説明

光触媒脱臭機

【課題】有害ガスの除去や悪臭成分の浄化に使用される光触媒脱臭機において、脱臭シート全面が均一な脱臭性能を示すことを目的とする。
【解決手段】棒状の励起光源2と光触媒を含む脱臭シート3を間隔を空けて複数枚積層した脱臭フィルタ4を備えた光触媒脱臭機であって、励起光源からの受光量に対応して脱臭シート3の単位面積あたりの光触媒含有量に偏りを持たせた構成にしたことにより、紫外線受光量の少ない部分では光触媒の含有量を多くして、紫外線受光量の多い部分では光触媒の含有量を少なくすることで、脱臭シート全面が均一な脱臭性能を示すことができる光触媒脱臭機を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害ガスの除去や悪臭成分の浄化に使用される光触媒脱臭機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の脱臭装置には、光触媒と吸着剤とを混合してなる脱臭剤を用いて、有害ガスや悪臭成分を浄化するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その脱臭装置について図11を参照しながら説明する。
【0004】
図11に示すように、脱臭装置101は板状脱臭体102と紫外線ランプ103を備えている。板状脱臭体102は酸化チタン等の光触媒とゼオライト等の吸着剤とを混合してなる脱臭剤を板状に成形されており、紫外線ランプ103は長手方向を板状脱臭体の配列方向に沿わせて配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−286436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の脱臭装置においては、送風機の働きにより脱臭装置内に空気を吸入し、複数の板状脱臭体の表面に空気を接触させる構造を有しているが、できるだけ少ないエネルギーで送風機を駆動させるために、複数の板状脱臭体はできるだけ圧力損失の低い状態で配置されることが求められる。したがって、従来の脱臭装置では、複数の板状脱臭体が脱臭装置内の気流をできるだけ乱さない配置で積層されている。そのためそれぞれの板状脱臭体の表面では、紫外線ランプに近い端面側と紫外線ランプから遠い端面側では紫外線の受光量に差があるので、板状脱臭体が均一な脱臭性能を示すことができないという課題を有していた。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、板状脱臭体である脱臭シート全面が均一な脱臭性能を示すことができる光触媒脱臭機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために、本発明は、励起光源からの受光量に対応して脱臭シートの単位面積あたりの光触媒含有量に偏りを持たせたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、脱臭シートの紫外線受光量に差がある場合において、脱臭シートの単位面積あたりの光触媒含有量に偏りを持たせた構成、すなわち、紫外線受光量の少ない部分では光触媒の含有量を多くして、紫外線受光量の多い部分では光触媒の含有量を少なくすることで、脱臭シート全面が均一な脱臭性能を示すことができるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1の光触媒脱臭機を示す概略断面図
【図2】同光触媒脱臭機の励起光源および脱臭フィルタ部の斜視拡大図
【図3】本発明の実施の形態2の光触媒脱臭機の励起光源および脱臭シート部の平面拡大図
【図4】本発明の実施の形態3の光触媒脱臭機の励起光源および脱臭シート部の平面拡大図
【図5】本発明の実施の形態4の光触媒脱臭機の励起光源および脱臭フィルタ部の斜視拡大図
【図6】本発明の実施の形態4の光触媒脱臭機の励起光源および脱臭フィルタ部の側面拡大図
【図7】本発明の実施の形態5の光触媒脱臭機の励起光源および脱臭フィルタ部の側面拡大図
【図8】本発明の実施の形態6の光触媒脱臭機の励起光源および脱臭フィルタ部の側面拡大図
【図9】本発明の実施の形態7の光触媒脱臭機の励起光源および脱臭シート部の平面拡大図
【図10】本発明の実施の形態8の光触媒脱臭機の励起光源および脱臭フィルタ部の側面拡大図
