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光触媒物質生成方法および光触媒物質生成装置
説明

光触媒物質生成方法および光触媒物質生成装置

【課題】酸化能が非常に高い高濃度オゾン媒質状態で、光-高電界プラズマ中での化学反応で、高品質の光触媒物質を多量の生成する新たな光触媒物質生成装置及び光触媒物質生成方法を提供する。
【解決手段】酸素ガスを主体にしたガスを供給した放電空隙4に、誘電体3を介し、対向させた1対の電極1,2を設け、電極間に交流電圧を印加させ、放電空隙に誘電体バリア放電(無声放電または沿面放電)を発生させることにより、オゾンガスを含んだ酸素ガスを作り出し、かつ上記誘電体バリア放電によって、金属もしくは金属化合物5,6を光触媒物質に改質させる光触媒物質生成方法および光触媒物質生成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高品質の光触媒物質を生成する光触媒物質生成方法および光触媒物質生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光触媒物質は、物質分解能力と超親水性機能が特に優れており、その機能を利用して大気浄化、水質浄化、有機物質分解や防曇、防汚コーティング材に用いられている。
【0003】
このような光触媒物質を生成する方法や装置は、乾式成膜法と湿式製膜法の2種類に分けられる。
【0004】
乾式成膜法としては、PVD(Physical Vapor Deposition;物理蒸着)とCVD(Chemical Vapor Deposition;化学蒸着)があり、PVDによる光触媒生成法としては、特許文献1および2があった。また、CVDによる光触媒生成法としては、特許文献3および4等があった。
湿式成膜法としては、ゾルゲル法(特許文献4および6)や塗布コーティング法(特許文献5および6)があった。
【0005】
特許文献1のPVD法は、反応空間を0.4〜3Paの真空に近い減圧状態で、酸素濃度10〜50%としたところで、ターゲットとして、Ti,Si金属を設置して、30kW高周波マグネトロンにより、反応空間を減圧のプラズマを形成し、ターゲットからスパッタした粒子をプラズマで、酸化反応させ、基板面に光触媒膜を形成するものである。
【0006】
特許文献2のPVD法では、二重管型オゾナイザから出たオゾンガスを利用し、反応空間を3Pa以下の真空に近い減圧状態で、オゾン分圧を0.01〜2Paとしたところで、ターゲットとして、Ti,Si金属を設置して、直流マグネトロン放電をさせたスパッタリング装置により、反応空間を減圧のプラズマを形成し、ターゲットからスパッタした粒子をプラズマで、酸化反応させ、基板面に光触媒膜を形成するものである。
【0007】
特許文献3および4は、熱CVD法による光触媒膜形成方法で、これは、成膜成分ガス(例えばTi(OiPr)4)と窒素(2%NH3)を180℃で余熱して、CVD装置に導入し、CVD装置に導入している0.012MPa程度の酸素ガスと反応して数百度に加熱した処理品表面に光触媒物質膜(この場合TiO2)を形成させるものである。
【0008】
特許文献4および6のゾルゲル法は、Ti(OEt)4-EtOH-36%HCl溶液をガラスに塗布し、数百度で数分間乾燥成膜したものを所定温度で焼成しTiO2の光触媒物質を形成するものである。塗布材料としてTiO2ゾルや結晶性の多様な前駆体が特許対象になっている。
特許文献5および6の塗布コーティング法は、TiO2原料含有液体を基板上に塗布成膜し、加熱、徐冷・降温して光触媒物質を形成する方法のものである。
【0009】
一方、また、光触媒と放電を利用した先行技術として、特許文献7乃至11がある。
【0010】
特許文献7は、真空容器内に不活性ガスと酸化性ガスを導入し、低圧力下におけるグロー放電等の連続放電プラズマによるスパッタリング法による結晶性酸化チタンを生成するものである。
【0011】
特許文献8で、真空中に、光触媒膜の材料となる酸化チタン等のターゲット源を設け、低圧力の希ガス中での連続放電プラズマに相当する高周波放電によるスパッタリングによる生成方法である。
【0012】
特許文献9は、減圧調整できる雰囲気内で、酸化チタンと酸化ニオブ、酸化タンタル等の導電性のある焼結体ターゲットをスパッタリングすることで、非結晶質光触媒膜を製造する方法である。
【0013】
特許文献10は、基材表面をチタン含有酸化物等で被膜し、アンモニアガスや窒素ガスを含んだ混合ガス中を大気圧下で、連続放電プラズマである交流グロー放電で窒化処理し、光触媒膜を改質させるものである。
【0014】
特許文献11は、酸素化合物ガスや酸素化合物と放電の光によって、酸素化合物ガスや酸素ガスの解離を促進し、オゾンを生成させる装置が示されると共に、金属を貼り合せ、誘電体バリア放電(無声放電)させてオゾンを発生させると、金属の酸化膜(光触媒物質)が形成されることが示唆されている。
【特許文献1】特開2002−348665号公報
【特許文献2】特開2001−073116号公報
【特許文献3】特開平10−202776号公報
【特許文献4】特表平11−512337号公報
【特許文献5】特開2003−1129490号公報
【特許文献6】特許登録2756474号公報
【特許文献7】特開2004−137101号公報
【特許文献8】特開2001−104798号公報
【特許文献9】特開2001−25666号公報
【特許文献10】特開2003−321782号公報
【特許文献11】特開2004−359537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
