説明

光触媒組成物及び光触媒導入方法

諸実施形態は、酸又は塩基の存在下にて、基材に共有結合可能な官能基を有する活性物質、光に曝露すると酸又は塩基を生成可能な光触媒、及び賦形剤を含む組成物を提供する。本組成物は更に、界面活性剤、乳化剤、酸化剤、及び他の成分を含んでよい。基材の処理方法もまた、開示されている。本方法は、官能基を有する少なくとも1つの活性物質を基材に塗布する工程、光触媒を基材に塗布する工程、並びに光触媒及び少なくとも1つの活性物質を光に曝露して、基材上の官能基と成分群との間に共有結合を形成する工程を含む。本明細書に記載される組成物及び方法は、例えば、パーソナルケア製品及び消費者ケア製品用途において有益である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
酸又は塩基の存在下にて、基材に共有結合可能な官能基を有する活性物質、光に曝露すると酸又は塩基を生成可能な光触媒、及び賦形剤を含む、基材の表面特性の共有結合修飾のための組成物及び方法。
【背景技術】
【0002】
材料は、バルク特性及び表面特性の観点から特徴付けられ得る。材料の全体的な特性は、かなりの部分が、材料の表面特性及びバルク特性によって制御される。材料の表面特性は、材料の界面化学及び表面構造によって大部分が制御される。材料のバルク特性は、材料のバルク化学及びバルク構造によって大部分が制御される。ある種の表面特性を生じさせるために、材料の界面化学及び/又は表面構造を変更することが望ましい場合がある。加えて、ある種のバルク特性を生じさせるために、材料のバルク化学及び/又はバルク構造を変更することが望ましい場合がある。
【0003】
表面改質は一般に、(1)既存の表面内の原子、化合物、若しくは分子を、化学的若しくは物理的に変更すること(例えば、処理、エッチング、化学修飾)、又は(2)異なる組成及び/若しくは構造を有する材料で既存の表面を上塗りすること(例えば、コーティング、グラフト化、薄膜蒸着)という2つのカテゴリーに分類される。所与の用途で使用される特定の表面改質法は、多くの場合、改質される材料及びその材料が使用される用途によって、少なくともある程度は制御され得る。バルク改質は、類似の考察を伴う。
【0004】
さまざまな状況下で、材料表面上の官能基と活性物質中の補完的な官能基との間に共有結合を形成することによって材料表面を改質することが望ましい場合がある。材料の表面特性を変化させるために、活性材料で特定の材料の表面を共有結合的に改質することが特に望ましい場合がある。
【0005】
さまざまな状況下で、1つ以上の活性成分を反応させて、その1つ以上の活性成分間に共有結合を生成し、材料表面上に局所的に活性物質を形成することによって、材料表面を改質することもまた望ましい場合がある。共に共有結合した活性成分を含む活性物質は、例えば、吸着、吸収、静電相互作用、摩擦相互作用、立体相互作用、及び/又はサイズ排除効果などの化学的又は物理的現象によって材料表面に局所的に残存し得る。さまざまな状況下で、材料のバルク内にて、同様に活性物質を形成することによって、材料のバルクを改質することが更に望ましいこともある。
【0006】
表面及び/又はバルク改質に好適な材料としては、例えば、毛髪、皮膚、爪、歯、及び歯ぐきなどの生理学的物質が挙げられる。表面及び/又はバルク特性の改質は、例えば、布地、紙、木材、プラスチック、ガラス、タイル、石、コンクリート、煉瓦、その他のセラミックス、コーティングされた又は塗装された金属表面、コーティングされたガラス、ポリマーフィルム、及び複合材料などの非生理学的物質に対しても有用であり得る。
【0007】
毛髪及び皮膚は、表面及び/又はバルク改質の観点から特に関心深い生理学的物質である。毛髪及び皮膚は、様々な化学的及び物理的環境に曝される。例えば、多くの場合、日常的なヘアケア行為は、洗浄、ブロー乾燥、ブラッシング、染色、パーマ、ストレートパーマ、スタイリング、などのうち1つ以上を含む。これらの活動は、健康な毛髪を特徴付ける自然な光沢及び質感の喪失をもたらし得る機械的及び化学的要因に毛髪を繰り返し曝す。更に、環境要因がこれらの影響に加わり、風雨に曝された又は傷んだ毛髪への実質的な一因となり得る。皮膚も、類似の機械的、化学的及び環境要因の結果としての表面損傷を受ける。毛髪及び皮膚の表面への急性損傷は、時間とともに蓄積され、慢性損傷をもたらし得る。
【0008】
毛髪は、繊維角皮表面膜(fiber cuticle surface membrane)(「FCSM」)によって、機械的、化学的、及び環境的に媒介される損傷から自然に保護される。FCSMは、毛髪繊維の最外表面層を成し、タンパク質及び脂質成分を含む。FCSMは、本来なら毛髪損傷への実質的な一因となり得る機械的、化学的及び環境要因に対する、高度に耐久性のある疎水性の表面保護バリアとして機能する。FCSMは、高度に架橋したケラチンタンパク質の下層(外表皮と称されることもある)に共有結合した、表面脂質単層(F層と称されることもある)を含む。F層は、ケラチン内のシステイン残基及び外表皮内のその他のタンパク質上のチオール基と18−メチル−エイコサン酸(「18−MEA」)又はその他の脂肪酸上のカルボキシル基との間に形成されたチオエステル結合を介して外表皮に結合した18−MEAなどの脂肪酸を主として含む。F層は、毛髪繊維に疎水性表面を付与し、これにより、健康な毛髪の、輝く光沢、柔らかな質感及び滑らかさをある程度向上させる。
【0009】
皮膚は、角質層によって、機械的、化学的、及び環境的に媒介された損傷から自然に保護される。角質層は、表皮の最外層である。角質層は、ケラチン、脂肪酸及びセラミドを含む脂質の多い間質内に埋め込まれた脂質劣化角質細胞を含む。角質層の脂肪酸、セラミド及びその他の脂質成分は、F層が毛髪内の外表皮に共有結合しているのと同様な方法で、エステル及びチオエステル結合を介してタンパク質成分に共有結合していると考えられている。角質層は、経皮湿分の損失を防止し、経皮吸収を調節し、かつ表皮の下層を保護するための生理学的バリアを提供するように機能する。
【0010】
ミクロ構造が異なっているにもかかわらず、F層及び角質層は共に、それぞれ毛髪及び皮膚に対して、類似の保護機能を有する。しかしながら、機械的、化学的及び環境要因によって、F層及び角質層の少なくとも一部が損失することもあり得る。例えば、永久染毛中、過酸化水素、アンモニア及び高pHの組み合わせによって、保護用F層の少なくとも一部が除去され、下層の毛髪表面を更に酸化させて、毛髪繊維に不可逆的な生理化学的変化を生じさせ得る。繰り返し染色することで、毛髪繊維表面からF層が完全に消失し得る。その結果、以前は疎水性であった毛髪繊維表面が親水性となり得るが、これはF層が失われた際に、ケラチン外表皮が表面に露出するためである。毛髪繊維表面の、天然の保護及び潤滑特性は、その結果として減少し、毛髪は、乾燥した、ざらざらした、縮れた感触となり得、ブラッシング及び/又は髪をほぐすことが困難となり、色がよりくすんで見え、色合いが低下し、より多くの静電気を持ち、かつ、その他の機械的、化学的及び環境要因による更なる損傷を大幅に受けやすくなる。
【0011】
角質層も同様に、機械的、化学的及び環境要因に起因する損傷を受けやすい。例えば、相対的に寒冷気候の冬期数ヶ月の間、低湿度、低温、及び強風により、例えば、発赤、皮癬及び/又は剥離を特徴とする乾燥症(乾燥肌)がもたらされ得る。損傷した皮膚は、実質的に更なる損傷を受けやすく、これにより急性の症状が慢性状態へと変化し得る。
【0012】
これらの物質の表面部分への損傷によって、物質の下層にあるバルク部分に損傷が生じ得る。これによって最終的には、大量の、かつ恐らくは修復不可能な損傷をこれらの物質にもたらし得る。種々の機械的、化学的及び環境要因が、(単独で又は総合的に)毛髪及び/又は皮膚の損傷をもたらし得る。例えば、太陽光への過度な曝露、プール用水中(及びより少ない程度で、市の供給によって提供される水中)の塩素への曝露、その他の形態の水質汚染への曝露、各種形態の大気汚染への曝露、毛髪繊維間の摩擦相互作用、並びに毛髪繊維又は皮膚とその他の表面との間の摩擦相互作用が、毛髪及び皮膚の損傷をもたらし得る。
【0013】
F層及び角質層それぞれの損失、並びに下層のバルク損傷を補うために、毛髪及び皮膚を処理するのに、種々のアプローチ及び製品が利用可能である。例えば、リーブオン及びリンスオフヘアコンディショナーは、各種活性物質を毛髪繊維の表面上に付着させることによって、F層の損失を補おうとするものである。コンディショナーには、各種活性物質、例えば、皮膚軟化剤、湿潤剤、再構築剤(例えば、毛髪に浸透して、架橋によってそのバルク構造を強化することを目的とした、タンパク質加水分解物若しくはペプチド加水分解物及び遊離アミノ酸)、pH調整剤、ほぐし剤、熱保護剤(例えば、熱吸収ポリマー)、つや出し剤(例えば、ジメチコン若しくはシクロメチコンなどのシリコーン)、エッセンシャルオイル及び脂肪酸、(例えば、皮脂代用品として)、界面活性剤(例えば、疎水性及びカチオン性官能性を有する部分)、並びに/又は潤滑剤(例えば、パンテノール)が含まれてもよい。加えて、ヘアコンディショナーは、金属イオン封鎖剤/キレート剤、帯電防止剤、レオロジー調整剤、乳化剤、感触改良剤(feel agents)、充填剤及び/又は防腐剤を含んでよい。類似の方法により、皮膚の湿潤剤は、表皮表面上に各種活性物質を付着させることによって、角質層の損失を補おうとするものである。その他の各種皮膚保護剤及び治療剤は、皮膚の下層に吸収されてバルク損傷を保護及び/又は修復するための活性物質を付着させる。
【0014】
ヘアコンディショナー及び皮膚湿潤剤は、疎水性活性物質(例えば、ペトロラタム、ジメチルシロキサン、脂肪族アルコール、脂肪酸、及び/又は疎水性四級アンモニウム塩)を毛髪繊維又は皮膚の表面上に付着させることによって作用する。活性物質をそれらの活性状態にて堆積させ、例えば、吸収、吸着、水素結合、イオン結合、その他の静電相互作用、及び/又はその他の一時的な非共有結合性会合などの物理的又は生理化学的手段によって表面に付着させる。したがって、毛髪繊維又は皮膚表面との一時的な非共有結合性会合の結果として、これらの組成物は、大幅に限定された活性寿命を有する場合があるが、これは、それらが、洗浄、すすぎ洗い、又は通常の日常活動におけるその他の機械的、化学的、若しくは環境相互作用などの相互作用によって、毛髪又は皮膚表面から実質的に除去され得るためである。
【0015】
したがって、毛髪繊維及び皮膚からのそれぞれF層及び角質層の損失を補うための、より耐久性があるコンディショニング及び保護効果を提供する組成物及び方法への要求が存在する。損傷を受けた毛髪及び皮膚の表面特性の共有結合修飾は、このようなアプローチの一例である。これらの物質を保護、修復、及び/又は強化する必要もある。1つ以上の活性成分を反応させてその1つ以上の活性成分の間に共有結合を生成することによって、物質表面上に局所的に活性物質を形成させることによる物質表面の改質、及び類似の方法で物質のバルク内に活性物質を形成することによる物質のバルクの改質は、有望なアプローチである。
【0016】
各種非生理学的物質もまた、それらの表面特性の共有結合修飾から利益を得ることができる。例えば、綿系布地は元来親水性である。疎水性活性物質を共有結合させることによって、綿系布地の表面特性を変更することが望ましい場合がある。このようにして、綿系布地の撥水性を増大させることができる。更に、綿系布地の表面及び/又はバルク特性は、1つ以上の活性成分を反応させてその1つ以上の活性成分の間に共有結合を生成することにより布地繊維表面上に活性物質を局所的に形成することによって、並びに布地のバルク内に活性物質を局所的に形成することによって、変更され得る。やはり表面及び/又はバルク改質の影響を受けやすい更なる布地としては、例えば、ポリエステル、ポリコットン、シルク、セルロース由来材料(例えば、レーヨン)、及び羊毛が挙げられる。
【0017】
例えば、布地、紙、木材、プラスチック、ガラス、タイル、石、コンクリート、煉瓦、その他のセラミックス、コーティングされた又は塗装された金属表面、コーティングされたガラス、ポリマーフィルム、及び複合材料などの各種の追加の材料を共有結合的に改質することもまた有用であり得る。例えば、水をガラスと接触するように置いたとき、ガラス表面に付着する傾向がある液滴が形成され得る。したがって、疎水性活性物質を共有結合させることによって、ガラス材料の表面特性を変更することが望ましい場合がある。このように、ガラスの撥水性が増大し、結果的に水の除去能力が向上し得る。あるいは、親水性活性物質の共有結合は、液滴形成及び曇りを低減する水シーティング効果(water sheeting effect)を生じさせ得る。
【0018】
セラミックタイルもまた、例えば、疎水性活性物質の共有結合による表面改質から恩恵を受け得る。洗浄し乾燥させたセラミックタイルは、特に、水の溶解したミネラルの濃度が増大した領域で水染みを示す場合がある。疎水性活性物質の付着は、例えば、セラミックタイルの乾燥時間を短縮し、かつ水染みを減らし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、生理学的物質に加えて、各種物質の表面及び/又はバルク特性を変更する組成物及び方法への要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
酸又は塩基の存在下にて、1つ以上の補完的な官能基に共有結合可能な1つ以上の官能基を有する活性物質、光に曝露すると酸又は塩基を生成可能な光触媒、並びに組成物を基材に塗布するための活性物質及び光触媒を分散又は溶解させるための生理学的に許容可能な賦形剤を含むパーソナルケア組成物であって、賦形剤が、生理学的に許容可能な賦形剤であり、基材が、毛髪、皮膚、爪、歯及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、パーソナルケア組成物。
【0021】
少なくとも1つの活性物質を基材に塗布すること(該活性物質は、1つ以上の官能基を有し、該基材は、1つ以上の補完的な官能基を有する)、光に曝露すると酸又は塩基を生成可能な少なくとも1つの光触媒を基材に塗布すること、並びに光触媒及び少なくとも1つの活性物質を光に曝露して、少なくとも1つの活性物質の1つ以上の官能基と、第2活性物質、基材、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される試薬との間に共有結合を形成することを含む、基材の処理方法。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本明細書に記載されるさまざまな実施形態は、次の添付図面を用いた以下の説明を参照することにより理解され得る。
【図1】チオエステル結合により18−MEAに共有結合したケラチン外表皮部分を含む毛髪繊維のFCSMへの損傷を示す概略図。
【図2】活性成分及び光触媒物質にて毛髪などの生理学的基材を処理するための、本明細書に記載される組成物及び方法の1つの非限定的実施形態を示す概略図。
【図3】活性成分及び光触媒物質にて毛髪などの生理学的基材を処理するための、本明細書に記載される組成物及び方法の1つの非限定的実施形態を示す概略図。
【図3A】活性成分及び光触媒物質にて毛髪などの生理学的基材を処理するための、本明細書に記載される組成物及び方法の1つの非限定的実施形態を示す概略図。
【図4】活性成分及び光触媒物質にて布地などの非生理学的基材を処理するための、本明細書に記載される組成物及び方法の1つの非限定的実施形態を示す概略図。
【図5】本明細書に記載される組成物及び方法の作用機序の1つの非限定的実施形態の略図。ここで、基材表面は共有結合により改質されている。
【図6】本明細書に記載される組成物及び方法の1つの非限定的実施形態の略図。ここで、多孔質基材物質は、二次的活性物質を形成可能な活性物質で処理される。
【図7】本明細書で提示された各種実施例の接触角測定値を各種性質の毛髪と比較したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書は本発明を特に指摘し、明確に請求する請求項で完結しているが、本発明は、各種非限定的実施形態についての以下の説明から、より良く理解されるものと考えられる。
【0024】
諸実施形態の特定の説明は、本発明の明確な理解に関する要素及び/又は特徴のみを図示するために簡略化されており、明瞭にするために、その他の要素及び/又は特徴が除外されているものと解されるべきである。当業者は、本発明の各種非限定的実施形態の本説明を考慮する際に、本発明を実施するためにはその他の要素及び/又は特徴が望ましい場合があることを理解するであろう。しかしながら、このようなその他の要素及び/又は特徴が、本発明の諸実施形態の記載を考慮する際に、当業者により容易に確認され得るため、かつ本発明の完全な理解のために必要とされないがために、このような要素及び/又は特徴の議論は本明細書では提供されない。このように、本明細書で示された説明は、本発明にとって例示的なものに過ぎず、特許請求の範囲を限定することを意図するものではないと解されるべきである。
【0025】
本明細書の実施例以外では、又は別段明示しない限り、明細書及び添付の特許請求項中の、例えば、材料の量、元素含有量、反応の時間及び温度、量の比、並びにその他のものについての全ての数の範囲、量、値、及び百分率は、たとえ用語「約」が値、量、又は範囲と共に明示的に表示されていなくとも、「約」という言葉を前に置いて読んでよい。したがって、そうでない旨の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得ようとする望ましい特性に応じて変更可能な概算値である。最低限でも、また特許請求の範囲への同等物の原則の適用を限定する試行としてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数を考慮して、及び通常の四捨五入法を適用することによって解釈されなければならない。
【0026】
本発明の広範囲で示す数値的範囲及びパラメータは、近似値であるが、具体例な実施例での数値は可能な限り正確に報告する。しかし、いずれの数値もその内在するそれぞれの試験測定値において見られる偏位から必然的に生じる誤差を本来的に含有する。更に、本明細書で数の範囲について記載する場合、これらの範囲には、列挙された範囲の終点が含まれる(即ち、終点を使用してもよい)。また、本明細書に記載される任意の数値範囲は、そこに包含される全ての部分的な範囲を含むことを意図することが理解されよう。例えば、範囲「1〜10」は、列挙された最小値である1(を含む)と列挙された最大値である10(を含む)との間の全ての部分的な範囲を含むことを意図し、即ち、1以上の最小値及び10以下の最大値を有する。
【0027】
本明細書にて引用される、全ての特許、出版物、又はその他の開示要素は、その全体が参照により組み込まれる。参照によって本願に組み込まれる任意の特許、出版物、又は他の開示要素は、部分的にあるいは全体的に、その組み込まれた文献が既存の定義、記載内容、又は本開示に示した他の開示要素と矛盾しない範囲で、本願に組み込まれる。本明細書に明確に説明された開示は、このように及び必要な程度まで、本明細書に参照により組み込まれた任意の矛盾する資料に優先する。本明細書に参照により組み込むと述べるが本明細書に記載した既存の定義、記述、又は他の開示資料と矛盾する、任意の資料又はその一部は、組み込まれる資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込むものとする。
