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光触媒水素生成デバイスおよび水素製造設備
説明

光触媒水素生成デバイスおよび水素製造設備

【課題】
太陽光を利用して水蒸気を分解し、水素を生成することを可能とする光触媒水素生成デバイスおよびこれを使用して水素を製造する水素製造設備を提供する。
【解決手段】 光触媒水素生成デバイス1は、電解質層21と、電解質層21の上方の面に形成された光触媒陽極22と、電解質層21の下方の面に形成された水素生成陰極23とを備えている。電解質層21は、プロトン伝導性を持つ固体高分子電解質膜とされている。光触媒陽極22は、光触媒粒子24、電子伝導体25およびプロトン伝導体26からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒水素生成デバイスおよび水素製造設備に関し、特に、水の光分解反応により水素を生成するのに用いられる光触媒水素生成デバイスおよびこのデバイスを使用した水素製造設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、太陽光を利用した水の光分解反応により水素を生成する装置において、水素生成側の電極を光触媒陽極とすることが提案されている。
【0003】
また、特許文献2には、水蒸気を電解して水素を製造することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−89336号公報
【特許文献2】特開2008−223107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光触媒を利用した水の完全分解(水からの水素製造)システムにおいて、自然エネルギーである太陽光および水から水素(化学エネルギー)を取り出すことが可能となるが、システムに必要となる安定した太陽光を得られる地域には水が豊富に存在しない地域もある。この場合、このシステムの成立は困難になる。例えば、このような水が十分に確保しにくい地域におけるシステム導入においては、発電設備+光触媒水素製造装置の併設が1つの方法として考えられる。すなわち、光触媒を利用した水素製造システムの水源として水蒸気利用可能となれば、上記のような地域におけるシステム導入において、発電設備におけるタービン回転に使用後の水蒸気を有効利用することができ、設備規模を抑えることに繋がる。
【0006】
また、上記の地域向け以外でも、例えば比較的小規模な局所的水素製造システムを考える場合においては、タービンを用いる各発電設備に光触媒水素製造設備を併設することで、水蒸気を有効利用して水素を取り出すことが可能となる。
【0007】
そこで、水の光分解反応により水素を生成する装置において、水蒸気の電解が可能となれば、発電設備で得られる水蒸気から太陽光を利用した水素の生成が可能となり、用途が広がる。しかしながら、例えば特許文献2の装置において、光触媒陽極を使用するだけでは、プロトンの伝導が十分に行われないため、効率よく水素を生成することが困難であるという問題があった。
【0008】
この発明の目的は、太陽光を利用して水蒸気を分解し、水素を生成することを可能とする光触媒水素生成デバイスおよびこれを使用して水素を製造する水素製造設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明による光触媒水素生成デバイスは、電解質層と、電解質層の一方の面に形成された光触媒陽極と、電解質層の他方の面に形成された水素生成陰極とを備えている水素生成デバイスであって、電解質層は、プロトン伝導性を持つ固体高分子電解質膜とされ、光触媒陽極は、光触媒粒子、電子伝導体およびプロトン伝導体からなることを特徴とするものである。
【0010】
光触媒陽極において、光触媒反応により、水からプロトンと酸素が生成される。プロトン(H)は、電解質中を水素生成陰極側に移動・拡散する。これにより、水素生成陰極上でプロトンから水素が生成される。こうして、自然エネルギーである太陽光と水とから低環境負荷で水素の製造が可能となる。水ではなく、水蒸気を電解する場合、従来の光触媒陽極を使用しただけでは、プロトンが電解質中を伝導することが困難なため、効率が悪くなるが、光触媒陽極にプロトン伝導体が含まれるとともに、電解質層がプロトン伝導性を持つ固体高分子電解質膜とされることで、プロトンの伝導が促進され、効率のよい水素製造が可能となる。