【図11】従来の脱臭装置の概略斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の請求項1記載の光触媒脱臭機は、棒状の励起光源と光触媒を含む脱臭シートを間隔をあけて複数枚積層した脱臭フィルタと送風手段を備えた光触媒脱臭機であって、励起光源からの受光量に対応して脱臭シートの単位面積あたりの光触媒含有量に偏りを持たせたという構成を有する。これにより、脱臭シートの紫外線受光量に差がある場合において、紫外線受光量の少ない部分では光触媒の含有量を多くして、紫外線受光量の多い部分では光触媒の含有量を少なくすることで、脱臭シート全面が均一な脱臭性能を示すことができるという効果を奏する。
【0012】
また、励起光源との距離に対応して、脱臭シートの単位面積あたりの光触媒含有量に偏りを持たせるという構成にしてもよい。これにより、励起光源から遠く紫外線受光量の少ない部分では光触媒の含有量を多くして、励起光源に近く紫外線受光量の多い部分では光触媒の含有量を少なくすることで、脱臭シート全面が均一な脱臭性能を示すことができるという効果を奏する。
【0013】
また、単位面積あたりの光触媒含有量が異なる脱臭シートを複数枚積層した脱臭フィルタを備えるという構成にしてもよい。これにより、脱臭シートの紫外線受光量に差がある場合において、紫外線受光量の少ない部分では光触媒の含有量が多い脱臭シートを配置して、紫外線受光量の多い部分では光触媒の含有量が少ない脱臭シートを配置することで、脱臭フィルタ全体が均一な脱臭性能を示すことができるという効果を奏する。
【0014】
また、棒状の励起光源と光触媒を含む脱臭シートを間隔を空けて複数枚積層した脱臭フィルタと送風手段を備え、棒状の励起光源の長手方向に対して前記脱臭シートが傾斜角を有する光触媒脱臭機であって、励起光源からの受光量に対応して脱臭シートの単位面積あたりの光触媒含有量に偏りを持たせるという構成にしてもよい。これにより、脱臭シートの紫外線受光量に差がある場合において、紫外線受光量の少ない部分では光触媒の含有量を多くして、紫外線受光量の多い部分では光触媒の含有量を少なくすることで、脱臭シート全面が均一な脱臭性能を示すことができるという効果を奏する。
【0015】
また、単位面積あたりの光触媒含有量が異なる脱臭シートを貼り合わせて一枚にした複合脱臭シートを複数枚積層した脱臭フィルタを備えるという構成にしてもよい。これにより、棒状の励起光源の長手方向に対して前記脱臭シートが傾斜角を有する光触媒脱臭機であっても、脱臭シートの両面において、紫外線受光量の少ない面には光触媒の含有量の多い脱臭シートを配置して、紫外線受光量の多い面には光触媒の含有量の少ない脱臭シートを配置してお互いに貼り合わせることで、脱臭シート全面が均一な脱臭性能を示すことができるという効果を奏する。
【0016】
また、脱臭シートの厚さを変化させることで、単位体積あたりの光触媒含有量が同じでも単位面積あたりの光触媒含有量に偏りを持たせるという構成にしてもよい。これにより、脱臭シートの紫外線受光量に差がある場合において、紫外線受光量の少ない部分では脱臭シートを厚くすることにより単位面積あたりの光触媒の含有量を多くして、紫外線受光量の多い部分では脱臭シートを薄くすることにより単位面積あたりの光触媒の含有量を少なくすることで、脱臭シート全面が均一な脱臭性能を示すことができるという効果を奏する。
【0017】
また、脱臭シートに開口部を備えることで、単位面積あたりの光触媒含有量に偏りを持たせるという構成にしてもよい。これにより、脱臭シートの紫外線受光量に差がある場合において、紫外線受光量の多い部分では脱臭シートに開口部を備えることにより単位面積あたりの光触媒含有量が同じでも、開口部の面積分、光触媒の含有量を少なくすることができ、脱臭シート全面が均一な脱臭性能を示すことができるという効果を奏する。
【0018】
また、脱臭シートが吸着剤を含む光触媒脱臭機において、脱臭シートの単位面積あたりの光触媒含有量に偏りを持たせたという構成を有する。これにより、脱臭シートの紫外線受光量に差がある場合において、紫外線受光量の少ない部分では光触媒の含有量を多くして、紫外線受光量の多い部分では光触媒の含有量を少なくすることで、吸着剤の吸着効果により脱臭フィルタの脱臭性能を改善する場合においても脱臭シート全面が均一な脱臭性能を示すことができるという効果を奏する。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1に示すように、光触媒脱臭機1は励起光源2と脱臭シート3が積層された脱臭フィルタ4と送風手段5を備えている。矢印で示すように送風手段5により吸引された空気は脱臭フィルタ4を通過することで有害ガスや悪臭成分を除去または浄化されるものである。脱臭シート3は酸化チタンなどの光触媒を含んでおり、励起光源2から照射される紫外線の働きにより、脱臭シート3上でOHラジカルなどの活性種が生成され、有害ガスや悪臭成分を分解することができる。
【0021】
