説明

光触媒担持部材及びその製造方法

【課題】ソーダ石灰ガラスなどのアルカリ金属イオン及び/またはアルカリ土類金属イオンが溶出しやすい基材を用いた光触媒担持部材において、光触媒能、初期防汚能、耐摩耗性及び表面硬度に優れた光触媒担持部材を得る。
【解決手段】6cm×6cm×2mmのサイズの試料プレート3枚を250gの蒸留水中に80℃で24時間浸漬し、この蒸留水中のアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンの量を原子吸光分析で測定することにより求められる総イオン溶出量が1.0μg/cm以上である基材と、ポリシラザンまたはその変性物を主成分とするプレコート組成物を、前記基材上に塗布し、硬化させて形成されるプレコート層と、層状チタン酸に層間膨潤作用を有する塩基性化合物を作用させることにより層間を膨潤または剥離して得られる薄片状チタン酸を、前記プレコート層の上に塗布した後、熱処理することにより形成される光触媒含有層とを備えることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーダ石灰ガラスなどのアルカリ金属イオン及び/またはアルカリ土類金属イオンが溶出しやすい基材を用いた光触媒担持部材及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酸化チタンをガラス表面にコーティングし、光触媒能や超親水能を持たせた機能性ガラスが知られている。
【0003】
ガラスは、主要成分の違い等により分類されており、それぞれ性質が異なっている。例えば、ケイ酸ガラスやホウケイ酸ガラスは、耐熱性が高く、実験用などの器具に使用されている特殊用途ガラスであり、溶融温度が高いために、成形時に高いエネルギーが必要で、大量生産が困難である。一方、一般用途向けのソーダ石灰ガラスは、NaOやCaOを含ませることにより、低温で溶融加工できるようにしたものである。そのため、耐水性、耐酸性などの化学的耐久性が低い。また、ガラス中に含まれるアルカリ金属イオン及び/またはアルカリ土類金属イオン、特にナトリウムイオンが溶出してしまうという欠点を有している。
【0004】
ガラスなどの基材の上に、酸化チタンをコーティングし、光触媒能を付与する方法が知られている。特許文献1においては、基材の上に、ポリシラザンまたはその変性物を主成分とする塗膜形成用組成物を塗布し、これを硬化した後、さらに高温水で処理することにより、基材上にシリカ質セラミックス層を形成し、このシリカ質セラミックス層の上に、酸化チタンを含有した光触媒含有層を形成することが開示されている。高温水で処理することにより、シリカ質セラミックス層中に残存するアンモニア等の成分を除去し、シリカセラミックス層と光触媒含有層との密着性を向上させている。
【0005】
しかしながら、光触媒として、粒子状の酸化チタンを使用しているため、光触媒能を有しているものの、塗膜表面が平滑でなく、汚染物質の初期付着が多いという問題があった。また、酸化チタンゾルのみを用いて光触媒含有層を形成すると密着性及び耐摩耗性において劣るため、シリコーン系化合物などのバインダーを用いて光触媒含有層を形成する必要があった。
【0006】
特許文献2においては、板状の光触媒性金属酸化物粒子と、シリカまたはシリコーン前躯体などとを含む光触媒含有層を形成することにより、良好な耐摩耗性を有する光触媒性親水性部材が得られることが開示されている。
【0007】
また、特許文献3においては、層状チタン酸塩をアルキルアンモニウムでイオン交換処理することによって得られる鱗片状の酸化チタン微粒子と、バインダーとしての酸化ケイ素または酸化チタンのゾルとを含んだコーティング材を、ホウケイ酸ガラスなどからなる基材の上に塗布して形成することが開示されている。
【0008】
しかしながら、上記の特許文献1〜3においては、ソーダ石灰ガラスなどのアルカリ金属イオン及び/またはアルカリ土類金属イオンが溶出しやすい基材を用いた場合に、基材から溶出するアルカリ金属イオン及び/またはアルカリ土類金属イオンによる影響は考慮されていない。
【0009】
特許文献4においては、ソーダ石灰ガラスを基材として用いた場合において、基材の表面上に、第1層としてAlを含むSiO膜を成膜し、その上に第2層として、TiOを主成分とした膜を成膜する光触媒ガラスが開示されている。基材の上に、Al−SiO膜を設けることにより、基材からのナトリウムイオンの拡散を防止し、光触媒機能を十分に発揮させることができるとされている。
【0010】
しかしながら、層状チタン酸に層間膨潤作用を有する塩基性化合物を作用させることにより層間を膨潤または剥離して得られる薄片状チタン酸を、光触媒として用いる場合、このような方法によっても十分な光触媒能、初期防汚能、耐摩耗性、及び表面硬度を得ることができなかった。