【0028】
冠詞「a」、「an」、及び「the」は、本明細書では、1つ又は1つを超える(即ち、少なくとも1つ)の目的語たる物品を指すものとして使用される。一例として、「a component」とは、1つ以上の成分を意味し、したがって、場合により、1つを超える成分が検討され、用いられ又は使用されてよい。
【0029】
特に指定しない限り、百分率、割合、及び比率は全て、本発明の組成物の総重量に基づく。このような全ての重量は、記載した成分に関する限り活性濃度に基づくものであり、そのため特に指定されない限り市販材料に包含される可能性のある溶媒若しくは副生成物を包含していない。
【0030】
本発明で使用する場合、用語「官能基」とは、少なくとも部分的に、構造を規定し、かつ特定の族の化合物の性質を決定する、原子又は会合した原子の群を意味する。官能基は、分子又は物質のその他の領域と比較して、特定の化学反応性の部位である分子又は物質上又は内の領域であり得る。官能基は一般に、特有の性質を有し、ある程度、分子の反応性を全体として制御することができる。官能基としては、ヒドロキシル基、チオール基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホネート基、スルフィド基、エーテル基、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、などが挙げられるが、これらに限定されない。官能基によって概して分類(構造上及び/又は機能上)される化合物としては、例えば、アルカン、アルケン、アルキン、芳香族化合物、ハロゲン化物、アルコール、エーテル、エステル、アミン、イミン、イミド、カルボン酸、アミド、酸ハロゲン化物、酸無水物、ニトリル、ケトン、アルデヒド、カーボネート、過酸化物、ヒドロペルオキシド、炭水化物、アセタール、エポキシド、スルホン酸、スルホン酸エステル、硫化物、スルホキシド、チオエーテル、チオシアネート、ジスルフィド、ホスホン酸、リン酸エステル、ホスフィン、アジド、アゾ化合物、ニトロ化合物、硝酸塩、ニトリル、亜硝酸塩、ニトロソ化合物、チオール、シアン酸塩、及びイソシアネートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
用語「活性物質」、「活性成分」、「活性化合物」並びにこれら用語の組み合わせ及び変化は、本明細書で使用するとき、基材物質の表面及び/又はバルク特性を変更するために基材に塗布される物質を意味する。これらの用語は、同じ意味で用いられてよい。基材表面特性としては、例えば、表面疎水性/親水性、嫌油性/親油性、色、光学特性、吸収率、吸着性、結合能力、輝度、無光沢度、摩擦抵抗、耐汚染性、表面テクスチャー、臭い、耐洗浄性、湿潤性、弾性、可塑性、及び剛性を挙げることができる。基材バルク特性としては、例えば、引張り強度、剛性、吸収率、弾性、可塑性、及び生物活性を挙げることができる。
【0032】
活性物質は、酸又は塩基の存在下にて、1つ以上の補完的な官能基(基材の表面又はバルク内に存在する)に共有結合可能な1つ以上の官能基を有する化合物を含んでよい。活性物質は、酸又は塩基の存在下にて、分子間に共有結合を形成可能な化合物、例えば、酸又は塩基触媒重合可能なモノマーを更に含んでよい。「美容活性物質」は、過度の毒性、非相溶性、不安定性、アレルギー反応、などがなく、パーソナルケア製品にて用いるのに好適な活性物質である。
【0033】
用語「モノマー」は本明細書で使用するとき、その他のモノマー(同一の又は異なる化学構造を有してよい)に共有結合されて、ポリマー又はコポリマーを形成することができる化合物を意味する。用語「ポリマー」(及び「コポリマー」)は本明細書で使用するとき、複数のモノマーを含む化合物を意味する。したがって、本明細書で使用するとき、ポリマーという用語は、二量体、三量体、オリゴマー、などを含む。
【0034】
本発明で使用するとき、用語「改質する」、「改質」、「官能化する」又は「官能化」は、基材との関係では、(1)活性成分を基材表面に共有結合させること、(2)基材物質のバルク内にて、活性成分を前記基材に共有結合させること、(3)2つ以上の活性成分(同一若しくは異なる化学的部分であり得る)の間に共有結合を形成すること(ここで、得られた二次的活性物質は基材表面に局在する)、及び/又は(4)2つ以上の活性物質(同一又は異なる化学的部分であり得る)の間に共有結合を形成すること(ここで、活性物質は、基材のバルク内に存在する)を意味する。
【0035】
本明細書で使用するとき、用語「ヒトの毛髪への塗布に好適」及び「ヒトの皮膚への塗布に好適」とは、そのように記載された組成物又はその構成要素が、過度の毒性、不適応性、不安定性、アレルギー反応等を伴わずに、ヒトの毛髪及び頭皮及び皮膚と接触して使用するのに好適であることを意味する。
【0036】
本明細書で使用するとき、用語「シャンプー」とは、毛髪、又は頭皮、顔、及び体を含む皮膚を洗浄するための組成物を意味する。したがって、用語「シャンプー」としては、例えば、通常の意味でのヘアシャンプー、ボディソープ、洗顔料、又はその他の表面洗浄組成物が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、用語「シャンプー」は、ヒト及び/又は動物にて使用する組成物を含む。
【0037】
用語「コンディショナー」は本明細書で使用するとき、毛髪又は皮膚を機械的、化学的、及び/又は環境要因(損傷を受けた若しくは風雨に曝された毛髪若しくは皮膚の一因となる)から保護するため、並びに/又はこのような損傷の特徴を緩和するために、毛髪、又は頭皮、顔、及び体を包含する皮膚を処理するための組成物を意味する。したがって、用語「コンディショナー」としては、例えば、通常の意味でのヘアコンディショナー(リーブイン及び/又はリンスアウト)、スキンローション、又は顔面湿潤剤が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、用語「コンディショナー」は、ヒト及び/又は動物にて使用する組成物を含む。
【0038】
用語「パーソナルケア製品」は本明細書で使用するとき、例えば、口紅、マスカラ、ルージュ、ファンデーション、頬紅、アイライナー、リップペンシル、リップグロス、その他化粧品、白粉、ボディーパウダー、日焼け止め剤、サンブロック、ネイルポリッシュ、ムース、ヘアスプレー、スタイリングジェル、ネイルコンディショナー、バスジェル、シャワージェル、ボディソープ、洗顔料、シャンプー、ヘアコンディショナー(リーブイン又はリンスアウト)、クリームリンス、毛髪染料、染毛製品、ヘアシャイン製品、ヘアセラム、毛髪縮れ防止製品、毛髪枝毛修復製品、リップクリーム、スキンコンディショナー、コールドクリーム、湿潤剤、ボディスプレー、石鹸、ボディースクラブ、剥離剤、収れん剤、スクラフィングローション、脱毛剤、パーマ液、ふけ予防配合物、制汗剤組成物、デオドラント、剃毛製品、プレシェービング製品、アフターシェービング製品、クレンザー、スキンジェル、リンス、練り歯磨き、うがい薬、又はオーラルケアストリップなどの製品を意味する。
【0039】
用語「コンシューマケア製品」は本明細書で使用するとき、例えば、軟質表面洗浄剤、硬質表面洗浄剤、ガラス洗浄剤、セラミックタイル洗浄剤、便器洗浄剤、木材洗浄剤、複表面洗浄剤(multi-surface cleaner)、表面消毒剤、食器洗い組成物、洗濯洗剤、布地コンディショナー、布地染料、表面保護剤、表面消毒剤、自動車表面処理剤、などの製品を意味する。コンシューマケア製品は、液体、ジェル、懸濁液、粉末、などの形態であってよい。コンシューマケア製品はまた、専門業者用、業務用及び/又は工業的用途に加えて、家庭又はホームケア用途のためであってもよい。
【0040】
本明細書に記載される組成物及び方法の1つの目的は、基材表面に活性物質を共有結合させることによって基材の表面及び/又はバルク特性を変更することである。本明細書に記載される組成物及び方法の別の目的は、それ自体が反応して活性化合物の2つ以上の分子間に共有結合を形成し、それにより二次的活性物質を形成可能な活性化合物にて基材を処理することによって、基材の表面及び/又はバルク特性を変更することである。本明細書に記載される組成物及び方法の更に別の目的は、基材表面に活性物質を共有結合させることによって基材の表面を官能化することである。効果的に処理するために、その分子内に複数の類似官能基を含有する物質を基材上にまず結合させ、次に最初に結合させた物質と反応させることによって別の物質/有益剤を結合する別の工程を続けることが望ましい場合がある。基材が、極めて限定された濃度の、有益剤と反応して化学結合を形成可能な官能基を含有する場合には、このことが特に有用である。例えば、リンゴ酸(2−ヒドロキシ−1,4−ジブタン酸)を基材上に最初に結合すると、基材の反応性が2倍に増大し、活性物質が引き続いて結合する。本明細書に記載される組成物及び方法の更に別の目的は、健康安全規則に容易に適合する方法で、かつ、パーソナルケア製品及び/又はコンシューマケア製品空間へと容易に導入し得る方法で、このような改質/官能化を提供することである。
【0041】
諸実施形態は概して、基材を処理するための組成物及び方法に関する。本明細書で使用するとき、用語「基材」とは、本明細書に記載される組成物及び方法にて、表面及び/又はバルクを処理するのに有用な任意の物質を意味し、例えば、毛髪繊維、皮膚、爪、歯ぐき、及び歯などの生理学的物質を含むがこれらに限定するものではない。基材とは、例えば、布地、紙、木材、プラスチック、ガラス、タイル、石、コンクリート、煉瓦、その他のセラミックス、コーティングされた又は塗装された金属表面、コーティングされたガラス、ポリマーフィルム、及び複合材料などの非生理学的物質も意味し得る。基材は更に、予め改質された表面、例えば、コーティングされた表面(例えば、ニス塗りした若しくは塗装された)又はラミネート加工された表面などを含んでよい。用語「基材」及び「物質」は、本明細書に記載される組成物及び方法によって改質される物体との関係においては、同じ意味で用いられてよい。
【0042】
諸実施形態では、本明細書に記載される組成物は、酸又は塩基の存在下にて、基材を改質可能な活性成分、光に曝露すると酸又は塩基を生成可能な光触媒、及び好適な賦形剤(所望により、生理学的に許容可能な賦形剤であってよい)を含む。諸実施形態では、本明細書に記載される組成物は、界面活性剤、乳化剤、酸化剤、還元剤、pH調整剤、皮膚軟化剤、湿潤剤、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、添加ポリマー、つや出し剤、エッセンシャルオイル及び/若しくは脂肪酸、潤滑剤、金属イオン封鎖剤/キレート剤、帯電防止剤、レオロジー調整剤、感触改良剤(feel agents)、充填剤、防腐剤、香料、その他の機能性成分、又はこれらの組み合わせを含む、1つ以上の任意成分を更に含んでよい。
【0043】
諸実施形態では、本明細書に記載の方法は、1つ以上の共有結合を活性成分及び/又は基材の間に形成することによって基材を処理することを含むが、ここで、共有結合は、光に曝露すると光触媒により生成される酸又は塩基の存在下に形成される。諸実施形態では、本明細書に記載の方法は、2つ以上の活性成分分子の間に1つ以上の共有結合を形成することによって、基材を処理することを含むが、ここで、共有結合は、光に曝露すると光触媒により生成される酸又は塩基の存在下にて形成され、活性物質は基材の表面及び/又はバルクに局在する。本発明で使用する場合、用語「分子」とは、化学結合によって一体化された一定配置にある少なくとも2つの原子からなる十分に安定した基を意味する。したがって、用語「分子」としては、中性分子化合物、多原子イオン、ラジカル種、生体分子、モノマー、二量体、三量体、オリゴマー、ポリマー、などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
諸実施形態では、本明細書に記載の方法は、化合物を調製し基材に共有結合させること、又は基材表面上若しくは基材バルク内の化合物間に共有結合をその場形成すること;基材を提供すること、1つ以上の試薬を提供すること、光触媒を提供すること、並びに基材及び1つ以上の試薬の存在下にて光触媒を光に曝露することによって基材を処理することを含むが、ここで、光触媒は酸又は塩基を発生させ、酸又は塩基は、その1つ以上の試薬間での反応及び/又はその1つ以上の試薬と基材との間での反応を触媒し、反応(単一又は複数)が共有結合を形成する。諸実施形態では、本明細書に記載の方法は、基材、酸又は塩基の存在下にて基材を改質可能な活性成分、及び光に曝露すると酸又は塩基を生成可能な光触媒を含む系を提供すること、並びに該系を光に曝露することを含む。
【0045】
一般に、例えば、毛髪及び皮膚などの基材上に活性成分を共有結合させることは、多くの場合、実現困難であることが分かっている。このことは水が存在する場合に特に当てはまるが、水は、基材官能化が生じる前に、反応性部分を速やかに劣化させ得る。更に、水性媒体は、活性成分の基材への共有結合と競合し得る加水分解及び酸化反応を化学的に促進することが知られている。これは、例えば、生理学的に許容可能な賦形剤として多くの場合水が使用されるパーソナルケア製品において、特定の問題を提起し得る。コンシューマケア製品も多くの場合、さまざまな容量にて、最も顕著には溶媒として、水を使用する。
【0046】
加えて、例えば、毛髪、皮膚、布地、ガラス及びセラミックなどの基材は、活性成分と容易に反応して共有結合を形成する特に反応性の強い化学官能基を表面上に含有しなくてよい。この比較的低い基材表面反応性により、塗布及びすすぎ洗い環境(例えば、毛髪の洗髪及びコンディショニング、皮膚の洗浄、布地の洗濯、又は硬質表面の洗浄)の実用的期間を外れる反応系がもたらされ得る。更に、製品の安全性及び環境保護に関する厳しい法的な要求事項は、例えば、毛髪、皮膚、布地、ガラス又はセラミックなどの基材を、活性成分の共有結合により処理するための組成物及び方法を提供するためのハードルを上げる。
【0047】
しかし、本明細書に記載される組成物及び方法の諸実施形態は、光を使って、例えば、活性成分を基材に共有結合させる又は2つ以上の活性成分の間で、基材物質の表面上又はバルク内にて、共有結合をその場形成させるなどの反応を促進させる光触媒技術についてのものである。例えば、通常疎水性であるこれらの基材を補充及び/又は強化するために、さまざまな実施形態を使用して、損傷を受けた親水性毛髪及び/又は皮膚への長鎖アルキル基の共有結合を促進してよい。加えて、例えば、布地又は硬質表面への活性物質の共有結合を促進するために、さまざまな実施形態を使用することができる。更に、例えば、物質の表面及び/又はバルク特性を変更するために、基材物質の表面上及び/又はバルク内でモノマーを局所的に重合させるために、さまざまな実施形態を使用することができる。
【0048】
諸実施形態では、共有結合によって、傷んだ毛髪及び/又は皮膚を有する個人に、種々の大きな利益をもたらし得る。例えば、ヘアコンディショニング効果としては、特に、改良された感触、より小さい摩擦、より容易な櫛通り/ブラッシング、低減された乾燥、増大した滑らかさ、減少した縮れ、増加した光沢、低下した静電気量、並びにその他の機械的、化学的及び環境要因による損傷に対する改善された保護力を挙げることができる。皮膚コンディショニング効果としては、特に、低減された乾燥、減少した発赤、減少した皮癬、減少した剥離、並びに改善された質感及び滑らかさを挙げることができる。これらの利益の少なくとも幾つかは、共有結合を介する表面改質から生じる活性物質の付着を増加させ又は目標としたものとすることによって付与されることができる。本明細書に記載される組成物及び方法によって付与される利益は、不安定でない共有結合(それは、毛髪及び/又は皮膚上へ活性成分を付着又は塗布するために従前のコンディショナー内で用いられた吸収、吸着、水素結合、イオン結合、その他の静電的相互作用、及び/又はその他の一時的な非共有結合的会合と比較して、一般により強度でかつより安定している)が用いられるために、潜在的により耐久性がある。これは、従前のコンディショナーで遭遇した塗布及び再塗布の頻度を大幅に低減し得る。
【0049】
本明細書に記載される組成物及び方法の諸実施形態は、基材への活性成分の共有結合を提供するが、これは、例えば、毛髪F層又は皮膚角質層の修復及び/又は強化へのアプローチとして記載されてよい。毛髪との関係においては、理論に束縛されたり、あるいは理論に制限されたりするものではないが、図1に示すように、さまざまな機械的、化学的、及び/又は環境要因により介在されたプロセスによって、バージンヘアのF層が毛髪繊維からはぎ取られることがある。これらのプロセスには、例えば、永久染毛及び永続的パーマ処理中に一般に遭遇する酸化及び加水分解反応を挙げることができる。
【0050】
図1は、18−MEA上のカルボキシル基と外表皮内のケラチンタンパク質中のシステイン残基上のチオール基との間のチオエステル結合により18−MEAに共有結合したケラチン外表皮部分を含む毛髪繊維のFCSMを示す概略図である。加水分解及び/又は酸化プロセス(例えば、永久染毛及び永続的パーマ処理中に一般的に遭遇する、過酸化水素、アンモニア及び高pHの組み合わせによる)は、その他の機械的、化学的、及び環境要因と同様に、システイン−脂質チオエステル結合を開裂させ、システイン残基上にスルホネート基を含む露出した外表皮を残すことによって、F層の少なくとも一部を除去し得る。
【0051】
外表皮の表面にあるシステイン残基上のアニオン性スルホネート基は、任意の傷んだ毛髪繊維の表面を親水性にするが、これは、傷んだ毛髪の望ましくない特性をもたらし得る。更に、毛髪繊維がより親水性(及びしたがって、より損傷を受けている)であれば、非共有結合性相互作用及び会合による従来の疎水性コンディショニング活性物質(例えば、ジメチルシロキサン、脂肪族アルコール及び酸、並びに四級アミンなど)の付着が低減されることが観察された。したがって、本明細書に記載される組成物及び方法は、このような損傷を受けた基材を処理するための魅力的なアプローチを提供する。
【0052】
図2は、本明細書に記載される基材処理のための組成物及び方法の1つの非限定的実施形態を概略的に示す。表面スルホネート及びカルボキシル基を含む基材の存在下、ヒドロキシル基(R−OH)を有する活性成分及び光に曝露すると酸又は塩基を生成可能な光触媒を含む組成物が提供される。光触媒を光に曝露すると、光触媒は酸又は塩基を形成する。酸又は塩基は、活性物質上のヒドロキシル基と基材上のカルボキシル基との間の共有結合性エステル結合の形成を触媒する。
【0053】
