説明

光触媒粒子の分散液及びその製法

【課題】 光触媒粒子が高度に分散された分散液、及び該分散液を、分散剤を使用することなく作ることができる製法を提供することを目的とする。
【解決手段】 分散媒と光触媒粒子と酸性物質を含む分散液であって、該光触媒粒子が動的光散乱法により求められる平均粒径(D50)50nm以下で該分散媒中に分散されており且つ該分散液のpHが1.0〜6.5である、分散液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光触媒粒子の分散液及びその製造法に関し、詳細には、光触媒粒子が50nm以下の平均粒径で分散されており、透明性、紫外光及び可視光触媒活性に優れた薄膜を形成することができる分散液、及び分散剤を用いなくとも該分散液を作ることができる製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材の表面に形成された光触媒薄膜は、その中に含まれる酸化チタン等の光触媒性金属化合物の触媒作用により有機物が分解され及び膜表面が親水性になることから、基材表面の清浄化、脱臭、抗菌等の用途に活用されている。現在、このような光触媒薄膜は、外装タイル、ガラス、外壁塗装、空気清浄機内部のフィルター、無機系の基材(セラミック、金属等)への応用が主体であるが、プラスティック材料等の有機系の基材への応用も近年盛んに検討されている(特許文献1及び2)。有機系の基材に光触媒性金属化合物を施与するには、該光触媒化合物粒子を分散させた分散液を基材に塗布して、乾燥する。しかし、従来の分散液を用いて有機系の基材上に形成された光触媒薄膜は、光触媒活性、特に可視光における活性、が不十分であり、基材表面の意匠性を阻害する問題があった。これは、分散液中での該光触媒化合物粒子の粒径が大きいことが一因である。
【0003】
酸化チタンを高度に分散するために、ビーズミル等の湿式分散機が使用されている(特許文献3)。その場合、粒子を微細化して行く過程で再凝集して粗粒が出来る問題がある。これを防ぐために、ポリアクリル酸、ポリカルボンアンモニウムカルボン酸等の分散剤が使用されている。しかし、分散剤は光触媒膜中に残るため、薄膜の物性の劣化等の原因となる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−116461号公報
【特許文献2】特開2006−272757号公報
【特許文献3】特開2005−60532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、光触媒粒子が高度に分散された分散液、及び該分散液を、分散剤を使用することなく作ることができる製法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は、分散媒と光触媒粒子と酸性物質を含む分散液であって、該光触媒粒子が動的光散乱法により求められる平均粒径(D50)50nm以下で該分散媒中に分散されており且つ該分散液のpHが1.0〜6.5である、分散液である。
また、本発明は、ビーズミルを用いて光触媒粒子の分散液を調製する方法であって、該ビーズミルは、中空円筒形状の容器と、該容器内に配置された攪拌部材及びビーズ分離手段とを備え、該ビーズが直径5〜100μmのジルコニア製球状ビーズであり、
(1)該攪拌部材を第一回転速度(r1)で回転させて、光触媒粒子と分散媒と酸性物質を含むpH1.0〜6.5の原料分散液と該ビーズを攪拌し、該光触媒粒子の動的光散乱法により求められる平均粒径(D50)を、該光触媒粒子の一次粒子の粒径の250〜350%にする工程、次いで
(2)該攪拌部材を、r1の50〜90%の第二回転速度(r2)で回転させて、該光触媒粒子の平均粒径を、その一次粒子の粒径の150〜250%にする工程、
を含む方法である。
【発明の効果】
【0007】
上記本発明の分散液は、光触媒粒子が50nm以下の平均粒径で分散されており、基材上に施与されて、紫外光及び可視光触媒活性および透明性に優れた膜を形成する。また、本発明の方法は、第1工程において強い剪断力で分散を行うので、粗粒が残らず、光触媒粒子の平均粒径が所定の大きさになった後は、より穏やかな剪断力で分散を行うので、粒子の再凝集及び粒子表面の破砕による光触媒機能の低下が起こらない。これにより、効率的に、且つ分散剤を使用しなくとも、光触媒粒子が粒径50nm以下で分散されている分散液を調製することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[分散液]
