説明

光育毛器

【課題】適切な照射が行われているかを検知することにより、より効率的に光を照射して育毛を促進することができる光育毛器を提供する。
【解決手段】本発明の光育毛器は、皮膚に対して近赤外光を照射する照射部と、近赤外光が照射された皮膚の内部における血流量を測定する血流量測定手段と、を備える。この光育毛器は、近赤外線照射が行われている皮膚内部の血流量が増加するという特性を利用し、近赤外線照射と共に血流量測定を行うため、照射部位に近赤外光が適切に照射されていることを検知することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚に光を照射して体毛の成長を促進させる光育毛器に関する。特に、本発明は、皮膚に光を照射している段階で適切に照射が行われているかを検知することができる光育毛器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚に軽い炎症を起こさせることで体毛の発育を促進させる技術が知られている。この技術は薬剤などで炎症を起こさせるものであるが、このような薬剤の使用は、しばしば軽度の肌荒れを生じさせると共に、痛みや感染症などの問題を有している。
【0003】
また、この他に、890nmの波長を有した光を皮膚に照射することで育毛させる技術が知られている(例えば、非特許文献1参照)。この技術に関して、本願出願人が動物実験で確認したところ、薬剤を用いる場合と同様、皮膚内部に炎症を起こすことを利用したものであることが分かった。
【0004】
ただ、薬剤を使用する技術や非特許文献1の技術のように、皮膚内部に炎症を引き起こすことは人体に対して好ましいとはいえない。そのため、薬剤を使用せず、さらに皮膚内部での炎症を利用しない育毛装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Jounal of Korean Society Plastic & Reconstructive Surgeons 2004 p.1−p.8
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2009/123196号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の育毛装置は、照射したい箇所に、必要な照射量が所定時間行われることにより、優れた育毛効果を得ることができる。しかしながら、従来の育毛装置では、光を照射している段階で、適切な照射が行われているかを検知することが困難であった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、適切な照射が行われているかを検知することにより、効率的に光を照射して育毛を促進することができる光育毛器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、第1の発明の光育毛器は、皮膚に対して近赤外光を照射する照射部と、近赤外光が照射された皮膚の内部における血流量を測定する血流量測定手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0010】
第2の発明の光育毛器は、上記第1の発明の光育毛器に対し、さらに上記照射部における照射時間を計時する計時手段を備えており、上記計時手段は、上記血流量測定手段により測定された血流量が目標血流量に到達してから所定時間経過した後、上記照射部における照射を停止する、又は、照射の停止を促す信号を発することを特徴とするものである。
【0011】
第3の発明の光育毛器は、上記第1の発明の光育毛器に対し、さらに上記血流量測定手段により測定された血流量を表示する表示手段を備えることを特徴とするものである。
【0012】
第4の発明の光育毛器は、上記第1の発明の光育毛器における上記近赤外光の波長が水の特異吸収波長であることを特徴とするものである。
【0013】
第5の発明の光育毛器は、上記第1の発明の光育毛器における上記近赤外光の波長が950nm又は1450nmであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光育毛器によれは、近赤外線照射が行われている皮膚内部の血流量が増加するという特性を利用し、近赤外線照射と共に血流量測定を行うため、照射部位に近赤外光が適切に照射されていることを検知することができる。そのため、照射部位に対する近赤外線照射を効率的に行い、育毛を促進することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一実施形態に係る光育毛器の構成を示す概略図である。
【図2】上記第一実施形態に係る光育毛器における照射部の構成を示す正面図である。
