以外にも金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
【0045】
緑色着色剤
緑色着色剤としては同様にフタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系があり、具体的には
Pigment Green 7、Pigment Green 36、Solvent Green 3、Solvent Green 5
Solvent Green 20、Solvent Green 28
等を使用することができる。上記以外にも金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
【0046】
黄色着色剤
黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等があり具体的には以下のものが挙げられる。
【0047】
(アントラキノン系)
Solvent Yellow 163、Pigment Yellow 24、Pigment Yellow 108、Pigment Yellow 193、Pigment Yellow 147、Pigment Yellow 199、Pigment Yellow 202
(イソインドリノン系)
Pigment Yellow 110、Pigment Yellow 109、Pigment Yellow 139、Pigment Yellow 179、Pigment Yellow 185
(縮合アゾ系)
Pigment Yellow 93、Pigment Yellow 94、Pigment Yellow 95、Pigment Yellow 128、Pigment Yellow 155、Pigment Yellow 166、Pigment Yellow 180
(ベンズイミダゾロン)
Pigment Yellow 120、Pigment Yellow 151、Pigment Yellow 154、Pigment Yellow 156、Pigment Yellow 175、Pigment Yellow 181
(モノアゾ)
PigmentYellow1,2,3,4,5,6,9,10,12,61,62,62:1,65,73,74,75,97,100,104,105,111,116,167,168,169,182,183,
(ジスアゾ)
PigmentYellow12,13,14,16,17,55,63,81,83,87,126,127,152,170,172,174,176,188,198
赤色着色剤
赤色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系などがあり、具体的には以下のものが挙げられる。
【0048】
(モノアゾ系)
Pigment Red
1,2,3,4,5,6,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,112,114,146,147,151,170,184,187,188,193,210,245,253,258,266,267,268,269,
(ジスアゾ系)
Pigment Red 37,38,41
(モノアゾレーキ)
Pigment Red
48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,53:2,57:1,58:4,63:1,63:2,64:1,68
(ベンズイミダゾロン)
Pigment Red 171、Pigment Red 175、Pigment Red 176、Pigment Red 185、Pigment Red 208
(ぺリレン)
Solvent Red 135、Solvent Red 179、Pigment Red 123、Pigment Red 149、Pigment Red 166、Pigment Red 178、Pigment Red 179、Pigment Red 190、Pigment Red 194、Pigment Red 224
(ジケトピロロピロール系)
Pigment Red 254、Pigment Red 255、Pigment Red 264、Pigment Red 270、Pigment Red 272
(縮合アゾ)
Pigment Red 220、Pigment Red 144、Pigment Red 166、Pigment Red 214、Pigment Red 220、Pigment Red 221、Pigment Red 242
(アンスラキノン系)
Pigment Red 168、Pigment Red 177、Pigment Red 216、Solvent Red 149、Solvent Red 150、Solvent Red 52、Solvent Red 207
(キナクリドン系)
Pigment Red 122、Pigment Red 202、Pigment Red 206、Pigment Red 207、Pigment Red 209
その他色調を調整する目的で紫、オレンジ、茶色、黒などの着色剤を加えても良い。
【0049】
具体的に例示すれば、Pigment Violet 19、23、29、32、36、38、42、Solvent Violet 13、36
C.I.ピグメントオレンジ1、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ17、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ63、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25;C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7等がある。
【0050】
(C)光重合開始剤
光重合開始剤(C)としては、上記一般式(III)で表される基を有するオキシムエステル系光重合開始剤、上記一般式(IV)で表される基を有するα−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、及び上記一般式V)で表される基を有するアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤からなる群から選択される1種以上の光重合開始剤を使用することが好ましい。
【0051】
上記一般式(III)で表される基を有するオキシムエステル系光重合開始剤としては、上記式(VI)2−(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン−9−オン、および上記一般式(VII)で表される基を有する化合物がより好ましい。市販品としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のCGI−325、イルガキュアー OXE01、イルガキュアー OXE02等が挙げられる。これらのオキシムエステル系光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0052】
前記一般式(IV)で表される基を有するα−アミノアセトフェノン系光重合開始剤としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。市販品としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー379などが挙げられる。
【0053】
前記一般式(V)で表される基を有するアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。市販品としては、BASF社製のルシリンTPO、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュアー819などが挙げられる。
【0054】
このような光重合開始剤(C)の配合量は、前記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜30質量部、好ましくは0.5〜15質量部の範囲から選ぶことができる。0.01質量部未満であると、銅上での光硬化性が不足し、塗膜が剥離したり、耐薬品性等の塗膜特性が低下したりするので好ましくない。一方、30質量部を超えると、光重合開始剤(C)のソルダーレジスト塗膜表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向があるために好ましくない。
【0055】
なお、前記一般式(III)で表される基を有するオキシムエステル系光重合開始剤の場合、その配合量は、前記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.01〜5質量部の範囲から選ぶことが望ましい。
【0056】
さらに本発明の組成物には、上述した化合物以外の光重合開始剤や、光開始助剤及び増感剤を使用することができ、例えば、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、キサントン化合物、および3級アミン化合物等を挙げることができる。
【0057】
ベンゾイン化合物の具体例を挙げると、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルである。
アセトフェノン化合物の具体例を挙げると、例えば、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンである。
【0058】
アントラキノン化合物の具体例を挙げると、例えば、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンである。
【0059】
チオキサントン化合物の具体例を挙げると、例えば、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンである。
