説明

光線力学殺菌用の組成物

本発明は、感光剤および少なくとも1種のパラベンを含む組成物を使用して、パラベン相乗作用に受容性を有するグラム陰性有機体に対する光線力学殺菌の抗菌有効性を向上させるための組成物を含む。また、本発明は、前記組成物を所望の処置領域に適用するステップと、前記処置領域内に存在し、パラベン相乗作用に受容性を有するグラム陰性有機体を阻害するために、前記感光剤によって吸収される波長で前記所望の処置領域に光を照射するステップと、を含む光線力学殺菌のための方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラム陰性有機体の光線力学殺菌に有用な感光剤組成物に関する。より詳細には、本発明は、光線力学殺菌に用いられる場合に、感光剤と1種以上のパラベンとの相乗的抗菌効果により、特定のグラム陰性有機体に対する抗菌有効性が大幅に改善された感光剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
光線力学殺菌(PDD)は、抗生物質を使用しない生体外で有効な殺菌法であることが示されている。グラム陰性有機体処置法(modality)としてのPDDの利点の例の1つとして、その非特異的な殺菌機構により、一般に、抗生物質の使用時に問題となる耐性の問題のない点が挙げられる。別の例示的な利点として、PDDは、抗生物質を持続的に局所送達することが問題となりうる口腔または鼻腔等の領域に投与することができる、局所的な局所療法として使用することができる。これらの理由および他の理由により、PDDは、急速に、歯周病などの細菌が関与する状態の治療のための有益な手段となりつつある。
【0003】
PDDは、感光性組成物の1種以上の感光剤を活性化させるために、基本的に光エネルギーの使用を必要とし、この結果、この感光剤が、基質/標的に直接相互作用する(I型反応)か、あるいは、分子酸素と相互作用して、一重項酸素および他の活性酸素種を発生させる(II型反応)ことができるようになる。このような反応は、主に、脂質の過酸化、膜の損傷および細胞内の成分の損傷を引き起こして、微生物の細胞の非特異的な殺菌を仲介する。この過程が、微生物を殺菌および/または低減させるためには、感光剤がこのような微生物の細胞のエンベロープ内に入るか、あるいはエンベロープと密に結合することが、一般に望ましい。
【0004】
p−ヒドロキシ安息香酸エステル(一般にパラベンと呼ばれる)は、化粧品および医薬組成物において最も一般に使用されている防腐剤の1つである。パラベンは、広い抗菌活性、広範なpH範囲にわたる有効性、低毒性のほか、過敏性の可能性が低いという利点を有する。また、これらの化合物は、比較的無臭、無色で、極めて安定である。パラベンは、一般に、真菌類およびグラム陽性菌に対して最も有効である。メチルパラベン(メチル−4−ヒドロキシベンゾアート)およびプロピルパラベン(プロピル−4−ヒドロキシベンゾアート)等のパラベンの組合せは、個々のパラベン単独と比較して、より高い防腐活性と高い溶解性とを与え、これらの組合せは市販の商品に広く使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パラベンの抗菌作用の機構の完全な理解はまだ緒についたばかりであり、いくつかの過程の証拠が提案されている。ファーおよびラッセルは、セラチアマルセッセンスをパラベンに曝した場合に、RNAが細胞内に漏れることを検出し、これは、細胞の膜輸送過程の破壊を示す(J. R. Furr and A. D. Russell, Factors influencing the activity of esters of p-hydroxybenzoic acid on Serratia marcescens, Microbios, 1972参照)。フリーズらは、パラベンが膜輸送系と電子伝達系の両者に干渉していることをつきとめた(E. Freese, C. W. Sheu and E. Galliers, Function of lipophilic acids as antimicrobial food additives, Nature, 1973, 241 :321-325参照)。
【0006】
エークルンドは、パラベンが細胞質膜のpHが変化できないようにするが、プロトン駆動力の膜電位成分を阻止しないことを発見した。その後、エークルンドは、プロトン駆動力の中和とその後に起こる輸送阻害とが阻害の唯一の機構となり得ないと結論付けた(T. J. Eklund, The effect of sorbic acid and esters of p-hydroxybenzoic acid on the protonmotive force in Escherichia coli membrane vesicles, Gen Microbiol 1985, 131 :73-6参照)。
【0007】
膜系モデルとしてのジパルミトイルホスファチジン酸ベシクルを用いたパニッカーの研究は、プロピルパラベンの脂質膜との濃度依存相互作用を明らかにした。プロピルパラベンは、低濃度では、細胞壁と相互作用することによって、膜機能を変え、標的受容器への受動膜通過拡散を可能する。プロピルパラベンは、高濃度では、脂質成分と相互作用し、細胞壁をより硬くする。これがひいては、膜の半透性、このため膜機能を変える(L. Panicker, Effect of propyl paraben on the dipalmitoyl phosphatidic acid vesicles, J Colloid Interface Science, 2007, 311 :407-416参照)。