【0011】
この発明による光触媒水素生成デバイスは、水蒸気から水素を製造するのに特に有用なものであるが、水から水素を製造する場合にも適用することができる。
【0012】
光触媒陽極の電子伝導体は、炭素系材料であることが好ましい。具体的には、カーボンナノチューブおよびカーボンナノコイルと称されており、直径1nm〜数百nm程度で、長さが1μm〜数百μmの極細炭素繊維がより好ましい。極細炭素繊維を電子伝導体として使用することで、内部抵抗が低減し、電子の移動性向上につながり、反応促進に有利となる。
【0013】
光触媒陽極のプロトン伝導体は、固体高分子電解質材料であることが好ましい。具体的には、フッ素樹脂系アイオノマーや炭化水素樹脂系アイオノマーと称されるポリマー、Nafion(デュポン社商標登録)などのスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体、リン酸などの無機酸を炭化水素系高分子材料にドープさせたもの、一部がプロトン伝導性の官能基で置換された有機/無機ハイブリッドポリマーなどが挙げられる。これらのうち、フッ素樹脂系アイオノマーや炭化水素樹脂系アイオノマーと称されるポリマーがより好ましい。
【0014】
光触媒陽極は、炭素系材料(例えばカーボンナノチューブ)および光触媒粒子を固体高分子電解質材料(例えば炭化水素樹脂系アイオノマー)内に分散させることで得ることができる。
【0015】
太陽光照射方向に対して、光触媒陽極、電解質層、水素生成陰極の順に配列されており、光触媒陽極および水素生成陰極は、外部電圧印加用電源と結ばれていることが好ましい。外部電圧を印加することにより、反応をより促進させることができる。
【0016】
電解質層、光触媒陽極および水素生成陰極が容器内に配されて、電解質層によって容器内が陽極空間および陰極空間に仕切られていることが好ましい。電解質層を固体高分子電解質膜とすることで、電解質層が容器内の陽極空間と陰極空間との隔離機能を奏することができ、光触媒水素生成デバイスの構成を簡素化することができる。
【0017】
水蒸気は、陽極空間に設けられた水蒸気注入口から陽極空間内に充満されていることがあり、また、陽極空間への水蒸気注入は、光触媒陽極に直接噴霧されることで行われていることがある。前者(充満型)は、装置を簡易にできるという利点を有しており、後者(噴霧型)は、十分な量の水蒸気を確実に供給できるという利点を有している。
【0018】
この発明による水素製造設備は、水蒸気を生成する発電設備に隣接して設置される水素製造設備であって、発電設備から出される水蒸気を処理する設備としての光触媒水素生成デバイスを備えており、光触媒水素生成デバイスが上記のいずれかに記載のものとされていることを特徴とするものである。
【0019】
この発明の水素製造設備によると、光触媒を利用した水素製造システムの水源として水蒸気が利用可能となり、水が豊富に存在しない地域であっても、発電設備におけるタービン回転に使用後の水蒸気を有効利用することができ、設備規模を抑えることに繋がる。また、比較的小規模な局所的水素製造システムを考える場合において、タービンを用いる各発電設備に光触媒水素製造設備を併設することで、水蒸気を有効利用して水素を取り出すことが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
この発明の光触媒水素生成デバイスによると、電解質層は、プロトン伝導性を持つ固体高分子電解質膜とされ、光触媒陽極は、光触媒粒子、電子伝導体およびプロトン伝導体からなるので、光触媒陽極にプロトン伝導体が含まれるとともに、電解質層がプロトン伝導性を持つ固体高分子電解質膜とされることで、プロトンの伝導が促進され、効率のよい水素製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、この発明による光触媒水素生成デバイスの第1実施形態の全体構成を模式的に示す図である。
【図2】図2は、この発明による光触媒水素生成デバイスの要部である電極の構成を模式的に示す図である。
【図3】図3は、この発明による光触媒水素生成デバイスの第2実施形態の全体構成を模式的に示す図である。