【0060】
ケタール化合物の具体例を挙げると、例えば、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールである。
【0061】
ベンゾフェノン化合物の具体例を挙げると、例えば、ベンゾフェノン、4−ベンゾイルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−エチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−プロピルジフェニルスルフィドである。
【0062】
3級アミン化合物の具体例を挙げると、例えば、エタノールアミン化合物、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物、例えば、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(日本曹達社製ニッソキュアーMABP)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学社製EAB)などのジアルキルアミノベンゾフェノン、7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オン(7−(ジエチルアミノ)−4−メチルクマリン)等のジアルキルアミノ基含有クマリン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製カヤキュアーEPA)、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure DMB)、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure BEA)、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエチルエステル(日本化薬社製カヤキュアーDMBI)、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル(Van Dyk社製Esolol 507)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学社製EAB)である。
【0063】
上記した中でも、チオキサントン化合物および3級アミン化合物が好ましい。チオキサントン化合物が含まれることは、深部硬化性の面から好ましく、中でも、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン化合物が好ましい。
【0064】
このようなチオキサントン化合物の配合率としては、上記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。チオキサントン化合物の配合率が多すぎると、厚膜硬化性が低下して、製品のコストアップに繋がるので、好ましくない。
【0065】
3級アミン化合物としては、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物が好ましく、中でも、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、最大吸収波長が350〜410nmにあるジアルキルアミノ基含有クマリン化合物が特に好ましい。ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物としては、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンが、毒性も低く好ましい。最大吸収波長が350〜410nmにあるジアルキルアミノ基含有クマリン化合物は、最大吸収波長が紫外線領域にあるため、着色が少なく、無色透明な感光性組成物はもとより、着色顔料を用い、着色顔料自体の色を反映した着色ソルダーレジスト膜を提供することが可能となる。特に、7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オンが波長400〜410nmのレーザー光に対して優れた増感効果を示すことから好ましい。
【0066】
このような3級アミン化合物の配合率としては、前記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.1〜10質量部の割合である。3級アミン化合物の配合率が0.1質量部未満であると、十分な増感効果を得ることができない傾向にある。20質量部を超えると、3級アミン化合物による乾燥ソルダーレジスト塗膜の表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向がある。
【0067】
これらの光重合開始剤、光開始助剤および増感剤は、単独で又は2種類以上の混合物として使用することができる。
【0068】
(D)分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物
本発明の光硬化性樹脂組成物に用いられる分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(D)は、活性エネルギー線照射により、光硬化して、前記カルボン酸含有樹脂(A)を、アルカリ水溶液に不溶化、又は不溶化を助けるものである。このような化合物としては、エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコール又はこれらのエチレオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、及びこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;及びメラミンアクリレート、及び/又は上記アクリレートに対応する各メタクリレート類などが挙げられる。
【0069】
さらに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂に、アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート樹脂や、さらにそのエポキシアクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのヒドロキシアクリレートとイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートのハーフウレタン化合物を反応させたエポキシウレタンアクリレート化合物などが、挙げられる。このようなエポキシアクリレート系樹脂は、指触乾燥性を低下させることなく、光硬化性を向上させることができる
このような分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(D)の配合量は、前記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対して、5〜100質量部、より好ましくは、1〜70質量部の割合である。前記配合量が、5質量部未満の場合、光硬化性が低下し、活性エネルギー線照射後のアルカリ現像により、パターン形成が困難となるので、好ましくない。一方、100質量部を超えた場合、アルカリ水溶液に対する溶解性が低下して、塗膜が脆くなるので、好ましくない。
【0070】
(E)熱硬化成分
本発明の光硬化性樹脂組成物には、耐熱性を付与するために、熱硬化成分を加えることができる。特に好ましいのは分子中に2個以上の環状エーテル基及び/又は環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基と略す)を有する熱硬化性成分(E)である。
【0071】
このような分子中に2つ以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分(E)は、分子中に3、4または5員環の環状エーテル基、又は環状チオエーテル基のいずれか一方又は2種類の基を2個以上有する化合物であり、例えば、分子内に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有する化合物、すなわち多官能エポキシ化合物(E1)、分子内に少なくとも2つ以上のオキセタニル基を有する化合物、すなわち多官能オキセタン化合物(E2)、分子内に2個以上のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂(E3)などが挙げられる。
【0072】
