説明

光触媒作用と蓄光作用を有するプラスチック材料とその板材及びシート材

【課題】本発明は抗菌,脱臭,防汚,浄水,空気浄化などの光触媒作用を自然発光作用で得られると共に多種の用途が期待できるプラスチック材料とその板材及びシート材を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明はプラスチック原料1には、所定周波数が発振される蓄光剤2を混合して板状或いはシート状に形成し、その表面には、蓄光剤2から発振される所定周波数で反応して励起する光触媒3が、バインダー4を介して設けられた構造とする。またプラスチック原料1の表面に、光触媒3と一緒にハイドロキシアパタイト5を設けても良く、且つ蓄光剤2として蓄光プラスチックペレットを用い、その混合量を、プラスチック原料100部に対して1部〜20部とし、且つプラスチック材料で板材或いはシート材を得ると良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗菌,脱臭,防汚などの光触媒作用と自然発光する蓄光作用を有するプラスチック材料とその板材及びシート材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光触媒作用と蓄光作用を有するものとしては、本発明者が実用新案登録第3103801号で提案した液体抗菌容器体がある。これは、容器内部に収納した飲料水,薬品,化粧品などの液体の品質を出来るだけ長期に保存することが出来ると共に暗所に容器を保管しても、光触媒作用を行わせ、しかも、暗所に容器の所在を確認出来るものであった。又、この考案の構造は、液体を収容する容器と、該容器内に設けて液体と接触する基材と、この基材に設けた光触媒組成物層と、基材または光触媒組成物層に設けた蓄光剤を有するものであった。
【0003】
しかしながら、実用新案登録第3103801号は、容器内部に設けた基材の表面に、公報中の拡大図に示すように光触媒組成物層と蓄光剤が混入して設けられており、且つ容器内部には液体が収納されるため、蓄光剤で室内照明から得られる光の蓄光効率は、極めて少ないものであった。
【0004】
尚、一般に光触媒は、有機質の被着体に施すと該被着体自体が分解されて劣化を進行させてしまうため、特に野外に於いては有機質の被着体に光触媒の施工は行わず、ガラス,セメント,石,金属など必ず無機質の上に光触媒を塗布して施工が行われているのが現状である。また蓄光剤は、組成物の混合率を変化させることにより、発振ピークスペクトルが変わって発色する色も変化するため、注意喚起手段や装飾用として使用されている。又、一方、光触媒は太陽光の下で使用される場合が多いが、室内の照明の光を利用し且つ殺菌や防汚作用効果などが期待出来ると共に被着体自体の劣化の進行が余り進まないものがいろいろと提案されている。この場合、例えば、プラスチックの成形物に光触媒を練り込み配合すると、少量添加では成形物表面に露出する粒子が少ないため、脱臭や抗菌効果が著しく減殺されて実用レベルに達せず、一方、脱臭や抗菌効果が現れるほど多量に添加すると、成形物自体を酸化分解してしまい、成形物の寿命が短くなると共に機械的強度や諸特性を損なってしまうため、その配合量が難しいものであった。又、光触媒は高価であるため、成形物がコスト高になっていた。
【特許文献1】実用新案登録第3103801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は抗菌,脱臭,防汚,浄水,空気浄化などの光触媒作用を自然発光する蓄光作用で得られるプラスチック材料を提供することを目的とする。
【0006】
別発明の目的は多種の用途が期待できる光触媒作用と蓄光作用を有するプラスチック材料の板材及びシート材を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はプラスチック材料に光触媒作用と蓄光作用を有するものであり、つまり、プラスチック原料には、所定周波数が発振される蓄光剤を混合して板状或いはシート状などの適宜形状に形成し、その表面或いは裏面には、蓄光剤から発振される所定周波数で反応して励起状態となる光触媒が、バインダーを介して設けられた構造とする。またプラスチック原料の表面或いは裏面に、光触媒と一緒にハイドロキシアパタイトを設けても良く、且つ蓄光剤として蓄光プラスチックペレットを用い、その混合量を、プラスチック原料100部に対して1部〜20部とすると良い。