図2に、実施の形態1の励起光源2と脱臭フィルタ4の拡大図を示す。複数の励起光源2が脱臭シート3の長手方向に沿って配置されている。また、脱臭シート3の長手方向に関して中央部分に光触媒低含有部6と両端部に光触媒高含有部7を備えており、脱臭シート上において単位面積当たりの光触媒含有量に偏りを持たせている。
【0022】
脱臭シート3の製造方法については特に限定するものではないが、酸化チタンとバインダー成分をスラリー状に均質化したものを、基材に塗布した後に加熱乾燥する方法で製造することができる。したがって、塗布工程において、酸化チタンの含有量の異なるスラリーを塗り分けることで光触媒含有量に偏りを有する脱臭シートを製造することができる。
【0023】
このような構成によれば、脱臭シート3の中央部分は励起光源からの紫外線受光量が多く、脱臭シート3の両端部は紫外線受光量が少ないので、励起光源からの紫外線受光量に対応して光触媒の含有量に偏りを持たせたものである。したがって、脱臭シート全面が均一な脱臭性能を示すことができる。
【0024】
なお、本実施の形態では光触媒は酸化チタンなどを用いるとしたが、これに限定されるものではなく、酸化スズ、酸化亜鉛などの光触媒としての特性を有する物質であれば同様の効果を得ることができる。
【0025】
また、本実施の形態では脱臭シートの構造について特に限定しなかったが、励起光源2からの紫外線が照射させること、光触媒で生成される活性種の影響を受けることから、光触媒を担持する基材としては無機材料であることが望ましい。具体的にはガラス繊維やセラミック繊維などが挙げられる。また有機材料を基材として用いる場合には基材の表面にフッ素樹脂などを被覆してから光触媒を担持するほうが望ましい。
【0026】
また、本実施の形態では棒状の励起光源2から紫外線が照射されるものとしたが、具体的には冷陰極管を用いることができる。なお、励起光源2は冷陰極管に限ったものではなく、光触媒を活性化させるための励起光を照射できるものであれば殺菌灯や紫外線LEDを用いても同様の効果を得ることができる。
【0027】
また、本実施の形態では、光触媒低含有部6と光触媒高含有部7の境界を直線で明示したが、この形状に限ったものではなく、脱臭シート3の全面が均一な脱臭性能を示すことができるように光触媒含有量を最適化すればよく、光触媒含有量を連続的に変化させても同様の効果を得ることができる。
【0028】
また、本実施の形態では、励起光源2は3本配置されている形状を明示したが、この形状に限ったものではなく、励起光源2と脱臭シート3の位置関係において、励起光源2からの受光量が脱臭シート3の表面において不均一な場合に光触媒含有量を最適化すれば同様の効果を得ることができる。したがって、励起光源2は1本または2本または4本以上であってもよく、脱臭シート3表面での受光量に応じて光触媒含有量を最適化すればよい。
【0029】
(実施の形態2)
図3において、図2と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0030】
図3に、実施の形態2の励起光源2と脱臭シート3の平面拡大図を示す。脱臭シート3は励起光源2からの距離に対応して光触媒の含有量に偏りを持たせており、光触媒低含有部6と光触媒高含有部7を備えている。
【0031】
このような構成によれば、脱臭シート3の光触媒低含有部6は励起光源2に近いので、紫外線受光量が多く、光触媒高含有部7は紫外線受光量が少ないので、脱臭シート3の全面が均一な脱臭性能を示すことができる。
【0032】
なお、本実施の形態では、光触媒低含有部6と光触媒高含有部7の境界を円弧状の線で明示したが、この形状に限ったものではなく、脱臭シート3の全面が均一な脱臭性能を示すことができるように励起光源2と脱臭シート3の位置関係に応じて光触媒含有量を最適化すればよく、光触媒含有量を連続的に変化させても同様の効果を得ることができる。
【0033】
(実施の形態3)
図4に実施の形態3の励起光源2と脱臭シート3の平面拡大図を示す。脱臭シート3は光触媒低含有脱臭シート8と光触媒高含有脱臭シート9を組み合わせて構成されている。さらに脱臭シート3が励起光源2の軸方向に沿って複数枚積層されることにより、実施の形態1と同様に脱臭フィルタ4(図示せず)が構成されている。
【0034】
このような構成によれば、脱臭シート3の光触媒低含有脱臭シート8は励起光源に近いので、紫外線受光量が多く、光触媒高含有脱臭シート9は励起光源から遠いので紫外線受光量が少なくなり、脱臭シート3の全面が均一な脱臭性能を示すことができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、光触媒低含有脱臭シート8と光触媒高含有脱臭シート9の2種類の脱臭シートを同等の幅を有する形状として明示したが、この形状に限ったものではなく、双方の脱臭シートを組み合わせることで、脱臭シート3が均一な脱臭性能を示すように光触媒低含有脱臭シート8と光触媒高含有脱臭シート9を配置すればよく、3種類以上の異なる光触媒含有量の脱臭シートを配置しても同様の効果を得ることができる。