本発明の分散液は、光触媒粒子の動的光散乱法・周波数解析(FFT−ヘテロダイン法)により求められる体積基準の50%累積分布径(D50)(以下「平均粒径」という)が50nm以下、好ましくは45nm以下、である。なお、平均粒径の下限値は、光触媒粒子の一次粒子の粒径である。平均粒径が50nm超では、光応答性、特に可視光応答性、及び透明性が充分ではない。平均粒径が一次粒子の粒径未満である状態は、いわゆる「過分散」であり、粒子の凝集等の問題が起こり好ましくない。
【0009】
該分散液のpHは、1.0〜6.5であり、好ましくは2.0〜5.0である。該範囲内においては、光触媒粒子が帯電されて、粒子間の凝集が効果的に抑制される。該pHは、分散媒のpHをガラス電極等によりモニタしながら、後述する酸性物質を分散媒に添加することによって、調整することができる。pHが調整された該分散媒に光触媒粒子を添加して原料分散液とし、ビーズミルで処理するが、この間pHはほとんど変動せず、最終的に得られる分散液のpHも上記範囲である。
【0010】
光触媒粒子としては、酸化チタン系、酸化タングステン系、酸化亜鉛系、酸化ニオブ系等、n型半導体様のバンドギャップ構造を有する金属酸化物の結晶微粒子が挙げられる。例えば、アナターゼ型の二酸化チタン、ルチル型の二酸化チタン、ペルオキソチタン結晶、三酸化タングステン(WO)、酸化亜鉛(ZnO)、Gaドープ酸化亜鉛(GZO)、酸化ニオブ(Nb)等が挙げられる。好ましくは、これら金属酸化物の結晶内に異種元素、例えば窒素、硫黄、リン、炭素をドーピングしたもの、表面に異種金属もしくは化合物、例えば銅、鉄、ニッケル、金、銀、白金、炭素を担持したものが使用される。これらの一次粒子の粒径は、1nm〜50nm、好ましくは1nm〜40nm、より好ましくは1〜25nmである。このような、光触媒粒子としては、白金を担持したルチル型二酸化チタン(MPT−623(商品名)、粉体状、石原産業製)、鉄を担持したルチル型二酸化チタン(MPT−625(商品名)、粉体状、石原産業製)等が挙げられる。一次粒子の粒径は、例えば、X線回折法でScherrerの式を用いて求められる。光触媒粒子の配合量は、分散液の0.01〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%、である。前記下限値未満では分散媒を揮発させて製膜するのに時間及びエネルギーがかかり、前記上限値超では、分散液から薄膜を調製するのが困難となり、得られる膜の透明度が低くなる傾向がある。
【0011】
分散媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、またはこれらの混合物が使用される。好ましくは水、及び水とアルコールの混合物、より好ましくは水が使用される。水は上記pHの調整を阻害する不純物を含んでいなければよい。好ましくは精製水、蒸留水、イオン交換水を用い、より好ましくは精製水を用いる。
【0012】
分散媒に、酸性物質を添加して、そのpHを1.0〜6.5、好ましくは2.0〜5.0に調整する。該酸性物質としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、樟脳スルホン酸等のブレンステッド酸性物質、酸性基を有する高分子化合物、および酸性イオン交換樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種が使用される。これらの酸性物質は水もしくはアルコール溶液として添加してもよい。好ましくは、樟脳スルホン酸が使用される。
【0013】
好ましくは、本発明の分散液は分散剤を含有せず、実質的に光触媒粒子、分散媒、および酸性物質からなる。これにより、分散剤に起因する光触媒薄膜の物性の劣化を防止することができる。
【0014】
[分散方法]
上記本発明の分散液は、中空円筒形状の容器と、該容器内に配置された攪拌部材及びビーズ分離手段とを備えるビーズミルで、直径5〜100μmのジルコニア製球状ビーズを用いて、下記工程を含む方法で調製することができる。
(1)該攪拌部材を第一回転速度(r1)で回転させて、光触媒粒子と分散媒と酸性物質を含むpH1.0〜6.5の原料分散液と該ビーズを攪拌し、該光触媒粒子の動的光散乱法により求められる平均粒径(D50)を、該光触媒粒子の一次粒子の粒径の250〜350%にする工程、次いで