【0008】
また光触媒作用と蓄光作用を有するプラスチック材料の板材の発明として、プラスチック原料には、所定周波数が発振される蓄光剤を混合して板状に形成し、その表面には少なくとも、蓄光剤から発振される所定周波数で反応して励起状態となる光触媒が設けられたものとすると良く、プラスチック原料の表面には、バインダーを介して光触媒と一緒にハイドロキシアパタイトを設けても良い。
【0009】
更に光触媒作用と蓄光作用を有するプラスチック材料のシート材の発明として、プラスチック原料には、所定周波数が発振される蓄光剤を混合してシート状に形成し、その表面には少なくとも、蓄光剤から発振される所定周波数で反応して励起状態となる光触媒が設けられたものとすると良く、プラスチック原料の表面には、バインダーを介して光触媒と一緒にハイドロキシアパタイトを設けても良い。又、光触媒がプラスチック原料の表面に筋状或いは格子縞状に設けられたものとしても良い。尚、本発明で言う「シート状」には、フィルム状のものも含まれる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1のようにプラスチック原料(1)には、所定周波数が発振される蓄光剤(2)を混合して板状或いはシート状などの適宜形状に形成し、その表面或いは裏面には、蓄光剤(2)から発振される所定周波数で反応して励起状態となる光触媒(3)が、バインダー(4)を介して設けられるプラスチック材料を得ることにより、光触媒(3)の光触媒作用をより有効に引き出すことが可能となるため、抗菌,脱臭,防汚,浄水,空気浄化などの光触媒作用と自然発光する蓄光作用を有したプラスチック材料が得られると共に半永久的な抗菌性等を付与することが可能なものとなる。
【0011】
請求項2のようにプラスチック原料(1)の表面或いは裏面に、光触媒(3)と一緒にハイドロキシアパタイト(5)を設けることにより、ハイドロキシアパタイト(5)が有機物を効率よく吸着するため、光触媒作用が強化されるものとなる。
【0012】
請求項3に示すように蓄光剤(2)として蓄光プラスチックペレットを用い、その混合量を、プラスチック原料(1)100部に対して1部〜20部とすることにより、蓄光剤(2)をプラスチック原料(1)に混合させる場合、蓄光プラスチックペレットの配合割合で簡単に成形品を製造することが出来ると共に従来の成型機が使用でき、又、蓄光剤(2)の混合量によって光触媒(3)の作用強さが変化するので、仕様に合った成形品を得ることが可能となる。更に蓄光剤(2)が均一に分布するため、光触媒(3)を均一に励起させることが可能となると共に従来の微粉末のものに比べて成形性が良くなり、且つ強度も向上する。
【0013】
請求項4に示すようにプラスチック原料(1)には、所定周波数が発振される蓄光剤(2)を混合して板状に形成し、その表面には少なくとも、蓄光剤(2)から発振される所定周波数で反応して励起状態となる光触媒(3)が設けられたプラスチック材料の板材(A)を得ることにより、いろいろな容器や立体化することが可能となり、多種用途な製品が期待できる。特に図6に示すような容器に形成させると、容器の外側から照明光などが蓄光剤(2)で蓄光され、その蓄光した光が光触媒(3)を励起状態にさせて活性化できるものとなると共に内壁全体から光触媒作用が得られるものとなる。
【0014】
請求項5のようにプラスチック原料(1)の表面には、バインダー(4)を介して光触媒(3)と一緒にハイドロキシアパタイト(5)を設けることにより、ハイドロキシアパタイト(5)が有機物を効率よく吸着するため、光触媒作用がより一層強化される板材(A)となる。
【0015】
請求項6のようにプラスチック原料(1)には、所定周波数が発振される蓄光剤(2)を混合してシート状に形成し、その表面には少なくとも、蓄光剤(2)から発振される所定周波数で反応して励起状態となる光触媒(3)が設けられたプラスチック材料のシート材(B)は、抗菌,脱臭,防汚,浄水,空気浄化などの光触媒作用と自然発光する蓄光作用を有したものとなると共に折り曲げや包むことが簡単に出来るため、多種用途な製品が期待できる。