【図4】図4は、この発明による水素製造設備の1実施形態の全体構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
【0023】
この発明による光触媒水素生成デバイス(1)は、図1に示すように、容器(2)と、容器(2)内を上下に二分するように配置された膜電極接合体(MEA)(3)と、容器(2)内の膜電極接合体(3)の上方に形成された陽極空間(4)と、容器(2)内の膜電極接合体(3)の下方に形成された陰極空間(5)と、反応を促進させるための外部電圧を印加する電源(6)とを備えている。
【0024】
陽極空間(4)には、水蒸気注入口(7)および酸素回収口(8)が設けられており、陰極空間(5)には、水素回収口(9)が設けられている。
【0025】
膜電極接合体(3)は、プロトン伝導性を持つ固体高分子電解質膜(電解質層)(21)と、固体高分子電解質膜(21)の上方の面に物理的に固着された光触媒陽極(22)と、固体高分子電解質膜(21)の下方の面に物理的に固着された水素生成陰極(23)とからなる。
【0026】
図1において、上方から太陽光が照射するようになされており、光触媒陽極(22)、固体高分子電解質膜(21)および水素生成陰極(23)は、太陽光照射方向に対して、この順に上から下へと配列されている。
【0027】
光触媒陽極(22)および水素生成陰極(23)は、外部電圧印加用電源(6)と導線(10)(11)によってそれぞれ結ばれている。
【0028】
図2に示すように、光触媒陽極(22)は、光触媒粒子(24)、電子伝導体(25)およびプロトン伝導体(26)からなる。
【0029】
光触媒粒子(24)は、主に3族から14族までに含まれる遷移金属の酸化物、窒化物、酸窒化物、硫化物、フッ化物、酸フッ化物、リン化合物の半導体(例えばTiO2、TaON、CdS、GaPなど)とされている。
【0030】
電子伝導体(25)は、カーボンナノチューブやカーボンナノコイルなどの炭素系材料とされている。
【0031】
プロトン伝導体(26)は、炭化水素樹脂系アイオノマー(固体高分子電解質材料の1例)とされている。
【0032】
光触媒陽極(22)は、電子伝導体(25)としての炭素系材料(例えばカーボンナノチューブ)と光触媒粒子(24)とがプロトン伝導体(26)としての固体高分子電解質材料(例えば炭化水素樹脂系アイオノマー)内に分散させることで得ることができる。
【0033】
光触媒陽極(22)の厚みは、厚すぎると、プロトン伝導が困難になり、また、薄すぎると太陽光の吸収が十分に行えないため、好ましくは、1μm〜100μmの範囲とされる。
【0034】
また、水素生成陰極(23)には、Ptメッシュなど水素還元に優れ、かつ安定な触媒が用いられる。水素生成陰極(23)の厚みは、厚すぎるとプロトン伝導が困難になり、かつ高コストになるため、好ましくは、10μm以下(10nm以上)とされる。
【0035】
図1および図2に示す光触媒水素生成デバイス(1)によると、陽極空間(4)の水蒸気注入口(7)から水蒸気を注入して陽極空間(4)内に充満させ、光触媒陽極(22)に太陽光が照射される。
【0036】
これにより、光触媒陽極(22)においては、光触媒反応(HO+hν→2H+1/2O+2e)により、水蒸気からプロトン(H)と酸素(O)と電子(e)とが生成される。酸素は、陽極空間(4)に設けられた酸素回収口(8)から水蒸気との混合気体として取り出される。電子は、光触媒陽極(22)の電子伝導体(25)を介して外部電源(6)に接続されている導線(10)に至り、さらに水素生成陰極(23)へと流れる。プロトンは、光触媒陽極(22)のプロトン伝導体(26)を介して固体高分子電解質膜(21)へと移動し、固体高分子電解質膜(21)中を水素生成陰極(23)側に移動・拡散する。そして、水素生成陰極(23)に移動したプロトンが水素生成陰極(23)上で還元され、プロトンから水素が生成される。この水素は、陰極空間(5)の水素回収口(9)から取り出される。こうして、自然エネルギーである太陽光と水蒸気とから低環境負荷で水素を製造することができる。
【0037】
上記において、水ではなく水蒸気を使用する場合、従来の光触媒陽極を使用しただけでは、プロトンが電解質中を伝導することが困難なため、効率が悪くなるが、光触媒陽極(22)にプロトン伝導体(26)が含まれるとともに、電解質層がプロトン伝導性を持つ固体高分子電解質膜(21)とされていることで、プロトンの伝導が促進され、効率のよい水素製造が可能となる。