前記多官能エポキシ化合物(E1)としては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製のエピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004、大日本インキ化学工業社製のエピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、東都化成社製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウケミカル社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社のアラルダイド6071、アラルダイド6084、アラルダイドGY250、アラルダイドGY260、住友化学工業社製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128、旭化成工業社製のA.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664等(何れも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のエピコートYL903、大日本インキ化学工業社製のエピクロン152、エピクロン165、東都化成社製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウケミカル社製のD.E.R.542、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイド8011、住友化学工業社製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700、旭化成工業社製のA.E.R.711、A.E.R.714等(何れも商品名)のブロム化エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のエピコート152、エピコート154、ダウケミカル社製のD.E.N.431、D.E.N.438、大日本インキ化学工業社製のエピクロンN−730、エピクロンN−770、エピクロンN−865、東都化成社製のエポトートYDCN−701、YDCN−704、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイドECN1235、アラルダイドECN1273、アラルダイドECN1299、アラルダイドXPY307、日本化薬社製のEPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306、住友化学工業社製のスミ−エポキシESCN−195X、ESCN−220、旭化成工業社製のA.E.R.ECN−235、ECN−299等(何れも商品名)のノボラック型エポキシ樹脂;大日本インキ化学工業社製のエピクロン830、ジャパンエポキシレジン社製エピコート807、東都化成社製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイドXPY306等(何れも商品名)のビスフェノールF型エポキシ樹脂;東都化成社製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000(商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のエピコート604、東都化成社製のエポトートYH−434、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイドMY720、住友化学工業社製のスミ−エポキシELM−120等(何れも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイドCY−350(商品名)等のヒダントイン型エポキシ樹脂;ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイドCY175、CY179等(何れも商品名)の脂環式エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のYL−933、ダウケミカル社製のT.E.N.、EPPN−501、EPPN−502等(何れも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のYL−6056、YX−4000、YL−6121(何れも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物;日本化薬社製EBPS−200、旭電化工業社製EPX−30、大日本インキ化学工業社製のEXA−1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のエピコート157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のエピコートYL−931、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイド163等(何れも商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイドPT810、日産化学工業社製のTEPIC等(何れも商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日本油脂社製ブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;東都化成社製ZX−1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鉄化学社製ESN−190、ESN−360、大日本インキ化学工業社製HP−4032、EXA−4750、EXA−4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;大日本インキ化学工業社製HP−7200、HP−7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日本油脂社製CP−50S、CP−50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体(例えばダイセル化学工業製PB−3600等)、CTBN変性エポキシ樹脂(例えば東都化成社製のYR−102、YR−450等)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にノボラック型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はそれらの混合物が好ましい。
【0073】
前記多官能オキセタン化合物(E2)としては、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマー又は共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、又はシルセスキオキサンなどの水酸基を有する樹脂とのエーテル化物などが挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
【0074】
前記分子中に2個以上の環状チオエーテル基を有する化合物(E3)としては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂 YL7000などが挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。
【0075】
前記分子中に2つ以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分(E)の配合量は、前記カルボン酸含有樹脂のカルボキシル基1当量に対して、好ましくは0.6〜2.5当量、より好ましくは、0.8〜2.0当量となる範囲にある。分子中に2つ以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分(E)の配合量が0.6未満である場合、ソルダーレジスト膜にカルボキシル基が残り、耐熱性、耐アルカリ性、電気絶縁性などが低下するので、好ましくない。一方、2.5当量を超える場合、低分子量の環状(チオ)エーテル基が乾燥塗膜に残存することにより、塗膜の強度などが低下するので、好ましくない。
【0076】
上記分子中に2つ以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化成分(E)を使用する場合、熱硬化触媒を含有することが好ましい。そのような熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物など、また市販されているものとしては、例えば四国化成工業社製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ社製のU−CAT3503N、U−CAT3502T(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U−CATSA102、U−CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物及びその塩)などが挙げられる。特に、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、もしくはエポキシ基及び/又はオキセタニル基とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独で又は2種以上を混合して使用してもかまわない。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を前記熱硬化触媒と併用する。
【0077】
これら熱硬化触媒の配合量は、通常の量的割合で充分であり、例えばカルボン酸含有樹脂(A)または分子中に2つ以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分(E)100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜15.0質量部である。
【0078】
フィラー
本発明の光硬化性樹脂組成物は、その塗膜の物理的強度等を上げるために、必要に応じて、フィラーを配合することができる。このようなフィラーとしては、公知慣用の無機又は有機フィラーが使用できるが、特に硫酸バリウム、球状シリカおよびタルクが好ましく用いられる。さらに、1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物や前記多官能エポキシ樹脂(E1)にナノシリカを分散したHanse−Chemie社製のNANOCRYL(商品名) XP 0396、XP 0596、XP 0733、XP 0746、XP 0765、XP 0768、XP 0953、XP 0954、XP 1045(何れも製品グレード名)や、Hanse−Chemie社製のNANOPOX(商品名) XP 0516、XP 0525、XP 0314(何れも製品グレード名)も使用できる。これらを単独で又は2種以上配合することができる。