【0016】
請求項7に示すようにプラスチック原料(1)の表面には、バインダー(4)を介して光触媒(3)と一緒にハイドロキシアパタイト(5)が設けられることにより、ハイドロキシアパタイト(5)が有機物を効率よく吸着するため、光触媒作用が一層強化されるシート材(B)となる。
【0017】
請求項8に示すようにプラスチック原料(1)の表面の光触媒(3)が、筋状或いは格子縞状に設けられることにより、シート材(B)の表面に物が置かれた場合、その裏面からは光が入らず蓄光出来ない状態であっても、シート材(B)の表面から光が蓄光でき、光触媒作用を活性化させることが可能となり、更に広い用途が期待できるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明の実施形態を示す図であり、これについて説明する。(1)はプラスチック原料であり、該プラスチック原料(1)としては、ポリエチレン,ポリプロピレン,ナイロン,ポリスチレン,ABS樹脂,ポリアミド,ポリエステル,ポリカーポネート,ポリ塩化ビニール,ポリ塩化ビニリデン,ポリビニルアルコール,ビニルアルコール共重合体,アクリル樹脂,アクリロニトリル共重合体,ポリイミド,フェノール樹脂,尿素樹脂,エポキシ樹脂などの塑性加工可能なプラスチック素材を用いれば良い。
【0019】
(2)はプラスチック原料(1)に練り込んで混合した蓄光剤であり、該蓄光剤(2)としては、周知の金属化合物や希土類を複数混合し、汎用の展色剤を混合して形成すると良いが、米国FDA認可のもの、例えば、イージーブライト株式会社の蓄光プラスチックペレットを用いるか或いは根本特殊化学株式会社などの蓄光プラスチックペレットにした製品を用いれば良い。この混合量としては、プラスチック原料(1)100部に対して1部〜20部とするのが好ましいが、蓄光剤(2)の混合量を1部以下にすると、後述する光触媒(3)を励起するための充分な光を発光させることができず、一方、20部以上にすると、光触媒作用が強くなり過ぎて素材自体を分解させて、劣化を進行させてしまい、素材の寿命を短くすると共に高価な蓄光剤(2)が多く使用されて高価なものになってしまう。また前記蓄光剤(2)は原料配合量によって、スペクトル発振のピークが変化すると共に光が蓄光されて暗闇の中で蛍光色を自然発光させる色も変化するが、前記光触媒(3)の応答型によって励起状態を起こす周波数の発振ピークが異なるため、前記光触媒(3)の種類に合ったスペクトル発振のピークの蓄光剤(2)を選択して用いる。尚、前記蓄光剤(2)の原料配合量によって発振ピークスペクトルは図5に示すように変化し、これについて説明する。図中の太線(赤色を示す)のグラフ線が可視広域であり、中線(青色を示す)と細線(緑色を示す)が紫外線域を示し、また自然発光は前記3種類に分光され、それぞれの色のスペクトル発振のピークが異なる光を合せると、図5(a)のように蓄光剤(2)はブルー発光し、図5(b)のようにパープル発光し、或いは図5(c)のようにグリーン発光されるものとなる。尚、図5の各発振ピークスペクトルのグラフはイージーブライト株式会社の3種類の蓄光剤(2)のデーター資料内容である。
【0020】
(3)はプラスチック原料(1)の表面に設けられ、且つ蓄光剤(2)から発振される所定周波数で反応して励起状態となる光触媒であり、該光触媒(3)の種類には、紫外線応答型と可視光応答型を用いると良いが、特に限定されるものではない。また一般的な素材としては二酸化チタンや酸化銅等を用いるのが好ましい。また前記各応答型について詳細に説明すると、先ず始めに紫外線応答型は有機物の分解能力が高いが、紫外線(360nm〜370nmがピーク)を受けると、励起状態となり、近くにある物質を激しく酸化分解するので、このピーク値を持つエネルギーを供給し続けることが必要であり、且つ、このピークがある発振周波数の紫外線は、太陽光の中にわずか3%以下しか含まれず、家庭内などの日常生活用品に利用するには、限界があった。次に可視光応答型の光触媒(3)は有機物分解能力が低いが、通常生活光(400nm以上の可視光)で反応し、活性化するため建築物の内部、例えば室内の蛍光灯や白色灯などの弱い光しか存在しない場所でも光触媒作用を示す。尚、二酸化チタンや酸化銅以外の他の化合物、例えば、シリカやアルミナ,ジルコニア,ゼオライト,セラミックスなどを混合して所定の化合物とすれば、可視光により活性化する光触媒(3)として使用できるものとなる。又、前記光触媒(3)は、後述するハイドロキシアパタイト(5)を併用せずに光触媒(3)だけを、塗布,コーティング処理,溶射などの手段で設けても良い。