【0038】
陽極空間(4)内への水蒸気注入機構としては、図1に示す充満型に限られるものではなく、図3に示すように、光触媒陽極(22)に直接噴霧する直接噴霧型としてもよい。なお、図3に示す第2実施形態において、第1実施形態と同じ構成には同じ符号付し、その説明を省略する。
【0039】
図3において、容器(2)内には、水蒸気の導管としてのヘッダ(12)が配されており、ヘッダ(12)には、光触媒陽極(22)に向かって水蒸気を噴霧する多数の水蒸気吹出し口が設けられている。
【0040】
図4は上記の光触媒水素生成デバイス(1)を使用した水素製造設備の1実施形態を示している。同図において、上記の光触媒水素生成デバイス(1)を備えた光触媒水素製造設備(31)が、水蒸気を生成する発電設備(32)に隣接して設置されており、発電設備(32)から出される水蒸気を上記の光触媒水素生成デバイス(1)で処理することにより、光触媒を利用した水素製造システムの水源として水蒸気が利用可能とされている。このようにして、タービンを用いる発電設備(32)に光触媒水素製造設備(31)を併設することで、水蒸気を有効利用して水素を取り出すことができる。
【0041】
また、水が豊富に存在しない地域の場合、海水を蒸気源として使用し、発電設備(32)をガスタービンと蒸気タービンとのコンバインドサイクルとすることで、蒸気タービンを回転させた水蒸気を有効利用することができる。したがって、設備規模を抑えた上で、海水を使用しての水素製造が可能となる。
【符号の説明】
【0042】
(1) 光触媒水素生成デバイス
(2) 容器
(4) 陽極空間
(5) 陰極空間
(6) 電源
(21) 固体高分子電解質膜(電解質層)
(22) 光触媒陽極
(23) 水素生成陰極
(24) 光触媒粒子
(25) 電子伝導体
(26) プロトン伝導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質層と、電解質層の一方の面に形成された光触媒陽極と、電解質層の他方の面に形成された水素生成陰極とを備えている水素生成デバイスであって、電解質層は、プロトン伝導性を持つ固体高分子電解質膜とされ、光触媒陽極は、光触媒粒子、電子伝導体およびプロトン伝導体からなることを特徴とする光触媒水素生成デバイス。
【請求項2】
光触媒陽極の電子伝導体は、炭素系材料であることを特徴とする請求項1の光触媒水素生成デバイス。
【請求項3】
光触媒陽極のプロトン伝導体は、固体高分子電解質材料であることを特徴とする請求項1または2の光触媒水素生成デバイス。
【請求項4】
太陽光照射方向に対して、光触媒陽極、電解質層、水素生成陰極の順に配列されており、光触媒陽極および水素生成陰極は、外部電圧印加用電源と結ばれていることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の光触媒水素生成デバイス。
【請求項5】
電解質層、光触媒陽極および水素生成陰極が容器内に配されて、電解質層によって容器内が陽極空間および陰極空間に仕切られていることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の光触媒水素生成デバイス。
【請求項6】
水蒸気は、陽極空間に設けられた水蒸気注入口から陽極空間内に充満されていることを特徴とする請求項5の光触媒水素生成デバイス。
【請求項7】
陽極空間への水蒸気注入は、光触媒陽極に直接噴霧されることで行われていることを特徴とする請求項5の光触媒水素生成デバイス。
【請求項8】
水蒸気を生成する発電設備に隣接して設置される水素製造設備であって、発電設備から出される水蒸気を処理する設備としての光触媒水素生成デバイスを備えており、光触媒水素生成デバイスが請求項1から7までのいずれかに記載のものとされていることを特徴とする水素製造設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−81874(P2013−81874A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221492(P2011−221492)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【Fターム(参考)】