【0008】
ブレディンらは、大腸菌をプロピルパラベンに曝すと、膜の不安定化が惹起されたと報告した。曝露時に、外膜易透化のポリミキシンB誘発と同様に、カリウムが放出された。更に、この流出は、ポーリンチャネル活性に依存していた(J. Bredin, A. Davin-Regli and J. M. Pages, Propyl paraben induces potassium efflux in Escherichia coli, J Antimicrobial Chemo. 2005, 55:1013-1015参照)。
【0009】
グエンらは、エチルパラベンおよびプロピルパラベンが、コンダクタンスが大小の機械感覚性チャネルと相互作用し、これにより大腸菌の浸透勾配を乱すことを示した(T. Nguyen, B. Clare, W. Guo and B. Martinac, The effects of parabens on the mechanosensitive channels of E. coli, EurBiophys J., 2005, 34(5):389-95参照)。
【0010】
最後に、マらは、パラベンが、膜を乱す機構に加えて、細菌酵素系の非常に有効な阻害剤であることも示した。例えば、F−ATPアーゼが、ストレプトコッカスミュータンス内で可逆的に阻害されたが、グルコースの取り込みおよびリン酸化のためのホスホピルバート(phosphopyruvate):ホスホトランスフェラーゼ系は不可逆的に阻害された(Y. Ma, and R. E. Marquis, Irreversible paraben inhibition of glycolysis by Streptococcus mutans GS-5, Lett Appl Microbiol, 1996, 23:329-33参照)。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、特定のグラム陰性有機体に対する相乗的抗菌効果を提供するために、感光剤および少なくとも1種のパラベンを含む組成物を提供する。特定のグラム陰性有機体に対するこの相乗的抗菌効果(以下、「パラベン相乗作用」と称する)が、本明細書で以下に定義および記載される。上記組成物が、薬学的に許容される担体を更に含むことが好ましい。
【0012】
また、本発明は、所望の処置領域内に存在し、パラベン相乗作用に受容性を有するグラム陰性有機体に、感光剤および少なくとも1種のパラベンを含む組成物を適用するステップと、グラム陰性有機体を除去するように感光剤によって吸収される波長で処置領域に光を照射するステップと、を有する光線力学殺菌のための方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例Iで後述する2種の組成物の吸光度プロフィルを示すグラフである。
【本発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の各種特徴および発明的態様は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、図面などを読むことで明らかになる。
【0015】
本発明の組成物は、感光剤および少なくとも1種のパラベンを含む。この組成物は、好ましくは、薬学的に許容される担体を更に含む。以下の実施例に示すように、この組成物は、同じグラム陰性有機体に対する、(同様のパラメータまたは同一パラメータでの)光線力学殺菌とパラベン単独との合計の抗菌有効性よりも、特定のグラム陰性有機体に対してより高い抗菌有効性を有する。このような特定のグラム陰性有機体に対する、この高い抗菌有効性を、以降「パラベン相乗作用」と呼ぶ。
【0016】
感光剤は、当業界で開示されている適切な感光剤であればどのようなものでもよい。例えば、感光剤は、フェノチアジニウム塩(例えば、メチレンブルー、トルイジンブルーOおよびこれらの誘導体など)でもよい。アリアノルスチールブルー、クリスタルバイオレット、アズール青cert、塩化アズールB、アズール2、塩化アズールA、アズールBテトラフルオロボレート、チオニン、アズールAエオシネート、アズールBエオシネート、アズールミックスsice、アズールIIエオシネート、ヘマトポルフィリンHCl、ヘマトポルフィリンエステル、アルミニウム二スルホン化フタロシアニンは、適切な感光剤の例である。ポルフィリン、ピロール、テトラピロールの化合物、拡張ピロール巨大環およびこれらのそれぞれの誘導体は、適切な感光剤の更に別の例である。カナダ国ブリティッシュコロンビア州バンクーバ所在のQLT PhotoTherapeutics社によって製造されているフォトフリン(登録商標)は、適切な感光剤のさらに別の例である。他の感光剤の例は、米国特許第5,611,793号明細書および米国特許第6,693,093号明細書に記載されている。上に記載した感光剤は例であり、いかなる形であれ本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0017】
所望の用途に応じて、組成物は、任意選択で複数の感光剤を含んでもよい。感光剤の量または濃度は、所望の用途、使用する特定の感光剤、および阻害すべき標的グラム陰性有機体によって変わりうる。「阻害するおよび/または阻害される」とは、阻止、低減、破壊、殺菌、除去などを意味する。例えば、組成物中の感光剤の濃度は、約0.00001%w/v〜約25%w/v、約0.0001%w/v〜約10%w/v、約0.001%w/v〜約1%w/v、約0.001%w/v〜約0.1%w/v、約0.01%w/v〜約1%w/v、約0.005%w/v〜約0.05%w/vなどである。本明細書のここで使用する「約」との文言は、記載した値の±20%を意味するものとする。