【0021】
(4)はプラスチック原料(1)の表面に光触媒(3)が設ける際に用いるバインダーであり、該バインダー(4)としては一般に用いられている市販品を用いれば良い。(5)はプラスチック原料(1)の表面に、光触媒(3)と一緒に設けられたハイドロキシアパタイトであり、該ハイドロキシアパタイト(5)としてはペンタックス社の「アパセラム」を用いると良い。また前記ハイドロキシアパタイト(5)は有機物を吸着し、光触媒(3)を担持させる役目も果す。この施工はプラスチック原料(1)の上にバインダー(4)を塗り、その上に光触媒(3)とハイドロキシアパタイト(5)を設けると良い。
【0022】
次に本発明のプラスチック材料を製造する場合について説明する。先ず始めにポリエチレンのプラスチック原料(1)に、370nmに発振ピーク値を持つ蓄光剤(2)の蓄光プラスチックペレットを混合させて板状或いはシート状などの適宜形状に形成する。この時、蓄光剤(2)の蓄光プラスチックペレットとして、イージーブライト株式会社のものを用い、その混合量が、プラスチック原料(1)100部に対して5部を混合して成型機に入れる。尚、前記蓄光剤(2)を選択する場合には、光触媒(3)が反応して励起状態を起こす周波数の発振ピークによって、その効果がより多く発揮されるための周波数の発振ピークを選択すると良い。その後、板状或いはシート状などに成形し、その表面全体にバインダー(4)を塗布し、且つ、その表面全体に光触媒(3)と一緒にハイドロキシアパタイト(5)も設ける。この時の光触媒(3)には二酸化チタンの白色の微粉末を用いる。
【0023】
図2は光触媒作用と蓄光作用を有するプラスチック材料の板材(A)であり、図3と図4は光触媒作用と蓄光作用を有するプラスチック材料のシート材(B)であり、そのシート材(B)の表面には光触媒(3)を筋状或いは格子縞状のパターンになるように設けられている。この時、前記プラスチック材料で所定の立体形状に成形した後、少なくとも光触媒(3)を、その内壁全体又は筋状或いは格子縞状のパターンで外壁に設けても良い。また前記板材(A)の表面全体に光触媒(3)を設けるだけでなく、図3や図4に示すように筋状或いは格子縞状のパターンになるように光触媒(3)を板材(A)の表面に設けても良い。又、前記板材(A)やシート材(B)で所定形状に成形させると、蓄光剤(2)自体が自然発光され、従来にないインテリアとしての役目も果すものとなる。尚、前記蓄光剤(2)を成形用のプラスチック原料(1)に配合して成形する方法としては、押出成形法,射出成形法,圧縮成形法などの任意の成形法を用いると良く、成形に際し、着色剤,潤滑剤,安定剤,可塑剤,帯電防止剤,難燃剤,補強繊維などを配合させても良い。
【0024】
次に本発明の使用方法について説明する。先ず始めに本発明の光触媒作用と蓄光作用を有するプラスチック材料の板材(A)について説明する。先ず前記板材(A)を複数枚用意し、その板材(A)の表面全体に設けた光触媒(3)側が内側になるようにして適宜形状の容器に形成する(図6参照)。すると、内壁全体が光触媒(3)で囲まれるため、容器に飲食物や薬品などを入れると、容器の外側から照射する光はプラスチック原料(1)に混合された蓄光剤(2)によって蓄光される。すると蓄光剤(2)からは例えば370nmの波長の光が発光され、内側全体の光触媒(3)を反応させて励起状態になるため、光触媒作用が効率良く発揮されるものとなり、容器内に侵入する菌類の雑菌の減菌が行え、内容物の物質の品質劣化や鮮度劣化などが生じにくい抗菌容器となると共に周囲の空気の浄化や消臭,殺菌,防虫,防錆,耐汚染機能をも備えるものとなる。