以上のように、種々の光触媒物質生成方法や装置が開発されてきているが、いずれも光触媒物質をより大面積にすることや多量の光触媒物質を生成することや、品質の安定したものを供給することが困難であった。更に、より高品質な光触媒物質つまり、膜質が一定した光触媒物質を生成することは困難であり、生成工程が複雑化し、単位面積当たりの光触媒物質コストが非常に高くなるなどの問題点があった。
【0016】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、誘電体バリア放電(無声放電または沿面放電)によって、高電界、間欠プラズマを実現させ、かつ、酸素原子等の活性酸素やオゾンによる非常に反応性のある酸化能や窒素原子やNOx等の活性窒素物質によって、非常に良質な光触媒物質を生成することができる光触媒物質生成方法および光触媒物質生成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明に係わる光触媒物質生成方法は、対向する第1および第2の電極により放電空隙部を画成した放電領域を形成すると共に、上記第1電極の第2電極との対向面に誘電体を配置し、酸素ガスに光触媒元素となる金属粒子もしくは金属化合物ガスとして、Cu,In,Zn,Fe,Cr,Pb,V,W,Bi,Nb,Srのいずれか1つ以上の元素を含んでいる原料ガスを上記放電空隙部に供給し、上記第1の電極と上記第2の電極との間に交流電圧を印加して上記放電領域に所定電力密度の交流電力を注入し、上記誘電体を介した誘電体バリア放電(無声放電または沿面放電)を生じさせ、上記放電空隙部に酸素ガスとオゾンガスが存在した状態を作出し、上記誘電体バリア放電(無声放電または沿面放電)による高電界、間欠放電プラズマと酸素ガスとオゾンガスの相互化学反応作用で、上記酸素ガスに含有させた金属粒子もしくは金属化合物ガスを光触媒粒子に改質させるようにしたものである。
【0018】
また、この発明による光触媒物質生成装置は、第1の電極、この第1の電極に対向して放電空隙部を画成した放電領域を形成する第2の電極、および上記第1電極の上記第2電極との対向面に配置された誘電体を収容した光触媒物質生成器と、この光触媒物質生成器内の上記放電空隙部に酸素ガスに光触媒元素となる金属粒子もしくは金属化合物ガスとして、Cu,In,Zn,Fe,Cr,Pb,V,W,Bi,Nb,Srのいずれか1つ以上の元素を含んでいる原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、上記第1の電極と上記第2の電極との間に交流電圧を印加して上記放電領域に所定電力密度の交流電力を注入し、上記誘電体を介した誘電体バリア放電(無声放電または沿面放電)を生じさせる交流電源とを備え、上記誘電体バリア放電(無声放電または沿面放電)によって、上記放電空隙間に酸素ガスとオゾンガスが存在した状態を作出し、上記誘電体バリア放電(無声放電または沿面放電)による高電界、間欠放電プラズマと酸素ガスとオゾンガスの相互化学反応作用で、上記酸素ガスに含有させた金属粒子もしくは金属化合物ガスを光触媒粒子に改質させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0019】
この発明の光触媒物質生成方法及び光触媒物質生成装置によれば、誘電体バリア放電で、しかも、高酸化性のある高濃度オゾンおよび酸素原子雰囲気で高電界放電を利用して光触媒物質膜を生成するため、放電面等に均質で、膜厚が厚く、改質面のむらの無い高品質の光触媒物質を生成することができる上、大面積の光触媒物質膜を必要とする場合や光触媒物質膜の低コスト化が要求される場合に有効である。
さらに、酸化性の高い高濃度オゾンと酸素原子によって、酸化膜を形成するため、難酸化性の物質においても、容易に光触媒物質ができる効果があり、より広範囲の光触媒物質を生成するのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施の形態1による光触媒物質生成方法および装置を説明するためのブロック構成図である。
【図2】実施の形態2による光触媒物質生成方法および装置を説明するためのブロック構成図である。
【図3】実施の形態1,2において補助原料ガスを用いる場合を示すブロック構成図である。
【図4】実施の形態1,2における誘電体バリア放電の放電形態を示した模式図である。
【図5】実施の形態1におけるオゾンを含んだ酸素と高電界プラズマによる金属もしくは金属化合物物質の改質メカニズムを示す模式図である。
【図6】実施の形態1におけるオゾンを含んだ酸素と高電界プラズマによる金属もしくは金属化合物物質の改質メカニズムを示す他の模式図である。
【図7】実施の形態1、2における誘電体バリア放電、大気グロー放電、大気アーク放電の放電形態とギャップ長に依存している放電プラズマの電界強度E/nと特性を示す図である。
【図8】実施の形態1,2における誘電体バリア放電のガス圧力P,ギャップ長dgの積である(P+0.1)・dg値に依存している放電プラズマの放電維持電圧Vjおよび電界強度E/nと特性を示す図である。
【図9】実施の形態1,2における誘電体バリア放電によるオゾン発生濃度特性を示す図である。
【図10】実施の形態1,2における誘電体バリア放電の電源出力周波数に依存する放電プラズマの放電維持電圧Vjおよび電界強度E/nと特性を示す図である。
【図11】実施の形態3による光触媒物質生成方法および装置を説明するための模式構成図である。
【図12】実施の形態4による光触媒物質生成方法および装置を説明するためのブロック構成図である。
【図13】実施の形態5による光触媒物質生成方法および装置を説明するためのブロック構成図である。
【図14】実施の形態6による光触媒物質生成方法および装置を説明するためのブロック構成図である。
【図15】各種の光触媒物質のエネルギーギャップと光触媒効果の吸収波長の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施の形態1.