(2)該攪拌部材を、r1の50〜90%の第二回転速度(r2)で回転させて、該光触媒粒子の平均粒径を、その一次粒子の粒径の150〜250%にする工程。
【0015】
ビーズミルは、直径が100μm以下の微小なビーズを用いることができるビーズミルを用いる。該ビーズミルは、通常、「ベッセル」と呼ばれる中空円筒形状の容器と、該容器内に配置され、原料分散液及びビーズを攪拌するための攪拌部材を備える。該攪拌部材としては、該容器と同軸に配置され、中空円筒形状もしくは羽根車形状を有するものを使用することができる。好ましくは、中空円筒形状の攪拌部材が使用される。斯かる中空円筒形状の攪拌部材を備えるミルは、容器の内壁と該攪拌部材の外壁の間の環状部で粒子が粉砕され、アニュラー型ビーズミルと呼ばれる(例えば特開2006−751号公報を参照されたい)。
【0016】
より好ましくは、循環型ビーズミルが使用される。該循環型ビーズミルは、原料分散液をタンクからビーズミルへと送液してビーズミルで分散処理した後、ビーズ分離手段によってビーズから分離してタンクへと戻し、これを、粒子が所望の小ささになるまで繰り返す。該ビーズを分離する手段としては、遠心分離装置、ギャップセパレータ及び分離スクリーンがあり、好ましくは遠心分離装置が使用される。このようなビーズミルは、特開2007−275832号公報、特開2007−190447号公報等に記載されており、市販されているものとしては、ナノ・ゲッター(アシザワ・ファインテック(株)製)、及びウルトラアペックスミル(寿工業(株)製)が挙げられる。
【0017】
使用するビーズは、直径が100μm以下のものが好ましく、5〜50μmの範囲ものがより好ましい。ビーズの材質はジルコニアまたはイットリウム部分安定化ジルコニア製のものが磨耗が少ない点で好ましい。このようなビーズの例として、PlasmaBeads PB ZrO:Y 50Φ(イットリウム部分安定化ジルコニアビーズ、粒径範囲40〜60μm、高周波熱錬(株)製)が挙げられる。
【0018】
上記工程(1)において、ビーズは粉砕処理が行われる部分、例えば前記環状部、の容積の30〜70%、好ましくは40〜60%、となる量で用いる。第一回転速度(r1)は、できるだけ大きいことが好ましく、使用するミルの攪拌部材の可能最高回転速度の60〜90%程度で行う。先に述べたアニュラー型ビーズミルの場合、回転速度は中空円筒形状の攪拌部材の周速度で規定され、r1は10〜20m/s、好ましくは12〜15m/sである。工程(2)における第二回転速度(r2)はr1の50〜90%、好ましくは70〜80%である。このように回転速度を下げることで過分散が防止される。なお、r1からr2に減じる際に、段階的に減じてもよい。
【0019】
原料分散液は、上記酸性物質を添加してpHを調整した分散媒に、分散液の質量の0.01〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%、の光触媒粒子を添加して調製する。或いは、分散媒のpHを調整した段階で、分散媒のみビーズミルとタンクの間を数分程度循環させた後に、光触媒粒子をタンク内の分散媒に添加してもよい。
【0020】
工程(1)及び(2)の間、光触媒粒子の粒径をモニタする。工程(1)において、該光触媒粒子の一次粒子の粒径の250〜350%、好ましくは280〜320%になるまで回転速度r1で攪拌する。粒子径が前記下限値より小さくなると、過分散が起こる可能性があり、一方、前記上限値超では粗粒子が残る可能性がある。工程(2)では、光触媒粒子の一次粒子の粒径の150〜250%、好ましくは100〜200%、になるまで回転速度r2で攪拌する。
【0021】
上記工程(1)及び(2)中のベッセル内温度は5℃〜90℃の範囲、好ましくは25℃〜70℃にする。
【0022】
好ましくは、本発明の方法は分散剤を使用しない。これにより、分散剤に起因する光触媒薄膜の物性の劣化を防止することができる。
【0023】
得られた分散液は、種々の基材に施与することができ、特に、有機系の基材に施与するのに適する。該基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のフィルム、成形品が挙げられる。該基体上に光触媒薄膜を形成する前に、例えば、コロナ処理、常圧(もしくは大気圧)プラズマ処理、または低圧低温プラズマ処理により表面処理することが好ましい。
【0024】