【特許文献1】特開2001−335950号公報
【特許文献2】特開平11−76834号公報
【特許文献3】特開2005−290369号公報
【特許文献4】特開平11−60281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、ソーダ石灰ガラスなどのアルカリ金属イオン及び/またはアルカリ土類金属イオンが溶出しやすい基材を用いた光触媒担持部材において、光触媒能、初期防汚能、耐摩耗性、及び表面硬度に優れた光触媒担持部材及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の光触媒担持部材は、6cm×6cm×2mmのサイズの試料プレート3枚を250gの蒸留水中に80℃で24時間浸漬し、この蒸留水中のアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンの量を原子吸光分析で測定することにより求められる総イオン溶出量が1.0μg/cm以上である基材と、ポリシラザンまたはその変性物を主成分とするプレコート組成物を、基材上に塗布し、硬化させて形成されるプレコート層と、層状チタン酸に層間膨潤作用を有する塩基性化合物を作用させることにより層間を膨潤または剥離して得られる薄片状チタン酸を、プレコート層の上に塗布した後、熱処理することにより形成される光触媒含有層とを備えることを特徴としている。
【0013】
本発明において用いる基材は、上記のアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンの総イオン溶出量が、1.0μg/cm以上である。ここで、アルカリ金属イオンとは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンであり、アルカリ土類金属イオンとは、ベリリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンである。本発明においては、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンの総溶出イオン量が高い基材を用いた場合において、基材から溶出するアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンの総イオン溶出量、特にナトリウムイオン溶出イオン量が光触媒含有層に与える影響を低減することにより、光触媒能、初期防汚能、耐摩耗性、及び表面硬度に優れた光触媒担持部材としている。アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンの総イオン溶出量が1.0μg/cm以上である基材としては、ソーダ石灰ガラス、タイルまたはホーローから形成された基材が挙げられる。
【0014】
ソーダ石灰ガラスは、ソーダーライムガラスまたはソーダーガラスとも呼ばれるガラスであり、ケイ素原子及び酸素原子からなる正四面体構造が連なったケイ酸イオン中にナトリウムイオン、カルシウムイオンなどが入り込んだケイ酸塩の構造を有するものである。ガラス転位点は、例えば、約730℃であり、融点は約1000℃である。組成としては、SiO−NaO・KO−CaO・MgO−Alなどが挙げられる。具体的な組成としては、例えば、SiO60〜75mol%、NaO・KO10〜20mol%、CaO・MgO5〜15mol%、Al0〜5mol%、Fe0.1%などが挙げられる。
【0015】
本発明において基材として用いるタイルとしては、土(粘土)や石(カオリン・長石・珪石・花崗岩等)を粉砕したものを、高温で焼き固めた板状のもので、ガラス質の釉薬をかけて焼き上げ、一般に建物の内部または外部を覆うために用いられているものが挙げられる。素地の質や吸水率によって陶器タイル、せっ器タイル、磁器タイルに分類され、素地が多孔質で粗く、吸水率の大きい(5.0〜22.5重量%)ものが陶器タイルと一般に呼ばれ、陶器タイルに比べて素地が硬く、吸水率(1.0〜5.0重量%)のものをせっ器タイルと呼び、素地がきめ細やかで硬く、吸水率の小さい(1.0%以下)ものを磁器タイルと呼んでいる。
【0016】
本発明において基材として使用するホーローとしては、鉄やアルミなどの金属板の表面に、ガラス質の釉薬をかけて焼き上げたものが挙げられ、一般に建物の内部または外部を覆うために用いられているものが挙げられる。
【0017】
本発明において、プレコート層を形成するためのプレコート組成物に主成分として含まれるポリシラザンまたはその変性物は、以下の一般式〔I〕で表される単位からなる主骨格を有するものが挙げられる。
【0018】
【化1】

【0019】