【0018】
少なくとも1種のパラベンは、当業界で開示されている適切なパラベン化合物(「p−ヒドロキシ安息香酸エステル」とも呼ばれる)であれば、どのようなものでもよい。例えば、メチルパラベン(メチル−4−ヒドロキシベンゾアート)、プロピルパラベン(プロピル4−ヒドロキシベンゾアート)およびその組合せなどである。パラベンの量または濃度は、所望の用途、使用する特定の感光剤、および阻害すべき標的グラム陰性有機体によって変わりうる。例えば、組成物中のパラベンの濃度は、約0.00001%w/v〜約25%w/v、約0.0001%w/v〜約10%w/v、約0.001%w/v〜約1%w/v、約0.01%w/v〜約0.1%w/v、約0.01%w/v〜約0.5%w/v、約0.005%w/v〜約0.05%w/vなどである。
【0019】
薬学的に許容される担体は、希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルであり、これと共に組成物の他の成分(例えば感光剤および少なくとも1種のパラベンなど)が投与される。薬学的に許容される担体は、好ましくは、米国連邦政府または州政府の監督機関に承認されているか、あるいは、動物、より詳細にはヒトでの使用が、米国薬局方または他の一般に認識されている薬局方に記載されているものである。薬学的に許容される担体の例は、水、生理食塩水、デキストロース溶液、グリセロール溶液、リン酸バッファ生理食塩水などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
組成物は、抗炎症剤、緩衝液、溶液の張性を調整する塩類、抗酸化剤、追加の防腐剤、粘性調整剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、着香料/香料(例えば、スクラロース等)、酸素担体分子、細胞易透化剤、抗生物質、殺菌剤/制菌剤などの添加成分を任意選択で含んでもよい。
【0021】
また、本発明は、所望の処置領域内に存在し、パラベン相乗作用に受容性を有するグラム陰性有機体に、感光剤および少なくとも1種のパラベンを含む組成物を適用するステップと、グラム陰性有機体を阻害するように感光剤によって吸収される波長で所望の処置領域に光を照射するステップと、を有する光線力学殺菌のための方法も提供する。所望の処置領域は、抗菌処置を行ないたいどのような領域(例えば、人体組織、動物組織、他の基質の周囲など)でもよい。
【0022】
「グラム陰性有機体はパラベン相乗作用に受容性を有する」との文言は、本発明の組成物を使用する光線力学殺菌を受けると、グラム陰性有機体がパラベン相乗作用を示すことを指す。パラベン相乗作用に受容性を有するグラム陰性有機体の例は、大腸菌(Eコライ)、緑膿菌、アシネトバクター種、および口腔内に常在している病原性グラム陰性有機体(例えば、ポルフィロモナス属、プレボテーラ属、フゾバクテリウム属、タネレラ属、アクチノバチルス属、セレノモナス属、エイケネラ属、カンピロバクター、ウォリネラ属など)を含むが、これらに限定されない。ポルフィロモナスジンジバリスおよびプレボテラインターメディアは、このような口腔の病原性グラム陰性有機体の例である。
【0023】
波長は、組成物の感光剤によって吸収される光波長であれば、どのような波長でもよい。波長には、紫外光(UV)、可視光、赤外光(近赤外、中赤外および遠赤外)などの連続電磁スペクトルから選択される波長が含まれる。例えば、波長は、一般に約160nm〜約1600nm、400nm〜約800nm、約500nm〜約850nm、約600nm〜約700nmmであるが、波長は、使用する特定の感光剤および光強度に応じて変わりうる。光は、レーザ(例えば、非熱レーザ等)、発光ダイオード(LED)、白熱源、蛍光源など、光線力学殺菌に使用される、当業界で開示されている適切な発光素子であれば、どのようなものによっても生成することができる。
【0024】
感光剤の濃度および発光素子のパワーに応じて、処置部位への光照射は、短時間でよいこともあり、例えば、約15秒〜約5分未満、好ましくは約15秒〜約2分、より好ましくは15秒〜約90秒、最も好ましくは約30秒〜60秒などでもよい。各光照射サイクル中に供給される光エネルギーは、約1J/cm〜約50J/cm、約1J/cm〜約25J/cm、約5J/cm〜約20J/cm、および約6J/cm〜約12J/cmの範囲をとりうる。処置部位に存在するグラム陰性有機体の性質および範囲に応じて、医師が処置部位に複数の光照射サイクル(例えば約2〜約10サイクル、約3〜約5サイクルなど)を適用してよく、この結果、処置部位に適用される累積総光エネルギーが、各サイクル中に供給される光エネルギーよりも実質的に上昇しうる。
【0025】
また、処置部位に存在するグラム陰性有機体の性質および範囲に応じて、所望の効果が得られるまで、方法全体が複数回(例えば約2〜約10回、約3〜約5回など)繰り返されてもよい。処置部位に適用される感光剤の濃度、波長および/または累積総光エネルギーの選択により、本発明の方法が、処置部位における標的グラム陰性有機体の約90%超、より好ましくは95%超、最も好ましくは99%超を低減させることが好ましい。また、処置部位への光照射が、処置部位および/またはその周囲の宿主組織に生理学的損傷を惹き起こさないことが好ましい。
【0026】