【0036】
また、光触媒低含有脱臭シート8と光触媒高含有脱臭シート9の、各シート内で単位面積当たりの光触媒含有量を実施の形態1、2のように変えるとシート内でも均一な脱臭性能を示すことができ、好ましい。
【0037】
また、本実施の形態では平面方向で光触媒低含有脱臭シート8と光触媒高含有シートを平行に配置することで脱臭シート3を構成するとしたが、この配置に限ったものではない。つまり、励起光源2の軸方向に紫外線照射量の分布がある場合は、複数の光触媒低含有脱臭シート8と複数の光触媒高含有脱臭シート9を、紫外線照射量の分布に対応して積層して脱臭フィルタ4を構成すれば、脱臭フィルタ4の全体で均一な脱臭性能を示すことができる。
【0038】
(実施の形態4)
図5に実施の形態4の励起光源2と脱臭フィルタ4の斜視拡大図を示す。さらに図6に励起光源2と脱臭フィルタ4の側面拡大図を示す。図6に示すように脱臭シート3は棒状の励起光源2の長手方向に対して傾斜角を有した状態で積層されている。図5に示すように、脱臭シート3の長手方向に関して中央部分に光触媒低含有部6と両端部に光触媒高含有部7を備えており、脱臭シート上において単位面積当たりの光触媒含有量に偏りを持たせている。
【0039】
励起光源2の長手方向に対して傾斜角を有した状態で脱臭シート3を積層することで、脱臭シート3の表面において励起光源からの紫外線の受光効率が向上することが期待できる。ただし、傾斜角を大きくすると、通過する空気の抵抗が増加するので、最適な傾斜角は適宜設定されることとなる。
【0040】
実施の形態1と同様に、脱臭シート3の長手方向に関して中央部分に光触媒低含有部6と両端部に光触媒高含有部7を備えており、脱臭シート上において単位面積当たりの光触媒含有量に偏りを持たせている。
【0041】
このような構成によれば、脱臭シート3の中央部分は励起光源からの紫外線受光量が多く、脱臭シート3の両端部は紫外線受光量が少ないので、紫外線受光量に応じて光触媒の含有量に偏りを持たせたものである。したがって、脱臭シート全面が均一な脱臭性能を示すことができる。
【0042】
(実施の形態5)
図7に実施の形態5の励起光源2と脱臭フィルタ4の側面拡大図を示す。脱臭シート3は光触媒低含有脱臭シート8と光触媒高含有脱臭シート9が貼り合わされて構成されている。
【0043】
このような構成によれば、脱臭シート3の上面部分である光触媒低含有脱臭シート8は励起光源からの紫外線受光量が多く、脱臭シート3の下面部分である光触媒高含有脱臭シート9は紫外線受光量が少ないので、紫外線受光量に応じて光触媒の含有量に偏りを持たせたものである。したがって、脱臭シート全面が均一な脱臭性能を示すことができる。
【0044】
また、光触媒低含有脱臭シート8と光触媒高含有脱臭シート9の、各シート内で単位面積当たりの光触媒含有量を実施の形態1、2のように変えるとシート内でも均一な脱臭性能を示すことができ、好ましい。
【0045】
(実施の形態6)
図8に実施の形態6の励起光源2と脱臭フィルタ4の側面拡大図を示す。脱臭フィルタ4は異形断面脱臭シート10が積層されている。異形断面脱臭シート10は励起光源に近い側が薄く、励起光源から遠い側が厚くなっている。
【0046】
このような構成によれば、異形断面脱臭シート10の励起光源に近い側は励起光源からの紫外線受光量が多いが、シート内の単位体積あたりの光触媒含有量を均一にしても厚さが薄いことで単位面積あたりの光触媒含有量が少なく、励起光源から遠い側は励起光源からの紫外線受光量が少ないが、厚さが厚いことで単位面積あたりの光触媒含有量が多いので、紫外線受光量に応じて光触媒の含有量に偏りを持たせたものである。したがって、異形断面脱臭シート10の全面が均一な脱臭性能を示すことができる。
【0047】
なお、本実施の形態では異形断面脱臭シート10の厚さが連続的に変化するものとしたが、この形状に限ったものではなく、励起光源からの受光量に対応して段階的に厚さを変化させても同様の効果を得ることができる。
【0048】
(実施の形態7)
図9に実施の形態7の励起光源2と脱臭シート3の平面拡大図を示す。脱臭シート3には励起光源に近い側を中心に開口部11が複数設けられている。
【0049】