(式中、R、R及びRは、それぞれに独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはアリール基を示す。ただし、R、R及びRの内の少なくとも1つは、水素原子である。また、nは5〜500の範囲内の整数であることが好ましい。)
【0020】
本発明の光触媒担持部材の製造方法は、上記本発明の光触媒担持部材を製造することができる方法であり、基材上に、プレコート組成物を塗布した後、硬化させてプレコート層を形成する工程と、プレコート層の上に層状チタン酸に層間膨潤作用を有する塩基性化合物を作用させることにより層間を膨潤または剥離して得られる薄片状チタン酸の懸濁液を塗布した後、熱処理して光触媒含有層を形成する工程とを備えることを特徴としている。
【0021】
本発明の製造方法によれば、本発明の光触媒担持部材を効率良く、容易に製造することができる。
【0022】
本発明の製造方法において、光触媒含有層を形成するための熱処理温度は、400〜700℃の範囲内であることが好ましい。熱処理温度が400℃未満であると、薄片状チタン酸が高い光触媒性能を有するアナターゼ型酸化チタンへ転移しないため光触媒性能が低くなり、また熱処理温度が700℃を超えると、光触媒性能の低いルチル型酸化チタンへさらに転移が進んでしまうためである。
【発明の効果】
【0023】
本発明においては、ポリシラザンまたはその変性物を主成分とするプレコート組成物からなるプレコート層を、基材の上に形成し、このプレコート層の上に、層状チタン酸に層間膨潤作用を有する塩基性化合物を作用させることにより層間を膨潤または剥離して得られる薄片状チタン酸からなる光触媒含有層を形成している。このため、基材から溶出するアルカリ金属イオン及び/またはアルカリ土類金属イオン、特にナトリウムイオンが、光触媒含有層に移動するのをプレコート層によって防止することができる。従って、本発明によれば、光触媒能、初期防汚能、耐摩耗性、及び表面硬度に優れた光触媒担持部材とすることができる。
【0024】
また、本発明の製造方法によれば、本発明の光触媒担持部材を効率良く容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明において、プレコート層を形成するためのプレコート組成物は、上述のように、ポリシラザンまたはその変性物を主成分とするものである。ポリシラザンまたはその変性物は、上述のように、一般式〔I〕で表される単位からなる主骨格を有するポリシラザンまたその誘導体であることが好ましい。数平均分子量は、100〜10000の範囲であることが好ましい。このようなポリシラザンまたはその変性物として、例えば、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)社製の商品名NP−110、NP−120、NN−110、NN−120などが挙げられる。
【0026】
本発明において用いる薄片状チタン酸は、上述のように、層状チタン酸に層間膨潤作用を有する塩基性化合物を作用させることにより層間を膨潤または剥離することによって得ることができる。層状チタン酸は、層状チタン酸塩を酸または温水で処理することにより得ることができる。
【0027】
層状チタン酸塩としては、例えば、炭酸カリウムと炭酸リチウムと二酸化チタンをK/Li/Ti=3/1/6.5(モル比)で混合して摩砕し、800℃で焼成することにより得られる、K0.8Li0.27Ti1.73を挙げることができる。
【0028】
また、アルカリ金属またはアルカリ金属のハロゲン化物もしくは硫酸塩をフラックスとし、フラックス/原料の重量比が0.1〜2.0となるように混合した混合物を700〜1200℃で焼成することにより得られる式A□Ti2−(y+z)(式中A及びMは互いに異なる1〜3価の金属、□はTiの欠陥部位を示す。xは0<x<1.0を満たす正の実数であり、y及びzはそれぞれ0<y+z<1.0を満たす0または正の実数である。)で表される層状チタン酸塩を挙げることができる。
【0029】
上記式におけるAは、価数1〜3価の金属であり、好ましくは、K、Rb、及びCsから選ばれる少なくとも一種である。Mは、金属Aとは異なる価数1〜3価の金属であり、好ましくは、Li、Mg、Zn、Cu、Fe、Al、Ga、Mn、及びNiから選ばれる少なくとも一種である。
【0030】
具体的な例としては、K0.80Li0.27Ti1.73、Rb0.75Ti1.75Li0.25、Cs0.70Li0.23Ti1.77、Ce0.700.18Ti1.83、Ce0.70Mg0.35Ti1.65、K0.8Mg0.4Ti1.6、K0.8Ni0.4Ti1.6、K0.8Zn0.4Ti1.6、K0.8Cu0.4Ti1.6、K0.8Fe0.8Ti1.2、K0.8Mn0.8Ti1.2、K0.76Li0.22Mg0.05Ti1.73、K0.67Li0.2Al0.07Ti1.73等を挙げることができる。