【0079】
これらフィラーの配合量は、上記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは300質量部以下、より好ましくは0.1〜300質量部、特に好ましくは、0.1〜150質量部である。フィラーの配合量が、300質量部を超えた場合、光硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり印刷性が低下したり、硬化物が脆くなるので好ましくない。
【0080】
有機溶剤
さらに、本発明の光硬化性樹脂組成物は、上記カルボン酸含有樹脂(A)の合成や組成物の調整のため、又は基板やキャリアフィルムに塗布するための粘度調整のため、有機溶剤を使用することができる。
【0081】
このような有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などが挙げることができる。より具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなどのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などである。このような有機溶剤は、単独で又は2種以上の混合物として用いられる。
【0082】
他の配合成分
本発明の光硬化性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジンなどの公知慣用の熱重合禁止剤、微粉シリカ、有機ベントナイト、モンモリロナイトなどの公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤及び/又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤、酸化防止剤、防錆剤などのような公知慣用の添加剤類を配合することができる。
【0083】
なお、本発明は、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、キサントン化合物、および3級アミン化合物等に代表される他の光重合開始剤や、光開始助剤および増感剤を本発明の目的を妨げない範囲で配合することができる。
【0084】
本発明にかかる光硬化性樹脂組成物は、その色調が緑色または青色であることが好ましい。このような色調は単一の着色剤または複数の着色剤の混合物を配合することにより適宜得られる。
【0085】
ドライフィルム、硬化物、プリント配線板
このようにして得られる本発明にかかる光硬化性組成物は、キャリアフィルムに常套手段により塗布・乾燥することにより光硬化性・熱硬化性のドライフィルムが得られる。
【0086】
本発明にかかる光硬化性組成物又はこのドライフィルムは、銅上にて光硬化されることにより硬化物となる。光硬化は紫外線露光装置によっても可能であるが、レーザー発信光源、特に、波長が350〜410nmのレーザー光により硬化させる。本発明に係るプリント配線板は、このような光硬化後に熱硬化することにより得られる。
【0087】
具体的には以下のようにしてドライフィルム、硬化物、プリント配線板が形成される。すなわち、本発明の光硬化性樹脂組成物は、例えば前記有機溶剤で塗布方法に適した粘度に調整し、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布し、約60〜100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることにより、タックフリーの塗膜を形成できる。また、上記組成物をキャリアフィルム上に塗布し、乾燥させてフィルムとして巻き取ったものを基材上に張り合わせることにより、樹脂絶縁層を形成できる。その後、接触式(又は非接触方式)により、パターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光もしくはレーザーダイレクト露光機により直接パターン露光し、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば0.3〜3%炭酸ソーダ水溶液)により現像してレジストパターンが形成される。さらに熱硬化成分(E)を含有している組成物の場合、例えば約140〜180℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、前記カルボン酸含有樹脂(A)のカルボキシル基と、分子中に2個以上の環状エーテル基及び/又は環状チオエーテル基を有する熱硬化性成分が反応し、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、電気特性などの諸特性に優れた硬化塗膜を形成することができる。
【0088】
尚、熱硬化性成分(E)を含有していない場合でも、熱処理することにより、露光時に未反応の状態で残ったエチレン性不飽和結合が熱ラジカル重合し、塗膜特性が向上するため、目的・用途により、熱処理(熱硬化)しても良い。
【0089】
上記基材としては、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素・ポリエチレン・PPO・シアネートエステル等を用いた高周波回路用銅張積層版等の材質を用いたもので全てのグレード(FR−4等)の銅張積層版、その他ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
【0090】
本発明の光硬化性樹脂組成物を塗布した後に行う揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブンなど(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用い乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
【0091】
以下のように本発明の光硬化性樹脂組成物を塗布し、揮発乾燥した後、得られた塗膜に対し、露光(活性エネルギー線の照射)を行う。塗膜は、露光部(活性エネルギー線により照射された部分)が硬化する。
【0092】
上記活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、レーザー直接描画装置(レーザーダイレクトイメージング装置)、メタルハライドランプを搭載した露光機、(超)高圧水銀ランプを搭載した露光機、水銀ショートアークランプを搭載した露光機、もしくは(超)高圧水銀ランプなどの紫外線ランプを使用した直接描画装置を使用することができる。活性エネルギー線としては、最大波長が350〜410nmの範囲にあるレーザー光を用いていればガスレーザー、固体レーザーどちらでもよい。また、その露光量は膜厚等によって異なるが、一般には5〜200mJ/cm、好ましくは5〜100mJ/cm、さらに好ましくは5〜50mJ/cmの範囲内とすることができる。上記直接描画装置としては、例えば日本オルボテック社製、ペンタックス社製等のものを使用することができ、最大波長が350〜410nmのレーザー光を発振する装置であればいずれの装置を用いてもよい。
【0093】
前記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類などのアルカリ水溶液が使用できる。
【実施例】
【0094】
以下に実施例および比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではないことはもとよりである。
【0095】
樹脂合成例1
攪拌機、温度計、環流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、EOCN−104S、軟化点92℃、エポキシ当量220)660g、カルビトールアセテート 421.3g、及びソルベントナフサ 180.6gを導入し、90℃に加熱・攪拌し、溶解した。次に、一旦60℃まで冷却し、アクリル酸 216g、トリフェニルホスフィン 4.0g、メチルハイドロキノン1.3gを加えて、100℃で12時間反応させ、酸価が0.2mgKOH/gの反応生成物を得た。これにテトラヒドロ無水フタル酸 241.7gを仕込み、90℃に加熱し、6時間反応させた。これにより、酸価50mgKOH/g、二重結合当量(不飽和基1モル当りの樹脂のg重量)400、重量平均分子量7,000のカルボン酸含有樹脂(A)の溶液を得た。以下、このカルボン酸含有樹脂の溶液を、A−1ワニスと称す。
【0096】
配合例
実施例及び比較例に示す種々の成分を配合例の割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、ソルダーレジスト用感光性樹脂組成物を調製した。ここで、得られた感光性樹脂組成物の分散度をエリクセン社製グラインドメータによる粒度測定にて評価したところ15μm以下であった。
【0097】
比較例1−6はいずれも本発明にかかる「(B)アミノアントラキノン骨格を有する化合物からなる着色剤」を配合していない例である。
【0098】
A成分 A−1ワニス 154部 (固形分100部)
B成分 アミノアントラキノン化合物 表参照
C成分 光重合開始剤 表参照
D成分 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA/日本化薬製)20部
E成分 フェノールノボラック型エポキシ樹脂
(ダウケミカル社製 DEN−431) 15部
ビキシレノール型エポキシ樹脂
(ジャパンエポキシレジン社製 YX−4000) 25部
その他の成分
硫酸バリウム (堺化学社製 硫酸バリウムB30) 100部
熱硬化触媒 ジシアンジアミド 0.3部
顔料 表参照
シリコーン系消泡剤 3部
DPM(ジプロピレングリコールモノメチルエーテル) 5部
【表1】