光触媒分散液を基体に塗布するには、従来公知の方法であってよい。例えば、ディップコーティング法、スピンコーティング法、刷毛塗り法が挙げられる。塗布量は、乾燥後の厚みが約50〜500nmになるような量である。塗膜の乾燥は、70〜150℃で行うことができる。
【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例により説明する。ただし、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0026】
<実施例1〜4、比較例1〜3>
表1に示す各分散液を調製した。光触媒粒子としては酸化チタン(MPT−623(商品名)、白金担持二酸化チタン結晶微粒子/ルチル型、一次粒子の粒径20nm、石原産業製)、または酸化チタン(MPT−625(商品名)、鉄担持二酸化チタン結晶微粒子/ルチル型、一次粒子の粒径20nm、石原産業製)を用い、分散媒としては精製水を用いて、以下の方法により調製した。
分散媒に、樟脳スルホン酸(和光純薬(株)製)を添加して、25℃でpHメーター(D−51S、(株)堀場製作所製)を用いて測定しながら、pHを3.0とした。但し、比較例3はpH調整を行わなかった。ビーズミルとして、循環型アニュラー型ビーズミルである、ナノ・ゲッター DMR−110(商品名)(アシザワ・ファインテック製)のベッセルに、粉砕室の容積30〜70%となる量のジルコニアビーズ(Plasma Beads PB ZrO:Y(商品名)、高周波熱錬(株)製)を入れた。次いで、分散媒をタンクからベッセル内に送液した。該ビーズミルの攪拌機の回転を、回転速度12m/s〜13m/sで、開始した。回転開始直後に、攪拌を継続しつつ、原料分散液質量の1.0質量%に相当する量の光触媒粒子をタンク内に添加した。約10分間隔で、タンクから分散液を採取して、粒子径を測定した。実施例1〜4では、攪拌開始10分後に、光触媒粒子の平均粒径が、原料酸化チタンの一次粒子の粒径の280〜340%となったため、回転速度を10m/sまで落とした。実施例1及び2では、更に10分後に速度を8m/sまで低下した。これに対して、比較例1、2では初期回転速度を維持した。夫々、合計で30分攪拌した所で機器を停止して、ベッセル内の液を回収して分散液を得た。
【0027】
得られた分散液について、以下の方法で評価を行った。
<粒径測定>
マイクロトラックUPA−EX(日機装社製)を用いて粒度測定し、平均粒径D50(nm)を決定した。
<分散液の安定性>
分散液を50mLのガラス製バイアルに取り、蓋をした状態で暗所静置した。この状態で、バイアルの底に白い沈殿物が見られるようになるまでの日数を確認した。
【0028】
分散液を用いて下記方法で薄膜を調製した。
<光触媒薄膜の評価>
分散液を、基材に塗布して光触媒薄膜を作製した。基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ50μm)を用いた。A4サイズにカットした該フィルム表面をコロナ放電処理した後、分散液をバーコーターによって塗布し、100℃のオーブンで加熱して乾燥し、乾燥後の厚さ約200nmの光触媒薄膜を作製した。得られた膜について以下の測定を行った。
<光触媒薄膜の膜厚測定>
薄膜測定装置(F−20(製品名)、FILMETRICS社製)、及び走査型電子顕微鏡(S−3400NX(製品名)、日立ハイテクノロジーズ製)を用いて測定した。
<全光線透過率及びヘイズ>
日本電色工業社のデジタルヘイズメーターNDH−20Dにより測定した。
<光触媒活性の測定>
得られた光触媒薄膜上に、1.0mmol/Lの濃度のメチレンブルーの水溶液を塗布し、60℃で乾燥して、該薄膜表面を完全に覆う量のメチレンブルーを吸着させた。乾燥後直ちに、光触媒評価チェッカーPCC−2(商品名、ULVAC理工社製)を用い、メチレンブルー吸着面に於ける青色色素の吸光度(波長664nm)の測定を開始し、紫外線1mW/cm(190〜400nm)、可視光(波長400〜600nm)1mW/cmを夫々10分間照射して、メチレンブルー吸着面に於ける青色色素の吸光度(波長664nm)の減少(×10)を測定した。
【0029】
【表1】

【0030】