【0031】
また、K0.8Li0.27Ti1.73を酸洗後、焼成して得られるK0.5〜0.7Li0.27Ti1.733.85〜3.95が挙げられる。
【0032】
層状チタン酸としては、例えば、上記層状チタン酸塩を酸処理し、交換可能な金属カチオンを水素イオンまたはヒドロニウムイオンで置換することにより得られるものを挙げることができる。酸処理に使用する酸は、特に限定されるものではなく、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸などの鉱酸、あるいは有機酸でも良い。
【0033】
薄片状チタン酸の懸濁液としては、例えば、水系媒体中または水系溶液中で上記層状チタン酸に層間膨潤作用を有する有機塩基性化合物を作用させ、層間を膨潤または剥離することにより得られるものを挙げることができる。
【0034】
層間膨潤作用を有する有機塩基性化合物としては、公知のものが適用でき、例えば、1級〜3級アミン及びそれらの塩、アルカノールアミン及びそれらの塩、4級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、アミノ酸及びそれらの塩等が挙げられる。1級アミン類としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン等及びこれらの塩が挙げられる。2級アミン類としては、例えば、ジエチルアミン、ジペンチルアミン、ジオクチルアミン、ジベンジルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジ(3−エトキシプロピル)アミン等及びこれらの塩が挙げられる。3級アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリオクチルアミン、トリ(2−エチルヘキシル)アミン、トリ(3−エトキシプロピル)アミン、ジポリオキシエチレンドデシルアミン等及びこれらの塩が挙げられる。アルカノールアミン類としては、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等及びこれらの塩が挙げられる。水酸化4級アンモニウム塩類としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。4級アンモニウム塩類としては、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、トリメチルフェニルアンモニウム塩、ジメチルジステアリルアンモニウム塩、ジメチルジデシルアンモニウム塩、ジメチルステアリルベンジルアンモニウム塩、ドデシルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンドデシルメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0035】
ホスホニウム塩類としては、例えば、テトラブチルホスホニウム塩、ヘキサデシルトリブチルホスホニウム塩、ドデシルトリブチルホスホニウム塩、ドデシルトリフェニルホスホニウム塩等の有機ホスホニウム塩等が挙げられる。また、12−アミノドデカン酸、アミノカプロン酸等のアミノ酸類及びこれらの塩や、ポリエチレンイミン等のイミン類及びこれらの塩も使用可能である。
【0036】
そしてこれらの塩基性化合物は、目的に応じて、1種類あるいは数種類を混合して用いてもよい。特に、疎水性の高い塩基性化合物単独では剥離が十分に進まないため、親水性の高い塩基性化合物と併用することが好ましい。
【0037】
好ましくは、3−メトキシプロピルアミン、n−プロピルアミン、2−メチル−2−アミノ−1−プロパノール等の低級アルキル置換有機塩基性化合物を挙げることができる。
【0038】
層間膨潤作用のある有機塩基性化合物を作用させる方法としては、酸処理または温水処理後の層状チタン酸を水系媒体に分散させた懸濁液に、撹拌下、塩基性化合物または塩基性化合物を水系媒体で希釈したものを加える方法を挙げることができる。また、塩基性化合物の水系溶液に、撹拌下、該層状チタン酸、またはその懸濁液を加える方法を挙げることができる。
【0039】
水系媒体または水系溶液とは、水、水に可溶な溶媒、または水と水に可溶な溶媒との混合溶媒、あるいはその溶液を意味する。
【0040】
水に可溶な溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、酢酸エチル、プロピレンカーボネート等のエステル類等を挙げることができる。
【0041】