本発明は、ここに記載する特定の実施形態によって、その範囲が限定されることはない。実際、ここに記載する本発明とそのさまざまな変更は、前述の説明と添付の図面から当業者にとって明らかとなろう。このような変更は、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。更に、すべての数値が概算値であり、説明のみのために示されるものであると理解される。本願にわたって引用されるすべての特許出願および刊行物は、その全内容がここに援用される。
【実施例】
【0027】
本発明に従って示す以下の実施例は、例示のみを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。
実施例I
【0028】
組成物Aは、リン酸バッファ生理食塩水中に約0.01%w/vのメチレンブルーの活性成分を含有していた。組成物Bは、約0.18%w/vのメチルパラベンと約0.02%w/vのプロピルパラベンも含有する以外は、組成物Aと同じであった。
【0029】
特別に設計された1mmの経路長のセルを使用し、組成物Aおよび組成物Bの光学吸光度特性を分光光度法で検査した。その結果を図1に示す。図1の縦軸のスケールは、1mmの経路長における光濃度(すなわち吸光度)を示す。図1の横軸のスケールは、波長をnm単位で示す。図1の線Aは、組成物Aの吸光度プロファイルを表す。図1の線Bは、組成物Bの吸光度プロファイルを表す。
【0030】
665〜670nm範囲の吸光度ピークは、メチレンブルーの単量体形の存在を示す。600〜610nmの第2のピークは、メチレンブルーの二量体形の存在を示す。メチレンブルーの二量化形は一重項酸素の生成の効果が低いことが示されており、このため、抗菌有効性が低いと考えられている。
【0031】
図1に示した特徴的な吸光度プロファイルにより、組成物Aは組成物Bよりもメチレンブルーの単量体形の濃度が低かったことが示された。パラベンを含有する組成物Bは、メチレンブルーの単量体の吸光度ピークが高かった。パラベンの添加により、メチレンブルーの単量体:二量体の比率が、メチレンブルーの単量体形にシフトしたように思われる。ターディボらが説明しているように、非凝集(すなわち単量体)形のメチレンブルーは、光化学的に励起されて量子収率の高い三重項形を形成することができ、抗菌光線力学殺菌の主な毒性物質であると考えられている一重項酸素を発生させる。これに対して、メチレンブルーの凝集形(二量体、三量体など)は、一重項酸素の生成を行なわず、このため、抗菌の観点から有用性が低い。このため、抗菌用途に設計されたメチレンブルー感光剤製剤では、二量体に対する単量体の比率が高いことが望ましい(Tardivo, J., Giglio, A., Oliveira, C, Gabrielli, D., Junqueira, H., Tada, D., Severino, D., Turchiello, R., Baptista, M., 2005. Methylene blue in photodynamic therapy: From basic mechanisms to clinical applications, Photodiagnosis and Photodynamic Therapy, v. 2, p. 175-191参照)。
実施例II
【0032】
1ミリリットルにつき約10〜10のコロニー形成単位(CFU/ml)のプランクトニック大腸菌(大腸菌ATCC(登録商標)25922(商標))の培養組織に、リン酸バッファ生理食塩水を含有する対照と、以下の2種類の組成物とを適用することによってインビトロ実験を行なった。組成物Cは、約0.2%w/vの濃度の安息香酸ナトリウムを防腐剤として添加した等張バッファビヒクル中に、約0.01%w/vの濃度のメチレンブルーの活性成分を含有していた。組成物Dは、等張バッファビヒクル中に、約0.01%w/vの濃度のメチレンブルーの活性成分と、約0.18%w/vの濃度のメチルパラベンおよび約0.02%w/vの濃度のプロピルパラベンとを含有していた。この等張バッファビヒクルは、リン酸バッファ生理食塩水中に、着香料(例えば、スクラロース)および粘性調整剤(例えば、カルボキシメチルセルロース)を含有する。リン酸バッファ生理食塩水のみの対照および上記の組成物は、pHがほぼ中性(例えば、pH約7)であった。
【0033】
波長約670nm、パワー出力約220mWのレーザを使用し、約60秒間、約344mW/cmの出力密度で、組成物Cまたは組成物Dのいずれかに曝したプランクトニック大腸菌培養組織に、総エネルギー量約20.6J/cmで照射を行なった。また、照射を行なわずに、リン酸バッファ生理食塩水、組成物Cまたは組成物Dのいずれかに60秒間曝したプランクトニック大腸菌培養組織を「非照射」対照として使用した。上記の処置の後、サンプルを連続的に希釈し、固体培地で24時間培養した(非照射のリン酸バッファ生理食塩水のみの対照中で、プランクトニック大腸菌のコロニーを観察可能にした(対照)。各実験条件を繰り返し、プレートカウントの平均を求めて、希釈を考慮してCFU/mlのデータに逆算した。このデータは、処置後に生存していた有機体をCFU/mlで表わすものであり、プランクトニック大腸菌の生存度の低下率(殺菌率)を、対照と比較した実験のサンプル中のこの値として計算し、プランクトニック大腸菌の生存度(PE生存度)のlog10とパーセントとの低下として表わした。この結果から、照射ありで組成物Dに曝した場合、照射を行なった組成物Cと比較して、極めて高い抗菌有効性を示すことが示された。照射を行なった組成物CのPE生存度の低下が3.1log10であったのに対し、照射を行なった組成物Dは、プランクトニック大腸菌が完全に殺菌された(PE生存度の7.2log10超の低下)。殺菌率のこの相違は、統計的に有意であった(p<0.05)。非照射の組成物Dに曝した場合は、PE生存度の観察可能な低下が得られず、パラベンは、この濃度ではパラベンのみでは急峻な抗菌効果を示さなかった。この結果は予想外であり、感光剤(例えば、メチレンブルー等のフェノサイアジン)とパラベンとの組合せがパラベン相乗作用を与えたことを示し、光線力学殺菌に使用した場合に、プランクトニック大腸菌に対してより高い抗菌有効性を示した。