【0099】
【表2】

【0100】
特性評価はオルボテック社製355nmレーザー露光機を用いた。
【表3】

【0101】
【表4】

【0102】
特性評価はオルボテック社製355nmレーザー露光機を用いた。
【0103】
なお、実施例6は基板作成後に微小な(30μm前後)の青色粒がわずかに確認された。
【表5】

【0104】
【表6】

【0105】
特性評価はオーク製作所社製水銀ショートアークランプ搭載露光機を用いた。
【表7】

【0106】
【表8】

【0107】
特性評価はオルボテック社製355nmレーザー露光機を用いた。
【表9】

【0108】
【表10】

【0109】
特性評価はオーク製作所社製水銀ショートアークランプ搭載露光機を用いた。
【0110】
*1:2−(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン−9−オン
*2:エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)
*3:2,4,6−トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド
*4:Irg.369(チバ・スペシヤリティケミカルズ社製)
特性評価は水銀ショートアークランプを搭載したORC社EXP−2960を用いた。
【0111】
尚、実施例で用いたアミノアントラキノン系着色剤は、それぞれ、下記式(VIII)、式(IX)、式(X)、式(XI)、式(XII)及び式(XIII)で表される。
【化8】

【0112】
【化9】

【0113】
【化10】

【0114】
【化11】

【0115】
性能評価:
〈最適露光量/感度〉 前記実施例及び比較例の光硬化性樹脂組成物を、銅厚35μmの回路パターン基板をバフロール研磨後、水洗し、乾燥してからスクリーン印刷法により全面に塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で60分間乾燥させる。乾燥後、最大波長355nmの半導体レーザーを搭載した直接描画装置または水銀ショートアークランプ搭載の露光装置を用いてステップタブレット(Kodak No.2)を介して露光し、現像(30℃、0.2MPa、1質量%炭酸ナトリウム水溶液)を60秒で行った際残存するステップタブレットのパターンが7段の時を最適露光量とした。
【0116】
<解像性及びライン形状>
実施例及び比較例の光硬化性樹脂組成物を、ライン/スペースが300/300、銅厚35μmの回路パターン基板をバフロール研磨後、水洗し、乾燥してからスクリーン印刷法により塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させる。乾燥後、最大波長355nmの半導体レーザーを搭載した直接描画装置もしくは水銀ショートアークランプ搭載の露光装置を用いて露光した。露光パターンはスペース部に20/30/40/50/60/70/80/90/100μmのラインを描画させる直描用データもしくはフォトマスクを使用した。露光量は感光性樹脂組成物の最適露光量となるように活性エネルギー線を照射した。露光後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液によって現像を行ってパターンを描き、150℃×60分の熱硬化をすることにより硬化塗膜を得た。
【0117】
得られたソルダーレジスト用光硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の最小残存ラインを200倍に調整した光学顕微鏡を用いて求めた(解像性)。また、ライン中央部を切断し、鏡面仕上げを行った後、1000倍に調整した光学顕微鏡を用いて硬化塗膜の最小残存ラインの上部径、下部径、膜厚を測長した。そのときの形状を図のようにAからEの評価を行った(ライン形状)。
【0118】
この形状をA〜Eの5段階に分けて評価した。特に、A評価の場合、設計値からのずれがライン上部、下部ともに5μm以内のものとした。
【0119】
A評価:設計幅通りの理想状態
B評価:耐現像性不足等による表面層の食われ発生
C評価:アンダーカット状態
D評価:ハレーション等による線太り発生
E評価:表面層の線太りとアンダーカットが発生
ここで、A評価に限らず、C評価、D評価もまたソルダーレジストとしては使用可能なレベルである。これに対し、B評価のものは表面硬化性が不十分であり外観や電気特性が劣り、E評価のものは、ライン、アンダーカット部が剥離しやすく、ソルダーレジストとして使用不可能なレベルである。
【0120】
<指触乾燥性>
上記各実施例及び比較例の組成物を、パターン形成された銅箔基板上にスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で20分乾燥し、室温まで放冷する。この基板にPET製ネガフィルムを当て、ORC社製(EXP−2960)で一分間減圧条件下圧着させ、その後ネガフィルムを剥がしたときのフィルムの張り付き状態を評価した。
【0121】
○:フィルムは抵抗無く剥がれる。
【0122】
△:フィルムは剥がれるが塗膜に跡が少しついている。
【0123】
×:フィルムを剥がすときに抵抗があり、塗膜に跡がはっきりとついている。
【0124】
特性試験