この発明による実施の形態1を図1及び図3〜10について説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0022】
図1は、この発明の実施の形態1による光触媒物質生成方法および装置を説明するためのブロック構成図である。図1において、純度99・99%以上の酸素(原料ガス)を供給する酸化原料ガス供給系は、高純度酸素ボンベ8,酸素調整バルブ81等で構成され、光触媒物質生成器7に所定圧力で充填される。光触媒物質生成器7には放電空隙部4を画成し放電領域を形成する第1および第2の電極1,2と、電極1の電極2との対向面に配置された誘電体3が収容されている。誘電体3および放電領域を形成する電極1のガス通路面(放電領域の壁面=反応空間の壁面)には、光触媒物質膜を形成させるための金属もしくは化合物物質5,6が塗布又は吹付けにより固着されている。
そして、光触媒物質生成器7内の電極1,2間に高周波交流電源900より高電圧の交流電圧を印加し、両電極1,2間に誘電体3を介した誘電体バリヤ放電(無声放電)を発生させる。なお、高周波交流電源900は、主としてコンバータ部901、インバータ部902およびトランス部903で構成されている。
【0023】
すなわち、光触媒物質生成器7において、反応空間である0.1mmのギャップ間隔の放電領域に高電圧交流電圧を電極1,2間に印加し、誘電体バリヤ放電を発生させ、原料ガスの一部の酸素ガスを酸素原子に解離し、反応空間のガス圧力を略0.1MPa〜略0.4MPaの圧力に維持して、解離した酸素原子と他の酸素分子との結合作用を促進させて、高濃度のオゾンガスに変換させられるようになっている。
また、光触媒物質生成器7は放電によって発熱する電極を冷却するために、水等による冷却手段を有しているが、ここでは冷却手段は省略して図示している。また、図示した放電セル部は1セルのみを示しているが、実際の装置では、図示の放電セルを多段に積層し、ガス通路を並列的に流せるようにして、複数個の放電セルに放電をさせる構成にしている。
【0024】
この実施の形態1による光触媒物質生成方法・装置によれば、酸化原料ガスの放電による化学反応過程と、誘電体バリア放電による高電界放電と酸化性の高い高濃度オゾン、酸素原子とによる電極の放電面の材質を調べた結果、放電面が非常に良質な光触媒物質膜に改質していることが分かった。
電極面に塗布した金属もしくは化合物物質は、強力な結合した酸化膜化しており、かつ塗布した結晶金属が均質なアモルファス化構造の光触媒物質膜に改質していることが分かった。
放電面が、均質なアモルファス化構造の光触媒物質膜に改質されることにより、光触媒物質は放電光の強力な光を吸収するによって光触媒効果で、酸素分子の解離作用が促進され、より多くの酸素原子が出来、オゾンも多く生成され、放電面の酸化作用も相乗効果で促進され、より良質な光触媒物質膜に改質できる。
【0025】
図3は、図1の装置に加え、酸素ガスもしくは窒素ガス等の酸化ガスもしくは窒化ガス以外にヘリウムやアルゴンガス等の希ガスを供給する補助ガス用ボンベ8Aを設け、希ガス10Aを供給できるようにしている。
酸素ガスもしくは窒素ガス等の酸化ガスもしくは窒化ガスを圧力0.1MPa〜0.4MPa下で、電力密度の高い誘電体バリア放電を発生させることにより、放電空間面に光触媒物質を形成した後、装置内のガスを酸素ガスもしくは窒素ガスから不活性ガスである希ガスに置換し直す。希ガス雰囲気中で、電力密度の低い誘電体バリア放電を発生させることで、生成した光触媒物質をアニーリング処理をして、光触媒物質をより安定化させるようにしている。このように、酸素ガスもしくは窒素ガス等による誘電体バリア放電工程だけでなく、不活性ガスによる低密度誘電体バリア放電工程を加えることで、より品質の高い光触媒物質を生成できるように工夫している。
【0026】
次に、この発明の特徴である高濃度オゾン、酸素原子下での誘電体バリア放電における光触媒物質生成メカニズムについて説明する。図4において、誘電体バリア放電の放電形態と特徴、図5および図6において、図4の放電形態における微小放電の1つで生じる放電面の物質が光触媒物質へ改質するメカニズム、改質させる主要因、図7、図8、図9及び図10において、誘電体バリア放電の電界強度と高濃度のオゾンと酸素原子の生成と放電面での光触媒薄膜生成されるまでの動作、作用について説明する。
【0027】
最初に、光触媒物質は、一般に図15のような金属酸化物質であり、金属によって異なったバンドギャップを有しており、光触媒材質の違いによって、光吸収スペクトルが異なる。つまり、有害物質を分解する能力等の光触媒効果が発揮できる光波長が光触媒物質によって異なる。また、光触媒物質の有害物質を分解するための性能は、光の波長や光強度だけでなく、光触媒物質自身の結晶構造や欠陥の少ない良質な光触媒を得られるかによって大きく左右されることや光触媒物質の表面積等によって大きく変わることが分かって来た。しかし、従来の光触媒物質生成方法では、生成させる工程管理を改善することで、光触媒物質の性能が多少アップできたが、飛躍的な改善が困難であった。また、放電プラズマによる光触媒物質を生成する方法も見出されて来たが、放電プラズマの形成方法として、直流グロー放電方式を採用し、放電ギャップ長が1mm以上、ガス圧力が1気圧(0.1MPa)以下での連続持続放電方式による光触媒物質を生成していたため、良い結晶構造を持つ光触媒物質が得られなかったのが実情である。
【0028】
図4は、誘電体バリア放電の放電形態を模式的に示している。誘電体バリア放電の放電形態の動作と作用について説明する。対向した電極1,2の内部に冷却水を流通させることで、電極面を冷却する構造にしており、交流電源900によって電極1,2間に交流電圧が印加される。
そうすると、電極1,2間に設けられた誘電体3は、印加した交流電圧に対して90度位相がずれた状態で、図4のように、厚さdaの誘電体3の両表面に電荷が分極されて誘起される。(図4は、電極2に+電位が印加された場合の模式図を示す。)