【図3】上記第一実施形態に係る光育毛器における血流量測定手段の構成を示す概略図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係る光育毛器の構成を示す概略図である。
【図5】上記第二実施形態に係る光育毛器における照射部の構成を示す正面図である。
【図6】実施例における、近赤外光照射と組織血流量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る光育毛器について、図面に基づき詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに制限されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0017】
[第一実施形態]
本実施形態に係る光育毛器は、図1に示すように、ハウジング70の長手方向の一側端面に近赤外光を発する照射部20を備えている。そして、上記照射部20から発せられる近赤外光は、照射部20を閉塞するように設置される透過窓としての保護板80を透過して、外部に照射される。
【0018】
上記照射部20は、図1に示すように、複数の第1の光源21と、複数の第2の光源22とを備え、さらにこれらは基板23に実装されている。そして、上記第1の光源21及び第2の光源22は、波長が0.76〜2.5μmの近赤外光を発する光源である。ここで、上記第1及び第2の光源が発する光の波長は、水の特異吸収波長と等しいことが好ましい。水の特異吸収波長とは、光が水に吸収される際に、他の波長に比べて強い吸光度を示す波長と定義される。水の特異吸収波長は水のO−H結合に起因するものであり、特に近赤外領域における水の特異吸収波長は、例えば950nm、1150nm、1450nm及び1790nmである。
【0019】
そして、上記照射部20は、これらの水の特異吸収波長の中でも950nm及び/または1450nmの波長を発することが好ましい。この波長の光であれば、皮膚に炎症を与えることなく、育毛効果を高めることができる。そのため、本実施形態では、第1の光源21として、950nmの波長を有する光を発する光源を使用し、第2の光源22として、1450nmの波長を有する光を発する光源を使用している。このような照射部20の光源としては、図1及び2に示すように、発光ダイオードを用いることが好ましい。また、発光ダイオードの代わりに短波長レーザーを用いても良い。その他に、ハロゲンランプや広帯域レーザーに対して波長選定のためのフィルタを照射部20と照射部位(皮膚)の間に設けて、必要な波長だけ利用する形態としても良い。
【0020】
さらに、上記照射部20における基板23は、電源30と接続されている。電源30は、照射部20における第1及び第2の光源を発光させるための電力を供給する。このような電源30としては、例えば、一次電池や二次電池など出力電圧が一定な直流電源を用いることができる。また、電源30は、商用電源より得た交流電圧を直流電圧に変換する機能を備えていても良い。
【0021】
また、本実施形態の光育毛器では、図1に示すように、上記照射部20と電源30との間にタイマ40(計時手段)が設けられている。タイマ40は、上記照射部20における照射時間を計時し、予め設定された所定時間(例えば20分)が経過した後に、電源30と照射部20との間の電路を遮断する。このように、タイマ40は、所定時間連続して照射部20を発光させる時間制御部として用いられる。
【0022】
さらに、本実施形態では、上記照射部20とタイマ40との間に、パルス発生部50と切替部60とを設けている。上記パルス発生部50は、電源30の出力電圧をパルス電圧に変換する機能を有する。本実施形態では、パルス発生部50が発生するパルス電圧の周期は500Hzに設定されているが、この周期に限定されるわけではない。
【0023】
上記切替部60は、電源30と基板23との間の電路を、パルス発生部50を通る第1の電路51と、パルス発生部50を通らない第2の電路52との間で切り替える。第1の電路51では、パルス発生部50が電源30と基板23との間に挿入されるため、照射部20にはパルス電圧が与えられ、照射部20は間欠的に発光する(パルス点灯)。そして、第2の電路52では、パルス発生部50が電源30と基板23との間に挿入されないため、照射部20には一定の出力電圧が与えられ、照射部20は連続的に発光する(連続点灯)。 つまり、切替部60は、パルス点灯と連続点灯とを切り替えるように構成される。切替部60は、パルス点灯と連続点灯とを手動で切り替えるための操作部(図示せず)を有し、操作部は例えばハウジング70の外面に設置される。
【0024】
ハウジング70は、図1に示すように、上記照射部20、電源30、タイマ40、パルス発生部50及び切替部60を収納する。ハウジング70の軸方向の一側端面には、照射部20の光を外部に出射させる窓孔71が形成される。照射部20は、第1及び第2の光源を窓孔71より外部に臨ませた状態で、ハウジング70に収納される。なお、ハウジング70は、例えば円筒状に形成することができ、その直径は例えば40mmである。