評価基板作製法:上記各実施例及び比較例の組成物を、パターン形成された銅箔基板上にスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で20分乾燥し、室温まで放冷する。この基板に最大波長355nmの半導体レーザーを搭載した直接描画装置または水銀ショートアークランプ搭載の露光装置を用いて最適露光量でソルダーレジストパターンを露光し、30℃の1%NaCO水溶液をスプレー圧0.2MPaの条件で60秒間現像を行い、レジストパターンを得た。この基板を、UVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cmの条件で紫外線照射した後、150℃で60分加熱して硬化した。得られたプリント基板(評価基板)に対して以下のように特性を評価した。
【0125】
<色調>
上記実施例及び比較例のアルカリ現像型ソルダーレジストを、硬化物の色を目視にて、判断した。
【0126】
<はんだ耐熱性>
ロジン系フラックスを塗布した評価基板を、予め260℃に設定したはんだ槽に浸漬し、変性アルコールでフラックスを洗浄した後、目視によるレジスト層の膨れ・剥がれについて評価した。判定基準は以下のとおりである。
【0127】
○:10秒間浸漬を6回以上繰り返しても剥がれ認められない。
【0128】
△:10秒間浸漬を6回以上繰り返すと少し剥がれる。
【0129】
×:10秒間浸漬を6回以内にレジスト層に膨れ、剥がれがある。
【0130】
<耐無電解金めっき性>
市販品の無電解ニッケルめっき浴及び無電解金めっき浴を用いて、ニッケル0.5μm、金0.03μmの条件でめっきを行い、テープピーリングにより、レジスト層の剥がれの有無やめっきのしみ込みの有無を評価した後、前記はんだ耐熱性の試験条件で、はんだ槽に10秒間浸漬し、洗浄、乾燥した後、テープピーリングによりレジスト層の剥がれの有無を評価した。判定基準は以下のとおりである。
【0131】
○:めっき後は全く変化が見られないが、はんだ後も剥がれがない。
【0132】
△:めっき後にほんの僅かの剥がれ、しみ込みが見られ、はんだ後の剥がれも見られる。
【0133】
×:めっき後に剥がれが有る。
【0134】
<耐電蝕性>
銅箔基板に代えてIPC B−25のクシ型電極Bクーポンを用い、上記の条件で評価基板を作製し、このクシ型電極にDC100Vのバイアス電圧を印加し、85℃、85%R.H.の恒温恒湿槽にて1,000時間後のマイグレーションの有無を確認した。判定基準は以下のとおりである。
【0135】
○:ほとんど変化が認められないもの
△:変色したもの
×:マイグレーションが発生しているもの
<耐酸性>
評価基板を10vol %HSO水溶液に室温で30分間浸漬し、染み込みや塗膜の溶け出し、さらにテープビールによる剥がれを確認した。判定基準は以下のとおり。
【0136】
○:染み込み、溶け出し、剥がれなし。
【0137】
△:染み込み、溶け出し、もしくは剥がれが少し確認される。
【0138】
×:染み込み、溶け出し、もしくは剥がれが大きく確認される。
【0139】
表1〜表6に示す結果から明らかなように、本発明の実施例は、感度、指触乾燥性、解像性、ライン形状がいずれも優れている。これに対し、本発明に係る着色剤を配合していない比較例は、いずれも指触乾燥性、解像性が本発明の実施例よりも劣り、本発明の実施例のように感度、指触乾燥性、解像性、ライン形状がいずれも優れているものはなかった。
【0140】
尚、追加試験として、実施例11〜15の組成物を、水銀ショートアークランプ搭載の露光装置の代わりに、超高圧水銀灯を搭載した直接描画装置(大日本スクリーン製造社製のMercurex)を用いて、評価基板を作製した。塗膜特性評価した結果、水銀ショートアークランプ搭載の露光機を用いた時と全く同様の結果が得られた。
【0141】
<L*a*b*測定>
上記評価基板作成方法で実施例、比較例の硬化塗膜を作製した。膜厚は、乾燥後25±2μmになるように作製した。得られた硬化塗膜は分光測色計を用いて測色する。分光測色計にはKONICA MINOLTA社製 CM-2600dを使用し、表色系にはCIE L*a*b*を用いた。銅箔基板上の均一な塗膜表面(銅回路上)にてSCIモードで測定した値を測色値とした。
【0142】
実施例
実施例23、24、25について水銀ショーアークランプ露光にかえて光源に超高圧水銀灯の直描露光機である大日本スクリーン製造社製 Mercurexで露光したところ実施例23、24、25とほとんど同じ結果であった。
【0143】
実施例
実施例16および23と同じ配合で調製した感光性樹脂組成物をメチルエチルケトンで希釈し、キャリアフィルム上に塗布し、加熱乾燥して、厚さ20μmの感光性樹脂組成物層を形成し、80℃の熱風乾燥器で30分乾燥させた。さらにその上にカバーフィルムを貼り合わせてドライフィルムを得た。その後、カバーフィルムを剥がし、パターン形成された銅箔基板に、フィルムを熱ラミネートし、次いで、同様に露光し、露光後キャリアフィルムを剥がし、150℃の熱風乾燥器で60分加熱硬化を行ない、試験基板を作製した。得られた硬化皮膜を有する試験基板について、後述した試験方法及び評価方法にて、各特性の評価試験を行なった。結果は、実施例16および23と同等であった。
【0144】
比較例
色調の良好なソルダーレジストとして市販品である太陽インキ製造社製PSR−4000の各種について同様にL*a*b*の測定を行った。(表11)
一般的に市販されているソルダーレジストは膜厚や基材の銅の前処理にもよるが緑色でL*値40から60、a*値は-10から-28,b*値は6から18、青色はL*値40から60、a*値は-10から-28,b*値は-6から-18である。
【0145】
これらは色調は良好であるが、本発明の目的である直描露光に対して感度があまり高くなく355nmレーザー露光(オルボテック社Paragon8000使用)を行ったところすべて解像性(ライン形状)の評価はEであった。
【表11】