図3及び図3Aは、併せて見た場合、本明細書に記載される基材処理のための組成物及び方法の1つの非限定的実施形態を概略的に示す。脂質層(F層)及びタンパク質層(外表皮)を含む毛髪繊維の一部を示す。タンパク質層は、例えば、システイン残基間にジスルフィド結合を有するケラチンなどの構造タンパク質を含む。毛髪を還元剤で処理して、ジスルフィド結合を破壊し、対応するチオール基を形成してもよい。毛髪は、1つ以上の活性成分化合物間及び/又は1つ以上の活性成分化合物とチオール基との間に共有結合を形成する反応が可能な1つ以上の化合物を含む活性成分で更に処理してよい。毛髪繊維は更に、光触媒で処理される。1つ以上の活性成分及び光触媒は、毛髪繊維基材の表面に浸透する。1つ以上の活性成分及び光触媒で処理された毛髪繊維基材を、好適な波長の光に曝露して、光触媒を活性化させ、毛髪繊維基材内の1つ以上の活性成分とチオール基との間の反応を触媒する。
【0054】
諸実施形態では、活性成分は、酸又は塩基の存在下で重合可能な1つ以上のモノマーであってよい。毛髪繊維は、光触媒及びモノマーを含む組成物で処理され、これは、少なくとも部分的に繊維に浸透する。光に曝露した際に、光触媒は活性化し、それによって酸又は塩基を発生させるが、これがモノマーの重合を触媒し、それによってポリマーをその場形成し、これが、チオール基とポリマーとの間に形成された共有結合によって、毛髪繊維に所望により結合し得る。
【0055】
他の実施形態(図示せず)では、ポリマーは、毛髪繊維に共有結合しない。例えば、その場形成されたポリマーは、毛髪繊維の表面上にて又は毛髪繊維の細孔内にて、物理的に不動化されてよい。その場形成されたポリマーはまた、基材の表面及び/又はバルクとの、例えば、吸着、吸収、静電相互作用、摩擦相互作用、立体相互作用、及び/又はサイズ排除効果などの物理的及び/又は化学的相互作用によって毛髪繊維と会合してよい。
【0056】
諸実施形態では、モノマーは、スチレン、又は例えば、α−メチルスチレンなどのスチレン誘導体であってよい。モノマーは、その場重合(基材の表面上にて及び/又は基材のバルク内にて)によりコポリマーが生成されるように、異なるモノマーの混合物を含んでもよい。
【0057】
図4は、本明細書に記載される基材処理のための組成物及び方法の1つの非限定的実施形態を概略的に示す。表面ヒドロキシル基を含む基材の存在下にて、カルボキシル基を有する活性成分及び光に曝露すると酸又は塩基を生成可能な光触媒を含む組成物が提供される。光触媒を光に曝露すると、光触媒は酸又は塩基を形成する。酸又は塩基は、基材上のヒドロキシル基と活性物質上のカルボキシル基との間の共有結合性エステル結合の形成を触媒する。
【0058】
本明細書に記載される組成物及び方法の諸実施形態では、光触媒は、光に曝露すると脱プロトン化する光酸であってよい。プロトン(例えば、ヒドロニウムイオンの形態で溶媒和し得る)は、例えば、エステル化反応又はチオエステル化反応によって共有結合の形成を触媒し得る。本明細書に記載される組成物及び方法の諸実施形態では、光触媒は、光に曝露すると水酸化物アニオンを発生させる光塩基であってよい。水酸化物アニオンは、例えば、エステル化反応又はチオエステル化反応により、共有結合の形成を触媒し得る。諸実施形態では、光酸又は光塩基の作用機構は、アレニウス型又はブレンステッド・ローリー型の酸又は塩基系に限定されず、むしろ、光に曝露すると触媒活性化するルイス型の酸又は塩基も含んでよい。本明細書に記載される組成物及び方法は、この文脈に限定されない。
【0059】
エステル化反応は一般に、可逆的である。水などの相対的に中性の媒体の場合、エステル結合の加水分解の逆反応で、対応するヒドロキシル及びカルボキシル含有部分になるのとは対照的に、可逆性のエステル化反応では、エステル結合及び水の形成に熱力学的に有利に働かない場合がある。チオエステル化系は一般に、同様な反応を示す。このため、従前系での(例えば、従前のコンディショナーでの)活性成分と基材との間での共有結合の形成は、例えば、毛髪又は皮膚などの基材処理との関係においては、非現実的であった。
【0060】
加えて、エステル化又はチオエステル化反応の酸又は塩基触媒反応は一般に、パーソナルケア製品との関係では非現実的であるが、これは、比較的高い又は比較的低いpHを有することなく、基材の表面にて又はバルク内にて、十分な酸又は塩基濃度を生成することが困難であることによる。比較的高い又は比較的低いpHを有する製品の使用は一般に、不適当であるが、これは、このような酸性及び苛性の物質が、生理学的に受け入れられない可能性があるためである。
【0061】
本明細書に記載される組成物及び方法は、これらの制限を克服する。光触媒を使用することで、基材表面にて又は基材物質のバルク内にて、触媒と活性成分との共存が可能となる。しかし、光触媒は、光に曝露するまでは活性化しない。例えば、光酸触媒は、好適な波長の光に曝露すると、pKaの減少を示す。例えば、光塩基触媒は、好適な波長の光に曝露すると、pKbの増大を示す場合がある。光に曝露した際の酸又は塩基強度それぞれの増大は、基材表面でのプロトン又は水酸化物濃度の局部的な増大をもたらし、これにより、例えば、迅速なエステル化又はチオエステル化が促進される。更に、プロトン又は水酸化物の濃度が、基材表面に短時間局在するために(周囲の媒体中に拡散する前に)、バルクpHは、基本的には、光触媒反応による影響を受けず、使用される光触媒の量を用いた場合に、ほぼ中性にとどまり得る。このことは、例えば、パーソナルケア製品、及び各種コンシューマケア製品用途などの生理学的用途にとって有利である。加えて、酸性又は塩基性触媒反応の一時的な局部的性質は、共有結合が高pH又は低pHに敏感な場合のプロセス中に生成される共有結合の安定性にも寄与する。
【0062】
したがって、本明細書に記載される組成物及び方法の諸実施形態における活性成分と基材との間にエステル及び/又はチオエステル共有結合を形成する反応の光触媒作用は、例えば、毛髪及び皮膚における、それぞれF層及び角質層の修復及び/又は強化などの基材処理に対して、効率的、制御可能、安定的及び生理学的に許容可能なアプローチを提供する。
【0063】
図5は、光酸触媒との関係で、本明細書に記載される組成物及び方法の作用機序(mechanism of use)の1つの非限定的実施形態の略図である。第1工程では、活性成分であり得る試薬及び光酸触媒を含む試薬溶液が提供される。試薬溶液は、シャンプー、コンディショナー、その他のパーソナルケア製品又はコンシューマケア製品を含み得る。第2工程では、試薬溶液は、例えば、皮膚、毛髪、布地、又は硬質表面であり得る基材に塗布される。試薬溶液の成分は、基材表面上に付着する。第3工程では、試薬溶液及び基材を含むシステムを光に曝露する。光は、光触媒の脱プロトン化を引き起こす。第4工程では、試薬と基材表面との間で、光酸で触媒されたエステル化反応が生じる。第5工程では、未反応の触媒、試薬、及びプロトンは、基材表面から拡散し、システムから除去される。第6工程では、改質/官能化された基材を乾燥させる。第7工程では、改質/官能化された基材を洗浄し、すすぎ洗いする。改質/官能化された基材は、洗浄及びすすぎ洗い後に共有結合した試薬を実質的に保持する。
【0064】
図6は、本明細書に記載される組成物及び方法の1つの非限定的実施形態の略図である。多孔質基材物質10が提供される。基材物質10は、基材表面15及び細孔25を有するバルク部分20を含む。基材物質10は、活性物質30及び光触媒35を含む組成物で処理される。活性物質30は、酸又は塩基の存在下にて共に反応し二次化合物を形成可能な分子を含んでよい。例えば、活性物質30は、酸又は塩基の存在下で反応してポリマー又はコポリマーを形成可能な1つ以上のタイプのモノマーを含んでよい。活性物質30及び光触媒35は、細孔25を介してバルク部分20内へと、少なくとも部分的に基材10の表面15へ浸透する。基材10は、好適な波長の光に曝露され、酸又は塩基を発生させる光触媒35を活性化させて、表面15上及び/又はバルク部分20内の活性物質30の反応を触媒する。その結果、二次的活性物質40が基材物質10の表面15上及び/又はバルク部分20内に形成される。二次的活性物質40は、例えば、二量体、三量体、オリゴマー、ポリマー、コポリマー又はこれらの組み合わせを含んでよい。二次的活性物質40は、基材物質10の表面及び/又はバルク特性を改質し得るポリマーネットワーク45を形成し得る。
【0065】
本明細書に記載された光触媒された酸又は塩基機構にしたがって形成された二次的活性物質は、基材物質の表面及び/又はバルクに局在化し得る。諸実施形態では、局在化は、二次的活性物質が基材物質へ共有結合した結果であってよい。その他の実施形態では、局在化は、二次的活性物質と基材物質の表面及び/又はバルクとの間での、非共有結合性の化学的又は物理的相互作用の結果であってよい。例えば、図6は、物質内に位置する細孔内にポリマーが物理的に形成されることにより、基材物質の表面上にて及び部分的にそのバルク内で不動化されるポリマーネットワークを含む二次的活性物質を示す。他の実施形態(図6には示さず)では、本明細書に記載された光触媒された酸又は塩基機構にしたがって形成された二次的活性物質は、吸着、吸収、静電相互作用、摩擦相互作用、立体相互作用、及び/又はサイズ排除効果などの相互作用により、基材表面上及び/又は基材のバルク内に局在化してよい。これにより、例えば、処理された基材の多孔性などの各種材料特性を操作することができる。
【0066】
諸実施形態では、本明細書に記載された光触媒された酸又は塩基機構にしたがって形成された二次的活性物質は、2つ以上の活性物質分子間に共有結合が形成された後に、活性物質の性質が変化することにより、基材表面上及び/又は基材のバルク内に局在化してよい。例えば、活性物質が、モノマー/ポリマー系を含む場合、活性物質は、基材表面上にて重合及び/又は架橋されてよい。重合及び/又は架橋は、反応媒体中の活性物質の溶解度を変化させ得るが、これは、基材表面上への二次的活性物質の付着を促進し得る。このように、二次的活性物質の表面層が、基材表面上に形成され、それによって表面特性を変更することができる。これにより、例えば、毛髪及び布地などの繊維性基材内に構成要素たる繊維が封入されることができる。諸実施形態(図6には示さず)では、本明細書中に記載する光触媒された酸又は塩基機構にしたがって形成された活性物質は更に、本明細書で記載する光触媒された酸又は塩基機構によって、基材(表面及び/又はバルク)に共有結合し得る。
【0067】
本明細書に記載される組成物及び方法は、制御された方法で、材料特性のその場及び局部的変更を促進する。活性成分は、光酸又は光塩基反応系内にて、共有結合的に変更される(例えば、活性成分間で及び/又は活性成分と基材物質との間で共有結合を形成することによって、二次的活性物質を形成することにより)。
【0068】
改質される基材は、スプレー、浸漬、展着、コーティング、すすぎ洗い、又は組成物を基材表面上に又は基材物質のバルク内に導入する任意の他の好適な手段により処理されてよい。諸実施形態では、基材表面及び/又はバルクに確実で十分な改質をするためには、試薬溶液によって基材表面全体が確実に濡れていることが重要である。活性物質が、賦形剤内で少なくとも部分的に不溶性である場合、例えば、賦形剤内の活性物質の滴径又は粒径を最小化することによって、活性物質と基材との間の接触を極大化することが重要である。諸実施形態では、基材表面の単一部分のみ又は複数部分に試薬溶液を導入することが望ましい場合がある。その他の実施形態では、光触媒を活性化するのに好適な波長の光で、基材表面の単一部分のみ又は複数部分を照射するのが望ましい場合がある。共有結合修飾は、試薬溶液と接触しかつ光触媒を活性化するのに好適な波長の光で照射された基材表面(及び下層にあるバルク)領域上でのみ生じる。これにより、表面及び/又はバルク改質の場所及び程度を制御することができる。
【0069】
本明細書に記載された酸又は塩基光触媒共有結合修飾/官能化機構は可逆性であってもよい。例えば、エステル化及び/又はチオエステル化反応によって、共有結合により改質又は官能化された基材表面は、酸性界面活性剤水溶液と接触させてよい。あるいは、アルカリ性界面活性剤溶液を用いてよい。これらの溶液は、活性成分を基材に結合させているエステル及び/又はチオエステル結合の加水開裂を促進し、それによって活性成分を除去し得る。
【0070】
この除去性は、適切な条件下で可逆性である、活性成分−基材結合に限定されている。例えば、光酸触媒エステル化の場合、試薬及び触媒が、基材近傍に存在し、かつ適切な光に曝露された場合に、エステル結合が形成される。照射時の高濃度プロトンにより、そのまま維持されるエステル結合が形成するが、これは、発生したプロトンが媒体のバルク内へ速やかに拡散するためである。低含有量の光酸によって、安定しかつほぼ中性pHのバルク水溶液が得られる。これらの条件下で、エステル結合は、非常にゆっくりした速度で加水分解される。しかし、極めて低い(又は極めて高い)pHの水溶液で処理すると、エステル結合はより速やかに破壊されて、元の未改質基材表面が得られる。
【0071】
共有結合にて結合した活性物質の除去は、改質又は官能化された基材を、光触媒(光酸又は光塩基)を含む組成物で処理することによっても達成することができる。これにより、基材からの活性成分の除去タイミングの制御が改善される。これは、周辺光の影響を受けずに、適切な装置により提供された特定波長の光の下で、酸又は塩基種を生成可能なように、光触媒を選択した場合に実現することができる。
【0072】
本明細書に記載される、組成物の各種成分及び付随する方法のそれぞれ、並びに好ましい及び任意の成分について、詳細に記述される。
【0073】
活性成分
活性成分又は活性物質は、酸又は塩基の存在下で基材を改質/官能化可能な任意の化学的部分であってもよい。活性物質の非限定例としては、ヒドロキシル又はカルボキシルを含有する長鎖アルキル(直鎖又は分枝鎖)部分が挙げられるが、これらに限定されない。諸実施形態では、活性物質は、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アミノシリコーン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリビニルピロリドンコポリマー、ポリカプロラクトン、蛍光増白剤、湿潤剤、シラノール、一級、二級、カルボキシル又はヒドロキシル官能基の1つ以上で官能化されたジメチルシリコーンのうちの1つ以上であってよい。
【0074】
諸実施形態では、活性物質は、大量の疎水性部分を含むことが好ましい。しかし、その他の実施形態では、活性物質は親水性であってもよい。諸実施形態では、活性物質は、染料若しくはその他の着色剤又は香料のうちの1つ以上である。一実施形態では、活性成分は、その化学構造内に、一級若しくは二級ヒドロキシル基、及び/又はアミン基、又はカルボキシル基を含有する香料であってもよい。
【0075】
諸実施形態では、活性物質は、酸又は塩基の存在下にて、少なくとも2つの活性化合物間での反応によって基材に共有結合可能な、少なくとも2つの活性化合物を含む。諸実施形態では、活性物質は、例えば、二量体、オリゴマー、ポリマー及びこれらの組み合わせなどの二次化合物を形成し、所望により、二次物質は基材に共有結合可能な官能基を有する。
【0076】
追加の活性物質の非限定例としては、グリセリン、ステアリルアルコール、ラウリン酸、直接染料243、エチレンカーボネート、ポリ(アクリル酸)、エチルオキサゾリン、ポリ(ビニルピロリドン−コ−アクリル酸)、ブタンテトラカルボン酸、クエン酸、及びポリ(スチレンスルホネート−コ−アクリル酸)のうちの1つ以上を挙げることができる。
【0077】
活性物質は、本明細書に記載される組成物及び方法内に、組成物の総重量に対して、0.01重量%〜80重量%の量で存在してよい。
【0078】
光触媒
光触媒は、光に曝露すると減少(又は増加)するpKa(又はpKb)値を有する任意の酸、塩基(又はこれらの複合体)であってもよい。光は、pKa又はpKbのそれぞれ減少又は増大を得るための任意の好適な波長の光であってよい。例えば、光は、周辺光、太陽光、白色光、蛍光、LED光、レーザー光線、などであり得る。光は、電磁スペクトルに従う任意の分類のもの、例えば、可視光、近紫外線若しくは遠紫外線、又は近赤外線若しくは遠赤外線であってよい。当業者には、光の適切な波長(単一又は複数)は、用いられる1つ以上の光触媒の固有性に依存することが容易に明らかである。
【0079】
加えて、好適な光は、基材表面を照らすことが可能な任意の供給源から提供されてよい。例えば、周辺太陽光、白色光、蛍光、などは、好適な波長の光を提供し得る。したがって、光は、ランプ及びポータブル又は電池駆動による光などの従来の供給源により提供されてよい。加えて、特定の装置が、本明細書に記載された組成物及び方法で用いるために開発又は適合されてもよい。例えば、好適な波長の光を提供するLEDを組み込むように構成されたヘアブラシを使用して、毛髪繊維の表面を共有結合的に改質してよい。諸実施形態では、レーザーを使用して、例えば、基材表面の共有結合修飾の正確なターゲティングを提供してもよい。
【0080】
諸実施形態では、光触媒は、例えば、芳香族ヒドロキシ化合物、スルホン化ピレン化合物、オニウム塩、ジアゾメタン誘導体、ビススルホン誘導体、ジスルホノ(disulfuno)誘導体、ニトロベンジルスルホネート誘導体、スルホン酸エステル誘導体、N−ヒドロキシイミドのスルホン酸エステル、又はこれらの組み合わせなどの光酸である。
【0081】
光酸触媒としては、例えば、8−ヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシキノリンサルフェート、8−キノリノール−1−オキシド、5−ヒドロキシキノリン、6−ヒドロキシキノリン、7−ヒドロキシキノリン、5−ヨード−7−スルホ−8−ヒドロキシキノリン、5−フルオロ−8−ヒドロキシキノリン、5−フルオロ−7−クロロ−8−ヒドロキシキノリン、5−フルオロ−7−ブロモ−8−ヒドロキシキノリン、5−フルオロ−7−ヨード−8−ヒドロキシキノリン、7−フルオロ−8−ヒドロキシキノリン、5−クロロ−8−ヒドロキシキノリン、5,7−ジクロロ−8−ヒドロキシキノリン、5−クロロ−7−ブロモ(brono)−8−ヒドロキシキノリン、5−クロロ−7−ヨード−8−ヒドロキシキノリン、7−クロロ−8−ヒドロキシキノリン、5−ブロモ−8−ヒドロキシキノリン、5−ブロモ−7−クロロ−8−ヒドロキシキノリン、5,7−ジブロモ−8−ヒドロキシキノリン、5−ブロモ−7−ヨード−8−ヒドロキシキノリン、7−ブロモ−8−ヒドロキシキノリン、5−ヨード−8−ヒドロキシキノリン、5−ヨード−7−クロロ−8−ヒドロキシキノリン、5,7−ジヨード−8−ヒドロキシキノリン、7−ヨード−8−ヒドロキシキノリン、5−スルホン酸−8−ヒドロキシキノリン、7−スルホン酸−8−ヒドロキシキノリン、5−スルホン酸−7−ヨード−8−ヒドロキシキノリン、5−チオシアノ−8−ヒドロキシキノリン、5−クロロ−8−ヒドロキシキノリン、5−ブロモ−8−ヒドロキシキノリン、5,7−ジブロモ−8−ヒドロキシキノリン、5−ヨード−8−ヒドロキシキノリン、5,7−ジヨード−8−ヒドロキシキノリン、7−アザインドール、7−シアノ−2−ナフトール、8−シアノ−2−ナフトール、5−シアノ−2−ナフトール、1−ヒドロキシ−3,6,8−ピレントリスルホン酸、トランス−3−ヒドロキシスチルベン、2−ヒドロキシメチルフェノール、又はペラルゴニジンなどのヒドロキシ置換芳香族を挙げることができる。
【0082】