塩基性化合物の添加量は、層状チタン酸塩のイオン交換容量の0.3〜10当量、好ましくは0.5〜2当量とするのがよい。ここで、イオン交換容量とは、交換可能な金属カチオン量であり、例えば層状チタン酸塩が一般式ATi2−(y+z)で表される場合、Aの価数をm、Mの価数をnとするときのmx+nyで表される値をいう。
【0042】
反応は通常、室温〜90℃で、30分〜24時間程度行う。
【0043】
以上のようにして、層状チタン酸に、層間膨潤作用のある有機塩基性化合物を作用させることにより、薄片状チタン酸の懸濁液を得ることができる。
【0044】
薄片状チタン酸の平均長径は、1〜100μmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは10〜50μmの範囲である。平均厚みは、0.5nm〜2μmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは1nm〜1μmの範囲である。
【0045】
薄片状チタン酸の平均長径は、塩基性化合物を作用させて層間剥離を行う工程で、強い剪断力での攪拌を行わない限り、原料である層状チタン酸塩の平均長径をほぼ保つことができる。
【0046】
薄片状チタン酸の平均長径が1μm未満であると、均一な塗膜が形成しにくい場合がある。また、平均長径が100μmを超える薄片状チタン酸は、平均長径が100μmを超える原料の層状チタン酸塩を合成するのが困難である。
【0047】
薄片状チタン酸の平均厚みは、層状チタン酸を単層まで剥離した際の厚みが0.5nm程度であるので、平均厚みを0.5nm未満とすることは困難である。また、平均厚みが2μmを超えると、薄片状チタン酸の懸濁液が、均一に分散しにくくなり、薄片状チタン酸が沈降する場合がある。
【0048】
薄片状チタン酸を、例えば懸濁液として塗布し、熱処理することにより、光触媒含有層を形成することができる。薄片状チタン酸の懸濁液の濃度は、固形分濃度として、0.01〜50重量%の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜10重量%の範囲である。固形分濃度が0.01重量%未満であると、粘度が低いため塗膜を形成しにくい場合があり、50重量%を超えると、粘度が高くなるため、扱いが困難となる場合がある。
【0049】
本発明の製造方法によれば、基材上に、プレコート組成物を塗布した後、硬化させてプレコート層を形成し、該プレコート層の上に、薄片状チタン酸の懸濁液を塗布した後、熱処理して光触媒含有層を形成する。
【0050】
プレコート組成物は、例えば、スプレーコート、ディップコート、スピンコート、フローコート、ロールコート等の方法で塗布することができる。プレコート組成物を塗布した後、加熱して硬化させる。この硬化処理は、例えば、25〜250℃の温度で、1分間〜1時間加熱することにより硬化させることができる。
【0051】
プレコート層の膜厚は、40nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは50nm〜200nmの範囲である。プレコート層の膜厚が40nm以下だと、基材から溶出されるアルカリ金属イオン及び/またはアルカリ土類金属イオン、特にナトリウムイオンが、光触媒含有層に移動するのを抑制する効果が十分に得られない場合がある。また、プレコート層の膜厚が1000nm以上であっても、効果は変わらず、それ以上の膜厚は不経済となる。
【0052】
薄片状チタン酸の懸濁液は、層状チタン酸に層間膨潤作用を有する塩基性化合物を作用させることにより層間を膨潤または剥離して得られる薄片状チタン酸の水系懸濁液をそのまま用いてもよいし、この水系懸濁液を親水性アルコール中に分散させて含水アルコール懸濁液として用いてもよい。親水性アルコールとしては、例えばエタノールが好ましい。
【0053】
以上のようにして作製した薄片状チタン酸の分散液を、プレコート層の上に塗布した後、熱処理して光触媒含有層を形成する。熱処理の温度は、上述のように、400〜700℃の範囲であることが好ましい。また、熱処理時間は、例えば、10分間〜1時間である。
【0054】
光触媒含有層の厚みは、特に限定されるものではないが、一般には、4nm〜50nmの範囲であり、好ましくは10nm〜20nmの範囲である。光触媒含有層の厚みが薄すぎると、光触媒能が十分に得られない場合がある。光触媒含有層の厚みが厚すぎても、効果は変わらず、不経済となる。
【0055】
薄片状チタン酸の懸濁液には、必要に応じて、バインダーを添加してもよい。バインダーとしては、テトラエトキシシラン等のシリカ系バインダー、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミナ系バインダー、チタニウムテトライソプロポキシド等のチタニア系バインダーが挙げられる。これらのバインダーは、例えば、薄片状チタン酸の懸濁液に対して、0.01〜0.1重量%となるように添加することができる。