つまり、電極1、2間に交流電圧Vを印加すると、放電空間では、(dV/dt)の値が最大となる時点で、最大の分極電荷Qmaxが蓄積される。その時、放電空隙dgには、最大の電界強度Emaxが印加されることになる。
放電空隙dgを絶縁破壊するための電界強度EcをEmaxよりも小さくすれば、電界強度Ecとなる分極電荷Qc時点で、対向した低圧電極1の微小部分で、放電空隙dgが部分絶縁破壊し、誘電体3に蓄積された分極電荷Qcが低圧電極1に所定の放電電圧Vjで放電され、分極電荷Qcが無くなると、即座に放電が停止され、放電空隙dgの部分絶縁破壊が回復される。
そうすると、誘電体3は、再び、分極電荷Qc時点まで充電され、分極電荷がQcになると、再度放電空隙dgが部分絶縁破壊し、放電電圧Vjの放電が繰り返される。
この放電空隙での部分絶縁破壊(放電)と絶縁回復を繰り返すON−OFF放電は誘電体バリア放電と呼ばれている。
誘電体3の表面には、電極1に対向した全面に均等に電荷が蓄積されているため、上記誘電体バリア放電は、無秩序な、ON−OFF放電であるが、放電空隙dg全面で均等に生じる特徴を有し、また、誘電体3の微小表面に蓄積された電荷による微小な放電でかつ短時間持続放電である特徴を有している。
誘電体バリア放電の1つの放電径は、放電空隙中のガス圧力P、ガス温度、ガス種等に依存するが、約数十μm程度で、放電断面としては、数nm程度と言われている。
1つの誘電体バリア放電aの持続時間Tgは、放電ギャップ長dgやガス圧力Pが小さい程、小さくなり、放電ギャップ長が0.1mm、ガス圧力0.1MPa程度で通常nSec程度と言われている。
【0029】
図4の誘電体バリア放電特有の特長を利用した、この発明の光触媒物質へ改質させるための装置構造メカニズムについて、図5および図6にて説明する。
【0030】
誘電体バリア放電は、微小放電で、かつ、非常に短時間の持続放電が、時間的、空間的に無数個断続して放電を繰り返す放電であるため、持続放電であるグロー放電やアーク放電では実現出来ない放電化学反応が実現でき、放電ガスは、オゾンやNOx等の酸化物質の生成や酸素、窒素分子等の解離に伴う酸素原子や窒素原子等の活性原子を生成することができ、また、放電空隙面では、放電による熱エネルギーや放電によって生成したオゾンやNOxガスおよび生成した活性原子による表面化学反応によって材質表面が極めてユニークな物質状態へ改質させられることが分かった。
【0031】
図5は、1つの誘電体バリア放電aと放電空隙面である電極1および誘電体3面に被処理物質である金属もしくは化合物物質5,6を塗布した場合の模式図を示す。
【0032】
電極1、2間に電圧Vを印加すると、誘電体間にVa、放電空隙dg間にVbに分圧された電位がかかる。
放電維持電圧Vjで無数の放電が繰り返されるとすれば、放電空隙dg間にかかる電圧Vbは、放電維持電圧Vjとほぼ一致する。誘電体面の微小空間に帯電した電荷Qから微小放電がTg(nSec)程度の放電が生じると、1つの微小放電で発生する放電熱エネルギーJは、
放電熱エネルギーJ=△IxVjxTg [J]
となり、微小時間Tg期間中に微小放電面に数nJ程度の放電熱エネルギーのほとんどが放電空隙dgの端面に集中的に注入される。
【0033】
このような状態において、図5のように、放電空隙dgの端面に相当する被処理物質5,6を塗布した微小放電面は、短時間、約数百度程度に過熱され、放電が停止すると、電極面に流した冷却水により、即座に常温に急冷されることにより、被処理物質は、結晶構造を有していたものが、アモルファス状の物質に変移する。
また、同時に放電空隙dg間に酸化ガスである酸素や窒化ガスである窒素ガスを添加すれば、誘電体バリア放電の高電界放電から生じる超高輝度な放電光作用によって、放電空隙dg中には、酸素ガスよりも数千倍以上の酸化能力のあるオゾンガスや活性酸素である酸素原子が生成される。また、窒素ガスからは、NOxガスや窒素原子が生成される。
このように、オゾン、酸素原子、NOxガスもしくは窒素原子が高濃度で存在するという化学反応において、非常にユニークなガス空間が実現される。このユニークなガス空間で、放電によってアモルファス状態に物質状態を変移させるだけでなく、酸化能の非常に高いオゾンや酸素原子等によって、塗布した被処理物質の酸化反応も促進され、非常に良質な光触媒酸化膜もしくは窒化膜が容易に形成されることが判明した。
【0034】
図7は、電圧を印加する電極間の放電ギャップ長dg(mm)に対する各種放電形態の違いによる放電の電界強度E/n(Td)特性を示したものである。
【0035】
図において、
E(V/cm)はギャップ長1cm当たりの電圧
n(cm)は放電空間中のガス密度
電界強度1(Td)=1x1017(V・cm
通常、大気圧(0.1MPa)以上の連続プラズマにおいては、放電による電界強度E/n値は50(Td)以下である。
例えば、大気圧グロー放電では放電維持電圧Vjは200〜500V程度で電界強度換算すると、おおよそ30〜50Td程度となる。また、大気圧アーク放電では、放電維持電圧Vjは数十V程度であるため電界強度換算で10Td程度と非常に小さい。
それに対し、誘電体バリアー放電(無声放電)は、上記に原理を示したように間欠プラズマである。そのため、連続プラズマであるグロー放電、アーク放電よりも、放電維持電圧Vjは数倍程度高く、電界強度E/nは非常に大きくできる特長を持つ。
【0036】
さらに、誘電体バリアー放電で得られる電界強度E/nの特性は、放電ガス中のガス圧力Pおよび放電ギャップ長dgに大きく依存する。(図7参照)
我々の試験で得られた知見では、非常に良質な光触媒酸化膜もしくは窒化膜を形成し、効率の良い膜形成(短時間形成)が行える条件は、放電の電界強度E/nが少なくとも120Td以上の値が必要であることが分かった。
【0037】
つまり、図7の特性で、誘電体バリアー放電領域であっても、放電ギャップ長dgが長く、ガス圧力Pが高い条件では、120Td以上の高電界E/nが得られず、結果として、この発明の光触媒物質生成方法・装置には適さない領域があることが判明した。