表1に示すように、分散液のpHが本願発明の範囲外である比較例3は、得られた分散液中の触媒粒子の平均粒径が大きかった。また、回転速度を低下することなく調製した比較例1、2で得られた分散液における触媒粒子の平均粒径は、実施例と比べて顕著に大きかった。これらに対して、実施例で得られた分散液では光触媒粒子が高度に微細化されており、得られた光触媒膜は、紫外光、可視光共に、触媒活性が高かった。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の分散液は、有機基材上に透明性が高く、触媒活性が高い光触媒薄膜を形成するのに有用である。また、本発明の方法は、該分散液を迅速に調製するのに有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散媒と光触媒粒子と酸性物質を含む分散液であって、該光触媒粒子が動的光散乱法により求められる平均粒径(D50)50nm以下で該分散媒中に分散されており且つ該分散液のpHが1.0〜6.5である、分散液。
【請求項2】
前記光触媒粒子が、二酸化チタン、酸化亜鉛、ペルオキソチタン結晶、又は酸化タングステンからなる、請求項1に係る分散液。
【請求項3】
前記光触媒粒子が、白金を担持したルチル型二酸化チタン、又は鉄を担持したルチル型二酸化チタンからなる、請求項2に係る分散液。
【請求項4】
前記分散媒が水又は水とアルコールの混合物である、請求項1〜3のいずれか1項に係る分散液。
【請求項5】
前記酸性物質が、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、樟脳スルホン酸、酸性基を有する高分子化合物、及び酸性イオン交換樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜4のいずれか1項に係る分散液。
【請求項6】
分散剤を含まない、請求項1〜5のいずれか1項に係る分散液。
【請求項7】
ビーズミルを用いて光触媒粒子の分散液を調製する方法であって、該ビーズミルは、中空円筒形状の容器と、該容器内に配置された攪拌部材及びビーズ分離手段とを備え、該ビーズが直径5〜100μmのジルコニア製球状ビーズであり、
(1)該攪拌部材を第一回転速度(r1)で回転させて、光触媒粒子と分散媒と酸性物質を含むpH1.0〜6.5の原料分散液と該ビーズを攪拌し、該光触媒粒子の動的光散乱法により求められる平均粒径(D50)を、該光触媒粒子の一次粒子の粒径の250〜350%にする工程、次いで
(2)該攪拌部材を、r1の50〜90%の第二回転速度(r2)で回転させて、該光触媒粒子の平均粒径を、その一次粒子の粒径の150〜250%にする工程、
を含む方法。
【請求項8】
前記攪拌部材が中空円筒形状であり、前記ビーズ分離手段が前記攪拌部材の内部に前記攪拌部材と同軸に配置された遠心分離羽根である、請求項7に係る方法。
【請求項9】
回転速度が前記攪拌部材の周速度であり、r1が10〜20m/sであり、r2が6〜10m/sである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
工程(1)及び(2)の間の前記容器内の温度が25℃〜70℃である、請求項7〜9のいずれか1項に係る方法。
【請求項11】
前記光触媒粒子のX線回折法によりにより求められる一次粒子の粒径が1〜25nmである、請求項7〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記光触媒粒子が、二酸化チタン、酸化亜鉛、ペルオキソチタン結晶、又は酸化タングステンからなる、請求項7〜11のいずれか1項に係る方法。
【請求項13】
前記光触媒粒子が、白金を担持したルチル型二酸化チタン、又は鉄を担持したルチル型二酸化チタンからなる、請求項12に係る方法。
【請求項14】
前記分散媒が水又は水とアルコールの混合物である、請求項7〜13のいずれか1項に係る方法。
【請求項15】
前記酸性物質が、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、樟脳スルホン酸、酸性基を有する高分子化合物、及び酸性イオン交換樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項7〜14のいずれか1項に係る方法。
【請求項16】
分散剤を使用しない、請求項7〜15のいずれか1項に係る方法。

【公開番号】特開2010−269266(P2010−269266A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124381(P2009−124381)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】