【0025】
保護板80は、ガラスや透光性樹脂など、透光性を有する材料により円盤状に形成される。保護板80の大きさは窓孔71を閉塞できる大きさであれば良い。保護板80は、窓孔71に嵌め込まれ、照射部20を外部から保護する。また、保護板80には、必要に応じてレンズの機能が付加されても良い。
【0026】
そして、本実施形態の光育毛器10では、図1に示すように、近赤外光が照射された皮膚の内部における血流量を測定する血流量測定手段としての血流量計測プローブ90及び血流量計測部100を備えている。血流量測定手段としては、レーザードップラー血流計を用いることができる。
【0027】
ここで、上記レーザードップラー血流計の原理について説明する。皮膚組織内にレーザー光を照射した場合、照射されたレーザー光が毛細血管内を運動する物体(主として赤血球)に衝突するとレーザー光の周波数がシフトするが(ドップラー効果)、静止組織に衝突しても周波数は変化しない。そして、上記レーザー光は、受光器により検出される。ここで、受光器に戻ってくる周波数のシフトした光の割合は赤血球数に比例し、さらに周波数のシフトの大きさは血流速度に比例する。そのため、理論的には赤血球数と血流速度の積から血流量が算出できる。レーザードップラー血流計はこの原理を応用したものであり、変調を受けた光の周波数変調分は血液の速度に相当し、光の強さは流れる血液量に相当するため、これらの積が組織血液量になる。このことから、組織血液量を経時的に測定することで、血流量変化を測定することができる。なお、上記レーザードップラー血流計で使用するレーザーの波長は、650〜800nm程度のもの、具体的には670及び780nmのものを使用することができる。
【0028】
血流量測定手段としての血流量計測プローブ90は、図1に示すように、保護板80の一部として、照射部20と隣接するように設けられている。また、血流量計測プローブ90の表面は、近赤外光が照射される皮膚に接触するように、保護板80の表面と面一になっている。そして、血流量計測プローブ90は、図2に示すように、皮膚組織内にレーザー光を照射する照射用光ファイバ91と、組織内から散乱された光を受光する受光用光ファイバ92とを備える。
【0029】
また、血流量計測部100は、図3に示すように、レーザー光を発するレーザーダイオード101及びレーザーダイオード101を駆動するレーザー駆動回路102を備えている。さらに、血流量計測部100は、受光用光ファイバ92から散乱光を受光するフォトダイオード103、フォトダイオードが受光した信号を増幅する増幅器104、増幅信号をA/D変換するA/D変換器105及び血流量の値を求める演算器106を備えている。
【0030】
血流量計測部100は、図1に示すように、血流量測定手段により測定された血流量を表示する血流量モニタ(表示手段)110に接続されている。血流量モニタ110としては、液晶モニタなどを使用することができる。また、血流量計測部100は、上記タイマ40にも接続されている。
【0031】
このような構成を有する本実施形態の光育毛器10の使用方法について説明する。まず、当該光育毛器10の電源スイッチ(図示せず)を入れて使用可能な状態とする。次に、光育毛器10の一側端面に設けられた保護板80を、照射対象者の照射部位たる皮膚に接触するように配置する。この状態で照射スイッチ(図示せず)を入れて光照射をオンにすることにより、第1の光源21及び第2の光源22から近赤外光が発せられ、保護板80を介して、照射対象者の皮膚に近赤外光が照射される。そして、当該近赤外光が皮膚内部に存在する光吸収成分に吸収されることによって、体毛の成長を促進することができる。
【0032】
そして、本発明者の鋭意検討の結果、第1の光源21及び第2の光源22から近赤外光が発せられると、近赤外光が照射されている皮膚の内部では、血流量が増加することが分かった。そのため、光育毛器10に内蔵されている血流量測定手段で血流量の増加を測定することにより、照射部位に近赤外光が適切に照射されていることを検知することが可能となる。
【0033】
具体的には、上述のように、保護板80が皮膚と接触している状態では、保護板80の表面と面一になっている血流量計測プローブ90も皮膚と接触している。この状態で照射スイッチを入れて光照射を開始し、さらに血流量測定手段を用いて血流量測定も開始する。当該血流量測定手段は、近赤外光が照射されている皮膚表面の隣接部位に照射用光ファイバ91からレーザー光を照射し、受光用光ファイバ92により皮膚内部からの散乱光を受光する。その後、フォトダイオード103、増幅器104、A/D変換器105及び演算器106により、近赤外光が照射されている皮膚表面に隣接する部位の血流量を算出する。
【0034】