実施例III
【0034】
実施例IIで説明したものと同じリン酸バッファ生理食塩水を含有する対照および以下4種類の感光剤組成物を、プランクトニック大腸菌(大腸菌ATCC(登録商標)25922(商標))の約10〜10CFU/mlの培養組織に適用して、別のインビトロ試験を行なった。組成物Eは、実施例IIで説明した等張バッファビヒクル中に、約0.01%w/vの濃度のメチレンブルーの活性成分を含有していた。組成物Fは、約0.18%w/vの濃度のメチルパラベンを更に含有する以外は、組成物Eと同じである。組成物Gは、約0.02%w/vの濃度のプロピルパラベンを更に含有する以外は、組成物Eと同じである。組成物Hは、約0.18%w/vの濃度のメチルパラベンと約0.02%w/vの濃度のプロピルパラベンとを更に含有する以外は、組成物Eと同じである。全ての組成物は中性のpHレベル(例えば、pH約7)であった。
【0035】
波長約670nm、パワー出力約220mWのレーザを使用し、約60秒間、約344mW/cmの出力密度で、上記の4種類の組成物(組成物E,F,G,H)に曝したプランクトニック大腸菌培養組織に、総エネルギー量約20.6J/cmで照射を行なった。上記の処置の後、サンプルを連続的に希釈し、固体培地で24時間培養した(対照中のプランクトニック大腸菌のコロニーを観察可能にした)。各実験条件を繰り返し、プレートカウントの平均を求めて、希釈を考慮してCFU/mlのデータに逆算した。このデータは、処置後に生存していた有機体をCFU/mlで表わすものであり、殺菌率を、対照と比較した実験サンプル中のこの値として計算し、プランクトニック大腸菌の生存度のlog10とパーセントとの低下として表わした。
【0036】
このデータにより、約0.18%w/vの濃度のメチルパラベンのみ、または約0.02%w/vのプロピルパラベンとの組み合わせを含有する、照射を行なった感光剤組成物(組成物Fおよび組成物H)は、大腸菌を完全に殺菌した(すなわち、PE生存度の7.9log10超の低下)ことが示された。照射を行なった組成物G(約0.02%w/vのプロピルパラベンを含有)は、PE生存度の低下が7.0log10であった。照射を行なったパラベン非含有の組成物Eは、PE生存度の低下率が3.9log10であり、抗菌有効性が著しく低かった。
【0037】
この試験の結果から、グラム陰性有機体の光線力学殺菌に使用する場合、感光剤組成物にパラベンを添加するとパラベン相乗作用が得られることが更に示された。
実施例IV
【0038】
約10〜10CFU/mlのプランクトニック大腸菌(大腸菌ATCC(登録商標))25922(商標))の培養組織を8種類の感光剤組成物に曝すことによってインビトロ試験を行なった。約0.01%w/vの濃度のメチレンブルーを含有する実施例IIで説明した等張バッファビヒクルを、約5、6、7および8のpHレベルに調整して、pH約5の組成物I、pH約6の組成物J、pH約7の組成物KおよびpH約8の組成物Lを得た。組成物M(pH約5)、組成物N(pH約6)、組成物O(pH約)および組成物P(pH約)は、実施例IIで説明したのと同じ等張バッファビヒクル中に、約0.01%w/vの濃度のメチレンブルー、約0.18%w/vの濃度のメチルパラベン、約0.02%w/vの濃度のプロピルパラベンをそれぞれ含有していた。
【0039】
波長約670nm、パワー出力約220mWのレーザを使用し、約60秒間、約344mW/cmの出力密度で、上記の8種類の組成物に曝したプランクトニック大腸菌培養組織に、総エネルギー量約20.6J/cmで照射を行なった。上記の処置の後、サンプルを連続的に希釈し、固体培地で24時間培養した(対照中のプランクトニック大腸菌のコロニーを観察可能にした)。各実験条件を繰り返し、プレートカウントの平均を求めて、希釈を考慮してCFU/mlのデータに逆算した。このデータは、処置後に生存していた有機体をCFU/mlで表わすものであり、殺菌率を、対照と比較した実験サンプル中のこの値として計算し、プランクトニック大腸菌の生存度のlog10とパーセントとの低下として表わした。
【0040】
照射を行なった組成物IではPE生存度の低下が2.7log10であったのに対し、同じ約5のpHレベルの照射を行なった組成物Mでは、PE生存度の3.4log10の低下が得られた。照射を行なった組成物JではPE生存度の低下が4.3log10であったのに対し、同じ約6のpHレベルの照射を行なった組成物Nでは、PE生存度の5.4log10の低下が得られた。照射を行なった組成物KではPE生存度の低下が4.7log10であったのに対し、同じ約7のpHレベルの照射を行なった組成物Oでは、完全な殺菌が行なわれた(PE生存度の7.9log10超の低下)。最後に、照射を行なった組成物LではPE生存度の低下が4.8log10であったのに対し、同じ約8のpHレベルの照射を行なった組成物Pでは、完全な殺菌が行なわれた(PE生存度の7.9log10超の低下)。
【0041】
このデータにより、照射を行なったパラベン含有組成物(組成物M,N,O,P)は、試験を行なった全pHレベルにおいて、パラベン非含有の同じ感光剤組成物(組成物I,J,K,L)よりも高い抗菌有効性を有することが示された。また、パラベン含有感光剤組成物、パラベン非含有組成物の両者について、pHレベルの上昇と共に抗菌有効性が全体的に増加することが示された。