光酸触媒としては、例えば、ビス(4−第3級ブチルフェニル)ヨードニウムペルフルオロ−1−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムペルフルオロ−1−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム−9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムニトレート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフレート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、(4−メチルチオフェニル)メチルフェニルスルホニウムトリフレート、2−ナフチルジフェニルスルホニウムトリフレート、(4−フェノキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、(4−フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、チオビス(トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート)、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩、トリフェニルスルホニウムペルフルオロ−1−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフレート、トリス(4−第3級ブチルフェニル)スルホニウムペルフルオロ−1−ブタンスルホネート、トリス(4−第3級ブチルフェニル)スルホニウムトリフレート、ビス(4−第3級ブチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホネート、ビス(4−第3級ブチルフェニル)ヨードニウムトリフレート、(4−ブロモフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、(第3−ブトキシカルボニルメトキシナフチル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、(第3−ブトキシカルボニルメトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、(4−第3級ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、(4−クロロフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、(4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、[4−[(2−ヒドロキシテトラデシル)オキシ]フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4−ヨードフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、ジフェニルヨードヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルp−メトキシフェニルトリフレート、ジフェニルp−トルエニルトリフレート、ジフェニルp−イソブチルフェニルトリフレート、ジフェニルp−第3級ブチルフェニルトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムトリフレート、ジブチルナフチルスルホニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p−第3級ブトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、(p−第3級ブトキシフェニル)フェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p−第3級ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p−第3級ブトキシフェニル)フェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p−第3級ブトキシフェニル)−スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、(p−第3級ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、ビス(p−第3級ブトキシフェニル)フェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリス(p−第3級ブトキシフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムブタンスルホネート、トリメチル−スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリメチルスルホニウムp−トルエンスルホネート、シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)−スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、ジメチルフェニル−スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジメチルフェニル−スルホニウムp−トルエンスルホネート、ジシクロヘキシルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジシクロヘキシルフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリナフチルスルホニウムトリフルオロメタン−スルホネート、シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(2−ノルボルニル)メチル(2−オキソシクロ−ヘキシル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、エチレンビス−[メチル(2−オキソシクロペンチル)スルホニウムトリフルオロメタン−スルホネート]、又は1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレートなどのオニウム塩を挙げてもよい。
【0083】
光酸触媒としては、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)−ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)−ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)−ジアゾメタン、ビス(第2級ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)−ジアゾメタン、ビス(第3級ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソアミルスルホニル)−ジアゾメタン、ビス(第2級アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(第3級アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(第3級ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(第3級アミルスルホニル)ジアゾメタン、又は1−第3級アミルスルホニル−1−(第3級ブチルスルホニル)ジアゾメタンなどのジアゾメタン誘導体を挙げてもよい。
【0084】
光酸触媒としては、例えば、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(pートルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(pートルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシル−グリオキシム、ビス−o−(pートルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオン−グリオキシム、ビス−o−(pートルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタン−ジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタン−スルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタン−スルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(トリフルオロ−メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(第3級ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(ペルフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(シクロヘキサン−スルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−第3ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(キシレンスルホニル)−α−ジメチル−グリオキシム、又はビス−o−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシムなどのグリオキシム誘導体を挙げてもよい。
【0085】
光酸触媒としては、例えば、ビスナフチルスルホニルメタン、ビストリフルオロメチルスルホニルメタン、ビスメチルスルホニルメタン、ビスエチルスルホニルメタン、ビスプロピルスルホニルメタン、ビスイソプロピルスルホニルメタン、ビス−p−トルエンスルホニルメタン、ビスベンゼンスルホニルメタン、2−シクロヘキシル−カルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン(β−ケトスルホン誘導体)、2−イソプロピル−カルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン(β−ケトスルホン誘導体)などのビススルホン誘導体を挙げてもよい。
【0086】
光酸触媒としては、例えば、ジフェニルジスルホン又はジシクロヘキシルジスルホンなどのジスルホノ誘導体を挙げてもよい。
【0087】
光酸触媒としては、例えば、2,6−ジニトロベンジルp−トルエンスルホネート又は2,4−ジニトロベンジルp−トルエンスルホネートなどのニトロベンジルスルホネート誘導体を挙げてもよい。
【0088】
光酸触媒としては、例えば、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロ−メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、又は1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンなどのスルホン酸エステル誘導体を挙げてもよい。
【0089】
光酸触媒としては、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホネート、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホネート、N−ヒドロキシスクシンイミドエタンスルホネート、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホネート、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホネート、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホネート、N−ヒドロキシスクシンイミド1−オクタンスルホネート、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホネート、N−ヒドロキシスクシンイミドp−メトキシベンゼンスルホネート、N−ヒドロキシスクシンイミド2−クロロエタンスルホネート、N−ヒドロキシスクシンイミドベンゼンスルホネート、N−ヒドロキシスクシンイミド2,4,6−トリメチル−ベンゼンスルホネート、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ナフタレンスルホネート、N−ヒドロキシスクシンイミド2−ナフタレンスルホネート、N−ヒドロキシ−2−フェニルスクシンイミドメタンスルホネート、N−ヒドロキシマレイミドメタンスルホネート、N−ヒドロキシマレイミドエタン−スルホネート、N−ヒドロキシ−2−フェニルマレイミドメタンスルホネート、N−ヒドロキシグルタルイミドメタンスルホネート、N−ヒドロキシグルタルイミドベンゼンスルホネート、N−ヒドロキシフタルイミドメタンスルホネート、N−ヒドロキシフタルイミドベンゼンスルホネート、N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート、N−ヒドロキシフタルイミドp−トルエンスルホネート、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホネート、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホネート、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドメタンスルホネート、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドトリフルオロメタンスルホネート、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドp−トルエンスルホネート、N−ヒドロキシナフタルイミドトリフレート、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドペルフルオロ−1−ブタンスルホネートなどのN−ヒドロキシイミドのスルホン酸エステルを挙げてもよい。
【0090】
ある実施形態では、光触媒は、8−ヒドロキシキノリンであるが、これは低pH溶液中にて光酸触媒として、又は高pH溶液中にて光塩基触媒として作用し得る。ある種のその他の実施形態では、光触媒は、8−ヒドロキシ−1,3,6−ピレントリスルホン酸三ナトリウム塩(D&Cグリーン8)である。諸実施形態では、光触媒は光塩基である。光塩基触媒としては、例えば、マラカイトグリーンなどのトリチルアルコールの誘導体を挙げることができる。光塩基触媒としては、例えば、9−ヒドロキシ−10−メチル−9−フェニル−9,10−ジヒドロアクリジンなどのアクリジン誘導体も挙げることができる。光塩基触媒としては、光活性カルバメート含有化合物も挙げることができる。
【0091】
光触媒は、本明細書に記載される組成物及び方法に、組成物の総重量に対して、0.00050重量%〜30重量%の量で存在してよい。通常、光触媒の好ましい濃度がある。光触媒の好ましい濃度は、例えば、触媒の化学構造、反応媒体、反応タイプ、及び基材を含む種々の要因にある程度依存する。
【0092】
賦形剤
本明細書に記載される組成物は、一般に、活性物質を分散又は溶解させるのに好適な賦形剤、光触媒、及び基材表面上又は基材のバルク部分への組成物の塗布を促進する任意の他の成分を含む。賦形剤は、溶剤、乳化剤、界面活性剤、又はその他の分散剤のうちの1つ以上を含んでよい。賦形剤は更に、生理学的に許容可能な賦形剤でもよい。好適な賦形剤の特性は、少なくとも部分的には、組成物の他の成分及び改質される基材の特性に依存する。
【0093】
好適な賦形剤は、活性物質、光触媒、及び任意の他の成分を分散又は溶解させるように、並びに基材表面への組成物塗布を促進するように作用する。好適な賦形剤は、活性物質と基材との間の十分な接触を促進する。諸実施形態では、生理学的に許容可能な賦形剤は、任意のキャリア、溶剤、又は例えばヒトの毛髪及びヒトの皮膚などの生体組織への塗布に適した溶剤含有組成物であってもよい。諸実施形態では、生理学的に許容可能な賦形剤は、美容上又は皮膚科学的に許容可能なキャリアである。
【0094】
好適な賦形剤は、溶剤であってよい。例えば、パーソナルケア製品用途及びコンシューマケア製品用途では、水が有用な溶剤である。諸実施形態では、本明細書に記載される組成物は、組成物の総重量に対して、1重量%〜98重量%の量で水を含んでよい。水はまた、生理学的に許容可能な賦形剤である。追加の溶剤又は溶剤含有の生理学的に許容可能な賦形剤としては、ヒドロキシル含有液体(例えば、アルコール)、シリコーン、油、炭化水素、グリコール、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、例えば、活性物質が、少なくとも部分的に水中で不溶性である場合、生理学的に許容可能な賦形剤として、単独で又は互いに及び/若しくは水と組み合わされて、その他の溶剤、分散剤、又は乳化剤を使用してよい。
【0095】
したがって、好適な賦形剤を一般に使用して、成分を希釈及び/又は乳化させて、本明細書に記載される組成物を形成する。好適な賦形剤は、成分(真溶液若しくはミセル溶液)を溶解してもよいし、又は成分が賦形剤(懸濁液、分散体又はエマルション)全体に分散されてもよい。懸濁液、分散体又はエマルションの賦形剤は、典型的にはこれらの連続相である。即ち、懸濁液、分散体又はエマルションの他の成分は、分子レベルで、又は分離した若しくは疑集した粒子として、賦形剤全体に分配される。活性物質のこのようなエマルション又は分散体の調製は、このような場合、非常に重要であり得る。小粒子は、活性物質、基材及び光酸触媒の間の密接な接触に寄与し、反応速度を増加させる。例えば、水媒体中で脂肪族アルコール及び8−ヒドロキシキノリンを使用する毛髪表面改質の場合、非常に小さい粒子(例えば、500ナノメートル未満、より好ましくは200ナノメートル未満)を含有するエマルションが、耐久性のある疎水性表面の提供において、大粒子を含有するエマルションより明らかに効果的な場合がある(例えば、実施例4対4Aに対応する図7のデータを参照のこと)。
【0096】
当業者には、適切な賦形剤(単一又は複数)が、本明細書に記載される組成物内で使用される特定の活性物質(単一又は複数)、光触媒(単一又は複数)、及びその他の任意成分(単一又は複数)に依存することが容易に明らかとなろう。
【0097】
任意成分