このような構成によれば、脱臭シート3の励起光源に近い側は励起光源からの紫外線受光量が多いが、シート内の光触媒含有量を均一にしても開口部11を有することで単位面積あたりの受光量が低下するが、励起光源から遠い側は開口部を通過した紫外線も受光するので単位面積あたりの受光量が増加する。したがって、脱臭シート3の全面が均一な脱臭性能を示すことができる。
【0050】
なお、本実施の形態では開口部11の形状を四角形として明示したが、この形状に限ったものではなく、脱臭シート3の単位面積あたりの受光量を調整するための形状であれば円形状の開口部であってもよく、製造上の条件などに応じて任意の形状を採用しても同様の効果を得ることができる。
【0051】
また、本実施の形態では励起光源からの距離に対応して開口部11の開口面積を3段階に変化しているが、この形状に限ったものではなく、脱臭シート3の単位面積あたりの受光量を調整するための形状であれば、開口部11の形状は1種類でもよく、または3段階以上に変化させても同様の効果を得ることができる。
【0052】
(実施の形態8)
図10に実施の形態8の励起光源2と脱臭フィルタ4の側面拡大図を示す。脱臭シート3は厚さ方向において中心部分に吸着剤12を含んでいる。吸着剤12はゼオライトやシリカゲルまたは活性炭などを用いることができる。脱臭シート3の内部に吸着剤12を備えることで、当初の想定よりも高濃度の有害ガスや悪臭成分を処理する必要がある場合に、一旦吸着剤に有害ガスや悪臭成分を吸着してから、その後で光触媒の働きにより分解除去することができる。
【0053】
吸着剤12の含有量には偏りを有する必要はないが、脱臭シート3に含まれる光触媒の含有量については、これまでに述べた実施の形態で示したように、紫外線受光量に応じて偏りを持たせることで、脱臭シート3の全面が均一な脱臭性能を示すことができる。
【0054】
なお、本実施の形態では光触媒の含有量に偏りを持たせる方法について明示しなかったが、励起光源からの受光量に対応して光触媒の含有量の低い部分と高い部分を配置すれば脱臭シート3の全面が均一な脱臭性能を示すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明にかかる光触媒脱臭機は、脱臭シート全面が均一な脱臭性能を示すことを可能とするものであるので、有害ガスの除去や悪臭成分の浄化に使用される光触媒脱臭機等として有用である。
【符号の説明】
【0056】
1 光触媒脱臭機
2 励起光源
3 脱臭シート
4 脱臭フィルタ
5 送風手段
6 光触媒低含有部
7 光触媒高含有部
8 光触媒低含有脱臭シート
9 光触媒高含有脱臭シート
10 異形断面脱臭シート
11 開口部
12 吸着剤
101 脱臭装置
102 板状脱臭体
103 紫外線ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の励起光源と光触媒を含む脱臭シートを間隔を空けて複数枚積層した脱臭フィルタと送風手段を備えた光触媒脱臭機であって、前記励起光源からの受光量に対応して前記脱臭シートの単位面積あたりの光触媒含有量に偏りを持たせた光触媒脱臭機。
【請求項2】
励起光源からの受光量に代えて励起光源との距離に対応して、脱臭シートの単位面積あたりの光触媒含有量に偏りを持たせた請求項1に記載の光触媒脱臭機。
【請求項3】
単位面積あたりの光触媒含有量が異なる脱臭シートを複数枚積層した脱臭フィルタを備えた請求項1に記載の光触媒脱臭機
【請求項4】
棒状の励起光源の長手方向に対して傾斜角を有するように脱臭シートを設けた請求項1から3のいずれかに記載の光触媒脱臭機。
【請求項5】
脱臭フィルタは単位面積あたりの光触媒含有量が異なる脱臭シートを貼り合わせて一枚にした複合脱臭シートを複数枚積層した請求項4記載の光触媒脱臭機。
【請求項6】
脱臭シートの厚さを変化させることで、単位面積あたりの光触媒含有量に偏りを持たせた請求項1から5のいずれか一項に記載の光触媒脱臭機。
【請求項7】
脱臭シートに開口部を備えることで、単位面積あたりの光触媒含有量に偏りを持たせた請求項1から4のいずれか一項に記載の光触媒脱臭機。
【請求項8】
脱臭シートが吸着剤を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の光触媒脱臭機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−78896(P2011−78896A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232355(P2009−232355)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】