【0056】
バインダーを添加することにより、光触媒含有層の耐摩耗性を向上させることができ、プレコート層に対する密着性も高めることができる。
【0057】
本発明によれば、表面硬度及び耐摩耗性に優れ、汚染物質の初期付着が低減された光触媒担持部材を得ることができる。本発明の光触媒担持部材は、例えば、一般家庭用窓ガラス、列車、バス、自動車等の窓ガラス、照明器具用ガラス、太陽電池のカバーガラスなどに用いることができる。さらには、タイルやホーローなどの、ソーダ石灰ガラス系の釉薬が塗布されたものに対しても本発明を適用することができる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能なものである。
【0059】
<薄片状チタン酸懸濁液の合成>
(合成例1)
炭酸カリウム27.64g、炭酸リチウム4.91g、及び二酸化チタン69.23gを乾式で粉砕混合した原料を1060℃にて4時間焼成した。焼成後の試料を10kgの脱イオン水に浸して20時間撹拌後に分離、水洗したものを110℃で乾燥した。得られた白色粉末は、層状チタン酸塩K0.80Li0.27Ti1.73であり、平均長径32μmであった。
【0060】
この層状チタン酸塩65gを3.5%塩酸5Kgに分散攪拌し、40℃で2時間反応させた後、吸引濾過で分離し、水洗した。得られた層状チタン酸のKO残存量は0.2%、金属イオン交換率は99.6%であった。得られた層状チタン酸全量を脱イオン水1.6kgに分散し、3−メトキシ−プロピルアミン15.1g(1当量)を脱イオン水0.4kgに溶解した液を攪拌しながら添加し、40℃で12時間攪拌した後、マイクロメッシュ濾過を行い、薄片状チタン酸懸濁液を得た。得られた懸濁液はpH=11.0、濃度2.7重量%であり、しばらく静置しても固形物の沈降は見られなかった。これを薄片状チタン酸懸濁液Aとした。薄片状チタン酸の平均長径は31μmであり、平均厚みは1nmであった。
【0061】
(合成例2)
塩基性化合物をn−プロピルアミンに代える以外は、合成例1と同様の方法で薄片状チタン酸懸濁液Bを調製した。得られた薄片状チタン酸懸濁液Bは、pH=11.5、濃度2.9重量%であり、しばらく静置しても固形物の沈降は見られなかった。平均長径は31μmであり、平均厚みは1nmであった。
【0062】
(合成例3)
塩基性化合物を2−メチル−2−アミノ−1−プロパノールに代える以外は合成例1と同様の方法で薄片状チタン酸懸濁液Cを調製した。得られた薄片状チタン酸懸濁液Cは、pH=10.6、濃度3.1重量%であり、しばらく静置しても固形物の沈降は見られなかった。平均長径は31μmであり、平均厚みは1nmであった。
【0063】
(合成例4)
合成例1の薄片状チタン酸懸濁液A18.5gを脱イオン水31.5gで希釈し、さらにエタノール150g、チタンイソプロポキシド0.05gを加えて、0.25重量%の薄片状チタン酸エタノール懸濁液Dとした。
【0064】
<光触媒担持部材の製造>
光触媒担持部材の基材として、ソーダ石灰ガラス板、一般内装用タイル、及び一般内装用ホーロー板を用いた。タイルは、陶器タイルであり、その表面をガラス質の釉薬へ処理したものである。ホーロー板は、鉄板(鋼板)の上にガラス質の釉薬をかけて焼き上げたものである。それぞれの基材について、ナトリウムイオン、リチウムイオン、カリウムイオン、ベリリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンのイオン溶出量(総イオン溶出量)を測定した。総イオン溶出量は、基材(6cm(縦)×6cm(横)×2mm(厚み))3枚を250gの蒸留水中に80℃で24時間浸漬し、蒸留水中の各イオン量を原子吸光分析で測定することにより求めた。各基材の総イオン溶出量は以下の通りである。
【0065】
ソーダ石灰ガラス板:2.90μg/cm
一般内装用タイル:12.3μg/cm
一般内装用ホーロー板:15.6μg/cm
【0066】
(実施例1)
ポリシラザン(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)社製、商品名NP−110、20重量%キシレン溶液)を、酢酸ブチル溶剤で2重量%に希釈し、6cm(縦)×6cm(横)×2mm(厚み)のソーダ石灰ガラス板に、スピンコート法にて塗布し、25℃で1時間乾燥して、プレコート層(膜厚50nm)を形成した。
【0067】
このプレコート層の上に、合成例1で製造した薄片状チタン酸懸濁液Aをスピンコート法にて塗布し、塗布後500℃で10分間焼成して光触媒含有層(膜厚10nm)を形成し、光担持部材を得た。