本明細書に記載される組成物及び方法は、所望により種々の成分を含んでよい。例えば、諸実施形態では、本明細書に記載される組成物及び方法は、界面活性剤、乳化剤、酸化剤、還元剤、pH調整剤、皮膚軟化剤、湿潤剤、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、添加ポリマー、つや出し剤、油及び/又は脂肪酸、潤滑剤、金属イオン封鎖剤/キレート剤、帯電防止剤、レオロジー調整剤、感触改良剤(feel agents)、充填剤、染料、防腐剤、香料、その他の機能性成分、又はこれらの組み合わせを含んでよい。特定の任意成分は、CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary,Tenth Edition,2004;及びMcCutcheon,Detergents and Emulsifiers,North American Edition(1986)に見い出すことができる。当業者には、利用される特定の任意成分が、少なくとも部分的には、組成物及び方法の特定の用途に依存することが容易に明らかである。
【0098】
諸実施形態では、本明細書に記載される組成物及び方法として、酸化剤(酸化剤)が挙げられる。酸化剤を加えて、例えば、基材表面を、本明細書に記載されるさまざまな実施形態による光触媒共有結合修飾/官能化の影響をより受けやすくしてもよい。酸化剤は、組成物の総重量に対して、0.00050重量%〜25重量%の量で存在してよい。好適な酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酸化尿素、メラミン過酸化物、過炭酸塩、アルカリ金属の臭素酸塩、過ホウ酸塩、臭素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、緑泥石、過塩素酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、過マンガン酸塩及び過硫酸塩のうちの1つ以上が挙げられる。ある実施形態では、酸化剤は過酸化水素である。
【0099】
反応系の同一性、利用される試薬の量及び濃度、並びに反応条件は全て、少なくとも部分的には、改質される基材、利用される活性物質、及び活性物質が基材に会合する態様に依存する。これらの考察は、本明細書に記載される組成物及び方法の実施において、当業者には容易に判断可能である。
【0100】
以下の実施例は、本明細書に記載される組成物及び方法の態様をより明確に示すことを意図しているが、これらの範囲に制限しようとするものではない。
【0101】
非限定的実施例
【実施例】
【0102】
(実施例1)
水中でのステアリルアルコールのマイクロエマルションの調製
200mL金属ビーカー内に、脱イオン水94.0グラム及びラウリル硫酸ナトリウム2.0グラムの溶液を調製する。溶液を80〜90℃の温度に維持する。ステアリルアルコール溶解物4.0g(85℃にて)を、高剪断混合しながら(シルバーソン(Silverson)(登録商標)L4RTホモジナイザーを6000rpmにて使用)15〜20分かけて滴下により溶液に添加して、混合物を形成する。混合物は、80〜90℃にて、高剪断下で2時間、連続的に混合する。次に、混合物を、毎分0.5℃の速度で25℃まで高剪断混合しながら冷却させる。希塩酸溶液又は希釈した水酸化ナトリウムを使用して、混合物のpHを約5.5〜6.0に調整する。得られたマイクロエマルションは、少なくとも6ヶ月にわたって相が安定している、約150ナノメートルの平均粒径を持つステアリルアルコールを含有する。粒径測定は、堀場(Horiba)レーザー散乱粒度分布分析器(型式LA−910)により実施する。
【0103】
(実施例1A)
大粒子を有するステアリルアルコールのエマルションの水中での調製
実施例1に記載されている調製を、ラウリル硫酸ナトリウム1.0グラムを実施例1の2.0グラムに代えて使用して繰り返す。この変更により、実施例1にて調製したマイクロエマルションよりも不透明なエマルションが得られる。得られたマイクロエマルションは、少なくとも2ヶ月にわたって相が安定している、約1.5マイクロメートルの平均粒径を持つステアリルアルコールを含有する。粒径測定は、堀場(Horiba)レーザー散乱粒度分布分析器(型式LA−910)により実施する。
【0104】
(実施例2)
毛髪トリートメントのための光酸触媒を有するプロトタイプのステアリルアルコール水性エマルションの調製
暗室にて、8−ヒドロキシキノリン0.0150gを実施例1からのマイクロエマルションに添加する。得られたエマルションを、生成物がいかなる光にも曝露されないような不透明ボトル内に入れ、保存する。
【0105】
(実施例2A)
毛髪トリートメントのための光酸触媒を有するプロトタイプのステアリルアルコール水性エマルションの調製(大粒子を有する)
暗室にて、8−ヒドロキシキノリン0.0150gを実施例1Aからのエマルションに添加する。得られたエマルションを、生成物がいかなる光にも曝露されないような不透明ボトル内に入れ、保存する。
【0106】
(実施例3)
ステアリルアルコールエマルションをスプレーすることによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。周辺光の下で、実施例1からのエマルション2.0gをヘアピース全体にスプレーする。ヘアピースを水道水で60秒間すすぎ、風乾させる。次に、ヘアピースを浄化シャンプー(パンテーン・プロ−V(登録商標)クラリファイイングシャンプー(Pantene Pro-VR Clarifying Shampoo))で洗浄し、水道水で3.0分間完全にすすぎ、少なくとも5時間風乾させる。洗浄/すすぎ洗いを6回繰り返す。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0107】
(実施例3A)
大粒子のステアリルアルコールエマルションをスプレーすることによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。ヘアピースは、実施例3で使用したヘアピースと同一のロットからのものである。ヘアピースは、実施例3に記載されているのと同一条件下で、実施例1Aからのエマルションで処理する。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0108】
(実施例4)
光酸触媒を有するプロトタイプのステアリルアルコール水性エマルションをスプレーすることによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。ヘアピースは、実施例3で使用したヘアピースと同一のロットからのものである。ヘアピースは、実施例3に記載されているのと同一条件下で、実施例2からのマイクロエマルションで処理する。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0109】
(実施例4A)
光酸触媒を有する大粒子のプロトタイプのステアリルアルコール水性エマルションをスプレーすることによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。ヘアピースは、実施例3で使用したヘアピースと同一のロットからのものである。ヘアピースは、実施例3に記載されているのと同一条件下で、実施例2Aからのエマルションで処理する。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0110】
(実施例5)
ステアリルアルコールエマルションを毛髪上に展着させることによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。ヘアピースは、実施例3で使用したヘアピースと同一のロットからのものである。周辺光の下で、実施例1からのマイクロエマルション2.0gをヘアピース上に展着させる。展着プロセスは、毛髪表面の異なる部位に少量のマイクロエマルションを加え、続いて各追加後直ちに手で展着させることを含む。処理したヘアピースは、水道水で60秒間すすぎ、風乾させる。次に、処理したヘアピースは、浄化シャンプー(パンテーン・プロ−V(登録商標)クラリファイイングシャンプー(Pantene Pro-VR Clarifying Shampoo))で洗浄し、水道水で3.0分間完全にすすぎ、少なくとも5時間風乾させる。洗浄/すすぎ洗いを6回繰り返す。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0111】
(実施例6)
光酸触媒を有するプロトタイプのステアリルアルコール水性エマルションを毛髪上に展着させることによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。ヘアピースは、実施例3で使用したヘアピースと同一のロットからのものである。ヘアピースは、実施例5に記載されているのと全く同一条件下で、実施例2からのマイクロエマルションで処理する。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0112】
(実施例7)
ステアリルアルコールエマルションに浸漬することによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。ヘアピースは、実施例3で使用したヘアピースと同一のロットからのものである。暗室にて、実施例1からのエマルション100.0gを収容するビーカー内にヘアピースを浸漬する。ヘアピースを、5分後にビーカーから取り出し、明るい光(アクアリウム(Aquarium)20W蛍光灯アクアレイズ(AquaRays)(登録商標)型番F20WT12−AR−FS)に1分間曝露する。処理したヘアピースは、水道水で60秒間すすぎ、風乾させる。次に、処理したヘアピースは、浄化シャンプー(パンテーン・プロ−V(登録商標)クラリファイイングシャンプー(Pantene Pro-VR Clarifying Shampoo))で洗浄し、3.0分間水道水で完全にすすぎ、少なくとも5時間風乾させる。洗浄/すすぎ洗いを6回繰り返す。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0113】
(実施例8)
光酸触媒を有するプロトタイプのステアリルアルコール水性エマルション内に浸漬することによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。ヘアピースは、実施例3で使用したヘアピースと同一のロットからのものである。ヘアピースは、実施例7に記載されているのと全く同一条件下で、実施例2からのマイクロエマルションで処理する。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0114】
(実施例9)
酸化剤を含有する水中でのステアリルアルコールのマイクロエマルションの調製
200mL金属ビーカー内に、脱イオン水94.0グラム及びラウリル硫酸ナトリウム2.0グラムの溶液を調製する。溶液を80〜90℃の温度に維持する。ステアリルアルコール溶解物4.0g(85℃にて)を、高剪断混合しながら(シルバーソン(Silverson)(登録商標)L4RTホモジナイザーを6000rpmにて使用)15〜20分かけて滴下により溶液に添加して、混合物を形成する。混合物は、80〜90℃にて、高剪断下で2時間、連続的に混合する。次に、混合物を、毎分0.5℃の速度で25℃まで高剪断混合しながら冷却させる。希塩酸溶液又は希釈した水酸化ナトリウムを使用して、混合物のpHを約5.5〜6.0に調整する。次に、過酸化水素(35%溶液)0.030gを混合物に添加する。得られたマイクロエマルションは、少なくとも6ヶ月にわたって相が安定している、約150ナノメートルの平均粒径を持つステアリルアルコールを含有する。粒径測定は、堀場(Horiba)レーザー散乱粒度分布分析器(型式LA−910)により実施する。
【0115】
(実施例10)
酸化剤を含有する、毛髪トリートメントのための、光酸触媒を有するプロトタイプのステアリルアルコール水性エマルションの調製
暗室にて、8−ヒドロキシキノリン0.0150gを実施例9からのマイクロエマルションへと添加する。得られたエマルションを、生成物がいかなる光にも曝露されないような不透明ボトル内に入れ、保存する。
【0116】
(実施例10A)
酸化剤及び防腐剤系を含有する、毛髪トリートメントのための、光酸触媒を有するプロトタイプのステアリルアルコール水性エマルションの調製
過酸化水素、8−ヒドロキシキノリン光触媒、及びラウリル硫酸ナトリウム賦形剤を含有するプロトタイプのステアリルアルコール水性エマルションを、実施例9及び10と同様に調製する。更に、組成物は、1,2−オクタンジオール、1,3−ジメチロール−5,5−ジメチルヒドラントイン(dimethylhydrantoin)(DMDMH−グライダント(登録商標)、ロンザ社(Lonza Inc.)から入手可能)、及びベンジルアルコール、の3成分を含む防腐剤系を含む。
【0117】
(実施例11)
ステアリルアルコールエマルションに浸漬することによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。ヘアピースは、実施例3で使用したヘアピースと同一のロットからのものである。暗室にて、実施例9からのエマルション100.0gを収容するビーカー内にヘアピースを浸漬する。ヘアピースを、5分後にビーカーから取り出し、明るい光(アクアリウム(Aquarium)20W蛍光灯アクアレイズ(AquaRays)(登録商標)型番F20WT12−AR−FS)に1分間曝露する。処理したヘアピースは、水道水で60秒間すすぎ、風乾させる。次に、処理したヘアピースは、浄化シャンプー(パンテーン・プロ−V(登録商標)クラリファイイングシャンプー(Pantene Pro-VR Clarifying Shampoo))で洗浄し、3.0分間水道水で完全にすすぎ、少なくとも5時間風乾させる。洗浄/すすぎ洗いを6回繰り返す。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0118】
(実施例12)
酸化剤を含有する光酸触媒を有する、プロトタイプのステアリルアルコール水性エマルション内に浸漬することによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。ヘアピースは、実施例3で使用したヘアピースと同一のロットからのものである。ヘアピースは、実施例11に記載されているのと全く同一条件下で、実施例10からのマイクロエマルションで処理する。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0119】
(実施例13)
水中でのラウリン酸のマイクロエマルションの調製
200mL金属ビーカー内に、脱イオン水94.0グラム及びラウリル硫酸ナトリウム2.0グラムの溶液を調製する。溶液を80〜90℃の温度に維持する。ラウリン酸溶解物4.0g(85℃にて)を、高剪断混合しながら(シルバーソン(Silverson)(登録商標)L4RTホモジナイザーを6000rpmにて使用)15〜20分かけて滴下により溶液に添加して、混合物を形成する。混合物は、80〜90℃にて、高剪断下で2時間、連続的に混合する。次に、混合物を、毎分0.5℃の速度で25℃まで高剪断混合しながら冷却させる。希塩酸溶液又は希釈した水酸化ナトリウムを使用して、混合物のpHを約6.0に調整する。得られたマイクロエマルションは、少なくとも6ヶ月にわたって相が安定している、約200ナノメートル未満の平均粒径を持つラウリン酸を含有する。粒径測定は、堀場(Horiba)レーザー散乱粒度分布分析器(型式LA−910)により実施する。
【0120】
(実施例14)
毛髪トリートメントのための光酸触媒を有するプロトタイプのラウリン酸水性エマルションの調製
暗室にて、8−ヒドロキシキノリン0.0150gを実施例13からのマイクロエマルションに添加する。得られたエマルションを、生成物がいかなる光にも曝露されないような不透明ボトル内に入れ、保存する。
【0121】
(実施例15)
ラウリン酸水性エマルションに浸漬することによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し、風乾させ、還元剤で処理し、洗浄し、風乾させる。暗室にて、実施例9からのエマルション100.0gを収容するビーカー内にヘアピースを浸漬する。ヘアピースを、5分後に取り外し、明るい光(アクアリウム(Aquarium)20W蛍光灯アクアレイズ(AquaRays)(登録商標)型番F20WT12−AR−FS)に1分間曝露し、水道水で60秒間すすぎ、風乾させる。次に、処理したヘアピースは、浄化シャンプー(パンテーン・プロ−V(登録商標)クラリファイイングシャンプー(Pantene Pro-VR Clarifying Shampoo))で洗浄し、3.0分間水道水で完全にすすぎ、少なくとも5時間風乾させる。洗浄/すすぎ洗いを6回繰り返す。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0122】
(実施例16)
光酸触媒を有するプロトタイプのラウリン酸水性エマルションに浸漬することによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し、風乾させ、還元剤で処理し、洗浄し、風乾させる。ヘアピースは、実施例15で使用したヘアピースと同一のロットからのものである。ヘアピースを、実施例15に記載されているのと全く同一条件下で、実施例14からのマイクロエマルションを収容するビーカー内に浸漬する。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0123】
(実施例17)
水中でのステアリルアルコールのアルカリ性マイクロエマルションの調製
200mL金属ビーカー内に、脱イオン水94.0グラム及びラウリル硫酸ナトリウム2.0グラムの溶液を調製する。溶液を80〜90℃の温度に維持する。ステアリルアルコール溶解物4.0g(85℃にて)を、高剪断混合しながら(シルバーソン(Silverson)(登録商標)L4RTホモジナイザーを6000rpmにて使用)15〜20分かけて滴下により溶液に添加して、混合物を形成する。混合物は、80〜90℃にて、高剪断下で2時間、連続的に混合する。次に、混合物を、毎分0.5℃の速度で25℃まで高剪断混合しながら冷却させる。水酸化ナトリウムを使用して、混合物のpHを約8.5〜9.0に調整する。得られたマイクロエマルションは、少なくとも6ヶ月にわたって相が安定している、約150ナノメートルの平均粒径を持つステアリルアルコールを含有する。粒径測定は、堀場(Horiba)レーザー散乱粒度分布分析器(型式LA−910)により実施する。
【0124】
(実施例18)
毛髪トリートメントのための光酸触媒を有する、プロトタイプのステアリルアルコールのアルカリ性マイクロエマルションの水中での調製
暗室にて、8−ヒドロキシキノリン0.0150gを実施例17からのマイクロエマルションに添加する。得られたエマルションを、生成物がいかなる光にも曝露されないような不透明ボトル内に入れ、保存する。
【0125】
(実施例19)
アルカリ性ステアリルアルコールエマルションをスプレーすることによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。周辺光の下で、実施例17からのエマルション2.0gをヘアピース全体にスプレーする。ヘアピースを水道水で60秒間すすぎ、風乾させる。次に、ヘアピースを浄化シャンプー(パンテーン・プロ−V(登録商標)クラリファイイングシャンプー(Pantene Pro-VR Clarifying Shampoo))で洗浄し、水道水で3.0分間完全にすすぎ、少なくとも5時間風乾させる。洗浄/すすぎ洗いを6回繰り返す。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0126】