【0038】
図7で、ガス圧力Pが0.2MPaで、dgを0.6mm以下にすると、電界強度E/nが120Tdから急激に高くなる。(例えば、ガス圧力0.25MPa、dg0.1mmギャップ条件では電界強度E/nは約200Tdとなる。)
電界強度E/nが120Td以上になる放電領域は、放電ギャップ長が1mm以下の領域Xとガス圧力Pが低い領域Yの2つの領域が存在する。
【0039】
領域Xでは、ガス圧力は大気圧(0.1MPa)以上で、dgは1mm未満の範囲である。特に良好な条件範囲は、dgが0.6mm以下であった。
【0040】
領域Yは放電ギャップ長は、1mm〜数mm程度と長くても良いが、ガス圧力は、0.1MPa以下の範囲にする必要がある。この範囲で特に良好なガス圧力P範囲は大気圧(0.1MPa)以下の減圧(真空)範囲であった。
このように、非常に高い電界強度E/nの放電が実現されると、放電中の電子は非常に高速に加速されることで、放電空間のプラズマは非平衡プラズマ化し、高輝度で、短波長化側にシフトした放電光が実現されることになる。この高輝度で、短波長化した放電光(例えば紫外光)によって、電極表面を光化学反応を促進させ、非常にユニークな光触媒物質膜の形成に寄与している。また、この放電の付随効果として、放電空間中では、酸化反応性の非常に高いオゾン分子、活性化酸素、酸素原子、活性化窒素物質も多量に生成し、これらの生成した活性ガスと放電光の相互作用で、より効率良く光触媒物質を形成するように作用する。
【0041】
図8は、図7の特性をガス圧力Pとギャップ長dgの積値で換算した値に対する電界強度E/n特性を示したものである。
図において、(P+0.1)・dgは真空状態を基準にして、ギャップ長dgとの積値化したものである。
【0042】
つまり、(P+0.1)・dg値で、放電維持電圧Vj,電界強度E/n特性を表現すれば、1つの特性になる。
【0043】
(P+0.1)・dg値が大きくなる程E/nは小さくなり、放電維持電圧Vjは高くなる。
この図から電界強度E/nが120Td以上となる領域は0.14(MPa・mm)以下であることが判明した。また、本発明装置を設計する際、放電維持電圧Vjが3500V以上にすると、装置に十分な電力を注入するためには、交流電圧は7000V以上必要となるため、装置が非常に大きくなるなどのさまざまな障害が多くなることが判明した。そのため、電界強度E/nが120Td以上で、かつ放電維持電圧Vjが3500V以下の条件範囲に限定すると、(P+0.1)・dg値は、0.1(MPa・mm)以下が望ましいことが分かった。
【0044】
図9は、放電ギャップ長0.1mmにおける放電電力に対するオゾン濃度特性を示した一例である。つまり、誘電体バリア放電のギャップ長を短くする程、オゾンや酸素原子の濃度を高め、かつ、微小面に注入される放電エネルギーが大きくなり、形成した光触媒膜厚は、誘電体バリア放電の高電界放電よる光−化学反応で、より深く形成される。
【0045】
以上のように、良質な光触媒物質を得るためには、図6に示すように、下記の3つの要素が相互して満足することで、非常にユニークな光触媒物質膜が形成できることが分かった。
【0046】
1)誘電体バリア放電による、微小面へ高エネルギーを断続注入。
【0047】
2)高濃度オゾン、酸素原子による酸化力のアップ。
【0048】
3) 被処理物質を急冷させるための冷却機能。
この条件を最大限に満たす方法・装置として、この発明の光触媒生成方法・装置が開発された。
【0049】
図10は、この発明の一実施例であるガス圧力Pが0.25MPaで、放電ギャップ長dgが0.1mmの条件において本装置に印加する交流電圧を供給する電源出力周波数を可変した場合の放電維持電圧Vj特性と電界強度E/n特性を示した図である。
【0050】
図10において、電源出力周波数を高くすると、約20kHzを越える付近から放電維持電圧Vjが下がり、電界強度E/nも周波数に対して下がる傾向を示した。
所定周波数以上高くなると、放電維持電圧Vj,電界強度E/nが低下する傾向は、放電空間に残留電荷が残り、この残留電荷で高い電界強度E/nが得られなくなると判断される。
この残留電荷は、ギャップ長、ガス圧力の依存度は低く、電源周波数が高くなると、誘電体バリア放電は間欠プラズマであるが、連続プラズマの電界強度E/nに漸近するように低下する。
そのため、120Td以上の高電界E/n値を得るためには電源周波数も所定周波数以下に制限する必要がある。本装置においては、周波数は30kHz以下にすることが望ましいことが分かった。
【0051】
なお、放電ギャップdを0.1mm程度の短ギャップ化すると、放電電界強度が高められ、結果として、エネルギーの高い高輝度の放電光が得られ、光触媒生成能力が高まり、膜厚の厚いものが得られる。
また、我々の実験では、ギャップ(放電空隙)を短ギャップ化するほど、誘電体バリア放電の電界強度が高まり、放電による428nm〜620nm範囲の光波長の放電光の光強度が高まり、高濃度のオゾンガスが生成されるとともに、放電空間に接している金属もしくは金属化合物が光触媒物質へ改質する速度が促進させ、良質な光触媒物質が得られる結果となった。また我々の実験では、放電空隙が0.6mm以下では、十分に光触媒物質が生成できることが確かめられた。
また、実験から、ギャップが略0.6mmをこえると、無声放電光の光強度が極端に弱まり、酸素ガスの解離が少なくなって、高濃度のオゾンや酸素原子が得られにくくなり、急熱−急冷作用も弱くなり、結果として良質なアモルファス化した光触媒物質膜が得られなくなったり、非常に膜の形成時間がかかる傾向を示すことが確かめられた。
【0052】
ところで、光触媒物質によるオゾンの生成は、誘電体バリアの高輝度の放電光が、光触媒物質に照射されることで、光触媒物質が放電光エネルギーを吸収することで励起され、励起された光触媒と酸素ガスの吸着解離作用で酸素が解離できることが判明した。さらに解離した酸素原子と酸素分子の三体衝突で結合作用が促進される働きでオゾンが生成できることが分かった。