この時、前記光触媒(3)は最も反応してより大きな効果を引き出す発振ピーク値の紫外線が蓄光剤(2)から常に発光されるのである。このように蓄光剤(2)を光触媒(3)のピーク値に合せたものを選択することにより、光触媒(3)の光触媒作用を効率良く引き出すことが可能となる。一方、容器全体は蓄光剤(2)自体が自然発光されるため、この容器を暗所で観察すると、蛍光を発して容器全体がきれいに光って浮かび出るものとなるため、暗闇で長時間自然発光することが可能となり、容器の在所が暗い場所でも直ぐに分り、夜間は元より災害発生時に一層優れた安全性や誘導効果を発揮し、且つ可視光線,紫外線の少ない場所や、夜間であっても光を蓄えられるものとなるため、前記光触媒(3)の効果を高め且つ長時間持続させることが可能となる。
【0025】
次に本発明の光触媒作用と蓄光作用を有するプラスチック材料のシート材(B)の使用方法について説明する。予め図3や図4に示すように筋状或いは格子縞状に光触媒(3)を設けたシート材(B)を用意する。先ずシート材(B)に設けた光触媒(3)が上になるように載置し、シートとして使用すると、表面から室内の光が蓄光剤(2)によって蓄光されると共に蓄光剤(2)自体が自然発光され、且つ、該蓄光剤(2)から例えば、図5(a)のブルー発光蓄光剤(2)を用いた場合は、主に370nm と483nmの波長の光を発光する。この光によって光触媒(3)は370nmの波長の光に反応し、光触媒作用を発揮するものとなるため、シート材(B)の周囲は菌類の雑菌の減菌が行われ、室内の脱臭やカビ抑制及び空気の浄化などの効果が発揮されものとなる。また前記シート材(B)を玄関などに載置しておくと、照明器具を点灯させなくてもシート材(B)はブルー発光するので、その上に置いた鍵や懐中電灯或いは防災用品などの所在が直ぐに分り、それらを直ぐに取出すことが出来るため、非常に重宝されるものとなる。又、前記シート材(B)を包装用或いは袋体に形成する場合には、内側全体に光触媒(3)を設けたものを用いると良く、且つ、それに収納した内容物は、品質劣化や鮮度劣化が生じにくいものとなると共に品質保持などのための抗菌剤や防腐剤等がシート材(B)には添加されていないため、これらの抗菌剤や防腐剤等に対する過敏な使用者にも安心して使用できるものとなる。しかも、この時、シート材(B)は蓄光剤(2)自体がブルーなどに自然発光されるため、全体がきれいに光ると共にその在所が暗い場所でも直ぐに分るものとなる。更に前記シート材(B)は上記以外に多種の用途にも使用可能なものとなる。また前記シート材(B)を車のトランクに敷設して用いれば、短時間で蓄光が可能であるため、例えば魚釣で釣った魚を入れても、魚の臭いが光触媒(3)で消臭され、また前記シート材(B)を自動車の内装用として用いれば、消臭能力を持つシート材(B)となる。
【0026】
このように本発明材料を使用すれば、プラスチック原料(1)全体に蓄光剤(2)が略均一に混合され、且つ、表面全体に光触媒(3)が設けられているため、光触媒(3)に紫外線を照射する手段(紫外線エネルギーを供給する方法)として、太陽光や蛍光灯など生活の中に有する光エネルギーを蓄光剤(2)で吸収し蓄えた後、光触媒(3)が必要な紫外線エネルギーは、蓄光剤(2)自体から光触媒(3)の必要な紫外線を発振すると共に自然発光し、電源等の特別な専用機器を必要としなくとも効果的に供給し続けることが可能となる。また本発明品は蓄光作用と光触媒作用を併せ持つため半永久的に、空気の浄化や消臭,殺菌,防虫,防錆,耐汚染作用を備えたものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明品はホテルや病院などの雑菌や汚れの付き易い手摺やベッドなどの部材,集合住宅やホテルなどの雑菌の繁殖し易い貯水タンク,洗面ユニット,雑菌ボックス,ゴミ箱,薬剤や化粧品などの容器,消臭効果を持つゴミ箱,エアコンディショナーのフィルター,洗いカゴなどの家庭用品,便座,病院等で使用されるパイプの継ぎ手用部品,フェイクグリーンの造花や観葉植物など多くの用途が期待出来るものとなる。