【0146】
(実験例)
フタロシアニンブルー(C.I. Pigment Blue 15:3)と比較した、一般式(VIII),一般式(IX),及び一般式(XIII)の化合物の紫外線吸収特性について
上記の4種類の着色剤を、A-1ワニスに乾燥塗膜中の着色剤濃度が0.85%になるように配合、分散した。 得られた着色ワニスをガラスに乾燥塗膜の膜厚が30μm±2μmになる様にアプリケーターで塗布した。次いで、80℃で30分乾燥後、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製 Ubest-V-570DS)、及び積分球装置(日本分光株式会社製 ISN-470)を使用して吸収スペクトルを測定した。その結果を図3〜図6に示す。
【0147】
これら図に示される結果から明らかなように、一般式VIII,一般式IX,及び一般式(XIII)の化合物は、フタロシアニンブルーと比較して350nm〜410nmの範囲内での吸収が少ないという特性を有することがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)カルボン酸含有樹脂、(B)アミノアントラキノン骨格を有する化合物からなる着色剤、(C)光重合開始剤、及び(D)分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を含有していることを特徴とする希アルカリ溶液により現像可能な光硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
アミノアントラキノン化合物(B)が、下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の希アルカリ溶液により現像可能な光硬化性樹脂組成物。
【化1】