【0053】
なお、ここで、光触媒のバンドギャップエネルギー{エネルギーギャップE(eV)}と吸収光の波長λ(nm)の関係を示すと次のとおりである。
【0054】
吸収光の波長λ(nm)≦ 1240/E(eV)
エネルギーギャップE(eV) 吸収光の波長(nm)
3.6 344
3.5 354
3.4 365
3.3 376
3.2 388
3.1 400
3.0 413
2.9 428
2.8 443
2.7 459
2.6 477
2.5 496
2.4 517
2.3 539
2.2 564
2.1 590
2.0 620
上記のことからこの発明の光触媒物質生成方法および装置においては、光触媒物質となる金属原子を選択し、放電面である電極面や誘電体面に光触媒物質となる金属原子を有する金属もしくは化合物を塗布すれば、誘電体バリア放電とオゾンや酸素原子等で酸化反応し、良質な酸化膜になるとともに、光触媒膜物質化する。また、ガスとして、窒素ガスにすると、NOxや窒素原子によって窒化反応も促進させることができ、光触媒物質の可視光化や非常に光触媒効果の能力の高いユニークな光触媒物質が実現される。
塗布した金属や化合物の不純物や有機物質は、オゾンや酸素原子と反応して、水蒸気(HO)、CO、HNO、メタン等のガス化して不純物は飛ばされ、放電面には、良質な光触媒酸化物膜が形成される。
【0055】
代表的な、光触媒物質となる金属原子としては、Cu,In,FeTi,Cr,Pb,V,W,BiZn、Nb、Ta、Ba、Mn、Sr等の物質があり、誘電体バリア放電で、光触媒物質として、Cu2O,In23,Fe2TiO3,Fe23,Cr23,PbO,V25,FeTiO3,WO3,Bi23,ZnO等のアモルファス化した物質が得られる。
上記の金属酸化物の光触媒物質にRu,Ni、Pt,RuO、NiOx、NiOの助触媒となる元素を放電によってドーピングさせると、より光触媒の励起能力が促進し、正孔の寿命の増大(蓄積)効果が高まり、より性能の良い光触媒物質が得られる。
実施の形態2.
図2は実施の形態2の光触媒物質生成方法および装置を説明するためのブロック構成図である。実施の形態2において、ここで説明する特有の構成および方法以外の構成および方法については、先に説明した実施の形態1における構成および方法と同様の構成および方法を具備し、同様の作用を奏するものである。
実施の形態1では、主に誘電体バリア放電の放電面である電極1面もしくは誘電体3面の光触媒物質膜生成についてのメカニズムと構成について示したが、実施の形態2においては、供給する酸化ガスに光触媒となり得る金属粉末もしくは金属化合物蒸気等を混合させ、誘電体バリア放電部に供給し、金属粉末もしくは金属化合物蒸気を光触媒物質に改質させるものである。
【0056】
図2において、光触媒物質とするための金属粉末もしくは金属化合物供給箱11から金属粉末もしくは金属化合物蒸気12を酸素ガス10と混合器82で混合させ、誘電体バリア放電空隙4に供給し、酸化ガスとともに、光触媒物質を含んだガス13を取り出し、このガス13を光触媒物質−ガス分離器14に通すことで、光触媒物質50を取り出すように構成されている。なお、光触媒物質−ガス分離器14を通ったガスは、ガス分解処理器15によって処理される。他の構成は、実施の形態1における図1と同等の構成となっている。
【0057】
本装置構成においては、誘電体バリア放電とガスの接触時間を長くするために、放電空隙4は、細い管状の構成にして、放電長を長くなるように構成をして、光触媒物質の生成効率や品質を高めている。
【0058】
なお、実施の形態2におけるガス系統に、図3に示すように、酸素ガスに補助ガスボンベ8A及びガス調整器83を介して供給される補助原料ガスとなる希ガス10Aを含有させ、光触媒物質生成効率をより向上させることができる。
【0059】
実施の形態3.
図11は実施の形態3の積層放電セルタイプの光触媒物質生成方法および装置を示すブロック構成図である。実施の形態3において、ここで説明する特有の構成および方法以外の構成および方法については、先に説明した実施の形態1における構成および方法と同様の構成および方法を具備し、同様の作用を奏するものである。
【0060】
この実施の形態3では、電極セルを複数個(例えば、N−1〜N−8)積層し、各セルに並列に設けた放電空隙4間に誘電体バリア放電を均等に発生させるようにすることで、一度に、複数の電極面、誘電体面に光触媒物質膜を生成できるようにしたものである。
【0061】
図11において、放電セルを積層するための基台600とチャンバー700でガス空間を形成し、酸化ガス吸入口89から酸素ガスを供給することで、ガス空間に酸素ガスを充満させるようにしている。また、基台600の上には、平板状の低圧電極1−絶縁板−高圧電極2−誘電体3−放電空隙−低圧電極1−放電空隙−誘電体3−高圧電極2-絶縁板の順に積層することで、2つの放電空隙を有した一対の放電セル群702を形成し、この放電セル群702を複数段に積層した電極積層モジュール701が構成されている。
さらに、各放電セル群を冷却するために、電極内面に冷却水が流せる構造にするとともに、各セルで、誘電体バリア放電で処理した処理ガスを排出させるために電極の内面中心部から電極内面に入り、サイドから取り出し、装置のガス排出口139から処理ガスを取り出せるようにしている。冷却水は、装置の冷却水出入口189から入れ、各低圧電極に分配して供給し、電極面を冷却し、冷却した水は電極サイドで合流して、装置のもう一つの冷却水出入口189(図示されていない)から取り出すようにしている。
【0062】
このような光触媒物質生成装置にすることにより、一度に複数個の光触媒物質膜を形成することが出来、光触媒物質膜の生産コストを極端に安くできる効果がある。また、誘電体バリア放電で処理したガスを連続的に排出する構成にしたので、常に、放電で生じた不純ガスを取り除いて、光触媒物質膜の純度の良いアモルファス酸化膜を形成でき、結果として良質な光触媒物質膜を得る効果がある。
実施の形態4.