実施例V
【0042】
大腸菌ATCC(登録商標)25922(商標)(グラム陰性)、緑膿菌ATCC(登録商標)9027(商標)(グラム陰性)、セラチアマルセッセンスATCC(登録商標)43862(商標)(グラム陰性)、黄色ブドウ球菌亜種アウレウスATCC(登録商標)25923(商標)(メチシリン感受性かつグラム陽性)、および表皮ブドウ球菌ATCC(登録商標)49461(商標)(グラム陽性)培養組織の約10〜10CFU/mlのプランクトニック細菌培養のそれぞれに対して、リン酸バッファ生理食塩水を含有する対照および下記の3種類の感光剤組成物を適用することによって、別のインビトロ試験を行なった。組成物Qは、実施例IIで説明した等張バッファビヒクル中に、約0.01%w/vの濃度のメチレンブルーの活性成分を含有していた。組成物Rは、約0.18%w/vの濃度のメチルパラベンと約0.02%w/vの濃度のプロピルパラベンとを更に含有する以外は、組成物Qと同じ成分を含有していた。組成物Sは、約0.2%w/vの濃度の安息香酸ナトリウムを防腐剤として添加した実施例IIで説明した等張バッファビヒクル中に、約0.01%w/vの濃度のメチレンブルーを含有していた。すべての組成物は中性のpHレベル(例えば、pH約7)であった。
【0043】
上記の組成物(組成物Q,R,S)のいずれかに曝した後に、波長約670nm、パワー出力約220mWのレーザを使用し、約60秒間、約344mW/cmの出力密度で、各細菌培養組織に総エネルギー量約20.6J/cmで照射を行なった。上記の処置の後、サンプルを連続的に希釈し、固体培地で24時間培養した(非照射のリン酸バッファ生理食塩水のみの対照中で、細菌のコロニーを観察可能にした)。各実験条件を繰り返し、プレートカウントの平均を求めて、希釈を考慮してCFU/mlのデータに逆算した。このデータは、処置後に生存していた有機体をCFU/mlで表わすものであり、殺菌率は、適応可能な非照射のリン酸バッファ生理食塩水のみの対照と比較した実験サンプル中のこの値として計算し、log10および細菌の生存度(B.生存度)低下パーセントとして示される。
【0044】
この実験は、光線力学殺菌に用いるパラベン含有ならびにパラベン非含有の感光剤組成物の、グラム陰性有機体およびグラム陽性有機体に対する抗菌有効性を検査したものである。大腸菌の場合、照射を行なったパラベン非含有組成物(組成物Q,S)はいずれも、B.生存度の低下が3.9log10であったのに対し、照射を行なったパラベン含有組成物(組成物R)は、B.生存度の低下が5.6log10であった。緑膿菌の場合、照射を行なったパラベン非含有組成物(組成物Q,S)はいずれも、B.生存度の低下が2.8log10であったのに対し、照射を行なったパラベン含有組成物(組成物R)は、B.生存度の低下が6.6log10であった。セラチアマルセッセンスの場合、照射を行なったパラベン非含有組成物Qは、B.生存度の低下が3.3log10であり、照射を行なったパラベン非含有組成物Sは、B.生存度の低下が4.1log10であった。同じ有機体に対し、照射を行なったパラベン含有組成物(組成物R)は、B.生存度の低下が4.1log10であった。黄色ブドウ球菌の場合、照射を行なったパラベン非含有組成物(組成物Q,S)はいずれも、B.生存度の低下が4.0log10であったのに対し、照射を行なったパラベン含有組成物(組成物R)は、B.生存度の低下が3.9log10であった。最後に、表皮ブドウ球菌の場合、照射を行なったパラベン非含有組成物Qは、B.生存度の低下が3.4log10であり、照射を行なったパラベン非含有組成物Sは、B.生存度の低下が3.7log10であった。同じ有機体に対し、照射を行なったパラベン含有組成物(組成物R)は、B.生存度の低下が4.6log10であった。
【0045】
この試験の結果から、照射を行なったパラベン含有感光剤組成物(組成物R)は、照射を行なったパラベン非含有組成物(組成物Q,S)と較べ、グラム陰性菌株の大腸菌および緑膿菌に対して高い抗菌有効性を有することが示された。評価を行なった第3のグラム陰性有機体(セラチアマルセッセンス)では、パラベン含有組成物を使用した場合の殺菌の程度がさほど大きくなく、この有機体がパラベン相乗作用の影響を受けにくいことが示された。以前の研究で、ファーおよびラッセルは、メチルパラベンおよびエチルパラベンは、セラチアマルセッセンスの全細胞または分離した細胞壁に取り込まれないが、プロピルパラベンおよびブチルパラベンは取り込まれることを観察した。(J. R. Furr and A. D. Russell, Factors influencing the activity of esters of p-hydroxybenzoic acid on Serratia marcescens, Microbios, 1972参照)。評価を行なった2種類のグラム陽性有機体(黄色ブドウ球菌および表皮ブドウ球菌)もパラベン相乗作用の影響を受けにくく、パラベン組成物と非パラベン組成物とに曝し、照射を行なった後の殺菌効果は同程度であった。以上まとめると、これらの結果は、パラベンが、特定のグラム陰性有機体(すなわち、パラベン相乗作用に受容性を有するグラム陰性有機体)に対する光線力学殺菌の抗菌有効性を増強させ、かつpHが約中性以上の場合にパラベン相乗作用効果が最も高いことを示す。
【0046】