(実施例20)
光酸触媒を有するプロトタイプのアルカリ性ステアリルアルコール水性エマルションをスプレーすることによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。ヘアピースは、実施例19で使用したヘアピースと同一のロットからのものである。ヘアピースは、実施例19に記載されているのと同一条件下で、実施例18からのマイクロエマルションで処理する。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0127】
(実施例21)
スルホン化ピレン及び酸化剤を含有する、プロトタイプのステアリルアルコール水性エマルション毛髪トリートメントの調製
暗室にて、実施例9からのマイクロエマルションの調製直後、8−ヒドロキシキノリン0.0150g及びD&Cグリーン8(8−ヒドロキシ−1,3,6−ピレントリスルホン酸三ナトリウム塩)0.03gをそこに添加した。得られたエマルションを、生成物がいかなる光にも曝露されないような不透明ボトル内に入れ、保存する。
【0128】
(実施例22)
ステアリルアルコールエマルションに浸漬することによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。ヘアピースは、実施例3で使用したヘアピースと同一のロットからのものである。暗室にて、実施例9からのエマルション100.0gを収容するビーカー内にヘアピースを浸漬する。ヘアピースを、5分後にビーカーから取り出し、明るい光(アクアリウム(Aquarium)20W蛍光灯アクアレイズ(AquaRays)(登録商標)型番F20WT12−AR−FS)に1分間曝露する。処理したヘアピースは、水道水で60秒間すすぎ、風乾させる。次に、処理したヘアピースは、浄化シャンプー(パンテーン・プロ−V(登録商標)クラリファイイングシャンプー(Pantene Pro-VR Clarifying Shampoo))で洗浄し、3.0分間水道水で完全にすすぎ、少なくとも5時間風乾させる。洗浄/すすぎ洗いを6回繰り返す。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0129】
(実施例23)
酸化剤を含有する光酸触媒を有する、プロトタイプのステアリルアルコール水性エマルション内に浸漬することによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。ヘアピースは、実施例3で使用したヘアピースと同一のロットからのものである。ヘアピースは、実施例22に記載されているのと同一条件下で、実施例21からのマイクロエマルションで処理する。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0130】
(実施例24)
紫外線に感応する光酸触媒を有する、プロトタイプのステアリルアルコール水性エマルションの調製
実施例1からのマイクロエマルションの調製直後、そこに6−シアノ−2−ナフトール0.10gを添加する。得られたエマルションを、生成物がいかなる光にも曝露されないような不透明ボトル内に入れ、保存する。
【0131】
(実施例25)
ステアリルアルコールエマルションへの浸漬及び紫外線への曝露による毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。ヘアピースは、実施例3で使用したヘアピースと同一のロットからのものである。暗室にて、実施例1からのエマルション100.0gを収容するビーカー内にヘアピースを浸漬する。ヘアピースを、5分後にビーカーから取り出し、発光ダイオードを装着したブラシを使用して1分間、紫外線(約300nm〜350nmの波長)に曝露する。処理したヘアピースは、水道水で60秒間すすぎ、風乾させる。次に、処理したヘアピースは、浄化シャンプー(パンテーン・プロ−V(登録商標)クラリファイイングシャンプー(Pantene Pro-VR Clarifying Shampoo))で洗浄し、3.0分間水道水で完全にすすぎ、少なくとも5時間風乾させる。洗浄/すすぎ洗いを6回繰り返す。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0132】
(実施例26)
光酸触媒を有する、プロトタイプのステアリルアルコール水性エマルションへの浸漬及び紫外線への曝露による毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。ヘアピースは、実施例3で使用したヘアピースと同一のロットからのものである。ヘアピースは、実施例25に記載されているのと同一条件下で、実施例24からのマイクロエマルションで処理する。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0133】
(実施例27)
毛髪接触角測定方法
ヘアピースからランダムに引き抜いた2本の毛髪繊維を、制御された温度及び湿度条件(約22〜25℃及び湿度20〜25%)で、2対のアンカー(3cm離間)に、繊維が0.20マイクロメートル離間しかつ互いに平行となるように取り付ける。マイクロシリンジで、0.20マイクロリットルの脱イオン水液滴(±0.02マイクロリットル)を2本の毛髪繊維上に置く。デジタルカメラ/ソフトウェア(型式FTA32)を使用して、水滴のビデオ画像を横から撮影する。毛髪繊維上での液滴の初期接触角を測定する。処理の典型的な測定には、3つの房、各房に関して4つの繊維対、及び各繊維対をまたがる5カ所についての、60の接触角測定値の平均化が含まれる。本方法の誤差は、約1〜2%である。
【0134】
実施例3、4、5、6、11、12、15、16、19、20、22、23、25、26、B及びCからの処理済毛髪の接触角は、本方法を使用して測定する。様々な性質(バージンヘア、弱酸化、及び漂白済)の毛髪の基準となる接触角データもまた、比較のために測定される。対応する測定結果を、表1及び図7に示す。
【0135】
【表1】

【0136】
(実施例28)
実施例3からのヘアピースのリンスオフコンディショニング処理
実施例3からの3つ全てのヘアピースをシリコーン含有リンスオフヘアコンディショナー(パンテーン・プロ−V(登録商標)オルウェイズ・スムーズ(Pantene Pro-V Always Smooth)、毛髪1.0g当たりコンディショナー0.1mL)で処理し、次に、水道水で30秒間すすぎ、少なくとも5時間風乾させる。
【0137】
(実施例29)
実施例4からのヘアピースのリンスオフコンディショニング処理
実施例4からの3つ全てのヘアピースをシリコーン含有リンスオフヘアコンディショナー(パンテーン・プロ−V(登録商標)オルウェイズ・スムーズ(Pantene Pro-V Always Smooth)、毛髪1.0g当たりコンディショナー0.1mL)で処理し、次に、水道水で30秒間すすぎ、少なくとも5時間風乾させる。
【0138】
実施例28からのヘアピースと比較しての実施例29からのヘアピースの評価は、表2に示されている。
【0139】
【表2】

【0140】
実施例29からの毛髪は、実施例28からの毛髪よりも小さい乾燥摩擦及び機械的損傷を有する。実施例29からの毛髪は、実施例28からの毛髪よりも高濃度の付着したシリコーンを毛髪表面上に有する。実施例29からの毛髪の櫛通り及び光沢もまた、実施例28からの毛髪と比較して向上している。
【0141】
(実施例30)
グリセリン溶液の調製
グリセリン溶液は、脱イオン水90.0グラム及びグリセリン10グラムを200mLのガラス製ビーカーに加え、電磁攪拌器で5分間混合することによって調製する。
【0142】
(実施例31)
光酸触媒を含有するプロトタイプ毛髪湿潤剤の調製
暗室にて、8−ヒドロキシキノリン0.0150g及び過酸化水素(35%溶液)0.030gを実施例30からの溶液に添加する。得られた溶液を、生成物がいかなる光にも曝露されないような不透明ボトル内に入れ、保存する。
【0143】
(実施例32)
グリセリン溶液をスプレーすることによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。周辺光の下で、実施例30からの溶液2.0gをヘアピース全体にスプレーする。処理したヘアピースは、水道水で60秒間すすぎ、風乾させる。次に、処理したヘアピースは、浄化シャンプー(パンテーン・プロ−V(登録商標)クラリファイイングシャンプー(Pantene Pro-VR Clarifying Shampoo))で洗浄し、3.0分間水道水で完全にすすぎ、少なくとも5時間風乾させる。洗浄/すすぎ洗いを2回繰り返す。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0144】
(実施例33)
プロトタイプの湿潤剤をスプレーすることによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。ヘアピースは、実施例32で使用したヘアピースと同一のロットからのものである。ヘアピースは、実施例32に記載されているのと全く同一条件下で、実施例31からのプロトタイプの湿潤剤で処理する。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0145】
実施例33からのヘアピースの評価は、湿度が70%から20%に減少した場合に、実施例32からのヘアピースと比較して、湿分喪失の速度が低いことを示す。実施例32及び33からの製剤を消費者パネルによって評価すると(スプレー器具にて)、実施例33からの製剤がより柔軟な髪に寄与することが結論づけられる。
【0146】
(実施例34)
染料溶液の調製
染料溶液は、200mLのガラス製ビーカーに、脱イオン水100g及び直接染料243(アーカッシュ・ケミカルズ&ダイ−スタッフス社(Aakash Chemicals & Dye-Stuffs, Inc.)により供給されるレッドBWS)0.50グラムを加えることにより調製される。溶液を電磁攪拌器にて10分間混合し、暗赤色溶液とする。
【0147】
【化1】

【0148】
直接染料243
(実施例35)
光酸触媒を有するプロトタイプの毛髪染料溶液の調製
暗室にて、8−ヒドロキシキノリン0.0150gを実施例34からの溶液に添加する。得られた溶液を、生成物がいかなる光にも曝露されないような不透明ボトル内に入れ、保存する。
【0149】
(実施例36)
染料溶液に浸漬することによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。暗室にて、実施例34からの染料溶液100gを収容する200mLのガラス製ビーカー内に10分間ヘアピースを浸漬する。次に、処理済ヘアピースを染料溶液から取り出し、水道水で60秒間すすぎ、風乾させる。次に、乾燥させたヘアピースを、浄化シャンプー(パンテーン・プロ−V(登録商標)クラリファイイングシャンプー(Pantene Pro-VR Clarifying Shampoo))で洗浄し、3.0分間水道水ですすぎ、少なくとも5時間風乾させる。シャンプー洗浄/すすぎ洗いサイクルを更に3回繰り返す。次に、カラーコンピュータ(データカラー社(Datacolor)によるマイクロフラッシュ(Microflash)(登録商標))によってヘアピースの色を測定し、初期の(未処理の)ヘアピースの色と比較する。処理済房と未処理房との間でのこの色の違いを、ΔEで表現する。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0150】
(実施例37)
光酸触媒を含有するプロトタイプの毛髪染料溶液に浸漬することによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。ヘアピースは、実施例36で使用したヘアピースと同一のロットからのものである。ヘアピースを実施例35からのプロトタイプの染料溶液に浸漬し、実施例36に記載したのと全く同一条件下で処理する。次に、カラーコンピュータ(データカラー社(Datacolor)によるマイクロフラッシュ(Microflash)(登録商標))によってヘアピースの色を測定し、初期の(未処理の)ヘアピースの色と比較する。処理済房と未処理房との間でのこの色の違いを、ΔEで表現する。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0151】
表2は、実施例36及び37の処理に関する色評価の(3つの房についての)平均結果を示す。実施例37の処理により、より効果的な毛髪染色(最初の毛髪よりも大きなΔE)が得られる。
【0152】
【表3】

【0153】
(実施例38)
光触媒を含有するプロトタイプのステアリルアルコールエマルションによる染色したヘアピースの処理及びシャンプー洗浄後の退色の測定
製品使用説明書にしたがって、5つのバージンヘアのヘアピースA、B、及びC(4g、20cm長で、同一バッチからのもの)を永続的酸化性染料(コレストン・パーフェクト・シェード・レッド(Koleston Perfect Shade Red)77/44、レベル3)で染める。風乾後、実施例2からのプロトタイプのエマルション2.0グラムをスプレーすることにより房を処理し、水ですすぎ、浄化シャンプーで洗浄し、次に再度、水で完全にすすぎ、風乾させる(実施例3に記載の通り)。カラーコンピュータ、ミノルタ(Minolta)を使用して房Aの色を測定し、将来の比較のために保持する。房Bをウエラ・ライフテックス(Wella Lifetex)色保護シャンプーで洗浄し(毛髪1グラム当たり0.10mLのシャンプーを使用して)、37℃及び毎分3.8L(1.0ガロン)の流量の水で30秒間すすぐ。すすぎ洗い後、指の間で房を1回絞って過剰な水を取り除き、高熱で3.0分間ブロー乾燥し、次にカラーコンピュータで測定する。シャンプー洗浄/色測定手順を更に5回繰り返す(毎日1回洗浄)。同一シャンプー洗浄プロトコル(続いて色測定)を房Cに12日間適用する(毎日1回)。
【0154】
(実施例39)
光触媒を含有しないステアリルアルコールエマルションによる染色したヘアピースの処理及びシャンプー洗浄後の退色の測定
製品使用説明書にしたがって、6つのバージンヘアのヘアピースD、E、及びF(4g、20cm長で、実施例Iと同一バッチからのもの)を永続的酸化性染料(コレストン・パーフェクト・シェード・レッド(Koleston Perfect Shade Red)77/44、レベル3)で染める。風乾後、実施例1からのプロトタイプのエマルション2.0グラムをスプレーすることにより房を処理し、水ですすぎ、浄化シャンプーで洗浄し、次に再度、水で完全にすすぎ、風乾させる(実施例3に記載の通り)。カラーコンピュータ、ミノルタ(Minolta)を使用して房Dの色を測定し、将来の比較のために保持する。房Eをウエラ・ライフテックス(Wella Lifetex)色保護シャンプーで洗浄し(毛髪1グラム当たり0.10mLのシャンプーを使用して)、37℃及び毎分3.8L(1.0ガロン)の流量の水で30秒間すすぐ。すすぎ洗い後、指の間で房を1回絞って過剰な水を取り除き、高熱で3.0分間ブロー乾燥する。シャンプー洗浄/色測定手順を更に5回を繰り返し(毎日1回洗浄)、次に房の色測定をカラーコンピュータで行う。同一シャンプー洗浄プロトコルを房Fに12日間(毎日1回)適用し、次にカラーコンピュータで色を測定する。
【0155】
(実施例40)
シャンプー洗浄後の染色した毛髪の退色測定
製品使用説明書にしたがって、6つのバージンヘアのヘアピースG、H、及びI(4g、20cm長で、実施例Iと同一バッチからのもの)を永続的酸化性染料(コレストン・パーフェクト・シェード・レッド(Koleston Perfect Shade Red)77/44、レベル3)で染める。風乾後、水2.0グラムをスプレーすることにより房を処理し、水ですすぎ、浄化シャンプーで洗浄し、次に再度、水で完全にすすぎ、風乾させる(実施例3に記載の通り)。カラーコンピュータ、ミノルタ(Minolta)を使用して房Gの色を測定し、将来の比較のために保持する。房Hをウエラ・ライフテックス(Wella Lifetex)色保護シャンプーで洗浄し(毛髪1グラム当たり0.10mLのシャンプーを使用して)、37℃及び毎分3.8L(1.0ガロン)の流量の水で30秒間すすぐ。すすぎ洗い後、指の間で房を1回絞って過剰な水を取り除き、高熱で3.0分間ブロー乾燥し、次にカラーコンピュータで測定する。シャンプー洗浄/色測定手順を更に5回を繰り返し(毎日1回洗浄)、次に房の色測定をカラーコンピュータで行う。同一シャンプー洗浄プロトコルを房Iに12日間(毎日1回)適用し、次にカラーコンピュータで色を測定する。12回洗浄した房についての房の退色ランキング(高い退色から低い退色まで)は、I>F>C(G、D、及びAそれぞれに対するΔEで判断した場合)である。6回洗浄した房についての房の退色ランキング(高い退色から低い退色まで)は、H>E>B(G、D、及びAそれぞれに対するΔEで判断した場合)である。ヘアピースの目視検査にて、これらの退色特性を確認する。
【0156】
(実施例41)
対照香料エマルションの調製
200mL金属ビーカー内に、脱イオン水94.0グラム及びラウリル硫酸ナトリウム2.0グラムの溶液を調製する。溶液を80〜90℃の温度に維持する。2−ヒドロキシエチルベンゼン5グラムを高剪断混合しながら(シルバーソン(Silverson)(登録商標)L4RTホモジナイザーを6000rpmにて使用)15分間かけて溶液に添加する。混合物は、80〜90℃にて、高剪断下で2時間、連続的に混合する。次に、混合物を、毎分0.5℃の速度で25℃まで高剪断混合しながら冷却させる。希塩酸溶液又は希釈した水酸化ナトリウムを使用して、混合物のpHを約5.5〜6.0に調整する。
【0157】
(実施例42)
毛髪トリートメントのための光酸触媒を含有するプロトタイプの香料エマルションの調製
実施例IVからのエマルションを、100.0グラムの同等部分2つに分けた。暗室にて、0.0150gの量の8−ヒドロキシキノリンを、そのうちの1つの実施例IVからのエマルションに添加する。得られたエマルションを、生成物がいかなる光にも曝露されないような不透明ボトル内に入れ、保存する。
【0158】
(実施例43)
プロトタイプの香料エマルションをスプレーすることによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。周辺光の下で、実施例Vからのエマルション2.0gをヘアピース全体にスプレーする。ヘアピースを水道水で60秒間すすぎ、風乾させる。次に、ヘアピースを浄化シャンプー(パンテーン・プロ−V(登録商標)クラリファイイングシャンプー(Pantene Pro-VR Clarifying Shampoo))で洗浄し、水道水で3.0分間完全にすすぎ、少なくとも5時間風乾させる。洗浄/すすぎ洗いを更に2回繰り返す。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0159】
(実施例44)
対照香料エマルションをスプレーすることによる毛髪トリートメント