図12は実施の形態4の光触媒物質生成方法および装置を説明するためのブロック構成図である。実施の形態4において、ここで説明する特有の構成および方法以外の構成および方法については、先に説明した実施の形態1における構成および方法と同様の構成および方法を具備し、同様の作用を奏するものである。
【0063】
図12において、酸化ガスの供給量をコントロールする流量コントローラ84、装置内のガス圧力を制御するための圧力コントローラ132を備え、光触媒の生成条件を管理する光触媒生成条件制御部16において、所定の酸化ガスの供給量Qと所定のガス圧力値を流量コントローラ84、圧力コントローラ132で制御し、また誘電体バリア放電の注入する電力を電源内のインバータ902に指令し、電極を冷却する冷却水の出口温度Tを検出することで装置内の平均電極温度を管理するようにしている。
図5に示した誘電体バリア放電の一つの放電柱の径はガス圧力が高い程、微小化でき、装置内のガス圧力値を制御すれば、放電面に注入する電力密度を制御できる。
さらに、誘電体バリア放電の電気入力をインバータによって制御すれば、即座に1つの誘電体バリア放電に注入される平均的な電力量を制御でき、かつ、冷却水出口温度Tを検出して、所定の平均電極温度になるように、インバータ902の電力量をフィードバック制御すれば、光触媒物質の生成条件を精密に制御することができる。
このような制御方式を採用することで、より品質の高い光触媒物質を生成できるとともに、より早く効率的に光触媒物質を形成できる効果がある。
実施の形態5.
図13は実施の形態5の光触媒物質生成方法および装置を説明するためのブロック構成図で、酸素ガスに加え、補助ガスボンベ8B及びガス調整器81B、流量コントローラ84Bを介して酸化、窒化ガス以外の第三原料ガス10Bを光触媒物質生成器7に供給するようにしたものである。実施の形態5において、ここで説明する特有の構成および方法以外の構成および方法については、先に説明した実施の形態1における構成および方法と同様の構成および方法を具備し、同様の作用を奏するものである。
【0064】
第三原料ガスとしては、一つは生成した光触媒物質をアニーリングするための不活性ガスであるヘリウムやアルゴンガス等の希ガス、もう一つは、光触媒物質の性能を向上させるためのRu,Ni,Pt,RuO,NiOx,NiOである助触媒物質を、放電によってドーピングさせるため上記物質の化合物ガスを供給するようにしたものである。
第三原料ガスとして希ガスを供給するのは、誘電体バリア放電で生成した光触媒物質膜を装置内の酸化、窒化ガスから希ガスに置き換え、装置内のガス圧力の低圧力状態で、電源からの注入電力も小電力で放電させ、光触媒物質膜を、不活性ガスの低密度放電で徐熱してアニーリング処理している。
また、助触媒物質を含む化合物ガスを供給して、誘電体バリア放電をすると、放電で分解した助触媒物質イオンを、生成した光触媒物質膜にドーピングさせることができる。
【0065】
このように、第三原料ガスを供給するようにして、光触媒膜面をアニーリングしたり助触媒膜にドーピングすることにより、光触媒の光照射による励起能力アップし、正孔の長寿命化(蓄積)効果を高め、生成した光触媒物質の性能、品質を向上させている。
実施の形態6.
図14は実施の形態6の光触媒物質生成方法および装置を説明するためのブロック構成図である。実施の形態6において、ここで説明する特有の構成および方法以外の構成および方法については、先に説明した実施の形態1における構成および方法と同様の構成および方法を具備し、同様の作用を奏するものである。
【0066】
実施の形態6においては、酸素ボンベ8から酸素を供給するライン10に、オゾン発生装置710を設け、一旦、オゾン発生装置で、高濃度のオゾン化酸素ガス101に変換したガスを光触媒物質生成装置に供給するようにしたものである。
【0067】
このように、光触媒物質生成器7の前段に、オゾン発生装置710を設け外部からオゾンガスを供給することで、光触媒物質生成器7で生成されるオゾンだけでなく、新たに、供給される高濃度のオゾンガスと誘電体バリア放電で、光触媒物質生成のための反応が促進され、オゾンが生成できにくい、2eV以下の光触媒物質や3eV以上のバンドギャップを有する光触媒物質であっても、良質な光触媒物質に改質することができる。
【0068】
以上のように、この発明の光触媒物質生成方法および装置は、酸素ガスやオゾンガス等の酸化性ガスもしくは窒素ガスを供給した、1気圧以上の高圧力下での電極空間で、電極間隙を0.6mm以下にした短ギャップ長において、間欠プラズマである誘電体バリア放電(無声放電)によって、高電界プラズマを実現させ、かつ、酸素原子等の活性酸素やオゾンによる非常に反応性のある酸化能や窒素原子やNOx等の活性窒素物質によって、誘電体バリア放電の特長を利用した、結晶状態の金属等を酸化もしくは窒化することで、絶縁物化し、かつ誘電体バリア放電熱により、急熱−急冷作用を非常に微小な放電面で実現させアモルファス状の物質に改質させるものである。物性論から、得られたこの光触媒物質は、アモルファス絶縁物であり、また、バンドギャップが大きい半導体物質と言っても過言ではない。つまり、固体物質としては、この発明の方法、装置で得られた物質は、アモルファス状の光触媒物質でもあり、アモルファス半導体とも言え、この光触媒物質とアモルファス半導体の区別、境界はなく、同類の物質といえる。
【0069】
ここでは、放電として、高電界、間欠放電プラズマを発生できる誘電体バリア放電(無声放電)を利用した光触媒物質生成装置及び光触媒物質生成方法について示したが、誘電体を介した放電で、所謂、「沿面放電」と称される放電においても、同様の効果がある。つまり、この発明は、高電界、間欠放電プラズマで実現されており、「沿面放電」も誘電体を介した交流放電を利用しており、誘電体バリア放電(無声放電)と「沿面放電」の違いは、ただ、ガス中に発する放電柱か物質表面(沿面)を沿うガス放電の違いのみである。「沿面放電」の放電メカニズムは、誘電体バリア放電そのもので、「沿面放電」は誘電体バリア放電に属する放電であることを確かめている。