近赤外光照射が皮膚に対して適切に行われていると皮膚内部の血流量が増加するため、近赤外光の照射直後から血流量が次第に上昇する。そして、実際の血流量を血流量モニタ110に表示することにより、使用者は近赤外光の照射が適切に行われていることを確認することが可能となる。また、上述のように、水の特異吸収波長を利用した光育毛器は、近赤外光照射による刺激がないため、従来使用感を得ることが困難であった。しかし、本実施形態の光育毛器では、近赤外光照射と共に血流量を測定し、その結果、血流量変化を確認することができるため、使用感を得ることができる。
【0035】
さらに、本発明者の鋭意検討の結果、育毛効果が得られる血流量も判明したため、当該血流量に到るまで照射を継続することにより、効果的に育毛することが可能となる。
【0036】
加えて、図1に示すように、本実施形態の光育毛器は、血流量計測部100がタイマ40にも接続されている。そのため、血流量計測部100は、育毛効果が得られる目標血流量を記憶しておき、血流量の測定値が目標血流量に達してから所定時間(例えば10分)経過した後に、タイマ40に対して電源30と照射部20との間の電路を遮断する信号を発し、上記照射部における照射を停止するようにしても良い。
【0037】
従来の光育毛器では、照射時間を単純にタイマのみを使用して制御していたため、必要以上に照射が行われ、使用者に拘束感を与えることがあった。また、タイマのみで制御した場合、照射したい箇所に光育毛器が適切に固定されていないときには十分に照射されていない状態で照射が停止するため、育毛効果が不十分な場合があった。さらに、十分な育毛効果が得られる照射時間には個人差がある可能性があり、その場合には単なるタイマによる制御では、効果を得るための必要な照射量を下回ることがある。しかしながら、本実施形態の光育毛器10では、上記血流量測定手段により測定された血流量が目標血流量に到達してから所定時間経過した後、照射を停止するため、使用者に過度の拘束感を与えることがなく、必要な照射量を確保することが可能となる。
【0038】
このように、本実施形態に係る光育毛器によれは、近赤外線照射が行われている皮膚内部の血流量が増加するという特性を利用し、近赤外線照射と共に血流量測定を行うため、照射部位に近赤外光が適切に照射されていることを検知することが可能となる。さらに血流量を把握できるため、使用者に使用感を与え、照射による育毛効果を確認することが可能となる。また、必要な照射時間も分かるため、使用者に過度の拘束感を与えることがなく、必要な照射量を確保することができる。
【0039】
なお、上述のように、本実施形態の光育毛器10は、血流量の測定値が目標血流量に達してから所定時間経過した後に、タイマ40によって照射部20における照射を停止する。しかしながら、タイマ40を使用せず、血流量が目標血流量に達してから所定時間経過した後に、照射の停止を促す信号を発し、例えば血流量モニタ110に照射の停止を促す表示をするようにしても良い。また、照射の停止を促すように音を発するようにしても良い。このときは、使用者自身が照射スイッチを切ることにより、光照射を停止することになる。
【0040】
上述のように、本実施形態の光育毛器では、接触式のレーザードップラー血流計を用いているが、非接触式のレーザードップラー血流計を用いても良い。また、血流量測定手段はレーザードップラー血流計に限定されず、超音波血流計を用いても良い。
【0041】
また、本実施形態の光育毛器10では、第1の光源21及び第2の光源22の両方を同時に発光させる構成としたが、基板23と切替部60との間に制御部(図示せず)を設け、第1の光源21及び第2の光源22を交互に照射するようにしても良い。特に、近赤外光を照射される対象者の年齢に応じて、照射される近赤外光の波長を切り替えることが好ましい。例えば、波長が950nmの近赤外光は50歳以下の人を対象として照射し、1450nmの近赤外光は全ての年齢の人を対象として照射することで、育毛効果をより一層向上させることができる。これは、1450nmの近赤外光は950nmの近赤外光に比べて水への吸収が大きいため、水分の少ない年配者は1450nmの近赤外光を使用した方が育毛効果をより発揮できるものと考えられる。
【0042】
また、図2に示すように、本実施形態の光育毛器では第1の光源21と第2の光源22を交互に並ぶように配置したが、この配置に限られるわけではなく、波長ごとに集めても良く、波長に無関係にランダムに配置しても良い。また、第1の光源21と第2の光源22は等間隔に配置しなくても良く、さらに個数も任意に設定することができる。
【0043】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る光育毛器について説明する。なお、第一実施形態と同一構成には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0044】