実施例VIの房と同一のロットの20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。周辺光の下で、実施例IVからのエマルション2.0gをヘアピース全体にスプレーする。ヘアピースを水道水で60秒間すすぎ、風乾させる。次に、ヘアピースを浄化シャンプー(パンテーン・プロ−V(登録商標)クラリファイイングシャンプー(Pantene Pro-VR Clarifying Shampoo))で洗浄し、水道水で3.0分間完全にすすぎ、少なくとも5時間風乾させる。洗浄/すすぎ洗いを更に2回繰り返す。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0160】
10人の消費者パネルに、調製後様々な時点(1日、1週間、及び1ヶ月)においてヘアピースの香料強度を評価し、実施例VIからのヘアピースの香料強度と比較するように求める。3回全てにおいて、実施例VIからのヘアピースの香料強度は、実施例VIIからのヘアピースの香料強度よりも大きい。
【0161】
(実施例45)
シクロデキストリン水溶液の調製
β−シクロデキストリン0.30グラム及び平均置換度3.3を有するヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンの攪拌下で、脱イオン水199.1グラム及びアニオン性界面活性剤0.30グラムの溶液中へ、ダウファックス(DOWFAX)(登録商標)3B2を添加する。希塩酸溶液又は希釈した水酸化ナトリウムを使用して、混合物のpHを約5.5〜6.0に調整する。
【0162】
(実施例46)
光酸触媒を含有するシクロデキストリンのプロトタイプの水溶液の調製
実施例VIIIからの溶液を2つの同等部分に分ける。それらの部分の1つに、8−ヒドロキシキノリン0.0150gの量を暗室内で添加する。得られた溶液を、生成物がいかなる光にも曝露されないような不透明ボトル内に入れ、保存する。
【0163】
(実施例47)
シクロデキストリン水溶液をスプレーすることによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。実施例3に記載されているのと同一条件下で、実施例VIIIからの溶液をヘアピースにスプレーする。ヘアピースを水道水で60秒間すすぎ、風乾させる。次に、ヘアピースを浄化シャンプー(パンテーン・プロ−V(登録商標)クラリファイイングシャンプー(Pantene Pro-VR Clarifying Shampoo))で洗浄し、水道水で3.0分間完全にすすぎ、少なくとも5時間風乾させる。洗浄/すすぎ洗いを更に4回繰り返す。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0164】
(実施例48)
光酸触媒を含有するシクロデキストリン水溶液をプロトタイプスプレーすることによる毛髪トリートメント
実施例Xの房と同一のロットからの20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。実施例3に記載されているのと同一条件下で、実施例IXからの溶液をヘアピースにスプレーする。次に、ヘアピースを浄化シャンプー(パンテーン・プロ−V(登録商標)クラリファイイングシャンプー(Pantene Pro-VR Clarifying Shampoo))で洗浄し、水道水で3.0分間完全にすすぎ、少なくとも5時間風乾させる。洗浄/すすぎ洗いを更に4回繰り返す。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0165】
実施例X及びXIからの全ての房について、悪臭減少における処理の効果を評価する。各ヘアピースに約90マイクロリットルの合成体臭組成物を均一に塗布する。次に、悪臭で処理した各ヘアピースをプラスチック袋に密封し、周囲温度にて一晩平衡させる。認定された悪臭採点者が、各房の悪臭レベルを評価する。実施例Xからの房が、実施例XIからの房よりも強い悪臭を有することが分かっている。
【0166】
(実施例49)
ポリビニルアルコール溶液の調製
ポリビニルアルコール溶液は、ポリビニルアルコール(ゴーセノール(Gohsenol)(登録商標)GH−23、日本合成(Nippon Gohsei)から入手可能)4.0グラムを脱イオン水96.0グラムに、10分間かけて、85℃で透明な溶液になるまで攪拌しながら添加することにより調製される。溶液は、使用するまで室温に冷却されたままである。
【0167】
(実施例50)
光酸触媒を含有するプロトタイプのヘアスタイリングプライマーの調製
暗室にて、8−ヒドロキシキノリン0.0150g及び過酸化水素(35%溶液)0.030gを実施例38からの溶液に添加する。得られた溶液を、生成物がいかなる光にも曝露されないような不透明ボトル内に入れ、保存する。
【0168】
(実施例50A)
光酸触媒を含有するプロトタイプのヘアスタイリングプライマーの調製
暗室にて、8−ヒドロキシキノリン0.0150gを実施例38からの溶液に添加する。得られた溶液を、生成物がいかなる光にも曝露されないような不透明ボトル内に入れ、保存する。
【0169】
(実施例51)
ポリビニルアルコール溶液をスプレーすることによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。周辺光の下で、実施例38からの溶液2.0gをヘアピース全体にスプレーする。ヘアピースを水道水で60秒間すすぎ、風乾させる。次に、ヘアピースを浄化シャンプー(パンテーン・プロ−V(登録商標)クラリファイイングシャンプー(Pantene Pro-VR Clarifying Shampoo))で洗浄し、水道水で3.0分間完全にすすぎ、少なくとも5時間風乾させる。洗浄/すすぎ洗いを繰り返す。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0170】
(実施例52)
プロトタイプのヘアスタイリングプライマーをスプレーすることによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。ヘアピースは、実施例51で使用したヘアピースと同一のロットからのものである。ヘアピースは、実施例51に記載されているのと全く同一条件下で、実施例50からのプロトタイプのヘアスタイリングプライマーで処理する。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0171】
(実施例52A)
プロトタイプのヘアスタイリングプライマーをスプレーすることによる毛髪トリートメント
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄し風乾させる。ヘアピースは、実施例51で使用したヘアピースと同一のロットからのものである。ヘアピースは、実施例51に記載されているのと全く同一条件下で、実施例52Aからのプロトタイプのヘアスタイリングプライマーで処理する。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0172】
(実施例52B)
実施例51からのヘアピースと、実施例52及び実施例52Aからのヘアピースとの比較
実施例51、実施例52、及び実施例52Aからの房の目視及び官能検査は、実施例52及び実施例52Aからのヘアピースが、特に毛尖近傍で実施例51からのヘアピースよりも滑らかで光沢があることを示す。
【0173】
(実施例53)
スタイリングムースによる実施例51からのヘアピースの処理
実施例51からの3つ全てのヘアピースは、濡れている間にスタイリングムースで処理される。ヘアピースは、目の粗い櫛を使用して2回櫛で梳き、目の細かい櫛を使用して1回櫛で梳く。ヘアピースは、ペーパータオルで軽く拭き取り、注射器を使用してムースを加える(毛髪1グラム当たりムースが0.25グラム)。ムースを毛髪全体に展着させて、毛髪をムースでマッサージする。
【0174】
ムースは、重量%で以下の組成を有する:水72.73%;ルビスコール(Luviskol)(登録商標)VA73W(50%PVP/VAコポリマー、BASFから入手可能)2.0%、カルボワックス(Carbowax)(登録商標)600(PEG−12、ダウ社(Dow)から入手可能)10.0%、シクロペンタシロキサン(SF1202、モメンティヴ(Momentive)から入手可能)2.0%、シリコーンエマルション(50%ジメチコンエマルション、東レシリコーンズ(Toray Silicones)から入手可能)2.0%、イソステアレス−20 0.45%、ベンジルアルコール0.50%、メチルパラベン0.2%、EDTA二ナトリウム0.12%、及び噴射剤エアロン(Aeron)(登録商標)A−70(プロパン/イソブテン、ダイヴァーシファイドCPC(Diversified CPC)から入手可能)10.0%。
【0175】
ムースは、噴射剤を除く全成分をシルバーソン(Silverson)(登録商標)L4RTホモジナイザー(5000rpm)を使用して48〜52℃で混合することにより均質混合物に調製する。次に、混合物を25℃に冷却し、エアゾール容器に充填し、エアゾール噴射剤を添加する。
【0176】
(実施例54)
スタイリングムースによる実施例52からのヘアピースの処理
実施例52及び実施例52Aからの3つ全てのヘアピースは、実施例53に記載されたのと全く同じプロトコルで処理する。
【0177】
(実施例55)
実施例53及び54からのヘアピースの形状保持評価
実施例53及び54からのヘアピースを、1.3cm(0.5インチ)のテフロン(登録商標)円柱ロッドの周りに固定させ、乾燥させる。乾燥させたヘアピースをロッドから取り外す。ヘアカールは、初期長(L0)を有する。ヘアピースに負荷を少量適用し、それらの長さ(L1)を測定する。次に、ヘアピースを最終長(L2)まで緩める。ヘアピースの回復率は、(L1−L2)/(L1−L0)として計算される。実施例54からのヘアピースは、実施例53からのヘアピースよりも高い回復率を有する。
【0178】
(実施例56)
剛性を増大させるためにエチレンカーボネート及び光酸触媒溶液で処理された毛髪
6つの個々の毛髪繊維の初期剛性を測定する。次に、20%(w/v)エチレンカーボネート及び2%(w/v)6−シアノ−2−ナフトールの3:2メタノールヘキサン溶液中に、30分間<550nm波長の光に曝露することなく、繊維を浸漬させる。浸漬後、6−シアノ−2−ナフトールに吸収される波長(約300nm〜350nm)にて著しい光強度を持つ光源に、毛髪繊維を曝露する。曝露後、毛髪繊維をすすぎ、乾燥させ、毛髪の剛性を再度測定する。6つの毛髪繊維の平均剛性は、44%の増加を示す。毛髪繊維の走査型電子顕微鏡検査は、繊維表面が変化していないことを示す。
【0179】
(実施例57)
剛性を増大させるためにポリ(アクリル酸)及び光酸触媒溶液で処理された毛髪
6つの個々の毛髪繊維の初期剛性を測定する。次に、20%(w/v)ポリ(アクリル酸)(分子量、約10,000)及び2%(w/v)6−シアノ−2−ナフトールの3:2メタノールヘキサン溶液中に、30分間<550nm波長の光に曝露することなく、繊維を浸漬させる。浸漬後、6−シアノ−2−ナフトールに吸収される波長(約300nm〜350nm)にて著しい光強度を持つ光源に、毛髪繊維を曝露する。曝露後、毛髪繊維をすすぎ、乾燥させ、毛髪の剛性を再度測定する。6つの毛髪繊維の平均剛性は、56%の増加を示す。毛髪繊維の走査型電子顕微鏡検査は、繊維表面が変化していないことを示す。
【0180】
(実施例58)
剛性を増大させるためにエチルオキサゾリン及び光酸触媒溶液で処理された毛髪
6つの個々の毛髪繊維の初期剛性を測定する。次に、20%(w/v)エチルオキサゾリン及び2%(w/v)6−シアノ−2−ナフトールの3:2メタノールヘキサン溶液中に、30分間<550nm波長の光に曝露することなく、繊維を浸漬させる。浸漬後、6−シアノ−2−ナフトールに吸収される波長(約300nm〜350nm)にて著しい光強度を持つ光源に、毛髪繊維を曝露する。曝露後、毛髪繊維をすすぎ、乾燥させ、毛髪の剛性を再度測定する。6つの毛髪繊維の平均剛性は、30%の増加を示す。毛髪繊維の走査型電子顕微鏡検査は、繊維表面が変化していないことを示す。
【0181】
(実施例59)
還元剤で処理した毛髪
約4グラムのバージンヘアのヘアピースをチオグリコール酸アンモニウムの5%溶液(35℃、pH9.6)で10分間処理し、温水で完全にすすぐ。次に、ヘアピースを1%塩酸水溶液に10分間浸漬し、温水で10分間完全にすすぎ、風乾する。
【0182】
(実施例60)
α−メチルスチレン及び光酸触媒溶液の調製
90.0グラムのメタノール/アセトン(1:1)、2.0グラムの6−シアノ−2−ナフトール、及び8.0グラムのα−メチルスチレンを200mLビーカーに加えることによって、α−メチルスチレン及び光酸触媒を含む溶液を調製する。暗室内で、成分を5分間混合して透明溶液を調製する。次に、生成物がいかなる光にも曝露されないような不透明ボトル内で、溶液を保存する。
【0183】
(実施例61)
剛性を増大させるためにα−メチルスチレン及び光酸触媒溶液で処理された還元毛髪
暗室内で、実施例59からのヘアピースを実施例60からの100mL溶液に10分間浸漬させる。次に、ヘアピースをビーカーから取り出し、6−シアノ−2−ナフトールに吸収される波長(約300〜350nm)での光強度が大きい光源に曝露する。露光後、毛髪繊維をすすぎ、風乾させる。実施例61のプロトコルで処理された毛髪繊維の剛性(曲げに対する抵抗力として決定される)は、未処理の毛髪繊維より50%大きかった。
【0184】
(実施例62)
光酸触媒を含有するプロトタイプの皮膚湿潤剤の調製
暗室にて、8−ヒドロキシキノリン0.0150gを実施例30からの溶液に添加する。得られた溶液を、生成物がいかなる光にも曝露されないような不透明ボトル内に入れ、保存する。
【0185】
(実施例63)
光酸触媒を含有するプロトタイプの湿潤剤を展着させることによるスキントリートメント
パネリストを、2つのグループに分ける。周辺光下で、第1グループのパネリストは、実施例30からのグリセリン溶液を手の裏側に展着させ、1日2回(2週間、朝と夜)30秒間こする。周辺光下で、第2グループのパネリストは、実施例62からのプロトタイプの湿潤剤を手の裏側に展着させ、1日2回(2週間、朝と夜)30秒間こする。手の裏側の処置領域の湿分含量(皮膚水和)は、コルネオメータを使用して測定する。
【0186】
コルネオメータによる処置領域の測定は、実施例62からのプロトタイプの湿潤剤を使用するパネリストが、実施例30からのグリセリン溶液を使用するパネリストよりも、皮膚の水和及び湿分含量が大きいことを示す。
【0187】
(実施例64)
グリセリン溶液をスプレーすることによるスキントリートメント
周辺光下で、パネリストは、拭いた皮膚の一領域に、実施例31からの溶液(又は実施例30からの溶液)をスプレーする。スプレーに続いて、塗布してから15分後に、固形石鹸で洗浄する。5時間かけて、手順を5回繰り返す。視覚的評価は、実施例30からの溶液よりも実施例31からの溶液の方が、皮膚保湿において、より効果的であることを示す。
【0188】
(実施例65)
ポリ(アクリル酸)及び光酸触媒で処理された布地
1%(w/v)ポリ(アクリル酸)及び100ppmの8−ヒドロキシキノリンの溶液中に2分間、綿ニット布地を浸漬させる。浸漬期間中、布地を>550nmの照明下に維持する。溶液から布地を除去し、過剰な流体を圧搾により除去し、布地を吊し、8−ヒドロキシキノリンに吸収される波長(>380nm)の周辺光に、乾燥するまで曝露する。布地を、水で完全にすすぎ、乾燥させる。次に、有処理及び無処理の布地の伸びを1kg負荷にて測定する。処理無しの場合、平均の伸びは2.54cm(1インチ)であり、処理有りの場合、平均の伸びは0.6cm(1/4インチ)である。
【0189】
(実施例66)
ポリ(ビニルピロリドン−コ−アクリル酸)及び光酸触媒で処理された布地
1%(w/v)ポリ(ビニルピロリドン−コ−アクリル酸)及び100ppmの8−ヒドロキシキノリンの溶液中に2分間、綿ニット布地を浸漬させる。浸漬期間中、布地を>550nmの照明下に維持する。溶液から布地を除去し、過剰な流体を圧搾により除去し、布地を吊し、8−ヒドロキシキノリンに吸収される波長(>380nm)の周辺光に、乾燥するまで曝露する。布地を、水で完全にすすぎ、乾燥させる。次に、1kg負荷にて布地の伸びを測定する。処理無しの場合、布地の平均の伸びは2.2cm(7/8インチ)であり、処理有りの場合、布地の平均の伸びは0.6cm(1/4インチ)である。
【0190】
(実施例67)
ブタンテトラカルボン酸及び光酸触媒で処理された布地
1%(w/v)ブタンテトラカルボン酸及び100ppmの8−ヒドロキシキノリンの溶液中に2分間、綿ニット布地を浸漬させる。浸漬期間中、布地を>550nmの照明下に維持する。溶液から布地を除去し、過剰な流体を圧搾により除去し、布地を吊し、8−ヒドロキシキノリンに吸収される波長(>380nm)の周辺光に、乾燥するまで曝露する。布地を、水で完全にすすぎ、乾燥させる。次に、1kg負荷にて布地の伸びを測定する。処理無しの場合、布地の平均の伸びは2.54cm(1インチ)であり、処理有りの場合、布地の平均の伸びは1.0cm(3/8インチ)である。
【0191】
(実施例68)
クエン酸及び光酸触媒で処理された布地
1%(w/v)クエン酸及び100ppmの8−ヒドロキシキノリンの溶液中に2分間、綿ニット布地を浸漬させる。浸漬期間中、布地を>550nmの照明下に維持する。溶液から布地を除去し、過剰な流体を圧搾により除去し、布地を吊し、8−ヒドロキシキノリンに吸収される波長(>380nm)の周辺光に、乾燥するまで曝露する。布地を、水で完全にすすぎ、乾燥させる。次に、1kg負荷にて布地の伸びを測定する。処理無しの場合、布地の平均の伸びは2.54cm(1インチ)であり、処理有りの場合、布地の平均の伸びは1.3cm(1/2インチ)である。
【0192】
(実施例69)
ポリ(アクリル酸)及び光酸触媒で処理されたデニム布地
1%(w/v)ポリ(アクリル酸)及び100ppmの8−ヒドロキシキノリンの溶液中に2分間、デニムジーンズ布地を浸漬させる。浸漬期間中、布地を>550nmの照明下に維持する。溶液から布地を除去し、過剰な流体を圧搾により除去し、布地を吊し、8−ヒドロキシキノリンに吸収される波長(>380nm)の周辺光に、乾燥するまで曝露する。布地を、水で完全にすすぎ、乾燥させる。インストロン(登録商標)汎用材料試験機(Universal Materials Testing Machine)を使用して、布地の伸びを評価する。30N負荷にて、処理済布地の伸びは、未処理布地の伸びよりも60%小さいことが見出された。
【0193】
(実施例70)
ポリ(アクリル酸)及び光酸触媒で処理された退色したデニム布地
1%(w/v)ポリ(アクリル酸)及び100ppmの8−ヒドロキシキノリンの溶液中に2分間、退色したデニムジーンズ布地を浸漬させる。浸漬期間中、布地を>550nmの照明下に維持する。溶液から布地を除去し、過剰な流体を圧搾により除去し、布地を吊し、8−ヒドロキシキノリンに吸収される波長(>380nm)の周辺光に、乾燥するまで曝露する。布地を、水で完全にすすぎ、乾燥させる。インストロン(登録商標)汎用材料試験機を使用して、布地の伸びを評価する。30N負荷にて、処理済布地の伸びは、未処理布地の伸びよりも50%小さいことが見出された。