【0068】
(実施例2)
ポリシラザン(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)社製、商品名NN−110、20重量%キシレン溶液)を、酢酸ブチル溶剤で2重量%に希釈し、6cm(縦)×6cm(横)×2mm(厚み)のソーダ石灰ガラス板に、スピンコート法にて塗布し、25℃で1時間乾燥して、プレコート層(膜厚50nm)を形成した。
【0069】
このプレコート層の上に、合成例2で製造した薄片状チタン酸懸濁液Bをスピンコート法にて塗布し、塗布後500℃で10分間焼成して光触媒含有層(膜厚10nm)を形成し、光担持部材を得た。
【0070】
(比較例1)
薄片状チタン酸懸濁液Aに代えて、粒子状酸化チタン(日本曹達(株)社製、商品名「ビストレイターL NRC−360C」)をエタノールで希釈して2重量%とした酸化チタンエタノール懸濁液を用いる以外は、実施例1と同様にして光触媒担持部材を得た。なお、光触媒含有層の膜厚は、10nmとした。
【0071】
(比較例2)
ポリシラザンに代えて、アルコキシシラン(日本曹達(株)社製、商品名「ビストレイターH NDH−500A」)を、エタノールで2重量%に希釈したものを用い、薄片状チタン酸懸濁液に代えて、比較例1と同じ酸化チタンのエタノール懸濁液を用いる以外は、実施例1と同様にして光触媒担持部材を得た。なお、光触媒含有層の膜厚は、10nmとした。
【0072】
(比較例3)
比較例2と同じアルコキシシランを用い、実施例1と同様の薄片状チタン酸懸濁液Aを用いる以外は、実施例1と同様にして光触媒担持部材を得た。
【0073】
〔光触媒担持部材の評価〕
実施例1〜2及び比較例1〜3で作製した光触媒担持部材について、接触角、分解率、初期付着、耐摩耗性及び表面硬度を測定した。接触角は、超親水性を評価するものであり、分解率は光分解能を評価するものである。初期付着は、初期防汚能を評価するものであり、耐摩耗性は密着性を評価するものである。これらについて以下のようにして評価した。
【0074】
(1)接触角
光触媒担持部材の光触媒含有層を形成した面の上に、ブラックライト(1mW/cm)を12時間照射した後、純水を滴下し、その接触角を測定した。
【0075】
(2)分解率
以下に説明する初期付着を測定した後、ブラックライト(1mW/cm)を3時間照射し、照射後のメチレンブルー(MB)の量を測定することにより、ブラックライトの照射前及び照射後のMB量から分解率を算出した。
【0076】
(3)初期付着
光触媒担持部材を、0.1mMのメチレンブル−(MB)水溶液に一晩浸漬し、その後取り出してから脱イオン水で洗浄した後、可視紫外分光光度計でMBの吸収スペクトルの面積を測定した。
【0077】
(4)耐摩耗性
JIS(日本工業規格) K5400に準拠して、光触媒含有層の表面に碁盤目を形成し、これにテープを張り付けて剥離し、100個の碁盤目の内剥離した個数を示した。
【0078】
(5)表面硬度
JIS K5400に従い、鉛筆硬度を測定した。
【0079】
測定結果を表1に示す。
【0080】
【表1】

【0081】
表1に示すように、薄片状チタン酸に代えて、粒子状酸化チタンを用いた比較例1においては、実施例1及び2に比べ、光触媒能(接触角及び分解率)が低くなっており、初期防汚能(初期付着)、耐摩耗性(密着性)及び表面硬度も低下していることがわかる。
【0082】
比較例2は、ポリシラザンに代えて、アルコキシシランを用い、薄片状チタン酸に代えて、粒子状酸化チタンを用いたものである。また、比較例3は、ポリシラザンに代えてアルコキシシランを用い、光触媒含有層は、薄片状チタン酸を用いて形成したものである。比較例2及び比較例3は、光触媒能(接触角及び分解率)、初期防汚能(初期付着)、耐摩耗性(密着性)及び表面硬度のいずれも実施例1及び2に比べかなり悪くなっている。比較例2と比較例3を比較するとほぼ同程度であるのに対し、実施例1及び2と、比較例1とを比較すると、比較例1の粒子状酸化チタンに代えて、本発明に従い薄片状チタン酸を用いることにより、光触媒能(接触角及び分解率)、初期防汚能(初期付着)、耐摩耗性(密着性)、及び表面硬度が著しく向上していることがわかる。従って、ポリシラザンからなるプレコート層を用いることにより、薄片状チタン酸の光触媒能等の性能をより良く発揮できることがわかる。これは、ポリシラザンからなるプレコート層を基材上に設けることにより、基材から溶出するアルカリ金属イオン及び/またはアルカリ土類金属イオン、特にナトリウムイオンの影響を効果的に低減することができることによるものと思われる。
【0083】
(実施例3)