:直鎖もしくは分岐アルキル基、アルキル置換もしくは無置換フェニル基、シクロヘキシル基、カルボニル基を介した直鎖もしくは分岐アルキル基、置換もしくは無置換フェニル基
:直接もしくはNH基を介して水素、水酸基、シクロヘキシル基、直鎖もしくは分岐アルキル基、置換もしくは無置換フェニル基、Rと環状物を形成しても良い。
,R,R:それぞれ独立して、水素、水酸基、シクロヘキシル基、直鎖もしくは分岐アルキル基、置換もしくは無置換フェニル基、NH基を介して直鎖もしくは分岐アルキル基、アルキル置換もしくは無置換フェニル基、シクロヘキシル基、アミド基を介した直鎖もしくは分岐アルキル基、置換もしくは無置換フェニル基
【請求項3】
(B)アミノアントラキノン骨格を有する化合物からなる着色剤は、構造の異なる2以上の着色剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の希アルカリ溶液により現像可能な光硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
(B)アミノアントラキノン骨格を有する化合物からなる着色剤は、下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の希アルカリ溶液により現像可能な光硬化性樹脂組成物。
【化2】

:直鎖もしくは分岐アルキル基、アルキル置換もしくは無置換フェニル基、シクロヘキシル基、カルボニル基を介した直鎖もしくは分岐アルキル基、置換もしくは無置換フェニル基
,R:それぞれ独立して、水素、水酸基、シクロヘキシル基、直鎖もしくは分岐アルキル基、置換もしくは無置換フェニル基、NH基を介して直鎖もしくは分岐アルキル基、アルキル置換もしくは無置換フェニル基、シクロヘキシル基、アミド基を介した直鎖もしくは分岐アルキル基、置換もしくは無置換フェニル基
:直鎖もしくは分岐アルキル基、アルキル置換もしくは無置換フェニル基、シクロヘキシル基、カルボニル基を介した直鎖もしくは分岐アルキル基、置換もしくは無置換フェニル基
【請求項5】
アミノアントラキノン骨格を有する化合物からなる着色剤(B)は、色調が緑色の着色剤及び色調が青色の着色剤の群から選択された単一の化合物または混合物であることを特徴とする希アルカリ溶液により現像可能な請求項1乃至4のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記光重合開始剤(C)が、
下記一般式(III)で表されるオキシムエステル系光重合開始剤、
【化3】

(式中、Rは、水素原子、フェニル基(炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルカノイル基またはベンゾイル基(炭素数が1〜6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい)を表し、
は、フェニル基(炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルカノイル基またはベンゾイル基(炭素数が1〜6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい)を表す。)
下記一般式(IV)で表されるα−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、及び
【化4】

(式中、RおよびR10は、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基またはアリールアルキル基を表し、
11およびR12は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または2つが結合した環状アルキルエーテル基を表す。)
下記一般式(V)で表されるアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤
【化5】

(式中、R13およびR14は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、アリール基、アルコキシ基、またはハロゲン原子、アルキル基若しくはアルコキシ基で置換されたアリール基を表し、但し、R13およびR14の一方は、R−C(=O)−基(ここでRは、炭素数1〜20の炭化水素基)を表してもよい)。)
からなる群から選ばれた1種以上の光重合開始剤であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
前記一般式(III)で表されるオキシムエステル系光重合開始剤(C)が、下記式(VI)であらわされることを特徴とする請求項6に記載の光硬化性樹脂組成物。
【化6】

【請求項8】
前記一般式(III)で表されるオキシムエステル系光重合開始剤(C)が、下記一般式(VII)であらわされることを特徴とする請求項6に記載の光硬化性樹脂組成物。
【化7】

(式中、R15は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、ベンゾイル基、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基(アルコキシル基を構成するアルキル基の炭素数が2以上の場合、アルキル基は1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、またはフェノキシカルボニル基を表し、
16、R18は、それぞれ独立に、フェニル基(炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルカノイル基またはベンゾイル基(炭素数が1〜6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい)を表し、
17は、水素原子、フェニル基(炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい)、炭素数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルカノイル基またはベンゾイル基(炭素数が1〜6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい)を表す)
【請求項9】
さらに(E)熱硬化成分を含有していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
組成物の色調が緑色から青色の範囲内にあることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物を、キャリアフィルムに塗布・乾燥して得られる光硬化性のドライフィルム。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物又は請求項9記載のドライフィルムを、銅上にて光硬化して得られる硬化物。
【請求項13】
請求項1乃至10のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物又は前記請求項11記載のドライフィルムを、光硬化して得られる硬化物。
【請求項14】
請求項1乃至10のいずれかに記載の光硬化性樹脂組成物又は前記請求項11記載のドライフィルムを、光硬化させた後、熱硬化して得られるプリント配線板。
【請求項15】
請求項1乃至4のいずれかに記載されたアミノアントラキノン骨格を有する化合物からなる着色剤を含有するプリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−73619(P2012−73619A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236205(P2011−236205)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【分割の表示】特願2009−507423(P2009−507423)の分割
【原出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(591021305)太陽ホールディングス株式会社 (327)
【Fターム(参考)】