パラベンは、細菌膜の浸透性を変化させるので、これによりグラム陰性有機体の細胞内への感光剤の侵入が促進されたと考えられる。また、この変化により、光線力学殺菌の主な作用部位であるグラム陰性の細菌膜(すなわちリポ多糖部分)自体とのメチレンブルー分子の結合を増加させたと考えられる。また、パラベン含有感光剤組成物中のメチレンブルー単量体の割合が高くなるに伴い、単量体によって生成される一重項酸素が増加するため、光線力学殺菌の抗菌有効性が改善されることも判明した。光線力学殺菌中の感光剤組成物のパラベン相乗作用により、短い照射処置時間(すなわち、低い印加エネルギー量)で、同じレベルの抗菌有効性を実現することができる。また、更に短い処置時間で、所望の治療部位から大腸菌等の病原体を完全に殺菌することができ、微生物の再コロニー化および/または再感染を防ぐことができる。
実施例Vl
【0047】
2種類の一般的な周辺病原体(periopathogens)であるポルフィロモナスジンジバリスおよびプレボテラインターメディアに対するパラベン相乗作用効果の有無を決定するために、パラベンが存在する場合と存在しない場合での、感光剤のメチレンブルーを使用した光線力学殺菌の有効性を評価した。これらの周辺病原体は、歯周病の病因であることが強力に示されている。
【0048】
嫌気的条件下で(例えば、ヘミンを添加したブルセラ寒天およびビタミンK培地を使用して)ポルフィロモナスジンジバリス(ATCC(登録商標)33277)プレボテラインターメディア(ATCC(登録商標)25611)を対数期に成長させ、約10CFU/mlの濃度の液体プランクトニック培養組織を作製してインビトロ実験を行なった。その後、これらのプランクトニック培養組織を、リン酸バッファ生理食塩水を含有する対照または下記の2種類の組成物のいずれかに曝した。実施例IIで説明した等張バッファビヒクル中に、約0.01%w/vの濃度のメチレンブルーの活性成分を含有する組成物T。約0.18%w/vの濃度のメチルパラベンと約0.02%w/vの濃度のプロピルパラベンとを更に含有する以外は、組成物Tと同じ成分を含有する組成物U。
【0049】
予備実験を行ない、光を照射せずに、約0.18%w/vの濃度のプロピルパラベンと約0.02%w/vの濃度のメチルパラベンとを含有する組成物Uに最大5分間曝しても、細菌生存度が全く低下しないことを確認した。この結果は、パラベン成分は、これらのパラメータ下では、それ自体では高い抗菌活性を示さなかったことを示唆している。
【0050】
波長約670nm、パワー出力約100mWのレーザを使用し、約60秒間、約160mW/cmの出力密度で、上記の組成物(組成物T,U)のいずれかに曝した上記の有機体のプランクトニック培養組織に、総エネルギー量約9.6J/cmで照射を行なった。
【0051】
上記の処置の後、サンプルを連続的に希釈し、最大5日間、固体培地で培養した(非照射のリン酸バッファ生理食塩水のみの対照中で、細菌のコロニーを観察可能にした)。各実験条件を繰り返し、プレートカウントの平均を求めて、希釈を考慮してCFU/mlのデータに逆算した。このデータは、処置後に生存していた有機体をCFU/mlで表わすものであり、殺菌率を、適応可能な非照射のリン酸バッファ生理食塩水のみの対照と比較した実験サンプル中のこの値として計算し、細菌の生存度(B.生存度)のlog10とパーセントとの低下として表わした。
【0052】
この試験の結果から、メチレンブルーを単独で使用した場合(組成物T)と比べ、パラベンが存在する場合(組成物U)は光線力学殺菌の抗菌有効性が改善されるというパラベン相乗作用が示された。ポルフィロモナスジンジバリスの場合、かつ対照と比較した場合、照射を行なった組成物Tに曝した場合のB.生存度の低下は6.0log10であり、照射を行なった組成物Uに曝した場合のB.生存度の低下は7.2log10であった。このため、組成物Uに曝した場合、組成物Tと比べて、細菌の殺菌が1.2log10(10倍超)向上した。プレボテラインターメディアの場合、照射を行なった組成物Tに曝した場合のB.生存度の低下は3.5log10であり、照射を行なった組成物Uに曝した場合のB.生存度の低下は5.1log10であった。このため、組成物Uに曝した場合、組成物Tと比べて、細菌の殺菌が1.6log10向上した。周辺病原体であるポルフィロモナスジンジバリスおよびプレボテラインターメディアを使用したこの試験の結果は、これらの有機体のメチレンブルー光線力学殺菌に対する。明らかなパラベン相乗作用効果を示唆している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光線力学殺菌用の組成物であって、
感光剤と、
少なくとも1種のパラベンとを含み、前記組成物は、パラベン相乗作用に受容性を有し、所望の処置領域内に存在するグラム陰性有機体の光線力学殺菌に使用される組成物。
【請求項2】
前記組成物は薬学的に許容される担体を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記感光剤がフェノチアジニウム塩である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記感光剤がメチレンブルーである、請求項1乃至3いずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記感光剤の濃度が約0.001%w/v〜約1%w/vの範囲である、請求項1乃至4いずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種のパラベンは、メチルパラベン、プロピルパラベン、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1乃至5いずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種のパラベンの濃度が、約0.001%w/v〜約1%w/vである、請求項1乃至6いずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記感光剤は濃度約0.01%のメチレンブルーであり、前記少なくとも1種のパラベンは濃度約0.18%w/vの濃度のメチルパラベンと、濃度約0.02%w/vの濃度のプロピルパラベンとを含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物のpHレベルが約6.0〜約7.0から下がるように調整される、請求項1乃至8いずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記グラム陰性有機体は、大腸菌、緑膿菌、ポルフィロモナス属、プレボテーラ属、フゾバクテリウム属、アクチノバチルス属、セレノモナス属、エイケネラ属、カンピロバクター、ウォリネラ属およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1乃至9いずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記グラム陰性有機体はポルフィロモナスジンジバリスである、請求項1乃至9いずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記グラム陰性有機体はプレボテラインターメディアである、請求項1乃至9いずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記グラム陰性有機体は大腸菌である、請求項1乃至9いずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記グラム陰性有機体は緑膿菌である、請求項1乃至9いずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
光線力学殺菌中にグラム陰性有機体を低減させるための薬剤を製造するための感光性組成物の使用であって、
a.感光剤および少なくとも1種のパラベンを含む組成物を所望の処置領域に適用するステップと、
b.所望の処置領域内に存在し、パラベン相乗作用に受容性を有するグラム陰性有機体を阻害するために、前記感光剤によって吸収される波長で前記所望の処置領域に光を照射するステップと、を含む方法。
【請求項16】
前記感光剤がメチレンブルーであり、前記波長が約600nm〜約700nmの範囲である、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記所望の処置領域に前記光を照射するステップ中に前記所望の処置領域に照射される前記光のエネルギー量は、約1J/cm〜約50J/cmの範囲である、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1種のパラベンは、メチルパラベン、プロピルパラベン、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項15乃至17いずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
前記感光剤は濃度約0.01%のメチレンブルーであり、前記少なくとも1種のパラベンは、濃度約0.18%w/vの濃度のメチルパラベンと、濃度約0.02%w/vの濃度のプロピルパラベンとを含む、請求項15乃至18いずれか1項に記載の使用。
【請求項20】
前記所望の処置領域は口腔内の軟組織であり、前記グラム陰性有機体は、大腸菌、緑膿菌、ポルフィロモナス属、プレボテーラ属、フゾバクテリウム属、タネレラ属、アクチノバチルス属、セレノモナス属、エイケネラ属、カンピロバクター、ウォリネラ属およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項15乃至19いずれか1項に記載の使用。
【請求項21】
前記グラム陰性有機体はポルフィロモナスジンジバリスまたはプレボテラインターメディアである、請求項15乃至19いずれか1項に記載の使用。
【請求項22】
前記感光剤がフェノチアジニウム塩である、請求項15乃至21いずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
前記所望の処置領域に照射される前記光を提供するためにレーザが使用される、請求項15乃至22いずれか1項に記載の使用。
【請求項24】
前記組成物を適用する前記ステップと、前記所望の処置領域段階に前記光を照射する前記ステップとが、前記所望の処置領域内に存在する前記グラム陰性有機体が90パーセント超低減するまで反復される、請求項15乃至23いずれか1項に記載の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2012−520876(P2012−520876A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500775(P2012−500775)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/061442
【国際公開番号】WO2010/107454
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(507022282)オンディーヌ インターナショナル リミテッド (8)
【Fターム(参考)】