実施例1で用いたのと同様のポリシラザンを、酢酸ブチル溶剤で2重量%に希釈し、14cm(縦)×14cm(横)×4mm(厚み)の大きさの一般内装用タイルに、スピンコート法にて塗布し、25℃で1時間乾燥してプレコート層(膜厚100nm)を形成した。次に、合成例3で製造した薄片状チタン酸懸濁液Cを、このプレコート層の上にスピンコート法にて塗布し、その後500℃で10分間焼成することにより光触媒含有層(膜厚10nm)を形成し、光触媒担持部材を得た。
【0084】
(実施例4)
実施例2で用いたポリシラザンを、酢酸ブチル溶剤で2重量%に希釈し、6cm(縦)×6cm(横)×1mm(厚み)の一般内装用ホーロー板にディップコート法にて塗布し、塗布後200℃で10分間乾燥して、プレコート層(膜厚100nm)を形成した。合成例4で製造した薄片状チタン酸エタノール懸濁液Dを、このプレコート層の上にディップコート法にて塗布し、その後500℃で10分間焼成することにより光触媒含有層(膜厚10nm)を形成し、光触媒担持部材を得た。
【0085】
(比較例4)
薄片状チタン酸懸濁液Cに代えて、比較例1において用いたのと同様の酸化チタンエタノール分散液を用いて光触媒含有層(膜厚10nm)を形成すること以外は、実施例3と同様にして光触媒担持部材を得た。
【0086】
(比較例5)
比較例2で用いたのと同様のアルコキシシランを用いてプレコート層(膜厚100nm)を形成し、薄片状チタン酸懸濁液Cに代えて薄片状チタン酸懸濁液Bを用いる以外は、実施例3と同様にして光触媒担持部材を得た。
【0087】
〔光触媒担持部材の評価〕
上記と同様にして、実施例3〜4及び比較例4〜5の光触媒担持部材について、光触媒能(接触角及び分解率)、初期防汚能(初期付着)、耐摩耗性(密着性)、及び表面硬度について測定し、測定結果を表2に示した。
【0088】
【表2】

【0089】
表2に示すように、本発明に従いポリシラザンからプレコート層を形成し、薄片状チタン酸を用いて光触媒含有層を形成した実施例3及び4は、比較例4及び5に比べ、光触媒能、初期防汚能、耐摩耗性及び表面硬度において優れていることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
6cm×6cm×2mmのサイズの試料プレート3枚を250gの蒸留水中に80℃で24時間浸漬し、この蒸留水中のアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンの量を原子吸光分析で測定することにより求められる総イオン溶出量が1.0μg/cm以上である基材と、
ポリシラザンまたはその変性物を主成分とするプレコート組成物を、前記基材上に塗布し、硬化させて形成されるプレコート層と、
層状チタン酸に層間膨潤作用を有する塩基性化合物を作用させることにより層間を膨潤または剥離して得られる薄片状チタン酸を、前記プレコート層の上に塗布した後、熱処理することにより形成される光触媒含有層とを備える光触媒担持部材。
【請求項2】
基材が、ソーダ石灰ガラス、タイルまたはホーローから形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光触媒担持部材。
【請求項3】
ポリシラザンまたはその変性物が、以下の一般式〔I〕で表される単位からなる主骨格を有することを特徴とする請求項1または2に記載の光触媒担持部材。
【化1】

(式中、R、R及びRは、それぞれに独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはアリール基を示す。ただし、R、R及びRの内の少なくとも1つは、水素原子である。)
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の光触媒担持部材を製造する方法であって、
前記基材上に、前記プレコート組成物を塗布した後、硬化させて前記プレコート層を形成する工程と、
前記プレコート層の上に前記薄片状チタン酸の懸濁液を塗布した後、熱処理して前記光触媒含有層を形成する工程とを備えることを特徴とする光触媒担持部材の製造方法。
【請求項5】
熱処理温度が、400〜700℃の範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の光触媒担持部材の製造方法。

【公開番号】特開2010−115581(P2010−115581A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289501(P2008−289501)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000206901)大塚化学株式会社 (55)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【Fターム(参考)】