【0194】
(実施例71)
ポリ(アクリル酸)、エトキシル化ポリ(ジメチルシロキサン)及び光酸触媒で処理された退色したデニム布地
1%(w/v)ポリ(アクリル酸)、1%エトキシル化ポリ(ジメチルシロキサン)及び100ppmの8−ヒドロキシキノリンの溶液中に2分間、退色したデニムジーンズ布地を浸漬させる。浸漬期間中、布地を>550nmの照明下に維持する。溶液から布地を除去し、過剰な流体を圧搾により除去し、布地を吊し、8−ヒドロキシキノリンに吸収される波長(>380nm)の周辺光に、乾燥するまで曝露する。布地を、水で完全にすすぎ、乾燥させる。インストロン(登録商標)汎用材料試験機を使用して、布地の伸びを評価する。30N負荷にて、処理済布地の伸びは、未処理布地の伸びよりも40%小さいことが見出された。加えて、(1)未処理布地及び(2)ポリ(アクリル酸)単独で処理された布地(実施例70)と比較して、処理済布地の表面感触が改善された。
【0195】
(実施例72)
ポリ(アクリル酸)、ドデカノール及び光酸触媒で処理された退色したデニム布地
デニムジーンズ布地を、1%(w/v)ポリ(アクリル酸)溶液中に浸漬させる。浸漬期間中、布地を>550nmの照明下に維持する。溶液から布地を除去し、過剰な流体を圧搾により除去し、布地を吊し、8−ヒドロキシキノリンに吸収される波長(>380nm)の周辺光に、乾燥するまで曝露する。布地を、水で完全にすすぎ、乾燥させる。次に、50/50THF/水中1%(w/v)ドデカノール及び100ppmの8−ヒドロキシキノリンの溶液に布地を浸漬させる。浸漬期間中、布地を>550nmの照明下に維持する。溶液から布地を除去し、過剰な流体を圧搾により除去し、布地を吊し、8−ヒドロキシキノリンに吸収される波長(>380nm)の周辺光に、乾燥するまで曝露する。布地を、水で完全にすすぎ、乾燥させる。インストロン(登録商標)汎用材料試験機を使用して、布地の伸びを評価する。30N負荷にて、処理済布地の伸びは、未処理布地の伸びよりも30%小さいことが見出された。加えて、(1)未処理布地及び(2)ポリ(アクリル酸)単独で処理された布地(実施例70)と比較して、処理済布地の表面感触が改善された。
【0196】
(実施例73)
ポリ(ビニルピロリドン−コ−アクリル酸)及び光酸触媒を含むように変更された硬質表面洗浄剤
市販のミスター・プロプレ(Mr. Propre)(登録商標)浴室洗剤中に、0.1%ポリ(ビニルピロリドン−コ−アクリル酸)(ACP 1001)及び100ppmの8−ヒドロキシキノリンを溶解する。次に、改質されたミスター・プロプレ(Mr. Propre)(登録商標)洗浄剤で黒セラミックタイルを洗浄し、水ですすぐ。次に、タイルを水ですすぎ洗いし、周囲条件下での乾燥時間を測定することによって、タイルの乾燥時間を評価する。改質されたミスター・プロプレ(Mr. Propre)(登録商標)で洗浄したタイルは、未処理タイルよりも乾燥時間が大幅に短縮されることが明らかとなっている。この乾燥時間の短縮が、7回のすすぎ洗いでも維持されることもまた明らかとなっている。乾燥時間が短縮されることで、タイルの水染みが減少する。
【0197】
(実施例74)
ポリ(スチレンスルホネート−コ−アクリル酸)及び光酸触媒を含むように変更された硬質表面洗浄剤
市販のミスター・プロプレ(Mr. Propre)(登録商標)浴室洗剤中に、0.1%ポリ(スチレンスルホネート−コ−アクリル酸)及び100ppmの8−ヒドロキシキノリンを溶解する。次に、改質されたミスター・プロプレ(Mr. Propre)(登録商標)洗浄剤で黒セラミックタイルを洗浄し、水ですすぐ。次に、タイルを水ですすぎ洗いし、すすぎ洗い後1分の時点で、タイルに残る水滴の数を等級付けすることによって、タイルの水滴跡の形成を評価する。改質されたミスター・プロプレ(Mr. Propre)(登録商標)洗浄剤で洗浄したタイルは、未処理タイルよりも水滴が少ないことが明らかとなっている。この水滴形成減少は、7回のすすぎ洗いでも維持されることもまた明らかとなっている。染み減少により、タイル外観が改善される。
【0198】
(実施例75)
オムニレズ(Omnirez)(登録商標)及び光酸触媒を含むように変更された硬質表面洗浄剤
0.1オムニレズ(Omnirez)(登録商標)(PVM/MAコポリマーのエチルエステル、ISPから市販されている)及び100ppmの8−ヒドロキシキノリンを、市販のミスター・プロプレ(Mr. Propre)(登録商標)浴室洗剤に溶解する。次に、改質されたミスター・プロプレ(Mr. Propre)(登録商標)洗浄剤で黒セラミックタイルを洗浄し、水ですすぐ。次に、20gpgの硬水にアイヴォリー(Ivory)(登録商標)石鹸を溶解させることにより調製した石鹸滓溶液を使用してタイルを汚す。改質されたミスター・プロプレ(Mr. Propre)で洗浄したタイルでは、タイルへの石鹸滓の堆積が大幅に低減されたことが明らかになっている。
【0199】
(実施例76)
ポリ(スチレンスルホネート−コ−アクリル酸)及び光酸触媒を含むガラス洗浄剤
0.1%ポリ(スチレンスルホネート−コ−アクリル酸)及び100ppmの8−ヒドロキシキノリンを水中に溶解させる。周囲照明下で、溶液を窓ガラスにスプレーし、ガラスをペーパータオルで乾燥するまで拭き取る。このようにして処理したガラスの水接触角は非常に小さい(<20度)ことが明らかとなっている。ガラスを水ですすぎ洗いした場合、シーティング効果を示すこともまた観察される。水シーティングは、窓ガラス上の水滴形成を防止する。水滴形成が減少することで、洗浄されたガラス上での筋の発生及び水痕形成が減少する。
【0200】
(実施例77)
以下の塩基口腔ケア配合物を調製する。
【0201】
【表4】

【0202】
(実施例78)
親水性表面改質
ベース製剤に100ppmの8−ヒドロキシキノリン及び1%ポリ(アクリル酸−コ−スチレンスルホネート)が添加される。この製剤で歯をブラッシングすることにより、歯に親水性表面を与え、これはベース製剤と比較して、微生物の付着及び汚染を抑制する。
【0203】
(実施例79)
親水性表面改質
ベース製剤に100ppmの8−ヒドロキシキノリン及び1%ポリ(ビニルアルコール)が添加される。この製剤で歯をブラッシングすることにより、歯に親水性表面を与え、これはベース製剤と比較して、微生物の付着及び汚染を抑制する。
【0204】
(実施例80)
疎水性表面改質
ベース製剤に100ppmの8−ヒドロキシキノリン及び1%ステアリン酸が添加される。この製剤で歯をブラッシングすることにより、歯に疎水性表面を与え、これはベース製剤と比較して、微生物の付着を抑制する。
【0205】
(実施例81)
8−ヒドロキシキノリンを含有するリンスオフヘアコンディショナーの調製
下記の組成物を有する100gのコンディショナーに、0.0150gの量の8−ヒドロキシキノリンを添加し、10分間室温で混合する。次に、生成物がいかなる光にも曝露されないような不透明ボトル内に混合物を入れる。
【0206】
【表5】

【0207】
(実施例82)
漂白された毛髪の実施例Aからのリンスオフコンディショナーでの処理
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄しすすぎ洗いする。0.4mLの量の実施例Aからのコンディショナー(8−ヒドロキシキノリンを含有する)を加え、毛髪に30秒間周辺光下で揉み込み、水ですすぐ。次に、ヘアピースを浄化シャンプー(パンテーン・プロ−V(登録商標)クラリファイイングシャンプー(Pantene Pro-VR Clarifying Shampoo))で洗浄し、水道水で3.0分間完全にすすぎ、少なくとも5時間風乾させる。洗浄/すすぎ洗いを更に5回繰り返す。更に2つの同等のヘアピース(同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0208】
(実施例83)
漂白された毛髪のリンスオフコンディショナー組成物A1での処理
20cm長(4.0グラム)のヘアピースを漂白溶液で酸化し、洗浄しすすぎ洗いする。0.4mLの量のコンディショナー組成物A1(8−ヒドロキシキノリンを含有しない)を加え、毛髪に30秒間周辺光下で揉み込み、水ですすぐ。次に、ヘアピースを浄化シャンプー(パンテーン・プロ−V(登録商標)クラリファイイングシャンプー(Pantene Pro-VR Clarifying Shampoo))で洗浄し、水道水で3.0分間完全にすすぎ、少なくとも5時間風乾させる。洗浄/すすぎ洗いを更に5回繰り返す。更に2つの同等のヘアピース(実施例82と同一ロットから)で、手順を繰り返す。
【0209】
(実施例84)
毛髪接触角測定方法
ヘアピースからランダムに引き抜いた2本の毛髪繊維を、制御された温度及び湿度条件(約22〜25℃及び湿度20〜25%)で、2対のアンカー(3cm離間)に、繊維が0.20マイクロメートル離間しかつ互いに平行となるように取り付ける。マイクロシリンジで、0.20マイクロリットルの脱イオン水液滴(±0.02マイクロリットル)を2本の毛髪繊維上に置く。デジタルカメラ/ソフトウェア(型式FTA32)を使用して、水滴のビデオ画像を横から撮影する。毛髪繊維上での液滴の初期接触角を測定する。処理の典型的な測定には、3つの房、各房に関して4つの繊維対、及び各繊維対をまたがる5カ所についての、60の接触角測定値の平均化が含まれる。本方法の誤差は、約1〜2%である。
【0210】
実施例3、4、5、6、11、12、15、16、19、20、22、23、25、26、B及びCからの処理済毛髪の接触角は、本方法を使用して測定する。様々な性質(バージンヘア、弱酸化、及び漂白済)の毛髪の基準となる接触角データもまた、比較のために測定される。対応する測定結果を、表1及び図7に示す。
【0211】
【表6】

【0212】
本明細書に記載される組成物及び方法のさまざまな実施形態は、主として、毛髪、皮膚及び布地基材に関連して議論される。それにもかかわらず、以下の請求項で明らかにされる本発明は任意の特定の基材への塗布に限定されるものではないことが認識されている。以下の請求項で明らかにされる本発明は、当業者により理解可能であるように、本明細書に記載される組成物及び方法による表面の処理が有用である任意の基材に関連して使用されてよい。このような基材の非限定例としては、例えば、布地、紙、木材、プラスチック、ガラス、タイル、石、コンクリート、煉瓦、その他のセラミックス、及び複合材料が挙げられる。
【0213】
さまざまな実施形態について本明細書で説明したが、本開示を考察しつつ、当業者により、それら実施形態への多くの変更及び変形形態を実行できる。例えば、異なるタイプの活性成分及び光触媒を使用してもよい。また、好適な基材(例えば、ヒト又は動物の毛髪又は皮膚)として物質が開示されている場合、その他の物質を使用してもよい(例えば、合成毛髪繊維又は皮膚物質)。上述の説明及び以下の請求項は、そのような修正及び変形を全て包含するものとする。
【0214】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく限定されられるものとして理解されるべきでない。むしろ特に断りのない限り、こうした寸法のそれぞれは、記載される値、及びこの値の周辺の機能的に等価な範囲のいずれをも意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0215】
あらゆる相互参照又は関連特許若しくは特許出願を含む、本明細書に引用される文献は全て、明白に除外さもなくば限定されている場合を除いて、本明細書中にその全容を援用するものである。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは他のいかなる参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。更に、本文書における用語のいずれかの意味又は定義が、援用文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいては、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義を優先するものとする。
【0216】
本発明の特定の実施形態を例示し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)酸又は塩基の存在下にて、1つ以上の補完的な官能基に共有結合可能な1つ以上の官能基を有する活性物質、
(b)光に曝露すると酸又は塩基を生成可能な光触媒、並びに
(c)組成物を基材に塗布するための活性物質及び光触媒を分散又は溶解させるための生理学的に許容可能な賦形剤
を含む、パーソナルケア組成物であって、
前記賦形剤が、生理学的に許容可能な賦形剤であり、前記基材が、毛髪、皮膚、爪、歯及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、パーソナルケア組成物。
【請求項2】
界面活性剤、乳化剤、酸化剤、pH調整成分、感触改良剤、レオロジー変性剤、充填剤、香料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記賦形剤が、溶剤を含み、前記溶剤が、水、シリコーン、油、炭化水素、ラウリルサルフェート塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記光触媒が、芳香族ヒドロキシル化合物、スルホン化ピレン化合物、オニウム塩、ジアゾメタン誘導体、ビススルホン誘導体、ジスルホノ誘導体、ニトロベンジルスルホネート誘導体、スルホン酸エステル誘導体、N−ヒドロキシイミドのスルホン酸エステル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される光酸であり、前記光触媒に吸収される光が、紫外線、可視光、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記光触媒が、前記組成物の総重量に対して、0.00050重量%〜10重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記芳香族ヒドロキシ化合物がヒドロキシル置換キノリンであり、好ましくは前記ヒドロキシル置換キノリンが8−ヒドロキシキノリンである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記光触媒が、ヒドロキシル置換キノリン、トリチルアルコール誘導体及びアクリジン誘導体からなる群から選択される光塩基であり、好ましくは、前記光塩基がヒドロキシル置換キノリンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記光塩基が8−ヒドロキシキノリンである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記活性物質が疎水性物質であり、前記組成物が、界面活性剤及び乳化剤の一方又は両方を更に含み、好ましくは、前記活性物質が、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、アミノシリコーン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリビニルピロリドンコポリマー、ポリカプロラクトン、蛍光増白剤、湿潤剤、シラノール、一級、二級、カルボキシル又はヒドロキシル官能基のうちの1つ以上により官能化されたジメチルシリコーン、悪臭吸収剤/除去剤、香料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記活性物質が、グリセリン、ヘアカラー、染料、ステアリルアルコール、ラウリン酸、直接染料243、エチレンカーボネート、ポリ(アクリル酸)、エチルオキサゾリン、ポリ(スチレン)、ポリ(ビニルピロリドン−コ−アクリル酸)、ブタンテトラカルボン酸、クエン酸、ポリ(スチレンスルホネート−コ−アクリル酸)、PVM/MAコポリマーのエチルエステル、エトキシル化ポリ(ジメチルシロキサン)、シクロデキストリン、シクロデキストリン誘導体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記パーソナルケア組成物が、口紅、マスカラ、ルージュ、ファンデーション、頬紅、アイライナー、リップペンシル、リップグロス、ボディーパウダー、日焼け止め剤、サンブロック、ネイルポリッシュ、ムース、スプレー、スタイリングジェル、ネイルコンディショナー、バスジェル、シャワージェル、シャンプー、クリームリンス、毛髪染料、染毛製品、ヘアコンディショナー、ヘアシャイン製品、毛髪縮れ防止製品、悪臭吸収剤/除去剤、リップクリーム、スキンコンディショナー、コールドクリーム、湿潤剤、ヘアスプレー、石鹸、ボディースクラブ、剥離剤、収れん剤、脱毛剤、パーマ液、ふけ予防配合物、制汗剤組成物、デオドラント、剃毛製品、プリシェービング製品、アフターシェービング製品、クレンザー、スキンジェル、及びリンスからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記活性物質がステアリルアルコールを含み、前記光触媒が8−ヒドロキシキノリンを含み、前記賦形剤がラウリル硫酸ナトリウムを含み、前記組成物が水及び過酸化水素を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの活性物質を基材に塗布すること(前記活性物質は、1つ以上の官能基を有し、前記基材は、1つ以上の補完的な官能基を有する)、
光に曝露すると酸又は塩基を生成可能な少なくとも1つの光触媒を前記基材に塗布すること、並びに
前記光触媒及び少なくとも1つの活性物質を光に曝露して、前記少なくとも1つの活性物質の前記1つ以上の官能基と、第2活性物質、基材、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される試薬との間に共有結合を形成すること
を含む、基材の処理方法。
【請求項13】
前記共有結合が、前記少なくとも1つの活性物質の前記1つ以上の官能基と第2活性物質との間にあって、生成物を形成する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記生成物が基材と更に反応する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記共有結合が、前記少なくとも1つの活性物質の前記1つ以上の官能基と前記基材との間のエステル化反応である、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−523413(P2011−523413A)
【公表日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509549(P2011−509549)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/042324
【国際公開番号】WO2009/140076
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】