また前記板材(A)の用途としては、パネル,仕切り,床材,パーティション,ドア,巾木,見切りなどの建築部材に使用でき、且つ容器,各種部品,文房具等の各種小物類,まな板や台所用品,トイレのボックスなど衛生用品,浴室用品,応接用品などの家庭や事務所用としても使用でき、更に園芸用,OA機器,産業用,公共用,病院用,農業用,畜産用,水産加工用など広い分野に用いることも可能である。更にシート材(B)の用途としては、壁紙,天井吸音材,床材,履物,被服,寝具,敷物,畳,フィルター,ルーバ等の設備カバー,ふすま等の建築部材や家庭用部材に使用でき、且つ脱臭やカビ抑制及び空気の浄化などの効果が発揮される多種類の部材及びそれらの被覆材として用いることが可能なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図2】本発明の板材を示す説明図である。
【図3】本発明のシート材表面に光触媒が設けられるパターンを示す説明図である。
【図4】本発明のシート材の表面に光触媒が設けられる別パターンを示す説明図である。
【図5】本発明で使用する蓄光剤の発振ピークスペクトルがブルー発光する時、パープル発光する時、グリーン発光する時の3色の分光状態をグラフに示す説明図である。
【図6】本発明の板材によって形成された容器の断面を示す説明図である。
【符号の説明】
【0029】
1 プラスチック原料
2 蓄光剤
3 光触媒
4 バインダー
5 ハイドロキシアパタイト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック原料(1)には、所定周波数が発振される蓄光剤(2)を混合して板状或いはシート状などの適宜形状に形成し、その表面或いは裏面には、前記蓄光剤(2)から発振される所定周波数で反応して励起状態となる光触媒(3)が、バインダー(4)を介して設けられたことを特徴とする光触媒作用と蓄光作用を有するプラスチック材料。
【請求項2】
前記プラスチック原料(1)の表面或いは裏面には、光触媒(3)と一緒にハイドロキシアパタイト(5)が設けられた請求項1記載の光触媒作用と蓄光作用を有するプラスチック材料。
【請求項3】
前記蓄光剤(2)が蓄光プラスチックペレットであり、その混合量が、前記プラスチック原料(1)100部に対して1部〜20部である請求項1記載の光触媒作用と蓄光作用を有するプラスチック材料。
【請求項4】
プラスチック原料(1)には、所定周波数が発振される蓄光剤(2)を混合して板状に形成し、その表面には少なくとも、前記蓄光剤(2)から発振される所定周波数で反応して励起状態となる光触媒(3)が設けられたことを特徴とする光触媒作用と蓄光作用を有するプラスチック材料の板材。
【請求項5】
前記プラスチック原料(1)の表面には、バインダー(4)を介して光触媒(3)と一緒にハイドロキシアパタイト(5)が設けられた請求項4記載の光触媒作用と蓄光作用を有するプラスチック材料の板材。
【請求項6】
プラスチック原料(1)には、所定周波数が発振される蓄光剤(2)を混合してシート状に形成し、その表面には少なくとも、前記蓄光剤(2)から発振される所定周波数で反応して励起状態となる光触媒(3)が設けられたことを特徴とする光触媒作用と蓄光作用を有するプラスチック材料のシート材。
【請求項7】
前記プラスチック原料(1)の表面には、バインダー(4)を介して光触媒(3)と一緒にハイドロキシアパタイト(5)が設けられた請求項6記載の光触媒作用と蓄光作用を有するプラスチック材料のシート材。
【請求項8】
前記プラスチック原料(1)の表面の光触媒(3)が、筋状或いは格子縞状に設けられた請求項6又は7記載の光触媒作用と蓄光作用を有するプラスチック材料のシート材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−233133(P2006−233133A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−53357(P2005−53357)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(395006270)株式会社トライ・カンパニー (9)
【Fターム(参考)】