本実施形態に係る光育毛器11は、図4及び5に示すように、血流量測定手段としての血流量計測プローブ90が保護板80の中心部に設けられている。なお、血流量計測プローブ90の表面は、近赤外光が照射される皮膚に接触するように、保護板80の表面と面一になっていることは、第一実施形態と同様である。
【0045】
第一実施形態の光育毛器10では、図2に示すように、第1の光源21と第2の光源22が上方に集合して配置され、血流量計測プローブ90が下方に配置されている。このような配置であっても近赤外光が照射されている皮膚表面の内部における血流量を測定することが可能である。しかしながら、本実施形態のように、第1の光源21と第2の光源22を同心円状に配置し、さらにその中心に血流量計測プローブ90を配置することにより、より正確な血流量を測定することができる。つまり、上述のように、近赤外光が照射されることにより、皮膚の照射部位を中心として血流量が増加するため、照射部位の中心に血流量計測プローブ90を配置することにより、正確な血流量を測定することが可能となる。
【0046】
なお、本実施形態の光育毛器11では、第1の光源21と第2の光源22を同心円状に配置したが、この配置に限られるわけではなく、第一実施形態と同様に、縦横方向に均等な間隔で配置しても良い。また、血流量計測プローブ90は保護板80の中心に配置しなくても良く、光源の間に配置するようにすれば良い。
【実施例】
【0047】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0048】
本発明の実施形態に係る光育毛器の血流量測定効果を確認するために、次の評価試験を行った。まず、Blub/Cのマウスを準備し、この背部をバリカンを用いて毛剃した。この際、マウスの毛周期が休止期であることを確認した。次に、上記マウスに麻酔処理を施し、安静状態にした。この際、麻酔処理としては、イソフルランを用いたガス麻酔法を利用した。そして、安静状態にした上記マウスの照射部近傍に、血流量計測プローブが接触するように光育毛器を設置した。なお、光育毛器における光源としては1450nmの近赤外光を発する発光ダイオードを使用した。
【0049】
次に、近赤外光照射を行わない状態で、マウスにおける上記照射部の血流測定を開始し、非照射状態で30分間血流測定を行った。そして、上記血流測定が終了後、血流測定を継続したまま、近赤外光を照射した。なお、この際の照射時間は20分とした。その後、近赤外光の照射を停止し、血流測定のみを1時間程度継続した。測定結果を図6に示す。
【0050】
図6は、縦軸を組織血流量とし、横軸を血流測定時間としたグラフである。図6に示すように、近赤外光照射を行っていない測定開始後30分間は、組織血流量が1.5程度である。その後、図6の符号Aに示す20分間の近赤外光照射を行った結果、組織血流量は次第に増加し、光照射を終了した50分の時点では組織血流量が2を超える状態となっていた。さらに、光照射を終了した後でも組織血流量は大きく低下せず、光照射終了時の血流量をほぼ維持する結果となった。
【0051】
このように、育毛効果が期待できる近赤外光照射により、照射部位の血流量が上昇することから、適切な照射が行われているか否かを容易に検知することが可能となった。
【0052】
以上、本発明を若干の実施形態及び実施例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 光育毛器
20 照射部
30 電源
40 タイマ
50 パルス発生部
60 切替部
70 ハウジング
80 保護板
90 血流量計測プローブ
100 血流量計測部
110 血流量モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚に対して近赤外光を照射する照射部と、
近赤外光が照射された前記皮膚の内部における血流量を測定する血流量測定手段と、
を備えることを特徴とする光育毛器。
【請求項2】
前記照射部における照射時間を計時する計時手段を備え、
前記計時手段は、前記血流量測定手段により測定された血流量が目標血流量に到達してから所定時間経過した後、前記照射部における照射を停止する、又は、照射の停止を促す信号を発することを特徴とする請求項1に記載の光育毛器。
【請求項3】
前記血流量測定手段により測定された血流量を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光育毛器。
【請求項4】
前記近赤外光の波長は、水の特異吸収波長であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光育毛器。
【請求項5】
前記近赤外光の波長は、950nm又は1450nmであることを特徴とする請求項4に記載の光育毛器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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