【産業上の利用可能性】
【0070】
この発明は光触媒物質生成装置及び光触媒物質生成方法に適用して好適であるとともに、酸素ガスやオゾンガス等の酸化性ガスもしくは窒素ガスを供給した、1気圧以上の高圧力下での電極空間で電極間隙を0.6mm以下にした短ギャップ長において、間欠プラズマである誘電体バリア放電(無声放電または沿面放電)によって高電界プラズマを実現させ、かつ、酸素原子等の活性酸素やオゾンによる非常に反応性のある酸化能や窒素原子やNO等の活性窒素物質によって、良質な酸化物を形成するだけでなく、良質な窒化膜や粉末粒子も形成することが出来、非常に硬いアモルファス窒化材を得ることに好適で、さらに光触媒物質だけでなく、アモルファス半導体材を得る手段として好適である。
【符号の説明】
【0071】
1 電極(低圧電極)、2 電極(高圧電極)、3 誘電体、4 放電間隙、5、6 金属もしくは化合物物質、7 光触媒物質生成器、8 酸素供給ボンベ、8A、8B 補助ガス用ボンベ、10 酸素ガス、10A 希ガス、10B 第三原料ガス、11 金属粉末もしくは金属化合物供給箱、12 金属粉末もしくは金属化合物蒸気、13 光触媒物質を含んだガス、14 光触媒物質―ガス分離器、50 光触媒物質
600 基台、700 チャンバー、701 電極積層モジュール、702 放電セル群
900 交流電源、901 コンバータ部、902 インバータ部、903 トランス部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1および第2の電極により放電空隙部を画成した放電領域を形成すると共に、上記第1電極の第2電極との対向面に誘電体を配置し、
酸素ガスに光触媒元素となる金属粒子もしくは金属化合物ガスとして、Cu,In,Zn,Fe,Cr,Pb,V,W,Bi,Nb,Srのいずれか1つ以上の元素を含んでいる原料ガスを上記放電空隙部に供給し、上記第1の電極と上記第2の電極との間に交流電圧を印加して上記放電領域に所定電力密度の交流電力を注入し、上記誘電体を介した誘電体バリア放電(無声放電または沿面放電)を生じさせ、上記放電空隙部に酸素ガスとオゾンガスが存在した状態を作出し、
上記誘電体バリア放電(無声放電または沿面放電)による高電界、間欠放電プラズマと酸素ガスとオゾンガスの相互化学反応作用で、上記酸素ガスに含有させた金属粒子もしくは金属化合物ガスを光触媒粒子に改質させるようにしたことを特徴とする光触媒物質生成方法。
【請求項2】
ガス圧力Pが1気圧以上の高圧力下の電極空間で、上記放電空隙部のギャップ長dgを0.6mm以下にした短ギャップ長において、上記放電空隙部のギャップ長dgとガス圧力Pの積値を(P+0.1)・dg値とし、(P+0.1)・dg値を0.14(MPa・mm)以下としたことを特徴とする請求項1記載の光触媒物質生成方法。
【請求項3】
上記酸素ガスの純度を99.99%以上としたことを特徴とする請求項1記載の光触媒物質生成方法。
【請求項4】
上記酸素ガスに補助原料ガスとなる希ガスを含有させ、光触媒物質生成効率を促進させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の光触媒物質生成方法。
【請求項5】
低圧電極、高圧電極及び誘電体から形成される電極セルを複数個積層し、一度に複数個の光触媒物質膜を形成することを特徴とする請求項1記載の光触媒物質生成方法。
【請求項6】
上記酸素ガスに窒素ガスを含有させ、窒素を含んだ光触媒物質を生成することを特徴とする請求項1記載の光触媒物質生成方法。
【請求項7】
前段に設けられたオゾン発生装置により、オゾンを含むオゾン化酸素ガスが供給されるようにしたことを特徴とする請求項1記載の光触媒物質生成方法。
【請求項8】
第1の電極、この第1の電極に対向して放電空隙部を画成した放電領域を形成する第2の電極、および上記第1電極の上記第2電極との対向面に配置された誘電体を収容した光触媒物質生成器と、
この光触媒物質生成器内の上記放電空隙部に酸素ガスに光触媒元素となる金属粒子もしくは金属化合物ガスとして、Cu,In,Zn,Fe,Cr,Pb,V,W,Bi,Nb,Srのいずれか1つ以上の元素を含んでいる原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、
上記第1の電極と上記第2の電極との間に交流電圧を印加して上記放電領域に所定電力密度の交流電力を注入し、上記誘電体を介した誘電体バリア放電(無声放電または沿面放電)を生じさせる交流電源とを備え、
上記誘電体バリア放電(無声放電または沿面放電)によって、上記放電空隙間に酸素ガスとオゾンガスが存在した状態を作出し、
上記誘電体バリア放電(無声放電または沿面放電)による高電界、間欠放電プラズマと酸素ガスとオゾンガスの相互化学反応作用で、上記酸素ガスに含有させた金属粒子もしくは金属化合物ガスを光触媒粒子に改質させるようにしたことを特徴とする光触媒物質生成装置。
【請求項9】
ガス圧力Pが1気圧以上の高圧力下の電極空間で、上記放電空隙部のギャップ長dgを0.6mm以下にした短ギャップ長において、上記放電空隙部のギャップ長dgとガス圧力Pの積値を(P+0.1)・dg値とし、(P+0.1)・dg値を0.14(MPa・mm)以下としたことを特徴とする請求項8記載の光触媒物質生成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−10103(P2013−10103A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−174613(P2012−174613)
【出願日】平成24年8月7日(2012.8.7)
【分割の表示】特願2006−522169(P2006−522169)の分割
【原出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】